納得できない再発防止策など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(2月23日、24日、25日)

2008年2月23日(土) 朝刊 1面

身柄確保 県警優先も/日米両政府再発防止策

基地外居住を厳格化

 【東京】在沖米海兵隊員による暴行事件を受け、外務省は二十二日午後、基地外に住む米兵の実態把握と居住許可基準の厳格化を柱とした再発防止策を正式に発表した。米側が基地外居住者の人数を年に一度、日本側に提供し、日本政府が所在市町村と共有する。両政府は基地外居住条件の厳格化を視野に、今後、日米合同委員会で協議する。

 再発防止策はほかに(1)防犯カメラ設置(2)日米共同パトロールの際、日本側が優先的に身柄を確保する仕組みを念頭に警察権限の行使を調整(3)米軍教育プログラムを改善し、沖縄側の視点を反映(4)夜間外出制限措置(リバティーカード制度)の再検討―など。

 防犯カメラは、県内の一部自治体が「プライバシーの侵害」などを懸念しているため、地元の要望があれば積極的に検討するとしている。

 共同パトロールは、任意同行の権限を持つ米軍憲兵は立ち会わず、指導的立場にある士官が参加する方向。教育プログラム改善では、過去の事件の経緯を教育することなども検討している。

 夜間外出制限措置は、リバティーカード制度を導入していない陸軍も含め、四軍すべての対応を再検討する。

 そのほか、既存の「米軍事件・事故防止ワーキングチーム」の枠組みを通じ、政府、沖縄、在沖米軍の連携を強化する。

 日米は今回の事件について、基地外に住む指導的立場にあった二等軍曹が起こしたことを問題視、県や関係自治体と調整しながら対応を検討してきた。

 外務省は今回発表した再発防止策を「当面の措置」としており、今後も日米合同委員会などで再発防止策を継続的に議論し、その成果を随時発表するとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802231300_01.html

 

2008年2月23日(土) 朝刊 27面

「実効性は」首長複雑

 米兵暴行事件を受け日米両政府が発表した再発防止策に、基地所在の中部首長から「これまでの対策の範囲内」「具体的でない」など不満が相次ぐ一方、「基地外居住の把握は一歩踏み込んだ」と一定の評価も。防犯カメラの設置についても、期待とプライバシー侵害への不安が交錯する。県内で高まる地位協定の抜本的改定のメドはなく、根本解決には程遠い。

 「これまで話し合われてきた範囲をほとんど超えておらず、具体的、根本的解決策の公表を求めてきた立場としては十分とはいえない」と東門美津子沖縄市長は厳しく指摘。米軍人の施設・区域外居住基準の公表には「一歩踏み込んだ感はあるが、市町村ごとの居住実態も開示されるか不透明」と述べた。

 野国昌春北谷町長は「人数把握は、各区ごと戸数が分かるようにしてほしい」と要望。「カメラの設置は、地域の了解を得てから。米兵宅にだけカメラを向けるのかどうか、具体案が分からず、評価は難しい」

 知念恒男うるま市長は、施設外居住者の実態把握を一定の前進ととらえた上で「声を上げることで、日本の要望が実現できるなら、地位協定の抜本的改正も実現してほしい」と話した。カメラ設置には疑問を呈し、無関係な人のプライバシーが侵害される可能性も指摘した。新垣邦男北中城村長は「実効性があるのか、疑問。市町村長や県知事の意見を具体的に反映させる場を設けた方が効果的」とした。

 宮城篤実嘉手納町長は、防犯カメラについて「運用面で非常に難しい問題はあるが、地域の理解が得られるのであれば、場所によっては必要だ」と一定の理解を示した。


防衛局に協定改正要求


 中部市町村会(会長・知念恒男うるま市長)が二十二日、沖縄防衛局に真部朗局長を訪ね、米兵暴行事件に強く抗議するとともに、綱紀粛正の徹底と、具体的な再発防止策の確立、基地の早期返還や整理・縮小、日米地位協定の抜本的改定を申し入れた。

 知念市長は「米軍に対し、事件・事故の再発防止と綱紀粛正を強く訴えてきたにもかかわらず、またしても事件が発生したことは遺憾。日米地位協定の抜本的改編を行うよう対応してほしい」と指摘。

 野国昌春北谷町長は「町内の賃貸住宅は増え、事件も頻発している。綱紀粛正といっても緩んでいるのではないか。占領意識があるのではないか」と憤った。

 儀間光男浦添市長は「基地は苦渋の策として受け入れているのに、人権や命まで渡してはいない」と述べた。

 真部防衛局長は「(市町村会の抗議文)と同じと認識。現在、在日米軍挙げて、綱紀粛正、事件再発防止策を検討している」と説明した。


「目新しさない」新垣弁護士


 米軍事件の再発防止策について、米軍犯罪に詳しい新垣勉弁護士は「目新しい内容はない。沖縄に米軍基地を集中させ、自由な外出を許している現状を容認し続ける限り、『実効力のある対策』など存在しないことが浮き彫りになった」と批判した。

 防止策の中身については「具体策で新しいといえるのは防犯カメラの設置ぐらい。在沖米軍の現状維持を前提とする限り、日米両政府には新たな再発防止策が考えられないことが明らかになった」と話した。

 基地外に居住する米兵の実態把握に関しては、「米軍そのものは危険ではなく、軍人個々人の問題だという従来の前提に立った考えだ。これだけ犯罪が続くのは、米軍の存在そのものが危険だということ」とした。

 その上で「基地を存続させたいというなら、基地外への居住や外出を原則禁止し、軍隊を地域住民から隔離する。基地外への自由な出入りを原則としている現状を逆転させなければ効果はない」と指摘。「一番の解決策は、やはり基地撤去だ」と話した。


沖縄市長は米側へ抗議


 米陸軍兵士によるフィリピン人女性暴行事件を受け、東門美津子沖縄市長は二十二日、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所、在沖米国総領事館を訪ね、市民への謝罪と実効性のある犯罪防止策、被疑者の身柄確保、被害者への謝罪と補償などを要請した。東門市長は「一週間前にも暴行事件が発生したのに、女性などの人権が侵害される非人道的行為が断じて容認できない」と抗議した。


容疑の米兵拘置を延長


 米兵暴行事件で那覇地検は二十二日、強姦の疑いで逮捕された在沖米海兵隊キャンプ・コートニー所属の二等軍曹タイロン・ハドナット容疑者(38)の拘置の延長を請求。那覇地裁は来月三日までの十日間、拘置の延長を認める決定をした。


平和センター基地前で集会


 【北中城】相次ぐ米兵暴行事件に抗議する緊急集会(主催・沖縄平和運動センター)が二十二日、北中城村石平のキャンプ瑞慶覧ゲート前であり、中部地区労の組合員ら約百十人(主催者発表)が「米軍の性暴力を許すな」「米軍基地は撤退せよ」などとシュプレヒコールを繰り返した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802231300_02.html

 

2008年2月23日(土) 朝刊 1面

上司責任追及も 県会議7項目

 米兵暴行事件を受け、日米両政府に実効性ある再発防止策を求める県の「米軍人等犯罪防止対策に関する検討会議」(会長・仲井真弘多知事)の第二回会合が二十二日、県庁で開かれた。外出制限措置の徹底、規律違反者とその上司の責任の厳格化など、七項目・計二十の防止対策をまとめた。県警が否定的見解を示している米軍との共同パトロールや、自治体から積極的な要望が上がっていない防犯カメラの設置は盛り込まなかった。

 今後、日米の関係機関でつくるワーキングチームなどに提案し、実現を図る。

 県の防止策の柱は(1)米軍人に対する研修(教育)プログラムの見直し(2)米軍人等の生活規律の強化(3)基地外に居住する米軍人等の対策(4)防犯施設の充実・強化(5)県警の取り組み強化(6)学校の取り組み強化(7)日米地位協定の見直し等―。米軍人の生活規律の強化では、外出制限措置の時間や対象者の拡大を要求。防犯施設の充実では、防犯灯増設などを盛り込んだ。

 県警の取り組みとしては、米軍施設周辺へのNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)の設置、携帯電話で犯罪情報が受信できる「こども安全情報メール配信サービス」システムの構築など。

 日米地位協定の見直しに関しては、容疑者の起訴前の拘禁移転要請に応じること、被害者の損害賠償を日米両政府の責任で行うこと―などを求めている。

 上原昭知事公室長は「正式な形で米側に再発防止策を求めるのは初めて。従来よりも踏み込んだ表現になっている。米軍も深刻な状況を認識し、できる限り取り入れてもらいたい」と話した。

 会議の冒頭、仲井真知事は「政府も米軍人等の犯罪防止対策について発表しているが、これも踏まえ、こちらもまとめていきたい。政府も素早く対応していただいたことは高く評価できる」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802231300_03.html

 

2008年2月23日(土) 朝刊 2面

日米共同パトロール難色/県議会代表質問

 県議会(仲里利信議長)二月定例会は二十二日、代表質問最終日の質疑が行われた。

 米軍人による事件・事故の再発防止策の一つに挙げられた県警と米軍との共同パトロールについて、得津八郎県警本部長は「憲兵隊(MP)との共同パトロールでは、罪を犯した米軍人を県警とMPが共同逮捕した場合、日米地位協定の規定により身柄は米軍に引き渡されることから容認していない」と指摘した。上原章氏(公明県民会議)への答弁。

 MP以外の軍人との共同パトロール(CP=生活巡回指導)においても「身柄の措置に関して(MPとの共同と)同様の問題が生じる可能性がある。米軍犯罪のみに対処するため、既存の警察力の一部を割くことになり、警察力低下の恐れがある。現状では県民にとって必ずしも望ましくない」と述べ、地位協定の問題点の解決を強調した。

 その上で、共同パトロールの実効性を高めるために、「法執行力を持つ警察官や意思疎通のための通訳員の増員、パトカーの装備機材の充実など必要な措置が必要」との認識を示した。

 仲井真弘多知事は、「集団自決(強制集団死)」教科書検定問題で、県民が強く求めながらも実現しなかった検定意見の撤回について、「検定意見の撤回については、長期的な取り組みになるものと考えており、今後の国の動向を注視していきたいと考えている」との認識を示した。当山全弘氏(社大・結連合)の質問に答えた。


県議会代表質問(最終日抄録)


 県議会二月定例会の代表質問最終日は糸洲朝則(公明県民会議)、上原章(同)、当山全弘(社大・結連合)の三氏が登壇し、基地問題や観光・経済振興、教育・福祉問題などについて県の考えをただした。


平和行政


 ―沖縄平和賞の充実について。(糸洲氏)

 仲井真弘多知事 沖縄平和賞は、平和を求める県民の心を世界に発信するために創設された。今後とも世界の賞となるようしっかり取り組み、沖縄の歴史と風土の中で培われた平和を何よりも大切にする沖縄の心を世界に発信し、人類普遍の平和の創設の確立に努める。


戦後処理


 ―旧軍飛行場用地問題の解決への取り組み状況と見通しは。(上原氏)

 上原昭知事公室長 国では担当窓口が決まっていない状況だが、財務省は国有財産管理者の立場から、内閣府は財務省と協力しながら支援したいとのことだ。関係市町村と連携し、条件が整った市町村から先行し、二〇〇九年度予算に向けて取り組んできたい。


モノレール延長


 ―モノレール延長ルート案選定の進め方は。(当山氏)

 首里勇治土木建築部長 三月予定の第七回延長検討委員会で、県民意見も参考に総合的に審議され、推奨案が選定される見込みである。それを受けて、事業主体である県と那覇市において、国や関係機関と協議した上で、正式に延長ルート案を決定する考えである。


暫定税率問題


 ―(ガソリンなどにかかる揮発油税の)暫定税率が廃止された場合の影響は。(当山氏)

 首里土木建築部長 本県の本年度の道路整備費は、直轄、県、市町村合計で一千四十七億円。財源内訳は、国庫金が約九割を占め、残りを地方税収等で賄っている。本年度の事業費を基に暫定税率が廃止された場合の影響額を試算すると、一千四十七億円のうち五百十三億円が失われる。


基地問題


 ―米軍嘉手納基地での即応訓練に対する県の対応は。(当山氏)

 上原知事公室長 県は、訓練通知を受けた二月八日、米軍および沖縄防衛局に、周辺住民に著しい影響を及ぼさないよう十分配慮することを申し入れた。県としては、米軍の訓練などにより、県民に被害や不安を与えることがあってはならず、県民の生命、生活および財産へ十分に配慮すべきであると考える。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802231300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月23日朝刊)

[再発防止策]

これでは納得できない

 米兵による暴行事件を受け、日米両政府は、性犯罪などの発生を防ぐための当面の措置を発表した。

 どんな再発防止策も、それが組織の隅々に浸透し、目に見える効果を発揮するのでなければ、机上のプランにすぎない。求められているのは実効性である。

 駐日米大使や在日米軍司令官、在沖米四軍調整官らがこぞって謝罪し、綱紀粛正を約束したにもかかわらず、その後も米兵による不祥事が後を絶たないだけに、なおさらだ。

 だが、公表された再発防止策は、日米で調整中の事項を具体的な内容も決まらないうちに大急ぎで表に出したもの。これといった決め手もなく、どうしても隔靴掻痒の印象がぬぐえない。

 当面の再発防止策として政府は、基地外に住む米軍関係者の人数などの情報を年に一回、各市町村に提供するほか、基地外居住の基準についても、日米で再検討することを明らかにした。

 政府によると、基地外に住む米軍関係者は一月末現在、一万七百四十八人で、県内に居住する米軍関係者の約24%を占めるという。この数字は、米軍からの情報提供を受けて、政府が、国会議員の質問主意書に対する答弁書の中で明らかにしたものだ。

 基地外居住者の人数把握は、自治体が当然、掌握しなければならない事項であって、再発防止策以前の問題である。

 基地外居住者もさまざまな行政サービスを受けており、仮に火事にでもなれば、民間の消防のお世話になるはずだ。地位協定の壁に阻まれ基地外居住者の実態把握ができなかったこれまでの状態が、異常だといわなければならない。

 このほか、再発防止策として(1)米軍と警察による共同パトロール(2)防犯カメラの設置―などが挙がっている。

 共同パトロールについては、米軍憲兵が同行した場合、容疑者の身柄が米軍側に拘束される可能性があるため日本側が強く難色を示している。これだけ広大な米軍基地を抱える沖縄で何人をパトロールに投入できるのか。いつ、どこを恒常的にパトロールするのか、という実効性の問題もある。

 政府は引き続き、日米合同委員会を通じ、再発防止策を協議していく考えだという。

 過去の再発防止策のどこが不十分だったのか、なぜ、事件・事故が繰り返されるのか、を根本的に洗い直さない限り、実効性は期待できない。

 この際、既存の日米合同委員会ではなく、沖縄の民意がきちんと反映されるような別組織を設けて、検討すべきではないか。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080223.html#no_1

 

琉球新報 社説

米兵事件再発防止 もっと効果策があるはずだ

 「まずできることから出した」(高村正彦外相)として示されたのが22日に発表された政府の米軍関係者事件再発防止策である。確かにその通りだ。これまで事件のたびに示されてきた対策の繰り返し。県民の多くは効果的な対策として受け入れないだろう。県民の求めているのは、こんな場当たり的な対策ではない。現段階で最も効果的な対策は日米地位協定の抜本見直しであることを、政府は分かっているはずだ。なぜ目をそむけるのか。

 今回の米兵による女子中学生暴行事件で浮き彫りになったのは、基地外に居住する米兵の管理の問題であった。当該自治体が懸念していたことが現実となり、事後の対応の焦点ともなった。

 これまで基地外居住の米軍関係者の数は公表されていなかった。高村外相が米軍から得た新たな情報として明らかにしたが、それによると1万748人である。政府は同日、基地外居住の許可基準も初めて明らかにした。四軍それぞれ細かく規定されているが、基本としては単身の下級兵士、特定重要配置の兵士以外は認められるという緩い基準であることが分かった。

 対策として挙げられたのは許可基準を日米で再検討するというものだ。管理徹底のためには、基準をより厳格化することが求められるだろう。基地外居住人数など情報を各市町村に年1回提供するという対応は、これまでなされなかった方がおかしい。

 事件発生のたびに苦々しく思うのは、米軍はもとより日本政府の基地問題対応の怠慢である。基地外居住問題に関して、県が収集・開示できた米軍情報に対して沖縄防衛局が消極的対応に終始した問題は、その象徴であろう。

 政府が発表した再発防止策について高村外相は「それなりの効果はある」としながら「これで(米軍の犯罪が)なくなるとは誰も言えない。継続的な努力が必要だ」と強調した。

 この発言は大きな意味がある。基地がある限り米軍関係者の犯罪は続くと、外相自ら認めたようなものだ。

 最も望まれる対策は、米軍基地を撤去することだ。または本県に集中する基地を県外に移転し、負担を軽減していくことも目に見える効果があるはずだ。緊急的になしうる現実的な対応は、日米地位協定の抜本見直しである。

 同様に米軍基地を抱える神奈川県の松沢成文知事も「運用を改善して対応するのは限界に来ていると思う」と、見直しを求めている。本県だけの問題ではないのだ。対応を誤れば、批判の矛先は日本政府にも向かう。今回の再発防止策だけでは納得できない。

(2/23 9:48)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31589-storytopic-11.html

 

2008年2月23日(土) 夕刊 5面

戸惑う基地の街 米兵外出禁止令

犯罪イヤだけど客が来ないと・・・雰囲気は守りたい

 【沖縄】米兵暴行事件による外出禁止令が始まり、初めての週末となった二十二日夜。普段は米兵でにぎわう沖縄市のコザ・ゲート通りは、人影も少なく、閑散とした。この日、外務省は再発防止策として防犯カメラの設置を盛り込んだが沖縄市は市民のプライバシー保護の観点などから、慎重姿勢を崩さない。一方、以前からカメラの設置を求めてきた市内の経済団体は事件の抑止効果を期待する。戸惑う基地の街を歩いた。(中部支社・吉川毅、又吉健次)

 胡屋十字路と嘉手納基地第二ゲートを結ぶコザ・ゲート通り。事件の影響からか、米兵だけでなく日本人の姿もまばら。ライブハウスの演奏メンバーが、外出禁止措置で基地外の自宅から出られず、急きょ演奏を中止した店もあった。

 通りでライブハウスを経営する男性(57)は「米兵が来ないと分かっているが、日本人客は来るから」と店を開けた。

 ステージにも出演するが「客が来ないと思うと気持ちが乗らない」とぼやく。

 防犯カメラの設置で犯罪抑止に期待する。店にカメラを設置してから、暴れる兵士が少なくなったといい、「通りを歩けば、誰かに見られている。プライバシーの問題はないはずだ」。

 客の九割が米兵というタトゥー(入れ墨)ショップの客はこの日二人だけ。男性従業員(22)は「犯罪は問題だけど通りは栄えてほしい」と語る。防犯カメラについては「難しい問題なので何とも言えない」と口ごもった。

 コザ商店街連合会の親川剛会長は「防犯カメラが切り札になるとは限らないが、抑止力にはなる」と強調。「コザ独特の雰囲気を守るために、私たちとしては市に対して防犯カメラ設置を強く要望していく」と意気込んだ。

 夕方、コザ・ゲート通りに買い物に来た高校一年の女子生徒(15)は「カメラがあっても、別の場所で事件を起こすだけ」と、効果を疑問視する。

 コザ・ミュージックタウンに食事に来た高校三年の女子生徒(18)は「いろんな国籍の人がいるからこそ、コザの雰囲気も出る。だけど、(米兵は)怖いと思うこともある」と話した。

 二十一日に開かれた市議会総務委員会では、防犯カメラ設置問題が取り上げられ、委員が市の取り組み状況について質問。市は、設置要請した十四団体などから意見聴取したと報告した。

 東門美津子市長は「市民のプライバシー、防犯面で設置に賛否両論がある。市民の意見を聞き、慎重に判断したい」と話している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802231700_01.html

 

2008年2月24日(日) 朝刊 23面 

米兵暴行事件/PTAが巡回調査

 【北谷】相次ぐ米兵による暴行事件を受け、北谷町PTA連合会(仲地泰夫会長)は二十三日、同町内全域を巡回し、危険個所を調査した。町内小中学校の保護者や教諭が美浜、北前など三グループに分かれ、人通りの少ない公園やトイレの場所などをチェックした。

 町内六小中学校では、各校のPTAが登下校時や夜間に防犯パトロールを実施している。暴行事件発生後、あらためて危険個所を把握し、今後のパトロール活動に生かそうと調査に乗り出した。

 午後八時に町役場を出発。外国人の多い砂辺の公園では高校生から「外国人も多く利用し、けんかなどトラブルもある」など地域の状況を聞き取った。同会は三月二日に緊急報告会を開催し、保護者へ調査結果を伝える。仲地会長は「保護者は危険個所の情報を子どもに伝え、防犯についてしっかり対話してほしい。調査を基にした町全体の安全マップも作成したい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802241300_04.html

 

琉球新報 社説

検定制度の改善 審議の完全公開を望む

 教科書検定制度の正常化に向けて、新たな一歩となることを切に希望したい。私たち県民にとっては、より切実な問題だ。沖縄戦中の「集団自決」(強制集団死)をめぐる高校歴史教科書に検定意見が付いた件で制度の不透明さ、不合理さに声を上げてきた経験があるからだ。

 渡海紀三朗文部科学相が22日、検定制度の改善策について言及した。閣議後の記者会見で述べたもので、大臣は「教科書検定制度の透明性の向上や、専門的見地からの検定の在り方を議論してもらいたい」と、教科書検定審議会に対し、改善策の検討を要請することを明らかにした、という。

 例えば、非公開となっている検定審の審議について、議事要旨の公開などを検討する。これについては、私たちは審議の完全公開を要求したい。そもそも、児童生徒に教える教科書が、なぜ密室で決められるのか。公開で不都合なことでもあるのだろうか。その弊害が、先の「集団自決」問題で明らかになったのではないか。

 また、専門的な内容を検定する際の委員構成などについても検討するという。「集団自決」検定の際、日本史小委の中に沖縄戦の研究者が一人もいなかった、という事実を思い起こしてほしい。これでは文科省の職員の思いのままということも指摘してきた。実質的に現在のシステムは国定制度となっている、とも主張してきた。

 冒頭、県民にとって切実、と書いた。しかし、事は沖縄だけの問題ではない。今のままの検定制度では、いつどこの地域でも起こり得る可能性がある。地域の問題ではなく、全国的な関心が必要とされるゆえんだ。

 検定審は28日にも総会を開き、「総括部会」の中に具体的な改善策を話し合うワーキンググループを設置する予定だ。その審議過程もぜひ、公開にしてほしい。

 李下に冠を正さず。これまで指摘したように、文科省の教科書調査官の不可解な介入が検定の不透明性を助長したのは、見てきた通りだ。この際、調査官の役割も含めて、徹底的に見直しを進めてほしい。

(2/24 9:57)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31621-storytopic-11.html

 

琉球新報 社説

文民統制 正常に機能しているのか

 組織が正常に機能しているか、どうか。どうすれば分かるのだろうか。不測の事態が起こった場合の対応を見れば、大体は想像がつく。普段から組織の規律が緩んでいたとしたら、不祥事の際、次々とぼろが出てくる。イージス艦による漁船衝突事故を起こした後の海自を含めた防衛省のあたふたぶりを見ていると、その感をますます強くする。

 前防衛事務次官の汚職事件に始まってイージス艦機密情報漏洩(ろうえい)事件、元海幕防衛課長の給油量隠ぺい問題、航海日誌の誤廃棄。いずれも、最近、相次いで発生した不祥事だがパターンは同じだ。発表、訂正、釈明、謝罪…。その場しのぎに終始し、結局、問題の本質は明らかにされない。ひと言でいえば、組織の隠ぺい体質がより印象に残っただけだ。

 事故が起きた19日、石破茂防衛相は夕方の自民党部会で、あたごの見張り員が漁船を見たのは2分前だった、と公表した。ところが、同日午後の海上幕僚長の会見で、そのことは明かされていない。防衛部長が防衛相の発言内容に慌てて追認したのは、午後11時になってから。見張り員が清徳丸を視認したのが、実は12分前だったことも、自民党部会で初めて公表されている。夜になって防衛部長が釈明する光景が繰り返されたが、これなども「情報隠し」と疑われても仕方がない。一事が万事だ。

 事故前後の模様が、僚船などの証言から次第に明らかになってきている。普段から漁船のほうが自衛艦を避けてきたというのだ。衝突防止法で自衛艦側に回避義務がある場合でも。あたごの見張り員も「向こうがよけると思った」とも述べており、事故はいつ起きても不思議ではない状態だったということになる。さらに、あれだけ船舶が過密な場所で自動操舵(そうだ)のまま突っ走る、というのが普通だったというから驚きだ。広い公海ならいざ知らず。たがが緩んでいるというか、おごりさえ感じる。

 一方、組織として文民統制(シビリアンコントロール)が、正常に働いているのかどうか。残念ながら、これもまた、疑わしい。事故の一報が防衛相や首相に伝えられたのが1時間半から2時間後というのだから、あきれるばかりだ。自衛活動ではなく、単なる事故という判断だとしたら、大きな間違いだ。勝手な思い込みが、取り返しのつかない事態を招くことだってあり得るだろう。

 背景に背広組(内局)と制服組(自衛隊)との確執があるなら事態はより深刻。文民統制の危機が杞憂(きゆう)であることを祈るしかない。

 防衛省の組織再編案を策定する「改革推進チーム」が、議論を始めた。多くの課題があるが、国民の納得できる結論が必要だ。

(2/24 9:58)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31622-storytopic-11.html

 

2008年2月25日(月) 朝刊 2面

政府防止策は暫定/米兵暴行事件テレビで見解

高村外相、検討継続を強調

 【東京】高村正彦外相は24日朝のNHK番組で、米兵暴行事件を受けて政府がまとめた再発防止策について、「当面の対応であり、十分なものとは思っていない。本当に実効的な綱紀粛正、再発防止策を打ち出していかなければならない」と述べ、今後も継続して検討していく考えを強調した。

 一方、事件を受け、米軍関係者の基地外居住に厳しい見方が強まっていることについては「基地の外に住まない方がいいということではない。外に住む人たちに適格性があるか、方針をきっちりしてほしいということだ」と述べ、あくまで居住条件の見直しで対応する考えを示した。番組には国際問題アドバイザーの岡本行夫氏、琉球大学の我部政明教授(国際政治)も出演。

 岡本氏は「米軍内に『成人男子が沖縄だけで二万人以上おり、人口数万の都市に匹敵する規模だ。米軍はとにかく犯罪は防止するが、犯罪ゼロは無理』という人がいるが、間違いだ」と指摘。

 その上で「司令官が代わるたびに規律が緩んだりするが、東アジアの安全保障を維持するということと同じぐらい、事件・事故を撲滅することが大事だということを、常に引き継ぎで教育しなければいけない」と強調した。

 我部教授は、「(政府は)米軍全体や基地の中の犯罪をどれだけ把握しているのか。そういう状況を分からないまま(基地の)外だけで防止しようとしても、たぶん(米軍犯罪の撲滅は)無理だ」と説明した。

 一方、在日米軍再編への影響について我部教授は「米軍再編は、軍事的な観点からつくられた。しかし、今回の事件で(沖縄の基地の)政治的、社会的なコストをどう払っていくかが提起されている」と指摘し、米軍再編を見直すべきだとの考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802251300_02.html

 

2008年2月25日(月) 夕刊 5面

基地内 空き家アリ/「満杯状態」米軍説明と矛盾

 米兵暴行事件に関連し、在沖米海兵隊が、県議会基地特別委員会に対し「基地内の住宅が満杯のため基地外の居住を許している」と説明していることに疑問の声が出ている。基地従業員など関係者は「基地内に空き家はたくさんある」と指摘する。基地外に住む米軍関係者の数を外務省は一万七百四十八人と発表。市民団体は「一万人の米兵が県民の生活の場を侵食している」と批判を強めている。

 浦添市の牧港補給地区南西部。キンザー小近くに九階建てマンションが十棟以上並ぶ。部屋数は一棟八十ほど。実際に建物内を見た複数の関係者の話では、人の住む気配のない棟が少なくないという。


事実言わない


 仕事で基地に出入りする女性は「ここは前からガラガラ。『満杯』との説明を新聞で知り、うそだと思った。一万人が外に住まないといけない状況ではないはずだ」。日米政府が基地外居住の厳格化を検討することに「今も本当のことを言わないのに、信用できるわけがない」と切り捨てた。

 北中城村のキャンプ瑞慶覧。石平のゲート右側に広大な住宅地がある。二階建てで一棟四世帯の庭付き住宅が約八十棟。数カ月前に完成したが、入居者はほとんどいないという。建物前には日本語と英語で「この建物は日本政府の予算で建てられています」の看板も。

 請負業者は「入居していない理由は分からない。国の発注で造り、引き渡しただけ」と説明する。

 基地で働く四十代男性は「(キャンプ瑞慶覧の)住宅街に人が住んでないのは有名な話。ほかの基地でも空き家は多い」と話し、「せめて、現在、基地の外に住んでいる一万人をすぐに基地内の空家に戻してほしい」。


「基地外基地」


 一方、本島中部では、米軍関係者の民間地への「転入」が目立つ。北谷町の宮城海岸沿いでは、広範囲で外国人向けの新築一戸建てやマンションがびっしり立ち並び、Yナンバー車が行き交う。付近では本土ゼネコンが施工する八階建て二棟の建物も完成間近。敷地入り口には、地元自治会の「もう基地外基地は要らない」の看板がある。

 沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は、「思いやり予算で住宅手当もあるのだろう。だから基地の外に住める。日本政府が基地拡大を支えている」と話す。

 事件後、情報を小出しにする米軍や政府を批判し「県民に実態が知らされず、民間地域の『基地化』が進み、痛ましい事件も起きた。外国人登録もしない米兵を、誰が管理できるのか」と語気を強め、「基地外居住の厳格化は当然だが、県民が納得できる基準を明示すべきだ」と訴えた。

 沖縄防衛局が十五日、県議会に行った説明では、二〇〇六年八月現在、在沖米軍施設内の住宅総戸数は約八千三百戸。一方、単身寮の扱いやマンション各世帯の算入法など内訳についての本紙取材には「複雑な問題で即答できない」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802251700_01.html

 

2008年2月25日(月) 夕刊 5面

那覇市長、国の対応批判/「腰が引けている」

 翁長雄志那覇市長は二十五日午前、市議会二月定例会で米兵による暴行事件について「断じて許すことのできない蛮行であり、激しい憤りを覚える」と批判し、政府の米国に対する対応については「腰が引けているのではないかと強く感じている」と疑問を呈した。

 翁長市長は、米兵による事件が相次いでいることについて「日米安全保障体制のひずみを一身に受けざるを得ないことに満身の怒りと理不尽さを感じる」とし「米軍基地があるが故に起きたことであり、いつまで耐え続けなければならないのか、県民への人権蹂躙まで認めたわけではない」と強調した。

 また、「運用改善だけでは対処できない事態」として日米地位協定の見直しと、県民の意見をまとめていくための県民大会の開催も必要だとした。


県議会に大会開催要請 6団体決定


 米兵暴行事件を受け、県婦人連合会(小渡ハル子会長)や県子ども育成連絡協議会(玉寄哲永会長)など六団体は二十五日までに、県議会が先頭に立ち県民大会を開催するよう求める陳情書を仲里利信県議会議長あてに提出することを決めた。

 二十六日の第二回県民大会実行委員会準備会で六団体以外の参加団体からも合意を取り付け、同日午後にも提出する。

 小渡会長と玉寄会長は「被害者のことを考えれば、何としても三月中に開催したい」と話し、実行委員長には「ぜひ仲里議長にやっていただきたい」と要望した。

 陳情書案では、「基地あるがゆえに沖縄県民の人権が踏みにじられてきた」とし、米軍の綱紀粛正の在り方や謝罪後も事件が続発していることを批判。

 二十五日現在で陳情に賛同しているのは、ほかに県老人連合会、県高校PTA連合会、青春を語る会、県青年団協議会。


米兵住民登録「是非含め検討」

県議会で公室長


 県議会(仲里利信議長)二月定例会は二十五日、一般質問が始まった。県は、昨年九月時点で米軍住宅検査事務所に登録されている住宅が六千九十八戸あり、そのうち五千百七戸が契約されていることを明らかにした。

 米軍施設外に住む米軍人等の住民登録を日米両政府に求めることへの見解を問われた上原昭知事公室長は、「基地の外に住む米軍人の外国人登録または住民登録の問題は、是非も含めてよく検討する必要がある」との考えを示した。


国頭村議会が事件に抗議決議


 米兵暴行事件を受け、国頭村議会は二十五日、再発防止を求める抗議決議と意見書案を全会一致で可決した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802251700_02.html

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