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野党3党、地位協定改定案提出へ 普天間代替アセス書確定 自民、米兵事件・県民大会不参加を確認など  沖縄タイムス関連記事(3月13日、14日、15日)

2008年3月13日(木) 朝刊 1面

米軍即応訓練 今年最高104・5デシベル

70以上も最多138回

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に伴い、嘉手納町屋良で十二日午後、ことし最高値となる一〇四・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音も同日午後五時までに、百三十八回発生。一日当たりの発生回数としては今月最多となった。同訓練には米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機も参加しており、即応訓練と外来機の爆音被害が周辺住民の生活を脅かしている実態が浮き彫りになった。同問題で、嘉手納町議会は十三日午後、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、対応を協議する。

 田仲委員長は「(十二日は)児童たちが耳を押さえながら登下校していた。外来機による騒音被害は今後も増加が懸念される。訓練の中止と外来機が嘉手納基地を使用しないよう、強く求めていきたい」と話した。

 即応訓練にはF16のほか、同基地所属のF15戦闘機が参加。十二日は午前七時半ごろから、激しい騒音を響かせながら、相次いで飛行訓練を実施した。住宅街に近い北側滑走路を使用して離陸する機体もあった。

 同日は即応訓練の参加機ではない、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機やFA18戦闘攻撃機も同基地を使用している様子が確認された。

 嘉手納町が基地北側滑走路から約四百メートル離れた屋良地区に設置している騒音測定器によると、最高値の一〇四・五デシベルは同日午後一時三十五分に計測。戦闘機の離陸に伴って生じたとみられる九〇デシベル(騒々しい工場内に相当)以上の騒音発生回数も、ことし二番目に多い四十一回あった。

 嘉手納町の担当者は、十二日の嘉手納基地の状況について「F15やF16、FA18など騒音の激しい戦闘機が一挙に基地を使用している状況はこれまで、ほとんどなく、異常な状態。周辺住民に激しい騒音負担を強いている」としている。

 嘉手納基地報道部によると、即応訓練は十四日まで。F16は終了後も同基地に約一週間とどまり、同基地所属のF15と空対空訓練を行うとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_01.html

 

2008年3月13日(木) 朝刊 1面

野党3党 地位協定改定案 提出へ

 【東京】民主党は十二日の「次の内閣」閣議で、米兵暴行事件を受けて国民新党と共同作成した(1)米軍関係者への外国人登録を義務付ける(2)日本側の身柄引き渡し要請に米軍が「同意」する―などを柱とする「日米地位協定改定案」を正式に了承した。民主、国民新と独自に改定案を策定している社民党の三党は政府への共同提案を目指し、十三日から本格的な事務調整に入る。

 民主党の直嶋正行政調会長は十二日の定例会見で、「社民党とこれからすり合わせをして、最終的に三党でまとめたい」と意欲を示した。

 ただ、民主、国民新の案が返還基地の原状回復費用を「米国が負担する」としているのに対し、社民案は「日本政府が義務を負う」と規定。

 基地外居住に関しても社民案は「住民基本台帳法の趣旨に基づく必要事項を日本当局に通報する義務」まで求めていることなど、両案で異なる点が多く、今後の調整が注目される。

 地位協定をめぐっては野党が多数を占める参院を中心に、改定を求める国会決議の可決に向けた水面下の調整も進んでおり、改定に向けた国会の動きが活発化している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_02.html

 

2008年3月13日(木) 朝刊 2面

リゾート施設 中核に/普天間跡利用

計画たたき台提示

 米軍普天間飛行場の返還後のまちづくりを学識経験者や経済・市民団体、地権者などが協議する「普天間飛行場跡地利用計画策定審議委員会」の初会合が十二日、那覇市内のホテルで開かれた。

 県と宜野湾市が、跡地利用計画を具体化するための議論のたたき台(キックオフ・リポート)を初めて提示。観光リゾート産業や研究機関などの中核施設誘致に加え、省エネ住宅やエコ博物館などを整備する環境拠点機能など幅広い構想を盛り込んだ。

 これに対し、委員からは「盛りだくさんだが、何か面白くない。県の(従来の)都市計画を離れていない」「市民や県民の意見を聴くべきだ」などの意見が出た。

 県は今後、同リポートをホームページなどで公表。委員や県民の意見を踏まえて内容を修正した上で、跡地利用計画の方針づくりに着手する。本年度から文献や資料調査を始めている(1)振興拠点(2)住宅地(3)都市拠点(4)環境・公園―の四分野は、二〇〇八年度の方針設定を目指す。

 これに交通や文化財など四分野を加えた合計八分野の方針を取りまとめた後に、具体的な跡地利用計画の策定に入る。県基地対策課は「普天間飛行場が返還される三―四年前には計画を策定したい」としている。次回会合は〇九年三月に開き、方針づくりの成果を報告する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_04.html

 

2008年3月13日(木) 夕刊 5面

即応訓練/嘉手納騒音102デシベル超

 【嘉手納】有事を想定した米軍嘉手納基地の即応訓練は十三日午前も引き続き行われ、同基地所属のF15戦闘機や米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機の飛行訓練とサイレン音、爆発音、発煙を伴う訓練が実施された。基地に隣接する嘉手納町屋良地区では同日午後一時までに、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音を七十六回計測。同訓練や外来機の基地使用による連日の騒音被害で、地元の反発が強まっている。

 訓練に伴い、嘉手納町役場には住民らから「早朝からサイレン音がうるさい」などの苦情が六件寄せられた。

 同町が屋良地区に設置している騒音測定器によると、午前八時十八分に最高値一〇二・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を記録。戦闘機の離陸時に生じたとみられる九〇デシベル(騒々しい工場内に相当)以上の騒音も十五回あった。

 同地区では十二日にも、ことし最高値となる一〇四・五デシベルを計測。七〇デシベル以上の騒音は、一日当たりの発生回数としては今月最多の百八十五回発生している。

 嘉手納町の宮城篤実町長は「外来機が常駐機のように嘉手納基地を使用している」と指摘。十七日に防衛省を訪ね、外来機の基地使用や騒音被害について、改善するよう要請する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131700_03.html

 

2008年3月13日(木) 夕刊 1面

公明、県民大会参加/15日 幹事会で正式決定

 【東京】米兵による事件・事故に抗議する県民大会について、公明党県本の糸洲朝則代表は十三日午前、日米地位協定の見直しなどを求める大会の趣旨が党の立場と合致するとして、参加することを明言した。十五日に幹事会を開き正式決定するという。都内で記者団に答えた。

 同党の遠山清彦参院議員や糸洲代表らは十三日午前、寺田稔防衛政務官や小野寺五典外務副大臣らと会い、再発防止策の早急な実施や日米地位協定見直しなどを要請。

 寺田政務官は地位協定について「抜本的な議論が必要だ」と述べ、在り方を議論する必要性を指摘したという。小野寺副大臣は「沖縄に対し占領国の意識が米兵にあるのではないかと疑いを持つ。研修プログラム見直しを真剣にやりたい」と述べたという。

 要請書では(1)県が示した防止対策七項目の早急な実施(2)容疑者の起訴前の身柄引き渡しに応じるなどの地位協定改定(3)基地の整理・縮小や兵力削減の目に見える進展―を求めた。


自民参加可否 あす結論集約


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十三日午前の役員会で対応を協議した。

 役員会では、議員総会を十四日正午から開き、県民大会に対する結論を集約することを確認した。同県連は週明けにも上京し、地位協定の抜本改定を要請する方針を決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131700_04.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 1面

普天間代替アセス書 きょう確定

調査許認可申請へ

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省は十四日に環境影響評価(アセスメント)方法書を確定し、早ければ十七日にもアセス調査に必要な許認可申請を県や名護市に提出する方向であることが十三日、分かった。県は申請から認可までの期間を数日から数週間と見込んでおり、三月中の調査着手の公算が大きくなった。

 沖縄防衛局は十四日午後に県に確定した方法書を報告し、ネットで再公表する。十七日以降は、県庁や名護市内など五カ所でも二週間の閲覧期間を設ける予定。県や名護市の許認可が必要なのはサンゴ類や海藻草類、ウミガメの卵の殻などの採取にかかる九項目。

 県は今月四日、県審査会の議論を踏まえ、沖縄防衛局に対し二十六項目百一件の県意見を送付。同局と県が方法書内容の確定のため、調整を進めていた。防衛省幹部は「県と互いに納得できた段階で出したい」と、方法書確定は県の判断次第との認識を示していた。

 一方、県は海上を大規模に埋め立てて作業ヤードを建設する方法の廃止を求めているが、確定後の方法書でも認められない可能性が高い。

 県の意見が方法書に反映されない部分は、アセス調査後に出される準備書作成の段階などに、知事意見として求める方針だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_03.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 30面

基地被害証言ネットで発信/宜野湾市職員が市民に聞き取り

 【宜野湾】米軍普天間飛行場を離着陸するヘリコプターの騒音被害に悩む市民生活の実態を訴えようと、宜野湾市(伊波洋一市長)がビデオで証言を撮影し、ホームページで公開する事業を始めた。市の職員が証言者を直接取材し、国内外での要請活動の際に映像資料として活用する。同市によると、行政が基地被害の証言映像をインターネットで配信するのは全国でも珍しいという。(銘苅一哲)

 同市に設置された「基地被害一一〇番」に市民から寄せられる騒音などの苦情は二〇〇五年度百九件、〇六年度百六十件、〇七年度二月二十九日現在で百八十五件に上り、増加傾向が続いている。

 特に、〇四年八月に起こった沖縄国際大学へのヘリ墜落事故以降、墜落の不安を訴える市民が増えているため、ビデオの証言記録に乗り出した。

 市民の証言記録は基地渉外課が担当し、証言者の自宅や職場で聞き取りする。実際に住宅地上空を飛行する米軍ヘリなどの様子も撮影し、一人五分程度の映像に編集するという。

 取材は主に市民を対象にしているが、隣接する市町村の住民から希望があれば対応する。プライバシー保護のため、声のみの証言も受け付ける。

 伊波市長は「日米両政府や米軍に市民の生の声を届けることで、普天間飛行場の一日も早い閉鎖、返還を実現させたい。一人でも多くの証言を取り上げさせてほしい」と呼び掛けている。

 問い合わせは同市基地渉外課、電話098(893)4411(内線310)。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_04.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 31面

即応訓練 砂辺で111デシベル

 【中部】米軍嘉手納基地で行われている即応訓練に伴い、同基地南側滑走路の延長線上にある北谷町砂辺地区で十二日午後二時三十六分に最大一一一・八デシベル(二メートル手前からの自動車のクラクションに相当)を計測したことが十三日、県などの調べで分かった。多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音も百十六回発生。騒音レベルと発生回数は共に今月最高(データのない十日を除く)だった。

 嘉手納基地北側滑走路に隣接する嘉手納町屋良地区では、同日午後五時までに、七〇デシベル以上の騒音が百三十回あった。最高値は午前八時十八分に一〇二・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。

 沖縄市登川では十二日午後一時五十六分に最高値九八・五デシベルを記録。七〇デシベル以上は四十三回だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_05.html

 

2008年3月14日(金) 朝刊 2面

19日成案作成目指す/地位協定改定案

 【東京】日米地位協定の改定案をめぐり、民主、社民、国民新の三党実務者の初会合が十三日、都内であり、共同提案へ向けて民主・国民新の「両党案」と「社民案」の相違点などを協議した。基地使用期間の設定や拘禁場所の明記など主に四点の違いを確認。今後擦り合わせをしながら、十九日に再び会合を開き、成案作成を目指す。

 二つの案の相違点は(1)基地使用計画の提出期間が両党案十年と社民案四年(2)返還時の原状回復義務が両党案は米国、社民案は日本政府(3)容疑者の拘禁場所を社民案は「日本の施設」と明記(4)外国人登録で社民案は階級番号なども細かく求めている―の四点。

 一方で、基地外居住者の情報を日本側に伝える仕組みの必要性や、起訴前の身柄引き渡しへの同意など、大枠で方向性は一致している。三党は次回までに、具体的な文言なども含め、歩み寄りを模索する考えだ。

 鉢呂吉雄氏(民主)は「地位協定は他国より進んでいるという話もあるが、比較にならないくらい事件・事故が度重なっている。総括的に見直し、できるだけ早く政府側に強く申し入れたい」と訴えた。

 照屋寛徳氏(社民)は「抜本的に改定せよ、というのは沖縄県民の総意に近い。政府が言う運用改善では根本的解決にならない」と強調。下地幹郎氏(そうぞう)は「国に改定案を届けることが役割」と三党合意への決意を述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141300_06.html

 

2008年3月14日(金) 夕刊 1面

知事、参加に意欲/米兵事件・県民大会

議会動向踏まえ判断

 仲井真弘多知事は十四日午前の定例記者会見で、米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会について、「内容が人権の問題や地位協定、再発防止など共通のテーマになりつつある。参加しやすい内容になり始めたと思う」と述べ、参加に意欲をにじませた。一方で、「県議会の参加がどうなるのか。自民や公明の意見も聞きたい」とし、県議会の動向を見極めた上で最終判断する考えだ。

 仲井真弘多知事はこれまで、県民大会への参加について「県民共通の内容がつくれるかどうかだ」と超党派での開催を前提条件としていた。

 しかし、公明党県本が十三日に参加を決めたため、与党の判断を慎重に見極める必要があるとの認識を示した。

 また、米軍による事件・事故が相次いでいることには「何でこういう事件・事故が簡単に起こるのか分かりにくい。綱紀粛正の徹底以前に、基地を提供している地位協定の構造と意識にかなり問題がある」と指摘。

 「基本を変えないで、伸縮自在の巨大な運用が可能だとは思わない」として、地位協定改定の必要性を強調した。


自民、不参加再確認

議員総会 超党派開催 不可能に


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十四日午後、議員総会で対応を協議したが、組織的参加の見送りをあらためて確認した。

 公明党県本(糸洲朝則代表)の参加表明や県民大会の趣旨変更などで、大会参加を求める声も一部にあったが、否定的意見が大勢を占めた。与党最大会派の不参加決定で、超党派開催は不可能になった。

 新垣哲司幹事長は「告訴を取り下げた被害者側の心情に配慮すべきだ。地位協定の改定に関しては県連独自で政府・与党に見直しを働き掛ける」と説明。地位協定改定に向けては、自民党主導で県民大会を開催する意向も示した。

 同県連執行部は、県民大会の趣旨変更を踏まえて週明けにも上京し、党本部や政府与党の考えを把握しつつ、地位協定の抜本的改定を要請する方針だ。

 自民は七日の議員総会で、「告訴を取り下げた被害者や家族の心情への配慮」を理由に、参加見送りを確認していた。だが、幹事団体要請後の十三日に開かれた役員会で、県民大会が暴行事件だけでなく、すべての事件・事故の抗議に広がったこと、日米地位協定の抜本改定に重点が置かれたことを踏まえ、議員総会で意見を集約する必要があると判断。あらためて議員総会を開いた。

 自民は、「事件に対する抗議、綱紀粛正や再発防止策の徹底、基地の整理・縮小では一致している」としつつも、内部では「米軍再編推進で負担軽減を図る与党と、海兵隊全面撤退を求める野党は基本姿勢が違う」「六月県議選を前に、野党の反基地運動に政治利用される」などの見方が強い。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141700_01.html

 

2008年3月14日(金) 夕刊 7面 

嘉手納町、米軍に抗議へ/即応訓練に苦情相次ぐ

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に伴う戦闘機の騒音や拡声器放送の影響で、住民から苦情が相次いでいるとして嘉手納町は十四日午後、同基地司令官に対し、訓練の中止を求め文書で抗議する。同日午前九時三十二分には、同町屋良地区で今年最高値となる一〇四・九デシベルの騒音を記録した。

 即応訓練には同基地所属のF15戦闘機のほか、米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機も参加。基地周辺は連日、戦闘機の離着陸や上空での旋回のため、激しい騒音にさらされている。

 F15やF16は十四日午前も飛行訓練を実施。同町屋良地区に設置された騒音測定器は同日午後一時までに、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音を八十八回計測した。

 即応訓練は十四日までの予定だが、F16はその後も約一週間、嘉手納基地を拠点にF15との空対空訓練を行うとしており、同町は空対空訓練についても中止を求める。

 同町によると、十四日午前十一時までに「うるさくて眠れない」などの苦情が八件寄せられた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803141700_06.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 1面

きょう調査に着手/普天間アセスで防衛省

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省は十四日、環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料の修正版を県に提出し、方法書を確定した。十五日に県の許認可などを必要としないキャンプ・シュワブ周辺でアセス調査に着手する意向も示した。十七日には、県や名護市にサンゴ採取など九項目について許認可申請する。県は随時許認可に応じる構えで、同省関係者は「(調査が順調なら)最短で準備書作成は来年三月ごろ」との見解を明らかにした。

 同省は十五日から沿岸に係る飛来塩分量測定に着手。十七日からは(1)大気質に係る気象調査(2)海域におけるマンタ法等による海藻草類、サンゴ類に係る生息状況調査(3)陸域の植物調査―などを予定している。

 修正版は、方法書に対する県知事意見に加え、その後に同省が提出した追加修正資料に対する県の意見を踏まえて提出された。沖縄防衛局調達計画課の担当者が十四日午後、県庁を訪れ、県環境政策課の担当者に手渡した。

 昨年八月に当初提出した方法書三百一ページに対し、修正版は別添資料を合わせて三百九十五ページに上った。県は「県の意見をほとんど盛り込んでおり、真摯な対応」とした。

 修正版は、台風後のサンゴ類の調査実施を明記。ジュゴン調査で使用するパッシブソナー、水中ビデオカメラの設置場所も新たに明記した。

 一方、県や名護市が求めている滑走路建設位置の沖合修正を想定した飛行経路や騒音調査には「県や関係自治体と調整し検討する」との表現にとどまった。県環境影響評価審査会が廃止案を含め検討を求めた作業ヤードによる海上埋め立ては「環境の改変を可能な限り回避・低減させるなど、環境保全措置を検討する」と抑えた。ジュゴンなど海域生物の複数年調査も「検討する」にとどめた。

 修正版は同日夕、沖縄防衛局や県のホームページで公表。十七日から三十一日午前九時―午後五時まで、沖縄防衛局報道室や同名護連絡所、県庁行政情報センターなど五カ所で閲覧できる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_01.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 27面

進む作業 募る不安/アセス方法書確定

 正確な建設場所や飛行ルートなど、疑問点を残したまま、法的手続きがまた一つ進んだ。普天間代替施設の環境アセス方法書が十四日、確定した。集落上空を飛行する可能性、大量の海砂の使用など詳細が示されてわずか一カ月。防衛省は十五日にも本調査に着手する。

 環境保護団体は「手続きをやり直すべきだ」と反発。地元推進派は「前進」と評価しつつ、飛行ルートには神経をとがらせている。

 大浦湾で環境調査を続けるリーフチェック研究会の安部真理子会長は「サンゴ調査も目的が分からず、方法書の体をなしていない」と批判。「審査会の意見も住民の意見も聞かない。科学者がかかわっているのに、それを無視して進めることは許されない」と語気を強めた。

 ジュゴン環境アセスメント監視団運営委員の真喜志好一さんは、「国は今年二月になって、環境への影響が大きくなるような事実を出してきた。アセス法に従って、方法書の公告・縦覧から手続きをやり直すべきだ」と強調。東恩納琢磨団長は米国ジュゴン訴訟での勝訴を挙げ「米国の裁判で明らかになったように、日本政府は環境対策を明らかにしていない。辺野古への移設計画は即刻中止するべきだ」と訴えた。

 普天間飛行場の移設先辺野古区の有志らでつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「一歩前進と評価したい。再編交付金が支出されれば地域の活性化につながる」と歓迎した。一方、飛行ルートなどが今後の日米協議に委ねられることについては「V字案は住宅地上空を飛行しないという約束で決まった。約束が破られるのなら滑走路は一本でいい」とくぎを刺した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_02.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 2面

自民、不参加を確認/米兵事件・県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十四日午後、議員総会を開き、組織的参加の見送りをあらためて確認した。

 総会では、日米地位協定改定に重点を置いた県民大会の趣旨変更や与党・公明党県本(糸洲朝則代表)の参加表明などを踏まえ再検討したが、「被害者の感情への配慮」などを理由に組織的な参加の見送りで一致した。与党最大会派の不参加決定で、超党派開催は不可能になった。

 新垣哲司幹事長は「地位協定の抜本改定に関しては県連独自で政府、与党に働き掛ける」と説明、抜本改定に向けた県民大会の必要性を強調した。同県連執行部は週明けに上京し、地位協定の改定に対する党本部や政府、与党の考えを把握し、抜本改定を要請する方針を決めた。


知事、判断を留保


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の対応を再協議した自民党県連が十四日、組織的な参加見送りの結論を確認した。新垣哲司幹事長は「告訴を取り下げ、『そっとしてほしい』と訴える被害者側の心情に配慮し、大々的な大会は避ける、と考えを一致させた」と話し、参加するべきだとの意見はなかったという。

 県議会最大会派の決定は覆らず、県民大会の超党派結集は実現しない。総会後の会見で、新垣幹事長は「県民の反発は予想していない。被害者の心情に配慮した判断だ」と繰り返した。

 地位協定に重点を置いた大会の趣旨変更に、自民内部では「地位協定改定は超党派で一致でき、県民の総意だ」と一定の理解も得ていた。だが、「日米安保条約の見直しにもつながる重要な問題。拙速では取り組めない」と認識を示し、参加見送りを決定付けた。

 仲井真弘多知事の訪米前をめどに、地位協定に特化した県民大会開催を提起し、「機運を高め、万全の態勢、準備期間で臨むべきだ」という考えを示した。

 県連執行部は週明けにも上京し、地位協定の抜本改定に向けた要請行動を展開する方針だ。

 仲井真知事は自民党県連の参加見送りについて新垣幹事長から説明を受けた後、「もう少し時間を下さい」と判断を留保。十五日に参加を正式決定する公明党県本(糸洲朝則代表)の動向などをさらに見極める考えを示した。

 ただ、与党の不参加決定で、出席に向けた環境は厳しい。知事周辺には地位協定改定の必要性から、「知事参加」を模索する動きもあるが、「自民が見送りを決断した以上、それを無視するわけにはいかない」(県幹部)との声が広がりつつある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_04.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 27面 

自民に再度要請へ/県民大会実行委

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会に自民党県連が組織的参加の見送りを決めたことについて、県民大会実行委員会の幹部は、あくまでも超党派での開会を目指し、自民県連に大会参加を再度要請することにした。自民県連が応じない場合でも二十三日に大会を開催する方針。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、大会に組織参加しないことを決めた議員総会について説明した自民党県連の記者会見に顔を出し、新垣哲司幹事長らの話を熱心に聞いた。玉寄会長は「大会の開会目的を日米地位協定の抜本的見直しの一点に絞れば、自民党も大会参加が可能になる」と判断。開会目標や大会日程の変更もあり得るとの考えを記者団に示した。

 その後、県婦人連合会の小渡ハル子会長や県老人クラブ連合会の花城清善会長と話し合い、「二十三日の大会開催で動きだしており、日程変更は困難」との結論に至った。十七日午前に実行委幹事会を開いた後、再度、自民党県連に大会参加を要請する。

 小渡会長は「沖縄で米兵による犯罪が続発する状況の、一日も早い改善を願う県民の気持ちを大切にしたい。自民県議や知事には、大会目標が県議会の抗議決議の内容と同じだということを理解し、参加を決めてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_05.html

 

2008年3月15日(土) 夕刊 5面

普天間代替 アセス調査に着手

反対派市民団体が警戒

 沖縄防衛局は十五日、米軍普天間飛行場移設に向けた環境影響評価(アセスメント)をめぐり、風向や風速など気象や潮風による塩害の調査を移設先である名護市のキャンプ・シュワブで実施、アセスの本調査に着手した。

 気象や塩害の調査は、本調査に先行して昨年五月から「事前調査」として既に始めていたが、十四日にアセス方法書が確定したことを受けて本調査に切り替えた。週明けからはキャンプ・シュワブ周辺海域の海藻やサンゴの状況、陸上での植物の生育状況などの調査も予定している。

 辺野古で調査着手を警戒しているヘリ基地反対協の大西照雄共同代表は「秘密主義のアセス方法書に基づいた調査は違法アセスだ。アセスをやり直して、もう一度国民の声を聞くべきだ」と指摘。「本来の法律にのっとってアセスが行われれば、防衛省の言う二〇一四年までの完成はあり得ない」として、国内や国際世論に訴えていく考えを示した。


アセス監視団 意見書を提出

普天間代替で防衛局に


 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団と、辺野古新基地建設を許さない市民共同行動のメンバーは十四日、沖縄防衛局を訪れ、「米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きは、方法書の公告・縦覧からやり直すべきだ」などとした意見書を手渡した。

 両団体のメンバー六人が、七十五人分の意見書を携えて沖縄防衛局を訪れた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151700_02.html

沖縄教科書問題判決に思う

 

 昨日(28日)の大阪地裁の判決は、重いものがありますね。

 現在の司法の深刻な反動化のもとで、当然のことが当然と認

定されないことがあまりにも多い状況下、今回のきわめて当然の判決が出されたのはなぜなのか。

 

 

 わたしは、裁判官の一定の勇気と何よりも沖縄県民の不屈のたたかいとそれを支持する本土のたたかいが背景にあったと思います。

そして、大江健三郎氏の『沖縄ノート』が持つ真実の力があった、と思います。

 

 わたしが、9月29日の県民大会に参加したとき、バスの中で

 大会の「うちわ」を持っている中学生がいました。その団扇には「真実」と書かれていました。大会での挨拶でも、合い言葉
は、「真実」でした。

 

 

 わたしは、恥知らずにも、即時控訴した原告たちの、歴史修正主義の執念は決して侮れないと思います。

 杞憂であることを心から望みますが、高裁判決は絶対に予断
を許しません。民衆の力をさらに強めないと、「そこのけそこ
のけ軍艦が通る」の、素晴らしい漁民を2人殺傷した、海上自
衛隊イージス艦と同じような反動的「力」が法廷を支配するこ
とは十分考えられるのです。私は、率直に言って現在の日本の
司法に絶望的な判断を持っているからです。

 

ともあれ、今回の大阪地裁の判決は、真実と民衆の勝利でした。共に喜び合い、前進して行きたいものです。

みなさんからのメッセージに

今日到着の振替用紙にこんなメッセージが添えられていました。

「米軍兵士の犯罪は基地がなくならない限り、どのような対策をとっても無理ということが日本政府にはわからないようです。みなさま方の運動こそが今最も必要なことなのだと思います。」

まったくその通りだと思います。

しかし、運動が弱小すぎては発展しません。

 

このようなメッセージをいただく度に、もっともっと多くの方に会員になっていただき運動を発展させなければと思います。

ハンセン共同使用、17日から陸自訓練  地位協定見直しで食い違い など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(3月11日、12日)

2008年3月11日(火) 朝刊 1面

金武町、米側に抗議へ/射撃場建設着工

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の建設工事が始まったことを受け、儀武剛町長、松田義政議長、レンジ3に近接する池原政文伊芸区長の三者は十日、同町役場で協議を開き、「負担増につながる」との見解で一致。射撃場建設に反対し、米側に抗議することを決めた。抗議の具体的な方法や日程などは、今後調整する。

 三者の協議に先立ち、沖縄防衛局の赤瀬正洋企画部長らが同町役場を訪れ、儀武町長に工事開始の連絡を米軍から受けたことを報告した。儀武町長は「誠に遺憾で、負担増につながり反対だと伝えた。反対の意思は変わらない。米側に強く抗議していく」と、射撃場建設に強く反対していく姿勢を見せた。

 伊芸区の池原区長は、レンジ4の都市型戦闘訓練施設による訓練や、同レンジ付近で最近爆発音を発生させる訓練や山火事が多発していることを挙げ、「これまでにない廃弾処理などの訓練がレンジ4付近で行われている可能性があり、訓練が過密化して米軍のやりたい放題になっている。レンジ4施設の移転も遅れ、問題がピークに達している」と、怒りをあらわにした。その上で「都市型訓練施設の時と同じやり方で、地元の意向を無視している。これ以上、負担を強いることは許されない」として、十一日にも同区行政委員会を開き、区や同委員会としての対応を協議する考えを示した。

 松田議長は「地元はずっと反対の意思を示している。米国や米軍に、怒りの意思を向けていく」と話し、今週開会する町議会三月定例会で全員協議会を開き、町議会としての対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111300_02.html

 

琉球新報 社説

新射撃場着工 地元の負担増は明らかだ

 地元の負担増に対し配慮のかけらもない。建設工事の強行は人々の不安をあおり、混乱を招くだけである。建設工事をただちに中止するよう強く求める。

 金武町の米軍キャンプ・ハンセン内の海兵隊レンジ(射撃場)3付近にライフル専用射撃場を新設する工事を始める、と在日米軍が通知してきた。

 約600メートルの距離の所にはレンジ4の陸軍都市型戦闘訓練施設がある。地元はただでさえレンジ4での廃弾処理に伴う爆音被害に苦しめられ、山火事なども絶えない。射撃場の新設によって過度の負担を押し付けられることになるのは明らかだ。

 新設計画には地元金武町議会や伊芸区が猛反対し、昨年夏に抗議決議を可決している。そのことを知りながら、なぜ無視する形で着工するのか。その無神経ぶりが全く理解できない。

 しかも、建設地点は本島北部と中南部を結ぶ県民生活、産業活動の大動脈である沖縄自動車道からわずか500メートルだ。伊芸集落からは約1キロ。ライフル射撃の射程にすっぽり入る。これで脅威を感じない方がおかしい。「地元への配慮はないのか」(松田義政・同町議会議長)と憤るのは当然だ。

 防衛省の姿勢にも腑(ふ)に落ちない点がある。

 キャンプ・ハンセンでの訓練などをめぐる地元感情などの実情を熟知しているはずなのに、連絡は徹底されない。町と伊芸区に工事開始を伝えたのは、在日米軍から連絡が入った翌日だった。

 地元にとって安全にかかわる重大事だ。間を置かずに連絡を入れるのが筋ではないか。

 米軍に住民の安全、環境への影響を最小限にするよう求めたと防衛省は説明するが、これもおかしくはないか。安全面や環境の問題などを持ち出すのであれば、普通ならまず中止を求めるべきではないのか。

 米軍との連絡や交渉に際し、工事の着手を前提にするようなやり方では、到底県民を納得させることはできない。工事を取りやめるよう忠言するべきだ。

(3/11 9:56)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32071-storytopic-11.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

防衛相「安保議論も」地位協定見直しで

渉外知事会の要請に

 【東京】米兵による事件続発を受け、米軍基地を抱える十四都道県でつくる渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事や副会長の仲井真弘多知事らが十一日午前、高村正彦外相と石破茂防衛相と会談し、米軍基地に絡む事件・事故の解決に向け、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。松沢知事らによると、石破防衛相は「日米安全保障条約も含めて、もっと根源的なところから議論し直す必要があるのではないか」と述べ、見直しも含めて積極的に議論する必要性を指摘したという。

 地位協定の見直しについて、政府はこれまで一貫して否定的な立場を取っていた。防衛省幹部は石破氏の発言を「これまでの持論」としているが、見直し容認とも取れる閣僚の発言は波紋を広げそうだ。

 松沢知事によると、石破氏は「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、安保、地位協定の問題を、もう一度このままでいいのか議論したい」とも述べたという。

 要請では、容疑者の身柄引き渡しなどの刑事裁判権の見直しや、米軍の規律の保持などの地位協定改定に政府が着手するよう求めた。

 高村外相は、環境問題について「勉強不足なので、米軍が(外国と)結んでいる他の協定との比較や、日本国内で起きている事例でどういう不備があるかもう一度、調査研究する」と述べたという。しかし、容疑者の身柄移転など刑事裁判権については「米韓など外国との協定と比べると最も進んでいる。この件を理由に改定は極めて難しい」との以前からの考えを繰り返したという。

 要請後、仲井真知事は「沖縄でも県民大会を開く動きがあり、協定改定を求める強い意見がある。日本側へ基準を移さないと、時代と合わなくなっている」と見直しの必要性を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_01.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

ハンセン 17日から陸自訓練

初の在沖米基地使用

 【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が十七、十八の二日間の日程で始まることが十一日、分かった。第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施する。陸自は訓練の詳細を十一日午後、正式に発表する。

 在沖米軍専用基地内の日米共同使用は初めて。ハンセンの共同使用では、小火器などを使用した射撃訓練や不発弾処理訓練も想定されているが、今回は比較的経度な戦闘訓練にとどまる見通し。

 共同使用をめぐっては、ハンセン周辺の三町村が昨年十一月に受け入れを表明。これを受けて防衛省は、再編交付金について上限額の10%分(二千万円)を〇七年度分として内定した。来年度に上限額を支給するため、月内の訓練開始を目指していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_02.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

「14年完成」を堅持/普天間代替

防衛相 遅れ補う方策検討

 【東京】石破茂防衛相は十一日午前の閣議後会見で、二〇〇九年七月末を目指していた米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の完了が、最大で約八カ月遅れる可能性があることについて、「一四年完成は何としても達成しなければならない」と述べ、スケジュールの遅れを補う方策を検討する考えを明らかにした。

 石破氏は、当初予定していた二月中の冬季調査が実施できなかったことに関し、「できるだけ早くアセス調査に着手したい。そういう作業を急ぎ、普天間の移設・返還が早期に行われるように努力する」と強調した。

 その上で「今回、冬季調査が実施できなかったという影響をどれだけ軽微なものにするか。あるいは工事実施に当たってどれくらいの工夫ができるかなど、いろいろ考えていかなければならない」と述べ、スケジュールの短縮を具体的に検討する必要性を指摘した。

 一方、現在実施している事前調査の結果をアセス調査に組み込むことについては、「法の趣旨を順守しているかどうか、かなり厳密な判断が必要だと思う。可能性としてあるかないかを含め、今は答えられる状況にない」と明言を避けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_03.html

 

2008年3月12日(水) 朝刊 1面

陸自、迫撃砲使用も想定/ハンセン共同使用17日から

 【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用で、陸自が将来的に迫撃砲の実弾射撃を想定し、米軍と調整していることが十一日、分かった。金武町によると、陸自は小火器(小銃、機関銃、拳銃)の使用については説明しているが、迫撃砲については知らされていないという。

 陸自は沖縄タイムス社の取材に対し、「現在米軍と調整中で、地元の理解を得た後、訓練が可能であれば実施したい」としている。

 迫撃砲は第一混成団の第一混成群部隊が装備しており、現在は九州での訓練で使用している。筒状の発射台からりゅう弾を発射させる火器で、キャンプ・ハンセンでは一九九七年、迫撃砲を使用した米軍の訓練で約百万平方メートルを消失する山火事が発生したこともある。

 使用場所は不明だが、騒音なども懸念され、地元の反発も予想される。金武町幹部は十一日夜、「小火器訓練については聞いているが、迫撃砲については初耳だ。情報を確認したい」と語った。

 陸自は十一日、キャンプ・ハンセンでの初の訓練を十七、十八の二日間、実施すると発表。初回は第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施し、空砲を含め、射撃を実施する予定はないという。

 共同使用をめぐっては、キャンプ・ハンセン周辺三町村が昨年、受け入れを表明。これを受け、防衛省は、再編交付金について、上限額の10%分(二千万円)を二〇〇七年度分として内定した。

 来年度に上限額を支給するためには、月内の訓練開始が条件とされたため、陸自などが訓練計画の策定を急いでいた。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_02.html

 

2008年3月12日(水) 朝刊 2面

「協定見直し」で食い違い/渉外知事会要請・石破発言

 【東京】石破茂防衛相は十一日、米兵暴行事件を受けて日米地位協定の見直しを求めた渉外知事会の要請に対し、地位協定を改定するためには、日米安全保障条約見直しを含めた議論が必要だとの認識を示した。要請した渉外知事会長の松沢成文神奈川県知事、副会長の仲井真弘多知事が明らかにしたが、防衛省はその後、豊田硬報道官が会見で「(石破氏は)見直しの方向性については述べていない」と発言の事実を否定した。

 松沢知事らによると、石破氏は防衛省での会談で「日米安保条約自体が片務的な条約で、それとセットとなっている地位協定もほとんどの裁量権が米軍側にある。安全保障条約を含めて地位協定の問題を根源から議論しないといけない」と指摘したという。

 さらに「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、もう一度このままでいいのか、議論したい」と述べたという。

 これらに対し豊田報道官は会談に同席したと説明した上で、安保条約に関する発言について「『片務的』ではなく、『非対照的』と説明した。義務は双方に発生しているが、その内容が同じではないという政府のオーソドックスな見解をそのまま述べたものだ」と指摘。

 また、「安保条約を含めた地位協定の見直しを議論しないといけないという指摘をした事実もない。政府として議論したいということも言っていない。ただ、『党内の議論が低調だ。いずれ党に戻ったときに十分な議論をしたい』と述べた」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月12日朝刊)

[地位協定見直し]

逆転国会で本格論議を


「半主権国家」のような


 米兵による暴行事件をきっかけに、日米地位協定の見直しを求める動きが再び広がっている。

 渉外知事会の松沢成文会長(神奈川県知事)、仲井真弘多副会長(沖縄県知事)は、高村正彦外相、石破茂防衛相に会い、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。

 県は地位協定の見直し問題に重点的に取り組むため新年度から調査スタッフを強化するという。知事訪米を念頭に問題点を洗い直していく考えだ。

 二十三日に開かれる県民大会も、地位協定の見直しが要求の柱の一つになっている。

 地位協定のどこが問題なのか。何をどう変えればいいのか。

 駐留を認められた外国軍隊には特別な取り決めがない限り受け入れ国の法令は適用されない、というのが政府の解釈である。

 その結果、米軍基地が集中する沖縄では、しばしば日本の主権と駐留米軍に与えられた権利がぶつかり、摩擦を引き起こしてきた。沖縄で地位協定が問題になるのは、ほとんどの場合、この二つが擦れ合った時である。

 二〇〇四年八月に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故は、その典型的な事例だ。大学構内に墜落したにもかかわらず、沖縄県警は、現場に立ち入ることさえできなかった。

 基地従業員の銃携帯問題や、基地外で日米共同パトロールを実施した場合の優先逮捕権などの問題もそうだ。基地外に住む米兵の住民登録もやはり、地位協定と国内法の摩擦問題としての性格を持っている。

 沖縄から見たとき、日本が「半主権国家」のように見えるのは、この種の問題の発生頻度があまりにも多い上に、駐留軍の権利の前で日本の主権がへこんでしまうというケースが少なくないからだ。

 この構図は本土からは見えにくい。

 一九九五年の米兵による暴行事件以降、日米両政府が地位協定の運用改善に努めてきたのは事実である。だが、そうであるにもかかわらず、地位協定をめぐる問題が次から次に起きるのはなぜなのか。そのことを根本から問い直さなければならない。


限界がある運用の改善


 九五年の暴行事件を受けて日米両政府は、米兵の身柄の引き渡しについて、殺人・強姦などの「凶悪な犯罪」の場合、米国が「好意的考慮を払う」ことに合意。「その他の特定の場合」についても、日本側の要請に「十分に考慮する」との運用改善が図られた。

 だが、連続放火事件やひき逃げ事件、婦女暴行未遂事件などで米軍は被疑者の身柄の引き渡しを拒否、運用改善の限界が明らかになった。

 考慮の対象となる犯罪の種類が限定されている上に、拘禁移転の判断が最終的に米軍にゆだねられている構図は今も変わらない。

 日米合同委員会の合意事項は、特別な理由がない限り、速やかに、すべて公開すべきであるが、これもまだ実現していない。

 地位協定の運用をめぐって日米合同委員会でどのような細部の取り決めがなされているのか、基地を抱える自治体ですら分からないのが現状だ。

 環境問題に至っては、地位協定にその条文すら盛り込まれていない。「国内法の基準と米国法の基準のうち、より厳しい基準を選択するという考え方に基づいて厳しい環境管理を行っている」というのが政府の見解だ。そうであるならばこの際、環境問題への関心の高まりを受けて明文規定を設けるべきである。


小さなかごに多くの卵


 かつて米国防総省高官が沖縄の基地の現状を「小さなかごにあまりにも多くの卵を詰め込みすぎている」と表現したことがある。

 地位協定がたえず問題として浮上するのは、第一に、米軍基地が集中し過ぎるあまり事件・事故や環境問題などの発生が絶えないからであり、第二に、地位協定の内容自体が現状にそぐわないからである。

 基地の整理・縮小と地位協定の抜本的な見直しは、問題解決のための車の両輪といえる。

 地位協定は一度も改定されたことがない。運用改善によって対応するという日米両政府のかたくなな姿勢を突き崩すのは、正直、容易なことではないが、現状を放置すれば、過大な負担を担ってきた自治体や住民の不信感を高めるだけだろう。

 逆転国会での本格的な論議を期待したい。今こそ、その好機である。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080312.html#no_1

 

琉球新報 社説

地位協定要請 占領の残滓、不平等解消を

 米軍基地を抱える都道県でつくる渉外知事会が11日、外務省や防衛省に、被疑者の迅速な身柄引き渡しや環境問題の取り扱いを求めて「地位協定見直し」を要請した。

 対応した高村正彦外相は、環境問題では「他国の地位協定と比較し、不備があるか研究してみたい」と踏み込んでいる。

 だが、被疑者の身柄引き渡し問題では、北大西洋条約機構(NATO)や韓国などに比べ、「日米地位協定は最も進んでいる」との認識を示し、「この件を理由に改定するのは極めて難しい」と従来通りの見解に終始している。

 環境問題では、独米地位協定にあたるボン補足協定で、基地返還の際の原状回復義務と環境浄化責任を米軍に義務付けている。

 日本は、基地返還に当たって米軍は原状回復義務を負わないため、汚染除去は日本側の負担である。

 米韓地位協定では、米軍基地内汚染が起きた際には、自治体への迅速な通報を義務付け、自治体の基地内立ち入り、共同調査が実施できる。返還時に汚染が見つかれば、米軍が浄化義務を負う。

 日本、とりわけ沖縄では、通報の遅れが問題となり、さらに自治体の立ち入り調査は、米軍の管理権で阻まれている。

 イタリアでは、すべての米軍基地はイタリアの司令官の下に置かれ、米軍側は重要な行動をすべて事前に通告し、作戦行動や演習、軍事物資や兵員の輸送、いかなる事件・事故も発生をイタリア側に通告する定めになっている。

 米軍の行動が国民の生命・健康に危険が及ぶとみなせる場合は、イタリア司令官に米軍の行動を中止させる権限を与えているという。

 米韓地位協定では、米兵事件を受け1991年と2001年の2度改定が行われ、ボン補足協定も過去3度改定されている。

 要請の中で、渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事らは、米兵事件が相次ぐ背景に「地位協定で守られている」との米兵らの考え方があるのではないかと指摘し、「これを変えないと地域住民との摩擦、圧力、事件、事故は根絶できない」と強調している。

 なぜ日本政府は「改定」に消極的なのか。時代とともに、環境対策など新たな基地使用条件や規制の必要性も指摘されているが、政府は改定を拒み続けてきた。

 今回の渉外知事会の要請に石破茂防衛相は「(日米両政府が)パートナーシップを求めるなら根本から議論しないといけない」と答え、地位協定に限らず、日米安保の見直しも含めた論議の必要性にまで踏み込んだとの話もある。

 「占領の残滓(ざんし)」「不平等協定」といわれる協定を、基地被害の撲滅につながる国民本位の協定の改定につなげたい。

(3/12 9:54)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32100-storytopic-11.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 1面

F16緊急着陸/嘉手納即応訓練

 【嘉手納】米軍嘉手納基地の有事を想定した即応訓練は十二日午前、同基地所属のF15戦闘機や米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機が飛行訓練を実施した。このうち、F16一機が離陸後も前輪を収納するハッチが閉まらず、緊急着陸した。嘉手納町屋良では、午前七時五十七分に一〇一・七デシベル(電車通過時の線路脇の音に相当)の騒音を計測した。

 緊急着陸した機体は午前八時ごろに離陸。本来なら離陸直後に閉まるはずのハッチが開いたままの状態で飛行した。約四十分後に着陸し、機体の点検を受ける様子が確認された。同基地報道部は「トラブルがあったという報告は受けていない」としている。

 嘉手納町が屋良地区に設置している騒音測定器は、午後一時までに多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音が七十四回あった。最高値は、F16が同基地北側滑走路を使用して離陸した時間に計測された。

 飛行したF15とF16は訓練用の模擬ミサイルを装着している機体もあった。また、同町屋良の「道の駅かでな」からはサイレン音や拡声器放送、白煙を伴う訓練も確認された。

 今回の即応訓練は十四日まで。航空機の運用態勢など航空団の総合的な即応能力について、太平洋空軍の監査を受ける。

 F16は即応訓練終了後も、同基地にとどまり、同基地所属のF15戦闘機と空対空の訓練などを行う予定。同基地報道部は「実弾は使用しない」としている。


     ◇     ◇     ◇     

「F16飛来 負担軽減に程遠い」/三連協、米軍へ抗議


 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に参加するため、米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機が飛来したことに対し、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は、十二日午前、訓練の中止を求め、嘉手納基地司令官などに文書で抗議した。

 抗議文では、「米軍再編に掲げられた沖縄の基地負担の軽減とは程遠い」と非難。SACO合意に基づき本来は伊江島補助飛行場で行われるはずのパラシュート降下訓練が昨年、同基地で二回実施されたほか、未明離陸による騒音被害で、騒音防止協定も順守されていないと指摘。今回の即応訓練で「明らかに騒音が激化する。一方的な基地機能強化だ」と批判している。抗議文は外務省沖縄事務所、沖縄防衛局にも送付した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_01.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 1面

自民、役員会で再検討/県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体が十二日、県議会を訪れ、仲里利信議長に実行委員長就任を、各会派に大会への参加をあらためて要請した。自民党県連の新垣哲司幹事長は要請に対し、「あすの役員会で再検討したい」と述べた。仲里議長も、実行委員長就任に「議会の合意が得られれば」と積極的な姿勢を示した。

 自民党県連の新垣幹事長は党として十三日に役員会を開き、大会参加について議員総会で再協議する方向を示した。要請に訪れた県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長に答えた。

 新垣幹事長は「当初は暴行事件に抗議する大会だったので、被害者感情を考慮し参加を見送った。今は大会の趣旨が変わったと認識している」と理解を示した。その上で「要請がある以上、できるだけ早急に協議したい」と述べた。

 玉寄会長は要請で、大会の趣旨が日米地位協定の抜本改定や米軍基地から派生する人権の問題を訴えることであることに伝え、県議会の抗議決議の範囲内であることを強調した。自民党側が再協議の方針を示したことに「大変ありがたい言葉をもらった」と手応えを感じた様子だった。

 自民党県連との面会に先立ち、玉寄会長、県婦人連合会の小渡ハル子会長など三人が県議会に仲里議長を訪ね、実行委員長への就任を要請。仲里議長は要請後、記者団に「自民党としては不参加を決めているので、決定に従う。ただ、今後の議論の推移を見守り(各会派の)皆さんが合意すれば(実行委員長を)やるつもりだ」と述べた。

 自民党内部には「被害者感情への配慮」や「野党の政治的利用への警戒心」から県民大会開催に消極的な意見が強く、七日の議員総会では組織的な参加をしないことをいったん、決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_02.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 5面

戦争の記憶 風化させぬ/島守の会がDVD制作

 「戦争の実態を、県民や後の世代に伝えたい」―。沖縄戦で亡くなった県職員らを祭る、糸満市の「島守の塔」建立までの経緯を、映像や記録文、約十人の戦争体験者の証言でつづるDVDビデオの制作が、当時の県職員やその遺族などで構成する「島守の会」(新垣進松会長)によって進められている。四月上旬の完成を目指し、作業は佳境を迎えている。(又吉嘉例)

 「島守の塔」は、戦前最後の島田叡県知事や荒井退造警察部長をはじめ、戦争で殉職した県職員四百六十八人の慰霊のため、戦後、同会が県民に寄付を募り、一九五一年に建立された。

 慰霊塔はその後も同会によって維持、管理されていたが、大城盛昌副会長は「当時の生き残りは皆九十歳前後だし、約二百人の会員中、実際に管理に携わっている人は二十人ほど」と、後継者不足を懸念。「会の活動を県民に広く知らせたい」と、昨年十一月、塔についての映像記録を残す方針が決まった。

 八日、浦添市内の映像制作会社で、DVD「島守の塔」の試写会があり、集まった会員ら八人が完成直前の作品を鑑賞した。見終わった参加者からは「ウチナーグチには訳を入れたほうがいい」「戦後の島守の会の活動に、もっと焦点を当ててほしい」などの意見が出た。

 編集を請け負う仲松昌次ディレクターは「生存者や遺族の高齢化で、ひめゆり部隊や鉄血勤皇隊など、どこも戦争体験の継承問題を抱えている」と説明。「映像だと若者の感性に訴えやすいのではないか」と話した。

 戦前、戦後と歴代四人の知事の側近だった同会の板良敷朝基さん(90)は「何十年もたち、塔の意義も影が薄くなっている。一般の県民や現在の県職員が塔に対する理解を深め、県自身の問題としてとらえてほしい」と、「戦争の記憶の風化」に警鐘を鳴らした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_03.html

知事、県民大会参加へ態度保留  「集団自決」修正、検定意見違法と提訴 など  沖縄タイムス関連記事(3月8日、9日、10日)

2008年3月8日(土) 朝刊 1・27面

来月にも再発防止策/米軍タスクフォース

 米兵暴行事件を受け、在日米軍の「性暴力の防止と対応に関するタスクフォース」が、四月中をめどに再発防止策を策定する方針を固めたことが七日、分かった。外務省沖縄事務所で開かれた米軍関連の事件・事故防止について話し合うワーキングチーム第十六回会合で、米軍側が報告した。非公開会合の後、議長を務めた倉光秀彰副所長が記者説明で明らかにした。

 逮捕権の優先問題については、出席した日米地位協定室の伊澤修室長が「日米合同委員会で調整することがあり得る」と述べ、日米地位協定の運用改善で対応できるとの認識を示したという。

 倉光副所長によると、米軍は主に、先月設置されたタスクフォースの概要について説明した上で現行の教育プログラムなどを紹介した。タスクフォースは、横田基地司令部のスタックポール参謀長をトップに約十五人の軍人らで構成。国内の各米軍基地を巡回し、性犯罪防止に絞った措置を策定するという。

 倉光副所長は「ワーキングチームで出た地元の意見を四軍調整官事務所がタスクフォースに伝える。米軍は四―六週間のプロセスを踏むというので(再発防止策の公表は)少なくても一カ月以上先になる」と述べた。タスクフォースは来週、沖縄に入る予定。米軍から詳細な活動日程や方法の説明はなかったという。

 日米共同パトロール、防犯カメラ設置、基地外居住などでも議論したというが、倉光副所長は「自由闊達な意見交換のため、詳細は公開しないことを全会一致で了承した」とし、詳しい内容は明らかにしなかった。


     ◇     ◇     ◇     

内容非公開 批判の声


 米兵暴行事件後、初のワーキングチーム会合。米軍犯罪防止を日米が現地レベルで協議する場だけに、外務省沖縄事務所には七日、報道陣が多数詰め掛けた。会合は非公開で行われ、その後の記者説明でも外務省は「詳細を公表しないと(出席者が)合意した」とし、地元側の意見さえ明らかにしなかった。「要望がどう反映されるか分からない」「県民に説明するのは当然だ」。会合出席者からは同沖縄事務所の対応に疑問の声も上がった。

 記者説明は、議長で同事務所の倉光秀彰副所長が行った。倉光副所長は、米軍の教育強化や防犯カメラ設置など議題となった項目を列挙。詳細なやりとりは「自由に意見交換するため公表しないことを全会一致で決めた」と繰り返した。

 その上で、近く来沖する米軍の性犯罪防止タスクフォース(調査特別委員会)に伝えるための率直な意見交換ができた、と意義を強調した。ただ調査委の構成や具体的活動については詳細が分からないと述べ「米側に聞いたほうがいいのでは」とも。地元の意見集約も米軍の責任で行うとした。

 報道陣からは「公表しない理由が分からない」「米軍がどう意見集約し、伝達するか検証できない」との批判も出た。

 出席した自治体幹部は「会合の最後で、発表の仕方や文言をめぐり意見が割れたので、議長側に一任した。意見を公表しないと合意した覚えはない。県民に説明するのは当然だ」と不快感をあらわに。別の出席者も「米軍側から、犯罪はアルコール絡みが多く、提供しているのは沖縄側、との発言もあった。意見が正しく伝わるか分からない」と不信感を示した。

 ある自治体は基地外居住の米軍人の数だけでなく、詳しい情報提供を求めたが、回答はなかったという。「事前に進行方法の説明もなく成果は疑問。意見がどれだけ理解されたか分からず壁を感じた」と印象を話した。

 一方で「国と米軍、県、市町村が一堂に集まって事件を防ぐため互いに意見を出し合うのは意義がある」と評価の声もあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_01.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2・27面

知事、参加へ態度保留/県民大会 自民不参加

 県議会最大会派の自民が、米兵による事件続発に抗議する県民大会への不参加を決めたことを受け、仲井真弘多知事は七日、「もう少し考えたい」と述べ、大会参加についての態度を保留した。しかし、超党派の大会にならないことがほぼ確実になり、県首脳は「知事の参加は難しくなった」との見通しを示した。

 仲井真知事は「米兵による事件・事故は相次いでおり、再発防止を含め、アメリカに言う必要がある。大会の効果はそれなりにある」と大会開催の意義については評価している。

 一方で、「ハムレットの心境だ。与党が参加しないとなると、ちょっと(厳しい)。まだ時間はある。もう少し考えたい」と話した。

 県首脳の一人は「政治的価値観を超え、事件への抗議や再発防止、地位協定見直しなどをテーマに、与野党が一致することを期待していた」と説明。

 知事の出席については「自民が参加しない以上、県民全体の代表としての参加は難しい」との考えを示した。


     ◇     ◇     ◇     

被害者への配慮強調/背景に政治的思惑も


 米兵による事件続発に抗議する県民大会について、県議会最大会派の自民は七日、「告訴を取り下げた被害者や家族の心情への配慮」などを理由に、参加見送りを決めた。自民の不参加により、「広く各界各層の声を聞く必要がある」としていた仲井真弘多知事の出席も見送られる公算が大きい。八日の実行委員会立ち上げを前に、超党派の県民大会が実現する可能性はほぼなくなった。

 議員総会後、新垣哲司幹事長は「『そっとしてほしい』という被害者や家族の心情を尊重し、県民大会で大々的に取り上げることは避けるべきだ」として、不参加は全会一致で決めたことだと説明した。

 二月二十八日の議員総会でも、日米安保体制や米軍再編に対する与野党の基本姿勢の違い、野党主導への反発、被害者への配慮―など否定的意見が大勢を占めていた。

 「県民大会は政府与党への批判を強める結果になり、野党が利するだけ」という声もあり、県議選を前に野党に政治利用されるのは避けたいという政治的思惑があった。被害者の告訴取り下げや米軍基地関係特別委員会の審議を受け、七日の議員総会ではあらためて「参加見送り」を確認した形だ。

 「抗議決議を全会一致で可決し、県議会として要請行動をした。党として事件・事故には厳重に抗議し、再発防止の徹底を求めていく」との考えを強調した新垣幹事長は今後、県民大会実行委の要請があったとしても「協議は尽くされた。決定は変わらない」とする。

 しかし、「被害者の感情に対する考慮も理解できるが、暴行事件後も米兵による事件・事故は相次いでいる。組織的参加の見送りは複雑な心境だ」と漏らす県議がいることも確かだ。

 与党最大会派である自民には、県民大会に代わる実効性のある対応策を示す政治的責任が問われてくる。(政経部・与那原良彦)


実行委「住民が県民党」


 米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決めた。実行委員会を構成する各団体は冷静に受け止めつつ、「引き下がらず、事件に怒りをぶつける」と、大会に向け気を引き締めた。八日には実行委を発足させ、引き続き幅広い結集を呼び掛ける。

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は「自民が不参加なら不参加で仕方ない。賛同する住民が県民党、無党派でやるだけ。引き下がったりしない」と淡々と受け止めた。

 「訴える内容は、県議会決議の範囲内。二度と人権を踏みにじらせない、と抗議するのは、一部の政党の利益にはならない。被害者の気持ちに配慮するのもみんな同じだ」。県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、疑問を列挙した。県高校PTA連合会の西銘生弘会長は、「自分たちのシマは自分たちで守らなければ。自民党の議員にも、一県民として参加してほしい」と期待した。

 基地関係の仕事で生計を立てる家庭への配慮から、組織参加を見送った県PTA連合会。諸見里宏美会長は、「与党も野党も、もっと歩み寄ってほしかった。政治家の責任として、自分たちの立場ではなく被害者を救う方策を見いだして」と求めた。


「党超え怒りを」野党が強く批判


 米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決定した。野党サイドは「被害者の感情を口実にしている」と批判の声を強め、「超党派で事件の怒りを表し、綱紀粛正と再発防止策の徹底を日米両政府に突きつけるべきだ」と訴える。一方、与党の公明県民会議は「慎重に検討している」と現時点では態度を保留した。

 米軍基地関係特別委員会委員の新川秀清氏(護憲ネット)は「大変残念だ」とし、「被害者の感情を尊重することは大前提で、事件への抗議とは別問題。再発防止のために県民ぐるみで立ち上がるべきだ」と強調した。

 喜納昌春氏(社大・結連合)は「被害者の苦渋の思いを代弁し、事件の卑劣さを訴えるべきだ」と主張。「仲井真弘多知事の姿勢にも影響が及ぶ」と懸念を表明した。

 二十三日にある大会前の軍特委開催も見送られる公算だが、嘉陽宗義氏(共産)は「被害者の感情を不参加の口実にしている。軍特委に付託された陳情をうやむやにさせない。野党で一致して開催を求める」と述べた。

 當間盛夫氏(維新の会)は「党としても参加を決め、県民の心を一つにして事件の再発に向け取り組むとしている」と参加を呼び掛けた。

 一方、与党・公明県民会議の糸洲朝則代表は「各市町村議員や幹事らに地域の声を聞くように指示した。慎重に対応を決めたい」と述べるにとどまった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_04.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 27面

「集団自決」修正 検定意見違法と提訴/愛媛県の市民団体

 沖縄戦の「集団自決」をめぐる教科書検定で、日本軍の関与を示す記述を削除、修正させた検定意見は文部科学省の自作自演で違法だとして、愛媛県の市民団体「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーら三十三都道府県などの百五十一人が七日、国などに検定の無効確認や取り消しなどを求め、松山地裁に提訴した。

 原告団によると、集団自決の検定意見をめぐる訴訟は全国で初めて。

 訴状によると、二○○八年から使用される高校歴史教科書の検定は、文科省が示した調査意見書を密室の検定審議会で追認させ、それを検定審の答申に基づく検定意見だという虚偽の説明をして出版社に修正・訂正を求めたもので、文科省による自作自演の違法な処分だとしている。

 原告の一人、愛媛県西条市の奥村悦夫さん(55)は提訴後の記者会見で「(審議会に)関与していないという従来の文科省の説明がうそだと公判で明らかにしたい」と述べた。

 文科省は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_05.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2面

泡瀬埋め立て/「海草生育場」を検討

 中城湾港泡瀬地区の埋め立てに伴う環境保護策を検討する環境保全・創造検討委員会(委員長・小浜哲名桜大大学院教授)が七日、那覇市内で開かれた。沖縄総合事務局などは二〇〇八年度の行動計画として、移植によるクビレミドロなど「海草生育場の創造」実施に向けて検討に入ることなどを提案し、了承された。

 ただ、委員からは「海草だけを保護の対象とするのは間違っている」など、表現に強い異論が出された。また、四カ所示された生育場の候補地について、クビレミドロ以外の海草がなくなる恐れなど海洋環境全体を保護する視点の必要性が指摘され、具体的な対応については同委の各専門部会で引き続き検討することになった。

 行動計画ではこのほか、比屋根湿地前のトカゲハゼ生息地で、生息しやすくするために底部を掘り返して軟らかくする対策を〇八年度以降実施することや、総合事務局が行っていた泡瀬周辺での地元意見吸い上げなどを沖縄市に任せることも了承された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_06.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2面

軍港受け入れで事業実施に意欲/浦添市長

 【浦添】儀間光男浦添市長は、七日の市議会三月定例会で、那覇軍港受け入れに伴う交付金の減額により凍結している四事業について、「軍港受け入れで三十三件・七十五億円余の事業を行い、多大な成果を上げている。ここで本市の振興策を中断するわけにはいかない」と、予算確保に強い意欲を示した。石川武夫氏(無所属)の質問に答えた。

 凍結されているのは(1)宮城児童センター建設(2)仲西中校区保健福祉センター建設(3)仲間地区街なみ環境整備事業(市道整備)(4)市てだこ小ホール備品購入。

 儀間市長は、政府から四事業の実施手法で積極的提案を受けたことを明らかにし、「現在、市と国の事務方で検討している。なるべく早い時期に四事業が再び予算計上できるよう最大限努力したい」と述べた。

 在日米軍再編に伴う米軍再編交付金で、浦添市には約三千七百万円の交付が決定している。だが、同市は軍港受け入れに伴い、SACO交付金約三億六千万円と同額の振興策を国に求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_07.html

 

2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面

米兵事件 県民大会実行委、発足

あす県議会に協力要請

 米兵による事件続発に抗議する県民大会の実行委員会結成総会が八日、那覇市の八汐荘で開かれ、市民団体や労組、教育関係など約六十団体の代表ら百人が出席、正式発足した。大会名称を「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」とし、二十三日午後二時から北谷公園野球場前広場で開催することを決定。すでに参加を呼び掛けている二百八十団体に加え、今後さらに各種団体、県議会の全議員などへ賛同を求め、超党派で取り組む方針を確認した。

 大会スローガンは(1)人権(を守る)(2)実効性ある米軍の綱紀粛正と教育の徹底(3)日米地位協定の抜本改正(4)目に見える基地の整理・縮小―とした。文言は事務局で調整する。

 実行委員長は、引き続き仲里利信県議会議長へ就任を要請し、大会規模は第一段階として一万人以上、最終的に数万人規模を目指す。

 また実行委として、「米兵による事件・事故に抗議し、基地の整理・縮小を求めることは党派を超えた、県民の一致点」とする陳情を承認。

 代表が十日に県議会議長と議会各会派を訪ね、全議員の大会参加と県民への呼び掛けに協力するよう要請する。

 呼び掛け団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「沖縄は生まれ育った場所。大事にしたい。誇りにしたい。米兵による犯罪への怒りを、『県民党』として一緒に日米にぶつけよう」とあいさつ。「抗議の声を上げないと、人権に対する安定した土壌を失う。互いの力を合わせて前進したい」と決意を述べた。

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は「戦後六十年余、米軍による事件・事故で県民の生活は脅かされてきた。もう我慢できない」と訴え、ガンバロー三唱で大会の成功を誓った。

 質疑応答では、会場から「県議会も全市町村議会も抗議決議をした。議員は決議に責任を持つべきだ」「圧倒的な数で、米軍の事件を絶対に許さない姿勢を示すべきだ」などの意見があった。

 実行委発足とともに、県子ども会育成連絡協議会、県婦人連合会、県老人クラブ連合会、県高等学校PTA連合会、青春を語る会、県青年団協議会の呼び掛け六団体は実行委幹事団体に移行した。


     ◇     ◇     ◇     

超党派へ思い一つ

 県民大会に向けた実行委員会が八日、船出した。大会規模の設定だけでも異論が出る状況だが大会名、日時、会場が決まり具体的な動きが始まる。短い準備期間、不参加の表明もある逆風下で「超党派・県民党で、何としても大会を成功させたい」強い思いが参加者をつないでいる。

 「スローガンに基地撤去も含めよう」「一万人規模と言わず三万人、五万人ともっと大きくできないか」「呼び掛け団体の代表から実行委員長になってほしい」。会場からは、準備された実施要綱案にさまざまな意見が出た。発言者が変わっても同じ質問が上がる。

 そのたびに、呼び掛け六団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長が説明に立った。「県議会の決議の範囲で、全県民が参加できる形にしたい」「できるだけ多くの人の参加を促し最大規模の大会にする」「一万人はまだ一歩。各団体が互いの力を出し合いながら大会を前へ進めましょう」「県議会への要請はこれからも行っていく」。時にゆっくりと言い聞かせるように、時に語気を強めながら説明する。「そうだ」フロアにも、最大公約数を求める空気が広がっていった。

 最後に、参加者から決意表明があり、「声を出せない被害者の代わりに、私たちが声を出さねばならない」と声を上ずらせた人や「戦後六十数年たってもこんな終戦直後のような状況を変えよう。多数の参加で成功させよう」と力を込める人など次々とマイクを握った。

 大会実現に奔走する県婦人連合会の小渡ハル子会長は、大きくうなずきながら参加者の意見を聞いていた。総会後、目を潤ませ「これだけの団体、人が集まってくれて、心から感謝している」。事件直後から抗議や要請を繰り返す一方、被害者を傷つける報道や言動、政治の動きに眠れない日が続いたという。「これで大きく前進した。後はもう、頑張るだけ」と話し、超党派での県民結集へ向け表情を引き締めた。

 玉寄会長は「この熱気を持って県議会各派に要請してくる。私たち呼び掛け六団体は、どの党にも属さない超党派そのもの。各議員も意見書を決議したのだから、絵に描いたもちに終わらないよう実効性を持たせてほしい」と決意を新たにした。


米兵事件続発に県女団連が抗議

集会で決議


 「3・8国際女性デー」の八日、県婦人連合会など三十二団体が加盟する県女性団体連絡協議会(安里千恵子会長)は、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で集会を開き、米兵による暴行事件に関する抗議要請や特別決議、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める要請など、計十二の要請文案と決議案を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_01.html

 

2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面

小銃射撃場 建設を開始/ハンセン・レンジ3

 金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の新しい小銃(ライフル)用射撃場の建設が計画されている問題で、米軍が六日午後、防衛省に対し、工事に着手したと通知していたことが八日、分かった。金武町の儀武剛町長は「負担増につながる」と批判。「レンジ3」に近い同町伊芸区や、同町議会も計画の即時中止を求める抗議・要請決議を全会一致で可決しており、地元は反発の姿勢を強めている。

 沖縄自動車道からの距離は約五百メートルで最も近い集落の伊芸区から約一キロの場所に建設される。射撃場から東に数キロ離れたレンジ16にはレンジ4の都市型戦闘訓練施設を移設する予定で、ハンセン内に相次いでグリーンベレー専用施設が整備されることになる。

 新射撃場は兵士に射撃の資格を与えるための訓練施設。高さ約十四メートルの三階建てで、二、三階にそれぞれ十の射撃スポットを設置。ターゲットは百―千二百メートルの範囲内で対応可能で、遠距離対象に用いられる。計画が浮上した昨年夏当初は、二月に着工し、二〇〇九年七月ごろ完成する見通しとしていた。建設費は米軍予算で七百二十万ドルと見込まれている。

 在日米軍司令部は建設業者を選定し、昨年十月二日、防衛省など日本側に通知。同省は米側に「自然環境や住民の生活環境に影響が及ばないように注意し、安全に工事が行われるよう」要望しているという。(吉田伸)


     ◇     ◇     ◇     

「負担増すばかり」

 【金武】「住民への負担はますます、増えるばかりだ」。金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に計画されている、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の工事が始まったことを受け、レンジ3に近接する同町伊芸区の住民や町議らからは八日、怒りの声が上がった。町や議会、区は週明けにも対応を協議する考えで、相次ぐ負担の増加に地元の反発が広がっている。

 伊芸区に近接するレンジ4の都市型戦闘訓練施設では、現在も訓練が続いている。同区の池原政文区長は「レンジ4による被害や廃弾処理の爆音被害や山火事もある中、これ以上負担が増えることは許されない。週明けにも、行政委員を集めて対応を協議したい」と、憤った。

 同区のある男性(69)は「住宅の窓が揺れるほどの爆発音や訓練による山火事など、住民は今でも基地被害に苦しめられている。政府や米軍は米軍再編で負担を軽減するというが、陸上自衛隊の共同使用など、町民や区民にとっては負担が増えているようにしか感じられない」と、怒りをにじませた。

 金武町議会の松田義政議長は「再編による同訓練場の海兵隊員の削減もはっきりせず、レンジ4施設の移転も遅れる中、再編外で負担が増すのはおかしい。政府や米軍は、地元に配慮するべきだ」と、地元の反対を無視して作業が進められたことに不快感を示した。松田議長は、来週開会する三月定例会で、全員協議会を開き今後の対応を協議する考えを示した。

 同町の伊藝達博副町長は、詳細は聞いていないとした上で、「町と議会、区の三者で話し合い、今後の対応を協議したい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_02.html

 

2008年3月10日(月) 夕刊 1面

県議会参加を陳情/米兵事件県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体は十日午後、県議会議長や議会各派に大会参加を呼び掛ける陳情に県議会を訪れた。幹事団体六団体のうち、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長と県婦人連合会の小渡ハル子会長、県老人クラブ連合会の代表が、八日の実行委員会結成総会で承認された、県議会全会派に参加を呼び掛ける文書を手渡した。また、不在だった仲里利信県議会議長にあてて、大会実行委員長就任を要請する文書を議会事務局に託した。

 要請文は「基地あるが故に起こる米兵の事件・事故により、県民は生活と人権が脅かされ続けている」「全県民が抗議の意志を示し、日米両政府に日米地位協定の抜本改正と基地の整理・縮小を求める」と訴え「県議会全会派の議員が参加し、さらに全県民に対し県民大会への参加を呼び掛けること」を求めている。

 自民の会派会議室で対応に当たった外間盛善県議は「この前の自民議員総会では自由参加となったようだが、多くの方が参加していただければと思う」と話した。

 小渡会長は「各会派とも感触は良い」と手応えを感じた様子で、玉寄会長は「党派色を出すのではなく、県民として沖縄を大事にしてほしい。粘り強く参加を呼び掛けていく」と訴えた。県民大会は、二十三日午後二時から北谷町北谷公園野球場前広場で開かれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803101700_01.html