沖縄タイムス 関連記事、琉球新報 社説(11月24日、25日、26日)

2007年10月24日(水) 朝刊 1・29面

米が陸上調査勧告/「普天間」アセス

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設をめぐる環境影響評価(アセスメント)について二〇〇六年四月当時、水域でのみ行う計画だった防衛庁(当時)に対し、米側が埋め土として掘削される辺野古ダムやシュワブ陸上区域でも(希少生物などの)生息調査をするよう勧告していたことが二十三日分かった。自然環境保護のため米連邦裁判所で米国防総省を相手に「ジュゴン訴訟」を提起している沖縄在住の原告団が同日、名護市内で会見し、裁判で示された米政府の文書を公開した。

 同文書で米側は、「もしアセスが不十分ならば、建設や将来の運用により、環境や生息地への予想外の影響が生じた場合、米国海兵隊が責任を負わされるだろう」と強く危惧。移設を支持する米側ですら、日本側の拙速な計画に疑念を呈していた形だ。

 額賀福志郎防衛庁長官(当時)と島袋吉和名護市長らが、V字形滑走路建設で基本合意した〇六年四月七日の直後の十九日に当局者の話し合いを記録した文書で、二十日付。

 普天間飛行場にはない弾薬装備場を滑走路北側に設置するという記述もある。同項目には「解決済み」とあり日米間で合意したとみられる。

 また、日本側が騒音コンター(分布図)を示していないのに対し、米側は「新しい滑走路の形状・配置ならびに、運用に関係する騒音コンターを示す必要がある」と指摘している。米側は当時から、陸地上空の飛行はあり得るとの立場で、「集落地区上空の飛行ルート回避」を強調する日本側を、けん制した内容だ。

 さらに米側は、二〇〇一年の運用要求書に基づき、艦船の寄港に使用されるとみられる全長二百十四メートルの岸壁を図面で示すよう要求。米側の勧告後に、地上でのアセスは実施されることになったが、施設の具体的な内容は、政府の環境影響評価方法書には記載されていない。


     ◇     ◇     ◇     

「情報隠し」国批判/原告「県民だまし」


 【名護】「政府は市民や県民をだまそうとしている」「名護市長や知事は(滑走路を)沖合に出せといっているが、それで解決する問題ではない」―。二十三日、名護市内の公民館で開かれた米国ジュゴン裁判報告会。普天間飛行場の代替施設に二百メートル以上の岸壁や弾薬装備場設置などで米側と詳細な協議をしているにもかかわらず環境影響評価書では、施設の内容に触れない政府の姿勢を強く批判する声が相次いだ。

 原告団の真喜志好一さんは米側文書で、現在嘉手納基地で行われている航空機の弾薬装備施設を代替施設にも設置することで日米が合意している記述に注目。「実弾射撃は鳥島射爆場などでしか行われていないが、伊江島の射爆場が再び使われるようになる。名護市や東村高江上空を実弾を装備したヘリやオスプレイが、飛び交うようになる」と危機感を表明。二百メートルを超える岸壁は「天候次第では強襲揚陸艦エセックスも寄港が可能になる」と指摘した。

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団団長の東恩納琢磨さんは「強い怒りを感じる」と感情を抑えきれない表情。ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「賛成派が納得しているのは(危険な)情報が隠されているからだ。本来政府が出すべき資料が出されていない。知事も市長もだまされている」などと名護市長らに、白紙撤回を求めていく考えを示した。

 フロアからも発言が相次いだ。ヘリ基地いらない二見以北十区の会共同代表の浦島悦子さんは「地元も本土のマスコミも、滑走路の沖合側移動を要求する知事や市長を『頑張っている』と評価する論調はおかしい。市民は基地が造られることを望んではいない」と、「地元対政府」の構図で伝えがちな報道を批判した。

 参加者からは、基地建設を進めるために、地域住民の生活環境への悪影響を公表しない“本末転倒”ともいえる日本政府への批判が相次いだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710241300_02.html

 

2007年10月24日(水) 朝刊 1面

知事、アセス保留解除/普天間代替

 米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)手続きで、沖縄防衛局が方法書に対する住民らの意見概要を県に送付したことを受け、仲井真弘多知事は二十三日、県庁で記者会見し、「環境アセス手続きの一つとして受け取らざるを得ない」とし、方法書の受け取り保留を解除し、知事意見の提出手続きに踏み切る考えを表明した。県は今月中にも環境影響評価審査会に諮問する見通し。知事はまた、「県や地元の意向が無視されている」と防衛省の対応を厳しく批判した。

 知事意見の手続きを進める理由については、(1)知事意見を述べないと、異議なし、ととらえられ、住民や関係市村長の貴重な意見を踏まえないことになり、地域の環境保全に責任を持つ知事の立場が損なわれる(2)地元の意向を踏まえ、できるだけ沖合に寄せてほしいというこれまでの主張を放棄したとも見なされかねず、大変不本意―と説明。「アセス前の修正」を断念し、アセス手続きを進める中で引き続き「滑走路の沖合移動」を求める意向を示した。

 沖合移動を求める理由として、住宅地への騒音のほか、海流の変化によるサンゴや藻場への影響、さらにキャンプ・シュワブ沿岸部にあるウミガメの産卵地や貝塚が破壊される―と指摘。防衛省の騒音データについては「あの数値はまったく信用していない。データ上極めて疑義が強い」と切り捨てた。「騒音から言えば、かなりまだ(沖合に)出すべきだ」としたが、「事業を進めるのは防衛省」とし、今後も移動距離など県側から具体的要求を打ち出す考えがないことを明らかにした。

 知事が権限を持つ埋め立て申請への対応については、このまま防衛省から「沖合移動」などに前向きな回答が得られない場合は「無論ノーだ」と表明。「アセス手続きのやり直しなど移設作業に遅れが生じても、すべて防衛省の責任」と突き放す一方で、「(埋め立て申請は)これから二年半くらいかかる。その中で政府が考え方を変えてくれば、頭からノーとは言っていない。私は米軍再編を進めるべきだと思っているから今の段階で二年半先の最終結論をなかなか出せない」とし、アセス手続きの中での政府の軟化に期待を寄せた。


沖合移動は堅持/名護市長


 【名護・宜野座】島袋吉和名護市長は二十三日、「県や名護市と協議を行うことなく、意見概要書が提出されたことは極めて遺憾」と防衛省の対応を批判。しかし、「市長意見を出さないとなれば、異議なしととらえられる懸念があるため、受け取らざるを得ない」と話した。移設先地元として政府側に求めてきた「アセス前」の滑走路沖合移動の事実上断念を意味し、今後はアセス手続きと同時並行で「沖合移動」を求めていく。島袋市長は、「方法書を精査するとともに住民生活や自然環境に著しい影響を与えないという観点から、可能な限り沖合に寄せるよう今後とも強く主張する」と述べた。

 県外出張中の東肇宜野座村長は、「概要書はまだ見ていないが、県や名護市と歩調をあわせていきたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710241300_03.html

 

2007年10月24日(水) 朝刊 1面

全駐労、手当減拒否/次回決裂なら来月スト

 日米両政府が交渉中の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新特別協定締結協議で、日本人労働者向けの諸手当約百億円の削減を日本側が提案している問題について、全駐労中央本部(山川一夫委員長)は二十三日、防衛省と団体交渉し、同省の提案を拒否、次回交渉で撤回がなければ、十一月中旬から下旬にかけて時限ストライキを決行することを伝えた。ストが行われれば、同本部による全国規模のストは一九九一年以来、十六年ぶり。

 同本部は二十三日、交渉前に執行闘争委員会を開き、交渉が決裂した場合のストの方針を確認。十一月二日に予定している次回交渉までに、各支部でスト権の確立を目指す。

 同本部によると、団体交渉は防衛省で約二時間行われた。同省が提案事項を説明した後、同本部が再考を求めたが受け入れられなかったという。

 全駐労沖縄地区本部の與那覇栄蔵委員長は「一方的で不利益な提案であり、労働者の権利が侵害されていることに憤りを感じる」と防衛省の対応に不満を示した。

 削減が提案されているのは、国家公務員の基本給に10%上乗せしている「格差給」ほか「語学手当」など。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710241300_04.html

 

琉球新報 社説

辺野古アセス 独断専行は理解得られない

 在日米軍再編合意に基づき、米軍普天間飛行場代替施設が建設される名護市辺野古沿岸部の環境影響評価(アセスメント)で、沖縄防衛局が環境アセス方法書に対する住民意見の概要書を県に提出した。

 代替施設のV字形滑走路を可能な限り沖合に寄せるよう求める県、名護市に対し、防衛省は「日米で合意した案を着実に進める」との見解を繰り返しており、修正の可能性を否定し続けている。

 この間、政府は、県や名護市の了承も得ないままに、環境アセス方法書の公告・縦覧、そして今回の住民意見概要書提出と着々と手続きを進めてきた。

 何が何でも現行の政府案で押し切ろうとする姿勢は独断専行そのものであり、県民無視も甚だしい。

 アセス方法書の受け取りを保留してきた仲井真弘多知事は23日の記者会見で「これ以上、受け取りを保留し、知事意見を述べないことは異議なしととらえられる。受け取らざるを得ない」と表明するとともに、「地元の意向が無視されている」と強い調子で政府を批判した。

 知事は環境アセス方法書に対する知事意見の中で、環境保全の見地から、現行政府案に反対する姿勢を明確に打ち出すべきである。

 それにしても理解し難いのは、県や名護市と話し合おうともせずに、米国と合意した移設案をごり押しする政府の態度だ。

 米国の顔色だけを気にして、肝心の国民をないがしろにしているとしか言いようがない。

 当初、政府内には「譲歩すれば沖縄は増長する」「受け入れないと振興策がなくなると分かれば沖縄は折れるだろう」と高をくくる見方もあったようだ。

 この間、足元を見られるような要素が沖縄側にあったとすれば、残念なことである。

 仲井真知事は昨年11月の県知事選で「現行のV字形案のままでは賛成できない」と訴えて当選した。政府案を丸のみしたのでは公約違反との批判を免れない。政府に対し最後まで毅然(きぜん)とした態度で臨んでもらいたい。

 沖縄は、去る大戦で住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が繰り広げられ、戦後は住民の意思に反し広大な土地が米軍基地として強制的に接収された。

 現在も、全国の米軍専用施設面積の4分の3が集中し、県民は基地から派生する事件・事故、騒音被害などに脅かされている。

 在日米軍再編が基地負担軽減につながる可能性があると期待されたが、日米合意の中身は普天間飛行場の県内移設を大前提としており、期待外れに終わった。

 政府は、沖縄の苦渋の歴史を十分に踏まえ、基地負担の軽減に本腰を入れて取り組むべきだ。

(10/24 10:00)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28340-storytopic-11.html

 

2007年10月24日(水) 夕刊 1面

米原潜、炉の検査怠る/7月うるま市寄港

 【うるま】今年七月、うるま市勝連の米軍ホワイトビーチに寄港した米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦ハンプトン(六〇八二トン)の乗員が、原子炉の定期検査を怠った上、記録を偽造して検査を行ったように見せかけ、将校と兵士六人が処分されていたことが二十四日までに分かった。米紙USAトゥデー(電子版)などが報道した。

 報道によると、乗員は「(化学、放射線学上の観点から)毎日実施すべき原子炉の安全検査を一カ月以上行わず、それを隠ぺいするために記録を偽造していた」という。場所は不明。

 米海軍の広報担当者は「ハンプトンの行動と記録が海軍の要求する高い水準を満たさなかった。ただ、乗員や環境に危険はなかった」と米紙に説明。ハンプトンは九月十七日にカリフォルニア州サンディエゴに寄港したという。同紙は「核兵器を積んだB52が本土上空を飛んだことも判明しており、軍の核関連物質の取り扱いに新たな疑問が投げ掛けられるのは必至だ」としている。

 在沖米海軍報道部は「情報は何も入っていない」、沖縄防衛局は「何も連絡は入っていない」としている。県基地対策課は「初めて聞いた。ハンプトン寄港時の放射能調査では異常はなかった」とし、特に対応は考えていないという。

 知念恒男うるま市長は「現在詳しい状況が分からず、担当課に調査させた上でコメントしたい」とした。同市議会は七月、寄港に反対する抗議決議と意見書案を全会一致で可決している。

 ハンプトンは七月二十八日にホワイトビーチに入港、八月一日に出港した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710241700_01.html

 

2007年10月24日(水) 夕刊 5面

早朝からサイレン・騒音/嘉手納・即応訓練

 【嘉手納】米空軍第一八航空団による米軍嘉手納基地での即応訓練は二十四日も引き続き行われ、早朝から英語の拡声器放送やサイレン、航空機の騒音が民間地域に響いた。F15戦闘機などの航空機が離着陸を繰り返し、嘉手納町屋良では同午後一時現在、八〇デシベル(地下鉄の車内の音に相当)以上を三十回計測。最高値は、午前六時四十二分に、九六・三デシベルを記録。嘉手納町には即応訓練と航空機騒音の相乗被害を訴える苦情が相次いだ。

 同町は苦情を添え「多くの町民が不安と恐怖に陥っている。即応訓練は、過去にも再三トラブルを起こしており、断じて容認できるものではない。今後、訓練の中止を強く望む」との抗議文を同基地司令官に送付した。

 住民からの苦情は同午後一時現在で九件。「昔の空襲警報を思い出す」「放送の内容が意味不明でさらに恐怖を感じた。戦場の嘉手納町になってしまった」「このサイレンは何か。逃げなくていいのか」など、不安を訴えている。

 読谷村に住む男性は「一睡もできなかった。音を下げるように米軍に訴えてくれ」と切実な思いを伝えた。

 訓練は基地が攻撃を受けたことを想定し、軍を含む各部門が迅速に対応できる態勢づくりを図るのが目的。

 二十六日まで予定されている訓練では模擬爆発音や発煙、拡声器放送、サイレンなどを使用するが、同町には午後十時から翌日午前六時まで音の発生する訓練は控えるとの事前説明があったという。同町は二十二日にも「地域住民に配慮するよう」申し入れていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710241700_03.html

 

2007年10月25日(木) 朝刊 1面

調査官と審議委員 半数、「つくる会」と関係

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書問題で、検定意見の原案を作成する教科書調査官の日本史担当者と、教科用図書検定調査審議会日本史小委員会の近現代史担当委員の計八人のうち半数の四人が、「新しい歴史教科書をつくる会」が発行した教科書を監修・執筆した伊藤隆東京大名誉教授と関係があることが二十四日、分かった。伊藤氏の門下生がいるほか共同研究や共著の実績があった。衆院文部科学委員会で石井郁子氏(共産)が明らかにした。

 石井氏の調べによると、日本史担当の教科書調査官四人のうち、主任調査官の照沼康孝氏、調査官の村瀬信一氏は東京大在学中、助教授だった伊藤氏の教え子だった。

 近現代史担当の審議委員四人のうち駿河台大教授の広瀬順皓氏、九州大大学院教授の有馬学氏は一九九六―二〇〇〇年度にかけ、文科省の科学研究費補助金を活用して伊藤氏を統括者とした共同研究に従事していた。この研究には村瀬氏も加わっていた。

 また、村瀬、照沼、有馬の三氏らは「近代日本の政治構造」という著書を共同で執筆しており、有馬氏はあとがきで「執筆者はいずれも先生(伊藤氏)が在学中、学恩に浴し」と伊藤氏への謝意を示していた。

 伊藤氏は「つくる会」の発足に携わり、〇六年まで理事を務めた。

 石井氏は「今回の検定意見は文科省の片寄った人選がある。歴史を逆行させる地下水脈のようなものが一貫して流れていると言わざるを得ない」と指摘し、調査官と審議委員の選考の在り方を厳しく批判した。

 渡海紀三朗文科相は「一部の方にそういう色合いが見えるということだけで、物事が流れていると断定するのはいかがか」と述べ、問題視しない考えを強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710251300_03.html

 

2007年10月25日(木) 朝刊 2面

普天間協 来月前半に/開催方針 政府固める

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十四日、首相官邸で町村信孝官房長官と会談し、米軍普天間飛行場の移設に関する協議会を早期に開催する方針で一致した。町村氏が協議会の早期開催に同調したのは初めて。政府はこれを踏まえ、十一月中旬に予定されている福田康夫首相の訪米前に開催する方針を固めた。岸田氏は会談終了後、記者団に「十一月の前半に開きたい」と意欲を示した。

 岸田氏は、防衛省が県に普天間移設に伴う環境影響評価(アセスメント)の住民意見概要書を送付したことや、仲井真弘多知事が記者会見で防衛省への強い不快感を表明したことなどを受け、沖縄の現状を説明するため官邸を訪れた。

 町村氏は県と防衛省の溝が深まっている現状を踏まえて「移設協議会は早期に開催するべきだ」と述べた。

 岸田氏は防衛省の対応について記者団に「(県側から)反発の声が上がっていると聞いているので、その点は心配している」と懸念を表明。

 「関係者が同じテーブルに着いて意見交換し、意思の疎通を図るのはどんなテーマでも重要。基地移設ではなおさらだ」と述べ、県と防衛省が協議会で率直に意見交換する必要性を強調した。

 これに先立ち、県選出の嘉数知賢衆院議員(自民)も官邸で町村氏と会談。嘉数氏は「住民感情や県民の気持ちをもっとくみ取って(移設作業を)進めてもらわなければ困る、という知事の考え方を伝えた」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710251300_04.html

 

2007年10月25日(木) 朝刊 2面

ハンセン強化に反対決議/金武町軍特委 臨時議会提案へ

 【金武】金武町議会の米軍基地問題対策調査特別委員会(知名達也委員長)は二十四日、会合を開き、米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の建設計画や陸上自衛隊の共同使用などについて協議。基地機能強化に反対する抗議決議を、十一月九日に開かれる臨時議会に提出することを決めた。

 抗議決議にはハンセン内レンジ4の都市型戦闘訓練施設の暫定使用の即時中止も盛り込む。全会一致で可決される見通し。

 軍特委では、レンジ3、4に隣接する並里区の池原政文区長と登川松栄区行政委員会議長から、現在の被害状況や射撃場建設問題などに対する意見を聞いた。池原区長は射撃場建設について、「都市型戦闘訓練施設の建設、使用に反対する県民大会を開いたのに、夜間訓練の実施など暫定使用による被害が続いている。さらなる施設の建設は、区民だけでなく、町民全体を愚弄する行為だ」と、日米両政府を批判し、町挙げて建設反対を訴えるよう求めた。

 知名委員長は「射撃場の建設については、区だけでなく議会や町も反対の意思を示している。再度強い抗議の意思を示したい」と話した。同議会は、八月に射撃場建設、九月に共同使用に対する抗議決議をしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710251300_05.html

 

2007年10月25日(木) 朝刊 27面

爆発音・煙 基地緊迫/嘉手納訓練

 【嘉手納】米空軍第一八航空団による米軍嘉手納基地での即応訓練は二十四日午後も引き続き行われ、同三時十五分ごろには、爆発音一発が響き、発煙筒を使用した訓練が実施された。

 同時刻には、機銃を積んだHH60救難ヘリ三機が着陸した。嘉手納町には同日午後五時までに、サイレンや英語での放送、航空機の離陸の騒音被害を訴える住民からの苦情が十件寄せられた。

 同基地によると、訓練は二十六日まで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710251300_08.html

 

琉球新報 社説

普天間代替施設 計画隠しまだあるのでは

 在日米軍再編に伴い、米軍普天間飛行場の名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設で米側が代替施設に普天間飛行場にはない214メートルの岸壁や戦闘機装弾場を要求し、日本側も基本的に同意していたことが米公文書で分かった。

 2006年5月の最終合意では、これらの事項は一切、明らかにされていない。

 代替施設への次期主力輸送機オスプレイ配備、民間地上空の飛行も米側は要求していることがこれまでに分かっている。計画隠しはまだまだあるのでは、と疑わざるを得ない。

 県民に詳細を知らせないまま建設工事を強行することで、既成事実を次々と積み重ね、米側の思い通りの基地を建設することだけに、政府は腐心しているように見える。

 代替施設が完成すれば、周辺住民をはじめ県民は、基地被害を受ける危険性の中で生活することを余儀なくされる。当事者である県民に必要な情報を提供し、十分に説明することは政府の責務である。

 政府は、県民から反発を受ける計画の詳細については最後まで覆い隠すつもりなのだろうか。説明責任を果たそうとしない政府の姿勢は許し難い。

 岸壁については、日本側が地図に明示していないことから、米側から地図に示すよう要求されるありさまである。岸壁の必要性は既に01年の会議で日米が確認しており、約6年も政府はこの事実を隠していたことになる。

 岸壁は、全長約180メートルの艦船が停泊できる。海兵隊員とヘリを海上輸送する揚陸艦も着岸できる規模である。

 普天間基地にはなかった軍港を併設するもので、基地機能強化以外の何物でもない。代替施設ではなく、格段に強化された基地が新たに建設されることが、米公文書であらためてはっきりしたと言っていい。

 海上埋め立て用土砂を採取する予定の辺野古ダム地域や、移設でつぶれるシュワブの陸域部分についても、米側は環境影響評価(アセスメント)を実施するように求めている。

 防衛省が進めるアセス方法書にはそれを含め、岸壁や装弾場には触れていない。方法書は不備としか言いようがない。

 方法書が計画に即したものでない以上、アセスは無効であるのは自明の理である。

 県や名護市、宜野座村は06年5月、普天間代替施設について政府と基本合意した。しかし、岸壁の建設や民間地上空の飛行などはその際には明らかにされていなかった。

 それらの基本合意も、政府の隠ぺい体質によって無効になったと言えるだろう。

(10/25 9:47)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28374-storytopic-11.html

 

2007年10月25日(木) 夕刊 1面

「レンジ16一帯」使用/ハンセン日米共同訓練

金武町長は「反対」堅持

 【北部】在日米軍再編で日米合意した米軍キャンプ・ハンセンでの陸上自衛隊との共同使用問題で、沖縄防衛局の担当者が金武町、宜野座村、恩納村で構成する三町村連絡協議会(三連協、会長・儀武剛金武町長)に対し、ハンセン内レンジ4の都市型戦闘訓練施設の移設先となっているレンジ16一帯などを使用したい意向を伝えていたことが二十五日までに分かった。担当者は早期に受け入れを表明するよう促した。防衛省は年明けにも共同使用を始めたい考えで、実弾射撃を伴う本格的な訓練は二〇〇八年四月以降になる可能性がある。三連協はそれぞれの町村に持ち帰り、対応を検討するとしているが、儀武会長は「反対の意向は変わらない」としている。

 沖縄防衛局の担当者らが二十二日、金武町役場を訪れ、三連協に説明した。訓練場所については、ハンセン内の都市型戦闘訓練施設のあるレンジ4や射撃場の建設が予定されているレンジ3は使用せず、実弾射撃訓練が行われているレンジ1、2やレンジ16一帯を使用すると説明。恩納村側では爆破訓練を実施したい考えであることなどを伝えた。

 さらに共同使用の受け入れや訓練開始が再編交付金の対象となると説明し、十二月の〇八年度予算編成までに受け入れを表明すれば、来年度予算に交付金の10%、再来年度以降100%交付するとした。

 訓練の開始時期については明言しなかったが、防衛省は、年内にも地元の合意を得たい考えで、合意が得られ次第、自衛隊による在日米軍基地の共同使用を規定した日米地位協定二条四項(a)に基づく手続きに着手。手続きが完了し次第、訓練を開始したい意向だ。

 説明では、資料などは配布されなかった。

 儀武会長は「従来の説明と大きな変化はない。負担増であることは変わらず、まずは負担軽減をどうするか示してほしい。資料も配布されておらず、これまで通り反対だ」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710251700_01.html

 

2007年10月25日(木) 夕刊 1面

県、普天間協出席前向き/知事 新内閣に期待

 米軍普天間飛行場の移設に関する協議会を政府が十一月前半に開きたい、との意向を示していることについて、仲井真弘多知事は二十五日午前、沖縄タイムスの取材に応じ、「これまでのような(政府側の)我田引水の会合では意味はないが、内閣も変わって、こちらの主張にも耳を傾ける姿勢があるのであればいい。協議会が開かれることは悪いことではない」と述べ、出席を前向きに検討する考えを明らかにした。

 仲里全輝副知事も同日午前、「従来のように国のシナリオに従って、国の考えを押し付けてくるのか、会合がどういう形になるのかを見極めないといけない」とした上で、「ただ、今回は防衛省ではなく内閣官房が取り仕切るようなのでやり方が変わることも期待している。もっと明確に内閣府と調整する必要はあるが、原則(協議会に)臨む必要はある」との見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710251700_02.html

 

2007年10月25日(木) 夕刊 5面

海兵隊と実動訓練/県警など 米軍機墜落を想定

 米軍航空機の墜落事故を想定した日米の合同訓練が二十五日午前、浦添市のキャンプ・キンザーで行われた。民間地に航空機が墜落し、負傷者が出たと想定。米海兵隊と沖縄防衛局、県警、消防が連携し、消火活動や負傷者の救急搬送など初動態勢の手順を確認した。

 二〇〇四年の沖縄国際大学ヘリ墜落事故を受け、日米が米軍施設・区域外での米軍機事故に関するガイドラインを策定。今年二月に米空軍と実動訓練を行ったが、海兵隊との訓練は初めて。

 訓練では、事故を目撃した日米両国の通行人が通報し、浦添署員と浦添消防隊員らが航空機の乗員や横転した車から民間人を救助。海兵隊消防と連携して航空機の火災を消し止めた。

 また、事故現場近辺では日米の合同指揮所が設けられ、規制線の設置などを協議し、消火後の連携を確認した。

 萱嶋満津保内閣官房沖縄危機管理官は「今回は新たに現場連絡調整所を設置し、日米双方で小まめな連絡を取れるようになった。通訳の数が足りないなどの課題を今後は検討したい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710251700_03.html

 

2007年10月26日(金) 朝刊 1面

文科省 来月末にも訂正可否結論

 来年春から使用される高校歴史教科書の検定で、文部科学省が沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除した問題で、文科省は教科書会社からの訂正申請を受け、記述訂正の可否について十一月末までに結論を出すことが二十五日、教科書会社の関係者の話で分かった。検定意見が付いた教科書会社五社のうち四社は、二十九日以降に訂正申請する方針。残る一社も申請する方針を決めている。

 同省は、十一月末までに教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会を開き、各社の記述内容を審議し、訂正を認めるかどうかを判断する。

 検定で日本軍強制の記述を削除されたのは、東京書籍、実教出版、清水書院、三省堂、山川出版。訂正申請の時期を公表しない山川出版を除く四社は、今月二十九日から十一月九日ごろまでに申請することを決めた。

 文科省が、申請結果をまとめるまで記述内容を公表しないよう指示しているため、五社とも「記述内容は公表できない」とした。しかし、山川出版を除く四社の執筆者は、「日本軍強制」に関する記述を明記することを決めている。

 ある社の担当者は「遅くとも来週末までに申請する」と説明しながら、「日本軍強制の記述が認められるか不安も残る」と話した。

 別の会社は十一月五日以降に申請する予定。文科省が十一月末にも結論を出す方針で作業を進めていることを聞いた担当者は「十二月上旬の印刷期限に間に合わせることができそうだ」と安堵。一方で、「検定意見が撤回されずに日本軍強制の記述が認められるかどうか、文科省の動向を見ながら申請ぎりぎりまで文言を調整する」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710261300_02.html

 

2007年10月26日(金) 朝刊 2面

普天間代替に弾薬搭載場/防衛局長、設置認める

 沖縄防衛局の鎌田昭良局長は二十五日の定例記者懇談会で、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に建設予定の米軍普天間飛行場代替施設に、普天間飛行場にはない「戦闘航空機弾薬搭載エリア」を設置することを明らかにした。

 一方で代替施設は、普天間飛行場の現行機能のうち「ヘリ基地機能」のみを移設し、軍港機能は保持しないとする従来の説明を繰り返した。

 米側が同エリアの設置を日本側に要求していた問題について、鎌田局長は「現在の普天間飛行場においては嘉手納基地を利用して弾薬搭載を行っているが、辺野古崎への移設に伴い、運用上の支障を来すことになる」として設置予定であることを認めた。

 一方、同様に米側が設置を要求していた二百メートル級の大型岸壁に関しては「われわれの計画の中に軍港としての機能を有するような岸壁を建設する予定はない」と否定。「大浦湾に建設予定の桟橋はあるが、これは普天間代替施設で使用される航空燃料のためのものであり、兵員や物資の恒常的な積み降ろしを行うような軍港としての機能を有するものではない」と説明した。

 仲井真弘多知事が二十三日の会見で、代替施設の沖合移動を求める理由にウミガメ産卵地保護などを挙げたことに関しては、アセス方法書の中で▽那覇防衛施設局(当時)の一九九七年の聞き取り調査で、過去にキャンプ・シュワブ北側砂浜でウミガメの足跡または産卵のために掘った穴を確認▽シュワブ内に四カ所の埋蔵文化財を確認―していると報告。その上で「アセス手続きの中で客観的なデータを収集し、その結果を県など地元に丁寧に説明していく」とし、アセス結果を踏まえて修正も検討していくとの従来姿勢を繰り返した。


     ◇     ◇     ◇     

普天間協 来月7・8日か


 【東京】政府は二十五日、米軍普天間飛行場の移設に関する協議会の次回会合を十一月七、八日のいずれかで開催する方向で調整に入った。しかし、ゲーツ米国防長官の訪日が八日前後に予定されるため、石破茂防衛相や高村正彦外相ら関係閣僚が協議会に対応できない場合は六日か九日で再調整する可能性もある。

 従来は防衛相と沖縄担当相が共催したが、普天間移設問題を首相官邸が主導することを明確化するため、次回会合から町村信孝官房長官が主宰することも検討している。

 政府は、県と名護市に十一月第二週で仲井真弘多知事、島袋吉和名護市長が上京できる日程を打診。七、八日であれば可能との感触を得た。

 内閣府と防衛省は二十六日以降、議題など詳細を詰める。町村官房長官や高村外相、額賀福志郎財務相ら関係閣僚との日程調整も本格化させる。

 防衛省は「県側が譲歩しなければ開いても意味がない」と難色を示してきたが、同省幹部は二十五日、「他の閣僚が参加する中、防衛省だけ参加しないとは言えない」として応じる姿勢だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710261300_03.html

 

2007年10月26日(金) 夕刊 1面

普天間協/官房長官に主宰変更

 【東京】政府は十一月七、八日のいずれかで開催を調整中の米軍普天間飛行場の移設協議会で会則変更を議題に上げ、防衛相と沖縄担当相の共催だった同協議会の主宰を官房長官にする方針を二十六日までに固めた。県側を含めた出席者の同意を得て、官邸主導を明確にする。官房長官主宰となれば、政府内での協議会の位置付けが「格上げ」されることになる。

 岸田文雄沖縄担当相は同日午前の閣議後会見で、主宰者変更について「次回はより多くの関係者が納得していただける会にしたいと考えており、誰が主宰するのが一番いいのかも含めて検討している」と述べ、町村信孝官房長官を主宰者にする意向を示唆した。協議会の在り方にも言及し、「(過去は)関係者が自分たちの思いを十分に申し上げる機会が乏しかったと聞く。それぞれが言うべきことを言える雰囲気づくり、時間も確保しなければいけない」との認識を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710261700_03.html

 

2007年10月26日(金) 夕刊 1・6面

「検定意見の撤回が民意」/大城さん、都内で講演

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」訴訟の被告側支援や教科書検定問題に取り組む「沖縄戦首都圏の会」は二十五日、連続講座「沖縄戦の真実と歪曲」を都内で開き、沖縄戦研究者で沖縄平和ネットワーク代表世話人の大城将保さんが講演した。

 大城さんは教科書問題で政府が訂正申請による決着を図ろうとしていると指摘。「検定意見の撤回を絶対に譲れない沖縄の気持ちを理解してほしい」と支援を呼び掛けた。

 大城さんは沖縄戦体験者への聞き取りなど独自調査を基に「私が把握しているだけで三十三件・一千百二十二人の『集団自決』と、四十六件・百六十八人の軍による住民虐殺があった」と指摘。

 「住民虐殺で恐怖感を植え付けられ、住民の心が凍り付いたことで『集団自決』が起こった。この二つは表裏一体を成している」と述べた。


「はがき運動」高教組も賛同

現場で呼び掛け


 高教組(松田寛委員長)は二十五日の評議員会で、教科書検定意見の撤回を求めるはがきや寄せ書きを政府に送る運動に賛同し、現場の教職員や生徒に参加を呼び掛けることを決めた。運動は県子ども会育成連絡協議会などが呼び掛けており、福田康夫首相、渡海紀三朗文科相らにあてて送る。


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記述回復は年内に結論/文科相


 【東京】渡海紀三朗文部科学相は二十六日午前の閣議後会見で、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書問題で教科書会社から訂正申請があれば、教科用図書検定調査審議会の再審議を経て「(記述回復の可否について)年内に結論を出す」と述べた。

 審議会の再審議に沖縄戦の専門家を加えるかどうかは「新たなメンバーは入れなくても、いろんな方々の意見を聞くこともないではない」と指摘。審議委員に専門家を加えるか、専門家からの意見聴取をするか、いずれかを検討しているとの考えを説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710261700_05.html

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