県議会、辺野古移設反対を決議 「危険除去」で作業チーム/「普天間」協議 新基地反対決議/野党県議団が辺野古を訪問 日に離着陸223回/嘉手納目視調査 ホワイトビーチ、08年、原潜入港すでに24回目 嘉手納のF15が共同訓練へ離陸 など 沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(7月19日から23日)

2008年7月19日(土) 朝刊 1面

県議会 辺野古移設反対を決議

野党の賛成多数で/基地固定化・環境破壊

 県議会(高嶺善伸議長)の六月定例会は十八日の最終本会議で、野党六会派が提出した普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議・意見書を野党の賛成多数で可決した。日米両政府の合意した現行案(V字形)に県議会が反対決議をしたのは初めて。決議・意見書は日米両政府や仲井真弘多知事に対し、新基地建設の断念を求める内容で、同飛行場の移設協議に影響を与えそうだ。

 後期高齢者医療制度の「廃止」を求める意見書も野党の賛成多数で可決された。

 新基地建設に反対する決議・意見書は、採決に先立つ質疑で与野党が対立。野党代表の玉城義和氏(無所属クラブ)は辺野古移設が基地の過重負担や固定化、自然環境破壊につながるなどの提案理由を説明した。

 与党の中川京貴氏(自民)、佐喜真淳氏(同)は「『普天間』を閉鎖・返還させるため、辺野古移設以外に方策はあるのか。具体的な対案がないままでは審議ができない」と詰め寄った。玉城氏は「危険な基地の一日も早い返還が県民的要求であり、県民世論を受けて対応するのが外交権を持つ政府の役割だ」と応じた。

 賛否の討論では与党の桑江朝千夫氏(自民)が「具体的対案もない『反対のための反対決議』であり、普天間基地の早期移設を否定し、その危険性を放置するものだ」と批判。

 野党側は照屋大河氏(社民・護憲ネット)が「たらい回し的に県内移設したところで抜本的解決にならない」、前田政明氏(共産)が「海外侵略の恒久的な米軍新基地を建設させてはならない」と支持を訴えた。

 採決は議長を除く四十七人で行われ、社民・護憲ネット、共産、社大・ニライ、民主、改革の会、無所属クラブの計二十五人が賛成し、自民、公明県民会議の計二十一人が反対。無所属の吉田勝廣氏は退席した。

 野党提出の後期高齢者医療制度の廃止等を求める意見書も、野党の賛成多数で可決された。


知事「誠に残念だ」


 仲井真弘多知事は十八日、県議会で米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議・意見書と、後期高齢者医療制度の廃止に関する意見書が可決されたことを受け、「誠に残念だ」とのコメントを発表した。

 普天間移設では「県としては現在の普天間飛行場の危険性を一日も早く除去するためには、キャンプ・シュワブに移設することが現実的」として、シュワブ移設を原則的に容認する考えをあらためて強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807191300_01.html

 

2008年7月19日(土) 朝刊 31面

V字案 初の「ノー」/傍聴席総立ち 大歓声

 日米両政府の合意したV字形滑走路案に、県議会が初めて「ノー」の意思を表明した。与野党逆転の県議会で十八日、賛成多数で採択された「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書案」。傍聴席で審議を見守っていた平和団体のメンバーたちは、採決の瞬間には総立ちとなって歓声を上げ、喜びを爆発させた。

 「賛成多数で採択されました」。午後三時すぎ、過半数を占める野党議員が起立し、高嶺善伸議長の声が議場に響いた瞬間、傍聴人たちは「うわー」と歓声を上げながら一斉に立ち上がった。拍手は一分間ほど鳴りやまず、あちこちで握手を交わしたり、隣の人と抱き合ったりする姿が見られ、ハンカチで顔を覆う女性もいた。

 この日は午前十時の開会時から、辺野古で座り込みを続ける住民や環境保護団体、反戦団体などのメンバーら約百五十人が詰め掛け、傍聴席は異例の満席になっていた。与野党議員の激しいやりとりに騒然とする場面が何度かあったが、昼の休会を挟んで二時間半にも及んだ審議をじっと見届けた。

 議場を出てきたヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「名護市民投票ときょうの県議会決議こそが、沖縄県民の民意だ」と上気した表情で語った。「十数年間頑張ってきたおじい、おばあ、全員にとって大きな自信になる。何としてでも基地を造らせない。それが可能だと確信した」。そして、移設協議会のため上京している仲井真弘多知事には「大多数の県民は辺野古への新基地建設を望んでおらず、県議会も意思表示した。それでもなお辺野古の埋め立てを推し進めるならば、県民への裏切りでしかない」と力を込めた。

 「歴史的決議だ」。ジュゴンネットワーク沖縄の土田武信事務局長は大きく息を吐いた。議場が一時騒然としたこともあり「きょう中に可決できるか心配だった」という。「与野党が議論した上での決議なので、政治的インパクトは大きい。意見書にしっかりとジュゴン保護も明記された。すぐ建設中止にならなくても、今後ボディーブローのように、じわじわと流れを変えるだろう」と期待した。

 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代共同代表も「県民の思いがつながり、議場で形となった。議員たちが起立した瞬間、体が震えました」と笑顔。「新基地建設は、沖縄を基地の島として存続させることでしかない。米兵犯罪で日常を脅かす現状を脱却するためには、基地を造らせないのは当たり前のこと。意見書採択は大きな一歩になったと思う」とかみしめるように語った。


地元冷静 思い複雑/名護


 【名護】県議会の「新基地建設反対決議」は、米軍普天間飛行場の移設問題で十年以上、揺れてきた地元に、複雑な波紋を広げた。

 一貫して反対してきた辺野古区の西川征夫さん(64)は「よかったとは思うが、これで国があきらめるわけではなく、手放しでは喜べない」と冷静に受け止めた。「この問題は地域の人間関係を壊してきた。ずるずる続くのではなく、早く解決してほしい。騒音や墜落の怖さを毎日感じて生活することはできないと思っていても、表だって反対とは言えない人も多い。辺野古が一致団結して、反対できればいいのだが」と話した。

 辺野古区の有志らでつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「県議会は反対しても地元は容認している」と強調。「海外でも国内でも普天間を受け入れるところがあればいいが、ないからこそ地域振興など条件つきで受け入れた。決議するのはいいが、本当に普天間を撤去できるのか根拠を示してほしい」と憤りを抑えるように言葉を継いだ。

 移設を容認する島袋吉和名護市長の後援会長、荻堂盛秀名護市商工会長は「県議会の立場での判断であり、コメントをする立場にはない」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807191300_02.html

 

2008年7月19日(土) 朝刊 1面

「危険除去」で作業チーム/「普天間」協議

国・県・名護市が合意

 米軍普天間飛行場の移設に関する政府と地元の協議会の第八回会合が十八日夕、首相官邸で開かれた。石破茂防衛相は危険性除去と建設計画・環境影響評価(アセスメント)について、それぞれ実務者で構成するワーキングチームを設置する方針を示し、県や名護市など地元と合意した。石破防衛相は「密接に意見交換しながら、検討を進めることが必要だ」と述べた。町村信孝官房長官は両ワーキングチームを今月中に発足させる意向を示した。

 協議会は冒頭の町村官房長官のあいさつを除き、非公開で行われた。

 会合終了後の記者会見で、仲井真弘多知事は「一歩前進。私が一年半言い続けてきたことが、一インチは動いた」とワーキングチーム設置の合意を高く評価した。

 石破防衛相は、県や名護市が求めた代替施設の沖合移動について、ワーキングチームで協議するかどうかは不透明との認識を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807191300_03.html

 

2008年7月19日(土) 朝刊 31面

県内14自治体 未作成/国民保護計画

弁護士会調べ 全国の3分の2

 戦争やテロなど有事の住民避難に備える国民保護法制で、自治体に義務付けられている国民保護計画を作成していない市町村が県内に十四市町村あり、全国で未策定二十一自治体の三分の二を占めていることが、沖縄弁護士会の調べで十八日までに分かった。米軍基地が身近に存在する県内で、国民保護計画に慎重な自治体の多さが際立った。

 同会がこのほど県内全市町村にアンケートしたところ、全体の65%に当たる二十七自治体が保護計画を策定していた。総務省消防庁の四月一日現在の調査では、県外では、長崎市など七自治体が作成していない。

 未作成の理由に、業務多忙を挙げるところが多いが、本紙の取材に対し石垣市は「離島のため武力攻撃に対応できる避難場所がなく、軍事基地・軍関連施設がなく武力攻撃の理由がない」などと説明し、今後も計画を作る予定はない。同市に隣接する竹富町は「離島という性格上、石垣市の協力が得られなければ避難計画を立てられない」として未策定だ。

 宜野湾市は「市の真ん中に米軍基地があり、住民の避難場所を設定するのも難しい。基地の危険除去が先」としている。沖縄市は「現在は、地域防災計画を充実させるために取り組んでいる。住民避難などは、防災計画を活用できる所もある」としている。

 計画を作成した市町村でも、避難住民救援のための備蓄を具体的に回答したところは六自治体だった。

 アンケートの詳細は、十九日午後三時から那覇市旭町のおきでんふれあいホールで行われるシンポジウム「軍隊と市民」(同会・九州弁護士会連合会共催)で報告される。問い合わせは沖縄弁護士会、電話098(833)5545。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807191300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年7月19日朝刊)

[移設反対決議]

民意に寄り添う判断だ


 県議会は六月定例会最終本会議で、米軍普天間飛行場の移設先として日米合意している「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議と意見書」を野党六会派の賛成多数で可決した。

 辺野古沿岸域へのV字形滑走路建設に日米両政府が合意してから県議会が反対決議するのは初めてだ。

 六月の県議選で多数野党を選択した有権者の意思があらためて決議になった形だが、意味は重い。直近の民意の表れと見ていいからだ。

 決議は、県の「自然環境の保全に関する指針」で移設海域が「評価ランク1」に分類されていると指摘。国の天然記念物で国際保護獣のジュゴンをはぐくみ、新たなサンゴ群落が見つかっているなどとして、世界に誇れる自然環境を後世に残し、引き継ぐことが県民の責務であると宣言している。

 決議によって仲井真弘多知事の姿勢は変わるだろうか。その可能性はほとんどない。

 知事は決議に先手を打つ形で、先の定例会見で「県外移設がベストだが、県内もやむなしと思っている」と従来姿勢に変化がないことを強調している。「北部が受け入れている間に移設することが最も近道だ」とも述べている。

 知事の立場は県民に理解されているだろうか。県民の大方は「明瞭でない」と見ているのではないだろうか。知事は、名護市辺野古沿岸域への移設そのものには反対ではない。ただ、日米合意しているV字形滑走路案を「沖合にずらしてほしい」と要望している。

 具体的に、どこに、どれだけ、ずらすのか。ずらすことによって、近くの住民や環境に与える負荷はどう変わるのか。説明はとても十分とはいえまい。これが知事の立場を分かりにくいものにしているのではないか。

 これに対し、仲井真知事は先の定例会見で「大浦湾に突き出ているものを引っ込めて出すという感じだ」という表現で、南西方向にずらした上で、あらためて沖合に移動する考えを初めて示した。

 仲井真知事が理由に挙げたのは大浦湾の環境保全だった。「(代替施設を)引っ込めないと海流が止まり、死ぬ状態になりかねない」と現行の移設案に懸念を示したのだ。

 ただ、大規模な埋め立てを伴う移設と環境保全が両立するのかという根本的な疑問は解消されないままだ。

 県議会の反対決議も、移設による環境破壊を最大の理由に挙げている。

 この日、首相官邸では政府と県、地元による移設協議会の第八回会合が開かれ、普天間飛行場の危険性除去と沖合移動について、政府と県がワーキングチームを設置することで合意した。

 いずれも仲井真知事や島袋吉和名護市長が求めていたものだが、危険性除去については沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落して約四年、知事に就任し三年以内をめどとした閉鎖状態を求めてから約一年八カ月たつ。遅すぎの感は否めない。知事は「半歩前進」と評価したが、メンバーも具体的な議論もこれから。先行きはまったく不透明だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080719.html#no_1

 

2008年7月20日(日) 朝刊 2面

「観光庁出先 沖縄に」/二階総務会長が言及

 自民党の二階俊博総務会長は十九日、那覇市内で開かれた同党県連大会に出席し、十月に発足する観光庁について、「仲井真弘多知事は観光客一千万人を公約に掲げている。実現すれば各事業、市町村が活性化する。観光庁の出先を沖縄に設置するように対応していきたい」との認識を示した。

 米軍普天間飛行場問題については「町村信孝官房長官は『必要な予算は来年度も確保する』と述べ、政府の責任者として対応する」と説明した上で、「同問題は県民の意向に沿う対応が必要だ。県民だけではなく、全国民の問題としてとらえることが大事だ」という考え方を示した。

 相次ぐ米軍人・軍属の事件・事故には「安心・安全な県は観光客一千万人の公約実現にも欠かせない」とし、泉伸也国家公安委員長に沖縄県警の警察官増員を求めたことを明らかにした。泉委員長は「警察庁に指示した」とし、前向きな姿勢を示したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807201300_01.html

 

2008年7月20日(日) 朝刊 2面

具志―翁長体制が始動/自民県連大会

 自民党県連(具志孝助会長)は十九日、那覇市内のパシフィックホテル沖縄で第三十九回県連大会を開き、党再生と那覇市長選、浦添市長選、衆院選の勝利をアピールした。米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部への早期移設と同飛行場の全面返還、後期高齢者医療制度の見直しをそれぞれ決議した。具志会長、翁長政俊幹事長らの新役員体制が正式にスタート。衆院沖縄1区は公明党と調整し、公認候補を擁立すると表明した。

 二十二代会長に就任した具志氏は「昨年七月の参院選、六月の県議選で敗北し、県連発足以来最大の危機に直面している」とし、「各支部、経済団体、地域団体とのコミュニケーションを再構築し、地域の実情に沿った政策策定で県連組織の早急な立て直しを図る」と訴えた。

 政策は(1)自立経済に向けた産業振興と雇用創出の促進(2)米軍基地の整理縮小と跡地利活用促進(3)観光振興と那覇空港滑走路の拡張整備―など十項目を挙げた。経済分野では中小企業経営安定対策や原油価格高騰対策の推進、基地問題は普天間飛行場の移設作業促進と跡地利用計画の早期策定を盛り込んだ。

 活動方針は那覇市と浦添市の市長選の勝利、衆院選に備えた即応体制の構築、組織活動の地域への浸透などを決めた。

 大会アピールでは「県連は大きな危機に直面し、存亡の危機的状況にある」と訴え、「県民の声を真摯に受け止め、県民のための政策を着実に実行し、信頼される県連を再構築し、夢と希望を持てる県づくりにまい進する」と宣言した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807201300_02.html

 

2008年7月20日(日) 朝刊 23面

軍論理 優先に警鐘/改憲想定 那覇でシンポ

 憲法改定で自衛隊が「軍隊」として法体系に組み込まれた場合の、市民社会との関係を考えるシンポジウムが十九日、那覇市のおきでんふれあいホールであった。県内の弁護士らが二〇〇四年の沖縄国際大学米軍ヘリ墜落事故などを例に、市民の安全が脅かされる場面でも「軍の論理」が優先される可能性を指摘。危険性を見据えた上で、議論する必要性を訴えた。九州弁護士会連合会と沖縄弁護士会の共催。

 複数の弁護士が、千葉沖の海自イージス艦と漁船の衝突事故では海上保安庁が捜査できたが、沖国大の米軍ヘリ事故では警察権が及ばなかったことを例示した。

 新垣勉弁護士は、〇一年米同時多発テロ以降のパトリオット(愛国者)法により、米国では情報収集の名目で電話盗聴などが行われ、個人情報が政府に管理されているとし、「恐怖と不安を利用して有事システムがつくられる。沖縄社会が軍の歴史から学んできたことを見つめ直さねばならない」と訴えた。

 9・11テロ後の米社会を取材したジャーナリストの堤未果さんが講演。戦争自体が民営化し、貧困層を「モノ」として扱って戦場に追いやる社会構造があると指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807201300_08.html

 

2008年7月20日(日) 朝刊 22面

「激動の時代」関心高く/米軍占領「初めて知った」

 【東京】戦後の沖縄の世相や軌跡をつづる「タイムスアーカイブ あんやたん写真展」が十九日、東京都多摩市のパルテノン多摩で始まった。米軍基地と対峙してきた沖縄県民の歩みを写した八十八枚の写真が展示され、大勢の市民が熱心に見入っていた。二十七日まで。

 「ドキュメント基地と沖縄」と題し、多摩市平和展(主催・同市、同展市民会議)の企画の一環として行われた。同市民会議が沖縄タイムス創刊六十周年記念の写真展を知り、多摩市での開催を申し込んだ。あんやたん写真展の県外開催は初めて。

 会場には祖国復帰運動の混乱やコザ騒動、一九九五年に起きた米兵暴行事件に抗議する県民大会などの写真が並び、当時の臨場感を伝えた。

 時代ごとに区分され、県内のあんやたん展に先行して、九〇年代や二〇〇〇年代の写真も展示。

 〇四年の沖国大への米軍ヘリ墜落事故の翌日の本紙朝刊が資料として置かれた。

 戦争被害や米軍犯罪の理不尽さに怒りで燃え上がる県民をとらえた写真を、来場者が説明文を読みながらじっと見つめていた。ハンカチで目をぬぐいながら見入る女性も。

 同市民会議の阿部裕行さんは「米軍の事件・事故など米軍統治下と今もほとんど変わっていない。沖縄の人がなぜ怒っているのか、本土の新聞が伝えないことを来場者に知ってほしい」と企画の意図を話した。

 同市内から訪れた会社員の山崎恭子さん(30)は「外国に長く占領されていたことを初めて知った。日本人でありながら日本ではないことは、本土にいると想像できない」と驚いた様子で語った。

 家族と来場した女性(67)は「テレビで見聞きしていたが、実際に写真で見ると言葉にならない。沖縄の人は激動の時代を生き抜いて来たんだなと感じる」と目を潤ませた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807201300_09.html

 

琉球新報 社説

普天間移設協 打開策は県外移設しかない 2008年7月20日

 一体、いつまで小手先の策を見せるのだろう。在沖米海兵隊普天間飛行場を5年ないし7年で返還する、と合意した1996年の日米特別行動委員会(SACO)から、早くも12年近い歳月が流れている。にもかかわらず、作業は遅々として進まない。計画そのものに欠陥があった、と疑問を持つのが普通だ。

 しかし、日本政府や米側はそうは考えないらしい。一度決めたら何が何でも実行する。こんな、かたくなな姿勢ばかりが目立つ。

 18日の政府と沖縄側が話し合う普天間移設措置協議会(主宰・町村信孝官房長官)で、2つのワーキングチームの設置が決まった。現飛行場の「危険性除去」と、代替施設の「建設計画」を検討する両作業部会だ。仲井真弘多知事が主張する3年をめどとする閉鎖状態の実現と、代替施設の沖合移動を念頭に置いたものだという。

 この2つについて、政府はこの間、ほとんどゼロ回答に終始してきた。なぜ、今になって「一歩前進」(仲井真知事)という行動に出たのか。県議会の与野党逆転という現実が背景の一つにあるのは間違いない。もしそうであるならば、民意に配慮する、という政府の思惑があることになる。

 民意への配慮ということであれば、さらに踏み込むべきだ。折しもこの日、沖縄県議会は名護市辺野古への新基地建設に反対する意見書・決議を賛成多数で可決している。議会の意思が民意、ということに誰も異論はあるまい。

 ここは原点に返る必要がある。なぜ普天間飛行場の返還が取りざたされているのか。言うまでもなくその「危険性」ゆえだろう。住民地域のど真ん中に位置するこの飛行場の危険性については、これまで何度も問題視されてきた。

 2003年11月、来県したラムズフェルド米国防長官が普天間飛行場を視察。その危険性を指摘したのは記憶に新しい。それを裏付けるかのように、1年足らずして米軍ヘリが沖縄国際大学に墜落している。危険性は今でも何も変わらないし否定する人もいない。

 ここまで分かっていながら、打開策を見いだせないのは、明らかに政治や行政の怠慢ではないか。

 返還問題が、ここまでこじれた原因ははっきりしている。返還の条件が県内移設だからだ。危険性のある施設は、どこに持っていっても危険なのに変わりはない。

 問題を解決するには、何度も言うように県外移設しかない。県議会での論議で与党は野党に対し対案を示せと迫った。しかし、それは筋違いの話だ。日米安保は国民の安全を守るためにある。安保のためにある基地が県民を危険に曝(さら)す。その矛盾の解決を県民は求めている。解決の義務は、県民にではなく日米両政府にある。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-134382-storytopic-11.html

 

2008年7月21日(月) 朝刊 21面

新基地反対決議/野党県議団が辺野古を訪問

 【名護】県議会の野党議員団が二十日、普天間飛行場の移設先である名護市辺野古を訪れ、県議会六月定例会で可決した新基地建設に反対する決議・意見書について、座り込みを続けている「命を守る会」と「ヘリ基地反対協議会」のメンバーなどに報告。「地元と議会が連携し、新基地建設の阻止に向けて取り組もう」と激励した。

 十八日の可決から間髪を入れず現場を訪れようと、社民・護憲ネット、共産、社大・ニライ、民主、無所属クラブの各会派から約十五人の県議が駆け付けた。

 辺野古で反対運動を続けている嘉陽宗義さん(85)と、妻の芳子さん(80)夫妻も参加。宗義さんは今回の決議について「感謝してもしきれない。子や孫の世代のためにも、皆さんには頑張ってほしい」と呼び掛けた。議員団の一部は、船に乗り基地建設予定地の大浦湾を視察した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807211300_04.html

 

2008年7月21日(月) 朝刊 20面

合法入国で違法就労/比国会議員ら 暴行事件の調査報告

 【読谷】二月に沖縄市内で、米兵がフィリピン人女性に暴行した罪で書類送検され、不起訴処分となった事件の調査などのため来沖している同国のリザ・ラルゴーザ・マサ国会議員らが二十日、読谷村内の教会で報告会を開いた。事件後、被害女性がフィリピン政府による十分な支援を得られていなかったとし「海外で働く国民を守るよう政府に働き掛けたい」と話し、県民への支援も呼び掛けた。

 同国女性党党首を務めるラルゴーザ・マサ議員らは被害女性や、事件現場のホテル、女性が働いた店など関係者から事情を聴取した。女性は興行ビザでダンサーとして入国したが、接客業もさせられていたことなどを報告した。

 マサ議員は合法な入国でも違法な就労実態につながっていることを指摘し、「政府に支援を働き掛け、同じような境遇の女性を助ける運動を続けたい」と話した。

 海外で働くフィリピン人支援のNGOで日本担当のルイシット・ポンゴスさんは第一に罰せられるべきなのは事件を起こした加害者だと強調した上で、違法な就労は店の雇用主や仲介業者、日本政府にもそれぞれに責任があると述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807211300_06.html

 

2008年7月22日(火) 夕刊 5面

嘉手納の実態目視調査/基地対策協 F15、99デシベル超

 【嘉手納】米軍嘉手納基地の運用実態を把握するため、嘉手納町基地対策協議会調査部会(大城和子部会長)の目視調査が二十二日午前、始まった。

 同基地滑走路が見渡せる同町屋良の「道の駅かでな」で午前六時から午後十時まで、離着陸回数や機種、騒音、飛行ルートなどを調べる。

 同協議会は基地から派生する被害を排除し、静かで平和な町をつくることを活動目的としており、目視調査は同協議会として初の取り組み。同会では「騒音被害の改善のため、今後も継続して実施したい」としている。

 同日は午前十一時までに、同基地所属のF15戦闘機やKC135空中給油機が飛行。外来機を含む航空機の離着陸は計六十回あった。騒音の最高値はF15が離陸した十時十三分に九九・七デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。

 大城部会長は「基地の運用がどのようになっているのか不明な部分が多い。目視調査の結果をデータとして残し、町民全体で基地を考えるきっかけにしたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807221700_02.html

 

2008年7月23日(水) 朝刊 28面

日に離着陸223回/嘉手納目視調査

 【嘉手納】米軍嘉手納基地の運用実態を把握するため、嘉手納町民で組織する同町基地対策協議会(金城睦昇会長)が同町屋良の「道の駅かでな」で、二十二日午前六時から午後十時にかけて行った目視調査で計二百二十三回の離着陸が確認された。調査に立ち会った町の担当職員は「過密な基地運用の実態があらためて浮き彫りになった」としている。

 同日は同基地所属のF15戦闘機、KC135空中給油機のほか、同基地以外からの外来機も飛行。

 着陸後にすぐに離陸する「タッチアンドゴー」や旋回訓練なども確認された。

 騒音の最高値は同午前十時十三分に、南側滑走路から北谷町方向へ離陸したF15が九九・七デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。

 調査には同協議会調査部会(大城和子部会長)のメンバーが参加。離着陸回数や機種、騒音、飛行ルートなどを調べた。

 嘉手納町が二〇〇七年度に独自で計三日間実施した目視調査では、離着陸を計で五百五十七回確認、一日平均は百八十五回だった。〇七年度調査の平均値を上回った今回の調査結果について、町は「離着陸回数も多く、予想された結果。今回のデータを精査し、基地被害の改善などに反映させたい」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807231300_03.html

 

2008年7月23日(水) 朝刊 2面

来年度予算に16億円/那覇・宮古島 旧軍飛行場対策

 旧軍飛行場用地問題の対策事業について、県基地対策課は二〇〇九年度概算要求に、那覇市鏡水と宮古島市富名腰、七原、腰原のコミュニティーセンター整備事業を先行して盛り込む方針を固めたことが、二十二日までに分かった。財源は、沖縄特別振興対策調整費を活用する。関係者によると、事業期間はいずれも二年になる見通しで、総額十六億円余が計上される予定だ。

 今回、対象となるのは、那覇市の「旧小禄飛行場字鏡水権利獲得期成会」と、宮古島市の「旧宮古海軍飛行場用地等問題解決促進地主会」。

 鏡水の期成会は、保健センターや市民会館建設も要望していたが、県は厳しいとの見解を示している。ただ、コミュニティーセンターは那覇市民全体の保健事業や講座などが開催できるような多目的利用施設を目指す。

 宮古島市は、用地接収によって地元共同体が分散化を余儀なくされたことから、コミュニティー再構築や活性化を目的に、三集落のコミュニティーセンターや御嶽、集落内の道路整備を要望する方針だ。

 一方、ほかの七地主会について県は、関係市町村と協議して条件が整い次第、一〇年度以降の概算要求に盛り込む意向だ。

 だが、那覇市大嶺の旧那覇飛行場用地問題解決地主会は「財源が沖縄特別振興対策調整費では戦後処理事業に見合わない」として特別枠設置を求めており、市と協議のめどがついていない。そのほか、個人補償を求めている地主会もあり、先行きは不透明だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807231300_04.html

 

2008年7月23日(水) 朝刊 2面

原潜入港すでに24回目/ホワイトビーチ 08年

 県に入った連絡によると、米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦アッシュヴィル(六、〇八二トン)が二十二日午前十時九分、うるま市勝連平敷屋のホワイトビーチに入港、接岸した。原潜の年間寄港回数は、過去最多だった昨年に並ぶ二十四回に達した。

 寄港増の要因について、県基地対策課は外務省に問い合わせているが、「米軍の運用上の理由」として把握できていない。

 文部科学省の調査によると、放射能の値は平常値と同じだった。アッシュヴィル寄港は六月二十六日以来。目的は明らかにされていない。

 原潜の寄港回数は、県が一九六八年から統計を取っている。二〇〇四年は十七回、〇五年と〇六年はそれぞれ十六回とほぼ横ばいだったが、昨年は二十四回に増えていた。今回の寄港により、復帰後の総計は三百二回目となった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807231300_08.html

 

2008年7月23日(水) 夕刊 1面 

嘉手納のF15が共同訓練へ離陸

 米軍嘉手納基地は二十三日、第一八航空団第六七飛行中隊のF15戦闘機六機が、航空自衛隊第三航空団と共同訓練を行うため、三沢基地(青森県)へ離陸したと発表した。

 在日米軍再編に盛り込まれた訓練移転の一環。防衛省によると、自衛隊はF2戦闘機とF4戦闘機それぞれ約四機参加し、三沢東方空域や秋田西方空域での戦闘訓練を三十日まで行う。

 嘉手納基地報道部は、訓練移転の目的を「嘉手納運用による地域への影響を軽減しつつ、運用即応力と二国間の相互運用力を高める」ためと説明している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807231700_02.html

コメントを残す