IUCNでジュゴン保護勧告求める/6NGOが来月提案 那覇空港拡張/豊見城市長、騒音など懸念 自衛隊誘致を要請/与那国町議会が決議 原潜寄港29回、最多更新/ホワイトビーチ/抗議決議、歯止めならず 自民総裁に麻生氏 県内で初の普天間移設作業班会合 座間味で壕群確認/旧日本軍本部跡か ギンバル訓練場、早期返還を決議/金武町議会 など 沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(9月20日から24日)

2008年09月20日【朝刊】 社会 

IUCNでジュゴン保護勧告求める/6NGOが来月提案

 十月にスペイン・バルセロナで開かれる国際自然保護連合(IUCN)の第四回世界自然保護会議で、国内の非政府組織(NGO)六団体は、日米両政府にジュゴン保護の取り組みを求める勧告案を共同提出する。ジュゴン保護キャンペーンセンターが十九日、県庁での記者会見で発表した。会議で採択されれば、二〇〇〇年、〇四年に続く三度目の勧告となる。

 同センター、世界自然保護基金(WWF)ジャパン、日本自然保護協会、日本雁を保護する会、エルザ自然保護の会、日本湿地ネットワークの六団体が共同で提案する。

 勧告案は日米両政府に対し、名護市辺野古沿岸域での米軍普天間飛行場代替施設建設で、建設中止も選択肢に入れた環境アセスメントを共同で実施するよう要求。ジュゴンが生息するすべての国に対し、移動性野生生物の保全について定めたボン条約の「ジュゴン保護のための覚書」に参加するよう求めるほか、一〇年を「国際ジュゴン年」に設定することも提案する。

 ジュゴン保護キャンペーンセンターは現地で、ボン条約の「ジュゴン保護覚書」に日本政府の参加を求める署名活動や音楽演奏で保護を呼び掛ける予定。海勢頭豊代表は「ジュゴンは古代から沖縄、日本の文化的資産だと、スペインで訴えたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-20-M_1-024-1_001.html

 

2008年09月20日【朝刊】 政治 

滑走路1310メートル以上沖に/那覇空港拡張/豊見城市長 騒音など懸念

 【豊見城】豊見城市の金城豊明市長は十九日、市役所で会見し、国が進める那覇空港の滑走路増設計画について、瀬長島への影響や飛行機騒音などを懸念し、「現滑走路より千三百十メートル以上沖合に整備するよう強く求める」と表明した。

 仲井真弘多知事も六月に、町村信孝官房長官らに、千三百十メートル案を要望している。

 八月に発足した沖縄総合事務局長、国交省大阪航空局長、副知事で構成する「那覇空港構想・施設計画検討協議会」では、現滑走路との間隔が千三百十メートル、九百三十メートル、二百十メートルの三案について協議し、十月中に新滑走路の位置や規模の絞り込みを行う方針。

 金城市長は瀬長島に多くの文化財が残されていることや、観光活性化に向けて島内の市有地で民間業者が温泉施設つき宿泊施設の建設計画に取り組んでいることを説明。島の一部を切り取る必要がある二百十メートル案は「到底容認できない」と強く反対した。

 瀬長島への影響が少なくなる九百三十メートル案についても「県全体の観光、経済振興のためには、二本の滑走路で同時着陸、同時離陸が可能なオープンパラレル化が重要」とし、オープンパラレルの国際基準を満たさない同案を支持しないことを強調した。

 また今後の離着陸回数の増加や、本年度末に航空自衛隊が那覇空港にF15戦闘機を配備する計画があることから周辺住宅への航空機騒音を懸念。騒音軽減のためにも千三百十メートル以上沖合への増設を求めた。

 金城市長は二〇〇七年以来市議会で沖合への滑走路展開を重ねて主張。また七月には同市議会が千三百十メートル案を求める決議を可決した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-20-M_1-002-1_001.html

 

2008年09月20日【朝刊】 政治 

自衛隊誘致を要請/与那国町議会が決議

 【与那国】与那国町議会(崎原孫吉議長)は十九日の九月定例会最終本会議で、町への自衛隊誘致に関する要請決議を賛成四、反対一の賛成多数で可決した。町と町議会には、与那国防衛協会(金城信浩会長)から五百十四人分の署名とともに、自衛隊誘致を求める陳情書が提出されていた。

 外間守吉町長は「五百十四人の意向を重く受け止めるが、反対もあり、町民の意見は一つではない」などと述べ、慎重に対処する姿勢を示した。要請決議では「自衛隊という国家の防衛力で身を守りながら、充実した国家予算を獲得し、関連事業で雇用促進を図り、島民全員が安定した生活基盤を築き、子孫に繁栄をもたらす方策は自衛隊誘致しかないと言い切っても過言ではない」としている。

 反対した小嶺博泉議員(37)は市町村合併をせずに自立する道を選んだことを踏まえ、「交付金などをあてにした考えは他力本願で自立ではない。人口千六百五十人の島で、二週間足らずで五百十四人の署名を集めたというが、メリットやデメリットを示していない」などと意見を述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-20-M_1-025-1_003.html

 

2008年09月20日【朝刊】 社会 

検定撤回県民大会1周年で27日に集会/再訂正を要求へ 

 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から、日本軍の強制を削除した文部科学省の教科書検定問題に抗議し開かれた県民大会から二十九日で一年を迎えるのに合わせ、「教科書に沖縄戦の真実を―県民大会一周年集会」(主催・沖縄から平和教育をすすめる会、6・9県民大会実行委員会)が二十七日午後二時から、那覇市古島の教育福祉会館で開かれる。

 集会では、文科省に検定制度の見直しと検定意見の撤回、教科書会社には「軍の強制」の記述にするよう再訂正申請を求める県民アピール、要求書を採択する。

 また、教科書執筆者で歴史教育者協議会の石山久男委員長が「教科書問題の現在とこれから―教科書再訂正申請にむけて」をテーマに講演する。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-20-M_1-024-1_006.html

 

2008年09月21日【朝刊】 社会 

原潜寄港29回 最多更新/ホワイトビーチ/抗議決議 歯止めならず

 

沖合で停泊後、出航する米原潜アッシュビル(右)とホワイトビーチに向かう強襲揚陸艦エセックス=20日午後2時35分、うるま市勝連・ホワイトビーチ沖合

 米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦アッシュビル(六、〇八二トン)が二十日午後一時五十六分、うるま市勝連平敷屋の米軍ホワイトビーチ沖合で、「補給・維持」を目的に停泊した。原潜寄港は今月六日以来で今年に入って二十九回目。年間最多寄港数をさらに更新した。県内へは復帰後三百七回目の寄港となった。

 県議会は十七日に、原潜の原子炉冷却水漏れ事故への抗議決議と意見書を全会一致で可決したばかり。

 二十二日には外務省沖縄事務所や在日米軍沖縄調整事務所などへの抗議行動を予定しているが、決議が寄港増加の歯止めになっていないことが浮き彫りにされた。

 同原潜には、タグボートから物資などを積み込む様子が確認され、同日午後二時八分に出港した。文部科学省から県に入った放射能の調査結果は、平常値だったという。

 県は今回の寄港について、外務省日米地位協定室から十九日に電話で伝えられていた。又吉進基地対策課長は「ヒューストンの二年におよぶ放射能を含む冷却水漏洩で、県民は大きな不安と米軍の安全管理体制に疑念を抱いている」と述べ、安全性の確保と寄港増加要因を明らかにするよう求めていた。

 うるま市の知念恒男市長は「(放射能についての)安全が確認されない中での入港は許されない。うるま市議会や県議会の抗議に聞く耳を貸さない米軍の対応に怒りを感じる」と抗議。沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「米軍のやりたい放題の状況が腹立たしい。ここまでくると地域住民を巻き込んでの監視活動が必要だ」と憤った。

 アッシュビルの寄港は今年四回目。七月二十二日から三十日にかけては百九十時間三十六分接岸し、一九六八年以降、二番目に長い寄港を記録していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-21-M_1-001-1_003.html

 

2008年09月21日【朝刊】 社会 

県、戦没遺骨を確認/那覇 遺族返却へ国と連携

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)などが那覇市真嘉比の土地区画整理地区で発掘した、日本兵とみられる遺骨や複数の遺品について、県福祉・援護課援護班の職員が二十日、同地区を訪れ、発掘地点や遺骨などを確認した。発掘品の遺族への返却について、同課は「厚生労働省と連携して作業を進めている」とした。

 遺族を特定する手続きとして、遺骨のDNA鑑定などの必要があるため、具志堅代表と同課は、同地区に保管している遺骨や遺品を県に引き渡す方針を確認した。

 同日は、具志堅代表が飯ごうやせっけん箱、かぶとなどの遺品や遺骨を同課職員に示しながら、発掘時の様子を説明した。

 具志堅代表は「国策で戦場に送り込まれて戦死した人間なのに、遺骨が見つかっても市民任せで、国からは何のアクションもない。早く遺族のもとへ返せるようにしてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-21-M_1-002-1_001.html

 

2008年09月22日【朝刊】 社会 

沖縄訓練場 今月完成/陸自射撃場/年度内に運用開始

 米軍の旧東恩納弾薬庫地区(沖縄市池原)に建設が進む、陸上自衛隊の射程三百メートル射撃場「沖縄訓練場」が今月中に完成し、第一混成団(那覇市)が年度内に運用を開始することが、二十一日までに分かった。施設本体はほぼ完成しており、道路や外灯などの付帯設備が整い次第、沖縄防衛局から陸自への引き渡し手続きが行われる予定だ。

 第一混成団はこれまで勝連分屯地内の射程二十五メートル射撃場しかなく、九州で転地訓練をしていた。今後、県内の演習機会が増える。

 同訓練場は二〇〇七年一月に着工し、今年三月に完成する予定だったが、現場で発見された不発弾処理や天候不良で長引いている。

 敷地面積約五八・四ヘクタールに屋根付き鉄筋コンクリート造の覆道式で、約九千平方メートルの射撃場と二百十平方メートルの管理棟を整備。小銃や拳銃などの小火器射撃訓練を行う。年間の使用日数は約百七十日、延べ射撃人数は約七千人を想定している。

 第一混成団は昨年、隷下の第一混成群が九州で約六十日、第六高射特科群が約七十日、そのほかの部隊で年間約四十日の転地訓練を行ったが、沖縄訓練場の運用開始後、部隊移動は減少する。

 防衛省は第一混成団を〇九年度中に「第一五旅団」に格上げ、定員を約三百人増強し、約二千百人体制とする方針。混成群を廃し、普通科連隊や偵察隊、化学防護隊を新編するなど組織を大幅改編。国内唯一の「離島タイプの即応近代化旅団」に変容する。

 昨年三月から始まったキャンプ・ハンセンの共同使用と併せ、沖縄訓練場の運用開始は増強される旅団の受け皿整備の進展を示す。(吉田伸)

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-22-M_1-001-1_002.html

 

2008年09月22日【朝刊】 社会 

平和運動 連携呼び掛け/イラク空自「違憲」原告団・川口さん

判決「沖縄に生かせる」

 航空自衛隊のイラクでの活動が「憲法九条に違反する」とした四月の名古屋高裁判決について、同訴訟原告弁護団の川口創事務局長らが二十一日、県男女共同参画センターてぃるるで講演した。

 川口さんは、空輸活動を「他国による武力行使と一体化した行動」と認定した意義を強調。平和的生存権について、戦争の遂行などへの加担・協力を強制される場合に差し止め請求などができる具体的権利と明記されたことで、米軍基地の集中する沖縄の平和運動に生かせる、と述べた。

 判決が「傍論」でなく、正面から憲法問題を論じている点を列挙。結審時点(今年一月末)で「イラクは多くの民間人が死傷し生活基盤を破壊され、泥沼の戦争状態」にあり、米軍が「国際的に使用が禁止されている化学兵器を使用した」と認定したことを重視した。

 その上で、航空自衛隊が二〇〇六年からC―130H輸送機で定期的にバグダッド空港へ武装した多国籍軍兵員を輸送し、同時期に米軍が掃討作戦を一層強化したことを挙げ、「自らも武力行使したとの評価を受けざるを得ない」と断じている点を強調した。

 川口さんは、米軍の大規模掃討作戦に基づき、自衛隊が兵員を送り込み、バグダッドで市民を虐殺していることが認定されたとし、「私たちも加害者であり、人ごとではない」と訴えた。一方で、米軍再編による辺野古新基地建設、基地機能強化など、イラク戦争に端を発した日本の軍事国家化に「司法がノーを突き付けた」と述べた。また、判決に明記された平和的生存権の具体的権利を、「平和運動へ豊かに使っていくため、互いに連携しよう」と呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-22-M_1-018-1_001.html

 

2008年09月22日【夕刊】 政治 

点検結果公表を要請/原潜放射能漏れ/県議会、日米両政府に

 米海軍の原子力潜水艦ヒューストンが約二年間にわたり、放射性物質を含んだ冷却水を漏らしていた問題で、県議会(高嶺善伸議長)は二十二日、沖縄防衛局など日米両政府機関に要請行動を行った。要請には、米軍基地関係特別委員会(渡嘉敷喜代子委員長)の委員らが参加した。

 沖縄防衛局の真部朗局長は、米軍が二〇〇六年に発表したファクトシートを挙げ「『米国の政策として領海の範囲内で一次冷却水の放水は行わない』と米側が言っている」と説明。原潜の寄港増加については、原潜の秘匿性を挙げ、政府として理由を「承知していない」と述べた。

 県議会は十七日の本会議で、米海軍原子力潜水艦の原子炉冷却水漏れ事故への抗議決議、意見書を全会一致で可決した。決議や意見書は(1)ホワイトビーチに寄港した原潜すべての定期点検時期や内容、結果の公表(2)冷却水放水を日本領海で行わない(3)入出港通報の事前公表中止措置の解除(4)安全が確認されない限り本県に寄港させない―など六項目を求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-22-E_1-001-2_002.html

 

琉球新報 社説    

増える原潜寄港 「死の海」と化す前に  2008年9月22日

 沖縄の言葉「うるま」には、サンゴの島という意味がある。景観豊かな沖縄の島々を指す言葉としても知られるが、幸多い海に面した4市町が合併して誕生したのが沖縄本島中部のうるま市だ。

 そのうるま市が、放射能漏れで「死の海」と化すかもしれないという不安に包まれている。住民が恐れる“正体”は、同市の米海軍ホワイトビーチに繰り返し姿を見せる原子力潜水艦だ。

 県議会は17日、この間の原子炉冷却水漏れ事故に抗議し、安全が確認されない限り本県に寄港させないことを求める意見書を全会一致で可決した。しかし、不安がる県民をあざ笑うかのように20日、問題のロサンゼルス級原潜がまた、同ビーチに寄港した。

 米原潜の沖縄寄港はことし29回目で、最多記録を更新中である。放射能漏れが判明した8月以降に限っても、3度目の停泊だ。米大使館は「(この間)漏出した放射能は微量で、人体や環境に影響はない」と説明するが、額面通り受け取るわけにはいかない。

 微量というのは米側の言い分であって、日本政府にこれを検証する手だてがない。仮に、放射能を含む原子炉冷却水が「垂れ流し」だったとしても、米側が「水の染みだし程度」と言えば、外交的には後者に落ち着く。残念だが、それが日米同盟の現状だ。

 しかし、現状の“うのみ外交”はおかしい。国防的にも問題だろう。人命にかかわる事案だけに、一方的に「米側を信用しろ」と言われても住民としては困る。

 日本への米原潜の寄港をめぐっては1960年代から、放射能漏れの危険性が指摘されてきた。実態を解明することなく、密約文書などで事実上放置してきたことが「すべては霧の中」という事態を招いたともいえよう。

 「死の海」に変わってからでは遅い。政府は米原潜の安全神話が崩れていることを踏まえ、より主体的に実態の解明と危険性除去に取り組むべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136427-storytopic-11.html

 

2008年09月23日【朝刊】 政治 

自民総裁に麻生氏/地方配慮に期待の声

県、懸案進展に望み

 自民党は二十二日午後の両院議員総会で麻生太郎幹事長(68)を第二十三代総裁に選出した。所属国会議員と都道府県連代表による投票の結果、麻生氏は投票総数五百二十七票(無効二票)の66%強の三百五十一票を獲得し、ほかの四候補を大差で破った。二十四日に福田康夫首相(72)の後継となる第九十二代首相に指名され、同日中に新内閣を発足させる。

 次期首相となる自民党総裁に麻生太郎氏が選出されたことについて、県幹部らは「腰を据えて政治を安定させてほしい」「地方に配慮した政策を進めてほしい」など期待を寄せた。一方、首相辞任が続いたことや解散・総選挙を控えていることで「だれがなっても変わらない。選挙を経ないと本格政権はできないのではないか」との声も漏れている。

 ある幹部は「二度も総理が辞めてしまったが、麻生さんには二の舞いはしないという決意を感じる」と指摘。「単刀直入に語る人という印象だ。仲井真知事もはっきりものを言うタイプなので、いい緊張関係がつくれれば、懸案が進展するのではないか」と期待した。

 米軍普天間飛行場移設など米軍基地問題への対応について幹部の一人は「政府間合意であり、総理が代わっても(辺野古移設は)変わらない」と強調する。

 麻生氏は二〇〇三年の政調会長当時、辺野古移設案に懐疑的な発言をした経緯があるが、別の幹部は「その後、外務大臣も経験し、日米合意の内容や重要性は認識している」と話す。

 また、県は原油高騰対策など政府の早期対応を求めており、「総裁選で麻生氏は地方の景気悪化を強調し、景気対策の重要性を訴えていた。沖縄をはじめ、地方に目配りした政策を進めてほしい」と早期の補正予算成立に期待した。 

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-23-M_1-002-1_010.html

 

2008年09月23日【朝刊】 政治 

県内で初の普天間移設作業班会合/宜野湾市から意見聴取/来月15日軸に

 【東京】政府は二十二日までに、米軍普天間飛行場の「危険性除去」と、「代替施設の建設計画・環境影響評価」に関する二つのワーキングチームの第二回会合を県内で開く方向で調整に入った。危険性除去のワーキングチームでは、同飛行場を抱える宜野湾市から同飛行場の運用や騒音の問題などについて意見を聴取する予定。開催日は十月十五日を軸に検討しているが、不安定な政情などで流動的な要素もある。

 ワーキングチームでは、「昨年八月に公表した場周経路が守られていない」との県や宜野湾市の指摘を受けて防衛省が八月二十八日から九月三日まで実施した、航空機の航跡調査についても報告される見通し。 ワーキングチームは、普天間移設問題に関係する閣僚や首長でつくる「普天間移設協議会」(主宰・町村信孝官房長官)の下に設置された実務者レベルの組織。今年七月に開かれた「協議会」で、町村氏が設置を表明し、八月に第一回会合が防衛省で開かれている。

 防衛省地方協力局の次長が主宰し、同省、外務省、内閣官房、内閣府の課長レベル、地元側の県知事公室長らで構成され、必要に応じ構成員以外の出席を求めることが可能になっている。

 次回会合をめぐっては、県が地元開催を打診していたほか、宜野湾市の伊波洋一市長や市議会が同市の意見を反映し、市民の被害実態や意見を聞く公聴会を開くよう求めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-23-M_1-001-1_002.html

 

2008年09月23日【朝刊】 政治 

米軍提供水域一部除外へ支援要請/県内漁業団体/「迂回で高燃費」

 県漁業協同組合連合会の下地敏彦会長、県漁業協同組合長会の棚原哲也会長らは二十二日、県庁に仲井真弘多知事を訪ね、米軍提供水域・空域の一部除外措置や久米島町の鳥島、久米島の両射爆撃場の返還に取り組むよう求めた。

 下地会長は、燃油高騰や漁獲量の減少などで漁業者が存続の危機にあると指摘。さらに制限水域によって漁場が制限され、燃費もかさんでいるとして、除外措置への協力を求めた。

 仲井真知事は「一緒になってしっかり取り組んでいこうと思う」と述べ、今後政府と交渉していく姿勢を示した。

 同連合会などが除外を要望しているのは、沖縄本島東海上に設定されたホテル・ホテル水域(約二万八百四十三平方キロメートル)のうち、カツオ・マグロ漁やソデイカ漁の好漁場となっている本島に近接する海域約三千六百平方キロメートル。

 同海域周辺では、最短百二十キロの漁場間の移動が、制限水域を迂回するため、二百キロから三百五十キロに達する例があるという。

 鳥島など射爆撃場周辺海域についても、パヤオやモズク養殖場が隣接し、漁業活動に支障があるとして返還を求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-23-M_1-002-1_005.html

 

2008年09月23日【朝刊】 社会 

政争より暮らしを/「基地」認識に疑問・経済を立て直して/県民、期待と懸念

 経済不安や雇用、社会保障。山積する課題の中で二十二日、「麻生自民」が船出した。「沖縄問題にしっかり向き合ってほしい」「政争よりも国民生活に目を向けて」。基地問題など、国の政策が住民生活を直撃する県内で、それぞれの問題に現場で取り組む関係者の期待と懸念が交錯した。

 米軍普天間飛行場の移設問題で揺れる名護市。移設を容認する島袋吉和名護市長の後援会長、荻堂盛秀名護市商工会長は「沖縄に対してどの程度の認識があるのかまだ分からないが、外相経験もあり、しっかりやる、という意識は持っていると思う」とし、「首相に選ばれた後は、沖縄に思いのある閣僚を選んでほしい」と期待した。

 一方、辺野古で座り込みを続けるヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「今の自公政権では誰が首相になっても同じ」と厳しい見方。麻生新総裁について「これまでの発言、行動を見ると沖縄問題をあまり知らないようだ。(麻生氏にとって)沖縄が重要課題でなければ、基地問題の悪化もありうる」と危機感もにじませた。

 「零細企業は悲鳴を上げている。一刻も早い対策を」。県石油商業組合の前原政信副理事長は、原油高騰に対する国の安定化策を求めた。世界的問題だが、価格調整などの政策が必要と指摘。「国民生活をないがしろにするなら、誰がやっても同じだ。政治を安定させ、経済問題に全力を挙げてほしい」と訴えた。

 後期高齢者医療制度の廃止を求める県老人クラブ連合会の花城清善会長は、「抜本的に見直すという発言通りの政策を信じる。高齢者が不安を感じる社会は日本全体の問題。党利党略でなく、国民のための政治に期待する」と力を込めた。

 多重債務など生活困窮者の支援に取り組む県司法書士青年の会。楠和起会長は、「麻生氏は経済対策を強調しているが、被雇用者、生活者の目線に立ってほしい」。ワーキング・プアや生活保護費削減問題を挙げ「教育、医療、福祉などの各分野で、困窮者が生活再建できる社会保障制度が必要。一時的な景気浮揚策では暮らしは守れない」とくぎを刺した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-23-M_1-023-1_001.html

 

2008年09月23日【朝刊】 政治 

沖縄との関わり薄く/嘉手納統合案 政調会長時に主張

 【東京】自民党総裁に選出された麻生太郎氏は、政府・党の重要ポストを歴任。外相時代に米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設案(V字案)などを盛り込んだ在日米軍再編の最終報告に署名した関係などから、国会などで沖縄に関する発言の機会は多かったものの、「沖縄との直接的なつながりは薄い」(県関係議員)との見方がもっぱらだ。

 麻生氏は、日本青年会議所(JC)会頭時代に、一九七九年の全国大会を初めて沖縄で開催することを決めた立役者。石油ショックの影響が残る時期、沖縄を盛り立てようと「省エネルック」での開催を呼び掛けたが、最近では沖縄との関係で目立った交流はない。

 失言癖がしばしば指摘される麻生氏だが、外相時代の国会答弁で、日米安全保障条約で在日米軍出撃などの際に求められている「事前協議制度」の適用例について、「沖縄が爆撃されたことに対し、沖縄の米軍基地から攻撃するというときにはあり得る」と、他国軍による沖縄侵略を例に挙げ、県民の反発を買った。

 政調会長を務めた二〇〇三年にも、普天間飛行場の移設先について「常識的には嘉手納基地だ。滑走路も二本ある」などと嘉手納統合案を主張して、当時の辺野古沖移設案を否定。

 これに対して野中広務元幹事長が強く反発し、自民党沖縄振興委員会委員長を辞任する騒ぎにまで発展。麻生氏は事後に「沖縄の問題は難しいな」と周辺に漏らしていた。

 麻生氏と親交のある県関係の国会議員は「基地問題では『沖縄側は感情的ではなく、もっと合理的になる必要がある』と考えていた」とし、「今後も役人主導ではない政策を打ち出す可能性もある」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-23-M_1-002-1_002.html

 

2008年09月24日【朝刊】 社会 

座間味で壕群確認/旧日本軍本部跡か

 

日本軍の本部と見られる壕の前に立つ宮村文子さん(右)と吉田春子さん=23日、座間味タカマタ

4カ所最長6メートル/住民ら、63年ぶり

 沖縄戦で「集団自決(強制集団死)」が起こった座間味島で、日本軍の海上挺進第一戦隊が使ったと見られる壕跡群が二十三日までに見つかった。戦時中安全な場所を求め周辺の壕に隠れた宮村文子さん(82)=座間味村=らが六十三年ぶりに確認した。宮村さんや、近くまで登った山城功さん(75)=宜野湾市=は、奥行きが六メートル余りある最長のものが「本部壕ではないか」と証言している。(安里真己)

 壕は座間味小中学校から東側のタカマタと呼ばれる丘陵部の急な斜面にあった計四カ所。

 内部が確認できる三カ所は硬い地面を掘り、いずれも天井はアーチ状で、高さ百八十センチ弱、幅九十センチ程度。奥行きは一メートルほどのものから六メートル余りで内部は直線だった。ほかの一つは入り口がふさがっている。二つの壕は三メートルほど離れて並び、あと二カ所はさらに斜面をよじ登った位置にあり、入り口の前は平らな広場状。

 座間味の戦争体験の聞き取りをしている沖縄女性史家の宮城晴美さんによると、日本軍の壕の周辺には地元の人が安全だと思い壕を掘ったが、米軍上陸前に危険だと日本兵に言われ別の場所に移動したという。

 宮城さんは「日本軍の壕と住民の壕の位置関係がはっきりすれば、軍と民との関係がより明確に浮かび上がるのではないか」と話した。

 当時壕の周囲は段々畑で戦後は焼け野原になっていたが、現在では木が生い茂って枯れ葉が積もっており壕の入り口まで、簡単に登れなくなっている。

 宮村さんは、教科書検定問題などで「集団自決」が取り上げられ、昨年から長男らと壕の確認を始めた。今年春にも一度、捜しに来たが、方角を見失い、たどり着けなかったという。

 この日、吉田春子さん(82)=座間味村=らと壕を確認した、宮村さんは「当時を知る人が少なくなっている。もっと早く確認するべきだったかもしれない」と話した。

 山城さんは「ずっと未確認だったので発見されてよかった。記憶通りだった」と指摘。その上で「昨年の教科書問題以降、関心は高まっている。子や孫にきちんと事実を伝えていくためにも調査や整備をする必要がある」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-24-M_1-001-1_002.html

 

2008年09月24日【夕刊】 政治 

ギンバル訓練場 早期返還を決議/金武町議会

 【金武】金武町議会(松田義政議長)は二十二日の九月定例会で、ギンバル訓練場の早期返還に関する要請決議を賛成多数で可決した。あて先は沖縄防衛局長、在沖米国総領事など。

 決議文は、「町土の約60%を米軍基地に接収され、残りの狭い土地で町づくりを余儀なくされ、企業誘致や雇用の確保でも地域経済の発展の障害となっている。町は、ギンバル訓練場の跡地利用を促進し、雇用の創出を図るべく企業誘致などを計画しているが、返還作業の目処が立たないため、計画推進に障害を来している」と指摘。

 「金武町議会は、ギンバル訓練場の跡地利用計画を推進する立場から、返還期日を明確にし、速やかに返還を実行する様、強く要請する」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-24-E_1-004-2_002.html

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