騒音抗議で住民大会/きょう北谷町砂辺区-沖縄タイムス, 琉球新報(1月20日から23日)

2008年1月20日(日) 朝刊 2面

「記述修正に一定成果」/自民「検定撤回」実行委解散提起

 沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、自民党県連(外間盛善会長代行)は十八日、教科書検定意見撤回を求める県民大会実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)に解散を提起する方針を決めた。「記述が修正されて一定の成果を得た。実行委の役割は終え、活動に区切りをつけるべきだ」というのがその理由。同党県連の国会議員や県議は、記述の訂正を事実上の検定意見撤回だと受け止め、県民大会の目的はほぼ実現した―との認識だ。存続を求める実行委は強く反発しているが、同県連が幕引きの意向を明確にしたことで、教科書検定をめぐる超党派の活動は極めて困難な状況に追い込まれた。(政経部・与那原良彦)

 十八日の議員総会では「自民党も一丸となった要請で記述が訂正され、検定意見は事実上撤回された」「実行委は県民大会開催とその後の要請行動が目的だ。県民大会で求めたことは一定の成果を得た」などの意見が相次いだ。実行委の役割は終わっており、活動に区切りをつけるべきだという見解でまとまった。

 実行委幹事の伊波常洋政調会長は「訂正を拒んでいた文部科学省が訂正に応じ、制度の中でギリギリまで踏み込んだ対応をした。軍が主語になり、関与を認めた。事実上の検定撤回だ」と指摘。沖縄条項の設置などは県民大会決議を超えた要請だとして、「仕切り直して、今後の問題についてはあらためて、組織的対応を検討すべきだ」と述べた。

 議員総会では、「自民党が主導して解散を求めれば、『実行委つぶし』と批判されかねない」という慎重意見もあった。しかし、県議の間には「超党派要請だが、結局は政府与党への批判を招き、野党が得をするだけだ」と不満が渦巻く。

 六月に県議選を控え、衆院の解散・総選挙がいつあっても不思議ではない状況だけに、選挙戦への影響を懸念。事態の早期収拾が必要だという判断も働いた。

 また、一部の実行委員が、要請行動への協力に慎重になった自民党の県選出・出身国会議員を批判したことも、県連の態度を硬化させる要因になっている。

 自民党県連と実行委の方針の対立につながった根本にあるのは、記述の訂正に関する評価の違いだ。

 次回の実行委は二十三日にも開かれる予定だ。県民大会で結集した県民の思いは何か、原点に立ち返った議論が求められる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801201300_03.html

 

2008年1月20日(日) 朝刊 27面

騒音抗議で住民大会/きょう砂辺区

 【北谷】米軍嘉手納基地に隣接し、米軍機の騒音被害が激しい北谷町砂辺区で二十日午前、騒音被害に抗議する住民大会が開かれる。町内で騒音に対する住民レベルの抗議集会は初めて。同大会の実行委員会会長、松田正二自治会長は区内の全九百余世帯へ参加を呼び掛けている。

 嘉手納基地の飛行ルート直下に位置する同区の上空では、日常的に米軍機が飛行訓練を繰り返している。基地負担軽減が盛り込まれた二〇〇六年の在日米軍再編協議以降も、F15戦闘機の未明離陸、米空軍と米海兵隊による大規模な即応訓練などが続いたため、同区の区政委員会で大会開催が決まった。

 大会は同区公民館を会場に、午前十時から正午まで開かれる。住民代表のあいさつのほか、野国昌春町長が来賓として出席。F15戦闘機の撤去や未明離陸の中止を求めるアピール文を読み上げる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801201300_06.html

 

2008年1月20日(日) 朝刊 26面

沖縄戦遺骨11柱収集/佐賀のNPO、糸満で活動

 【糸満】戦没者の遺骨収集などのため来県している佐賀県のNPO法人「戦没者を慰霊し平和を守る会」の会員らは十九日、糸満市内の自然壕など市内三カ所で計十一柱分とみられる遺骨や遺品などを収集した。

 ツアーは今回で四回目。沖縄側の会員を含め全国の二十代から八十代まで、四十四人が参加した。作業は三班に分かれ、糸満市大度の自然壕や原野、同市摩文仁の陣地壕で行われた。

 同日午前からの作業で顎の骨や銃痕の残る頭蓋骨のほか、軍服のボタン、万年筆、眼鏡や歯ブラシなどの遺品も見つかった。参加者の中には若者も多く、初めて遺骨収集を体験する者もいた。

 群馬県から初参加した嶋田一秀さん(31)は「沖縄戦から六十年以上たっているのに、少し足を踏み入れるだけで遺骨がこんなに出てくるとは」と驚いた表情で話した。

 今回は身元に直接つながるような遺品は見つからなかったが、同会の塩川正隆副理事長は「戦争はまだ終わってないということを若い人たちにも伝えたい。今後も活動は続ける」と語った。

 一行は二十日に市摩文仁の平和祈念公園内で慰霊式典を行う。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801201300_07.html

 

琉球新報 社説

教科書問題 実行委は超党派を維持せよ

 「役割は終わった」と自民党県連(外間盛善会長代行)。しかし、果たしてそうだろうか。むしろ、これからが正念場ではないだろうか。いまだ道半ば、というのが大方の県民の実感だと思う。そういう意味で、今回の同党県連の判断は残念。ぜひとも考え直してほしい。

 超党派でつくる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)について、自民党県連が、解散を求める方針を決めたという。

 理由として「(実行委は)検定意見撤回と記述回復の2項目を要求してきた。結果は必ずしも満足いくものではないが、県民大会を受けて取るべき行動はすべて取った」とする。その上で「100%満足できる結果ではないが、実行委の役割は終わった」としている。

 昨年12月26日、高校歴史教科書の「集団自決」(強制集団死)検定問題に関し、文科省は教科用図書検定調査審議会の訂正申請を、すべて承認した。訂正内容は、実行委が要求してきた検定意見の撤回はむろん「集団自決」について日本軍の「強制・強要・誘導」との記述も教科書本文では一切、認めていない。つまり実行委が求めてきた最低限の要求は一つも実現しなかったことになる。

 確かに「集団自決」が発生した背景・要因について、脚注や体験者証言など、本文以外で詳しく書き込まれた教科書もある。ただ、検定意見が残ったままでは、本文でもない脚注は、いつ削除されてもおかしくはない。その可能性は大きいのではないか。

 このような現状を考えると「役割を終えた」とはとても言えまい。

 自民党県連が昨年来、さまざまな障害を乗り越えて、県議会として実行委に参加。さらに、県議会の二度の意見書可決も、同県連の決断がなければ実現できなかったのは確かだ。超党派の要請行動のおかげで、中央政界、文科省も真剣に対応せざるを得なかったことも、疑いないところだろう。

 いまだ体験者が生存する「集団自決」について、日本軍の命令・強制の有無は、県民にとってあらためて論議するまでもない。こういう認識があったからこそ、自民党県連も実行委に加わったのだと私たちは理解している。

 ここはやはり、実行委にとどまってほしい。党利党略がらみで判断するのだけは避けるべきだ。

 幸い今後の運動について、すべての道を閉ざすわけでもなさそうだ。同県連の伊波常洋政調会長は「必要であれば何らかの組織を立ち上げてもいい」と述べている。

 実行委は存続し、今後も要請活動を継続すべきだと私たちは考える。仮に超党派は維持できないにしても、自民県連はせめて実行委のバックアップに努めてほしい。

(1/20 9:57)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30639-storytopic-11.html

 

2008年1月21日(月) 朝刊 1・23面

砂辺区民、飛行中止訴え 米軍機爆音

 【北谷】米軍嘉手納基地に隣接し、昼夜を問わず激しい米軍機の爆音被害を受ける北谷町砂辺区で二十日、「早朝離着陸・爆音被害に対する住民大会」(主催・同実行委員会)が開かれ、百人を超える区民が米軍機の深夜・早朝の離着陸中止とF15戦闘機の撤去などを求めた。爆音被害に抗議する区民レベルの集会は同町で初めて。「私たちは耐えに耐えてきたが、もはや我慢の限界だ」とのアピール宣言文を採択した。

 大会実行委員長の松田正二自治会長は「県や国まかせでなく、日ごろから被害を受けている砂辺区民が行動を起こした。爆音に押しつぶされる子どもたちを救えるのは私たちの世代だ」と大会の意義を強調した。

 野国昌春北谷町長は「行政も基地被害の改善を日米両政府に訴えているが、壁は厚い。今回のように住民が自ら立ち上がったことは、両政府を動かすことにつながる」と住民を激励した。

 区の婦人会や嘉手納爆音訴訟原告団の代表が連帯を訴え。会場の砂辺区公民館に詰め掛けた住民らが真剣な表情で聞き入った。

 三人の子どもを連れ参加した松田直美さん(29)は「砂辺区では昼夜関係なく、窓が揺れるほどの爆音が続いている。大会をきっかけに、少しでも騒音が減ってほしい」。自営業の久場祐三さん(44)は「騒音以外にも、米兵絡みの事件・事故の不安もある。生活環境全体の改善も必要だ」と語気を強めた。


     ◇     ◇     ◇     

爆音NO 静かな怒り

次の世代に苦しみ残さない


 【北谷】嘉手納基地を離着陸する米軍機の爆音に長年さらされてきた北谷町砂辺区。二十日、「静かな環境を取り戻したい」と区民が初めて立ち上がった手づくりの住民大会は静かな熱気に包まれた。「爆音を次の世代に残さないためにも、行政だけに任せてはいけない」。参加した区民は、地域を守る運動の始まりに決意を新たにした。

 会場となった区公民館。ホールからあふれるほどの区民が詰め掛けた。

 「(砂辺区全世帯の)九百世帯から百人が参加した。本気で騒音を減らしたいという人がこれだけ集まれば、問題意識が周囲に広まるはず」

 大会実行委員長の松田正二自治会長は自治会レベルで開いた住民大会に手応えを感じ、声を弾ませた。「二回、三回と大会を続け、国や米軍に住民の切実な思いを届かせたい」

 砂辺区では基地負担軽減が盛り込まれた在日米軍再編以降も、未明離陸やF22戦闘機の一時配備などで、騒音は一層激しくなっている。

 一向に改善しない現状に、区政委員会で「行政だけに任せてはいけない」との意見が出て、住民で大会を主催した。区長、区政委員が協力して全世帯にビラを配布。初めて作成したアピール宣言文は、地域に住む町議の手ほどきを受けた。大会当日の朝には区長が車載スピーカーで地域を回り、参加を呼び掛けた。

 大会で、区婦人会代表の松田トヨさん(61)は「声を上げなければ、考える力、行動する力が失われる。住民と行政、議会が団結しなければ問題は解決しない」と強く訴えた。

 他の参加者も進んでマイクを握り、「戦闘機は騒音以外にも、大量の排ガスを出すと聞いた。環境汚染も深刻だ」「砂辺の基地被害をもっと県外に知らせなければ」と声を上げた。

 嘉手納基地に隣接する嘉手納町屋良の田仲康榮町議は「砂辺での大会成功は、同様に基地被害を受ける嘉手納町での住民大会開催のきっかけになるのではないか。被害を受けている住民が直接、声を上げる意義は大きい」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801211300_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月21日朝刊)

[海自給油活動]

転用防止は新法の前提

 海上自衛隊のインド洋での給油活動をめぐり、日本政府が提供燃料の使途について検証できるよう明文化を要求したのに対し、米政府が拒否し、日米の交換公文に盛り込まれない見通しとなった。

 米側は「作戦行動に影響を及ぼし、決して受け入れられない」と主張し、日本側が譲歩しなければ、給油を受けないこともやむを得ないとけん制している。

 新テロ対策特措法をめぐる国会審議では、海自が米艦船に提供した燃料のイラク作戦への転用疑惑が大きな問題となり、与野党攻防の焦点にもなった。日米両政府はそろって転用を否定したが、疑惑が晴れたとは言い難い。

 対テロ新法は給油をテロリスト海上阻止活動に限定しており、転用の防止は新法の必須の前提条件である。その根幹を揺るがす重要な問題だけに、あいまいな決着は許されない。

 米側は当初、燃料の目的外使用禁止が明示されなかった旧テロ対策特別措置法に基づく交換公文と同じ文言を主張。日本側が転用防止の担保を再三要請したのに対し、米側は「いちいち確認できない」と拒否した。

 さらに対テロ新法が海自の給油海域としている「インド洋」について、実際の活動に即してインド洋北方の「アラビア海北部」とするよう求めた。

 米側は作戦行動の柔軟性を確保するため、日本側の対テロ新法に制約されたくないというのが本音だろう。だが米側の主張を許容するような事態になれば、憲法上重大な疑義が生じる。

 政府は対テロ新法に基づく実施計画を決定し、海上阻止活動に従事する他国艦への補給活動を実施すると明記した。転用疑惑を受けて、「法の趣旨を踏まえて、これ(水と油)を諸外国の軍隊等に譲与する」としている。

 政府は対テロ新法の趣旨を逸脱する給油活動を容認すべきではない。少なくとも、補給燃料の使途を検証できないのであれば給油をやめるべきだ。

 対テロ新法をめぐっては国内世論が割れ、新法成立の手順も異例の展開となった。参院では民主党など野党の反対多数で否決され、衆院での再議決で成立した。再議決による成立は五十七年ぶりのことである。

 イラク戦争への転用疑惑が浮上した際、米側は油の使途を明確にすることは「複雑な作業で困難」(国防総省)と認めていた。米艦船への給油活動自体が構造的な問題をはらんでいる。

 あいまいな運用では憲法九条に抵触し、アリの穴から堤が崩れる事態に発展しかねない。米側の主張は予想されたことであり、政府は対テロ新法の趣旨に沿った運用に徹するべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080121.html#no_1

 

琉球新報 社説

給油検証拒否 深まる一方の転用疑惑

 新テロ対策特別措置法に基づく日米両政府の交換公文に、海上自衛隊による提供燃料の「使途検証」が明記されないことが分かった。米側は「目的外使用の禁止」の明示を拒否してきたが、使途検証もはねつけたことで、日本が今後提供する燃料は、新法の目的に反し、テロリスト海上阻止活動以外に転用される可能性が出てきた。

 指摘されてきたイラク戦争などへの転用疑惑も、一段と深まるのは間違いない。57年ぶりの衆院再議決をしてまで対テロ新法成立に固執した日本政府は、国民に対し、事態を説明すべきだ。

 昨年失効したテロ対策特措法に代わる対テロ新法は、海自の活動をインド洋などでの給油・給水に限定している。活動を限定したことで、旧法にあった「国会承認条項」は削除された。

 活動限定明記の背景には、イラク開戦直前に海自の補給艦が米補給艦を通じて米空母に給油した燃料がイラクでの軍事行動に転用されたとの疑惑が浮上し、憲法に抵触する恐れを指摘されたことがある。日米政府はともに否定したが、米側は「使途特定は困難」とも指摘。給油量が日本政府発表の約4倍に上ることも判明し、疑惑を払いきれないでいた。

 こうした状況を踏まえ、日本側は対テロ新法案をめぐる米側との調整で、新法の目的を明記するよう要請した。しかし、米側は目的外使用の禁止が明示されていなかった旧法に基づく交換公文と同じ文言を主張し続けた。

 日本側はその後、使途の検証ができるよう「日米両政府は法律の目的に合致することを担保するため、必要な調整を行う」との表現を盛り込むよう求めたが、これも米側は「作戦行動に影響し、現場の負担になる」として拒否。日本側が譲らなければ、海自の給油を受けないこともやむを得ないと牽制(けんせい)してきた。

 米側の“逆ギレ”もいいところだ。それほどまで言われ、頭を下げ続ける日本もどうかしている。そもそも新法で活動を限定しているのだから、それが担保されないに等しい状況はおかしい。これでは米国への「忠義立て法」と言われても仕方がない。

 本紙加盟の共同通信社が今月中旬に実施した全国電話世論調査によれば、対テロ新法を参院で否決後、衆院再議決で成立させたことには「適切ではなかった」との答えが「適切だった」を上回っている。米側の顔色をうかがい過ぎるあまり、国民の空気を読めなかったとしたら問題だ。

 憲法は「戦力不保持」をうたっている。提供燃料について転用防止の厳格化が図れないなら、給油を止めるほかない。国会承認条項も復活させるしかないだろう。

(1/21 9:53)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30667-storytopic-11.html

 

2008年1月21日(月) 夕刊 1面

アセス総括説明要求 「普天間」移設

事実上の「書き直し」

 仲井真弘多知事は二十一日午後、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見を沖縄防衛局に提出する。知事意見は、沖縄防衛局が県環境影響評価審査会に対し、これまで実施した追加説明分と、今後明らかになる事業や調査手法などを総括して報告し、同審査会で審議、公表するよう事実上の「書き直し」を求める。一方で、方法書のアセス法上の有効性は否定せず、同法で規定されている「差し戻し」などは求めない。沖縄防衛局はアセス調査前に、審査会への説明には応じる方向で県と調整するとみられる。

 知事意見は、方法書で事業内容や調査手法などの具体的な記述がなかったことから審査会が求めた追加説明も「十分でなかった」とする答申の趣旨を反映し、これまでの沖縄防衛局の説明不足を批判。あらためて方法書の具体的な内容説明を求める。

 ただ県は、方法書は内容が不十分ながらもアセス法上の要件は満たしていると判断。公告縦覧手続きのやり直しなどを含む「差し戻し」の要求はできない、との認識だ。このため、沖縄防衛局にあらためて審査会への「総括説明」を求めることで、事実上の「書き直し」と公表の形式をとらせたい考え。

 県は今後の追加説明を一括で行うことを想定しており、そうなれば、沖縄防衛局にとっても、二月のアセス調査着手に遅れを生じない形で対応することも可能となる。

 県は二十一日午後、沖縄防衛局を訪ね知事意見を手渡す。その後、仲井真知事が記者団の質問に答え、知念建次文化環境部長らが記者会見する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801211700_01.html

 

2008年1月21日(月) 夕刊 5面

F15飛行再開「住民に恐怖心」抗議/沖縄市議会決

 【沖縄】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行再開したことを受け、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は二十一日午前の臨時議会で、「飛行再開は住民に恐怖心を与えるもので断じて容認できない」として同機の全面撤退を求める抗議決議と意見書の両案を全会一致でそれぞれ可決した。

 抗議決議では、F15が県内や米本国で墜落事故を起こしていることを問題視した上で「欠陥機と断言せざるを得ないF15が、周辺住民の頭上を飛行することに強い憤りを覚える」と反発。飛行が再開された十四日には、二機が緊急着陸したことを挙げ、「嘉手納基地周辺の住民は墜落の恐怖に毎日の生活を脅かされている。住民の声を無視した米軍の運用に不信感がますます募るばかりだ」と批判している。

 抗議決議のあて先は駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米国総領事など。意見書は首相、外相、防衛相など。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801211700_03.html

 

2008年1月21日(月) 夕刊 5面

米軍人の綱紀粛正要求/タクシー強盗 宜野湾議会も抗議決議

 【宜野湾】沖縄市美原で発生したタクシー強盗致傷事件で、米普天間基地所属の海兵隊員二人が同容疑で逮捕されたことを受け、宜野湾市議会(伊波廣助議長)は二十一日午前の臨時議会で、米軍人の綱紀粛正などを求める抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。

 決議などでは、同事件は「一歩間違えば生命の危機にかかわる」として「県民に与えた恐怖と不安は計り知れない。過去の事件を踏まえた教訓が全く生かされてなく、県民は怒り心頭に発している」と糾弾。「米軍に対する不信感を募らせる行為である」と批判した。

 その上で(1)被害者への完全補償(2)米軍人・軍属の綱紀粛正(3)隊員教育の徹底―の三点を求めている。あて先は駐日米国大使、在日米軍司令官、首相、防衛相など。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801211700_04.html

 

2008年1月22日(火) 朝刊 1・22面

「書き直し」初明記/普天間アセス方法書 知事意見

有効性は否定せず/2月調査「早ければ間に合う」

 仲井真弘多知事は二十一日、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する三十七項目・二百四十七件の知事意見を沖縄防衛局に提出した。知事意見直前に追加資料が提出されたため十分な審査期間が確保できず、「(方法書の)書き直しをする必要がある」と初めて明記した。一方で、方法書のアセス法上の有効性は、前回(昨年十二月二十一日)知事意見に引き続き否定しなかった。アセス調査の二月実施について、仲井真知事は「書き直しが早ければ間に合う」との見解を示した。防衛局は週内にも審査会に説明を実施したい考えだ。

 知事意見を提出後、記者会見した知念建次文化環境部長は、方法書の「書き直し」の範囲について、「もう一度きちんと取りまとめた形で出してほしいということ」とし、これまで実施した追加説明分と、今後明らかになる事業内容やアセス調査手法などを総括して報告することを求めた。

 書き直しの実効性については、「前回の知事意見を考慮し、(防衛局が)年明けに百五十ページ余の追加資料を提出したことをかんがみれば、十分に出せる状態にあると考える」と説明。今後の審査は、追加資料や防衛局との調整でクリアできるとの見通しを示した。

 知事意見で求めた「書き直し」は、アセス法で規定する「差し戻し」には当たらないとの認識。そのため、書き直しについて審査で出た結論を、県や審査会の意見として防衛局に提出はしない。知念部長は「審査の状況をみた上で、(アセス調査に必要な生物採捕などの)許認可を判断する」として、審査は県の判断材料の一つとみなした。

 書き直し後の公表方法については「事業者で何らかの措置を取ってほしい」として事業者の自主性に委ねた。

 防衛局が現在実施している現況調査については「(中止すべきだという)審査会の答申を踏まえ、十分配慮する必要がある」としたものの、調査の実施は否定しなかった。


情報開示を条件に容認/名護市長


 【東京】仲井真弘多知事が二十一日、米軍普天間飛行場の移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見を発表したことを受け、島袋吉和名護市長は同日夕、沖縄防衛局が十分な情報を公表することを条件に、アセス調査を受け入れる考えを明らかにした。岸田文雄沖縄担当相と会談後、内閣府で記者団の質問に答えた。

 島袋市長は方法書について、「急に百五十ページという膨大な資料が出た。県環境影響評価審査会の皆さんに、しっかり精査していただきたい」と述べ、沖縄防衛局の再説明を見守る考えを示した。


円滑かつ適切に手続きを進める/沖縄防衛局長


 知事意見を受け、沖縄防衛局の真部朗局長は二十一日、「知事意見を勘案し、住民等の意見にも配意して、環境影響評価の項目などを選定し、環境影響評価手続きを円滑かつ適切に進めるとともに、手続きを進めるに当たっては、県に方法書の検討内容などについて丁寧に説明し、理解を得たい」とのコメントを発表した。

 

     ◇     ◇     ◇     

地元で評価交錯


 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)手続きで、仲井真弘多知事は二十一日、沖縄防衛局に知事意見を出した。県環境影響評価審査会の答申が求めた現況調査(事前調査)の中止をトーンダウンさせ、防衛局が目指す二月の本調査開始には柔軟姿勢を示した。自然保護団体からは批判が上がり、地元の名護市では「国と県が歩み寄った」「出来レースだ」と評価が交錯した。

 日本自然保護協会理事の吉田正人江戸川大学教授は「審査会が方法書の書き直しを求めること自体が全国的にも異例で、県は本来差し戻すべきだった」と指摘。審査会の議論を毎回傍聴する建築家の真喜志好一さんは「基地建設を容認する知事でも、環境問題ではアセス法を厳密に適用すべきだった。国のスケジュールに合わせて法をねじ曲げた」と厳しく批判した。

 移設先の名護市辺野古区有志でつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は、知事が手続きのやり直しを求めなかったことを評価。「再度同じ手続きをやれば、足踏みになる。知事として柔軟なところも出てきた。早期移設という目的で県と国は歩み寄っている」と、作業の進展に期待を示した。

 一方、大浦湾に面した同市瀬嵩に住む沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は「米軍機の機種や飛行ルートなど住民生活への被害の核心が明らかにされていない。沖縄の痛みを全国に伝えるためにも、知事には差し戻してほしかった。国との出来レースなのか、情けない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221300_01.html

 

2008年1月22日(火) 朝刊 2面

基地従業員の支援策延長/厚労省

 【東京】厚生労働省は二十一日、国内の米軍基地で働く日本人従業員が職を失った際の再就職支援策を盛り込んだ「駐留軍関係離職者等臨時措置法」を、二〇一三年まで五年間延長する方針を固めた。基地従業員の地位は依然不安定で、在日米軍最終報告(ロードマップ)でも在沖米海兵隊八千人のグアム移転などで大規模な失業が想定されるため、支援策は引き続き必要だと判断した。

  同法は一九五八年の成立以来、五年ごとの延長を繰り返し、今年五月十六日が失効期限だった。時限立法で始まった法律としては異例の五十五年間の有効期限を保つことになる。

 ただ、米軍再編に伴う具体的な影響が明らかになっておらず、今回は現行法の期限だけを変更する単純延長で対応する。厚労省は通常国会の予算法案成立後に関連法案を提出し、成立を目指す。二十二日午前の自民党厚生労働部会で説明する。

 同法の再就職支援策の柱は(1)離職者への就職指導票交付と公共職業安定所(ハローワーク)などでの就職指導(2)再就職支援のための給付金支給(3)職業訓練援助―など。

 全駐労の照屋恒夫書記長は「米軍再編の影響で今後、離職者は沖縄だけでも数千人に上る可能性があり、同法による支援は欠かせない。仮に延長されるのであれば評価したい」と述べた。

 県議会や市町村議会などは、深刻な県内雇用情勢を踏まえ、同法の延長を求める意見書を相次いで可決していた。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月22日朝刊)

[米軍機爆音]

砂辺区民の声は切実だ

 米軍嘉手納基地を離着陸する戦闘機や輸送機などの爆音に悩まされ続けている北谷町砂辺区の住民らが静かに立ち上がった。

 町のイベントとも重なった日曜日の朝。百人の住民が「爆音NO」の意思表示をするために集まった。全九百世帯から百人。たかをくくってはいけない。「今、意思表示をしなければ爆音は次の世代まで残ってしまう」。危機感に包まれた住民らの行動は、地域を守るための新たな運動の始まりを予感させるに十分だ。

 国は、参加者から漂う静かな熱気を感じ取るべきだ。たかが百人と見くびってはいけない。深刻化の一途をたどる米軍基地被害。現状に不満や不安を感じながらも粛々と暮らす県民の思いは百人の思いとぴたり重なるのだ。

 大会名に「反対」の文字はない。「早朝離着陸・爆音被害に対する住民大会」。政治色を出さずに住民本位の活動に徹するという、大会実行委員会の姿勢の表れだ。

 日米両政府が在日米軍再編に合意してから二年余が経過した。基地負担軽減がうたわれながら、米軍のやっていることはF15戦闘機などの未明離陸やF22戦闘機の一時配備。一向に改善されない現状に地元住民の不安は募るばかりだ。

 声を出しても国や米軍は聞く耳を持たない。しかし黙っていては、砂辺区民の苦悩が多くの人たちに伝わらないし、国や米軍に住民の切実な思いは伝わらない。基地被害、爆音被害を受けている住民たちが、自治会レベルで声を上げるインパクトは大きい。同様の被害で苦しむ他の地域の住民らに勇気と希望を与えたに違いない。

 安眠を妨害する未明離陸が生活に与える影響は大きい。「もはや我慢の限界だ」。アピールに盛り込まれた文言の持つ意味は重い。

 県はもっと住民の立場に立った強い姿勢を国や米軍に示してほしい。静かな暮らしがほしいだけの砂辺区住民の静かな怒りに、国と米軍は誠実に応えるべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080122.html#no_2

 

2008年1月22日(火) 夕刊 1面

防衛相 来月開始 重ねて言明/普天間アセス

 【東京】石破茂防衛相は二十二日午前の閣議後会見で、米軍普天間飛行場の移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見について、「(アセスの)やり直しというわけではない」と述べ、前進との認識を示した。その上で「沖縄の意見に可能な限り応えるよう、努力したい」と語った。

 普天間飛行場代替施設建設に向けたアセス調査については「今までと同じ方針でいきたい」と述べ、県の理解を早急に得て遅くとも二月中に調査を開始する考えをあらためて示した。

 一方、岸田文雄沖縄担当相は閣議後会見で、知事意見で追加説明が必要だとして、方法書の書き直しを求めていることについて、「知事意見の内容を踏まえ、防衛省が十分な説明と最大限の努力をするものと考えている」と述べ、丁寧な対応を求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221700_02.html

 

2008年1月22日(火) 夕刊 5面

津堅島水域で落下傘訓練/9日に米海軍

 【うるま】在沖米海軍が今月九日、うるま市の津堅島訓練水域でパラシュート降下訓練を実施していたことが、二十二日までに分かった。沖縄防衛局によると、訓練の詳細や部隊名などは「運用上の理由」で明らかにしていないという。知念恒男うるま市長は「訓練がどのような内容なのか、市側に知らされていない。同地域ではモズクの養殖が行われており、市民の安全を守る上で(米軍や施設局は)詳細を明らかにしてほしい」と話している。

 パラシュート降下訓練は、一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で伊江島補助飛行場での実施が明記され、津堅島訓練水域の記載はない。一方で外務省などは、同水域での訓練は「水陸両用訓練」とし、SACO合意の対象外との認識を示している。

 嘉手納基地渉外部は今月八日にうるま市側に訓練の実施を通告していた。津堅島訓練水域では昨年一月十六日にも、嘉手納基地所属の部隊によるパラシュート降下訓練が行われたが、那覇防衛施設局(当時)は、うるま市や地元漁協に「一般演習」と通告していた。

 うるま市議会は二十八日の基地対策特別委員会で、同降下訓練に対する抗議決議の採決などを協議する予定。

 また、航空自衛隊那覇救難隊は二十二日午前九時から、津堅島に近いうるま市勝連比嘉の浮原島訓練場でパラシュート降下訓練を実施した。本年度の実施は九回目。浮原島で発煙筒約五本を使用し、UH60Jヘリコプター一機から救難員が約十五回降下した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221700_04.html

 

2008年1月22日(火) 夕刊 5面

視察で校舎屋上使用 不許可/沖国大「必要と認められず」

 【宜野湾】米軍普天間飛行場の視察目的で二十八日に来県する神奈川県相模原市の市議らのため、沖縄国際大学法学部の佐藤学教授が申請した学内の五号館建物屋上の使用許可を大学側が「教育上、特に必要と認められない」などとして、使用を認めなかったことが二十二日、分かった。佐藤教授は「一般市民向けの講座など、社会に知識提供することも大学の務め。普天間飛行場の危険性を知らせることは、広い意味の社会教育であり、原則許可制とすることが好ましい」としている。

 佐藤教授によると、神奈川県相模原市議ら約十人の「米軍厚木基地周辺自治体議員視察団による普天間基地観望のため」として今月十一日、校舎等使用許可願書を提出した。十五日に不許可の通知があり、後日、大学当局に確認すると「沖国大や他大学の学生に使用を限定したい」などと管財課職員が説明した、という。

 同大の「各館屋上の使用について」との申し合わせに基づいて使用が認められなかったことから、佐藤教授は二月一日の法学部教授会で内規改正のため、問題提起する考え。

 同大は「これまでも特例で使用を認めることはあった。今回の件に関しては、再度申請があった場合、前向きに検討したい」としている。

 同大によると、学内の「米軍ヘリコプター墜落事故対策委員会」で、屋上使用に関して「申し合わせ」の順守を確認。その後、複数回の使用申請があったが、使用を認めなかった、という。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221700_05.html

 

2008年1月23日(水) 朝刊 27面

津堅島・落下傘訓練/市に無断で演習日変更

 【うるま】津堅島訓練水域で在沖米海軍がパラシュート降下訓練を実施していた件で、米軍側はうるま市に対して、当初予定していた今月九日から天候不良を理由に十日への演習日の変更を告げた後、無断で再び九日に演習日を戻していたことが、二十二日分かった。

 降下訓練の実施を受け、抗議決議の提案を予定しているうるま市議会基地対策特別委員会の東浜光雄委員長は「訓練の内容や変更を含めて、なぜ市側に通知しないのか」と米軍の対応を疑問視しており、「SACO合意では(降下訓練は)あくまで伊江島での実施が示されている。日米で見解の相違があるが、合意案にのっとった共通理解を出すべきだ」と憤っている。

 勝連漁協関係者によると同区域は水深が深く、漁船の航行は少ない。これまでパラシュート降下訓練による被害が報告されたことはないという。

 一方、地元津堅島では年に三回ほど、同訓練水域内で訓練の様子が目撃されているという。津堅区の新屋功区長は「市役所からの事前通知で訓練があることを漁師に知らせているが、今回は目視できなかった。現在のところ住民生活に影響は出ていない」と話している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231300_02.html

 

2008年1月23日(水) 朝刊 27面

検定問題 意見を募集/実行委5団体

 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の構成団体のうち五団体が二十二日、那覇市の婦連会館で協議し、教科書検定問題について広く県民の意見を募集することを決めた。今後の活動に生かしたい考え。

 県婦人連合会と県子ども会育成連絡協議会には、二十一、二十二の両日に「検定意見撤回まで実行委の存続を」と求めるファクスやはがきが相次いで寄せられた。沖婦連の小渡ハル子会長は「県民に心配させては申し訳ない。引き続き心を一つに超党派で頑張りたい」と語った。

 自民党県連が解散を提案する次回の実行委の会合で、逆に組織強化を提起することも申し合わせた。同日の協議には、県老人クラブ連合会、県青年団協議会、沖縄の未来を語る会の代表も参加した。意見のあて先は沖婦連、ファクス098(884)5343。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231300_05.html

 

琉球新報 社説

アセス知事意見 環境軽視しては悔い残す

 米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)方法書に対し、県が21日、埋め立て部分に関する知事意見を沖縄防衛局に提出した。

 知事から諮問を受けた県環境影響評価審査会は、方法書の書き直しと併せ、アセス本調査に先立ち実施されている環境現況調査(事前調査)について「中止させる必要がある」と答申していた。

 だが知事意見は「書き直しをする必要がある」と明記したものの、事前調査の中止には踏み込まなかった。防衛省への配慮がにじむ。ジュゴンやサンゴなどの生物的環境への影響を考慮するなら、答申に従い中止を要求すべきだろう。

 沖縄防衛局が知事意見提出期限の間際になって出した150ページもの追加資料について、県の知念建次文化環境部長は「最初の段階で記載すべき事項はほぼクリアされてきている」と評価。仲井真弘多知事は「どんと情報を公開してもらい、非常に評価すべきだ」とも述べている。

 21日の記者会見では、これまで「進め方がおかしい」などと防衛省を指弾してきた仲井真知事の口から、政府に対する非難めいた言葉は最後まで出てこなかった。

 県と防衛省の間で、ある程度調整が進んでいることをうかがわせるが、アセス調査ありきの「出来レース」になってしまっては、将来に禍根を残す。

 知事意見は、埋め立てのため約1700万立方メートルの海砂を沖縄本島周辺から採取することについて、県外も含めた調達先の複数案を検討し調達計画を明らかにするよう求めた。これらの点が不明のまま手続きを進めてはならない。

 沖縄防衛局は早ければ23日にも県に対し方法書の改訂版を提出するが、県環境影響評価審査会を納得させるだけの中身になるかどうかは未知数だ。

 県は、代替施設の沖合移動を認めさせることに重きを置くあまり、環境保全を軽視するようなことがあってはならない。審査会の意見を最大限に尊重し、国に対して臨むべきだ。そうでなければ、諮問する意味もない。

(1/23 9:56)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30725-storytopic-11.html

 

2008年1月23日(水) 夕刊 1面

ジュゴン調査 7カ月想定/知事意見反映されず

 米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)で、沖縄防衛局は二十二日、履行期限を「今年十月末まで」と設定した、ジュゴンやウミガメなど海域動物に関する環境現況調査の入札を公示した。

 防衛局は同調査の入札を三月二十一日に実施することから、調査期間は約七カ月間を想定しているとみられる。

 ジュゴンに関してはアセス方法書に対する知事意見で、「複数年」の調査実施を求めているが、同意見を反映しないことを前提に、調査期間が設定されている実態が浮かんだ。

 ジュゴンについては二十一日に仲井真弘多知事が沖縄防衛局に提出した知事意見で「これまで科学的調査がほとんど行われておらず、生活史、分布、個体数などに関する知見が非常に乏しい」などとして、生活史などに関する調査を複数年実施するよう求めている。

 同局は、アセス法に基づかない自主的な現況調査(事前調査)で昨年からジュゴンなどに関する調査を実施。

 同調査の収集データをアセス結果に取り込むことで、「複数年実施」とする可能性もあり、環境団体などから批判も出そうだ。

 また、沖縄防衛局は二十二日、米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設工事で、「G地区」と「N―1地区」のヘリ着陸帯新設工事と、G地区への進入路整備の入札を公示した。三月十二日に入札し、工期は来年二月末まで。

 新設するヘリ着陸帯は三カ所で、直径四十五メートル。一カ所当たり約千六百平方メートルの芝を敷く。


     ◇     ◇     ◇     

真部防衛局長、知事と面談/「方法書充実させたい」


 沖縄防衛局の真部朗局長は二十三日、着任あいさつのため県庁に仲井真弘多知事を訪ね、米軍普天間飛行場移設問題などについて「地元の理解を得ないと何一つうまくいかないと思っている」と述べ、県などに配慮して取り組む考えを強調した。

 環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見への対応については「知事意見を真剣に受け止め、誠意を持って説明し、内容を充実させたい」と柔軟姿勢を示した。

 普天間移設問題について仲井真知事は「県や市町村の意見にじっくり耳を傾けていただきたい。基本的には代替施設は早めに完成した方がいいというのは(政府と)一致している」と指摘。嘉手納基地より南の基地返還後の跡地利用について支援を求めたのに対し、真部局長は「政府内で連携し、要請に応えられるようにしたい」と応じた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231700_01.html

 

2008年1月23日(水) 夕刊 5面

書き直し調査官が「強制」/教科書会社、4度申請

 【東京】作家・大江健三郎さんらを被告とする沖縄戦「集団自決(強制集団死)」訴訟で被告側を支援する首都圏、大阪、沖縄の三団体は二十二日夜、教科書検定意見撤回を求める集会を都内で開いた。訂正申請が承認されるまでの経緯を報告した教科書執筆者は、「集団自決」への日本軍の命令を記述した証言史料の書き直しを文部科学省の調査官に「誘導・強制」され、教科書会社が合計四回の再申請を余儀なくされたと強調。「軍命が存在しないという記述を調査官サイドに書かされた」と強く批判した。

 集会には執筆者や学識者、教育関係者ら約百五十人が参加。検定意見の撤回と記述の完全な回復、三月に判決が言い渡される「集団自決」訴訟の支援を継続する方針で一致した。

 執筆者で都立高校教員の坂本昇さんは、軍命の証言を引用した当初の訂正申請記述が、十一月下旬に調査官から「伝聞の形であっても高校生には確定した事実と受け取られる恐れがある」と指摘されたことを説明。「調査官は『直せ』とは命令しなかったが、再訂正を誘導・強制した」と指摘した。

 日本軍の戦争責任に詳しい関東学院大学の林博史教授は「現場の兵士が勝手に手榴弾を配ったという意見もあるが、警察でも軍でも不祥事があれば組織の体質やトップの責任が問われるのは常識。軍の強制は一番大事なポイントだ」と強調。日本軍の強制を認めなかった訂正申請の内容が不十分だと訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231700_04.html

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