沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(11月16日から20日)

2007年11月16日(金) 朝刊 2面

住民・観光業アセスに不満/普天間移設

 県環境影響評価審査会(会長・津嘉山正光琉大名誉教授)は十五日、米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書について二回目の審議を県庁で行い、建設予定地周辺の住民やリゾート施設など六団体の代表から意見を聞いた。

 名護市辺野古の大城康昌区長は、建設予定地の沖合移動で騒音軽減が保障されると思うかとの問いに「残念ながらこれまでの経験から、米軍は(軽減保障を)守らないと思う」と述べ、運用に不安感を示した。その上で、沖合移動は「(辺野古崎沖の)平島に住民が自由に出入りできる範囲にしてほしい」と話した。

 宜野座村松田の當真嗣信区長は「米軍ヘリは今でも頻繁に飛んでいるが、これ以上頻繁に飛んだ場合どういう影響が出るのか」と話し、アセス方法書で具体的な飛行ルートや航空機の種類を提示するよう求めた。

 カヌチャベイリゾートは「基地建設で観光事業に大きな影響が生じる」として、工事中の大気質や騒音、水の汚れ、景観など十一項目にわたりアセス見直しを求めた。満園武雄顧問は「代替施設計画との関連で、予定している観光計画の実行も憂慮される。しかし方法書では当リゾートが調査対象から外れている」と不満をあらわにした。

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の推薦で発言した桜井国俊沖縄大学学長は、方法書について(1)対象事業の目的や内容が不備(2)アセス手続きを得ないままアセスに反映させる事前調査を実施している―などの点から「アセス法が定める要件を満たしていない欠陥方法書。書き直しを求めるべきだ、との答申を提出してほしい」と述べた。


     ◇     ◇     ◇     

沖合移動重ねて難色/外務・防衛省側が認識


 【東京】高村正彦外相と防衛省の江渡聡徳副大臣は十五日の衆院沖縄・北方特別委員会で、県と名護市が求める米軍普天間飛行場代替施設(V字形滑走路)の沖合移動に相次いで難色を示した。仲村正治氏(自民)への答弁。防衛省経理装備局の長岡憲宗局長は、大浦湾の一部を埋め立てて設置する作業ヤード置き場のケーソン(コンクリート箱)について「確かに大きなものだ」と述べ、大規模な構造物になることを認めた。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。

 高村外相は沖合移動について「よほど合理的理由がないと米国に持ち出せない」と、米側への提案さえ困難との認識を強調。一方で「今、環境影響評価(アセスメント)をしており、米国を説得できるような合理的理由が出れば、絶対にあり得ない話ではない」とも述べ、アセスで沖合移動の必要性が示されれば検討する考えを示唆した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711161300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月16日朝刊)

[守屋氏再喚問]

疑惑解明にはほど遠い

 「(宴席に)一緒にいた政治家は久間(章生)先生と額賀(福志郎)先生ではなかったかと思う」

 参院外交防衛委員会で行われた守屋武昌前防衛事務次官に対する証人喚問で、前次官は防衛庁(当時)長官経験者である二人の名前を挙げた。

 両氏は、防衛商社「山田洋行」の宮崎元伸元専務から接待を受けたのではないかといわれていた四人の長官経験者として名前が浮上していた。

 昨日の証言に額賀氏は「接待を受けたことはない」とし、久間氏は「二、三年前のことだからあるかもしれない」と述べている。だが、名前が出た以上「知らぬ存ぜぬ」で済ませてはなるまい。

 実際はどうなのか。「山田洋行」が防衛庁の装備などの売り込みにかかわる業者で、宮崎元専務が担当者であったことを知った上で接待を受けたのかどうか。久間、額賀両氏は国会の場できちんと説明する責任がある。

 午前中に参考人として招致された山田洋行社長の米津佳彦氏は、宮崎元専務による守屋氏へのゴルフ接待が一九九八年から昨年までに三百回を超えていたと証言した。

 これは衆院テロ防止特別委員会で守屋氏が証言した「二百回以上」より多い。しかも一組当たりの合計で千五百万円以上になるというから開いた口がふさがらない。

 守屋氏は「ゴルフの回数について、米津氏が話した数字を変えるだけのものを持ち合わせていない」と述べているが、当然だろう。

 守屋氏はまた、航空自衛隊の次期輸送機用エンジンに米ゼネラル・エレクトリック製を選定した際に、「山田洋行」が同社の代理店だったことを知らなかったのはおかしいと問われ、「そのような記憶はない」と答えている。

 同社の水増し請求疑惑や天下りについても「私が関与することは絶対にあってはならないこと」と述べた。

 しかし、ゴルフや酒席などの凄まじい接待ぶりを考えれば、見返りがないと思う方が不自然ではないか。

 国政調査権は憲法で認められた国会議員の権利であり、「伝家の宝刀」である。にもかかわらず、今回の証人喚問でも疑惑を解明するには至らず、むしろもやもや感だけが残った。

 追及は甘く、国民が知りたいと思っている接待の向こう側にある「便宜供与」という核心部分に手が届かなかったのは残念というしかない。

 疑惑は深まり、真相を求める国民のいら立ちは募るばかりだ。疑惑を解明するためには久間、額賀両氏からも話を聞くべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071116.html#no_1

 

2007年11月16日(金) 夕刊 2面

沖縄市議会、F15撤去求め決議/飛行停止問題

 【沖縄】米本国での墜落事故を受け、米軍嘉手納基地のすべてのF15戦闘機が飛行を停止している問題で、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は十六日午前、臨時会を開き、「欠陥機と指摘されているF15を即刻撤去せよ」とする抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。

 冒頭、市議会基地に関する調査特別委員会の与那嶺克枝委員長は、米軍嘉手納基地広報局長の「F15は最も安全な戦闘機」発言について、「安心安全を求める市民の思いを踏みにじる発言であり、断じて許せない」と厳しく批判した。

 抗議決議文では「周辺自治体や住民はF15について以前から欠陥機と指摘しており、今回の事故で反発の声は強まるばかりだ。市民の生命、財産、平穏な生活を守る立場から厳重に抗議する」と糾弾している。

 さらに、十月三十日に強行された同基地でのF15戦闘機の未明離陸についても「米軍は例外規定を盾に未明離陸を繰り返しており、騒音防止協定が形骸化している」と指摘。軍用機などの早朝・夜間訓練の全面中止と同協定の抜本的な見直しも求めた。

 抗議決議のあて先は同基地司令官、駐日米国大使、在沖米国総領事など。意見書は首相、外務省沖縄担当大使、沖縄防衛局長ら。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711161700_02.html

 

2007年11月16日(金) 夕刊 1面

港湾機能も検討/普天間代替施設

 【東京】石破茂防衛相は十六日午前の衆院安全保障委員会で、米軍普天間飛行場の代替施設でヘリが故障した際の船舶を使った移送について、「それによって港湾施設というか、船舶に関する施設の所要も異なる。どのようなものが最も所要を満たし、かつ環境への負荷が軽減されるかということは、きちんと詰めていきたい」と述べ、代替施設の港湾としての機能も検討することを明らかにした。

 赤嶺政賢氏(共産)への答弁。

 政府はこれまで、米側が要求していた二百メートル級大型岸壁に関し、「大浦湾に建設予定の桟橋はあるが、これは普天間代替施設で使用される航空燃料のためのものだ」(鎌田昭良沖縄防衛局長)と説明。

 港湾機能について言及していなかった。

 同省防衛政策局の松本隆太郎次長は「現在の計画において、兵員や物資の恒常的な積み下ろしを行うような軍港としての機能を有するものを建設する計画はない」と従来の見解を強調しつつ、故障ヘリの輸送手段については「今後、米側と協議していく課題だと認識している」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711161700_03.html

 

2007年11月16日(金) 夕刊 7面

全駐労、手当減に抗議/防衛省前で70人アピール

 【東京】在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の特別協定協議で、日本側が米軍基地従業員の諸手当約百億円の削減を提案している問題で、全駐労(山川一夫委員長、約一万六千八百人)は十六日午前、防衛省前で提案見直しを求めるアピール行動を展開した。約七十人が集まり、「生活を破壊する一方的不利益変更は撤回せよ」と訴えた。

 要求に応じなければ、二十一日から四時間の時限ストを実施すると防衛省に通告している全駐労は十六日午後、同省で最後の団体交渉に臨むが、政府側は提案を見直す考えを示しておらず、決裂は必至。このためストは確実視されている。

 山川委員長は「基地従業員は国家公務員より高給であると受け止められかねない政府の今回の対応は官製の悪質なキャンペーンだ。このままではストを行うほかない。その中から打開の道を開いていこう」と連帯を呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711161700_06.html

 

2007年11月17日(土) 朝刊 1面

地元説明「必要ない」/普天間移設・民間上空飛行

V字案の意義強調

 【東京】防衛省の金澤博範防衛政策局長は十六日の衆院安全保障委員会で、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に建設が計画されている米軍普天間飛行場の代替施設(V字案)の運用について、米軍機が訓練で住宅地上空を例外的に飛ぶ可能性にあらためて言及した上で、地元への説明は「必要ない」との見解を示した。何が例外的な飛行に該当するかは、米側と具体的に協議していないことも明らかにした。名護市や宜野座村など地元からは、強い不満と反発が広がっている。

 辻元清美氏(社民)への答弁。

 金澤局長は、住宅地上空の飛行について「基本的には飛ばない」としつつも、「緊急のときには飛ぶことあるし、また、訓練の形態によっては、ないとはいえない」と答えた。

 その上で、米側との交渉について「例外的に(住宅地上空を)飛ぶ場合がどういう場合か、と細かく考えてレク(説明)するというのは今の段階で必要ないし、してもいない」と言明。

 地元説明については「大切なことはV字が、地元の要望を受けて基本的には飛ばないようにするためにつくられたということだ。わざわざ細かいことまで説明する必要はない」との考えを示した。

 今月七日に開かれた普天間移設に関する協議会で東肇宜野座村長は「陸域の飛行ルートや有事の際の飛行といったような報道があり、地域は不安を抱いている。国は建設計画の検討に必要な情報を明らかにしてほしい」と要望。

 また、仲井真弘多知事も「情報は可能な限り公開してほしい」と求めていた。

 一方、石破茂防衛相は同委員会で「地元の不安を払拭するような説明は丁寧に行っていきたい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711171300_01.html

 

2007年11月17日(土) 朝刊 1面

空自 週明けにも再開/F15飛行見合わせ

 【東京】防衛省の田母俊雄航空幕僚長は十六日の定例会見で、米空軍のF15戦闘機が米国内で墜落事故を起こしたことを受け、航空自衛隊のすべてのF15が飛行を見合わせている問題について、早ければ週明けにも飛行再開する可能性を示神

した。田母神空幕長は、「米側が機体の点検要領を固めた」としており、米軍嘉手納基地のF15も近く飛行再開するものとみられる。

 田母神空幕長は、「米国で機体の点検要領が固まったようだ。十六日中に情報が得られるのではないか。それを見て点検、調整を実施して早くフライトにつなげたい。来週早めにフライトが可能になるかもしれない」と語った。

 愛知県営名古屋空港でF2支援戦闘機が墜落、炎上した事故もあり、空自は、百里基地(茨城県)に那覇基地からF4を展開するなどして領空侵犯対処をF4戦闘機だけで行っていた。

 一方、嘉手納基地報道部は十六日、「(同基地に所属するF15C、D型の)飛行再開に関する情報は入っていない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711171300_03.html

 

2007年11月17日(土) 朝刊 2面

港湾機能も検討/普天間代替施設

故障ヘリ移送手段で

 【東京】石破茂防衛相は十六日午前の衆院安全保障委員会で、米軍普天間飛行場の代替施設について、港湾としての機能も検討する考えを示した。石破防衛相は、代替施設でヘリが故障した際の船舶を使った移送について、「それによって港湾施設というか、船舶に関する施設の所要も異なる。どのようなものが最も所要を満たし、環境への負荷が軽減されるかということは、きちんと詰めていきたい」と述べた。

 赤嶺政賢氏(共産)への答弁。

 政府はこれまで、米側が設置を要求していた二百メートル級の大型岸壁に関連し、「大浦湾に建設予定の桟橋はあるが、これは普天間代替施設で使用される航空燃料のためのものだ」(鎌田昭良沖縄防衛局長)と説明。港湾機能については否定的だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711171300_04.html

 

2007年11月17日(土) 朝刊

全駐労、21日統一スト

団交決裂16年ぶり

 【東京】在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の特別協定協議で、日本側が米軍基地従業員の諸手当約百億円の削減を提案している問題で、全駐労(山川一夫委員長、約一万六千八百人)は十六日、十六年ぶりとなる全国統一ストライキを二十一日に決行することを決めた。十六日、防衛省と三回目の団体交渉に挑んだが、決裂。夕方の中央闘争委員会で、今後のスト日程や対応策を確認した。

 山川委員長らによると、全駐労は防衛省に対し提案見直しを引き続き求めたが、防衛省側も国家公務員の基本給に10%上乗せしている「格差給」の削減など従来の提案を繰り返し、議論は平行線に終わったという。

 これを受け開かれた中央闘争委員会では、全国九つの地区本部、支部すべてで投票によるスト権が確立したことを確認。引き続き団体交渉を行いながら、状況に応じて第二波、第三波のストを実施する方針も決めた。

 二十一日は、職種に応じて始業時から四時間の時限ストを決行する。沖縄地区本部の與那覇栄蔵執行委員長は「今回の諸手当の削減は労働者の生活を破壊する提案で許せない。従業員数の多い沖縄では特に地域の雇用や経済への影響も懸念される」と述べ、政府の今回の対応に強い不満を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711171300_05.html

 

2007年11月18日(日) 朝刊 27面

沖縄戦継承 若者同士で/大学生、中高生向けガイド

県民大会受け「やるなら今」来月本番

 県内の中高校生に沖縄戦を見つめ直すきっかけにしてほしいと、県内の大学生が中高校生を対象にした沖縄戦戦跡ガイドを十二月十五日に行う。元ひめゆり学徒隊の女性たちと若者が語り合い、戦争の記憶を受け継ぐ活動を続ける「虹の会」(赤嶺玲子代表)が中心となり、琉球大学の「学生平和ガイドの会」のメンバーらが十七日、同大学内で勉強会を始めた。「大学生から中高校生へ」という若者たちによる沖縄戦の継承。学生らは息の長い活動にしたいと意気込んでいる。

 大学生らは、これまで主に修学旅行生を対象に戦跡を案内していたが、県内の中高校生にも沖縄戦への関心を持ってもらおうと初の取り組み。

 「虹の会」の北上田源さん(25)は、入会した三年前から県内の中高校生向けのガイドを考えていた。九月の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の後、「中高校生の問題意識が高まった。やるなら今だ」と思い立った。

 中高校生の素朴な疑問や質問に答えながら、壕や県平和祈念資料館など南部戦跡を巡るこのガイドでは、ひめゆり資料館で証言者を交えた交流会も予定している。

 琉大での勉強会は、「沖縄戦研究はどのように日本軍の『集団自決』強制を明らかにしているか」をテーマに、中高校生からの質問を想定し、新聞記事や沖縄戦関係資料を参考に一人一人に意見を求めながら進められた。

 「集団自決」の新たな証言や教科書問題の動きなどが、報道で取り上げられる機会が増え、メンバーらは「沖縄戦の歴史を語り継ぐために、もっと若い人が学んでほしい」と語る。

 昨年、初めて戦跡ガイドとして県外の修学旅行生を案内した同大四年の田真健弥さん(22)は「初めはそれほど関心がない人にも、沖縄戦の悲惨な過去と教科書問題や辺野古の基地移設など現在の沖縄とつながっていることを伝えたい」と語った。定員は三十人(先着順)。

 問い合わせは虹の会、電話090(9786)5237、メールはnijinokai2004@yahoo.co.jp

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711181300_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月18日朝刊)

[日米首脳会談]

実質的な中身が乏しい

 福田康夫首相とブッシュ米大統領は初の首脳会談を行い、日米同盟関係の重要性を確認し、北朝鮮の核計画の完全放棄、イランの核開発阻止などに協力して対処することで一致した。

 北朝鮮の核無能力化に伴う米政府のテロ支援国家指定解除問題に関連して、福田首相は「核、ミサイルと並び、拉致問題の解決が重要だ」とし、米側の解除姿勢に懸念を示したという。

 だが、ブッシュ大統領は「被害者と家族を置き去りにはしない」としつつ、「拉致問題の解決は必ずしも解除の前提条件にはならない」と述べたと伝えられている。

 実際にはどうなのか。この問題で両首脳がどのように突っ込んだ話し合いをしたのか、明白になっていない。両首脳はなぜ会見の場でその内容を伝えなかったのだろうか。

 首相同行筋は「指定解除をめぐる詳細なやりとりは公表しないことを申し合わせた」としている。だが小泉純一郎元首相、安倍晋三前首相の場合はそのようなことはなかったはずである。

 政府筋から漏れてくる会談内容は具体的内容に乏しい。もし、首相が拉致問題が最大の懸案事項と考えたのであれば、米側のスタンスとどこが隔たっていたのか。記者の質問を受けてきちっと答えてもよかったのではないか。

 両首脳は同盟関係を「死活的に重要」と確認したという。が、むしろ双方の溝が浮き彫りになったのも確かだ。首相は討議内容を国会の場で明らかにしてもらいたい。

 ブッシュ大統領が求めた米国産牛肉や牛肉製品の輸入条件撤廃に対し、首相は従来の見解を踏襲した。

 「科学的知見に基づいて対応していく」姿勢を変える必要は全くない。食の安全を維持するためにもハードルを下げなかったことは評価したい。

 県民にとっては普天間飛行場の危険性の除去や海兵隊のグアム移転などの問題がテーマに上らなかったのは残念である。

 実質的な中身の乏しい首脳会談だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071118.html#no_2

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月18日朝刊)

[民間上空飛行]

なぜ説明を避けるのか

 防衛省は、地元への説明責任を果たすことなく米軍普天間飛行場の移設計画を進めようしているようだ。あまりの見識のなさに怒りを通り越し、あきれてしまう。

 金澤博範防衛政策局長が名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に計画されている普天間飛行場の代替施設(V字案)で訓練する米軍機の住宅地上空を「基本的には飛ばない」としつつ、「緊急のときは飛ぶこともある」と言明、例外的に飛行する可能性を認めた問題である。

 地元説明についてはV字案の意義を強調し、「わざわざ細かいことまで説明する必要はない」と述べている。国の防衛政策を立案する防衛省の担当局長がその程度の認識しかないのか。実に情けない。

 防衛省は今年九月一日の組織改編にあたって、「防衛省は変わります―平和と安全を支えるために―」と内外に宣言していた。

 「有事の際の国民の保護、大規模災害、米軍再編などの基地問題に適切に対応するため、地方との緊密な関係を大切にします」ともうたい、地方との緊密な関係構築を柱の一つに据えていたはずである。

 言うまでもないが、地方との緊密な関係構築とは、「わざわざ細かいことまで説明する」きめの細かい対応をいう。防衛政策局長がすべきことは地元への丁寧な説明であり、「説明する必要はない」と開き直ることではあるまい。

 防衛省は、これまでも米軍再編を進める際、地元の意向に配慮することなくひたすら強行一辺倒だった。

 普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)をめぐっては、県や名護市などの反対を押し切って住民意見概要を送付、一方的に手続きに着手した。

 また、政府案の沖合への移動を求める名護市や宜野座村を再編交付金の指定対象から外したほか、本年度分の北部振興策の執行を凍結したり、キャンプ・シュワブ沿岸部の事前調査に自衛艦船を派遣するなど、地元の反発や要望を無視してきた。

 仲井真弘多知事が全国知事会議の場で福田康夫首相に対し、一連の防衛省の対応を「ひどい仕打ち」と直訴したのは、「地元無視」を続けてきた防衛省に県民の憤りと不信感が広がっていることを示すものだ。

 防衛省は、普天間飛行場の移設計画について情報を公開し、十分に説明責任を尽くす必要がある。それがなければ基地政策そのものが破たんすることを認識すべきだろう。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071118.html#no_1

 

琉球新報 社説

基地労務費削減 思いやり予算の見直しを

 在日米軍基地で働く日本人基地従業員の格差給廃止など、諸手当の一部削減を政府が提案している問題で、全駐労中央本部(山川一夫員長)と防衛省の団体交渉は16日に決裂。これを受けて21日には全国約1万6000人の組合員が、各自の就業時から4時間の時限ストを打つことを決定した。最大の組合員数を抱える全駐労沖縄地区本部(与那覇栄蔵委員長)も、約6000人がストに参加する。全国規模のストは16年ぶりとなる。

 沖縄地区本部によると、政府の提案通りになると、県経済に年間33億円余もの経済力ダウンをもたらすという。県経済の脆弱(ぜいじゃく)性などを考えると、この額は無視できない。何より、米軍駐留経費(思いやり予算)を抜本的に見直すことをせず、削りやすいところから実施するという政府の姿勢は受け入れられない。

 思いやり予算とは、防衛省予算の在日米軍駐留経費負担の通称だ。米軍隊舎や家族住宅など施設整備を図る地位協定分と、基地従業員の労務費や米軍が使用する光熱費などの、特別協定分に分かれる。2007年度の総額は2173億円で、うち特別協定分は1409億円。基地従業員の基本給1150億円のほか、在日米軍が使用する光熱費などが含まれる。

 日米両政府の思いやり予算に関する新特別協定締結協議の中で、米側が軍事負担増を理由に電気、ガス、水道などの光熱水費の大幅な増額を求めていた。逆に、日本側は基地従業員の諸手当約100億円の削減を提案、組合に示していた。

 提案内容は(1)格差給(基本給の10%)・語学手当の廃止(2)退職手当支給率の引き下げ(3)枠外昇給制度の廃止―となっている。特に格差給の1割削減は、基地従業員にとって死活問題だ。沖縄地区本部の試算によると、現在の従業員の平均月給は約31万7000円、年収が約530万円。これから1割も削減されると、月収は29万1900円となり、国家公務員の平均月給40万円余と比べると、10万円以上の格差が生じる。勤務条件は国家公務員準拠が基本とされながら、あまりに理不尽だ。

 そもそも、地位協定では米軍への施設の提供は日本側に義務付けているが、施設を維持する費用(光熱費)や基地内で働く人の給料の提供は、何ら定めがない。つまり維持費や給与なども本来、米側が負担すべきものだ。

 日本はかつてない財政赤字を抱えている。法律的に根拠のない無駄な思いやり予算は抜本的に見直す時期だ。光熱費などは本来負担すべき米側に要求すべきだ。従業員の待遇については法律上の位置付けを明確にし、日本側が最後まで責任を持ったらどうか。国家公務員準拠も再度、確認すべきだ。

(11/18 10:06)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29038-storytopic-11.html

 

2007年11月19日(月) 夕刊 1面

陸自共同使用容認の北部3町村 再編交付金対象に指定

 【東京】石破茂防衛相は十九日、在日米軍再編への協力度合いに応じて支払われる再編交付金の対象となる「再編関連特定周辺市町村」に、米軍キャンプ・ハンセンでの陸上自衛隊の共同使用受け入れを表明した金武、恩納、宜野座の三町村を新たに指定した。同日付の官報で公示した。

 三町村は、全国三十三自治体が指定された十月三十一日の官報では政府案に反対し、米軍再編推進法で規定する「再編の円滑かつ確実な実施に資する」との要件を満たしていない、として対象から外れていた。三町村は今月十三日、「受け入れ」に転じたことから、防衛省も同日中に「再編関連特定周辺市町村」に指定する方針を決めていた。

 県内では那覇港湾施設の代替施設の受け入れを容認している浦添市と合わせて四市町村が交付対象となった。普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設問題で政府案(V字案)の沖合移動を求めている名護市と宜野座村は、指定の見通しが立っていない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711191700_02.html

 

2007年11月19日(月) 夕刊 7面

環境面の影響懸念/普天間移設アセス審議

 【名護】米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)方法書について審議する県環境影響評価審査会(会長・津嘉山正光琉大名誉教授)は十九日午前、建設予定地の名護市キャンプ・シュワブ周辺での現地調査を始めた。津嘉山会長らメンバー五人が参加。知念建次県文化環境部長や沖縄防衛局担当者らも同行した。

 同市二見の大浦湾西岸作業ヤード設置場所の調査では、沖縄防衛局の担当者が作業ヤードについて、幅二百メートルで、陸から沖合三百メートルまでを埋め立てる計画であることを説明。委員からは「埋め立てによる生物への影響はシビアなものがある」などの指摘が出され、大規模埋め立てによる環境への影響を懸念した。その後、マングローブが群生する大浦川河口部や代替施設滑走路延長上に位置する同市安部のリゾートホテルなどを調査した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711191700_04.html

 

2007年11月20日(火) 朝刊 27面

沖縄戦研究者に意見打診/文科省、県内外2氏へ文書求める

 文部科学省が高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する軍の強制を示す記述を削除させた教科書検定問題で、沖縄戦や琉球史の研究者らに意見提出を求めていることが十九日までに分かった。教科書会社からの訂正申請を受けて開かれる教科用図書検定調査審議会での参考意見にするとみられる。人選や経過が不透明なうえ、沖縄戦の専門家が審議会に直接加わらない形での意見聴取に「また歴史解釈を歪曲する審議が繰り返されるのでは」と懸念の声も聞かれる。

 意見提出を求められているのは、沖縄戦を含めた日本の戦争責任を研究している林博史・関東学院大教授や、県内の琉球史研究者らとみられる。

 文科省は今月中旬に意見提出を打診した。文書を提出するか、文科省職員が意見を聞いて審議会に伝える方法を示したという。今月最終週までに意見提出される予定で、訂正申請の是非を話し合う教科書審議会の開催はその後になる見込み。

 二〇〇六年度の教科書検定では、林教授の著書「沖縄戦と民衆」(大月書店)も参考にされた。林教授は同書の中で、日本軍が住民に手榴弾を配って「自決」を指示していた実例などを示し、「(『集団自決』には)日本軍の強制と誘導が大きな役割を果たした」と結論付けている。

 だが、検定意見案を審議会に提出した文科省の教科書調査官は、同書の名を挙げ、ごく一部の記述だけを引用し「『日本軍から公式な命令があって起きたわけではない』となっている」と自らの意見を述べて、教科書会社に日本軍の強制を表す記述を削除させた。

 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の玉寄哲永副委員長は「文科省は誰がどうやって選ばれたのか明かさない。すべて終わった後に公開されても取り返しがつかない」と心配する。「『公平性、透明性』を確保するため、人選過程を明らかにしたうえで、審議会で直接、その人から意見を聴くべきだ」と訴えた。

 山口剛史・琉球大准教授も「意見書を提出させるのではなく、審議会に招いて審議委員への説明や議論を認めるべきだ」と話す。「文書提出だけでは、読み違いが生じる恐れもある。今回の検定と同じことが繰り返されない保証はない」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711201300_04.html

 

2007年11月20日(火) 朝刊 2面

県内従業員7割参加/全駐労21日時限スト

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)特別協定協議に関連し日本側が基地従業員の諸手当削減を提案している問題で、全駐留軍労働組合(全駐労)沖縄地区本部の與那覇栄蔵委員長が十九日、県庁内で記者会見し、二十一日に行う全国統一ストの同地区本部としての対応を明らかにした。

 県内基地従業員の七割に当たる約六千三百人(保安要員除く)の組合員が、各職種ごとに始業から四時間の時限ストを実施。通常使用されている四十ゲートすべてにピケを張り、最も出入りの多い国道58号沿いの嘉手納基地第一ゲートなどでは一般県民向けにアピール行動も行う。

 與那覇委員長は「現状でも基地従業員の収入は国家公務員と比べ20%低く、削減が実施されれば格差はさらに拡大する」として、全国規模では十六年ぶり、県内でも十一年ぶりとなるスト実施に理解を求めた。

 ストによる影響について與那覇委員長は「(軍用機離発着など)軍機能には影響ないが、基地間の物資運搬や兵員の食事などはスト時間中、ほぼまひする」とした。またピケを張る関係で、二十一日朝はゲート周辺が交通渋滞する可能性があるという。

 與那覇委員長らは記者会見後、仲井真弘多知事と面会し、「諸手当削減が実行されれば県経済にも影響する」として協力を求めた。仲井真知事は「県として直接かかわる立場にないが、いろんな形で役に立てるようにしたい」と応じた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711201300_05.html

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