沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(9月14日、15日、16日)

2007年9月14日(金) 朝刊 31面

平和運動センター・連合沖縄が連絡会結成/9・29県民大会

 沖縄平和運動センター(崎山嗣幸議長、二万人)と連合沖縄(仲村信正会長、四万人)は十三日までに、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に向け、組合員への声掛けを徹底しようと労組連絡会を結成することで合意した。十八日に発足する。双方の団体から声掛けすることで、参加目標の五万人達成を図る。

 両団体で地域を分け、大会告知のテープを車両から放送。朝夕の出勤・退社時間に合わせて街頭宣伝などを行う。

 沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「両団体で重複しない組合員もいる。双方の団体から声掛けすることで、多くの人が参加できるはずだ」としている。

 また、県民大会実行委は十三日までに大会告知用のポスター一万枚を作製、本島や周辺離島の計三十六市町村に計約二千四百枚を送付した。自治労県本部も十三日から立て看板を設置するなど、大会告知に向けた活動が始まっている。


久米島町も全議員参加


 【久米島】久米島町議会(仲地宗市議長)は十三日、全員協議会を開き、教科書検定意見撤回を求める県民大会に、全議員が参加することを決定した。平良朝幸町長も参加の意向を示している。


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「集団自決」資料を展示/21日まで浦添市役所


 【浦添】教科書検定意見撤回を求める資料展(主催・浦添市職員労働組合)が十三日、市役所一階ロビーで始まった。検定意見がつく前後を比較した各出版社の歴史教科書や、沖縄戦の体験談をまとめた新聞の切り抜きなど約三十点を展示している。二十一日まで。

 パネル展示では、「集団自決(強制集団死)」の記述をめぐり、「日本軍に集団自決を強いられたり」が、「追い詰められて集団自決をした人」に書き換えられているなど、各出版社の修正個所を矢印で指摘している。

 展示は、市民や職員に教科書を見てもらうことで、問題の深刻さを訴えようと企画された。久高委員長は「日本軍の関与をなくすことで、沖縄戦の史実を少しずつ消そうとする国の動きを感じる。実際に修正前後の教科書を見比べてほしい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709141300_03.html

 

2007年9月14日(金) 朝刊 2面

県、国の出方で政治判断/「普天間」アセス手続き

 米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きで、沖縄防衛局は十三日、方法書の公告縦覧を終了。二十七日まで住民などの意見を受け付け、十月上旬にも意見概要を県などに送付する見通しだ。県が知事意見の作成に向けた手続きに入れば、方法書の受け取り保留を「解除」したことになるが、県首脳は「考え方としては、アセスを進めるいくつかのパターンは持っている」と説明。政府の出方を見定めた上で知事意見への対応を決める方針だ。

2つの解釈


 県内部では、アセスへの対応として「保留のまま知事意見も出さない」という選択肢を残しつつ、手続きに応じる可能性も模索。想定の一つとして(1)知事意見を提出(2)アセス結果に照らし、県などが求める沖合移動の合理性を見極める(3)知事意見が反映されていないと判断した場合は埋め立て申請を承認しない―ことも視野に入れている。

 高村正彦防衛相が八日の仲井真弘多知事との面談で「アセス後の修正」検討を提示したことについて、県幹部は「二通りの理解ができる」と指摘する。

 一つはアセス手続きの中で対応可能な「軽微な修正」の範囲内での検討。これは「法的に決められた当然の手続き」(県幹部)だ。

 もう一つは「知事は『出戻り』の可能性を指摘したにもかかわらず防衛省がアセスを進めるというのであれば、アセスの結果、科学的論拠が明らかになれば『軽微な修正』を超える範囲の修正も辞さない、と解釈することも可能」(同)との判断だ。

 この解釈だと、政府が譲歩したことになり、県のメンツも立つ。しかし、高村防衛相は「政府案がベストで、よほど合理的な理由がないと変更できない」と強調しており、アセスのやり直しを迫られる修正が政府の念頭にないのは明らかだ。

 むしろ事業者自らが事業計画のやり直しを課すような結果を導く可能性は極めて低く、アセスがこのまま進めば、政府案の追認もしくはアセスをやり直さずに修正が可能な「軽微な修正」にとどめるのは明白だ。


あいまいさ


 「政府案がベストだという科学的論拠が示されれば納得できる」との見方も県内部にある。

 県は「沖合移動」を政府に要望するに当たって、公式には具体的な数値を提示していない。一方で「日米合意の範囲内」としており、どれだけの移動で納得できるかについては、あいまいな部分を残している。

 だが、仮にアセスによるデータを得た後に、県が「軽微な修正でいい」と事後承認すれば、県民には「県の譲歩」と映るだろう。

 防衛省は二〇一〇年に公有水面の埋め立てに着手する予定だ。埋め立て申請は、仲井真知事の任期中でないと間に合わない。県としては現段階で埋め立て申請の不承をちらつかせるのが唯一のカードだ。しかし、実際に承認しなければ政府との関係は険悪化するため、これも得策ではない。

 「国が一歩でも半歩でも歩み寄るかによって県の判断も異なってくる」(県幹部)。県が求めている「沖合移動」と「普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態」への政府の前向きな対応を引き出すことが、県にとっては「最もよいパターン」(同)だが、そのためには「政治判断が欠かせない」(同)。

 だが、今後あるかどうかも分からないそのタイミングは、安倍政権の崩壊でますます遠ざかっている。(政経部・渡辺豪)


県「軽微」超えた修正想定


 アセスメント手続きは、事業規模などによって国の環境影響評価法と、県条例を適用するケースに分かれる。国の法律、県条例ともに、アセス後も「規模の縮小または『軽微な修正(変更)』」については手続きのやり直しは必要ない、と規定している。国の法律と県条例とでは、知事意見の回答期限以外に、「アセス後に修正可能な範囲」も異なる。

 国の法律の適用対象は、飛行場に関しては「滑走路が二千五百メートル以上(第一種事業)または千八百七十五―二千五百メートル(第二種事業)」、埋め立て面積に関しては「五十ヘクタール以上(第一種事業)、四十―五十ヘクタール(第二種事業)」と規定。

 一方、県条例は飛行場に関しては「滑走路の新設を伴うもの」とし、埋め立て面積は「七・五ヘクタール以上」となっている。

 沖縄防衛局は普天間代替施設に関するアセス手続きを国の法律、県条例のどちらに基づいて進めているのか明らかにしていない。

 ただ、代替施設の滑走路の長さは千六百メートル、埋め立て面積は約百六十ヘクタール(代替施設本体約百五十ヘクタール、護岸部分約十ヘクタール)。このため、飛行場部分に関しては県条例で、埋め立てに関しては国の法律を適用するとみられる。

 「軽微な修正(変更)」の範囲は、「方法書の公告から評価書の公告までの間」と、「評価書の公告後」の場合で異なる。

 評価書の公告までの場合、埋め立て面積に関しては「新たに埋め立て区域となる部分の面積が修正前の埋め立て区域の面積の20%未満」(国の法律)、飛行場に関しては「新たに飛行場及びヘリポートの区域となる部分の面積が十ヘクタール未満」で、かつ「滑走路の長さが20%以上増加しない」(県条例)ことと制限している。

 一方、評価書の公告後の場合、埋め立て面積に関しては「新たに埋め立て区域となる部分の面積が変更前の埋め立て区域の面積の10%未満」で、かつ「変更前の対象事業実施区域から五百メートル以上離れた区域が新たに対象事業実施区域とならないこと」(国の法律)と規定。飛行場に関しては「新たに飛行場及びヘリポートの区域となる部分の面積が十ヘクタール未満」で、かつ「滑走路の長さが20%以上増加しないこと」(県条例)となっている。

 国の法律、県条例ともにこれらの規定を超える修正を行う場合「当初からの手続きを取らなければならない」としている。

 高村正彦防衛相から「アセス後の修正」の提示を受けた際、仲井真弘多知事が「出戻りになる可能性がある」と主張したのは、「軽微な修正」を超える修正が必要との判断が示されるケースを想定している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709141300_06.html

 

2007年9月14日(金) 朝刊 2面

那覇空港整備「沖合1310メートル案採用を」/豊見城市長

 【豊見城】那覇空港の能力向上に向けた総合調査を実施する「那覇空港調査連絡調整会議」で、滑走路増設三案が提示されたことを受け、豊見城市の金城豊明市長は「できるだけ沖合での建設」を県や国に要望していく方針を明らかにするとともに、「三案で考えると、沖合の千三百十メートル案でなければいけないと思っている」と述べた。十二日の市議会(大城英和議長)の九月定例会で上原幸吉氏(豊政会)の質問に答えた。

 金城市長は、滑走路増設による航空機騒音や、豊崎・瀬長島地区の開発に与える影響に懸念を示した。市は今後、赤嶺要善副市長を委員長に、部長クラスで構成する「那覇空港拡張整備に関する検討会議」を設置し、県や国への具体的な要望を協議していく方針。

「容量のきつさ」実感

知事、滑走路予定地視察

 仲井真弘多知事は十三日、那覇空港整備で、新滑走路三案の予定地を視察した。

 豊見城市の瀬長島では、パネルなどで説明を受け全体を眺望。新滑走路で整備される大嶺崎周辺や旧国内線ターミナルビル跡地などを回ったほか、ヘリコプターに乗り上空から視察した。

 仲井真知事は視察後、「那覇空港の容量がきつくなっていると実感した。良い空港ができれば、二十一世紀の沖縄の発展につながる」と話し、「安倍晋三首相のアジアゲートウェイ構想を次の首相に申し送ってもらい、スピードを上げて進めてもらいたい」と要望した。

 那覇空港は将来的な需要増加が見込まれ、三千メートルの新滑走路の沖合側への配置が計画されている。現在の滑走路との間隔などが異なる三案が提案され、那覇空港調査連絡調整会議(構成・国土交通省、内閣府、県)では八月末から県民の意見を収集するパブリック・インボルブメント(PI)ステップ3を実施している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709141300_07.html

 

2007年9月14日(金) 夕刊 7面

知事、検定に強い疑念/「集団自決」審議なしで

 仲井真弘多知事は十四日午前の定例記者会見で、本紙報道で明らかになった高校歴史教科書での沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」の軍関与記述の削除・修正を求めた検定意見が、教科用図書検定調査審議会(教科書審議会)の実質議論を経ずに決まったことについて「報道の通りであれば、審議会の権威そのものにかかわるのではないかという印象を強く受ける」と述べ、検定意見の正当性に強い疑念を示した。

 同問題に対する政治家の対応について「県民は沖縄戦の実相を後世に伝えたいという強い気持ちがある。(県民の)感性をきちんと踏まえていただきたい」と注文した。

 米軍普天間飛行場代替施設建設問題で、高村正彦防衛相が「アセス後の修正」を提案した際、仲井真知事から否定的感触はなかったと発言したことについて同知事は「今のままアセスを続けていけば、調査終了後にやり直しの可能性が強いと言った。この表現がなかったということになるのか」と疑問を表明した。

 アセスに対しては「法律上の効力が発生しており、難しい面がないわけではない」と述べ、手続きに応じることも視野に入れていることを明らかにした。

 

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自治労1万人参加へ


 自治労県本部(比嘉勝太執行委員長)は十三日の定例執行委員会で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に組合員と家族ら一万人以上の参加を目指すことを確認した。県本部は「早めに参加を呼び掛け、大会を盛り上げたい」としている。また、全国の自治労青年部二百人の大会参加が決まった。

 一方、全日本自治労は十三日までに、高校歴史教科書の沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐり日本軍の強制の記述が削除された問題で、検定意見を撤回するよう求める決議案を採択した。

 決議は「わが国が世界の平和に資する国となるには、歴史に率直に向き合うことが必要」と指摘している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709141700_02.html

 

2007年9月15日(土) 朝刊 1・31面

審議なしでも「正当」/「集団自決」修正

文科省「手続き」強調/専門家不在も認める

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題で、県高教組の松田寛委員長、琉球大の高嶋伸欣教授、野党国会議員らが十四日、文部科学省に布村幸彦大臣官房審議官を訪ね、修正撤回を求める約四十二万人分の署名を追加提出した。要請団は教科用図書検定調査審議会(審議会)日本史小委員会で沖縄戦に関する意見が出ず、審議の実態が無かったとの本紙報道を指摘。出席者によると布村審議官は事実関係をおおむね認めたが、「手続きとしては正当に検定が行われた」と問題視しない考えを強調した。

 布村審議官は文科省職員の教科書調査官が作成した調査意見書の「集団自決」に関する意見が審議会でそのまま承認されたことや、小委に沖縄戦の専門家がいないことなどを認めた。一方で、審議過程の公開や審議委員との面談要求には「できない」と突っぱねた。

 会談後の記者会見で高嶋教授は「(合計五十二万人分の)署名の集まりを伝えたが、反応はさっぱりで門前払い。まるで態度が変わらない」と厳しく批判した。

 「調査意見書の作成段階で審議委員の意見が反映されている」とする文科省の従来の主張に、松田委員長は「反映されていない」と指摘。布村審議官は「文書ではなかった」と答えた。

 民主党の川内博史衆院議員が「私が文科省の教科書課に確認したところ、ファクスでも電話でもメールでも意見は無かったと認めている」と独自調査で反論すると、黙って聞いていたという。

 文科省は従来、軍強制の記述削除の理由を「すべての集団自決に軍の強制があったと誤解されるおそれがある」などと説明してきた。

 要請団は修正前の清水書院の「なかには日本軍に集団自決を強制された人もいた」との記述を例に挙げ、文科省見解に疑問を呈したが、布村審議官は「すべての集団自決に軍の強制があったと読み取る高校生が出てくる可能性がある」と説明。

 出席者は「問題のすりかえだ」「高校生の読解力をばかにした暴言」などと厳しく批判した。

 集まった署名の累計は五十二万七千二百十七人分。要請団は国会内で横路孝弘衆院副議長、江田五月参院議長ら五人に合計一万人分を提出した。要請には社民党の照屋寛徳衆院議員、山内徳信参院議員らも同行した。


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教育者800人 撤回要求/全国集会で連帯確認


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を文科省が削除した高校歴史教科書の検定問題で、全国の教育関係者らでつくる「フォーラム平和・人権・環境」は十四日夜、「沖縄戦の歴史歪曲を許さない!全国集会」を都内で開いた。国会議員や出版、教育関係者ら約八百人(主催者発表)が参加し、同検定意見の撤回を求めるアピール文を採択した。参加者らは記述の回復などを目指し、二十九日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に積極的に参加するほか、全国各地でも連帯して取り組む方針を確認した。

 元小学校教諭の神本美恵子参院議員(民主)は「(安倍内閣は)美しい国をつくると言いながら、彼らにとって憎い事実を歪曲しようとしている。(歴史的事実について沖縄に配慮する)『沖縄条項』を(検定基準に)入れさせ、二度と『歪曲』させないように皆と一緒に戦う」と強調した。

 照屋寛徳衆院議員(社民)も「政治がかく乱して教科書から真実を消そうとしたことを絶対に認めるわけにはいかない」と厳しく非難した。

 高嶋伸欣琉大教授は、十二月とされる、生徒配布用の「供給本」印刷の前に「正誤訂正」の手続きで記述回復を目指す方針を説明。その上で「事実をゆがめたことは見過ごせないと(記述の回復を)言うだけでなく、(全自治体の意見書可決や県民大会を開くなどの)沖縄の取り組みを教科書に(書き込んで)反映させるところまで実現させたい」と意気込んだ。

 「県民大会」に連動した集会が東京、横浜でそれぞれ二十七、二十九日に開かれる。「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」は二十七日午後六時半から、文京区民センターで「9・29沖縄県民大会プレ集会」を開催。「教科書・市民フォーラム」は二十九日午後二時から横浜市技能文化会館で総会を開く。同検定をテーマにした記念講演が予定されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709151300_01.html

 

2007年9月15日(土) 朝刊 30・31面

実行委、5万超へ奔走/県民大会残り2週間

 二十九日に宜野湾海浜公園で開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」まで十五日で残り二週間となった。仲里利信実行委員長は十四日、大会後の東京での要請行動では撤回決議した四十一市町村議会議長、市町村長らに参加を呼び掛けると明言した。

 仲里実行委員長は「参加目標の五万人を上回るよう努力したい」と意気込む。実行委は連日各種団体を訪ね、参加呼び掛けに奔走。これまでに二十七市町村議会が大会参加を確認している。

 実行委は十四日の役員会で、渡嘉敷島の「集団自決」体験者や高校生代表らが、式典で意見発表することや「平和の火のリレー」では大会当日の午前十時に糸満市を出発、午後三時に会場に到着することなどを確認した。


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「集団自決」生存者、登壇へ


 県民大会で登壇する、渡嘉敷島で起きた「集団自決(強制集団死)」体験者の吉川嘉勝さん(68)=那覇市=は「軍命がなければ一晩で三百人もの人が亡くなるわけがない。若い人にも思いが伝わるよう、内容を考えたい」と話した。

 吉川さん一家は一九四五年三月、手榴弾を使った「集団自決」を試みるが、不発。母ウシさんの「死ぬのはいつでもできる」の叫びで、死から免れた。

 戦後は、小中学校の教員として勤務、「若いころから『集団自決』を問い続け、自分なりに苦悩してきた」と振り返る。「年を取り、いつまでも証言できるわけではない。最後の機会という思いで訴えたい」と話した。


バス運賃 片道無料/会場まで県バス協会決定


 県バス協会(会長・中山良邦沖縄バス社長)は十四日、宜野湾海浜公園で開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の参加者に限り、会場までのバス運賃を無料にすると決定、大会実行委員会に伝えた。バス運賃の片道無料化で、大会参加増加に弾みがつきそうだ。

 対象は、二十九日午前十一時から午後四時の間、宜野湾市の「真志喜」「コンベンションセンター前」「宜野湾市営球場前」バス停で下車する参加者。ただし、バスターミナルでの乗り換えなどは対象外。

 参加者は下車時、沖縄タイムスなど県内二紙が大会数日前に掲載する大会実行委の広告のバス無料券(証明書)を運転手に提示しなければならない。コピー可。対象路線は下記の通り。

 20(名護西線)23(具志川線)28、29(読谷線)31(泡瀬西線)32(コンベンションセンター線)55(牧港線)61(前原線)63(謝苅線)77(名護東線)88(宜野湾線)99(天久新都心線)112(国体道路線)120(名護西空港線)223(具志川おもろまち線)228(読谷おもろまち線)263(謝苅おもろまち線)288(宜野湾おもろまち線)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709151300_02.html

 

2007年9月15日(土) 朝刊 30面

ジュゴン訴訟が17日に米で結審

 米軍普天間飛行場の移設に絡み、日米の自然保護団体が米国防総省に名護市辺野古沖のジュゴンの保護を求めて米連邦地裁で争われている訴訟の結審が十七日に開かれるのを前に、沖縄から出廷する原告らが十四日、県庁記者クラブで記者会見を行った。県内からジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨事務局長ら三人が渡米する。

 東恩納さんは、日本のアセスメント法では工事着工を阻止するのは難しいとし、「米国のアセスメント法を適用すれば環境に害があれば工事を止められる」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709151300_07.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年9月15日朝刊)

[イラク米軍削減]

明確な出口戦略を示せ

 ブッシュ米大統領はイラク駐留米軍の増派を「成功」と総括し、来年夏までに三万人削減する考えを示した。

 米軍は増派前の十三万人規模に戻ることになるが、本格的な撤退については判断を先送りした。

 イラクでは宗派間対立が深まり、爆弾テロが全土に拡大するなど泥沼化する一方だ。ますます混迷の度を深めており、増派を成功と評価するのは近視眼的な見方である。

 昨秋の中間選挙では野党民主党が勝利した。共和党の一部を含め、米軍の早期撤退を求める声が高まっている。

 大統領の任期が二年弱となり、レイムダック(死に体)化が進む。今なお出口戦略を示すことができないブッシュ大統領の責任は重大である。

 今回の演説では自らの任期後も米国の関与が必要と訴え、イラクと長期にわたる戦略的関係を結ぶ必要があると強調した。だが、今後も多大な犠牲を払い続けるという選択を米国民が支持するとはとうてい思えない。

 この問題では、ベーカー元国務長官ら超党派でつくる「イラク研究グループ」が昨年末、駐留米軍の事実上の撤退や、イラン、シリアとの対話促進などを求める提言を行った。

 これに対し、ブッシュ政権は対話路線を拒否。今年一月にイラク新政策を発表し、議会の反対を押し切って二万人以上の米兵の一時増派を決めた。

 一般教書演説では、米軍が撤退すれば宗派対立による暴力が中東全域に拡大する「悪夢のシナリオ」を招くと危機感をあおった。

 しかし、武力行使容認の国連安保理決議がないままイラクに侵攻したのは米国だ。大量破壊兵器は見つからなかった。大義のない戦争を始め、最悪のシナリオを招き寄せたのはブッシュ政権ではないか。

 共和党内からも「出口戦略へ向けた超党派的基盤を築けなければ、米国は大失策に高い代償を払う」と懸念する声が出始めた。民主党は早期撤退を求めており、完全撤退へ向けた明確な計画を示すよう迫るのは確実である。

 米中枢同時テロから六年。「有志連合」はほころびを見せており、米国の孤立化が進んでいる。イラク、アフガニスタンでの米兵の死者は四千人を超えた。非政府組織イラク・ボディー・カウントによると、イラクの民間人の死者は七万人を超えるという。

 犠牲者が増えればテロの温床が一層拡大。中東に広がる米不信の連鎖を断ち切ることは困難になる。ブッシュ大統領はイラク安定化へ向けて、国民和解などの条件整備を急ぎ、米軍撤退の具体的な道筋を示すべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070915.html#no_1

 

琉球新報 社説

イラク米軍削減 早期撤退の道筋を示せ

 「成功」と誇らしげに宣言されても、むなしく響く。米国のイラク政策は明らかに失敗続きである。にもかかわらず、ブッシュ大統領は13日(日本時間14日午前)、国民向けにテレビ演説し、イラク駐留米軍の増派を「成功」と総括し、来年夏までに増派前の13万人規模に戻す考えを示した。米軍の削減方針表明は初めてで、イラク政策は転機を迎えたことにはなるが、本格的な撤退については結局、判断を先送りした。

 増派が失敗だったのは、今年、イラク国内で武装勢力による爆弾テロや襲撃などで犠牲になった民間人・イラク政府当局者らの数が、06年に比べて2倍のペースで増え続けていることでも明白である(AP通信まとめ)。1日当たりの死者数は62人(昨年33人)、総数は8月下旬までに約1万4800人に達し、昨年1年間の1万3811人を既に上回った。

 イラク情勢は、泥沼化している。大義名分がないままにイラクに侵攻し、「対テロ戦争」という看板を掲げ、多数の民間人までも死に追いやってきた。しかし、テロリストは弱体化するどころか、むしろ「反米」で結束し、自爆テロは激化している。先に光明を見いだせれば、まだ救われようが、それとてない。

 ブッシュ大統領は7月の米政府中間報告発表の会見で「撤退は支持率を上げるには役立つかもしれないが、長い目で見れば米国の安全に重大な影響をもたらす」と述べ、早期撤退を否定した。今回の演説でも、その意思は変わっていない。

 しかし、駐留を長引かせることによってイラク情勢が好転するとは思えない。

 テロリストを掃討すれば、生まれるのは「憎悪」である。その憎悪は米国だけでなく、イラクの民間人にも向けられる。そして自爆テロ。数十人、数百人の死。残された遺族の新たな憎しみ。

 「対テロ戦争」が生み出すのは憎悪の連鎖でしかない。

 力による解決はもう無理だろう。ブッシュ政権は、イラク政策を劇的に変化させ、出口戦略を探らなければならない。早期撤退を視野に入れ、政策を進めるということだ。

 イラク開戦以来の死者は多国籍軍で4千人以上、民間人で推定7万人以上とされている。この重みをブッシュ政権は受け止めなければならない。

 09年1月の大統領任期切れを意識し、明確な出口戦略を打ち出さないまま逃げ切りを図ろうとしているという指摘もあるが、それは許されないことだろう。時期を明確にし、撤退の道筋を示すべきである。

(9/15 9:48)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-27170-storytopic-11.html

 

2007年9月16日(日) 朝刊 1面

出版社、訂正は「無理」 「軍強制」記述回復

検定意見ある限り認められず「国の撤回しかない」

 文部科学省が高校歴史教科書の沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」について、日本軍の強制をめぐる記述を二○○六年度の検定で削除させた問題で、複数の教科書出版社の関係者が沖縄タイムスの取材に応じ、「軍強制」の記述を回復させるには検定意見の撤回や変更が必要との見解を示した。教科書会社が文科省に、内容を手直しする正誤訂正を申請して記述を元通りにさせることは、「手続きはできるが、検定意見がある限り、文科省は記述回復を絶対に認めないので無理だ」と口をそろえた。(教科書検定問題取材班)

 「驚きはなかった」。社会科の教科書編集に、長年携わってきた出版関係者は、「集団自決」に対する検定意見を渡されたときを振り返る。「これまでの教科書検定も、その時々の政権の歴史観に影響を受けてきた」

 別の関係者は「南京大虐殺や従軍慰安婦をめぐる記述で社会科の教科書検定が注目されるようになり、検定が神経質さを増してきた。記述の自由を制約し、慎重さを求めるのが最近の検定の傾向だ」と話す。

 検定意見を渡されると、その後、十週間の修正期間で教科書調査官と教科書会社が意見がついた記述をどのように変更するかやりとりする。教科書会社側も「簡単に引き下がったわけではない」が、結局は調査官が考える歴史解釈の幅に収まる表現に改められる。

 出版社は検定意見を渡されてから十五日以内に反論書を提出し、検定意見の見直しを求めることもできるが、「よほどはっきり『検定は間違い』といえることでなければ難しい」という。「文科省と必要以上に争いたくない」との本音もある。

 正誤訂正の申し出による記述回復については、「教科書執筆者から正式な要求があれば、出版社としては考えざるをえない」という出版関係者もいるが、「外部からの要求に、教科書出版社として応じるわけにはいかない」「検定意見への抵抗を示す意義は認めるが、記述回復という結果にはつながらない」と消極的な姿勢が目立つ。

 「文科省が検定意見を撤回するか変えるかしなければ、今後も教科書に『日本軍の強制により集団自決があった』とは書けない」のが現状だ。

 ある教科書編集者は、「検定制度がある以上、こうした問題は起こり続ける」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709161300_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年9月16日朝刊)

[「集団自決」軍命削除]

文科省の意図が見える

 やはりと言うべきか。文部科学省の教科書検定で、高校歴史教科書の沖縄戦の項目から「集団自決(強制集団死)」に対する旧日本軍の関与を示す記述が削除された問題について、同省の教科書調査官が示した検定意見がそのまま通っていたことが分かった。

 沖縄戦の研究者ではなく、日本近現代史の専門家でもない。文科省職員にすぎない調査官が、「検定」という公的手続きの中でこれだけ重みを持つのは一体どういうことなのか。

 伊吹文明文科相は「文部科学省の役人も安倍(晋三)首相もこのことについては一言も容喙(口出し)できない仕組みで教科書の検定は行われている」と答弁していたのではなかったか。

 この問題は党派に関係がない。県選出・関係国会議員は国会で取り上げ、沖縄戦の歴史認識と検定について文科相らの考えをただしてもらいたい。

 本紙の調べで、教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会では沖縄戦に関する意見が出ず、審議が行われなかったことが明らかになっている。

 だが、布村幸彦文科省審議官は「教科用図書検定調査審議会が決めたこと」と事実とは違う説明をしている。十四日には審議がなかったことを認めつつ「調査意見書の作成段階で審議委員の意見が反映されている」と述べた。

 審議委員の一人は「日本史小委員会では『集団自決』に関する検定意見について教科書調査官の説明を聞いただけ。話し合いもせずに通してしまった」と本紙の取材に答えている。

 日本史小委員会で「集団自決」についての具体的な議論はなく、審議会でも学問的な論争はしなかったと認める同省関係者もいた。

 なのになぜ、審議官は「手続きは正当に行われた」と言い張るのだろうか。もしそれが文科省の意図であれば、それこそ歴史に汚点を残す。

 審議官はまた、「すべての集団自決に軍の強制があったと読み取る高校生が出てくる可能性があるから」と軍命削除の理由を述べている。

 取ってつけたような理由で教科書の記述を換えれば、かえって沖縄戦の全体像がぼけてしまい、曲解される恐れも出てくるのではないか。

 懸念されるのは沖縄での激しい戦闘と、その渦中で県民がどう加担させられ、お年寄りや女性、子供がどう巻き込まれていったかという実相が歴史の闇に葬られることだ。

 このような検定を承服するわけにはいかない。歴史から学ぶには事実に対し真正面から向き合う必要がある。そのためにも真実に光を当てる努力を怠ってはならない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070916.html#no_1

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