米軍住宅1万1295戸整備/思いやり予算5459億円 知事、県民大会不参加を表明など  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(3月19日から22日)

2008年3月19日(水) 朝刊 2面

米軍住宅1万1295戸整備/思いやり予算5459億円

 【東京】石破茂防衛相は十八日の衆院本会議で、日本政府が一九七九年度から二〇〇七年度にかけて整備した米軍基地内の家族住宅が、現在建設中のものも含め、全国で一万千二百九十五戸に上り、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)約五千四百五十九億円が投じられたことを明らかにした。照屋寛徳氏(社民)への答弁。

 米軍住宅の整備をめぐって政府は、照屋氏の質問主意書に対する今月七日の答弁書で、日本政府が七五年度から〇六年度にかけて建設した家族住宅が六千百八戸に上るとしており、約半分が県内に集中している実態も浮き彫りとなっている。

 一方、高村正彦外相は、米軍機による爆音訴訟で、嘉手納、厚木、横田などすでに確定した八件の訴訟の賠償金の合計が百二十二億円に上るが、米国が分担金支払いに応じていないことを明らかにした。賠償金は日本政府が肩代わりして原告住民らに支払っている。

 高村外相は分担金をめぐる日米協議について、「政府としては米国に賠償金の分担を要請しているが、両国政府の立場が異なっていることから妥結をみていない。このため、米国が負担する金額について現時点で答えるのは困難」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_05.html

 

2008年3月19日(水) 朝刊 2面

新射撃場着工 重ねて「反対」/金武町長

 【金武】金武町の儀武剛町長は十八日、開会中の町議会の一般質問で、現在同町キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で建設が進んでいる、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場について、「反対しているのにもかかわらず、着工されたことは誠に遺憾だ」として、あらためて反対の意志を示した。

 今後の対応については、「近接する伊芸区も反対決議をしており、区長や議長の三者で協議して、対応したい」と述べた。

 十七日から同訓練場で始まった陸上自衛隊の共同使用が基地の固定化につながるのではないかとの質問には「新たな施設整備を伴わない訓練のみの実施であり、基地の固定化につながるものではない」と、否定。

 迫撃砲やヘリを使った訓練の可能性については、「沖縄防衛局に確認し、使用はないとの説明を受けた」との認識を示した。仲間昌信議員への答弁。


     ◇     ◇     ◇     

陸自ハンセン訓練公開


 陸上自衛隊第一混成団は十八日、在日米軍再編に伴い米軍キャンプ・ハンセンで実施している共同使用訓練の一部を報道陣に公開した。都市型戦闘訓練施設(コンバットタウン)で行った通過訓練と、懸垂降下訓練施設(ラペリングタワー)で、予定していたロープ降下訓練は悪天候で中止された。

 訓練したのは第一混成群第三〇一普通科中隊など約百五十人。コンバットタウンでは、両側に民家や教会を模した六、七棟が立ち並ぶ通りを、一個分隊約八人が前後左右を警戒しながら通り抜けた。隊員は通常の戦闘訓練用という八九式小銃や鉄製ヘルメット、防弾チョッキ、ゴーグルなどを装備していた。

 第一混成団の武内誠一団長は同日、「部隊の能力を高め、さらに即応性を向上させ、県民の安心・安全のために貢献できるものと確信する」とコメントした。

 在沖米軍専用施設を使った初の日米共同使用訓練は同日、終了した。同広報室によると、次回訓練は日時、内容ともに調整が済んでいないという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_06.html

 

2008年3月19日(水) 朝刊 2面

名護市、水質調査を認可/普天間「アセス」

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局が着手している環境影響評価(アセスメント)調査で、県や名護市の許認可が必要な申請項目のうち、名護市は十八日、水質調査の立ち入りを認可した。

 県や名護市は随時、許認可する見通し。

 防衛局は全九項目を申請する必要があるが、すでに八項目は申請済み。残る一項目の県に求める水質調査の申請について調整を進めている。

 一方、同日沖縄防衛局がアセス調査と位置付け初めて着手した海域調査は天候不良のため、午前中だけにとどめた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_08.html

 

2008年3月19日(水) 朝刊 24面

「基地」教わった学びやに恩返し/沖国大・事故時1年生卒業

 二〇〇四年のヘリ墜落事故当時一年生だった沖縄国際大学の学生ら約十五人が十八日、四年間過ごした学びやを掃除した。学生らはヘリ事故を通して基地の重圧に苦悩する沖縄の現状を学んだ。二十一日は同大で卒業式があり、事故当時を知る最後の学生が巣立つ。

 学生らは「使ったモンをキレイにできない奴が社会人になれるか!感謝沖国大掃除大会」と銘打ち、約七時間かけて机やいすのふき掃除や掲示板のテープはがしなど、丹念に清掃した。

 掃除大会を呼び掛けた高橋正太郎さんは、県外の修学旅行生を案内する平和ガイド団体やヘリ事故後の「ノーフライゾーン・コンサート」に携わった一人。「やりたいと思ったことができた四年間だった。沖国大にありがとうって気持ちでいっぱい」

 新里豪さん(22)は「ヘリが落ちても基地問題に無関心だった自分が、県外出身の仲間とかかわることでヘリ事故は非常識なんだと気付かされた」と振り返る。その後、基地問題や沖縄の歴史に関心を持ち、平和ガイド仲間らと修学旅行生約千人を戦跡案内した。「コンサートの打ち合わせなど、友人たちと楽しく過ごした大学への恩返し」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_10.html

 

2008年3月19日(水) 夕刊 5面

靖国合祀 遺族ら提訴/取り下げ求め那覇地裁に

 靖国神社に肉親を合祀されている沖縄戦の遺族ら五人が十九日午後、親族を無断で祭られて追悼の自由を侵害されているとして、同神社に合祀の取り下げを求める訴えを那覇地裁に起こした。国が同神社に戦没者情報を提供したのは、憲法の政教分離に違反しているとして、併せて国と同神社に慰謝料の支払いを求めた。

 提訴したのは、沖縄戦で母と兄が犠牲になった原告団長の川端光善さん(72)や、ひめゆり学徒に動員されて姉を亡くした男性ら。提訴までに同神社に直接文書で合祀の取り下げを求めたところ、「遺族の承認を得て合祀することはない。靖国神社には信教の自由がある」などと回答したという。

 原告側は訴状で「戦争の被害者として無念の死を遂げた人々を、国に殉じた英霊として合祀しているのは許しがたい苦痛で、積極的に合祀に協力した国には怒りを感じる」と主張している。

 また壕から追い出されたり「集団自決(強制集団死)」を強いられたりして亡くなった被害者に、戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)が適用されている仕組みにも言及。住民を軍に対する積極的な戦闘協力者にすり替え、加害者の皇軍に取り込んでいるとして、「死者に対する冒涜にほかならない」と訴えている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191700_01.html

 

2008年3月19日(水) 夕刊 5面

タクシー窃盗事件/容疑者は米兵の子

 十六日夜に沖縄市内の路上で米国人少年二人がタクシーから現金箱を盗んだ事件で、逮捕された少年はいずれも米兵の息子であることが十九日分かった。住所不定無職の少年(15)は海兵隊員の息子で、同市八重島の男子高校生(16)は空軍兵の息子だった。無職少年は容疑を認め、高校生は否認しているという。

 調べでは、二人は十六日午後十時十五分ごろ、同市桃原の路上で、乗っていたタクシーを停車させ、現金五千四百円入りの現金箱(千円相当)を盗んだ疑い。

 沖縄署によると、二人は桃原付近で乗車した後、無職少年は助手席に、高校生は後部座席に座った。行き先をはっきり言わないなど不審な点があったため、乗務員が停車した際、外に出た無職少年が現金箱を取って逃走。後ろに乗っていた高校生も運転手のバッグを取ろうとしたが、運転手が取り返したという。

 駆け付けた警察官が近くにいた高校生を見つけ、署に呼んで緊急逮捕。無職少年は基地外にいたとみられ、米軍捜査機関が身柄を確保し、同署に引き渡した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191700_04.html

 

2008年3月19日(水) 夕刊 5面

反対派の船接近アセス一時中断

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局が行っている海域での環境影響評価(アセス)の作業は、二日目の十九日午前九時すぎ、嘉陽海岸付近で調査に反対する市民団体のボートなどが調査船に近づいたため、午前中、中断した。同海域では、沖縄防衛局側の調査船など八隻と市民団体側のゴムボートなど三隻が対峙した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191700_07.html

 

2008年3月20日(木) 朝刊 27面

医師のヘリ添乗 協定/自衛隊急患搬送

 自衛隊のヘリコプターを使用した急患搬送で県、離島十八市町村と県立四病院、民間五病院が「離島からの急患を空輸する際にヘリコプター等への医師等の添乗に関する協力協定書」を締結することが十九日、分かった。県内では復帰後三十年近く自衛隊法の災害派遣要請を適用してヘリ急患搬送を実施している。医師添乗の在り方や運航の安全確保など運用について協定を結ぶのは初めて。

 協定では県や離島市町村、協力病院の役割を明確化した。任意で不定期の集まりだった県ヘリコプター等添乗医師等確保事業運営協議会の会長に県福祉保健部長を充て、添乗した医師の災害補償の在り方などを含め総合調整の役割を担う。添乗医師の確保は協力病院の責任とし、離島市町村はヘリ急患搬送についての啓蒙活動や、協力病院の負担軽減策などを検討することを盛り込んだ。

 また離島市町村が一部事務組合方式によるヘリ急患搬送事業の検討委員会を設立し、全国で初めて救急救命士の添乗を検討する。

 運航の安全性確保では(1)急患搬送の中止は現地の気象条件を最優先(2)飛行気象条件はマニュアルに記載(3)ヘリ乗員と添乗医師は飛行前に天候や患者の容態などに関する情報交換を行う―とした。

 当番医師の裁量に委ねていた添乗の可否は、原則として添乗し、やむを得ない場合に限り看護師などほかの医療従事者の代替策を構ずる。医師の添乗研修を実施することも明記した。

 協定締結式は二十六日、那覇市内で開かれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803201300_05.html

 

2008年3月20日(木) 朝刊 26面

沖縄戦の実相 取り戻したい/靖国合祀訴訟原告ら会見

 沖縄戦の遺族らによる靖国神社の合祀取り下げ訴訟で、原告団長の川端光善さん(72)ら訴訟団が十九日、訴状提出後に那覇市内で記者会見した。

 川端さんは「国は靖国を利用して人々を戦争に駆り立ててきた。私の戦後処理は合祀されている母と兄の名を、一刻も早く靖国から消し去ること」と語った。

 沖縄戦で日本軍に壕から追い出され、砲弾の犠牲になったという母親らが祀られている原告の崎原盛秀さん(74)は「母は日本軍に殺されたと思っているが、援護法では積極的に軍に協力したことにされている。これほどの侮辱は許されない」と語気を強めた。

 弁護団長の池宮城紀夫弁護士は「援護法によってねじ曲げられた沖縄戦の実相を取り戻すこともこの裁判の目的」と指摘。

 弁護団の丹羽雅雄弁護士は「沖縄戦の犠牲者を国に殉国死した英霊にすり替えているのが靖国神社と援護法。現在と未来にかかわる裁判だ」などと訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803201300_07.html

 

2008年3月21日(金) 朝刊 29面

県民は怒っている/大会へ高まる意欲

実行委員長に玉寄さん/幹事会、参加と寄付呼び掛け

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会(23日、北谷公園野球場前広場)の実行委員会幹事会が20日、那覇市の教育会館で開かれた。大会実行委員長に県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長が就任し、大会プログラムなどについて話し合った。23日当日は宮古島市や石垣市でも抗議集会が予定されており、大会に向けて関係者の意気込みが高まっている。

 実行委幹事会で、幹事の小渡ハル子・県婦人連合会長は「米兵による事件続発に県民はみんな怒っている。これ以上、ばかにされて我慢できますか」と、大会への参加を呼び掛けた。

 幹事会では、大会を予定通り二十三日午後二時から開催することを最終確認した。雨天決行で、雷雨や豪雨の場合は同広場近くの北谷ドームに会場を移す。

 大会は、女性団体や老人団体、学校関係団体などの代表が米軍・米兵による事件・事故の続発に対する抗議や意見などを述べる。

 本島中部の地域住民代表にも、基地被害の実態や不安を話してもらうほか、二〇〇二年に神奈川県内で、米海軍横須賀基地所属の米兵に暴行されたオーストラリア人女性にも、檀上から被害の深刻さを訴えてもらう予定。

 二十日までに、八十七団体から計約二百二十六万円の協賛金が集まったが、目標金額の四百万円には届いておらず、同実行委では引き続き団体や個人からの寄付を募っている。

 問い合わせは実行委事務局、電話098(867)0292。


     ◇     ◇     ◇     

抗議署名825人分/松島中PTA


 松島中学校PTA(金城喜美代会長)は米兵による暴行事件への抗議文と、父母や家族八百二十五人分の署名を在沖米総領事館に送付する。

 あて先はブッシュ米大統領、ケビン・メア在沖米総領事、リチャード・ジルマー在沖米四軍調整官。米総領事館に手渡しでの要請を依頼したが、断られたという。

 金城会長は「今回は政治的な基地返還ではなく、親としての立場から署名を呼び掛けた。事件が単なるニュースとして一過性のものにならないよう、家族の中で話し合うきっかけにしてほしい」と話した。


八重山・宮古でも開催


 【八重山・宮古】県民大会に合わせて八重山地区でも郡民大会が、二十三日午後二時から石垣市の新栄公園で開かれることになった。同地区の労働組合や平和団体などでつくる実行委員会が十九日夜、同市内で開かれ、日時や場所などを決めた。

 本底充連合沖縄八重山地域協議会議長が実行委員長に就いた。石垣、竹富、与那国の三市町長や昨年九月の「教科書検定撤回を求める八重山郡民大会」で実行委を構成した各団体に参加を呼び掛ける。

 大会のスローガンを「人権の保障と確立」「日米地位協定の抜本改正」「目に見える基地の整理・縮小」などと掲げ、抗議決議を採択する予定。

 一方、宮古島市でも二十三日午後二時から、市陸上競技場東駐車場で「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する宮古集会」が開かれる。伊志嶺亮市長も参加する。スローガンや決議文などは、県民大会と同じ。

 二十一日午後、市長や連合沖縄宮古地域協議会などが会見を開き、大会への参加を呼び掛ける。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803211300_01.html

 

2008年3月21日(金) 朝刊 28面

元少年兵が名乗り/県系米兵呼び掛けに安里さんら

 戦後すぐに米サンフランシスコ湾のエンジェル島捕虜収容所で出会った沖縄出身の少年兵と再会したいという県系二世の元米兵ピーター・オオタさんの呼び掛けを掲載した本紙報道に安里洋太郎さん(80)=北中城村=と安里祥徳さん(78)=同=の二人が名乗り出た。日系米国人の聞き取り調査を行っている非営利組織JAリビングレガシーの日本事務所代表郷崇倫さんが来県し、十九日、安里さんたちから話を聞いた。

 一九四五年当時、県立一中の四年生だった洋太郎さんは鉄血欽皇隊に、同二年生だった祥徳さんは通信隊に入隊。本島南部で別々に捕虜になり、屋嘉からハワイ、米本土へと送られた。安里さんたちは、同年八月から九月ごろまで滞在したという。オオタさんのことは覚えていなかったが、日系二世の兵士が数人いたことや収容所の様子などを語った。祥徳さんによると、エンジェル島には一中以外にも多くの学徒(少年兵)がいたが、連絡先などは分からない。

 オオタさんが気になっている、という帰国時の気持ちについて、祥徳さんは「戦争で何もないと考えていたから、(沖縄に)帰って生きるのは大変だろうと思った」と振り返った。洋太郎さんは「ハワイに送られる時から空っぽで何も感じなかった。沖縄に戻って親が生きているのが分かった時に『良かった』と感情が戻ってきた」と振り返った。

 郷さんは二十二日まで県内で調査する予定で元少年兵に関する情報を求めている。郷さんの携帯電話は090(6153)4158。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803211300_08.html

 

2008年3月21日(金) 夕刊 1面

知事、参加最終判断へ/県民大会

 仲井真弘多知事は二十一日午前、二十三日に開かれる米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会への参加について、副知事や知事公室長らを交えて協議したが、結論を持ち越した。同日午後に開かれる県議会軍事基地関係特別委員会に県婦人連合会などから提出されている超党派による大会開催を求める陳情の採択結果を踏まえ、同日夕方にも最終判断し、正式に表明する。

 仲井真知事はこれまで「(米兵事件の再発防止などを)アメリカに言う必要がある。大会の効果はそれなりにある」と開催意義を認める一方、「超党派的な形がとれれば参加しやすい」「いろいろな人の意見を聴いてみたい」と参加への判断を留保している。

 県議会最大会派の自民は「被害者感情への配慮」などを理由に組織的参加を見送る一方、公明党県本は参加を決めるなど、県議会与党内でも対応が割れている。


     ◇     ◇     ◇     

翁長那覇市長、参加へ


 翁長雄志那覇市長は二十三日に北谷町で開催される「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に参加する意向を固めた。仲井真弘多知事と協議し、二十一日午後にも正式に参加を決める。翁長市長は「仲井真知事の参加・不参加にかかわらず、よほどのことがない限り市長として参加するつもりでいる」としている。同日朝、沖縄タイムスの取材に答えた。

 また、翁長市長は「大会の開催の仕方には課題があると思うが、外部の人は参加人数に注目している。みんなが訴えたいことは同じ。参加しなかったために県民のパワーが軽んじられるようなことがあってはいけないと思っている」とし、参加の意義を強調。

 今回、超党派による大会参加が実現できなかった課題を指摘した上で、事件・事故の発生にかかわらず、今年八月ごろまでに日米地位協定に関する最大規模の県民大会開催が必要との考えを示した。


県民の思い受け止める

岸田沖縄相


 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十一日午前の閣議後会見で、二十三日に開かれる米兵事件に抗議する県民大会について「県民の事件に対する怒り、深い思いをしっかりと受け止めなければならないと思う」との認識を示した。政府の対応として「大会の状況を見守り、再発防止策の実施へ一丸となって努力しないといけない」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803211700_01.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 1面

知事、県民大会不参加を表明

被害者に配慮強調 仲里議長も見送り

 仲井真弘多知事は二十一日夜、二十三日に開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」への不参加を表明した。仲井真知事は「(大会開催の)契機となった事件の被害者やご家族をそっとしておいたらどうかという判断が第一」と被害者への配慮を強調した。

 また、自民党県連が組織的参加を見送ったことで、超党派の結集が実現しなかったことも理由の一つに挙げた。同日午後九時ごろ、県庁で報道陣に答えた。知事は県民大会開催について「問題、課題解決に必要で大事なこと」と意義を認めながらも、「(被害者を)そっとしてあげたいというのも大事なこと。二つとも同じ重みがあるが同時には成り立たない」と説明した。

 県民大会の位置付けについて「各界各層の多数の団体や超党派の参加が必要」との考えを示し、「これまでの県民大会とは異なる状況にあり、十分じゃないと総合的に判断した」と話した。

 「人権」や「日米地位協定の抜本改正」などの大会スローガンについては「私が申し上げてきたこととほとんど同じ内容」と賛同。特に地位協定は「四十八年もそのままで運用は米側に委ねられている。人権や環境について抜本的な追加、改正がどうしても必要」と重ねて表明した。

 その上で、「公約の大きな部分。私の切り口で、県民各界各層の力を得て、しっかりと改正に向け取り組んでいきたい。今後は、しぼむんじゃなくて、むしろ(改定の)意識、認識は拡大していく」と述べ、地位協定改定に全力を挙げる姿勢を強調した。

 県議会の仲里利信議長は同日、県民大会について「議長という公的立場やその影響を考慮し、参加を控えるべきだと判断した」と大会出席を見送る考えを明らかにした。


実行委は決議案固める


 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(二十三日、北谷町開催)の実行委員会事務局は二十一日、大会プログラムを最終調整し、日米両政府に日米地位協定の抜本改定や基地の整理・縮小、県民への人権侵害の根絶などを求める決議案をまとめた。開催地区代表として野国昌春北谷町長と東門美津子沖縄市長が登壇する予定。二十二日に正式決定する。

 二十一日現在、大会趣旨に賛同する九十四団体、三百三十三個人から協賛金が集まった。

 大会では、米兵犯罪と騒音、環境破壊などの基地被害に対し、女性団体や地域代表らがそれぞれの立場から抗議の意思を表明する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_01.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 31面

「私たちがやる」/県民大会 知事不参加

 「先頭に立ってほしかった」。二十一日、超党派を目指した「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に仲井真弘多知事が不参加を表明したことに、大会の実行委員と中部の首長らは落胆しつつも「予測していたこと。やるしかない」と気持ちを新たにした。県トップが参加しない県民大会となるが、「沖縄の痛み、怒りを伝える意義は大きい」との思いは変わらない。

 実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は、知事が夏にも訪米し地位協定改定を訴えることに触れ「県民大会の決議を受けて行かなければ、効果はない。政党の顔色ばかり見ているのではないか」と姿勢を疑問視。「ウチナーンチュとしての気持ちに共感して多くの市町村や団体が参加してくれる。知事が参加しなくても、沖縄の痛みと怒りを政府に伝える上で、大会は大いに意義がある」と強調した。

 当初から県民大会の動きを引っ張ってきた県婦人連合会の小渡ハル子会長は、記者発表前に仲井真知事本人から、電話で不参加の決断を聞いた。「残念で食事も、のどを通らない」と悔しさをにじませた。決断するまでの知事の立場を思いやるが、それでも「私たち県民が怒りの声を上げていかなければ、現状は何も変わらない。ぜひ成功させましょう」と気持ちを切り替え、力強く話した。

 開催地となる北谷町の野国昌春町長は「知事の不参加は予測はしていたが、残念だ。本来なら先頭に立ってほしかった。大会に向けて足並みがそろわない面もあるが、全市町村議会で事件への抗議決議があったことは事実。大方の県民が米軍の事件・事故へ怒りを持っているはずだ」と大会の成功を願った。東門美津子沖縄市長は「県のトップとして出てほしいという気持ちはあったが、残念だ。最終的に本人が判断したことだから」と語った。


13首長は参加 名護市長ら北部からも


 二十三日に北谷町で開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」について二十一日までに、県内十三市町村の首長が参加を決めた。本島北部では島袋吉和名護市長のほか、島袋義久大宜味村長、高良文雄本部町長、與那嶺幸人今帰仁村長が参加する。

 島袋市長は「名護市辺野古でも住居侵入事件などが起きたこともあり、市長として参加する」と話した。高良町長は「北部市町村会でも、事件に対して抗議決議をしている」と述べた。

 このほか、翁長雄志那覇市長、知念恒男うるま市長、東門美津子沖縄市長、伊波洋一宜野湾市長、野国昌春北谷町長、安田慶造読谷村長、新垣正祐西原町長、新垣清徳中城村長、新垣邦男北中城村長が参加の予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_02.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 2面

「負担軽減に影響」/米軍駐留経費 協定期限切れ懸念

 【東京】防衛省の豊田硬報道官は二十一日の定例会見で、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新特別協定案が国会承認を得られない可能性が出ていることについて「協定が発効できなければ、訓練移転の経費負担ができない」と述べ、現行協定が期限切れとなる四月以降、米軍嘉手納基地のF15戦闘機の訓練移転などが実施できないとの見通しを示した。

 同報道官は「地元の負担軽減の点で、将来的に影響が出てくる可能性もある」と指摘。「想定される問題について、米側とある程度話をしている」と述べ、協定の期限切れに伴う影響を米側にすでに伝達していることも明らかにした。新特別協定案は十八日に衆院で審議入り。衆院での承認は確実だが、野党が多数を占める参院では既に反対を表明している社民、共産両党に民主党が加われば不承認となる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_05.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 3面

ロシア軍機が沖縄周辺飛来

 【東京】防衛省統合幕僚監部は二十一日夜、ロシアのTU―142対潜哨戒機が同日の昼ごろ、北海道北側から太平洋を経由し、沖縄本島周辺までの往復飛行を確認したと発表した。

 統幕によると、同機は領空侵犯はしていないというが、領空が点在する伊豆諸島の間を通過し、沖縄本島の東側約二百キロの沖合まで飛行。航空自衛隊の戦闘機が対領空侵犯措置(スクランブル)で対応した。

 統幕は「ロシア機が沖縄周辺まで飛来するのは最近では聞いたことがない。特異な飛行だ」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_06.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 31面

警官に暴行 米兵逮捕 容疑で那覇署

 那覇署は二十一日、男性警察官二人に暴行したとして、公務執行妨害の疑いで、米軍キャンプ瑞慶覧所属の海兵隊三等軍曹、アーロン・サンサリック容疑者(26)を現行犯逮捕した。

 調べでは、サンサリック容疑者は同日午後六時四十五分ごろ、那覇市内の路上で、同署の巡査部長(45)と巡査長(28)に擦り傷を負わせた疑い。同署員は、同容疑者と別居中の妻から夫婦間のトラブルを相談され、現場に同行。妻につかみかかろうとした同容疑者を制止した際に押し倒された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_07.html

 

琉球新報 社説

海自不祥事処分 問題は片付いていない 2008年3月22日

 イージス艦衝突事故や護衛艦「しらね」の火災など海上自衛隊の一連の不祥事を受け、石破茂防衛相は21日、海自隊員を中心に関係者の処分を発表した。

 防衛省の事務方トップ増田好平事務次官を減給10分の1としたほか、海自を統括する吉川栄治海上幕僚長を減給にした上で更迭するといった内容である。処分対象は計88人(延べ94人)に上る。防衛相や防衛副大臣、防衛政務官は給与の一部を2―1カ月返納する。

 イージス艦の衝突事故をめぐっては、連絡態勢の不備、その後の対応の不手際など組織的に問題を抱えている実態を次々に露呈した。国の危機管理を預かる官庁とは思えない失態だった。防衛省に対する国民の信頼は地に落ちたと言っていい。処分は当然だ。

 ただし今回の処分は、一つのけじめにすぎない。事故原因の解明はまだ終わっていない。なぜ事故は起きたのか、核心部分の究明はこれからだ。原因を徹底的に突き止め、その反省の上に立ち二度と同じ過ちを繰り返さないよう万全の再発防止策を講じなければならない。今回の処分で「幕引き」を図ることは許されない。

 共同通信の全国世論調査では防衛相の責任問題について「事故処理や再発防止策を取りまとめた後で辞任するべきだ」との回答が約6割に上った。防衛相はいま何をなすべきかを明示するものだ。

 処分と併せて公表したイージス艦事故の中間報告は、全体の対応評価について「衝突前の見張り員や当直員の配置など、艦全体として見張りが適切でなかった」と総括。漁船との位置関係からイージス艦に回避義務があったと指摘した上で「回避措置も十分でなかった可能性が高い」とした。

 実力部隊としての危機管理意識を著しく欠き、往来の過密な海域を漫然と航行していた緊張感のなさがうかがえる。文民統制にもかかわる問題だけに深刻だ。

 隊員の士気、組織体制をどう立て直していくか。単にマニュアルを書き換えるだけでは信頼の回復は遠のくばかりだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-130354-storytopic-11.html

 

2008年3月22日(土) 夕刊 5面

大会成功へ 事務局熱気/全国からも支援続々

 大会まであと一日―。「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(二十三日、北谷球場公園前広場)実行委員会事務局は二十二日午前、スタッフらが電話やファクスの対応に追われ、慌ただしさと熱気に包まれた。仲井真弘多県知事が二十一日夜に大会不参加を表明したばかりだが、関係者は落ち込むことなく大会成功に向け、懸命の準備作業を続けている。

 午前十時、那覇市内の事務局にスタッフ四人が集合。前日夜遅くまで議論した決議文の事務局案を最終確認した後、知事の不参加を受けたプログラムの見直し、参加団体や登壇者の確認作業に追われた。午後に開かれる最終確認の幹事会用に資料データを打ち込みながら打ち合わせ。黒板に追加日程を書き込むなど、ギリギリの調整を続けた。

 その間にも、電話やファクスはひっきりなし。固定電話だけでは足りず、それぞれの携帯電話もフル活用し、関係者とのやりとりやマスコミ対応をこなした。

 開催が正式決定してからわずか二週間の「短期決戦」。スタッフの一人は「準備にあと一カ月ほしいくらいだったが、ようやくめどが立った。参加団体や住民からの反応がすごいので、うれしい。後は頑張るだけ」と声を弾ませた。

 事務局の机には、県外からの応援メッセージが。「県民大会は平和で公正な世界の創造に向けて大変意義深い。共に行動しましょう」(全国地域婦人団体連絡協議会)「沖縄はじめ全国の仲間と連帯して運動していく決意です」(福岡県労働組合連合)。そのほか東京都世田谷区や山形県の住民団体からも、米兵犯罪に抗議し、県民大会に賛同するファクスが届いている。

 事務局の国吉司さんは「個人で手紙や寄付を持ってきてくれる人もいる。とても心強い。何としても大会を成功させたい」と笑顔を見せた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221700_02.html

 

2008年3月22日(土) 夕刊 5面

米ヘリ?提供施設外訓練/名護市安部

 【名護】米軍普天間飛行場の移設先、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に近い米軍提供施設外の安部オール島で二十日午後三時すぎ、米軍機とみられるヘリが離着陸訓練を少なくとも二回行っていたことが二十二日、分かった。米軍の運用の在り方があらためて問われそうだ。

 機体の型からCH46中型ヘリとみられる。目撃した男性(33)によると、キャンプ・シュワブ方向から大浦湾上空に飛行、安部オール島の南東側に降下。いったん、シュワブ方向に戻ったが、十分から二十分後に再び同島上空に現れ、着陸した。同島は民間地域で米軍提供施設外。

 目撃した男性は、大浦湾洋上で、普天間飛行場の移設に反対する抗議活動を行っていた。男性は「機体のトラブルなど緊急性があるようには見えなかった。普天間飛行場が移設されれば、こうした事は日常的に起こる」と訴えた。

 名護市の玉城政光政策推進部長は「週明けに、沖縄防衛局や米軍に、事実関係を確認したい」と話している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221700_03.html

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