沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(8月9日)

2007年8月9日(木) 朝刊 1・27面

県民大会 超党派で/「集団自決」修正

県議会各派、全会一致

 高校歴史教科書で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与の記述を修正・削除した文部科学省の検定意見撤回を求める県民大会について、県議会(仲里利信議長)は八日午後、各派代表者会議を開き、超党派での参加を全会一致で決めた。大会実行委員会には仲里議長が出席する方針だ。仲井真弘多知事も「超党派で、要請があれば参加を検討する」(仲里全輝副知事)との姿勢で、県議会の参加決定によって、県民大会の開催が事実上決定した。時期などは実行委員会で協議される。

 代表者会議では、県議会が検定意見撤回を求める意見書を二度可決したことを踏まえ、「沖縄戦の実相を後世に正しく伝えるために超党派で参加すべきだ」との意見で一致した。

 文科省に対して、「撤回を求める沖縄側の要請にまったく配慮がない」との批判も出た。

 最大会派の自民は、六日の議員総会で意見がまとまっていなかったが、八日の代表者会議の休憩中、議員総会を開いて対応を協議。「軍命の有無を争う裁判の係争中で、司法や検定制度の政治介入になる」との反対意見もあったが、「意見書を二度可決した。軍関与は明らか。検定意見撤回のために大同団結し、文科省に要請すべきだ」という意見が大勢を占め、参加を決めた。

 代表者会議後、仲里議長は「全会一致で参加を決めたことは感慨深く、全県的な運動に広がることを期待したい。米兵暴行事件に抗議した一九九五年十月二十一日の県民大会並みの規模にしたい」と述べた。

 大会の在り方などは今後、実行委で協議するとしている。

 県民大会準備実行委員会メンバーで、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「県民の代表である県議会が参加することで、大会の実現に向けて大きく前進した。これをきっかけに多くの団体が参加してくれるだろう」と歓迎。

 県や市長会、経済団体などに参加を呼び掛けるため、十日にも準備実行委員会を開き、今後の運営方法などを協議する考えを示した。

 教科書検定では、県議会が二度にわたり抗議の意見書を可決したが、文部科学省は「検定調査審議会の専門家が決めたもので撤回できない」との立場を崩していない。


     ◇     ◇     ◇     

知事も参加検討へ


 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる日本軍関与の記述を修正・削除した高校歴史教科書の検定意見撤回を求める県民大会について仲里全輝副知事は八日、自民党県連の新垣哲司幹事長らと県庁で意見交換し、県の対応について「超党派であれば、要請があれば(仲井真弘多知事の)参加を検討する」との考えを示した。

 仲里副知事は意見交換後、沖縄タイムスの取材に対し「知事が出席するかどうかは日程の都合にもよるが、超党派であれば、出席と(大会での)発言を検討する」と説明。仲井真知事も同様の見解だとした。

 これまで仲井真知事が態度を保留していたことについては、「偏った政治的な集会であれば、参加できない。教科書検定問題というのは事実検証の問題であり、感情的、政治的問題ではない。集会そのものを知事が主催することはない」との認識を示した。また、同問題への別の対応として「専門家や学者などによる組織を立ち上げ、事実を検証することも方法の一つではないか」と提案した。


民の声 議会動かす/関係者、安堵と喜び


 「全会一致とはすごい」、「沖縄の底力を見せよう」。高校歴史教科書の沖縄戦に関する記述から「集団自決(強制集団死)」への軍関与が文部科学省の検定で削除された問題で、県議会が八日、全会一致で県民大会への参加を決めたことに、開催準備を進めてきた関係者は安堵し、喜んだ。検定撤回と記述の復活などを求める超党派の県民大会の動きが始まってから一カ月。粘り強い呼び掛けと、県民の怒りが再度、議会を動かした。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長はこの日、県議会各派代表者会議の直後、仲里利信議長、具志孝助副議長から、県民大会への参加決定を知らされた。

 「県議会がまとまるか不安もあった。県民の怒りを受け止めて参加を決めたことは非常に影響が大きい。ほかの団体も積極的に参加を表明するきっかけになる」。仲里議長の手を握り、喜びで声を弾ませた。

 県PTA連合会の諸見里宏美会長は「超党派での参加はうれしい限り。沖縄戦を伝える『教育』として、さらに多くの人に参加を呼び掛ける」と意気込んだ。

 県が「超党派の要請があれば仲井真弘多知事の参加を検討する」としていることに、県婦人連合会の小渡ハル子会長は「大会では県民の代表として、ぜひ知事にあいさつしてもらいたい。県民が超党派で心を一つにして、歴史の改ざんをさせないよう安倍首相に訴えなければ」と強調した。

 「今度は、県民が県議会の決定に応える番だ」と力を込める青春を語る会の中山きく代表。「抗議と要請では終わらせず、教科書への記述復活を勝ち取るため、幅広く団結して県民の底力を見せつけなくては」と大会の成功を訴えた。

 県遺族連合会の仲宗根義尚会長は、近く「歴史的事実を後世に残したい」との思いを盛り込んだ独自メッセージを発表し、県民大会と連動して世論に訴えていく意向を示した。

 六月に教職員を中心に県民大会を開いた高嶋伸欣・琉球大教授。「中央政府と地方という力関係にひるまない、沖縄県民のゆるがない確信を感じる。主権在民のお手本で、『集団自決』への日本軍関与の記述復活とともに、記述復活のための県民の運動も教科書に掲載させたい」と、県民大会開催に向けた動きを評価した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708091300_01.html

2007年8月9日(木) 朝刊 2面

国次第で受け入れも/アセス方法書

 米軍普天間飛行場代替施設の建設に向け、那覇防衛施設局が県に送付した環境影響評価(アセスメント)方法書の取り扱いについて、県の上原昭知事公室長は八日、県が求めている「滑走路の沖合移動」「普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態」に関し、政府から前向きな回答が得られれば受け入れる可能性があることを明らかにした。共産党県委員会の申し入れに答えた。

 上原公室長は、滑走路の沖合移動と普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態の二点を挙げ、「政府が何らかの形で回答し、(政府と地元の)協議会などの場で明確に示すことがない限り、方法書は受け入れられない」と表明した。

 一方で、二点について「政府から何らかの歩み寄りが認められた時点で、協議会の開催などをにらみながら、(方法書を)受け入れることはあり得る」とも指摘、政府の今後の対応に期待感を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708091300_03.html

沖縄タイムス 社説(2007年8月9日朝刊)

[ハンセン共同使用]

これは明らかな負担増だ

 在日米軍再編で日米合意した米軍キャンプ・ハンセンの共同使用で、防衛施設庁の担当者は県と金武、恩納、宜野座の三町村長に、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)が実施する射撃や爆破などの訓練内容を説明した。

 施設庁は年内にも開始したい意向だが、あえて時期や使用レンジなどを明らかにしなかった。報道が先行し、地元が「反対を表明せざるを得ない」状況であると判断したようだ。

 その代わり、三町村が米軍再編交付金の支給対象になると伝えた。同交付金は米軍再編の進ちょく度に応じて交付金を支給する。アメとムチを露骨に使い分け、受け入れを迫るものだ。

 再編交付金には言及したということはそれを使って受諾させるつもりであろうが、姑息な手法というしかない。

 訓練は当面、自衛隊のみで行われるだろうが、ゆくゆくは陸自に対応する在沖米海兵隊との共同訓練になるのは間違いない。米軍再編の狙いである「米軍と自衛隊の一体化」が具体化され、指揮系統や相互運用など「融合化」を強めるものになっていくはずだ。

 第一混成団はこれまで実弾射撃訓練場が確保されていないため、主に九州の自衛隊演習場を移動して訓練してきた。共同使用で訓練効率が飛躍的に高まる。二〇〇八年度以降は、整備中の沖縄市の東恩納覆道射場で小火器射撃が可能となり、米軍とともに「戦う自衛隊」の環境が整えられていく。

 共同使用は日米地位協定二条四項(a)の「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる」とする条文に基づく。

 だが、一時的にせよ、使用していないのならば、日米両政府は返還の方策こそ考えるべきではないのか。

 施設庁の説明に対し、儀武剛金武町長ら三首長はそろって「負担増になる」と明確に反対した。米軍に自衛隊が加われば地元負担の増加は明らかであり、共同使用は絶対に認められない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070809.html#no_2

琉球新報 社説

アセス手続き 普天間の危険性除去どこへ

 防衛省は7日、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古沿岸域での環境影響評価(アセスメント)の方法書を県と名護市、宜野座村に提出した。

 県は2006年5月に政府と交わした基本確認書に基づいた協議が整わない段階での提出は「遺憾」(仲井真弘多知事)とし、受け取りを拒否した。

 名護市の島袋吉和市長も同様な考えで受け取りを拒んだ。

 防衛省はアセス方法書提出で、アセス手続きの効力が発生したとの認識を示したが、容認できない。

 移設問題の原点は「普天間飛行場の危険性の除去」である。それを防衛省はないがしろにしてはいないか。

 防衛省がアセス方法書を強行提出したのは、普天間の危険性除去ではなく、日米合意を最優先した結果にほかならない。

 県や名護市の要望事項が防衛省内でこの間、真剣に検討された節はない。仲井真知事が求める普天間飛行場の3年をめどとした閉鎖状態も、無視され続けている。

 防衛省が14年の移設に向けたスケジュールに重きを置き、作業を進めていることは許し難い。

 アセス方法書自体にも疑問がある。「米軍回転翼機および短距離で離発着できる航空機」とし、機種を明記していない。桜井国俊沖縄大学学長(環境学)は「どんなヘリを使うかについて国は明記しなければならない」とし「法的に欠陥のある方法書と言っていい」と指摘している。

 必要な形式を備えていない方法書は当然、無効である。

 基本確認書は「在日米軍の抑止力の維持と沖縄の負担軽減が両立する方向で対応」と明記している。政府案に反対しながら、同案を基本とした基本確認書に同意した県の対応を、政府は「事実上の受け入れ表明」と受け止めた。

 だからといって地元を無視して強権的に事を推し進めようとする姿勢は乱暴にすぎる。県が態度を硬化させるのも無理はない。

 国は行政手続きを強行する前に、県や地元の要求にどう応えるのか。納得させられない限り、混迷を深めるだけだ。

(8/9 9:52)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26161-storytopic-11.html

琉球新報 社説

超党派県民大会 検定意見撤回実現の弾みに

 県議会は各派代表者会議を開き、県子ども会育成連絡協議会など6団体の要請を受けて、文部科学省の高校歴史教科書検定意見の撤回を求める県民大会に、県議会として参加することで一致した。

 仲里利信議長を県民大会実行委員会のメンバーにすることを自民党が提案し、各派とも了承。超党派が参加する形での大会開催が決まった。

 仲里全輝副知事は「超党派の大会であれば知事が出席して見解を述べることもできる」との考えを示している。超党派の条件が整ったことで、県をはじめ、県議会、各種団体がそろった文字通りの県民大会が実現することになった。

 来年から使用される高校教科書で、沖縄戦の「集団自決」から日本軍の強制があったとする記述が文科省の検定意見で修正・削除された。歴史の歪曲(わいきょく)に対して沖縄全体で抗議し、検定意見の撤回を求めることは大きな意義がある。

 9月9日に予定されている県民大会を成功させ、検定意見の撤回を実現する出発点にしたい。

 3月末に文科省の検定意見が明らかになって以降、県内各団体が抗議の意思を表明。県内全41市町村議会が撤回を求める意見書を可決した。県議会は同一定例会中で、初めて2度も撤回を求める意見書を可決した。

 このことからしても検定意見撤回は県民の総意である。にもかかわらず文科省は県、県議会、県市長会、県市議会議長会、県町村会、県町村議長会の各代表の検定意見撤回要請を拒否した。

 教科用図書検定調査審議会が決めることというのが理由だが、検定意見の内容をまとめたのは文科省の教科書調査官である。

 しかも、調査官は調査意見書で日本軍の関与に関する記述の削除を求め、審議会はそれをそのまま受け入れ、検定意見として教科書各社に通知していたのである。

 文科省に、事実をねじ曲げた検定意見をまとめた責任があるのは明らかである。

 文科省の壁は厚いものの、1982年に「住民虐殺」の記述が削除された際には、県民の声で検定意見を撤回させた前例もある。

 今回の検定意見は、研究者らがこれまで積み重ねてきた沖縄戦の事実を踏みにじるものであり、断じて容認できるものではない。

 県民の声に応じない文科省のかたくなな姿勢を転換させることができなければ、後世に大きな禍根を残すことになる。多くの県民が大会に参加し、撤回要求の意思を示すことが重要である。

 沖縄戦の事実を子どもたち、そして後世に伝え続けることは県民、そして国の責務である。

 県民大会を弾みに、強力な県民運動を展開したい。

(8/9 9:53)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26162-storytopic-11.html

2007年8月9日(木) 夕刊 1面

うるま議会が抗議決議/米軍車両侵入

 【うるま】うるま市田場の前原高校敷地内に、海兵隊員が運転する米軍のトラックが侵入した問題で、うるま市議会(島袋俊夫議長)は九日午前、臨時会を開き、同校への米軍車両無断侵入に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決した。

 同議会では、先月二十六日、同市田場の県立沖縄高等養護学校敷地内に米海兵隊の装甲車両が侵入したことに対する抗議決議と意見書を全会一致で可決したばかり。

 抗議決議では「安全であるべき学校敷地内に装甲車や軍用車両が無断で侵入するという米軍の相次ぐ暴挙は、常識では到底考えられない」と厳しく批判。

 また、事件再発に「県民に対する人命軽視の表れであり、県民感情を無視した行動は断じて容認できない」として抗議するとともに、原因究明や再発防止を求めている。

 抗議決議は駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米国総領事、在沖米海兵隊基地司令官あて。意見書は衆参両院議長や首相などのほか、県知事や県議会議長にも提出し、事件の原因究明について協力を求める。市議団や知念恒男市長らは同日午後、外務省沖縄事務所や那覇防衛施設局、在沖米国総領事館を訪ね、米軍車両の無断進入に抗議し、再発防止を求める。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708091700_01.html

2007年8月9日(木) 夕刊 5面

北部訓練場近くに弾200発/東村高江県道そば

 【東】東村高江の米軍北部訓練場のメーンゲート付近で九日午前八時二十分ごろ、米軍のものとみられる弾が入ったプラスチック製のケース一個が見つかった。ケースには長さ五センチ、直径九ミリの弾が二百発入っているとみられる。

 同訓練場内で進められている米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対して座り込みをしている市民団体メンバーの男性が、県道70号から約三メートル入った草むらで発見した。通報を受けた名護署員が基地内の米兵に確認したところ、音だけ鳴る訓練用の弾、と説明したという。

 機械で草刈り作業中に見つけた男性は「ゴツンとの音で気付いた。発射された形跡はなく、爆発の危険性もあったかもしれない。こんな危険なものが県道の近くにあることが信じられない」と表情をこわばらせた。

 仲嶺武夫高江区長は「またかという感じ。地元住民は米軍の弾薬類の管理のずさんさは以前から思い知らされている。米軍側に強く抗議し再発防止の徹底を求めたい」と話した。

 同訓練場内にある福地ダムや新川ダムでは、今年一月以降、ペイント弾一万五千発以上、ライフル用空砲、信号弾、手りゅう弾など計一万六千発以上の弾薬類が相次いで見つかっていて、県議会や東村議会が米軍に再発防止などを求める抗議決議案を可決している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708091700_02.html

2007年8月9日(木) 夕刊 5面

「核廃絶、世界に要望」/県内13首長アピール

 【北谷】日本非核宣言自治体協議会(非核協)に加盟する県内十三市町村の首長らが九日午前、北谷町役場で記者会見し、「日本と世界各国に対し、核兵器廃絶に向けた真摯な取り組みを強く要望する」とのアピール文を読み上げ、核兵器廃絶を訴えた。会見に参加した首長らは、長崎市に原爆が投下された時間の午前十一時二分に合わせ、犠牲者に黙とうをささげた。

 久間章生前防衛相の「(原爆投下は)しょうがない」発言や非核協会長だった伊藤一長前長崎市長が凶弾に命を奪われたことなどを踏まえ、核兵器廃絶運動を盛り上げる狙い。会見には首長ら十一人が出席した。

 アピール文では、高校歴史教科書で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与の記述を修正・削除する文部科学省の検定意見を挙げ、「原爆体験の風化が懸念される長崎・広島と同様に、沖縄でも戦争体験の風化が問われている」と指摘。「非核三原則の崇高な理念を実現し、核兵器廃絶と恒久平和を実現するため平和活動をさらに推進しよう」と宣言した。

 県内の非核協加盟自治体は那覇、宜野湾、石垣、名護、沖縄、豊見城、北谷、南風原、東、読谷、北中城、中城、西原の13市町村。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708091700_03.html

2007年8月9日(木) 夕刊 5面

あすにも不起訴処分/米軍ヘリ墜落

 二〇〇四年八月に起こった沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落事故で、航空危険行為処罰法違反(過失犯)の疑いで書類送検されていた米軍の整備士四人について、那覇地検は十日にも処分を出す。日本側に裁判権がなく、不起訴になる見通し。

 日米地位協定によると、米軍の構成員や軍属による公務執行中の罪は、米軍当局に第一次裁判権がある。

 米側が裁判権を放棄しない限り、日本側は裁判権を行使できないが、米軍は四人を軍法会議で降格などの処分にしており、裁判権は米側が行使したとみられる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708091700_05.html

2007年8月10日(金) 朝刊 1面

メア米総領事「なぜ名前知りたがる」/沖国大ヘリ墜落

県警の姿勢疑問視

 ケビン・メア在沖米国総領事は九日、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、米側が容疑者の氏名公表や事情聴取など県警の捜査協力要請に応じなかったことについて「日本側が(二次)裁判権を行使できないのに、なぜ県警は名前を知りたいのか逆に疑問を感じる」との認識を示した。沖縄タイムス社のインタビューに答えた。

 メア総領事は、「米側が捜査に協力していなかったとは思わない」と否定した上で、事故後の米側の対応について「米側が原因を調査し、整備ミスと判明したので関係者の処分も行い、日本側に報告した。安全向上のために整備体制の見直しもした」と説明した。

 日米地位協定で、米軍の構成員や軍属による公務執行中の罪は米軍当局に第一次裁判権がある、と規定していることにも触れ、「私の理解では、公務中の場合、米側が裁判権を行使したら日本側は行使できない。今回、米側は整備士らを処分し、(一次)裁判権を行使しているから、日本側は行使できない」と指摘した。

 また、米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)方法書の受け取りを県などが保留していることについては「アセスに対する県の対応を見ていると、逆に移設が遅れる恐れがあると懸念している」と表明。「沖合に移動するには(辺野古沖の)長島や平島が障害になる。環境への影響も拡大する」と述べ、県などが求める滑走路の沖合移動はできないとの見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708101300_02.html

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