2007年12月25日(火) 夕刊 1面
山崎氏「記述ほぼ復活」/「集団自決」検定撤回
文部科学省が高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除させた教科書検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の幹部ら六人が二十五日朝、三度目となる文科省への要請行動のため上京した。要請団と面談した自民党沖縄振興委員会の山崎拓委員長は「集団自決」への軍強制を示していた検定前の記述がほぼ復活すると述べた。また、岸田文雄沖縄担当相が内閣府の沖縄戦関係資料閲覧室の機能を強化する考えを示した。
山崎委員長は、県議会議長の仲里利信・県民大会実行委員長ら要請団と正午すぎに面談し、教科書会社からの訂正申請に対する文科省の対応の結果、「ほぼ検定前の記述に戻るのではないか。ただ、直接的に軍が命令したとの記述にはならないと思う」との見通しを示した。
要請団はその後、岸田文雄沖縄担当相とも面談した。岸田沖縄担当相は沖縄戦関係資料閲覧室の資料をインターネットで閲覧できるようにするなど、機能強化を図る考えを示した。
文科省は「軍の強制」を示す記述回復を求めた教科書会社からの訂正申請に対し、沖縄戦の「集団自決」について「直接的な軍命は確認できていない」などとした教科用図書検定調査審議会の指針を示し、教科書会社に「軍の強制」を薄めた記述での再訂正をさせている。
九月二十九日の県民大会では、検定意見の撤回と記述回復を求める決議がされており、県民大会実行委は教科書審議会の指針に抗議するとともに、渡海紀三朗文科相への面談を求め、「軍の強制」を示す記述の回復と検定意見の早期撤回を求める予定。
仲里委員長は「十一万六千人の意思が、文科省職員や審議会の一握りの意見で拒まれるようなことがあれば、県民一丸となり長期的に検定意見撤回と記述回復の実現に取り組むことになる」と決意を述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712251700_03.html
2007年12月26日(水) 朝刊 1面
普天間アセス 知事、調査着手を困難視
仲井真弘多知事は二十五日、沖縄タイムス社など報道各社のインタビューに応じた。米軍普天間飛行場移設に向けた環境影響評価(アセスメント)に関連し、沖縄防衛局が来年二月初めのアセス調査着手に向け県に求めているサンゴ類採捕などの許認可について、「(県環境影響評価)審査会がちゃんとした(アセス)方法と認めなければ前に進まない」などと述べ、アセス方法書の追加や補充がなければ困難との方針を示唆した。
現況調査(事前調査)のデータ結果をアセスに取り込むことを前提とする防衛局の姿勢に対しては、「これまで事業者が適当にやってきたものを方法として認めてもらって、それを継ぎ足せばいいとのやり方はおかしい」と異議を唱えた。
また、都道府県を再編成して「道」や「州」などの広域自治体をつくる道州制については、「(県民に)受け入れられやすいのは独立州だと思う」との認識を示した。その上で、「ユニバーサルサービスを行う上で、財政力が税源を含めて達成可能かと考えるともう少し詰めがいる」とし、新年度から県庁内に新体制をつくり、道州制導入に向けた論議を本格化させる方針を明らかにした。
現行の沖縄振興特別措置法(沖振法)が二○一一年で終了した後の対応については、単純延長を困難視する一方、「(沖振法に規定されている)情報、金融特区などがうまくフル活用されていない感がある。産業振興上は、さらにあと十年あると非常に効果的だと思う」と述べ、産業振興面での優遇措置の延長は必要との認識を示した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712261300_03.html
2007年12月26日(水) 朝刊 1面
沖縄戦資料室を強化/沖縄担当相
ネット閲覧可能に
【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十五日午後、「教科書検定撤回を求める県民大会」実行委員会の仲里利信委員長ら幹部と会談し、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題に絡み、内閣府が所管する「沖縄戦関係資料閲覧室」(東京都港区)の機能を強化する方針を明らかにした。
内閣府によると、同閲覧室が所蔵している沖縄戦に関する公文書約一千二百九十点をインターネットで閲覧できるよう、関係経費千九百万円を二〇〇八年度予算に計上した。また、同室を国会図書館に隣接する永田町合同庁舎に移転し、利便性を向上させる。広さも約二倍に拡大する。岸田沖縄相は「ネットなどで幅広く活用してもらえるようシステムの拡充、強化を考えている。この(教科書検定)問題にできるだけ資する努力をしたい」と述べた。
実行委の玉寄哲永副委員長(県子ども会育成連絡協議会長)は「沖縄戦をもっと正確にとらえるため、新しい証言を収集することもしてほしい」と体験者の証言収集強化の必要性を訴えた。
実行委に同行した安次富修衆院議員は「全国の高校で(慰霊の日の)六月二十三日は沖縄にとって特別な日だと教育するなど、今回の問題を契機に新しい取り組みをしてほしい」と要望した。
一方、自民党沖縄振興委員会の山崎拓委員長は実行委に、教科書会社からの訂正申請を受けた教科用図書検定調査審議会が近く公表する結論で、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制記述が「ほぼ検定前に戻るのではないか」との見通しを示した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712261300_04.html
2007年12月26日(水) 夕刊 5面
CH53D配備に抗議/宜野湾市議会 意見書も可決
【宜野湾】宜野湾市議会(伊波廣助議長)は、二十六日午前の十二月定例会最終本会議で、沖縄国際大学に墜落した米海兵隊CH53D大型輸送ヘリコプターの同型機の普天間飛行場への配備に対する意見書と抗議決議の両案を全会一致で可決した。
抗議決議などでは、墜落事故から三年を経て市民が恐怖にさらされていることを指摘。「飛行訓練が恒常化する可能性があり、市民・県民を愚弄した行為に対し、激しい怒りを覚える」と糾弾した。
その上でヘリの飛行は「市民の生命を軽視するものであり、断じて容認できるものではない」として、(1)住宅地上空での飛行訓練の即時中止(2)外来機の飛来禁止(3)基地強化につながる航空機・部隊の配備中止(4)同飛行場の早期返還―の四点を求めている。
あて先は在日米軍司令官、在沖米四軍調整官、駐日米国大使など。
民主「次の内閣」「普天間」を視察
宜野湾市長と意見交換
【宜野湾】民主党「次の内閣」の視察団(団長・武正公一衆院議員)は二十六日午前、宜野湾市の伊波洋一市長と意見交換し、市役所屋上から普天間飛行場を視察した。
伊波市長は同飛行場の危険性やマスタープランで土地利用禁止区域(クリアゾーン)が明記されていることを説明。「国民の安全が守られるような仕組みを作るべきだ」と要望した。
これに対し、武正団長は利用禁止区域に小学校が立地することなどに触れ、「多くの示唆をいただいた。われわれもこの視点を生かしたい」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712261700_04.html
2007年12月26日(水) 夕刊 4面
ヘリパッド工事再開/東村高江区4カ月ぶり
【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴い、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設作業が予定されている東村高江区で二十五日、八月以降、約四カ月ぶりに工事が再開された。
沖縄防衛局が同日正午すぎ、移設作業地点のN―4地区ゲート前に到着。移設に反対する住民が抗議する中、十トントラック二台分の砂利を搬入した。
もう一方のN―1地区ゲート前では、反対派住民が二トントラック一台の前に立ちふさがり、搬入を阻止した。
N―4地区で座り込みを行っていた同区の清水暁さん(37)は「これから年末年始にかけて、緊張した日々が続くのではと不安になる。住民の声を無視して、戦争につながる基地を造るのは反対だ」と、政府の姿勢を批判した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200712261700_05.html