深夜訓練/SACO以外でも騒音規制合意踏襲 普天間協議、「確認書」合意へ調整、政府・県折り合わず 日米地位協定改定決議案、野党、来週にも参院提出 など  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(5月28日から31日)

2008年5月28日(水) 朝刊 1面

深夜訓練/SACO以外でも騒音規制合意踏襲

 金武町伊芸区上空で米軍ヘリが夜間に訓練を行ったことについて、在沖米国総領事館のカーメラ・カンロイ首席領事は二十七日、同町議会(松田義政議長)の抗議に対し、「SACO(日米特別行動委員会)合意に従って、午後十時から午前六時までの訓練はしないようにしている。運用上必要があればやってもいいが、必要性があるかどうか判断する必要がある」と説明した。

 米側が、嘉手納基地や普天間飛行場の周辺以外の施設についても、騒音に関するSACO合意を踏襲しているとの認識を示した。

 カンロイ首席領事は「詳細な事実関係を確認できていないので、調べてみたい」と話した。

 一九九六年のSACOでは同年三月の日米合同委員会で、嘉手納と普天間における航空機騒音規制措置に関する合意を確認。「午後十時から午前六時の飛行及び地上での活動は、米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限される」と定めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805281300_02.html

 

2008年5月28日(水) 朝刊 27面

宅地夜間飛行/伊芸区、我慢の限界

 金武町伊芸区で米軍ヘリが住宅上空の夜間飛行を繰り返した問題で、儀武剛町長と池原政文区長は二十七日、沖縄防衛局に対し、日米地位協定や「5・15メモ」など過去の日米合意の記録も含めた調査と、文書による正式回答を求めた。踏み込んだ要求を突き付けた背景には伊芸区での基地負担が加速度的に高まり、住民生活が脅かされ続けていることへの強い反発があるが、外務省は「協定上ただちに問題があるとはいえない」との立場。伊芸区の現状は、現行の地位協定の限界を浮き彫りにしている。(社会部・嘉数浩二)

集落が訓練場?


 「伊芸区全体を訓練場と見ているのではないか。まさに戦場さながらだ」。池原区長は声を震わせた。

 米軍は今月二十日から三日連続で午後十一時ごろまで、民家から五百メートルも離れていないキャンプ・ハンセン「レンジ4」都市型訓練施設内のヘリパッドで離発着を繰り返した。

 二―四機がごう音を響かせ、無灯火のヘリが高速で闇夜を横切った。公民館から四十―五十メートルの低空飛行で集落上空を何度も旋回した。住民への聞き取りで区がまとめた飛行ルートは、集落をすっぽりと囲んでいた。

 二十二日夜には、爆破訓練とみられる爆発音も重なり、町測定で85・5デシベルを記録。男性住民は「施設内の建物を攻撃し、別のヘリが後方支援しているようだった」と話す。


地位協定の限界


 町は、撮影した写真から米空軍のHH60と呼ばれる救難ヘリとほぼ断定。所属先は不明だが、空軍機が飛来し、伊芸上空で訓練していたことになる。

 外務省地位協定室は、本紙の取材に、「米軍の活動は、すべて訓練ともいえるが、一般論として日米地位協定上、射撃を伴わない飛行(訓練)は提供空域内に限定されない」との従来の見解を示し、「協定上の話ではなく、米側に配慮を求めるべき問題」とした。

 日米地位協定に詳しい新垣勉弁護士は「現行の協定では、演習のために集落上空を飛行しても規制する仕組みがない。民家上空、低空飛行などをしっかり制限できるよう協定を変える必要がある」と指摘した。

 池原区長は「これだけ生活を脅かされても、何もできないなら、今の協定は要らない。地域住民はどうなってもいいのか」と怒りをあらわにした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805281300_03.html

 

2008年5月28日(水) 朝刊 26面

不発弾に「触らないで」/中学生が隠す?自衛隊回収

 那覇市内の中学生が見つけて草むらに置いていた沖縄戦で使われたとみられる砲弾六発などを、陸上自衛隊の処理班が二十六日に回収していたことが分かった。砲弾が見つかった地域の小中学校では、児童・生徒に対し、砲弾を見つけた場合は「絶対に触らないこと」と注意喚起、保護者にも文書を配布した。

 砲弾は二十五日、自治会の清掃作業で見つかった。自治会長などによると、中学生が川で拾った砲弾を隠しているとの情報があり、付近を調べたところ、長さ約三十センチ、直径約八センチほどの砲弾六発や機銃らしきものが見つかった。自治会長は「非常に危険なので学校や、市、警察に連絡した」と話す。市によると連絡を受けた自衛隊がすぐに回収した。爆発の危険性は少ないとみられる。

 砲弾が見つかった地域の小学校長は「緊急に集会を開いて注意を呼び掛けた。事故がなくてよかった」と話した。中学校長も「好奇心から拾ったかもしれない。非常に危険だということを校内放送で伝えた」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805281300_05.html

 

2008年5月30日(金) 朝刊 1面

「確認書」合意へ調整/普天間協議

政府・県折り合わず

 【東京】米軍普天間飛行場代替施設案(V字案)の沖合移動をめぐり、政府と県が、今後の協議の進め方を明記した「確認書」を交わす方向で調整していることが二十九日、分かった。しかし、確認書の内容で双方は折り合いがついておらず、先行きは不透明だ。

 政府と県は、普天間飛行場代替施設の建設計画などを話し合う協議会の第八回会合を六月三日夕に開き、確認書を合意することを目指していたが、調整が難航し、会合は延期となった。

 協議会設置を明記した在日米軍再編に関する政府方針の閣議決定から三十日で二年を迎えるが、沖合移動については依然として具体的な協議に入ることができていない。

 確認書をめぐっては、沖合移動に道筋を付けて仲井真弘多知事の公約の進展をアピールしたい県側の狙いと、二〇一四年の代替施設完成を着実に進めたい政府側の思惑が一致。県議選前の協議会で合意することを目指していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805301300_01.html

 

2008年5月30日(金) 朝刊 29面

米海兵隊が謝罪/協同病院ガラス破壊

 【沖縄】米軍キャンプ・フォスター所属の海兵隊一等兵(19)が、今月二十五日、沖縄市の中部協同病院の窓ガラスを割り、器物損壊容疑で逮捕されたことを受け、一等兵が所属する部隊のマイケル・ジョンソン上級曹長、米海兵隊法務局のアルボータ・デービス法務官らは二十九日、同病院を訪ね、一等兵の行為に謝罪の意を示した。

 同病院の与儀洋和院長、山里昌毅事務長らは米軍の綱紀粛正が機能していないと指摘し「患者や周辺住民から不安の声が上がっており、事件にものすごい憤りを感じる」と抗議。リチャード・ジルマー四軍調整官あての抗議文を手渡し謝罪を求めた。

 ジョンソン上級曹長らは「代表者として事件を起こしたことをおわびしたい」と述べるにとどまった。

 同事件で、同病院を運営する沖縄医療生活協同組合の伊集唯行理事長と県民主医療機関連合会の山田義勝事務局次長、同病院医事課の知念和明さんらは同日、県庁で記者会見し沖縄署に告訴状を提出したことを明らかにした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805301300_05.html

 

2008年5月30日(金) 夕刊 7面

野党、来週にも参院提出/日米地位協定改定決議案

 【東京】民主党は三十日までに、「日米地位協定の抜本的改定に関する決議案」を早ければ来週にも野党共同で参院に提出することを決めた。地位協定改定を求める決議案が参院に提出されるのは初めて。

 民主党は二十八日の「次の内閣」で、民主、国民新党の政策担当者がまとめた決議文の素案を正式に承認。野党が多数を占める参院での可決を目指して、他党との最終調整を急ぐ構えだ。

 民主、社民、国民新の三党は三月末、(1)起訴前の身柄引き渡し要請に対する米軍の同意(2)施設返還時の環境汚染浄化は米国の責任―などを柱とした地位協定改定案もまとめている。

 「運用改善」を主張し、改定に消極的な政府への圧力とする狙いのほか、六月八日投開票の県議選をにらみ、早期の提出を目指している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805301700_05.html

 

琉球新報 社説自衛隊派遣中止 中国国民への配慮足りない 2008年5月31日 

 中国の四川大地震被災者に救援物資を輸送するための航空自衛隊輸送機派遣が一転、見送られることになった。過去の歴史など非常に複雑な背景が絡むだけに、これほどすんなりと派遣が決まるものなのかと疑問を抱いていたが、やはり容易ではなかった。政府は、中国国民の日本に対する感情を正確に測っていなかったといえよう。

 自衛隊の派遣は国際緊急援助隊法に基づくものである。同法は1987年に施行されたが、当初は自衛隊参加が認められていなかった。参加が可能になったのは92年の改正以降である。同法に基づく派遣はこれまで9例ある。

 今回の自衛隊機派遣は、人道的支援の観点から見れば、完全に否定できるものではないだろう。地震による死者数は7万人に迫り、いまだに2万人近くの人たちが行方不明のままだ。さらに負傷者は約36万5000人。被災者に至っては4500万人超という未曾有の数に上る。援助の手が届かず、路上で厳しい生活を余儀なくされている人たちは多い。最低限の雨露をしのぐテントも不足しているというのだから、1日も早く支援物資を現地に届けたい。

 重要なのは被災者の援助、この一点である。

 だが今回の顛末(てんまつ)を見ると、政府は「自衛隊による輸送ありき」で動いたように見える。政府は地震の発生直後から中国側に、自衛隊機による救援物資の輸送を打診していた。緊急援助隊の活躍が現地の人々の高い評価を受けると、派遣の働き掛けを強めていった。当初、中国側も前向きだったが、国内のウェブサイトに反対論が多数寄せられ、世論の反発がエスカレートしたため最終局面で受け入れを思いとどまったようである。

 慎重さに欠けていたと、外務省の中からこのような発言が出た。さらに政府内からは「もともと自衛隊ありきではなく、中国が求めたのはテントの供給だった」、与党関係者からは「自衛隊機か民間機かは付随的なことだ」という指摘がある。

 いかに拙速であったか分かる。これまでの両国関係の経過に沿えば、慎重な配慮が必要だった。今回の顛末では「弱みに乗じて」と厳しく批判されかねない。胡錦濤主席の来日で関係改善に踏み出した直後だけに、それを後退させかねない政府の対応のまずさは批判されるべきである。

 政府は、援助物資を民間チャーター機で輸送することになった。最初からそうすれば良かったのだ。

 他国に先駆けて被災地に入った緊急援助隊のひた向きな活動がなぜ現地の人々の胸を打ったのか。そこに助け合いの神髄が見える。緊急を要する人命救助に、政治的打算を働かせるべきではない。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-132663-storytopic-11.html