「普天間」移設現況調査、3項目を中止要請 米兵暴行事件、ライス氏「極めて遺憾」など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(2月26日から29日)

2008年2月26日(火) 朝刊 2面

3項目を中止要請/「普天間」移設現況調査

 県議会(仲里利信議長)二月定例会の一般質問初日は二十五日午後も続行された。米軍普天間飛行場の移設に向け、沖縄防衛局が名護市辺野古沖で行っている現況調査(事前調査)について、知念建次文化環境部長は(1)ジュゴンの食み跡調査でくいを使用(2)サンゴなどにかかるライン調査を実施(3)(県が同意していない)「マンタ法」によるサンゴの分布調査を実施―したのは、県が公共用財産使用協議で同意した調査以外であると指摘。「県から沖縄防衛局に対して中止を申し入れた」と述べた。玉城義和氏(無所属)への答弁。

 基地外に居住する米軍人への感染症対策について、伊波輝美福祉保健部長は「日米地位協定で、感染症法の適用に関する特段の取り決めがなされていないため、県としては協定見直しの中で、保健衛生に関連する国内法を適用する旨の明記を求めている」と述べた。渡嘉敷喜代子氏(護憲ネット)への答弁。

 新石垣空港への免税店設置の可能性について、仲田秀光観光商工部長は「新空港は将来の八重山圏域の振興発展に欠かせない地域拠点空港としてのみならず、台湾などアジア諸国とのゲートウェイとしての役割を担うものと期待されている」とした上で、「新空港の路線展開などの見通しを踏まえながら、国、関係部局、関係者と免税店設置の可能性について検討していきたい」と述べた。高嶺善伸氏(護憲ネット)の質問に答えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802261300_04.html

 

2008年2月26日(火) 朝刊 31面

米兵外出禁止を延長/来月3日に解除検討

 在沖米海兵隊報道部は二十五日、米兵による事件続発を受けた四軍対象の外出禁止措置を継続すると発表した。少なくとも一週間後の三月三日まで続け、同日に解除するかを検討する。

 在沖米軍トップのリチャード・ジルマー四軍調整官が二十四日に各軍司令官らと協議し、延長を決めた。兵士らは引き続き、任務や病院の受診など必要な用件がある時以外は基地内か、基地外の住宅にとどまることを義務付けられる。

 外出禁止は二十日朝から実施されており、三月三日までなら十三日間となる。


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「地位協定改定を」/沖縄市基地対策協、提言へ


 【沖縄】米兵による暴行事件を受け、米軍基地問題にかかわる沖縄市の自治会や婦人団体などの代表で組織する市基地対策協議会(会長・仲地清名桜大教授)は二十五日、市役所で緊急の会議を開き、日米両政府や米軍に対しより具体的な再発防止策を求めるよう東門美津子市長に提言することを決めた。市長の諮問機関である同協議会は、今週中に委員の意見を報告書にまとめて提言する。

 会議には各団体の代表が参加、事件の再発防止に向け「日米地位協定の改定が大前提だ」との統一見解を確認。さらに、事件の再発防止策について意見を交わした。

 反戦地主会の照屋秀伝会長は「われわれには被害者やその家族と一緒に悩み苦しむ責任がある。それがないと米軍犯罪の解決はあり得ない」と強調。米兵の外出禁止令について「商店街は職場を失うのと同じ。日米両政府や米軍が商業補償をすべきだ」と指摘した。

 こども未来ゾーン運営財団の東條渥子理事は「今後、米兵が事件を起こした場合、米軍への思いやり予算を削るなど強いペナルティーを科すべきだ」と語気を強めた。

 仲地会長は「これまで、米軍の事件のたびに陳情行政だけしかやっていない。新しい方法で抗議のアクションを起こさなければいけない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802261300_05.html

 

2008年2月26日(火) 朝刊 30面

大田昌秀さん、広島の学生に沖縄戦講話

 沖縄戦研究者で前参議院議員の大田昌秀さんが二十五日、戦跡巡礼のため来県した広島経済大学の学生ら六十人に、自らの戦争体験や基地問題を語った。今月発生した米兵暴行事件から教科書検定問題、基地問題、米軍統治から沖縄戦へと時代をさかのぼり、「本土による沖縄への差別構造」をキーワードに説明。戦時の状況を生々しく証言し、研究者として戦史や資料に基づき理論的に分析した。

 首里城公園内の第三二軍司令部壕跡近くで二時間以上、話し続けた大田さん。「口頭による軍命」で戦場に学徒動員された実体験や、米軍上陸前に司令官が「軍官民は共生共死」と訓示したり、軍命による「集団自決」、住民虐殺の実態を話した。

 その上で「原爆が投下された広島の若い皆さんが、沖縄戦を真剣に学ぶ姿に感謝したい。教育こそが戦争の道を防ぐことを、どうか忘れないでほしい」と訴えた。

 同大三年の杉原郁望さんは「僕たちの世代は、戦争の悲惨さを継承していく義務がある、と強く感じた」と表情を引き締めた。父親が沖縄戦で犠牲になった渡辺子さん(66)は「話を聞くうち、父の姿や思いが重なり、胸が痛くなった」と声を詰まらせ「平和の尊さを若者と伝えたい」と話した。講演は、同大学の岡本貞雄教授が企画した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802261300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月26日朝刊)

[イージス艦衝突]

多重ミスの疑いが濃厚

 海上自衛隊の最新鋭イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突は、あたご乗組員らの慢心や思い込みなどの多重ミスが原因だったのではないか。第三管区海上保安本部の調べが進むにつれてそんな疑いが深まっている。

 衝突時の当直士官は、交代前の当直士官から清徳丸を含む漁船団の存在について引き継ぎを受け、把握していたという。

 清徳丸が左舷からほぼ直角に衝突された状況から、海上衝突予防法上の回避義務があたご側にあったことはほぼ間違いない。交代後の当直士官が、見張り員や戦闘指揮所のレーダー員らに漁船団の接近を継続的に監視するよう適切に指示していれば、衝突は避けられた可能性が高い。

 これまでの調べで、あたごは衝突一分前まで自動操舵による直進を続けたことが明らかになっている。大型船の運航乗員にありがちな「小型船がよけてくれる」という思い込みの存在も指摘されている。

 あたごは最新鋭の対空レーダーのほかに航海用レーダーを搭載している。小型船が艦に接近し過ぎて船影がモニターに映らなかった可能性もあるが、レーダー員が追跡を命じられていれば対応の仕方もあっただろう。見張り員もしかりである。

 自動操舵による直進に至っては、漁船などの航行が多い現場海域の現状を考えると、とても妥当な操船だとは思えない。この点については石破茂防衛相も「適切ではないのではないか」と発言している。二十年前に起きた海自潜水艦「なだしお」が釣り船と衝突して三十人の犠牲者を出した教訓は何も生かされていないのではないか。

 官邸などへの事故連絡も大幅に遅れた。あたごが清徳丸に気付いたのは二分前ではなく十二分前だった、など事故の状況説明も二転三転した。

 国民を守るべき自衛隊が、またしても国民の命を奪ってしまった。防衛省は事実を深刻に受け止めなければならない。国民の信頼を失墜させた責任は重い。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080226.html#no_2

 

2008年2月26日(火) 夕刊 1・5面 

来月23日に県民大会/米兵暴行事件

 米兵による暴行事件を受け、県民大会の開催を目指す実行委員会準備会(仮称)は二十六日、三月二十三日午後二時から北谷町美浜周辺で県民大会を開く方針を決めた。

 同実行委は、県子ども会育成連絡協議会(玉寄哲永会長)や県婦人連合会(小渡ハル子会長)などで組織。那覇市の県婦人連合会会館で開かれた第二回会合には各団体の代表らが出席した。玉寄会長は「基地が存在する沖縄は、安心して生活できる環境にない。県民大会では、日米地位協定の改定を訴えたい」と決意を述べた。


日米地位協定の運用拡充検討も

米兵暴行で外相


 【東京】高村正彦外相は二十六日午前の閣議後会見で、米兵暴行事件を受けて民主党、国民新党が日米地位協定の運用改善拡充を求めていることについて「どの部分かということがあるが、そういうことは、常に日米合同委員会で話し合うべきで、幅広く検討していくつもりだ」と述べ、前向きに検討していく考えを示した。

 二十七日に来日するライス米国務長官との会談については「先般起こった、忌まわしい事件についても触れることになるだろう」と明言。高村氏がライス長官に対し遺憾の意を伝えるとともに、再発防止に向けて日米が連携して取り組む方針で一致するとみられる。


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千葉県議会が意見書


 米兵による暴行事件で千葉県議会は二十六日、被害者への謝罪や補償、米軍基地の整理縮小などを政府に求める意見書を全会一致で可決した。事件について意見書は「断じて許すことができない卑劣な行為」と非難。「米軍の綱紀粛正への取り組みに疑問を抱かざるを得ない」とし、再発防止や兵力の削減を求めている。


住居侵入容疑の米兵釈放/県警本部長


 県警の得津八郎本部長は二十六日の県議会で、米軍キャンプ・シュワブに近い名護市の民家に無断で上がり込んだ住居侵入容疑で十八日に現行犯逮捕した同基地所属の海兵隊員、ショーン・ジェイク伍長(21)が釈放されたことを明らかにした。名護署によると、那覇地検が二十五日夜、釈放した。

 ジェイク伍長は十八日午前四時二十五分ごろ、侵入先の名護市辺野古の民家で名護署員が現行犯逮捕。酒に酔っており「どうやって入ったのか覚えていない」と供述していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802261700_01.html

 

2008年2月26日(火) 夕刊 1面

地元への配慮強調/V字形沖合移動

 【東京】石破茂防衛相は二十六日午前の衆院安全保障委員会で、米軍普天間飛行場移設に関し、町村信孝官房長官がV字形滑走路の沖合移動に柔軟姿勢を示したことについて、「『リップサービスに終わらないように』という指摘を心していかなければいけない」と述べ、同長官の発言に理解を示した。安次富修氏(自民)への答弁。

 安次富氏は町村官房長官が今月七日に開かれた政府と地元の協議会で、「地元から話のあった沖合修正もしっかり念頭に置き、できるだけ早い時期に決着が図られるよう最大限の努力をしたい」と述べたことを指摘。石破氏に「米側を説得できなければ、単なる沖縄へのリップサービスと受け取られかねない」と詰め寄った。

 石破氏は「合理的な理由がない限り変更は困難だが、沖縄の気持ちに思いを致しながら作業を進めなければいけない」と地元への配慮の重要性を強調。「リップサービスに終わらせると考えたことは一度もない」として、沖合移動も選択肢に協議を続ける考えを示唆した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802261700_03.html

 

2008年2月27日(水) 朝刊 1・2面

県議会に協力要請/来月23日県民大会開催

全市町村議会が抗議決議可決へ

 米兵による暴行事件を受け、県民大会の開催を目指す実行委員会準備会(仮称)は二十六日、県民大会を三月二十三日午後二時から北谷町の北谷公園で開く方針を決めた。今月二十八日までには県内の全市町村議会で暴行事件への抗議決議が可決される見通しで、同準備会はこうした県民世論を背景に「超党派の結集」を呼び掛け、「県議会が中心となって県民大会の開催を」と求める陳情書を県議会に提出した。

 準備会では県子ども会育成連絡協議会(沖子連)の玉寄哲永会長が「県民の意識が高いうちに大会開催を」と、三月二十三日の開催を提案し了承された。晴天時には公園内の北谷球場を、雨天時には北谷ドームを会場にする予定で調整を進めている。

 大会は、名称を「米兵による少女・婦女子への暴行事件に抗議する県民大会」とし、在沖米軍基地の整理・縮小や、日米地位協定の抜本的な見直しを日米両政府に求める方針。沖子連や県婦人連合会(沖婦連)など六団体を中心に、市民団体や経済団体に幅広い参加を呼び掛ける。大会開催資金は県民にカンパを呼び掛けるという。

 準備会の後、玉寄会長と沖婦連の小渡ハル子会長が県議会を訪れ、議会事務局に仲里利信県議会議長あての陳情書を託した。玉寄会長は「事件のたびに日米両政府は『二度と起こさない』と言うが、事態はほとんど変わらない。『安心して安全な暮らしをしたい』という県民の思い、沖縄の心を伝えるために県民が意思表示することが大切」と大会の意義を訴えた。

 大会実行委員長への就任を要請されている仲里議長は「県民大会というからには、委員長就任には県議会の同意が必要となる。米軍基地関係特別委員会で陳情書について議論してもらい、対応を決めたい」と話した。

 二十六日には、久米島町議会と座間味村議会が米兵暴行事件への抗議決議をしており、県内で抗議決議案を可決した市町村は四十になった。残る南大東村議会も二十八日、抗議決議案を可決する見通しだ。小渡会長は「本来は知事や県議会が先頭に立ち、県民の結束を呼び掛けるべきだ。全市町村議会が抗議決議すれば、県民の代表である県議会も動かないわけにはいかなくなる」と期待する。


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比嘉氏発言4時間空転/「知事は言葉でセカンドレイプ」


 県議会(仲里利信議長)二月定例会の一般質問で二十六日、米海兵隊員による暴行事件に対する仲井真弘多知事の答弁に対し、比嘉京子氏(社大・結連合)が「知事は言葉で少女をセカンドレイプしている」と発言。撤回を求め与党から猛クレームが付き、約四時間にわたり、空転した。

 一時は比嘉氏に対する懲罰動議の動きも出て事態は緊迫したが、議長斡旋案で収拾。県民大会の開催方針が決まった直後の与野党の「衝突」で、超党派での大会開催を危ぶむ声も出ている。

 暴行事件の関連で「アジア・太平洋地域の安全と少女の安全を守ることのどちらが大切か」との質問に、仲井真知事が「アジア・太平洋地域の安全と少女の安全は守ることのどちらが大切かは選択、比較できるものではない。少女の安全を大切に考えるのは当然」と答えた。

 これに対し、比嘉氏は「県民の人権を預かる最高責任者としての認識が欠落している。言葉で少女をセカンドレイプしている」と批判した。

 比嘉氏の発言に、与党は「知事の人格を傷つけ、議会の品位をおとしめた」と反発。比嘉氏に謝罪と発言の撤回を求め、「応じなければ、懲罰動議にかける」と示した。比嘉氏ら野党側は当初、「発言は不適切であり、撤回する」と応じたが、与党側は「仲井真知事や議会に対する謝罪がない」と収拾案を拒否。自民は一時、懲罰動議を決め、対立は頂点に達した。

 与党の強硬姿勢に対し、野党内部で「発言を撤回する必要はない」という意見もあったが、「暴行事件を抗議し、再発防止を求める県民大会に向け、超党派の結束が図れない」「県議会内の決定的な分裂は避けるべきだ」という意見が大勢を占め、早期収拾に動いた。

 仲里議長の斡旋案を与野党が受け入れ、比嘉氏が本会議で「知事の人格を傷つけ、議会の品位を冒涜する不適切な発言である。知事、議員、県民に謝罪し、発言を撤回する」と発言し、空転劇は幕を閉じた。

 野党側は「県民大会に向けて、与野党との協議を進めたい」とする一方で、与党内部には「基本的な政治姿勢の相違だけではなく、感情的な摩擦が生じた。超党派大会は無理だ」と否定的な発言が相次いだ。


地位協定改定へ連合が全国集会検討


 連合九州ブロック代表者会議のため来県した高木剛・連合会長は二十六日、那覇市内で記者会見を開き、米兵による暴行事件の再発防止に向け、米軍基地縮小や日米地位協定の見直しなどを訴える集会を連合として検討する考えを示した。

 高木会長は、参加した九州各県の連合代表からそうした集会を求める声が上がったことを紹介、「連合内部でも米軍基地を抱えている県の連絡組織があり、相談して何か考えてみたい」と述べた。

 同席した古賀伸明事務局長は「沖縄だけにとどまらず、例えば神奈川で日米地位協定の改定問題も含めてやるといったことも検討したい」として、来月開催が決まった県民大会とは別に、全国規模でアピールする集会にしたいとの意向を示した。開催地や規模などは今後検討するという。

 関連して、高木会長は二十八日に高村正彦外相に対し、事件の再発防止策強化や日米地位協定見直しなどを申し入れることも明らかにした。

 高木会長は衆院沖縄3区など、次期衆院選に向け野党系候補が競合する選挙区について「調整がつかないままで自民党に漁夫の利を与えることにならないよう、第一義的には政党間で調整してもらいたい」と述べ、連合本部としては側面から一本化を促す考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802271300_01.html

 

2008年2月27日(水) 夕刊 5面

米兵を起訴猶予/辺野古の民家侵入

 酒に酔い、名護市辺野古の民家に入り込んだとして、住居侵入容疑の現行犯で逮捕、送検されていた米海兵隊キャンプ・シュワブ所属のショーン・ジェイク伍長(21)について、那覇地検は二十五日付で不起訴処分(起訴猶予)とした。

 那覇地検によると、ジェイク伍長が被害者側に一定の金員を支払って謝罪。被害者側がジェイク伍長の処罰を望まない意思を示したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802271700_03.html

 

2008年2月28日(木) 朝刊 1・2面

ライス氏「極めて遺憾」/米兵暴行事件

再発防止へ日米協力

 【東京】ライス米国務長官は二十七日、来日し、福田康夫首相、町村信孝官房長官、高村正彦外相、石破茂防衛相と相次いで会談した。ライス氏はそれぞれの会談の冒頭、米兵による暴行事件について「極めて遺憾であり申し訳なく、深刻に受け止めている」などと謝罪。日米で再発防止に全力を挙げて取り組む方針を確認した。高村氏との会談でライス氏は在日米軍再編について、「(日米で)合意された計画をしっかり実施することが重要」と述べ、日米合意通りに進めていくとの従来の方針を強調した。

 日米地位協定の見直しについては、日米いずれも言及しなかった。

 高村氏との会談を終え、共同記者会見に臨んだライス氏は「ブッシュ大統領の名において、米国民を代表して、また、自分の気持ちを含めて遺憾の意を述べた。被害者と家族のことを大変心配している」と述べ、事件を深刻に受け止めていることを強調した。

 その上で「このようなことを決してわれわれは望んでいない。将来こうしたことを防止するために、日本政府とも協力しながら(再発防止を)やっていきたい」と述べ、再発防止に全力で取り組む決意を表明した。

 これに先立ち、ライス氏は防衛省で石破氏と会談。石破氏は米軍再編に関し、「特に沖縄(の基地問題)は、日本だけでなく、米国にとっても重要。そういう観点から今回の事件は、同盟関係にとって不幸だ」と述べ、事態の深刻さを強調。

 その上で両政府の誠実な対応と状況改善に向けた方向性が、県民の目に見える形で示されることが重要だと指摘し、「素早い具体的な措置が必要だ」と述べた。

 一方、福田首相は、日米同盟に関し、「日米関係は着実に進展しており、同盟強化に取り組んでいきたい」と表明。これに対しライス氏も「日米同盟は極めて重要だ」と応じた。両氏は、北朝鮮の核・拉致問題解決に向け日米、日米韓で連携を図っていくことも確認した。

 また、首相は七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で主要議題となる地球温暖化対策への協力を要請。ライス氏は「気候変動問題への対処は経済成長とのバランスが重要」と指摘し、日米の緊密な連携が重要との認識で一致した。


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「ライス氏と会えず残念」/名誉ばん回狙った知事


 仲井真弘多知事は二十七日の県議会二月定例会の一般質問で、来日したライス米国務長官への面談を打診したものの、日程上の都合で実現しなかったことを明らかにした。嶺井光氏(自民)の質問に答えた。

 県幹部によると、ライス長官との面談は仲井真知事の指示を受けて先週、外務省に打診。しかし、同長官の日程がハードだったこともあり、外務省から二十六日、「面談は困難」との連絡があったという。

 知事サイドは、長官との面談に備え、知事が開会中の議会を欠席する手続きなども含めて議会側とも水面下で調整。米兵暴行事件に対する仲井真知事の対応に「生ぬるい」と野党からの追及も強まっていただけに、県側は、同長官との面談は、知事の強い姿勢を内外に示す絶好の機会としてギリギリまで調整を続けていた。

 本会議で、仲井真知事は「面談が実現しなかったことは誠に残念だ」とした上で、「長官からは『(事件は)遺憾で起きてはならない事件だった』とのコメントがあったと聞いている。再発防止の徹底や沖縄の基地問題の解決促進につながるものと考えている」と一定の評価を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802281300_01.html

 

2008年2月28日(木) 朝刊 2面

北谷・沖縄市に半数/基地外居住

 【東京】防衛省は二十七日、米兵暴行事件を受けた再発防止策に関し、基地外に居住する米軍関係者の人数を全国の市町村別で公表した。県内では二〇〇七年三月末時点で、一万三百十九人が基地外に居住。その半分以上が沖縄市、北谷町に集中している実態が明らかになった。

 県内の基地外居住者数をめぐっては、政府が二十二日、今年一月末時点で、一万七百四十八人と発表しており、十カ月で四百二十九人も増加している。

 人数は在日米軍司令部から提供を受けたもので、〇七年三月末時点での基地外居住米軍関係者は全国で二万千八百八十五人。その約半分を沖縄が占めている。

 市町村別で最も基地外居住者が多かったのは、米軍横須賀基地を抱える神奈川県横須賀市で、三千四百二十人だった。次いで、嘉手納基地などを抱える北谷町が二千八百九十三人で、県内最多。

 県内ではそのほか、沖縄市が二千七百五人、うるま市が千三百三十四人、読谷村が千二百二十三人で、いずれも本島中部地区で基地に隣接する自治体に集中しているのが特徴だ。

 米兵暴行事件を受け、政府は二十二日、基地外に住む米兵の実態把握と居住許可基準の厳格化を柱とした再発防止策を発表。米側が基地外居住者の人数を年に一度、日本側に提供し、日本政府が所在市町村と共有することが盛り込まれ、今回はその一環として公表された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802281300_03.html

 

2008年2月28日(木) 朝刊 23面

「多忙」で面会拒否したのに・・・メア総領事は店でコーヒー

 米兵暴行事件に抗議するため、米総領事館を訪れた市民団体が二十七日、「多忙」を理由に面会を断ったはずのケビン・メア総領事が領事館近くでゆったりとコーヒーブレークを楽しむ姿を発見、店の前で抗議横断幕を掲げ抗議行動する“騒動”となった。沖縄平和市民連絡会の平良夏芽共同代表は「県民をばかにしている。時間を割いてでも対応すべきだ」と批判した。

 同連絡会は事前に総領事との面会を求めたが領事館側は「抗議文なら郵送してほしい。総領事は多忙で時間が取れない」と返答したという。平良共同代表は「誰でもいいから手渡したいという話になり、面会時間を設定した」と主張。

 対する総領事館側は「(総領事の)アポは取られていなかった」としている。また、領事館側は沖縄タイムスの取材に対し、「総領事は不当抗議行動で逮捕された人とは会わないとしている」と回答。基地建設の阻止行動で逮捕された後、不起訴となった平良共同代表は「いかに人権意識がないか分かった」と猛反発している。

 沖縄人権協会の永吉盛元事務局長は「逮捕歴があるから面会拒否なんて考えられない。基地権力の本質がよく表れている出来事」と話した。


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「知事訪米同行も視野」/東門市長


 【沖縄】米兵による暴行事件に関連し、東門美津子沖縄市長は二十七日の市議会(喜友名朝清議長)二月定例会の代表質問で、日米地位協定の抜本的な見直しの必要性を強調し「政府中央に対する再度の抗議要請を含め、仲井真弘多県知事の訪米に同行することも視野に入れ行動したい」と述べた。

 事件に対しては「基地あるが故に起こるこのような事件は決して許されるものではない」と厳しく批判した。宮城一文氏(市民クラブ)、仲村未央氏(護憲フォーラム)の質問に答えた。


全国婦連、抗議決議へ


 京都府内で開幕した全国地域婦人団体連絡協議会の全国大会で、県代表の小渡ハル子会長が、米兵暴行事件に抗議する決議案を二十八日の理事会に提出することが、分かった。小渡会長によると決議文案は各地域代表に配布済みで、大方の了承を得ており、決議される見通し。

 小渡会長は「全国の婦連が集まる会議で決議される意味は重い。この決議を持ち帰り、県民大会に弾みをつけたい」と話した。

 大会は二十七日開幕。全国四十七都道府県と三政令都市の婦人連合会代表者らが集い、意見交換を行う。昨年十月には、教科書検定意見撤回を求める決議をし、文部科学相へ要請も行っている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802281300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月28日朝刊)

[基地外拳銃携帯]

違法命令に厳正な対応を

 在沖米海兵隊基地の日本人警備員が実弾の入った拳銃を携帯したまま、基地外を移動していたことが明らかになった。外務省は「警備員が外で銃を携行することは禁じられている」と明言し、県や県警も問題視している。

 基地外での携帯は銃刀法違反に当たり、地位協定からの逸脱としか言いようがない。米兵の不祥事が相次いでいる中、どういう神経なのか。今回は米軍人の憲兵隊司令官が拳銃携行を文書で命じていたというから驚かされる。

 日本人警備員が基地外を移動したのは今月十一日と十二日で、延べ五十九人が腰に拳銃を携帯し、軍用車や徒歩でうるま市のキャンプ・コートニーとマクトリアス間を移動したという。

 従来、日本人警備員が基地外に出る際は、米軍人の憲兵が拳銃を預かり、基地内に移動後に再び渡していた。海兵隊を除く三軍では現在も同様の管理をしている。当然のことである。

 日本人従業員らの証言によると、命令で基地外での携帯を強いられた。さらに拳銃を携行しなかったり、外部に知らせたりした場合は処罰の対象になるとの通知もあったようだ。

 複数の警備員の証言を踏まえると、憲兵隊司令官ら幹部は基地外での日本人警備員の拳銃携帯が違法であることを認識していた可能性がある。

 基地警備員の拳銃携行は一九八三年から義務付けられ、二〇〇一年九月の米中枢同時テロ以降は警備も厳しくなった。それだけに違法な命令を見過ごすことはできない。

 沖縄防衛局は、米軍側の回答を受けて再発防止を申し入れているが、それだけで済ませるわけにはいかない。

 民間地域での拳銃携帯の違法性を知らなかったのか、違法性を認識した上で命令を出していたのか、事実関係を明らかにすべきだ。いずれのケースにせよ問題がある。

 憲兵隊司令官らが違法性を十分認識した上で基地外での拳銃携行を命じていたとすれば由々しき問題であり、在沖米軍は憲兵隊司令官ら幹部に問いただし、厳正に対処してもらいたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080228.html#no_2

 

琉球新報 社説

日本人警備銃携行 基地内外問わず廃止を

 在沖米軍基地の海兵隊憲兵の日本人警備隊員延べ59人が11、12の両日、憲兵隊司令官の指示で、弾丸が装てんされた拳銃を携行して民間地に出ていたことが分かった。

 外務省は「日本人警備員が銃砲等を施設区域外で携行することは禁止されている」と、米軍の規定に違反すると明確に指摘。本間浩法政大教授は「日本の銃刀法違反に当たる」としている。

 違法行為を文書で指示した司令官は「日米の合意事項の変更で隣接する施設には拳銃を持ったまま移動できるようになった」と、事実と反する説明を日本人警備員にしていた。

 何を根拠にそのような説明をしたのか。勇み足で済まされる問題ではない。米軍は法律を尊重し、関係者を厳正に処分するべきだ。

 隊員からは「禁止されていることを強要したのだから、上司には責任を取ってもらいたい」との訴えもある。規律を重んじる軍隊ならば、責任を取ることは当然のことである。

 日本人警備隊員が見せられた指示書には「この指示は司令官の公式な指示で、もし拒むなら行政処分、懲戒処分の対象になる」と脅しともとれる文言があったという。

 強い立場を利用して、事もあろうに違法行為を強要する。憲兵隊の役割は、軍隊の秩序維持のはずである。自ら決まり事を犯す行為を強要しては、その存在意義が問われる。

 米兵女子中学生暴行事件やその後の一連の米兵犯罪といい、海兵隊の組織自体に構造的な問題があるとしか言いようがない。

 基地内での日本人警備隊員の拳銃所持について、政府は「日米地位協定上認められている」としている。だが、その見解は曲解の上に出来上がったことが、外務省の秘密文書「日米地位協定の考え方」増補版で明らかになっている。

 増補版では、外務省が「地位協定はあくまでも条約」で「米軍基地の日本人警備隊員の銃砲保持を認める明文の国内法令はない」とし、曲折を経て「『法令に基づき職務のために所持する場合』に該当すると答えるほかない」との結論に達したと自ら解説している。

 基地内での拳銃携行も、何ら法的根拠はなかったのを強引に、正当化したのである。

 今回の司令官の指示は大きな問題をはらんでいる。日本人警備隊員の拳銃携行を基地外まで拡大するための話し合いが、日米で進められているとの疑念さえ浮かんでくる。

 過去には日本人警備隊員が襲われて重傷を負い、拳銃を奪われた事件もあった。日本人警備隊員に危険を及ぼす可能性のある拳銃携行は基地の内外を問わず、改めるべきだ。

(2/28 9:48)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31747-storytopic-11.html

 

2008年2月28日(木) 夕刊 1面

日本不起訴 米で有罪3件/米軍関係者裁判

 【東京】法務省の大野恒太郎刑事局長は二十八日午前の衆院予算委員会分科会で、米軍関係者の刑事裁判に関し、日本側で不起訴となったものの、米側では起訴されて有罪となった事件が少なくとも過去に三件あったことを明らかにした。赤嶺政賢氏(共産)に答弁した。

 大野局長によると、二〇〇四年から〇七年にかけて発生した業務上過失傷害罪一件と窃盗罪三件が日本側で不起訴となった。しかし、いずれもその後に米側で起訴され、窃盗罪の三件は有罪となった。業務上過失傷害の事件は無罪になった。

 赤嶺氏は「日本で裁ききれず、米国では起訴されて有罪にまでなっているのはおかしい。どうしてこうなるのか」と捜査の在り方を問題視した。しかし、大野局長は「一般論として、検察当局は法と証拠に基づいて適切に起訴、不起訴の判断をしたと承知している」と述べるにとどめた。

 赤嶺氏は「根っこには(容疑者の身柄取り扱いに関する米軍の優位性を定めた)日米地位協定の問題がある」と地位協定の見直しを強く求めた。

 これに対して高村正彦外相は、日本では身柄引き渡しに関する運用改善がなされていることを念頭に、「日本よりこの問題についていい国はない」と、地位協定見直しにはあらためて消極姿勢を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802281700_01.html

 

2008年2月28日(木) 夕刊 5面

少年捕虜 今どこに/沖縄戦後 米収容所で交流

 米国に住む県系二世の元米兵ピーター・オオタさん(81)が、戦時中にサンフランシスコの収容所で出会った沖縄出身の少年兵らと「再会したい」と消息を求めている。日本語での交流を深める中で少年らから沖縄戦の悲惨さを聞き、敗戦の日本に送還される彼らをふびんに思ったという。彼らの戦後が気になっている。(安里真己)

 現在ロサンゼルスに住むオオタさんは、父親が与那城村(当時)生まれの県系二世。一九四五年から四六年まで米陸軍に従軍した。戦前、日本語学校に通ったことがあり、日本兵尋問の通訳のためにサンフランシスコ湾にあるエンジェル島の収容所に駐留した。

 収容所にはグアムやサイパン、ガダルカナルで捕虜になった二十―三十代と思われる日本兵たちも多数いた。沖縄戦後はその中に数人の十代の沖縄出身者が入ってきた。

 オオタさんは、日本語で少年たちと話し、姓ではなく名前で呼んでいたが、現在ではもう忘れてしまっている。

 少年らは、成人とは別に収容され、米軍から米や魚、野菜などの提供を受け自炊していた。オオタさんは職業軍人の尋問の通訳以外は、少年たちの監視をしていた。

 日本語で話すうちに仲良くなった。少年らは家や田畑、街が破壊され、家族を失った沖縄戦の悲惨の状況を語ったという。

 「ホームシックにならないか」と問い掛けると「家族が死んでしまったので寂しく感じない」と答えた。

 同収容所で三カ月ほど過ごした後、少年らは日本に向け船で出発した。泣きながら駆け寄る少年もいて、オオタさんは悲しくなったという。捕虜の送還で横浜を訪れ、終戦直後の日本を自分の目で見ていることもあり、少年らの行く末がますます気掛かりになっている。

 問い合わせは、米国で日系人への聞き取り調査などをしているJAリビングレガシーの日本事務所代表・郷崇倫さん、電話0476(97)1829。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802281700_02.html

 

2008年2月28日(木) 夕刊 5面

米軍犯罪 大半が深夜以降/沖縄市 過去5年

 【沖縄】沖縄市基地政策課は二十八日までに、沖縄市内で過去五年間に発生した米軍構成員および外国人による犯罪発生状況をまとめた。発生件数は合計九十七件(二十八日現在)で、そのうち約67%が午後十一時から午前七時までの時間帯に発生していた。

 また米兵の所属別では海兵隊が最も多く二十九件。次に空軍二十一件、陸軍七件、海軍五件。事件防止のため米軍が採用しているリバティーカード制度(午前零時から同五時までの私用の外出禁止)の実効性がないことが浮き彫りになった。

 発生件数九十七件の内訳は二〇〇三年度が三十一件、〇四年度十一件、〇五年度十七件、〇六年度二十件、〇七年度十八件。そのうち凶悪犯は十三件(強盗十二件、強姦一件)。暴行や傷害などの粗暴犯は五十五件だった。海兵隊員による暴行事件は発生が市外だったことから統計には含まれていない。またフィリピン人女性暴行事件についても詳細が分からないため除外されている。島袋芳敬副市長は「今回の事件を含めて事件の検証が必要だ。米軍事件・事故防止のワーキングチームに提起していきたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802281700_03.html

 

2008年2月28日(木) 夕刊 4面

性暴力根絶へ ライス長官に手紙で訴え

 【東京】二〇〇二年に在日米海軍兵から性的暴行を受けた、オーストラリア出身で四十歳代女性のジェーンさん=仮名=が二十七日、訪日中のライス米国務長官に性暴力の根絶や被害者の救済を求める手紙を、駐日オーストラリア大使館を通じて提出した。同日に国会内で記者会見したジェーンさんは、在沖米海兵隊員による暴行事件に強い怒りを表し、「あと何人の女性がレイプされるのか。米政府は犯罪の責任を取る必要がある」と涙ながらに訴えた。ジェーンさんは二十一日に県関係野党国会議員が呼び掛けた暴行事件を許さない院内集会でも体験を語っている。

 ジェーンさんは〇二年四月、米海軍横須賀基地所属の米兵に神奈川県内の駐車場で暴行された。助けを求めた横須賀署では、十分な治療を受けられぬまま現場検証に立ち会わされたり事情聴取を受けたりするなど、「被害者なのにまるで犯人のような扱いを受けた」という。

 犯人の米兵に慰謝料を求めて提起した民事訴訟で、犯行事実が認定された。しかし米兵は審理中に出国し所在が分からず、支払いは実現していない。「加害者は今も自由の身で、どこかを歩き回っている」とやり場のない怒りをぶつけた。

 ジェーンさんは一九五五年に沖縄で六歳の女の子が米兵に暴行・殺害された「由美子ちゃん事件」にも言及し、「時がたつとみんな忘れてしまう。記録をひもとけばどれだけ多くの女性がレイプされ、殺害されているか」と米兵による性暴力が絶えない現状を指摘。

 今回の暴行事件で、一部報道やネットなどで被害者に非があるような論調が見られることに「日本では『なぜ夜にそんな場所にいた』『なぜ十四歳が三十八歳と話すのか』と言う人がいる。日本はレイプカルチャー(暴行文化)を自分でつくっている」と被害者への配慮を欠く風潮を批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802281700_04.html

 

2008年2月29日(金) 朝刊 1面

来月にもアセス認可 普天間移設で県

追加資料で審査会協議終了

 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料について、県環境影響評価審査会(会長・津嘉山正光琉大名誉教授)は二十八日、騒音や低周波音を実際の航空機で調査し、近海に生息するジュゴンを複数年調査するよう求める意見をまとめた。県はこれを受け三月初旬に、追加修正資料に対する「県の意見」を沖縄防衛局に送付。防衛局は送付後、方法書を確定して再公表する。県は早ければ三月中にもアセス調査の認可に応じる見通しだ。

 沖縄防衛局が当初予定していた二月中のアセス冬季調査は不可能となり、今年十二月に持ち越される可能性が濃厚になった。

 審査会では、追加修正資料に関する名護市、宜野座村の意見をまとめた県の意見案二十四項目八十六件について協議。そのうち審査会が出した意見は五十三件に上った。

 海上を大規模に埋め立てる作業ヤードの廃止を含め、代替施設の埋め立て地そのものの一部を利用して製作する案など環境影響の回避・低減を要求した。

 航空機騒音や低周波音については、訓練の形態によっては集落上空を飛行することもあり得るとの考えから、「集落上空で飛行訓練する形態を具体的に明らかにするよう」指摘。ジュゴンへの影響を考慮し、調査・予測地点は辺野古海域や嘉陽海域の海上や海中に複数設定するよう求めた。

 騒音の現地調査は、代替施設周辺地域の名護市や宜野座村、県と調整した上で、代替施設で運用が計画されている航空機を実際に飛行させて調査するよう要求した。名護市試案の位置も含め、可能な限り沖合へ移動した位置で予測・評価するとした。県環境政策課は「追加修正資料への意見は出尽くした」として審査会の協議を終了。今後、県の意見を確定し来週中にも防衛局へ送付する意向を明らかにした。

 防衛局は県の意見を考慮した上で方法書を確定し再公表。同課は「公表後にアセス調査の認可申請が行われる」として、早ければ三月中にもアセス調査着手可能との見方を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291300_01.html

 

2008年2月29日(金) 朝刊 2面

「やり直し」解釈で紛糾/普天間アセス

 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う、県環境影響評価審査会は二十八日、怒号が飛び交う中協議を終えた。追加修正資料で新たに判明した事業内容が、アセス法で規定する方法書のやり直しに相当するかどうかの解釈をめぐって傍聴した市民と、県の主張がかみ合わず紛糾した。昨年十月に方法書の審査が諮問されてから五カ月。県は来月にもアセス調査を認可する見通しで、手続きは新たな段階に入る。

 那覇市の県総合福祉センターには六十人以上の傍聴者が詰め掛け、協議の行方を注視した。

 資料には同日までに、県内外の市民団体や個人から「事業内容の大幅な変更であり、方法書をやり直すべき」として公告縦覧などの手続きを求める指摘が相次いだ。

 県環境政策課は、アセス法で定める方法書のやり直しは「事業面積の変更に伴い内容に変更があった時に限定される」との見解を示し、「事業面積に変更がない今回のケースは、やり直しできない」との説明に終始した。

 「沖縄防衛局と審査会事務局だけの協議で事を収めようとしている」。ジュゴンネットワーク沖縄の土田武信事務局長は、方法書手続きをやり直さず公告縦覧を行わなかったことに不信感をあらわにし、「市民参加という、アセス制度の民主性をかなぐり捨てた」と批判した。

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団運営委員の真喜志好一さんは同資料で新たに盛り込まれた、米軍機が集落上空を飛ぶ可能性などを指摘。「住民の意見はこれから出てくるはずなのに、何も言えなくなった」と憤り、審査会が方法書のやり直しについて、アセス法の解釈に触れなかったことに不満を漏らした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291300_02.html

 

2008年2月29日(金) 朝刊 1面

県内全議会が抗議決議/米兵暴行事件

実効性ある防止策求め

 今月十日に起こった米兵による暴行事件を受け、南大東村議会(新垣湧司議長)が二十八日、抗議決議案を全会一致で可決、県議会と県内全四十一市町村議会の抗議決議が出そろった。すべて全会一致だった。意見書は今帰仁村を除く四十市町村で可決され、南風原町以外の三十九議会で全会一致だった。

 十二日の那覇市議会を皮切りに各市町村議会が臨時会で対応。米軍絡みの事件の多発する本島中部の議会は強い憤りを示した。決議は「実効性のある再発防止策」や「責任の所在の明確化」などを強調、踏み込んだ表現で、米軍や政府の抜本的な対策を要求した。

 多くの議会が地位協定の改定と基地の整理縮小を求め、読谷村議会は「基地撤去」を訴えた。

 市民団体も各地で集会を開催。

 県子ども会育成連絡協議会や県婦人連合会などは三月二十三日に北谷町内で超党派の県民大会を開く予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291300_03.html

 

2008年2月29日(金) 朝刊 2面

知事、県民大会に消極的/被害者配慮理由に

「各界の声聞く必要ある」

 県議会(仲里利信議長)二月定例会は二十八日、一般質問最終日の質疑が行われた。米兵による暴行事件を受けて開催方針が決まった県民大会について、仲井真弘多知事は「被害者およびご家族の心情や意向にも十分配慮することがまず第一で、その上で広く県内の各界各層の声を聞く必要がある」と述べ、県民大会開催に消極的な考えを示した。国場幸之助氏(自民)への答弁。

 今年六月に県内で開催されるG8科学技術担当相会合の共同声明に、沖縄側から環境問題への提言を盛り込むことへの見解を問われた上原良幸企画部長は「実現できるよう内閣府などと調整していきたい」と述べた。照屋守之氏(自民)の質問に答えた。

 ガソリン税などの暫定税率廃止による県民負担の軽減額について、上原企画部長は「二〇〇五年度で約二百二十一億円と推計され、民間消費全体の約1・2%程度と見込まれる」と述べた。一方で「暫定税率廃止の場合、本土ではガソリン価格が下がると予想されるが、県では復帰特別措置法などで揮発油税と地方道路税が軽減されており、現時点で断定できない」と答えた。仲田弘毅氏(自民)への答弁。

 香港エクスプレスが開設する沖縄―香港路線について仲井真知事は「四月三日から、週二便の運航を計画している。四月末には週四便の増便を予定し、現在運航計画等の調整が行われている」と述べた。前島明男氏(公明県民会議)に答えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291300_04.html

008年2月29日(金) 朝刊 1面

教科書問題 検定手続き改善要請

 【東京】渡海紀三朗文部科学相は二十八日、東京都内で開かれた教科用図書検定調査審議会(検定審、会長・杉山武彦一橋大学長)の総会で、教科書検定手続きの改善方策を審議するよう要請した。渡海氏が重視しているのは、検定手続きの透明性の向上。ほかに(1)専門的見地からのきめ細やかな審議の確保(2)教科書記述の正確性の確保―などを求めている。

 検定審は引き続き開かれた総括部会で、委員によるワーキンググループ(WG)を立ち上げて今年夏をめどに検討結果を取りまとめることを確認した。月一回程度のペースで審議し、年度内にも第一回会合を開催する。

 総会で文科省初等中等教育局の金森越哉局長は、検定審の検討結果を踏まえた上で、教科用図書検定規則を改正する考えを明らかにした。

 検定規則改正の方向性について文科省幹部は、教科書会社が検定審に申請する記述内容に誤記や誤植が多く、これらの処理に時間を割かれる現状を念頭に「記述の正確性を高めるための規則改定などが考えられる」と述べた。

 検定審は同日の総会で、総括部会を原則公開とすることを決め、この日の審議を報道陣に公開した。

 総括部会は教科ごとに分かれている十の部会を総括するが、個別の教科書記述の審議はしない。沖縄戦の記述がある歴史教科書は、第二部会の日本史小委員会で扱われる。部会の透明性向上は今後、WGで議論される見通しだ。

 渡海氏は総会で「二〇〇六年度の高校日本史教科書の沖縄戦記述の検定過程で、審議の透明性の向上や専門的見地からのきめ細やかな審議の必要性など、さまざなま事項が指摘された」と経緯を説明。

 「手続きの透明性を可能な限り向上させることが、教科書検定の信頼性を高めるためには大切だ」と述べ、透明性向上を強く求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291300_05.html

 

2008年2月29日(金) 夕刊 1面

知事、出席は超党派前提/米兵暴行・県民大会

 仲井真弘多知事は二十九日午前の定例記者会見で、米兵暴行事件を受けて三月二十三日に開催予定の県民大会について「超党派というのは当然一つの条件。しっかりと心と声を一つにできる態勢をつくれるかどうかだと思う」と述べ、自身の出席には「超党派」での開催が前提になるとの認識を示した。

 その上で仲井真知事は「まだ政党によって濃淡あるのではないか。いろんな思惑があったりすると、なかなか(県民の意思が日米両政府に)到達しない面がある」と指摘。開催に消極的な姿勢を重ねて示した上で、各党の動向を慎重に見守る考えを示した。

 事件に関連して県内全市町村議会が抗議決議を行ったことについては「基地のある市町村、ない市町村含めて率直な怒りの気持ちの表明と思う」と述べた。

 また、日米地位協定の抜本的見直しを求めるために検討している訪米の時期について、仲井真知事は「九月は米大統領選でそれぞれ候補者が決まり、次の体制も割合見えてくるという話もあり、一つの時期かもしれない」と述べ、当面は九月前後の訪米を念頭に置いていることを明らかにした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291700_01.html

 

2008年2月29日(金) 夕刊 7面

沖縄市長に協力要請/県民大会へ婦連・子連

 【沖縄】米兵による暴行事件を受けた県民大会実行委員会準備会(仮称)の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長と、県婦人連合会の小渡ハル子会長は二十九日、沖縄市役所に東門美津子市長を訪ね、大会開催に向けて協力を要請した。

 東門市長は「個人として全面的に協力する。市としては準備委員会と話し合いながら進めていきたい」と前向きな姿勢を見せた。

 玉寄会長は「大会までの期間が短いだけに、たくさんの市町村や団体に協力を求めたい」と話している。県内市町村に対し、実行委員として大会に参加するよう呼び掛ける意向。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291700_02.html

 

2008年2月29日(金) 夕刊 7面

偽20ドル札 米兵引き渡し要求へ

 本島中部を中心に昨年十一月ごろ、偽二十ドル札が複数枚見つかった事件で、沖縄署と浦添署は二十九日午前、外国通貨偽造・同行使の疑いで、浦添市の米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)所属の米海兵隊一等兵の男(20)を書類送検した。男は米軍当局が身柄を拘束しており、書類送検を受け、那覇地検は男を起訴し、米側に身柄の引き渡しを求める見通し。

 調べでは、男は昨年十一月中旬、浦添市の基地内兵舎の自室で複合型カラープリンターやパソコンで二十ドル札四十数枚を偽造。同市や沖縄市のタクシーや飲食店などで数枚使った疑い。「手持ちの金がなかったから作った」と容疑を認めているという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802291700_04.html

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