沖縄タイムス 関連記事(9月6日、7日)

2007年9月6日(木) 朝刊 1面

3訓練施設 順次新設/キャンプハンセン

都市型移設で玉突き

 米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」の米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の都市型戦闘訓練施設の移設に伴い、同演習場内の三カ所の既存の訓練施設が「玉突き」で順次移設されることが五日、分かった。三カ所の訓練施設の新設工事費は日本側が負担する。同演習場では、「レンジ3」付近に、グリーンベレー用の最大射程千二百メートルに対応する新たな小銃用射撃場の建設も計画されている。同部隊の相次ぐ施設整備で、ハンセン施設の「過密化」に拍車が掛かっている。

 レンジ4施設は住宅地から約三百メートル、沖縄自動車道から約二百メートル。民間地に近い同施設の建設、使用に地元の反発が高まり、日米両政府は施設完成後の二〇〇五年九月、レンジ16の数百メートル北側の既存レンジ(金武町金武地区)への代替施設整備で正式合意した。

 沖縄防衛局は三月、訓練施設新設に伴う造成、舗装、排水などの工事の業者を選定した。

 同工事の特記仕様書などによると、施工場所はレンジ4施設の移設先のC地区のほか、西側のA、B地区を含む計三カ所を設定。沖縄防衛局は「レンジ4施設の移設先(C地区)の既存訓練施設などをB地区へ、B地区に所在する既存訓練施設などをA地区へ移設する」と説明。さらに、B地区からの施設移設に伴い、A地区の既存訓練施設をA地区内に移設する工事も実施するという。

 工事はA、B、Cの順に実施。「都市型」移設先のC地区の工事は年内に別途発注する予定だ。

 都市型の代替施設は、最も近い住宅地までは約二キロ。移設にかかる全体の費用は約十億円を見込んでいるが、レンジ4からの移設と直接関係のないA、B地区の既存訓練施設の新設土木工事だけで契約額は約四億円(税込み)を占める。

 B地区に移設される施設は射撃場、訓練塔、ウェザーシェルター(雨天退避所)、管理棟など、A地区は射撃場やウェザーシェルターなどがある。

 レンジ4施設について、防衛省は「代替施設完成後は実弾射撃訓練はしない」と説明する一方、代替施設完成後の取り扱いについては「何ら決定していない」としている。

 管理権が海兵隊に移管されるため、海兵隊が実弾射撃以外の訓練に使用する可能性もある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061300_01.html

 

2007年9月6日(木) 朝刊 25面

宮古でも3000人動員へ/検定撤回 県民大会

 【宮古】高校歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を示す記述が削除された問題で、文部科学省の検定意見撤回を求める県民大会が二十九日に宜野湾市内で開かれることを受け、宮古島市内でも同じ日に、宮古郡民大会を開くことが五日、決まった。市を中心に近く実行委員会を立ち上げ、同市と多良間村の首長や議会、各種団体を網羅した形で三千人規模の動員を目指す。

 宮古地区で沖縄本島の県民大会と同時開催するのは一九九五年に起きた米兵による暴行事件に抗議する大会以来。八重山地区でも既に開催が決まっており、この日決定した宮古地区と合わせ大会は全県規模となる。

 連合沖縄宮古地域協議会の根間修議長ら役員は同日、宮古島市役所平良庁舎を訪れ、幅広い団体が参加できるよう市が実行委員会の主体となることを要請。これに対し伊志嶺亮市長は「検定調査審議会に責任をなすりつける政府、文科省の態度はおかしい。宮古での大会が成功するように一生懸命頑張りましょう」と述べ、実行委員会の早期立ち上げに向けて調整を急ぐ考えを示した。

 開催場所は未定。同市や連合沖縄宮古地域協議会は老人クラブや婦人会、遺族会、JA、商工会議所、PTA連合会などに対し、実行委員会の構成団体となるよう近く正式に要請する。

 

     ◇     ◇     ◇     

渡嘉敷も全議員参加


 【渡嘉敷】渡嘉敷村議会(島村武議長、七人)は五日、全員協議会を開き、九月二十九日に宜野湾市で開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」への全議員参加を決めた。

 島村議長は「検定意見の撤回を求める意見書を六月議会で全会一致で採択しており、議会として撤回要求が通るまで運動に参加していきたい」と話した。

 沖縄戦当時、日本軍の海上挺進隊(海上特攻隊)が駐屯した渡嘉敷村では、渡嘉敷島に米軍が上陸した翌日の一九四五年三月二十八日、住民ら三百二十九人が手榴弾や農具などを使って、命を奪い合うなどの「集団自決(強制集団死)」が起こった。

 同様に海上挺進隊が置かれ「集団自決」で住民ら多数が犠牲になった座間味村でも、八月三十一日に村議会が県民大会への全議員参加を決めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061300_02.html

 

2007年9月6日(木) 朝刊 2面

東門市長、理由説明せず/泡瀬水域使用

 【沖縄】中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業に必要な米軍泡瀬通信施設の保安水域の共同使用協定が、八日に期限切れを迎える問題で、沖縄市の東門美津子市長は沖縄防衛局を通して、既に「更新依頼書」を米軍側に提出していたことが、五日までに分かった。依頼書に「更新期間一年」の文言はないが、沖縄防衛局は米軍の回答を待って「一年間の期限で更新したい」との市長の意向を正式に伝えるとしている。

 沖縄市は八月三十一日に依頼書を沖縄防衛局に提出し、同局は今月四日に米軍側に渡した。

 東門市長は三日の与党連絡会で、与党議員十二人に「一年間の期限で更新したい」との意向を説明した。しかし、依頼書を提出していた説明はせず、与党各会派は「持ち帰り検討する」とした。

 更新に反対する渡嘉敷直久議員は「与党が統一見解を出してから、市長が更新するか否かを判断すると理解していた」と戸惑いを隠さない。与党代表の普久原朝勇議員は「驚いた。与党のメンバーを早急に集め、市長の真意を確かめてからコメントしたい」と話した。

 更新期間については米軍側に裁量権があるという。沖縄防衛局管理課の島袋哲課長補佐は「依頼書に一年更新の意向は盛り込まれていないが、米軍は(一年間期限で更新したいとの)市長の意向を知っている。契約期限の八日を過ぎて米軍から回答がなかった場合でも、更新手続き中ということで引き続き共同使用できる」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061300_05.html

 

2007年9月6日(木) 夕刊 1面

調査機器の設置完了/普天間代替

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)で、沖縄防衛局は六日午前、パッシブソナー(音波探知機)二基を新たに設置、計百十二地点で調査機器の設置を完了した。同局は環境影響評価(アセスメント)方法書を県などに提出し、十三日まで公告縦覧手続きを実施中。方法書の縦覧期間中に調査が着手されることに、環境団体などから「アセス法違反」との声も出ている。

 関係者によると、同局は六日午前五時半ごろから作業を開始。同八時ごろまでに、二基のパッシブソナーを設置したほか、海象条件の悪化などからいったん撤去していた機材の一部の再設置などの作業を行った。

 同局は五月十八日に調査機器の設置作業を開始。海生生物調査と海象調査の調査機器として、パッシブソナー三十地点、水中ビデオカメラ十四地点、サンゴ着床具三十九地点、海象調査機器類二十九地点の計百十二地点で設置を進めていた。

 同局は調査機器の設置予定期間を「来年十月末まで」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061700_02.html

 

2007年9月6日(木) 夕刊 5面 

反対派 更新撤回を要請/泡瀬水域使用

 【沖縄】中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業に必要な米軍泡瀬通信施設の保安水域の共同使用協定について、沖縄市の東門美津子市長が「一年間の期限」で更新したいとして米軍側に更新依頼書を送付していた件で、同事業に反対する市民団体「泡瀬干潟を守る連絡会」(小橋川共男、漆谷克秀共同代表)は六日午前、東門市長に公開質問状を手渡した。

 同連絡会では「環境破壊につながることと同様に新たに米軍基地を提供することにもなる」とし、「契約更新は現在進行している第一区域の埋め立て工事を追認することではないか」「年内で事業の是非を判断するという市長のこれまでの表明と矛盾する結果にならないか」「市長はすべての情報を市民に公開し、市民と一緒に検討して結論を出すと公約しているが、それに反していないか」など五項目十二の質問への回答を求めている。

 また、同事業について推進反対で割れる市議会与党五会派にも、市長に対する「更新依頼書の撤回」「工事の中断」などを求める要請書を手渡した。

 一方、同日午前に開かれた沖縄市議会(喜友名朝清議長)の冒頭あいさつで、東門市長は同問題について「更新期限が迫る中、更新せざるを得なかった。今後、県と国とも調整する時間が必要であり、理解してほしい」と述べた。市では市議会全議員三十人に対し十日の全員協議会で同問題について説明するとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061700_03.html

 

2007年9月6日(木) 夕刊 1面

防衛相 名護市長面談へ/あす初来県

 【東京】高村正彦防衛相は七日午後、二日間の日程で就任後初来県する。防衛省によると、高村氏は八日午前、島袋吉和名護市長ら北部市町村長や、米軍普天間飛行場の代替施設建設予定地に近接する辺野古区長らと面談する。

 その後、宜野湾市の米軍普天間飛行場を視察した後、仲井真弘多知事と面談。同飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設問題で意見交換するとみられる。記者会見も予定している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061700_04.html

 

2007年9月6日(木) 夕刊 5面

沖縄市議会、抗議決議/未明離陸

 【沖縄】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が八月二十八日未明に同基地を離陸した問題で、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は六日午前開会した九月定例会の冒頭、未明離陸の全面中止と騒音防止協定の順守を求めた抗議決議、意見書の両案をそれぞれ全会一致で可決した。抗議決議文は駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米軍嘉手納基地司令官あて。

 離陸が旧盆明けに強行されたことについて「住民を軽視した運用に米軍への不信感が募るばかりで遺憾だ」と訴えている。

 また、うるま市の県立沖縄高等養護学校と前原高校の敷地内に米軍車両が侵入した問題についても真相究明と再発防止、兵員の綱紀粛正を求める抗議決議、意見書も全会一致で可決した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061700_05.html

 

2007年9月6日(木) 夕刊 5面

爆音ひどさ住民が証言/「普天間」訴訟

 【沖縄】米軍普天間飛行場の周辺住民が、国に夜間飛行の差し止めと損害賠償を求めている普天間爆音訴訟の原告本人尋問が六日午前、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で開かれた。

 尋問では宜野湾市喜友名出身の呉屋早子さん(42)が証言した。

 国は、生まれてから現在まで喜友名地域で五回の転居をした呉屋さんに対し、「なぜ別の地域へ移らなかったのか」と質問。呉屋さんは「離婚後は一人で働きながら子育てをしなければならず、騒音の問題よりも、家賃の安いアパートを探すことを優先した」と述べた。

 また、防音工事の効果についても証言し、「寝室に工事が施されたアパートに住んでいたこともあったが、一日中寝室で生活するわけはない。爆音は生活に支障を来していた」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709061700_06.html

 

2007年9月7日(金) 朝刊 1面

県民一丸へ態勢整う/22団体 実行委発足

 宜野湾市の宜野湾海浜公園で二十九日に開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の初会合が六日、県議会で開かれ、県議会、県婦人連合会、県遺族連合会など二十二団体で構成する実行委員会が正式に発足した。二〇〇八年度から使用される高校歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍による強制の記述が削除された問題で、文部科学省に対し、県民総ぐるみで検定意見の撤回を求める態勢が整った。

 実行委員長の仲里利信県議会議長は「この問題は県内だけでなく、全国的な問題。史実から『集団自決』の日本軍関与が消されれば戦争の美化につながる。大会をぜひ成功させよう」と呼び掛けた。

 大会では仲里議長や仲井真弘多県知事、渡嘉敷島や座間味島の「集団自決」の体験者、高校生代表などの発言を予定している。二十四万人余の沖縄戦の犠牲者を刻銘した糸満市摩文仁の平和の礎の中央広場にともされている「平和の火」をリレー方式で会場まで運び、世界の恒久平和を願う取り組みも計画している。

 実行委事務局は、県議会内に設置する。七日には県議会で市町村の行政、議会関係者を集めた会議を開き、各市町村単位の実行委員会の発足と協力を求めていく。また、千七百余りの団体にも共催団体として参加を呼び掛け、五万人規模の大会の開催を目指す。会場への参加者の輸送は、県バス協会に協力を求め、片道の無料バス運行を要請していく。

 大会後は、実行委員会の代表らが、安倍晋三首相や伊吹文明文科相、衆参両院議長らに対し、検定意見の撤回を求める要請行動も予定している。


県教育長も参加を明言


 県の仲村守和教育長が六日までに、二十九日に宜野湾海浜公園で開催される「教科書検定意見撤回を求める県民大会」への参加を決めた。沖縄タイムス社の取材に対し、明言した。七日開かれる第二回県立学校校長研修会で、高校や特別支援学校など県立学校長七十六人に、同大会への参加を呼び掛ける。高校歴史教科書の記述内容が問われる中、県教育長による高校の校長らへの参加呼び掛けは、県民大会に大きな弾みとなりそうだ。

 仲村教育長は、六月二十一日、文部科学省に布村幸彦審議官を訪ね、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から、軍の関与が削除された同省の検定について、「遺憾である」と指摘し、検定意見の撤回と記述の回復を求めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071300_01.html

 

2007年9月7日(金) 朝刊 27面

「撤回必ず」思い結集/実行委発足

「地域からの盛り上げが今後の課題だ」「実行委員会の発足にひとまず感謝したい」―。「集団自決(強制集団死)」の日本軍関与を否定する高校歴史教科書の検定意見撤回を求める県民大会の成功に向け、六日正式発足した実行委員会。大会開催に向け当初から携わってきた団体の代表は「ここまでこぎ着けることができた」と胸をなで下ろしつつ、「目標はあくまで日本軍関与の記述回復だ」と意気込んでいる。

 実行委では、委員長の仲里利信県議会議長らが大会の事務局態勢や必要経費、アトラクションの「平和の火リレー」などについて説明。「関係団体に参加を呼び掛けてほしい」と訴えた。

 実行委で、県PTA連合会の諸見里宏美会長は「歴史教科書を実際に使う当事者団体として、実行委が開催できたことに感謝している」とあいさつした。諸見里会長は今年七月、超党派の県民大会開催を呼び掛けた三団体の代表の一人。

 「正直いって、実行委が発足するかどうか半信半疑だった」と、閉会後に語った諸見里会長。「子どもたちのためにという一点で、多くの団体が実行委に参加したことに感謝したい」と喜んだ。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「大会開催という当初の目標は実現する方向になった」と発足を評価。一方で、「目標の五万人を集めるのは並大抵のことではない。大会を支えるための人手と計画が必要だ」と気を引き締めた。

 「だんだんと形になってきた。みんなで一生懸命、いかに成功させるかを考えたい」と話すのは県婦人連合会の小渡ハル子会長。地方から会場に向かうバスの手配、各種団体への参加呼び掛けには、住民と近い位置にいる首長らの理解が欠かせないと指摘する。

 「検定を撤回させなければ、未来の子どもたちが大変な目に遭う。実行委は、市町村長や議会議長にしっかりと趣旨説明し、県民すべてを参加させるように動いてほしい」と訴えた。

 実行委では、連合沖縄が大会告知の立て看板を設置すると報告したほか、大会を盛り上げるための工夫が必要―などの提案もあった。


恩納も全議員参加


 【恩納】恩納村議会(山城良一議長)は六日、議会運営委員会を開き、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に全議員の参加を確認した。十一日開会の九月定例議会で決議する。


伊江村議会も


 【伊江】伊江村議会(内間博昭議長)は六日の議会運営委員会で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」への議員全員の参加を確認した。九月定例会最終日の十四日に全員参加を決議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071300_02.html

 

2007年9月7日(金) 朝刊 26面

沖青協 全国仲間に連帯訴え

 高校歴史教科書で、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与の記述が削除された問題で、県青年団協議会(沖青協・照屋仁士会長)は、十六日から東京都で開かれる日本青年団協議会(日青協)の理事会で、検定意見の撤回を求める共同声明の決議を提起する。

 照屋会長は「決議の可能性は六割ほど」としながらも「全国的に教科書検定の問題に対する関心が低い中、検定意見の撤回を求める沖縄県民の強い思いを全国に伝えたい。国民の意識を変えなければ、文部科学省も考えを変えないはずだ。ぜひ決議を実現したい」と意気込む。

 沖青協の前会長で日青協常任理事の久保田秀樹さんも「全国ニュースで『集団自決』の問題が取り上げられないならば、全国の仲間に直接訴えたい」と話す。

 現在、決議に向けて日青協の事務局と話を進めている。十六日に提案し、十七日の理事会での決議を目指す。

 沖青協も、九月二十九日に開かれる県民大会の実行委員会に参加している。


反基地ネットが抗議声明


 「浦添軍港建設反対!ヘリ基地建設反対!あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク(反基地ネット)」の當山全治共同代表らは六日、県庁で会見し、教科書検定で「集団自決(強制集団死)」の日本軍関与の記述が削除・修正されたことへの抗議声明を発表。安倍晋三首相と伊吹文明文科相に対し、検定意見の撤回などを求めた。

 同ネットは、安倍内閣改造後の会見で、伊吹文科相が「(教科書検定について)私が修正できるとか、こうあるべきだと言った途端にとんでもないパンドラの箱を開いた汚名を着る」と述べた点を指摘。當山共同代表は「あくまでも記述の削除を押し通し、全国に広がる検定糾弾の声を無視する詭弁だ」と怒りをあらわにした。

 その上で、「伊吹文科相は発言を謝罪し撤回せよ」、「侵略戦争に動員するための愛国心教育や憲法改悪をやめよ」などの要求を読み上げた。當山共同代表は「県民大会に向けて、反基地ネットも学習会などで輪を広げていく。必ず撤回させたい」と言葉に力を込めた。


募金の協力 呼び掛け

県民大会実行委


 県民大会の実行委員会は、開催に向け、各種団体や県民からの協賛金、募金を呼び掛けている。口座は表の通り。

 問い合わせは同実行委事務局、電話098(863)5923、ファクス098(863)5924。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071300_03.html

 

2007年9月7日(金) 朝刊 2面

ハンセン強化に抗議/軍転協

 【東京】県内の基地所在市町村長らでつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会の要請団が六日、駐日米国大使館や防衛省、内閣府などを訪れ、キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で建設が計画されている米陸軍特殊部隊の小銃用射撃場の建設中止や嘉手納基地のF15戦闘機の未明離陸中止などを求めた。

 団長の儀武剛金武町長は大使館で、「レンジ4」の都市型訓練施設の移設に伴って三カ所の既存の訓練施設が順次新設されることについて、「負担増になる」と強く抗議した。

 儀武団長によると、米国大使館のレイモンド・グリーン安全保障政策課長は訓練施設の新設に「安全面に配慮する」と理解を求めたという。儀武町長は「納得がいかない。今後も反対行動を続けていく」と強調した。

 一方、グリーン課長は未明離陸について、パイロットの安全確保のため、米本国に日中に到着できるよう沖縄を未明に発進する必要があるとの従来の米側の認識で理解を求めたという。県内の学校に米軍車両が侵入した問題については「教育を徹底し今後このようなことのないように努力したい」と陳謝したという。

 要請ではほかに、伊波洋一宜野湾市長が、日米合意した普天間飛行場の危険性除去策について「機体の安全のためのものであり、住民の安全のためのものとなっていない」と指摘。実効性のある危険性除去策を強く求めた。

 内閣府沖縄担当部局には、基地の返還に伴う跡地利用促進への支援を要請。原田正司統括官は「跡地利用の支援は責任を持って対応したい」と述べた。

 要請団は七日、在日米軍司令部にも同様に要請する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071300_05.html

 

2007年9月7日(金) 朝刊 2面

総合的判断で更新/泡瀬保安水域

東門市長、野党議員に説明

 【沖縄】中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業に必要な米軍泡瀬通信施設の保安水域の共同使用協定について、東門美津子沖縄市長は六日、市議会野党二会派に対し、米軍側に一年間の期限を念頭に更新依頼書を送付した経緯を説明した。

 東門市長は「事業の総合的な判断を前に、契約期限を迎えることから、今年に入り沖縄総合事務局と県と協議を進めてきた」と説明。「沖縄市の意向を国と県が理解し、現在、更新の手続きを沖縄防衛局を通してお願いしている」と述べた。

 また、一年更新と事業全体の方向性とは別の問題だとの考えを示した上で「事業の是非は年内に結論を出す。設定した一年の期間は、国と県と協議する時間だととらえており、新たな基地の提供にも当たらない」との認識を示した。

 米軍がこれまで通り三年や五年の契約期間を示した場合は「そのときに判断する」と述べた。

 東門市長は十日の市議会議全員協議会でも、全三十人の市議に説明する予定。


共同使用更新で守る会が質問書

県と国に経緯問う


 中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業に必要な米軍泡瀬通信施設の保安水域の共同使用について、東門美津子沖縄市長が米軍側に更新依頼書を送付していた件で、泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男共同代表らは六日、事業者の沖縄総合事務局と県に更新の経緯などについて説明を求める公開質問書を提出した。

 小橋川共同代表は同日、那覇市の県庁記者クラブで会見し、「これまで東門市長は泡瀬の問題でオープンに進めていたと思っていたので残念。シャッターを開けて論議し、施策を進めてほしい」と東門市長の姿勢を批判した。

 埋め立て完了後の土地の一部が引き続き米軍との共同使用となり、建物の高さなどで利用が制限されることや、「東門市長の公約に反し新たな基地建設を認めることになる」とし、更新反対を訴えた。

 また、民主県連、社民県連、共産県委、社大の四党に、東門市長に更新撤回などを求める要請文を手渡した。

 同会では同日午前、東門市長にも同様の質問書を提出している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071300_06.html

 

2007年9月7日(金) 朝刊 26面

軍隊の性暴力「ノー」/女たちの会 国際集会へ

 基地と米軍による性暴力をなくしたい―。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」(高里鈴代、糸数慶子共同代表)のメンバーら八人が、十日から米国サンフランシスコで開かれる「第六回国際ネットワーク集会」に県内の基地問題の現状を伝えるため参加する。

 県内から五年ぶりの参加で、フィリピンや韓国など米軍基地を抱える各国の女性たちと交流する。

 大学の非常勤講師の高良さんらが、フェルトでか沙哉たどった沖縄に、基地の位置や米兵による百件以上の性暴力事件が起きた場所を縫い付けた布を制作。米の集会でアピールするという。

 高良さんは、約二週間かけ作製した地図を見詰め、「基地から離れた場所でも事件は起きており、島全体が基地化されている」と語った。

 今年で十年目を迎える同集会は、フィリピンや韓国のほか、グアムが初参加し、米軍基地を抱える国から約八十人が参加する。

 高里共同代表は、二〇〇四年の沖国大へのヘリ墜落事故や宮古島市での「従軍慰安婦」日韓合同調査団に参加したことなどを報告する。

 十年間を振り返り、「県内の基地問題が県外ではそれほど興味を持たれなくても、基地を抱えるメンバーは国を越えて共感できる」と語った。

 また、「現地で基地が返還された土地計画など利用の方法も学びたい」と語った。

 帰国後、二十九日の県民大会には各国の参加者にハンカチに書いてもらったメッセージを持参する予定。メンバーらは「正しい歴史が残されないのはおかしい。みんなの声を届けたい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071300_07.html

 

2007年9月7日(金) 夕刊 1面

県民大会開催を説明/岸田沖縄相

閣僚懇で異例の言及

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は七日午前の閣議後の閣僚懇談会で、今月二、三両日の沖縄視察を報告し、高校歴史教科書の記述から沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与を削除した教科書検定の撤回を求める大規模な県民大会が二十九日に開かれることを、全閣僚に説明した。教科書検定を直接、所管しない沖縄相が閣僚懇で自発的に同問題に言及するのは異例。

 岸田沖縄相は同日の閣議後会見で、「教科書問題の所管はわれわれ(内閣府)ではないが、沖縄の皆さんがこの問題に深い思いを持っていることを他の大臣にしっかり受け止めてほしいと思っている」と説明した。

 岸田沖縄相は閣僚懇での視察報告で、米軍普天間飛行場の移設に関する協議会にも言及。「次回会合がいつ開かれるか(地元の)関心が高かった」と述べ、関係閣僚に早期開催の必要性を促した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071700_02.html

 

2007年9月7日(金) 夕刊 7面

検定背景に「政治的策動」/研究者・大城さんが本出版

 【東京】沖縄戦研究者として県史の編さんに携わった沖縄平和ネットワーク代表世話人の大城将保さん(67)が、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与を削除した教科書検定を受け、著書「沖縄戦の真実と歪曲」(高文研)を出版した。検定の背景に、日本軍の加害行為を歴史から削除しようとする一部勢力の「思想的・政治的な策動」があると指摘。検定結果への県内の激しい反発を「政府が普段はおとなしい県民を甘く見た結果、沖縄では島ぐるみ闘争が起こっている」と分析している。

 大城さんは著書で、今回の検定の発端に、「集団自決」への軍命を否定する自由主義史観研究会の「沖縄プロジェクト」があると言及。二〇〇五年に大阪で提起された「『集団自決』訴訟」の原告である部隊長側を、同研究会が支援している構図を説明している。

 その上で、文部科学省が「軍関与」を削除した根拠の一つとして、同研究会が使用する「集団自決冤罪訴訟」との呼称を引用していた経緯を詳述。「中立公正であるべき政府の機関がここまで偏向しているのかと慄然とせざるを得ない」とし、同研究会と文科省の“接点”がうかがえる現状を厳しく批判している。

 大城さんは、県内の全四十一市町村議会と県議会が検定撤回を求める意見書を可決した動きなどを念頭に「県民は普段は黙っているが、沖縄戦の史実に手を突っ込んでゆがめようとすると猛烈に抵抗する」と解説。二十九日の県民大会に向け「一千団体に呼び掛けており、五万人以上の参加を期待したい」としている。

 著書は全二百五十五ページで価格は千八百円。高文研によると、七日前後から県内の書店に並ぶ見通し。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071700_03.html

 

2007年9月7日(金) 夕刊 7面

教育長「県民大会 全校長参加を」

 二〇〇七年度第二回県立学校校長研修会が七日午前、県庁で開かれ、仲村守和県教育長は二十九日に宜野湾海浜公園で開催される「教科書検定意見撤回を求める県民大会」について、「校長先生方も全員、参加していただきたい。職員にも声を掛けていただきたい」と述べ、大会への参加を呼び掛けた。研修会には、高校や特別支援学校の校長ら七十六人が出席した。

 仲村教育長は「『集団自決(強制集団死)』は、住民に手りゅう弾が配られていることなどから、日本軍の関与はあったと認識している」とした上で、「沖縄戦の実相を正しく後世に伝え、子どもたちが平和な国家や社会の形成者として育つためにも、県民とともに声を上げなければならない」と訴えた。

 実行委員会への参加について「行政の立場上入らない」としつつ、「(中山勲)県教育委員長の意思表明など、協力できることについては積極的にかかわっていきたい」と明言した。教育長の訓示は、研修会冒頭に急きょ組み込まれた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709071700_04.html

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