闘い21年、勝利胸に/P3C・建設断念/住民ら200人 第一次琉大事件、米が圧力 在沖米海兵隊イラク派兵8000人/なお2000人 県議会、原潜事故に抗議、決議を可決 資料非公開見直し要請/米兵事件処理/図書館問題研「使命に反する」 など 沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(9月14日から19日)

2008年09月14日【朝刊】 社会 

闘い21年 勝利胸に/P3C・建設断念/住民ら200人 国の責任糾弾

【本部】防衛省が本部町豊原に計画していた対潜水艦作戦センター(ASWOC)用送信所の建設断念を発表したことを受け、反対運動を続けてきた住民らでつくるP3C阻止対策委員会(川上親友委員長)は十三日、上本部中学校体育館で勝利を祝う集会を開いた。住民など二百人余りが二十年越しの勝利を祝った。

 現場で反対運動の先頭に立った喜納政豊前委員長(83)が「実に長い闘いだった。本当にありがとう。しかし、終戦から六十三年たっても基地は変わっていない」と述べ、コーラルを敷き詰めたままの旧上本部飛行場を放置し続ける日米両政府を批判した。

 同町の高良文雄町長は「町の発展のため、跡地利用に全力を挙げたい」と述べた。

 集会では「地元の反対にもかかわらず二十一年も住民に苦渋を強いてきた国の責任は重大だ。戦争のための軍事施設は、沖縄にはいらない」と訴えるアピールを採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-14-M_1-023-2_003.html

 

琉球新報 社説    

本紙創刊115年 ともし続けたい「言論の灯」 2008年9月15日

 「平和を祈る者は針一本をも隠し持ってはならぬ。武器を持っていては平和を祈る資格はない」。長崎市で戦後、被爆者救護に尽力した医学博士永井隆氏の言葉だ。自身も被爆し、苦しみもだえただけに説得力がある。

 糸満市摩文仁の平和祈念公園にともる「平和の火」は、その長崎市から届いた「誓いの火」と広島市の「平和の灯」、沖縄戦最初の上陸地・座間味村阿嘉島で採取した火が“合体”したものだ。

 不戦の誓いは全国共通だと実感すると同時に、県紙である本紙も県民と共に、さらには県外の人々とも連携してこれを実現していく使命を再認識させられる。

 琉球新報は15日、創刊115年を迎えた。明治中期から大正、昭和、平成と続く激動の中で県民の利益、人権を守る報道、主張を刻んできた。明治期は沖縄社会を文明開化に導く原動力となり、戦後の米国統治下では米軍に抗し復帰運動を支えた。施政権を取り戻す一翼を担ったとの自負もある。

 社是では「沖縄の政治、経済および文化の発展を促進し、民主社会の建設に努める」とうたっている。県民の声を代弁したからこそ一定の信頼を得たと考えるが、ネット時代を迎え、今後は県外にどう発信するかも問われよう。

 批判は謙虚に受け止めたい。戦時の新聞統制下で、多くの新聞は国民を戦争に駆り立てる紙面を作った。ペンが軍部に屈したのは事実で、沖縄の新聞とて免責されまい。その反省から本紙が企画したのが、現在の視点で再構成した「沖縄戦新聞」で、2005年度の新聞協会賞を受賞した。

 本紙の前身、うるま新報の社長も務めた瀬長亀次郎氏は復帰前の国会で「沖縄の大地は、再び戦場となることを拒否する」と訴えた。沖縄は今も基地や経済格差などに悩まされるが、本紙は「言論の灯」をともし続け、平和な沖縄を築く決意である。同時に、人々の喜怒哀楽をきめ細かく伝え、より深みのある紙面作りに全力を挙げたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136236-storytopic-11.html

 

2008年09月16日【朝刊】 政治 

第一次琉大事件 米が圧力/県公文書館に派遣教授の手紙

「軍諜報部隊が関与」/大学側、調査へ

 一九五三年に平和運動にかかわり謹慎処分を受けた学生四人が問題を学外集会で公表し退学となった「第一次琉大事件」に関し、処分の背景に当時沖縄を統治していた米国民政府(USCAR=ユースカー)や米軍諜報部隊(CIC)による圧力があったことを示す文書が見つかった。県公文書館が所蔵する「ミシガン州立大学支援事業関係資料」の中に含まれていた。ミシガン側代表が米国民政府に情報提供をしていたこと、「CICはかかわっていたが黒子に徹していた」などの記述があった。識者は「アメリカの圧力があったことが裏付けられた」「占領者の意図でつくられた大学で、米関係者が背後で暗躍する状況が分かる」と指摘する。(謝花直美)

 文書は、ミシガン州立大派遣教授団(ミシガン・ミッション)のラッセル・ホーウッド団長が、五三年五月十三日付で同大のミルダー学部長へ送った手紙。ミシガン州立大は、米陸軍省との契約で、五一年から琉大支援のために教授陣を派遣していた。

 手紙は、五二年六月から琉球大学内に「危険分子的」な活動が見られたことを端緒に、五三年の「第一次琉大事件」に対する大学側の対応が、「東洋人の意思決定の難しさ」「(米国民政府が)強力な意見を述べたが、助言は役立てられなかった」「断固たる対応をとらなかった」として批判。このような琉大側の態度が「大学と大学に関わっている米国人をひどく傷付けた」と記している。

 その過程で、第一次琉大事件の学生が学外のメーデーで問題を訴えた時に「大学当局と米国民政府はこの四人の学生について、もっと踏み込んだ措置を取るべきだと感じました」と記述。米国民政府も問題の動向に関心をよせ重い処分を求めていたことが分かる。

 当時は沖縄の企業で労働争議が多発、米軍側は徹底的な反共政策をとり、メーデーを強く警戒していた。実際に琉大は教職員全員を集めた会議の後に四人の退学を発表している。

 「私(ホーウッド)は黒子に徹し、アドバイザー的な役割を果たした。そして(米国民政府民間情報教育部)ディフェンダファー氏に絶えず情報を知らせていました」と、派遣団と米国民政府が緊密に連携していたことも分かる。

 また「CICは、この問題にかかわっていましたが、これまで黒子に徹していました。(琉大副学長の)安里(源秀)氏、ディフェンダファー氏とCIC代表が今夜、会議を持つ予定です。ディフェンダファー氏は(今回の問題で)これからしなければならないことについて述べるつもりだと言っていました」と記述。CIC、米国民政府という米側が、琉大の対応が不十分であるという見方をしていたことが分かる。

 第二次琉大事件の処分を撤回した調査委員会の委員長を務めた新里里春琉球大学副学長は「あの時の理解では(大学側の第一次事件の処分は)合法であるという見解だった。そのため二次事件だけを調査対象にした。(今回のように)後から出てきた資料があるとすればあらためて事実関係を調べる必要がある」と話した。

[ことば]

 第一次琉大事件 1953年、原爆展、沖縄の「日本復帰」を訴える小冊子を作った学生ら4人を、琉球大学は謹慎処分にした。学生らが大学の対応について労働者の祭典「メーデー」で批判したため、大学当局は4人を退学処分に。56年に「反米的」なデモや文学活動をしたとして学生を退学・謹慎にした第二次琉大事件は、米側の圧力があったとして琉大が2007年になって処分を撤回している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-16-M_1-001-1_001.html

 

2008年09月16日【朝刊】 社会 

透ける占領者の意図/「琉大を支配の道具に」/識者、歴史問い直す必要

 第一次事件の時に琉球大学に在学し、第二次事件では沖縄タイムス記者として取材したジャーナリストの新川明さんは「米国民政府やミシガンミッションも絡んでいたことは想像できたが、アメリカの圧力があったことがこの資料で裏付けられた」と話す。

 第一次事件の元学生らの処分について「琉大当局の処分理由は(学生が守るべき規則である)『学生準則』違反だったが、その適用はあいまいだった。問題なのは、違反だったとしても、それが除籍という最も重い処分に値したのかどうか」と指摘。「米軍の圧力という第二次事件の場合と本質は全く同じ。大学当局は第二次事件の名誉を回復する時に、第一次事件の当事者も回復すべきだった」とする。

 それは当事者のためだけにとどまらず「沖縄を含め、日本全体が、たとえば戦後史をとっても、過去の自らの犯した歴史的な出来事に対し、批判的に振り返って、正しく受け止めようとする姿勢が弱い。琉大事件を考えることは、大学という場所がありきたりの言い方ではあるが、真理を探究する場所であり、歴史をとらえ直す場であるという意味からも必要なことだ」と意義づけた。

 沖縄戦後史研究者の新崎盛暉沖縄大学名誉教授は、

「この文書は、占領者の意図をもってつくられた大学のもとで、ミシガンミッションや米国民政府などの状況と、学生の状況、占領とは何かを映し出している。当時、琉大では限られた人間で会議をしていてもすぐ後にも皆知っている状態だった。その時代の琉大で後ろに(米軍関係者が)暗躍している状況が分かる」と文書を分析する。

 島ぐるみ闘争の中で社会的支援があった第二次琉大事件に比べ第一次琉大事件は「いわゆる沖縄の暗黒時代といわれる一つ前の時代で、時代とのかかわりが見えない状態で起こった」と強調。「米側は琉大を軍事植民地を支える中堅官僚づくりのため、本質的な支配のための道具としてつくった。しかし、知識や教育を与えると目的とは違う人間が出てくるその中で反乱者が出てくる。(植民地、占領下では)思考を持っている人間はそこでしか学ぶ場がなく、自分の手でその場を変えていこうとする」と、当時の学生たちの動きを説明する。

 「学生処分については琉大側が主体的に処分した。しかし、学生処分をするために(学生準則まで)つくらされたのは意識していない。だからこそ(第一次事件も)処分を撤回しないといけない」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-16-M_1-022-1_003.html

 

琉球新報 社説    

米印原子力協力 核不拡散に逆行する愚行 2008年9月16日

 国際ルールを骨抜きにする「二重基準」を認めたに等しい。原則が消し飛んでしまう。国際社会の努力で積み上げてきた核の不拡散・核軍縮体制を危うくする愚かな決定と言わざるを得ない。

 日本や米欧など45カ国でつくる原子力供給国グループ(NSG)が、インドへの民生用核関連技術・資機材の移転を認めたことだ。

 インドは核兵器保有国だ。にもかかわらず核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。それだけではない。NSG指針である国際原子力機関(IAEA)の包括的保障措置(査察)協定も拒み続けている。

 NSGの原則では、NPTへの未加盟国やIAEAの核査察を受け入れていない国に対しては、核燃料の輸出や核関連の技術移転などを厳しく規制している。たとえ原発など平和利用目的であってもである。

 NSGの今回の決定は、参加国が共有してきたこのような厳格なルールを踏み外すことになるばかりでなく、核開発計画を進める北朝鮮、イランに誤ったメッセージを送りかねない。

 既に核兵器を手にしているインドの隣国・パキスタンに対しても、核不拡散を訴えるカードの有効性を自ら薄めるものだ。

 そもそもNSGが設立されたのも1974年のインドの核実験がきっかけだったはずだ。インドが特別扱いされるのは、どう考えても不合理である。

 承認された背景には、米国からインドへの原発技術やウラン輸出などを可能にする米印原子力協定に両国が合意している事情が働いている。インドを取り込むことが核流出防止に役立つと判断した米国の論理にNSGが押し切られた側面もある。

 だがインドにNPTへの加盟などを求めるのが、本来は筋だったのではないか。その点で明確に反対せず結論を容認した日本政府の対応は疑問だ。核廃絶を主張し続けてきた被爆国の大義が揺らぎかねない。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136256-storytopic-11.html

 

2008年09月17日【朝刊】 社会 

在沖米海兵隊イラク派兵8000人/なお2000人/死者計19人

二〇〇三年三月に開戦したイラク戦争で、沖縄を拠点とする米海兵隊の第三海兵遠征軍(?MEF)が、これまでに約八千人をイラクに派遣していたことが十六日までに分かった。在沖米海兵隊報道部が沖縄タイムスに明らかにした。現在は約二千人が「イラクの自由作戦」に加わっているという。また在沖海兵隊員のイラクでの戦死者は、今年八月まで十九人に上っていることも分かった。

 在沖米海兵隊は〇四年二月、普天間の軽攻撃中隊や大型輸送ヘリ中隊を含む約三千人を初めてイラクに派遣した。

 同報道部によると、第一海兵航空団以外に、キャンプ・シュワブなどに歩兵部隊を持つ第三海兵師団やキャンプ・キンザーを拠点にする第三海兵役務支援群などの部隊をイラクに展開してきたという。

 同報道部は「在沖海兵隊はイラクの自由作戦に貢献しているが、最優先任務の日米安保体制に基づく責任遂行は変わらない」と説明している。

 イラクではこれまでに四千百人以上の米兵が死亡。英米系非政府組織(NGO)「イラク・ボディー・カウント」の統計によると、開戦以降、イラクの民間人死者数は八万七千人以上に上っているという。

 米政府は今月九日、十四万人余りのイラク駐留米軍を来年二月までに計約八千人削減する一方、アフガニスタンには増派する方針を表明している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-17-M_1-002-1_005.html

 

2008年09月17日【朝刊】 社会 

問われる当事者の姿勢/第1次琉大事件米圧力

職員会、徹底調査求める/「大学当局が見解示せ」

 一九五三年の第一次琉大事件で学生処分の背後に米側の圧力を示す米文書が見つかったことを受けて十六日、琉球大学教授は「当事者として取り組む」と決意を新たにし、識者らはこの問題への対応が「琉大、そして沖縄社会のあり方が問われている」と指摘した。

 琉球大学教授職員会の辻雄二教授は「(大学側は)資料が出てきたら考えるという受け身な態度ではなく、当事者として全力で取り組むべき」と語る。

 今月末までに、学長あてに第一次琉大事件の調査研究の徹底を求める予定だ。

 二〇〇七年七月に専門委員会を立ち上げた同会は、退学処分となった県内在住の当事者への聞き取り調査を始めている。「資料が出てきたことで処分を取り消し、大学が謝罪すればいいということではない。琉大が歩んでいく先に何が必要なのか学ばなければならない」と事実を検証・記録する必要性を訴える。

 屋嘉比収沖縄大学准教授(沖縄近現代思想史)は、同事件について「ひとつは琉大の問題であるが、沖縄社会がどう考えるかが問われている。米軍占領下で、琉大学生は先鋭的な動きを支えていた。この問題をどう考えるかは、米軍占領下をどう考えるかという大きな問題提起だ」と指摘する。

 沖縄戦後史が専門の大学非常勤講師、鳥山淳さんは「一九五〇年代の占領当初の資料が潤沢にない中、米国民政府や米軍諜報部隊が圧力をかけていたことを示す文書が見つかったことは驚きだ」と評価。

 さらに「大学当局が第一、第二琉大事件に対してどのように向き合うのかがいま問われている。大学側に残る資料を整理し、きちんと見解を示すべきだ」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-17-M_1-028-1_002.html

 

2008年09月17日【夕刊】 政治 

県議会、原潜事故に抗議/9月定例会開会 決議を可決

 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会が十七日午前、開会し、米海軍原子力潜水艦の原子炉冷却水漏れ事故への抗議決議、意見書を全会一致で可決した。県は、仲井真弘多知事の訪米費用などを盛り込んだ三十一億四千五百七十七万円の一般会計補正予算案など四十二議案を提案した。会期は十月十日までの二十四日間。

 抗議決議と意見書は、原潜ヒューストンが約二年間にわたり放射性物質を含む冷却水を漏らしていた問題を受け、米軍基地関係特別委員会(渡嘉敷喜代子委員長)の議員らが提出した。

 「微量であっても放射能が漏れ続けたまま県内へ寄港を繰り返したことは看過できない」と抗議。米軍の安全管理体制を批判した。

 また、ホワイトビーチへの年間寄港回数が現時点で過去最多の二十八回と増えていることに「県民は放射能汚染という目に見えない脅威にさらされる不安を持ち、基地機能強化と沖縄近海での米軍の活動に強い懸念を覚える」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-17-E_1-001-2_002.html

 

2008年09月17日【夕刊】 社会 

米軍、知事名で手続き/泡瀬共同使用 沖縄市長拒否で

中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業のための米軍泡瀬通信施設の保安水域共同使用協定について、更新時の新たな署名を拒否している東門美津子沖縄市長に代わり、仲井真弘多県知事名での協定更新手続きを米軍が進めていることが十七日、分かった。協定更新日は未定。期間は県が要請した五年間になる見通しだ。

 協定は昨年、沖縄市が更新した期限の九月八日を過ぎているが、更新手続き中は継続状態となる。県が今月上旬、沖縄防衛局に確認したところ、「県の意向に沿った形で手続きを進めていると米軍側から聞いている」と回答があった。東門市長は「推進困難」と判断した同事業の第二区域が保安水域にかかるため、「新たな基地の提供につながる」として、新たに協定に署名しないことを四月に国と県へ通知した。

 これを受けて県は、県知事名での署名を沖縄防衛局を通じて米軍に求めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-17-E_1-004-2_001.html

 

2008年09月17日【夕刊】 社会 

公文書保存の重要性を強調/専門家の仲本さん講演

米国で約十年間、公文書専門家の経験を積んだ県文化振興会公文書専門員の仲本和彦さんが十六日、那覇市の南西地域産業活性化センターで講演した。米国に比べ日本では公文書保存の意識が低いとし、「記録がなければ歴史の経緯も分からず、個人の人権も守れない」と訴えた。

 仲本さんは、外務省機密漏洩事件などを例に、米国公文書があっても、日本側が「米側文書なので関係ない」と否定すれば、現状では真実を確かめる方法がないと指摘。年金記録紛失や、海上自衛隊インド洋活動の航海日誌廃棄問題を挙げ、「人権や財産、現在の政治問題に深くかかわる」と記録保存の重要性を強調した。地方自治体についても、「大量の文書が公文書館に届くが、起案、決裁書ばかりで、経緯が分からず検証もできない」と疑問視した。

 米国が厳密に文書保存することについて、「なぜ、どういう状況で、(政治的)決断したか、将来への教訓として残すため」と説明。

 一方で、日本でも「文書管理法」が近く国会提出されるとし、審議の行方に注目していると話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-17-E_1-004-2_003.html

 

2008年09月18日【朝刊】 政治 

外務省、法務省と解釈違い/米軍機墜落時 立ち入り許可

資料全文本社入手 秘密合意 克明に

 【東京】在日米軍人・軍属とその家族の事件処理に関する法務省の秘密資料の全容が十七日、明らかになった。沖縄タイムス社は同日までに、資料の全文を入手。資料には、重要事件以外は裁判権を行使しないよう求めた一九五三年の同省刑事局長通達など、事件処理についての具体的な指示のほか、その根拠となる日米間の秘密合意が克明に記述されている。米側に追従する日本政府の姿勢が如実にあらわれており、従来の政府の見解との矛盾も浮かび上がっている。

 資料は法務省刑事局が七二年に作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」。表紙に「秘」と記された資料は四百九十一ページに及び、個別事案ごとに具体的な対応を指示している。

 米軍機墜落事故の現場処理に関する五三年の日米合意では、米軍の民間地立ち入りについて「事前の承認なくして…立ち入ることが許される」と記載。

 しかし、外務省がホームページで公表している記述は「事前の承認を受ける暇がないときは…」となっており、内容が異なる。外務省の記述については「without prior authority(事前の承認なくして)」と記述された英文資料との違いが国会などで指摘されていた。

 外務省は「日米合意は原則、事前の承認を得ることになっている」と説明をしてきたが、法務省が英文通りに解釈していることで、外務省の姿勢があらためて問われそうだ。

 また、墜落現場の警備について警察庁が五八年に道府県警本部長などに発した通達では、「証拠保全、機密漏洩の防止等をも考慮してあたらなければならない」と指示。五九年には事故現場の写真撮影について、米側が中止を求めた場合は、報道関係者などに米側の意向を伝えるよう指示し、米軍の機密保全に積極的に協力する姿勢を打ち出している。

 これらの内容を含む秘密資料は国立国会図書館に所蔵されているが、法務省の要請を受け、六月から国会議員以外の閲覧が禁止された。今月十日に資料を閲覧した照屋寛徳衆院議員(社民)は十七日に会見し、事故現場立ち入りに関する記述の違いに「外務省は意図的に誤訳し、真実を覆い隠そうとしている」と批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-18-M_1-001-1_002.html

 

2008年09月18日【夕刊】 政治 

「那覇空港は民間専用に」/空自機事故で市議会意見書/抜本策を要求

那覇市議会(安慶田光男議長)は十八日午前の九月定例会冒頭で、那覇空港で十一日発生した航空自衛隊那覇基地所属のF4ファントム戦闘機のタイヤパンク事故について、事故の再発防止と那覇空港の民間専用化を求める意見書を全会一致で可決した。

 事故に強く抗議するとともに、政府が速やかに事故原因の究明と結果を公表、抜本的な再発防止策を講じ、早期に同空港の民間専用化を実現するよう要請している。

 あて先は衆参両院議長、首相、国交相、防衛相、沖縄担当相。

 意見書は、タイヤパンク事故で「滑走路が約一時間にわたり閉鎖され、民間航空機約八十便が目的地の変更や出発遅延を余儀なくされ、乗客約一万五千人に大きな影響を与えた」と指摘。「空港は過密化の状態にあり、同空港が依然として事故の危険性にさらされていることで生じる、観光・経済産業に与える負の影響は大きなものがある」としている。

 同市議会は二〇〇〇年七月に起きた自衛隊機(T4型練習機)のオーバーラン事故による那覇空港滑走路閉鎖に対しても、再発防止と同空港の早期民間専用化を求める意見書を可決している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-18-E_1-005-2_002.html

 

2008年09月18日【夕刊】 社会 

沖縄のルーツ学ぼう/「歴史検定」本を発刊/沖縄歴史教育研

文化・経済・基地問題も網羅

若者に沖縄の歴史や文化への興味・関心を深めてもらおうと、「沖縄歴史検定」を実施している沖縄歴史教育研究会(新城俊昭代表)は十七日までに、同検定の解説付き過去問題集を発行した。出題範囲が原始・古代から現代までと幅広く、自然や平和、時事問題も含む。同研究会は「多くの人が沖縄の歴史を学ぶきっかけになれば」と期待を込める。

 二〇〇五年度に始まった同検定は歴史・文化を中心に構成。現代沖縄の政治や経済、米軍基地問題も網羅する。検定は無料。

 同研究会の仲村顕さん(35)は「問題集が出ることで、より多くの人が沖縄の歴史を学ぶようになればうれしい。詳しい解説もついているので、沖縄・琉球の歴史を学んで、検定にもチャレンジしてほしい」と呼び掛ける。

 問題集は、A4判六十ページで六百円(税込み)。県内各書店で販売されている。検定は受検日は設定されておらず、〇八年度は十一月から来年三月まで各高校・団体などで実施する予定。

 問い合わせは新城代表(宜野湾高校教諭)、電話098(897)1020。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-18-E_1-004-2_001.html

 

2008年09月19日【朝刊】 社会 

資料非公開見直し要請/米兵事件処理/図書館問題研「使命に反する」

 【東京】国立国会図書館が法務省の要請を受け、六月から在日米軍人・軍属とその家族の事件処理に関する資料を非公開にしている問題で、司書や研究者らでつくる図書館問題研究会(中沢孝之委員長)は十八日までに、非公開の見直しを要請した。「国会図書館の存在意義をゆるがせにする。全国の図書館の資料提供の独立性に深刻な影響を与えると予想される」と批判した。

 同研究会の西河内靖泰副委員長が十七日夕、同図書館収集書誌部の吉本紀副部長に要請書を提出。閲覧禁止措置について「行政府の要請に機械的に応じたもので、閲覧と同様の結果をもたらす自己規制。戦後の図書館の自由の歴史においても類例のない事態だ」と非難した。

 資料に日米の秘密合意などが記されている点に触れ、「(閲覧禁止は)密約を密約のままとすることに加担することで、重大な政治的行為であることを自覚すべきだ」と指摘。外部の圧力から独立して資料を収集し、国民に提供するという図書館の使命に反するとした。

 非公開とされた資料は法務省刑事局が一九七二年に作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」。

 重要事件以外は裁判権を行使せず「起訴猶予」とするよう指示した五三年の刑事局長通達や、日本側の第一次裁判権が及ばないとされる「公務」の範囲を通勤や職場の飲酒にまで拡大した通達文書が含まれている。

 同研究会は全国の司書や研究者らで組織、会員数は約千百人。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-19-M_1-028-1_001.html

 

2008年09月19日【朝刊】 政治 

基地の騒音軽減を要請/県幹部 米軍「取り組んでいる」

 県文化環境部の友利弘一環境企画統括監らは十八日、キャンプ瑞慶覧の在日米軍沖縄調整事務所を訪れ、米軍嘉手納基地や普天間飛行場周辺の航空機の騒音軽減を要請した。

 友利統括監によると、バーノン・ボーン所長は「地元の負担はよく理解している」と述べた上で、二〇〇四年に起きた沖国大への米軍ヘリ墜落事故に触れ、「事故後、研究を進め、安全と地元の負担を軽減するよう取り組んでいる」と説明したという。

 同行した知事公室の平良宗秀基地防災統括監は「普天間飛行場周辺自治体の住民からも苦情が寄せられている」とも訴えた。

 県の〇七年度調査では、嘉手納町役場庁舎の測定地点で、日米が合意した航空機騒音規制措置によって飛行が制限されている時間帯の午後十時―午前七時の騒音発生回数が、前年度より増加している。

 夜間早朝の飛行について、ボーン所長は「運用上、必要でやむを得ない場合もあるが、極力飛行しないようにしたい」と説明。普天間飛行場でのタッチアンドゴーや周辺での低空飛行について、「飛行場上空で行っており、人口密集地を避けるように訓練している」との認識を示したという。

 県は、四軍調整官あてに(1)騒音が環境基準を達成するよう航空機騒音の軽減措置(2)騒音規制措置の厳格な運用―などを盛り込んだ要請文を手渡した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-19-M_1-002-1_001.html

 

2008年09月19日【朝刊】 社会 

空自機が嘉手納着陸/計器に異常表示

 【嘉手納】十八日午後四時四十五分ごろ、航空自衛隊那覇基地第八三航空隊所属のF4戦闘機一機が飛行訓練中、計器に異常な表示が出たとして、米軍嘉手納基地に着陸した。

 目撃者によると、同機は北側滑走路上に張られたワイヤに機体のフックを引っかけて着陸、停止。消防車などの緊急車両に囲まれ、点検を受けたという。点検後、同機は自走して同基地内の駐機場に移動した。

 F4は、十一日にも那覇空港に着陸した際にタイヤがパンクし、破片回収などで滑走路が約一時間閉鎖された。空自那覇基地は事故後、同基地配備の約二十機を点検し、十八日から飛行訓練を再開していた。

 空自那覇基地は「(嘉手納基地へは)大事をとっての着陸だった。那覇空港でパンクした機体とは別で、関連性はない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-19-M_1-029-1_003.html

 

2008年09月19日【夕刊】 社会 

真実正しく伝えたい/教科書検定撤回 県民大会から1年/問題契機に歴史本

 

「歴史と実践」を発刊した県歴史教育者協議会事務局長の山口剛史琉球大准教授=琉球大学


若者向けテキスト新城俊昭教諭(宜野湾高)「若い世代に沖縄の歴史を理解してもらいたい」と語る新城俊昭教諭=宜野湾高校

沖縄戦など解説

 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の強制を示す記述が削除された文部科学省の教科書検定に抗議した県民大会から二十九日で一年。県内では、米軍基地問題の実態や沖縄戦の史実を次の世代に正しく伝える取り組みが始まっている。教科書検定を分析し、沖縄の歴史を分かりやすく教える二冊の本を研究者らが刊行。歴史から学ぶ大切さを沖縄から全国へ発信する。

 県歴史教育者協議会(平良宗潤委員長)は、沖縄戦や米軍基地問題などについて研究者らの論文や平和学習の実践案をまとめた機関誌「歴史と実践二十九号」を発刊。特集「今こう教えたい沖縄戦・基地」のテーマで、同会の会員らが二〇〇八年度に使用されている高校の日本史教科書十八種類の沖縄戦記述の分析結果や「集団自決」訴訟の一審判決に関する見解なども伝えている。同訴訟や教科書検定問題の経過を伝える資料などもまとめられている。

 同会事務局長の山口剛史琉球大学准教授は、〇六年度の教科書検定で沖縄戦の「集団自決」から日本軍の強制を示す記述が削除され、その後「軍の関与」という形で教科書会社から訂正申請が出された六社八冊を含む高校日本史教科書の記述内容を分析した。山口准教授は「歴史歪曲の動きのある中、住民を守らない軍隊の本質などを教科書の中できちんと記述する必要がある」と指摘。その上で「県民大会で決議した検定意見の撤回を訴え、『集団自決』に軍の強制を示す記述を回復させる必要がある」と話す。

 同書は五百円。三百部を発行した。問い合わせは同協議会、ファクス098(834)5830または電子メールt-yama@edu.u-ryukyu.ac.jp

 宜野湾高校の新城俊昭教諭(沖縄歴史教育研究会代表)は「ジュニア版 琉球・沖縄史―沖縄をよく知るための歴史教科書―」を発刊する。中学生以上の若い世代や県外の人に琉球・沖縄の歴史や現状を知ってもらおうと、県民大会が開かれた経緯や大会の様子を盛り込んでいる。

 〇七年に沖縄歴史教育研究会が実施した「沖縄歴史に関する高校生の知識・意識調査」で、県内の高校生が沖縄の歴史について解答率が低かったことに、「沖縄から沖縄を発信する力が弱かった」と振り返る。

 「テキストを作っていつでも学べる条件をつくるのが私たちの役割。感情論ではなく、歴史から学ぶ大切さを伝えたい」。発刊日は昨年県民大会が開かれた九月二十九日にした。

 県民大会を「十一万人もの県民が集まったが、感情的な部分で反発するのではなく、歴史的な裏付けを知ってほしい」と新城教諭。

 通史だけでなく、沖縄の歴史に関連するクイズを盛り込むなど「読み物として手にとってほしい」と話す。A5判フルカラー全三百六十八ページ、定価千五百円(税別)。二十九日までに県内の書店に並ぶ予定。問い合わせは編集工房東洋企画、電話098(995)4444。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-19-E_1-007-2_001.html

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