沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(11月29日、30日)

2007年11月29日(木) 朝刊 1・27面

嘉手納F15飛行再停止/墜落事故に新情報

周辺住民の不安高まる

 【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は二十八日夕、同基地所属のF15戦闘機全五十三機の飛行を再停止すると発表した。米国で起きた墜落事故に伴い、事故調査当局が発見した「新たな情報」に基づき、太平洋空軍司令官が指示した。停止期間は明らかにしていない。同基地のF15は、事故原因を公表しないまま二十六日に三週間ぶりに飛行再開を強行したばかり。事故に起因する度重なる飛行停止に、周辺住民の不安は高まっている。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(会長・野国昌春北谷町長)は二十六日に同機の撤去、飛行中止を求めて同基地司令官らに抗議していた。野国会長は「F15の危険性が明らかになった。嘉手納基地からの撤去と同時に、日本政府にも、安全性が検証されないまま飛行を再開した米軍の責任を追及するよう求めたい」と述べた。

 嘉手納基地は「新たな情報の分析が終了後、飛行停止期間や事故に関連した機体整備を受けることになるだろう」と説明している。外務省は駐日米大使館に飛行停止の原因などを照会したが、回答はないという。

 嘉手納基地のF15は、来月三日から同基地を拠点に行われる空軍と海兵隊の合同即応訓練に参加予定だったが、飛行停止措置が解除されなければ参加しないとみられる。


     ◇     ◇     ◇     

「またか」住民憤り/安全性に深まる疑問


 【中部】「米軍はいいかげんな判断で、飛行再開したのか」―。飛行開始からわずか三日目、嘉手納基地は二十八日、F15戦闘機を再び飛行停止にした。同基地は、飛行停止措置を解除する際に、「空軍は安全な飛行運用を最重要視している」と発表したばかり。F15の安全性に、基地周辺住民の疑問は深まる一方だ。

 飛行ルート下で、ごう音にさらされる北谷町砂辺区の松田正二区長は「今回、停止措置を取った原因も明らかにされていない。飛行機が落ちてからでは、どうにもならない」と指摘する。「もう抗議文だけでは解決できない。区民として声を上げるしかない」と憤った。

 砂辺区の主婦、中村喜江子さん(71)は「また飛行中止するということは、ここ数日は危険な状態で飛行していた、ということ。いつ事故が起きてもおかしくないのでは」と話した。

 嘉手納町基地対策協議会評議員の宮城清記さん(82)は「県や市町村の幹部、議会はもっと真剣に考えなければならない。万が一の事が起きてからでは遅い」と強調した。


米2機が緊急着陸

嘉手納基地


 【嘉手納】米軍嘉手納基地で二十八日午前十一時すぎ、同基地所属のF15戦闘機二機が相次いで緊急着陸した。二機は北谷町方向から同基地南側滑走路に午前十一時十五分ごろから三十分にかけて相次いで着陸。一時騒然とした。

 同基地報道部は「予防のための着陸で、機体にトラブルはなかった」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711291300_01.html

 

2007年11月29日(木) 朝刊 2面

ヘリ輸送船の接岸確認/普天間代替

 ケビン・メア在沖米国総領事は二十八日の定例記者会見で、米軍普天間飛行場代替施設について、故障したヘリなどを運搬するための船舶(バージ船)接岸場所の確保を日米で確認していたことを明らかにした。接岸場所については、航空燃料を運搬する給油艦が出入りする桟橋部分とは別に、「直線の防波堤部分」を検討。メア総領事は「(日本政府は)だいたい(接岸位置を)決めていると思う」との認識を示した。

 代替施設の港湾機能をめぐっては、石破茂防衛相が衆院安全保障委員会で、ヘリが故障した際の船舶を使った移送について「それによって港湾施設というか、船舶に関する施設の所要も異なる」と述べ、検討する考えを示唆していた。

 メア総領事は「石破防衛相の言ったことはもちろん否定しない」とした上で、「飛行機が故障したらトラックで運ぶことは難しいので、修理するために代替施設からバージ船で別の場所へ運ぶ必要がある、というのは(日米で)検討していた」と説明した。

 接岸場所については「たぶん燃料用の桟橋とは別の所。マスタープランの中で検討している。特別の施設ではなくて場所が必要。例えば普通は防波堤は傾斜しているが、真っすぐだったらそこにバージ船が(接岸)できるという話」と述べた。

 一方で、「港や岸壁を造るという話ではない」とし、恒常的に貨物などを積み降ろしする船舶の利用は想定していないことを強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711291300_04.html

 

2007年11月29日(木) 朝刊 2面

嘉手納即応訓練/在沖海兵隊も参加

 米空軍嘉手納基地報道部は二十八日、岩国基地(山口県)の米海兵隊とともに、来月三日から実施予定の即応訓練について、嘉手納基地所属の空軍要員と在沖海兵隊員すべてが参加することを明らかにした。嘉手納基地の輸送機も訓練に加わる。嘉手納基地で米海兵隊と合同で即応訓練を実施するのは今回が初めてという。

 同報道部は「嘉手納基地は前方展開基地として、他の基地から来る部隊を受け入れ、紛争地や被災地に派遣する任務も持つ」と説明。有事や人道支援の際の経由基地として、他基地からの支援部隊の受け入れ態勢を確認するのが、今回の訓練の主目的だという。

 これまでの即応訓練では、嘉手納基地の部隊が、他の基地からの派遣部隊役を演じていたが、今回はより現実に近い形で実施するため、実際に岩国基地の部隊を受け入れることにしたという。

 嘉手納基地の部隊や戦闘機が普天間飛行場に展開することはない、としている。


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三連協など抗議へ


 【中部】嘉手納基地周辺自治体の首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十八日、北谷町役場で幹事会を開き、嘉手納基地などで予定されている大規模な即応訓練に抗議することを決めた。訓練期間中の来月四日に嘉手納基地を訪ね、同基地司令官に直接抗議する。

 同協議会事務局によると、抗議では嘉手納基地の負担軽減がうたわれた二〇〇六年の在日米軍再編以降も、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備や、F15戦闘機や外来機による未明離陸などで負担軽減に逆行している現状を指摘し、訓練の中止を訴える。外務省沖縄事務所、沖縄防衛局も訪れる予定だ。

 また、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は二十八日、基地に関する調査特別委員会を開いて、即応訓練とF15戦闘機の飛行再開問題について対応を協議した。来月四日に再度、基地特委を開き、抗議決議と意見書の両案を市議会十二月定例会に提案する方向で調整することが決まった。北谷町議会(宮里友常議長)は二十九日午後、基地対策特別委員会を開き抗議する方向で対応を協議する。

 即応訓練は、米軍嘉手納基地を拠点に、第一八航空団と海兵隊岩国基地(山口県)の部隊などが十二月三日から七日まで予定している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711291300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月29日朝刊)

[守屋前次官逮捕]

防衛利権にメス入れよ


業者とずぶずぶの関係

 この役所は、どこか変だ。背任、汚職、談合といった臭気漂う事件が後を絶たない。

 一九九八年九月、防衛庁調達実施本部の背任・汚職事件で元調達実施本部長ら幹部が逮捕され、昨年一月には防衛施設庁の官製談合事件で同庁の技術審議官が逮捕され、そして今回である。

 再発防止のため倫理規程を設け、部下に対して李下に冠を正さずの教えを説いた当の幹部が、その裏で業者から過剰なゴルフ接待を受けていたことが発覚し、妻とともに収賄容疑で逮捕された。

 防衛庁が「省」に昇格したのは一月のことだ。だが、「省」にふさわしい風格を備えているかといえば、はなはだ疑問だ。

 逮捕された守屋武昌前事務次官は、贈賄容疑で再逮捕された防衛商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者から、今年四月までに三百回以上ゴルフ接待を受けていたという。

 業者丸抱えの、北海道や九州へのゴルフ旅行。還暦祝いの現金二十万円。守屋容疑者はゴルフ接待にたびたび妻を同伴。宮崎容疑者から夫婦そろってゴルフセットを贈られたこともある。

 収賄罪の公訴時効に掛からない五年間に限っても、接待の総額は五百万円に上るという。なぜ、これほどまでに過剰な接待が繰り返されたのか。

 東京地検特捜部は、航空自衛隊の次期輸送機(CX)のエンジン納入などで有利に取り計らってもらうことを期待して接待を繰り返したとみている。

 守屋容疑者は二回の証人喚問で便宜供与を否定した。だが、接待を受けるだけの関係というのは常識的にも考えにくい。

 山田洋行は対潜哨戒機の装備品納入の際、見積書を偽造して水増し請求をしたにもかかわらず処分を受けなかったことも明らかになっている。

 防衛装備品の調達は、防衛秘密という名のベールに包まれ、外部からはうかがい知れないことが余りにも多い。

 宮崎容疑者が着服したとされる約一億円の資金はどこに流れたのか。この際、防衛利権をめぐる疑惑に徹底してメスを入れてもらいたい。


「普天間」を取り仕切る


 歴代の防衛庁幹部の中で、守屋容疑者ほど沖縄と縁の深い人はいない。

 日米両政府が米軍普天間飛行場の返還に合意した一九九六年から、今年八月に退職するまで、十一年余りもこの問題にかかわり続けてきた。

 沖縄通を自称し、県選出の国会議員や市町村長、建設業者とも太いパイプを築いた。

 九六年の日米合意を主導したのは外務省だったが、米軍再編をめぐる日米交渉で普天間代替施設の新たな合意案をまとめたのは防衛庁である。その中心にいたのが守屋容疑者だった。

 自民党の防衛族に食い込み、政治家の力を上手に利用して問題を処理する能力にたけていた。その種の実行力が評価され、「守屋さんがいないと米軍再編は難しい」という守屋頼みの風潮が省内に広がった。

 だが、豪腕ぶりの裏で、どのようなことが行われていたのか。

 普天間代替施設の沖合移動を求める地元名護市に対して、「名護の主張は地元業者の埋め立て利権」だと言い放ったのは守屋容疑者である。

 国会の証人喚問で県選出の議員は、米軍再編にからむ沖縄の防衛利権問題を取り上げた。追及は不発に終わったが、本人が逮捕された以上、普天間代替施設をめぐる日米の方針転換の背景に政官業のどのような動きがあったのか、詳細な検証が必要だ。


国会運営が視界不良に


 福田康夫首相は、二十八日に開かれた自衛隊高級幹部会同で「国民の信頼が大きく揺らいでおり、本当に残念だ」と述べ、綱紀粛正を指示した。

 石破茂防衛相は、逮捕を受けて会見し、装備品調達の在り方を再検討する考えを示した。当然だろう。

 なぜ、この種の事件が繰り返し起きるのか。防衛省は今回の事件を守屋容疑者個人の問題に押し込めてはならない。病巣を摘出するための徹底した組織点検が求められており、抜本的な改革案を示さなければならない。

 前次官の逮捕は、国会運営にも大きな影響を与えずにはおかないだろう。

 国会を再延長し、新テロ対策特別措置法案を衆院で再議決するという選択肢はもはや消えたとみるべきだ。もし強行すれば国会は収拾がつかないほど混乱し、ハプニング解散が一気に現実味を帯びることになるだろう。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071129.html#no_1

 

琉球新報 社説

大規模米軍訓練 これが地元の負担軽減か

 米空軍嘉手納基地の第18航空団が、海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘機30機、岩国所属の海兵隊員約600人と合同で12月3日から7日まで嘉手納、普天間両基地を拠点に即応訓練を実施する。

 沖縄以外の基地から30機もの戦闘機が参加するのは、県基地対策課も「聞いたことがない」とする異例な大規模訓練である。

 合同訓練は日常的に米軍機の騒音にさらされている基地周辺住民に、さらなる苦痛を強いるものであり、断じて容認できない。

 在日米軍再編の目的の1つは「地元の負担軽減」である。しかしながら、嘉手納基地での未明離陸の強行やパラシュート降下訓練など、それと逆行する動きが相次いでいる。

 それに加え、県外基地との大規模な合同訓練である。これが地元の負担軽減の実態なのか。基地機能や訓練強化は、県民への裏切り行為と言わざるを得ない。

 嘉手納基地は合同訓練に当たって「地元への影響を可能な限り抑える」などとしているが、訓練を実施する以上、限界はある。同基地の話をそのまま受け取るわけにはいかない。10月の訓練では午後10時から午前6時まではサイレンを鳴らさないと嘉手納町に伝えながら、午前5時前から大音量でサイレンを使用した。F15は午前6時台から爆音をまき散らし、住民生活に大きな影響を与えたのである。

 政府の対応も疑問だ。沖縄防衛局は嘉手納基地に対して機体の整備や点検、安全管理の徹底をあらためて求めただけである。

 基地周辺住民の生活を守るとの考えが、政府にあるのだろうか。

 岩国基地を監視するリムピースの田村順玄さんは「米軍再編で沖縄からの訓練移転先には補償があるのに、30機分に見合う迷惑補償料もない」と指摘している。

 岩国基地所属のFA18戦闘機は恒常的に嘉手納基地を使用しており、沖縄の負担は軽減されるどころか、増す一方である。

 「沖縄の負担軽減」を目に見える形で実現することに、政府は本腰を入れるべきだ。

(11/29 9:41)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29315-storytopic-11.html

 

琉球新報 社説

守屋前次官逮捕 行政への信頼回復を急げ

 前防衛事務次官の守屋武昌容疑者が収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。防衛商社「山田洋行」元専務宮崎元伸容疑者からゴルフなどの過剰な接待を受けた見返りに装備品調達などで便宜を図った疑いである。

 守屋容疑者は国会の証人喚問で、頻繁にゴルフ接待などを受けたことは認めたものの「便宜を図ったことはない」と否定している。

 だが、山田洋行の不正経理事件で、有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕された元執行役員今治友成容疑者は特捜部の調べに、今年4月の守屋容疑者へのゴルフ接待は「装備品の受注で恩恵を受けたいとの趣旨だった」と、わいろ性を認めているという。

 航空自衛隊次期輸送機のエンジン発注をめぐって、守屋容疑者は宮崎容疑者側に有利な発言を繰り返したとの証言もある。守屋容疑者がいくら便宜供与を否定しても、疑念を持つ国民は多い。事件の全容解明を急いでもらいたい。

 膨大な防衛予算をめぐっては、激しい商社間の競争があるとされる。「億単位の交際費を武器にした防衛省や政治家への食い込み工作はすさまじかった」との関係者の指摘もある。

 特捜部は2006年、防衛施設庁発注工事の官製談合を摘発。複数の国会議員や防衛官僚の周辺も極秘裏に捜査したが、立件には至らなかった。

 守屋容疑者らの逮捕を突破口に、防衛利権で私腹を肥やした政治家はいないのかについても解明してもらいたい。

 守屋容疑者は米軍普天間飛行場の代替施設建設計画などで、中心的な役割を果たした。在日米軍再編に関して不明朗な部分がなかったか、政府として検証する必要がある。

 不正を防止するため、装備品調達の方法も改善が必要だ。商社を介さずにメーカーと直接取引することも検討すべきだ。

 接待を禁止する自衛隊員倫理規定(2000年施行)は、官房長だった守屋容疑者が中心になって作成した。にもかかわらず自ら倫理規定に違反し、業者と癒着し続けていたのである。

 取引業者からそのような接待や金品を受け取ることの異常さを、防衛事務次官まで上り詰める人物が認識できないはずはない。

 自らを律することのできない人物を異例の長さの4年余も、旧防衛庁、防衛省の事務方トップに据えた歴代内閣の責任も大きい。

 大物次官として君臨した守屋容疑者の逮捕で、福田康夫首相が掲げる「政治と行政への信頼回復」はさらに厳しさを増した。

 信頼回復に今後、どう道筋をつけるのか。新テロ対策特別措置法案以前に、福田政権が取り組むべき問題である。

(11/29 9:43)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29316-storytopic-11.html

 

2007年11月30日(金) 朝刊 1面

全駐労きょう再スト

防衛省、譲歩で来週妥結か

 【東京】在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の特別協定協議で、日本側が米軍基地従業員の手当削減を提案している問題で、全駐労(約一万六千八百人)の山川一夫委員長ら三役は二十九日、防衛省を訪れ、手当削減分の補償を引き続き求めた。全駐労によると、防衛省側は具体的な回答を避けつつも、「来週には双方が歩み寄って決着したい」と述べ、防衛省も譲歩する形で来週に妥結する可能性を明らかにしたという。

 同三役は「政府が努力している姿勢は見えたが、具体的な回答はなく、ストを回避する理由がない」と判断した。

 三十日に第二波の全国統一ストライキを決行することを正式決定し、全国の地区本部に伝達した。

 前回は始業時から四時間だったが、三十日のストは一般職種の就労時間となる八時間に延長。実質的に終日二十四時間のストになる。


沖縄地区本部6400人がストへ/ゲート40カ所でピケ


 全駐労中央本部の第二波スト決定を受け、県内では沖縄地区本部(與那覇栄蔵委員長)の組合員約六千四百人が、三十日の始業から八時間のストに入る。

 今回は、第一波のストで対象外だった警備関係の組合員もストに参加するため、米軍自身が基地内警備を行う必要が生じるが、地区本部の座間味寛書記長は「台風時にも米軍自ら警備を行うことはあり、基地機能への影響は最小限にとどまる」としている。消防部門の組合員は今回も対象外。

 このほか、通常使用されるゲート四十カ所で組合員がピケを張り、非組合員にも参加を呼び掛ける。

 牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の城間ゲートでは午前と午後の二回決起集会を行い、諸手当削減分の補償などを訴える予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711301300_02.html

 

2007年11月30日(金) 朝刊 2面

着手 3月以降に遅れ/シュワブ内・施設移築工事

 米軍普天間飛行場代替施設建設に伴い、沖縄防衛局が十二月から着手を予定していた名護市キャンプ・シュワブ内の隊舎や管理棟、倉庫など既存施設の移築工事が、来年三月以降にずれ込む見通しであることが二十九日、分かった。沖縄防衛局は十一月末の設計業務の履行期限を来年二月末に延長。延長理由について防衛省は「実施設計の調整を進める中で、米側との調整で時間を要している」と説明している。

 キャンプ・シュワブの代替施設予定地付近にある倉庫や工場、管理棟などの既存施設は、普天間代替施設建設に伴って、シュワブ内の内陸部分に移築予定。

 沖縄防衛局は今年三月、シュワブ内の移築に関する建築・設備・土木設計や、下士官宿舎の新設工事にかかる建築・土木設計の入札を実施。履行期限を十一月末までとする契約を業者と締結していた。

 既存施設の移築にかかる建設工事の着手時期について防衛省は「設計が終わらないと着手できない。設計業務の終了後、適切に着手していきたい」とし、来年三月以降にずれ込む可能性を示した。

 防衛省が作成した普天間代替施設事業の概略工程表は「隊舎等の建物の建設工事」は十二月からの着手を明示している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711301300_03.html

 

2007年11月30日(金) 朝刊 2面

首長反発「欠陥機証明」/「これ以上飛行許さぬ」

 【中部】米国ミズーリ州で今月二日に墜落したF15戦闘機に関して、ロンジロンと呼ばれる主要構造物の亀裂が事故原因と判明した件で、嘉手納基地周辺の嘉手納、北谷、沖縄の三自治体の首長らは「F15は欠陥機との指摘が証明された」と反発している。

 三自治体の首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は事故後に三度、米側にF15撤去を求めた。会長を務める野国昌春北谷町長は「具体的な原因が明らかになり、F15が欠陥機という私たちの指摘が証明された。これ以上の飛行は許されない」と訴えた。

 嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は、事故原因が特定されないまま、一度は飛行再開したことに「不安を抱えたまま住宅地上空を飛行したことは断じて許せない。構造的な欠陥が生じた機体は、今すぐにでも撤去を求めたい」と述べた。

 沖縄市議会「基地に関する調査特別委員会」の与那嶺克枝委員長は「米軍は、専門家が指摘する“背骨が折れるような”老朽化した機体を飛行させたのか。米軍は安全だと言うが、他の部分にも問題があるかもしれない」と懸念した。


飛行再停止 北谷議会、抗議へ


 【北谷】北谷町議会(宮里友常議長)は二十九日、基地対策特別委員会(照屋正治委員長)を開き、米国での墜落事故を受けて飛行を中止している嘉手納基地所属のF15戦闘機に関する問題への対応を協議した。同基地が二十六日のF15飛行再開後、米国の事故調査当局の情報に基づき、二十八日から二度目の飛行停止を講じたことを問題視。十二月三日の臨時会へF15の即時撤去などを求める抗議決議、意見書の両案を提出することを決めた。

 また、同委員会では十二月三日から同基地で予定されている、空軍と海兵隊による大規模な即応訓練に対する抗議決議、意見書の両案を提出することも決まった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711301300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年11月30日朝刊)

[F15飛行再停止]

事故への対応が異常だ

 在沖米空軍が嘉手納基地に配備するF15戦闘機の飛行を再び停止した。

 米本国で起きた墜落事故を調査した事故調査当局の「新たな情報」に基づく措置だが、明らかにされた事故原因が操縦席付近の金属性構造部材の亀裂だというから言葉を失う。

 米ミズーリ州でF15が飛行中に空中分解したのは今月二日のことだ。それを受けて、米空軍は嘉手納基地所属の五十三機を三週間飛行停止にした。地元住民の怒りを無視して飛行を再開したのは二十六日。再停止はそれから二日しかたっていない。

 事故原因が確定せず再発防止も施されないままでは、リスクを負いながら訓練を続けるのに等しく、それ自体が異常といっていい。

 民間では事故原因が明確に確定されぬ場合は、明らかになるまで同型機の飛行を差し止めるのが常識である。その間の飛行再開はあり得ない。

 軍の論理では通っても民間の論理では絶対に許されるものではない。危険性を承知で飛行を再開させた米軍の手法は非常識と言わざるを得ない。

 F15戦闘機はまた、航空自衛隊の主力機でもある。事故原因は自衛隊機とも深くかかわっているはずであり、事故原因を自衛隊がどう分析するのか。防衛省は説明する責任があろう。

 もう一つ、嘉手納基地のF15に政府がどう注文を付けるのか。危険性が明らかになった以上、県民が厳しい目で見ていることを忘れてはなるまい。

 この問題とともに懸念されるのは、十二月三日から七日まで嘉手納基地と普天間飛行場を拠点に行われる海兵隊と空軍の合同即応訓練である。

 嘉手納飛行場では給油機や偵察機、F15などが凄まじい爆音を日常的にまき散らし、周辺住民の暮らしを脅かしている。

 それが、山口県岩国基地からFA18戦闘攻撃機約三十機が飛来し、海兵隊員約六百人と嘉手納基地の第一八航空団が大規模な即応訓練を実施するというのである。

 爆音やエンジン調整音に加えて、早朝からサイレンを鳴らし、拡声器による放送、地上爆発模擬装置を使用すれば、周辺住民が我慢の限度を超えるのは火を見るより明らかだろう。

 事故機と同型機の扱いをめぐって住民の不安が高まる中で大規模な訓練を実施していいものか。政府には米軍の基地使用についてもっと声を上げてもらいたい。

 FA18戦闘攻撃機は即応訓練を終えた後も十二日まで居残るというが、地域住民を軽視した訓練は許されないことを肝に銘じるべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071130.html#no_1

 

琉球新報 社説

F15飛行再停止 米軍も認めた「欠陥機」

 米軍は28日、主力戦闘機F15の飛行再停止を決めた。再停止は、嘉手納基地にも配備されているF15C型機の点検で、機体の骨格となる「縦通材」に2カ所の亀裂が見つかったのが理由だ。

 県民の不安と批判を無視し、「点検による安全確保」を強調し、飛行再開の決定からわずか7日後の再停止だが、この間欠陥機の飛行は再開され、再停止までの2日間、米軍は県民を危険にさらしたことになる。重大な判断ミスである。

 実戦配備を除くF15戦闘機が、全機飛行停止となったのは、今月2日のミズーリ州空軍所属の同機の墜落事故が理由だった。

 同事故は、僚機と空戦演習中に操縦席の後部で胴体が破断し、墜落している。幸いにも操縦士は、脱出し難を逃れている。

 訓練中に空中分解する異常事態を重視した米軍は、全機飛行停止措置を取り、事故原因の究明に当たった。

 その結果、経年劣化や構造疲労破壊の疑いが指摘された。だが、確たる原因は未解明のまま。事故原因の十分な分析や解明を待たず、米軍は「欠陥機」との指摘にも耳をふさぎ、飛行再開の暴挙に出た。

 安全が確保されるまで飛行停止を求める県民の訴えは、「アジア太平洋地域における平和と安定の維持に引き続き貢献する」との米軍の空虚な論理に踏みにじられた。

 墜落の危険が指摘される欠陥機で、アジアの平和と安定など守れるはずもない。それどころか、嘉手納基地を含め、周辺に住民がひしめく住宅地の上空を、欠陥機が飛行する恐怖こそが、平和と安定を脅かす元凶である。

 今回見つかった「縦通材」の亀裂は、飛行中に空中分解を引き起こす原因につながる可能性が指摘されている。

 21日の飛行再開決定に当たり、米軍は「米空軍は安全な飛行を常に最重要視している」(嘉手納基地)と強調した。だが、県統計では米軍機の事故は、復帰後34年間で422件発生し、うち151件がF15戦闘機によるものだ。事故の36%を占める。爆音禍の主原因もF15戦闘機である。

 F15戦闘機も含め、米軍機の墜落事故は昨年1件だが、重大事故につながる米軍機の「不時着事故」は昨年も24件、一昨年は57件も起きている。

 基地を抱える沖縄は、米軍が引き起こす事件、事故に巻き込まれる危険と常に隣り合わせている。

 米軍は、事故を起こすたびに再発防止と綱紀粛正を約束してきたが、米軍の事件・事故が「ゼロ」となった年は、復帰後35年間、一度もない。

 日米両政府は事態の重大さを認識し、県民を危険にさらす欠陥機の撤去を真剣に検討すべきである。

(11/30 9:50)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29348-storytopic-11.html

 

2007年11月30日(金) 夕刊 1面

全駐労、実質終日スト

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)特別協定協議で日本側が基地従業員の手当削減を提案している問題で、全駐留軍労働組合(全駐労、山川一夫委員長、約一万六千人)は三十日、全国の米軍施設で始業から八時間の第二波ストライキを始めた。一般職種の就労時間は八時間で、実質的に二十四時間ストとなる。

 このうち沖縄地区本部(與那覇栄蔵委員長)は組合員約六千四百人を対象にストを指令。浦添市の牧港補給地区(キャンプ・キンザー)城間ゲート前では同日午前、組合員のほか、連合沖縄など関係労組代表など、組合発表で千二百人が集まり気勢を上げた。與那覇委員長は「防衛省は『政府案に理解を』との一方的姿勢から『早期解決のため汗をかきたい』と変化してきた」と交渉経過を報告。また「交渉は来週がヤマ場。さらに前進するためにストを決行する」と結束を呼び掛けた。

 同ゲートを含め県内四十カ所のゲートでピケが張られた。今回は警備関係の組合員もストに入ったが、同本部によると、同日午前の段階で県内各米軍施設に大きな混乱は起きていないという。

 全駐労は、今後の政府の対応次第では、十二日の沖縄に始まり十四日の神奈川まで各地で順次八時間のストを行う第三波リレーストも行うとしており、週明けからの交渉が注目される。


「誠心誠意対応」

防衛相、譲歩を示唆


 【東京】石破茂防衛相は三十日午前の閣議後会見で、全駐労が第二波の全国統一ストライキを実施していることについて「(従業員の)不利益をいかに極小化するかということについて誠心誠意やっている。歩み寄れるところは何なのかということは、当事者として関心を持っている」と述べ、全駐労との交渉で譲歩する可能性を示唆した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711301700_01.html

 

2007年11月30日(金) 夕刊 1面

知事「予想より遅れ」普天間移設

就任1年控え 膠着打開に期待

 仲井真弘多知事は三十日午前の定例記者会見で、県政の最重要課題である米軍普天間移設問題について「予想よりも遅れている。地域の納得、協力、理解はどうしても必要。ここがなかなか(政府側に)通じない」と指摘。一方で「われわれの気持ちはそれなりに政府も受け止め始めていると思う」と述べ、膠着状態の打開に期待感を示した。来月十日の就任一年を前に感想を語った。普天間問題については当初、就任から数カ月で政府との協議が軌道に乗る、との認識があったと話した。

 県政全般について仲井真知事は「十四の柱からなる私の政策の(実現に向け)ほとんどのことに一応勉強、研究、種まきなりのウオーミングアップに手を付けてきたと考えている。財政がタイト(厳しい)な中で、一つ一つ丁寧に手を付けてこれたのではないかと思う」と語った。

 普天間移設問題で、沖縄側が要求してきた政府案の沖合移動を拒否し続けてきた防衛省の守屋武昌前次官が収賄容疑で逮捕されたことについては「知事としても、個人的にもいろんな感想があるがノーコメントにしたい」と具体的な言及は避け、「(守屋前次官とは)考えがぴたっと一緒でないと感じたこともままあった」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711301700_02.html

 

2007年11月30日(金) 夕刊 1面

普天間協 来月12日有力

 【東京】政府は三十日までに、次回の米軍普天間飛行場移設に関する協議会について、十二月十二日夕を軸に開く方向で調整を始めた。関係閣僚の日程が整わない場合、十二―十四日の範囲で検討する。仲井真弘多知事が登壇する県議会十一月定例会の一般質問が十二月十一日に終了するため、県は十二日以降であれば知事の出席が可能と内閣府に伝達していた。

 政府は、十二月第四週(十七―二十一日)の半ばに二〇〇八年度予算案の内示を予定している。〇八年度の北部振興事業費の計上や本年度分の執行を判断するためには、予算案の確定前に協議会を開き、「普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況」との条件が整っているかどうかを見極める必要があるとして、第三週の開催で調整していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200711301700_03.html

 

2007年12月1日(土) 朝刊 2面

普天間協12日軸に調整/政府、北部振興最終判断へ

 【東京】政府は三十日までに、次回の米軍普天間飛行場移設に関する協議会を十二日夕を軸に開く方向で調整を始めた。関係閣僚の日程が整わない場合は、十二―十四日の範囲で検討する。

 仲井真弘多知事が登壇する県議会定例会の一般質問が十一日に終了するため、県は十二日以降であれば知事の出席が可能と内閣府に伝達していた。政府は今後、県や名護市との議題調整などを通じ、凍結されている北部振興事業費の執行に踏み切るかどうかを最終判断する。

 政府は、十二月第四週(十七―二十一日)の半ばに二〇〇八年度予算案の内示を予定している。

 〇八年度の北部振興事業費の予算計上や本年度分執行を判断するためには、予算案の確定前に協議会を開き、「普天間飛行場の移設に係る協議が円滑に進む状況」との条件が整っているかを見極める必要があるとして、第三週の開催で調整していた。普天間移設は、環境影響評価(アセスメント)の妥当性をめぐって、県環境影響評価審査会がアセス方法書の不備とみなされた項目について、事業者の沖縄防衛局に追加説明を求める質問書を提出。

 事実上の方法書書き直し要求に当たる異例の措置を取っており、協議会でも焦点になりそうだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712011300_06.html

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