沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(8月26日、27日、28日)

2007年8月26日(日) 朝刊 2面

九州議長会に提起へ/「集団自決」修正意見書

 高校歴史教科書で、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与の記述が削除された問題で、文部科学省の検定意見撤回を求める県民大会実行委員長の仲里利信県議会議長は、二十九日に長崎市で開かれる九州議長会に、検定意見撤回を求める意見書採択を提起する。

 すでに、各県議会議長に打診しており、議長会前の事前協議で取り扱いが話し合われる予定だ。

 仲里議長は「各県議会の反応はいまひとつで、議長会として可決できるか微妙だ」としながらも、「原爆投下に対する久間前防衛相の『しょうがない』発言などのように、第二次世界大戦の実相を歪曲する動きは沖縄だけの問題ではない。各県議会の賛同を得て、ぜひ可決したい」と述べた。

 県民大会の開催決定後、仲里議長に対しては、大会に反対する抗議の電話や文書が数件続いたというが「検定撤回は県民の総意だ。『集団自決(強制集団死)』の歴史を正しく伝えることがわれわれの役目。九州議長会や全国議長会などの協力を得て、検定を撤回させたい」と意欲を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708261300_05.html

 

2007年8月27日(月) 朝刊 21面

練馬区議会に陳情/「集団自決」修正

 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から、軍関与が削除された検定意見問題で、東京都練馬区議会の九月定例会で「日本軍関与の記述の回復を求める」意見書を可決し、文部科学省に提出するよう求める住民らの陳情書が二十七日、提出される。

 同区の会社経営・柏木美恵子さん(51)と友人たちや練馬区沖縄県人会長の志多伯泰雄さん(66)らが呼び掛け人となっている。陳情書は、沖縄県議会や全市町村議会が「検定撤回」を求める意見書を決議したことに触れ、次代を担う若者が「事実を事実として教育される機会を奪われることを憂慮する」としている。

 議会が決議するかどうかは不透明。

 九月十一日には、山口剛史琉球大准教授らを招き、同区内で検定問題を考える集会を開くことにしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708271300_07.html

 

2007年8月28日(火) 朝刊 27面

沖縄 見えぬ出口 改造内閣発足

 がけっぷちの安倍晋三首相は、独自色より挙党態勢を選んだ。二十七日発足した安倍改造内閣。要所へのベテラン配置や批判派取り込みで脱“お友達内閣”をアピールし「適材適所の布陣」を強調した。政治とカネの問題にも厳しい姿勢を見せたが「政策と人事がミスマッチ」「派閥人事だ」との声も出た。一方、県内では普天間飛行場の移設をめぐり、移設予定地の名護市では高村正彦防衛相の就任に期待と冷めた見方が交錯。伊吹文明文科相の留任には「(教科書検定の撤回を求める)県民の声が届くのか」と落胆が広がった。

 高村防衛相について、島袋吉和名護市長は「高村氏は外相も歴任し、沖縄問題も十分理解できると思っている。名護市は引き続き、できるだけ滑走路を沖合に出してほしいと要望していく。十分話し合いながら、沖縄振興、北部振興策についても頑張っていただきたい」と期待した。

 移設設先に近い辺野古区有志でつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「高村氏は日米問題にも詳しいし、元防衛庁長官の額賀福志郎氏が財務相というのは心強い。振興策など地元の意見を最大限に生かしながら、移設を粛々と進めてほしい」と話した。

 ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「辺野古の新基地建設がいい方向に向かうとは思えない。米国にノーと言える政府を求めるが、従来の政府と変わらないのでは。期待はしていない」と淡々と話した。

 伊波洋一宜野湾市長は「沖縄の諸課題、特に普天間飛行場問題に尽力してほしい。ヘリ部隊のグアム移転など、一日も早く市民の目に見える形で危険性を除去してもらいたい。跡地利用計画も進んでおり政府のバックアップを要望する」とした。

 一方、伊吹文科相の留任に、検定意見の撤回を求める県民大会副実行委員長の玉寄哲永さん(県子ども会育成連絡協議会会長)は「とてもがっかりした」と一言。「文科相が変われば、教科書改ざんの撤回を求める県民の声に耳を傾ける環境ができると思っていた。変わらないなら、県民大会を成功させ、県民の思いを直接ぶつけたい」と語った。

 「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」の事務局長で琉球大学の山口剛史准教授は「伊吹文科相は『審議会決定に口出しできない』と言っていたが検定は文科省主導で公正・中立性のないままに教科書が書き換えられていった。今後も文科相の監督責任を追及していきたい。国会でも議論し、追及してほしい」と県選出の議員らに要望した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281300_01.html

 

2007年8月28日(火) 朝刊 1面

「地元意向聞く」/「普天間」で岸田沖縄相

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十八日夜の就任会見で、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設への対応について「基本的には日米で合意した案で進めるべきだ」と述べ、在日米軍再編で合意されたV字形滑走路案を推進する政府方針を踏襲する考えを示した。一方で「その際には地元の理解、協力が欠かせない。地元の意向を丁寧に聞くのが基本だ」と述べ、仲井真弘多知事や島袋吉和名護市長が求める沖合移動の考え方に耳を傾ける姿勢を強調した。

 岸田氏は沖縄振興への取り組みで「沖縄政策は国政上、重要と認識している。一つの大きな柱として自立型経済の構築があり、もう一つ、県民は基地の負担に苦しんでいる。しっかりした政策、視点を念頭に努力したい」と抱負を述べた。

 重点的に取り組む分野では「沖縄の魅力を最大限に引き出すのが大事と思う。沖縄出身の方々は幅広い分野で活躍されている。(前任の)高市早苗沖縄担当相が取り組んだ人材育成に加え、環境、観光など沖縄の魅力は多岐にわたると思うので力を引き出していきたい」と述べ、環境や観光分野で振興に注力する考えを説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281300_02.html

 

2007年8月28日(火) 朝刊 9面

「自立経済へ支援を」/県経済界から要望

「岸田氏は沖縄勉強して」

 安倍改造内閣が27日発足したことを受け、県経済界のトップからは、沖縄の自立型経済の構築に向けた取り組み支援を求めるほか、那覇空港拡張やアジア・ゲートウエイ構想の一層の推進を期待する声が上がった。これまで沖縄との関連が薄いとされる岸田文雄沖縄担当相については「よく分からない」との声が多く、「沖縄について勉強してほしい」などの要望も出た。

 県商工会議所連合会の儀間紀善会長は「民間主導の自立型経済の構築に向け、産業振興はじめ、那覇空港の拡張整備、アジア・ゲートウエイ構想の推進、大学院大学の実現、米軍基地問題の早期解決などに協力してほしい」とコメントした。

 県経営者協会の知念榮治会長は岸田沖縄担当相について「接触もないし、よく分からないのでコメントし難い」としたものの、「官房長官や外務大臣にベテランを充てたことは、今の難局を打開する決意が見える」と全体的には評価した。

 県建設業協会の呉屋守将会長は、岸田沖縄担当相が広島県出身であることに触れ、「広島も第二次世界大戦で大きな苦しみを味わった県。沖縄の苦しみも分かるはず」と指摘。「沖縄にかかわりがあるなしに関係なく、原点に立ち返って勉強してほしい」と要望した。

 県内の観光関連業者27団体で構成する沖縄観光の未来を考える会の新垣安男会長は「内閣や担当が変わっても、沖縄側から主体的な意見や政策を提案する姿勢に変わりはない」と強調。「県経済の自立をテーマに観光業界ができることを議論し、担当大臣に理解を求めていきたい」と話した。

 一方、知念、呉屋の両氏とも、厚生労働相に舛添要一氏を充てたことを評価。「年金問題を解決しようとの意気込みを感じる」「しっかり安倍内閣の年金問題への方針を国民に知らせることができるはず」と期待した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281300_03.html

007年8月28日(火) 朝刊 1面

米軍機きょう未明離陸/機体を更新5機本国へ

 【中部】米軍嘉手納基地報道部は二十七日、F15戦闘機四機と空中給油機一機が米本国に向け、二十八日未明に同基地を離陸する、と発表した。「アイロン・フロー計画」と呼ばれる同基地のF15戦闘機を製造年の新しい機体に更新する措置に伴うもの。

 機体更新に伴うF15戦闘機の未明離陸は当初、今月七日に予定されていたが米軍は理由や今後のスケジュールを明らかにせず、延期していた。

 同基地周辺の三首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」の野国昌春会長(北谷町長)は、同基地に一時配備されていたF22戦闘機が米本国に帰還する際、日中に離陸したことを例に挙げ、「未明離陸は回避できるはず」と指摘。

 その上で、「七日に予定されていた際にも三連協で中止を要請した。二十八日は午前零時を過ぎても旧盆のウークイやエイサーなどが行われている。その日に未明離陸が強行されるのは遺憾だ」と反発した。

 三連協は二十七日午後、同基地第18航空団司令官あてに文書で中止を要請。那覇防衛施設局と外務省沖縄事務所にも同基地へ未明離陸の中止を働き掛けるよう文書で依頼した。


嘉手納議会 あす特別委/抗議へ意見集約


 嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は二十九日に基地対策特別委員会を開き、未明離陸に抗議する方向で意見をまとめる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年8月28日朝刊)

[安倍改造内閣]

政策転換があいまいだ


派閥会長そろって起用

 安倍改造内閣が発足した。論功行賞と側近重用が目立った第一次安倍内閣と比べると、派閥均衡・安定重視の印象が強い顔ぶれだ。

 キーワードは「お友達内閣からの脱皮」「挙党一致態勢」「地域格差是正」である。

 何よりも目を引くのは派閥の領袖や党内実力者を要所に配置したことだ。内閣の重厚さを演出する人事だが、見方を変えれば、実力者を閣内に取り込むことによって批判を封じ、一蓮托生の挙党態勢をつくりあげたということだろう。がけっぷち内閣を象徴するような布陣といえる。

 今回の組閣人事で注目されるのは、官房長官に政策通の与謝野馨氏を起用し、お友達内閣からの脱皮を印象付けたこと。選挙後、首相批判を繰り返してきた舛添要一氏を厚労相として処遇したこと。民間から前岩手県知事の増田寛也氏を総務相に起用し格差是正問題を担当させたことだ。

 三人とも政策に詳しく知名度も高い。年金問題や地域格差問題に本腰で取り組むというメッセージを込めた人事なのかもしれない。

 今度の組閣ではサプライズ(驚き)人事がなかった。強いて上げるとすれば実は、安倍首相の続投そのものが最大のサプライズであった。

 この内閣の不安要素は何かというと、残念ながら安倍首相その人である、というほかない。

 安倍晋三首相は選挙期間中、「私か小沢さん、どちらが首相にふさわしいか、国民に聞きたい」と大見得を切った。にもかかわらず、開票の真っ最中に早々と続投を宣言。歴史的惨敗の責任について党や国民に明確な説明をすることもなく、「改革の方向性が否定されたとは思えない」と強弁し続けたのである。

 自民党の参院選総括委員会は、安倍首相への批判を盛り込んだ異例の最終報告書をまとめた。

 多くの有権者が今、安倍首相の指導力に対して強い疑問を抱いている。それを解消して求心力を回復するのは容易なことではない。


ねじれ国会にどう対処


 安倍改造内閣は、衆院で与党、参院で野党が多数を占めるという「ねじれ国会」を抱えてスタートした。麻生太郎新幹事長がいみじくも語ったように、この事態は「二〇〇七年体制」ともいうべきかつてない出来事だ。九月からの臨時国会にどのように対応していくか。「安倍―麻生」盟友体制がまず試されることになるだろう。

 年金記録不備、政治とカネ、地域間格差、教育改革、公務員制度改革など待ったなしの課題が山積している。

 参院選前までは数の力を背景に国会で強行採決を繰り返してきたが、もうその手は使えない。民主党と法案をすり合わせたり、修正協議を重ねたりという機会が増えるはずだ。

 安倍首相はこれから先、ジレンマを抱え込む可能性がある。

 「安倍カラー・保守思想」を前面に打ち出すことを求める従来の支持層に顔を向けるのか、それとも選挙の反省を踏まえ政策の軌道修正を求める人たちの声を優先的に聞くのか。

 改革を継続していくのか、それとも改革の影の部分を取り上げ「地方の反乱」に答えていくのか。

 「戦後レジーム(体制)からの脱却」という方針は変えていない。

 改革を進めつつ地域格差是正も、というのが首相の基本姿勢だ。

 要するに改造内閣の重点課題は何なのか、反省を踏まえた政策転換の中身があいまいで分かりにくいのである。

 結果責任を取らずに続投することになった安倍首相の下で信頼を回復するのは並大抵でない。政権運営は思っている以上に厳しいと見るべきだ。


岸田氏の力量は未知数


 沖縄担当相には古賀派のプリンス的な存在と言われる岸田文雄氏が起用された。沖縄との縁はほとんどない。

 まずは沖縄各地を視察し、現場の人たちとひざを交えて話し合い、土地の歴史と風土、現在の課題を早くつかんでほしい。

 沖縄応援団が急減している永田町の中で、先頭に立って沖縄の立場を主張しなければならないのが沖縄担当相の役割である。

 普天間飛行場移設を含む米軍再編問題は、高村正彦大臣―増田好平事務次官の新体制に引き継がれた。辺野古移設をめぐっては防衛省の中で大臣と次官の間に微妙な温度差があっただけに新体制の今後の対応を注目したい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070828.html#no_1

 

琉球新報 社説

安倍改造内閣 今度こそ強い指導力を/「沖縄の課題」解決忘れずに

 安倍改造内閣が発足した。

 自民党が歴史的惨敗を喫した参院選から間もなく1カ月。内閣の支持率は、低迷のトンネルに入ったまま回復の兆しが見えない。加えて安倍晋三首相の党内での求心力は減速著しく、目を覆うばかりである。

 今回の改造はこうした中で断行された。安倍首相にとっては、足元が揺らいだ政権の立て直しに向け、政権の命運を懸けた人事の刷新である。

 年金問題や政治とカネの問題など山積する課題への対応を誤るようなことがあれば、今度こそ国民は間違いなく政権を見限る。首相にはもはや後がない。政権を支える新閣僚らも同様だ。

痛みへの目配り

 安倍政権はいま、正念場に立たされていることをしっかり肝に銘じてほしい。そして国民が求める要望、期待などへの目配りを忘れないでほしい。さらに痛みを訴える声などに対しても、配慮が十分に行き届いた政権運営を常に心掛けてもらいたい。

 内閣改造の前に行われた自民党三役人事では、選挙対策など党運営の要となる幹事長に麻生太郎前外相を起用したほか、政策立案を担う政調会長に石原伸晃氏、党内をまとめる総務会長には2階俊博氏を充てた。

 新閣僚の顔ぶれは、冬柴鉄三国土交通相ら5人が留任し、初入閣は民間から起用し総務相兼任で新設の地方・都市格差是正担当相に充てた増田寛也・前岩手県知事ら7人で、官房長官の与謝野馨前経済財政担当相ら5人は再入閣組だ。

 党内外から批判を浴びた側近重用による「お友達内閣」の色彩を一掃できるかが焦点だった。

 町村信孝外相、高村正彦防衛相、留任した伊吹文明文部科学相ら各派閥の領袖を重要閣僚に配置。経験豊富な実力者を並べ、重厚な布陣を敷いた形となった。

 首相は組閣に際し、前回に比べて相当に頭を悩ませたのかもしれない。閣僚の不祥事などへの対応を中心に危機管理能力を欠いたことが厳しく指摘され、挙党一致を求める党内の意見に配慮せざるを得なかったからだ。

 しかし、挙党態勢は国民の目には「派閥均衡」と紙一重だ。「先祖返り」したと批判されかねない。人心一新を強調した手前、清新さも必要だし、小泉純一郎前首相ばりの「サプライズ」とはいかないまでも、なんとか安倍カラーをにじませたい。あれやこれや腐心したのではないか。

 増田氏の起用や、年金問題を担当する厚生労働相に首相の対応を批判してきた舛添要一氏を抜てきしたことなどが、首相が国民に示した回答の一つと見ることができる。

 疲弊した地方の活性化、地域間格差への対応については、自民党の参院選総括委員会が敗因などを分析した報告書でも「構造改革の痛みの先にあるべき将来展望を示せず、地方の反乱が広がった」と指摘された。

隔たりを埋めよ

 沖縄担当相には岸田文雄氏が就いた。沖縄相は、米軍基地問題をはじめ、将来を見据えた振興開発の在り方、経済の自立的発展に向けた諸施策の展開など解決すべき課題は数多い。

 岸田氏は就任の記者会見で「自立型経済の構築に向けた取り組みを進めたい」と述べた。在沖米軍基地問題への対応では「沖縄県民の負担が少しでも軽減されるよう」全力を尽くす考えを明らかにした。

 県民の声に耳を傾け、沖縄が抱える諸問題の解決に真摯(しんし)な対応を求めたい。

 米軍再編問題の中核である普天間飛行場の返還・移設問題は、県民が望む形で道筋を付けたとは言い難い状況だ。仲井真弘多知事が公約した普天間飛行場の3年内の閉鎖状態にも程遠い。

 名護市辺野古海域の環境影響評価(アセスメント)をめぐっては、国はアセス方法書を一方的に送付した。政府の強硬な姿勢は、県や県民の意思とは隔たりがありすぎることに思いをいたすべきだ。

 岸田氏は、国が県や地元の頭越しに先走りをする場合などには、政府や防衛省をいさめるぐらいであってほしい。

 秋の臨時国会が来月中旬には始まる。政権交代へ民主党の攻勢が一段と強まるのは確実だ。

 新体制はどんな政策課題を示し、論戦を挑んでいくのか。多くの国民が注視している。

(8/28 9:47)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26656-storytopic-11.html

 

2007年8月28日(火) 夕刊 1面

F15未明離陸強行 4機すべて100デシベル超

 【中部】旧盆「ウークイ」翌日の二十八日未明、米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機四機が米本国へ向けて離陸した。嘉手納町屋良の通称「安保の見える丘」で騒音を測定した同町によると、同日午前四時三十九分に最高値の一〇四・三デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を記録。基地周辺自治体による反対を押し切っての強行に、首長らは「迷惑千万であり、抜本的な解決が必要だ」などと米軍に対する反発を強めている。

 F15戦闘機四機は午前四時三十九分から四十分にかけて、相次いで同基地南側滑走路から北谷町砂辺側へ飛び立った。同四十二分には、KC10空中給油機が南側滑走路から沖縄市知花側へ離陸した。

 F15戦闘機は、離陸順に、一〇一・五デシベル、一〇二デシベル、一〇四・三デシベル、一〇二・八デシベルと四機すべてが一〇〇デシベル以上の騒音を記録。KC10空中給油機は八三・九デシベル(地下鉄の車内に相当)だった。

 今回の未明離陸は前日の二十七日午前に周辺自治体に連絡があり、沖縄、嘉手納、北谷の地元自治体の三首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)が中止を要請していた。

 同協議会会長の野国昌春北谷町長は「旧盆の翌朝に強行したことは許し難い。米軍の配慮は形だけのものであり、今後、騒音の改善について同基地と強力な交渉をする」と批判した。同協議会は近日中に同基地に対する抗議行動を予定している。

 北谷町議会の基地対策特別委員会は二十九日、沖縄市議会の基地に関する調査特別委員会は三十日にそれぞれ未明離陸について対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281700_01.html

 

2007年8月28日(火) 夕刊 5面

轟く爆音 眠り奪う/F15未明離陸

旧盆 台無しと住民

 【中部】「爆音で眠れず、旧盆が台無しだ」。沖縄の伝統行事ウークイから数時間後の二十八日未明、米軍嘉手納基地からF15戦闘機など計五機が深夜の住宅街に爆音を轟かせた。周辺自治体首長らの強い中止要請にもかかわらず未明離陸を強行した米軍に、住民らは「とてつもない騒音で跳び起きた」など、眠りを奪われた爆音に怒りを募らせた。

 隣接する嘉手納町の宮城篤実町長は、旧盆明けの未明離陸に「計測した騒音の値と関係なく、地域住民にとっては迷惑千万な話。抜本的な解決が必要であり、国にも厳しい現状を訴えたい」とした。沖縄市の東門美津子市長は「周辺住民の健康を守る上でも未明離陸はしないでほしいと再三お願いしてきたが、また守られなかった。しかも今回はウークイ。本当に残念だ」と批判した。

 県の昨年度調査で、同基地周辺の騒音としては過去最悪の一二一・六デシベルを測定した北谷町砂辺区。松田静造さん(78)は「戸を閉めていても飛行機の離陸が分かった」とあきれた様子。

 「子ども六人はうるさいと言い砂辺を出て行った。早く静かな地域になってほしい」と静かな口調に怒りをにじませた。

 米軍機が自宅の周辺上空を通過したという渡慶次保さん(74)は「旧盆が終わり床に就いたのは午前二時ごろ。疲れていたのに、とてつもない爆音で跳び起きた。夜明けまで眠れず、楽しかった旧盆が台無しだ」と声を荒らげた。

 嘉手納町屋良の島袋敏雄東区自治会長は「静かな生活を求める住民の思いを、くみ取ってくれないのか」。同町屋良の元高校教師知念正直さん(72)は「地域住民の気持ちを逆なでするもので、軍事優先の姿勢が変わらないことを示している」と憤った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281700_02.html

 

2007年8月28日(火) 夕刊 5面

米射撃場 外務省に中止訴え/伊芸区長ら 負担増に反発

 米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に計画されている米陸軍特殊部隊の小銃用射撃場建設問題で、地元金武町伊芸区の池原政文区長ら行政委員会のメンバー約十人が二十八日午前、外務省沖縄事務所や県庁を訪ね、建設中止への申し入れや協力要請をした。池原区長らは同日、在沖米国総領事館も訪ねる。

 外務省沖縄事務所の田中賢治課長補佐は「レンジ3は、バラバラに行われていた射撃訓練を集約するもの。(射撃訓練場の)移動であり強化ではない。安全性についても現地を訪れ確認している」と理解を求めた。

 池原区長らは「伊芸区にとって機能強化による負担増にほかならず、われわれは捨て石にされている」と、強い口調で建設中止を申し入れた。

 一方、県の保坂好泰基地防災総括監は「県の立場は皆さんと同じ。町とも連携して対応したい」と、地元と連携する考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281700_03.html

 

2007年8月28日(火) 夕刊 5面

中東籍男性の入域拒否する/普天間飛行場フェアで

 中東の国籍を持ち県内に住む男性三人が二十六日夕、「フライトラインフェア」が開かれていた米軍普天間飛行場のゲートで、入域を拒否されていたことが分かった。日本人らしい警備員が運転免許証で国籍を確認した後、理由を示さずに拒否を告げたという。

 男性三人のうち一人は「恥ずかしい思いをさせられた。差別は許せない」と憤った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200708281700_04.html

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