2007年7月3日(火) 朝刊 1面
ヘリパッドきょう着工 東村高江区
施設局が届け出
米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設で、那覇防衛施設局は三日早朝に工事着手する方針を固め、県環境影響評価条例に基づき二日午後、県環境政策課に事前届け出を行った。届出書は、六カ所のヘリパッド移設予定地のうち、今回着工するのはN4地区二カ所とH地区一カ所と明示。残るG地区一カ所とN1地区二カ所も「本年度着手予定」としており、日米合同委員会で合意されれば着工手続きに入る見込み。完成予定日は二〇〇九年二月二十八日としている。
施設局は三日以降、工事用進入路のゲート設置などの作業に着手。その後、施設整備に向けた本格工事を始める。
移設に反対する周辺住民の一部が二日から現場付近で座り込みをしており、工事阻止行動などで混乱も予想される。
県環境影響評価条例三四条に基づき施設局職員が二日夕、県環境政策課に「事業着手届出書」を提出した。
届出書によると、事業規模は約三ヘクタール。事業区域は「東村の米軍北部訓練場内」。事業の種類は「ヘリコプター着陸施設及び進入路等の支援施設の整備」としている。
施設局は工事による騒音を少なくするため、区域ごとに施行する予定だが、本年度施行分はN4地区とH地区が県道70号で分断されているため、同時施行するという。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707031300_01.html
2007年7月3日(火) 朝刊 1面
県・代表団、撤回要請へ/「集団自決」修正
高校の歴史教科書の沖縄戦記述から「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与が削除された教科書検定問題で、県の安里カツ子副知事が四日、同検定の撤回などを求め県内五団体の代表らとともに上京する。
県のほか県議会、市長会、市議会議長会、町村会、町村議長会の代表ら。安倍晋三首相や文部科学省、内閣府などに要請する予定。
二日行われた県議会(仲里利信議長)六月定例会の一般質問で、仲里全輝副知事は、県議会と県内四十一市町村の全議会で、沖縄戦「集団自決」への軍関与を削除した検定の撤回と記述復活を求める意見書が可決されたことについて、「県民の強い思いだと重く受け止めている。県としてもその事実の究明のために強く申し入れ、深い議論をしていただくよう対応していくべきだと考える」と述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707031300_03.html
2007年7月3日(火) 朝刊 2面
県、きょう基地立ち入り/嘉手納油流出
米軍、土壌採取認めず
米空軍嘉手納基地内で大量のジェット燃料が流出した問題で、米空軍は三日午前十時から基地内での土壌入れ替え作業に県と那覇防衛施設局職員が立ち会うことを許可した。施設局が二日午前、県環境保全課に通知した。県が求めた土壌などのサンプル採取は認められていないが、県は立ち入る方針だ。
同基地には県職員七人、施設局職員四人の計十一人が立ち入る。汚染土壌の除去現場と、取り除いた土壌を基地内の舗装された場所に広げ、土壌中の油分を蒸発させる「ランドファーミング」の実施状況を確認する。
一方で米軍は、県によるビデオや写真撮影、現場からの土壌などの採集は「不可」としており、県は三日の確認作業を行った上で今後の対応を検討する。
県は先月七日に米軍から基地内立ち入りを認められたが、土壌などのサンプル採取を拒否され、目視確認にとどまっていた。このため、土壌や水のサンプル採取を含む基地内調査を再申請していた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707031300_04.html
琉球新報 社説
ヘリパッド移設・性急では混乱するだけだ
東村高江区への米軍ヘリパッド移設工事の着手が目前に迫っている。建設に反対する同区の住民有志や市民団体メンバーらが2日朝から抗議の座り込みを開始した。
建設予定地入り口では抗議集会が開かれ、静かな住環境や区民生活の安全確保などを訴える切実な声が上がった。
人口約150人。パインを中心に農業で生計を立てる住民が多いのどかな小さな集落周辺は、ただならぬ雰囲気に包み込まれた。シュプレヒコールがこだまし、胸のボードには不信や不安のたけが書かれている。覚悟の表れなのだろう、道路に座り込む顔はいずれも思い詰めた重い表情だ。
どう考えても、東海岸を望む小さな里にはおよそ不釣り合いな光景である。違和感を禁じ得ない。
「一度完成してしまうと高江の被害はずっと続く」「子どもや孫など、次の世代のためにも着工させてはいけない」といった区民の声を国はどう受け止めるのか。
ヘリパッドの同区移設は、米軍北部訓練場の一部返還に伴い10年前の日米特別行動委員会(SACO)の合意に盛り込まれた。移設計画に対し、区は二度にわたって反対決議をした。
今年4月に行われた村長選挙では移設反対の姿勢を掲げて伊集盛久村長が無投票当選した。民間地にあまりにも近く、危険であるとして「住民の意思の先頭に立つことが村長の務め」との姿勢を表明していた。
5月中旬、伊集村長から方針転換が告げられた。当初から変更の可能性の難しさに触れてはいたものの、村長は「これまでの手続きの経緯を踏まえると、移設場所の変更は難しい」との理由で容認姿勢に転じた。
その上で今後は、自然・生活環境の保全、住宅や学校上空の飛行回避を求めていく方針を明らかにした。
思い起こすのは、基地問題を抱える首長たちが過去、口にした「苦渋の決断」という言葉だ。安全保障問題で首長の裁量、努力には限界があり、現実的な政策を選択せざるを得ないということを表した言葉である。
根本問題は「苦渋の決断」を強いる国の施策にある。国はいったい何度同じ事態を繰り返せば気が済むのだろうか。
米軍再編推進法が今国会で成立した。在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給する、いわゆる「アメとムチ」の政策を進めるための法律だ。今後、地域が分断され、混乱に陥る事態が一層懸念される。
地域住民の理解の得られぬままに強行される政策は、早晩つまずく。性急に事を運べば、混乱するだけである。
(7/3 9:37)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-25129-storytopic-11.html
2007年7月3日(火) 夕刊 1面
ヘリパッド移設着手/施設局 進入路ゲート設置
【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設で、那覇防衛施設局は三日早朝、工事用進入路のゲート設置などの作業に着手した。午前五時半ごろ、業者のトラックが相次いでN4地区の進入路に入り、約一時間かけて二カ所に金属製のゲートを設置。反対派は約二十人集まったが、集団で座り込みを始める前にゲート設置作業が完了したため、大きな混乱はなかった。
新設されるヘリパッドは直径四十五メートル。十五メートル幅の無障害物地帯を設置する。施設局はヘリパッド区域内の希少動植物を移動・移植した後、無障害物地帯の整備のための伐採作業と土砂流出対策を実施。その後、着陸帯の整備に入る。
この日はゲート設置と一部植栽の伐採などを行い、午前八時までに予定の作業を終えたという。
施設局が二日、県に届け出た「事業着手届出書」によると、六カ所のヘリパッド移設予定地のうち、今回着工するのはN4地区二カ所とH地区一カ所。残るG地区一カ所とN1地区二カ所も「本年度着手予定」としており、日米合同委員会で合意されれば着工手続きに入る見込みだ。完成予定日は二〇〇九年二月二十八日。
一九九六年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告は、北部訓練場(約七千八百三十三ヘクタール)の過半を占める約三千九百八十七ヘクタールを〇二年度末までをめどに返還すると明記している。しかし、返還条件のヘリパッド移設をめぐり、希少動植物の調査などで返還が遅れている。
移設先は東村高江区を取り囲むように造られる。このため、周辺住民や市民グループは、集落への騒音被害や自然環境への影響を指摘し、ヘリパッド移設に反対している。
同事業は環境影響評価法や県条例の対象外だが、施設局は「自然度が高い地域」として〇二年六月から自主的に環境影響評価に関する手続きを実施。着陸帯の新設地と周辺を含めた調査地区で、計三千種を超える動植物類を確認した。このうち、レッドデータブックなどに記載されている希少動植物は二百四種。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707031700_01.html
2007年7月3日(火) 夕刊 5面
不意つく作業 怒り/東村ヘリパッド移設
【東】工事は日の出とともに始まった―。米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区周辺へのヘリパッド移設作業が三日早朝、始まった。那覇防衛施設局は移設予定地のN4地区とH地区で工事用進入路のゲート設置作業などを実施。ヘリパッド建設に反対する高江区民らは明け方の“不意打ち”作業に「そこまでやるか」と抗議の声を上げ、約二十人がN4地区のゲート前で座り込みを行った。高江区代議員六、七人も急きょ、公民館に集まり今後の対応を協議した。
警戒していた区民によると、午前五時半ごろに作業員や施設局員を乗せたトラックや車が現場に到着。N4地区の米軍提供施設の旧道と県道70号の境界の二カ所に鉄製のゲートを設置する作業を始めた。
午前六時すぎには、区民ら約十人が駆けつけたが、着々と進められる工事を見つめる以外になすすべもなかった。N4地区の作業は午前六時五十分ごろに完了した。
国頭村安波のH地区に通じる道路入り口でもゲート設置が行われ、警備員一人が警戒に当たった。
着工を確認した同区の伊佐真次さん(45)は「こんな朝早くからやるのか」と、国の強行姿勢にあきれ顔。「子どもたちのためにも危険なヘリパッドはいらない。高江の現状を多くの人に知ってほしい」と座り込みへの参加を呼び掛けた。
ブロッコリーの森を守る会代表の安次嶺現達さん(48)は「区民はヘリパッド建設に賛成していない。区民の生活や安全を脅かす基地を造らせるわけにはいかない。この自然は県民みんなの宝だ。みんなで守っていきたい」と訴えた。
「ここまできてしまったか」とうなだれるのは仲嶺武夫高江区長。午前七時半すぎに設置されたゲートを確認。「施設局は完成後の生活環境について、運用面で解決すると言っているが、具体的な策が提示されていないので不安だ」と漏らした。
伊集盛久東村長は「容認の立場なので粛々と見守るしかないが、住民や生活環境に影響しないように最大限の配慮を国に求めていく」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707031700_02.html
2007年7月3日(火) 夕刊 1面
県、除去現場を確認/嘉手納燃料流出
土壌採取できず
【嘉手納】米軍嘉手納基地で航空燃料が給油タンクから流出した問題で、県は三日午前、同基地内の汚染土壌が除去された現場を目視調査した。現場立ち入りは二度目だが、県が求めた土壌採取、ビデオ・写真撮影は拒否された。県環境保全課職員は「土壌採取が認められなかったことは残念。対応については今後検討する」と話した。
調査場所は汚染土壌の浄化現場を含む二カ所。流出現場では午前十時すぎに県職員と、調査立ち会いの那覇防衛施設局の職員が、同基地の第一八航空団環境課職員らから説明を受けた。
県職員らは汚染土壌が取り除かれ、赤土がむき出しになった給油タンクの上に乗り、周囲を回りながら除去状況を確認。引き続き、汚染土壌を舗装された場所に広げ、土壌中の油分を蒸発させている浄化現場で作業手順の説明を受けた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707031700_03.html