沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(7月25日)

2007年7月25日(水) 朝刊 29面

「集団自決」検定/執筆者「恣意的」と非難

 【東京】高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の関与が削除された文部科学省の教科書検定に反対する緊急集会(歴史教育者協議会など主催)が二十四日夜、都内で開かれた。検定の対象となった教科書の執筆者らが今回の検定を「根拠が乏しく恣意的」などと非難し、出版社なども巻き込んだ検定意見撤回、記述回復の運動を首都圏でも積極的に展開する必要性を確認した。

 集会には首都圏の歴史教育関係者ら百二十人が詰め掛けた。

 東京書籍「日本史A」を執筆した都立高校教師の坂本昇さん(51)は、昨年末にあった検定意見の通達を振り返り、「二時間以内で、この日示されたばかりの十八カ所に上る検定意見についての対応策を迫られ、やむなく修正に応じてしまった。じくじたる思いが残った」と悔やんだ。

 その上で生徒たちの手に渡る「供給本」の印刷が始まる十一月を前に、執筆者有志らで対応策を検討する考えを強調。具体例として、(1)二〇〇七年の出来事を追加記述する教科書のスペースに、今回の検定問題と沖縄、全国の動向を書き足す(2)「正誤訂正」を申請する―などを挙げた。

 一方、実教出版「高校日本史B」を執筆した石山久男さん(歴史教育者協議会委員長)も「両論併記を求めるのでもなく、いきなり軍命否定説に立って書けという検定。これほど恣意的な検定はない」と非難し、首都圏でも同問題への取り組みを広げていく必要性を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707251300_01.html

 

2007年7月25日(水) 朝刊 28面

装甲車侵入/宜野座議会きょう抗議

 【宜野座】宜野座村漢那の村加工直売センター「未来ぎのざ」に米軍の装甲車が乗り入れた問題で、東肇宜野座村長は二十四日、那覇防衛施設局を訪れ、小柳真樹事業部長に対して、再発防止を申し入れた。また、村議会米軍基地関係対策調査特別委員会(當眞淳委員長)も同日、会合を開き抗議することを決めた。二十五日午前、臨時議会を開いて、抗議文と意見書を可決した後、午後にも那覇防衛施設局を訪れ、意見書を手渡す予定。

 施設局への申し入れで、東村長は装甲車の乗り入れについて「危険な行為であり、住民に不安を与えた。このようなことを起こさないでほしい」と抗議。在沖米軍に対して強く抗議するよう申し入れた。

 小柳部長は、村からあった苦情を伝えて海兵隊に事実関係を照会した、と説明。「局としては米軍の運用に当たっては公共の安全に妥当な配慮をすることは当然であり、住民に不安を与えることがないよう、また住民の感情に十分配慮するよう、機会あるたびに申し入れていきたい」と答えた。

 一方、抗議決議案は、買い物客や観光客の多く居る同センター内に装甲車が乗り入れたことで、安全が脅かされ、周辺住民に不安を与えたと指摘。今後、このような乗り入れがないよう求めている。

 抗議文は在沖米海兵隊司令官、要請文は県知事と県議会議長あてに郵送する。


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仲村県教育長 海兵隊に抗議


 【北中城】うるま市の県立沖縄高等養護学校に米軍の装甲車が侵入した問題で、県の仲村守和教育長は二十四日、北中城村石平のキャンプ瑞慶覧を訪れ、在沖米海兵隊外交政策部(G5)に抗議と再発防止を申し入れた。

 仲村教育長によると、対応したG5のラリー・ホルコム部長(大佐)は「良き隣人として兵員の教育に努めたい」と謝罪。再発防止に向け、指導を徹底する認識を示した。

 校内に侵入した理由については「隊員の判断で、詳しくは分からない」と述べたという。

 仲村教育長は「学校内への侵入は言語道断で、憤りを感じている。日米地位協定以前に、人間として非常識な行為だ」と批判した。同基地前では同日午後、沖縄平和運動センターと中部地区労が緊急抗議集会を開いた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707251300_04.html

 

2007年7月25日(水) 朝刊 28面

「バルブ閉めは故意」/市民連絡会、施設局に抗議

 米軍普天間飛行場移設予定地の名護市キャンプ・シュワブ沿岸の海中で、那覇防衛施設局の委託ダイバーと平和市民連絡会のメンバーがもみ合いになった問題で、同会とヘリ基地反対協は二十四日、施設局に「作業員が空気ボンベのバルブを閉めた。故意の危険行為だ」と抗議し謝罪を求めた。

 約四十人が施設局に詰め掛け、申し入れの場の設定を求めもみ合いになるなど、一時混乱した。施設局が二十七日に申し入れを受けることや現場への職員配置、その間の作業中断について検討を表明し、事態は収拾した。

 これに先立ち、沖縄平和運動センターのメンバー約二十人が米軍装甲車の県立沖縄高等養護学校への侵入などに抗議した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707251300_06.html

 

2007年7月25日(水) 朝刊 23面

ようこそ癒やしの渡名喜/村民の会社がツアー

 【渡名喜】島の魅力を伝え、観光客を呼び込もうと村民で立ち上げた株式会社「福木島となき」(南風原豊代表)がこのほど、ツアー客受け入れを始めた。情緒あふれるフクギ並木の家々や島独自の植生を案内。改装した古民家に宿泊する「癒しの旅」を村人が演出する。関係者は「渡名喜をPRして、島の若者が働く場所もつくりたい」と意気込んでいる。

 同村では、米軍基地所在市町村活性化特別事業(島田懇談会事業)を活用し、二〇〇〇年から観光施設などを整備。使われていない古民家八戸を改装し、宿泊施設や食堂を設置。島を巡る一人乗りの電気自動車も導入した。

 村が今年二月に施設を管理運営する法人を公募し、島在住の四人が名乗りを上げ、同社を設立した。

 六月三十日には、初めてのツアー客十一人が沖縄本島から来島し、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されているフクギ並木の集落を見学。

 南風原代表や村の高齢者が、強風を避けるため、歩道より一メートル以上も掘り下げた家屋や三千五百年前から人が生活していた歴史などを説明した。

 集落を南北に挟む山では、ツアー客がかれんな白い花を咲かせる「河原なでしこ」やカルスト地形など独特の自然景観に見入っていた。

 南風原代表は「まだヨチヨチ歩きの段階だが、将来は休眠中の畑を貸し出し、個人や団体の長期滞在者の受け入れもしたい」と話している。

 「福木島となき」の問い合わせは、電話098(989)2990。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707251300_09.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年7月25日朝刊)

[基地と参院選]

「普天間」を軽視するな

 参院選は全国的に年金問題が最大争点として浮上し、与野党逆転が大きな焦点となる中で、基地問題は後景に退いたかのようだ。

 しかし、米軍再編は沖縄社会に深刻な影響をもたらすだけに安倍政権の政策をどう評価するかが正面から問われなければならない。

 県政の最重要課題である普天間飛行場の移設問題は、名護市が求めるV字形滑走路案の沖合移動と、仲井真弘多知事の公約である「三年以内の閉鎖状態」の実現をめぐって、政府と県、名護市の間でこう着状態が続く。

 「原爆投下発言」で久間章生前防衛相が辞任し、後任の小池百合子防衛相は沖合移動は困難との見方を示す。防衛省の守屋武昌事務次官は「政府案を変えることはまったくない」と否定的な見解を繰り返すばかりである。

 普天間移設について、西銘順志郎候補は「仲井真知事と歩調を合わせ、あらゆる方策を検討し問題解決に取り組む」と訴え、普天間飛行場の早期の危険性除去のため、県内移設も選択肢の一つだと主張している。

 一方、糸数慶子候補は「ジュゴンやサンゴの命を奪い、住民の暮らしを破壊する恒久的な基地建設は認められない。米本土に移転させるしかない」と県内移設に反対し、同飛行場の即時閉鎖・返還を求める立場である。

 訴えは基本的な考え方の応酬にとどまり、それ以上に論議が深まらない。

 西銘候補は沖合移動を主張し続けるのか、危険性の除去をどう具体化するか。糸数候補は米本土移転を主張するが、どのようなプロセスで実現するのか。政府の壁は厚く、議論自体に閉塞感や疲労感も感じられる。

 今年五月、米軍再編への協力の度合いに応じ自治体に交付金を支給する米軍再編推進法ができた。協力する自治体には支給し、拒めば冷遇して受け入れを迫る「アメとムチ」の政策だ。

 普天間移設について政府はこれまで「地元の頭越しには進めない」(橋本龍太郎元首相)と説明してきたが、ここへ来て強権的姿勢も目立つ。海上自衛隊の掃海母艦の派遣は政府の姿勢の変化を象徴している。

 米軍は地対空誘導弾パトリオットを嘉手納に配備。最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターも一時配備された。垂直離着陸機MVオスプレイの配備計画なども徐々に明らかになってきた。

 普天間移設と連動するように着々と米軍再編の既成事実化が進行し、政府は頑なな態度で政府案の受け入れを迫っている。普天間移設は沖縄の今後を決定付ける重要な問題であり、軽視できない争点だ。もっと多角的に同問題について論議を深める必要がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070725.html#no_1

 

琉球新報 社説

米軍車両侵入 政府は「逸脱」行為を正せ

 米海兵隊の装甲車が18日にうるま市の県立沖縄高等養護学校敷地内に無断で侵入した問題は、日米地位協定さえも逸脱した暴挙である疑いが濃厚になってきた。

 外務省の重家俊範沖縄担当大使は23日、抗議に訪れた政党代表が「学校への侵入は地位協定を逸脱している」などと指摘したのに対し、「その通りだと思う」と述べた上で「公道を外れた施設に無断で入っており、緊急事態があったわけでもなく、弁護のしようがない」と米軍の行動を批判した。

 防衛施設庁の渡部厚施設部長も20日の記者会見で「施設区域間での移動は(地位協定で)認められているが、学校敷地の中なのでそれがそのケースに当てはまるのか、という感じは持っている」と指摘していた。

 日米地位協定第5条は、米軍車両が日本国内で施設・区域間を自由に移動する権利を保障している。だが、外務省の「日米地位協定の考え方」によると、第5条に関する合意議事録は、移動に当たっては日本国の法令が適用される旨を定めている。

 自由な移動が認められているからといって、管理者の許可を得ることもなく民間の敷地内に立ち入ることが許されていいはずがない。

 ところが、外務省日米地位協定室は当初「通常、日本人が自由に出入りできるのに米軍に限って排除することはあり得ない。直ちに問題があるかどうかは何とも言えない」と述べ、米軍を擁護するような姿勢を示していた。

 Uターンできる場所がいくらでもあったにもかかわらず、わざわざ養護学校の敷地内に装甲車を乗り入れ、生徒の安全を脅かした行為に対し、「問題があるかは何とも言えない」と言ってのけること自体、驚きである。良識を疑う。

 学校の中に、突然、戦車と見間違えるような装甲車が入ってきたら、大人でもびっくりして恐怖感を覚えるはずだ。生徒であれば、なおさらだ。

 「弁護のしようがない」との重家大使の発言は、外務本省の対応を修正したものといえるだろう。

 県内の自治体や議会、民間団体の意見を聞いて政府に伝えることは沖縄大使の重要な職務の一つだ。

 重家大使には、もう一歩踏み込んで具体的に行動を起こすことが求められる。批判するだけでなく、地位協定上も留意すべき問題があることを米国に対し厳しく指摘してほしい。

 今回の米軍の行為は、仲井真弘多知事がコメントした通り「非常識の極み」である。沖縄で「非常識」がまかり通る状態がいつまでも続いているのは日本政府の怠慢と言わざるを得ない。今度こそ毅然(きぜん)とした態度で米国に抗議し、改善を促すべきだ。

(7/25 10:05)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-25739-storytopic-11.htm

 

2007年7月25日(水) 夕刊 1面

装甲車侵入/宜野座議会 抗議決議可決

 【宜野座】宜野座村漢那の村加工直売センター「未来ぎのざ」駐車場に十八日、米軍の装甲車両が相次いで侵入した問題で、同村議会(小渡久和議長)は二十五日午前、臨時議会を開き、抗議決議と意見書、要請決議を全会一致で可決した。午後にも那覇防衛施設局を訪れ、意見書を手渡す予定。

 抗議決議では、買い物客や観光客の多くいる同センター内に装甲車が侵入したことで、村民や利用者を不安に陥れたと指摘。地域住民の人権・生命・財産を守る立場から、民間地侵入に対して強く抗議し、再発防止のための対策を早急に講ずるよう求めている。

 抗議決議は在沖米海兵隊司令官、要請文は県知事と県議会議長あて。いずれも郵送する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707251700_01.html

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