「2外国人、タクシー強盗/沖縄署 米軍人を任意聴取.」沖縄タイムス、琉球新報社説「普天間代替 筋違いな米側の計画不変論」(1月3日から9日)

2008年1月3日(木) 朝刊 1面

V字80―90メートル移動案/普天間移設

官邸・与党内で検討/仲里副知事「生活配慮なら歓迎」

 【東京】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設をめぐり、政府、与党内に、日米が在日米軍再編で合意したV字形滑走路案の八十―九十メートル程度の沖合移動を容認する考えが浮上していることが二日、分かった。首相官邸と自民党幹部の一部が検討しており、代替施設がシュワブ沖合の長島にかからない範囲で、県と名護市がこれ以上移動を求めないことが条件。ただ、防衛省や外務省には日米合意案の変更に否定的な見方が強く、米側が修正に応じるめども立っていない。

 現在のV字案の南端から長島までは八十数メートルの距離がある。仲井真弘多知事は昨年十二月、与党関係者を通じ、官邸側に非公式に「長島にかからない『五十メートル+α』の範囲で、可能な限り沖合に寄せてほしい」との意向を伝えていた。

 政府関係者によると、普天間移設問題の決着に強い意欲を示す町村信孝官房長官らが、こうした知事の要望を踏まえて「地元が繰り返し移動を求めず、一度きりで受け入れるのならば修正に応じる」との考えを示しているという。

 政府、与党内には一月末にも開かれる第六回普天間移設協議会で代替施設の環境影響評価(アセスメント)調査の着手に合意し、早ければ年度内に第七回協議会を開き、沖合移動を含めたV字案の受け入れを目指すシナリオもある。

 沖合移動に柔軟な関係者の間では百メートル以内の軽微な修正であれば米軍の運用に支障は生じないとの見方があるが、ゲーツ国防長官ら米側は日米合意案の修正に強く難色を示しており、合意を得る見通しは立っていない。

 仲里全輝副知事は一日、九十メートル程度の沖合移動について「政府からは聞いていない」と断った上で、「長島を削らないぎりぎりまで沖合に寄せることになる。地元の意見を尊重し、周辺集落の生活環境に配慮するよう求めてきたが、そういう考えであれば大変歓迎すべきことだ」と高く評価した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801031300_01.html

 

2008年1月4日(金) 朝刊 29面

「普天間」排ガスで悪臭/騒音とダブルパンチ

 【宜野湾】米軍普天間飛行場の航空機から出る排ガスで、周辺住民の悪臭被害が深刻さを増している。特に北風が吹く冬場は、飛行場の南側に隣接する宜野湾市真栄原や上大謝名の被害が大きい。市民らは「石油ボイラーの煙突の横に住んでいるようなもの。何とかしてほしい」と悲鳴を上げている。(中部支社・下里潤)

 同飛行場のフェンス沿いに住宅地が密集する真栄原地区。所属機のKC130空中給油機が離陸のため、エンジンを吹かし、待機しているのが見える。

 短い時で数分、長い時には一時間近くも続くエンジン調整。特に朝夕は激しく、「騒音と悪臭でダブルパンチ」の状態が続いている。付近住民によると、周囲はくぼ地で航空機からのガスが滞留するという。

 同地区に約十年前に引っ越してきた桃原セツさん(30)。自宅アパートの三階は駐機場と同じ高さで排ガスが直接入り込む。窓を閉めてもすき間からにおいが立ち込め、一歳の息子が中毒症状になるのでは、と心配でたまらない。現在妊娠中で、胎児にも影響が出るのではないかと懸念している。桃原さんは「洗濯物にもにおいがつくし、本当に気分が悪くなる。引っ越そうにも経済的に難しい。こんな基地は早く撤去してほしい」と、力なく話した。

 のどに突き刺さるようなにおいに悩まされている宮平佳亮さん(40)はこの時期、ほとんど窓を開けられない。「子どもたちは外で遊びたいはずなのに…。マスクをして外出するわけにもいかない。吸い込んだガスが蓄積して何らかの症状が出ては大変だ。行政は何とかしてほしい」と訴えた。

 同市議会の新垣善正基地関係特別委員長は「基地被害は騒音だけではない。基地を提供する国はガスの濃度や分布を調査し、住民の声を受け止めるべきだ」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801041300_01.html

 

2008年1月4日(金) 朝刊 2面

沖合移動案「提案あれば協議」/島袋市長、前向き姿勢

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設をめぐり政府・与党内で、日米合意したV字形滑走路案の八十―九十メートル程度の沖合移動を容認する考えが浮上していることについて、島袋吉和名護市長は三日、「(政府からの)正式な発表ではない」と断った上で、「政府側から提案があれば、地元や県と協議したい」と前向きな考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801041300_02.html

 

2008年1月4日(金) 夕刊 1面

「普天間」移設 早期解決へ意気込み

仲井真知事が年頭あいさつ/「3年内閉鎖」も

 仲井真弘多知事は四日午前、職員に年頭あいさつを行い、米軍普天間飛行場移設問題について「代替施設の建設、大規模基地返還の利活用への筋道をつけるべきだ」と早期解決への意気込みを語った。また、「三年めどの閉鎖状態に向けて形を整えていきたい」との決意も示した。

 県職員の給料を特例措置で削減する案件で昨年末、県職員労働組合と合意したことにも触れ、「皆さまの決断に感謝する。身を一層引き締め、協力を無にしないよう県政運営に努めたい」と、さらなる行財政改革に努力する考えを強調した。

 また、二〇〇八年を「中長期のプランや事業への取り組みがスタートする時期」と位置付け、残り四年となった沖縄振興計画終了を見据えた三十年の構想を描く「沖縄二十一世紀ビジョン(仮称)」の策定、沖縄科学技術大学院大学開学に向けた科学技術振興、観光客一千万人誘致、完全失業率の全国平均化などに積極的に取り組む姿勢を示した。

 道州制の議論については「これからもっと多面的になってくる。皆さんの意見を自由に出してほしい」と庁内議論を深める必要性を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801041700_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月5日朝刊)

[基地と歴代県政]

将来展望示してほしい


「普天間」返還の焦点化

 米軍普天間飛行場の代替施設が計画通り二〇一四年に完成し、翌一五年から供用を開始したと仮定してみよう。

 二〇一五年は戦後七十年に当たる。米軍統治時代を含む七十年間、米軍基地を背負い続けてきた県民は、この時点から、嘉手納基地以北に基地が集中するという新たな時代を迎えることになる。

 この状態は、さらにその先、いつまで続くのだろうか。今から三十七年後の戦後百年までか。それ以上か。

 汚職事件で逮捕された守屋武昌前防衛事務次官は「沖縄の戦後を終わらせたい」というのが口癖だった。米軍再編によって沖縄の戦後は本当に終わるのだろうか。

 こと基地問題に関する限り、この島のありそうな未来は、決して明るいとはいえない。

 「県内に移設先を求めるのは困難であり、根本的な洗い直しを迫る時期に来ている」。今からちょうど二十年前の一九八八年、二度目の訪米で西銘順治知事(当時)は、国防総省高官に「提供施設・区域の全面的見直し」と「普天間飛行場の返還」を要請した。

 県外移設を含む米軍基地の根本的な洗い直しを求めた、当時としては画期的な内容だった。

 その翌年、マルタで冷戦の終えんを告げる米ソ首脳会談が開かれ、「平和の配当」を求める声が世界的に高まった。その流れの中で普天間飛行場の返還問題が次第に焦点化していくことになる。

 復帰後の基地問題に大きな転機が訪れたのは九五年である。

 米兵による暴行事件に端を発した「沖縄からの異議申し立て」が空前の広がりを見せ、日米両政府は九六年、県内移設を条件に普天間飛行場の返還に合意した。だが、日米合意は迷走の始まりでもあった。

 米軍基地の段階的な整理・縮小によって着実に負担軽減を図る―という県民世論の原点に立ち返って、今、何が可能なのかを考える必要がある。


全国に過重負担訴える


 ギリシャ神話に出てくるシジフォスは、神の怒りを買い、罰として苦役を課せられる。大きな岩を転がして山の頂まで運び上げるという仕事だ。だが、岩は頂まで運び上げた途端、その重さで転がり落ちる。何度やっても、同じことの繰り返し。沖縄の基地問題はかつて、シジフォスの神話に例えられた。

 事件・事故が発生すると、そのたびに自治体議会が決議し市民団体が抗議行動を展開する。その繰り返しだった。

 大田昌秀元知事は、基地返還と返還後の跡利用を一体のものとして構想し、政府との間に協議機関を設けて基地問題の解決を図ろうとした。

 県政の取り組みは、沖縄の基地問題を全国化したという点で、また、沖縄の将来像を指し示し議論を喚起したという点で特筆される。

 大田県政の試みが挫折して以降、名護市長選、県知事選とも代替施設建設に柔軟な保守系候補が勝ち続けている。だが、その勝利には、ある共通点があることも指摘しなければならない。

 日米合意案を丸のみし、そのことを選挙公約に掲げて当選した候補者は一人もいないのである。稲嶺恵一前知事は「軍民共用飛行場と十五年使用期限」を公約に掲げ、仲井真弘多知事は現行V字形滑走路案の「沖合移動」と「普天間飛行場の三年をめどとする閉鎖状態実現」を受け入れの条件にした。

 条件をつけなければ選挙に勝てない、というのが本音だった。


条件をめぐる政府交渉


 稲嶺県政は受け入れ条件をめぐって

政府と激しく対立し、対立の姿勢が逆に県民から支持された。稲嶺県政にとって致命的だったのは、米軍再編の動きの中で、日米が従来案の見直しに動いているときに、その情報を正確につかむことができず、県側からの積極的なアプローチができなかったことだ。

 仲井真県政は、実はまだ何をしようとしているのか、よく見えない。「五十メートル+α」の沖合移動が実現すればそれで万々歳なのか。普天間飛行場の閉鎖状態の実現と、広大な返還跡地の跡利用に向けた施策と、代替施設の建設は、どのような形で関連付けられているのか。将来展望を踏まえた取り組みが見えないのだ。

 環境保全と受け入れ後の将来展望を示すことは県の最低限の義務である。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080105.html#no_1

 

2008年1月6日(日) 朝刊 1面

米加州連邦裁、海軍ソナー規制/沖縄近海でも使用

 カリフォルニア州連邦裁判所は三日(日本時間四日)、クジラなど海洋哺乳類へ被害を与えると指摘されている米海軍の中周波ソナー(音波探知機)を使った潜水艦哨戒訓練を厳しく規制する裁定を下した。四日付のワシントンポスト紙が「海軍には大きな打撃となる」と報じた。

 同紙によると、裁定は同州沿岸から約二十二キロ内のソナー使用を禁止。訓練実施には開始一時間前に海洋生物をモニターし、発見場所から約二キロ内の音波停止ゾーン設定を命じた。海軍は一キロゾーンを主張していた。

 裁判は、ナチュラル・リソース・ディフェンス・カウンセルなど米自然保護団体が米海軍に訓練見直しを求めていた。同団体は「連邦裁が自然保護の措置として海軍訓練を制限する最も意義深い決定」と裁定を評価した。

 海軍報道官は「裁定により国家安全保障と環境保護のバランスが失われるわけではない」とコメントした。海軍は控訴を検討している。

 海軍は最新型潜水艦の探査は困難でソナー使用は不可欠な安全保障対策と主張していた。


沖縄海域 任務増加


 米海軍の環境影響評価書によると、本州南方や沖縄南方海域、グアム周辺海域を中心に活動する低周波ソナーを備えた米海軍の音響観測船(コリー・ショウエストとインペッカブル)の任務回数は二〇〇二年七月から一年間で七回、〇三年の同時期は十回、同じく〇四年は五回、〇五年は十八回と推移。

 両艦は横浜ノースドックを事実上の母港とする音響測定艦。中国の潜水艦の位置を特定するのが目的とみられる。

 市民団体の調査では、那覇軍港への両艦の寄港回数は増加傾向にあるという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801061300_02.html

 

琉球新報 社説

米大統領選始動 米軍再編の行方に注視

 世界で「唯一の超大国」となった米国。誰が大統領になろうが、その影響力は他に類をみないほど強力だ。もちろん、日本も例外ではない。米軍再編、経済問題など、新しい指導者の政策から目が離せない。

 3日、民主、共和両党の党員集会がアイオワ州で開かれたのを皮切りに、2008年米大統領選が本格的に始まった。今後、次々と行われる予備選や党員集会を経て、夏の党大会でそれぞれの党候補を正式に指名する。11月4日の投票日まで長い選挙戦が続く。

 三つどもえの戦いとなった民主党の初戦を制したのは、黒人初の米大統領を目指すオバマ上院議員(46)。米メディアによると、民主党の得票率はオバマ氏38%。女性初の大統領を狙うヒラリー・クリントン上院議員(60)の29%、エドワーズ元上院議員(54)の30%を押さえた。

 共和党は集計96%終了段階でハッカビー前アーカンソー州知事(52)が34%を獲得。以下、ロムニー前マサチューセッツ州知事(60)が25%、トンプソン元上院議員(65)が13%という結果だった。

 オバマ氏は政治家としてブッシュ政権のイラク政策を一貫して批判。また、選挙戦を通じて「変革」を訴え続けた。テレビ中継された勝利宣言でも「米国に変革がやってくる」と強調。イラク戦争の泥沼化など、閉塞(へいそく)感を強める米国民への呼び掛けが功を奏した。

 ブッシュ政権の現状は、米国民ならずとも幻滅感が漂う。イラクではすでに3900人以上の米兵が死亡、イラク市民も数万人が犠牲になったとされる。米軍が侵攻したアフガニスタンでも、イスラム原理主義武装勢力タリバンの反攻が目立ち、収拾の糸口さえつかめていないのが現状だ。

 加えて、米国に端を発し、世界経済を揺るがすサブプライムローン問題や原油高騰、地球温暖化防止への取り組みなど、課題が山積している。

 新しい大統領は、待ったなしでこれらの課題に取り組むことになる。特に、米軍再編への政策がどうなるか。沖縄にとっても、大きな関心を寄せざるを得ない。

(1/6 10:03)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30271-storytopic-11.html

 

琉球新報 社説

普天間代替 筋違いな米側の計画不変論

 ゲーツ米国防長官が福田康夫首相に対し「部分修正は全体を壊す」との強い表現で、米軍普天間飛行場の移設計画変更を拒んだ。

 沖縄で計画変更を認めれば、米陸軍第1軍団司令部のキャンプ座間移転や、米空母艦載機の岩国基地移転への風当たりも強まるのではないかとの懸念が、米側にはあるとみられる。

 しかし、そんな懸念は「米軍の論理」に基づくものであって、米軍基地の重圧にあえぐ沖縄側からすれば「筋違い」ということにしかならない。

 そもそも、部分修正で全体が壊れる程度の再編計画なのか。ゲーツ氏は、いびつで、もろい計画であることを認めたに等しいが、だとすれば、計画を抜本的に見直すか、白紙に戻して作り直すのが筋ではないのか。もろさを隠し、強引に計画を推し進めたとしても、やがて破綻(はたん)するであろうことは火を見るより明らかだ。

 ゲーツ氏の発言は昨年11月、日米首脳会談後に催された首脳昼食会の席上で出た。普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設問題で、同氏は初訪米した福田首相に対し、地元が沖合への移動を求めるV字形滑走路建設地の計画変更には応じられないとの立場を直接伝えた。

 これに対し、首相は「(2006年5月に)日米で合意した行程表に従い、着実に実施する」と応じ、ブッシュ大統領も賛同したという。日本側に「移設に地元理解は不可欠」との思いがあるなら、ここで首相は変に迎合せず、きっぱりと「沖縄の現実」を主張すべきであった。

 福田内閣は、安倍前政権とは異なる対応をしてくれるものと期待もしていただけに、言われ放題だったのは残念だ。米側と地元の板挟みになり、難しい調整を迫られているのは確かだが、誰のための「国防」かということである。重圧にあえぐ県民を守らずして国防も何もないだろう。

 米軍再編協議では「地元の負担軽減」が柱の一つとされた。ところが、日米軍事同盟の強化が前面に出てしまっている。県民の要求は負担軽減などという生易しいものでなく「苦痛の解消」だが、負担軽減もままならない。

 これはおかしい。日米両政府による約束違反ではないか。基本的な約束を守らないで、逆に「日米合意をほごにするな」と沖縄側を責める神経が理解できない。

 普天間移設が進展しなければ、海兵隊のグアム移転も、嘉手納より南の米軍施設の返還も実現しないというパック論も納得できない。負担軽減の本気度を疑う最たるものだろう。政府には、米側の不信解消よりも先に、県民の不信解消に努めてもらいたい。

(1/7 9:53)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30291-storytopic-11.html

 

2008年1月7日(月) 夕刊 1・5面

米軍、きょうから即応訓練/嘉手納基地

 【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は七日、有事を想定した即応訓練を同日から十一日にかけて実施すると発表した。サイレン音や拡声器、模擬爆発音、発煙筒を伴う訓練は八日から行うという。

 同訓練は二〇〇七年十二月にも同基地の第一八航空団と岩国基地(山口県)所属の海兵隊が合同で実施したばかり。今回は同航空団単独で行われるが、度重なる訓練強行に周辺住民は反発を強めている。

 嘉手納町は七日午前、「新年早々の訓練は町民感情を逆なでする」として、米軍に口頭で訓練中止を要請した。沖縄防衛局から説明を受けた同町によると、飛行停止中の同基地所属のF15戦闘機は参加しないという。

 同基地によると、他基地の航空機や他の部隊は参加しない。具体的な訓練内容は明らかにしていないが、「装備の積み下ろし、出撃と部隊の受け入れ、医療・緊急事態への対応、そのほかの突発事態の訓練を実施する」としている。

 即応訓練は年間を通じて行われている。昨年十二月には嘉手納基地で初めて米海兵隊と合同の大規模訓練を実施。岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機約三十機や海兵隊員約六百人が参加した。深夜、早朝から英語での放送やサイレン音、爆発音が鳴り響いたため、住民からは「睡眠薬をのんでも眠れない」などの苦情が町に寄せられた。


     ◇     ◇     ◇     

「正月くらい中止して」/周辺住民、怒り心頭


 【中部】「正月くらい静かにしてくれ」。米軍嘉手納基地で七日から十一日まで、有事を想定した即応訓練が実施されることに、周辺住民から強い反発の声が上がっている。

 同基地は八日から、サイレン音や拡声器放送、模擬爆発音、発煙筒を使用すると説明。

 同基地に隣接する嘉手納町東区の島袋敏雄区長は「地域住民の感覚とずれている。理解できない」とあきれた。「(東区は)いつもうるさい。正月くらいは特別な訓練は中止してほしい」と求めた。

 同町基地対策協議会の金城睦昇会長は「今年もまた、うるさい訓練が始まったという感じだ。新年早々、住民に不安を与え、正月のめでたい気持ちを踏みにじる米軍の神経は理解できないし、強い憤りを感じる」と声を荒らげた。

 嘉手納基地まで約五百メートルの場所に住む、同町屋良の沢岻安一さん(67)は新年早々の訓練実施に「言語道断だ」と憤る。「即応訓練が恒常化しており、もう怒り心頭。米軍は、住民の訴えに耳を傾けるべきだ」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801071700_01.html

 

2008年1月7日(月) 夕刊 5面

2外国人、タクシー強盗/沖縄署 米軍人を任意聴取

 七日午前三時四十分ごろ、沖縄市美原三丁目付近の住民から「男性が外国人二人に殴られている」と一一〇番通報があった。沖縄署員が現場に駆けつけたところ、タクシー運転手の男性(59)が頭から血を流し、「男二人に瓶のような物で殴られた。タクシー代も払っていない」と話したことから、強盗致傷容疑で逃走した二人を捜索。現在、同署が目撃情報と似た在沖米海兵隊所属の男二人から任意で事情を聴いている。運転手男性は頭部裂傷などで全治一週間のけがを負った。

 同署によると、男二人は同日午前三時すぎ、北谷町キャンプ瑞慶覧の北前ゲート前からタクシーに乗車し、沖縄市美里を経由して、同市美原三丁目で下車。運賃二千七百八十円を請求した運転手に対して、男の一人が「地図を見せて」と要求。運転手が地図を取ろうとかがんだ時に、後部座席にいた別の男が運転手の後頭部を殴打した。

 付近住民によると男二人は車外でウイスキー瓶や棒のような物を持って、運転手を追いかけ、通行者が仲裁に入ったところ、現場から立ち去ったという。

 同署は目撃情報からトレーナーとジーンズのスキンヘッドの男とTシャツとジーンズ、がっちり形の二人を捜索。現場から約七百メートル離れた路上を歩いていた二十歳と十九歳の海兵隊員の着衣が一致したため、任意で事情を聴いている。二人は犯行を否定しているという。

 二人はほとんど現金を持っていなかったという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801071700_02.html

 

2008年1月8日(火) 朝刊 1面

タクシー強盗 容疑2米兵を逮捕

 沖縄署は七日、タクシー運転手の男性(59)を瓶やこぶしなどで殴り、運賃を払わず逃げたとして、在沖米海兵隊普天間基地所属の伍長、ジョセフ・リドル容疑者(20)と同基地所属の一等兵の少年(19)を強盗致傷容疑で逮捕した。タクシー運転手は頭部裂傷、左腕打撲などで全治一週間のけが。リドル容疑者は「基地に帰る途中だった」と否認、少年兵は「二人でやった」と認めているという。一方、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は同日、基地に関する調査特別委員会を九日に開き、抗議決議などの対応を協議することを決めた。

 同署によると、二人は同日午前三時すぎ、北谷町北前からタクシーに乗り、沖縄市美里の吉原社交街に到着したが、付近を往復するだけで下車しなかった。不審に思った運転手が運賃二千七百八十円の支払いを要求すると、少年兵が「地図を見せて」と言い、地図を取ろうとかがんだ運転手の後頭部をリドル容疑者が殴ったという。

 運転手は車外に出て助けを求めたが、リドル容疑者がウイスキー瓶のようなもの、少年はこぶしなどでそれぞれ複数回殴りつけたという。通行者が仲裁に入ると、二人は現場から立ち去った。

 同署が目撃情報などから二人の行方を捜索。現場から約七百メートル離れた路上を歩いていた二人の着衣が一致したため、任意で事情を聴いていた。リドル容疑者は所持金がなかった。同署は犯行動機を追及するとともに、男性を殴った凶器の特定を進めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801081300_01.html

 

2008年1月8日(火) 朝刊 2面

アセス踏まえ検討/V字沖合移動

防衛次官、会見で従来見解

 【東京】防衛省の増田好平事務次官は七日の定例会見で、米軍普天間飛行場移設をめぐって県などが求めている代替施設案(V字案)の沖合移動について、「環境影響評価(アセス)手続きで客観的なデータなどが出てきたら、まさに合理的な理由として変更する対象になる可能性がある」と述べ、アセスを踏まえて検討するとの従来の見解を繰り返した。

 政府・与党内で、V字案の八十―九十メートル程度の沖合移動を容認する考えが浮上していることについては、「方針が決まった事実はない。(米側との合意に至った)経緯を考えると、案を合理的理由なく変更するのは困難だ」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801081300_03.html

 

2008年1月8日(火) 夕刊 1面

文科相「初めと話が違う」/教科書検定

実行委反応に不快感

 【東京】渡海紀三朗文部科学相は八日午前の閣議後会見で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会が、文部省の下した結論に対して、あくまで検定意見の撤回や日本軍の強制記述を求める見解を示していることについて「初めと話が違うという気がする」と述べ、不快感を示した。

 渡海文科相は実行委の反応について「報道でしか知らない」と前置きした上で、「当初は八〇点と言っていたにもかかわらず、何でこんなことになったのか、という気持ちがある」との認識を示した。

 同問題をめぐっては、昨年末の教科用図書検定調査審議会(検定審)の結論を受けた仲里利信実行委員長らが、「不満は残るが、記述はほぼ回復された」と一定の評価を下し、実行委の解散も示唆していた。

 ただ、実行委員会を開き、あらためて対応を検討した結果、実行委は解散せず、今月中にも「日本軍による住民への強制」を示す記述の回復や、検定意見の撤回などを国に求める立場を確認していた。

 今後の対応について渡海文科相は「これからの話だが、検定審の先生方が努力し、説明をいただいている。県民の皆さんにはご理解していただきたい」と、実行委の要望には応じる考えがないことを強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801081700_02.html

 

2008年1月9日(水) 朝刊 1面

キャンプ・ハンセン レンジ4移設に遅れ/地元、使用中止訴え

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」の米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の都市型戦闘訓練施設の移設問題で、二〇〇七年度内で終了予定だった移設作業が一年半ほど遅れ、〇九年度中ごろまでずれこむことが八日、分かった。沖縄防衛局が同日、同町議会に説明した。レンジ4では、移設完了までの予定で〇五年から騒音を伴う射撃訓練や突破訓練などが暫定的に行われている。

 移設が遅れれば、隣接する伊芸区などの負担長期化につながるとして、町や議会、区などは暫定使用の中止などを求めていく考えだ。

 同局は儀武剛町長、松田義政町議長、池原政文伊芸区長にも今月四日、同様の説明を行った。

 レンジ4移設では、同施設のレンジ16への移設に伴い、同演習場内の三カ所の既存訓練施設が玉突きで順次移設されることになっている。

 町議らへの配布資料などによると、同局は当初、〇七年度末までに三カ所の移設作業をすべて完了させる予定だった。しかし、米軍との調整に難航したほか、訓練の関係で工事が遅れていると説明したという。工事は、A地区は〇七年度末までに終了するが、B地区は〇八年度末、レンジ4移設先のC地区は〇九年度中ごろまでずれ込む。

 工事の遅れに伴い、レンジ4の暫定使用は今後も続けられる見通しだ。同施設では夜間も訓練がたびたび行われている。

同局の説明では、伊芸区公民館に設置した騒音測定器では最大九一デシベルを測定したという。

 池原区長は「区民はこれまでも暫定使用の被害に苦しんできた。これ以上我慢しろというのか。工事が遅れたのは政府の努力不足と見通しの甘さ、米軍の責任だ」として、四月以降の暫定使用の中止を強く訴えた。

 松田議長は「今でも住民の生活は脅かされている。これ以上の暫定使用は許されない」と話し、臨時議会を開いて抗議する考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801091300_01.html

 

2008年1月9日(水) 朝刊 25面

米兵強盗致傷/東門市長が補償要求

 【沖縄】沖縄市美原で起きたタクシー強盗致傷事件で在沖海兵隊員二人が逮捕されたことを受け、東門美津子沖縄市長は八日、外務省沖縄事務所と沖縄防衛局に対し、米軍側に事件の再発防止と被害者への補償を求める要請文を送付した。東門市長は九日午前に、北中城村にある米海兵隊外交政策部(G5)を訪ねて直接抗議する。

 要請文では「米軍は兵員とその家族の綱紀粛正に取り組んでいるとのことだが、このような凶悪事件が度々発生する状況は、基本的なところから見直す必要性がある」と厳しく指摘。「市民全体に不安を与え、被害者が身体的、精神的な傷を被ったことは遺憾だ」とした上で、(1)被害者への迅速な謝罪と正当な補償(2)隊員とその家族への指導プログラムを基本的な面から見直す―ことを求めている。同事件については、宜野湾市も九日午前、市職員がG5を訪れ、文書で抗議する。


沖縄署、2米兵を送検


 沖縄市で七日、タクシーに乗車した男二人が運転手を襲い、運賃を払わず逃走した事件で、沖縄署は八日、強盗致傷の疑いで逮捕した在沖米海兵隊普天間基地所属の伍長ジョセフ・ウェイン・リドル容疑者(20)と同基地所属の一等兵の少年(19)を那覇地検に送致した。

 調べでは、二人は七日午前三時四十分ごろ、同市美原の住宅街で、乗車したタクシーの男性運転手(59)の後頭部や左腕などを瓶のようなもので殴ってけがを負わせた上、運賃約二千七百円を払わず逃げた疑い。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801091300_03.html

 

2008年1月9日(水) 朝刊 2面

「集団自決」修正/五ノ日の会、要請不参加

 【東京】県選出・出身の自民党国会議員でつくる「五ノ日の会」(会長・仲村正治衆院議員)は八日、国会内で会合を開き、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、今月中に政府への要請行動を予定している県民大会実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)と共同歩調を取らず、静観する方針を確認した。

 実行委から五ノ日の会に対しては、渡海紀三朗文部科学相との会談の設定などが依頼されていたが、会談の申し入れや要請への同行を見送ることで一致した。

 仲村会長は、昨年末に渡海氏が教科書会社六社の訂正申請を承認したことを念頭に「仲井真弘多知事も評価している。県民の要望は80―90%達成されたと考えている」と理由を説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801091300_04.html

 

2008年1月9日(水) 朝刊 2面

普天間代替/設計11件 入札公示

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設で沖縄防衛局は八日、航空保安施設(空港監視レーダー、方位・距離測定システム)の基本設計など計十一件の設計業務の入札を一斉に公示した。

ほかにキャンプ・シュワブ内に新設する管理棟、工場、給油所、厚生施設、立体駐車場、隊舎に関する建築・設備・実施設計業務。いずれも入札は二月八日。履行期限は来年二―三月末となっている。

 同局は昨年九月、飛行場本体や格納庫などの支援施設を含む施設配置の基本設計検討業務の入札を公示。普天間代替施設事業の設計業務に着手している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801091300_07.html

 

2008年1月9日(水) 夕刊 1面

沖縄市長が抗議/米兵強盗

 【北中城】沖縄市美原で起きたタクシー強盗致傷事件で、米海兵隊員二人が同容疑で逮捕されたことを受け、東門美津子沖縄市長は九日午前、北中城村石平の在沖米海兵隊外交政策部(G5)を訪ね、「被害者に身体的、精神的な傷を与えたことは絶対に許せない」と抗議。事件の再発防止と被害者への補償を求めた。

 東門市長は「閑静な住宅街でこのよう事件が起きたことで、市民全体に不安を与えた。被害者は常に県民だ。年頭になぜこんな事件が起きるのか。怒りと悔しさがある」と述べ、在沖米海兵隊バトラー基地司令部のメリアン・クルサダーシン司令官あてに抗議文を手渡した。

 応対したラリー・ホルコム大佐は「新聞報道でしか事件の内容は知らないが、海兵隊全体として大変残念であり、怒っている。申し訳ない」と謝罪し、「早急に被害者に会って謝罪し、若い兵士への指導プログラムも見直したい」と述べたという。

 抗議文では「米軍は兵員とその家族の綱紀粛正に取り組んでいるとのことだが、このような凶悪事件が度々発生する状況は、基本的なところから見直す必要性がある」と厳しく指摘した。

 また宜野湾市も同日午前、市職員がG5を訪れ、文書で抗議した。


沖縄市議会 抗議決議へ


 【沖縄】沖縄市議会(喜友名朝清議長)は九日午前、基地に関する調査特別委員会(与那嶺克枝委員長)を開き、同市で発生した米海兵隊員二容疑者によるタクシー強盗致傷事件について、被害者に対する謝罪と補償、米軍人らに綱紀粛正を求める意見書と抗議決議を十六日予定の臨時議会に提案することを決めた。全会一致で可決する見通し。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801091700_02.html

 

2008年1月9日(水) 夕刊 5面

即応訓練に住民苦情/町が抗議文

 【嘉手納】米軍嘉手納基地第一八航空団による有事を想定した即応訓練は、九日も引き続き行われた。深夜、未明の時間帯に拡声器放送やサイレン音が鳴り響いたため、嘉手納町役場には住民からの苦情が相次いだ。同町は同日、苦情内容を添え、同基地司令官に文書で抗議した。

 抗議文は、即応訓練に関し、町民から中止を求める声が上がっていると指摘。「即応訓練は過去にも再三トラブルを起こしており、断じて容認できない」と今後一切、嘉手納基地で同訓練を行わないよう求めている。

 同町の住民らによると、拡声器放送やサイレン音は八日夜から九日未明にかけて断続的に行われていた、という。

 町民からの苦情は深夜、未明の拡声器放送やサイレン音に対するものが多く、「うるさくて眠れない」「訓練の騒音に起こされた。戦場だ。強く抗議してくれ」など九件が寄せられた。

 また、目撃者によると、九日午前には複数の爆発音や黄色の煙を使用した訓練を実施していたほか、飛行停止中のF15戦闘機が滑走路を自走しているのが確認された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801091700_03.html

 

2008年1月9日(水) 夕刊 1面

名護市・県 促進へ/普天間移設

島袋市長と副知事一致

 名護市の島袋吉和市長は九日午前、県庁を訪ね、仲里全輝副知事らと面談した。米軍普天間飛行場移設問題について仲里副知事が「今年はぜひ前進させたい」と意欲を示し、島袋市長も同調した。

 仲里副知事は「政府が国民の視点に立つ努力をするのは当然。県政は名護市をバックアップする立場を続ける」と強調。名護市と連携し、代替施設滑走路の沖合移動を求める考えをあらためて示した。

 面談後、島袋市長は政府内で代替施設滑走路の沖合移動検討の動きがあることについて「前進したと思っている」と述べ、一定評価した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801091700_04.html

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