2007年11月21日(水) 朝刊 1面
落下傘訓練 6米兵、民間地に降下
伊江島 集落まで100メートル
【伊江】二十日午前九時四十五分ごろ、伊江村西崎の伊江島補助飛行場上空でパラシュート降下訓練を行っていた海兵隊員六人が、施設フェンスを最大約二百五十メートル外れ、サトウキビ畑やタバコ畑の民間地に降下した。最も近い住宅地までは約百メートルだった。降下ミスによるけが人はいなかった。海兵隊員の所属は、沖縄防衛局が米軍に照会している。
同村では、昨年十月と今年二月にも米兵がフェンス外の黙認耕作地や民間地へ誤って降下している。事態を重く見た大城勝正村長は、現地を視察した内間博昭村議長らとともに二十一日、沖縄防衛局を訪れて再発防止を申し入れる。
沖縄防衛局や事故を目撃した照屋徳治西崎区長(53)らによると、二十日午前九時半ごろから始まった降下訓練中、強風にあおられた六人が、提供施設外の牧草地やタバコ畑に降下した。兵士はパラシュートを丸め、迎えに来た米軍車両に乗り込みその場を立ち去った。
畑ではまだ何も栽培されていないため農作物の被害はなかったものの、集落から約百メートルしか離れていない。風向きによっては住宅地に降りた可能性もあった。照屋区長は「毎回のことだが、住民にとっては非常に迷惑だ。村長に対策を求めたい」と憤った。
提供施設外へのパラシュート降下は、北風が強まる冬場になると、毎年のように起きている。大城村長は「畑を耕している人、歩いている人の上などに降りた場合、事故になる危険性も十分ある。沖縄防衛局を通じて米軍に再発防止を求めて抗議する」と話した。
沖縄防衛局は、在沖米海兵隊外交政策部(G5)のラリー・ホルコム部長(大佐)に口頭で、安全管理の徹底管理と再発防止を求めた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711211300_02.html
2007年11月21日(水) 朝刊 1面
米軍F15 近く飛行再開/空自、すでに実施
墜落調査継続中
【東京】米空軍のF15戦闘機が米国で墜落事故を起こし、国内すべてのF15が飛行を見合わせている問題で、米空軍が十八日(現地時間)に飛行再開に向けた指示を各部隊に出していたことが二十日、分かった。関係者によると嘉手納基地は飛行再開に向け、点検要領に基づく準備作業に着手している。近く飛行を再開するとみられるが、具体的な時期について米側は、二十日現在、「決まっていない」としているという。
墜落事故は、訓練飛行中に操縦席後方付近で機体が分離したために起きたことも関係者の話で分かった。事故の詳しい原因について、米側は「調査を継続中」と説明しているという。
一方、航空自衛隊は保有する約二百機すべての機体について、米空軍が事故調査の状況に基づいて作成した点検要領などに基づく安全対策が終了したとして、四日から中止していた飛行を二十日に再開した。
事故は、米ミズーリ州中南部で二日に起きた。訓練飛行中だった州空軍の一人乗りF15が墜落し、パイロットは墜落前に脱出したが、負傷した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711211300_03.html
2007年11月21日(水) 朝刊 2面
全駐労きょうスト
在日米軍基地で働く日本人従業員ら約一万六千八百人で組織する全駐留軍労働組合(全駐労、山川一夫委員長)は二十一日、十六年ぶりとなる全国統一ストを行う。
県内では全基地従業員の七割に当たる約六千三百人が、それぞれ始業時間から四時間の時限ストを行う。
全駐労は、今後の防衛省との団体交渉で、国側が提案する基地従業員の諸手当削減問題の進展がなければ、十一月末以降、第二波、第三波のストを行う方針を決めており、交渉はヤマ場を迎える。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711211300_04.html
2007年11月21日(水) 夕刊 1・5面
全駐労、16年ぶりスト 県内6000人が参加
政府が米軍基地で働く日本人従業員の格差給(基本給の10%)廃止などを提案している問題で、全駐留軍労働組合(全駐労、山川一夫委員長、約一万六千人)は二十一日午前、全国の米軍施設で職種ごとに四時間の時限ストを行った。全駐労の全国ストは一九九一年九月以来、十六年ぶり。
県内では、沖縄地区本部(與那覇栄蔵委員長)の組合員六千人余りが参加。午前五時半から、通常使用されている四十カ所のゲート前でピケを張り、うち三カ所で決起集会を開いた。嘉手納基地第一ゲート(北谷町)の集会には、組合員のほか、地区本部の政治顧問でもある上原康助・元衆院議員、支援する連合沖縄の代表など組合集計で約三百七十人が参加した。
與那覇委員長は「(国側は)10%以上の給与カットを一方的に押し付けようとしているのに合理的説明がない」とストの正当性を強調。
石破茂防衛相が二十日、賃金水準の低い沖縄では全駐労の給与は相対的に高いとの趣旨の発言をしたことに対して「格差解消は政府の責任。それを放置したままの発言は暴言で、責任放棄だ」と批判した。
組合員らは、時折響く軍用機の爆音の中、「格差給廃止は許さないぞ」「公務員との格差を是正しろ」などとシュプレヒコールで気勢を上げた。
◇ ◇ ◇
手当削減「生活直撃」
【中部】「従業員の生活を守れ」「防衛省は雇用主の責任を果たせ」。二十一日午前に行われた全駐労の全国統一ストライキ。北谷町砂辺の米軍嘉手納基地第一ゲート前、宜野湾市野嵩の普天間飛行場第三ゲート前にも大勢の労働者が集まり、国側が提案する基地従業員の諸手当削減に対し、怒りのシュプレヒコールを繰り返した。
嘉手納基地内の住居メンテナンスを行っている阿嘉健さん(30)=嘉手納町=は「六人の子どもをしっかりと育て、生活を守らなければいけないという責任がある。防衛省は誇りを持って仕事も頑張っている現場の声を聞いてほしい」と訴えた。
「一度許すと、ずるずると待遇が改悪されてしまう」。同基地内で通信業務に当たっているという野崎旬子さん(48)=北谷町=と知念峰子さん(32)=沖縄市=は「格差給(基本給の10%)の廃止は直接生活に影響する。住宅ローンや子どもの養育費など、描いていた将来設計が崩れてしまう」と、それぞれ切実な思いをぶちまけた。
勤続二十五年の佐次田実さん(60)=うるま市=は嘉手納基地内の電話設備の維持、管理業務に従事している。「給料は下がる一方なのに、防衛省はさらに追い打ちをかけてきた。基地を運営するために、労働者の賃金を削るという単純な発想は受け入れられない」と声を荒らげた。
普天間飛行場第三ゲート前でのストに参加したボイラー技士として十四年勤務している徳山勝さん(36)は「人件費削減は寝耳に水みたいな話。われわれの人件費を下げるよりも、基地内の電気代や水道代を負担している思いやり予算を止めるべきだ」と批判。「原油高で物価は高騰するし、これから子どもの教育費も多くなる。生活できない」と強調した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711211700_01.html
2007年11月22日(木) 朝刊 1面
嘉手納基地 F15 26日飛行再開
米軍、事故原因明かさず
【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は二十一日、米本国で起きたF15戦闘機の墜落事故を受け、飛行停止していたF15の飛行訓練を二十六日から順次再開すると発表した。事故原因は明らかにしていない。同機を「欠陥機」として撤去を求めていた周辺自治体は事故原因を明かさずに飛行再開する米軍に不信感を募らせている。
同基地は十七日から、米空軍のチェックリストと照らし合わせ、一機に十五時間以上かけて点検していると説明。飛行性能を確認し次第、飛行を開始するという。
北谷町と沖縄市は二十一日、北谷町役場で、飛行再開を通知した沖縄防衛局に、事故原因を明らかにするよう要請した。
米空軍は今月二日の墜落事故でF15に「構造的欠陥の可能性がある」として飛行停止命令を出し、嘉手納基地は四日から飛行停止していた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711221300_02.html
2007年11月22日(木) 朝刊 2面
伊江村長、米軍に抗議/落下傘民間地降下
【伊江】伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練中の海兵隊員六人が、提供施設外の民間地に降下した問題で、大城勝正伊江村長や内間博昭村議長らは二十一日、沖縄防衛局を訪れ、米軍へ強く抗議するとともに、再発防止を求めるよう要請した。
大城村長は「被害がなかったのはよかったが、一歩間違えれば、大事故につながるところだった」と指摘。
その上で「一九九六年のSACO(日米特別行動委員会)合意でパラシュート訓練を受け入れて以来、十九件の事故が起きている。米軍に対して、強く抗議し、再発防止を訴えてほしい」と求めた。
応対した岡久敏明管理部長は、事故が発生した二十日に、米海兵隊外交政策部(G5)のラリー・ホルコム部長に抗議し、天候などに配慮した訓練の実施と再発防止に努めるよう求めたことを伝えた。
二十日午前九時四十五分ごろ、同補助飛行場でパラシュート降下訓練を行っていた海兵隊員六人が、強風にあおられて施設フェンスから最大二百五十メートル、住宅地から約百メートル離れた提供施設外の畑などに降下した。
当時周辺では、耕運機で畑作業をしていた住民もおり、大きな事故につながる恐れがあった。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711221300_03.html
2007年11月22日(木) 朝刊 26面
教科書検定問題「来月初旬までに結論」/波多野審議委員が見解
【東京】「教科書問題と沖縄・韓国」をテーマにしたシンポジウム(主催・早稲田大学大学院アジア太平洋研究科)が二十一日、早稲田大学で開かれ、教科書検定意見を審議する教科用図書検定調査審議会の波多野澄雄委員(筑波大副学長)らが登壇した。
波多野委員は沖縄戦「集団自決」に関する教科書検定問題で、教科書会社六社からの訂正申請を審議会(日本史小委員会)で審議していることを説明。来年春に印刷を間に合わせるため「十二月初旬までに何らかの結論を出し、会社側に伝える必要がある」との見通しを明らかにした。
審議の状況では「なかなか難しい対応を迫られている」とし、各社が申請した記述通りに審議会で承認することは困難との認識を示唆した。
教科書会社が検定結果に不服がある場合「意見申立書」で異議を唱えることができるが、今回の検定では「すべての会社が(検定)意見に従って(修正表を)書き、軍の存在や関与が一斉になくなり、びっくりした」と述べた。
その上で「文科省だけでなく、執筆者や出版社にも一端の責任がある。裏付けがあるなら自信を持って書くべきだ」と強調した。
「集団自決」への日本軍の強制が削除された検定後の記述については「軍(の関与)を否定しているわけでないと解釈できなくもなく、検定意見の範囲と言える」とし、検定意見に即した記述だと説明した。
山梨学院大の我部政男教授は「沖縄戦と歴史教科書」をテーマに報告した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711221300_05.html
琉球新報 社説
落下傘降下ミス 訓練の適地は県内にない
米軍伊江島補助飛行場上空で実施されたパラシュート降下訓練中、米兵6人がサトウキビ畑など基地フェンス外の民間地に降下した。
2003年5月には、米兵5人が提供地域外の民間地に降下。その際、米軍は訓練時には風向や風速の調査を実施するなどの改善策を示した。
改善策を順守しても、民間地への降下ミスが続くのならば、伊江島補助飛行場がパラシュート降下訓練には適していないということにほかならない。
1996年12月のSACO(日米特別行動委員会)最終報告で、パラシュート降下訓練は読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場へ移転することが合意された。伊江島以外では本来、降下訓練は認められていない。
合意施設で降下ミスが後を絶たない現状からして、住民の安全を確保した上で、降下訓練を実施できる適地は県内にないということである。
降下ミスの多さは異常である。過去1年だけでも06年10月に1人、ことし2月に4人が民間地域などに降下。訓練するたびにミスが起きている状況にある。米軍は安全に万全を期していると言えるのだろうか。
今回は人的被害や農作物の被害はなかった。だからといって「問題なし」ということにはならない。何ら改善される兆しのない降下訓練は、重大事故発生の危険性をはらんでいる。
大城勝正伊江村長は沖縄防衛局への抗議で、降下ミスした米兵から約20メートル離れた畑で耕作者がいたとして「一歩間違えば大惨事になる可能性があった」と指摘している。
同席した内間博昭同村議会議長は、降下ミスが11年間で19件発生しているとした上で「SACO合意で土地を提供し、訓練に同意したが、生命まで提供したつもりはない」と述べている。
政府は米軍にその声を伝えるだけでなく、少なくとも実効性のある改善策が示されるまで訓練しないよう、米軍に求めるべきである。
米軍は98年5月と99年4月、さらにことし1月と10月の計4回、地元の反対を押し切って嘉手納飛行場で降下訓練を実施している。伊江島補助飛行場での降下訓練ミスの続発を逆手にとって、嘉手納飛行場での訓練実施の口実にすることがあってはならない。
ことし10月に嘉手納飛行場で実施した降下訓練では2人が降下目標地点を外れ、うち1人が林に突っ込んでいる。嘉手納でも一歩間違えばとの危機感を周辺住民は抱いている。
降下訓練は住民への重大な脅威となっている現実を、米軍は認識するべきだ。
(11/22 9:49)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29134-storytopic-11.html
2007年11月22日(木) 夕刊 5面
F15飛行再開 三連協が抗議方針
【中部】米国での墜落事故に伴い、飛行停止措置を講じていた米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が二十六日から飛行を再開することを受け、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十二日午後、幹事会を開き、対応を協議する。
幹事会では、事故原因を明かさないまま飛行を再開する米軍に対し、抗議する方針で対応を協議する。三連協は墜落事故を受け今月六日、同基地司令官に抗議文を送付し、F15の撤去を求めている。
墜落原因で米軍「決定証拠ない」/依然調査中認める
【嘉手納】米経済通信社ブルームバーグによると、米空軍はF15戦闘機の飛行再開をめぐり、「事故調査は継続中で、墜落の原因について決定的な証拠はない」と認めた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711221700_05.html
2007年11月23日(金) 朝刊 1面
嘉手納ラプコン返還は来年4月以降
再編進ちょくに影響か
在日米軍が沖縄の本土復帰後も管轄を続け、今年十二月をめどに返還されるはずだった沖縄本島周辺空域の航空管制システム「嘉手納ラプコン」の返還時期が、来年四月以降にずれ込む見通しであることが二十二日、分かった。日米の政府関係者が明らかにした。
米軍再編をめぐる昨年五月の日米合意では、関東地方など一都八県にまたがる横田ラプコン全域の返還条件について「嘉手納ラプコン返還の経験から得られる教訓を考慮する」としている。日米両政府筋には返還について「少なくとも数年かかる」との見方もあり、再編の進み具合や、同様に米軍が管轄する岩国ラプコン(山口県)の返還交渉にも影響しそうだ。
国土交通省と在日米軍司令部(東京都)は、嘉手納ラプコンの具体的な返還時期について「日米で協議中であり話せる段階にない」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711231300_03.html
2007年11月23日(金) 朝刊 2面
三連協、中止を要求/F15飛行再開
【中部】米国での墜落事故に伴い、飛行が停止されていた米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が二十六日から飛行を再開することを受け、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十二日、「事故原因が特定されていない」などとして、飛行中止と同機の即時撤去を求める要請文を同基地司令官らに送付した。
要請文は「F15は半年間で四件の墜落事故を起こした欠陥機であり、飛行が開始されることで、嘉手納基地周辺での墜落事故が懸念される」と住民の不安を訴えている。
同基地報道部は「入念な点検後、各機体の飛行性能を確認し、順次飛行を再開する」と説明しているが、要請文は事故当時の状況が明らかにされず、事故の原因も特定されていない中での点検は「無意味」と指摘。「安全性が保障されたとはいえず、周辺住民の不安を払拭し得る状況にはない」として、F15飛行再開の中止、同機の撤去を求めた。
要請文は沖縄防衛局、外務省沖縄事務所にも送付。三連協は今月六日にも、F15を撤去するよう同基地司令官に抗議していた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711231300_04.html
2007年11月23日(金) 朝刊 2面
渡海文科相 何をもって「軍命」?/「教科書検定」県民大会後に雑談
【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、渡海紀三朗文部科学相は二十二日午後の閣議後会見で、沖縄の県民大会後に石破茂防衛相と意見交換した際、石破防衛相が「『軍命』とは通常は隊長が出したことをいうのかな」などと話していたことを明らかにした。渡海文科相が「軍命」の意義を問うたことに答えたという。
渡海文科相は「学説がどうか分からないが、何をもって軍命というのか、と雑談した。自衛隊も軍隊といえば軍隊だから、どうなっているのかを聞いた。明快な回答を求めたわけではない」と説明した。
また、県民大会後に所属する派閥の山崎拓会長(前副総裁)から電話があったことを明らかにし、「この問題を文科相として適正に処理してくれということだった。『ちゃんとやれ』という内容だった」と話し、検定意見見直しへの働き掛けがあったことを認めた。
山崎前副総裁は同問題に関し、大会前日の県内での講演会で「検定に過誤があった場合、文科相は(省令で)見直しを勧告できる。文科相と話し合う」などと述べていた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711231300_05.html
2007年11月23日(金) 朝刊 30面
普天間の危険訴えたビデオ 国際的賞を受賞
【宜野湾】住宅街の中心に位置する米軍普天間飛行場の危険性を住民の証言などを通して描いたドキュメンタリーフィルム「Why Okinawa?(ホワイ オキナワ)」がこのほど、国際的なビデオコンテストのテリー賞やコミュニケーター賞などを受賞した。制作した米国人夫妻が二十二日、宜野湾市役所を訪れ、出演、取材に協力した伊波洋一市長(55)らに賞状などを伝達した。
恩納村出身の絹枝・大城・エイブリーさん(46)と夫のロバート・エイブリーさん(66)が三年がかりで制作した。
米カリフォルニア州在住の二人が二〇〇四年に来沖した際、沖国大へのヘリ墜落事故が発生、絹枝さんが夫に作品化を持ち掛けたという。
沖国大の学生が撮影した事故直後の生々しい映像や住宅上空を飛行する米軍ヘリのほか、基地建設で破壊された墓を映し出している。
陸軍に所属し、沖縄に駐留したこともあるというロバートさん。「私は米軍を支持しているが、取材を通して何が正しく、正しくないのかという信念が揺さぶられた」と述べた。
絹枝さんは「受賞はみんなの努力が実った成果」と喜んだ。
作品は約六十分。ニューヨークのテレビ局ITNで放送を予定しているほか、字幕を付け日本でも放映したいという。
賞の伝達式で、夫妻から宜野湾市と伊波市長、市基地渉外課の平良瞳さん(45)、沖国大の佐藤学教授(49)に、賞状などが手渡された。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711231300_06.html
琉球新報 社説
F15飛行再開 県民を危険にさらす暴挙
飛行中にいきなり空中分解を起こす米軍F15戦闘機が、事故原因の解明を待たず、26日から飛行を再開する。県民を危険にさらす暴挙である。飛行再開に断固反対するとともに、この際、老朽欠陥機の嘉手納基地撤去を米軍に要求したい。
米軍首脳部は、どのような安全感覚であろうか。いつ空中分解し墜落するかしれない危険な戦闘機の飛行を、自らの家の上空でも、果たして許すのであろうか。搭乗させられる操縦士や乗員は、どんな思いであろうか。
飛行再開に当たり米軍は、通常飛行任務の再開が「アジア太平洋地域における平和と安定の維持に引き続き貢献する」と豪語している。しかし、それは米軍自ら「最重要視している」と強調する「安全な飛行運用」が大前提である。
敵を迎撃する前に、いつ空中分解し墜落するかしれない欠陥機では、平和維持に貢献するどころか、むしろ国民を墜落の危険にさらすことになる。
F15戦闘機は米軍の主力戦闘機で、初飛行は沖縄が本土に復帰した1972年。以来、35年間も使用されてきた。
その主力戦闘機が実戦任務を除く全機の飛行停止措置となったのは、2日に起きた米ミズーリ州の州兵部隊所属機の空中分解墜落事故が原因である。
事態に米空軍は事故原因の調査、
機体の検査・分析が完了するまで全機飛行停止という前代未聞の措置を取った。しかし現在に至るま
で事故原因の解明は進んでいない。
事故機は生産から27年が経過していた老朽機であったことから「経年劣化」が原因との見方も出ているが、不確かだ。
米空軍は、超音波や電磁波を使う「非破壊検査」などで、目視では確認できない機体のひびや腐食の有無を点検し、問題がなければ飛行できる、と説明している。
ただでさえ昼夜を問わず爆音をまき散らし、早朝・未明の離着陸を強行し、反発を招いている問題機である。
この際、飛行再開の中止にとどまらず、老朽欠陥機F15の撤去を要求したい。
(11/23 10:08)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29161-storytopic-11.html
2007年11月24日(土) 朝刊 1面
沖縄市長、近く結論/泡瀬埋め立て
市幹部と緊急会議「まだ話せない」
【沖縄】中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業の是非について、東門美津子沖縄市長が早ければ、十二月六日から始まる市議会十二月定例会前にも結論を出す可能性があることから、東門市長、島袋芳敬副市長らは二十三日、市役所で緊急会議を開き対応を協議した。会議では東門市長の結論として「推進」「中止」「第一区域の工事は認め、第二区域は中止」「第二区域は人工島の形の見直し」の四つのシナリオを想定し、事務方として市長を支える態勢を確認した。
東門市長は「年内に結論を出す」方針を示しているが、二十三日「できるだけ早く公表したいが、まだ話せる状況にない」と強調。いずれの結論を出したとしても反対、推進両派から反発が出るのは必至で、表明のタイミングを慎重に見極めている。
海上工事は二〇〇二年にスタート。工事が進む第一区域は、早ければ〇八年に外周護岸の工事を終え二〇一二年にも完了予定だ。その後、土地需要の見通しなどを検討した上でおおむね二〇一三年以降に工事が始まる第二区域は、米軍泡瀬通信施設の保安水域にかかる問題があり、東門市長は今年九月に共同使用の更新期限を迎えたことから、「一年期限」で更新手続きを行った。
島袋副市長は「第二区域は米軍基地問題があり、絶滅危惧種のクビレミドロやトカゲハゼの生息地域でもあることから、この部分を避けた島の形の計画修正や中止もあり得る」と説明。「市長の決断に応じて埋め立て事業者である県や国、関係団体とスムーズな調整が図れるよう準備している」と述べた。各団体や政党から賛否の要請が相次ぎ、東門市長は八月には部長クラス全員から意見聴取。意見は「推進か事業縮小を含めた見直し」がほとんどで、「中止」は一人もいなかった。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711241300_01.html
2007年11月24日(土) 朝刊 26面
普天間代替で政府批判/市民投票10年シンポ
【名護】大学人九条の会沖縄の第六回シンポジウム「1997市民投票から10年〈民意〉はどこにあるのか―憲法九条を守るために―」が二十三日、名護市労働福祉センターで開かれた。基調講演で沖縄国際大学の照屋寛之教授(行政学)は「振興策と基地は別物であるはずが、振興策によって民意がつぶされてきた十年だった」と、振興策と引き換えに米軍普天間飛行場の代替施設受け入れを進めようとする政府の姿勢を批判した。
同シンポジウムは、米軍のヘリポート建設の是非を問う名護市民投票から十年を迎え、基地建設をめぐる「民意」を問い直そうと企画された。照屋教授のほか、琉大大学院の高作正博准教授(憲法学)と沖縄大学の宮城公子准教授(比較文学研究)が基調講演した。
照屋教授は、市民投票以降について「本来は地域を良くするための振興策を政権が悪用し、選挙結果などに影響を与えている」と指摘。「操り人形を動かすように、政府は補助金で民意を思う方向に誘導している」と、「アメとムチ」で在日米軍再編を進める政府の在り方に疑問を投げ掛けた。
高作准教授は市民投票の結果について、「基地建設反対の意思は明確だった」と、現在もその効力があると強調。名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設案は民意を得ていないとした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711241300_06.html