沖縄タイムス 関連記事、琉球新報 社説(9月1日、2日、3日)

2007年9月1日(土) 朝刊 1面

抗議署名44万人突破/14日に文科省提出

 文部科学省の高校歴史教科書検定で「集団自決(強制集団死)」の日本軍関与の記述が削除・修正された問題で、「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」実行委員会に寄せられた検定撤回を求める署名が三十一日、四十四万二千二百七十三人分に達した。「歴史の事実を曲げるのは許せない」など、署名とともに同省の対応への抗議も寄せられた。同実行委は「ここまで支持が広がったのだから、不退転の決意で撤回を求める」としている。

 実行委は三十一日で集計を終え、集まった署名を九月十四日にも文科省に提出する予定。

 署名は四月ごろから集められ、県内外の個人、団体から郵送などで毎日、署名簿が届けられた。六月九日の県民大会後、同実行委が決議文とともに同十五日に文科省へ提出した署名は九万二千三百六十八人分。その後、平和の礎に刻まれた戦没者と同じ二十四万六百九人を目標に署名活動を継続、平和フォーラム、日教組など全国的な組織の協力もあり、八月三十一日には、目標を大きく上回る署名が集まった。九月十四日には、東京都内で「沖縄戦の歴史歪曲を許さない全国集会」が開かれる。(嘉数よしの)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709011300_04.html

 

2007年9月1日(土) 朝刊 31面

保革超えた政治闘争必要/佐藤優氏、那覇で講演

 復帰三十五周年記念フォーラム「沖縄の現状と展望」(主催・同実行委)が三十一日、那覇市内のホテルで開かれた。起訴休職中の外務事務官の佐藤優氏が講演し、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」が削除された教科書検定問題について「とんでもないこと。軍が存在しなければあの悲劇はない。それ以上の議論は必要ない」と主張した。

 佐藤氏は、同問題への対応について「このままだと内地の無関心の中で消されていく」と指摘。その上で「正義闘争だけでは解決しない。保守、革新に関係のない政治闘争を加えることが沖縄には必要だ」と述べた。パネルディスカッションでは、「インサイドライン」編集長の歳川隆雄氏をコーディネーターに、県議会議員の國場幸之助氏と佐藤氏が討論。教科書検定問題で、国場氏は「文部科学省がこの問題を重んじていないことが問題」と指摘。佐藤氏は、沖縄戦の実態を記した『鉄の暴風』を例に「沖縄戦とはこういうものだ、とつくりあげたことに、それ以外の人たちがアンチを言うのは世界でも珍しい。歴史認識の問題というより、レベルの低い話だ」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709011300_05.html

 

2007年9月1日(土) 朝刊 2面

防衛相「現案が理想的」/知事と初会談 議論平行線

 【東京】仲井真弘多知事は三十一日、防衛省で高村正彦防衛相と会談し、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブへの移設について意見交換した。仲井真知事が普天間飛行場の「三年をめどにした閉鎖状態」の実現や、V字形滑走路の沖合移動などを求めたのに対し、高村氏は「現在の案は最も理想的。合理的理由がない限り変えられない」と沖合移動に否定的な見解を示し、議論は平行線をたどった。

 約十五分間の会談で仲井真知事は「米軍再編には全面的に賛成だ。一方で、自分の公約は自民・公明の本部も了承している。地元の思いをくんでほしい」と要望した。

 高村氏は「政府の立場をよく理解してもらう前提で、われわれとしても地元の声に耳を傾けていきたい」と述べ、あくまで日米合意案(V字案)に理解を求めた。同時に、「具体的には県や地元と話をしていきましょう」と今後も協議を重ねていく考えを示した。

 これに対し、仲井真知事も「大臣の話は承った。私は選挙のときから言っている事があるので、実務的なところは互いに詰めたい」と同調した。

 会談後、仲井真知事は記者団に対し、「(自らの公約は)当然変える理由はない」と強調。今後も引き続き実現を求める考えを示した。その上で、今年一月以来開かれていない普天間飛行場の移設に関する協議会の再開について「内容に意味があることなら喜んで沖縄から来るが、そうでない限り意味があるのか」と述べ、政府の前向きな姿勢がない限り参加しない考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709011300_06.html

 

琉球新報 社説

新嘉手納爆音訴訟 国の過小算定は許されない

 基地周辺の住民にとって米軍機の騒音による苦痛は、本来なら数字では表し難いものだろう。しかし、裁判で認定してもらうためには、苦痛を示す根拠として示さなければならない。それがW値(うるささ指数)である。重く扱われなければならないはずだが、国は過小に算定していた。30日開かれた福岡高裁那覇支部での控訴審口頭弁論の国側主張書面で明らかになった。

 軍事空港周辺での騒音を正確に示すため防衛施設庁(防衛省に統合)はW値の算定方式を定めている。環境省の算定方式を基本にして、ジェット機の着陸の場合は、2デシベルを加算し、補正する方式だ。

 国はこの施設庁方式には従わなかった。民間空港のW値を算定するための環境省方式で算定した数値を「実勢騒音」として主張しているのだ。

 結果生じた県の測定値との差は読谷村で8・9ポイント(2000年)、うるま市石川で5・5ポイント(02年)である。さらに、年間騒音発生回数にも大きな差が出ている。

 補正しない理由は次の2点。まず(1)無人の自動監視である自動騒音測定の場合、ジェット機の着陸音と他の音との識別が事実上不可能である(2)現実の騒音は環境省方式によるW値になるところ、防衛施設庁方式は住民側に安全域を広めるために補正したものであって、補正しなくとも数値自体の信用性が否定されるものではない―と主張している。

 これに対して原告側は「識別することは十分に可能である。(システムが)正常に機能していないか、正しく設定されていない、もしくは機種別の周波数分析を最初から行っていないことを端的に示している」と批判している。

 結果として「(システムが)十分に機能しておらず、航空機騒音を十分に計測できていないことを自認しているに等しい」と指摘されても仕方ない。さらに、防衛施設庁が定めた補正方式にさえ従わない姿勢は、被害住民を軽視していると非難されよう。

 重大な点は、一審判決への影響である。一審で那覇地裁沖縄支部は「W値80、75以上の各区域における航空機騒音は減少しており、現状ではかなり低いと言わざるを得ない」と判断し、W値80以上85未満の区域の騒音被害を否定するという、全国の爆音訴訟でも初めての判断を示した。原告によると判決の「減少しており」という判断の根拠となったのは、国が過小算定したデータだという。

 一体、国は何を守ろうとしているのか。まず保護すべきは住民ではないのか。基地の重圧を受けている県民ならなおさらである。騒音被害の苦痛を、国は軽く受け止めているようにしか見えない。

(9/1 10:27)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26774-storytopic-11.html

 

2007年9月2日(日) 朝刊 1面

共同使用1年延長意向/沖縄市長、米軍へ伝達

「泡瀬」保安水域 8日期限切れ

 【沖縄】今月八日に期限切れを迎える米軍泡瀬通信施設の保安水域にかかる共同使用について、沖縄市の東門美津子市長が米軍側に一年間の期限で更新したいとの意向を伝えていたことが一日までに分かった。保安水域の共同使用は、中城湾港泡瀬沖合の埋め立て事業の工事を進めるためには必須の条件であることから、事業中止を求める市民団体などは「契約更新は事業推進に道を開くものだ」と反発しており、東門市長は難しい対応を迫られそうだ。三日には与党市議や関係者を集め、同問題に対する市長の意向を説明するとともに協議する方針だ。(吉川毅)

 同施設を取り巻く沖合五百メートルの範囲が米軍への提供水域で、一九九九年まで同施設の運用確保を図るため日米地位協定に基づき米軍が排他的に使用してきた。

 沖縄市は当初、水域の一部返還要請をしていたが、同年九月に「埋め立て工事を円滑に進め、事業の早期実現のために共同使用が必要だ」として「泡瀬通信施設における沖縄市による在日米軍施設・区域の共同使用に係る協定書」を締結した。

 これまで五年間、三年間の契約で二回更新した。東門市長が示した一年期限の更新について、米軍からの回答はまだないという。

 東門市長は「同事業の是非についてまだ結論が出ない中、行政手続き上の期限が迫り対応に悩んでいるのは事実。一年の短期契約の更新なら、どんな結論を出しても影響はない。しかし米軍が長期契約を望むなら更新しない可能性もある」と説明。さらに「基地撤去を求める私の政治スタンスともかかわることから、最終的な更新の判断は関係者といろいろ話をしてから決める」と話した。

 協定書には埋め立て後の土地利用に対する米軍の承認権限など、使用条件となる計十八項目が示されている。

 泡瀬通信施設を取り巻く沖合五百メートルの範囲の保安水域では、米軍船舶の通信に支障を及ばさない限り、埋め立て事業の工事による浚渫または建設工事を制限しないことになっている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709021300_01.html

 

2007年9月2日(日) 朝刊 20面

「集団自決」方言で/8人証言 体験生々しく

 沖縄県立博物館・美術館の開館に先駆け、「『島クトゥバで語る戦世』と若手作家スライドショー」(主催・文化の杜共同企業体、琉球弧を記録する会)が一日、那覇市おもろまちの同博物館・美術館で開かれた。

 会場を埋めた約二百人が、沖縄戦体験者の証言ビデオや二十―三十代の写真家、芸術家が撮影した県内の風景、人物の写真などに見入った。

 テーマを「集団自決(強制集団死)」に絞った「島クトゥバで語る戦世」では、八人の証言者が字幕付きの方言で生々しく戦争体験を語り、会場の共感を誘った。

 続いて上映されたスライドショーでは、県内外で作品を発表している若手作家五人が、モノクロ写真やカラー映像などで沖縄の風景や人物、祭事などを紹介。音楽や風の音、虫の声を同時に流すなど、音響効果も合わせて観客を引きつけた。

 那覇市の大学院生、山城彰子さん(23)は「私たちは、その土地の言葉や記憶にもっと敏感にならなければいけない。言葉の大切さを再確認しました」と感じ入っていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709021300_08.html

 

琉球新報 社説

日中防衛相会談 さらなる信頼醸成に期待

 高村正彦防衛相と中国の曹剛川国防相が30日に会談、海上自衛隊と中国海軍の艦船相互訪問を行うことで合意した。今年11月から12月の間に、中国艦船が初めて日本を訪問する。また、防衛当局間のホットライン創設に向けて作業グループを設置することも決めた。さらに高村氏が来年にも訪中することも確認。これまで停滞していた防衛交流が実現する。

 今年は日中国交回復35周年に当たる。この間、経済交流は年々、拡大を続け、今や双方にとって無くてはならない存在となっている。ところが、政治的な側面をみると歴史認識や靖国神社参拝問題などで両国間がぎくしゃくしてきた

のも事実だ。互いの挑発行為を避けて、偶発的な不測の事態を抑止するためにも、今回の交流結果は意義あるものと受け止められている。「軍拡」につながらないよう留意しながら、さらに意思疎通を深め、より一層の信頼醸成に努めてほしい。

 中国国防相の訪日は、1998年2月の遅浩田氏以来、9年半ぶり。日中防衛相会談は2003年9月に当時の石破茂防衛庁長官が訪中して曹国防相と会談して以来4年ぶりとなる。実は、両国間の艦船相互訪問は2000年秋、いったんは合意していた。ところが、李登輝前台湾総統訪日や小泉純一郎前首相の靖国参拝に中国側が強く反発。両国関係が悪化し、暗礁に乗り上げていた経緯がある。

 転機は昨年秋の安倍晋三首相の訪中だ。首脳会談では、日中を「戦略的互恵関係」と規定し、安全保障についても「日中安全保障対話や防衛交流を通じて、安全保障分野における相互信頼を増進する」(日中共同プレス発表)ことで合意した。曹国防相の訪日も、この合意を受けて実現した。中国中央軍事委員会主席である胡錦濤国家主席が主導したとされる。

 ただ、今回の交流で双方の不信感が一掃されたとは言い難い。例えば、国際社会から「不透明だ」と批判されている中国の国防費、国防政策について、曹国防相の説明では不十分だ。中国の国防費は19年連続で前年比二けたの伸び率で推移している。その内訳など軍事政策も含めて、無用の疑念を一掃するためにも、中国側の誠意ある説明が求められる。

 一方、日本側も日米の間で進められているミサイル防衛(MD)や米軍再編などについて、警戒感を強めている中国側の懸念に応えるべきだろう。

 日中間には、その他にも尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題や、東シナ海の天然ガス田開発をめぐり、解決すべき多くの課題を抱えている。折しも、今年は日中戦争の端緒となった盧溝橋事件から70年。歴史を教訓として、未来志向の関係を築くべきだ。

(9/2 9:39)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26791-storytopic-11.html

 

2007年9月3日(月) 朝刊 21面

1年限定案 泡瀬に波紋/米軍水域共同使用 市長意向へ賛否

与党内も対応一致せず

 【沖縄】沖縄市と米軍が締結している米軍泡瀬通信施設の保安水域共同使用協定について、沖縄市の東門美津子市長が一年間の期限で更新する意向を米軍に伝えていたことが波紋を広げている。中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業を進める上で必須条件となる同使用協定は八日に契約期限切れを迎える。同事業の是非について結論を出していない東門市長は、いずれの結論を出した場合にも影響が出ないようにと、一年限りの更新にしたい考えだが、米軍側が応じなければ更新しない可能性もあり、その時点で今後予定されている第II区域の工事ができなくなることも考えられる。反対、推進それぞれの市民団体や関係者は、事業の在り方を左右する東門市長の出方を注視している。(吉川毅)

 事業に反対する泡瀬干潟を守る連絡会(小橋川共男、漆谷克秀共同代表)は、「契約更新は事業推進に道を開くものだ」として八月三十日に東門市長に更新の拒否を要請していた。

 「期限が何年だろうと更新は駄目だ」。同会の前川盛治事務局長は声を荒らげ「更新するか否かは事業の根本的な問題だ。基地と環境に大きく関係する問題を密室で決めず、情報をオープンにして市民とともに決めるべきだ」と指摘する。

 推進団体プライド泡瀬の當眞嗣蒲会長は「埋め立てがどんどん進む中、市長は悩んでいる暇はない」と強調。「更新は当然のこと。市民の夢をかなえてほしい。市長はイデオロギーを排除し、市民のトップとして決断をすべきだ」と話した。

 一方、東門市長は六日から始まる市議会九月定例会に向けた与党連絡会を三日に開き、同問題について説明する方針だ。推進と反対に割れる与党議員は、東門市長が期限一年で更新する意向に「まったく初耳だ」と驚く。

 反対派の与党議員は「更新の意向が事実であれば、市長の基地政策にかかわる公約違反だ。更新は、米軍のために海を埋め立てて土地を提供することにもつながる」と断固拒否の姿勢。

 沖縄市議全三十人中、計二十四人で組織する「市東部海浜開発事業推進議員連盟」に加わる与党議員は「更新しなければ、市長の事業に対する結論の幅が狭まる。市の将来を考えれば当然更新すべきであり、市長の意向も納得できる」と話した。

 

[ことば]

 保安水域共同使用協定 米軍泡瀬通信施設を取り巻く沖合500メートルの範囲の米軍提供水域について、市が「中城湾港泡瀬沖合の埋め立て事業を円滑に進めるため」に1999年に米軍と締結した。現在、第I区域を工事中で2012年までには埋め立て後のインフラ整備も完了する予定。保安水域にかかる第II区域はその後に工事を進める。保安水域にかかる土地利用は米軍の承認権限など、使用条件となる計18項目が示されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709031300_01.html

 

琉球新報 社説

沖縄防衛局発足 地元の声を具申できるか

 防衛施設庁が9月1日付で防衛本省へ統合されたことに伴い、那覇防衛施設局も沖縄防衛局に改編された。本省直轄の「地方防衛局」となり、今後は防衛省・自衛隊の防衛行政全般について地方ブロックの役割を担うことになるが、新組織には単に国の施策を伝えるだけでなく、基地周辺自治体や住民の訴えに誠実に耳を傾けてもらいたい。

 その上で、状況を正しく本省に伝え、場合によっては「本省の施策、手法では地元が納得しない」旨の意見を具申するくらいの決意と覚悟が欲しい。また、そうでないと本省と地元のパイプ役は果たせない。本省も、そのことを十分に理解し「住民を守らずして国防もない」との原点に立ち返って基地問題に対応すべきだ。

 防衛施設庁は2006年1月に幹部らが逮捕された官製談合事件を受けて廃止が決まり、45年の歴史に幕を下ろした。閉庁式で北原巌男長官は「知らない間に組織が病んでいた」と話したが、談合体質は以前から指摘されており「知らなかった」では済まされない。病んだ組織はメスを入れて当然で、機能統合で監察の厳格化を図る姿勢は評価されよう。

 問題は、地方の施設局を統合することで本省主導が鮮明になり、地元との調整機能が後退しないかという点だ。沖縄に関して言えば、沖縄対策室に代わって沖縄調整官を置くが、どれだけ地元の意向をくめるのか不透明である。

 沖縄防衛局に来春新設する自衛官ポストの防衛補佐官も役割がはっきりしない。将来的には内部職員にも自衛官を配置するとみられ、基地負担の軽減よりも軍事同盟が優先しないか懸念される。

 基地の重圧は深刻だ。米軍再編が地元の頭越しに行われたことに県民の不満が募っている。しかし高村正彦防衛相は、就任会見で普天間飛行場代替施設について「地元の意見は十分聞きつつ、できることならこの案(日米合意案)で説得したい」と述べた。その後、仲井真弘多知事との会談でも、修正に応じないことを強調した。

 調整は難航必至だが、北原長官は退任会見で那覇防衛施設局長の経験に触れ「文書だけでは分かりきれない基地の負担を、皮膚感覚で感じることができた」とも語った。この感覚こそが大事である。歴代の施設局長がその感覚を本省に具申していれば、違った展開があったかもしれない。

 かつて「基地と共存、共栄を」と発言した施設庁長官がいたが、これなども下からの情報不足で、県民感情を理解していなかった証しであろう。那覇市から嘉手納町に移転する沖縄防衛局には、本省の施策を「丁寧に説明する」だけでなく、地元の意向もくんで本省に具申する姿勢を望みたい。

(9/3 9:46)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-26820-storytopic-11.html

 

2007年9月3日(月) 夕刊 1面

知事、検定撤回を要請/岸田沖縄相と会談

 就任後初めて来県した岸田文雄沖縄担当相は三日午前、県庁で仲井真弘多知事と会談した。仲井真知事は提出した要望書の中で、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる日本軍関与の記述を修正・削除した高校歴史教科書の検定問題について、検定意見の撤回を求めることを初めて盛り込んだ。だが、岸田担当相は会談で特に言及しなかった。

 岸田担当相は二日の記者団の質問に対し、米軍普天間飛行場の移設協議会の早期開催を知事に求める考えを表明していたが、会談では触れなかった。岸田担当相は会談後、「この日は基地問題全般についての話で、個別のことは取り上げなかった」と語った。

 移設協の早期開催について、仲井真知事は「県や地元の意見や要求を踏まえた上で開くなら意味があるが、それぞれの意見を言うだけで擦れ違うのなら開く意味がない」と指摘。地元要望を最大限尊重することが早期開催の前提条件との認識をあらためて示した。

 会談には、安里カツ子副知事や県議会の具志孝助副議長らも出席した。

 岸田担当相は知事との会談前に、県経済団体会議(議長・儀間紀善県商工会議所連合会会長)メンバーと懇談。「リーディング産業であるIT産業の集積・高度化を目指すとともに、観光振興、農林水産業の活性化に向けて施策を進める」と述べ、雇用創出、人材育成を含め自立型社会資本の充実を図る方針を伝えた。

 経済界は、那覇空港拡張、沖縄IT津梁パーク実現など十四項目を要請したほか、経済特区制度の緩和措置や、米軍再編に関連して建設業者のグアム進出への配慮などを求めた。岸田担当相は「結果を出せるよう努力したい」と理解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709031700_01.html

 

2007年9月3日(月) 夕刊 1面

泡瀬保安水域 契約更新 与党に説明/午後に沖縄市長

 【沖縄】八日に期限切れとなる米軍泡瀬通信施設の保安水域共同使用協定について、米軍側に一年間の期限で更新したい意向を伝えた沖縄市の東門美津子市長は三日午後、定例の与党連絡会で、与党議員十二人に経緯を説明する。

 契約を更新するか否かで、中城湾港泡瀬沖合の埋め立て事業に大きく影響する可能性がある。与党議員十二人は、同事業の推進と反対に半分で割れており、市長は苦しい対応を迫られそうだ。

 反対派の与党議員は「市長が一年期限で更新する意向だとは、与党は誰も知らなかった。これが一番の問題だ。期限が一年にしろ契約には反対だが、まずは東門市長の真意を聞くとともに、一九九九年の保守市政で契約した経緯についても説明を求める」と話した。

 一方、推進派の与党議員は「期限が迫る中で、市長は苦渋の期限設定を決めたのだと思う。市長の説明やほかの議員の意見を聞いて、与党がどうサポートできるかを考えたい」と話した。

 六日からは市議会九月定例会が始まる。契約更新問題に絡め、同事業の是非について東門市長が「遅くとも年内に結論を出す」との姿勢に対し、野党議員は厳しく追及する構えだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709031700_02.html

 

2007年9月3日(月) 夕刊 5面

北谷議会が抗議決議/嘉手納未明離陸

 【北谷】米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が八月二十八日未明に同基地を離陸した問題で、北谷町議会(宮里友常議長)は三日午前、臨時議会を開き、未明離陸の回避などを求める抗議決議、意見書の両案を全会一致で可決した。同基地司令官、首相、防衛相などに対し文書を送付する予定。今回の未明離陸に抗議する決議は同議会が県内で初めて。沖縄市議会、嘉手納町議会でも九月定例会へ抗議決議、意見書の両案が提案される。

 同議会は米軍が未明離陸を今月七日に予定していた際、離陸計画の即時中止を求める意見書を臨時会で可決していた。

 抗議決議では、議会の意見書や、同基地周辺の三首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」の反対を無視し、離陸を強行した米軍を「再三の中止要請や抗議など、住民の声を無視する配慮に欠けた基地運用である」と批判。

 また、同基地に一時配備されていたF22戦闘機が米本国へ帰還する際、日中に離陸したことを指摘し「深夜未明の離陸は回避可能であり、いかなる理由でも容認できない」と強く抗議している。

 両案は(1)深夜未明の離陸の即時中止(2)F15戦闘機の即時撤去(3)騒音防止協定の遵守(4)騒音被害の低減―を求めている。

 また、今年一月から同基地北側滑走路の改修工事に伴い南側滑走路に離着陸が集中し、北谷町内の騒音が激しくなっていることから、航空機の住宅地上空での低空飛行や旋回を禁止するよう求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709031700_03.html

 

2007年9月3日(月) 夕刊 5面

「沖縄防衛局」始動/那覇市で除幕式

 那覇防衛施設局が一日付で「沖縄防衛局」に改編されたのに伴う除幕式が三日午前、那覇市前島「とまりん」内の同局前で行われた。池部衛次長らが新名称の看板を除幕し、出席した職員は拍手で新体制の発足を祝った。

 除幕後、池部次長は「これまでは施設行政が中心だったが、これからは一回り大きく防衛行政にも取り組み、内局から直接指示を受けることになる」と説明。

 米軍普天間飛行場移設問題については「二〇一四年(の移設完了)に向けて頑張っていきたい」と、政府案で推進する姿勢をあらためて示した。

 防衛施設庁が一日付で廃止、防衛省に統合されたのに伴い、全国八カ所の防衛施設局、五カ所の装備本部地方支部は廃止・統合され、全国八カ所に地方協力局直轄の「地方防衛局」を配置。沖縄防衛局もその一つとして新たなスタートをきった。

 局長、次長の下に、総務部から独立した会計監査官を新設。施設部、事業部、建設部に代わって企画部、調達部、管理部が設置された。

 初代局長の鎌田昭良沖縄防衛局長は、三日夕に着任する予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709031700_05.html

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