沖縄関連予算で要求/旧軍用地補償 軍用地料2億3000万円流用/浦添・小湾地主会 コンテナ70個今月搬入/都市型訓練 基地内タクシー、年1億5000万円/06年、米軍と208台契約 など 沖縄タイムス関連記事(7月4日から8日)

2008年7月4日(金) 朝刊 1面

沖縄関連予算で要求/旧軍用地補償

 旧軍飛行場用地問題に伴う補償事業の財源について、県は三日、沖縄振興事業費や沖縄特別振興対策調整費のいずれかの枠組みで政府に予算要求する方針を初めて示した。同日の県議会(高嶺善伸議長)六月定例会代表質問で、上原昭知事公室長が新垣良俊氏(自民)の質問に答えた。

 同問題では一部地主会が、沖縄関連予算とは別枠での財源確保を求めているが、上原知事公室長は「国との調整で、極めて困難であると言われている」と明言した。また、関係市町村が各地主会と協議し作成した事業案が、すでに県に提出されていることも明かした。

 代表質問では翁長政俊(自民)や渡嘉敷喜代子(社民・護憲ネット)、当銘勝雄(同)の三氏も登壇した。

 中城湾港泡瀬沖合埋立事業のため、米軍泡瀬通信施設の保安水域共同使用協定の更新を県知事が沖縄市長に代わって署名者となることについて、漢那政弘土木建築部長は「国、県、市の三者で、今年に入り七回ほど協議を重ねた。県が署名を決めたのは協議の結果であり、当然沖縄市も承知している」と述べ、沖縄市の意向を尊重したとの認識を示した。渡嘉敷氏への答弁。

 また道州制について仲井真弘多知事は「沖縄単独での導入を前提にさまざまな検討を進めている」と説明。上原良幸企画部長は「離島や基地問題等、沖縄固有の諸課題について解決を図っていくことが極めて重要。その中で『特例型』の権限についても検討を進めていく」と述べた。翁長氏への答弁。代表質問は四日も行われ、四氏が登壇する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807041300_04.html

 

2008年7月4日(金) 朝刊 2面

議事公開要求相次ぐ/「集団自決」検定

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題を受け、検定手続きの透明化を検討している文部科学省の教科書検定審議会の作業部会は三日、同省で会合を開いた。委員らは「結論が出たプロセスを明らかにする必要がある」との意見でほぼ一致。平穏な環境での審議を確保するために、検定後の議事公開を求める声が相次いだ。

 公開の在り方については、昨年の高校日本史の小委員会のような詳細な公開は実務上困難とする一方、教科ごとに公開を求める要望の強さに違いがあるとの指摘が出た。

 委員からは「意見申立書に対する審議がどう行われたかなど、問題化した部分の議論を公開することが重要」として、審議過程の透明化に一定の原則を設けることを促す意見もあった。

 公正・中立な審議をするための静かな環境の確保については「公開と矛盾するところもあり悩ましいが、検定委が十分審議できることが大切」などの意見が出された。

 作業部会は今後、意見を集約させ、なるべく早い時期に改善策をまとめる方針。四日も都内で、新しい教育課程の実施に対応した教科書の記述などに関する会合を開く。


県教委は中立性要請


 教科書検定手続きの透明化を検討している文部科学省の教科用図書検定審議会(検定審)総括部会に対し、県教育委員会が、全国都道府県教育長協議会を通し、中立性を確保し、幅広く専門的な見地から審議するよう求める意見書を提出していたことが三日、分かった。

 県議会六月定例会の代表質問で、仲村守和県教育長が、渡嘉敷喜代子氏(護憲ネット)に答えた。

 意見書は、同協議会が六月十三日に提出。専門的な見地での公正な審議を求めているほか、(1)児童・生徒が理解困難な表現や誤解の恐れのある表現がないようにする(2)正確な記述の確保―などを求めている。

 仲村教育長は「全国の教育長が沖縄の思いをくみ取ってくれた。教科書検定の撤回を求め、十一万人が集まった昨年九月の県民大会が大きな力になっている」と歓迎した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807041300_06.html

 

2008年7月4日(金) 夕刊 1面

軍用地料2億3000万円流用/浦添・小湾地主会

 【浦添】米軍キャンプ・キンザーの軍用地主で構成する浦添市の字小湾共有地地主会(宮平忠一会長、会員数五百二十六人)で二〇〇一年四月、宮平会長と当時の宮城安次郎副会長が、福岡県でゴルフ場社長を務めていた比嘉実氏(現トロピカルテクノセンター=TTC=社長)から融資を頼まれ、同会特別会計から無断で軍用地料二億三千万円を不正流用していたことが四日までに分かった。その後、当該ゴルフ場が民事再生法を申請したため、回収不能になった。現在までに比嘉氏から七千万円の返済があったものの、残金の約一億六千万円は弁済されていない。宮平会長らは六月二十二日の臨時総会で問題を公にするまで、監査委員を説得して虚偽の監査報告書を作成するなど事実を隠していた。

 宮平会長は四日午前、同市宮城の同会で記者会見。「情けをかけ過ぎた。うんと後悔している」と謝罪。比嘉氏とは親同士が兄弟であることを説明し、「いとこであり、地域内でもこれほど能力がある人はほかにいなかったので…」と釈明し「刑事告訴されても仕方ない」としている。

 宮平会長によると、二〇〇〇年四月にゴルフ場社長に就任した比嘉氏から最初の融資依頼があり、特別会計を担保に金融機関から二億円を借り入れ不正流用。同年十二月に全額返済された。

 その後、〇一年四月に、再度の融資依頼を受け、同様に二億三千万円を貸し出したが、ゴルフ場の民事再生手続きで回収できなくなったという。

 宮平会長は融資を行う際、評議委員らからの同意を得ず、不正流用の発覚を免れるため三人いる監査委員のうちの一人に「私が責任を持つ」と頼み込み、虚偽の監査報告書を作成させ、定期総会に提出していた。

 拠出先となった特別会計は同会共有の土地収入などの基金。当時、口座には「三億円くらいあった」(宮平会長)という。

 宮平会長らは今年度、同会の役員改選で交代が決まっており、問題を隠し通せないとの思いから公表に踏み切った。臨時総会で会員を前に融資にかかわった宮平会長ら三人が謝罪。会員からは批判の声が上がった。返済計画を説明したが反対の声が多く、承認されなかったという。

 宮平会長は「私と当時の副会長、比嘉氏は責任を免れることはできない。生きている間は支払う義務がある。返済については責任を持つ」と語り、近く弁護士と弁済法をめぐり協議するとしている。

 字小湾共有地地主会の男性会員は「信じていたのに裏切られたという、強い怒りはある。今後本当に返済が可能なのか見守っていきたい」と不安げに話した。

 浦添市軍用地等地主会の関係者は「それだけの大きな金額を簡単に動かし、役員らの目を免れてきたことが不思議だ。公金の流用は、地主会の存亡にかかわることだ」と述べた。


     ◇     ◇     ◇     

「返せると思った」

融資受けた比嘉実氏


 融資を受けた比嘉氏は「登記上はまっさらなゴルフ場だったので、担保に入れれば二億三千万円は返せると思ったが、知らないうちに抵当に入れられていた。考えが甘かった。地主会や会長などに迷惑を掛けて申し訳ない。道義的責任があるのでTTCの社長の辞任も考えている」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807041700_01.html

 

2008年7月4日(金) 夕刊 7面

戦後の一歩 宜野湾活写/暮らしぶり 証言から再現

 終戦直後の宜野湾市の様子を記録した宜野湾市史第八巻「戦後資料編?」が発行された。野嵩収容所からの住民移動や軍作業などの戦後史を証言と戦後行政資料で立体的に記録。市町村史編纂が盛んな県内でも、戦後史着手はまだ少なく、戦後史に新しい一歩を刻む一冊だ。市史編集委員長の仲村元惟さん(71)は「行政文書と合わせて、住民の戦後初期体験を聞き取りで収録した。市民が作り上げた記録だ」と話す。(謝花直美)

 市民七十二人の沖縄戦時の避難、「捕虜」や軍作業の体験を収録。行政文書は、市史編纂委員会の要請を受け約三十年前に保存された一九四六年以降の物が元になっている。

 米軍普天間飛行場に関する記述では基地として接収された元の居住地へ立ち入り、生活の糧を得ていた様子などが分かる。

 四六年八月付の宜野湾村長から各区長に当てた「軍施設内立入ニ禁止厳守ノ件」では、食糧不足のため施設に入り芋掘りなどのため飛行場を通行することが布告違反であると禁止。四八年五月付の沖縄民政府総務部長から村長あての「飛行場内住民立入禁止について」は、米軍が飛行場を使用していないため住民が居住、農耕している実態を指摘し、禁止を通達している。

 住民の証言では基地立ち入りの様子が具体的に分かる。「同級生の男の子が飛行場内を通って宜野湾に向かう途中に轢かれて即死した」「飛行場には金網も何もなかった。(中略)鉄骨のような物資が放置されていた。(中略)滑走路もあって、そこにも入ったが何もなかった」「(五九、六〇年ごろに金網ができた時)当初、何を造っているのか分からなかった。フェンスができた時は異様な光景だった」

 仲村さんは「行政資料からは見えない部分は、住民の証言が当時の状況を語っている」と話した。

 B5判、八百四十八ページ、二千円。購入などの問い合わせは、同市教育委員会文化課市史編集係、電話098(893)4430。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807041700_02.html

 

2008年7月4日(金) 夕刊 1面

コンテナ70個今月搬入/都市型訓練

 【東京】在沖米海兵隊が沖縄防衛局に対し、「宜野座村のキャンプ・ハンセンにある都市型戦闘訓練施設(コンバットタウン)で実施してきた訓練を補完するため、同施設などに(訓練用の)コンテナ約七十個を今月から搬入する」との意向を伝えていたことが四日、分かった。金武町「レンジ4」にある都市型戦闘訓練施設の移設先である「レンジ16」にも搬入する予定。

 米側は、実弾は使用しないとしているが、キャンプ・ハンセンでは、金武町のレンジ3付近でも米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃用射撃場建設が進んでおり、機能の強化に地元の反発が強まりそうだ。

 搬入目的について米側は「コンテナを組み合わせて街並みに模した建物を造ることができ、機動的かつ効果的な訓練環境をつくり出すことが可能」と説明。空き地部分を効率的に活用するとしている。

 日本政府は「米国予算により実施されるもので、このような訓練はこれまでに計画され、実施されてきたものであることから、日米安保条約の目的達成のために必要な訓練の一環と認識している」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807041700_03.html

 

2008年7月4日(金) 夕刊 1面 

普天間代替「県内移設やむを得ず」/県議会で知事答弁

 県議会(高嶺善伸議長)の六月定例会は四日、代表質問二日目を行った。仲井真弘多知事は米軍普天間飛行場の移設について、「これまでの経緯を踏まえると、一刻も早い危険性除去のためには県内移設もやむを得ない。海兵隊のグアム移転や嘉手納以南の大規模な返還、基地負担の軽減、跡地の有効利活用を通じた地域振興に大きく寄与する」と述べ、県民の理解を求めて県内移設を推進していく姿勢を強調した。嘉陽宗儀氏(共産)に答えた。

 県が策定を進める沖縄21世紀ビジョンの進ちょく状況については「県の基本的な考え方を取りまとめ

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807041700_04.html

 

2008年7月5日(土) 朝刊 1面

新鉄軌道導入調査に県前向き

 県議会六月定例会代表質問二日目は四日午後も引き続き質疑が行われた。新型路面電車を含む鉄軌道の導入について、上原良幸企画部長は「新たな交通ネットワークは県土構造の再編につながる。軌道系を含む先進的な交通システムの導入調査に取り組んでいきたい」と、県が前向きに取り組む姿勢を示した。

 上原企画部長は、二〇〇九年度に普天間を含めた大規模駐留軍用地の跡利用等の予算があることを指摘。その活用を視野に調査へ乗り出す方針を打ち出した。

 沖縄の将来展望を示す「沖縄二十一世紀ビジョン」との関連にも触れ、「当然、ビジョンの中で取り上げる」と述べ、「政府と知事が協議する沖縄政策協議会に(議題として)持っていきたい。沖縄の進路を切り開き、国の活路を探るようなビジョンをつくり、実現するための制度を提言したい」との考えを示した。上里直司氏(民主)への答弁。

 後期高齢者医療制度への対応について仲井真弘多知事は「相当な改善が必要だが、国民皆保険制度を堅持し、高齢者の適切な医療を国民全体で支えるために必要な制度と認識している」と語った。嘉陽宗儀氏(共産)に答えた。

 宜野湾市の小学校で慰霊の日を前に行われた創作劇に対するメールでの中傷について、仲村守和教育長は「電話や電子メールによる抗議は遺憾だと言わざるを得ない」と述べた。新垣清涼氏(社大・ニライ)に答えた。

 同定例会は七日から一般質問がスタート。十日までの四日間で、計三十一人が登壇する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807051300_03.html

 

2008年7月5日(土) 朝刊 2面

きょうからコンテナ搬入/都市型施設で在沖米海兵隊

 在沖米海兵隊がキャンプ・ハンセン内の都市型戦闘訓練施設(コンバットタウン)での訓練補完を目的に、五日から訓練用コンテナ七十三個を搬入することが四日、分かった。沖縄防衛局が明らかにした。移送作業は二十三日まで続く見通し。在日米軍基地で同様の訓練用機材が搬入されるのは初めて。

 コンテナは長さ約十二メートルで、幅と高さは共に約二・四メートル。宜野座村のコンバットタウンに六十三個、金武町のレンジ16に十個を搬入する。米側は実弾は使用しないとしているが、ハンセンでは金武町レンジ3付近で米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃用射撃場建設が進むなどの機能強化が進み、地元は反発している。

 宜野座村の東肇村長は「グアムへの海兵隊の移転もまだ具体的に決まっていない中、新たな機能が加えられるのは明らかに負担増だ」と強く不快感を示した。金武町の儀武剛町長は「レンジ16の工事も途中で、住民負担が減らない中、新たな訓練が始まるのは大変遺憾」と危機感を募らせた。

 搬入目的について米側は「コンテナ同士を組み合わせて街並みに模した建物を造ることができ、より機動的かつ効果的な訓練環境をつくり出すことが可能」と説明。現在の空き地部分を効率的に最大限活用する意向という。

 政府は「米国予算で実施されるもので、このような訓練はこれまでにも計画され実施されてきた。日米安保条約の目的達成のため必要な訓練の一環」との認識を示している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807051300_07.html

 

2008年7月5日(土) 朝刊 29面

現金管理、幹部に一任/小湾地主会4億円流用

 【浦添】四億三千万円の巨額不正流用が明らかになった米軍キャンプ・キンザーの軍用地主でつくる浦添市の字小湾共有地地主会(五百二十六人)で、銀行口座など現金の管理が宮平忠一会長ら幹部の裁量に委ねられ、会員を含め外部チェックができなかったことが四日、分かった。同会の規約では、資金運用には評議員会の決議が必要となっているが宮平会長らは無断で流用していた。会員からは失望と怒りの声が上がっている。

 同地主会の会員は戦後、米軍に土地を接収され郷里を失った小湾出身者と子ども、その孫に限られ、個人ではなく住民共有の土地代など基金を管理している。任意団体で、監査委員は地主会の委員から選任されるという。

 会員の無職男性(57)は「八年間も不正に気付かなかったのはおかしい」と外部のチェック機能が働かなかったことを認め、体質改善を訴える。「会長の一存で金の使い道を決めたことが一番悪い。地主会をクリーンにし会員に事実をすべて発表すべきだ」と指摘。

 会員の信頼を裏切った同会幹部に失望と落胆の声も。会員の無職女性(79)は「(不正を)知ったときは驚いた。先祖の土地の地料を勝手に使うのは悪い。お金はもう返ってこないのではないか」と語った。

 六月二十二日の臨時総会で、宮平会長らは返済計画書を提示したが、会員からは反対の声が相次ぎ、承認は得られなかった。

 一方、地縁血縁を巧みに利用し融資を引き出した比嘉実氏(現トロピカルテクノセンター社長)への批判も噴出している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807051300_09.html

 

2008年7月5日(土) 朝刊 29面

来年は航空ショーも/嘉手納基地アメリカフェスト

 【嘉手納】米軍嘉手納基地の第一八航空団は四日、米軍人と家族を対象に同日から始まったアメリカフェストを報道陣に公開した。五日は一般開放される。司令官のブレット・ウィリアムズ准将は、来年の同フェストで規模を拡大する考えで、航空ショーの開催を検討していることを明らかにした。

 航空ショーは二〇〇四年にも計画されたが、「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」などの反発で断念した。

 同司令官は、航空ショー開催は地元の理解が重要との認識を示した上で、「空軍は何百のエアショーを実施し、安全に行われている。地元住民にわれわれの任務や義務を知ってもらえるし、喜んでもらえる」と実現に意欲を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807051300_10.html

 

2008年7月5日(土) 夕刊 4面

県民巻き込む軍命探る講義/大学講師の津多さん

 明治時代の大日本帝国憲法制定からさかのぼり、沖縄戦時下での「軍命」とは何だったのか探る講座「『軍命』の法体系」最終回が四日、那覇市内であった。沖縄平和ネットワーク主催。沖縄国際大学非常勤講師の津多則光さんが講義した。

 津多さんは、一九四四年八月三十一日付の第三二軍司令官牛島満中将の訓示を解説。特に「現地自活に徹すべし」「地方官民が喜んで軍の作戦準備、郷土防衛をするよう指導すべし」などの記述を挙げ、一木一草を戦力化し、沖縄県民すべてを戦争に巻き込む指示だった、と説明した。

 また「防諜に厳に注意すべし」との訓示が県民スパイ視につながった、とした。

 その上で、軍令は軍内部のものだが、戦時下や戒厳下では国民にも適用されるものだったとし、「集団自決(強制集団死)」や住民虐殺などは、当時の法体系と牛島司令官の訓示による、システムの中で起きたと分析した。


記述の在り方論議

教科書検定作業部会


 【東京】新しくなる学習指導要領を踏まえた教科書の記述の在り方を話し合う教科書検定審議会の作業部会が四日、都内であった。委員らは質と量両面の充実策などを検討した。沖縄戦に関する論議はなかった。

 中立性や正確性の確保については「通説的見解も使われているが、何が中立・公正か議論が分かれる。社会科はそう単純にいかない」などと慎重な意見が出た。

 イラストや挿絵については「理解のために不可欠なものと、単に子供に興味を持たせるだけのものは区別すべきだ」として、文脈に関係なく多用することに疑問の声が上がった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807051700_05.html

 

2008年7月6日(日) 朝刊 2面

嘉手納開発 終了祝う/施設活用で町の発展期待

 【嘉手納】沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業(島田懇談会事業)を活用した、嘉手納町の「嘉手納タウンセンター開発事業」の終了を記念した式典および祝賀会(主催・同実行委員会)が五日午後、同事業の一環で建設されたロータリープラザで開かれた。関係者が多数出席し、整備された施設を活用することで町がますます発展するよう期待を寄せた。

 実行委員長の宮城篤実町長は「町域の大部分を米軍基地が占め、八方ふさがりの状態だった。各事業の効果は着実に表れている。これまで事業にかかわってきた関係者とともに完成を祝いたい」と感謝した。

 内閣府の原田正司政策統括官は「事業によって町が活性化し、町民の生活が一層向上するよう期待する」とあいさつした。

 同事業の一環で建設されたビルで、四月から業務を行っている沖縄防衛局の真部朗局長は「わたしたちも事業の一部で、町民の一員となった。これからも周辺住民の生活安定、福祉向上に取り組んでいきたい」と述べた。

 式典には仲井真弘多知事をはじめ、島田懇談会座長の島田晴雄氏、元首相補佐官の岡本行夫氏らも出席した。

 「嘉手納タウンセンター開発事業」は、嘉手納町が島田懇談会事業で実施した三事業の総称。総事業費は約二百十八億円で、中心市街地の新町・ロータリー地区の再開発のほか、マルチメディアセンター(同町水釜)や「道の駅かでな」(同町屋良)などを整備、建設した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807061300_04.html

 

2008年7月7日(月) 夕刊 1面

基地内タクシー 年1億5000万円/06年 米軍と208台契約

 県議会(高嶺善伸議長)六月定例会の一般質問が七日、始まった。米軍基地内に出入りする「ベースタクシー」が基地に支払う営業料について上原昭知事公室長は、直近の二〇〇六年入札で二百八台が米軍基地と契約し、年額約一億五千四百万円を払っていると説明した。AAFES(米陸・空軍エクスチェンジサービス)沖縄エクスチェンジ本部に照会したという。

 一台当たり料金は基地ごとに異なり、〇六年入札は月額最高が八万七千七百七十円、最低三万四千五百円。入札は〇四年十月から始まり、二回行われている。

 上原公室長は営業料の使途について、施設の維持管理や米軍人などの福利厚生費に充てられているとの説明を受けたとした。今年は入札予定はないという。

 営業料支払いの妥当性や県の対応については「契約当事者双方の同意で行われるため、県は関与する立場にない」としつつ、「県としてどのような対応が可能か研究したい」と答えた。

 米軍人・軍属とその家族の私有車両(Yナンバー車)の基地内外それぞれの車庫証明書登録数について、得津八郎県警本部長は「県警は制度上、把握できない」と答えた。いずれも仲村未央氏(社民・護憲ネット)への答弁。

 県が出資するトロピカルテクノセンター(TTC)社長の比嘉実氏が、浦添市の字小湾共有地地主会の特別会計から不正流用した融資を受けていた問題については、仲井真弘多知事が「公的役割を担う第三セクターの社長が事態に関係したことは大変遺憾。比嘉氏は辞任の意向を示しているが、具体的対応は同センター取締役会で協議される」と述べた。新里米吉氏(同)の質問に答えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807071700_01.html

 

2008年7月7日(月) 夕刊 7面

比嘉氏、辞任を表明/地主会預金流用

 【浦添】浦添市の字小湾共有地地主会の宮平忠一会長らが、親類で福岡県のゴルフ場社長を務めていた比嘉実氏(65)=現トロピカルテクノセンター(TTC)社長=から融資を頼まれ、二回にわたり同会特別会計の定期預金から計約四億三千万円を不正流用した問題で、比嘉氏が七日午後、那覇市内のホテルで記者会見を開いた。比嘉氏は「地主会との二度にわたる公的な借用関係はすべて報道の通り。公的機関とも関係するTTCの社長としてこれ以上、重責を全うすることはできず、辞任する。社員、株主などに多大な迷惑を掛けた。心からおわび申し上げる」と語った。

 その上で「伝統ある字小湾共有地地主会の名誉を著しくおとしめたばかりか、返済ができない現状にあり、取り返しがつかないことをしてしまった。私の命ある限り、返済に全力を尽くしたい」と述べ、地主会に除名申請する考えを明らかにした。

 県の仲田秀光観光商工部長は「先週末にTTC側から事情を聞き、関与していたとの報告を受けた。重要事件に社長が関与したのは誠に遺憾。今後の対応は取締役会などで関係者と意見交換して対応したい。TTCには直接関わりないことなので、日常業務に支障のないよう専務には伝えた」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807071700_02.html

 

2008年7月8日(火) 朝刊 25面

道が陥没 地下に旧軍壕/糸満・兼城の狭間線

 【糸満】糸満市兼城の市道狭間線で旧日本軍が掘った壕とみられる空洞が原因で、道路陥没が頻発している。陥没が度重なる地点の民家では、コンクリート壁のはく離やひび割れ、地盤沈下も起きている。市道は小学校への通学路として児童が利用しているほか、車の交通量も多い。付近住民は自然災害時の被害を懸念、抜本的な対応策を求めている。糸満市は「県とも協議して早めに対応したい」としている。(新垣亮)

 現場は市兼城を通る狭間線の一部。以前から市道の地下に旧日本軍が掘ったとされる防空壕の存在が知られていた。二〇〇五年三月の修繕工事では壕とみられる空洞も確認されているが、正確な規模は分からないという。市は陥没する度に補修工事を重ねてきたが、新たなアスファルトの亀裂がみられるなど被害は後を絶たない。

 現場に隣接する高嶺敏雄さん(77)の自宅では、コンクリート壁のはく離やひび割れが激しい。壁や庭に植えたクロキが傾き、ガードレールの基礎がむき出しになっている個所も。

 高嶺さん宅の周辺は県が定める「地滑り危険箇所」。高嶺さんは「台風などの大雨で自宅の壁が倒れたりしないか心配だ。集落にとっては重要な道路で車の行き来も多く、大きな事故につながるかもしれない。応急処置ではなく、きちんと対策を施してほしい」と語った。

 糸満市は県の担当者とともに六月下旬に現場を調査。同市建設部の金城利男都市計画課長は「調査をさらにすすめ、県と協議しながら早急に対応したい」と話した。

 同問題は七日の県議会一般質問で取り上げられた。県の漢那政弘土木建築部長は「糸満市の意向を踏まえ、国に特殊地下壕対策事業の予算要望をしていく」と述べた。玉城ノブ子氏(共産)の質問に答えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807081300_02.html

 

2008年7月8日(火) 朝刊 25面

全21学徒隊の戦禍刻む/ひめゆり平和祈念資料館

初の資料集を刊行

 沖縄戦で動員された全二十一学徒隊の行動記録や証言をまとめた「沖縄戦の全学徒隊」(ひめゆり平和祈念資料館編集)が、このほど刊行された。県内各地にそれぞれの任を受け駆り出された全校の記録を集めることで、学生が動員された戦争の実態を立体的にとらえようと企画。各校同窓会の高齢化が進む中、歴史継承のため、関係者が八カ月かけて編集した。すべての学徒隊の動向を詳細に網羅した資料は初めてという。

 資料集は、各同窓会記念誌や国、県、地域の戦史を基に作成。各学校の動員前の訓練から戦時下での作業と任務、解散命令から避難の様子まで、日時、場所、犠牲者の数や状況を、地図や写図で克明に記録している。解散後に斬込隊参加を命じられたり、八月末まで軍と行動を共にさせられた学校もあった。

 証言では、憲兵が慰安婦に命じ、スパイ容疑をかけた住民を銃剣で突かせた後、自ら日本刀で虐殺した場面や、爆雷を抱え敵戦車に飛び込む「肉迫攻撃命令」、学徒に「自決」を強要した兵隊が投降したこと、野戦病院のむごたらしい様子などが記されている。

 巻頭、巻末には、当時の教育制度や学徒動員に関連する法規、部隊の組織図、専門家による用語や戦況解説も掲載され、資料や証言を補完する内容になった。

 編集を手掛けた同資料館の普天間朝佳学芸員は「慰霊祭ができなくなった会もあり、記録の必要性を感じていた。多くの体験者に協力してもらい、歴史の真実を伝えたいという、強い思いを実感した」。資料提供などで協力した首里高校養秀同窓会(旧制県立一中)展示室担当の岸本政一さん(79)は「体験者が協力し、学徒動員の歴史を風化させないようにしたい。意義深い本ができた」と話した。

 資料集は二千部発行。同資料館で原価販売している。問い合わせは同館、電話098(997)2100。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807081300_08.html

 

2008年7月8日(火) 朝刊 25面

TTC社長 辞任へ/地主会預金流用

 【浦添】浦添市字小湾共有地地主会の宮平忠一会長らが計約四億三千万円を不正流用した問題で、融資を依頼した福岡県のゴルフ場元社長、比嘉実氏(65)=現トロピカルテクノセンター(TTC)社長=が七日、那覇市天久のエッカホテル沖縄で記者会見し、事実関係を認めた上で「公的機関とも関係するTTC社長の重責を全うすることはできず、辞任する」と述べ、辞任する意向を表明した。

 比嘉氏は「地主会との二度にわたる公的な借用関係はすべて報道の通り。社員、株主などに多大な迷惑を掛けた。心からおわびしたい」と陳謝。

 その上で、「背後に大きな問題がある。解明に力を貸してほしい」とし、ゴルフ場を取り巻く資金の流れなどを記した自筆の図解を基に説明。県内金融機関から融資を受ける際の担保設定で、「無断で内容を伏せ取締役に私の代表印を押させていた」と主張。不正融資があるとして経緯を金融庁に報告、裁定を仰ぎたいとしている。県の仲田秀光観光商工部長は「重要事件に社長が関与したのは誠に遺憾。今後の対応は取締役会などで関係者と意見交換して対応したい」と話した。

 宮平会長らは同会特別会計の定期預金を担保に二〇〇〇年四月、金融機関から二億円を借り入れ不正流用。その後、二億円は返済されたが、〇一年四月にも同様に二億三千万円を貸し出し。ゴルフ場の民事再生適用手続きで、担保に保有していた同ゴルフ場株券と約束手形は無価値となり、回収不能になった。比嘉氏から七千万円の返済があったものの、残金の約一億六千万円は弁済されていない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807081300_09.html

コメントを残す