ハワイF15墜落 嘉手納に同型3機など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(2月4日から7日)

2008年2月4日(月) 朝刊 20面

消えた母校の名 復活を/同窓生、石碑建立へ

楚邊尋常小學校・國民學校の足跡残そう

 沖縄戦の影響で名前が消えた「楚邊尋常小學校・國民學校」の「足跡」を残そうと、同校の同窓生ら約二百三十人が石碑の建立に向けて活動している。一―九期生の代表二十人は三日、那覇市内で第一回の石碑建立委員会を開き、山城宗一郎委員長(79)は「石碑を建立することで、思い出を後輩たちにつないでいきたい」と、同窓生らに協力を呼び掛けている。

 楚邊尋常小學校・國民學校は、一九四〇年に旧真和志村、現在の那覇市立城岳小学校がある場所に開校。戦時中の四四年、日本軍に野戦病院として接収された。

 戦後、糸満市摩文仁に再建されたが、占領していた米軍キャンプの移動に伴って移転を繰り返し、四九年に那覇市与儀に移ったことで現在の与儀小学校の前身となった。

 「楚邊尋常小學校・國民學校跡」の石碑は、市の許可を得て城岳小学校の敷地内に建立、三月中の完成を目指す。

 山城委員長は「海軍で終戦を迎えた。戦後、食うために精いっぱいのうちに、いつの間にか母校の名前が消えてしまっていた」と振り返る。

 同会の大城盛昌さん(74)は「一時は千人以上の生徒がいたマンモス校。名簿から漏れている同窓生はぜひ連絡を」と求めた。

 問い合わせは同会・長嶺、電話098(884)9851。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041300_02.html

 

2008年2月4日(月) 朝刊 21面

疎開語り 非戦を誓う/宮崎の受け入れ先市民・県内体験者

 沖縄戦時の県外疎開の様子を調べようと、疎開先だった宮崎県都城市の戦争体験者ら日本中国友好協会の会員が三日、那覇市内のホテルで疎開体験者の話を聞いた。同協会都城支部が企画する平和事業などで、沖縄戦の実態を紹介するために交流を深めようと訪れた。

 疎開体験を話したのは、一九四四年から四五年にかけて県内から同市周辺に疎開した小波津厚明さん(77)=南城市=と玉那覇良康さん(68)=宜野湾市。

 疎開先に食料や住居は準備されておらず、栄養失調になり「食べられる物が落ちていないか」と、いつも下を向いて歩いていたこと、風呂のない公会堂などでの生活が続き、皮膚病や体のにおいに悩まされたこと、慣れない寒さにも苦しんだこと―などを語った。

 一方で、地元の住民が乏しい食料の中から差し入れをくれたことや、小波津さんの疎開先だった同県日之影町の日之影小学校(当時は岩井川村・岩井川国民学校)には疎開記念碑が建ち、疎開した九月八日を「友情の日」として、小波津さんらによる戦争についての授業が続けられていることなども紹介した。

 同協会の田中義教理事長は「沖縄戦もそもそもの始まりは日中戦争だった。私たちは、両国間で二度と戦争が起きないようにと民間交流を続けている」と話し、「日中戦争や沖縄戦の実相に蓋をしようとする動きが強まる中で、事実は事実として残し伝えようと訪れた」と話した。

 小波津さんは「県外疎開は沖縄戦に備え、日本軍が県内の口減らしを目的に推し進めたことは、私の記憶でもはっきりしている。沖縄戦の美化は許されない」と訴えた。

 同協会都城支部では毎年「平和のための戦争展」を行っており、今後、沖縄からの疎開を含めた沖縄戦の実相を紹介したいという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月4日朝刊)

[またもF15墜落]

政府は深刻さ認識せよ

 米ハワイ州空軍所属のF15戦闘機が訓練中、オアフ島南約百キロの海上に墜落した。

 F15といえば、二〇〇七年十一月に米ミズーリ州で墜落事故を起こし、構造上の問題が明らかになったばかり。しかも米軍は、原因究明のため同型機の飛行を停止したのもつかの間、事故調査も終わらないうちに点検済みのF15の飛行を再開、その直後に新たな問題が見つかって再停止に追い込まれるなど、対応が二転三転した。

 事故が住民の不安を募らせ、事故後の対応が米軍への不信感を一層かき立てた。このようなケースは復帰後初めてだ。過去に例のない異常な展開の中で、またもF15の墜落事故が起きてしまったのである。

 政府は事態を深刻に受け止めるべきだ。住民の不安を解消することは政府の義務である。

 F15に一体、何が起きているのか。問題を整理するため、昨年十一月以降の動きを年表風に追ってみたい。

 ▽昨年十一月二日、米ミズーリ州でF15戦闘機が空中戦闘訓練中に墜落。「構造上の問題が発生した可能性がある」として米空軍は、四日から嘉手納基地のF15を含む同型機の飛行を全面停止した。

 ▽嘉手納基地報道部は十一月二十一日、点検を終えたF15の飛行訓練を二十六日から順次再開する、と発表。詳しい事故原因が明らかにされないまま、地元自治体の反対を押し切ってF15の飛行が三週間ぶりに再開された。

 ▽米空軍は同二十八日、事故調査で新たな問題が見つかったため、最新鋭のE型機を除くすべてのF15について飛行を再停止すると発表した。機体構造を支える「ロンジロン」と呼ばれる縦通材の亀裂は嘉手納基地のF15からも見つかっている。

 ▽嘉手納基地報道部は〇八年一月十日、点検を終えた一部F15の飛行を十四日から再開すると発表。縦通材の厚さが規定に達していないF15の飛行停止措置は継続される、と説明した。

 老朽化したF15には、米軍でさえ事態を深刻に受け止めるほどの、構造的な欠陥があったのだ。

 嘉手納基地のF15は、大半がミズーリ州で墜落事故を起こしたC型で、ハワイ州オアフ島沖に墜落したD型も一部配備されている。

 であれば、何よりもまず嘉手納基地所属のすべてのF15を再度、飛行停止することが必要だ。

 飛行停止と再開の繰り返しは、住民の不信感を高めるだけである。政府に対しては、住民の撤去要求を踏まえ、毅然とした対応を求めたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080204.html#no_1

 

琉球新報 社説

F15墜落 不可解な欠陥機の野放し

 墜落事故が絶えないというのに、どうして日本政府は米側に強く迫れないのだろう。「安全に留意を」などでなく、「飛行を止めろ」ではないのか。重大な欠陥が明らかな戦闘機を、沖縄を含む国内で野放し状態にする理由が分からない。

 米メディアによれば、ハワイ州オアフ島沖の海上で1日、2機で空中戦闘訓練中だった米空軍ハワイ州兵部隊所属のF15D戦闘機(2人乗り)の1機が墜落した。操縦士は脱出して無事だったが、危うく惨事になるところだった。

 操縦士の話だと、機体が操縦不能になり、機械上の何らかの故障が発生した。その通りであれば、操縦ミスなどではなく、機体そのものに大きな欠陥があったことになる。米軍は事態を重大かつ深刻に受け止め、F15すべての飛行を直ちに中止すべきだ。

 F15については昨年11月の米ミズーリ州での墜落事故を受け、全F15の飛行停止措置が取られた経緯がある。その後、米空軍の調査で、保有する全F15のうち9機(うち2機は嘉手納基地所属)で機体の構造を支える縦通材に亀裂が見つかった。およそ4割は縦通材の厚さが規定に達していないことも判明している。

 ところが米軍は、ことし1月中旬から嘉手納基地でF15の飛行を再開し、周辺住民が不安と怒りを募らせていた。飛行再開に当たって空軍は「指定された点検を完了し、製造元の規定を満たした」と説明したが、少しも信用できないことが、今回のハワイ沖の事故で明白になった。

 根拠のない「安全宣言」で飛行を強行してきた米側は論外だが、これに強く抗議できない日本政府の姿勢も問われる。外務省は、駐日米大使館を通じて「F15の飛行に際しては安全に十分留意するよう伝えた」としているが、その内容では不十分である。基地周辺住民は納得しないだろう。

 米政府が「F15はもう安全」と言い張るなら、まずはホワイトハウス(米大統領府)やペンタゴン(国防総省)上空で、少なくとも1年以上、飛び交ってもらおう。そうも言いたくなる。

 いずれにしても、墜落事故が再び起きたということは、F15は安全でなかったという証しであり、政府は米側に明確な説明を求めてしかるべきだ。その説明も引き出せずに、欠陥機を野放しにされては住民はたまったものでない。

 沖縄は半世紀余にわたり、米軍の戦闘機やヘリコプターなどの墜落におびえてきた。実際、悲惨な事故も何度か起きている。異常な状態は1日も早く脱しないといけない。基地周辺住民の訴えを政府は正面から受け止め、今度こそ米側に「欠陥機撤去」を強く迫ってもらいたい。

(2/4 9:54)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31059-storytopic-11.html

 

2008年2月4日(月) 夕刊 5面

嘉手納に同型3機/ハワイF15墜落

 【嘉手納】米ハワイ州のオアフ島の南約百キロの海上で一日午後(現地時間)、ハワイ州空軍のF15戦闘機が墜落した問題で、米軍嘉手納基地報道部は四日午前、沖縄タイムスの取材に対し、同基地に事故機と同型のD型(二人乗り)が三機配備されていることを明らかにした上で、「通常の訓練は続ける」と回答した。飛行停止措置は取らず、訓練を継続する方針を示した。

 同基地では事故原因について「現在、調査中」としている。四日午前十一時現在、嘉手納基地ではF15の飛行や機体の移動、点検作業などといった目立った動きは確認されていない。

 同基地に隣接する沖縄、嘉手納、北谷の三市町には、米軍や関係機関から事故の詳細について、説明はないという。

 「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」の野国昌春会長(北谷町長)は「昨年の米本国での墜落事故でF15の欠陥が明らかになった。F15は世界中で事故を起こしており、型式に関係なく機体そのものに問題があるのではないか。もはや、撤去以外に周辺住民が安心して生活できる方法はない」と語気を強めた。


空自も通常通り


 【東京】米ハワイ州オアフ島の南約百キロの海上でハワイ州空軍のF15戦闘機が墜落した事故で、航空自衛隊は保有するF15について、四日午前も通常通り飛行訓練を実施している。事故後の対応について防衛省航空幕僚監部(空幕)は「事故原因など詳細を確認中で、運用をどうするかについて今の段階では何とも言えない」としている。

 空幕によると、訓練がない土・日曜日も運用に変化はなく、領空侵犯などの警戒(アラート)任務で対応していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041700_02.html

 

2008年2月4日(月) 夕刊 5面

米軍関係犯罪63件/07年県警まとめ

復帰後2番目に少なく

 二〇〇七年に摘発された在沖米軍人、軍属らによる刑法犯は六十三件、四十六人だったことが、四日までに県警捜査一課のまとめで分かった。前年より六件(10・5%)の増加、十七人(27%)の減少で、摘発人数は本土復帰以降、二番目に少なかった一九九七年と九八年に並んだ。最少は米兵暴行事件(九五年)が起きた翌年の九六年で三十三人。

 〇七年の内訳は軍人が三十人、軍属が一人、家族が十五人で、このうち未成年は二十人だった。

 凶悪犯は六件六人で、前年より三件一人増。主な犯罪では、三月に北谷町で米陸軍軍属の息子=当時(19)=が自宅マンションから空気銃を発砲した殺人未遂事件のほか、十月に米軍嘉手納基地内に住む米軍人の息子=当時(21)=による強姦致傷事件などがあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041700_03.html

 

2008年2月5日(火) 朝刊 2面

修正きょうにも提出/普天間アセス

 米軍普天間飛行場の移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書について、県が知事意見で「書き直し」を求めたことを受け、沖縄防衛局は五日午後にも方法書の内容を追加修正した資料を県に提出する。

 知事意見が求めた追加修正分の「公表」については、同局のインターネットのホームページに掲載するほか、県や同局などで「閲覧」できるように対応する。

 資料は方法書の第二章に当たる「対象事業の目的及び内容」と、第四章の「環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法」で内容を大幅に追加し、百九十ページに上る。そのほか別添資料を合わせると資料は計二百五十ページに上る見込み。

 閲覧場所は県や沖縄防衛局、同局の名護連絡所など計五カ所とする方向で調整を進めている。

 県は提出を受けて八日にも審査会を開く予定。審査会は複数回の審議を通して、事業の具体化に伴い、アセスの調査手法を最終決定するための意見を述べる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802051300_04.html

 

琉球新報 社説

岩国市長選 問われる「アメとムチ」政策

 米軍基地を抱える山口県岩国市の出直し市長選が告示された。米軍厚木基地(神奈川県)の米空母艦載機部隊を受け入れるかどうかが最大の争点である。

 米軍再編に伴い政府から新たな基地の負担を迫られ、民意に基づいて反対を貫こうとすると「アメとムチ」の政策が容赦なく降り掛かってくる。結果、受け入れの是非をめぐり地域や市民が真っ二つに分断され翻弄(ほんろう)される。

 わたしたちが過去に幾度か直面させられ、「苦渋の選択」を強いられたあの構図である。無関心ではいられない。

 選挙は、移転容認派が多数派を握る議会との対立から、民意を問うため任期途中で市長の職を辞した井原勝介氏と、移転賛成の立場から立候補した前自民党衆院議員の福田良彦氏による一騎打ちの争いである。

 艦載機の岩国への移転は、2005年秋の米軍再編の中間報告で明らかになった。これに対し、当時市長だった井原氏は受け入れを拒否。翌年3月に実施された住民投票では「反対」が約9割を占め、その直後の市長選では井原氏が容認派候補らに圧勝した。これだけでも、民意の所在がどこにあるかは明らかだ。なのに同じテーマを短期間に、なぜ3度も問わねばならないのか。

 理由は、米軍再編推進法に基づく交付金を盾に、要求を一方的に押し付けようとする政府の手荒な手法にある。

 既に建設に着手していた市庁舎の建て替えに対し、政府は、受け入れない限り補助金35億円は凍結すると、強権的な姿勢をむき出しにしてきた。「アメとムチ」のこの強引さは、政府が昨年、北部振興費を凍結した際に見せたのとまったく同一だ。

 政府に異議を申し立てるや、露骨な「兵糧攻め」に出る。地域の声を無視したこうした理不尽なやり方は、問題をこじらせ、政府への不信、ひいては防衛政策への不信を増幅するだけだ。

 今選挙では「最新の民意」と同時に、政府の姿勢や政策に対し市民の審判が下される。

(2/5 10:05)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31096-storytopic-11.html

 

2008年2月5日(火) 夕刊 1・5面

墜落同型F15飛行/嘉手納基地

 【嘉手納】米ハワイ州オアフ島南の海上で同州空軍のF15戦闘機が墜落した問題で、米軍嘉手納基地に配備されている事故機と同じD型(二人乗り)が五日午前、同基地を離陸した。二日(日本時間)の事故発生後、嘉手納基地でD型の飛行訓練が確認されたのは初めて。同基地報道部は事故原因について「調査中」としており、周辺自治体に詳細な説明がないまま飛行したことに対し、反発が一層強まりそうだ。

 F15D型は午前八時二十二分ごろ、同基地南側滑走路からアフターバーナー(推力増強装置)を使用して北谷町方向から沖縄市方向に向け、一機が離陸。

 約二時間後に帰還したことから、沖縄本島周辺で訓練を実施したとみられる。

 ハワイでの墜落事故を受け、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は五日午後、北谷町役場で幹事会を開き、今後の対応を協議する。

 野国会長は「事故の詳細が明らかにされない中で、嘉手納基地での同型機による訓練はあってはならないことだ。住民の不安を増長させることになる。なぜ飛行停止措置を取らないのか」と話した。

 嘉手納基地報道部によると、同基地にはD型が三機配備されているが、事故後の運用については「通常の訓練は続ける」とし、飛行停止措置は取らない方針。

 米空軍のF15をめぐっては、昨年十一月に米本国でC型が墜落。事故調査の過程で、ロンジロン(縦通材)の亀裂が主原因として浮かび、嘉手納基地所属機二機でも亀裂が発見された。

 この事故を受け、同基地所属機は約二カ月にわたって飛行を停止。ことし一月、安全性が確認された機体について飛行を再開したばかりだった。


     ◇     ◇     ◇     

「住民の命を軽視」/基地周辺怒りの声


 【中部】「墜落の危険があるのに、地元の声は届かないのか」―。米ハワイ州で墜落したF15戦闘機D型機(二人乗り)の同型機が五日午前、米軍嘉手納基地周辺で飛行した。事故原因は明らかにされず、再発防止策も示されない中、民間地上空を飛行するF15。墜落の危険と隣り合わせの生活を強いられる基地周辺の住民は「欠陥機は早急に撤去すべきだ」と怒りの声を上げた。

 米軍機の飛行ルート下にあり、昼夜を問わず米軍機の爆音が鳴り響く北谷町砂辺区。一月二十日に開いた騒音に抗議する住民大会の実行委員長を務めた松田正二区長は「住民の命を軽視していないか」と憤った。

 宅地や海に墜落する可能性がある中、住民は我慢の生活を強いられていると指摘。「米軍も住民集会を開催したことは知っているはずだ。私たちの声は届かないのか」と訴えた。

 F15の離陸を確認した同区の渡慶次保さん。「F15は何度も飛行停止措置を繰り返す欠陥機だ。私たちが声を上げなければ、何も変わらない。泣き寝入りしてはならない」と力を込めた。

 北谷町議会の照屋正治基地対策特別委員長は「外国であってもF15が墜落する度に、住民は人ごととは思えない。事故が頻発する中、なぜ飛行停止しないか」と米軍を批判した。

 「住民の不安を軽視した、軍事優先の運用だ」。嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は憤った。「嘉手納で運用されるC、D型機はいずれも墜落事故を起こしたばかり。住民の不安を解消するには撤去しかない」と訴えた。

 同町基地対策協議会の比嘉親紀顧問も、「何度も墜落しており、やはり欠陥機ではないか」と話した。

 沖縄市議会基地に関する調査特別委員会の与那嶺克枝委員長は「欠陥機であるF15は撤去するべきだと再三抗議してきた。事実関係などの情報を収集した上で、対応を協議したい」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802051700_01.html

 

2008年2月6日(水) 朝刊 1面

「集落上空飛行」を明記/普天間アセス

追加修正資料防衛局が提出

 沖縄防衛局は五日、米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見で「書き直し」を求められたことを受け、事業内容や調査手法を追加修正した資料(三百八十三ページ)を県に提出した。方法書本体の同項目の約三倍の分量に上る。飛行経路については「訓練の形態等によっては集落上空を飛行することもあり得る」と明記。護岸施設には、全長百九メートルのタンカーの燃料桟橋への係留のほか、周辺海域の警備などに当たる小型ボートの接岸を想定していることを明らかにした。県は八日に開く県環境影響評価審査会に諮る。

 追加資料は五日から十八日までの間、沖縄防衛局や県庁、名護市役所など県内五カ所で閲覧できるほか、沖縄防衛局と県のホームページに掲載。審査会での複数回の審議を経て方法書を最終決定する。

 追加資料によると、滑走路南側に配置する弾薬搭載エリアは約一万六千平方メートル。

 燃料桟橋付近には容量約三万キロリットルの燃料貯蔵施設を併設する。

 大型護岸に関しては、恒常的に兵員や物資の積み降ろしを行う「軍港機能」を否定する一方、航空機が故障した場合などに船舶を使用した輸送を実施する必要があるかも含め、米側と検討していく方針を示した。

 滑走路の幅は「代替施設で配備されるCH53など短距離で離発着できる航空機の所要に見合う」必要な幅として三十メートル、路肩幅を左右に各七・五メートル確保する方向で日米間で調整。飛行場面積は「陸上部・埋め立て部を合わせて概ね二百十ヘクタール」を見込んでいることを明らかにした。

 また、審査会への説明で県内から確保する意向を示していた埋め立て土砂については「県内の海砂等の購入のほか、県外からの調達等も含め、具体的に検討を行う」と修正した。

 追加資料は方法書の第二章に当たる「対象事業の目的及び内容」と、第四章の「環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法」の部分。別添資料(百九十二ページ)を合わせると計三百八十三ページ。別添資料では、普天間飛行場の運用条件を基本にした航空機騒音予測図(騒音予測コンター)も提示している。


円滑に進めたい

真部沖縄防衛局長


 沖縄防衛局の真部朗局長は五日、「県に報告した資料について丁寧に説明し、理解を得るとともに、知事意見を勘案し、住民等の意見にも配意して環境影響評価手続きを円滑かつ適切に進めたい」とのコメントを発表した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802061300_02.html

 

2008年2月6日(水) 朝刊 25面

膨らむ機能 懸念続々/防衛局追加資料

 「集落上空の飛行もあり得る」。沖縄防衛局は五日、県に提出した資料で、米軍普天間飛行場代替施設の飛行パターンを明らかにした。大型護岸や燃料貯蔵施設の能力も判明。情報が出るたび膨らんでいく基地機能に、地域住民や市民団体は「アセスのやり直しを」と求めた。

 騒音被害への懸念が増す名護市東海岸。二見以北十区の会の渡具知智佳子共同代表は「必要性があれば飛ぶということは、米軍の都合でいつでも飛べるやりたい放題の状況になる」と、不安を隠さない。桟橋の設置など、「基地の中の大浦湾になってしまう。アセスの形だけが進んでいくのが怖い」と嘆いた。

 ジュゴン訴訟の原告で、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は、「燃料用タンカーがどの海域を通るのか、燃料貯蔵施設からの流出防止策、航空機洗浄剤や水の量、環境対策」と、懸念材料を列挙。「追加で出すような軽い内容ではない」と防衛局の対応を批判した。

 世界自然保護基金(WWF)ジャパンの花輪伸一さんは、知事意見が求めたジュゴンの「複数年」調査に触れていないことを問題視する。「環境省や防衛省が調査を重ねても個体数さえ分からないのに、一年の調査で基地の影響が予測できるはずがない」と断じた。

 防衛局は、追加資料の「閲覧」は環境影響評価(アセスメント)法に基づく「公告縦覧」ではないとの見解で、期間を二週間に限り、市民の意見も求めない。同日、同局に申し入れをした「辺野古新基地建設を許さない市民共同行動」の伊波義安共同代表は「あまりに一方的で、住民の意見を反映させるアセスの原則を骨抜きにするやり方。徹底的に追及していく」と語気を強めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802061300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月6日朝刊)

[岩国市長選挙]

国の基地政策が争点に

 在日米軍再編に伴う米空母艦載機部隊の岩国基地移転問題を争点に三日告示された山口県岩国市長選は、十日投開票される。

 移転に反対する前市長の井原勝介氏(57)が「民意を問いたい」といったん辞職し、再出馬して行ういわば出直し選挙。移転容認派からは新人で前自民党衆院議員の福田良彦氏(37)が立候補し、文字通り市を二分した一騎打ちが繰り広げられている。

 井原氏は市町村合併前の旧岩国市長時代、艦載機移転の賛否を問う住民投票を行い、反対が89%と圧倒的な支持を得ている。そして合併に伴う二〇〇六年四月の市長選でも移転計画撤回を市民に訴え、新岩国市の市長に就いた。

 しかし、〇六年末、移転計画反対を理由に国は市庁舎建設費の補助金をカット。昨年十月には米軍再編交付金の対象除外となって事実上の“兵糧攻め”を受け、さらに現実的対応を求める市議会との対立で辞職による出直し選挙に打って出た。

 これに対し、基地との共存を訴える容認派は、政府・与党とのパイプ役を期待する福田氏を擁立。基地の軍民共用化などを掲げ、岩国市の経済再生を目指している。

 ところで岩国市の戦後の歩みを見ると、基地に翻弄された沖縄の姿とダブって見える。

 岩国市は終戦間際、米軍の空爆で多くの市民が犠牲になり、終戦後は米軍が駐留し、朝鮮戦争、ベトナム戦争の出撃拠点となった。一方では、米軍基地から派生する騒音被害をはじめ事件、事故が住民に反基地の意識を芽生えさせ、出直し選挙の背景にもなっているように思える。

 今回の市民の投票結果によっては、岩国移転計画のみならず在日米軍再編の行方をも大きく左右することは確実だ。

 岩国市の将来だけでなく、当然、沖縄の基地問題にも大きく波及する。それだけに一地方選挙としてでなく、国の基地・安保政策の在り方を問う選挙として岩国市民の選択に注目したい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080206.html#no_2

 

2008年2月6日(水) 夕刊 5面

ヘリパッド移設反対 住民座り込みDVDに記録

 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設に反対する座り込みに参加している比嘉真人さん(30)はこのほど、住民たちの座り込みの記録をDVD「やんばるからのメッセージ」にまとめた。県内外の集会などで上映され、高江の現状をアピールする活動に役立てられている。(新垣晃視)

 DVDは約二十分。座り込みが始まった昨年七月二日から、八月三十一日までの約二カ月間を収録。工事を進めようとする沖縄防衛局の職員と対峙する場面や、住宅地周辺を米軍ヘリが低空飛行する現状などを収めた。豊かな自然に囲まれ、平和に暮らしていた地元の生活が、移設計画で一変した現状を伝えている。

 沖縄出身の両親を持つ比嘉さんは、名古屋生まれ、東京育ち。ヘリパッドの問題は全く聞いたことがなかったが、二〇〇六年、高江区で座り込み運動をしている若者と東京で知り合い、初めて「事実」を知った。

 「沖縄にはよく行き来していたが、ヘリパッドのことは知らなかった。現場を見たいと思った」。工事が始まった昨年七月から、座り込みに参加し、最終的に沖縄に移住した。DVD制作には映像関係の職に就いていた東京での経験が生かされた。

 比嘉さんは「日米間で決めた合意で、小さい集落が翻弄されている状況を、多くの人に見てほしい」と話している。DVDは一枚千円で販売もしている。問い合わせはoracion@nohelipadtakae.orgまで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802061700_04.html

 

2008年2月7日(木) 朝刊 1面

「集団自決」で国提訴/「教科書検定は不当」

3月までに愛媛の市民団体

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」についての記述をめぐる教科書検定問題で、「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーが六日、県庁で記者会見し、「文科省の教科書検定は適正な行政手続きを欠いた不当な国家介入」として文部科学省などを相手に、三月までに行政訴訟を起こす考えを明らかにした。教科書執筆者以外が原告となり、教科書検定について行政訴訟を起こすのは初めて。

 同会は、「集団自決」への日本軍の強制を明示した記述を削除させた教科書検定で、文科省職員の教科書調査官が発案した検定意見が、実質的な審議もされず教科用図書検定審議会を素通りした実態を指摘。

 「文科省も私も口出しできない仕組み」とした伊吹文明文科相(当時)らによる説明との食い違いを挙げ、「(教科書)検定が、行政手続きの適正執行を求める法に反して行われたことが明らか」と主張、文科省に検定意見を無効にするよう求める。

 また、文科省の不当な検定を知りながら、それを改めるように要請せず、検定を経た教科書をそのまま採択したのは愛媛県教育委員会の不作為だとして訴えの対象にする予定だ。

 同会は、南京大虐殺や従軍慰安婦問題など日本軍の行いについて批判的な記述をした教科書を「自虐的」とする「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した教科書の、愛媛県教委による採択の取り消しなどを求めた訴訟を続けている。

 メンバーの一人、奥村悦夫さん(55)=同県西条市=は、「公の裁判が開かれることで、教科書検定制度の問題点がより明らかになり、国などが対応や制度を改善するきっかけになれば」と期待する。

 全国規模の原告団結成を目指しているといい、「沖縄県民は第一の当事者。私たちに気持ちを伝えてもらい、手を携えたい」と訴えた。

 問い合わせは同会事務局、電話090(2781)7055へ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071300_01.html

 

2008年2月7日(木) 朝刊 1面

知事・調査許可 示さぬ方針/きょう普天間移設協

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に関する政府と地元の協議会の第六回会合が七日夕、首相官邸で開かれる。昨年十二月十二日から約二カ月ぶりの開催。名護市キャンプ・シュワブ沿岸部での代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)調査に着手するための事務手続きを確認する。

 政府は円滑な調査実施に向けた理解と協力を求めるが、県は沖縄防衛局からアセス方法書に関する追加修正資料を五日に受け取ったばかりで、県環境影響評価審査会にもまだ諮っていない。仲井真弘多知事は「防衛省の対応を踏まえて法令に基づき適切に対応する」との姿勢を示すにとどめ、調査の許可の判断については明言しない方針だ。

 一方、島袋吉和名護市長、東肇宜野座村長は、アセス手続きが実施されている現状を指摘し、再編交付金の支給を同協議会で初めて要請する。しかし政府は、名護市と宜野座村が政府案(V字案)の沖合移動などの条件を付していることから困難との姿勢を変えていない。

 前回協議会では、石破茂防衛相が二月の調査開始に言及したが、県環境影響評価審査会の今後の開催状況が不透明なため、今回は時期について言及しない方針だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071300_04.html

 

2008年2月7日(木) 朝刊 2面

「普天間ブランド」確立を/跡地利用でフォーラム

 【宜野湾】米軍普天間飛行場の跡地利用に向けた県民フォーラム(主催・県、宜野湾市)が六日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた。沖縄国際大学講師の上江洲純子氏と前日本銀行那覇支店長の大澤真氏が、普天間の街づくりや沖縄振興などについて講演。街の“顔”を決めて「普天間ブランド」を確立するよう説いた。

 上江洲氏は、跡地利用を成功させるために人づくりの重要性を指摘。跡地は沖縄振興の貴重な空間と位置付け、行政から市民へけん引役がシフトする必要性を強調した。

 その上で、「大分県の湯布院といえば『温泉』というように、普天間といえば○○といわれるよう、街の顔を決めることが大切。人づくりのプロセスを財産にして『普天間モデル』の発信基地にしてほしい」と話した。

 大澤氏は、地権者が主体となった「街づくり株式会社」の設立を提案。東京都の田園調布が地価が高いことを紹介し、街の価値を高める「普天間ブランド」の確立を説いた。

 また、返還時期が決定した段階で地価が下落する可能性も指摘。「残された時間は少ない。街づくりは人づくりで、経営でもある。世界が注目するものができれば地価も上がり、振興にもつながる」と述べた。

 県民フォーラムは二〇〇四年度から始まり、今回で四度目。同飛行場跡地利用については、県と同市が〇六年二月に基本方針を策定し、〇七年五月には具体的な取り組み内容などを示した行動計画を了承した。本年度は跡地利用計画策定に向けた調査などを行っている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月7日朝刊)

[修正資料再提出]

まるで「後出し」の手法だ

 「最初のうすっぺら方法書は何だったばー」

 本紙に時事漫評を描いている砂川友弘さんは、沖縄防衛局が提出した米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料をこう表現している。

 それはそうだろう。二〇〇七年八月、最初に県に送付された方法書は三百一ページしかなかった。内容の不備を指摘されて約百五十ページの追加説明書を提出したのは今年一月のことだ。

 それでも不備は目立ち、さらに追加修正したのが第二章の「対象事業の目的及び内容」と第四章「環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法」である。百九十二ページの別添資料を含めると三百八十三ページに及び、すべてを足すと約八百五十ページにもなる。

 追加資料は五日から十八日まで沖縄防衛局や県庁、名護市役所など五カ所で閲覧できるようだが、沖縄防衛局の手法には釈然としないものを感じる。

 環境への影響が懸念される内容は、方法書の作成段階から盛り込み、公告・縦覧に供した上で住民らの意見を聞くのがアセスの本旨だろう。

 そうはせずに、住民がこだわった「集落上空の飛行」をやっと明記し、タンカーが接岸できる護岸も初めて出した。深刻な問題なのに、住民の意見を聞こうとしないのも腑に落ちない。

 これでは、地域住民の声を封殺するばかりかアセス法の趣旨にも著しく反すると思うがどうか。

 しかも、地域住民が危機感を募らせている問題は最後まで伏せ、手続き上、県が容認するしかない時期を見計らって提示している。

 これでは、じゃんけんの「後出し」と言われても仕方がない。沖縄防衛局のやり方に県民は不信感を抱いていることを忘れてはなるまい。

 今回の説明を受け、県は調査を容認する構えだが果たしてそれでいいのだろうか。

 この問題では、サンフランシスコの連邦地裁が米国防総省に対し、基地建設によるジュゴンへの影響を考慮するよう求め、ジュゴンに関する環境影響評価文書の提出を求める判決も下している。

 環境問題に詳しい桜井国俊沖大学長は「今資料では、同地裁が要求するアセスのハードルは越えられない」と、厳しい見解を示している。

 であるなら、県は安易にGOサインを出してはならない。国内アセス法や米国の文化財保護法(別名・国会歴史保存法)の趣旨を踏まえれば、沖縄防衛局もまた住民の声に耳を傾けるべきだ。それこそが国の責務だと思う。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080207.html#no_1

 

2008年2月7日(木) 夕刊 5面

住民ら防衛省に抗議/東村高江区ヘリパッド建設

 【東京】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設に反対する「ヘリパッドいらない住民の会」の安次嶺現達共同代表や「なはブロッコリー」の本永貴子代表らは七日午前、防衛省を訪れ、ヘリパッド建設の即時中止を要求した。

 安次嶺代表らは、ヘリパッド移設地区の近くに福地ダムなどがあることを指摘した上で「高江区と県民の水がめへの悪影響がともに心配される」などと訴え、同訓練場の全面返還も求めた。

 これに対し同省の担当者は、日米特別行動委員会(SACO)と日米合同委員会で建設に合意した経緯を説明し、建設中止は困難との姿勢を示したという。さらに、ヘリパッド運用に伴う騒音防止対策では、同区に騒音測定装置を設置する考えをあらためて示すにとどめたことから、住民らは「騒音被害は避けられない」などと非難した。

 要請には共産党の赤嶺政賢、社民党の照屋寛徳両衆院議員、山内徳信参院議員も同行した。要請団は同日午後、参院議員会館で集会を開き、現地での反対運動を報告。昨年九月から今年一月まで、衆参両院議長あてに集めた約二万人分の建設反対署名を、県選出国会議員に託す予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071700_06.html

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