今日到着の振替用紙にこんなメッセージが添えられていました。
「米軍兵士の犯罪は基地がなくならない限り、どのような対策をとっても無理ということが日本政府にはわからないようです。みなさま方の運動こそが今最も必要なことなのだと思います。」
まったくその通りだと思います。
しかし、運動が弱小すぎては発展しません。
このようなメッセージをいただく度に、もっともっと多くの方に会員になっていただき運動を発展させなければと思います。
今日到着の振替用紙にこんなメッセージが添えられていました。
「米軍兵士の犯罪は基地がなくならない限り、どのような対策をとっても無理ということが日本政府にはわからないようです。みなさま方の運動こそが今最も必要なことなのだと思います。」
まったくその通りだと思います。
しかし、運動が弱小すぎては発展しません。
このようなメッセージをいただく度に、もっともっと多くの方に会員になっていただき運動を発展させなければと思います。
2008年3月11日(火) 朝刊 1面
金武町、米側に抗議へ/射撃場建設着工
【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の建設工事が始まったことを受け、儀武剛町長、松田義政議長、レンジ3に近接する池原政文伊芸区長の三者は十日、同町役場で協議を開き、「負担増につながる」との見解で一致。射撃場建設に反対し、米側に抗議することを決めた。抗議の具体的な方法や日程などは、今後調整する。
三者の協議に先立ち、沖縄防衛局の赤瀬正洋企画部長らが同町役場を訪れ、儀武町長に工事開始の連絡を米軍から受けたことを報告した。儀武町長は「誠に遺憾で、負担増につながり反対だと伝えた。反対の意思は変わらない。米側に強く抗議していく」と、射撃場建設に強く反対していく姿勢を見せた。
伊芸区の池原区長は、レンジ4の都市型戦闘訓練施設による訓練や、同レンジ付近で最近爆発音を発生させる訓練や山火事が多発していることを挙げ、「これまでにない廃弾処理などの訓練がレンジ4付近で行われている可能性があり、訓練が過密化して米軍のやりたい放題になっている。レンジ4施設の移転も遅れ、問題がピークに達している」と、怒りをあらわにした。その上で「都市型訓練施設の時と同じやり方で、地元の意向を無視している。これ以上、負担を強いることは許されない」として、十一日にも同区行政委員会を開き、区や同委員会としての対応を協議する考えを示した。
松田議長は「地元はずっと反対の意思を示している。米国や米軍に、怒りの意思を向けていく」と話し、今週開会する町議会三月定例会で全員協議会を開き、町議会としての対応を協議する。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111300_02.html
琉球新報 社説
新射撃場着工 地元の負担増は明らかだ
地元の負担増に対し配慮のかけらもない。建設工事の強行は人々の不安をあおり、混乱を招くだけである。建設工事をただちに中止するよう強く求める。
金武町の米軍キャンプ・ハンセン内の海兵隊レンジ(射撃場)3付近にライフル専用射撃場を新設する工事を始める、と在日米軍が通知してきた。
約600メートルの距離の所にはレンジ4の陸軍都市型戦闘訓練施設がある。地元はただでさえレンジ4での廃弾処理に伴う爆音被害に苦しめられ、山火事なども絶えない。射撃場の新設によって過度の負担を押し付けられることになるのは明らかだ。
新設計画には地元金武町議会や伊芸区が猛反対し、昨年夏に抗議決議を可決している。そのことを知りながら、なぜ無視する形で着工するのか。その無神経ぶりが全く理解できない。
しかも、建設地点は本島北部と中南部を結ぶ県民生活、産業活動の大動脈である沖縄自動車道からわずか500メートルだ。伊芸集落からは約1キロ。ライフル射撃の射程にすっぽり入る。これで脅威を感じない方がおかしい。「地元への配慮はないのか」(松田義政・同町議会議長)と憤るのは当然だ。
防衛省の姿勢にも腑(ふ)に落ちない点がある。
キャンプ・ハンセンでの訓練などをめぐる地元感情などの実情を熟知しているはずなのに、連絡は徹底されない。町と伊芸区に工事開始を伝えたのは、在日米軍から連絡が入った翌日だった。
地元にとって安全にかかわる重大事だ。間を置かずに連絡を入れるのが筋ではないか。
米軍に住民の安全、環境への影響を最小限にするよう求めたと防衛省は説明するが、これもおかしくはないか。安全面や環境の問題などを持ち出すのであれば、普通ならまず中止を求めるべきではないのか。
米軍との連絡や交渉に際し、工事の着手を前提にするようなやり方では、到底県民を納得させることはできない。工事を取りやめるよう忠言するべきだ。
(3/11 9:56)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32071-storytopic-11.html
2008年3月11日(火) 夕刊 1面
防衛相「安保議論も」地位協定見直しで
渉外知事会の要請に
【東京】米兵による事件続発を受け、米軍基地を抱える十四都道県でつくる渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事や副会長の仲井真弘多知事らが十一日午前、高村正彦外相と石破茂防衛相と会談し、米軍基地に絡む事件・事故の解決に向け、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。松沢知事らによると、石破防衛相は「日米安全保障条約も含めて、もっと根源的なところから議論し直す必要があるのではないか」と述べ、見直しも含めて積極的に議論する必要性を指摘したという。
地位協定の見直しについて、政府はこれまで一貫して否定的な立場を取っていた。防衛省幹部は石破氏の発言を「これまでの持論」としているが、見直し容認とも取れる閣僚の発言は波紋を広げそうだ。
松沢知事によると、石破氏は「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、安保、地位協定の問題を、もう一度このままでいいのか議論したい」とも述べたという。
要請では、容疑者の身柄引き渡しなどの刑事裁判権の見直しや、米軍の規律の保持などの地位協定改定に政府が着手するよう求めた。
高村外相は、環境問題について「勉強不足なので、米軍が(外国と)結んでいる他の協定との比較や、日本国内で起きている事例でどういう不備があるかもう一度、調査研究する」と述べたという。しかし、容疑者の身柄移転など刑事裁判権については「米韓など外国との協定と比べると最も進んでいる。この件を理由に改定は極めて難しい」との以前からの考えを繰り返したという。
要請後、仲井真知事は「沖縄でも県民大会を開く動きがあり、協定改定を求める強い意見がある。日本側へ基準を移さないと、時代と合わなくなっている」と見直しの必要性を強調した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_01.html
2008年3月11日(火) 夕刊 1面
ハンセン 17日から陸自訓練
初の在沖米基地使用
【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が十七、十八の二日間の日程で始まることが十一日、分かった。第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施する。陸自は訓練の詳細を十一日午後、正式に発表する。
在沖米軍専用基地内の日米共同使用は初めて。ハンセンの共同使用では、小火器などを使用した射撃訓練や不発弾処理訓練も想定されているが、今回は比較的経度な戦闘訓練にとどまる見通し。
共同使用をめぐっては、ハンセン周辺の三町村が昨年十一月に受け入れを表明。これを受けて防衛省は、再編交付金について上限額の10%分(二千万円)を〇七年度分として内定した。来年度に上限額を支給するため、月内の訓練開始を目指していた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_02.html
2008年3月11日(火) 夕刊 1面
「14年完成」を堅持/普天間代替
防衛相 遅れ補う方策検討
【東京】石破茂防衛相は十一日午前の閣議後会見で、二〇〇九年七月末を目指していた米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の完了が、最大で約八カ月遅れる可能性があることについて、「一四年完成は何としても達成しなければならない」と述べ、スケジュールの遅れを補う方策を検討する考えを明らかにした。
石破氏は、当初予定していた二月中の冬季調査が実施できなかったことに関し、「できるだけ早くアセス調査に着手したい。そういう作業を急ぎ、普天間の移設・返還が早期に行われるように努力する」と強調した。
その上で「今回、冬季調査が実施できなかったという影響をどれだけ軽微なものにするか。あるいは工事実施に当たってどれくらいの工夫ができるかなど、いろいろ考えていかなければならない」と述べ、スケジュールの短縮を具体的に検討する必要性を指摘した。
一方、現在実施している事前調査の結果をアセス調査に組み込むことについては、「法の趣旨を順守しているかどうか、かなり厳密な判断が必要だと思う。可能性としてあるかないかを含め、今は答えられる状況にない」と明言を避けた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_03.html
2008年3月12日(水) 朝刊 1面
陸自、迫撃砲使用も想定/ハンセン共同使用17日から
【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用で、陸自が将来的に迫撃砲の実弾射撃を想定し、米軍と調整していることが十一日、分かった。金武町によると、陸自は小火器(小銃、機関銃、拳銃)の使用については説明しているが、迫撃砲については知らされていないという。
陸自は沖縄タイムス社の取材に対し、「現在米軍と調整中で、地元の理解を得た後、訓練が可能であれば実施したい」としている。
迫撃砲は第一混成団の第一混成群部隊が装備しており、現在は九州での訓練で使用している。筒状の発射台からりゅう弾を発射させる火器で、キャンプ・ハンセンでは一九九七年、迫撃砲を使用した米軍の訓練で約百万平方メートルを消失する山火事が発生したこともある。
使用場所は不明だが、騒音なども懸念され、地元の反発も予想される。金武町幹部は十一日夜、「小火器訓練については聞いているが、迫撃砲については初耳だ。情報を確認したい」と語った。
陸自は十一日、キャンプ・ハンセンでの初の訓練を十七、十八の二日間、実施すると発表。初回は第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施し、空砲を含め、射撃を実施する予定はないという。
共同使用をめぐっては、キャンプ・ハンセン周辺三町村が昨年、受け入れを表明。これを受け、防衛省は、再編交付金について、上限額の10%分(二千万円)を二〇〇七年度分として内定した。
来年度に上限額を支給するためには、月内の訓練開始が条件とされたため、陸自などが訓練計画の策定を急いでいた。(島袋晋作)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_02.html
2008年3月12日(水) 朝刊 2面
「協定見直し」で食い違い/渉外知事会要請・石破発言
【東京】石破茂防衛相は十一日、米兵暴行事件を受けて日米地位協定の見直しを求めた渉外知事会の要請に対し、地位協定を改定するためには、日米安全保障条約見直しを含めた議論が必要だとの認識を示した。要請した渉外知事会長の松沢成文神奈川県知事、副会長の仲井真弘多知事が明らかにしたが、防衛省はその後、豊田硬報道官が会見で「(石破氏は)見直しの方向性については述べていない」と発言の事実を否定した。
松沢知事らによると、石破氏は防衛省での会談で「日米安保条約自体が片務的な条約で、それとセットとなっている地位協定もほとんどの裁量権が米軍側にある。安全保障条約を含めて地位協定の問題を根源から議論しないといけない」と指摘したという。
さらに「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、もう一度このままでいいのか、議論したい」と述べたという。
これらに対し豊田報道官は会談に同席したと説明した上で、安保条約に関する発言について「『片務的』ではなく、『非対照的』と説明した。義務は双方に発生しているが、その内容が同じではないという政府のオーソドックスな見解をそのまま述べたものだ」と指摘。
また、「安保条約を含めた地位協定の見直しを議論しないといけないという指摘をした事実もない。政府として議論したいということも言っていない。ただ、『党内の議論が低調だ。いずれ党に戻ったときに十分な議論をしたい』と述べた」と説明した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_04.html
沖縄タイムス 社説(2008年3月12日朝刊)
[地位協定見直し]
逆転国会で本格論議を
「半主権国家」のような
米兵による暴行事件をきっかけに、日米地位協定の見直しを求める動きが再び広がっている。
渉外知事会の松沢成文会長(神奈川県知事)、仲井真弘多副会長(沖縄県知事)は、高村正彦外相、石破茂防衛相に会い、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。
県は地位協定の見直し問題に重点的に取り組むため新年度から調査スタッフを強化するという。知事訪米を念頭に問題点を洗い直していく考えだ。
二十三日に開かれる県民大会も、地位協定の見直しが要求の柱の一つになっている。
地位協定のどこが問題なのか。何をどう変えればいいのか。
駐留を認められた外国軍隊には特別な取り決めがない限り受け入れ国の法令は適用されない、というのが政府の解釈である。
その結果、米軍基地が集中する沖縄では、しばしば日本の主権と駐留米軍に与えられた権利がぶつかり、摩擦を引き起こしてきた。沖縄で地位協定が問題になるのは、ほとんどの場合、この二つが擦れ合った時である。
二〇〇四年八月に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故は、その典型的な事例だ。大学構内に墜落したにもかかわらず、沖縄県警は、現場に立ち入ることさえできなかった。
基地従業員の銃携帯問題や、基地外で日米共同パトロールを実施した場合の優先逮捕権などの問題もそうだ。基地外に住む米兵の住民登録もやはり、地位協定と国内法の摩擦問題としての性格を持っている。
沖縄から見たとき、日本が「半主権国家」のように見えるのは、この種の問題の発生頻度があまりにも多い上に、駐留軍の権利の前で日本の主権がへこんでしまうというケースが少なくないからだ。
この構図は本土からは見えにくい。
一九九五年の米兵による暴行事件以降、日米両政府が地位協定の運用改善に努めてきたのは事実である。だが、そうであるにもかかわらず、地位協定をめぐる問題が次から次に起きるのはなぜなのか。そのことを根本から問い直さなければならない。
限界がある運用の改善
九五年の暴行事件を受けて日米両政府は、米兵の身柄の引き渡しについて、殺人・強姦などの「凶悪な犯罪」の場合、米国が「好意的考慮を払う」ことに合意。「その他の特定の場合」についても、日本側の要請に「十分に考慮する」との運用改善が図られた。
だが、連続放火事件やひき逃げ事件、婦女暴行未遂事件などで米軍は被疑者の身柄の引き渡しを拒否、運用改善の限界が明らかになった。
考慮の対象となる犯罪の種類が限定されている上に、拘禁移転の判断が最終的に米軍にゆだねられている構図は今も変わらない。
日米合同委員会の合意事項は、特別な理由がない限り、速やかに、すべて公開すべきであるが、これもまだ実現していない。
地位協定の運用をめぐって日米合同委員会でどのような細部の取り決めがなされているのか、基地を抱える自治体ですら分からないのが現状だ。
環境問題に至っては、地位協定にその条文すら盛り込まれていない。「国内法の基準と米国法の基準のうち、より厳しい基準を選択するという考え方に基づいて厳しい環境管理を行っている」というのが政府の見解だ。そうであるならばこの際、環境問題への関心の高まりを受けて明文規定を設けるべきである。
小さなかごに多くの卵
かつて米国防総省高官が沖縄の基地の現状を「小さなかごにあまりにも多くの卵を詰め込みすぎている」と表現したことがある。
地位協定がたえず問題として浮上するのは、第一に、米軍基地が集中し過ぎるあまり事件・事故や環境問題などの発生が絶えないからであり、第二に、地位協定の内容自体が現状にそぐわないからである。
基地の整理・縮小と地位協定の抜本的な見直しは、問題解決のための車の両輪といえる。
地位協定は一度も改定されたことがない。運用改善によって対応するという日米両政府のかたくなな姿勢を突き崩すのは、正直、容易なことではないが、現状を放置すれば、過大な負担を担ってきた自治体や住民の不信感を高めるだけだろう。
逆転国会での本格的な論議を期待したい。今こそ、その好機である。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080312.html#no_1
琉球新報 社説
地位協定要請 占領の残滓、不平等解消を
米軍基地を抱える都道県でつくる渉外知事会が11日、外務省や防衛省に、被疑者の迅速な身柄引き渡しや環境問題の取り扱いを求めて「地位協定見直し」を要請した。
対応した高村正彦外相は、環境問題では「他国の地位協定と比較し、不備があるか研究してみたい」と踏み込んでいる。
だが、被疑者の身柄引き渡し問題では、北大西洋条約機構(NATO)や韓国などに比べ、「日米地位協定は最も進んでいる」との認識を示し、「この件を理由に改定するのは極めて難しい」と従来通りの見解に終始している。
環境問題では、独米地位協定にあたるボン補足協定で、基地返還の際の原状回復義務と環境浄化責任を米軍に義務付けている。
日本は、基地返還に当たって米軍は原状回復義務を負わないため、汚染除去は日本側の負担である。
米韓地位協定では、米軍基地内汚染が起きた際には、自治体への迅速な通報を義務付け、自治体の基地内立ち入り、共同調査が実施できる。返還時に汚染が見つかれば、米軍が浄化義務を負う。
日本、とりわけ沖縄では、通報の遅れが問題となり、さらに自治体の立ち入り調査は、米軍の管理権で阻まれている。
イタリアでは、すべての米軍基地はイタリアの司令官の下に置かれ、米軍側は重要な行動をすべて事前に通告し、作戦行動や演習、軍事物資や兵員の輸送、いかなる事件・事故も発生をイタリア側に通告する定めになっている。
米軍の行動が国民の生命・健康に危険が及ぶとみなせる場合は、イタリア司令官に米軍の行動を中止させる権限を与えているという。
米韓地位協定では、米兵事件を受け1991年と2001年の2度改定が行われ、ボン補足協定も過去3度改定されている。
要請の中で、渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事らは、米兵事件が相次ぐ背景に「地位協定で守られている」との米兵らの考え方があるのではないかと指摘し、「これを変えないと地域住民との摩擦、圧力、事件、事故は根絶できない」と強調している。
なぜ日本政府は「改定」に消極的なのか。時代とともに、環境対策など新たな基地使用条件や規制の必要性も指摘されているが、政府は改定を拒み続けてきた。
今回の渉外知事会の要請に石破茂防衛相は「(日米両政府が)パートナーシップを求めるなら根本から議論しないといけない」と答え、地位協定に限らず、日米安保の見直しも含めた論議の必要性にまで踏み込んだとの話もある。
「占領の残滓(ざんし)」「不平等協定」といわれる協定を、基地被害の撲滅につながる国民本位の協定の改定につなげたい。
(3/12 9:54)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32100-storytopic-11.html
2008年3月12日(水) 夕刊 1面
F16緊急着陸/嘉手納即応訓練
【嘉手納】米軍嘉手納基地の有事を想定した即応訓練は十二日午前、同基地所属のF15戦闘機や米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機が飛行訓練を実施した。このうち、F16一機が離陸後も前輪を収納するハッチが閉まらず、緊急着陸した。嘉手納町屋良では、午前七時五十七分に一〇一・七デシベル(電車通過時の線路脇の音に相当)の騒音を計測した。
緊急着陸した機体は午前八時ごろに離陸。本来なら離陸直後に閉まるはずのハッチが開いたままの状態で飛行した。約四十分後に着陸し、機体の点検を受ける様子が確認された。同基地報道部は「トラブルがあったという報告は受けていない」としている。
嘉手納町が屋良地区に設置している騒音測定器は、午後一時までに多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音が七十四回あった。最高値は、F16が同基地北側滑走路を使用して離陸した時間に計測された。
飛行したF15とF16は訓練用の模擬ミサイルを装着している機体もあった。また、同町屋良の「道の駅かでな」からはサイレン音や拡声器放送、白煙を伴う訓練も確認された。
今回の即応訓練は十四日まで。航空機の運用態勢など航空団の総合的な即応能力について、太平洋空軍の監査を受ける。
F16は即応訓練終了後も、同基地にとどまり、同基地所属のF15戦闘機と空対空の訓練などを行う予定。同基地報道部は「実弾は使用しない」としている。
◇ ◇ ◇
「F16飛来 負担軽減に程遠い」/三連協、米軍へ抗議
【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に参加するため、米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機が飛来したことに対し、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は、十二日午前、訓練の中止を求め、嘉手納基地司令官などに文書で抗議した。
抗議文では、「米軍再編に掲げられた沖縄の基地負担の軽減とは程遠い」と非難。SACO合意に基づき本来は伊江島補助飛行場で行われるはずのパラシュート降下訓練が昨年、同基地で二回実施されたほか、未明離陸による騒音被害で、騒音防止協定も順守されていないと指摘。今回の即応訓練で「明らかに騒音が激化する。一方的な基地機能強化だ」と批判している。抗議文は外務省沖縄事務所、沖縄防衛局にも送付した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_01.html
2008年3月12日(水) 夕刊 1面
自民、役員会で再検討/県民大会
米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体が十二日、県議会を訪れ、仲里利信議長に実行委員長就任を、各会派に大会への参加をあらためて要請した。自民党県連の新垣哲司幹事長は要請に対し、「あすの役員会で再検討したい」と述べた。仲里議長も、実行委員長就任に「議会の合意が得られれば」と積極的な姿勢を示した。
自民党県連の新垣幹事長は党として十三日に役員会を開き、大会参加について議員総会で再協議する方向を示した。要請に訪れた県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長に答えた。
新垣幹事長は「当初は暴行事件に抗議する大会だったので、被害者感情を考慮し参加を見送った。今は大会の趣旨が変わったと認識している」と理解を示した。その上で「要請がある以上、できるだけ早急に協議したい」と述べた。
玉寄会長は要請で、大会の趣旨が日米地位協定の抜本改定や米軍基地から派生する人権の問題を訴えることであることに伝え、県議会の抗議決議の範囲内であることを強調した。自民党側が再協議の方針を示したことに「大変ありがたい言葉をもらった」と手応えを感じた様子だった。
自民党県連との面会に先立ち、玉寄会長、県婦人連合会の小渡ハル子会長など三人が県議会に仲里議長を訪ね、実行委員長への就任を要請。仲里議長は要請後、記者団に「自民党としては不参加を決めているので、決定に従う。ただ、今後の議論の推移を見守り(各会派の)皆さんが合意すれば(実行委員長を)やるつもりだ」と述べた。
自民党内部には「被害者感情への配慮」や「野党の政治的利用への警戒心」から県民大会開催に消極的な意見が強く、七日の議員総会では組織的な参加をしないことをいったん、決めた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_02.html
2008年3月12日(水) 夕刊 5面
戦争の記憶 風化させぬ/島守の会がDVD制作
「戦争の実態を、県民や後の世代に伝えたい」―。沖縄戦で亡くなった県職員らを祭る、糸満市の「島守の塔」建立までの経緯を、映像や記録文、約十人の戦争体験者の証言でつづるDVDビデオの制作が、当時の県職員やその遺族などで構成する「島守の会」(新垣進松会長)によって進められている。四月上旬の完成を目指し、作業は佳境を迎えている。(又吉嘉例)
「島守の塔」は、戦前最後の島田叡県知事や荒井退造警察部長をはじめ、戦争で殉職した県職員四百六十八人の慰霊のため、戦後、同会が県民に寄付を募り、一九五一年に建立された。
慰霊塔はその後も同会によって維持、管理されていたが、大城盛昌副会長は「当時の生き残りは皆九十歳前後だし、約二百人の会員中、実際に管理に携わっている人は二十人ほど」と、後継者不足を懸念。「会の活動を県民に広く知らせたい」と、昨年十一月、塔についての映像記録を残す方針が決まった。
八日、浦添市内の映像制作会社で、DVD「島守の塔」の試写会があり、集まった会員ら八人が完成直前の作品を鑑賞した。見終わった参加者からは「ウチナーグチには訳を入れたほうがいい」「戦後の島守の会の活動に、もっと焦点を当ててほしい」などの意見が出た。
編集を請け負う仲松昌次ディレクターは「生存者や遺族の高齢化で、ひめゆり部隊や鉄血勤皇隊など、どこも戦争体験の継承問題を抱えている」と説明。「映像だと若者の感性に訴えやすいのではないか」と話した。
戦前、戦後と歴代四人の知事の側近だった同会の板良敷朝基さん(90)は「何十年もたち、塔の意義も影が薄くなっている。一般の県民や現在の県職員が塔に対する理解を深め、県自身の問題としてとらえてほしい」と、「戦争の記憶の風化」に警鐘を鳴らした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_03.html
2008年3月8日(土) 朝刊 1・27面
来月にも再発防止策/米軍タスクフォース
米兵暴行事件を受け、在日米軍の「性暴力の防止と対応に関するタスクフォース」が、四月中をめどに再発防止策を策定する方針を固めたことが七日、分かった。外務省沖縄事務所で開かれた米軍関連の事件・事故防止について話し合うワーキングチーム第十六回会合で、米軍側が報告した。非公開会合の後、議長を務めた倉光秀彰副所長が記者説明で明らかにした。
逮捕権の優先問題については、出席した日米地位協定室の伊澤修室長が「日米合同委員会で調整することがあり得る」と述べ、日米地位協定の運用改善で対応できるとの認識を示したという。
倉光副所長によると、米軍は主に、先月設置されたタスクフォースの概要について説明した上で現行の教育プログラムなどを紹介した。タスクフォースは、横田基地司令部のスタックポール参謀長をトップに約十五人の軍人らで構成。国内の各米軍基地を巡回し、性犯罪防止に絞った措置を策定するという。
倉光副所長は「ワーキングチームで出た地元の意見を四軍調整官事務所がタスクフォースに伝える。米軍は四―六週間のプロセスを踏むというので(再発防止策の公表は)少なくても一カ月以上先になる」と述べた。タスクフォースは来週、沖縄に入る予定。米軍から詳細な活動日程や方法の説明はなかったという。
日米共同パトロール、防犯カメラ設置、基地外居住などでも議論したというが、倉光副所長は「自由闊達な意見交換のため、詳細は公開しないことを全会一致で了承した」とし、詳しい内容は明らかにしなかった。
◇ ◇ ◇
内容非公開 批判の声
米兵暴行事件後、初のワーキングチーム会合。米軍犯罪防止を日米が現地レベルで協議する場だけに、外務省沖縄事務所には七日、報道陣が多数詰め掛けた。会合は非公開で行われ、その後の記者説明でも外務省は「詳細を公表しないと(出席者が)合意した」とし、地元側の意見さえ明らかにしなかった。「要望がどう反映されるか分からない」「県民に説明するのは当然だ」。会合出席者からは同沖縄事務所の対応に疑問の声も上がった。
記者説明は、議長で同事務所の倉光秀彰副所長が行った。倉光副所長は、米軍の教育強化や防犯カメラ設置など議題となった項目を列挙。詳細なやりとりは「自由に意見交換するため公表しないことを全会一致で決めた」と繰り返した。
その上で、近く来沖する米軍の性犯罪防止タスクフォース(調査特別委員会)に伝えるための率直な意見交換ができた、と意義を強調した。ただ調査委の構成や具体的活動については詳細が分からないと述べ「米側に聞いたほうがいいのでは」とも。地元の意見集約も米軍の責任で行うとした。
報道陣からは「公表しない理由が分からない」「米軍がどう意見集約し、伝達するか検証できない」との批判も出た。
出席した自治体幹部は「会合の最後で、発表の仕方や文言をめぐり意見が割れたので、議長側に一任した。意見を公表しないと合意した覚えはない。県民に説明するのは当然だ」と不快感をあらわに。別の出席者も「米軍側から、犯罪はアルコール絡みが多く、提供しているのは沖縄側、との発言もあった。意見が正しく伝わるか分からない」と不信感を示した。
ある自治体は基地外居住の米軍人の数だけでなく、詳しい情報提供を求めたが、回答はなかったという。「事前に進行方法の説明もなく成果は疑問。意見がどれだけ理解されたか分からず壁を感じた」と印象を話した。
一方で「国と米軍、県、市町村が一堂に集まって事件を防ぐため互いに意見を出し合うのは意義がある」と評価の声もあった。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_01.html
2008年3月8日(土) 朝刊 2・27面
知事、参加へ態度保留/県民大会 自民不参加
県議会最大会派の自民が、米兵による事件続発に抗議する県民大会への不参加を決めたことを受け、仲井真弘多知事は七日、「もう少し考えたい」と述べ、大会参加についての態度を保留した。しかし、超党派の大会にならないことがほぼ確実になり、県首脳は「知事の参加は難しくなった」との見通しを示した。
仲井真知事は「米兵による事件・事故は相次いでおり、再発防止を含め、アメリカに言う必要がある。大会の効果はそれなりにある」と大会開催の意義については評価している。
一方で、「ハムレットの心境だ。与党が参加しないとなると、ちょっと(厳しい)。まだ時間はある。もう少し考えたい」と話した。
県首脳の一人は「政治的価値観を超え、事件への抗議や再発防止、地位協定見直しなどをテーマに、与野党が一致することを期待していた」と説明。
知事の出席については「自民が参加しない以上、県民全体の代表としての参加は難しい」との考えを示した。
◇ ◇ ◇
被害者への配慮強調/背景に政治的思惑も
米兵による事件続発に抗議する県民大会について、県議会最大会派の自民は七日、「告訴を取り下げた被害者や家族の心情への配慮」などを理由に、参加見送りを決めた。自民の不参加により、「広く各界各層の声を聞く必要がある」としていた仲井真弘多知事の出席も見送られる公算が大きい。八日の実行委員会立ち上げを前に、超党派の県民大会が実現する可能性はほぼなくなった。
議員総会後、新垣哲司幹事長は「『そっとしてほしい』という被害者や家族の心情を尊重し、県民大会で大々的に取り上げることは避けるべきだ」として、不参加は全会一致で決めたことだと説明した。
二月二十八日の議員総会でも、日米安保体制や米軍再編に対する与野党の基本姿勢の違い、野党主導への反発、被害者への配慮―など否定的意見が大勢を占めていた。
「県民大会は政府与党への批判を強める結果になり、野党が利するだけ」という声もあり、県議選を前に野党に政治利用されるのは避けたいという政治的思惑があった。被害者の告訴取り下げや米軍基地関係特別委員会の審議を受け、七日の議員総会ではあらためて「参加見送り」を確認した形だ。
「抗議決議を全会一致で可決し、県議会として要請行動をした。党として事件・事故には厳重に抗議し、再発防止の徹底を求めていく」との考えを強調した新垣幹事長は今後、県民大会実行委の要請があったとしても「協議は尽くされた。決定は変わらない」とする。
しかし、「被害者の感情に対する考慮も理解できるが、暴行事件後も米兵による事件・事故は相次いでいる。組織的参加の見送りは複雑な心境だ」と漏らす県議がいることも確かだ。
与党最大会派である自民には、県民大会に代わる実効性のある対応策を示す政治的責任が問われてくる。(政経部・与那原良彦)
実行委「住民が県民党」
米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決めた。実行委員会を構成する各団体は冷静に受け止めつつ、「引き下がらず、事件に怒りをぶつける」と、大会に向け気を引き締めた。八日には実行委を発足させ、引き続き幅広い結集を呼び掛ける。
県婦人連合会の小渡ハル子会長は「自民が不参加なら不参加で仕方ない。賛同する住民が県民党、無党派でやるだけ。引き下がったりしない」と淡々と受け止めた。
「訴える内容は、県議会決議の範囲内。二度と人権を踏みにじらせない、と抗議するのは、一部の政党の利益にはならない。被害者の気持ちに配慮するのもみんな同じだ」。県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、疑問を列挙した。県高校PTA連合会の西銘生弘会長は、「自分たちのシマは自分たちで守らなければ。自民党の議員にも、一県民として参加してほしい」と期待した。
基地関係の仕事で生計を立てる家庭への配慮から、組織参加を見送った県PTA連合会。諸見里宏美会長は、「与党も野党も、もっと歩み寄ってほしかった。政治家の責任として、自分たちの立場ではなく被害者を救う方策を見いだして」と求めた。
「党超え怒りを」野党が強く批判
米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決定した。野党サイドは「被害者の感情を口実にしている」と批判の声を強め、「超党派で事件の怒りを表し、綱紀粛正と再発防止策の徹底を日米両政府に突きつけるべきだ」と訴える。一方、与党の公明県民会議は「慎重に検討している」と現時点では態度を保留した。
米軍基地関係特別委員会委員の新川秀清氏(護憲ネット)は「大変残念だ」とし、「被害者の感情を尊重することは大前提で、事件への抗議とは別問題。再発防止のために県民ぐるみで立ち上がるべきだ」と強調した。
喜納昌春氏(社大・結連合)は「被害者の苦渋の思いを代弁し、事件の卑劣さを訴えるべきだ」と主張。「仲井真弘多知事の姿勢にも影響が及ぶ」と懸念を表明した。
二十三日にある大会前の軍特委開催も見送られる公算だが、嘉陽宗義氏(共産)は「被害者の感情を不参加の口実にしている。軍特委に付託された陳情をうやむやにさせない。野党で一致して開催を求める」と述べた。
當間盛夫氏(維新の会)は「党としても参加を決め、県民の心を一つにして事件の再発に向け取り組むとしている」と参加を呼び掛けた。
一方、与党・公明県民会議の糸洲朝則代表は「各市町村議員や幹事らに地域の声を聞くように指示した。慎重に対応を決めたい」と述べるにとどまった。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_04.html
2008年3月8日(土) 朝刊 27面
「集団自決」修正 検定意見違法と提訴/愛媛県の市民団体
沖縄戦の「集団自決」をめぐる教科書検定で、日本軍の関与を示す記述を削除、修正させた検定意見は文部科学省の自作自演で違法だとして、愛媛県の市民団体「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーら三十三都道府県などの百五十一人が七日、国などに検定の無効確認や取り消しなどを求め、松山地裁に提訴した。
原告団によると、集団自決の検定意見をめぐる訴訟は全国で初めて。
訴状によると、二○○八年から使用される高校歴史教科書の検定は、文科省が示した調査意見書を密室の検定審議会で追認させ、それを検定審の答申に基づく検定意見だという虚偽の説明をして出版社に修正・訂正を求めたもので、文科省による自作自演の違法な処分だとしている。
原告の一人、愛媛県西条市の奥村悦夫さん(55)は提訴後の記者会見で「(審議会に)関与していないという従来の文科省の説明がうそだと公判で明らかにしたい」と述べた。
文科省は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_05.html
2008年3月8日(土) 朝刊 2面
泡瀬埋め立て/「海草生育場」を検討
中城湾港泡瀬地区の埋め立てに伴う環境保護策を検討する環境保全・創造検討委員会(委員長・小浜哲名桜大大学院教授)が七日、那覇市内で開かれた。沖縄総合事務局などは二〇〇八年度の行動計画として、移植によるクビレミドロなど「海草生育場の創造」実施に向けて検討に入ることなどを提案し、了承された。
ただ、委員からは「海草だけを保護の対象とするのは間違っている」など、表現に強い異論が出された。また、四カ所示された生育場の候補地について、クビレミドロ以外の海草がなくなる恐れなど海洋環境全体を保護する視点の必要性が指摘され、具体的な対応については同委の各専門部会で引き続き検討することになった。
行動計画ではこのほか、比屋根湿地前のトカゲハゼ生息地で、生息しやすくするために底部を掘り返して軟らかくする対策を〇八年度以降実施することや、総合事務局が行っていた泡瀬周辺での地元意見吸い上げなどを沖縄市に任せることも了承された。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_06.html
2008年3月8日(土) 朝刊 2面
軍港受け入れで事業実施に意欲/浦添市長
【浦添】儀間光男浦添市長は、七日の市議会三月定例会で、那覇軍港受け入れに伴う交付金の減額により凍結している四事業について、「軍港受け入れで三十三件・七十五億円余の事業を行い、多大な成果を上げている。ここで本市の振興策を中断するわけにはいかない」と、予算確保に強い意欲を示した。石川武夫氏(無所属)の質問に答えた。
凍結されているのは(1)宮城児童センター建設(2)仲西中校区保健福祉センター建設(3)仲間地区街なみ環境整備事業(市道整備)(4)市てだこ小ホール備品購入。
儀間市長は、政府から四事業の実施手法で積極的提案を受けたことを明らかにし、「現在、市と国の事務方で検討している。なるべく早い時期に四事業が再び予算計上できるよう最大限努力したい」と述べた。
在日米軍再編に伴う米軍再編交付金で、浦添市には約三千七百万円の交付が決定している。だが、同市は軍港受け入れに伴い、SACO交付金約三億六千万円と同額の振興策を国に求めている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_07.html
2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面
米兵事件 県民大会実行委、発足
あす県議会に協力要請
米兵による事件続発に抗議する県民大会の実行委員会結成総会が八日、那覇市の八汐荘で開かれ、市民団体や労組、教育関係など約六十団体の代表ら百人が出席、正式発足した。大会名称を「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」とし、二十三日午後二時から北谷公園野球場前広場で開催することを決定。すでに参加を呼び掛けている二百八十団体に加え、今後さらに各種団体、県議会の全議員などへ賛同を求め、超党派で取り組む方針を確認した。
大会スローガンは(1)人権(を守る)(2)実効性ある米軍の綱紀粛正と教育の徹底(3)日米地位協定の抜本改正(4)目に見える基地の整理・縮小―とした。文言は事務局で調整する。
実行委員長は、引き続き仲里利信県議会議長へ就任を要請し、大会規模は第一段階として一万人以上、最終的に数万人規模を目指す。
また実行委として、「米兵による事件・事故に抗議し、基地の整理・縮小を求めることは党派を超えた、県民の一致点」とする陳情を承認。
代表が十日に県議会議長と議会各会派を訪ね、全議員の大会参加と県民への呼び掛けに協力するよう要請する。
呼び掛け団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「沖縄は生まれ育った場所。大事にしたい。誇りにしたい。米兵による犯罪への怒りを、『県民党』として一緒に日米にぶつけよう」とあいさつ。「抗議の声を上げないと、人権に対する安定した土壌を失う。互いの力を合わせて前進したい」と決意を述べた。
県婦人連合会の小渡ハル子会長は「戦後六十年余、米軍による事件・事故で県民の生活は脅かされてきた。もう我慢できない」と訴え、ガンバロー三唱で大会の成功を誓った。
質疑応答では、会場から「県議会も全市町村議会も抗議決議をした。議員は決議に責任を持つべきだ」「圧倒的な数で、米軍の事件を絶対に許さない姿勢を示すべきだ」などの意見があった。
実行委発足とともに、県子ども会育成連絡協議会、県婦人連合会、県老人クラブ連合会、県高等学校PTA連合会、青春を語る会、県青年団協議会の呼び掛け六団体は実行委幹事団体に移行した。
◇ ◇ ◇
超党派へ思い一つ
県民大会に向けた実行委員会が八日、船出した。大会規模の設定だけでも異論が出る状況だが大会名、日時、会場が決まり具体的な動きが始まる。短い準備期間、不参加の表明もある逆風下で「超党派・県民党で、何としても大会を成功させたい」強い思いが参加者をつないでいる。
「スローガンに基地撤去も含めよう」「一万人規模と言わず三万人、五万人ともっと大きくできないか」「呼び掛け団体の代表から実行委員長になってほしい」。会場からは、準備された実施要綱案にさまざまな意見が出た。発言者が変わっても同じ質問が上がる。
そのたびに、呼び掛け六団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長が説明に立った。「県議会の決議の範囲で、全県民が参加できる形にしたい」「できるだけ多くの人の参加を促し最大規模の大会にする」「一万人はまだ一歩。各団体が互いの力を出し合いながら大会を前へ進めましょう」「県議会への要請はこれからも行っていく」。時にゆっくりと言い聞かせるように、時に語気を強めながら説明する。「そうだ」フロアにも、最大公約数を求める空気が広がっていった。
最後に、参加者から決意表明があり、「声を出せない被害者の代わりに、私たちが声を出さねばならない」と声を上ずらせた人や「戦後六十数年たってもこんな終戦直後のような状況を変えよう。多数の参加で成功させよう」と力を込める人など次々とマイクを握った。
大会実現に奔走する県婦人連合会の小渡ハル子会長は、大きくうなずきながら参加者の意見を聞いていた。総会後、目を潤ませ「これだけの団体、人が集まってくれて、心から感謝している」。事件直後から抗議や要請を繰り返す一方、被害者を傷つける報道や言動、政治の動きに眠れない日が続いたという。「これで大きく前進した。後はもう、頑張るだけ」と話し、超党派での県民結集へ向け表情を引き締めた。
玉寄会長は「この熱気を持って県議会各派に要請してくる。私たち呼び掛け六団体は、どの党にも属さない超党派そのもの。各議員も意見書を決議したのだから、絵に描いたもちに終わらないよう実効性を持たせてほしい」と決意を新たにした。
米兵事件続発に県女団連が抗議
集会で決議
「3・8国際女性デー」の八日、県婦人連合会など三十二団体が加盟する県女性団体連絡協議会(安里千恵子会長)は、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で集会を開き、米兵による暴行事件に関する抗議要請や特別決議、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める要請など、計十二の要請文案と決議案を採択した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_01.html
2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面
小銃射撃場 建設を開始/ハンセン・レンジ3
金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の新しい小銃(ライフル)用射撃場の建設が計画されている問題で、米軍が六日午後、防衛省に対し、工事に着手したと通知していたことが八日、分かった。金武町の儀武剛町長は「負担増につながる」と批判。「レンジ3」に近い同町伊芸区や、同町議会も計画の即時中止を求める抗議・要請決議を全会一致で可決しており、地元は反発の姿勢を強めている。
沖縄自動車道からの距離は約五百メートルで最も近い集落の伊芸区から約一キロの場所に建設される。射撃場から東に数キロ離れたレンジ16にはレンジ4の都市型戦闘訓練施設を移設する予定で、ハンセン内に相次いでグリーンベレー専用施設が整備されることになる。
新射撃場は兵士に射撃の資格を与えるための訓練施設。高さ約十四メートルの三階建てで、二、三階にそれぞれ十の射撃スポットを設置。ターゲットは百―千二百メートルの範囲内で対応可能で、遠距離対象に用いられる。計画が浮上した昨年夏当初は、二月に着工し、二〇〇九年七月ごろ完成する見通しとしていた。建設費は米軍予算で七百二十万ドルと見込まれている。
在日米軍司令部は建設業者を選定し、昨年十月二日、防衛省など日本側に通知。同省は米側に「自然環境や住民の生活環境に影響が及ばないように注意し、安全に工事が行われるよう」要望しているという。(吉田伸)
◇ ◇ ◇
「負担増すばかり」
【金武】「住民への負担はますます、増えるばかりだ」。金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に計画されている、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の工事が始まったことを受け、レンジ3に近接する同町伊芸区の住民や町議らからは八日、怒りの声が上がった。町や議会、区は週明けにも対応を協議する考えで、相次ぐ負担の増加に地元の反発が広がっている。
伊芸区に近接するレンジ4の都市型戦闘訓練施設では、現在も訓練が続いている。同区の池原政文区長は「レンジ4による被害や廃弾処理の爆音被害や山火事もある中、これ以上負担が増えることは許されない。週明けにも、行政委員を集めて対応を協議したい」と、憤った。
同区のある男性(69)は「住宅の窓が揺れるほどの爆発音や訓練による山火事など、住民は今でも基地被害に苦しめられている。政府や米軍は米軍再編で負担を軽減するというが、陸上自衛隊の共同使用など、町民や区民にとっては負担が増えているようにしか感じられない」と、怒りをにじませた。
金武町議会の松田義政議長は「再編による同訓練場の海兵隊員の削減もはっきりせず、レンジ4施設の移転も遅れる中、再編外で負担が増すのはおかしい。政府や米軍は、地元に配慮するべきだ」と、地元の反対を無視して作業が進められたことに不快感を示した。松田議長は、来週開会する三月定例会で、全員協議会を開き今後の対応を協議する考えを示した。
同町の伊藝達博副町長は、詳細は聞いていないとした上で、「町と議会、区の三者で話し合い、今後の対応を協議したい」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_02.html
2008年3月10日(月) 夕刊 1面
県議会参加を陳情/米兵事件県民大会
米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体は十日午後、県議会議長や議会各派に大会参加を呼び掛ける陳情に県議会を訪れた。幹事団体六団体のうち、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長と県婦人連合会の小渡ハル子会長、県老人クラブ連合会の代表が、八日の実行委員会結成総会で承認された、県議会全会派に参加を呼び掛ける文書を手渡した。また、不在だった仲里利信県議会議長にあてて、大会実行委員長就任を要請する文書を議会事務局に託した。
要請文は「基地あるが故に起こる米兵の事件・事故により、県民は生活と人権が脅かされ続けている」「全県民が抗議の意志を示し、日米両政府に日米地位協定の抜本改正と基地の整理・縮小を求める」と訴え「県議会全会派の議員が参加し、さらに全県民に対し県民大会への参加を呼び掛けること」を求めている。
自民の会派会議室で対応に当たった外間盛善県議は「この前の自民議員総会では自由参加となったようだが、多くの方が参加していただければと思う」と話した。
小渡会長は「各会派とも感触は良い」と手応えを感じた様子で、玉寄会長は「党派色を出すのではなく、県民として沖縄を大事にしてほしい。粘り強く参加を呼び掛けていく」と訴えた。県民大会は、二十三日午後二時から北谷町北谷公園野球場前広場で開かれる。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803101700_01.html
2008年3月6日(木) 朝刊 1面
国民新党、地位協定改定案/野党3党、共同提案へ
【東京】国民新党(綿貫民輔代表)は五日、米兵暴行事件を受けて民主党と共同で作成した「日米地位協定改定案」を了承した。(1)米軍関係者への外国人登録義務付け(2)日本側の身柄引き渡し要請に米軍が「同意」(3)環境保全に関する規定を新設し、厳格な環境基準を採用―などが柱。民主党も早ければ週内に了承する見通し。両党は来週中に社民党とも調整し、三党で政府に共同提案する方針だ。
国民新党と衆院で連立会派を組む政党「そうぞう」代表の下地幹郎衆院議員を中心に作成し、四日に民主党との事務局レベルで合意していた。
案は、米軍関係の事件・事故でこれまで指摘された地位協定上の問題点を踏まえ、全面的に見直す内容となっている。
二〇〇四年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故で県警が捜査できなかった事例を踏まえ、基地外での米軍の捜査は「日本側当局の第一義的な統制の下に行われる」とした。
基地返還に伴い問題となる環境汚染についても、日本政府がこれまで負っていた原状回復義務を米国に担わせることも明記した。
下地氏は、同案について「これまでの米軍関係者による事件・事故から得られた『教訓』をすべて網羅した。これまでの矛盾や、県民の不安を解消するためにも、見直しは不可欠だ」と訴えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_03.html
2008年3月6日(木) 朝刊 25面
超党派結集 方針堅持/県民大会 8日に実行委
米兵による事件続発を受け、二十三日に抗議の県民大会開催を目指す実行委員会準備会は五日、幹事団体による会議を開き、引き続き超党派で取り組む方針などを確認した。八日午後二時に実行委員会結成総会を開き、開催に向けて本格的な行動を始める。
大会の開催日時は二十三日午後二時。会場は、一部の幹事団体から、那覇市の県庁前県民広場とする案も出たため、これまで予定していた北谷町の北谷公園野球場前広場を軸に調整を続けることにした。
八日に立ち上げる県民大会実行委員会は、県内二百五十七団体(うち八十六団体は女性団体)に参加を呼び掛ける。事務局を県婦人連合会に置き、県高校PTA連合会の西銘生弘会長を事務局長に据える。実行委員長には、引き続き仲里利信県議会議長に就任を要請することも決めた。
幹事団体からは、幹事団体が超党派での県民大会開催を求めた県議会への陳情を、米軍基地関係特別委員会が継続審議としたことに、疑問の声が上がった。
県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「在沖米軍基地の兵士による事件続発は、県民全体の問題だ。こうした状況を放置し続ける日米両政府が、『沖縄の声』に謙虚に耳を傾けるよう県民が一つにならなければならない」と訴え、大会への参加を決めていない自民党などに働きかけを強める方針を示した。
米軍側、捜査を継続
在沖米海兵隊報道部は五日、米兵暴行事件で逮捕され、二月二十九日に不起訴処分で釈放されたキャンプ・コートニー所属のタイロン・ハドナット二等軍曹について「捜査を継続している」と発表した。沖縄タイムスの質問に答えた。
同報道部は「日本の当局は起訴を断念したが、隊員は統一軍事裁判法違反の罪で訴追される可能性がある」と捜査の理由を説明したが、「今後軍法会議に持ち込めるかどうか推測するにはまだ早い」と述べた。
ハドナット二等軍曹の身柄は釈放された二十九日に米海兵隊に引き継がれ、拘禁されている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_04.html
2008年3月6日(木) 朝刊 2面
陸自訓練17日の週/ハンセン共同使用
米軍キャンプ・ハンセンで、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)が十七日の週に訓練を始めることが五日、複数の関係者の話で分かった。沖縄の米軍施設で陸自部隊が訓練するのは初めてとなる。在日米軍再編の中で、日米両政府がキャンプ・ハンセンや嘉手納基地の共同使用に合意していた。
陸自が近く、米軍と訓練内容などについて最終調整する見通し。嘉手納基地では米空軍と航空自衛隊の共同訓練が行われる予定だが、開始時期はまだ決まっていない。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_05.html
2008年3月7日(金) 朝刊 2面
地位協定の調査強化へ/見直し重点に取り組む
上原昭知事公室長は六日、日米地位協定に関する調査スタッフを新年度から強化する方針を明らかにした。県議会予算特別委員会(外間盛善委員長)で、国場幸之助氏(自民)に答えた。
県はこれまで、基地の整理・縮小や安全保障などに関する情報収集のため、調査を外部に委託してきた。二〇〇八年度は、地位協定の見直し問題に重点的に取り組む。
調査結果は従来、県の基地行政の政策立案に活用する内部資料としていたが、上原公室長は「成果としてとりまとめ、県民の利用にも役立てられるよう検討したい」と答えた。
米軍人の基地外居住については「日米地位協定上は禁止規定がなく、米軍が独自に居住できる基準を策定し、住まわせている」と説明した。高嶺善伸氏(護憲ネット)への答弁。
また、来年度から特例措置で実施する職員の給与削減が県経済に与える影響については、宮城嗣三総務部長が「(投資効果が分かる)産業連関表を用いると、およそ削減額の一・二四倍の影響がある。
しかし、削減した額がそのままなくなるのではなく、別の事業に回すので詳細は把握できない」と述べた。當間盛夫氏(維新の会)に答えた。
◇ ◇ ◇
メア総領事・地位協定見直し否定/「逮捕権」は運用改善で
ケビン・メア在沖米国総領事は六日の定例記者会見で、米軍犯罪の再発防止策として挙がっている日米共同パトロールの逮捕権の優先問題について、日米地位協定の運用改善で対応できるとの見解を示した。米政府関係者が地位協定の運用改善に言及するのは異例。
メア総領事は、日米合同委員会で地位協定の運用改善を協議していると説明。逮捕優先の手続きのあいまいさが問題であれば明確化できるとして、「地位協定を見直す話ではない。具体的に問題がある点はもちろん話す。運用改善はやる用意がある」と繰り返した。
「反省の期間」として先月二十日から今月三日まで行われた四軍の外出禁止措置は、再発防止ではなく軍と軍属と家族が組織として反省することが重要だった―との認識を示し、「二十四時間、家族を含めた外出禁止は私が知っている限り前例がない。意味があった」と評価した。
一方で、再発防止に向け、「具体的措置を導入するために米軍と地元で調整する必要がある」とも強調、七日のワーキングチーム会合で具体的に協議する姿勢を示した。
米軍普天間飛行場の移設計画については、冬季分の環境影響評価(アセスメント)調査が持ち越されているが、「日本政府や日本の法律下の手続きなので、米側は何も言う立場にない。全面的には予定通り順調に進んでいる」との見解を示した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071300_04.html
琉球新報 社説
米兵性犯罪増加 有効な防止策があるのか
米本国や世界に駐留している米軍人に関係する性犯罪は2006年だけで2947件に上り、05年に比べ約24%(573件)も増加していた。
これは米国防総省が米連邦上院・下院の軍事委員会に報告した強姦(ごうかん)罪、強姦未遂罪などの件数である。
事件が起きるたびに綱紀粛正に取り組んでいるはずなのに逆に増えているのは、この間、有効な手だてが講じられてこなかったことを浮き彫りにしている。
被害者が申し立てをした2277件のうち51%は加害者、被害者がともに軍人で、民間人が被害者になったのは29%だった。
報告書は、発生した国名、米国内、国外の区別などは明らかにしていないが、53%は米軍施設内で起きている。
軍人が被害者となる事件が半数を占めていることは、県内の米軍基地内でも、県民が全くあずかり知らないところで相当数の性犯罪が起きている可能性を示している。
民間人が被害を受け、犯行が表面化するのは氷山の一角とみていいだろう。
兵士による性犯罪が増加したのは規律が乱れているためなのか、それとも、ほかに原因があるのか。米国政府は、その理由を突き止めると同時に、どうすれば性犯罪をなくすことができるのか真剣に検討すべきだ。
報告書に記された犯罪件数は、通り一遍の再発防止策では何の解決にもならないことを示している。
これまで実施していなかった新たな対策を打ち出すことが求められる。
日米安全保障条約に基づき米軍が駐留するわが国にとって、米軍人の性犯罪の増加は国民の安全に直結する重大な問題だ。日本政府が拱手(きょうしゅ)傍観することは絶対に許されない。
犯罪の抑止効果を高めるには、すべての犯罪で被疑者の起訴前の身柄引き渡しを米国に認めさせるなど、日米地位協定の抜本的な改定が不可欠だ。米国に対し毅然(きぜん)とした態度で協定見直しを迫ってもらいたい。
(3/7 10:15)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31989-storytopic-11.html
2008年3月7日(金) 夕刊 1面
自民、不参加を決定/米兵暴行事件・県民大会
米兵による暴行事件で、県議会最大会派の自民は七日、議員総会を開き、暴行事件に抗議する県民大会への対応を協議した。会派内は「被害者の感情」などを考慮し県民大会参加に否定的な意見が大勢を占めた。組織的な参加は見送られることが決まり、超党派県民大会の開催は不可能な状況になった。二十三日の県民大会前の米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)の開催も見合わされる見込みで、超党派の県民大会を求めた陳情は事実上不採択になる。「超党派」を前提にしていた仲井真弘多知事の出席も見送られる公算が大きい。
自民内部では、これまで「事件に対する抗議、綱紀粛正や再発防止策の徹底、基地の整理縮小では一致している」としながらも、「米軍再編の推進で負担軽減を図る与党と、海兵隊の全面撤退を求める野党では基本姿勢が違う」「六月の県議選を前に、野党の反基地運動に政治利用される」などの見方が強い。
五日の米軍基地特別委員会では、自民内部からは「告訴を取り下げ、『そっとしてほしい』と望む被害者の感情を尊重すべきだ」と開催に否定的な意見が多く、さらに「開催日時や場所を一方的に決め、押し付ける手法はおかしい」という批判が出た。
事件に対しては、県議会や県内四十一全市町村議会の抗議決議を可決した。県民大会の呼び掛け団体や野党は「抗議は全県的で各界各層を網羅している。事件を許さないという悲痛の叫びだ。仲井真知事が先頭に立ち、再発は許さないという強い怒りを内外に表明するべきだ」と超党派の結集を求めており、自民の不参加に対する反発は必至だ。
県民大会について仲井真知事は「被害者や家族の心情を第一に、広く県内の各界各層の声を聞く必要がある」と表明している。
◇ ◇ ◇
米兵入居率8割/基地内住宅
【東京】県内の米軍基地内に今年一月末時点で八千百三十九戸の住宅があり、米軍関係者の入居率が約八割であることが七日、分かった。照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に対し、政府が閣議決定した答弁書で明らかにした。
答弁書によると、八千百三十九戸について米側の調査では、改装中などの理由で使用できない住宅も含まれているというが、それが何件かは明らかにしていない。政府は「有効に使用されている」と説明している。
照屋氏は、米兵暴行事件で逮捕された米海兵隊員が、基地外に居住していたことを指摘。「空き家があるにもかかわらず、基地外に居住し、さまざまな問題を起こしている」と問題視した。
答弁書はまた、日本政府が一九七五年度から二〇〇六年度にかけて建設した基地内住宅は六千百八戸に上るとしている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071700_01.html
2008年3月7日(金) 夕刊 1面
再発防止で日米協議/米兵事件・事故
米兵暴行事件など一連の事件を受け、急きょ開催が決まった、米軍人や軍属、家族の事件・事故防止について話し合うワーキングチームの第十六回会合が七日、那覇市の外務省沖縄事務所であり、日米両政府や県がそれぞれまとめた再発防止策について協議した。日米共同パトロールや防犯カメラの設置など日米と地元で見解の異なる防止策などについても意見を交わした。会合は冒頭を除き非公開で行われた。
議長の倉光秀彰外務省沖縄事務所副所長は「米軍関連の犯罪は二〇〇三年をピークに減少する中、最近の一連の事件は議長として残念。事件・事故を未然に防止するため何ができるか、率直かつ建設的な議論を期待している」とあいさつした。
共同議長のマーク・フランクリン在日米軍沖縄調整事務所長は「米軍人の事件を真剣にとらえ、防止対策の改善を検討する取り組みに全面的に協力することを誓う」と述べた。
在日米軍は週明けにも「性暴力の防止と対応に関するタスクフォース(調査特別委員会)」を沖縄に派遣する。フランクリン所長ら同事務所が今回の協議内容をまとめた意見を報告する。
会合には県の上原昭知事公室長や県警の日高清晴刑事部長はじめ、在沖米四軍、在沖米国総領事館、沖縄防衛局、県内米軍基地所在市町村、商工会など関係団体の責任者ら約三十人が出席した。
ワーキングチームは原則年一回開催。県は先月二十二日に外出制限措置の徹底や規律違反者やその上司の責任の厳格化などをまとめた七項目計二十の防止策を提案した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071700_02.html
2008年3月3日(月) 朝刊 23面
建造物侵入 米兵逮捕
沖縄市知花の県建設業協会中部支部のガラス戸を割って室内に忍び込んだとして、沖縄署は二日、建造物侵入の容疑で米空軍嘉手納基地所属の上等兵ウェスリー・タフト容疑者(21)を逮捕した。容疑を認めているという。タフト容疑者は「キャンプ・シールズのフェンスを乗り越えて基地外に出た」と話しており、呼気一リットル当たり〇・三六ミリグラムのアルコール分が検出された。侵入した事務所はフェンスを越えたすぐ近くにあった。
調べでは、タフト容疑者は二日午前六時四十分ごろ、協会のガラス戸などガラス二枚(五万円相当)を割って鍵を開け、室内に侵入した疑い。
同署によると、同日午前七時ごろ、事務所の異常警報で駆け付けた警備員がガラスの破損を確認し、警察に通報。付近を捜索していた沖縄署署員が、木の棒を持って歩いていたタフト容疑者を見つけた。同容疑者は草むらの中に逃走、当初は否認していたが、任意同行して詳しく事情を聴いたところ、容疑を認めたため逮捕した。
ガラスを割るときに使ったとみられる別の鉄の棒も近くの草むらで発見された。室内に侵入した形跡はあるが、物や金が取られた様子はないという。
タフト容疑者は発見当時、私服で、フェンスを乗り越える際にできたとみられるかすり傷があるという。米軍は現在、県内の米兵や家族を原則外出禁止にしている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803031300_03.html
2008年3月3日(月) 朝刊 23面
米車両出火 立ち往生/名護市汀間
【北部】二日午前十時四十五分ごろ、北部訓練場へ向かっていた米海兵隊の大型車両一台が名護市汀間の国道331号で出火した。火が出た車両を含めて隊列の大型車両三台が停止し、二時間以上にわたって交通が片側一車線通行に制限された。
目撃者によると、大型車両のタイヤ付近から煙が上がったという。キャンプ・シュワブの消防車が駆けつけた。引火を避けるため、車両から水タンクやテントなどの装備品を道路脇に運ぶなどし、一時、騒然とした。
ブレーキ系統の不具合が原因の可能性がある。
現場にいた米軍幹部によると、キャンプ・ハンセン(金武町)所属の医療部隊で、北部訓練場での野営訓練に向かう途中だった。搭載していたのは「水や食料などで危険物はなかった」という。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803031300_04.html
2008年3月3日(月) 夕刊 1・5面
知事「綱紀粛正に疑念」/米軍事件続発
外出禁止措置が続く中、米空軍嘉手納基地所属の上等兵が基地外に出て、沖縄市の県建設業協会中部支部のガラス戸を割り侵入した事件で、仲井真弘多知事は三日午前、「日米両政府や米軍が再発防止策を検討している最中、相次ぐ事件の発生は米軍の取り組みに疑念を抱かせる。綱紀粛正が徹底されていないと言わざるを得ず、極めて遺憾」とのコメントを発表した。米軍に対し、「あらためて隊員一人一人に至るまで、より一層の綱紀粛正を徹底し、事件・事故の再発防止に万全を期すよう強く求める」としている。
仲井真知事は、登庁の際にも「よほど綱紀がたるんでいるのだろう。ちょっとあきれている」と述べ、外出禁止措置はしばらく続けるべきだ―との認識を示した。
県の上原昭知事公室長は同日午前、在日米軍沖縄調整事務所長のマーク・フランクリン大佐と第一八航空団司令官のブレット・ウィリアムズ准将に、綱紀粛正の一層の徹底と事件・事故の再発防止を口頭で申し入れた。
米軍は米兵による事件続発を受け、先月二十日朝から四軍対象に外出禁止措置を実施している。リチャード・ジルマー四軍調整官らが、三日に解除するかどうか検討することになっている。
◇ ◇ ◇
禁足令 早速破たん
【中部】「再発防止策は機能しているのか」。米空軍嘉手納基地所属の上等兵が、沖縄市知花の事務所のガラス戸を割り侵入した事件に、基地周辺自治体の首長らは、日米両政府による再発防止策の実効性に疑問の声を上げ、怒った。
沖縄市の東門美津子市長は「今回の外出禁止令について、兵士たちはどう認識しているのか。再発防止の取り組みはどうなっているのか。まったく理解できない」と、あきれた表情。
米軍関係者が多く生活する北谷町の野国昌春町長は「相次ぐ事件の反省が米軍全体に行き届いていない証拠で、組織の統制が取れていない。容疑者がもし民間人と接触していれば、もっとひどい事件になったかもしれない。外出禁止令期間中にこんなことが続けば、住民の不安は高まる一方だ」と語気を強めた。
嘉手納町議会基地対策特別委員会の田中康榮委員長は、外出禁止令が守られないことを象徴する事例だと指摘。「米軍は綱紀粛正を訴えるが口先だけ。この状況では、住民側も自らの安全を守る方法を考えるべきではないか」と訴える。
二十三日の県民大会では「何が米軍人犯罪の抑止につながるか、根本的な解決策を話し合う場になるといい」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803031700_01.html
2008年3月3日(月) 夕刊 5面
基地警備員 パワハラ提訴
九カ月間仕事を与えられず事務所内で待機を命じられるなど、パワーハラスメントで精神的苦痛を受けたとして、在沖米海兵隊日本人警備大隊に所属していた基地従業員の男性(41)が三日午後、元上司の従業員男性に三百万円の損害賠償を求める訴えを那覇地裁に起こした。
原告の男性は「司令官をはじめ、米軍人は数年で交代する。長年いる少数の日本人幹部が強権を振るっており、職場は異常な状態。パワハラに泣き寝入りする人をこれ上増やさないために提訴した」と語った。
原告の男性によると、二〇〇六年一月から十月までの九カ月間、キャンプ瑞慶覧内の警備大隊事務所に出勤した上で、何もせずいすに座っているように命じられた。理由は明示されないままで、新聞などを読むことも禁じられたという。
さらに、男性が犯罪に関与したかのような張り紙を海兵隊基地の各ゲートに掲示し、名誉を傷つけられたとしている。
海兵隊の基地ゲートの警備に当たる同大隊では、憲兵司令官から基地外で拳銃を携帯するよう命じられたり、パワハラを訴える署名が隊員の過半数に達し、沖縄防衛局が調査を始めるなど、トラブルが頻発している。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803031700_02.html
2008年3月4日(火) 朝刊 1面
在沖米軍 外出禁止 夜間のみ
軍属・家族対象外に
在沖米軍は三日、相次ぐ米兵の事件を受け、沖縄駐留の全隊員と軍属、家族の外出を原則禁止とした「反省の期間」を終了すると発表した。軍属と家族を対象から除外した上で、軍人については午後十時から午前五時までの夜間外出制限に大幅緩和する。軍人については基地外の飲酒を全面禁止する。午前五時以降に基地内に戻った場合や、基地外居住者に対するチェック体制などは不明。二日には外出禁止措置を破った米空軍嘉手納基地所属の上等兵が、沖縄市の民間施設への建造物侵入容疑で逮捕されたばかりで、外出制限措置の「緩和」に地元の反発が強まっている。
在沖米軍トップのリチャード・ジルマー四軍調整官らが三日、対応を協議。夜間外出制限の対象軍人は年齢や階級に関係なく全隊員に適用することにした。また、基地外に外出した軍人は午後十時までに、所在地から基地や自宅に向けて出発しなければならない、と規定している。在沖米軍は二月十日の暴行事件後、別の暴行事件や住居侵入など米兵による事件が多発したことを受け、「反省の期間」として、軍人・軍属とその家族に対し、二月二十日朝から外出禁止措置を実施。二十五日に継続を表明した後、今月三日に再検討するとしていた。
ジルマー四軍調整官は「夜間外出禁止令と、日本側と協力して実施する防止策を組み合わせることで犯罪発生の可能性を削減しながら、隊員や軍属らにとって最良の環境を提供できる」としている。
「県民大会参加を」
実行委準備会 超党派訴え
米兵による事件続発を受け、二十三日に抗議の県民大会開催を目指す実行委員会準備会は三日、県庁で記者会見し、「これ以上の犠牲者を出さないために超党派の県民大会を開催し、県民の総意を早急に明らかにしなければならない」と、参加を呼び掛けるアピールを発表した。
二日にも沖縄市で空軍兵が建造物侵入容疑で逮捕されるなど、日米両政府による再発防止策に効果がないことは明白だと指摘。大会の要求項目とする基地の整理・縮小などは県議会も決議しているとして、不参加を決めている最大会派の自民にも再考を要請した。
会見した県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「再教育は兵士に浸透していない。まるで戦後の無法状態だ」と憤った。県婦人連合会の小渡ハル子会長も「県民が一丸になるべきで、誰が得をするという問題ではない。自民も県も変わってくれると期待している」と語った。
六団体による準備会はアピールで、暴行事件の容疑者が釈放されたことについて、「被害者には一点の瑕疵がないにもかかわらず、つらい思いをさせ、支えられなかったことを厳しく受け止めなければならない」と表明。「私たち大人が日米両政府や米軍に要求し、解決を図る」と強調した。
四十一市町村と各議会、教科書検定問題の県民大会を支えた二百五十以上の団体にも協力を呼び掛ける。また、県内両紙に大会の広告を出すため、個人・団体に協賛を募る。八日に実行委員会の結成総会を開き、大会準備を加速させる。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803041300_01.html
2008年3月4日(火) 朝刊 29面
「反省やはり形だけ」/首長や団体批判強める
米兵による事件が引きも切らない中、米軍は三日、「反省の期間」終了を一方的に通告し、外出禁止を大幅に緩和した。「反省はやはり形だけ」「また事件が起きたらどう責任を取るのか」。首長や市民団体からは反発の声が上がった。
野国昌春北谷町長は「外出禁止令は米軍の一種のパフォーマンスにすぎない」と厳しく批判。「組織のたるみで、度重なる事件について指導が下部の兵士まで行き届いていない。反省の態度がない中で緩和は理解できない」と語気を強めた。
沖縄市議会は米空軍兵の建造物侵入事件について基地に関する調査特別委員会を五日に開き、対応を協議する。与那嶺克枝委員長は「外出を禁止しても事件が発生する事態を米軍がどうとらえているのか疑問だ。機能していない措置を、さらに緩めるのか」とあきれた様子で話した。
県婦人連合会の小渡ハル子会長は、「外出禁止令を出すなら、三カ月は続けなければ効果がない。反省はやはり形だけだった」と憤る。「戦後六十年以上この調子。県民大会でまとめて追及していく」と語った。
「あり得ないタイミングだ。緩和してまた事件が起きたら、どう責任を取るのか」と絶句した沖縄平和運動センターの山城博治事務局長。「私たちに残されているのは、抗議の世論を高めることだけだ」と訴えた。
県平和委員会の大久保康裕事務局長は「基地がある限り間違いなくまた犯罪は起こる。外出禁止自体が、その場しのぎの反省のポーズでしかなかった」と断じ、「そのポーズすらしないというのは、開き直りそのものだ」と非難した。一方、北谷町で飲食店を営む米国人(33)は「家族や軍属の外出禁止が解除されたのは当然」と歓迎した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803041300_02.html
2008年3月4日(火) 朝刊 2面
ワーキング班 7日会合/日米で再発防止策調整
米兵暴行事件を受け、外務省は日米の関係機関が一堂に会し、米軍人関係者による事件・事故の再発防止策を話し合うワーキングチーム会合を、七日午前、那覇市の同省沖縄事務所で開催することを決めた。外出制限措置の徹底のほか、日米の共同パトロールや防犯カメラの設置など日米と地元で見解の分かれている防止策についても意見交換し、調整を図る。
同チームは、国や県のほか県内の米軍基地所在市町村や商工会、在沖米軍などが構成メンバー。
県は先月二十二日、「米軍人等犯罪防止対策に関する検討会議」(会長・仲井真弘多知事)で外出制限措置の徹底や、規律違反者とその上司の責任の厳格化など七項目、計二十の防止対策をまとめた。
県はワーキングチームなどに提案し、実現を図る考えを示しており、今回の会合で具体的な対応策の方向付けが図られる見込み。
米軍人関係者の事件・事故防止をめぐっては、在日米軍の作業部会が近く在沖米軍を訪ね、再発防止策の検討のための意見聴取を予定している。
ワーキングチームの協議内容が、同作業部会のヒアリングにも反映される見通しだ。
ワーキングチームの全体会合は通常年一回開催し、前回は昨年八月に開かれた。
今回は米兵暴行事件などを受け、急きょ開催が決まった。
「非常に遺憾」
米軍事件に外務次官
【東京】藪中三十二外務事務次官は三日の定例会見で、米軍関係者による事件が相次いでいることについて、「米軍、米政府も非常に重く受け止め、相当厳しい措置を取ってきている中で再発するというのは、非常に残念で、遺憾だ」と不快感を示した。
その上で、「日米で取り組んでいる再発防止策の策定について、これをきちんと実行に移すということが、なお一層大事になっている」との考えを強調した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803041300_03.html
2008年3月4日(火) 朝刊 1面
国・4業者 あすにも和解/辺野古調査 超過金訴訟
【東京】米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖移設計画の中止に伴い契約解除された、ボーリング地質調査などの受注業者四社が、作業の長期化などで生じた計約二十二億六千万円の契約超過分の支払いを国に求め東京地裁に起こした訴訟で、国と業者側が五日にも和解する予定であることが三日、分かった。国は業者側の要求を大筋で受け入れる方向で最終調整している。予算措置を経ていない公金支出の責任を負う異例の事態を受け、防衛省は今後、関係者の処分などの検討に入る。
訴訟は、契約解除された十三社のうち四社が、二〇〇六年から相次いで提訴。審理は、併合されないまま、各十回程度行われてきたという。
契約額の超過分について、防衛省は当初、「財務会計上の再契約などによる超過の負担行為措置を取っていない以上、予算支出はできない」などと難色を示していた。
しかし、業者側は「作業船の待機や現場への航行、夜間作業などは那覇防衛施設局(現沖縄防衛局)職員の了解、指示を得たもの」として、再契約などの措置を怠ったのは国の手続きミスと指摘。
国は今回、こうした業者側の意向を受け入れざるを得ないと判断したもようだ。名護市辺野古沖への移設は、現在の在日米軍再編に伴うキャンプ・シュワブ沿岸部への移設案(V字案)の前に日米特別行動委員会(SACO)で日米合意された計画。〇四年九月に現場でのボーリング調査が着手されたが、辺野古沖では連日、反対する市民団体らが作業を阻み、計画は断念に追い込まれた。
同計画に関する予算総額は〇一年度から〇五年度までの五年間の歳出ベースで六十五億三千万円に上るが、今回の超過金などでさらに膨れ上がることになる。(島袋晋作)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803041300_04.html
2008年3月4日(火) 朝刊 29面
「軍隊は住民守らぬ」/暴行事件通し広島の中学生
「この事件で確信したのは、軍隊はやはり住民を守らないということだ」「みんなを助けるために基地を置いているという理屈はまったく通りません」。沖縄戦を学んだ広島県の中学生たちが、米兵による暴行事件を本紙を通じて知り、沖縄の問題や軍隊、基地のつながりについて深く考え始めている。広島県福山市にある私立盈進中学校の二年生百五十三人は、一年かけて演劇や映画鑑賞、体験者の講演会などさまざまな形で沖縄学習に取り組んだ。沖縄戦の住民虐殺や「集団自決(強制集団死)」も学び、一月三十一日からは二泊三日の日程で、現地学習も行った。平和の礎など南部戦跡や読谷村のチビチリガマ、宜野湾市の佐喜眞美術館などを回り、さまざまな戦争体験に耳を傾けた。
広島に戻り沖縄問題を深く考えようとしていたところで米兵暴行事件が起きた。事件後の二月十三日のロングホームルームで二年生四クラスすべてが、沖縄タイムスの号外や詳細を伝える翌日の夕刊の記事をプリントして配り担任が読み上げた。生徒たちは全国紙などの本土紙では、分からない事件の大きさと重さを知り、熱心に聞き入ったという。その後書いた沖縄学習の感想文では、約半数の生徒が事件に触れた。
女子生徒は「沖縄に米軍基地があるのは日本を守るためと言われています。では、日本を守るための米兵が何故日本人を傷つけるのでしょう?」と疑問を投げ掛けた。
「日本を守ってくれるはずの米兵が逆に暴行するなどありえない話だ」と記す生徒や、「こんな事件が起きているのに日本は平和だとは言えないと思います。(略)日本はこの問題に真正面から向かっていくべきだと思います」と書く女子生徒も。
男子生徒は「この事件は沖縄だけの問題ではなく日本全体の問題として考えないといけないと思う。そして沖縄という地をもっと平和な地にしたい」と訴えている。
学年主任として沖縄学習を進めてきた前田秀忠教諭は「沖縄で多くの人と出会うことで十代の敏感な感性が刺激を受けたのだろう。歴史を学ぶだけでなく自ら歴史と向き合う意志を感じ心強い。これからを生きる土台になる」と話している。生徒たちの感想は文集にまとめられ、関係者などに配ることにしている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803041300_05.html
琉球新報 社説
やまぬ米兵犯罪 「禁足令」では解決しない
米兵による不祥事はやむ気配がない。米軍当局の兵士に対する教育や指導はどうなっているのか。
何も難しいことを求めているのではない。社会の秩序やルールを尊重するのは基本的な当たり前のことだ。それがなぜ守れないのか。憤りを通り越してあきれ返る。
米空軍嘉手納基地所属の上等兵が2日、建造物侵入容疑で沖縄署に逮捕された。沖縄市知花の民間事務所のガラス戸などを割って事務所内に侵入した疑いだ。米兵は容疑を認めている。
2月上旬に発生した女子中学生暴行事件やその後も米兵関連の事件が頻発したことを受け、在日米軍は2月20日から米軍人と軍属、家族らに対し、終日の外出禁止措置を取っている。そんな最中に起きた事件である。
調べによると、同容疑者は酒に酔い、禁を破って基地のフェンスを乗り越え、揚げ句に民間事務所のガラスを鉄製の棒で割って侵入した。言い訳できない蛮行である。軽微な罪種だからといって許されるものではない。
禁足令は「反省の日」として取られた措置だ。事件を未然に防ぐ狙いもある。しかし今回の事件は、禁足令が再発防止策として効果的に働いていないことを物語る。米軍当局はこの事実から目を背けてはならない。
相次ぐ米兵事件に対し、米国務長官や駐日米大使、在沖米四軍調整官らがこぞって謝罪し、綱紀粛正を約束したが、あれは何だったのか。空手形となったいま、しらじらしく響く。
四軍調整官を頂点とする在沖米軍の指揮・命令系統が末端まで行き届いていないのではないか。そんな疑念が消えない。組織として機能不全に陥っているとしか言いようがない。
仲井真弘多知事は、米軍の取り組みに疑問を呈した上で「綱紀粛正が徹底されていないと言わざるを得ない」と批判。仲里全輝副知事は「犯罪の軽重ではない。これは軍隊としてだけではなく、米国の恥辱の問題だ」と指弾したが、的を射た発言であり、多くの県民もまた同じ思いだろう。
なぜ事件、事故はいつまでも繰り返されるのか。規律の緩みに起因していることは、まず間違いあるまい。再発防止策として警察と米側による共同パトロールや防犯カメラの設置などが、日米間で検討されている。だが、法の順守などの基本的な要件が徹底して満たされない限り、実効性は望むべくもない。根本的な問題にメスを入れるべきだ。
県民にこれだけ不安を与え、不信感を買いながら、米軍側から責任の所在を問う声が聞こえてこないのも腑に落ちない。
(3/4 10:01)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31896-storytopic-11.html
2008年3月4日(火) 夕刊 1面
米兵犯罪「対策徹底を」/県、米軍に7項目要請
米兵暴行事件など相次ぐ米軍関係者の事件を受け、県の保坂好泰基地防災統括監は四日、北中城村・キャンプ瑞慶覧の在日米軍沖縄調整事務所や浦添市の在沖米国総領事館、那覇市の沖縄防衛局を訪ね、米軍人らによる犯罪の防止対策の徹底を申し入れた。
保坂統括監によると、在日米軍沖縄調整事務所で応対したマーク・フランクリン所長は「上司に伝える。実効性のある施策を協議していく」と答えたという。
外出禁止措置中に米兵がフェンスを乗り越え沖縄市内の民間施設に侵入した事件について、フランクリン所長は遺憾の意を示したが、三日夜から導入された外出禁止措置の緩和策については言及しなかったという。
在沖米国総領事館ではカーメラ・カンロイ首席領事が、沖縄防衛局では岡久敏明管理部長がそれぞれ応対。岡久管理部長は「私どもも、防衛省も含めて最大限努力したい」と述べた。
要請書は北谷町で起きた米兵暴行事件に触れ「強い憤りを覚える」と糾弾。米軍人に対する研修(教育)プログラムの見直しや生活規律の強化、基地外に居住する米軍人らの対策、防犯施設の充実・強化など、県が二月二十二日にまとめた七項目の防止対策を説明し、防止策に県の考え方を取り入れるよう強く求めた。
保坂統括監は「米側も何度も再発防止を言ってきているが、なかなか実効性が担保されていない」と指摘。七日に開催されるワーキングチーム会合に触れ、「県も参加し、みんなで力を合わせて取り組んでいきたい」と訴えた。
県は午後、外務省沖縄事務所に同様の要請を行う。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803041700_03.html
2008年3月4日(火) 夕刊 5面
うるま議会抗議決議/民間地銃携帯
【うるま】うるま市議会(島袋俊夫議長)は四日午前の三月定例会冒頭で、同市内の米軍キャンプ・コートニーなどで、日本人警備隊員が実弾が装てんされた拳銃を携帯したまま民間地域を移動していた件で、再発防止などを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。
同件での抗議決議は県内市町村議会で初めて。決議では警備隊員の基地外の拳銃携行が同市のキャンプ・コートニーからキャンプ・マクトリアスまでの約二キロに及んでいることや、過去には県内で日本人警備隊員の拳銃を狙った事件が発生していることなども指摘。携行は銃刀法違反の恐れもあるとして、米海兵隊憲兵隊司令官が、日米地位協定上禁止されている行為を基地従業員に強制することは容認できないと強調している。
再発防止と事実関係の公表、米軍組織の管理体制と責任の明確化を求めている。抗議決議のあて先は首相、外相、防衛省など。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803041700_04.html
2008年3月5日(水) 朝刊 1面
民間地飛行回避を/普天間アセス
米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料について、県は四日、騒音やジュゴン調査などに関する二十六項目百一件の「県の意見」を取りまとめ、文化環境部長名で沖縄防衛局に郵送した。意見の中で県は「民間地上空の飛行ルートを回避するという名護市長や宜野座村長との基本合意を誠実に履行する必要がある」と注文を付けた。防衛局は来週にも方法書を確定し、再公表を実施。早ければ今月中にもアセス調査の許認可を県などに申請する。
意見送付を受け、沖縄防衛局は同日、「速やかに所要の手続きを行い、できるだけ早く環境調査を実施したい」との方針を示した。
防衛局は方法書を確定するに当たり、追加修正資料を県に提出した際と同様に、県内五カ所で二週間の閲覧期間を設ける見通し。その後、アセス調査に必要な水質や海域生物調査など約十項目の許認可を県や名護市に申請する。
追加修正資料で「訓練の形態などによっては集落上空を飛行することもあり得る」と記載されたことを受け、県は意見の中で、集落上空を飛行する訓練形態を具体的に明らかにするよう求めた。
また、サンゴ類や海藻、ジュゴン、動植物、アジサシ類などの調査について一年では不十分と判断。「(アセス調査で)影響を大きく受けると考えられる環境要素にかかわる調査は、四季の調査や複数年調査を実施するなどその手法を重点化して行わなければならない」と指摘した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803051300_03.html
2008年3月5日(水) 朝刊 2面
再発防止に「教育改善」/米兵暴行事件
【東京】在日米軍トップのエドワード・ライス司令官(空軍中将)は四日夕、防衛省に石破茂防衛相を訪ね、米兵暴行事件に遺憾の意を示した。その上で、事件を受けてライト前司令官が取り組んでいた教育プログラムの改善について、「引き続き推し進めていきたい。さらに改善できるよう、努力していきたい」と再発防止に積極的に取り組む姿勢を表明した。
会談で石破防衛相は「幾つかの不幸な事件があったが、こういったことは、同盟の根幹を揺るがしかねないような重要な問題だ」と事件の深刻さを強調。その上で「米政府、在日米軍が、迅速に誠実に対応しているということが必要だ。それだけではなく、きちんと目に見えるように(国民に)分かってもらうことも必要だ」と指摘した。
これに対しライス司令官は、「在日米軍はこういう事件が起きないよう、地元と協力し、安心感を与えるために何でもする」と説明。また、「今回は沖縄のことについて本当に心を痛めているが、日本中すべての米軍基地で、これらが徹底できるように努力していきたい」との考えを強調。
両者は、在日米軍再編の着実な実施に向けて努力する方針も確認。石破氏は抑止力の維持について、「日本では大きな議論になりにくいが重要なことであり、きちんと議論し国民に納得してもらう必要がある」と説明。
これにライス司令官も「中心的課題として議論していく必要がある」と応じた。
◇ ◇ ◇
県提案 協議の意向/外務省沖縄事務所
県の保坂好泰基地防災統括監は四日、外務省沖縄事務所を訪ね、米軍の犯罪の防止策について要請した。応対した倉光秀彰副所長は「事件・事故は減る傾向で努力が実を結んだかと思ったところに一連の事件が起こった。非常に残念」と述べた。
倉光副所長は「事件・事故を一気に皆無にするのはなかなか困難。県の提案も踏まえ継続的に取り組んでいきたい」と述べ、七日開催のワーキングチーム会合で協議する意向を示した。
保坂統括監は「個人的見解」と前置きした上で、「米軍のそれぞれの任期は長くても三年だが、県民は戦後六十年余り米軍と隣り合わせ。軍は組織として過去の犯罪を認識するよう、特に兵隊を管理監督する上官は後任者にしっかり引き継ぐよう、外務省からも伝えてほしい」と求めた。
またワーキングチーム会合の開催数を増やすよう要望した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803051300_06.html
琉球新報 社説
外出禁止緩和 あきれる外相の傍観姿勢
「全く米軍の自主的な措置なので、われわれがとやかく言う話ではない」。これは4日の閣議後記者会見で、在沖米軍が軍関係者の外出禁止措置を緩和したことについて問われた高村正彦外相の発言である。
一体全体、駐留米兵によって国民の安全が脅かされている現状をどう認識しているのか。あまりにも傍観者的で危機感に乏しい。
米兵女子中学生暴行事件をはじめ度重なる事件を受け、米軍は2月20日から「反省の期間」として軍人、軍属、家族の外出禁止措置を実施してきた。
だが期間中も、フェンスを乗り越えた嘉手納基地所属の上等兵が建造物侵入容疑で逮捕されるなど、一向に反省の色が見られない。
県民の多くは、事件が相次いでいるので外出禁止措置がそのまま継続されるものと考えていたのではないか。
ところが在沖米軍は、軍人は午後10時から翌日午前5時までの夜間だけを外出禁止とし、軍属と家族の外出禁止措置は解除した。
「『反省の日』の期間は終了した」と言ってのける米軍の神経は、到底理解できない。
米軍人は基地内と自宅以外での飲酒が禁じられたとはいえ、午後10時までは自由に民間地域に立ち入ることができる。規制を解かれた軍属に対し十分に教育がなされたのか。米軍は県民の不安を取り除き、再び事件を起こさないための対策を何ら示し得ていない。
「反省の期間」でさえ事件が起きた。「綱紀粛正を図っている」という米軍の説明をうのみにするのはよほどのお人よしだろう。
そのような中で、外相が「とやかく言う話ではない」と、まるで傍観者のような姿勢を取っていて、果たして事態を改善できるのか。
沖縄の米軍は日米安全保障条約に基づき駐留している。もとより、米軍基地がなければ兵士による犯罪が起きることもない。米軍人等による事件・事故は、過重な基地負担を沖縄に強いてきた国策の結果、もたらされたものだ。
日米安保に関する外交政策を担うのが外務省だ。そのトップである外相は、国策によって被害者が生まれていることを、十分に理解する必要がある。
本来、続発する事件に対し猛然と米国に抗議しなければならないはずの外相が、米国に遠慮し、及び腰の姿勢を続けていたのでは、いつまでたっても事件・事故を減らすことはできないだろう。
町村信孝官房長官も4日の会見で「さすがに家族について、いつまでも外出禁止というわけにはいかないのだろう」と、米軍の対応に理解を示していた。
政府は、米軍ではなく、沖縄県民の目線に立って、事件の再発防止に取り組むべきだ。
(3/5 9:53)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31922-storytopic-11.html
2008年3月5日(水) 夕刊 1面
超党派結集 困難に/県民大会
米兵による暴行事件で、県議会の米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)は五日、県婦人連合会や県子ども育成連絡協議会などが事件に抗議し、超党派の県民大会開催を求めた陳情について協議した。与党の自民と公明県民会議が「会派で結論が出ていない」と持ち帰って検討する意向を示し、継続審議となった。次回の軍特委は十七日以降に開催される予定だが、与党内部では大会への組織的参加に反対する意見が強く、二十三日に予定されている県民大会への超党派結集は極めて厳しい状況になった。
「超党派」を前提条件にしていた仲井真弘多知事の参加も見送られる公算が大きい。超党派による県民大会の可能性が閉ざされた場合は、開催を目指す団体・組織からの反発は必至だ。
陳情は「県民は戦後一貫して基地からの被害を受け、人権そのものが踏みにじられてきた」と指摘。暴行事件後も相次ぐ事件・事故を批判し、日米両政府の謝罪と再発防止の具体策を求め、県議会を含めた超党派の県民大会開催や日米地位協定の抜本的改定などを求めている。
軍特委で、仲井真知事の参加について、上原昭知事公室長は「被害者や家族の心情を第一に、広く県内の各界各層の声を聞く必要がある」と答弁した。
県議会や県内全四十一全市町村議会の抗議決議可決や県民大会実行委員会準備会の呼び掛けに対し、野党の委員からは「抗議は全県的で各界各層を網羅している。事件を許さないという悲痛の叫びだ。仲井真知事が先頭に立ち、再発は許さないという強い怒りを内外に表明するべきだ」と暴行事件後も相次ぐ米兵の事件に、「もはや綱紀粛正では体をなさず、県は怒りの意を表明するだけでは駄目」と強調。「告訴を取り下げた被害者の心情を代弁し、県民大会で再発防止を訴える」などの意見が上がった。
自民の委員からは「告訴を取り下げ、『そっとしてほしい』と望む被害者の感情を尊重すべきだ」と開催に否定的な意見が出た。さらに「開催日時や場所を一方的に決め、押し付ける手法はおかしい」という批判も出た。
自民、公明県民会議は近く、会派内で対応を協議し、最終的な判断を示すとしている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803051700_01.html
2008年3月5日(水) 夕刊 1面
国、業者に21億8000万円/辺野古調査超過金訴訟
【東京】米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖移設計画の中止に伴い契約解除された、ボーリング地質調査などの受注業者四社が、作業の長期化などで生じた計約二十二億六千万円の契約超過分の支払いを国に求め東京地裁に起こした訴訟の和解案の全容が五日午前、分かった。国は業者に二十一億八千万円を支払うことに応じ、同日午後に正式に確定する。
予算措置を経ていない公金支出の責任を「組織」として負うという異例の事態を受け、防衛省は今後、関係者の処分などの検討に入る。
訴訟は、契約解除された十三社のうち四社が、二〇〇六年から相次いで提訴。双方の主張、立証が終結し、東京地裁が二十一億八千万円の和解金を支払う案を提示。
業者側はこれに応じ、当初は「財務会計上の再契約などによる超過の負担行為措置を取っていない以上、予算支出はできない」などと難色を示していた国側も訴訟の長期化などを懸念し、受け入れることとなった。
防衛省は和解について「再発防止策を講ずるとともに、引き続き普天間飛行場代替施設建設事業を円滑に実施していきたい」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803051700_03.html
2008年3月5日(水) 夕刊 5面
大浦サンゴ群落調査/基地影響解明へ
【名護】日本自然保護協会(NACS―J)や沖縄リーフチェック研究会は四日、昨年九月に名護市の大浦湾で見つかったアオサンゴ群落の現地調査を開始。群落周辺に生息する貝や砂など底質のサンプリングを行った。
調査は、六日までの予定で行われ、水質やユビエダハマサンゴ群落周辺の調査なども行う予定。
アオサンゴの大群落については、ジュゴン保護基金委員会と沖縄リーフチェック研究会が今年一月に調査を行ったが、より詳細な調査を行うため、同協会が調査に参加した。
同協会の大野正人さんは「内湾状の湾で、広くアオサンゴの群落が生息している特異な環境。今後調査を続け、基地建設によってどのような影響を受けるかを解明したい」と話した。
同協会では、今後調査を予定している世界自然保護基金(WWF)の調査結果と合わせて、今年五月か六月ごろに結果を公表する予定という。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803051700_06.html