沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報社説(6月5日、6日)

2007年6月5日(火) 朝刊 1・23面 

嘉手納基地で燃料流出/ドラム缶43本相当

外部に影響米軍「なし」/地元通報1週間後


 【中部】先月二十五日、米軍嘉手納基地の北側滑走路そばの駐機場周辺で、二百リットルドラム缶の四十三本分にあたる約二千三百ガロン(約八・七キロリットル)のジェット燃料が駐機場路面に流出していたことが四日、分かった。那覇防衛施設局によると、米軍は基地外への流出はないと説明しているという。燃料流出六日後の五月三十一日に外務省から燃料漏れの報告を受けた施設局が、六月一日に嘉手納、北谷、沖縄の三市町に連絡した。「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」の野国昌春会長(北谷町長)は「基地外への影響は本当にないのか。事故の原因究明とともに、環境の調査、検証も必要だ。連絡体制にも問題がある」と憤った。


 施設局によると燃料が流出したのは嘉手納町役場の南八百メートルにあるKC135空中給油機、MC130特殊作戦機などの駐機場。


 五月二十五日午後八時三十分ごろ、燃料タンクから航空機への燃料補給中、タンクのシステムが正常に作動しなかったためにタンク外へ計五千三百ガロン漏れた。


 このうち、三千ガロンはタンク外側のピットという空洞部分にたまり、米軍が回収。駐機場のコンクリート上に流れ出た二千三百ガロンも回収された。米軍は、排水溝への流出は確認されず、基地外への被害はないと説明しているという。


 施設局によると基地内で環境に悪影響を及ぼす恐れのある問題が起こった場合、米軍は大使館を通して外務省に通報し、外務省が施設局へ連絡する。


 今回の燃料流出後、施設局に連絡が入ったのは五月三十一日午後七時半だった。


 県の仲里全輝副知事は「地域住民や地権者の安全安心を守るため、適切に処理されているか日本側も確認する必要がある。再発防止の観点から、基地の提供責任者である政府に米側への確認を求めるとともに、県としてもうやむやにさせないよう対応していく」と述べ、基地内の立ち入り調査を求めていく考えを示した。


                    


連絡遅れ「地元軽視」/環境影響も懸念 反発


 【中部】米軍嘉手納基地で起きた約八・七キロリットルの大量燃料流出について、那覇防衛施設局から地元自治体に説明があったのは五月二十五日の発生から一週間後の六月一日。連絡の遅れに、首長や住民らは「地元軽視だ」と一斉に反発、米軍の危機管理意識の低さを厳しく批判した。米軍が「問題ない」とした環境への悪影響を懸念する声も相次いでいる。


 県企業局北谷浄水場では、嘉手納基地内にある二十の井戸から地下水を一時間当たり計八百トンを取水して浄化。北谷や沖縄、北中城、中城、宜野湾、浦添、那覇の七市町村に給水している。同局には四日現在、汚染の情報は寄せられていないという。


 嘉手納町の宮城篤実町長は「住民地域への被害がなかったことが不幸中の幸い。今後、米軍は地下水など環境に影響がないよう後処理をしっかりしてほしい」と訴えた。沖縄市の東門美津子市長は「米軍から詳細な説明を聞いた上で、きちんとコメントしたい」と話した。嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は「最悪の場合、爆発する可能性もあった。連絡が遅れたのは地元を軽視している証拠だ。米軍には速やかな情報開示を求めたい」と憤った。


 「米軍は住民に怒りと不安を与えるばかりで、きちんとした情報は全くない」。マスコミからの問い合わせで四日に燃料漏れの事故について知った嘉手納町屋良地区の島袋敏雄区長は激怒した。復帰前に米軍の航空機燃料が流出し、付近の井戸が燃えた事件を挙げた上で「環境が心配だ。万が一、土壌や水源に漏れているのであれば許さない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706051300_01.html

 

 

2007年6月5日(火) 朝刊 1面 

米艦船、与那国入港を検討/政府関係者非公式打診

 米海軍の掃海艇が石垣港への入港を予定していた問題で、県管理の与那国町の港湾が新たな入港先として日米で検討されていることが四日、分かった。同町の外間守吉町長は同日、沖縄タイムス社の取材に「(政府などから)正式に聞いたわけではないのでコメントできない」とする一方、「なぜうち(与那国町)なのか。理由ははっきり聞いていない」と述べ、政府関係者から非公式に打診を受けたことは認めた。関係者によると、今月二十四日ごろに入港する方向で調整が進んでいる。


 外務省関係者が近く県と与那国町に入港目的などを説明し、理解を求めるとみられる。


 与那国町には祖納港と久部良漁港があるが、米軍がどちらの港を使用するか不明。


 石垣港への米艦船入港に関しては、五月十一日、ケビン・メア在沖米国総領事が石垣市内で大浜長照市長と面談した際、「六月に石垣港に米軍艦船を入港させたい」との意向を伝えた。大浜市長はその場で拒否姿勢を示したが、米側は民間空港や港湾の米軍使用を認めた日米地位協定五条を根拠に、強行する姿勢を示していた。


 県幹部は四日、与那国町の港湾への米軍艦船の入港について政府から説明を受けていない、とした上で「石垣港はクリアランス船などで過密状態にあり、米軍艦船の入港はできないのでは」との認識を示した。


 米軍が石垣港入港を断念した理由は明らかではないが、石垣市の反発が予想以上に強かったことが背景要因にあるとみられる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706051300_02.html

 

 2007年6月5日(火) 朝刊 23・22・2面 

 

「『集団自決』軍命は歴史的事実」/県民大会実行委

 文部科学省の教科書検定で沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」が削除されたことに抗議する「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない! 県民大会」の第二回実行委員会が四日、那覇市の教育福祉会館で開かれた。県議会最大会派の自民党が検定意見に対する意見書に賛成しない方針を固めたことに対し、再考を求めていくことを決めた。近日中に実行委代表が県連を訪れ要望書を手渡し、意見書採択への協力を求めることにした。意見書採択は全会一致が原則となっている。


 実行委に出席した県議会野党議員から「自民党議員の中にも『集団自決』は歴史的事実だと認めている人は多い。全員が意見書に反対ではなく、ごく一部だ」と報告した。出席者らは「県連への抗議より再考を促すべきだ」との意見で一致した。


 要望書では、各市町村議会が「集団自決」に対する軍関与を不明瞭にした修正意見の撤回を求め、意見書を採択していることについて「保革を越えた大きな県民の声だ」と指摘した。その上で「意見書に対する態度の再考を自民党に求め、県民の代表者として県民の声に応える議会での発言と働きを強く求める」とした。


 実行委によると、四日現在で県内四十一市町村議会のうち、十七議会が意見書を採択。最終的に三十八議会が採択する予定だという。


 自民党は二日、「会派内で賛否が分かれ意見が一致しなかった」として意見書採択に賛成しない方針を固めた。このため、文教厚生委員会の開会が見送られ、六月定例会での意見書採択が厳しい状況だ。


 県議会は一九八二年に今回と同様に、文部省(当時)が「住民虐殺」記述を削除しようとしたことに対し、全会一致で撤回意見書を採択。記述を復活させた原動力となった。このため実行委は、県民大会と県議会の全会一致による意見書採択を「県民の総意」として文科省に示し、検定意見を撤回、「軍命」記述の復活を求めることにしている。


 一方、実行委はこの日、県民大会の決議文やスローガンなどを決めた。大会は九日午後二時から県庁前の県民広場で開かれる。


                    


中学生が村議会要請/東中3年生14人


 【東】教科書検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍関与の記述が削除された問題で、東中学校(島袋きよみ校長)の三年の生徒らが四日、検定意見の撤回を求める意見書を可決するよう東村議会(安和敏幸議長)に請願書を提出した。生徒らは「教科書で事実が変えられたら、沖縄戦の真実を次の人に伝えられなくなる」と訴えた。安和議長は「関係機関と調整し、判断をしたい」と話し、受理した。


 請願書を提出したのは三年生全十四人。「日本軍や学校の先生からの『敵兵に殺されるより国や天皇のために立派に死ね』という教えが強かったから、みんな『集団自決』していったのだと思う」「体験者がどんどん少なくなっているからこそ、沖縄戦の真実を教科書に載せる必要がある」と、「集団自決」について学習した中で、それぞれが感じた意見を記載した。


 代表で請願書を読み上げた玉城ありささん(14)は「請願権は未成年にもあると勉強し、みんなでやってみようと話し合った。大人の人たちに聞いてほしい」。仲村ハンナさん(14)は「以前は『集団自決』のことを全然知らなかったけど、学習して、親が子を殺すって本当に怖いと思った」と話した。


文厚委開会見送り/県議会


 県議会最大会派の自民党が、文部科学省の教科書検定で高校の教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとする記述を削除した問題に対する意見書に賛成しない方針を固めたことを受け、六日を軸に調整していた文教厚生委員会(前島明男委員長)の開会は見送られることになった。


 前島委員長は「自民の意見がまとまらず、全会一致での可決は不可能な状況。六日の開会を見送り、六月定例会で可決に向けてじっくりと協議していきたい」と述べた。


 前島委員長が再検討を求め、自民は四日、執行部で協議したが、「意見の一致ができない状況は変わらない」として意見書に合意できない方針を再度、前島委員長に伝えた。同問題に対する意見書は、自民を除く県議会全会派が賛成する意向を示している。   

 

実行委員会が開かれた会場には教科書の白表紙本や見本本が並べられた=4日、那覇市古島・教育福祉会館

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706051300_03.html

 

 

 

琉球新報 社説

県議会・検定意見書 世論は撤回求める方向だが


 県内の市町村議会では、高校教科書検定で沖縄戦の「集団自決」に日本軍の強制・命令があったとする記述が修正・削除された問題で、検定意見の撤回を求める意見書の可決が広がっている。


 4日にも宮古島市と南城市などの議会で検定意見の撤回を求める意見書が可決された。「集団自決が日本軍による命令・強制・誘導なしに起こりえなかったことは紛れもない真実であり、そのことがゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し、多くの犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって到底容認できるものではない」などと、検定意見の撤回を求めている。


 ところが、県議会最大会派・自民党は教科書検定の撤回を求める意見書案に同意しない方向にある。


 同党内には「歴史の事実であり、検定意見は問題」との意見がある一方、「裁判で係争中の問題であり、判決前に政治が介入すべきでない」などとの慎重な意見も根強く、「意見の一致を見いだせない」として同意しない方針という。


 既に可決した市町村議会では、全会一致でスムーズに可決されてきた。だが県議会では、自民党が同意しない方向にあるため、19日にも開会予定の6月定例会の冒頭での提案は見送りになりそう。


 冒頭での提案見送りが、果たして民意を踏まえた選択肢といえるのだろうか。冒頭ではなくとも、会期中の提案はあるのだろうか。全会一致になるのかも含め、県民は注視している。


 集団自決をめぐる教科書検定では、琉球新報社が実施した県内市町村長アンケート調査で、回答者36人のうち、35人が「妥当ではない」「どちらかといえば妥当ではない」と答え、検定意見に批判的だ。


 その理由として、「日本軍から捕虜になるより死ぬようにと手榴(しゅりゅう)弾を手渡され、集団自決を強要されたのは紛れもない事実」「事実を葬るのではなく、将来に継承しなくてはならない」などだ。


 県議会議員を対象にした5月の緊急アンケート調査でも、回答した47人のうち、87%に当たる41人が「妥当ではない」などと検定を疑問視する回答だった。県議会でも検定意見撤回を求める意見が大勢だが


 県議会は、教育関係者らの「住民虐殺に関する意見書が全会一致で可決(1982年)できて、なぜ集団自決ではできない」との疑問にもぜひ答えてほしい。


 本社の復帰35年県民世論調査でも、検定意見賛成の7.7%に対し、76.2%は批判的だった。県民世論も検定意見撤回を求める方向にある。


 県民は、県議会の与野党が世論の動向にもしっかりと目配り、対応するかに注目している。


(6/5 10:44)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24362-storytopic-11.html

 

 

 

2007年6月5日(火) 夕刊 1面 

 

米軍、祖納入港を想定/与那国

 米海軍の艦船が与那国町の港湾への入港を検討している問題で、今月二十四日を軸に入港予定の艦船は掃海艇二隻で、計百六十人規模であることが五日分かった。関係者によると、同町の祖納港への入港を想定し、寄港目的は友好親善や文化交流、乗組員の休養と物資の補給を兼ねた「通常の訪問」という。米海軍は同町の受け入れ態勢を見極めた上で、五日にも米艦船の祖納港への入港を日本側の関係機関に正式通知する。同町の港湾は県管理のため、県にも近く使用通知が行われる見通し。


 八重山への米艦船入港に関しては、先月十一日、ケビン・メア在沖米国総領事が石垣市内で大浜長照市長と面談した際、「六月に石垣港に米軍艦船を入港させたい」との意向を伝えた。大浜市長は港の混雑などを理由に、拒否姿勢を表明。


 その後、寄港先を与那国町の港湾に変更する方向で日米が調整。同町の外間守吉町長は四日、沖縄タイムス社の取材に対し、「(政府などから)正式に聞いたわけではないのでコメントできない」とする一方、「なぜうち(与那国町)なのか。理由ははっきり聞いていない」と述べ、政府関係者から非公式に打診を受けたことを認めている。


 米海軍は今回、石垣港の使用は見送るが、今後も米艦艇の入港機会をうかがうとみられる。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706051700_02.html

 

 

 

2007年6月5日(火) 夕刊 1面 

 

立ち入り調査を要求/嘉手納基地燃料漏れ

 【中部】米軍嘉手納基地で五月二十五日に、二百リットルドラム缶四十三本分に当たる約八・七キロリットルのジェット燃料が流出し地元への連絡が一週間もたった問題で、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)の野国昌春会長(北谷町長)は五日午前、会見し「環境への悪影響が懸念される。地元として、基地内への立ち入り調査を求めたい」と述べた。同協議会は同日午前、幹事会を開き、米軍に抗議する方針で今後の対応を調整。嘉手納町議会は七日午前、基地対策特別委員会を開くことを決めた。


 野国会長は流出から一週間後に近隣の嘉手納、北谷、沖縄の一市二町に流出の報告が来たことを問題視し「これほど遅れたのは許されないことだ。各自治体への説明も異なっている」と指摘。那覇防衛施設局に対し、正確な情報開示を求めた。


 一方、嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は「米軍は原因究明を急ぎ、情報を速やかに開示すべきだ」と批判。委員会では、町議会として立ち入り調査の是非についても検討するとしている。沖縄市議会の基地に関する調査特別委員会の与那嶺克枝委員長は「環境への影響が心配。事故の原因究明が必要だ」として、七日にも委員会を開く方針だ。


 北谷町議会の基地対策特別委員会(照屋正治委員長)は五日、委員会招集について調整中。渡久地政志副委員長は「これまで多くの事件・事故を起こした米軍が、基地外への影響はないと説明しても信用できない。米軍の発表だけでは住民が納得しない」と話した。


県が調査


 【中部】県環境保全課は五日午前、燃料流出の調査のため、嘉手納基地に隣接する嘉手納町屋良、同町兼久など三カ所の排水溝などから水を採取した。三地点でそれぞれ一・二リットルを採取、揮発性有機化合物のベンゼンなど二十六項目が含まれているかどうか調査する。


 採取したのは、同町「屋良メーガー」東方数十メートルほどの黙認耕作地内のわき水、同町兼久の大型商業施設から南方の排水溝、米軍嘉手納マリーナの河川の三地点。水温など基礎情報を調べた後、百ミリリットルの小瓶二つ、一リットルの大瓶一つに入れた。


 県衛生環境研究所が分析、一週間ほどで調査結果が出るという。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706051700_03.html

 

 

 

2007年6月5日(火) 夕刊 5面 

 

中城議会も意見書/「集団自決」修正

 【中城】来年度から使用される高校の歴史教科書検定で、文部科学省が沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関して日本軍の関与を削除させた問題で、中城村議会(新垣善功議長)は五日午前、臨時会を開き、「『集団自決』はまぎれもない事実であり容認できない。修正指示を撤回するよう要求する」とした意見書案を全会一致で可決した。


 意見書は、日本軍関与の記述削除について「一方の当事者の主張のみを取り上げることは検定基準の逸脱」であり、「体験者の証言や、歴史的事実を否定するものだ」と批判。その上で「沖縄戦の歴史を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起きることがないようにするため、文科省は修正指示を撤回するべきだ」としている。


 意見書は、首相や文科相、衆参両院議長にあて送付する。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706051700_05.html

 

 

 

2007年6月6日(水) 朝刊 1面 

 

一部燃料 土壌に浸透/嘉手納基地

施設局、芝生枯れ確認/4日間流出 米軍見逃す


 【中部】米軍嘉手納基地内で五月二十五日に大量流出したジェット燃料の一部が、燃料タンク周辺の土壌に浸透していることが五日、分かった。一日、基地内の現場を確認した那覇防衛施設局によると、タンク周辺の芝生の一部は枯れていたという。米軍は燃料流出を四日後の五月二十九日に確認、その間流出を見逃していたことも明らかになった。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)の野国昌春会長(北谷町長)は「事実なら、(ジェット燃料は)地下水を通じて基地外に流出した可能性もあり環境汚染が懸念される」と危機感を表明。「基地内への立ち入り調査を求めたい」と強調した。


 施設局によると、流出現場には、給油に使用する給油用タンクと備蓄用タンクの計二基があり、盛り土で覆われている。


 五月二十五日から四日間、備蓄用タンクから給油用タンクに燃料を補給する際、システムの不具合で給油用タンクの容量を超える燃料が送油されてあふれ、流出した。


 路面に流出した燃料の多くは米軍が回収したが、一部はタンク周辺の土壌に染み込み所々、芝生が枯れている状況を立ち入った施設局職員が確認した。米軍は基地外への影響はなく、燃料が染み込んだ土は全て入れ替えると説明したという。


 嘉手納基地や駐日米国大使館などによると、米軍要員が二十九日午前九時半ごろ、燃料の流出を確認。三十一日に米軍横田基地を通して米大使館に連絡された。その後、同日中に大使館から外務省日米地位協定室を経由し、那覇防衛施設局に連絡されたという。


 施設局から地元自治体への説明は、発生から一週間が経過した今月一日だった。三連協は五日に幹事会を開き、八日に同基地を訪ね、原因究明や再発防止、早期の情報提供などを求め、抗議することを決定した。


 燃料の流出や影響を分析する、県環境保全課による水質調査も行われ、同基地周辺の河川や排水溝など三カ所でそれぞれ水一・二リットルを採取した。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706061300_01.html

 

 

 

2007年6月6日(水) 朝刊 25面 

 

麻生・久間氏、不用意発言/参院外交防衛委で

 【東京】日米安全保障条約で在日米軍出撃などの際に求められている「事前協議制度」の適用例について、麻生太郎外相は五日の参院外交防衛委員会で「沖縄が爆撃されたことに対し、沖縄の米軍基地から攻撃するというときにはあり得るのではないか」と述べ、他国軍による沖縄侵略を挙げた。一方、久間章生防衛相は二月から五月にかけて嘉手納基地に一時配備された最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターについて「いい戦闘機」と性能を評価するなど、県民への配慮を欠いた閣僚の不用意な発言が相次いだ。大田昌秀氏(社民)への答弁。


 事前協議制度は一九六〇年の日米安保条約改定の際に交わした交換公文で決まり、(1)日本への米軍配置の重要な変更(2)米軍装備の重要な変更(3)日本から行われる戦闘行動のための基地使用が対象。過去に事前協議は一度も行われていない。


 麻生外相は、在沖米軍のイラク戦争派遣については事前協議の対象にならないとの考えを示した上で、対象となる例について「例えば沖縄が隣国から爆撃された(場合)。どことは言わないが、沖縄の米軍基地から攻撃するというときにはあり得るのではないか。沖縄が仮に侵略されたというのならばあり得るのではないか」と説明した。


 F22の嘉手納基地配備の経緯について、久間防衛相は「いい飛行機だということをPRもしたかったんじゃないかという思いもしている。その内容についてはつまびらかではないが、確かにいい戦闘機だなというのは分かりました」と述べた。


 久間防衛相は四月末にワシントンで開かれた日米防衛相会談で、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の最有力候補に挙げている同戦闘機について、詳細な情報を提供するよう要求した経緯がある。


 しかし、同戦闘機の配備には当初から地元の反発があったほか、米本国に帰還する際には未明離陸を強行し、地元議会の抗議決議も相次いだ。


 参院外交防衛委員会で五日、麻生太郎外相が「沖縄の爆撃」に言及し、久間章生防衛相は騒音被害をもたらしたF22を「いい戦闘機」と発言した。閣僚の言葉は県民意識から遠く懸け離れ、関係者から憤りと失望の声が上がった。


 同日開かれた海自艦派遣への抗議集会。会場にいた平和市民連絡会の城間勝代表世話人は「発言も自衛艦派遣も、沖縄に対する歴史的な差別の延長線上にある。沖縄の体験にふそん、乱暴な言い方だ」と怒った。


 新崎盛暉沖大名誉教授は「安保条約の解釈もいいかげんで、まず日米同盟強化ありき。それにしても、沖縄への攻撃を平気で口にする政治センスには驚く」とあきれた。


 久間防衛相がF22を「いい戦闘機」と評したことについて、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)の野国昌春会長(北谷町長)は「常駐化に向けた布石ともとらえられる。(沖縄を)守ってあげている、という意味なのだろうか。中央との温度差を感じる」と憤る。


 防衛相はF22配備を「テストを含めたフライト」とも表現した。嘉手納基地に隣接する嘉手納町屋良地区に住む宮城清記さん(82)は「地元は常に騒音に悩まされている状況で、大臣がテストを容認していたのであれば、米軍ではなく、日本人が日本人を苦しめていることになる」と語る。「住民の受けている被害を軽視されているようでショックだ」と、動揺を隠せなかった。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706061300_04.html

 

 

 

2007年6月6日(水) 朝刊 25面 

 

きょう自民に要望書/「集団自決」修正

 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定に抗議する「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない沖縄県民大会実行委員会」は六日午後に自民党県連を訪れ、県議会で自民党が検定意見に対する意見書に賛成するよう再考を求める要望書を手渡すことを明らかにした。実行委が五日、那覇市の県庁記者クラブで会見した。


 会見で、実行委代表呼び掛け人の高嶋伸欣琉大教授は、米軍基地の整理・縮小などを求めて超党派で開催された一九九五年十月の県民総決起大会が、小学校六年生の社会科教科書に掲載されている事例を紹介。その上で、自民党が意見書に賛成しない方針を固めたことで県議会六月定例会での意見書採択が厳しい状況になっていることに、「県議会で意見がまとまらなかったことが将来、教科書に載る可能性もあるが、それでいいのだろうか。県民として残念だ。『集団自決』軍命は歴史的事実だ」と指摘。県連に再考を求めていく考えを強調した。


 一方、教科書検定問題の意見書を採択した那覇市議会が、十一日から市議会ロビーで教科書展示会を自主開催することも発表された。実行委が集めた、検定前の「白表紙本」や検定後の「見本本」、文科省の修正表のパネルなどが展示される。十五日まで。実行委によるとほかの議会でも開催に向けた動きがあるという。


 また、実行委は九日午後二時から那覇市の県民広場で開く同県民大会での、高校生の意見発表者を募っている。「高校教科書から歴史的事実が削除されようとしていることに意見を述べてもらいたい」と話している。


 問い合わせは高教組内の実行委事務局まで。電話098(887)1661。   

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706061300_05.html

 

 

 

2007年6月6日(水) 朝刊 25面 

 

辺野古調査 海自動員に350人抗議

 政府が米軍普天間飛行場の移設に伴う海域の現況調査に海上自衛隊を動員したことをめぐり、「県民に銃口を向けた政府の辺野古『事前調査』抗議集会」が五日、那覇市の教育福祉会館で開かれた。約三百五十人(主催者発表)が参加、「憲政の在り方を覆し、歴史の転換点になる」と強く批判した。


 基地の県内移設に反対する県民会議が主催。講演した佐藤学沖国大教授は「軍事力の使用に歯止めがなくなる。このまま声を上げなければ、紛争に自衛隊を動員する前例とされる」と指摘。問題視しない全国的な風潮に、危機感を強調した。


 ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「軍艦の派遣は反対運動だけでなく名護市長、知事を含めた沖縄全体に対する威嚇だ」と批判。カヌーで阻止行動を続ける市民ら十人余りが、「辺野古にもっと多く来てほしい」と訴えた。


 採択された決議文は「自衛艦派遣は基地負担にあえぐ県民を足げにする暴挙。なりふり構わぬ不法で不当な行動に抗議し、説明を強く求める」と要求した。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706061300_06.html

 

 

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月6日朝刊)

[米軍燃料流出]


地元無視の通報遅れだ


 米軍嘉手納基地の北側滑走路そばの駐機場に、大量のジェット燃料が流出した。二百リットルドラム缶に換算すると、四十三本分に相当する約二千三百ガロン(約八・七キロリットル)という。


 生半可な量でないが、問題はそればかりでない。那覇防衛施設局を通じて地元へ連絡が入ったのは発生から一週間、米軍が覚知してからも数日たっている。地元をないがしろにするもので怒りを通り越してあきれてしまう。


 現場は嘉手納町役場の南八百メートルにあるKC135空中給油機、MC130特殊作戦機などの駐機場。施設局の当初の説明によると、五月二十五日午後八時半ごろ、航空機への燃料補給中に燃料タンクのシステムが正常に作動しなかったため計五千三百ガロンが漏れた。


 三千ガロンはピットと呼ばれる空洞部分にたまり米軍が回収。駐機場のコンクリート上に流れた二千三百ガロンも回収し排水溝から基地外への流出は確認されなかったという。


 県企業局北谷浄水場は、嘉手納基地内にある二十の井戸から地下水を一時間当たり計八百トンを取水して浄化。地元や那覇など七市町村に給水している。地下水への影響がないか心配だ。


 嘉手納基地周辺で復帰前、航空機燃料が地下に染み込み「燃える井戸」が出現したことは地域の記憶から消え去ることはない。米軍の言い分をそのまま受け取ることはできないのだ。


 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)の野国昌春会長(北谷町長)は「環境への悪影響が懸念される」として、基地内立ち入り調査を求めた。地元住民の生命と安全を守る立場にある首長としては当然の要求であり、米軍が基地外への流出がないというのであれば基地内の調査に応じてしかるべきだ。


 県環境保全課は独自に嘉手納基地周辺の三カ所で、河川や排水溝、わき水から取水し基地外への有害物質の流出がないか調査を始めた。


 米軍基地内で環境に悪影響を及ぼす恐れのある問題が起きた場合、米軍は大使館を通して外務省に通報し、外務省が施設局へ連絡する。


 米軍はその後、五月二十五二十八日は航空機が飛ばず、流出に気付いたのは二十九日と事実関係を修正してきている。施設局の当初の説明と大幅に食い違い不可解だが、それでも二十五日から四日間流れっ放しだったわけで、施設管理のずさんさが問われる。


 外務省沖縄事務所、那覇防衛施設局は、米軍にもっと毅然とした態度で臨んでもらいたい。米軍の代弁者ではなく、県民の声を米軍に届けるのが本来の役割のはずだからだ。


http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070606.html#no_1

 

 

琉球新報 社説

航空燃料漏出 環境への悪影響が心配だ

 米空軍嘉手納基地内で環境汚染が懸念される大量の航空機燃料漏れ事故が起きた。北側格納庫で約2万リットル(ドラム缶100本分)の燃料が漏出、約1万1000リットルを回収したが約8700リットルは回収できなかった。

 基地外への燃料漏れはなかったというが、地中に浸透し周辺の環境に悪影響を及ぼす可能性も否定できない。

 1967年には嘉手納基地のジェット燃料がパイプ破損で地下水を汚染。周辺の井戸に浸出し、くんだ水が燃えるという深刻な事態を招いた。「燃える井戸」と呼ばれ大きな問題になった。

 基地の外に漏出しなかったからといって、決して安心はできない。

 事故が起きたのは5月25日だが、米軍は6日後の5月31日になるまで那覇防衛施設局に報告していない。施設局が県や地元自治体に連絡したのは発生から1週間後の6月1日のことである。

 基地の中でどんなに深刻な問題が起きても、県民は蚊帳の外だ。これでは基地周辺の住民は安心して生活できない。

 県の対応にも問題がある。1日に報告を受けていながら即座に公表しなかった。4日になって、報道機関の問い合わせに対し初めて事故発生の連絡があったことを認めている。

 県民の生命・財産を守るべき立場の県が、基地内の事故発生を知りながら公表を控えるというのでは、米軍のずさんな基地運用を助長しかねない。

 県は5日に初めて嘉手納基地のフェンス沿いで水質調査を実施しており、対応の遅れは否めない。

 嘉手納飛行場に関する3市町連絡協議会は米軍に抗議することを決定。北谷町長からは基地内立ち入り調査を求める声も出ている。

 県は、米軍に対し再発防止を強く申し入れると同時に、燃料漏出がどの程度環境を汚染したかを把握するため、県や周辺自治体による立ち入り調査の実施を要求すべきである。米軍の事故に対しては、及び腰になるのではなく、毅然(きぜん)とした態度で臨んでもらいたい。

 事故が起きても地元はそっちのけという状態がまかり通る背景には不平等な日米地位協定の存在がある。協定を見直し、米軍関係の事件、事故があれば速やかに関係自治体に通報することを盛り込むとともに、基地内への立ち入り調査についても明文化すべきだ。

 今回の事故に対し地元自治体の議会では抗議決議に向けた動きが出ている。再発防止のためには知事や県議会を含め、住民代表である首長や議会が怒りの声を上げることが重要である。

 米軍は本当に「よき隣人」を目指すのなら、県民の懸念に真剣に耳を傾け、事故が2度と起きないよう抜本的な対策を講じるべきだ。

 

(6/6 10:05)

 

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24393-storytopic-11.html

 

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