沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(8月7日、8日朝刊)

2007年8月7日(火) 朝刊 1面

F15未明離陸 延期/嘉手納基地

 【中部】米軍嘉手納基地は六日午後、機体の入れ替えのため、米本国に向け七日早朝に予定していたF15戦闘機四機と空中給油機一機の離陸について「延期する」と発表した。理由や今後のスケジュールについては明らかにしていない。

 これに対し、基地周辺自治体の首長らで構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は六日午後、同基地司令官あてに、深夜早朝の飛行中止を求める要請文を送付した。

 北谷町議会基地対策特別委員会(照屋正治委員長)は七日、委員会を開いて対応を協議する。

 野国町長は「五月に未明離陸したF22戦闘機の一部はグアム経由で日中に帰還しており、未明離陸ではない方法も可能なはずだ。米軍は(午後十時―午前六時の飛行制限を定める)騒音防止協定を順守してほしい」と訴えた。

 同基地では今年一月にF15などが二日連続で、五月にも一時配備されていたF22戦闘機十二機のうち、十機が地元の反対を押し切り、未明離陸を強行した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071300_03.html

 

2007年8月7日(火) 朝刊 2面

年内にも開始の意向/ハンセン共同使用

 在日米軍再編の最終報告に盛り込まれた米軍キャンプ・ハンセンの共同使用で、防衛施設庁は年内にも陸自第一混成団のハンセン使用を開始したい意向であることが六日分かった。ただ、七日の県と金武町などへの事前説明では、地元の反発が強いことなどを考慮し、具体的な使用開始時期など詳細には触れない方針だ。

 同庁は当初、七日に渡部厚施設部長や佐藤勉那覇防衛施設局長を県と金武町に派遣し、訓練スケジュールなどの詳細を説明する予定だった。

 ところが、報道が先行し、地元から「いま説明に来られても反対を表明せざるを得ない」との意向も伝えられたことから、同庁内部で説明内容を再検討。一方的な「通告」と受け止められ、地元との関係悪化を避けるため、今回は「共同使用に向けて理解を求めるキックオフ」(同庁関係者)との位置付けとし、担当調査官の説明にとどめる方針に変更した。

 米軍再編交付金の配分調整が進む中、共同使用の受け入れに難色を示した場合、交付金の受給にも影響しかねないため、地元側も現時点で受け入れの可否を迫られるのは避けたい意向があるとみられる。同庁は今後数回の地元との「調整」を経て、自衛隊による在日米軍基地の使用を規定した日米地位協定二条四項(a)に基づく手続きに着手する見込み。

 施設庁は七日、米軍再編交付金の配分に向けた検討状況や、キャンプ・キンザーの返還に伴うキャンプ・ハンセンへの一部施設の移転の可能性についても言及するとみられる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071300_09.html

 

2007年8月7日(火) 朝刊 28面

さんご礁保全啓発を/環境省

 さんご礁の保全活動を訴える世界的なイベント「国際サンゴ礁年2008」を来年に控え、環境省自然環境局は六日、県庁で説明会を開いた。研究者、企業、自治体やダイビング関係者など約七十人が県内での活動について話し合う「沖縄ワーキンググループ」の設立について議論した。

 一九九七年以来二度目の実施で、日本や米国、オーストラリアなど四十四カ国と、四十の国際機関が参加。それぞれさまざまな行事や活動で、さんご礁の価値や危機にひんしている状況を普及啓発する。イベントを主導する県自然保護課によると、ワーキンググループでは、県民や観光客の参加が可能で、さんご礁がある沖縄ならではの取り組みを探る。東京の推進委員会に活動の報告や提案を行い、来年の活動計画に「現場」の意見を反映させるという。

 出席者からは「サンゴについて、メンバーの共通認識が必要。まずは勉強会から始めてはどうか」「学校現場のカリキュラムに合わせた活動方針を定めた方が良い」などの意見が出た。

 県自然保護課はワーキンググループに参加する団体や個人を募集している。問い合わせは同課、電話098(866)2243。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071300_11.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年8月7日朝刊)

[原爆症認定]

救済基準の見直し急げ

 広島市を訪れた安倍晋三首相は、国敗訴が続いている原爆症認定の問題について、「認定基準を専門家の判断の下、見直すことを検討させたい」と表明した。

 国の認定基準をめぐる裁判では原告全員、あるいはほとんどを原爆症と認める判決が相次いでおり、認定基準の見直しを求める声も高まっている。

 しかし、厚生労働省は見直しには否定的だ。このため、認定基準の緩和による救済など「政治決着」を模索する動きも出ていた。

 被爆者援護法によると、広島、長崎の被爆者は、厚生労働相の認定を受ければ月額約十三万七千円の医療特別手当が支給される。国は二〇〇一年、爆心地からの距離で推定される被ばく放射線量と、当時の年齢、性別などで発症リスクを数値化した「原因確率」を基に放射線の影響を審査している。

 安倍首相は今回、認定基準の見直し方針を明らかにする一方で、「裁判は別」と発言するなど司法の判断を仰ぐ姿勢をなお崩していない。

 この問題では、厚労省の新たな認定基準導入後、がんなどを発症した被爆者らが原爆症認定を求めて国に集団申請したが、却下されたため、処分取り消しと慰謝料支払いを求めて各地で提訴する動きが広がった。

 大阪地裁は昨年五月、原告九人を原爆症と認定、同八月には広島地裁が四十一人、今年一月に名古屋地裁で四人中二人、三月には仙台地裁が二人、東京地裁も三十人中二十一人を認定している。七月には熊本地裁が二十一人中十九人を認定した。

 判決は認定基準の不備を指摘。基準の機械的な適用を批判し、被爆直後の症状や疾病の内容などを総合的に考慮すべきだとしている。

 原告の平均年齢は七十六歳を超えており、提訴後に三十五人が死亡した。「国の認定基準の機械的運用では不十分」とする新基準導入前の最高裁判決を踏まえた原告勝訴の流れができつつある中で、高齢の被爆者にこれ以上の負担を強いるのは酷である。

 安倍首相の発言をめぐっては「参院選で追い詰められた首相のポイント稼ぎ」など、冷ややかな見方もある。選挙後の状況を見れば当然だろう。

 それでも、全国各地の原告らはかたずをのんで見守っているはずだ。懸念を払しょくできるかどうかは、ひとえに今後の首相の対応にかかっている。

 放射線の人体への影響は未解明の部分もあり、新基準の設定は容易ではないようだが、問題を先送りする時間的な猶予はない。国は控訴を断念して原告と真摯に向き合い、被爆者の救済に全力を挙げるべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070807.html#no_1

 

琉球新報 社説

原爆症認定 新たな基準作りを急げ

 広島、長崎の被爆者や遺族から批判を浴びている原爆症の認定基準をめぐる問題で安倍晋三首相は「認定基準を専門家の判断の下、見直すことを検討させたい」と表明した。

 原爆症の認定申請を却下された被爆者が処分取り消しなどを求めた各地の集団訴訟で、国は7月30日の熊本地裁判決を含め6連敗している。

 司法判断は既に固まっているとみるべきだ。原爆投下から62年。被爆者の高齢化が進む。残された時間は少なく、救済は待ったなしである。

 見直しを求める意見は与党内にもある。もろもろの事情を酌めば、安倍首相は、見直しの検討指示の段階にとどまるべきではない。認定枠の拡大に向け、抵抗も予想される厚生労働省に対し、実態に合った認定基準作りを急ぐようもっと踏み込んだ指示を出す必要がある。

 原爆症の認定をめぐる一連の訴訟で争点となったのは、認定基準である。昨年5月の大阪地裁判決は、放射線と発病との因果関係を明確に認める画期的な判断を下した。国の認定審査の誤りを指摘し、被爆者の幅広い救済を促した判決はその後に続く司法判断の枠組みとして定着しつつある。

 国の敗訴に終わったこれまでの判決で指摘されたのは「科学的根拠を厳密に求めると、被爆者救済という被爆者援護法の目的に沿わない」というものだ。現行の認定基準は、爆心地からの距離などを基に推定される放射線量をベースに年齢、性別などの要素を加味し認定している。

 しかし、判決はこの審査の在り方について「機械的に当てはめて放射線に起因することを否定している」と批判。「被爆状況など個々の被爆者の個別的事情を踏まえた判断をする必要がある」と政府に反省を強く迫った。

 最新の熊本地裁判決では、糖尿病のほか、変形性関節症など運動機能障害の症状にも救済範囲が拡大された。放射線の人体への影響にはまだ未解明の点がある。それを考慮した妥当な判断だ。

 首相は見直し検討の一方で「裁判は別だ」とも語っているが、原告らは肉親を失い、病に苦しめられるなど辛酸をなめてきた。平均年齢は70歳を超え、亡くなった人も多い。国は控訴するべきではない。

 原爆症の認定者には、月額約14万円の医療特別手当が支給される。だが認定者は、被爆者健康手帳を持っている者の1%にも満たない。厳格な基準に阻まれ、申請者のうち認定されるのは2、3割にとどまっている。

 国は被爆者の切実な訴えに耳を傾け、早急に新たな基準作りに取り組んでほしい。

(8/7 9:49)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26098-storytopic-11.html

 

2007年8月7日(火) 夕刊 1面

アセス方法書送付/普天間政府案で防衛省

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省は七日午後、政府案に基づく佐藤勉那覇防衛施設局長名の環境影響評価(アセスメント)方法書を県に送付した。県は名護市が求める滑走路の沖合移動を主張し、現段階で方法書を送付されても、知事意見の取りまとめに向けた審査を行わない意向を示しており、普天間移設問題をめぐる県と政府の交渉は重大局面を迎える。

 施設局幹部らは同日正午すぎ、県庁二階にある返還問題対策室を訪ね、方法書を提出した。

 国からの方法書送付について仲里全輝副知事は七日午前、「前提条件が整っておらず、方法書を受理できるわけがない。仮に強行したとしても文書で受理しない旨を防衛省に通告するつもりだ」との考えを示した。ただ、方法書の送付を受けた場合、県は法律上、受け取りを拒否できないため、難しい判断を迫られそうだ。

 県は同日夕、知事コメントを発表する。方法書送付を受け、国と県などは来週にも、普天間移設に関する協議会を内閣改造が想定される二十七日前に開催する方向で調整に入るとみられる。

 小池百合子防衛相は二日に仲井真弘多知事と面談した際、普天間代替施設の建設について「沖縄の海を守ることに力点を置いている」と述べ、環境への配慮を強調。海域の埋め立て面積が増大することから、沖合移動は困難との見方をあらためて示していた。

 仲井真知事は二月に守屋武昌防衛事務次官と面談した際、アセス後に修正の可能性があるとの提示を受けたことを明らかにした上で「県は現行のV字案に反対しており、後先が逆。新しい案にして、名護市の考えも聞いて対応するのが筋」と指摘。環境アセスメントの先行実施を容認しない考えを示している。

 県首脳は、政府案に基づく方法書が送付された場合、「フリーズ(凍結)状態にする」と主張。県が知事意見を出さない場合、国から「不作為」を理由に行政訴訟を起こされる可能性もあるが、訴訟も覚悟で臨む見解を示していた。

 方法書は県への送付と同時に、一カ月間の公告縦覧に付される。縦覧後、県は住民らからの意見をまとめた意見概要を受理し、六十日以内に知事意見を国に提出する。

 防衛省はキャンプ・シュワブ周辺海域で六月にミドリイシサンゴの産卵が始まるため、「五月には調査準備に着手する必要がある」と主張。アセスに基づかない事前調査の位置付けで海域の現況調査に着手している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071700_01.html

 

2007年8月7日(火) 夕刊 1面

守屋次官、今月末退任/防衛相方針

 【東京】小池百合子防衛相は七日までに、防衛省の守屋武昌事務次官を今月末で退任させ、後任に西川徹矢官房長を起用する方針を固めた。守屋氏は今年三月、定年を延長しており、在任期間は異例の五年目に入っていた。守屋氏の退任に伴い、同様に定年延長していた佐藤勉那覇防衛施設局長も退任する。

 民主党など野党が反対するテロ対策特別措置法が焦点となる秋の臨時国会に向けて留任説もあったが、在任期間が異例の長さとなったため、交代を決めた。

 守屋氏は一九七一年に防衛庁入り。官房長、防衛局長を経て二○○三年八月に事務次官に就任。米軍普天間飛行場移設など沖縄の基地問題や在日米軍再編に長く携わった。ただ、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設では、現況調査(事前調査)への海上自衛隊動員を強行するなど、厳しい姿勢が目立っていた。

 西川氏は一九四七年六月生まれ。大阪府出身。京大卒後、七二年に警察庁入庁。二〇〇五年八月から現職。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071700_02.html

 

2007年8月7日(火) 夕刊 5面

うるま議会 抗議決議へ/相次ぐ米車両学校侵入

 【うるま】米軍車両とみられるトラックが、うるま市田場の前原高校(大城順子校長)の敷地内に侵入した問題で、うるま市議会基地対策特別委員会(東浜光雄委員長)は七日午前、九日に臨時会を開き、再発防止などを求める意見書と抗議決議を提案することを決めた。うるま市基地対策課では車両の所属などについて那覇防衛施設局を通し米軍側に照会しているが、同日午前の時点で回答はないという。一方、県教育庁は「度重なる米軍の傍若無人な行動に抗議する」などとした抗議文を決定。午後にも仲村守和県教育長が那覇防衛施設局と外務省沖縄事務所に再発防止を求めて抗議する。

 うるま署は七日午前、前原高校敷地内で、侵入した車両のタイヤ痕などを調査した。

 同市では先月十八日にも、市内にある県立沖縄高等養護学校内に米海兵隊の装甲車が侵入していおり、うるま市議会は同二十六日に臨時議会を開いて抗議決議と意見書を可決している。

 米軍関係の教育現場への車両侵入が相次いだことに、市議会基地対策特別委員会の東浜光雄委員長は「また同じことが起こってしまった。抗議決議や意見書を提出しても原因の説明は得られず、それで(事件が)終わった状態になってしまっている」と指摘。

 米軍側が日米地位協定の運用上の都合を理由に事故の原因を説明しないことについて「地位協定の行き詰まりであり、これでは県民が納得しない」と話し、県の協力を得て米軍側に再度原因究明を求めていく意向だ。

 うるま市も抗議行動を行う予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071700_04.html

 

2007年8月7日(火) 夕刊 5面

北谷町議会 中止要請へ/未明離陸

 【北谷】米軍嘉手納基地がF15戦闘機の未明離陸を予定している問題で、北谷町議会基地対策特別委員会(照屋正治委員長)は七日午前、臨時会を十日に開き、未明離陸の中止と深夜・早朝(午後十時―午前六時)の飛行制限などを定めた騒音防止協定の順守―などを求める意見書を提案すると決めた。あて先は首相や外相、防衛相など。

 意見書案は、五月にF22戦闘機が米本国向けに帰還した際、一部が他基地を経由して嘉手納基地を日中に離陸したと指摘。「未明離陸の回避は可能であり、いかなる理由があるにせよ容認できない」としている。

 照屋委員長は「深夜・早朝の安眠する時間帯の離陸は、大きな住民負担があり容認できない。中止要請の決議までに未明離陸を強行すれば、意見書に加えて抗議決議も審議したい」とした。

 基地特委は、前原高校の敷地内に米軍車両とみられるトラックが侵入した問題についても臨時会前に開催する基地特委で対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071700_05.html

 

2007年8月7日(火) 夕刊 4面

山内徳信氏が初登院/臨時国会

 【東京】七月二十九日投開票の参院選比例代表で初当選した山内徳信氏(72)=社民=が臨時国会召集日の七日午前、初登院した。沖縄選挙区で二期目の返り咲きを果たした糸数慶子氏(59)=無所属=は約十カ月ぶりに登院した。両氏は最優先で取り組む課題に、高校歴史教科書から日本軍の関与が削除された教科書検定問題を挙げ、「師弟コンビ」で沖縄の課題解決に向けて連携する意欲を示した。

 山内氏は紺のスーツに、出馬表明でも身に着けた読谷山花織のネクタイで国会入り。教科書検定の撤回を最優先に挙げた上で「辺野古のV字形の海上基地や東村高江のヘリパッドを造らせないことにも全力を尽くしたい」と述べ、文部科学省や防衛省の関係者と早期に面談する意向を示した。

 糸数氏は白のスーツ姿。「付託された議席の重みをあらためて感じている。(恩師の)山内氏と一緒に、沖縄と国政の課題解決に取り組めるのは大きな喜びだ」と意気込んだ。教科書検定問題については「戦争体験のない世代に歴史認識をきちんと伝えるため、元の正しい記述に戻していくことが真っ先にやることだと思っている」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708071700_08.html

 

2007年8月8日(水) 朝刊 1面

公告縦覧 来週開始/県・名護市、受け取り保留

「普天間」アセス方法書提出

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省が七日、環境影響評価(アセスメント)方法書を県に提出したことを受け、県の仲里全輝副知事は同日午後、県庁で記者会見し、方法書の受け取りを保留し、知事意見などのアセス手続きに着手しない意向を明らかにした。しかし県は法律上、受け取りを拒否できず、那覇防衛施設局はアセス法に基づき、来週中に公告縦覧手続きを開始する方針だ。防衛省は同日、県のほか名護市と宜野座村にも方法書を送付。名護市も県と歩調を合わせ、アセス手続きには応じない考えだ。

 方法書送付を受け、県は数日中にも、仲井真弘多知事名で小池百合子防衛相と佐藤勉那覇防衛施設局長あてに、現段階ではアセス手続きには応じられない、との県の見解を正式に申し入れる。また県は、公告縦覧の場所として県庁など関連施設を提供しない考え。

 仲里副知事は会見で「前提条件が整わない中、方法書が提出されたことは誠に遺憾」と表明。県と名護市が求める滑走路の沖合移動や普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態について、政府の前向きな対応が示されない段階で方法書が提出されたことを批判した。さらに「単なる行政的な事務処理の一手続きとして進めることはできない」と主張。方法書の受理を保留する考えを示した。

 アセス後に行われる国から県への埋め立て申請手続きに関しても仲里副知事は「政府が(県の意向を)無視して強行していく過程があれば承認申請の場合にノーという場合もあり得る」とし、応じない意向を示唆。調査範囲について方法書は、現在海域で実施している現況調査と同様の範囲まで拡大しているとみられる点について、仲里副知事は「方法書の中身については精査していない」と断った上で「法律上何の意味合いもない」との認識を示し、政府案を前提とした方法書である以上、受理しない方針をあらためて示した。

 一方、防衛省幹部は「環境影響評価法六条に基づく『送付』はあくまでも送付であり、協議などを行う必要はなく、送付さえすれば効力を有する」との解釈。施設局は公告縦覧については「来週に行う予定」とし、県の意向とは無関係にアセス手続きを進める考えだ。

 名護市の島袋吉和市長は七日、「県や名護市の考え方について協議を行うことなく方法書を提出したことについて大変遺憾。受け取ることはできない」と述べた。宜野座村の東肇村長は「宜野座村としては、従来通り村内上空を飛行しないよう、施設局に求めていく。アセス手続きについては、県や名護市と歩調を合わせて対応していきたい」と話した。


調査範囲は政府案前提


 【東京】米軍普天間飛行場代替施設の建設に向けた環境影響評価(アセスメント)方法書で、V字形滑走路の位置は、日米で合意した名護市キャンプ・シュワブ沿岸部の位置に明記され、政府案を前提とした内容となっている。海域の調査範囲については、名護市嘉陽集落の東部にあるバン崎から、同市久志集落の南部にある宜野座村前原付近までのエリアを設定。アセスの前段として防衛省が実施している現況調査(事前調査)と同じ範囲とみられる。

 辺野古沖を埋め立てる従来案の調査範囲に比べると、安部岬からバン崎に及ぶエリアを新たに追加。南北方向には拡大しているが、全体的に陸地寄りとなっており、V字形滑走路の沖合移動を求める名護市にとっては受け入れ難いと見られる内容だ。

 方法書によると、公有水面の埋め立て面積は、約百六十ヘクタール(代替施設本体部分約百五十ヘクタール、護岸部分約十ヘクタール)。埋め立てに使う土は約二千百万立方メートルを計画。辺野古ダム周辺の土砂約二百万立方メートルを活用、残り約千九百万立方メートルは購入する計画だ。護岸は延長約四千八百メートルを計画。そのうち深い水深に対応する「ケーソン護岸」を千四百メートル、浅い水深に対応する「傾斜堤護岸」を三千四百メートルと想定している。

 護岸のブロックなどを製作するための陸上ヤードも大浦湾西岸海域(大型ブロックを製作)、辺野古地先水面(小型ブロックを製作)に設置。そのほか、製作済みケーソンの仮置きのための海上ヤードを大浦湾中央海域の海底に想定している。

 一方、飛行場の使用を予定する航空機の種類については「米軍回転翼機及び短距離で離発着できる航空機」と明記。現在普天間飛行場で運用しているヘリや固定翼連絡機を想定したものだが、将来的には垂直離着陸機MVオスプレイの配備も予想される。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708081300_01.html

 

2007年8月8日(水) 朝刊 27・26面

強権手法に反発噴出

 「地元を敵に回すつもりか」「小池さんは無知だ」―。防衛省が七日、米軍普天間飛行場代替施設の建設に向け、環境影響評価(アセスメント)方法書の送付を強行した。一方的に書類を押し付けられ、ぶぜんとした表情の県や名護市の幹部。容認派の市民からさえ、反発の声が上がった。環境問題の専門家は、非科学的な調査を懸念した。

 【名護】防衛省が方法書を名護市などに送付した事に、地元の反対派は環境への影響を危惧、容認派からも地元との協力関係への悪影響を懸念する声が上がった。

 辺野古区出身の島袋権勇名護市議会議長は「一方的に送付するやり方は理解できない。市議会でも沖合移動を決議しており市の立場を支持する。政府は地元と協議会を開く努力をしないのか」と強引な手法にいら立った。同区代替施設等対策特別委員会の古波蔵廣委員長は「何を焦っているのか。地元の感情を悪化させては敵に回すだけだ。久辺三区、市、県と連携していく」と憤った。

 一方、同区有志でつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「一歩進んだ感じ」と移設作業の進展を歓迎。「時限立法で出来高払いの米軍再編推進法も成立した。作業が早めに進み、地元が要望する振興策を実現させてほしい」と話した。

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は「小池さん(防衛相)はジュゴンの藻場の消失面積が少ないから『環境に配慮している』というが無知だ。辺野古崎を挟んで埋め立てれば潮の流れが変わり、人間で言えば首を絞めるようなもの。ジュゴンは救えず海ガメなど、地域の生態系への影響は大きい」と指摘した。

 また、平和市民連絡会の平良夏芽共同代表は「基地建設のためのアセスで到底容認できない。白紙撤回まで反対の声を大きな渦にしていきたい」と批判した。


県、政府の「暴走」懸念


 「米軍統治下みたいに県民意思を無視して(基地建設を)強行するのか」「基地と向き合うことになる地元に対する政府の姿勢に疑問を持たざるを得ない」。七日午後、県庁で開かれた県側の記者会見。政府が不意打ちに近い形で方法書を提出したことに仲里全輝副知事は終始、ぶぜんとした表情で厳しい言葉を続けた。

 会見の冒頭、知事コメントを淡々と読み上げながら、仲里副知事は率直な思いも語った。「沖縄の米軍基地は非民主的な形で、所有者の権利を無視して強権的に接収され出来上がった。この経緯を思い出す」。一呼吸置いて、「(今後は日本)政府がそういうことをまたやるのか、という思いもある」と、気抜けした口調で漏らした。強権的な対応への怒りより、膠着状態の打開に突っ走った政府の「暴走」への懸念を強くにじませた。

 施設局の幹部らは正午すぎ、県庁の返還問題対策課を訪れた。上與那原美和子課長は「受け取れないときちんと申し上げたが、向こうは置いていった」。その場で、互いに「理解してほしい」との応酬があったという。

 名護市役所には、午後二時すぎに姿を見せ、やはり拒否する市側を押し切って提出した。市幹部は「地元が納得していないのに、どうしてこのタイミングなのか理解できない」と首をひねった。


     ◇     ◇     ◇     

「アリバイづくりだ」/環境専門家、厳しく指摘


 防衛省が提出した方法書に対して、環境の専門家から批判が相次いだ。沖縄大学学長の桜井国俊教授は「事前調査で環境を破壊した上、方法書でも航空機の種類を明示しない。アセス法に違反しながら、環境配慮のアリバイをつくる犯罪的な行為だ」と厳しく指摘。

 建設場所をめぐる国と地元の対立に触れ、「両者の案と、環境影響が大き過ぎれば中止するという三つの選択肢を用意するのが本来のアセスだ」と、科学的に比較検討するよう求めた。

 方法書は、ジュゴンについて「海外で飛行場など人間活動との共存の有無について情報を入手する」と記述。ジュゴンに詳しい水生哺乳類の研究者、粕谷俊雄さんは「生息地を破壊する工事との共存例など聞いたことはないが、あっても沖縄に当てはめられるか疑問だ」とした。

 ジュゴンは環境省が絶滅危惧種に指定したばかり。「頭数が少な過ぎて、ここまでなら生息環境を破壊しても大丈夫だと許容する余地はない」と断言し、計画自体の見直しを求めた。

 事前調査では、すでにサンゴの着床具が設置されているが、方法書でもその場所は明らかにされなかった。沖縄リーフチェック研究会の安部真理子会長は「海流や砂が堆積しないことが場所選定の条件になるが、公開しなければ検証できない。学生の論文なら失格だ」と、手厳しい評価を下した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708081300_02.html

 

2007年8月8日(水) 朝刊 2面

射撃や爆破訓練予定/ハンセン共同使用で施設庁説明

 防衛施設庁の原田実施設調査官らが七日、県と金武町役場を訪ね、在日米軍再編で日米が合意した米軍キャンプ・ハンセンの共同使用で陸上自衛隊が射撃や爆破、車両を使った訓練を実施すると説明した。町役場で説明を受けた金武町、恩納村、宜野座村の三首長はいずれも共同使用について「地元の負担増になる」と反対の意思を伝えた。訓練の開始時期や具体的な訓練場所などについての言及はなかった。原田施設調査官は三町村が米軍再編交付金の支給対象になることを明らかにした。

 県への説明後、ハンセンの共同使用について原田施設調査官は「地元は負担増と懸念を抱いているので自衛隊、米側と詰めた内容についてよく説明し、理解を得られるようになればいい思っている」と述べた。

 県の上原昭知事公室長は「自衛隊が共同使用することによって地域の負担につながらないよう、地元に十分説明し理解を得るよう求めた」と強調。その上で、防衛施設庁が説明を重ねた後、共同使用を進めていくとの見通しを示した。ハンセンの共同使用に伴う再編交付金については「共同使用も米軍再編の一環なので自衛隊が使用することで負担が増えるのであれば当然(交付)対象になるということだった」と述べた。

 金武町役場では、ハンセンに関する三町村連絡協議会(三連協、会長・儀武剛金武町長)で、三町村の首長らがハンセンの共同使用などについて説明を受けた。儀武町長は「レンジ4の都市型戦闘訓練施設は使用しないと明言していた。地元としては共同使用は、現状では負担増になるので反対だと伝えた。共同使用に反対しているので、再編交付金については、具体的に聞かなかった」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708081300_04.html

 

2007年8月8日(水) 朝刊 27面 

米軍、侵入認め「遺憾」/うるま市

 【うるま】米軍トラックがうるま市の前原高校(大城順子校長)敷地内に侵入した問題で、在日米海兵隊基地司令部は七日午後、うるま市の照会に対して、米海兵隊員が運転中に道に迷って学校内で方向転換したことを認め「事件によって生じた不安について遺憾に思う」と回答した。那覇防衛施設局を通して文書で答えた。

 トラックが所属する部隊や行き先、訓練の内容は明らかにしていない。トラックは海軍の所有だという。文書によると、トラックは(学校の)駐車場内で安全に方向転換後、訓練のための運送業務を続けたという。

 また、うるま市では同日夜、前原高校、沖縄高等養護学校を含む市内の七つの県立学校の校長やPTA会長が参加した連絡協議会が開かれ、今後の対応策などを話し合った。

 前原高校の有銘清教頭は「沖縄高等養護学校内に装甲車が侵入して、ひと月もたたないうちに事件が発生したことは大きな問題だ」と指摘。沖縄高等養護学校の塩浜康男校長は「米軍側はいったいどういう感覚をしているのか。危機回避の方法として、正門を閉めることも検討している」と怒りを隠せなかった。

 前原高校PTAの具志川光彦会長は「市内のどの学校でも事件が起こる可能性がある。不審者対策と同様に、危機意識を持って対策を立てていきたい」と呼び掛けた。


仲村県教育長 施設局に抗議


 うるま市の前原高校の敷地内に米海軍所有のトラックが侵入した問題で、仲村守和県教育長、県の保坂好泰基地防災統括監らは七日午後、那覇防衛施設局、外務省沖縄事務所を訪れ抗議した。

 仲村教育長らは七月二十三日に、同市の沖縄高等養護学校への米海兵隊装甲車侵入で抗議したばかり。「再び米軍の暴挙が発生し、学校の安全が脅かされたことは異常事態だ」と厳しく批判。米軍に再発防止の徹底を強く申し入れるよう要請した。保坂統括監も「全軍で隊員教育を徹底してほしい」と要望した。

 同局の池部衛次長は無断侵入の経過を報告、「隊員の綱紀粛正を強く申し入れた」と述べた。外務省沖縄事務所では倉光秀彰副所長が対応した。

 また、高教組、沖教組、沖縄平和運動センターの三団体も同日、同局を訪れ、安全確保が徹底されるまでの間、米軍基地外での車両の運行中止を米軍当局に強く働き掛けるよう求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708081300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年8月8日朝刊)

[米軍車両再侵入]

舌の根も乾かぬうちに

 果たして日本国内で、市街地を迷彩色を施した軍隊の車両が、真昼から堂々と走り回る地域がどれほどあるのだろうか。

 七日午後、うるま市田場の県立前原高校の敷地内に米軍車両が侵入した。目撃した学校関係者によると、米軍車両は、中庭を一周して出て行ったという。時間にしてわずか一分前後。人身、施設への被害はないものの、実に由々しき問題だ。

 同市内にある県立沖縄高等養護学校に米軍装甲車が侵入したのは半月ほど前のことである。前回の問題で、米軍は再発防止を示していたのではなかったか。それが舌の根も乾かぬうちに二度目の侵入である。安保条約を盾にした米軍の「何でもあり」の行為は絶対許されるものではない。

 まず指摘したいのは米軍による沖縄県民の権利の侵害である。沖縄は先の戦争で、県民の意に反する形で米軍に土地を接収され、その後六十数年も基地として使用されている。だが、われわれは生命、財産の権利侵害まで認めてきたことはない。

 今回の問題で米軍は日米地位協定に基づく「施設間の移動」との立場をとっている。だが、現実的に県民の生活の場である公道が日常的に軍事利用されているのは明白だ。

 数年前、沖縄自動車道が米兵の大型トラックの運転訓練に使用されていることが明らかになった。朝夕の出勤、帰宅時間に遭遇する米軍の大型車にヒヤっとしたドライバーも多いだろう。

 確かに一連の軍車両侵入という出来事は、目に見える被害はなかった。しかし、平和に暮らす権利を侵害され、事故に結び付く危険性という日常の中での精神的苦痛は政府が考える以上に大きなものがある。

 政府は基地面積の縮小によって負担を軽減していると主張する。しかし、駐留自体が負担だということになぜ目を向けようとしないのか。基地の整理・縮小と、海兵隊などの撤退を求める理由はそこにこそあり、政府はそのことを真摯に受け止めるべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070808.html#no_2

 

沖縄タイムス 社説(2007年8月8日朝刊)

[アセス方法書送付]

県民の怒り無視するか

 防衛省はなぜ地元を無視して強引に事を運ぼうとするのだろうか。普天間飛行場の代替地となる名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部で実施する環境影響評価(アセスメント)のことだ。

 防衛省は政府案に基づくアセス方法書を県に送付したが、名護市と県、国の協議が三者の溝を埋めるほどきちんと進められた形成は全くない。

 「沖合移動」を求める名護市に対し、「変更せず現計画通り」とする政府の間で意見は隔たったままだ。

 仲井真弘多知事も現行案の沖合移動と、三年をめどに「普天間」を閉鎖状態にすることを政府に求めている。つまり、これが県の基本姿勢なのに何一つクリアされていない。

 さらに忘れてならないのは、多くの県民がシュワブ沿岸部への「新基地」建設だけでなく県内移設に反対しているということだ。その声を一切無視した那覇防衛施設局の手法には、どうしても異を唱えたくなる。

 これでは見切り発車であり、「県民、地元の意見はもう聞かない。国の方法で移設を推し進める」というようなものだろう。

 強権を発動して事をなそうとするのは、県民を愚弄する行為と言っていい。強行すれば地元住民との衝突は必至であり、このような手法を認めるわけにはいかない。

 仲里全輝副知事は「前提条件が整っておらず、方法書を受理できるわけがない。仮に強行したとしても、文書で受理しない旨を防衛省に通告するつもりだ」と述べている。

 当然であり、地元の意向を無視した動きには毅然とした態度で反対の意思を示してもらいたい。

 ただ、県が反対しても方法書は法律上、受け取りを拒否できない。今回の場合、一カ月間公告縦覧に付され、県は住民らの意見をまとめた意見概要を受理し、六十日以内に「知事意見」を国に提出しなければならないという。

 県が方法書を受け取らず知事意見も出さなければ、国から不作為を理由に行政訴訟を起こされる可能性もある。

 とはいえ、海域現況調査や海上自衛隊の大浦湾派遣、今回のアセス方法書送付など防衛省の強引さは目に余る。国への不信感は高まっているのであり、県の対応を注視していきたい。

 方法書送付は確かに行政手続きの一つである。だが、防衛省がなし崩し的に新基地建設を進めていけば、地元だけでなく県民の反発を買うのは間違いない。県民の胸中には憤怒のマグマが渦巻いているのであり、政府は怒りの大きさを認識する必要がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070808.html#no_1

 

琉球新報 社説

米軍車両侵入 本当に兵士を教育したのか

 またしても米軍車両が県立高校に無断で侵入するという由々しき事態が6日に発生した。米海兵隊の装甲車が7月18日に県立沖縄高等養護学校に侵入してから1カ月もたっていない。

 今度は米海軍のトラックだったが、運転していたのは、やはり海兵隊員である。

 高等養護学校侵入後、在沖海兵隊は「良き隣人として再発防止のため、文化の違いについて(兵士の)教育に努めたい」と、抗議に訪れた仲村守和県教育長に謝罪した。

 それにもかかわらず学校への侵入が再発したのは一体どういうことか。兵士に対し、具体的にどのような指導がなされたのだろうか。

 「教育に努める」という言葉は口先だけで、実際は何の対策も講じていなかったのではないか。疑念と不信感は強まるばかりだ。

 学校関係者などによると、6日午後2時44分ごろ「NAVY」(海軍)と記されたナンバープレートを付けたクリーム色のトラック1台が、うるま市の県立前原高校に、正門から無断で乗り入れ、敷地内のロータリーを時計回りに一周して走り去った。

 車両は2トントラックで、運転席と助手席に軍服を着た外国人が乗っていた。ロータリーを回る際にタイヤを内側の縁石に接触させたという。

 米軍は、無断で学校敷地内に乗り入れた経緯と理由を明らかにしてもらいたい。その上で、兵士に対する教育を徹底し綱紀粛正を図り、二度と同様の事態を引き起こすことがないように厳しく対処すべきだ。

 安心して学習に専念できる環境であるべき学校施設内に、米軍車両を許可なく乗り入れる兵士の行為は、生徒の安全を脅かすものであり、非常識極まりない。

 学校を米軍の提供施設とでも勘違いしているのではないか。占領意識が丸出しだ。

 こうした暴挙が沖縄で繰り返されるのは、米軍に対し毅然(きぜん)とした態度で対処してこなかった日本政府の責任であると言わざるを得ない。

 政府は、米国側に強く抗議し、具体的な再発防止策を示すよう要求すべきだ。

 日米地位協定は、第5条で米軍車両が日本国内で施設・区域間を自由に移動する権利を保障しているが、学校施設に断りなく侵入してもいいとは、どこにも書いていない。

 政府は、高等養護学校を含め一連の学校施設への侵入が地位協定上も問題があることをきちんと示し、猛省を促してもらいたい。

 米軍は本当に「良き隣人」を自任するのなら、県民の安全を脅かすような行為をしないように、細心の注意を払うべきだ。

(8/8 9:56)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26130-storytopic-11.html

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