野党3党、地位協定改定案提出へ 普天間代替アセス書確定 自民、米兵事件・県民大会不参加を確認など  沖縄タイムス関連記事(3月13日、14日、15日)

2008年3月13日(木) 朝刊 1面

米軍即応訓練 今年最高104・5デシベル

70以上も最多138回

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に伴い、嘉手納町屋良で十二日午後、ことし最高値となる一〇四・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音も同日午後五時までに、百三十八回発生。一日当たりの発生回数としては今月最多となった。同訓練には米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機も参加しており、即応訓練と外来機の爆音被害が周辺住民の生活を脅かしている実態が浮き彫りになった。同問題で、嘉手納町議会は十三日午後、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、対応を協議する。

 田仲委員長は「(十二日は)児童たちが耳を押さえながら登下校していた。外来機による騒音被害は今後も増加が懸念される。訓練の中止と外来機が嘉手納基地を使用しないよう、強く求めていきたい」と話した。

 即応訓練にはF16のほか、同基地所属のF15戦闘機が参加。十二日は午前七時半ごろから、激しい騒音を響かせながら、相次いで飛行訓練を実施した。住宅街に近い北側滑走路を使用して離陸する機体もあった。

 同日は即応訓練の参加機ではない、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機やFA18戦闘攻撃機も同基地を使用している様子が確認された。

 嘉手納町が基地北側滑走路から約四百メートル離れた屋良地区に設置している騒音測定器によると、最高値の一〇四・五デシベルは同日午後一時三十五分に計測。戦闘機の離陸に伴って生じたとみられる九〇デシベル(騒々しい工場内に相当)以上の騒音発生回数も、ことし二番目に多い四十一回あった。

 嘉手納町の担当者は、十二日の嘉手納基地の状況について「F15やF16、FA18など騒音の激しい戦闘機が一挙に基地を使用している状況はこれまで、ほとんどなく、異常な状態。周辺住民に激しい騒音負担を強いている」としている。

 嘉手納基地報道部によると、即応訓練は十四日まで。F16は終了後も同基地に約一週間とどまり、同基地所属のF15と空対空訓練を行うとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_01.html

 

2008年3月13日(木) 朝刊 1面

野党3党 地位協定改定案 提出へ

 【東京】民主党は十二日の「次の内閣」閣議で、米兵暴行事件を受けて国民新党と共同作成した(1)米軍関係者への外国人登録を義務付ける(2)日本側の身柄引き渡し要請に米軍が「同意」する―などを柱とする「日米地位協定改定案」を正式に了承した。民主、国民新と独自に改定案を策定している社民党の三党は政府への共同提案を目指し、十三日から本格的な事務調整に入る。

 民主党の直嶋正行政調会長は十二日の定例会見で、「社民党とこれからすり合わせをして、最終的に三党でまとめたい」と意欲を示した。

 ただ、民主、国民新の案が返還基地の原状回復費用を「米国が負担する」としているのに対し、社民案は「日本政府が義務を負う」と規定。

 基地外居住に関しても社民案は「住民基本台帳法の趣旨に基づく必要事項を日本当局に通報する義務」まで求めていることなど、両案で異なる点が多く、今後の調整が注目される。

 地位協定をめぐっては野党が多数を占める参院を中心に、改定を求める国会決議の可決に向けた水面下の調整も進んでおり、改定に向けた国会の動きが活発化している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_02.html

 

2008年3月13日(木) 朝刊 2面

リゾート施設 中核に/普天間跡利用

計画たたき台提示

 米軍普天間飛行場の返還後のまちづくりを学識経験者や経済・市民団体、地権者などが協議する「普天間飛行場跡地利用計画策定審議委員会」の初会合が十二日、那覇市内のホテルで開かれた。

 県と宜野湾市が、跡地利用計画を具体化するための議論のたたき台(キックオフ・リポート)を初めて提示。観光リゾート産業や研究機関などの中核施設誘致に加え、省エネ住宅やエコ博物館などを整備する環境拠点機能など幅広い構想を盛り込んだ。

 これに対し、委員からは「盛りだくさんだが、何か面白くない。県の(従来の)都市計画を離れていない」「市民や県民の意見を聴くべきだ」などの意見が出た。

 県は今後、同リポートをホームページなどで公表。委員や県民の意見を踏まえて内容を修正した上で、跡地利用計画の方針づくりに着手する。本年度から文献や資料調査を始めている(1)振興拠点(2)住宅地(3)都市拠点(4)環境・公園―の四分野は、二〇〇八年度の方針設定を目指す。

 これに交通や文化財など四分野を加えた合計八分野の方針を取りまとめた後に、具体的な跡地利用計画の策定に入る。県基地対策課は「普天間飛行場が返還される三―四年前には計画を策定したい」としている。次回会合は〇九年三月に開き、方針づくりの成果を報告する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_04.html

 

2008年3月13日(木) 夕刊 5面

即応訓練/嘉手納騒音102デシベル超

 【嘉手納】有事を想定した米軍嘉手納基地の即応訓練は十三日午前も引き続き行われ、同基地所属のF15戦闘機や米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機の飛行訓練とサイレン音、爆発音、発煙を伴う訓練が実施された。基地に隣接する嘉手納町屋良地区では同日午後一時までに、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音を七十六回計測。同訓練や外来機の基地使用による連日の騒音被害で、地元の反発が強まっている。

 訓練に伴い、嘉手納町役場には住民らから「早朝からサイレン音がうるさい」などの苦情が六件寄せられた。

 同町が屋良地区に設置している騒音測定器によると、午前八時十八分に最高値一〇二・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を記録。戦闘機の離陸時に生じたとみられる九〇デシベル(騒々しい工場内に相当)以上の騒音も十五回あった。

 同地区では十二日にも、ことし最高値となる一〇四・五デシベルを計測。七〇デシベル以上の騒音は、一日当たりの発生回数としては今月最多の百八十五回発生している。

 嘉手納町の宮城篤実町長は「外来機が常駐機のように嘉手納基地を使用している」と指摘。十七日に防衛省を訪ね、外来機の基地使用や騒音被害について、改善するよう要請する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131700_03.html

 

2008年3月13日(木) 夕刊 1面

公明、県民大会参加/15日 幹事会で正式決定

 【東京】米兵による事件・事故に抗議する県民大会について、公明党県本の糸洲朝則代表は十三日午前、日米地位協定の見直しなどを求める大会の趣旨が党の立場と合致するとして、参加することを明言した。十五日に幹事会を開き正式決定するという。都内で記者団に答えた。

 同党の遠山清彦参院議員や糸洲代表らは十三日午前、寺田稔防衛政務官や小野寺五典外務副大臣らと会い、再発防止策の早急な実施や日米地位協定見直しなどを要請。

 寺田政務官は地位協定について「抜本的な議論が必要だ」と述べ、在り方を議論する必要性を指摘したという。小野寺副大臣は「沖縄に対し占領国の意識が米兵にあるのではないかと疑いを持つ。研修プログラム見直しを真剣にやりたい」と述べたという。

 要請書では(1)県が示した防止対策七項目の早急な実施(2)容疑者の起訴前の身柄引き渡しに応じるなどの地位協定改定(3)基地の整理・縮小や兵力削減の目に見える進展―を求めた。


自民参加可否 あす結論集約


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十三日午前の役員会で対応を協議した。

 役員会では、議員総会を十四日正午から開き、県民大会に対する結論を集約することを確認した。同県連は週明けにも上京し、地位協定の抜本改定を要請する方針を決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131700_04.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 1面

普天間代替アセス書 きょう確定

調査許認可申請へ

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省は十四日に環境影響評価(アセスメント)方法書を確定し、早ければ十七日にもアセス調査に必要な許認可申請を県や名護市に提出する方向であることが十三日、分かった。県は申請から認可までの期間を数日から数週間と見込んでおり、三月中の調査着手の公算が大きくなった。

 沖縄防衛局は十四日午後に県に確定した方法書を報告し、ネットで再公表する。十七日以降は、県庁や名護市内など五カ所でも二週間の閲覧期間を設ける予定。県や名護市の許認可が必要なのはサンゴ類や海藻草類、ウミガメの卵の殻などの採取にかかる九項目。

 県は今月四日、県審査会の議論を踏まえ、沖縄防衛局に対し二十六項目百一件の県意見を送付。同局と県が方法書内容の確定のため、調整を進めていた。防衛省幹部は「県と互いに納得できた段階で出したい」と、方法書確定は県の判断次第との認識を示していた。

 一方、県は海上を大規模に埋め立てて作業ヤードを建設する方法の廃止を求めているが、確定後の方法書でも認められない可能性が高い。

 県の意見が方法書に反映されない部分は、アセス調査後に出される準備書作成の段階などに、知事意見として求める方針だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_03.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 30面

基地被害証言ネットで発信/宜野湾市職員が市民に聞き取り

 【宜野湾】米軍普天間飛行場を離着陸するヘリコプターの騒音被害に悩む市民生活の実態を訴えようと、宜野湾市(伊波洋一市長)がビデオで証言を撮影し、ホームページで公開する事業を始めた。市の職員が証言者を直接取材し、国内外での要請活動の際に映像資料として活用する。同市によると、行政が基地被害の証言映像をインターネットで配信するのは全国でも珍しいという。(銘苅一哲)

 同市に設置された「基地被害一一〇番」に市民から寄せられる騒音などの苦情は二〇〇五年度百九件、〇六年度百六十件、〇七年度二月二十九日現在で百八十五件に上り、増加傾向が続いている。

 特に、〇四年八月に起こった沖縄国際大学へのヘリ墜落事故以降、墜落の不安を訴える市民が増えているため、ビデオの証言記録に乗り出した。

 市民の証言記録は基地渉外課が担当し、証言者の自宅や職場で聞き取りする。実際に住宅地上空を飛行する米軍ヘリなどの様子も撮影し、一人五分程度の映像に編集するという。

 取材は主に市民を対象にしているが、隣接する市町村の住民から希望があれば対応する。プライバシー保護のため、声のみの証言も受け付ける。

 伊波市長は「日米両政府や米軍に市民の生の声を届けることで、普天間飛行場の一日も早い閉鎖、返還を実現させたい。一人でも多くの証言を取り上げさせてほしい」と呼び掛けている。

 問い合わせは同市基地渉外課、電話098(893)4411(内線310)。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_04.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 31面

即応訓練 砂辺で111デシベル

 【中部】米軍嘉手納基地で行われている即応訓練に伴い、同基地南側滑走路の延長線上にある北谷町砂辺地区で十二日午後二時三十六分に最大一一一・八デシベル(二メートル手前からの自動車のクラクションに相当)を計測したことが十三日、県などの調べで分かった。多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音も百十六回発生。騒音レベルと発生回数は共に今月最高(データのない十日を除く)だった。

 嘉手納基地北側滑走路に隣接する嘉手納町屋良地区では、同日午後五時までに、七〇デシベル以上の騒音が百三十回あった。最高値は午前八時十八分に一〇二・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。

 沖縄市登川では十二日午後一時五十六分に最高値九八・五デシベルを記録。七〇デシベル以上は四十三回だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_05.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 2面

19日成案作成目指す/地位協定改定案

 【東京】日米地位協定の改定案をめぐり、民主、社民、国民新の三党実務者の初会合が十三日、都内であり、共同提案へ向けて民主・国民新の「両党案」と「社民案」の相違点などを協議した。基地使用期間の設定や拘禁場所の明記など主に四点の違いを確認。今後擦り合わせをしながら、十九日に再び会合を開き、成案作成を目指す。

 二つの案の相違点は(1)基地使用計画の提出期間が両党案十年と社民案四年(2)返還時の原状回復義務が両党案は米国、社民案は日本政府(3)容疑者の拘禁場所を社民案は「日本の施設」と明記(4)外国人登録で社民案は階級番号なども細かく求めている―の四点。

 一方で、基地外居住者の情報を日本側に伝える仕組みの必要性や、起訴前の身柄引き渡しへの同意など、大枠で方向性は一致している。三党は次回までに、具体的な文言なども含め、歩み寄りを模索する考えだ。

 鉢呂吉雄氏(民主)は「地位協定は他国より進んでいるという話もあるが、比較にならないくらい事件・事故が度重なっている。総括的に見直し、できるだけ早く政府側に強く申し入れたい」と訴えた。

 照屋寛徳氏(社民)は「抜本的に改定せよ、というのは沖縄県民の総意に近い。政府が言う運用改善では根本的解決にならない」と強調。下地幹郎氏(そうぞう)は「国に改定案を届けることが役割」と三党合意への決意を述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_06.html

 

2008年3月14日(金) 夕刊 1面

知事、参加に意欲/米兵事件・県民大会

議会動向踏まえ判断

 仲井真弘多知事は十四日午前の定例記者会見で、米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会について、「内容が人権の問題や地位協定、再発防止など共通のテーマになりつつある。参加しやすい内容になり始めたと思う」と述べ、参加に意欲をにじませた。一方で、「県議会の参加がどうなるのか。自民や公明の意見も聞きたい」とし、県議会の動向を見極めた上で最終判断する考えだ。

 仲井真弘多知事はこれまで、県民大会への参加について「県民共通の内容がつくれるかどうかだ」と超党派での開催を前提条件としていた。

 しかし、公明党県本が十三日に参加を決めたため、与党の判断を慎重に見極める必要があるとの認識を示した。

 また、米軍による事件・事故が相次いでいることには「何でこういう事件・事故が簡単に起こるのか分かりにくい。綱紀粛正の徹底以前に、基地を提供している地位協定の構造と意識にかなり問題がある」と指摘。

 「基本を変えないで、伸縮自在の巨大な運用が可能だとは思わない」として、地位協定改定の必要性を強調した。


自民、不参加再確認

議員総会 超党派開催 不可能に


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十四日午後、議員総会で対応を協議したが、組織的参加の見送りをあらためて確認した。

 公明党県本(糸洲朝則代表)の参加表明や県民大会の趣旨変更などで、大会参加を求める声も一部にあったが、否定的意見が大勢を占めた。与党最大会派の不参加決定で、超党派開催は不可能になった。

 新垣哲司幹事長は「告訴を取り下げた被害者側の心情に配慮すべきだ。地位協定の改定に関しては県連独自で政府・与党に見直しを働き掛ける」と説明。地位協定改定に向けては、自民党主導で県民大会を開催する意向も示した。

 同県連執行部は、県民大会の趣旨変更を踏まえて週明けにも上京し、党本部や政府与党の考えを把握しつつ、地位協定の抜本的改定を要請する方針だ。

 自民は七日の議員総会で、「告訴を取り下げた被害者や家族の心情への配慮」を理由に、参加見送りを確認していた。だが、幹事団体要請後の十三日に開かれた役員会で、県民大会が暴行事件だけでなく、すべての事件・事故の抗議に広がったこと、日米地位協定の抜本改定に重点が置かれたことを踏まえ、議員総会で意見を集約する必要があると判断。あらためて議員総会を開いた。

 自民は、「事件に対する抗議、綱紀粛正や再発防止策の徹底、基地の整理・縮小では一致している」としつつも、内部では「米軍再編推進で負担軽減を図る与党と、海兵隊全面撤退を求める野党は基本姿勢が違う」「六月県議選を前に、野党の反基地運動に政治利用される」などの見方が強い。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141700_01.html

 

2008年3月14日(金) 夕刊 7面 

嘉手納町、米軍に抗議へ/即応訓練に苦情相次ぐ

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に伴う戦闘機の騒音や拡声器放送の影響で、住民から苦情が相次いでいるとして嘉手納町は十四日午後、同基地司令官に対し、訓練の中止を求め文書で抗議する。同日午前九時三十二分には、同町屋良地区で今年最高値となる一〇四・九デシベルの騒音を記録した。

 即応訓練には同基地所属のF15戦闘機のほか、米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機も参加。基地周辺は連日、戦闘機の離着陸や上空での旋回のため、激しい騒音にさらされている。

 F15やF16は十四日午前も飛行訓練を実施。同町屋良地区に設置された騒音測定器は同日午後一時までに、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音を八十八回計測した。

 即応訓練は十四日までの予定だが、F16はその後も約一週間、嘉手納基地を拠点にF15との空対空訓練を行うとしており、同町は空対空訓練についても中止を求める。

 同町によると、十四日午前十一時までに「うるさくて眠れない」などの苦情が八件寄せられた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141700_06.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 1面

きょう調査に着手/普天間アセスで防衛省

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省は十四日、環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料の修正版を県に提出し、方法書を確定した。十五日に県の許認可などを必要としないキャンプ・シュワブ周辺でアセス調査に着手する意向も示した。十七日には、県や名護市にサンゴ採取など九項目について許認可申請する。県は随時許認可に応じる構えで、同省関係者は「(調査が順調なら)最短で準備書作成は来年三月ごろ」との見解を明らかにした。

 同省は十五日から沿岸に係る飛来塩分量測定に着手。十七日からは(1)大気質に係る気象調査(2)海域におけるマンタ法等による海藻草類、サンゴ類に係る生息状況調査(3)陸域の植物調査―などを予定している。

 修正版は、方法書に対する県知事意見に加え、その後に同省が提出した追加修正資料に対する県の意見を踏まえて提出された。沖縄防衛局調達計画課の担当者が十四日午後、県庁を訪れ、県環境政策課の担当者に手渡した。

 昨年八月に当初提出した方法書三百一ページに対し、修正版は別添資料を合わせて三百九十五ページに上った。県は「県の意見をほとんど盛り込んでおり、真摯な対応」とした。

 修正版は、台風後のサンゴ類の調査実施を明記。ジュゴン調査で使用するパッシブソナー、水中ビデオカメラの設置場所も新たに明記した。

 一方、県や名護市が求めている滑走路建設位置の沖合修正を想定した飛行経路や騒音調査には「県や関係自治体と調整し検討する」との表現にとどまった。県環境影響評価審査会が廃止案を含め検討を求めた作業ヤードによる海上埋め立ては「環境の改変を可能な限り回避・低減させるなど、環境保全措置を検討する」と抑えた。ジュゴンなど海域生物の複数年調査も「検討する」にとどめた。

 修正版は同日夕、沖縄防衛局や県のホームページで公表。十七日から三十一日午前九時―午後五時まで、沖縄防衛局報道室や同名護連絡所、県庁行政情報センターなど五カ所で閲覧できる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_01.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 27面

進む作業 募る不安/アセス方法書確定

 正確な建設場所や飛行ルートなど、疑問点を残したまま、法的手続きがまた一つ進んだ。普天間代替施設の環境アセス方法書が十四日、確定した。集落上空を飛行する可能性、大量の海砂の使用など詳細が示されてわずか一カ月。防衛省は十五日にも本調査に着手する。

 環境保護団体は「手続きをやり直すべきだ」と反発。地元推進派は「前進」と評価しつつ、飛行ルートには神経をとがらせている。

 大浦湾で環境調査を続けるリーフチェック研究会の安部真理子会長は「サンゴ調査も目的が分からず、方法書の体をなしていない」と批判。「審査会の意見も住民の意見も聞かない。科学者がかかわっているのに、それを無視して進めることは許されない」と語気を強めた。

 ジュゴン環境アセスメント監視団運営委員の真喜志好一さんは、「国は今年二月になって、環境への影響が大きくなるような事実を出してきた。アセス法に従って、方法書の公告・縦覧から手続きをやり直すべきだ」と強調。東恩納琢磨団長は米国ジュゴン訴訟での勝訴を挙げ「米国の裁判で明らかになったように、日本政府は環境対策を明らかにしていない。辺野古への移設計画は即刻中止するべきだ」と訴えた。

 普天間飛行場の移設先辺野古区の有志らでつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「一歩前進と評価したい。再編交付金が支出されれば地域の活性化につながる」と歓迎した。一方、飛行ルートなどが今後の日米協議に委ねられることについては「V字案は住宅地上空を飛行しないという約束で決まった。約束が破られるのなら滑走路は一本でいい」とくぎを刺した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_02.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 2面

自民、不参加を確認/米兵事件・県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十四日午後、議員総会を開き、組織的参加の見送りをあらためて確認した。

 総会では、日米地位協定改定に重点を置いた県民大会の趣旨変更や与党・公明党県本(糸洲朝則代表)の参加表明などを踏まえ再検討したが、「被害者の感情への配慮」などを理由に組織的な参加の見送りで一致した。与党最大会派の不参加決定で、超党派開催は不可能になった。

 新垣哲司幹事長は「地位協定の抜本改定に関しては県連独自で政府、与党に働き掛ける」と説明、抜本改定に向けた県民大会の必要性を強調した。同県連執行部は週明けに上京し、地位協定の改定に対する党本部や政府、与党の考えを把握し、抜本改定を要請する方針を決めた。


知事、判断を留保


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の対応を再協議した自民党県連が十四日、組織的な参加見送りの結論を確認した。新垣哲司幹事長は「告訴を取り下げ、『そっとしてほしい』と訴える被害者側の心情に配慮し、大々的な大会は避ける、と考えを一致させた」と話し、参加するべきだとの意見はなかったという。

 県議会最大会派の決定は覆らず、県民大会の超党派結集は実現しない。総会後の会見で、新垣幹事長は「県民の反発は予想していない。被害者の心情に配慮した判断だ」と繰り返した。

 地位協定に重点を置いた大会の趣旨変更に、自民内部では「地位協定改定は超党派で一致でき、県民の総意だ」と一定の理解も得ていた。だが、「日米安保条約の見直しにもつながる重要な問題。拙速では取り組めない」と認識を示し、参加見送りを決定付けた。

 仲井真弘多知事の訪米前をめどに、地位協定に特化した県民大会開催を提起し、「機運を高め、万全の態勢、準備期間で臨むべきだ」という考えを示した。

 県連執行部は週明けにも上京し、地位協定の抜本改定に向けた要請行動を展開する方針だ。

 仲井真知事は自民党県連の参加見送りについて新垣幹事長から説明を受けた後、「もう少し時間を下さい」と判断を留保。十五日に参加を正式決定する公明党県本(糸洲朝則代表)の動向などをさらに見極める考えを示した。

 ただ、与党の不参加決定で、出席に向けた環境は厳しい。知事周辺には地位協定改定の必要性から、「知事参加」を模索する動きもあるが、「自民が見送りを決断した以上、それを無視するわけにはいかない」(県幹部)との声が広がりつつある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_04.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 27面 

自民に再度要請へ/県民大会実行委

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会に自民党県連が組織的参加の見送りを決めたことについて、県民大会実行委員会の幹部は、あくまでも超党派での開会を目指し、自民県連に大会参加を再度要請することにした。自民県連が応じない場合でも二十三日に大会を開催する方針。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、大会に組織参加しないことを決めた議員総会について説明した自民党県連の記者会見に顔を出し、新垣哲司幹事長らの話を熱心に聞いた。玉寄会長は「大会の開会目的を日米地位協定の抜本的見直しの一点に絞れば、自民党も大会参加が可能になる」と判断。開会目標や大会日程の変更もあり得るとの考えを記者団に示した。

 その後、県婦人連合会の小渡ハル子会長や県老人クラブ連合会の花城清善会長と話し合い、「二十三日の大会開催で動きだしており、日程変更は困難」との結論に至った。十七日午前に実行委幹事会を開いた後、再度、自民党県連に大会参加を要請する。

 小渡会長は「沖縄で米兵による犯罪が続発する状況の、一日も早い改善を願う県民の気持ちを大切にしたい。自民県議や知事には、大会目標が県議会の抗議決議の内容と同じだということを理解し、参加を決めてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_05.html

 

2008年3月15日(土) 夕刊 5面

普天間代替 アセス調査に着手

反対派市民団体が警戒

 沖縄防衛局は十五日、米軍普天間飛行場移設に向けた環境影響評価(アセスメント)をめぐり、風向や風速など気象や潮風による塩害の調査を移設先である名護市のキャンプ・シュワブで実施、アセスの本調査に着手した。

 気象や塩害の調査は、本調査に先行して昨年五月から「事前調査」として既に始めていたが、十四日にアセス方法書が確定したことを受けて本調査に切り替えた。週明けからはキャンプ・シュワブ周辺海域の海藻やサンゴの状況、陸上での植物の生育状況などの調査も予定している。

 辺野古で調査着手を警戒しているヘリ基地反対協の大西照雄共同代表は「秘密主義のアセス方法書に基づいた調査は違法アセスだ。アセスをやり直して、もう一度国民の声を聞くべきだ」と指摘。「本来の法律にのっとってアセスが行われれば、防衛省の言う二〇一四年までの完成はあり得ない」として、国内や国際世論に訴えていく考えを示した。


アセス監視団 意見書を提出

普天間代替で防衛局に


 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団と、辺野古新基地建設を許さない市民共同行動のメンバーは十四日、沖縄防衛局を訪れ、「米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きは、方法書の公告・縦覧からやり直すべきだ」などとした意見書を手渡した。

 両団体のメンバー六人が、七十五人分の意見書を携えて沖縄防衛局を訪れた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151700_02.html

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