県内での放射性物質検出、「原潜原因」に米が圧力/1972年 元米軍医・スタインバーグさん来県 米原潜ホワイトビーチ寄港/県・市は中止要望 など 沖縄タイムス関連記事・社説(9月4日から6日)

2008年09月04日【朝刊】 政治 

「原潜原因」に米が圧力/1972年 県内での放射性物質検出

米解禁文書で判明/国会答弁「不明」に修正/外務省が仲介

 一九七二年に那覇港とホワイトビーチで高い値の放射性物質が検出された問題に関する七四年国会答弁で、当時の科学技術庁原子力局次長が米原子力潜水艦の影響を指摘したことに対し、米政府が外務省を通して、原潜を原因とする発言を二度としないよう要求していたことが、三日までに解禁された米公文書で分かった。米側は外務省と再答弁の内容調整もしており、その後同次長は「原因不明」と答弁を修正。事実上、米側の?介入?を受け入れていた。(嘉数浩二)

 文書は、東京の駐日米大使館発国務長官あて緊急電報。日米関係史研究者の新原昭治氏が二〇〇七年、米国立公文書館で入手した。

 一九七四年二月二十五日の参院決算委で、本土復帰直後の日本側の調査で、放射性核種「コバルト60」が、那覇港の海底土から1キログラム当たり178ピコキュリー、ホワイトビーチの貝から62ピコキュリーが検出された問題が取り上げられた。原子力局次長は「コバルトの高い値の一部は原潜に由来すると考えられる」と答弁した。

 公文書によると、米大使館は二十六日朝、外務省の安全保障課長に連絡し、答弁についての説明と、二度と同じ言明が繰り返されないよう要求した。外務省関係者は科技庁幹部や次長と面会し、無用な波紋を広げていると指摘。次長は軽率な答弁だったと謝罪した。

 同日、外務省は米側に「公式の言明は、コバルト60は原潜寄港のない港でも検出されており、原潜による汚染とは関係なく、検出量も人体に無害」と修正する案を伝え調整した。

 二十八日の衆院特別委の同局次長答弁は、外務省案を踏襲した内容となった。

 放射性物質に詳しい京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は「当時の科学界の常識でも、通常の数十倍の異常値で、原潜の影響と考えるのが当然だ。(答弁修正は)科学的にはあり得ない話」と指摘している。

 外務省日米安全保障条約課は、本紙の取材に、「米側文書なので承知していない。日本側の記録については即答できない」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-04-M_1-001-1_002.html

 

2008年09月04日【朝刊】 社会 

高嶺議長を委員長に/教科書検定撤回県民大会実行委

各会派に協力要請/再訂正へ結束呼び掛け

 「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の玉寄哲永副委員長が三日、県議会を訪れ、高嶺善伸県議会議長を同実行委員長にするよう、各会派に協力を求めた。

 玉寄副委員長は自民、公明県民会議、共産、民主の各会派を訪問。「教科書検定意見は撤回されず、県民大会決議は何一つ実現していない。県議会各派のいっそうの結束をお願いしたい」と要請文を手渡して回った。残る会派も四日以降に回るという。

 同実行委の委員長は昨年、仲里利信・前県議会議長だったが、今年六月に勇退して以降、空席が続いている。実行委は八月、高嶺議長に委員長就任を求めたが、高嶺議長は「最も効果的な形で参加したい」と全会派の同意を前提にする考えを示していた。

 二〇〇六年度の高校日本史の教科書検定では沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の記述から軍の強制性が削除されたが、〇八年末に「日本軍の関与」という形で復活した。

 しかし、教科書執筆者らは「内容が不十分」として、今秋にも再訂正の申請を検討している。

 玉寄副委員長は「昨年は県議会が超党派の『沖縄党』として行動したから、沖縄の声は力強くなり、文科省も訂正せざるを得なかった。今また沖縄が声を上げなければこの問題は終わってしまう。再訂正申請の動きに合わせ、再び結束を呼び掛けたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-04-M_1-022-1_002.html

 

2008年09月04日【朝刊】 政治 

「政府、米の要求優先」/放射性物質検出米国の圧力判明

識者批判 独自調査が必要

 本土復帰直後の沖縄で検出された放射性物質の異常値をめぐり、当時の政府が、米国の要求に応じる形で「原潜が原因かは不明」としたことに、専門家から疑問の声が上がった。

 京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は「現在の平常値は一キロ当たり一ピコキュリー未満。当時、核実験などで世界中に微量のコバルトが放出されたことを考えても、極めて異常な数値」とし、「原潜の影響を否定するには、しっかり調査して証明する必要があったはずだ」と指摘した。コバルトの半減期は五年で、現在は当時の影響は考えにくいとしつつ、「今でも事故はあり、そのたび『ごく微量』として独自調査をしない政府の姿勢は疑問だ」と述べた。

 文書を入手した日米関係史研究者の新原昭治氏は、「住民の安全を守るべき局面で、米国の軍事要求を優先してきた日本政府の姿が浮き彫りになっている」と批判。今年発覚した原潜放射能漏れ事故を挙げ、「米国の圧力に屈し続ける中で、抗議さえできなくなったのではないか」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-04-M_1-002-1_002.html

 

沖縄タイムス 2008年09月04日 社説 

[「密約裁判」棄却]

歴史に虚偽は許されず

 司法が政府の「ウソ」にお墨付きを与えてしまった。その思いを強くする最高裁の判断だ。

 沖縄返還協定をめぐる日米両政府の交渉過程で、軍用地の原状回復補償費四百万ドルを日本側が肩代わりするという日米間の密約公文書を暴いた元毎日新聞記者・西山太吉さんが、国に密約の事実認定などを求めていた訴訟で、最高裁第三小法廷が上告を棄却した。

 同訴訟では一審、二審とも民事上の請求権が不法行為から二十年で失われる「除斥期間」を適用し、原告の訴えを「門前払い」してきた。最高裁の判断も密約の「存否」を何ら検証することもなく、判決は確定した。

 あらためて指摘するまでもなく、この密約は今や「疑いようのない事実」である。

 琉球大学の我部政明教授らが、裏付けとなる米公文書を発見。加えて、当時の対米交渉責任者だった元外務官僚が事実を認め、VOA(米海外向け短波放送)の移転費千六百万ドルも含まれていたことを証言している。

 これだけの状況証拠と証人の声にも耳を傾けず、司法が果たすべき役割に背を向け、実質的な審理を怠ったことは、西山さんの言葉を借りれば「行政と司法が一体化した高度な政治判断で、司法の自滅」である。

 密約を裏付ける文書が見つかったのもここ十年に満たない。原告が求めた除斥期間に当たらないとする主張にこそ説得力がある。

 政府の対応も理解しがたいことだらけだ。

 文書の存在を一貫して否定している。もう一方の当事国から「証拠」が出され、身内の「告発」があっても「知らぬ存ぜぬ」を押し通す姿勢は駄々をこねる幼子と変わらない。

 仮に密約がなかったのであれば、米側で見つかった文書の真意を確かめることは容易なはずだ。元外務官僚についても同じだ。

 米国の圧倒的な政治力に押され、不利な交渉を強いられた時代はもはや過去のことだ。成熟した二国間協力を築き上げるためにも、過去に誠実に向き合い、同じ過ちは防がねばならない。歴史に「虚偽」があってはならない。それが次世代へのわれわれの努めでもある。

 米軍基地をめぐる「密約」は枚挙にいとまがない。政府の外交に対する国民の目線はすでに「疑念」を通り越している。

 密約からツケを負わされるのは国民である。

 政府は情報開示のあり方を考える時期である。外交文書の公開は三十年後が原則だが、政府の恣意的な判断に委ねられているのが現状だ。機密保持の必要性を「錦の御旗」にされれば、民主主義の根幹をなす「国民の知る権利」はないに等しく、権力の乱用を止める術もなくなる。

 ジャーナリストら有志が、密約訴訟に関連する文書の開示を国に求めた。西山さんらの問題提起は終わったわけではない。私たちはその本質をしっかりと問い続けなければならない。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-04-M_1-005-1_001.html

 

2008年09月04日【夕刊】 社会 

県が立ち入り要請/返還施設/海兵隊外交政策部長に/

 県の上原昭知事公室長は四日午前、着任あいさつのため、県庁を訪問した在日米海兵隊外交政策(G5)部長のダン・メルトン大佐に対し、米軍再編で嘉手納基地以南の返還が決まった施設について、文化財や環境調査を目的に立ち入りたいと要請した。

 メルトン大佐は「要望は承知しているが、どの土地をどう返還するか作業を継続中で、(現段階で)調査はできない」と、現段階での立ち入りは認めない意向を示した。

 同大佐は六月に来沖し、三度目の在沖勤務となる。四軍調整官のジルマー中将の見解として、「司令官は基地の統合や移転だけでなく、すべての事件をなくすことを真摯に考えることが大切と考えている」と強調。

 公務外を含めた在沖米海兵隊員の規律を定めるリバティーキャンペーンの見直し作業を継続していることを明らかにした。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-04-E_1-004-2_002.html

 

2008年09月05日【朝刊】 政治 

米原潜 安全確認を/放射能漏れ 軍転協が防衛局などに要請

 米海軍の原子力潜水艦ヒューストンが二年間にわたり、放射能を含む冷却水を漏らしていたことを受け、県と基地所在二十七市町村長でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(会長・仲井真弘多知事)の要請団は四日、外務省沖縄事務所や沖縄防衛局などに「原子力潜水艦は安全が確認されない限り、本県に寄港させない」など、ホワイトビーチへの原潜寄港に関して六項目を要請した。八、九日は上京し、外務省や防衛省、在日米国大使館などに要請する。

 沖縄防衛局の坂野祥一次長は「趣旨は理解できるが、米国の港で取られるすべての安全上の予防措置の手続きをわが国でも厳格に実施している」と説明。「日本の安全保障に重要な役割を果たしている原潜の安全性は再確認されている」と述べるにとどめた。

 外務省沖縄事務所の今井正沖縄担当大使は文部科学省の調査を挙げ、「異常値はなく、人体や環境に影響を及ぼすとは考えられない」と話した。

 要請団はほかに(1)ヒューストンの冷却水漏れの原因究明と再発防止策の速やかな公表(2)本県に寄港するすべての原子力艦の点検や安全性確保(3)寄港増加の理由を明かす(4)寄港に際し(報道機関への)事前公表が中止されている措置の解除(5)ホワイトビーチ桟橋に設置された海域の放射能を検出する機器「海水計」三基のうち、停止している一基の早急再開―を求めた。

 仲井真知事に代わって団長を務めた儀武剛副会長(金武町長)は「安全性の確認や寄港増加の理由について、県民の立場に立ち、本省や他省庁に問い合わせてほしい」と明確な回答を求めた。

 また軍転協とは別に、ホワイトビーチを抱えるうるま市の石川邦吉副市長は、外務省が発表した米側最終報告に対し、「安全性が十分に確認されたとは認めがたい」と述べた。

 要請団はほかに、「基地から派生する諸問題の解決促進に関する要請」と題し、基地の整理・縮小や日米地位協定の見直しなど七項目も併せて要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-05-M_1-002-1_001.html

 

2008年09月05日【朝刊】 社会 

旧軍のくしゃみ弾か 陸自 那覇で2発回収・移送

 【東京】防衛省は四日、那覇市内で三日に回収した不発弾七発の中に、旧日本軍が使用した「くしゃみ剤」入りの化学弾の可能性がある砲弾二発が含まれていたと発表した。三日、読谷村にある県の不発弾保管庫に移送。同省は「信管が付いておらず、亀裂や損傷もないため、爆発や薬剤漏えいなどの危険性はない」と説明している。県内ではこれまでも多くの不発弾が見つかっているが、化学弾であれば初のケース。

 不発弾は陸上自衛隊の不発弾処理隊が那覇市内の墓地から回収。回収時には、腐食が進み、泥が付着していたことなどから判別できなかったため、ほかの砲弾とともに、不発弾保管庫へ移送した。その後、同日夜、同保管庫で調べたところ、二発の弾頭に化学弾の特徴を示す二本の溝が見つかったという。化学弾の可能性がある二発はともに長さ三〇・五センチ、直径七・五センチ、重さ約六キロで、旧日本軍が使用した化学弾「92式あか弾」の可能性がある。残りは二発が七五ミリりゅう弾、三発が対戦車弾だった。

 防衛省は今後、カタログなどと照合し、特定を急ぐ方針。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-05-M_1-027-1_003.html

 

2008年09月05日【朝刊】 社会 

「ニシムイ」の思い出 今も/元米軍医・スタインバーグさん来県

 

60年ぶりの再会に涙を流し見つめ合う元米軍医のスタインバーグ氏(右)と故玉那覇正吉氏の長女田村みどりさん=4日午後8時38分、那覇空港(下地広也撮影)

きょう県立博物・美術館で講演

 沖縄の戦後美術の起源となった那覇市首里の美術村「ニシムイ」で画家の玉那覇正吉、安次嶺金正の各氏から絵画を学んだ米国の精神科医、スタンレー・スタインバーグさん(85)が四日夜、来沖した。那覇空港で玉那覇氏の長女、田村みどりさん(60)=横浜市=と60年ぶりに再会、「面影がある」「会えて良かった」と互いに抱き合い、感激に浸った。

 「沖縄に戻って来られて興奮している」とほほ笑むスタインバーグさん。「ニシムイで過ごした日々は、わたしの人生の中でも、とても楽しい時期だった。彼らがどれだけ素晴らしい芸術家だったか、みんなに伝えるのを楽しみにしている」と意欲的に語った。

 田村さんは「会えて本当に幸せ。まだ一歳くらいだったが、彼が絵を描いている時に、せがんでひざの上に乗せてもらったことを今でも覚えている」とハンカチで目元をぬぐった。空港では関係者ら約十人が出迎えた。

 スタインバーグさんは五日午後三時から県立博物館・美術館で開かれる同館の開館一周年企画「思い出のニシムイ」で講演する。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-05-M_1-026-1_003.html

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008年09月05日【夕刊】 政治 

知事、県内移設を堅持/県議会決議に反論声明

「県外・国外は理想論」「新基地建設でない」

 仲井真弘多知事は五日午前の定例会見で、普天間飛行場移設に関する県の考え方をまとめた声明文を発表した。県議会が六月定例会で「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議」を可決したことに対し、「私の姿勢が十分に理解されていない」としてまとめた異例の“反論声明”。しかし、方針の転換はなく、従来の姿勢を示した内容にとどまっている。

 声明は「普天間飛行場の移設に関する県の考え方―県民のみなさまのご理解とご協力を求めて」と題し、A4判五枚。知事は、十七日に開会する九月定例会を前に、「知事になって約一年八カ月間、政府と何をやってきたか。私の考えをまとめた」と説明した。

 県議会決議に対しては、「シュワブに施設をつくるので、飛行場の面積や滑走路の長さは縮小される。『新しい基地の建設』とは性格が異なる」と反論。名護市や宜野座村が受け入れていることを示しながら、県外や国外移設の検討について「理想論としてはあり得るが、先の見えない作業になる」と真っ向から否定した。

 代替施設の建設位置については、「これから先、施設と向き合う住民のことを考えると、できるだけ沖合につくるべきだと考えており、政府に理解を求めている」と説明した。

 パッケージとされる在沖米海兵隊のグアム移転と、嘉手納以南の施設の大規模返還が実施されれば、「基地の負担も減っていく。跡地利用は沖縄全体の発展に大きく貢献し、さまざまな産業を興すことにつなげたい」との考えを強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-05-E_1-001-2_001.html

 

2008年09月05日【夕刊】 社会 

県内関係者から賛否 知事・反論会見

名護市長「負担軽減になる」/宜野湾市「最新鋭の新基地」

 仲井真弘多知事が五日、普天間飛行場の名護市辺野古への移設を「引き続き推進する」とあらためて表明したことに、県内の関係者から賛否両論の声があがった。

 移設先の名護市の島袋吉和市長は「(代替施設の建設位置を)沖合へ求めていくということは、一貫して話している」と述べ、仲井真知事と連携する姿勢をあらためて強調。普天間移設が「沖縄の米軍基地全体の負担軽減につながる」と知事が訴えたことについて、「その通りだと思う」と語った。

 一方、普天間飛行場の県内移設に反対している宜野湾市の山内繁雄基地政策部長は「辺野古に建設されるのは最新鋭の新たな基地と認識している。海兵隊八千人をグアムへ移すならば、普天間の代替施設もグアムに建設されるべきだ」との考えを示した。同飛行場の危険性については「国の場周経路の航跡調査が実施されたが、普天間の危険性は一つではない。民間地をクリアゾーンにしたまま放置されている問題もある。県は現状に目を向け、市民の声を国に届けてほしい」と話した。

 辺野古で座り込みを続ける平和市民連絡会の当山栄事務局長は「新基地建設反対の意見書は県議会として正当な手続きを経て議決された。行政の長が軽々しく反対していいものではない」と強く批判。危険性除去の論理についても「辺野古なら危険にさらしても構わない、という差別的な発想だ。どこの住民も、平穏な生活を破壊されていいはずがない」と疑問を示し、「いつまでも自身の政策に固執するのは、県民の意思を二重、三重に無視するものだ」と不快感を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-05-E_1-007-2_001.html

 

2008年09月05日【夕刊】 政治 

原潜入港を拒否 放射能漏れ

 仲井真弘多知事は五日の会見で、原子力潜水艦の寄港について「安全性が確認されない限り、沖縄県への入港はすべきではないという立場だ」と表明した。

 米海軍は、うるま市ホワイトビーチなどで放射能を含む冷却水を漏らしていた原潜ヒューストンの調査結果として、最終報告を八月二十九日に外務省へ提出し、政府は「安全宣言」を出した。

 しかし、知事は「報告書はまだ読んでいない」として論評を避けた。

 知事が会長を務める県軍用地転用促進・基地問題協議会は四日、県内にある日米両政府機関に同様の要請を行っているが、知事は「軍転協とまったく同じ考えだ」と述べた。

 日米地位協定改正などを求める訪米時期については来年一月を検討しているが、「(大統領選後の米政府の)新しいポストが決まった後か前か、(政権の)引き継ぎ前後か迷っている。場合によっては二回行こうと考えている」と説明した。

 知事が求める普天間飛行場代替施設建設位置の沖合移動については、「国内問題ととらえているので、私が対米交渉するのはおかしい」と説明。求められなければ言及しない方針を示し、「(日本)政府がきっちり受け止めてほしい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-05-E_1-001-2_002.html

 

2008年09月05日【夕刊】 政治 

沖縄関係 アセスなど項目新設/08年防衛白書

 林芳正防衛相は五日の閣議で、二〇〇八年版防衛白書を報告、了承された。

 【東京】二〇〇八年版防衛白書の沖縄関係記述は、前年版の記述に一年間の動きを追記しただけで、目新しさはない。「分かりやすさを追求」(防衛省)した結果、ページ数が白書全体で一割強削減され、沖縄関係部分も従来より分量が減った。

 米軍普天間飛行場関係では、危険性除去や代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)などの項目を新設。日米が昨年八月に合意した危険性除去策、今年三月からキャンプ・シュワブ沿岸で始まった環境影響評価調査を紹介している。

 在日米軍再編関係では、キャンプ・ハンセンの日米共同使用に関し、今年三月から陸上自衛隊の訓練が始まったことを追記。そのほか、米軍再編への協力度合いに応じて自治体に支払う再編交付金の対象自治体に、県内の関係市町村を指定したことも説明した。

 一方、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関して、今年五月に発効した新特別協定や基地従業員の格差給廃止などの経緯についても記述した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-05-E_1-006-2.html

 

2008年09月06日【朝刊】 政治 

米原潜きょうホワイトビーチ寄港/県・市は中止要望

 米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦シティオブコーパスクリスティ(六、〇八二トン)が六日午後、うるま市勝連平敷屋の米軍ホワイトビーチに入港することが五日、分かった。桟橋には接岸せず、沖合に停泊する見通し。出港日時や目的は不明。

 米原潜の寄港をめぐっては、ヒューストンの放射能漏れを受け、地元の知念恒男うるま市長や同市議会がすべての原潜の寄港中止を国に要望。仲井真弘多知事や県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)は「安全が確認されない限り、本県に寄港させない」と求めており、地元を中心に再び波紋を広げそうだ。

 外務省は八月二十八日、米側の最終報告通報を受けたとして、「わが国の平和と安定に重要な役割を果たす米原潜の安全性が再確認されたと考えている」と安全宣言。軍転協の要請の際も、沖縄防衛局は外務省の発表を読み上げ、「当局もそのように取り扱いたい」と問題視しない考えを示している。

 原潜の寄港は八月十八日以来、今年に入って二十八回目で、年間最多寄港数を再び更新する。同型ヒューストンの放射能漏れが八月に発覚以来、県内へ二度目の寄港。

 シティオブコーパスクリスティは今年初めてホワイトビーチに入港する。昨年は三回入港しており、総計九十一時間(三日間十九時間)停泊した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-06-M_1-001-1_002.html

 

2008年09月06日【朝刊】 社会 

米軍機飛行に苦情増/沖縄市市街地 防衛局に市申し入れ

【沖縄】沖縄市は五日、市街地上空での米軍機の低空飛行や夜間飛行に対する苦情が増えているとして、同市の担当者らが沖縄防衛局を訪ね、米軍に市街地での飛行の自粛を求めるよう口頭で申し入れた。

 同市内では八月ごろから市役所周辺の中心市街地での低空飛行や夜間の飛行が目立ち、これまで苦情がほとんどなかった市東部の住民らや、騒音規制措置で飛行を避けるよう明記されている、学校や病院が密集する地域からも騒音に対する問い合わせが増えているという。

 これを受けて四日午後七時―午後九時半に市役所屋上と市中央のコリンザ屋上で行った米軍機の飛行実態の目視調査では、米軍嘉手納基地でKC135空中給油機がタッチアンドゴーを繰り返す様子や、うるま市方向に飛行する機体などを確認。市役所上空で旋回する軍用機もあった。

 五日にも市民から四件の苦情があり、市基地政策課は「本来飛んではいけない地域を飛んでいる実態がある。今後本調査で詳しく調べたい」とし、来週にも日中の飛行目視調査を行う。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-06-M_1-029-1_002.html

 

2008年09月06日【朝刊】 社会 

元米軍医・スタインバーグさん講演/「画家と交流 貴い体験」/思い出のニシムイ

 

戦後沖縄の美術村「ニシムイ」での思い出を語る元米軍医師スタンレー・スタインバーグさん=那覇市おもろまち、県立博物館・美術館

県立博物館・美術館の開館一周年を記念した講演会「思い出のニシムイ」(主催・同館)が五日、那覇市おもろまちの同館講堂で行われた。講演では、米国から六十年ぶりに来沖した元米軍医師スタンレー・スタインバーグさんが、戦争直後に那覇市首里にあった美術村「ニシムイ」での画家との交流を振り返り、「困難な時代だったが沖縄の画家たちと大切な出会いを経験できた」と感慨深げに話した。

 スタインバーグさんは一九四八―五〇年、軍医として沖縄に滞在。玉那覇正吉氏、安次嶺金正氏ら、戦後沖縄を代表する画家らが住んでいたニシムイの美術村に出入りし、絵を学んだ。

 基調講演でスタインバーグさんは「共に同じ時代を過ごせた。言葉は分からなかったがお互いの肖像画を描いたり、沖縄の画家の作品を購入するなど、美術を通して交流ができた」と自らの経験を紹介した。

 パネルディスカッションでは去年、米国カリフォルニア大学バークレー校で開催された「ニシムイ美術村の絵画展」を企画したジェーン・デュレイさんが「私は沖縄の基地内で育ち米国に渡ったが、スタインバーグさんと出会ってからニシムイを知った。作品は沖縄の近代絵画を理解する基礎になると思う」と説明した。

 また玉那覇氏の長女田村みどりさんは「スタンレーさんが絵を描いている時、ひざに乗せてもらった覚えがある。六十年を経た再会は奇跡的」と強調。

 安次嶺氏の長女の宮里正子さんは「昨年、カリフォルニアで行われたニシムイの展示会を見て豊かな時間が過ごせた。同じ展示会を沖縄でも開催してほしい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-06-M_1-028-1_002.html

 

2008年09月06日【朝刊】 政治 

[フォローアップ]「普天間移設 県の考え方」で波紋

与党「衆院選に悪影響」/野党「民意への挑戦」

 仲井真弘多知事が五日の定例会見で発表した「普天間飛行場移設に関する県の考え方」が波紋を広げている。名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対決議した県議会野党に反論する内容で、身内からは「野党に攻撃の口実を与えるだけ」「衆院選にも悪影響を与えかねない」と、発表の時期や手法に疑問の声が上がっている。県議会決議が六月定例会で可決された後、「報道が決議に集中し、県の考えが県民に十分に伝わっていない」(知事周辺)との不満が高まっていた。新聞への投稿を含め、県民向けのメッセージ発信を模索していた。

知事の真意

 知事の真意をブレーンの一人は「丁寧に説明すれば、(県内移設の必要性を)県民や議会にも分かってもらえるという強い信念がある。その純粋な思いだけなのだろう」と推測する。

 ただ、発表の時期や手法には「政治路線の違う議員が納得するわけはない。移設論議が再燃すれば、次期衆院選で与党候補にマイナスになりかねない。自ら火だねを投げ込んだようなものだ」と懸念を示す。

 「考え方」は、県議会決議後に決まった現飛行場の危険性除去策を検討する政府と地元によるワーキングチームの設置を盛り込んだほかは、知事の従来姿勢を繰り返し強調しているだけ。各種世論調査で過半数を占める「県内移設反対」の県民世論や野党議員を翻意させるだけの新たな論拠に乏しいのが実情だ。

 県幹部は「(危険性除去や沖合移動などの)交渉の相手は政府だ。県民に理解を求めるのは重要だが、県議会決議に対しての反論は得策とはいえないのではないか」と疑念を呈した。

議会で追及

 野党最大会派「社民・護憲ネット」の新里米吉団長は「県議選や県民世論、名護市の市民投票などの民意を示した反対決議に挑戦するものだ」と強調。「(辺野古移設は)大規模な埋め立てが必要で、新基地建設ではないという主張は詭弁でしかない」と厳しく批判した。

 十七日開会の九月定例会の対応には「県内移設ありきの考えが露呈した。徹底追及し、野党で対応する」と、答弁次第では知事の訪米予算を含む補正予算の修正を求めることを示唆した。

 一方、与党の具志孝助自民党県連会長は「反対決議や新政権誕生という時期をとらえ、知事としての姿勢を明確にする考えがあったのだろう」と擁護する。

 公明党県本の糸洲朝則代表も「県の考えを県民に分かりやすく伝え、三年以内の危険性除去を促進させる意欲の表れだ」と評価した。(政経部・浜元克年、与那原良彦)

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-06-M_1-002-1_001.html

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