「環境影響 懸念続出/普天間方法書審査会に説明」「米軍基地でパワハラ/従業員150人 抗議の署名 」「沖縄戦1フィート運動の会/25周年で毎月上映会 」沖縄タイムス、琉球新報社説「新テロ法再議決 強行と言わざるを得ない 」 (1月12日から15日)

2008年1月12日(土) 朝刊 1面

答申直前資料150ページ追加/普天間アセス方法書

1700万立方メートル海砂本島内調達・護岸工期5年

 米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書の審査をめぐり沖縄防衛局は十一日、著しい内容の不備を指摘されている方法書を追加説明した。代替施設本体の埋め立て工法や作業ヤードの面積、工事用資材を運ぶために新設する道路のルートなど五項目約百五十ページに及ぶ資料を新たに提示。埋め立てに必要な海砂千七百万立方メートルは本島から調達することを初めて明らかにした。本体埋め立ては護岸の施工計画三案のうち、最短工期(六十カ月)の施工案を検討している。

 宜野湾市内で開かれた県環境影響評価審査会(会長・津嘉山正光琉大名誉教授)で、説明した。本来方法書に記載されるべき内容を、知事意見の提出締め切りを今月二十一日に控えたアセス審査の終盤で提示した沖縄防衛局の対応に、委員から「アセス審査をないがしろにしている」など批判が相次いだ。

 追加説明で明らかになったのは(1)代替施設本体の工事計画(2)作業ヤードの面積および検討案(3)工事用仮設道路のルート案(4)埋立土砂の採取区域(5)美謝川切替ルート案―の五項目。代替施設本体については護岸工法の違いで三案を提示。防衛局は「二〇一四年までの完成からすると工期は五年間となり、もっとも工期の短い案を具体的に検討している」とした。

 作業ヤードは、辺野古漁港の辺野古地先水面と、大浦湾西海岸海域でそれぞれ約五ヘクタールの埋め立てを検討。作業ヤードから代替施設本体に資材などを運搬する工事用仮設道路はキャンプ・シュワブの敷地境界沿いに敷設を予定している。

 埋め立てに必要な土砂のうち千七百万立方メートルは本島海岸の海砂を充てることを想定。ほか二百万立方メートルは辺野古ダム周辺約七十ヘクタールの範囲から採取を検討しているとした。

 委員からはこうした追加説明の在り方が、法的に事業者に方法書のやり直しを要求できる「大規模な事業の変更」に当たるとの指摘も出た。県環境政策課は「アセス法の解釈を環境省と協議したが、やり直しには当たららない」との見解を示した。審査を傍聴した環境団体から「法の解釈は審査会が行うべき」「やり直しできるという専門家の見方もある」など異論が噴出した。

 同審査会は十六日に方法書について最終の答申案を検討する予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801121300_01.html

 

2008年1月12日(土) 朝刊 27面

環境影響 懸念続出/普天間方法書審査会に説明

 「事業、環境調査の中身をしっかり示すべき」「アセス方法書の再提出を」。沖縄防衛局は十一日、米軍普天間飛行場代替施設の建設に伴う河川や海(公有水面)の埋め立ての詳細を、県環境影響評価審査会に説明した。埋め立てに、県内で採取した千七百万立方メートルの海砂の使用を予定するなど、初めて明らかにされる施工案。審査委員や傍聴した市民から、環境への悪影響を懸念する声や厳しい意見が相次いだ。

再提出要求も


 大浦湾周辺に三カ所の作業ヤード、海上ヤードをつくり、二千百万立方メートルの土砂で埋め立てる。辺野古ダム周辺の水源涵養林約七十ヘクタールからも約二百万立方メートルの土砂を採る―。防衛局の小柳真樹調達部長は約一時間、図面を示しながら埋め立て作業を細かく説明した。

 「ダンプカー約三百四十万台分の海砂を県内で採取した場合の環境への影響も考えなければ」。委員からは大量の海砂を県内で調達する計画に不安の声が上がった。

 埋め立て区域の護岸の工法について、三案を検討した結果、二〇一四年までの完成のため工期が最も短い方式を採用したとの説明に、「工期を短くすることが第一という印象だ。別の方法も考えるべきで、計画の熟度が低い」「五年という工期には無理がある」などの批判が相次いだ。

 「審査に必要な情報の提供を、審査会から防衛局にお願いするという構図はおかしい」「事前に十分な説明をして、私たちに意見を述べさせる考えはあるのか」。情報提示に消極的な防衛局の対応に不信感をあらわにする声も。

 沖縄防衛局は「手続きはきちんとしたい」「今後は日米で協議中の事項についても、情報を出していきたい」と繰り返した。

 傍聴した沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団運営委員の真喜志好一さんは「主権者としてどうしても言いたい」と立ち上がり、「事業計画に重大な変更がある。アセス法に則り、方法書の再提出を」と訴えた。平和市民連絡会の当山栄事務局長は「有害な基地をつくるために、有益な沖縄の自然が損なわれる実態がより明らかになった」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801121300_02.html

 

2008年1月12日(土) 朝刊 1面守屋色一掃へ大幅人事/沖縄局長に真部氏

 【東京】前防衛次官汚職事件に絡み、石破茂防衛相は十一日、金澤博範防衛政策局長や門間大吉審議官ら米軍再編を担当する主要ポストを中心に大幅な人事刷新する案を内定した。鎌田昭良沖縄防衛局長も北関東防衛局長に異動、後任は真部朗報道官。十七日付の発令。主要ポスト総入れ替えの異例人事に省内から米軍再編への影響を懸念する声も上がっている。

 金澤氏らは収賄罪で起訴された前事務次官の守屋武昌被告が重用してきた「守屋ライン」とされ、米軍再編の対米交渉や県内自治体説得を担当。「守屋色一掃」の狙いがあるとみられる。

 石破氏は米軍普天間飛行場移設問題などの実務を担当する課長クラスまで入れ替える予定。筆頭局長の金澤氏の後任には高見澤將林運用企画局長をあてる方針だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801121300_03.html

 

2008年1月12日(土) 朝刊 1面 

本紙「集団自決」問題報道 新聞労連大賞受賞

 新聞労連は十一日、「第十二回新聞労連ジャーナリスト大賞」を、沖縄タイムス「集団自決」問題取材班の長期企画「挑まれる沖縄戦/『集団自決』問題キャンペーン」と琉球新報取材班の教科書検定問題に関する一連の報道、朝日新聞連載「新聞と戦争」に決定したと発表した。

 沖縄タイムスの受賞理由として「党派を超えて結集した沖縄県民の運動と一体となって時代を動かした。教科書改ざんの動きを新聞と市民がスクラムを組んで押し返す画期的な足跡を残した」と評価した。

 謝花直美編集委員は「心痛を抑え体験を語った体験者と歴史を歪曲させないと立ち上がった県民とともに受賞したという思い。しかし、県民が求めた検定意見の撤回はされず、軍強制の記述も認められていない。受賞は道半ばで、全国の新聞労働者と連帯しながらこの問題を考えるきっかけにしたい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801121300_12.html

 

琉球新報 社説

新テロ法再議決 強行と言わざるを得ない

 新テロ対策特別措置法は11日午後の衆院本会議で、出席議員の3分の2以上の賛成多数で再議決、成立した。再議決による成立は57年ぶりであり、極めて異例の事態だ。しかし果たして、それほどの重要な法案だったのか甚だ疑問が残る。国会での論議は十分深まらず、国民の圧倒的支持を得たわけでもない。強行な再議決と批判されても仕方あるまい。

 新法のポイントは(1)国際社会の平和と安全の確保に資する(2)活動はテロ対策海上阻止活動に従事する諸外国軍隊の艦船への給油と給水に限る(3)首相は実施計画の閣議決定や変更、活動の終了を国会に事後報告―などである。

 燃料の使途について昨年9月、NPO「ピースデポ」が軍事転用されたとの疑惑を示し、憲法に抵触する恐れがあると指摘した。新法について日本政府は、米政府との交換公文に「目的外使用の禁止」明記を求めたが、米側は拒んだ。燃料が軍事転用される恐れは十分にある。

 さらに新法では、前法にはあった自衛隊派遣の国会承認条項が削除された。これが最大の問題点である。国会が事実上、自衛隊派遣の是非を判断できなくなったわけで、文民統制が崩れる恐れがある。国会を軽んじた対応といえよう。

 政府は度々「テロとの戦い」と説明する。しかし、米国主導の対テロ戦争に正当性があるのだろうか。しかも、米側は給油活動再開にさほど関心を持っていないという指摘もある。日米首脳会談でブッシュ大統領は「早期再開への希望」という柔らかい表現を使った。米国追従、必要以上の配慮という日本の愚直な対応が目につく。

 民意はどうか。昨年12月に実施された全国世論調査では、衆院が再議決して成立させることについて賛成41・2%、反対43・6%で拮抗(きっこう)した。支持が広がらないままに再議決した与党は、今後、国民の批判を浴びよう。

 繰り返し指摘されているが、現在の衆院の与野党構成は、小泉純一郎元首相が郵政民営化の賛否を争点とした結果である。

 57年ぶりの異例の再議決をするからには、同問題を争点に掲げて民意を問うべきであった。さらに指摘すれば、日本が現憲法下でなし得る国際貢献の在り方について徹底的に議論するべきだった。今国会は、その好機であった。残念ながら国会は、前防衛事務次官の汚職事件、政治家と防衛商社幹部らとの宴席同席問題が中心となり、議論は深まらなかった。

 新法は1年で失効する。この時、さらに1年以内の延長か廃止か判断することになる。新法が成立したからといって議論を止めず、国民の圧倒的支持を得られる国際貢献を探り続けるべきである。

(1/12 10:04)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30439-storytopic-11.html

 

2008年1月13日(日) 朝刊 23面

米軍基地でパワハラ/従業員150人 抗議の署名

 基地従業員が働く米軍基地の警備部門で、「幹部らによるパワーハラスメント」の訴えが広がり、署名活動に発展している。要員の過半数に当たる百五十人が署名し、調査や処分を求めて昨年十二月に沖縄防衛局に提出した。九カ月間仕事を何も与えられない、大声で罵倒されたり侮辱されたりなどのストレスから精神疾患に陥り、配転や休職を余儀なくされた人たちがいる。防衛局は事態を重視、米軍と合同で調査に着手する。一方、幹部側は「事実ではない」と反論している。(阿部岳)

 「在沖米海兵隊憲兵隊日本人警備大隊」は、日本人の大隊長以下約二百三十人の基地従業員で構成。米軍人である憲兵司令官の指揮下にあり、各基地ゲートで警備に当たる。

 署名は、基地従業員の幹部複数による「地位を利用した嫌がらせ」「日常生活をも脅かすパワーハラスメント」を訴える内容。昨年十一月から十二月にかけて隊員百四十人と元隊員ら十人が署名し、多数の被害報告も寄せられた。

 隊員だった男性(41)は二〇〇六年の約九カ月半の間、理由を明らかにされぬまま「事務所待機処分」を命じられた。出勤しても警備に出られず、毎日八時間ただ机に向かって座っていることを求められたという。

 「新聞や本を読むことも禁じられ、警備のテキストをずっとノートに書き写した。土を掘ってまた埋め戻すような作業で、精神的に参ってしまった」と語る。〇七年三月に自殺を試みて意識を失ったところを家族に助けられ、一命を取り留めた。

 「標的にされた理由は分からない」という。出勤停止などの処分も受け退職寸前だったが、全駐労の抗議もあり、今は基地内の別の職場で働く。

 大隊の訓練を担当していた別の男性従業員(30)は昨年四月にうつと診断され、休職した。米兵を含む上司から、命じられた訓練計画書を何度仕上げても受け取ってもらえないなどの「いじめ」に遭ったと訴える。

 「次は何の嫌がらせをされるか、と下ばかり見ていた。最悪の職場環境だった」と男性。取り下げたはずの辞職届が意思に反して受理され、「退職」の形にされたため、現在不服申し立ての手続きをしている。

 ほかの隊員からも「ストに参加しないよう脅された」「突然羽交い締めにされた」「銃を持つ職場でもめ事は怖い」などの声が上がっている。

 一方、幹部の一人は「職務に懸命で、『いじめ』に使う労力はない」と事実関係を否定。「上司に改善を求めず、外部に訴えるやり方に戸惑いを感じる」と話した。

 沖縄防衛局は、米軍と合同の調査に向け協議を進めている。「大変重要な問題であり、事実関係を確認し、実態を把握した上で適切に対応していく」と説明。米海兵隊報道部も「警備大隊の隊員の訴えは把握している。防衛局と緊密に連携して調べる」としている。

 全駐労マリン支部の仲里修委員長は「他の基地職場と比べても労務管理があまりにひどく軍隊式で、実際にうつ発症が増えている。組合としても重大な関心を持って対処する」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801131300_01.html

 

2008年1月13日(日) 朝刊 23面 

合祀取り下げ訴訟/原告支援へ組織発足

 靖国神社に肉親を合祀されている沖縄戦の遺族らが、合祀の取り下げを求める訴訟の提起に向けて、五人の原告を支援する「共に歩む会」(海勢頭豊共同代表)が十二日、発足した。那覇市前島の船員会館で立ち上げ式が開かれ、沖縄国際大学の石原昌家教授が記念講演。「援護法は日本政府の戦争責任を免責し、提供者をいや応なく靖国神社に合祀するシステム」と指摘し、「今、援護法の壁を乗り越えていけるのがこの訴訟だ」と語った。

 石原教授は、援護法の制定をめぐって当時の日本遺族会の代表が、公聴会で国家の戦争責任を問い、国家補償を求めて「援護」には反対していた経緯を紹介。「援護法によって沖縄や日本の遺族会の戦争体験は塗り替えられた。国家に戦争責任を負わせることができるかどうかの分岐点だった」と述べた。

 与党の賛成多数で援護法が制定された後は、国会で適用範囲の拡大を求める修正が続いた。石原教授は「援護法の『援護』という言葉には、靖国をめぐる戦後日本の国の姿を決定付ける、巧妙に国民の意識を操作するからくりが内包されている」と語った。

 原告の代表となる川端光善さんは「(亡くなった家族の名前が)靖国神社の名簿に記載されている間は、再び戦争をできる国づくりに利用されているようで気が重い。合祀の取り下げが実現すれば、私の戦後は終わると思っている」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801131300_03.html

 

2008年1月13日(日) 朝刊 22面

沖縄戦1フィート運動の会/25周年で毎月上映会

 十二月で二十五周年を迎える「こどもたちにフィルムを通して沖縄戦を伝える会」(通称・沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会、福地曠昭代表)は、会の活性化を目指し、今年は毎月各地で上映会を開くことにしている。

 寄付金などで運営している同会は、資金難でここ十年ほど新たな記録フィルムを入手できないでいる。二十五周年を機に、県民の関心を呼び起こし、新たなフィルムの入手につなげ、会の活動を充実させたいとしている。

 同会が発足した二十五年前も、教科書から日本軍による住民虐殺が削除される問題が起こっていた。福地代表は「子どもたちに戦争の実相を正しく伝えたいと始めた運動。今も教科書問題が尾を引いており原点に返った活動をしていきたい」と意気込みを話した。

 これまでは、主にアメリカの国立公文書館やイギリスの帝国戦争博物館などから約十一万フィートの記録フィルムを買い取った。今後は、ワシントンやハワイなどからもフィルムを入手したい、としている。また、県立公文書館とも連携を図れないか模索中だ。


きょう那覇市 来月は大宜味


 今月の上映会は、十三日午後一時半から那覇市中央公民館で、記録フィルムを編集した映画などの上映会を行う。二月は大宜味村、三月に渡嘉敷島、四月に読谷村、五月は県内各大学での上映会を予定している。

 そのほか、六月二十三日に記念誌の発行、十二月に記念式典などを計画している。問い合わせは同会、電話098(862)2277。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801131300_05.html

 

2008年1月13日(日) 朝刊 2面

官邸主導 “守屋色”一掃/防衛省人事刷新

 守屋武昌前防衛次官の汚職事件に絡み、防衛省は守屋氏側近の人事刷新に踏み切った。一義的には“守屋色”を一掃し、組織改革を進める狙いだとされる。同時に、地元とのあつれきを生みながら在日米軍再編を強力に進めた守屋氏の手法を受け継ぐ面々を排除し、米軍普天間飛行場の移設問題を円滑に主導したい首相官邸の意向が反映された格好だ。普天間移設で防衛省と対立してきた内閣府からは、「県へのお土産になる」と歓迎する声が上がる一方、課長クラスにまで及ぶメスの入れように、再編への影響を懸念する声も漏れる。(東京支社・島袋晋作)

 「普天間は防衛省の人事が終わってからだ」

 今月初旬、首相官邸を訪れた政府高官に、二橋正弘官房副長官が意味深げに話し掛けた。

 普天間移設で地元との融和路線を敷く二橋氏は、北部振興事業費を「凍結」するなどして受け入れを迫る防衛省側と就任直後から対立していた。業を煮やした二橋氏が、「守屋派」更迭を強く働き掛けたとされる。

 官邸は、新テロ対策特別措置法成立後の最重要案件に、膠着する米軍普天間飛行場の移設問題を位置付けている。今回の人事は、「官邸主導」をより明確にし、移設作業を加速するための布石とみられている。

 防衛省が人事を内示したのは、対テロ新法を再議決した十一日の衆院本会議終了直後。強い影響力を持つ幹部らの突然の異動情報は瞬く間に広がり、省内は騒然とした。

 「一生懸命やってきたつもりだが大変残念だ。このままでは普天間は絶対に動かない」。人事を宣告されたある幹部は無念そうに語った。


「増田カラー」


 対象となったのは金澤博範防衛政策局長、門間大吉大臣官房審議官ら、米軍再編などで守屋氏が重用したメンバーだ。

 金澤氏は昨年九月に就任したばかりだった。わずか三カ月余での筆頭局長交代は極めて異例。守屋氏の肝いりで新設された米軍再編担当審議官の門間氏も、出身の財務省へ異動となった。在沖米軍基地関係の実務を担当し、何度も沖縄入りした辰己昌良地方協力企画課長も外れ、沖縄関係の顔触れは一新された。

 代わって、防衛政策局長には高見澤將林運用企画局長、高見澤氏の後任は徳地秀士北関東防衛局長が内定した。

 高見澤、徳地氏は、増田好平事務次官とともに海外留学経験がある「国際派」だ。中でも高見澤氏は増田氏に近く、省内では「『増田カラー』を打ち出した人事」との見方もある。


行政の連続性


 「守屋ラインを一掃できるか見ものだ」

 ある県幹部は、防衛省の一月人事に早くから注目していた。

 県側の期待感を見透かしていたように、内閣府沖縄担当部局の幹部は「次回の普天間移設協議会では、この人事を報告するだけでも大きな意義がある」と歓迎する。

 ただ、高見澤氏は昨年八月まで横浜防衛施設局長を務め、「基地行政の難しさはよく分かっている」(防衛省幹部)とされるものの、沖縄関係の実務経験はない。増田次官でさえ「沖縄の基地問題に限らず、基地行政そのものへの関心が薄い」(同)とみられている。

 「実施段階」とはいえ、課題山積の米軍再編を担う新しい顔触れに、別の内閣府幹部は「やり過ぎだ。行政の連続性が保てなくなる」と、在沖米軍基地問題が停滞することへの警戒感をにじませた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801131300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月13日朝刊)

[方法書追加説明]

新たな環境破壊も心配だ

 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する沖縄防衛局の追加説明は、地元住民に新たな疑問と不安をもたらしたのではないか。

 沖縄防衛局が明らかにした五項目は(1)代替施設本体の工事計画(2)作業ヤードの面積および検討案(3)工事用仮設道路のルート案(4)埋立土砂の採取区域(5)美謝川切替ルート案―である。

 本体の埋め立ては、三案ある護岸の施工計画のうち六十カ月の最短工期で終える計画案を検討しているという。

 だが、埋め立てに要する千七百立方メートルの海砂は問題がある。ダンプカー約三百四十台分という膨大な量を本島のどこから運ぼうというのだろうか。

 それだけの海砂を採れば、採砂場だけでなく、周辺環境に大きな負荷を与える。海域に生息する魚介類やサンゴなどへの影響も懸念されよう。

 なのに那覇防衛局は採砂場を具体的に提示せず、予想される環境問題にも触れなかった。

 さらに必要な二百万立方メートルの土砂は、辺野古ダム周辺の約七十ヘクタールの範囲から採取する計画だという。

 言うまでもないが、基地施設内とはいえダム周辺は水源涵養林である。そこから大量の土砂を採る場合、相当量の樹木の伐採を要する。そうなれば、周辺の保水力が衰え、一帯の環境が変わっていくのは必至だろう。

 「二〇一四年までの完成」という計画表にこだわるあまり、環境問題に対する取り組みが後回しにされてはいないか。

 県環境影響評価審査会の委員が「工期を短くすることが第一という印象」と懸念するのも当然である。

 沖縄防衛局は「手続きはきちんとしたい」としている。だが、形式的な手続きでは審査会ばかりか地元を納得させることもできまい。

 昨年十二月に出された国のアセス方法書について私たちは、出来の悪い答案みたいなものだ、と指摘した。

 今回、約百五十ページに及ぶ資料を提示したとはいえ、シュワブ沿岸海域だけでなく、海砂採取海域の環境まで破壊する可能性も浮き彫りにした。

 追加説明に対し県環境政策課は「やり直し(を要求する)にはあたらない」との見解だが、情報の開示が不十分なことに加えて、方法書にもまだ不備があるのは審査会委員の見解からも明らかだろう。

 環境に深刻な影響をもたらす恐れがあるのであれば、そのことについてきちんと説明するのが沖縄防衛局の責務である。審査会の懸念を軽々に考えてはなるまい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080113.html#no_1

 

2008年1月14日(月) 朝刊 1面

政府機関が軍命否定/裁判事案 一方的に断定

防衛研究所資料/不適切と認め削除へ

 【東京】防衛省の防衛研究所(東京都目黒区)が、所蔵している沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する資料に、渡嘉敷、座間味両島で「戦隊長の命令はなかった」という趣旨の見解を付していたことが十三日、関係者の話で分かった。両島で起こった「集団自決」への戦隊長命令の有無をめぐっては大阪地裁で訴訟が提起されており、三月に判決が出る。事実関係が裁判で争われている事案に、政府機関が一方の主張を認める断定的な記述を付していたことになる。防衛研究所は見解が「不適切」と認めており、近く削除する方針だ。

 関係者によると見解は、戦時中に大本営で参謀を務め戦後に厚生省(当時)事務官に就いた馬渕新治氏が、一九六〇年に陸上自衛隊の幹部学校で「沖縄戦における島民の行動」をテーマに講演した際の講演録に添付された手記「集団自決の渡嘉敷戦」「座間味住民の集団自決」に対して付されていた。二つの手記は沖縄戦体験者によるものとみられる。

 手記に付されていた見解は、「赤松大尉、梅澤大尉(集団自決発生時は少佐)による集団自決に関する命令は出されていないことが証明されている」として、両戦隊長による命令を明確に否定。根拠に宮城晴美さんの著書「母の遺したもの」(高文研、二〇〇〇年十二月出版)などを挙げている。

 見解の作成は防衛研究所の戦史部と書かれているが、個人名や作成日は記されていない。宮城さんの著書が出版された後の〇一年以降に付されたとみられる。

 防衛研究所は十三日、担当者が不在だったが、出勤していた職員は、沖縄タイムスの取材に対し「指摘の件について昨年末ごろに報道機関から問い合わせがあった。(見解の記述が)不適切なので削除することになったと聞いている」と説明した。

 防衛研究所は安全保障に関する基本的な調査・研究や、幹部自衛官などの教育、戦史に関する基本的な調査・研究が主な業務。政府はこれらの成果を防衛政策の立案に反映させている。


     ◇     ◇     ◇     

検定撤回あす再要請

文科副大臣と実行委が面会


 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の実行委員らが十四日に上京し、十五日に池坊保子文部科学副大臣と面談、検定意見撤回などをあらためて申し入れる。実行委の構成団体のうち六団体は、県選出・出身の自民党国会議員でつくる「五ノ日の会」にも実行委への協力を要請する。

 実行委は、教科書会社からの訂正申請を受け、文科省が認めた教科書の「集団自決」に関する訂正記述を、「『日本軍による強制』の記述がなくなるなど、極めて不満が残る内容となっている」と批判、「県内全市町村や県議会、県民大会での決議などを無視するもので、到底許すことはできない」として、あらためて検定意見撤回と「日本軍による強制」を示す記述回復を要請することにした。実行委結成を呼び掛けた七団体のうち、県婦人連合会など六団体は、実行委の要請行動に協力しないことを決めた「五ノ日の会」に、教科書検定問題への取り組みや県選出の全国会議員と実行委との協議を継続するよう文書で申し入れる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801141300_01.html

 

2008年1月14日(月) 朝刊 1面

F15きょう飛行再開/嘉手納基地

 【嘉手納】米本国での墜落事故をきっかけに、飛行を停止していた米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が、十四日から飛行訓練を再開する。昨年十一月四日の飛行停止以来、限定的に再開した数日を除くと約二カ月ぶり。基地に隣接する自治体は「住民の不安は払拭されていない」などとして安全性を疑問視し、飛行再開の中止と同機の撤去を求めている。

 十四日は「成人の日」でもあり、飛行訓練を強行した場合、周辺自治体の反発は一層強まりそうだ。飛行再開に反対する市民団体は十五日正午すぎから、嘉手納町屋良の通称「安保の見える丘」で緊急抗議集会を開く。

 同基地に隣接する沖縄、嘉手納、北谷の三市町で組織する嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(会長・野国昌春北谷町長)は十一日、「飛行再開により、嘉手納基地周辺での墜落事故が懸念され、周辺住民の不安は計り知れず、断じて容認できない」として飛行中止を求め、抗議した。

 同基地報道部によると所属機は三十九機が飛行可能。ロンジロン(縦通材)の厚さが製造元の仕様書と合致していないとして、十七機はデータを分析中。飛行再開まで二―四週間かかるという。

 事故は昨年十一月二日、米国ミズーリ州で発生。同州空軍所属F15C型機一機が戦闘訓練中に空中分解し、墜落した。その後の調査で、ロンジロンの亀裂が事故原因として浮かび上がった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801141300_02.html

 

2008年1月15日(火) 朝刊 1面

F15飛行再開 102デシベル超

24機中2機緊急着陸

 【嘉手納】米本国での墜落事故をきっかけに、飛行を停止していた米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機は十四日午前、飛行訓練を再開した。昨年十一月四日の飛行停止以来、限定的に再開した数日を除くと約二カ月ぶり。午後五時までに、少なくとも二十四機が離陸。このうち、二機が緊急着陸した。

 嘉手納町屋良では、午前八時五十分に一〇二・二デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測。飛行再開の中止を求めていた周辺自治体は騒音負担の増加を指摘し、飛行再開を強行した米軍に反発を一層強めている。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春北谷町長は「ロンジロン(縦通材)以外にも、老朽化したF15には別の部品の欠陥があるのではないか。亀裂の原因が明らかでないまま飛行すれば、住民が不安に感じるのは当然だ。大切な『成人の日』に飛行を再開するのは、訓練の遅れを取り戻そうという米軍の一方的な基地運用の表れであり、容認できない」と強い口調で述べた。

 F15は、午前八時二十六分に離陸したのを皮切りに、相次いで飛行訓練を再開。嘉手納町の職員が同町屋良の「道の駅かでな」で、住宅地に近い北側滑走路を使用したF15六機の離陸時の騒音を測定、いずれも九九デシベル以上を計測した。

 嘉手納基地報道部によると、所属機は三十九機が飛行可能。ロンジロンの厚さが製造元の仕様書と合致していないなどとして、十七機はデータを分析中。飛行再開まで二―四週間かかるという。

 事故は昨年十一月二日、米国ミズーリ州で発生。同州空軍所属F15C型機一機が戦闘訓練中に空中分解し、墜落。その後の調査の過程で、ロンジロンの亀裂が事故原因として浮かび上がった。

 米空軍は、飛行停止期間中に、世界規模の一斉点検を実施。事故機以外に計九機でロンジロンの亀裂を確認した。うち二機が嘉手納基地所属機だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801151300_01.html

 

2008年1月15日(火) 朝刊 29面

門出の日 切り裂く爆音/F15飛行再開

 【中部】のんびりとした祝日の十四日午前八時二十六分、嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行を再開した。飛行停止から約二カ月ぶりに嘉手納の空に響いたF15のごう音に、周辺住民は「何度聞いてもこの音には慣れない」「墜落しないかと心配だ」と不安をかき立てられた。

 同基地では、午後五時までに二十四機の離着陸が確認された。うち二機が緊急着陸。基地内の消防など緊急車両が出動したが、放水などはなく、いずれも数十分後に自走して格納庫に戻った。同日午前九時十七分ごろに緊急着陸した機体について、同基地報道部は「予防のための着陸で、機体にトラブルはなかった」と説明した。

 基地を見渡す嘉手納町屋良の「道の駅かでな」では、カメラを構えた報道陣や観光客らが訓練の様子を見守った。

 東京から観光で訪れた目黒孝昌さん(29)、由美子さん(39)夫妻は「沖縄に基地があるのは知っていたが、こんなにうるさいとは思わなかった。騒音以外にも事故の不安など、沖縄は大きな基地負担が押し付けられていると感じた」と心配そうな表情を見せた。

 「朝から戦闘機の音がうるさかった。新聞を開き、F15飛行再開の見出しを見て納得した」。屋良に住む伊波靖晃さん(75)は、久しぶりに聞く騒音にうんざりした様子。「やっぱりF15はほかの戦闘機よりうるさい。何度聞いてもワジワジーする。欠陥部分を点検したと聞いたが、米軍は何度も県民をだましてきた。信用できない」と憤った。

 同飛行場の飛行ルート直下に位置する北谷町砂辺。同地域に生まれ育った喜友名美春さん(20)は、十三日に町の成人式典に出席し、人生の門出を迎えた。成人として第一歩を踏み出す成人の日の飛行再開に「子どものころから自宅のすぐ上を飛び、怖い思いをしてきた。こんな日くらいは静かにしてほしかった」と声を落とした。

 この日、F15二十四機は南北滑走路を使用し、沖縄市へ向けて離陸した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801151300_02.html

 

2008年1月15日(火) 朝刊 1面

防衛研「鉄の暴風」も批判/軍命否定の見解判明

 慶良間諸島の「集団自決(強制集団死)」に関し、防衛省の防衛研究所が、隊長命令があったと記述していた所蔵資料に対し、「隊長命令はなかった」と見解を付け加え公開していた問題で十四日、全文が明らかになった。所蔵資料について、沖縄タイムスの「鉄の暴風」との共通部分を指摘、「『日本軍側の旧悪を暴く』という風潮の中で事実とは全く異なるものが、あたかも真実であるがごとく書かれた」と記述していた。防衛省は批判を受け、削除する方針だが、識者は「防衛省によるゆがんだ沖縄戦住民観の本質は変わらない」と批判する。

 防衛研究所が見解を加えて公開していたのは、一九六〇年に元大本営参謀が陸上自衛隊幹部学校で沖縄戦に関する講演をした際、資料とした慶良間戦体験者の手記。

 「友軍は住民を砲弾の餌食にさせて、何ら保護の措置を講じようとしないばかりか『住民は集団自決せよ!』と赤松大尉から命令が発せられた」(「集団自決の渡嘉敷戦」)

 「艦砲のあとは上陸だと、住民がおそれおののいているとき、梅沢少佐から突然、次のような命令が発せられた。『働き得る者は男女を問わず、戦闘に参加せよ。老人、子供は全員、村の忠魂碑前で自決せよ』」(「座間味住民の集団自決」)

 戦史研究室は、元渡嘉敷島巡査の手記や沖縄女性史家の宮城晴美さんの著書を上げ「赤松大尉、梅沢大尉の自決に関する命令はだされていないことが証明されている」と手記の表紙に掲載している。

 見解に著書を引用された宮城さんは「この問題は『集団自決』訴訟と教科書検定問題と連なっている。防衛省は旧日本軍への『集団自決』への関与を否定することを前提に資料を分析している」と批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801151300_03.html

 

2008年1月15日(火) 朝刊 29面

再発防止の政府談話要求/検定撤回きょう要請

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会が十四日、政府に検定意見撤回などを要請するため東京へ向かった。実行委は「高校の日本史教科書から、『集団自決』への日本軍の強制を示す記述を削除させた検定意見は残っており、同じことが繰り返される恐れがある」と判断し、再発防止に向けた福田康夫首相や渡海紀三朗文部科学相のコメントを求めている。

 要請に向かったのは県議会議長の仲里利信実行委員長ら、実行委幹部の五人。十五日午前に大野松茂官房副長官と、午後に池坊保子文科副大臣と面談し、検定意見撤回と記述回復を福田首相らに求める文書を手渡す。

 仲里委員長は、「先月二十八日、教科書会社からの訂正申請への対応を文科省が発表した際に福田首相か渡海文科相から、県民への謝罪や再発防止に向けたコメントがいただけるはずだったので及第点を与えた」と説明。「だがコメントはなく、検定意見の実質は残ったままというのが実行委の見解で、政府の対応に及第点は与えられない」として、あらためて政府幹部による再発防止に向けたコメントを求める考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801151300_04.html

 

琉球新報 社説

F15飛行再開 いつまで続ける安全無視

 機体構造の欠陥の検査で飛行を停止していた米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が14日から飛行を再開した。

 米軍は機体の欠陥や安全対策に関する情報を十分に開示しないまま、住民や地元自治体などの強い中止要請を無視した。あろうことか1カ月半ぶりの飛行再開をあえて連休最終日を選んで強行した。その神経が理解できない。

 安全が保証されないことへの住民の懸念や不安、いら立ちなどは一顧だにされない。切なる訴えに耳を傾けようとしない挑発的な振る舞い、軍の論理を優先させる姿勢は、露骨に過ぎると言わざるを得ない。

 米軍側は、安全性に問題はないと再開に踏み切った理由を説明するが、この説明を信じ、納得する者はまずいないはずだ。地元自治体などは構造的な欠陥を疑っているのである。

 F15の飛行停止措置は、昨年11月2日に米ミズーリ州で起きた墜落事故がきっかけだ。空中分解の末に墜落するという信じ難い事故である。全機の飛行を止める前代未聞の事態だった。

 これだけでも重大な欠陥が疑われるのは当然だが、実はそれ以前から運用に関し根強い懸念があったのである。使用開始から35年が経過しており、この間、老朽化した戦闘機を飛行させる危険性についても指摘されてきた。

 何よりも昨年11月の墜落事故以来、飛行中止と再開をめぐる米軍の対応、動きに異常性がはっきり表れている。

 ミズーリ州の事故を受けての飛行停止から約3週間後に「点検による安全確保」を強調し、米軍は欠陥機の飛行再開に踏み切った。だが、そのわずか2日後には再び停止措置が取られたのである。

 嘉手納基地に配備されたF15C型機の点検の結果、機体の骨格となる「縦通材」2カ所に亀裂が見つかったからだ。

 これまで再三指摘されてきたように、経年劣化や構造疲労の疑いが露見したとの見方が強まったのは当然である。

 米軍の説明によると、嘉手納基地に所属するF15 57機のうち39機は飛行再開が可能であり、1機は点検中で、17機は停止措置が継続される。

 裏を返せば、いま現在、飛行に適しないF15機の数は17機に上るということになる。構造的な欠陥を自ら認めたようなものではないか。事故が起きないほうが不思議なくらいだ。

 同基地からこの日の朝、飛び立ったF15の中には緊急着陸した機も確認された。

 安全性が担保されないF15の飛行再開は許されない。即時の飛行中止と撤去を強く要求する。

(1/15 9:45)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30504-storytopic-11.html

 

2008年1月15日(火) 夕刊 1面

軍強制明記を再要請/県民大会実行委

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会(実行委員長・仲里利信県議会議長)は十五日午前、首相官邸に大野松茂官房副長官を訪ね、「『集団自決』への日本軍による強制」の明記や検定意見撤回などをあらためて要請した。仲里実行委員長らによると、大野副長官は「皆さまの意向を福田首相に伝える」と述べたという。

 仲里委員長らは、昨年十二月二十八日の実行委員会で採択した福田康夫首相あての要請書を手渡し、要請した。

 要請後、仲里委員長は「(文科省が記述の修正を発表した際に)県民への謝罪など首相か文部科学相のコメントを前提にいったんは八十点という評価をした」と説明。「しかしコメントはなく、検定意見そのものは生きているという認識だ。これでは県民は納得できない」と、再要請の意義を強調した。

 要請書では教科書会社からの訂正申請に対する文科省の決定について「(教科用図書検定調査審議会が示した)基本的とらえ方の結果、『日本軍による強制』の記述がなくなるという重大な問題が生じている」と指摘。

 さらに「文科相談話でも検定意見撤回や、教科書検定で沖縄戦の記述改ざんの再発防止措置などに何ら触れていない」と批判し、「到底許すことはできない」と、検定意見撤回などをあらためて求めた。

 十五日午後には文科省を訪ね、池坊保子副大臣に同様に要請する予定。

 実行委とは別に、玉寄哲永・県子ども会育成連絡協議会(沖子連)会長、小渡ハル子・県婦人連合会(沖婦連)会長らは、自民党国会議員でつくる五ノ日の会と面談し、今後の協力を要請する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801151700_01.html

 

2008年1月15日(火) 夕刊 5面

砂辺で105デシベル屋良100デシベル/F15飛行再開

 【嘉手納・北谷】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行を再開した十四日、北谷町砂辺で一〇五・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)、嘉手納町屋良で一〇〇・九デシベル(同)の騒音を計測していたことが十五日、分かった。

 同基地では十四日、F15のほか、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機、FA18戦闘攻撃機、KC135空中給油機などが南北両方の滑走路を使用し、離着陸を繰り返した。

 北側滑走路に近い嘉手納町屋良では十四日、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音を六十三回計測。一方で、南側滑走路を使用した場合、飛行ルートの真下にある北谷町砂辺は、五十九回だった。

 嘉手納基地報道部によると、所属機の三十九機が飛行可能で、十七機は現在、米本国で起きた墜落事故の原因として指摘されているロンジロン(縦通材)のデータを分析中。飛行再開まで二―四週間かかるとしている。

 嘉手納、北谷町は「すべてのF15の点検が終わり、運用が本格的に始まれば、騒音負担の増加は必至だ」と今後の動向を注視している。


F15撤去求め抗議


 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行訓練を再開したことを受け、市民団体による緊急の抗議集会が十五日、嘉手納町屋良の通称「安保の見える丘」で開かれた。参加者は「F15を撤去せよ」などとシュプレヒコールを繰り返した。沖縄平和運動センター、中部地区労、新嘉手納爆音訴訟団が主催。六十人以上が参加した。

 同センターの崎山嗣幸議長は「F15の構造的欠陥は明確。飛行再開は到底容認できない」と訴えた。

 同訴訟団の仲村清勇団長は「F15は民間地域に墜落する危険性がある。政府は住民生活と軍事、どちらを優先するのか」などと批判した。


10機超離陸ごう音響く/2日目


 【嘉手納】米軍嘉手納基地に所属するF15戦闘機の飛行再開から二日目の十五日、同基地では午前十一時現在、F15十機以上が離陸、周辺住宅地にごう音を響かせた。F15は午前八時ごろ八機が離陸。九時半ごろからタッチアンドゴーを繰り返したり、急旋回した。


再び抗議へ三連協調整


 【中部】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行訓練を再開したことを受け、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は十五日午後、北谷町役場で幹事会を開く。地元の抗議、要請を無視した形で飛行を再開した米軍に対し、あらためて抗議する方向で調整する。三連協は、十一日にも飛行再開の中止と、同機の撤去を求めて抗議している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801151700_02.html

 

2008年1月15日(火) 夕刊 5面

レンジ4使用延長 抗議へ/都市型施設移設遅れで

金武町議会、18日決議

 【金武】金武町議会米軍基地問題対策調査特別委員会(知名達也委員長)は十五日、米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」にある都市型戦闘訓練施設の移設完了が二〇〇七年度末から〇九年度中ごろまでずれ込み、暫定使用が約一年半延長されることに抗議することを決めた。レンジ4施設の暫定使用の中止と施設の撤去・解体を求める抗議決議案を、十八日に開かれる臨時議会に提出する。

 二月にも着工が予定されている、「レンジ3」付近に、最大千二百メートルの射程に対応するグリーンベレーの小銃(ライフル)用射撃場の建設問題についても、抗議する。

 委員からは「政府と米軍の責任で工期が遅れたのだから、暫定使用は中止すべきだ」「伊芸区民に、これ以上の負担を強いることは容認できない」など、暫定使用の中止を強く求める声が上がった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801151700_03.html

コメントを残す