米軍バスか、無断駐車/那覇バスターミナル 知事、林防衛相と初会談/「普天間」で協議継続 「普天間」作業班への宜野湾市参加に難色/防衛省 沖縄でも放射能漏れ/米原潜、ホワイトビーチで など 沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(8月4日から8日)

2008年8月4日(月) 夕刊 7面

米軍バスか 無断駐車/那覇バスターミナル

 三日午後、那覇市泉崎の那覇バスターミナル内に米軍のものとみられるマイクロバスが進入し、ターミナル内中央付近にある路線バス待機駐車場に二時間以上無断駐車していたことが四日、目撃者や関係者の話で分かった。同駐車場は路線バスの関係車両以外は進入禁止エリアになっている。注意した警備員によると、米軍関係者らしき約十人は「国際通りでエイサー祭りを見ていた」と話していたという。運行などに支障はなかった。

 目撃した沖縄バス会社の乗務員によると三日午後五時五十分ごろ、同バスの駐車エリアに停車していた米軍車両を発見。白のマイクロバスで車体には「NAVI」と書かれ、鍵は閉まった状態だったという。

 米軍車両発見から約二時間後の午後七時十分ごろ、通行人や警備員が国際通り方面から米軍車両に戻ってくる米軍関係者十人を確認。警備員が注意したところ、Tシャツや短パンなどの軽装姿でお土産袋を持った米軍関係者は「駐車場と思い間違った。国際通りのエイサー祭りに行っていた」と話したという。

 沖縄バスの大田孝運行管理者は「運行が多い平日ではなかったので支障はなかったが、こんなことはかなり困る。警察に通報しようと思ったところに戻ってきた」と困惑した表情。

 那覇バスターミナル株式会社の田中正美次長は「警備員の交代時間に進入したと思う。レンタカーがターミナル内に迷い込むことはあるが、駐車した話は聞いたことがない。学校に米軍車両が進入するニュースがあったが、まさかバスターミナルでも起きるなんて」と驚いていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808041700_03.html

 

2008年8月4日(月) 夕刊 7面

「守る会」が座り込み/泡瀬埋め立て

 【沖縄】泡瀬干潟を守る連絡会のメンバーは四日午前五時ごろから中城湾港泡瀬沖合を埋め立てる国の事業に反対し、工事車両の搬入を阻止するため、沖縄市泡瀬の工事現場仮設橋梁前で座り込みを始めた。事業者の沖縄総合事務局や沖縄署が移動を求めたが応じず、午後一時現在も座り込みを続けている。

 国は四月から始めた護岸の内側の工事に引き続き、八月からは囲まれた護岸の外側の工事に着手する。同会は「環境への影響がさらに大きくなる」として座り込みを行った。同会が用意した横断幕やモニュメントなどもあり、工事機材などを運ぶトラックが現場に入れない状況。

 同事務局や沖縄署は「工事車両が通行できないのでどかしてほしい」「業務妨害になる恐れがある」と求めたが、メンバーは譲らず、座り込みを継続。また、沖縄市が、座り込み場所が市道の一部であることを資料で示し、口頭で移動を要請したが、同会は東門美津子沖縄市長名の正式な排除命令を求めている。

 同会の小橋川共男共同代表は「環境に配慮されていない事業の在り方はおかしい。沖縄の自然を取り戻すため県民として行動を決めた」と話した。同会が座り込みの実力行使をするのは初めて。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808041700_07.html

 

2008年8月4日(月) 夕刊 6面 

遺骨収集 4体発見/市民参加 真嘉比の壕で

 那覇市と沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)は三日、市土地区画整理事業が行われている「市真嘉比古島第二地区」で市民参加型遺骨収集を行った。県内外から約四十人が参加。新たに日本兵とみられる一体と、日本兵の可能性が高い三体の遺骨を発見した。

 同地区での収集活動は、六月二十二日に続き二回目。参加者たちは軍手にシャベルなどを持ち、土を丁寧に掘って遺骨を探した。午前中、まず壕の入り口の外で三体分の大腿骨とみられる骨を発見。午後には壕の中からも一体が見つかった。壕からは鉄かぶとなど日本軍の装備品も見つかり、遺体のそばにあった飯ごうのふたには漢字で「久我」と書かれていた。

 この日は、同地区で戦死したとみられる大川惣太郎さん、小峯太郎吉さんの遺族も参加した。四歳の時に父を見送ったという小峯さんの娘・杉浦栄さんは「どの骨を見ても父ではないかと思えてしまう。真嘉比の山に入り、父の最期を少しでも実感できて良かった」と話した。

 同地区では今後、丘の西側での造成工事が始まる予定。具志堅代表は「工事の進行を見ながら三回目の収集活動を行いたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808041700_08.html

 

2008年8月5日(火) 朝刊 2面

米訓練水域廃止を/共産党県委4省に要請

 【東京】共産党県委の議員団は四日、防衛、外務など四省を訪ね、沖縄本島周辺の米軍訓練水域廃止などを要請した。防衛省は「地方公共団体などから要求があれば、返還や使用方法について検討したい」と回答したという。

 議員団は「制限水域を迂回して漁場に行かねばならず、原油高騰で燃料代が大きな負担となっている」と指摘した。

 また、原油高騰対策として、省エネに取り組む五人以上の漁業者グループに燃料費増加分の九割を国が補てんする緊急支援について、農水省は「(グループの条件は)省エネに取り組むなら県内の各漁連単位でもいい」と回答したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808051300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年8月5日朝刊)

[原潜放射能漏れ]

住民本位の通報態勢に


 あってはならない事故が起きた。米海軍のロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦ヒューストン(六〇八二トン)が三月下旬、米海軍佐世保基地(長崎県)に寄港した際、微量の放射性物質を含む水が漏れていたことが明らかになった。

 この原潜は今年三月から六月までグアムやハワイにも寄港。漏れた放射性物質の総量は一万八千五百ベクレル以下と推定される。佐世保に寄港する前の三月十二日には、うるま市のホワイトビーチにも「補給・維持」を目的に二十四分間、沖合停泊していた。

 漏れた放射性物質について米海軍は、極めて微量で周辺環境や乗組員の健康への影響は認められなかったとする。

 量が問題ではない。放射性物質が外部に出たことが大問題なのである。米軍が放射能漏れを確認したのは、七月のハワイでの定期検査だった。少なくとも佐世保入港から四カ月間、放射能は漏れっぱなしだったということになる。

 米軍では、五月に原子力空母ジョージ・ワシントンで、喫煙が原因による火災事故があり、その後、艦長が更迭された。六月には核兵器や関連物資が粗雑に扱われ、空軍のトップが事実上更迭された。

 軍全体で、綱紀の乱れが指摘される中での今回の事故。気の緩みがトップから下位の兵士にまで、容易に改善できぬほどに広がっているのではないか、との疑念を抱かざるを得ない。

 事故への不安が払拭されないにもかかわらず、四日には佐世保に原潜が寄港した。米軍の無神経ぶりにあきれる。

 外務省は、米海軍から一日に事故の報告を受けていたが、佐世保市や沖縄県などには二日に連絡した。担当者は「人体に影響がないから即時通報する必要はないと判断した」というが、危機管理への意識のなさやまずいものを隠そうとする姿勢が見て取れる。

 米原子力艦船が日本に立ち寄る際には、日米双方が放射能調査を行い事故時の相互通報を定めているが、どういうレベルの事故から通報義務が派生するかなど、日米間の取り決めはあいまいだ。

 放射能調査自体、外部からは見えぬ洋上のことだけに、周辺住民から「沖縄でも漏れたのではないか」と声が上がるのも当然のことだ。

 「原潜の寄港回数の増減は世界情勢を反映する」といわれる。沖縄近海で一体何が起きているのか、十分な情報がないままでは、疑惑や懸念は深まるばかりだ。

 県内では今のところ、ヒューストンの放射能漏れは確認されてない。しかし、ホワイトビーチへの原潜寄港は今年すでに二十六回で過去最多となった。横須賀基地には空母ジョージ・ワシントンが国内で初めて配備されることになっており、原子力艦船の安全管理が強く求められる。

 あす八月六日は広島県に原爆が投下された日。唯一の被爆国として、日本国民には原子力に対する繊細で敏感な感情がある。そういう気持ちを酌もうとしない日米政府の通報態勢は、あまりに杜撰で不愉快極まりない。速やかに国民に知らせるような態勢に改善すべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080805.html#no_1

 

2008年8月6日(水) 朝刊 1面

普天間上空 飛行航跡調査へ/防衛省意向

 【東京】米軍普天間飛行場の危険性除去と、代替施設の建設計画・環境影響評価(アセスメント)について協議するワーキングチームが五日夕、防衛省で開かれた。「危険性除去」のワーキングチームで防衛省は、昨年八月に公表した場周経路が守られていないという宜野湾市や県の指摘を踏まえ、航空機の飛行ルートを外部に委託して調査する意向を示した。

 防衛省は「まず地元の不安を解消することが重要」として調査の必要性を説明。月内にも業者との契約手続きに入り、速やかに調査を開始する意向を示した。観測装置を使って航空機が発する電波を受信し、航跡を把握するという。

 そのほか、クリアゾーン(無障害地帯)拡充や滑走路末端識別灯新設など、普天間飛行場の安全対策として昨年八月に公表した内容を説明し、現在の進ちょく状況を報告した。

 「建設計画・アセス」のワーキングチームでは、政府、県、名護市が密接に意見交換しながら移設返還を進める方針を確認した。

 県の上原昭知事公室長は「沖合移動を求める地元の意向を最大限尊重して実現を図ってほしい」と要望。政府側は「知事意見が提起された場合、地元の意向を念頭に置くとともに、代替施設の二〇一四年までの完成目標に留意して誠実に対応する」との従来見解を示すにとどまった。

 伊波洋一宜野湾市長の話 場周経路は守られておらず、データがあれば日米で合意されたことを米国に守るよう強く申し入れる材料になる。一定の評価はできるが、なぜワーキングチームに宜野湾市を加えないのか疑問だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808061300_01.html

 

2008年8月6日(水) 朝刊 29面

高嶺県議会議長に委員長就任要請/教科書検定撤回 実行委

 「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」の玉寄哲永実行委副委員長らが五日、県議会の高嶺善伸議長に実行委員長への就任を要請した。高嶺議長は「できるだけ効果がある形にするため、各派に諮って考えたい」と述べ、超党派での参加を模索する考えを示した。

 県議会を訪れた玉寄副委員長は「教科書執筆者たちが九月に再訂正申請をする予定であり、中学教科書の検定も始まる。議長には県民党の代表として再び先頭に立っていただきたい」と要望した。

 高嶺議長は「私たちも思いは同じ」と前向きな姿勢をにじませつつ、「各派の一致を見て引き受けるのが筋。九月議会の招集前に代表者会議に諮りたい」と述べた。

 県議会は二〇〇七年八月、同県民大会に超党派での参加を全会一致で決め、仲里利信前議長が実行委員長に就任した。

 しかし、今年六月の県議選後、仲里前議長が勇退と同時に実行委員長も辞任したため、空席が続いている。

 玉寄副委員長は面会後、「検定制度の見直しや再訂正申請など、東京では九月ごろから動きが活発になる。今また県民一体で動かなければ沖縄の声が取り残されてしまう。県議会には再び一つとなって参加してほしい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808061300_04.html

 

2008年8月6日(水) 朝刊 2面

知事、林防衛相と初会談/「普天間」で協議継続

 【東京】上京中の仲井真弘多知事は五日、防衛省内で、林芳正防衛相と初めて会談した。米軍普天間飛行場移設問題について「意見が違っても、意思疎通を丁寧に図ることが重要だ」と述べた仲井真知事に、林防衛相も「互いにパイプをつくって対応していく必要がある」と応じ、政府と地元の協議を定期的に続けることで一致した。

 仲井真知事は、これまで求めている普天間飛行場代替施設案(V字案)の沖合移動について、「今までの協議会とかの内容を大臣がよく説明を受けた後がいい」として、同日の会談では求めなかった。林防衛相に早期来県を要請したが、林防衛相は即答を避けた。

 仲井真知事は会談後、防衛省で同日開かれた普天間飛行場移設に関するワーキングチームについて、「大臣が集まってテクニカルな話をしても限界がある。どう意見が違うのか、違わないのかを詰めるためのチームだ。きちんと課題と焦点を絞って解決できるよう期待したい」と述べた。

 ワーキングチームで沖合移動を検討するかどうかについては、「技術的、事務的な意見交換というのは、(移動できるかどうか)ある程度、分かるものは分かっている。これは環境とは別にやったほうがいい」と述べ、環境影響評価調査とは切り離して技術的に検討する必要性を指摘した。

 仲井真知事はそのほか、二〇〇九年度の国庫支出金要請で、谷垣禎一国交相らとも会談。那覇空港拡張整備の早期実現、地元企業への優先発注などを要請した。


国庫支出金で沖縄相へ要請


 【東京】仲井真弘多知事は五日、内閣府に林幹雄沖縄担当相を訪ね、二〇〇九年度国庫支出金への配慮を求めた。旧軍飛行場用地対策を初めて要望に盛り込んだことを強調した仲井真知事に対し、林沖縄相は「問題があることは聞いている。知恵を出していければ、と思う」と述べた。

 要請書では旧軍飛行場用地対策について、沖縄特別振興対策調整費の活用による事業費確保を求めた。

 仲井真知事は、那覇空港の拡張について「もう一本の滑走路を早めに完成してほしい」と要望。

 林沖縄相は「沖縄振興計画も残り三年なので、気合を入れて取り組む。財政は厳しいが、沖縄の特殊事情を踏まえて対応したい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808061300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年8月6日朝刊)

[広島「原爆の日」]

もっと核廃絶の声を


 一九四五年八月六日午前八時十五分、一瞬の閃光が街を覆った。熱線と爆風と、大量の放射能。原子爆弾による犠牲者は、その年だけで十四万人を数える。

 米軍爆撃機から投下された一発の原子爆弾によって広島市は廃虚と化した。

 三日後の八月九日午前十一時二分、長崎市も、原爆によって壊滅的な被害を受けた。

 六十三年後の今なお、多くの被爆者が後遺症に苦しんでいる。

 核廃絶の訴えを「きれいごと」だと冷笑してはならない。原爆がもたらした惨状を世界の人々に伝え、後世に語り継いできた人々の、血のにじむような努力を過小評価すべきではない。

 国際司法裁判所は九六年、「核兵器による威嚇と使用は一般的に国際法に違反する」との勧告的意見をまとめた。核廃絶が地球規模の課題として認識されるようになったのは、被爆者の痛切な訴えを正面から受け止めてきた世界のNGOや市民の力によるところが大きい。

 だが、その一方で、世界的に核抑止論が後を絶たず、核軍縮は進んでいない。核開発そのものが容易になり、核開発を外交カードとして利用する動きも目立ってきた。

 NPT(核拡散防止条約)体制は、核拡散という深刻な試練に立たされている。

 北朝鮮やイランの核開発だけが問題なのではない。核保有国の核軍縮に向けた取り組みの弱さや、核超大国アメリカの「二重基準」、被爆国日本のあいまいな核政策も問われなければならない。

 NPT体制は、六七年一月一日以前に核兵器を取得した国を核兵器国とみなし、それ以外の非核兵器国が核武装することのないよう義務付けている。

 非核兵器国から見れば、明らかな差別条約なのである。

 加盟義務がない半面、脱退は可能である。事実上の核保有国とみなされているインド、パキスタン、イスラエルは加盟していない。

 大きな欠点を持った条約であるにもかかわらず、今のところNPT体制は核軍縮を進める上でもっとも大事な体制である。

 NPTの実効力を上げるためには、核兵器国が率先して核軍縮に取り組むことが何よりも重要だ。

 世界には米ロを中心に依然として二万六千発の核弾頭が存在するといわれる。核保有国がまず大幅な削減に着手しなければ、非核保有国に対し説得力は持ち得ないだろう。

 日本の核政策もあいまいだ。フランスやインド、パキスタンなどの核実験に対して日本側が抗議をした際、これらの国から持ち出されたのは、米国の「核の傘」の存在だった。自らは米国の「核の傘」の下で安全保障を確保していながら他国の核実験に抗議するのは虫が良すぎる、というわけだ。

 国際政治の冷厳な現実を打破していくためには、まず日本政府の核政策を転換していく必要がある。転換を可能にするための北東アジアの非核地帯構想を練り上げていくことが大切だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080806.html#no_1

 

琉球新報 社説    

広島・原爆忌 被爆の教訓を平和の礎に 2008年8月6日

 8月6日は、広島・原爆忌。約14万人が一瞬で爆死し、後遺症で10万人余が犠牲になった。原爆投下から63年を迎える。だが、いまなお被爆者は病に苦しみ、無情な差別と闘い続けている。被爆は、過去の話ではない。

 1945年8月6日午前8時15分。米国は人類史上初の核兵器・原子爆弾を広島に投下した。

 「悪魔の兵器」は35万市民の半数近くの命を一瞬にして奪い風光明媚(めいび)な街並みを廃虚と化した。

 「終戦を早め、100万人の米国の若者を救うため」。原爆投下を決断した当時のトルーマン米大統領はそう語り、核兵器による大量虐殺を正当化しようとした。

 ポツダム宣言の終戦勧告の受諾を渋り「1億総玉砕」を掲げる軍国日本への実力行使である。

 原爆投下の理由は、ほかにも3つの見方がある。対日戦線へのソ連参戦の動きへのけん制、20億ドルもの膨大な開発費を使った原爆開発の国内世論向けの正当化、原爆という新兵器の実戦での威力の確認などだ。米国を知る者なら、どの理由にもうなずくであろう。

 しかし、被爆者のみならず人類にとって、どれもが許すことのできない「悪魔の選択」であり、批判、非難されるべき行為である。

 米国は3日後、長崎にも原爆を投下し、約15万人を死傷させた。

 広島はウラン型、長崎はより強力なプルトニウム型。2種の原爆を使い、投下前後に被爆地に軍用機を飛ばし、戦果を撮影している。

 3カ月余をかけた目標都市の選定、原爆模擬弾の投下など周到な投下準備、終戦後の綿密な被爆調査など一連の米国の動きは、原爆の人体実験の印象すら受ける。

 あれから63年。国民を戦争に駆り立てた日本政府は、現在に至るまで被爆認定を渋るなど被爆者救済にあまりに消極的だ。

 加えて、世界最大の被爆国でありながら、核兵器の廃絶、開発阻止、拡散防止に十分な政治力すら発揮できていない。

 30万人を超す被爆犠牲を人類の教訓とし、政府は核兵器廃絶と平和主義を世界に伝え、広げる義務をもっと積極的に果たしたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-134922-storytopic-11.html

 

2008年8月6日(水) 夕刊 4面

「普天間」作業班への宜野湾市参加に難色/防衛省

 【東京】宜野湾市議会の伊波廣助議長ら代表十人は六日午前、防衛省に地方協力局の井上源三局長と「普天間飛行場の危険性除去に関するワーキングチーム」を主宰する山内正和次長を訪ね、同飛行場の危険性除去と早期返還を求める意見書を手渡した。

 防衛省側はワーキングチームに地元の意向を反映させる方策を検討する考えを示した。

 伊波議長らは、ワーキングチームに、宜野湾市も加えるよう要請したが、防衛省側は「普天間移設協議会の下部組織なので協議会のメンバーに基づいて構成している」として、同市の加入に難色を示した。

 これに対し、伊波議長は夜間の騒音に市民が墜落の恐怖を感じている現状を訴え、「地元の声をうまく反映させる方法を何とかとってほしい」と要望。防衛省側が何らかの方策を検討する考えを示した。

 一方、同飛行場の早期返還については、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設を進めるとの既定方針を説明するにとどめた。

 要請には安次富修衆院議員(自民)も同行した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808061700_03.html

 

2008年8月7日(木) 朝刊 1面

総事局の存続必要/林沖縄相

 【東京】林幹雄沖縄担当相は六日、沖縄タイムスなどのインタビューに応じ、国の出先機関見直しの対象となっている沖縄総合事務局について、「沖縄の特殊性を背負って意義ある体制の中にある」と述べ、組織存続が必要だとの認識を示した。

 総合事務局については、政府の地方分権改革推進委員会が、年内にまとめる第二次勧告に存廃を盛り込む方針。林沖縄相は「特殊事情ゆえに総合事務局ができた。そこを踏まえて分権委が方向性を出すと思う」と話した。

 在日米軍再編で返還が予定される基地の跡地利用に関しては、「汚染物質の調査や処理は国が責任を持つべきだと考える」と述べ、跡地利用促進に向けて県や市町村が求める国の財政負担に理解を示した。

 県が検討している沖縄型カジノ構想については「県民のコンセンサスを得ることが第一だろうと思うので、推移を見守りたい。コンセンサスがまとまれば協力したい」と述べた。

 沖縄科学技術大学院大学の構想に関しては「わが国初の試みなので、法的なものも含めて成功させられるよう努力したい」と意欲を見せた。来週早々の来県に向けて最終調整していることも明らかにした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808071300_03.html

 

琉球新報 社説    

「普天間」危険除去 政府の本気度が試される 2008年8月7日

 米軍普天間飛行場の危険性除去を検討する政府と県のワーキングチーム(作業班)の初会合が開かれた。防衛省は米軍機の運用実態について客観的データを収集するため、飛行航跡の観測調査を外部委託することを明らかにした。

 「客観的なデータ」の収集は大いに結構なことである。

 だが裏を返せば、政府はこの間、客観的なデータもないまま、米側の説明をうのみにしてきたと言えないか。

 普天間飛行場の危険性除去の方策として場周経路の見直しで米側と2007年8月に合意した際、政府は県や宜野湾市など関係自治体に、客観的データに基づかずに安全性向上や騒音軽減などを強調してきたと言わざるを得ない。

 普天間飛行場を「3年をめどに」閉鎖状態とするとの公約を掲げている仲井真弘多知事は「根本的には危険性の除去にはならない」とし、場周経路見直しを評価していない。

 当然である。危険性除去は普天間飛行場の即時閉鎖でしか実現できない。場周経路の見直し程度で、同飛行場の「3年内閉鎖状態実現」への回答になるわけがない。

 宜野湾市は、普天間所属ヘリが市全域を飛んでいると指摘している。日米合同委員会で合意した場周経路でさえ、米軍は守っていない現状がある。

 県は作業班の会合で「米軍機が場周経路を逸脱しているとの報告が地元から上がっている」と、安全対策として見直した経路を米軍機が守っていないと指摘した。

 現状を防衛省がしっかりと認識することが、危険性除去の出発点である。

 作業班の今後の会合では、県の話にもしっかりと耳を傾け、地元が十分に納得できる結論を出すことを政府には求めたい。

 米軍ヘリ沖国大墜落事故からやがて4年になる。今も、住宅地上空を米軍機が飛び交っている。危険性は事故当時と何ら変わっていない。

 作業班は早急に飛行航跡調査に着手し、結論を急ぐべきだ。

 ただ、客観的なデータを収集するだけでは意味がない。そのデータをどう評価し、普天間飛行場の危険性除去と騒音防止に結び付けるかである。正確な観測調査だったかの検証も必要だ。

 林芳正防衛相は「ワーキングチームの中で誠意を持って協議を進めたいというのが基本スタンスだ」と述べている。

 だが、危険性除去を目的とする以上、最終的には普天間飛行場を閉鎖することでしか、目的が達成されることはない。

 国民の命と暮らしを守る上での政府の本気度が試されているのである。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-134950-storytopic-11.html

 

2008年8月7日(木) 夕刊 5面

大型輸送機が大挙飛来/嘉手納に8機 五輪警護用か

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で六日までに、米空軍のC17大型輸送機七機とE4国家緊急空中指揮機一機の飛来が確認された。嘉手納町によると、大型輸送機の大挙飛来は「珍しい」という。

 目撃者によると、E4は五日、C17は三日から五日までに七機が相次いで飛来したという。同町によると、米軍から事前通知や目的などの説明はない。

 E4は、有事の際に米大統領や国防長官が搭乗し、国家空中運用センターとして、指揮、管制など通信中枢としての機能を果たす。同機やC17の飛来は、ブッシュ大統領が北京五輪開会式に出席することに伴うとみられる。

 同基地報道部は「太平洋地域における任務支援のために飛来した。運用警備上の理由で、到着機数や滞在期間についての情報は提供できない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808071700_03.html

 

2008年8月8日(金) 朝刊 1面

沖縄でも放射能漏れ/米原潜、ホワイトビーチで

2年余り冷却水流出

 【東京】米海軍佐世保基地(長崎県佐世保市)での放射能漏れが判明した米原潜「ヒューストン」は、二〇〇六年六月から〇八年七月までの間、うるま市のホワイトビーチと神奈川県横須賀基地に寄港した際にも微量の放射能漏れを起こしていたことが七日、米側の調査で明らかになった。同日、在日米国大使館から連絡を受けた外務省が発表した。

 米側によると、漏出した放射能はごく微量で、人体や環境に影響はないという。これまでの文部科学省による調査でも異常値は検出されていない。

 米側は、佐世保基地への寄港の際に放射性物質を含む冷却水が漏れていたことを日本側に通報した今月一日、「いつから漏れていたのか分からない」としていた。その後の調査で、〇六年六月から〇八年七月にホノルルの乾ドックに入った時点までに、冷却水漏れがあったことを新たに確認したという。

 〇六年六月以降の「ヒューストン」のホワイトビーチへの寄港は、〇七年が三月十七日、三月二十三日、十二月七―十一日、十二月十五日、〇八年は三月十二日の計九日間。佐世保基地は十六日間、横須賀基地は五日間だった。

 米側は、寄港日数や米政府によるコンピューター分析に基づき、この期間に周辺環境へ漏れたと推定される放射性物質の放出量の合計は、ホワイトビーチで六・三キロベクレル未満と説明。佐世保が十三キロベクレル未満、横須賀が三・五キロベクレル未満とした。

 その上で、「漏れた放射性物質の全体量は極めて少なく、人体、海洋生物、環境を危険にさらすものではない。日本へのすべての寄港の間に漏れた放射能の量をすべて合わせても、一般家庭用煙探知機に含まれる放射性物質の量よりも少ない」と説明している。

 これら三基地で放射性物質の放出量を常時観測している文部科学省は「今までの調査で異常値が検出されていないことから、人体や環境に影響を与える量が漏れていたとは考えていない」との見解を示した。


     ◇     ◇     ◇     

再発防止策の徹底を


 仲井真弘多知事の話 人体への影響がないとしても、極めて遺憾だと言うしかない。原子力潜水艦の放射能漏れはあり得ないと思っていた。驚きに近い。原潜については厳重な安全管理が必要だ。副知事から外務省北米局長に対し、遺憾の意と徹底した再発防止策を申し入れた。(通報の遅れなど)基本動作に問題がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808081300_01.html

 

2008年8月8日(金) 朝刊 26・27面 

放射能不安 現実に/死活問題 住民怒り

 「毎回異常なしと報告されていたのに」「人体への影響は」「風評被害が心配」。米原子力潜水艦がうるま市のホワイトビーチに寄港した時にも放射能漏れがあった。地元住民や漁業関係者らに怒りと不安がわき上がった。年間の寄港回数が、ここ四十年で過去最多になったばかり。安全を強調する米側、異常値はないと繰り返す日本政府に対し、地元は不安を募らせる。

首長ら「なぜ黙ってた」/うるま・沖縄市


 【中部】ホワイトビーチが所在する、うるま市の知念恒男市長は「人体に影響はないというが、(米軍が)いままで黙っていたのはなぜか」と疑問を抱く。沖縄市の東門美津子市長は「海はどこもつながっている。とんでもない話だ」と不安の声を上げた。

 知念市長は七日午後、外務省から文書で報告を受けた。三月の寄港から約五カ月を過ぎて明らかになった「ヒューストン」の放射能漏れの事実に、知念市長は「これまで異常なし、というだけの報告だった。地域住民の生活にもかかわるため、数値をきちんと示してもらいたい」と憤った。

 東門市長は「人体には影響がないと言われても海の生態系への影響も懸念され、すごく不安だ。原潜寄港のたびに異常はないと報告を受けたが、一体何を検査していたのか」と日本側の検査体制を疑問視した。

 うるま市議会は十一日に臨時議会を開き、原潜寄港に反対する抗議決議を提案する予定。同議会基地対策特別委員会の東浜光雄委員長は「文科省と米軍側の測定結果に二重の基準があるのではないか。発表される測定値に疑問を持たざるを得ない」と話す。

 知念市長は「抗議が一向に聞き入れられていない状況だ。市としても、米軍側にきちんとした情報公開を求めていきたい」と強調した。


総領事「透明性」を強調


 ケビン・メア在沖米国総領事は七日の定例会見で、原潜の放射能漏れについて、「日本側の調査で異常は検出されなかったが、(冷却水が)染み出ているのを見つけたのは米海軍の安全基準が機能していることを示すもの。なぜ米側が日本政府に通告したかというと、透明性を維持するためだ」と強調した。

 メア総領事は、米海軍の調査の最終報告のめどについて「いつ出るか分からないが、新しい情報が出れば日本側に通告するつもりだ」と述べた。米側は海軍を含め、原子力専門家と共に調査を進めているという。

 ホワイトビーチなど国内の港へ原潜が入港する際は、文部科学省などが大気中と海水に含まれる放射線レベルを測定している。

 総領事は「日本側の調査で異常な値は検出されていないが、米海軍の原潜の基準は特に厳しいので染み出ているのが見つかった」と述べた上で、「私の目から見ると米海軍の安全基準が機能しているのを示すことになる」と断言した。

 今年は原潜のホワイトビーチへの寄港が過去四十年間で最多の二十六回に及んでいることに「潜水艦のスケジュールは公表しないのは当たり前だが、米軍の艦船は民間の港にも入っている。米海軍が西太平洋の安全と平和に貢献するため、活躍しているということだ」との見解を示した。


健康・風評被害 漁業者強い懸念


 【うるま】原潜寄港が急増する中で明るみになったホワイトビーチでの放射能漏れ。地元うるま市勝連平敷屋区民や近隣の漁業関係者らは放射能のイメージによる風評被害を懸念、「死活問題にもなりかねない」と不安を募らせた。

 中城湾を囲む沖縄市漁協の小嶺仁組合長は「原油高で息の根を止められようとしているところに、追い打ちをかける知らせだ」と声を落とした。「漏れた量が小規模だったのは結果論だ。事故は起こり得ると実証されたことが重大。漁師や住民、消費者の不安は取り除けず、風評被害も心配。原子力艦船の寄港を認めるべきではない」と怒りをあらわにした。

 平敷屋区の西新屋光男区長は「人体への影響を含め、米軍や国はちゃんとした情報を流すべきた。区のイメージダウンを含め、生活に支障が出ないか心配だ」と表情を曇らせた。

 同区の大工、島袋智明さん(45)は同桟橋まで約一キロの距離に自宅があり、寄港する原潜を何度も見ているという。「微量だから大丈夫という問題ではない。体に悪い影響が出ないか気になる」と話した。

 モズクの生産が盛んな同地では風評被害も危惧される。生産、加工を含めモズク漁を生活の糧にする区民も多く、同区の漁業関係者は「このようなことが起これば、信頼回復に時間がかかり、死活問題だ」と声を荒らげた。

 ホワイトビーチに近い津堅島でも、モズクは大切な収入源。同区の新屋功区長は「モズクにもしものことがあれば、津堅島の経済は成り立たなくなる。万が一でも大きな事故につながったら大変だ」と危機感を抱く。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808081300_02.html

 

2008年8月8日(金) 朝刊 27面

軍の車盗み放置→軽盗み基地へ/容疑米兵を拘束

 【沖縄】七日午前十一時ごろ、沖縄市上地の民間契約駐車場に海兵隊の車両が放置されていると、駐車場の一部を管理する不動産会社から沖縄署に通報があった。米海兵隊報道部や沖縄防衛局から沖縄市に入った情報によると、車両はキャンプ瑞慶覧の修理工場から海兵隊員が盗んだものとみられ、米海兵隊が隊員の身柄を拘束した。

 現場は中の町小学校近くの住宅街。民間地に迷彩色の軍車両が放置され、助手席のドアが開けっ放しだった。車両は同日午後、憲兵隊が捜査後に移動した。海兵隊報道部は、隊員の所属や年齢などを公表していない。

 車両を見掛けたという女性は「何だろうと思ったが、怖くて近寄れなかった」と驚いた様子で話した。

 また同日朝、盗難届が出ていた軽自動車で同基地内に入ろうとした海兵隊員を米軍が拘束。沖縄署などは軍車両を窃盗した隊員と同一人物の可能性があるとして捜査する方針。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808081300_07.html

 

2008年8月8日(金) 夕刊 1・7面

うるま議会 抗議決議へ/米原潜放射能漏れ

 【うるま】うるま市議会の基地対策特別委員会(東浜光雄委員長)が八日午前開かれ、十一日に臨時会を開き、米原潜「ヒューストン」がうるま市勝連のホワイトビーチ寄港時に微量の放射能漏れを起こしていた件で、日米両政府などへの抗議決議案と意見書案を提出することを決めた。

 決議案では、米軍に対し、緊急時の施設内への立ち入り調査も要求。両案には原潜の寄港反対や事故の原因究明、安全性についての情報提供を求めることなどを盛り込んだ。

 両案の可決後、十一日中にも外務省沖縄事務所や沖縄防衛局、在沖米国総領事館などへ抗議行動を行う予定。委員会では市側にも独自の放射能調査実施を要望する。

 同議会はホワイトビーチへの原潜寄港が過去最多に上った件で、先月三十日に抗議決議案を可決したばかり。

 八日の委員会では、米軍などに対し非常時の危機管理や説明責任を求めるほか、地元漁業関係者への風評被害対策、安全性確保が議題の中心となった。

 同委員会では放射能漏れの報告が遅れたことを問題視しており、東浜委員長は「人体に影響がないという報告があったが、市民の安全を守る立場として、あってならないことだ」と憤った。


     ◇     ◇     ◇     

軍事優先 政府に怒り

米原潜放射能漏れ


 米原潜「ヒューストン」が、二年間にわたり、うるま市のホワイトビーチ、神奈川県横須賀基地、長崎県佐世保基地で放射能漏れを起こしていたことが発覚したことを受け、県内、全国の平和団体は八日、怒りの声を上げた。各地で連携し、住民生活より軍事優先の日米政府の姿勢に抗議する必要性を訴えた。

 沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は同日午前、長崎市で開かれている原水爆禁止世界大会長崎集会に参加した。「全国の平和団体から、住民生活を脅かす米軍に対して何も言えない日本政府に批判が集中している。連携し、国会を動かす方向で機運が高まっている」と話した。

 県平和委員会の大久保康裕事務局長は、ロサンゼルス級原潜が大量生産されていることを挙げ、「構造的欠陥なら、同じ事故が起きる可能性がある。日米安保条約の当事者(政府)でなく、第三者による客観的調査が必要。被爆国として、寄港そのものの中止を求めるべきだ」と訴えた。

 米原子力空母配備問題で揺れる横須賀市にも衝撃が走った。神奈川県内数十団体でつくる原子力空母配備の是非を問う住民投票を成功させる会は同日午前、横須賀市に事故の真相究明を求める要請書を提出。米海軍にも公開質問状を送付した。新倉裕史共同代表は「空母配備問題を控える繊細な時期にもかかわらず、立て続けに事故が起きる。配備されれば、日常的に被害を受けるということだ」と述べた。

 米軍の活動を監視している佐世保軍事問題研究会の篠崎正人事務局長は「二年も放射能を漏らしながら平然と入港を繰り返していたとは、あきれて言葉が出てこない」と語気を強める。「米軍はいつでも自分たちの事情を優先させる。沖縄、横須賀の市民と連携して声を上げなければ」と力を込めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808081700_01.html

 

2008年8月8日(金) 夕刊 7面

名入りの水筒など発見/真嘉比の旧日本軍壕

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)などが那覇市真嘉比の土地区画整理地区で行っている収集作業で、旧日本陸軍兵のものとみられる「西田」「真木」と書かれた水筒やせっけん箱など多くの遺留品が七日までに見つかった。

 六、七の両日に旧日本軍壕の中から見つかった。比較的状態が良い海軍所有の水筒三個のうち二個には実際に水が入っていた。軍靴や鉄かぶと、未使用の手りゅう弾や小銃弾、七五ミリ砲弾なども多数あった。

 具志堅代表は「西田」と書かれた水筒について、四四旅団独立混成十五連隊第二大隊の所属兵の所有物だった可能性を指摘。「一カ所からこれだけ多くの名前の手掛かりが出るのはめったにない。何とか遺族に返還したい」と話す。

 同大隊は、真嘉比に隣接する同市おもろまち一帯で、戦時中はシュガーローフと呼ばれた激戦地の守備を担っていた。収集作業で、これまでに四人の旧日本兵とみられる名前が書かれた遺品が見つかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200808081700_04.html

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