沖縄タイムス 関連記事・社説(6月19日夕刊、20日)

2007年6月19日(火) 夕刊 1面

 

 

与野党が合意 可決へ/「集団自決」意見書

 

 

 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定の撤回などを求める意見書をめぐり、県議会(仲里利信議長)の与野党会派は十九日午前、文案の最終的な調整を行い、全会一致の可決に向けて、大筋で意見が一致した。同日午後に開かれる文教厚生委員会(前島明男委員長)で可決され、二十六日の本会議で可決される見通しとなった。

 

 

 新たな意見書案は「沖縄戦における『集団自決』が、日本軍による関与なしには起こりえなかったことは紛れもない事実」と指摘。

 

 

 その上で、「今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするもの。一般県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、到底容認できない」とし、検定意見の撤回、記述の回復を要請している。

 

 

 当初の意見書案は「集団自決」の軍命について、「県内のほとんどの資料が灰燼に帰し、今後文書的な証拠が出る可能性は極めて乏しく、事実の検証を厳しい状況」としたことに、野党側は「軍命をあいまいにし、沖縄戦の史実をゆがめる」と反発し、「日本軍による命令・強制・誘導等」を明記した独自案を提出する構えだった。

 

 

 与野党の水面下の調整で、新たな委員長案は「事実の検証が厳しい状況」などの文言を削除。野党側も命令などの明確化を要求したが、検定意見の撤回を全会一致で可決することを重視し、「日本軍による関与」の文言で大筋合意する見込み。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706191700_02.html

 

 

 

 

2007年6月19日(火) 夕刊 1面

 

 

文科相、森氏答弁を疑問視/84年「検定、県民感情に配慮」

 

 

 【東京】伊吹文明文部科学相は十九日午前の閣議後会見で、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の関与が削除された問題に関連し、森喜朗文相(当時)が一九八四年に国会で教科書検定について「県民感情に配慮して検討する」と答弁した趣旨を疑問視する考えを示した。九日に開かれた「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」の実行委員会が、検定撤回の要望書を文科省に提出したことには「不満は受け止めるが、私は介入するつもりはない」と述べ、撤回を働き掛ける考えがないことを強調した。

 

 

 伊吹文科相は「森さんが文部大臣をしていた二十年前から、ずいぶん資料だとか訴訟だとか公判での発言だとか、いろんなことが出てきている」と説明。森元文相の答弁を正確に把握していないと断った上で「その通りであれば、そのとき(八四年当時)問題にならなかったのか」と述べた。

 

 

 教科書を審査する教科用図書検定調査審議会に提出する「調査意見書」の決裁者が文科省の初等中等教育局長で、事務方が検定の審議に関与できる仕組みになっているとの指摘には「少なくとも大臣は決裁していない」と述べるにとどめた。

 

 

 調査意見書を作成する教科書調査官の一人が「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーと共同研究していたことには「調査官は決定権はない。参考意見を審議会に申し述べるが、参考意見の通りになっていない例はたくさんある」とした。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706191700_03.html

 

 

 

 

2007年6月19日(火) 夕刊 1面

 

 

23日追悼式 首相参列へ

 

 

 塩崎恭久官房長官は十九日午前の記者会見で、安倍晋三首相が六月二十三日に糸満市で開催される県主催の「沖縄全戦没者追悼式」に参列することを発表した。

 

 

 首相就任後初めての参列となる。小泉純一郎前首相は、国会審議を理由に欠席した二○○三年を除き、毎年参列した。

 

 

高市沖縄相も

 

 

 【東京】高市早苗沖縄担当相は十九日午前の閣議後会見で、二十三日の沖縄全戦没者追悼式に出席するため来県すると発表した。国会日程との調整がつけば二十二日午後に沖縄入りし、旧海軍司令部壕や対馬丸記念館などの視察も視野に入れている。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706191700_04.html

 

 

 

 

2007年6月19日(火) 夕刊 4面

 

 

県調査の許可要求/米軍燃料流出

 

 

沖縄市議会が抗議決議

 

 

 【沖縄】 米軍嘉手納基地で大量のジェット燃料が流出した問題で、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は十九日午前の六月定例会本会議で、米軍に事故原因の究明と調査結果の速やかな公表、県による立ち入り調査を認めること、事故に関する情報伝達の徹底などを求める抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。

 

 

 議案を説明した基地に関する調査特別委員会の与那嶺克枝委員長は、県が申請した土壌などのサンプル採取を含む基地内立ち入り調査を、米軍が十八日付で許可しない方針を示したことについて「燃料流出のあった周辺の芝生は茶色に変色しており、地下水や周辺への環境汚染も考えられる。米軍の対応は遺憾だ」と厳しく批判。県に基地への立ち入りを認めるよう求めた。

 

 

 また抗議決議では、事故発生から四日間も燃料の垂れ流しを続ける一方、周辺自治体への連絡も一週間後だったことに対し「米軍の危機管理意識の低さに不信感を抱くとともに、強い憤りを覚える」としている。抗議のあて先は、嘉手納基地司令官、在日米軍司令官、駐日米国大使など。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706191700_05.html

 

 

 

 

2007年6月20日(水) 朝刊 25・24面

 

 

史実継承を議会後押し/「集団自決」意見書可決

 

 

 県議会文教厚生委員会(前島明男委員長)が十九日、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定の撤回、記述の回復を求める意見書案を全会一致で可決したことに、「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」実行委員会共同代表らは「超党派で賢明な判断をした」と評価した。文厚委終了後には与野党の議員が歩み寄って握手する姿も見られた。日本軍の関与が沖縄戦の特徴の一つだと県民が認識していることを示す象徴的な場面となった。

 

 

 「沖縄はさまざまな困難な場面に直面して、考え方に幅があるのは当然。その中でここまで意見を一致させた努力に敬意を表したい」。実行委共同代表の高嶋伸欣琉大教授は県議らの対応を評価した。県議会代表団が本会議での意見書可決後に、文科省に撤回要請することに触れ、「意見書の内容実現に向け、さらに努力していただきたい。私たちも今まで以上に取り組みたい」と強調。県議会と実行委の歩調がそろったことで検定意見の撤回に決意を新たにした。

 

 

 「待ってましたという気持ちだ」。同じ実行委共同代表の大浜敏夫沖教組委員長の声も弾んだ。その上で「検定意見の撤回、記述回復という二つの目的が盛り込まれた。県議会が市町村議会の意見書可決の流れと、県民の動きを大きなうねりと受け止め、本会議で採択することは大きな意味がある」と指摘した。

 

 

 共同代表の松田寛高教組委員長も「賢明な判断」と評価した上で、県議会が「慰霊の日」の前日の二十二日に本会議で可決する予定であることに、「アピール度はさらに大きくなる。実現してもらいたい」と語った。

 

 

 この日午前、県議会の開会三分前に要請文を仲里利信議長に手渡した県女性団体連絡協議会の安里千恵子会長。「市町村の半分以上で検定意見撤回を求める意見書を可決し県議会も加わってさらに心強い。県民もみんな喜んでいる」と話した。

 

 

 十九日現在、四十一自治体のうち三十一市町村議会が意見書を採択した。実行委によると、検定意見の撤回を求める県内外からの署名は九万九千四百人分を超えた。

 

 

                    

 

 

体験語り歩み寄り 仲里議長

 

 

 検定意見の撤回を求める意見書案を全会一致で可決した文教厚生委員会(前島明男委員長)。委員会終了後、与野党の委員は互いに歩み寄り、固い握手を交わした。

 

 

 意見書案の取り扱いをめぐっては、与野党の主張がぶつかり合い、何度も暗礁に乗り上げた。しかし、この日の委員会では終始、「同じ気持ちで採決したい」「どうしても意見をまとめよう」との声が上がり、政治対立を超えた「県民の意思」が示された。

 

 

 開始から三十分たった午後二時すぎ、着地点が見えないまま議論が進む中、委員の一人で県議会議長の仲里利信氏(自民)が「これまで話したことはないが、参考になれば」と口を開き、自身の沖縄戦体験を語り始めた。

 

 

 「壕から追い出されたり、飛行機から丸見えの岩穴に一日隠れたりした。撃たれる覚悟もしたが撃たれなかった。何も食べられなかった弟は、満一歳で亡くなった。戦争とはこういうもの」と静かに訴えた。

 

 

 午後二時十五分、委員会は終了した。

 

 

 各委員の顔には笑顔が浮かび、安堵感が漂った。

 

 

 自民の伊波常洋政調会長は、共産党県委の前田政明副委員長や社大の比嘉京子書記長らと握手を交わし、談笑する場面も見られた。

 

 

検定意見に風穴を 集会で石山氏

 

 

 「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」(山口剛史事務局長)の集会が十九日、那覇市の教育福祉会館で開かれ、教科書執筆者で歴史教育者協議会の石山久男委員長は、「集団自決」への軍関与を示す記述が削除された検定について、「明らかに一方に立脚して検定意見を出している」と主張。検定意見撤回運動の全国的な拡大と、執筆者と出版社が連携した取り組みを訴えた。

 

 

 参加者約五十人を前に講演した石山委員長は小、中、高校の教科書から沖縄戦の「集団自決」や「住民虐殺」の記述が削減されてきた経緯を紹介。「教科書会社の自主規制でも消えてしまう」と、最近の傾向を説明した。

 

 

 検定意見に対しては「慶良間諸島だけを参考に、元隊長の直接命令の有無だけで判断している」と偏りを指摘。

 

 

 「軍隊は住民を守らない、という沖縄戦の教訓を抹殺して、戦争する国造りをしている」と強調した。

 

 

 石山委員長は「昨年の従軍慰安婦問題では沖縄のように住民が一致して盛り上がらなかった。このチャンスに執筆者と出版社が連携して、状況を改善するための風穴を開けたい」と運動の盛り上がりに期待した。

 

 

 集会では、国会で文部科学省に検定意見の撤回を求めた要請行動や、大阪地裁で元軍人らが沖縄戦の記述をめぐり、岩波書店などを訴えている「集団自決訴訟」の傍聴記録も報告された。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706201300_01.html

 

 

 

 

2007年6月20日(水) 朝刊 2面

 

 

検定撤回へ意見集約/与野党歩み寄り

 

 

 県議会文教厚生委員会(前島明男委員長)が十九日午後、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定の撤回を求めた意見書を全会一致で可決、記述の回復で沖縄戦の実相を正しく伝えることを強く求めた。「軍命」の見解をめぐって一時、対立した与野党が検定撤回を求める全県的な訴えに応える形で意見を集約した。

 

 

 与野党は委員会直前まで、意見書案の「軍命」に対する表現や見解について、水面下で調整を続けた。

 

 

 前島委員長が提起した「日本軍による関与なしに起こりえなかった」とした意見書案に自民が合意。しかし、野党は「日本軍による命令・強制・誘導等なしには起こりえなかった」とし、「軍命」の明記を求めた。

 

 

 自民の議員の中には当初、「軍命があったかどうかははっきりしない」「軍命の有無をめぐり裁判で係争中で、(意見書は)司法への政治介入になる」など強硬な反対があった。三度の議員総会で協議、その間、文部科学省への事実確認や関係者からの証言聞き取りなど独自に調査し、「記述を変更する正当な理由はない」として意見書賛成の方針を決めた。

 

 

 さらに「軍命の検証は厳しい状況」とする文言を削除、軍関与を明記することで歩み寄った。自民の伊波常洋政調会長は「軍命の有無は証言が分かれている。関与は間違いない。これ以上の表現の譲歩はできない」と強調していた。

 

 

 野党側も「命令などの明記にこだわりすぎて、決裂しては意味がない」と判断。「全会一致の可決で、検定意見の撤回を県民の声として文部科学省に訴え、記述回復を優先させるべきだ」と合意した。

 

 

 県議会の意見書可決で、検定意見の撤回を求める県民ぐるみの訴えに弾みがついた。県議会は、文部科学相などへの要請行動にとどまらず、記述の回復実現に向けた県民代表としての取り組みが問われる。(政経部・与那原良彦)

 

 

教科書検定に関する意見書(全文)

 

 

 去る三月三十日、文部科学省は、2008年度から使用される高等学校教科書の検定結果を公表したが、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させている。

 

 

 その理由として同省は、「日本軍の命令があったか明らかではない」ことや、「最近の研究成果で軍命はなかったという説がある」ことなどを挙げているが、沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定しようとするものである。

 

 

 また、去る大戦で国内唯一の地上戦を体験し、一般県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとって、今回の修正等は到底容認できるものではない。

 

 

 よって、本県議会は、沖縄戦の実相を正しく伝えるとともに、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにも、今回の検定意見が撤回され、同記述の回復が速やかに行われるよう強く要請する。

 

 

 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣、沖縄担当相あて。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706201300_02.html

 

 

 

 

2007年6月20日(水) 朝刊 1面

 

 

自衛隊 監視対象は全国民/久間防衛相が答弁

 

 

 【東京】久間章生防衛相は十九日の参院外交防衛委員会で、自衛隊の情報保全隊による情報収集活動について「国民として皆、平等に情報収集の対象になり得る」と述べ、自衛隊が必要と判断した場合、全国民が調査対象になり得るとの認識を示した。共産党が入手した情報保全隊の内部文書で、自衛隊のイラク派遣に反対したとして「反自衛隊活動」と分類された欄に記載された増子輝彦氏(民主)、緒方靖夫(共産)への答弁。

 

 

 久間氏は「国会議員でも差別する必要はない。私が対象となっても構わない」と述べた。情報収集の指揮命令は「情報保全隊長が出すものだ」とし、自衛隊の判断とした。

 

 

 内部文書に「年金改悪反対」の国会請願を集める街頭活動が記録されていたことについて「付随的に入れてもいいのではないか。むきになって、自分たちと自衛隊の関係を調べられるのは嫌だと言うところに不自然さを感じる」と語った。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706201300_03.html

 

 

 

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月20日朝刊)

 

 

[流出燃料調査拒否]

 

 

なぜ「安全」と言えるのか

 

 

 またしてもと言うべきか。米空軍嘉手納基地内で約二千三百ガロン(約八・七キロリットル)ものジェット燃料が流出した問題で、空軍当局は県が求めている土壌などのサンプル調査を拒否した。

 

 

 理由は「周辺地域への被害および長期にわたる環境への悪影響はないと判断した」からだという。

 

 

 どのような調査をしたから、環境への影響がないと断言するのか疑問と言うしかない。安全と言い張るのなら、それだけの調査資料を提示すべきではないのか。

 

 

 これまでにも触れたが、嘉手納基地内と周辺には地下水源があり、県企業局北谷浄水場が基地内外にある二十三の「嘉手納井戸群」から一日約二万トンの水をくみ上げている。浄化した水は嘉手納町、北谷町、沖縄市、那覇市を含む七市町村に給水されている。

 

 

 つまり、水は県民の飲み水などに使用されているのである。もちろん嘉手納基地にも同じ水が供給されているのは言うまでもない。

 

 

 その「命の水」をきちんとした調査に基づく科学的データを示さず、ただ「大丈夫だ」と言われても県民が納得できないのは当然だろう。

 

 

 裏を返せば、県民には知られてはならない「環境への悪影響」があるために調査を許可しないのではないか。さらに言えば、調査する考えは全くない。米軍当局の態度を見ると、そう考えたくなる。

 

 

 私たちが「安全」にこだわるのは、かつて基地内から漏れ出た航空機燃料がそのまま地下に染み込み屋良区などの井戸を汚染した歴史があるからだ。

 

 

 油の匂いがする井戸水を汲んで火を近づけると、真っ赤な炎を出して燃え上がったという恐怖はまだ地域の人たちの脳裏から消え去ってはいない。

 

 

 県民に迷惑を掛けておいて、いざと言うときには日米安保条約における地位協定を盾に逃げる。これが「良き隣人」のすることなのであれば何をかいわんやだ。県もそのまま引き下がってはならず、県民の健康のためにも土壌調査を実施してもらいたい。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070620.html#no_2

 

 

 

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月20日朝刊)

 

 

[「集団自決」意見書]

 

 

党派超えた対応が大切

 

 

 県議会がやっと高校歴史教科書の「集団自決(強制集団死)」の記述から旧日本軍が関与したとする文言の削除を求めた文部科学省の教科書検定意見について、撤回を求める意見書案をまとめた。

 

 

 沖縄全戦没者追悼式の前日、二十二日の本会議で採択する予定だ。

 

 

 「集団自決」に「軍命」や「軍の関与」があったことは、多くの戦争体験者の証言から明らかになっている。

 

 

 それが太平洋戦争末期の沖縄における実相であり、歴史的事実として忘れてならない沖縄戦の真実なのである。

 

 

 問題に危機感を抱き素早く反応したのは市町村だ。その多くが「「日本軍による命令、強制、誘導などなしに『集団自決』は起こり得なかった」とする意見書を採択している。

 

 

 だが、与党内部に意見の相違があったとはいえ、県議会は文科省の検定意見を撤回させることに逡巡し、きちんとした対応が取れなかった。

 

 

 少なくとも「この問題が政治的な主義主張の問題ではなく、実際に沖縄で起こった歴史的事実の問題」であることは誰の目にも明らかではないか。

 

 

 であれば、県議会が率先して動くべきであったのであり、その意味で対応の遅れには疑問を覚える。

 

 

 言うまでもないが、この問題を政治化させたのは、教科書を審査する「教科用図書検定調査審議会」に軍命がなかったかのような記述を調査意見書で求めた文科省側にある。

 

 

 軍命や軍による誘導、強制があったのに、それをなかったかのようにあいまいな表現にするのは恥ずべき行為であり、歴史に学ぶ謙虚な姿勢とは言えまい。

 

 

 それが安倍晋三首相の思想信条と軌を一にする流れであるなら、なおさらのことだ。史実をねじ曲げる動きを諌め、真実に目を向けるよう求めていくのは私たちの責務と受け止めたい。

 

 

 沖縄戦では、避難先の壕から兵士に追い出された住民は多い。方言しか話せなかったためにスパイの嫌疑をかけられた住民もいた。

 

 

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