「普天間」移設、アセス今月実施断念 酒酔い米兵、住居侵入など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(2月17日、18日、19日)  

2008年2月17日(日) 朝刊 1面

アセス今月実施断念/「普天間」移設

冬季分12月に/防衛省、計画遅れ

 米軍普天間飛行場の代替施設建設問題で、防衛省は十六日までに、移設予定地の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部一帯での冬季分の環境影響評価(アセスメント)調査の実施を、十二月まで持ち越す方針を固めた。これにより、移設スケジュール全体に遅れが生じる可能性も出てきた。

 同省は冬季分の調査を今月中に終え、今夏にも準備書を県に提出する予定だった。しかし、アセス方法書の審査が長引いていることに加え、米兵暴行事件で県民感情が悪化しており、同省は「県との信頼関係を最優先するべきだ」(同幹部)と判断した。

 アセス調査は四季を通じた実施が必要。同省は沖縄での冬季調査は十二―二月だとし、昨年十二月の移設協議会で、「二月実施」の意向を表明していた。

 しかしその後、県環境影響評価審査会がアセス方法書の不備を指摘し、「書き直し」を要求したため、防衛省は追加資料を県に提出。審査会で追加資料の審査を継続することになった。

 審査会は今月八日の会合で、「二回以上の審査が必要」との認識を示し、県は次回審査会を今月下旬に開く方向で調整している。

 一方、県は審査会の結論を踏まえた上でアセス調査の許認可に対応する姿勢を示しており、防衛省は県の意向に従う限り、二月の調査実施、終了は日程的に不可能な状況に追い込まれていた。

 今月七日の移設協議会では、こうした状況を考慮し、防衛省側も二月のアセス調査実施には言及しなかった。(渡辺豪)


[ことば]


 普天間代替施設の建設スケジュール 防衛省が移設協議会や県環境影響評価審査会に提示した工程表によると、2009年7月末にアセス手続きを完了後、09年末までに埋め立て申請手続きを終える。これを受けて、10年から埋め立て工事に着手。飛行場本体の工事は11年半ばから開始し、14年末の代替施設完成を予定している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802171300_01.html

 

2008年2月17日(日) 朝刊 23面

120人、基地撤去訴え/那覇で集会

 米兵による暴行事件を受け、県統一連が十六日、那覇市の県庁前県民広場で抗議集会を開いた。約百二十人が参加。地位協定の抜本的な見直しや、海兵隊員の即時撤去、米軍基地撤去を訴え、国際通りをデモ行進した。

 集会では、県統一連の新垣繁信代表幹事が「少女の尊厳を踏みにじった事件を許せない。事件の元凶となった米軍基地の沖縄からの撤去が必要」と訴えた。参加各団体の代表は「日米の高官は沖縄の怒りが爆発しないよう、綱紀粛正を訴えているがごまかされてはいけない」、「いつまで沖縄を侮辱し続けるのか。少なくとも海兵隊は、沖縄から撤退してもらおう」などと話した。

 最後に、名護市辺野古沖などへの基地建設の中止や、米軍基地の撤去などを求める決議を採択し、国際通りを「米兵の暴行事件は許さないぞ」「知事は基地に反対せよ」とシュプレヒコールを上げながら行進した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802171300_04.html

 

2008年2月18日(月) 朝刊 1面

ヘリパッド移設遅れ 年度内完成 困難

東村住民ら反対運動

 【東京】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村などへのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設作業が、建設に反対する東村高江区住民らの阻止活動の影響により遅れていることが、十七日までに分かった。防衛省は、整備を予定している六カ所のうち、本年度中に南側の三カ所(N4地区二カ所とH地区)を整備する予定だったが、資材の搬入作業は大幅に遅れており、年度内完成は困難な状況だ。

 南側の三カ所は、昨年三月の日米合同委員会で建設に合意後、七月に着工した。しかし、ゲート前などでの反対派の阻止活動により、資材搬入作業が大幅に遅れている。

 これまで北部訓練場内の植物移植や、水やりなどの作業は進んでいるが、基地内への資材搬入は十トントラック二台分の砂利搬入などしかできていないという。

 一方、日米は先月、北側の三カ所(N1地区二カ所とG地区)のヘリパッド建設に合意。三月から六月まではノグチゲラなど希少鳥類の繁殖期に当たるため工事ができず、着工は早くても七月になる見通しだ。

 防衛省は作業が遅れている南側の三カ所と合わせ、二〇〇九年七月の完成を目指して作業を急いでいるが、反対派の阻止活動も激しく、見通しは立っていない。

 ヘリパッドは六カ所とも直径四十五メートルの円形。両端に十五メートルの「無障害地帯」を整備する計画だ。

 日米は、北部訓練場について日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、既存のヘリパッド移設を条件に、約三千九百八十七ヘクタールを部分返還することで合意。

 今回移設されるヘリパッドの米側への引き渡しは「六カ所すべてが完成後」(同省)としており、作業がこのまま遅れれば、返還も先延ばしになる可能性がある。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181300_01.html

 

2008年2月18日(月) 朝刊 21面

沖縄署移転に住民懸念/米兵事件多発地域「安全守れない」

 米兵による暴行事件を捜査している沖縄署が、米兵絡みの事件・事故の多い現在地から移転する可能性が強いため、住民らは「街の安全を守れなくなる」と治安の悪化を懸念している。

 沖縄市観光協会など地元十団体は昨年、県警に対し沖縄署の移転を踏みとどまるよう要請した。同署は少女が容疑者の米兵に声を掛けられた「コザ・ゲート通り」のすぐそば。コザ・ゲート通り会の我喜屋盛永会長は「度重なる事件・事故への不安もある。安心・安全な街づくりのためにも沖縄署は近くにあってほしい。北谷町に移転するという話もあるようだが絶対に反対だ」と主張する。

 沖縄署の移転話は、二○○五年度から県が始めた道路拡張計画に伴い浮上。渋滞緩和を目的とした拡張工事の範囲が、署の駐車場と庁舎の一部にかかるため、移転か建て替えが必要になった。

 県警は「適当な移転先が見つからず、まだ決まっていない」としており、ほかの土地の買収交渉もまだ進んでいないが「今の庁舎はただでさえ手狭で、移転は事実上決まっている」(県関係者)という。

 米兵向けの店舗やライブハウスが立ち並ぶゲート通りは、夜には若者や外国人でごった返し、米兵らのトラブルも多発。沖縄市子ども会育成連絡協議会の久高将輝会長(63)は「庁舎がなければこの辺りの治安はもっとひどくなるはず。子どもの安全のためにも、移転されると困る」と話している。

 沖縄署はゲート通りを防犯の重点地域とし、外国人による事件・事故を専門に取り扱う渉外警ら隊が夜間にパトロールを行っている。渉外警ら隊はかつて、同署以外に、米兵が多く訪れる繁華街を管内に抱える石川署や宜野湾署などにも設置されていた。現在は県内で沖縄署のみ残り、ゲート通りや北谷町美浜地域を中心に米兵犯罪に目を光らせている。

 石垣博道署長は「移転は検討中。仮に移転しても、ゲート通りのパトロールを重点的に行い犯罪を防ぐ。基地外で発生した米兵による犯罪を取り締まるという日本の警察の役割に変わりはない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181300_04.html

 

2008年2月18日(月) 朝刊 20面

ステッカーで「反基地」訴え/「命を守る会」篠原さん作製

 【名護】「基地がある限り、今回のような米兵の暴行事件や事故の犠牲者はなくならない」―。米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古で反対活動をしている篠原孝子さん(44)が十七日までに新基地建設に反対する、ステッカーを作製した。

 篠原さんは座り込みが行われている「命を守る会」で、県内外から支援や激励に訪れる人たちに、地域の基地被害や海上で毎日のように行われている国の事前調査への阻止活動を説明している。

 岐阜県出身。暖かい沖縄にあこがれ、二〇〇一年に移住した。一番気にいったのが、「山も海もある名護」だった。

 航空自衛隊基地の近くで育ったが、特に問題意識もなく、戦闘機が飛ぶのも日常の風景。「基地にも政治にも関心がなく、選挙にも行かないような人」だった。

 でも、海を埋められることには強い抵抗があった。沖縄の米軍基地からは、イラクなど世界へ出撃している。ステッカーにはジュゴンやサンゴの美しい海とともに、「守ろう命」と書いた。

 「あきらめたら終わり。移設に反対でも阻止活動には参加できないたくさんの人がいる。県民の気持ちをつなげたい。ステッカーがきっかけで普段の生活の中で『基地はやっぱり駄目だ』という話のきっかけになれば」

 後を絶たない米兵の暴行事件には、「つらい。いつまでも、こういう状況のままでいいの」。

 ステッカーは、一枚二百円。名護だけでなく、宜野湾、那覇市のエコショップなど十の店が趣旨に賛同し、ステッカーを置いてくれた。ステッカーの問い合わせは篠原、電話090(6861)7186まで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月18日朝刊)

[指導事例集]

沖縄戦の実相継承に期待

 県教育庁が沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への軍強制を示した教科書を使う授業の指導事例集を作製し、新学期までに県内の各高校に配布するという。

 県平和祈念資料館が作製した沖縄戦体験者の証言集や、平和教育指導の手引書を新たに編集することで、県内の教育現場では沖縄戦の実相がきちんと伝えられることになる。

 高校の日本史教科書から「集団自決」への軍強制を削除させた文部科学省の教科書検定に対し、県教育庁が平和教育の理念を堅持することで教育現場での具体的な対応策を打ち出したことを評価したい。

 四月から全国の高校で使われる日本史の教科書では、沖縄戦の「集団自決」をめぐる記述が「日本軍に『集団自決』を強いられた」から「日本軍の関与によって集団自決に追い込まれた」というように婉曲な表現になる。

 つまり、これによって軍の強制があいまいになるというわけだ。

 文科省は、県民の強い抗議に押される形で「集団自決」への軍の関与は復活させたものの、「日本軍が強制した」など主語の「日本軍」と「強制」を直接つなげる表現については認めなかったのである。

 文科省の検定意見が維持され、「集団自決」への軍の強制を削除した教科書が全国で実際に使われることに暗然とする。

 沖縄戦の実相を正しく後世に伝えていく上で、これまで以上に難題が出てくることを浮き彫りにしたとみなければなるまい。

 なぜなら、沖縄以外の高校生に住民を巻き込んだ激しい地上戦が展開され、「集団自決」や、日本軍による「住民殺害」が起きた沖縄戦の特徴と実相を教えることは、決して容易ではないからだ。

 県教育庁は、県平和祈念資料館が発行した証言集『体験者が語る戦争―平和への証言』を県内の小、中学校と高校、特別支援学校に一冊ずつ配った。高校には四月中にさらに四十冊配る計画だという。

 沖縄戦の実相を正しく伝えていくためにも、この取り組みは有意義であり、全国に広げる試みがあってもいいと思うがどうか。

 沖縄は、常に平和の尊さと悲惨な戦争を繰り返さないことを県内外に訴え続けてきた。学校現場で試みようとする県教育庁の新たな動きもその一つといっていい。

 歴史にきちんと向き合うためにも、指導書を平和を発信する新たな一歩にしていくことが大切だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080218.html#no_1

 

琉球新報 社説

米兵中学生暴行 それでも少女に非はない

 あまりに浅ましい行為だ。この種の事件が起こるたびに、私たちは社説でも繰り返し指摘してきた。しかし何度でも言わねばならない。性的犯罪の被害者に落ち度はないということを。責めを負うべきは加害者であって、決して被害者ではない。

 米兵による女子中学生暴行事件から1週間が過ぎた。恐れていたことが現実になっている。すきを見せる少女が悪い。なぜ知らない人の誘いに簡単に乗るのか。ネット上ではんらんする声だ。本社にも、そんな読者の電話が届く。加害責任を問うどころか、まず被害者を非難する。これでは本末転倒だ。百歩、いや千歩譲って被害者の側に多少の軽率さがあったにしても、それで犯罪行為が正当化されるはずはないだろう。

 よく考えてほしい。例えば、ミニスカートの女性が夜の道を歩いていて被害に遭うと、女性の側に責任があることになるのか。どんな時間にどんな服装で歩こうと、そのことをもって被害に遭っても仕方がない、ということにはならない。ましてや、加害責任が減免されることなど有り得ない。分かりきったことだと思う。

 人を見たら犯罪者だと思うことが正常な社会だとは、とても思えない。むしろ、どうしたらこのような社会を変えることができるのか。健全な大人ならこう考えるのが普通ではないのか。人の好意を素直に受け取ることのできる社会のほうが異常なのだろうか。

 加害責任を追及する前に、被害者の落ち度を責め立てる人たちに問いたい。私たちの住む社会は法律や良識が通用しないジャングルで、そこでは弱い者やすきを見せる人間は犯罪の対象になっても構わないとでも言うのか、と。

 そうではあるまい。事件が起きた場合、まず、加害者の責任を追及し、その上で再発を防ぐ手だてを考えるのが、良識ある社会の在り方だろう。被害者のあら探しをするなど、もってのほかだ。

 「行政を預かるものとして、本来一番に守るべき幼い少女の尊厳を守れなかったことを心の底からおわびしたい」。1995年、少女乱暴事件に抗議する県民大会での大田昌秀県知事(当時)のあいさつだ。この「行政」という言葉は単に当局という意味ではない。私たち一人一人の大人も含まれると解釈すべきだ。危険な状況を放置してきた大人の一人として。

 もとより何度も繰り返される事件に対し子供たちへの教育はどうなっていたのか。十分だったのだろうか。再発防止策の一つとして、それはそれで論議すればいい。

 被害に遭った本人や家族の心の傷に、さらに塩をすり込むような言動は慎むべきだ。そうすることで加害者と同列の立場になってしまう。そんな認識を共有したい。

(2/18 9:47)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31449-storytopic-11.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 1面

酒酔い米兵、住居侵入

名護署、容疑で逮捕

 名護市辺野古の民家に不法侵入したとして、名護署は十八日、住居侵入の疑いで、キャンプ・シュワブ所属の米海兵隊伍長、ショーン・コーディー・ジェイク容疑者(21)を現行犯逮捕した。ジェイク容疑者は酒に酔っており、「覚えていない」と否認しているという。米兵による女子中学生暴行事件を受け、トーマス・シーファー駐日米国大使とブルース・ライト在日米軍司令官が再発防止策の検討を発表してから六日目に起きた事件。後を絶たない米兵による犯罪に、基地周辺の住民や自治体の首長から反発の声が上がっている。

 調べでは、ジェイク容疑者は十八日未明、同市辺野古の一軒家に侵入した疑い。同午前四時二十五分ごろ、この家に住む無職女性(54)がジェイク容疑者が家の中のソファで寝ているのに気付き一一〇番通報。駆けつけた同署員が逮捕した。

 女性は家族と住んでおり、ジェイク容疑者と面識はなかった。

 民家はキャンプ・シュワブに近い住宅街。鍵が壊されたり、室内が荒らされたりした形跡はなかったという。同署はジェイク容疑者が窓や玄関などから侵入した可能性があるとみて調べている。

 十七日には、沖縄市中央の県道で酒を飲んで普通乗用車を運転したとして、道路交通法違反(酒酔い運転)の疑いで、キャンプ・フォスター所属の米海兵隊伍長の男(22)が現行犯逮捕されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_01.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 5面

また事件「情けない」/米兵住居侵入

綱紀粛正誓い空しく

 【名護】「大使や軍のトップが綱紀粛正の徹底を誓ったばかりなのに」。本島中部で起きた米兵による暴行事件から九日。県民の怒りが高まり、日米両政府の高官らが綱紀粛正の徹底を声高に叫ぶ中、またしても「基地あるがゆえ」の事件が発生した。基地周辺の住民や首長らは憤り、あきれた。効果的な再発防止策を徹底しない米軍への不信感を募らせた。

 事件の連絡を受けた大城康昌辺野古区長は「米兵の暴行事件があったばかりなのに情けない。兵士への教育が十分にされてない証拠だ。基地の外に出るなら緊張感を持ってほしい」と怒りをあらわにし、キャンプ・シュワブ司令官に再発防止の申し入れをする考えを示した。

 辺野古区に住む島袋権勇市議会議長は「言語道断。大使や軍のトップが沖縄に来て綱紀粛正の徹底を誓ったばかり。米軍全体の問題だ。きちっとしてもらいたい」と軍内部での教育の徹底を訴えた。

 島袋吉和名護市長は「米兵暴行事件が起きて、みんな精神的にピリピリしている大変な時期にこんな事件が起きるとは」とぶぜんとした表情。「地域の婦女子に心配を与える。住民が安心して生活できるように海兵隊の再教育を徹底的にやってほしい。沖縄の歴史をしっかり勉強させる必要がある」と再発防止策を国に求める考えを示した。

 現場近くの商店の三十代の女性は「ぞっとする。怖いとしか言えない」と肩をすくめ動揺した様子で話した。

 一方、沖縄市の東門美津子市長は「あきれて言葉も出ない。暴行事件での抗議で米軍側からは米兵の教育、再発防止といった言葉があったが、いったいどうなっているのか。あまりにもひどい」と語気を強めた。

 米軍犯罪に詳しい新垣勉弁護士は「(夜間外出を制限する)米軍のリバティー・カード・プログラムは機能していないことがあらためて明らかになった。日米両政府は兵士個々の問題として考えるのではなく、海兵隊員は危険な存在と認識を改め、基地外への外出を原則禁止するべきだ」と厳しく指摘。

 綱紀粛正後の事件発生に「本質的な対応を行わなければ事件はなくならないことの象徴的な事例だ」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_02.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 1面

首相、再発防止強く要求/町村官房長官「遺憾千万だ」

 【東京】福田康夫首相は十八日の政府与党連絡会議で、沖縄で起きた米海兵隊員による一連の不祥事について「米側に強く申し入れ、今後こういうことのないようにしたい」と再発防止を求める考えを強調した。

 町村信孝官房長官も同日午前の定例記者会見で、在沖米海兵隊員が十七、十八の両日、酒酔い運転と住居侵入容疑で相次いで逮捕されたことに「これだけ綱紀粛正が叫ばれる中、誠に遺憾千万だと憤っている」と述べ、強い怒りを示した。

 町村氏は在沖米海兵隊員による女子中学生暴行事件から間もない時期に、飲酒がらみの不祥事が頻発したことを問題視。

 来週にも予定されるライス米国務長官の訪日の際、自身か高村正彦外相が「強い反省」を促す考えを明らかにした。

 町村氏は「(暴行事件が)これだけ問題になり、同僚の米軍兵士からも怒りの声が上がる中、酒を飲んで法律違反をするとは誠に憤りの一言。たるんでるしか言いようがない」と米軍の規律の緩みを批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_03.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 5面

4議会が抗議決議/米兵暴行事件

 米兵による暴行事件を受け、金武町、伊江村、東村、うるま市の各議会は十八日午前、臨時議会を開き、抗議決議案と意見書案をいずれも全会一致で可決した。

 米軍キャンプ・ハンセンを抱える金武町の抗議決議は「米軍は、県民の人権を無視してあらん限りの暴挙を繰り返し、県民の生命、財産を蹂躙してきた」と強く批判。

 その上で、「(金武町でも)米兵による蛮行が繰り返され、とりわけ婦女子に対する人権が侵害されてきた。本町も米兵による事件・事故のたびごとに住民の安寧な暮らしが脅かされ、強い憤りを感じている」と糾弾した。

 うるま市議会は、逮捕された米兵が市内のキャンプ・コートニー所属であることを挙げ、安全な生活が脅かされていると指摘した。

 被害者と家族への謝罪と補償、日米地位協定の抜本的な見直しや米軍人、軍属などの綱紀粛正を徹底、再発防止に向けて、実効性のある施策などを行うよう求めている。あて先は、駐日米大使館や在日米軍司令官、在沖米国総領事、在日米軍沖縄地域調整官など。


「許せない犯行」

暴行事件で沖子連抗議


 米兵暴行事件で、県子ども会育成連絡協議会(玉寄哲永会長)のメンバー五人が十八日午前、外務省沖縄事務所を訪ね「人権を踏みにじった犯行で決して許せない」と強く抗議、(1)米軍基地の県外、国外への移設(2)日米両政府による事件・事故の未然防止策の策定―を要求した。

 玉寄会長は「事件のたびに綱紀粛正と言うが、歯止めがかかっていない」と指摘。子どもの安全を守る立場を強調し「日本政府として、米国政府、米軍に強い対応を取ってほしい」と訴えた。

 別のメンバーは名護市で起きた米兵の住居侵入事件に触れ「この間、どういう教育をしていたのか」と声を荒らげた。

 同事務所の田中賢治課長補佐は「深刻に受け止めている」とし、教育プログラム、ワーキングチームで再発防止に取り組んでいることを挙げ、理解を求めた。

 また、田中課長補佐が「米軍の運用とは別の個人の犯罪」と発言したことに、玉寄会長が「二等軍曹であり、米軍犯罪だ。どう考えているのか」と抗議する一幕も。田中課長補佐は「あくまで公務外の事件という意味で言った」と釈明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_04.html

 

2008年2月19日(火) 朝刊 1面

基地外居住把握 要求へ/米兵暴行事件

県、防止策で検討会議

 米兵暴行事件を受け、米軍人の犯罪防止策について検討し、日米両政府に実効性のある再発防止策を求める県の「米軍人等犯罪防止対策に関する検討会議」(会長・仲井真弘多知事)が十八日、発足した。県庁内で開いた第一回会議では、基地外居住の米軍人の把握など六項目を柱に、今週中にも取りまとめる方針を確認した。県警からは米軍との共同パトロールの実施に難色を示す意見が出た。

 検討会議メンバーは、知事、副知事、県警本部長、知事公室長、県教育長と関係部長の計九人。

 日米に対策を求める事項として(1)米軍人に対する研修・教育プログラムの見直し(2)外出禁止など兵士の生活規律強化(3)基地外に居住する米軍人の実態把握と規律強化(4)日米地位協定の抜本的見直し―の四項目。さらに、県などが実施する防止策として、「学校などでの安全教育の徹底と被害生徒等へのケアの継続」「県警のパトロール強化など警らの充実」の二項目を挙げた。

 会議で県警は「米軍のMPとの共同パトロールは、現行の日米地位協定下では犯人確保などの面で問題がある」との意見を述べた。

 政府内部で検討されている繁華街などへの防犯カメラの設置については、地域からの要望があれば対応するとの方針にとどめた。

 仲井真知事は会議の冒頭、暴行事件後も米海兵隊員による酒酔い運転や住居侵入事件が相次いで発生したことに触れ、「綱紀粛正の取り組みが行われている矢先に、またこういう事件が発生するのは極めて遺憾。次々に事件が起こるということはまさしく、隊員一人一人の綱紀粛正を徹底していないか、緩みがあるのかと、非常に疑念を感じるところだ」と米軍への強い不信感を示した。

 会議後、事務局の上原昭知事公室長は、外務省沖縄事務所の倉光秀彰副所長らと意見交換し、検討内容を伝えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191300_01.html

 

2008年2月19日(火) 朝刊 25面

外出禁止令 抜け道/「朝帰り」なら問題にされず?

 米軍が綱紀粛正策として実施している兵士らの夜間外出禁止措置は、実際には基地ゲートの出入りを止めるだけで、基地内に戻ったことを確認していない実態が十八日、外務省の説明などで分かった。同日未明、名護市の民家への住居侵入容疑で逮捕された海兵隊伍長(21)も禁止時間帯に基地外にいたが、朝に帰れば問題視されなかった可能性がある。「抜け穴」が明らかになり、同省も「問題点はある」と、対策を検討する考えを示した。一方、事件の続発に議会や市民団体などは抗議の声を上げた。

 米軍は「リバティーカード制度」と呼ぶ夜間外出禁止措置を採用。海兵隊では、原則として三等軍曹以下(全体の約55%)に赤色のカードが渡され、午前零時から同五時まで、私用の外出が禁止されている。逮捕された伍長も対象の階級に含まれる。

 しかし、実際の運用は禁止時間帯にゲートを出入りする兵士らのカードを点検するだけ。同省日米地位協定室は「把握している範囲では、誰が通過したか、午前零時までに基地内に戻ったかを確認する仕組みはないようだ」という。

 このため、「禁止時間帯に戻るより、朝にゲートが開いてからの方が良いと考えかねない」と指摘。同日午前四時五十分ごろに民家で逮捕された伍長も、ゲートでとがめられることを避けて基地外にとどまった可能性もあり、同室は見直しの検討対象とする意向を示した。(阿部岳)

 米兵による暴行事件後も、米海兵隊員の住居侵入、飲酒運転が相次ぐ異常事態。「米軍に綱紀粛正を求めても無駄だ」。「県民をばかにしている」。市民団体は十八日、一斉に怒りの声を上げ、不信感をあらわにした。十九日に県民大会開催へ向けて議論する団体の代表らは「自分たちが行動するしかない」と話し、強い決意をにじませた。

 超党派の県民大会を呼び掛ける、県子ども会育成連絡協議会(沖子連)会長の玉寄哲永さんは「再発防止を誓いながら、また事件だ。米軍には自覚も責任もない。我慢も限界」と憤り「(県民大会は)当然やるべきだ。具体的な話を詰める」と言い切った。

 県婦人連合会会長の小渡ハル子さんは「地域住民が声を上げ、米軍、アメリカ、日本政府に県民の痛みを行動で示さないと、同じことを繰り返す」と危惧する。「住民の立場で政府に訴えるのが政治家の仕事。知事や県議会に先頭に立ってもらいたい」と強く求めた。

 沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さんも「外交問題になり、米政府高官が動いても何も変わらない。米軍は綱紀粛正どころか、コントロール不能状態だ」と批判。「事件を断つために、大規模な大会が必要」との考えを示した。


     ◇     ◇     ◇     

長崎の女性議員声明

人ごとでない 応援したい


 米兵暴行事件を受け、長崎県内の女性議員有志(代表・押渕礼子県議)三十二人が十八日、超党派で抗議声明を発表した。首相や関係閣僚、駐日米国大使に送付した。今回の事件で県外の議員が声明を出すのは初めて。二十二日開会の長崎県議会に意見書案が提出される見通し。

 声明では、佐世保市でも沖縄と同様に米兵事件が続発しているとし、綱紀粛正の実効性が見えないと批判。被害者へのケアと犯罪防止策の明示を求めた。

 押渕議員は「とにかく基地による事件・事故をなくしたい、女性や子どもの人権を守りたい、との思いで女性議員が団結した」と説明。

 「沖縄の事件は人ごとと思えない。自分の娘だったらと想像すると耐えられない」と声を詰まらせ「何度要請しても変わらない基地の街の現状に憤りを感じる。沖縄の皆さんを応援したい」と強い口調で話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191300_02.html

 

2008年2月19日(火) 朝刊 1・3面

町村・石破氏・問題点の検証強調

 【東京】町村信孝官房長官は十八日午後、米兵暴行事件を受けた県議会米軍基地関係等特別委員会(親川盛一委員長)の要請団に対し、相次ぐ米兵事件が在日米軍再編に影響することがないよう、問題解決に努力する姿勢を示した。親川氏によると、町村氏は「米軍再編に支障を来すことがあってはならない。きちんと進めていかねばならない」などと述べた。

 石破茂防衛相も同委員会の要請に「総花的な対策でなく、(米軍の)教育プログラムのどこに問題があり、どう改善するか具体的に解決しないといけない」と指摘。問題点を検証し、実効ある再発防止策を検討する必要があるとの考えを示した。

 日米地位協定の見直しについては「政府としては運用改善で対応する」と従来の姿勢を堅持しつつ、「具体的に何をどう改善していくかは政府に検証責任がある」と述べ、個別具体的に地位協定の問題点を検証する必要性を指摘した。

 県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の要請団(団長・安里カツ子副知事)も、町村、石破の両氏に「実効性のある再発防止策」などを要請した。町村氏は、相次ぐ米海兵隊員の事件に「強い憤りを感じる」として綱紀粛正を米側に強く働き掛けていることを明らかにし、日本政府としても問題点を検証しながら再発防止策に関与していく考えをあらためて示した。石破氏は米兵が基地外に居住するための条件などを調査、確認する意向を示した。

 両要請団は、岸田文雄沖縄担当相にも同様に要請。岸田氏は「関係省庁が一丸となって再発防止に取り組む。地元の声をしっかり聞きながら対応したい」と述べ、県や市町村の意見を取り入れる必要性を強調した。


     ◇     ◇     ◇     

首相が米長官に直接申し入れへ

綱紀粛正


 【東京】福田康夫首相は十八日夜、米兵暴行事件など相次ぐ米海兵隊員の不祥事について「米軍はどうなっているのか。綱紀粛正といった直後だ。原因をよく突き止めなければならない」と述べ、二十七日に来日するライス米国務長官に綱紀粛正や再発防止を直接申し入れる考えを示した。

 また、外務省の薮中三十二事務次官は十八日午後、シーファー駐日米国大使に電話し、相次ぐ事件に抗議。再発防止策の見直しを急ぐよう申し入れた。外務省によると、シーファー大使は「このような事件が発生したことは遺憾であり、再発防止策の強化、見直しの加速化を鋭意図っていきたい」と陳謝したという。


「共同警ら」見解相違


 【東京】米兵による暴行事件で、繁華街での日米双方の「共同パトロール」の効果について、政府内で見解が割れていることが十八日、明らかになった。外務省は「効果がある」として、具体的な検討に入っているが、警察行政を担う国家公安委員会は慎重な姿勢を示している。同日の衆院予算委員会で、下地幹郎議員(無所属)や赤嶺政賢議員(共産)の質問に答えた。

 高村正彦外相は同パトロールについて、「確かに効果があるということで、警察との間でどうするか、法的な観点も含めて積極的に検討している」と述べ、事件の再発防止策として具体的に検討していることを説明した。

 一方、泉信也国家公安委員長は「その効果を見極め、県民感情にも配慮した上で、県警の考えも聴取して考えたい」との認識を示した。同パトロールについては、日米地位協定上の「逮捕権」をめぐり、県警側には懐疑的な見方が広がっている。

 また、委員会で石破茂防衛相は、基地外の米軍用貸し出し住宅(昨年九月現在)が六千九十八戸あり、そのうち五千九百七戸が契約されていることを説明した。人数は把握していないという。

 基地外に居住できる米兵の基準については「どういう基準で基地外にいるのか、それが順守されているのかを把握する必要がある」と述べ、居住者の条件にも政府が関与する必要性を指摘した。

 町村信孝官房長官は相次ぐ米兵の事件に対し、「米国に猛省を促したい。来日するライス国務長官にもそのことを強く申し上げたい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月19日朝刊)

[相次ぐ米兵不祥事]

異常で由々しい事態だ


酒酔い運転に住居侵入

 それにしても度が過ぎる。尋常ではない。海兵隊という組織の中で、隊員の規律さえ維持できないような劣化現象が起きているのではないか。

 米兵による暴行事件を深刻に受け止め、米側トップのシーファー駐日米大使やライト在日米軍司令官、ジルマー在沖米四軍調整官、メア在沖米国総領事らが入れ替わり立ち代わり謝罪し、再発防止策を約束したにもかかわらず、足元では、底の抜けたバケツのように不祥事が相次いでいる。

 十七日早朝、沖縄市中央の県道で、キャンプ・フォスター所属の二十二歳の海兵隊員が道路交通法違反(酒酔い運転)の疑いで現行犯逮捕された。

 呼気一リットルから〇・六一ミリグラムのアルコールが検出されたという。

 十八日未明には、キャンプ・シュワブ所属の二十一歳の海兵隊員が名護市辺野古の民家に侵入したとして住居侵入の疑いで現行犯逮捕された。

 容疑者は酒によって一軒家に侵入し、ソファで寝ていたという。

 海兵隊は十四、十五の両日、「日常わきまえなければならない規範」を身につけるため全隊員を対象に法令順守の倫理教育を実施したばかり。組織を挙げて綱紀粛正に乗り出したその矢先に、不祥事が連続して起きたのである。由々しい事態だ。

 なぜこうも海兵隊員の不祥事が相次ぐのか。この問題に根本からメスを入れない限り、今後も「綱紀粛正」「再発防止」の四字熟語をむなしく繰り返すだけだろう。

 一九九五年の暴行事件から今年で十三年。復帰後最大規模の抗議のうねりの中で「沖縄に関する日米特別行動委員会」(SACO)が設置され、基地の整理・統合・縮小計画や地位協定の運用改善などが合意された。だが、米兵による卑劣な性犯罪など、凶悪事件は後を絶たない。

 隊員は半年もしくは一、二年のサイクルで異動するため、「良き隣人」教育を根付かせるのは難しい。しかも沖縄は、アフガニスタンやイラクと直結する出撃拠点だ。

 九五年以降の日米両政府の再発防止の取り組みは、はっきり言って失敗だった、と評価せざるを得ない。


実効性のある防止策を


 今回の暴行事件の容疑者は基地外に住む三十八歳の海兵隊員だった。

 米兵が基地外に住む場合、地位協定第9条によって自治体への届け出義務が免除されており、自治体は米兵が何人住んでいるのか、その正確な数字をつかんでいない。

 民間地域に住んでいても外国人の登録および管理に関する法令が適用されず、自治体行政が及ばないというのは問題だ。

 容疑者の身柄が拘束されているので今回は地位協定上の問題はないという政府の説明は一面的だと言わざるを得ない。

 米軍のこれまでの再発防止プログラムは、基地内に住む若い米兵を対象にしたものだった。その盲点が浮き彫りになった以上、従来の対策を全面的に見直すことが必要だ。

 日米両政府は、防犯カメラの設置や日米共同パトロール、夜間外出の制限などを検討しているといわれる。

 米軍憲兵と県警の共同パトロールは、事件が発生した場合、米側に身柄を拘束される可能性があり、県警としては受けいれられないだろう。共同パトロールを実施するにしても、違った仕組みが求められる。

 その種の再発防止策は、しかし、「ぬるい」という印象がどうしてもぬぐえない。過去に同じようなことが何度も繰り返されてきたからだ。県民が求めているのは、抜本的な対策である。


再び「県民大会」の動き


 私たちは九五年の暴行事件以降、基地の整理縮小と海兵隊の撤退・削減こそが最大の解決策であることを繰り返し主張してきた。

 実質的な負担軽減と実効性のある再発防止策を目に見える形で進めるには、米軍再編計画の見直しも視野に入れた取り組みが必要だ。

 もう後がないという強い決意が日米両政府にあるかどうか。県民は言葉ではなく実際の行動を求めている。

 復帰後、基地問題が大きく動いたのは、超党派の取り組みによって「女性の人権」や「暮らしの安全」「過重な負担の軽減」を両政府にぶつけた時である。

 女性団体や教育団体などの県民大会を求める声を政党は、正面から受け止めてほしい。住民意思を明確な形で示すことが今、求められている。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080219.html#no_1

 

2008年2月19日(火) 夕刊 1・5面

県議会・軍転協、納得できる防止策要求/米兵暴行事件

 【東京】米兵暴行事件を受け、県議会米軍基地関係等特別委員会(親川盛一委員長)と県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の要請団(団長・安里カツ子副知事)は十九日午前、東京都内の在日米軍司令部(横田基地)や在日米国大使館への抗議行動を展開し、「県民が納得できる再発防止策」などを求めた。

 同委員会の要請に対し、在日米軍のフロック副司令官(少将)は「今回の事件は本当に残念だ。被害者や家族に本当に申し訳ない」と陳謝。

 その上で、綱紀粛正や再発防止を強化する考えを示し、同日に在日米四軍司令官らでつくる作業部会を開き、対応を協議することを明らかにしたという。

 一方、在日米国大使館のレイモンド・グリーン安全保障政策課長は軍転協の要請に対し、「いろいろな意見交換の場をつくり、その場で解決できるような方法を互いに見つけていきたい」と述べ、地元自治体や在沖米軍を交えて再発防止策を協議する意向を示した。

 同日午後は、米軍基地関係等特別委員会が在日米国大使館、軍転協が在日米軍司令部に対して、それぞれ要請する。


     ◇     ◇     ◇     

嘉手納議会、米軍に抗議


 米兵による暴行事件を受け、嘉手納町議会の議員らが十九日午前、北中城村の在沖米海兵隊外交政策部(G5)に抗議したほか、南風原町や本部町、伊是名村の各議会でも抗議決議などを可決した。

 嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長ら七人は同日午前、G5を訪れ、綱紀粛正や被害者への謝罪と完全な補償、再発防止策の徹底と公表を求め抗議した。

 田仲委員長や中川京貴副議長によると、応対したマーク・フランクリン大佐は「今回の事件は許せるものではなく、遺憾。気持ちは皆さんと一緒だ」と謝罪した。

 再発防止策については「これまでの教育プログラムに改善の余地がある。在日米軍全体を対象にした調査委員会が一つ一つの基地をチェックし、プログラムを作成している」と述べたという。

 同町議会は在沖米国総領事館、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所でも同様の抗議、要請を行う。

 一方、南風原町議会は臨時議会を開き、抗議決議を全会一致、意見書を賛成多数で可決した。

 米軍や政府などに対し、日米地位協定の抜本的な見直しや、米軍の綱紀粛正など四項目の実現を求めている。

 本部町議会と伊是名村議会も、臨時議会で抗議決議と意見書をそれぞれ可決した。

 奈良県の大和郡山市議会(辻本八郎議長)は十八日、臨時議会を開き、米軍や関係機関に抗議し再発防止を求める意見書を全会一致で可決した。

 意見書では「事件は沖縄県民をはじめ米軍基地を抱える国民に強い衝撃と不安を与えている」とし、日米地位協定の抜本的見直しを要求。ほかに(1)事件の全容解明と被害者への誠意ある対応(2)事件・事故の再発防止へ実効性ある施策を講じること(3)海兵隊を含む兵力の削減―を求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191700_02.html

 

2008年2月19日(火) 夕刊 1・5面

軍の対策「不徹底」/岸田沖縄相が遺憾の意

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は十九日午前の閣議後会見で、米兵暴行事件後にも海兵隊員による飲酒絡みの事件が相次いでいることについて「綱紀粛正、再発防止に向けての意思伝達が徹底しているとは言い難い」と述べ、米軍の対策が行き届いていないとの認識を示した。

 酒酔い運転と住居侵入容疑で米兵が相次いで逮捕されたことについて「重大な事件の対応が叫ばれる中、こうした事件が続けて発生しているのは誠に遺憾だ」と怒りを示した。今後の再発防止策については「大変強い危機感を感じる。具体的な対応策を政府が一丸となって検討しなければならない」と述べた。


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名護議会が抗議決議へ


 【名護】米兵暴行事件とキャンプ・シュワブ所属の米海兵隊員の住居侵入事件を受けて、名護市議会は十九日午前、軍事基地等対策特別委員会(渡具知武宏委員長)を開き、二十日開会の臨時議会に意見書・抗議決議を提案することを全会一致で決めた。

 決議案などでは、日米両政府や米軍などに対して、(1)被害者や家族への謝罪と補償(2)米軍人の教育徹底(3)地位協定の抜本的見直しと基地の整理・縮小(4)基地外居住米軍人の実態把握―などを求めている。

 委員らから市当局に対して、「実効性ある再発防止策を強く求めるべきだ」「(シュワブでの)新基地建設でこういう危険が増えるのは明らか。受け入れを再検討すべきだ」などの意見が出された。

 玉城政光政策推進部長は「基地受け入れについては私の立場で回答できない」とした上で、「市として基地から派生する事件・事故を限りなくゼロにするよう徹底した教育を米側に強く要請する」との考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191700_03.html

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