沖縄タイムス 関連記事・社説(8月23日、24日、25日)

2007年8月23日(木) 朝刊 1面

検定撤回要求 県民大会9月29日に

会場も変更 宜野湾で

 高校歴史教科書で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与の記述を削除した文部科学省の検定意見撤回を求める超党派の県民大会の開催予定が変更になり、九月二十九日午後三時から宜野湾市真志喜の宜野湾海浜公園で開かれることが二十二日、決まった。当初、糸満市摩文仁で九月二十三日に開く予定だったが、交通の便や会場の収容能力などから断念した。

 開催予定の変更は、二十二日、県議会で開かれた実行委員会準備会で決まった。沖縄戦最後の激戦地・糸満市摩文仁の平和祈念公園での開催を強く望む声があり、交通の便や会場の収容能力などの問題は解決できるとみられた。しかし、県警などから意見を聞いた結果、平和祈念公園内は狭隘で、目標の五万人の達成が困難なこと、駐車場やバス輸送で渋滞が生じることから会場の変更を決定。さらに、九月二十三日は宜野湾海浜公園で別の団体のイベントが開かれることから同月二十九日に変更になった。

 宜野湾海浜公園では一九九五年に米兵暴行事件に抗議する県民大会が開かれ、八万五千人が参加した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708231300_05.html

 

2007年8月23日(木) 朝刊 27面

対馬丸63年目の夏 1500人を鎮魂

 六十三年前の八月、米軍潜水艦に撃沈された学童疎開船「対馬丸」犠牲者の慰霊祭が、沈没した日と同じ二十二日、那覇市若狭の「小桜の塔」で行われた。会場には、生存者や遺族、関係者約二百五十人が参列。犠牲者約千五百人の冥福を祈り平和を誓った。流れる汗とともに涙をぬぐう参列者の姿もあり、今でも消えない悲しみに包まれた。

 対馬丸記念会の〓良政勝会長は「今、日本は歴史の重大な時期にきている。事実を事実として正しく次の世代に伝える責務がある」と追悼の言葉を述べた。

 四つ下の弟を亡くした島袋浩さん(74)=豊見城市=は、慰霊祭には毎年参加。「弟の死は十月に知った。対馬丸の沈没は誰にも言うなと口止めされていた。あのころは全部秘密でしたからね」と当時の状況を話した。

 同記念館では、犠牲者十三人の写真が追加展示。田港朝明さん(80)は、十二歳で亡くなった弟の写真を提供した。「元気なら七十五歳、今でも弟のことは、年中頭から離れない」と写真を見つめながら話した。

 式典で若狭小学校六年の児童らが合唱を披露した。また、参加者が、一斉に青い大空へチョウを放った。

※(注=〓は「高」の旧字体)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708231300_06.html

 

2007年8月23日(木) 朝刊 2面

普天間飛行ルート合意「最大限努力の結果」/重家大使離任会見

 駐韓国大使に転出する外務省の重家俊範沖縄担当大使は二十二日、那覇市内の沖縄事務所で離任会見し、米軍普天間飛行場の危険性除去策について、今月十日に発表したヘリコプターの飛行ルートや場周経路に関する日米合意が「最大限努力した結果だ」と指摘。さらなる運用改善は現状では困難との見方を示した。

 また、航空機事故を想定した在沖米海兵隊との実働訓練を、十月にも実施する方向で調整していることも明らかにした。

 普天間飛行場の危険性除去について重家大使は「米軍が運用に当たって安全性の徹底を図ることが第一に重要。先日発表した場周経路等の新しい措置も一つの努力の現われ」と強調した。

 その上で「ぎりぎり努力してきた結果があれ(場周経路などに関する日米合意)。抜本的には普天間飛行場を一日も早く移設することが大事」との認識を示した。

 重家大使は「ロードマップで合意したことは沖縄の負担軽減にとって重要な意味がある。再編計画の早期かつ着実な実施を図り、目に見える形で負担軽減が進むことを期待している」と在日米軍再編最終報告の進展に期待を寄せた。

 後任は駐マレーシア大使の今井正氏が九月以降に着任する見込み。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708231300_08.html

 

2007年8月23日(木) 夕刊 5面 

整地作業に住民反発/ヘリパッド移設

東村高江 現場 一時騒然

 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設で、那覇防衛施設局は二十三日午前、N1地区への工事用進入ゲートから砂利などの資材の搬入作業を始めたが、反対する住民ら約二十人の阻止行動で、施設局職員と住民らがもみ合い、現場は一時騒然とした。施設局の職員らは同午前十一時五十分ごろ、作業を中断し引き揚げた。

 同午前九時四十分ごろ、施設局職員や警備員、業者ら約四十人がN1地区のゲート前に到着。住民らが阻止できないよう人垣をつくり、ゲート脇から砂利の入った袋を搬入し、道路の整地作業を始めた。同午前十一時二十分ごろ、砂袋を積んだトラックがゲート前に来ると、住民らが施設局の職員らを取り囲んで進路を防ぐなどした。施設局の職員と住民らが「邪魔するな」「作業をやめろ」と言い合い、緊迫した状況が続いた。

 二十二日夜から泊まり込みで警戒していた高江区の伊佐真次さんは「非暴力の阻止行動を展開している。(作業が進んでいるが)私たちにできることは座り込んで作業中止を訴えるしかない。高江の現状を多くの県民に知ってほしい」と話した。

砂を搬入しようとする施設局職員の進路を阻み、作業中止を訴える住民ら=23日午前10時すぎ、東村高江

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708231700_05.html

 

2007年8月24日(金) 朝刊 27面

砂辺で最悪121デシベル/06年度航空機騒音調査

 嘉手納飛行場周辺では砂辺の測定局を含む十五局すべてで、また普天間飛行場周辺では九測定局のうち六局で騒音レベルが「電車が通る時のガード下」とされる100デシベルを超過した。

 嘉手納飛行場周辺の騒音について県環境保全課は「最大値を測定したのは昨年十月だが、特別な訓練などの情報は無く理由は分からない」と説明。騒音が日常化している可能性を示唆した。

 〇六年度一日当たりの騒音発生回数が最も多かったのは、嘉手納飛行場周辺の嘉手納町屋良108・8回(前年度107回)。次いで北谷町上勢の89・5回(同80回)。両飛行場周辺の十二局で前年度を上回った。

 米軍飛行場の騒音をめぐっては一九九六年、日米間で午後十時―午前六時までの飛行制限などを盛り込んだ「騒音防止協定」が合意されている。

 しかし嘉手納飛行場周辺では屋良、嘉手納、美原の三局で、普天間飛行場では上大謝名と新城の二局で、夜間から早朝にかけての騒音回数が合意直後の数値を大幅に上回った。

 県は「騒音が周辺住民の生活に影響を与えている」として例年通り、米軍や那覇防衛施設局などに騒音軽減を申し入れる方針だ。


F22、他機種上回る113デシベル


 北谷町砂辺で二〇〇七年二月に離着陸した米軍最新鋭F22戦闘機の最大騒音値が113・1デシベルに達していたことが二十三日、分かった。県の航空機騒音測定の一部として公表された。戦闘機の機種別騒音値が判明したのは初めて。

 測定は〇七年二月二十日から四日間、嘉手納飛行場で離着陸した戦闘機について実施した。戦闘機はF22、F15、F18の三機種。目視で確認し、同飛行場周辺の騒音測定局五局で測定した。

 北谷町砂辺では、F18の騒音平均値が最も大きく104・7デシベル。F22が102・6デシベル、F15が90・1デシベルだった。一方、沖縄市知花ではF22が平均92・7デシベルで最大。F15で89・1デシベル、F18が88・1デシベル。

 戦闘機別騒音について県環境保全課は「離着陸の態勢で測定値にばらつきがあるものの、どの戦闘機も騒音が激しいことには変わりないようだ」と分析している。

 しかしF22の最大騒音値はほかの機種に比べて大きく、最新鋭機種の配備が騒音増大につながっている可能性もある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708241300_02.html

 

2007年8月24日(金) 朝刊 2面

県のアセス反発を批判/防衛次官

 【東京】防衛省の守屋武昌事務次官は二十三日の定例会見で、米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)方法書の送付に県が反発していることについて、「名護市と相談した結果、V字案で合意し、前知事も了承した。それを合意していないと言うのはいかがなものか」と批判した。

 一方、自身の後任人事が混乱したことについては、「私の人事は大臣の判断に従うが、後任については話をしていただきたかった」と述べ、自身に相談なく人事案を固めた小池百合子防衛相の対応に不快感を示した。

 官邸で安倍晋三首相に会い、巻き返しを図ったと報道されたことには「私が総理に陳情を申し上げたことは一度もない」と“直談判”を否定。

 「公務員生活の最後をこういう形で取りざたされ、世間をお騒がせした」と十一日間に及んだ混乱を振り返り、退官後について問われると「しばらくはゆっくり休みたい」と話した。

 今後の沖縄の基地政策については「沖縄の問題は長い経緯がある。日米両政府で取り組んできて、その間、沖縄県側とも協議を重ねてきた。そういう延長戦でこの問題に取り組んでいくことが重要だ」と述べ、防衛省の重要課題として引き続き取り組む必要性を強調。

 沖縄の基地政策に長くかかわった経験から「私の後輩が仕事に取り組むことになると思うが、私の知見が必要であればいつでも協力したい」とも語った。

 同省の事務次官人事をめぐっては、七日に報道で自身の退任方針を知らされた守屋氏が反発するなど混迷。小池防衛相が推した警察庁出身の西川徹矢官房長の起用は見送られ、十七日になって防衛省生え抜きの増田好平人事教育局長を充てる人事が内定し決着した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708241300_03.html

 

2007年8月24日(金) 朝刊 26面

報道19社「尋問公開を」/「集団自決」訴訟

 沖縄戦時に慶良間諸島で相次いだ住民の「集団自決(強制集団死)」をめぐり、旧日本軍の戦隊長らが岩波書店などに出版の差し止めなどを求めて大阪地裁で争われている訴訟で、九月十日に福岡高裁那覇支部の法廷で行われる所在尋問(出張法廷)が非公開とされることについて、司法記者会の加盟全十五社と那覇市に拠点を置く報道四社は二十三日、大阪地裁に法廷の公開を求める要請書を連名で送付した。

 大阪地裁広報課によると、裁判の公開を定めた憲法八二条は対審や判決を公開の法廷で行うと規定しているが、所在尋問は同条の「対審」(民事訴訟は口頭弁論)に当たらないという判例があり、必ずしも公開はしていないと説明している。

 一方で所在尋問を積極的に非公開とする法的な根拠はないという。

 渡嘉敷島の「集団自決」の体験者として当日証言する金城重明さん自身も、法廷の公開を求める上申書を大阪地裁に提出している。

 報道各社の要請では、「法廷の公開は裁判公開の原則を定めた憲法の趣旨に合致するとともに、県民と国民の知る権利にこたえ、開かれた司法への信頼を高めることになると確信する」としている。

 要請で(1)法廷の公開(2)記者席の設置(3)冒頭の法廷内撮影―を求めた。

 要請したのは、NHK沖縄放送局▽沖縄タイムス▽沖縄ケーブルネットワーク▽沖縄テレビ放送▽琉球朝日放送▽琉球新報▽琉球放送。那覇総局や支局は朝日新聞▽共同通信▽産経新聞▽時事通信▽西日本新聞▽日本経済新聞▽日本テレビ放送網▽毎日新聞▽宮古新報▽宮古毎日新聞▽八重山毎日新聞▽読売新聞。


「世論 委員に伝えた」/連合要請に文科省回答


 【東京】連合沖縄の仲村信正会長は二十三日、文部科学省に同省初等中等教育局教科書課の伯井美徳課長を訪ね、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の関与を削除した教科書検定の撤回を要請した。

 仲村会長によると伯井課長は、文科省職員の「教科書調査官」が日本軍の関与を示す記述の削除を求めた「調査意見書」を教科用図書検定調査審議会(審議会)に提出し、同意見書に沿って検定意見書が作成された経緯を連合側が指摘すると「その通りだ」と認めたという。

 一方で「審議会の委員は学術的、専門的に審議をしており、(文科省側が)意見を言うことはできない」との従来見解を繰り返したという。

 仲村会長が「委員は沖縄で調査をしたのか」と指摘すると「していない」と答えた。

 また、伯井課長は、県内の全四十一市町村議会と県議会が教科書検定の撤回を求める意見書を可決したことを念頭に「沖縄の世論の盛り上がりは審議会委員に伝えた」と述べた。

 仲村会長は要請後、「十月に開かれる連合の定期大会で教科書問題を連合沖縄から提起し、全国の理解を求めたい」と述べた。

 同行した沖教組の大浜敏夫委員長は「審議会は隠れみので、検定意見は調査官が作っていたことが明らかになった」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708241300_06.html

 

2007年8月24日(金) 夕刊 7面

ヘリパッド反対派が「住民の会」/東村高江

 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設に反対する住民が、二十四日午前「ヘリパッドいらない住民の会」(安次嶺現達、伊佐真次、宮城勝己共同代表)を結成し、現地で反対集会を開いた。会は東村住民で構成し、村外の賛同者にも支援を呼び掛ける。

 那覇防衛施設局が二十三日、N1地区への工事用進入ゲートから、砂利などを搬入、道路整地作業に着手したことから本格的工事を阻止するため結成された。

 安次嶺共同代表は「やんばるでも貴重な自然が残っているのは、ここだけだ。力を合わせて反対していこう」と呼び掛けた。集会では、水源地に近い貴重な自然環境と暮らしを守り、非暴力で行動することなどの活動方針を確認した。

 この日、現地では、施設局による作業を警戒して、村外からの支援者も含め五十人余りが集まった。沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「幅広い支援を呼び掛け、住民らを支えていきたい」と話した。午前十二時半、施設局による作業は行われていない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708241700_05.html

 

2007年8月25日(土) 朝刊 1・27面

沖縄関係3125億円/08年度内閣府概算要求

IT・観光を重視/アジア戦略鮮明

 【東京】内閣府沖縄担当部局は二十四日、二〇〇八年度の沖縄関係予算で総額三千百二十五億円の概算要求をまとめた。ソフトを柱とした事業は情報技術(IT)、観光の両分野を特に重視。高市早苗沖縄担当相が沖縄の自立に向けた最重要課題に挙げる人材育成は、四種類の新規事業を配置して力点を置いた。これらの分野に共通して、沖縄をアジアの拠点と位置付けて観光客や企業、高度な人材などを呼び込む「海外戦略」を幅広く盛り込んだのも特徴だ。

 公共事業中心のハード分野では、施設工事が本格化している沖縄科学技術大学院大学関連の要求額を大幅に増加させた。

 概算要求の総額は、〇七年度の当初予算額比で18・3%(四百八十二億円)増加した。概算要求基準(シーリング)で前年度予算額から3%を引き、それに20%分の上積み要求することが認められているためで、年末の予算編成では〇七年度の二千六百四十二億円を割り込む可能性が高い。

 沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業(島田懇談会事業)が、米軍ギンバル訓練場の跡地利用関連を除いて〇七年度で終了した影響で、ソフトを柱とした事業額は5・4%(十五億円)減少。ハード分野は21・2%(四百九十八億円)増加した。

 北部振興事業費は「普天間飛行場の移設に関する地元との協議が円滑に進む状況にあり得る」と判断。〇八年度も引き続き百億円(公共五十億円、非公共五十億円)を要求する。

 ソフト関連の新規では、沖縄に高度なIT関連産業を集積する「IT津梁パーク」整備事業で、十億円の大規模予算を要求。観光関連では、国際観光地としての受け皿づくりをするプロモーション事業などを創設した。青少年から経営者まで、多様な層の人材育成事業も網羅した。

 離島振興策では、本島との情報格差を防ぐため、宮古・八重山地域で地上デジタル放送への円滑な移行を推進する事業や、離島間で広域連携するモデル事業などを要求する。

 ハード分野では新規の大型公共事業はないが、〇八年度に研究棟、管理棟の工事が本格化する大学院大学関連は〇七年度予算比78・7%(六十八億七千百万円)増の百五十五億円を要求する。

 自民党の沖縄振興委員会・大学院大学小委員会合同会議は同日、内閣府の概算要求を了承した。


要求内容に謝意


 【東京】内閣府の二〇〇八年度概算要求がまとまったことを受け、仲井真弘多知事は二十四日午後、「かなりきめ細かい要求や、(自身の)公約によく沿ったものをくみ上げていただいた」と謝意を示した。自民党沖縄振興委員会・大学院大学小委員会合同会議に出席後、同党本部で記者団に答えた。

 仲井真知事は「高市早苗沖縄担当相が率先して沖縄の要求、ニーズに合うテーマを大小、いろいろ取り上げていただいた」と述べ、県側の要望に沿った要求内容になっているとの認識を強調。

 「少し大物(大規模事業)になると、那覇空港の第二滑走路も加速していこうではないかという感じも出ている」と評価した。


     ◇     ◇     ◇     

民放地デジ宮古へ/八重山拡大にも布石


 内閣府は二十四日、二〇〇八年度予算の概算要求で、宮古・八重山地区に地上デジタル放送を拡大するための海底光ケーブル改修を盛り込んだ。宮古島まで民放三局のデジタル波が届くことになり、八重山地域にとっても「足掛かり」となる。内閣府予算とは別に、総務省や県の支援を得ることで、宮古・八重山全域がカバーできる見通し。一一年のアナログ放送終了を前に、情報格差を懸念していた地元から期待の声が上がった。一方、ギンバル訓練場跡地に「がん免疫療法施設」などを整備する「ふるさと整備事業」が盛り込まれた金武町では、ヘリパッドの移設をめぐり、複雑な反応を示した。

 「先島地区地上デジタル放送推進事業」は県が事業主体となり、内閣府は八割の四億九千七百万円を補助する。沖縄本島と宮古島を結ぶ既設の海底光ケーブルや関連施設でデジタル波を流せるように機器類を改修する。

 琉球放送(RBC)と沖縄テレビ放送(OTV)、琉球朝日放送(QAB)の三局が利用できるようにする。宮古島以外の宮古・八重山地区へは、島伝いに置かれた送信機の改修が必要となるが、総務省や県の補助を得ることを想定。NHKは独自に計画を進めている。

 宮古・八重山五市町村の首長や議長会は一体となり、県や国に整備を要請。伊志嶺亮宮古島市長は「県と国に感謝したい。離島の情報格差を生じさせないことは、住民のために良かった」と語った。

 大盛武竹富町長は「第一段階をクリアしたという思い。国はしっかりと予算を認めてほしい」と期待を込めた。

 石垣ケーブルテレビ情報通信事業部の矢野修一課長は「地元のニュースや情報を自主制作しているが、民放に合わせてデジタル化するには高額な機材をそろえなければならない。アナログ放送終了までに間に合わせたい」と話した。

 一方、同様に整備の遅れが懸念されている南北大東両村について、内閣府は現段階では方向性を示していない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708251300_01.html

 

2007年8月25日(土) 朝刊 2面

伊吹文科相「軍関与なら問題ない」/「集団自決」修正

 【東京】高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の関与が削除された問題で、県選出、出身の自民党国会議員でつくる五ノ日の会(会長・仲村正治衆院議員)は二十四日、文部科学省に伊吹文明文科相を訪ね、検定の撤回を要請した。仲村会長らによると、伊吹文科相は、軍の関与を容認した上で「すべてで『軍命』があったわけではない。『軍の関与』という表現であれば、次回の検定で問題とならないだろう。出版会社にお願いしてはどうか」などと提案したという。

 伊吹文科相は今回問題となった検定意見の撤回については「大臣の立場としては言えない。大臣が一度検定に介入する例をつくってしまうと、別の検定にも影響が出てくる」などと困難視。

 しかしその一方で「私も近々大臣を辞めるのでどうこう言うわけにはいかないが、『軍の関与』という表現ならいいのではないか。教科書出版会社に『軍の関与』という表現を使用するようお願いしてはどうか」などと述べ、「軍の関与」という表記であれば次の教科書検定で合格できるとの見解を示したという。

 伊吹文科相は県議会が全会一致した「検定結果の撤回を求める意見書」の表記が「軍命」ではなく「軍の関与」となっていることに「知恵を出した表現だ。来年の教科書を書くならば、そういう形で書かせたほうがいいのではないか」と語ったという。

 仲村会長らはこの日、同省の布村幸彦審議官とも面談。今回の検定意見に「事実を明記すべきだ」と抗議し、教科書を審査する「教科用図書検定調査審議会」の会長との面会を強く求めたが、明確な回答はなかったという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708251300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年8月25日朝刊)

[アフガン・イラク]

関心が薄らいでないか

 二〇〇一年、アメリカで同時多発テロが起きたとき、私たちは翌日朝刊の社説で「憎悪の連鎖を憂慮する」との見出しを掲げ、次のように書いた。

 「今度の同時多発テロは、米国だけでなく世界の人々の戦争観や安全保障観を変える大きなきっかけになるような気がする」

 アフガニスタンのタリバン政権もイラクのフセイン政権も米軍の強大な軍事力の前になすすべもなく崩壊したが、それで戦争が終わったわけではない。

 むき出しの暴力が今なお、両国で頻発している。民間人の犠牲は増える一方だ。治安は回復せず街は戦闘で荒廃、国境周辺や隣国にはテロや殺りくを逃れた難民が殺到している。

 旧政権タリバンの活動が活発化しているアフガンでは、韓国人二十三人が拉致され、うち二人が殺害されるという事件が起きた。事件はまだ解決していない。

 内戦状態にあるイラクも深刻だ。駐留米軍は過去最大の十六万二千人に達しているが、大規模な爆弾テロや暗殺を封じ込めることができない。

 アフガンとイラクで泥沼の戦闘が続いているにもかかわらず、日本人の関心は急速に薄らいでいるのではないだろうか。

 「今更どうにもならない」という無力感や、戦争報道に対する感覚のまひが広がっているような気がする。

 「過激派拠点爆撃、二十人死亡」「米軍応戦で十六人死亡」「自爆テロ二百五十人死亡」。読者はこのような戦争報道に慣れてしまい、感情の動きが鈍くなったのかもしれない。

 新聞の見出しからは犠牲者のうめき声も死体の腐臭も伝わってこない。生身の人間が統計数字のように抽象化されている。

 映画「カンダハール」の監督として知られるイラン人のモフセン・マフマルバフ氏はかつて、バーミヤンの仏像破壊に触れて「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない。恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」と指摘した。

 「アフガニスタンの虐げられた人びとに対し、世界がここまで無関心であることを恥じ、自らの偉大さなど何の足しにもならないと知って砕けたのだ」

 韓国人拉致・殺害事件の被害者家族は、事態の長期化で内外の関心が薄れることに危機感を抱き、早期解決を求める家族の映像を動画サイト「ユーチューブ」に投稿したという。

 復興支援や後方支援の形でかかわっている日本はいわば戦争の「準当事国」である。それだけになおさら、関心の低下が気になる。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070825.html#no_1

 

2007年8月25日(土) 夕刊 4面

米公文書開示の取り組み説明/カーツ氏 講演

 講演会「米国における政府公文書へのアクセスの保証」(主催・在沖米国総領事館、県公文書館)が二十四日、南風原町の県公文書館で行われ、米国国立公文書館・記録管理庁記録サービス局長のマイケル・J・カーツ氏が米国の公文書の記録管理や情報開示の取り組みを説明した。約百三十人が訪れ、公文書の公開制度について理解を深めた。

 カーツ氏は、各省庁の行政文書などの記録を管理し保存公開する、米国国立公文書館(NARA)の役割について解説。「国の安全保障やプライバシーなどの理由から、アクセスに制限がかかっている公文書がある」ことを強調した。

 その上で、国家機密情報開示政策(NDI)の取り組みを説明。情報開示の優先順位を付けたり、各省庁からエキスパートを派遣し、スムーズな制限解除決定を行うよう務めていることなど、具体的活動を紹介した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708251700_04.html

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