沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(11月4日から7日)

2007年11月4日(日) 朝刊 1面

北部振興策 再開へ意欲/岸田沖縄相来県

普天間移設 議論継続を強調

 【本部】岸田文雄沖縄担当相は三日、凍結状態となっている本年度北部振興策について「早期に予算執行できるようにしたい」と、振興策の凍結解除に尽力する考えを示した。就任後二度目の来県で本部町の海洋博記念公園などを視察した後、記者団に述べた。七日に開かれる普天間飛行場の移設協議会については「お互いの意見を交換し、今後も継続していくことが大事だ」と強調した。

 北部振興策について岸田沖縄相は「関係者のさまざまな意見交換や意思疎通を積み重ねることによって、関係省庁にも検討してもらい、予算執行にこぎつけたい」と述べた。しかし、凍結解除の時期については「明確にどの時期からというのではないが、できるだけ早く執行しなければいけないと認識している」と述べるにとどまった。

 仲井真弘多知事や島袋吉和名護市長らが求める、代替施設の沖合移動については「協議会の場で、県や名護市の意見をしっかり述べていただきたい」として、解決に向けて率直に話し合うことの重要性を説いた。

 また、福田康夫首相が小沢一郎民主党代表との党首会談で連立を持ち掛けたことについては「連立は拒否されたが、いろいろ意見交換されたと聞いている。一つでも具体的な成果につながることがあれば、会談も意味があったと思う」と述べ、事態の推移を注視する姿勢を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711041300_01.html

 

2007年11月4日(日) 朝刊 25面

藻場のくい 実際は短い8センチくぎ/ジュゴン誤飲の恐れも

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)で、沖縄防衛局が天然記念物ジュゴンの餌場となる藻場に設置した目印用の鉄くいを「六十―八十センチの鉄製の棒」と説明していたが、実際には八センチのくぎが使われていたことが三日までに分かった。自然環境保護団体は「外れやすく、ジュゴンが誤飲してしまう危険性がある」と批判している。

 「北限のジュゴンを見守る会」(鈴木雅子代表)のメンバーが、移設先周辺の名護市東海岸を調査して明らかになった。

 メンバーが一部海域を調査したところ、軽く触れただけで動いたり、外れたりする目印を確認。八センチのくぎにビニールテープでロープを固定したものや十センチのくぎも複数確認された。

 藻場には、百カ所前後の目印が設置されているが、少なくとも十―二十カ所以上がこうした短いくぎを使用しているとみられる。

 体重が平均で二、三百キロ以上あるジュゴンは、一気に口で海草を根元から掘り起こし、食べながら前進する。調査に参加したジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局次長は「打ち上げられたジュゴンの体内から釣り糸が見つかった例もある。餌場に不安定な八センチから十センチのくぎとロープがあると、飲み込んだ場合、命にかかわる。絶滅が心配されるジュゴンの調査としては、あまりにもずさんだ」と批判した。

 同調査は環境影響評価の対象外とされている。あらためて沖縄防衛局の調査手法や業者への監督責任が問われそうだ。

 同局はこれまでの取材に対し、「自然環境に十分配慮している」とし、「できるだけ鉄筋が海中に出ないよう海底面に打ち込んでいる」と説明していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711041300_06.html

 

2007年11月4日(日) 朝刊 2面 

決裂なら21日スト/全駐労

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の特別協定協議で、日本側が日本人従業員の諸手当約百億円の削減を提案している問題で、撤回を求めて防衛省と団体交渉をしている全駐留軍労働組合(全駐労、山川一夫委員長)は三日、東京都内で中央委員会を開き、次回十六日の交渉が決裂した場合、二十一日にも四時間の時限ストライキを決行する方針を確認した。

 山川委員長は「提案は生活破壊につながるもので、受け入れられない。労働者として正当な闘争行動に、不退転の決意で臨む」と、全国各地区本部から集まった約百人に決起を促した。

 防衛省は、二日の団交で国家公務員の基本給に10%上乗せしている「格差給」の廃止などをあらためて提案してきたが、全駐労は拒否した。一九九一年以来、十六年ぶりとなる全国的なストは避けられない情勢だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711041300_08.html

 

琉球新報 社説

「連立」提案 党利党略の政治はやめよ

 「談合」あるいは「野合」と非難されても仕方がなかろう。福田康夫首相(自民党総裁)が2日、民主党の小沢一郎代表との党首会談で、政策実現のため連立政権樹立に向けた協議開始を提案した。これに対し、小沢代表は回答を保留。役員会で検討した結果、拒否した。

 いくら自民党が政権運営で行き詰まりを見せていたとはいえ、提案はあまりに唐突だ。政権維持こそが最優先と見られかねない姿勢に、国民の理解は得られまい。小沢代表の対応にも疑問が残る。なぜ、提案を即座に拒否できなかったのか。先の参院選でも「選挙による政権交代」を掲げてきただけに、その態度には一貫性を欠く。「政権にいたいだけなのか」との指摘も避けられまい。

 海上自衛隊の給油活動を継続する新テロ対策特別措置法案をはじめ、衆参で与野党の多数が異なる「ねじれ国会」では、多くの法案の成立のめどが立っていない。事実、福田政権となってから約1カ月の臨時国会で、一つの法案も成立していない。首相としては、民主党を政権に取り込むことで、このような事態を打開したい、との思惑があったのだろう。

 しかし、それは筋道が違う。もし、政策が実現できず、政権の維持が難しいというのであれば、総辞職するか、衆院解散・総選挙で国民の信を問うのが筋だ。それが「憲政の常道」というものだ。

 もちろん、国民生活に対する大きな支障を回避するため、与野党が協議を重ねることは必要なことだ。だが、その過程を飛び越して、いきなり連立政権の樹立、とは唐突に過ぎる。自らの協議能力を否定するようなものだ。

 そもそも、先の参院選で民主党が第1党になったことを、どう説明するのだろうか。選挙の「民意」は「政権交代が可能な2大政党制の実現」ではなかったのか。そうであるなら、今回の行為はこの国民の意思に反し、大政翼賛会の実現を目指すもの、と批判されてもしょうがない。

 共同通信社が10月末に実施した世論調査によると、「民主党中心の政権」を望む声が42・4%と、「自民党中心の政権」の39・8%を上回った。国民は政党の離合集散ではなく、政権を任せられる政党を求めているのだ。

 民主党もこの事実をあらためて認識すべきだ。安易に政権にすりよるべきではない。先の参院選で「自公政権の打倒」「政権交代で議会制民主主義の定着」を訴えて国民の共感を得たことを、いま一度思い起こしてほしい。

 政党、政治不信がなぜ、やまないのか。国民の意をくまない、党利党略に過ぎる政治に要因はないのか。国民の目線に沿った政治がなにより求められている。

(11/4 10:01)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28651-storytopic-11.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月4日朝刊)

[普天間爆音訴訟]

司法は被害救済を急げ

 米軍普天間飛行場の周辺住民四百人余りが、ヘリコプターなど航空機の夜間飛行差し止めなどを求めた普天間爆音訴訟が那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で事実上、結審した。

 司法は、国内の米軍基地をめぐる騒音訴訟で一定レベルの騒音について違法性を指摘するが航空機などの飛行差し止めは認めていない。政府に米軍の活動を制限する権限はなく、飛行差し止め請求は成り立たないとする「第三者行為論」を根拠に、住民の訴えをことごとく退けてきた。

 騒音の違法性を指摘しながら、違法な騒音をまきちらす米軍機の飛行は黙認するという分かりづらい構図だ。結果、基地周辺住民の騒音被害は続いている。米軍の活動を制限する権限のない政府に、住民の被害救済を求めても問題が解決しないのである。

 裁判所は、難解な法理論を展開する前にまず基地被害の実態に目を向けるべきだろう。

 普天間飛行場を離着陸する米軍ヘリは騒音に加え、波長が長く人間の耳に聞こえにくい低周波音を発生させている。低周波音の被害は頭痛などの症状となり、不眠、圧迫感などさまざまな影響を及ぼす。

 原告住民の証言によると「ヘリコプターが家の上を飛ぶとき、体も心も押しつぶされそうになる。音が壁になって上から押さえ込まれる感じになる」という。

 被告の国は、低周波音が人体に及ぼす影響については認めているが「その影響が低周波によるものか否かの見極めが大切で、方法論が確立しているとは言い難い」などと主張。住民の被害についても個別的には立証されていない、と反論している。

 同訴訟で、那覇地裁沖縄支部は同飛行場周辺を現場検証した。短時間とはいえ、米軍ヘリが発する騒音を聴き、低周波音を直接、体に感じたはずだ。

 違法な騒音を出し続ける基地と、騒音に苦しむ人々が見捨てられるようなことがあってはならない。司法は住民の被害救済を優先すべきである。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071104.html#no_2

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月4日朝刊)

[党首会談]

大連立は民意にそむく

 参院選での与野党逆転は、福田康夫首相の政権運営を厳しい局面に追い込んでいる。衆参両院の第一党が異なる「ねじれ国会」がもたらした効果はかくも絶大であり、自民、民主両党に国民の厳しい目が向けられている。

 福田首相と民主党の小沢一郎代表の党首会談で、第一党と第二党による「大連立構想」が飛び出した。

 しかし、大連立構想は論理が飛躍しており、違和感を抱かざるを得ない。最大の問題点は、参院選の民意をないがしろにしてしまうことだ。

 党首会談で福田首相は連立政権樹立へ向け協議することを提案した。小沢氏は回答を留保したが、党役員会は国民の理解を得られないと拒否した。

 民主党が拒否するのは当然だろう。なぜ即座に拒否しなかったのか、疑問がわく。小沢氏が大連立に前向きだったとすれば従来の言動とは矛盾する。

 福田首相は会談で新テロ対策特別措置法案の成立に協力を求めたが、小沢氏は憲法違反で認められないと反論。自衛隊海外派遣を随時可能にする「恒久法」の必要性を訴え、民主党の主張を取り入れて検討するなら、新テロ対策法成立に協力する考えを伝えた。

 民主党は政権公約「マニフェスト」を発表し、政権交代可能な二大政党の実現を主張してきた。参院選では「国民の生活が第一」と訴え、有権者の支持を集めたことを忘れたのか。

 大連立は自民党政権の延命、民主党の崩壊にもつながりかねない。もろ刃の剣であることに気付かなかったとすれば、小沢氏の指導力が問われよう。

 福田首相は会談後、「今の国会、政治状況を打開するため、政策を実現するための新体制をつくることもいいのではないかと話した」と語った。

 手詰まり状態に陥った首相の危機感の表れだろう。与野党で調整しなければ法案が一本も成立しない可能性もある。民主党に協力を求めるしかない。

 自公政権は衆院で三分の二以上の絶対多数を確保しているが、衆院での再議決にも限界がある。しかし、党首会談を経たことで、新テロ対策法成立へ向け衆院の再議決という強硬手段を取る可能性が高まったともいえる。

 自民、民主両党は表舞台である国会論戦でそれぞれの政策を訴え、対立軸を明らかにしていくことが先決である。その上で、政策面の一致点を見いだしていく努力も求められる。

 ねじれ国会の下での新たな国会運営の在り方について、双方とももっと知恵を絞っていくべきだ。党利党略では有権者に見透かされる。事態の打開が困難になれば、衆院解散・総選挙で国民に信を問うしかない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071104.html#no_1

 

2007年11月5日(月) 朝刊 2面

移設協議進展に期待/岸田沖縄相

北部振興策「意思疎通を」

 岸田文雄沖縄担当相は四日午後、那覇市内のホテルで帰任会見した。七日に再開される米軍普天間飛行場の移設協議会について「関係者の皆さまに忌憚のない意見交換をしていただける環境づくりに努力してきたので、実りある協議会にしたい。さらなる議論の成果につなげなければいけない」と述べ、協議進展に期待感を表明した。

 凍結状態になっている本年度の北部振興策については「移設協など、さまざまな場を活用して関係者が意思疎通を図っていただくことが(早期の)予算執行につながる」との認識を示した。

 教科書会社から文部科学省に訂正申請が出ている高校歴史教科書の検定問題については、所管していないため具体的に言えないと前置きした上で、「地元沖縄の皆さま方と思いを共有し、理解を深めることは大変重要で、文科省が丁寧に対応することを期待している」と述べるにとどめた。

 文科省が実施した全国学力テストで、沖縄県が最下位となったことに「一般論で言うなら、教育分野における一つの調査結果ではないかと思う」との認識を示した。今後の対応は県が検討しているだろうとし、沖縄担当相の立場でできることは支援する考えを示した。

 岸田沖縄相は同日、名護市キャンプ・シュワブの普天間飛行場代替施設建設予定地などを視察した。


「理解される調査を」

ジュゴン藻場調査で沖縄相


 【名護】岸田文雄沖縄担当相は四日、米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う名護市キャンプ・シュワブの海域調査で、沖縄防衛局が実施するジュゴンの藻場調査が自然保護団体から危険だと指摘されている問題について、「多くの皆さんに理解してもらえるよう、調査が適切に進められなければいけないと思う」と述べた。視察後、記者団の取材に答えた。

 また、「大変素晴らしい自然環境があるとあらためて感じた。海の青さ、自然環境の一端も見ることができた。課題(移設問題)を解決する上で、頭に入れておかなければいけない要素だ」と語った。


忌憚ない意見 言える環境に

沖縄相が知事に


 岸田文雄沖縄相は四日午後、那覇市内で仲井真弘多知事と会談し、七日に再開される米軍普天間飛行場の移設協議会などをめぐって意見を交わした。岸田沖縄相によると、「(協議会では)忌憚のない意見を言える環境づくりに努力したい」と協力を求めたのに対し、仲井真知事も「努力したい」と応じたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711051300_05.html

 

琉球新報 社説

パキスタン戒厳令 民主化に逆行する愚挙

 主権在民を何と心得るのだろうか。パキスタンのムシャラフ大統領が3日、非常事態を宣言、現行憲法を停止して暫定憲法命令を発令した。事実上の戒厳令で、国民の基本的権利停止などが盛り込まれている。

 ムシャラフ氏はテレビ演説で理由を説明し、テロや過激派の脅威で「行動を起こさなければ統合が保たれなくなる」として、国民に理解を求めた。非常事態宣言を正当化する内容だ。

 確かに、自爆テロなど治安悪化の情勢はある。発端は首都イスラマバードで今夏起きた神学生らのモスク(イスラム教礼拝所)立てこもり事件だ。治安部隊が強行突入し、100人以上が死亡した。

 その後、イスラム過激派による軍や治安部隊への報復攻撃が続発し、武装勢力が兵士200人以上を人質に取った事件も、解決のめどが立っていない。しかし、こうした情勢だけをもって、大統領が事実上の戒厳令布告を出す決断に至ったとは思えない。ほかに大きな理由があるとみるべきだろう。

 指摘されているのが、大統領選の出馬資格をめぐる訴訟でムシャラフ氏に不利な判決を出すと予想される最高裁の封じ込めである。実際、政権内には「裁判所の中に政府の政策に反対する者がいる」との不満がくすぶっていた。

 ムシャラフ氏が、非常事態宣言を「権力の座にとどまる唯一の手段」と考えたとすれば、恣意(しい)的な強権発動である。進みつつあった民主化プロセスを止め、逆行させる愚挙と言わざるを得ない。

 問題はまだある。パキスタンが核保有国という点だ。民主化の公約を、あっさりほごにするような政権は危なっかしい。ムシャラフ氏には1999年、当時のシャリフ首相を失脚させ実権を掌握した「クーデター」歴もある。

 あれから8年。今回の非常事態宣言も、兼務する陸軍参謀長名で出された。軍のトップであれば、何をしても構わないというスタンスは危険極まりない。

 国民を失望させれば、反政府運動が活発化しよう。民主化しか政権維持の道はないことを、ムシャラフ政権は知るべきだ。

(11/5 9:53)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28678-storytopic-11.html

 

琉球新報 社説

小沢代表辞任表明 「政治は生活」の看板が泣く

 福田康夫首相(自民党総裁)との二度目の党首会談から2日。民主党の小沢一郎代表が緊急記者会見し、代表辞任の意向を表明した。首相から提案された連立政権樹立に向けた政策協議を、持ち帰った党役員会で否定され、政治的混乱が生じたことへの「けじめ」だという。

 どんなに失態を演じても、責任を取ろうとしない政治家が多い時代に潔いとの見方もあろうが、こと今回の件に関しては、不可解としか言いようがない。

 党内の混乱を反省するなら、まずは説明を尽くし、混乱の収拾に努めるのが党首の役目だろう。それもせずに辞めては、混乱に拍車を掛けるだけではないのか。所信表明直後に突然辞任した安倍晋三前首相と何ら変わりがない。

 小沢氏は、自由党党首だった1998年に自民党と連立合意し、「以前から考え方が合えば、どことでも協力すると言っていた」と話したことがある。しかしその後、連立を離脱し、2003年に民主党と合併した際には「総選挙に勝たないといかん、その一点だ」と方針を転換。06年4月の民主代表選では、党内に自身の政治手法への懸念があることを念頭に「まず私自身が変わらなければならない」と言明していた。

 その一つが代表選を戦った菅直人氏を代表代行に、鳩山由紀夫氏を幹事長に据えて挙党態勢を印象付けたことだろう。かつての「剛腕」「独断」は影を潜め、今年7月の参院選では「国民の生活が第一」と訴えて躍進、参院での野党による過半数を実現させた。

 “変身”ぶりは8月上旬、シーファー駐日米大使との会談で際立った。インド洋で海上自衛隊が米艦船などに給油活動するためのテロ対策特別措置法の期限切れが近いことを踏まえ、大使が延長に同意するよう求めたのに対し、小沢氏は「米国中心の活動は国連安保理からオーソライズ(承認)されていない」と突っぱねた。会談は小沢氏の意向で報道陣に公開され、実に分かりやすかった。

 ところが先月、首相から“密室会談”を持ち掛けられたところから雲行きが怪しくなる。一度は拒否した対テロ特措法案だが、二度目の会談で「連立協議」が持ち出され、ぐらついた。国際貢献の在り方に持論のある小沢氏は、前のめりになり、窮地の自民党に助け舟を出す格好となった。

 辞任表明会見で、小沢氏は「政権の一翼を担い、政権運営の実績を示すことが民主党政権を実現する近道だ」と指摘したが、政権交代を繰り返し訴えてきたことと矛盾する。国民生活を左右する重要課題は、国会で議論を戦わせてこそである。民意に背く安易な政権すり寄りでは「政治は生活」の看板が泣くというものだ。

(11/5 9:54)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28679-storytopic-11.html

 

2007年11月5日(月) 夕刊 5面

読谷議会が落下傘抗議/訓練の中止を要求

 【読谷】読谷村議会(前田善輝議長)は五日午前、臨時会を開き、嘉手納基地内に住む米軍人の息子による強姦致傷事件と同基地の即応訓練、爆音激化、パラシュート降下訓練、F15戦闘機などの未明離陸についての抗議決議と意見書の計六議案を全会一致で可決した。

 パラシュート降下訓練に対する抗議決議、意見書は同基地での訓練の恒常化を懸念、「基地周辺は住宅街や交通量も多いことから事故を誘発することも予測され、断じて容認できない」と指摘。

 十月三十日に実施された未明離陸については「周辺住民の安眠は妨げられ、平穏な日常生活は完全に破壊されている」と訴えている。

 同基地でのパラシュート降下訓練、未明離陸、即応訓練については今後、一切行わないよう求めている。

 嘉手納基地内に住む米軍人の息子による強姦致傷事件については、被害者への謝罪や補償、再発防止を徹底するよう要求している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711051700_03.html

 

2007年11月5日(月) 夕刊 4面

学童疎開の映像に大賞/県平和資料館制作 映文連アワード

 県平和祈念資料館が二〇〇五年に戦後六十周年記念事業の一環で疎開学童らの証言を映像にまとめた作品「やーさん ひーさん しからーさん」がこのほど、映像文化製作者連盟主催の映像作品コンクール「映文連アワード2007」で応募総数百三十七点の中からグランプリに選ばれた。同館で四日、受賞報告と作品の上映があり、関係者らが喜びを語り、平和な世の中を願った。

 作品は四十一分のドキュメンタリー。九州などへ疎開した学童や引率教諭などの証言を集め、「やーさん(ひもじい) ひーさん(寒い) しからーさん(さみしい)」という体験者の心情を明らかにし、「もう一つの戦争と呼ばれた疎開」の実態を浮かび上がらせている。

 あいさつで、宮城智子館長は「作品は疎開の厳しさが象徴的に表現され、映像としても説得力がある」とたたえた。制作を担当したシネマ沖縄の吉田尚子さんは「たくさんの平和に対する熱い思いが結集し、受賞に結び付いたと確信している。この賞を励みに今後も映像を通し、後世に真実を残していけるよう頑張りたい」と語った。

 出演した元学童らは「決して忘れてはならない記憶。特に若い人に見てもらいたい」などと語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711051700_04.html

 

2007年11月6日(火) 朝刊 1・23面

F15構造的欠陥か/米軍、飛行停止措置

空自200機 嘉手納53機も/米国墜落事故受け

 【嘉手納】米ミズーリ州空軍所属のF15戦闘機が今月二日、同州で墜落する事故があり、米軍嘉手納基地報道部は五日、「事故原因が特定されるまで嘉手納基地所属のF15戦闘機の飛行を停止する措置を取った」と発表した。事故原因について米空軍は「航空機に構造上の欠陥が起きた可能性」を指摘している。嘉手納基地周辺自治体の首長らは「F15は欠陥機であり、即時撤去するべきだ」と反発しており、六日にも米側への申し入れなど対応を検討する。この事故を受け、航空自衛隊のF15約二百機も飛行を見合わせていることが五日分かった。

 飛行停止措置は米本土だけでなく、米国外の基地でも取られている。F15は嘉手納基地には五十三機が配備されている。

 米空軍公式ホームページ(HP)は、事故原因について「初期段階の調査は、航空機に構造上の欠陥が起きた可能性を示している」と指摘したが、具体的な言及はない。

 嘉手納基地報道部は「事故原因のさらなる検査、分析を終えるまで」停止措置は続くと説明。期間は明らかにしていない。

 同基地での停止措置は四日に始まり、仮に戦闘任務が発生した場合は、飛行するという。

 航空自衛隊航空幕僚監部によると、在日米軍から四日午前、F15の飛行停止措置の連絡があった。この後、小松(石川県)、新田原基地(宮崎県)などで飛行を見合わせている。

 防衛省は二〇〇八年度予算概算要求で航空自衛隊那覇基地の旧型主力戦闘機F4部隊(約二十機)と百里基地(茨城県)のF15部隊(約二十機)の入れ替えに約一億九千万円を盛り込み、同年度中の入れ替えを目指している。

 AP通信などによると、墜落したF15は一対一の戦闘訓練を行っていたが、米ミズーリ州ボス近くの森林地帯に墜落した。操縦士一人が緊急脱出したが、腕の骨を折るなどの大けが。近隣の建物や人身への被害はなく、同行した三機は無事に帰還したという。

 嘉手納基地を抱える嘉手納、北谷、沖縄の三自治体には五日、同基地や沖縄防衛局から連絡があった。同飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春北谷町長は「三連協でF15は欠陥機と指摘してきたことが証明された。F15は即時撤去するべきで、六日にも何らかの措置を講じるよう事務局に指示したい」と話した。

 嘉手納基地のF15の飛行停止措置に伴い、航空自衛隊小松基地(石川県)で五日から始まる予定だった訓練移転は実施されなかった。小松基地によると訓練移転の日程は「未定」という。

 米空軍は一九七五年にF15を採用し、四百機以上を保有。現在は米本土やアラスカ、ハワイ、英国、中東などにも配備されている。


     ◇     ◇     ◇     

「欠陥機」一斉に反発/住民、即撤去求める


 【中部】「飛行停止でなく、撤去すべきだ」。F15戦闘機が米本国で墜落事故を起こし、嘉手納基地での運用を停止していることが明らかになった五日、周辺の首長や住民らは一斉に反発し、同機の早急撤去を求めた。同基地に配備されているF15戦闘機は過去にも墜落事故などを繰り返し、そのたびに飛行を再開。住宅地上空を飛行している。「いつ事故が起きるか分からない欠陥機が、嘉手納基地に配備されているとは恐ろしい」。住民の不安と不信感は高まっている。

 F15戦闘機の撤去を求めてきた嘉手納町の宮城篤実町長は「事故の頻発具合から、F15には重大な欠陥があるのではと懸念していた。今回の事故で地域住民の不安や不信感は一層高まった。あらためて三連協としてF15の撤去を求めていきたい」と述べた。

 嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は、墜落した機体がかつて嘉手納基地に所属していた可能性もあると指摘した上で「米軍が国内外に向けて停止措置を講じざるを得ない大きな欠陥が見つかったのではないか」と懸念した。

 滑走路に隣接する同町屋良地区に住む伊波勝雄さん(68)は「住民は以前から欠陥機と指摘していた。F15は普段から未明離陸などで騒音をまき散らしている」と批判。

 北谷町砂辺区の松田正二区長は「運用停止ということは、墜落の恐れがあるということだ。そんな飛行機が嘉手納基地に配備されているのなら恐ろしいことだ」、沖縄市知花の田島清信自治会長も「F15は騒音もひどいが、過去にエンジンの一部が落ちた事故もあった。いつ飛行再開されるか心配だ」と不安を語った。


飛行停止は重大 根本的に問題か


 航空評論家青木謙知さんの話 米本土の事故で嘉手納基地のF15にも飛行停止を命じるとは重大だ。通常発生するようなトラブルと異なり、F15の根本にかかわる問題があったのではないか。戦闘訓練中の墜落であれば目撃した操縦士が証言でき、どのような問題が発生したか米軍は分かるはずだ。航空機の安全確保は重要で、飛行停止は必要な措置だろう。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061300_01.html

 

2007年11月6日(火) 朝刊 2・23面

社「軍の強制」明記/教科書検定

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、検定意見が付された五社七冊の訂正申請が六日にも出そろうことが五日、分かった。また、同日夜に東京都内で開かれた「社会科教科書執筆者懇談会」の第三回会合に、五社のうち山川出版を除く四社六冊の執筆者や編集担当者約二十人が出席し、訂正申請時の記述に各社が日本軍の強制性を明記しているとの認識で一致した。

 東京書籍、実教出版、清水書院、山川出版の四社は今月一、二日に申請を終えており、最後に残った三省堂も六日に申請する見通しだ。

 申請理由には五社とも、教科用図書検定規則十三条二項の「学習を進める上に支障となる記載」を挙げているもようだ。

 執筆者懇談会の会合では、今まで訂正申請時の記述が明らかになっていなかった二社の執筆者が、内容を説明した。

 このうち、日本史A・Bの二冊に検定意見が付いた会社の執筆者は、執筆者同士が合意した案として「『集団自決』は自発的な死ではなく、日本軍が強いたという趣旨が分かる記述になっている」と述べた。「集団自決」以外にも、近現代史で沖縄や北海道に本土からの差別や偏見があったことに関する記述を増加。「集団自決」関連の訂正だけが突出しないよう配慮したという。

 申請に際して会社側から記述を変更する説明がないため、「(案段階から)記述は変わっていないと思う」としている。

 もう一社の執筆者は、「集団自決」関連の写真説明文を検定前より具体的で詳細な記述に改め、巻末の年表にも教科書検定問題を明記する方向を明らかにした。

 会合では、執筆者が七日に文部科学省などで記者会見し、懇談会としての見解を声明の形で発表することを確認。県内に訂正申請だけでなく、あくまで検定意見の撤回を求める声が強いとの認識に立ち、今後の課題や取り組みを表明する。


     ◇     ◇     ◇     

沖縄条項 新設要請/高嶋教授ら、検定撤回も


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、高嶋伸欣琉球大教授、赤嶺政賢衆院議員(共産)らが五日、文部科学省に初等中等教育局教科書課の松木秀彰課長補佐を訪ね、検定意見の撤回や沖縄条項の新設などを要請した。

 高嶋教授によると、松木課長補佐は検定意見撤回については「上司に伝える」と述べるにとどめた。沖縄条項については「広島、長崎(への原爆投下)、東京(大空襲)の例もあり、(沖縄だけの条項をつくるのは)なかなか難しい」と難色を示したという。

 高嶋教授は、同省の布村幸彦大臣官房審議官が十月三十日の参院内閣委員会で、教科書検定意見について「手続き的に撤回ということはない」と述べたことを問題視。

 「検定規則に撤回を盛り込んでこなかった不作為の責任が文科省にあるのではないか」と指摘したが、松木課長補佐から回答はなかったという。

 要請では高嶋教授と山口剛史琉球大准教授が個人名で検定意見撤回を求めた要請書と、「沖縄戦首都圏の会」など三団体名の要請書の二種類を提出した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061300_02.html

 

2007年11月6日(火) 朝刊 2面

基地割合1位 所得最下位/「100の指標からみた沖縄県」

 県企画部は、「100の指標からみた沖縄県のすがた」の二〇〇七年度改訂版をこのほど発刊した。経済や社会、教育、福祉、財政など十一分野における全国ランキングを示した。県土に占める米軍基地・施設面積の割合は断トツの一位。一方で、一人当たりの県民所得は依然として最下位、現金給与総額(常用労働者)も最も低い。年間の収入に対する負債比率も全国一で、家計の厳しい状況が浮き彫りになった。一九八六年の発刊から、おおむね三年ごとに改訂し、今回が七回目。全百六十六項目のうち、全国一位が十七、四十七位が三十一項目あった。

人口


 人口増加率(自然増加率+社会増加率)は三位と高く、出生率の高さから自然増加率はトップ。社会増加率は三位だった。年少人口(〇―十四歳)も全国最高で、全国的な人口減少傾向とは逆に、社会活性力が高いのが特徴といえる。


労働


 完全失業率が7%台で全国一で、有効求人倍率は四十六位。高校・大学の新規学卒者の無業者(就職・進学もしない)比率はともに一位だった。新規卒業者の初任給は、高校・大学の男女ともに全国で最も低く、雇用・労働情勢の厳しさが裏付けられる。月間総実労働時間は、男性が前回の四位から三十二位に、女性も二位から十四位と下がり、長時間労働の傾向は改善された。


産業・経済


 開業・廃業率がともに全国一。小規模零細企業が多数を占める県内の状況を反映している。製造業出荷額は最下位に転落した。第三次産業の割合は全国二位。一方で第二次産業は四十七位と、観光などのサービス産業中心の構造となっている。


財政


 県の自主財源の割合は約27%で、最下位から脱して四十五位。ただ、県と市町村分を合わせた地方税(一人当たり)は約十五万四千円で四十七位で、財政基盤の脆弱さが目立つ。


その他


 高齢化の動向を把握するため、今回新たに単独世帯割合の項目が設けられた。全国十八位と全国平均より若干低い。「高齢化の度合いは全国に比べて低いものの着実に進展している」(企画部)状況となっている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061300_03.html

 

2007年11月6日(火) 朝刊 23面

山の景観台無し」/シュワブで野焼き実施

 【名護】名護市の米軍キャンプ・シュワブの久志岳ふもとの「レンジ10」付近で、米海兵隊が不発弾処理のために“野焼き”することについて沖縄防衛局は五日、沖縄タイムス社の取材に対し「過去にシュワブで野焼きが行われたとは承知していない」と回答、同演習場で初めて行われる可能性が高いことを認めた。

 久志区の森山憲一さん(65)は「十月末にも爆弾がさく裂し頂上近くまで燃える着弾があった。迫撃砲や爆破訓練などこれまで以上の訓練が行われている可能性がある」と訓練強化との関連を指摘。「地元では『久志富士』と呼ばれるほど美しい山の景観が台無しになる上、山の保水力が下がり赤土被害も増える」と環境への悪影響を心配する。訓練内容について同局は、「米軍の運用にかかわる事であり承知していない」と説明している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061300_08.html

 

2007年11月6日(火) 夕刊 1面

嘉手納53機 撤去要求/F15飛行停止

 【中部】米本国での墜落事故を受け、嘉手納基地のF15戦闘機が飛行を停止していることについて嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は六日午前、臨時会を開き、同基地所属のF15全五十三機の即時撤去を求める意見書案と抗議決議案を全会一致で可決した。また、同基地を抱える嘉手納、北谷、沖縄の三自治体の首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は同日午後、北谷町役場で幹事会を開き、F15の即時撤去などを求める方向で協議する。

 嘉手納町議会は六日午前に開いた臨時会で、米軍嘉手納基地に配備されているF15全五十三機を即時撤去するよう求める意見書と抗議決議の両案を全会一致で可決した。

 臨時会は当初、同基地所属のF15など計八機が十月三十日に未明離陸を強行した問題で、抗議決議と意見書を審議する予定だったが、今月二日に米国内でF15が墜落、同基地に配備されているF15が飛行を停止していることが五日、明らかになったことを受け、「欠陥機F15戦闘機を撤去すること」の一文を急きょ盛り込んだ。

 同町議会は後日、同基地など関係機関を訪れ、F15撤去を求めて直接抗議する予定。

 未明離陸に対しては、同基地の騒音防止協定は深夜早朝(午後十時―翌日午前六時)の飛行を制限しているが、米軍は「運用上必要」として「例外規定」を盾に未明離陸を繰り返しており、協定そのものが形化している実態を指摘。骸 「例外規定」廃止のため、地元自治体、県、県議会、県選出国会議員の連携の必要性を強調。「同協定の抜本的見直しを働き掛けることが強く求められている」と訴えている。

 日米両政府に対しては深夜早朝飛行の中止に向けた協議を行い、内容を明らかにすることを要求している。


即時撤去要請へ三連協が幹事会/北谷町役場で午後


 三連協は六日午後、北谷町役場で幹事会を開き、嘉手納基地所属の「F15戦闘機の即時撤去」などについて協議する。

 野国昌春会長(北谷町長)は、昨年一月に伊計島沖で起きたF15の墜落事故を挙げ、「沖縄だけでなく、至る所で事故を起こしている欠陥機が、われわれの上空を飛んでいること自体許せない。即時撤去すべきだ」と強調した。


     ◇     ◇     ◇     

領空侵犯F4で代替/那覇から派遣 空自「支障ない」


 【東京】米空軍のF15戦闘機の墜落事故を受け、航空自衛隊は千歳(北海道)、小松(石川県)、百里(茨城県)の各基地で対応する対領空侵犯措置でもF15の飛行を見合わせ、F4戦闘機で対応措置を取っていることが六日、分かった。空自那覇基地から五日、F4八機を百里基地に派遣した。

 航空幕僚監部は事故原因が判明するまでF15の飛行を当面見合わせる方針。対領空侵犯措置に関してはF4戦闘機で対応するとしており、「特に支障はない」と説明した。

 飛行見合わせについて空幕は「自衛隊が使用しているF15は米国からライセンスを取得して生産している。今回は安全を重視し、(墜落事故の)原因が分かるまで飛行を見合わせることにした」としている。

 空幕によると、四日に米軍から「米空軍のF15に不具合があった」との連絡を受け、航空総隊司令官などから各部隊長に飛行を見合わせるように指示したという。

 墜落事故原因についての外務省の照会に対し、駐日米国大使館は「調査中」としているという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061700_01.html

 

2007年11月6日(火) 夕刊 1面

文科相、予算支援前向き/「学テ」最下位

 【東京】渡海紀三朗文部科学相は六日午前、同省の全国学力テストで最下位となった沖縄県への対応について「県側からも要請を受けており、テスト実施の目的が生かされる支援は当然」と述べ、予算支援を含め学力向上に積極的に取り組む考えを明らかにした。閣議後の会見で答えた。

 仲村守和県教育長が五日、文部科学省を訪ね、学力調査官の派遣や小規模校の教員増、学力改善推進モデル事業への指定などを求めていた。渡海文科相は「すでに富山県の検証改善委員会から要請があり、調査官を派遣している。(沖縄については)具体的な日程調整や詳細を詰めて対応したい」と述べた。

 また、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、教科書会社の訂正申請後の審議について「教科用図書検定調査審議会の開催を求めているが、審議が終わる段階までは静かな審査をお願いしており、結果が出た段階で審議経緯をできるだけ皆さんに説明したい」との認識を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061700_02.html

 

2007年11月6日(火) 夕刊 1面

クラスター弾訓練 政府「必要」

 【東京】米海兵隊がクラスター爆弾や、ナパーム弾と同様の性能を持つ焼夷弾MK77を使った訓練を沖縄周辺で実施している問題で政府は六日、「使用される爆弾の種類、訓練内容などの詳細は承知していないが、必要な訓練を実施していると認識している」とする答弁書を閣議決定した。照屋寛徳衆院議員(社民)への答弁。

 答弁書は、国連人権委員会の差別防止・少数者保護小委員会が大量破壊兵器や無差別に影響を与える兵器の製造、拡散を制限するよう求めた決議について「各国に法的な義務を課するものではなく、特定の兵器を使用した訓練の制限などを求めるものではない」と指摘。

 その上で、「米軍が沖縄で行う訓練について、同決議との関係で問題があるとは考えていない」との見解も示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061700_06.html

 

2007年11月6日(火) 夕刊 5面

「カメさん」の軌跡 資料・写真細かに

 那覇市長や衆院議員を務め、「カメさん」の愛称で親しまれた故瀬長亀次郎氏(一九〇七―二〇〇一年)の遺品を紹介する資料・写真展が六日、那覇市ぶんかテンブス館で始まった。瀬長さんの生誕百周年を機に実行委員会(代表・田港朝昭琉球大学名誉教授)が主催した。十一日まで。入場無料。

 〇一年十月五日に九十四歳で亡くなるまでの瀬長さんの軌跡をくまなく公開。戦前に医師を志した七高(現鹿児島大学)時代の様子や、数々の書籍に論文を残し著作を執筆したジャーナリスト時代など、民衆運動の象徴的存在だった瀬長さんの違った一面も見ることができる。

 開場を前にオープニングセレモニーが開かれ、村山純日本共産党県委員会委員長代理、中村文子一フィート運動の会顧問、小松直幸日本民主青年同盟県委員会委員長がテープカット。

 瀬長さんの遺品を保管・管理する二女の内村千尋さん(62)は「多くの人が来場しうれしい。『カメさんを語る会』の企画も用意しており、今まで知らなかったエピソードなどを集めたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711061700_07.html

 

2007年11月7日(水) 朝刊 29面 

墜落同型ヘリ普天間に/米、定期配備も示唆

 【宜野湾】二〇〇四年八月に沖縄国際大学に墜落した米海兵隊のCH53D大型輸送ヘリコプターと同型のヘリ二機が六日、宜野湾市の米軍普天間飛行場に配備された。米海兵隊報道部は、ローテーションの部隊配備計画(UDP)に基づく措置としており、同ヘリを定期的に配備する可能性を示唆している。伊波洋一市長は「製造から四十年近くたつ老朽化したヘリが、市街地上空を飛ぶことは許されない。米軍に直接抗議することも検討している」と反発を強めている。

 CH53D二機は六日午後三時ごろ、米空軍のC5大型輸送機に積み込まれ普天間飛行場に到着した。残る二機は七日に運び込まれる予定。同市には六日、沖縄防衛局から「『普天間』に到着した」との連絡があった。

 米海兵隊報道部は、沖縄タイムス社の取材に対し、同ヘリの配備について「『イラクの自由作戦』の支援のため、UDPを延長する」と回答。同ヘリがローテーションで配備される可能性を示唆している。

 四機はすべて米海兵隊岩国基地(山口県)の所属で「イラクの自由作戦」から帰還した、という。

 ヘリ墜落事故が起きた沖縄国際大学がある宜野湾区の仲村清自治会長は、CH53Dヘリの老朽化にあらためて懸念を示した上で、「事故と同型のヘリ配備に住民の不安は大きい。飛行場に到着するだけでも、心の平安が脅かされる」と不安を口にした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071300_01.html

 

2007年11月7日(水) 朝刊 1・2面

県、沖合移動を正式要請/普天間協きょう再開

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に関する政府と地元の協議会が七日午前、約十カ月ぶりに首相官邸で開かれる。県と名護市は「滑走路の沖合移動」を協議会の公式の席で初めて正式要請する。仲井真弘多知事は、環境影響評価(アセスメント)とは別に、政府の自主的な判断で沖合移動することも要請する方針。一方、防衛省は政府案を前提に、アセス手続きを進める考えをあらためて示すとみられる。

 福田政権初の協議会となる今回は、主宰者が防衛相、沖縄担当相の共催から官房長官に格上げされ、沖合移動をめぐる地元との溝を埋められるかが焦点になる。

 仲井真知事は協議会で、沖合移動について(1)事業者の自主的な判断(2)アセス手続きの中での修正―の二段階で実施するよう要請。一方で、移動範囲はキャンプ・シュワブ沖の平島にかからないことなど、大幅移動を求めていないことも明確化し、移設計画が「円滑に進むことを前提に政府と協議」する姿勢を打ち出す。具体的な移動距離は政府が決めることとし、地元からは要望しない方針だ。

 また、飛行ルートが集落上空に差し掛かることや戦闘航空機装弾場の設置など、運用計画に対する地元への説明が不十分な点も指摘する。

 福田康夫首相は六日夕、官邸で記者団に「協議会をきっかけに(移設への)沖縄の理解が進み、われわれも前進できるように具体的な案が出ればいい」と述べ、地元の理解獲得に全力を挙げる考えを示した。

 町村信孝官房長官も会見で「政府と県、名護市との関係が必ずしも順調ではないが、協議会を何度か開くことでアセスが順調に進み、本格着工がスムーズにできるようにしたい」と強調した。

 また、岸田文雄沖縄担当相は四日に来県した際の記者会見で、凍結状態になっている本年度の北部振興事業の取り扱いについて「移設協など、さまざまな場を活用して関係者が意思疎通を図っていただくことが(早期の)予算執行につながる」との認識を示し、協議会再開が同事業継続にも寄与することを明確にしている。


     ◇     ◇     ◇     

政府配慮引き出し狙う


 米軍普天間飛行場の移設に関する政府と地元の協議会が七日、約十カ月ぶりに再開される。県側は「一年近く政府から前向きな回答が得られなかったものを今回、一気に解決できるとは考えていない」(県幹部)と楽観視していない。ただ、主宰者が官房長官に格上げされ、官邸主導となったことで「政治決着」への期待も広がる。「互いにあと半歩近づけばいい」(同)。もともと「日米合意の範囲内」の修正を求めてきた県は沖合への大幅移動は念頭にない。県にとって、実際の移動距離に勝るとも劣らず重要なのは、沖縄側の強い要望が「政府の配慮」を引き出したという形にすることだ。

 「今回は『正常化協議会』だ」(県幹部)。県は七日の協議会を一月以来の交渉停滞を解き、互いの主張に耳を傾ける「キック・オフ」と位置付けている。

 アセス方法書の住民意見概要の送付を受け、仲井真弘多知事は方法書の受け取り保留を解除。知事意見提出に向け、手続きを進める方針を打ち出した。これは県が「アセス前の修正」を事実上断念し、アセス手続きの中で沖合移動を求めていく姿勢への転換と受け止められる。

 アセス手続きで定められた「軽微な修正(変更)」でも、理屈の上では数百メートル単位の移動は可能だ。それでも県が「アセス前」にこだわったのは、「アセス手続きの中での知事意見は法的拘束力を持たず、沖合移動の明確な担保が得られない」(県幹部)からだ。

 法的拘束力のない知事意見で沖合移動を求めても、事業者の国が従う保障はない。むしろ、自然環境に与える負荷を抑制する面から検討するアセスでは、沖合移動は自然環境にマイナスと判断される可能性が高い、との懸念が県にはある。

 「日米合意案がベスト」との立場の政府には、「移動ありき」で議論することへの抵抗は強い。県側にもアセス手続きの中で沖合移動を求める以上、「事業者がアセスを踏まえて決めることを事前に県がやれとは言えない」(同)との認識がある。具体的な移動距離の要請が先行する形になれば、防衛省から「アセス制度を無視するもの」と付け入られることへの警戒もある。

 一方で県は「合理的な科学的データが得られれば、沖合移動を踏まえてもらえるかということは、事前に主張できる」(同)と指摘。しかし、これでは県にとって「担保」にはなり得ない。このため県は、アセスとは別に、政府から沖合移動に前向きな言質を協議会で引き出したい考えだ。

 地元にとっては、なるべく沖合に移動した方が集落への影響は低減されるが、県や名護市が「日米合意の範囲内」で要求している以上、おのずと限界がある。知事は実際にヘリを飛ばして現地で騒音調査を実施するよう求めているが、客観的なデータを基にするとしても、「合格点」の判断は最終的には知事や名護市長の主観に委ねられる。

 政府がアセス手続きとは切り離し、「地元の意向に配慮し、自主的に沖合に移動した(する)」という形式を踏まえることが、容認に向けた「地元の決断」を後押しする展開につながりそうだ。(政経部・渡辺豪)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071300_02.html

 

2007年11月7日(水) 朝刊 2面

旧軍飛行場用地問題/「団体方式」方針決定

 戦時下に接収された旧軍飛行場用地問題の解決促進を協議する県と市町村の第三回連絡調整会議(主宰・仲里全輝副知事)が六日、県庁で開かれた。同問題解決に向けた今後の方針として、(1)団体方式での解決策(2)条件の整った市町村から先行的に事業実施に取り組む(3)個人補償を求める地主会への団体方式での合意形成の呼び掛け―などを了承した。

 具体的には、本年度中に国に対して、各市町村と地主会から取りまとめた事業案の説明や担当窓口の設置を求める。また、国会議員や県議会議員へ支援を依頼。二〇〇九年度の予算獲得に向け、国との検討を進める。

 仲里副知事は「振興計画もあと四年しか残されていない。国に解決を求めるには、市町村と県が連携して取り組むことが必要。戦後処理の大変重要な問題で、解決のために連携を密にしたい」と述べた。

 会議には那覇、石垣、宮古島の三市、嘉手納町、読谷、伊江両村の六市町村の代表らが出席。嘉手納町の當山宏総務部長は「地主会が個人補償を求めており、『団体方式』で取り組む方針を決めてしまうと個人補償の可能性が閉ざされてしまうのではないか」と指摘した。

 このほか「個人補償を求める地主会に対して、市町村だけでなく、県が積極的に合意形成を図ってほしい」「振計の期限も迫り、先行しているところから取り組むことが必要だ」などの意見が出された。


[解説]

折衝戦略いまだ白紙


 旧軍飛行場用地問題について、県と市町村の連絡調整会議で「団体方式を解決策とする」との方針が固まったことで、遅々として進まなかった同問題が解決に向けてようやくスタートラインについた格好となった。

 同問題は二〇〇二年度にスタートした沖縄振興計画(一一年度終了)で「戦後処理の課題」として初めて位置付けられながら、手付かずの状態が続いていた。

 具体的な解決策が見いだせなかった背景には、個人補償と団体補償を求める地主会の態勢の違いもあるが、行政側と地主会が一緒になった強力な態勢を整えられなかったことも要因に挙げられる。

 県は調査検討委員会が〇四年に提言した「団体補償による早期解決」を基本スタンスとしてきた。だが、同問題に取り組む責任の所在のあいまいさが残ったままだった。

 六日の第三回の調整会議は約三年ぶりに開催。仲里全輝副知事は「振興計画も残り四年で、時間的に厳しい」と繰り返し、市町村の連携と協力を求めた。

 ただ、戦後処理事案としての事業規模や予算措置、仕組みづくりなどはまだ白紙の状況。今後、国への説明や事業案の精査、検討作業に着手する。

 県と市町村の連携は当然ながら、事業案を具体化するためにも、国との折衝への戦略づくりが求められる。戦後処理問題という共通認識を再確認し、解決に向けた実行力が試されている。(政経部・赤嶺由紀子)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071300_05.html

 

2007年11月7日(水) 朝刊 2面

F15欠陥恐れ/三連協が即時撤去要請

 【中部】米本国での墜落事故を受け、米軍嘉手納基地のすべてのF15戦闘機が飛行を停止している問題で、同基地を抱える沖縄、北谷、嘉手納の三自治体の首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は六日、「欠陥機の飛行は基地周辺住民の生命を軽視した基地の運用と言わざるを得ない」などとして、F15の即時撤去を求める要請書を同基地司令官あてに送付した。

 同基地では六日午後五時現在もF15の飛行は確認されておらず、米軍は事故原因や、「構造上の欠陥の可能性」について具体的に明らかにしていない。

 要請書は米本国で墜落した同機種が、県内では一九九四年から現在までに四件の墜落事故を起こしていると指摘。同基地内での緊急着陸の約65%がF15を含む戦闘機であることを踏まえた上で、「(事故のたびに)原因の早急な究明と公表および再発防止を求めてきたが、一向に改善の兆しが見られない」と強く反発。

 F15の構造上の欠陥が疑われる米本国の事故を問題視し、「一歩間違えば嘉手納基地周辺でも同様な事故が発生する可能性は大であり、住民を巻き込む大惨事につながるものである」として即時撤去を求めている。

 三連協は同じ内容の要請書を外務省沖縄事務所、沖縄防衛局へも送付した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071300_06.html

 

2007年11月7日(水) 朝刊 29面

「集団自決」訴訟/那覇で被告支援集会

 大阪地裁で九日に行われる「集団自決」訴訟の原告と被告の本人尋問を前に、那覇市の教育福祉会館で六日、被告側の支援集会が開かれた。沖縄平和ネットワークの津多則光・沖国大非常勤講師が「梅澤裕・赤松嘉次戦隊長の罪状を追及する」と題して講話し、原告の戦隊長側が「証言や証拠をねつ造している」などと批判した。

 津多さんは、座間味島の戦隊長だった梅澤氏が役場助役(兵事主任)に対し、「死ぬでない」「最後まで生き残って軍とともに戦おう」などと自決を止めたとしていることについて、その場にいた生存者の記録や当時の状況に照らして整合性がつかないと指摘。

 また援護法の適用を受けるために軍命令があったことにしたという原告側の主張について、同法適用の問題を一緒くたに「集団自決」に絡めていると批判。原告側の主張の根拠に疑問を呈した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071300_07.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月7日朝刊)

[F15飛行停止]

構造上の欠陥とは何か

 米空軍の主力戦闘機F15イーグルがまたしても米国内で墜落事故を起こし、米軍嘉手納基地所属の五十三機を含む全機が飛行を停止している。

 米軍の措置にあわせて航空自衛隊も、保有する二百機余の飛行を当分見合わせることを決定。対領空侵犯措置(スクランブル出動)のため、空自那覇基地のF4が百里基地に派遣されるなどその波紋は日本にも及んでいる。

 F15は製造から三十年余が経過し、その老朽化が指摘されている。県内での同機の事故件数は、一九七九年の嘉手納基地配備後、優に百件を超える。

 中でも昨年一月、伊計島の東約七十五キロの洋上で、同基地所属機が墜落したのは記憶に新しい。このほか緊急着陸、不時着、部品落下、空中接触、エンジン火災、車輪パンク、燃料漏れなど枚挙にいとまがない。

 今回、事故原因について米空軍は「航空機に構造上の欠陥が起きた可能性」を指摘しているだけで、詳細は明らかにしていない。だが、それは今に始まったことではない。

 一連の事故について、これまで県民の納得のいく原因の公表がなされたことがあるだろうか。軍事機密を理由に、県民、国民は常に自らの安全に関する情報の外に置かれている。

 今回の米国内での事故後、即座に対応した空自の飛行停止の措置は、F15が抱える構造上の問題の大きさを示しているように思える。事故の原因究明と調査結果の公表なしには、住民の不安を解消することができない。

 事故を受けて嘉手納町議会は六日、急きょF15の全機即時撤去を求める意見書と抗議決議を採択した。また沖縄、北谷、嘉手納三市町首長による「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)も同日幹事会を開き、即時撤去の要請行動を決めた。

 米軍の言う「構造上の欠陥」とはいったい何なのか。果たして今回も住民を無視したまま、うやむやにされるのだろうか。まず国は事故原因と対策について詳細な情報を入手し、国民に知らせるべきである。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071107.html#no_2

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月7日朝刊)

[党首会談の怪]

国民への説明が不十分だ

 民主党は、辞任表明した小沢一郎代表について、自民党との連立はしないという条件付きで慰留する方針を確認した。

 「小沢氏続投」を党内の一致した見解にまとめ上げ、小沢氏に翻意を促し辞任騒動の早期収拾を図りたいという狙いだろう。

 鳩山由紀夫幹事長らが五日、小沢氏に代表辞任を撤回するよう要請したのに対し、小沢氏は当初、回答を留保。夜になって党三役が再度慰留したところ小沢氏は辞意を撤回する考えを明らかにした。

 今回の辞任劇の背景に何があったのか、不明な点があまりにも多い。党首会談の真相はやぶの中で、どんなやりとりがあったのかを説明すべきだ。

 最も解せないのは、福田康夫首相と小沢代表の言い分が大幅に食い違っていることである。

 小沢氏は辞任表明で、福田首相が(1)国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は、国連安全保障理事会か国連総会の決議によって認められた国連の活動への参加に限る(2)自民、民主両党の連立が成立するなら、新テロ対策特別措置法案の成立にはこだわらない―と述べたと説明した。

 しかし、首相は自衛隊の海外派遣について「国連決議が出て、何でもかんでもやるかはよく詰めなければならない」とし、検討すべき課題が多いとの認識を示している。

 対テロ新法案については「給油活動は国際協力の一環としてぜひやりたいと一貫して考えている」と、小沢氏の言い分を全面的に否定した。

 連立に絡む問題で、双方の認識がここまですれ違うことがあり得るのか。

 「大連立構想」をどちらが最初に持ち掛けたのかという点も説明が違う。

 小沢氏は「わたしが持ち掛けたとか『小沢首謀説』までが報道されている。まったくの事実無根だ」と述べ、首相が持ち掛けたとの認識を強調した。

 これに対し、首相は「あうんの呼吸という感じではないか」と述べ、町村信孝官房長官によると、小沢氏から持ち掛けたと言いたげな説明である。

 大騒動の割には原因が釈然としない。双方が都合よく解釈した「同床異夢だった」では説明になっていない。

 両党の連立は極めて重要な問題であり、国民に見える形での議論が前提になる。いやしくも衆院第一党、参院第一党の党首が二度にわたって突っ込んだ話し合いをしたのである。国民への説明責任をきちんと果たすべきだ。

 国民不在の密室会談は有権者への背信行為ではないか。肝心の中身をうやむやにしたまま放置することはできない。このままでは国民は納得しない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071107.html#no_1

 

琉球新報 社説

F15飛行停止 欠陥あるのか徹底究明を

 米国でF15C戦闘機の墜落事故が発生したことを受け、米空軍は嘉手納基地所属のすべてのF15戦闘機の飛行を実戦任務を除き停止した。機体の構造的な故障が墜落の原因となった可能性があるためだ。

 構造上の欠陥を抱えているかもしれない戦闘機が、長年にわたって嘉手納基地から飛行を繰り返していたと考えると背筋が寒くなる。

 欠陥機である可能性が少しでも残っている間は、飛行停止措置を継続すべきだ。

 事故は2日に発生。操縦士1人が乗った米ミズーリ州空軍州兵部隊所属機が民有地の森林地帯に墜落した。パイロットは脱出したものの重傷という。

 構造的な故障の可能性は初期段階の検査で指摘されていた。米軍が飛行停止を命じるほどだからただごとではない。予想以上に深刻な欠陥が見つかるかもしれない。

 米軍は今回起きた事故の原因を徹底的に究明し、県民に公表してもらいたい。

 米空軍が保有するF15は700機以上あり、嘉手納基地にも50機余が駐留している。

 嘉手納基地報道部は「運用停止は予防措置。さらなる検査、分析が完了するまで運用停止期間は未定」と説明している。

 2005年度末現在203機のF15を保有している航空自衛隊も、米軍の措置を受け、同型機の飛行を停止させた。

 構造上の欠陥がないことがはっきりしない限り飛行を見合わせるのは当然の措置だ。

 嘉手納基地所属のF15戦闘機は1982年以来、8機が沖縄近海などに墜落している。

 94年には嘉手納弾薬庫地区内の黙認耕作地に墜落・炎上、一歩間違えば県民を巻き込んだ大惨事につながりかねなかった。

 06年1月に伊計島の北東70キロの海上に墜落した事故は記憶に新しい。

 米空軍は同事故について「右側エンジンの損傷の影響で航空機の飛行コントロールシステムの維持ができなくなったことが原因」と発表したが、エンジン損傷の原因は不明と説明していた。

 過去の事故も構造的な故障が原因となった可能性はないのか。疑念は尽きない。

 嘉手納基地のF15戦闘機は、ほとんどが製造後20年以上経過し老朽化している。墜落には至らないまでも、緊急着陸を余儀なくされたケースは枚挙にいとまがない。今年5月には離陸のため移動中に前輪が折れる事故も起きたばかりだ。

 米軍が「安全」と発表したとしてもにわかには信用し難い。

 本当に安全を確保するには部隊の全面撤去しか方法はない。

(11/7 10:00)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28736-storytopic-11.html

 

2007年11月7日(水) 夕刊 1・4面

県・政府 協議加速へ/普天間協10カ月ぶり再開

 【東京】米軍普天間飛行場の移設について政府と地元が話し合う「普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会」の第四回会合が七日午前、約十カ月ぶりに首相官邸で開かれた。滑走路の沖合移動について、仲井真弘多知事は「(移設を)円満に進める前提として、まず政府が自主的に沖合移動を進めた上で、アセス手続きの知事意見を踏まえ、誠実に対応してもらいたい」と主張。環境影響評価(アセスメント)手続きの中で(1)事業者の自主的な判断による沖合移動(2)知事意見を踏まえた沖合移動―の二段階の修正を要請した。これに対し、政府は「現行案が基本」との姿勢は崩さなかったものの、協議を加速することで県などと一致した。次回協議会は十二月中旬に開かれる予定。

 協議会が再開されたことを受け、政府は本年度分の北部振興事業予算の凍結解除の検討に着手する。

 協議会は約四十分間。沖合移動について、島袋吉和名護市長は「政府との基本合意で、建設計画については誠意を持って協議を継続するとある。住民に著しい影響を与えない範囲で沖合移動を求める」と主張した。

 石破茂防衛相は協議会後、「政府としては今の形が最も適切であると考えている。すべてを満足するのはあり得ないが、何ができるか知恵を出すことが大事ではないか」との見解にとどめた。

 仲井真知事は、北部振興事業凍結や名護市を再編交付金の対象から外したことに「地元の反発を招く」と批判。町村信孝官房長官は「誠意を持って協議することが可能であることが確認された。北部振興事業や再編交付金もあるので、年内に開催を調整したい」と述べ、次回協議会までに政府内で調整を進める考えを示した。

 北部首長からは、ヘリが陸域上空も飛行することや戦闘航空機装弾場などの付帯施設設置に関し、政府の地元への情報開示が不十分だとの指摘も出た。

 普天間飛行場の危険性除去については、石破防衛相が米側との場周経路などに関する合意内容を説明し、「現時点で最大限の措置だ」と強調した。これを受けて仲井真知事は「それは一つの方策だが、抜本的改善が必要」と主張。久間章生元防衛相が、普天間移設が進めば普天間の閉鎖状態について米側と協議する用意がある―との趣旨の発言をしたことも挙げ、努力を求めた。しかし、石破防衛相は「今後とも最大限の努力をしたい」との回答にとどめた。


官房長官、修正の可能性示唆


 【東京】町村信孝官房長官は七日午前の閣議後会見で、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設で県や名護市が求めるV字形滑走路の沖合移動について、「可能性はないとは言わない」と述べ、修正の可能性を初めて示唆した。

 政府は従来、「政府案が最良」などと修正に否定的な見解だった。町村氏の発言は、環境影響評価(アセスメント)手続きの過程での修正を念頭にしたものとみられる。

 町村氏は「(同移設案は)大変な紆余曲折を経て決まった内容だし、いったんは地元も合意した経緯がある。仲井真知事が誕生する等々の状況の変化もあるので、そういうことも踏まえながら適切な答えを出していく必要があると考える」と述べ、慎重に対応する考えを示した。


     ◇     ◇     ◇     

「沖合移動」焦点に違和感


 米軍普天間飛行場移設に関する協議会の再開は、地元と政府の利害が一致した結果だ。政府にとっては、インド洋給油が中断している中、日米防衛首脳会談や福田康夫首相訪米の際、普天間移設の順調ぶりをアピールするのが米側への唯一の「お土産」となる。一方、名護市は北部振興事業継続のためにも政府との協議のテーブルに着く必要に迫られていた。今回は目立った進展はなかったが、仲井真弘多知事はアセス手続きの中での沖合移動を求める方針を明示。「大幅移動」を求めない考えを打ち出したことで、次回以降、接点を模索する展開も予想される。

 普天間移設と「パッケージ」とされる嘉手納基地より南の基地返還や在沖海兵隊八千人のグアム移転を評価する仲井真知事にとって、自らの判断で普天間移設の停滞を招くことは避けたいのが本音だ。

 しかし、知事は公約の「普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態」、名護市が求める「代替施設の滑走路の沖合移動」について成果は得られておらず、政府との協調関係をアピールして就任した保守県政の面目をつぶされているのが実情だ。

 知事周辺では、来月の知事就任一年で「政府ペース」との批判を避けたい意向が強い。県は今回、事業者の自主的判断による沖合移動を「円満に進める」前提と位置付け、沖合移動の「担保」にしたい意向を明らかにした。

 一方、政府内では次回協議会を年内に開き、歩み寄りが図られれば名護市を再編交付金の交付対象に盛り込むことも検討している。ただ、対米関係の観点からは、首相訪米を終えれば、政府が県や名護市に譲歩するメリットは少ない。防衛省内には、当面はアセス手続きを粛々と進めればいい、との思惑もあり、今後の進展は不透明だ。

 知事は今回、普天間の閉鎖状態についても政府に検討を要求したが、協議会の焦点が「沖合移動」への政府対応に集約されつつある状況に、違和感は否めない。知事公約の「普天間の三年閉鎖」の道筋が明確でなくても、「沖合移動の担保さえ得られれば解決」とのシナリオが県にあるのだとすれば本末転倒だ。(政経部・渡辺豪)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071700_01.html

 

2007年11月7日(水) 夕刊 5面

知事、政府軟化を評価/閉塞打開に手応え

 【東京】「耳傾ける姿勢が見えた」。七日午前、十カ月ぶりに開かれた米軍普天間飛行場の移設に関する政府と地元の協議会を終えた仲井真弘多知事は、閉塞状況だった政府との関係が修復され、問題解決への道筋に一定の手応えを感じた様子だった。会合の場では従来の政府対応に不満をあらわにし、居並ぶ政府閣僚から「今後も誠意を持って協議したい」との言質を取ったことへの期待の表れだが、滑走路の沖合移動など、双方が抱える考え方の隔たりは次回以降へ先送りとなった。

 会合は約四十分。仲井真知事は事務方が用意した文書を読まず、自身でメモした表現で口にした。「住民生活や自然環境に十分配慮する」ことを念頭に、現行のV字形滑走路を可能な限り住民区域から遠ざける沖合への移動などを訴えた。

 名護市辺野古沖の現況調査に自衛艦を出したことや振興策の凍結、再編交付金の問題も切り出し、「国民に対して軍隊を出すのはあまりに乱暴だ。振興策などでバルブを閉めるようなやり方は反発が出る」と従来の政府姿勢を批判した。

 今年一月の協議会では、議事録の残らない懇談会形式で進められ、県側の要望が具体的に聞き入れられなかったという思いも強かった。この日の会合で政府は「忌憚のない意見を交換する」姿勢を貫き、県側の要望に耳を貸した。

 会合後の会見で、仲井真知事は「これだけの大臣がそろい、解決できないものはないと感じた。(政府との)コミュニケーションが緊密になった印象だ」と述べ、政府側の軟化姿勢を評価している。

 政府側は出席した石破茂防衛相や岸田文雄沖縄担当相らが「最大限の努力」「地元意向に配慮」と口をそろえた。島袋吉和名護市長は「大変有意義だった。(政府は)今後も誠意を持って対応することが確認できた。今日の会合を機会に北部振興策も当然動くものと理解している」と手応えを感じた様子だった。

 一方で、政府から具体論への言及は乏しく、課題は残ったまま。今回から協議会の主宰者となった町村信孝官房長官は冒頭、「普天間飛行場は早く移設させなければならない。日米安保の根幹をなす重要な問題なので、最大限の努力をお願いしたい」とし、地元側譲歩の必要性も示唆した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071700_02.html

 

2007年11月7日(水) 夕刊 5面

高江ヘリパッド/移設容認を東村長が陳謝

 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設計画が進む東村高江区の公民館で六日、行政懇談会があり、伊集盛久村長は「皆さんの意見に沿うことができないことはおわびしたい」と陳謝、移設容認への理解を求めた。区民からは「今以上の基地負担を強いられる」などと移設反対を求める意見が相次いだ。

 伊集村長は四月の村長選で移設反対を公約していたが、就任後は容認の立場に転換。この日初めて同区民に直接、経緯を説明した。

 公約との整合性について、伊集村長は「北部訓練場の返還合意やさまざまな事業との関連もあり、現実的な問題を考えると、一村長の立場で反対できるものではない」と釈明。その上で「騒音が激しいときはその都度防衛局に抗議し、住民の生活に影響が出ないよう運用改善を求める」と述べた。

 区民からは「子どもたちの上にヘリ機が落ち、被害が出てからでは遅い」「運用改善では問題は解決しない」など反対を求める意見が出た。一方で「(ヘリパッド移設に)賛成の人は一人もいないが、予定地は国有地でもあり、どうにもできない村長の立場も分からなくもない。区民への迷惑を最小限にするよう防衛局に要請してほしい」と、補償制度に言及する声も上がった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711071700_04.html

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