沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(11月21日、22日、23日)

2007年10月21日(日) 朝刊 1面

衆院選 社民県連が擁立決定

2区 照屋氏 3区 新川氏

 社民党県連(照屋寛徳委員長)は二十日、沖縄市内で定期大会を開き、次期衆院選の沖縄2区に現職で同党副党首の照屋寛徳氏(62)、3区に元沖縄市長で県議の新川秀清氏(70)の擁立を正式に決定した。党本部に申請し、常任幹事会で公認が決定する。

 照屋氏は「米軍基地の機能強化や沖縄戦の『集団自決(強制集団死)』の歴史改ざんを許さず、あらゆる知恵と力を結集し、衆院選を勝ち抜きたい」とあいさつ。新川氏は「社民党がしっかりとやらないといけない。米軍再編は、基地を嘉手納基地以北の中北部に集中させ、基地の掃きだめにする狙いだ。阻止するため、全力を挙げて議席を獲得したい」と訴えた。

 照屋氏は一九四五年七月生まれ。うるま市(旧具志川市)出身。琉大卒。県議二期、参院議員一期を経て二〇〇三年に衆院議員初当選。二期目。

 新川氏は一九三七年一月生まれ。沖縄市出身。コザ高校卒。沖縄市の福祉、経済部長を経て九〇年沖縄市長に初当選。二期務めた。県議二期目。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710211300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年10月21日朝刊)

[ゴルフ接待疑惑]

国会は事実究明怠るな

 八月末に退任した守屋武昌前防衛事務次官は、四年以上も事務方のトップに君臨し続けてきた。

 中央官庁の慣行を破る異例の「長期政権」だった。官邸や自民党国防族に深く食い込み、省内では「守屋天皇」とも呼ばれた。

 日米両政府が普天間飛行場の移設返還に合意して以来、十年以上も沖縄の基地問題にかかわり続けた。

 移設問題をめぐる省内の路線対立では終始、強硬派として振る舞い、現行の「V字形案」をまとめた。沖合移動を求める県や地元名護市に対して「合理的な理由がない」と突っぱね続けてきたのも守屋氏である。

 その守屋氏にゴルフ接待疑惑が浮上している。

 在職中、防衛省業務の受注実績を持つ防衛専門商社の元専務と百回以上にわたってゴルフを行い、その上にマージャンや飲食も繰り返していたというのだ。

 事実であれば、とんでもないことである。

 二〇〇〇年に施行された「自衛隊員倫理規程」は、利害関係者から供応接待を受けることなどのほか、「利害関係者と共に遊技またはゴルフをすること」も禁じている。

 いわゆる背広組の守屋氏も法律上、自衛隊員として位置づけられ同規程の適用を受けることになっており、倫理規程施行以降にゴルフをしたとすれば明確な違反行為となる。

 仮に規程適用前の行為だとしても問題は残る。

 守屋氏に関しては、ゴルフ接待疑惑のほかにも、二つの問題が持ち上がっている。一つは、給油量訂正問題、もう一つは航海日誌廃棄問題だ。

 海上自衛隊がテロ対策特措法に基づいて米艦船に給油した燃料の量を大幅に訂正した問題は、守屋氏が防衛局長の時に起きている。

 米艦船に給油した燃料の転用疑惑が依然として晴れないだけに、守屋氏本人からの聴取が欠かせない。

 海自の給油艦が、四年間保存するという内部規則に違反して航海日誌を五カ月分廃棄したことも明らかになっている。この問題に守屋氏がかかわっているのかいないのか、解明が必要だ。

 国会では新テロ対策特措法の法案審議が週明けから始まるが、法案の実質審議に入る前に、まずこれらの疑惑について徹底的に事実関係を明らかにすべきである。

 防衛省は軍事力を発動する組織であり、組織運営にあたっては、いささかもやましいことや疑惑があってはならない。あいまいなまま幕引きを図るのは危険だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071021.html#no_2

 

琉球新報 社説

前事務次官に疑惑 真相の究明こそ第一

 「最も政治家らしい官僚」と称された守屋武昌防衛省前事務次官に、自衛隊倫理規定違反の疑いが出てきた。特別背任などの容疑で東京地検特捜部が防衛・航空分野の専門商社「山田洋行」の元専務や関係者から事情聴取を進めているが、元専務と在職中の守屋前事務次官がゴルフやマージャン、会食を頻繁に繰り返していたという。

 石破茂防衛相は、この問題に関し「防衛省全体の信用にかかわること。先月まで事務方トップにいた方なので、必要な確認はする」と表明している。調査の結果、事実が判明すれば同省としても国民に納得のいく説明、対処が求められる。折しも、国会では対テロ新法案の審議入りを週明けに控えており、それへの影響も懸念される。決してあいまいに済まされるべきではない。

 これまで明らかになった事実を見ると、守屋前次官は元専務と最近まで、100回以上ゴルフをしていた。また、マージャンや会食も何度もあった。プレーは山田洋行の関連会社が経営するゴルフ場など。多いときには毎週のようにあり、前次官の妻も同席していたこともある。山田洋行側が料金を負担したこともあったという。

 自衛隊倫理規定は、自衛隊員が利害関係者から供応接待を受けたり、費用を相手持ちでゴルフをしたりした場合、減給または戒告処分となる。自費でも一緒にゴルフしただけで戒告処分の対象だ。今回のケースはこの規定に違反するのは明白だ。

 守屋前次官は8月末、接待疑惑を記者会見で問われて「職権を特定の人のために行使したことはない」と答えている。しかし、倫理規定は(職権の行使の有無を問わず)利害関係者と、一緒にプレーしただけで処分の対象としているのだ。苦しい言い訳にすぎない。ましてや、「職権の行使」とは論外。だとすると、規定違反どころか、汚職になりかねない。

 確かに、前次官はすでに退職しており処分には異論もあろう。だが、捜査当局とは別に防衛省には事実を究明する責務がある。国民の信頼を回復する唯一の道だ。

(10/21 10:37)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28259-storytopic-11.html

 

2007年10月22日(月) 夕刊 1面

落下傘訓練に抗議決議/沖縄市議会

 【沖縄】在沖米空軍によるパラシュート降下訓練が県や周辺自治体の中止要請を押し切り、嘉手納基地で十九日に強行された問題で、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は二十二日、臨時会を開き、「市民の平穏な生活を守る立場から、断じて容認できない」とする抗議決議と意見書両案を全会一致で可決した。抗議文のあて先は駐日米国大使、在日米軍司令官ら。

 決議では「パラシュート訓練が嘉手納基地で恒常化されることは明白であり遺憾だ」と批判。今回の訓練で隊員二人が着地点である滑走路内の緑地帯から外れ、そのうち一人が基地内の林の中に降下したことを挙げた上で「嘉手納基地周辺は住宅街や交通量も多いことから、一歩間違えば事故を誘発することも予測される」と指摘。伊江島補助飛行場での同訓練移転が合意された一九九六年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告の厳守を強く求めている。

 また、同議会は同日午前の臨時会で、米軍嘉手納基地内に住む米軍人の息子(21)による強姦致傷事件について「人権を踏みにじる非人道的な犯行は断じて許されるものではない」とする抗議決議と意見書の両案を同じく全会一致で可決した。被害者への謝罪と補償、米軍人・軍属・家族への綱紀粛正と教育の徹底など実効ある再発防止策を求めている。

 抗議決議のあて先は駐日米国大使や在日米軍司令官ら。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710221700_01.html

 

2007年10月22日(月) 夕刊 5面

真実宿る 戦世の傷跡/沖縄戦特別展

 【糸満】県平和祈念資料館(宮城智子館長)の第八回特別企画展「沖縄戦と戦争遺跡―戦世(イクサユー)の真実を伝えるために」が二十一日、糸満市摩文仁の同資料館で始まった。ガマや壕など県内に残された代表的な戦争遺跡百五十カ所を、写真パネルや遺品を交えて紹介している。十二月二十四日まで。

 戦争体験者が少なくなる中、沖縄戦を後世に正しく伝えるため、戦争遺跡の保存活用の重要性を考えるのが狙い。

 戦争遺跡の分布図とともに、さびた機関銃や鉄かぶと、手榴弾、火炎放射器や病院壕から出土した手術器具などの実物約二百点を紹介。沖縄戦最後の激戦地・摩文仁周辺については、住民の避難場所などを示した立体模型を展示した。

 南部戦線で捕虜となり、本島北部の収容所で死亡した糸満出身者の墓碑、共同墓地に埋葬されていた入れ歯や鑑札、指輪などの遺品も。来場者は、ガラス越しに展示物を熱心にのぞき込み、住民を巻き込んだ地上戦の悲惨さに思いをはせた。

 宮城館長は「戦争遺跡は、戦争体験者の証言と一体となって沖縄戦の実相を伝えていく歴史的史料として極めて重要だ。企画展を通して戦争遺跡の重要性と平和の尊さを考える機会にしてほしい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710221700_02.html

 

2007年10月22日(月) 夕刊 5面

新たに4団体参加/検定撤回はがき運動

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から日本軍強制の記述を削除した文部科学省の高校歴史教科書検定問題で、県婦人連合会、県老人クラブ連合会、県遺族連合会、元女子学徒隊でつくる「青春を語る会」は二十二日、検定意見撤回の意思を福田康夫首相や渡海紀三朗文部科学相に寄せ書きやはがきで送る運動に参加することを発表した。

 すでに運動に取り組んでいる県子ども会連絡協議会に続くもので、各団体の代表が同日午前、県議会で会見し、県民への協力を呼び掛けた。

 今後、五団体以外の団体にも協力を呼び掛けていく。

 沖子連の玉寄哲永会長は「検定意見を撤回しない政府に対し、『有力な審判者は県民の声である』との呼び掛けで県民運動を展開したい」と協力を呼び掛けた。沖婦連の小渡ハル子会長は「なぜ、真実を真実として伝えようとしないのか。県民一人一人がはがきを送り、声を届けよう」と訴えた。五団体は街頭で県民に寄せ書きを募る考えも示した。問い合わせは沖子連、電話098(941)4766。または沖婦連、電話098(884)5333。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710221700_03.html

 

2007年10月22日(月) 夕刊 5面

全駐労、強く反発/軍雇用員の手当減提案

 日米両政府が交渉している在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新特別協定締結協議で、日本側が日本人労働者向けの諸手当約百億円の削減を提案していることについて、全駐労中央本部の照屋恒夫書記長は二十二日、「米軍再編に掛かる費用を、労働者の手当を削って捻出するのは、労働者をないがしろにした行為だ」と、強い不快感を示した。

 同本部では二十三日、全国の各支部委員長らを集め、削減案拒否の姿勢で防衛省との団体交渉に臨む。

 同本部によると、二〇〇六年四月一日現在の従業員の平均給与は月額二十五万四千三百三十四円。国家公務員の基本給に10%上乗せしている「格差給」だけでも、削減額全体の67%に当たり、一人当たり月額約二万五千円、年間約三十万円が削られることになる。

 照屋書記長は「『公務員にない手当』だといわれるが、その逆もあり、実際の給料は公務員よりも低い。財政難という理由一つで、手当を削り、しわ寄せを労働者に押し付けるやり方はいかがなものか」と、強く反発している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710221700_04.html

 

2007年10月22日(月) 夕刊 5面

きょうから即応訓練/嘉手納基地 あすGBS使用

 【嘉手納】嘉手納基地の米空軍第一八航空団は二十二日から二十六日にかけ、同基地で、GBS(地上爆発模擬装置)やサイレン音、英語の拡声器放送などを伴う即応訓練を実施する。GBSを用いた訓練は、二十三日から行う予定。

 同基地報道部が二十二日午前発表した。

 報道部によると、「地元へ影響が生じないよう、GBSや発煙装置の設置場所は事前に基地幹部の承認を得る」などとしている。沖縄防衛局から連絡を受けた嘉手納町は同日午前、「地域住民に影響が及ばないよう配慮」するよう同局に求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710221700_05.html

 

2007年10月23日(火) 朝刊 1面

防衛局、住民意見を提出 「普天間」アセス

知事きょう抗議表明

 米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きで、沖縄防衛局は二十二日、方法書に対する住民らの意見の概要を県、名護市、宜野座村に送付した。県は同日から六十日以内の十二月二十一日までに知事意見の提出を迫られる。仲井真弘多知事は二十三日に記者会見し、地元との協議が整わない段階でアセス手続きを進める国への抗議を表明した上で、方法書の受け取り保留を解除し、名護市が求める「滑走路の沖合移動」を知事意見で要求する考えを打ち出す見通しだ。

 防衛省の辰己昌良地方協力企画課長らが二十二日午後三時、県庁に上原昭知事公室長を訪ねた。約二十分間の協議後、辰己課長は「その(意見書概要提出の)ために来たことは認める。(置いていったという)議論に意味はない。届けたら終わり。名護市と宜野座村も含めて郵送する」と話した。

 上原公室長は「決裁印のないコピー文書を事前説明ということで持ってきた」と説明、同日段階では正式な受理ではないとの考えを示したが、午後五時ごろ、沖縄防衛局職員があらためて県庁を訪れ、決裁印の付いた概要書を提出した。

 仲井真弘多知事は二十二日夕、記者団に対し「あすコメントすることになっている」とのみ繰り返した。県は、郵送分の概要書が県に到着する二十三日に知事の声明を正式表明する方針だ。

 沖縄防衛局は、郵送分を合わせて計四百八十七通の住民らの意見を受理。意見概要は、方法書の確定前に実施している現況調査(事前調査)の中止要求など三百五十七件にまとめられている。アセス手続きでは、意見概要の受理後、県は名護市など関係市町村長の意見を聴取した上で知事意見を六十日以内(国のアセス法は九十日以内)に沖縄防衛局に提出する。県アセス条例は、知事意見をまとめるために必要があれば県環境影響評価審査会の意見を聴くことができると規定している。同局は知事意見などを踏まえて、方法書を確定する。


名護市長も意見提出へ


 【名護】防衛省は二十二日、公告縦覧したアセス方法書への住民らの意見をまとめた概要書を名護市にも提出した。午後六時ごろ、沖縄防衛局職員が市役所基地対策室に提出した。

 島袋吉和名護市長は「(意見概要が)提出されたということは(知事意見の提出への)カウントダウンだ。意見を言わないわけにはいかない」と述べ、知事意見の材料となる市長意見を出す考えを示した。二十三日に今後の対応に関するコメントを発表する。

 これに先立ち同日午後、末松文信副市長や玉城政光政策推進部長らが県庁に仲里全輝副知事らを訪ね、今後の対応を協議した。県と名護市で歩調を合わせて対応することを確認したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710231300_01.html

 

2007年10月23日(火) 朝刊 25面 

意見大半 撤回を要求/「普天間」アセス

 米軍普天間飛行場の代替施設建設をめぐり、沖縄防衛局の環境影響評価(アセスメント)方法書に対する住民の意見が二十二日、公表された。「法の形骸化であり撤回すべき」など、五百通近くのほぼすべてが手続きのやり直しを求め、調査の非科学性の指摘も目立った。県は今後、手続き保留の解除と知事意見提出に動くが、専門家は「違法なアセスを追認してはならない」とくぎを刺した。

 「法の手順を逆転させ、自然を破壊する違法な環境現況調査は中止すべき」

 「大気質、生態系など評価項目の選定理由が抽象的で意味不明」

 意見を提出したWWF(世界自然保護基金)ジャパンの花輪伸一さんは「事前調査で環境を攪乱した後のアセスは、科学的でない。県の意向を無視し、市民参加も形骸化させた」と批判する。

 「飛行機の種類や数量も示さずに予測するのは不可能」

 「軍港を建設するのか明らかにすべき」

 基地のアセスに、秘密主義の壁が立ちふさがる。沖縄大学学長の桜井国俊教授(環境学)も意見書を出し、「防衛省は米軍が基地をどう使うか、情報提供させると確約すべきだ。そうでなければ、手続きはただの免罪符になる」と強調する。

 県が知事意見を提出することについて、「建設予定地が県の自然環境保全指針でランク1に指定されていることが、今回の方法書では抜け落ちている。アセス審査会を開いて専門家の意見を聞くべきだ」と求めた。

 「ジュゴンの絶滅危惧種指定を記述しないなど客観性に欠け、生息状態を無視している」

 「調査は最も海草藻場の多様性が高いエリアが空白になっている」

 環境の専門的な立場からも意見が相次いだ。グリーンピース・ジャパンの星川淳事務局長は「本島東海岸の命の多様さは奇跡。海洋生態系の価値を再評価してほしい」と訴える。アセス手続きを認めない立場から意見を出さず、代わりに国内外から三万人の署名を集めた。「世界の目が注がれている。事業中止を選択肢に含め、アセスをやり直すべきだ」と求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710231300_02.html

 

2007年10月23日(火) 朝刊 24面

「水と緑 アフガン救う」/ペシャワール会 中村医師

 パキスタンやアフガニスタンで医療活動などを行う非政府組織「ペシャワール会」(事務局・福岡市)の現地代表、中村哲医師が二十二日、「いのちを救え!武器なき国際貢献?アフガニスタンの医療の現場から?」をテーマに那覇市民会館で講演。「平和を達成するのは軍事力ではなく、地域に溶け込んだ国際貢献だ」と訴えた。沖縄ベンチャークラブが主催、うないフェスティバル実行委などが共催した。

 中村医師は、一九八四年にパキスタンで医療活動を始めた。アフガニスタンでは二〇〇〇年から井戸や水路を整備し、相次ぐ内戦や干ばつなどで飢えに苦しむ六百万人の農民の飲料水や農業用水の確保に取り組んだ。

 講演では干ばつで砂漠化が進む農地や水源確保事業の進む状況を写真や地図で紹介。約九百人の聴衆に、アフガニスタンで暮らす住民の過酷な現実を伝えた。

 「ペシャワール会」は国境紛争の影響で、十一月に診療拠点をパキスタンからアフガニスタンに移す。中村医師は「移転後も、現地に土着化して医療や水源確保事業を続ける会の本質は変わらない。両国で半永久的に活動したい」と意気込んだ。

 その上で、「二十三年間、地元の人から襲撃されたことは一度もなく、武器さえあれば身を守れるという『妄想』から自由になれた。アフガニスタンを救うのは水と緑だ」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710231300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年10月23日朝刊)

[思いやり予算]

原則踏まえた見直しを

 思いやり予算をめぐる日米協議が難航している。

 光熱水料などの大幅増額を要求する米側に対し、日本側は難色を示している。基地従業員の手当削減案を示した日本側に対しては、米側が難色を示すという展開だ。

 平たく言えば、総額を減らしたい日本側と増額を図りたい米側が、お互いの主張をぶつけ、妥協点をどこに求めるかで腹の探り合いを演じている、ということだろう。

 それにしてもこの構図は分かりにくい。一体、誰が誰の味方なのか。

 在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)について定めた日米特別協定は来年三月末で期限切れを迎える。現在、日米の間で進められているのは、新協定案づくりのための交渉だ。

 思いやり予算は、地位協定で日本政府の負担が義務付けられていないにもかかわらず、日米同盟の安定維持のために支出しているもので、(1)施設整備費(2)従業員の労務費(3)在日米軍の光熱水料(4)訓練移転費、に大別される。

 特別協定の対象になっているのは、労務費、光熱水料、訓練移転費の三項目。政府は今回初めて、労務費の削減案を打ち出した。

 日本側が負担している基本給、諸手当などの労務費のうち、国家公務員の基本給に10%を上乗せしている「格差給」や「語学手当」などを削減する意向だ。

 財政事情が厳しく国民に負担を転嫁するような施策が相次いでいる中で、思いやり予算だけが聖域であっていいわけがない。

 日本の「ホスト・ネーション・サポート」(駐留国受け入れ支援)は世界の中でも突出しており、住民感情からしても見直しは当然である。

 ただ、「格差給」を削減しても米側が補てんする必要がないから「日米同盟に傷がつかない」(政府高官)という姿勢は、あまりにも安易に過ぎないか。

 「格差給」という名の手当がほんとに必要で妥当な手当かどうかについては、確かに議論の余地がある。

 その一方で、長期にわたって「格差給」が支給され、生活給として固定化されてきた事実も重い。

 「格差給」を問題にするなら、思いやり予算削減の文脈ではなく、もっと別の場で議論し、国民の理解が得られるような結論をだした方がいい。

 政府は、米軍のグアム移転経費を肩代わりすることになっているが、その額は膨大である。むしろ今こそ、地位協定で定められた米軍負担の原則に立ち返って、負担の見直しを進めるべきである。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071023.html#no_1

 

琉球新報 社説

海自給油量隠し 文民統制に危うさないか

 文民統制(シビリアンコントロール)は、今のままで本当に大丈夫なのか。国民にそんな疑念を抱かせかねない問題が新たに浮上した。

 海上自衛隊の補給艦がインド洋で米補給艦に給油した量が20万ガロンではなく、実際は80万ガロンだったと訂正された問題について、海自は約4年前から間違いに気付いていたことが判明した。事実を掌握していたにもかかわらず、当時の石破茂防衛庁長官(現防衛相)らに報告されていなかったというのだから、事は重大である。

 政府・与党は、23日の衆院本会議で海自の給油活動継続のための新テロ対策特別措置法案について趣旨説明と質疑を実施し、24日から衆院テロ防止特別委員会で本格的に質疑をスタートさせたい意向である。

 しかし、防衛省をめぐって問題が多すぎる。今回、判明した給油量の実態隠しのほか、給油燃料のイラク戦への転用問題、航海日誌の破棄問題、装備調達関係の業者とのゴルフが浮上している守屋武昌前防衛事務次官の癒着疑惑など次々に明らかになっている。

 問題が頻発するのは、防衛省の基本的な体質と関係しているのではないか。そんな疑いの目を向けられても仕方ない。

 いずれにせよ、看過できない問題ばかりだ。新法案の審議に入る前にやるべきことは、まずこれら疑惑の解明が先決だ。

 防衛省が提出した報告書によると、海自が給油量の誤りを発見したのは、2003年5月9日だった。当時の福田康夫官房長官が給油量を発表した日である。

 当然、ミスは速やかに訂正して報告するのが筋である。だが海上幕僚監部の防衛課長(当時)らはそうはしなかった。重要事項だというのに、認識の欠如ぶりには目を覆いたくなる。

 4年前の実態を知らされた福田首相は「とんでもないことをしてくれる」と記者団に述べたが、そのとんでもないことが実際に行われていたのだ。

 文民統制が危うくなるようでは新法の前提が揺らぐ。再発防止策を含め防衛省の改革を急ぐべきだ。

(10/23 9:42)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28305-storytopic-11.html

 

琉球新報 社説

基地労務費削減 削るべき費用はほかにある

 今秋から本格化している日米両政府の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新特別協定締結協議で、日本側が在日米軍基地で働く日本人労働者向けの諸手当の削減を提案していることが分かった。

 削減理由は財政難だ。政府は協議を年内に決着させ、新協定案に基づく経費を来年度予算案に計上するシナリオを描く。日本人労働者でつくる全駐留軍労働組合と既に交渉に入っているようだ。

 全駐労は県内の従業員が圧倒的に多い。提案に組合側は「米軍再編に資金がいるからと言って、労働者に負担を課せるのは言語同断。本末転倒」と反発、受け入れを拒否する姿勢を示している。

 諸手当が削られることは、働く者にとっては死活問題だ。諸手当を含む給与に基づいて収支の見通しを立て、その上でそれぞれの生活設計が成り立っている。

 財政問題を振りかざされ、政府提案をのむよう迫られて「そうですか。はい、分かりました」というわけにはいくまい。

 思いやり予算は、在日米軍の隊舎や家族住宅など施設整備を図る地位協定分と、基地従業員の労務費や米軍が使用する光熱水費などの特別協定分に分かれる。

 2007年度の思いやり予算総額は2173億円。うち約3分の2を労務費が占めている。政府は削減額を約100億円と設定、従業員に支給される「格差給」の廃止によって削減額の67%は達成できると踏んでいるようだ。

 そもそも削減幅にも無理がある。格差給は国家公務員の基本給に10%上乗せされている手当だが、これがなくなれば基本給は1割程度減ることになるからだ。

 政府が格差給を「時代遅れ」としてやり玉に上げるのに対し、組合側は「実際には基本給が高いわけではなく公務員の平均給与より低い」と異を唱える。

 削減提案の背景には、締結協議の中で米側が電気、ガス、水道代などの光熱水費の大幅増額を求めていることがある。光熱水費などと違い、諸手当削減なら米側には補てんの必要がない。痛みが伴わないから受け入れられる、そんな理屈だ。

 海上自衛隊によるインド洋での給油活動の一時中断が危ぶまれる状況を念頭に、日米同盟に傷がつくことを回避する狙いもある。

 しかし、それだと一種の「弱い者いじめ」にならないか。合理性に乏しく、説得力を欠くと言わざるを得ない。

 思いやり予算については、娯楽施設の整備など米側の要求通りに手厚く振る舞い、国税の無駄遣いと再三、指摘されてきた。そこに手を付けずに削りやすいところに踏み込むやり方は、安易すぎないか。

(10/23 9:43)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28306-storytopic-11.html

 

2007年10月23日(火) 夕刊 1面

米軍落下傘訓練 嘉手納議会、抗議決議

 【嘉手納】在沖米空軍が県や地元の反対を押し切り、米軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行した問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は二十三日午前、臨時会を開き、「例外的措置を認めれば、米軍の都合が優先され、訓練が恒常化する」などとして、米軍の姿勢を批判。同基地での降下訓練に反対する抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。また、北谷町議会は同日午前、基地対策特別委員会(照屋正治委員長)を開き、二十五日の臨時会で、パラシュート降下訓練と強姦致傷事件に対する抗議決議と意見書を提出することを決めた。

 嘉手納町議会の決議、意見書は「例外を盾に訓練が恒常する意図がうかがえる」として、同訓練を伊江島補助飛行場で実施することで決まった一九九六年のSACO(日米特別行動委員会)合意の形骸化を指摘。今回の訓練で隊員二人が着地点から大きく外れ、うち一人が基地内の林の中に降下したことについて「周辺住民に危険があることが証明された」と糾弾した。

 今年一月にも周辺自治体、議会が反対したにもかかわらず、同訓練を強行した上、わずか九カ月で再び実施した米軍について「地域住民の声を無視した姿勢、行為であり激しい怒りをもって抗議する」と訴え、今後一切、同基地でパラシュート降下訓練を行わないよう求めている。

 あて先は同基地司令官、駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米国総領事、総理大臣、防衛相、外相、沖縄防衛局長ら。また、嘉手納基地内に住む米軍人の息子による強姦致傷事件についても「女性の人権を踏みにじる非人道的で、悪質な犯行は断じて許されるものではない」とする抗議決議、意見書の両案について全会一致で可決。被害者への謝罪や補償、再発防止の徹底を求めている。あて先は同基地司令官、駐日米国大使、在沖米国総領事ら。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710231700_01.html

 

2007年10月23日(火) 夕刊 1面

「北部振興を推進」/岸田沖縄相が所信表明

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十三日午前の衆院沖縄・北方特別委員会で就任後初めて所信表明し、本年度の配分が凍結されている北部振興事業について「地元の要望を踏まえながら着実に推進する」と予算執行に意欲を示した。

 教科書検定意見撤回を求める県民大会が開かれたことにも言及。「県民の深い思いをしっかり受け止めながら沖縄の振興に精いっぱい努力する」と述べた上で、「多くの方々が参加した。沖縄戦で悲しいつらい経験をされたことへの県民の深い思いを示すものだ」と十一万人余が参加した重みを強調した。

 沖縄の自立型経済の構築は「現場主義」の考えで、観光と情報技術(IT)関連産業の振興に重点的に取り組む考えを示した。観光振興では「良質な観光リゾート地の形成を進める」と質の重視を強調。IT分野では「IT津梁パーク構想などを進め、アジア最先端の高度情報通信産業の集積を目指す」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710231700_02.html

 

2007年10月23日(火) 夕刊 4面

教科書検定の撤回求める/国際反戦デー集会に300人

 国際反戦デー沖縄県集会(主催・沖縄平和運動センター)が二十二日、那覇市の県民広場で開かれ、労組や市民団体、政党関係者など約三百人が参加した。二十三日に衆院で審議入りする新テロ対策特別措置法案の廃止や、教科書検定意見の撤回を求めた。

 大浜敏夫副議長は「私たち労働者、市民の連帯で戦争被害を終わらせよう」と訴え、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「教科書の改ざんを撤回させるまで、一緒に行動していこう」と呼び掛けた。集会後、参加者が国際通りをデモ行進し、「テロ特措法反対」などのシュプレヒコールを繰り返した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710231700_04.html

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