陸自参加、ハンセン共同使用訓練 普天間代替、アセス調査本格着手 名護・宜野座に交付金など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(3月16日、17日、18日)

2008年3月16日(日) 朝刊 27面

検定問題 劇で再現/横浜の教員

 【横浜】教科書検定制度の問題点を訴えようと、東京と横浜に住む高校教員や主婦らが十五日、横浜市内で公演し、文部科学省と教科書会社とのやりとりなどを寸劇で再現した。

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍強制の記述を高校歴史教科書から削除した二〇〇六年十二月の文科省から教科書会社への検定意見通達や、教科書裁判の尋問など、文科省の役人、執筆者らの当時の様子を描いた。三人の解説員が問題の背景を補足。「誰も抗議しなかったら、検定の再審議もなかった。おかしいことをおかしいと言う大切さが目に見える形になった」と訴えた。

 家永教科書訴訟などを支援してきた市民らでつくる「教科書・市民フォーラム」が主催。脚本を書いた浜名早苗さん(48)は「誰にも知られず一方的な力関係で内容が決まる矛盾を伝えたかった。今後も劇を続け、検定制度の存在の是非を問いたい」と意義を語った。

 寸劇後には琉球大学の高嶋伸欣教授が講演、「今秋にも再訂正申請する執筆者らの意思表示があり、支援体制が必要」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803161300_03.html

 

2008年3月16日(日) 朝刊 26面

「孤児院で子の世話」/沖縄戦当時の従軍慰安婦

 韓国のナヌムの家・日本軍「慰安婦」歴史館の研究員らが県内の慰安所跡や「従軍慰安婦」にされた女性たち、朝鮮人軍夫についての聞き取り調査を始めている。同館のリニューアルに向け、沖縄戦当時の慰安婦の状況や新たな証言をまとめ、展示する予定だ。同館の村山一兵研究員は「沖縄戦中の慰安婦の状況について詳しくまとめ、六月ごろから展示したい」と準備を進めている。

 調査は十四日から十七日までの四日間。初日は一九四五年ごろ、羽地村(当時)の田井等孤児院で過ごした座覇律子さん(75)=本部町=と、沖縄戦中に朝鮮人軍夫が働く港近くに住んでいた友利哲夫さん(75)=名護市=が証言した。

 当時十三歳だった座覇さんは孤児院で元慰安婦だった女性らに育てられた状況を説明。「ササキのおばさん」と呼ばれていた元慰安婦について「日本語は分からないが、子どもたちの洗濯や世話をしてくれた。美人で、とても優しかった」と振り返った。

 孤児院近くにあった野戦病院でも元慰安婦の女性が看護師として働いていた。座覇さんは、孤児院を出た後に周りから女性らが慰安婦だったことを聞かされたといい、「慰安婦と言われてもまだ幼かったので、女性たちが何をされていたのかも分からなかった」と語った。戦後、女性らが帰国する記事を見て、「当時は無事に帰国するんだと思ったが、女性が大変なことをされたことを後で知った。今、当時を振り返ると帰国後どんな気持ちで暮らしているのかと思うと胸が苦しい」。

 ナヌムの家には現在、慰安婦にされた女性七人が生活している。同館には、渡嘉敷島で慰安婦として働かされたぺ・ポンギさんの生涯が展示されている。


従軍慰安婦の歴史継承訴え/平和会、街頭で寸劇


 平和運動に取り組む県内の大学生などでつくる「平和(ぴょんふぁ)会」メンバー約三十人は十五日、那覇市の国際通り周辺で、歴史教科書から削除された従軍慰安婦問題の継承を訴える寸劇や歌を披露した。

 「もうやめよう、慰安婦問題と性暴力」のメッセージや亡くなった慰安婦の写真などを掲げ、「日本軍に強制連行された被害者は戦後ずっと苦しんできて、今でも誤解や差別を受けている」と訴えた。歴史継承の思いを込めた「継いでゆくもの」を合唱。従軍慰安婦として連行された朝鮮人の女性が、周囲の人から差別される様子を表現した寸劇が演じられた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803161300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月16日朝刊)

[アセス調査着手]

方法書にはまだ疑問点が

 防衛省は、米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)方法書を再修正し県に提出した。

 方法書作成の手続きを終えたことで、沖縄防衛局はさっそく建設予定地でのアセス調査を開始、移設に向けた作業はさらに一歩進んだ。だが、方法書には問題が多く、アセス法の趣旨にかなっているとは言い難い。

 最初に県に送付された方法書はわずか七ページである。県環境影響評価審査会の審査に付せる中身でなかったのはいうまでもない。同審査会などの反発を受け、二〇〇七年八月に出てきたのが三百一ページの方法書だ。

 これも内容に不備があり約百五十ページの追加説明書を提出。さらに追加修正を加えたのが三百九十五ページの方法書である。この経緯をみただけでも、島津康男前環境アセスメント学会長の「わが国のアセス史上最悪の事例」という指摘はうなずけるのではないか。

 肝心要の航空機騒音予測結果も方法書にではなく別資料に記されている。「方法書の趣旨を完全に逸脱している」(島津氏)という批判に防衛省はどう応えるのだろうか。

 アセスを行う以上、正確な建設場所や工事内容、航空機の機種、飛行回数、飛行ルートなどすべて明らかにすべきであったはずだ。それを「現時点で飛行経路を特定するのは困難」というのでは、住民は納得できない。

 米軍の飛行場ということで情報が得られないのなら、事業の熟度に問題があると同時に方法書の要件を最初から満たしていなかったことになる。

 防衛省は米軍が「訓練の形態等」を明らかにした場合は必要な調査をするというが、明らかにしなかった時はどうするのか。その点についても住民が納得できる説明が必要だろう。

 県が求めたジュゴン調査の複数年実施を確約しなかったのも気になる。

 ジュゴンは国の天然記念物だ。環境省から絶滅の危険性が最も高い「絶滅危惧1A類」に指定されている。サンフランシスコ連邦地裁もまた、ジュゴンに関する環境影響評価文書の提出を求める判決を下しているからだ。

 防衛省は十五日から県の許認可を必要としない気温、風向などの気象調査と飛来塩分量の測定に入った。十七日には県や名護市にサンゴ採取なども申請するという。

 アセスに約一年かけて準備書を作成。県民の意見を募って評価書の策定作業に入るが、方法書のやり直しを求める声は根強い。環境に大きな負荷を掛ける計画だけに、アセスには慎重の上にも慎重を期す。それが国の責任だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080316.html#no_1

 

琉球新報 社説

アセス開始 見切り発車は認められない 2008年3月16日

 さまざまな疑問点を残したままでは、見切り発車との批判は免れまい。米軍普天間飛行場代替施設建設に関し、沖縄防衛局は15日、辺野古近海でのアセス調査に着手した。

 環境影響評価(アセスメント)方法書の書き直しの県意見を受けて、再修正を加えた方法書確定版を防衛局が県に提出したことを受けてのものだ。確定版とはいうが、これまで指摘された疑問などについて明確に答える内容にはなっていない。2014年の建設完工に向けて、とにもかくにも手続きを進めたい、という国のなりふり構わぬ姿勢ばかりが目立つ。

 確定版では、県が繰り返し求めてきたジュゴン調査の複数年実施やヘリなどの飛行経路、訓練形態など、最後まで明らかにしていない。普天間基地の移設は危険の除去という大義名分がある。が、この間の国の対応を見ると、こうした県民の不安や要望にどれだけ応えたのか。さらに、違法との指摘の強い事前調査(環境現況調査)をはじめとして、事業の進め方そのものも、当初から県民にとって納得のいかないものだ。

 07年には県に対し、方法書を強行に送付したかと思えば、事前調査に海自の掃海母艦「ぶんご」を投入。県民の大きな反発を呼んだ。方法書についても事業の実施に影響するような重要な事実を後から後から出してくる。護岸や弾薬搭載エリア、洗機場建設などなど。まるで「後出しジャンケン」だ。加えて、オスプレイ配備や民間上空の飛行は、国はいまだに認めようとはしない。

 一事が万事。情報は可能な限り住民には隠し、施策を思い通りに進めようとする、典型的な事なかれ主義と言える。むしろ、情報を事前に公開し、地域住民の理解を得ようとする米側に比べても日本政府の態度はお粗末。「よらしむべし、知らしむべからず」。官僚のあしき体質を、これでもか、という具合に見せつけてくれた。

 方法書の書き直しが2回。知事意見については3回。どう見ても異常な行政手続きではないか。環境保全を最大の目的とする環境影響評価法の精神を、これほど踏みにじる例もあるまい。単に、アリバイづくりでアセスを実施していると言われても仕方がない。

 住民と混在する危険な普天間飛行場をそのままにはしておけない。一刻も早く撤去すべきというのは県民の総意だろう。ただ、代替施設の県内移設は認められないというのが私たちの立場だ。オスプレイ配備や民間上空の飛行などを考えても、新基地建設で危険が取り除かれるとは思えない。「危険のたらい回し」でしかない。

 この際、危険の除去という原点に立ち返り、日米両政府とも県外移設を真剣に再検討すべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32210-storytopic-11.html

 

2008年3月17日(月) 朝刊 2面

陸自参加 きょう/ハンセン共同使用

 在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が十七日、始まる。在沖米軍専用施設の日米共同使用は初めて。第一混成団第一混成群(鈴来洋志群長)から一個中隊基幹約百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施する。十八日まで。

 陸自によると、八九式小銃や機関銃を装備するが、今回は空砲を含め、射撃訓練や爆破訓練は実施しない、と説明している。

 二〇〇八年度以降は、小火器(小銃、機関銃、拳銃)を使用した射撃や不発弾処理訓練を予定。将来的に迫撃砲の実弾射撃やヘリコプターを使用した救難訓練も想定。在沖米海兵隊との共同訓練も視野に入れている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171300_03.html

 

2008年3月17日(月) 朝刊 23面

「真実伝えて」高1切実/「集団自決」大阪で座談会

 【大阪で西江昭吾】中学の授業で沖縄戦を学んだ大阪府内の高校一年生らが恩師とともに集まり、「集団自決(強制集団死)」をめぐり問題となった教科書検定や米兵暴行事件などについて語り合う座談会が十六日、吹田市の公民館であった。四月から日本史の新教科書を使うことになる生徒らは「極限状態で起きた事実をなかったとしてはいけない」と胸の内を語った。

 「授業で使う教科書が沖縄戦についてあいまいだと、習う側が分からなくなる」と指摘したのは柿ケ原さん。薮下愛さんも「周りは地上戦があったことは知っているけど、実態までは知らない。発表の機会があれば習ったことを伝えたい」と思いを語った。末也 依然後を絶たない米兵の事件・事故について三宅充啓君は、沖縄と本土も憤りの温度差があるとし、「なかなかできない意識の改革には日本の法律を守らせるよう日米地位協定を変えてほしい」と話した。

 二十八日の判決が迫った「集団自決」訴訟について、玉置晋太郎君は「軍の命令はなかった、と言う人もいるが、手榴弾を渡された事実があり(証言の根拠としても)強いのではと思う」と感想。中島拓哉君は「悲惨な出来事を今後もあやふやに伝えたくない」と決意を述べた。

 生徒らは二〇〇六年四月から一年間、同市内の西山田中学で平井美津子教諭らから指導を受けた。修学旅行の時、事前に沖縄の歴史を十六時間学習。県内でも壕や基地を巡った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月17日朝刊)

[陸自の共同使用]

雲散霧消する「負担軽減」

 陸上自衛隊第一混成団(那覇)が十七日から二日間、米海兵隊のキャンプ・ハンセン演習場で訓練を実施する。

 研修という名の部隊間交流は県内でも過去に何度も行われているが、沖縄の陸上自衛隊が県内の米軍演習場で正式に訓練をするのは初めてである。

 参加するのは第一混成団第一混成群の隊員約百五十人。約二十メートルの訓練塔を利用したロープ降下訓練や野営訓練などが予定されている。実弾は使用しないという。

 訓練の内容は、陸上自衛隊が日常的に実施している小規模なもので、特にどうということはない。だが、二〇〇六年五月に合意された在日米軍再編計画に基づく今回の訓練は、米軍再編の性格を雄弁に物語るもので、政治的な意味は大きい。

 「日米防衛協力のための指針」(旧ガイドライン)がまとまったのは一九七八年十一月。ガイドライン策定を機に日米共同訓練が活発化した。同時期の七八年十月に沖縄を訪問した永野茂門陸上幕僚長は、第一混成団の隊員を前に「米軍の演習場を共同使用することが望ましい」と語っている。

 あれからちょうど三十年。第一混成団にとって、創隊以来の悲願がようやく実現することになる。住民の根強い反自衛隊感情を考慮して隠忍自重してきた自衛隊からすれば、今回の訓練はエポック・メーキングな出来事なのである。

 だが、住民側から見た場合、自衛隊の共同使用は、負担軽減に逆行する動きと言うほかない。

 将来的には機関銃、対戦車用火器、迫撃砲などを使った実弾射撃訓練が予想される。さらに次の段階として想定されるのは在沖米海兵隊との共同訓練だ。現時点で計画がないからといって将来も実施しないという保障はない。

 第一混成団はこれまで、迫撃砲などの実弾射撃訓練や大掛かりな演習は、九州の大矢野原、日出生台などの演習場を利用してきた。その基調はすぐには変わらないだろうが、ハンセンでできるものはハンセンで、という内部圧力は間違いなく高まってくるはずだ。

 地元の金武町、宜野座村、恩納村は、米軍再編交付金と引き換えに自衛隊の共同使用を受け入れた。苦渋の選択には違いない。だが、米軍再編の目的の一つが沖縄の負担軽減であったことを忘れるわけにはいかない。

 在日米軍再編計画に基づいて本土への訓練移転が行われている嘉手納基地でも、負担軽減の側面が後景に追いやられ、逆の現象が目立つ。この計画、やはり無理があると言わざるを得ない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080317.html#no_1

 

琉球新報 社説

防衛省「裏金」 不正の温床を断ち切れ 2008年3月17日

 税金は、国民が血の出るような苦心をして納める重さから「血税」といわれる。その血税を、官僚らが「裏金」化して私的に流用していたとしたら、大問題である。疑惑が指摘された時点で実態解明に努め、早期に公表するのは当然であろう。

 ところが、この当然のことを、指摘された省庁が事実上放置していたという。国会で大臣が「調査中」と答弁しているにもかかわらずだ。あきれて言葉もないが、なぜ放置したのか、納税者が納得する説明を求めたい。

 問題の省庁は防衛省である。同省は前事務次官の逮捕やイージス艦衝突事故など不祥事続きで、またかの感もあるが、疑惑をうやむやにされては困る。

 今回は、情報収集を主な目的とする報償費の多くを架空の領収書で裏金化したという疑惑である。OBらの名前を使って協力者から情報提供を受けたと見せ掛け、架空の領収書を大量に作成。報償費は表向きの収支上、ほぼ使い切った形とし、裏金に変える。実に手の込んだ仕組みだ。

 2007年度予算の場合、防衛省分の報償費は約1億6000万円だが、ひねり出したプール金の総額は少なくとも数千万円に上るとされる。国会では、こうした幹部らの裁量で使えるような不正経理を組織ぐるみで長年続けていた疑惑が指摘された。

 これに対し、石破茂防衛相は調査中と繰り返し、時期を明示せず「中間報告」を検討する意向を表明した。にもかかわらず、省内では裏金の具体額の報告を求めないなど内部調査を事実上放置していたことが分かった。

 疑惑を払いたいなら、調査に及び腰になることはあるまい。それとも裏金が広範囲にわたり、調べれば収拾がつかなくなるということなのだろうか。どちらにしろ、問題発覚から4カ月が経過している。放置は許されないし、防衛トップの責任が問われよう。

 事態を重く見て、会計検査院が領収書や帳簿などの調査に乗り出すという。実態を明らかにし、不正の温床があるのなら、断ち切ってもらいたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32237-storytopic-11.html

 

2008年3月17日(月) 夕刊 1面

アセス調査本格着手/普天間代替

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局は十七日、環境影響評価(アセスメント)調査のうち、海域で海藻草類やサンゴ類の生息状況などを調べる準備に入った。午前八時ごろ、名護市の汀間漁港に調査船など約十隻が確認された。しかし、周辺海域でジュゴンが遊泳しているとの情報があり、午後一時現在、出港していない。沖縄防衛局は方法書を提出する前の昨年五月、事前の海域調査を行っていたが、本格的なアセス調査に着手する。

 沖縄防衛局は、辺野古ダムの水質調査などを行うため同日、名護市に許認可を申請した。県に対しても、サンゴ類や海藻草類、ウミガメの卵の殻など採取に必要な項目など計九項目について許認可申請を行う。

 島袋吉和名護市長は同日午前、「市民の意見を聞きながら適切に対処したい」と述べた。県や名護市は随時、許可を出す予定だ。

 海域調査については、汀間漁港で同局がチャーターした漁船などに機材を搬入する様子が確認された。だが、名護市安部オール島周辺でジュゴンの遊泳が確認されたという情報がある。防衛局は調査船の出港を控え、ヘリコプターを飛ばして目視調査を行っている。

 沖縄防衛局は十四日、アセス方法書の追加修正資料の修正版を県に提出して、方法書を確定した。十五日から県の許認可などを必要としない調査に着手し、風向きや風速、気温、湿度などを計測する大気質にかかる気象調査や、沿岸部で海からの塩分の飛来量を測定する調査を開始していた。


     ◇     ◇     ◇     

ジュゴン調査止める/反対派「自ら訴え」


 【名護】「ジュゴンも、基地を造るなと訴えている」。米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設のための環境影響評価(アセスメント)調査に向かう沖縄防衛局の調査船は十七日午後一時現在、出港を見合わせている。同市の安部オール島周辺海域でジュゴンの遊泳情報があったため、配慮したもの。

 同日午前八時、名護市汀間漁港でシュワブ周辺海域の海藻草類やサンゴ類などの生息状況調査のための調査船への調査機材の積み込み作業などが開始されたが「ジュゴン情報」で、作業員らは同港で待機を続けている。

 市民団体のメンバーらも船二隻とゴムボート三隻で阻止行動を行うため待機している。

 辺野古で座り込みをしているヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は「ジュゴンが自分の生息環境を壊すなと訴えている」と話した上で「海を埋め立てて、基地を造ること自体が時代に逆行している。米兵絡みの事件・事故も、基地がある限りなくならない」と訴えた。

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は「追加・修正を繰り返した違法なアセスは容認できない。事前調査と組み合わせることも許されない」として、アセスの即時中止と方法書の見直しを求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171700_01.html

 

2008年3月17日(月) 夕刊 1・5面

ハンセン陸自共同使用を開始

 在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が、十七日正午ごろ始まった。

 陸自が在沖米軍専用施設で単独訓練を行うのは初めて。

 金武町のキャンプ・ハンセン第三ゲートでは同日午前七時半ごろから、第一混成団第一混成群のトラックやジープなど約三十台が施設内に入ったとみられる。

 訓練には第一混成群(鈴来洋志群長)から一個中隊約百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施した。89式小銃や機関銃を装備しているが、今回は空砲を含め、射撃、爆破訓練は行わない方針だという。


     ◇     ◇     ◇     

基地強化に抗議/ハンセン前で労組集会


 【金武】十七日に始まった陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による米軍キャンプ・ハンセンの共同使用に対し、沖縄平和運動センター、北部地区労などは同日午前、キャンプ・ハンセンのゲート前で、抗議集会を開いた。集まった約二十五人が、共同使用を止めるよう求めた。

 同センターの山城博治事務局長は「自衛隊が県民の前に堂々と現れ、米軍と共同訓練を行う。さらなる基地の強化になり、恐怖を覚える」と怒りの声を上げた。

 同地区労の仲里正弘議長は「きのうも沖縄市で外国人によるものとみられる強盗事件が起きた。米兵の中には、イラク戦争で精神が荒廃した者も多く、沖縄での相次ぐ事件・事故と無縁ではない。そういう状況での共同訓練。断固反対する」と訴えた。

 参加者たちは「共同訓練をやめろ」と、シュプレヒコールを上げた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171700_02.html

 

2008年3月17日(月) 夕刊 5面

地位協定改定で決議へ/あす那覇市議会

 那覇市議会は十八日の市議会二月定例会の最終本会議で、相次ぐ米兵事件に抗議する意見書を可決する。米軍基地の整理・縮小のほか、日米地位協定の具体的な中身にまで踏み込み、抜本的な改定の早期実現を求める。

 日米地位協定の施設・区域に関する措置や環境保全、施設返還、裁判権などに関する条文を列挙し、明記すべき具体的な文言の改正を求めている。

 施設・区域に関する措置では「合衆国軍隊は施設および区域が所在する地方公共団体に対し、事前通知後の施設および区域への立ち入りを含め、公務を遂行する上で必要かつ適切なあらゆる援助を与えること。ただし、緊急の場合は、事前通知なしに即座の立ち入りを可能にする旨を明記すること」としている。

 意見書では「度重なる事件・事故等の発生は、米軍関係者優先の日米地位協定にも起因するものであることは言うまでもない」と指摘。(1)実効ある米軍基地の整理・縮小(2)海兵隊を含む米軍兵力の大幅な削減―に加え、「日本の主権と国民の基本的人権に制限を加える不平等な『日米地位協定』の抜本的改定を求める」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171700_04.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 1面

名護・宜野座に交付金/再編への「協力」評価

2年分総額14億円

 【東京】政府は十七日、在日米軍再編への協力の見返りに自治体に支払う再編交付金を、米軍普天間飛行場移設先の名護市、宜野座村へ交付する方針を固めた。島袋吉和名護市長が十二日の市議会で代替施設建設計画について「(移設に関する)協議会での議論の結果に基づき適切に対応していきたい」と米軍再編への「理解」を表明。移設に向けた環境影響評価(アセスメント)でも沖縄防衛局のアセス調査を許可し、「協力姿勢」を示す見通しとなったことで、交付要件を満たすと判断した。

 再編交付金を規定する「米軍再編推進法」は、交付要件に、米軍再編への「理解と協力」を求めている。

 これまで他の北部自治体とともに「島袋市長を支援する」と歩調を合わせてきた宜野座村も、名護市が「理解と協力」の姿勢を示したことで、自動的に「協力自治体」とみなされた。

 防衛省は近く、財務省と本格的な事務調整に入る。石破茂防衛相が月内に、名護市、宜野座村を再編交付金の交付対象となる「再編関連特定市町村」に指定し、官報で告示する予定だ。

 「米軍再編推進法」は再編の進ちょく率を(1)交付自治体に指定(10%)(2)アセス調査着手(25%)(3)工事着工(66・7%)(4)再編実施(100%)―の四段階に分類。

 進ちょく率の四段階目に相当する代替施設完成で支払われる再編交付金の上限額(100%分)は単年度で約四十億円に上る見込み。名護市と宜野座村の配分率は代替施設が占める面積などで案分されるが、おおむね五対一となる見込み。

 米軍再編推進法の施行年度である本年度の分は、再編交付金の交付対象となる「防衛施設」を指定した十月末時点の進ちょくで交付額を決定するため、上限額の10%分に相当する約四億円が支払われる見込み。

 ただ、本年度内の予算措置は補正予算成立後で困難であるため、二〇〇七年度分は〇八年度に繰り越す見通し。〇八年度以降は基準日が法律上四月一日とされるため、アセス調査の開始を受け十億円が支払われ、〇七年度分を合わせ総額十四億円になる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_01.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 2面

普天間代替 海域調査見送る/ジュゴン確認で

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局は十七日、環境影響評価(アセスメント)調査のうち、海域で予定していた海藻草類等の海域調査を見送った。周辺海域でジュゴンを確認したためで、同報道室は「(個体に)配慮し、念のため実施を見合わせた」と述べた。十八日以降に調査に入る見通し。

 十七日はヘリコプターで上空からジュゴンの目視調査を行って対応した。沖縄防衛局は十四日に確定したアセス方法書で「ジュゴンが確認された場合は速やかに作業を一時中断するなど適切に対応する」と定めていた。

 また同局は十七日、アセス調査のうち、県や名護市の許認可が必要な九項目について、八項目の許認可を申請した。サンゴ類や海藻草類、ウミガメの卵の殻の採取については県水産課に申請した。

 県に求める河川での水質調査の項目については調整中で、まだ申請していない。県や名護市は随時、項目ごとに許可を出す予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_02.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 1面

ハンセン内陸自が訓練

 在日米軍再編に伴う陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による金武町の米軍キャンプ・ハンセン共同使用で十七日午後、初めて在沖米軍専用施設で単独訓練を行う陸自の様子が上空から確認できた。

 山すそに建てられたコンクリート製のタワーで整列する隊員の姿や陸自車両があった。ロープ降下訓練を実施したとみられる。近くには射撃場や造成中の施設が数カ所あった。一個中隊約百五十人が参加する訓練は十八日も行われる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_03.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 29面

5市町村に実行委/県民大会

 北谷町で二十三日に開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に向け、沖縄市と北谷町、与那原町、読谷村、大宜味村で十七日までに、市町村実行委員会が立ち上がった。各実行委は、構成団体を通して住民らに大会参加を呼び掛ける。

 北谷町の実行委には子ども会育成連絡協議会、女性連合会など九団体が加わった。実行委員長の野国昌春町長は「短期間の取り組みだが、周知徹底も含め協力をお願いしたい」と述べた。

 読谷村の実行委は、村議会や村PTA連合会など二十三団体で構成。実行委員長の安田慶造村長は「県民の怒りを対外的に示す必要がある」と訴えた。

 沖縄市実行委は、東門美津子市長、大宜味村実行委は島袋義久村長をそれぞれ実行委員長に選出した。

 与那原町の実行委は町民有志約三十人で組織する「町民が主人公の与那原をつくる会」を中心に活動。十四日の初会合で、共同代表に津多則光氏と根川清義氏が就任した。


知事参加を要請 実行委


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の実行委員会幹事会の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会長らは十七日午後、県庁に上原昭知事公室長を訪ね、仲井真弘多知事の大会出席を要請した。

 玉寄会長は「(大会内容は)県議会の抗議決議の範囲内だ」とし、知事の出席を求めた。上原公室長は「知事は、いろいろな人の意見を聴いて判断したいとしている。要請は知事に伝えたい」と答えた。

 玉寄会長らは、県議会の仲里利信議長や同議会自民会派にも出席を要請した。

 日本共産党県委員会(赤嶺政賢委員長)の村山純委員長代理と、前田政明県議も同様に要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_04.html

 

2008年3月18日(火) 夕刊 1面

普天間代替 アセス海域調査開始

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局は十八日午前、海藻草類やサンゴ類の生息状況などの調査に着手し、初めて海域での環境影響評価(アセス)の作業に入った。当初は十七日からの予定だったが、周辺海域でジュゴンを確認したため見合わせていた。

 汀間漁港で調査機材を積み込んだ調査船など約十隻は、八時半ごろから北側の嘉陽海域へ向かった。波はやや高かったが、リーフ内を中心にボートで調査員をえい航して海面から調査するマンタ法による生息調査のほか、ダイバーが水中に潜って写真撮影し、ボードに記録している様子などが確認された。

 一方、市民団体メンバーらは、阻止活動のため船二隻とゴムボート二隻を出した。しかし、海域の状況が悪いため、辺野古沖海上で警戒活動を続け、嘉陽沖までは船を出しておらず、午前中は調査船との衝突は確認されていない。

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は「防衛局は何度もジュゴンの生態を無視した調査を行っていたのに、報道陣が多い時に環境への配慮をアピールした印象だ。辺野古海域での調査阻止を重点に、新基地建設計画を阻止する」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181700_01.html

 

2008年3月18日(火) 夕刊 4面

地位協定改定 12項目求める/那覇市議会

 那覇市議会(安慶田光男議長)は十八日午前の二月定例会最終本会議で相次ぐ米兵事件に抗議し、基地の整理・縮小、日米地位協定の抜本的な改定の早期実現に関する意見書案を、全会一致で可決した。

 地位協定の条文関係など12項目を列挙し、それぞれ明記すべき具体的内容を盛り込んだ。

 意見書は「暴行事件発生後も米兵による事件が相次ぎ、米軍と日本政府の再発防止や綱紀粛正、日米地位協定の運用改善による対応は十分ではなく、県民の怒りは限界まで達している」と指摘。

 地位協定改定のほか、(1)実効ある米軍基地の整理・縮小(2)海兵隊を含む米軍兵力の大幅な削減―を求めた。

 あて先は衆参両院議長、首相、法務・外務・防衛・環境・沖縄および北方対策担当大臣。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181700_04.html

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