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沖縄タイムス関連記事・社説(5月31日?6月2日)

2007年5月31日(木) 朝刊 1面

米国法で氏名非通知/沖国大ヘリ墜落米兵

外務省は一定理解

 二〇〇四年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、県警が被疑者不詳のまま、航空危険行為処罰法違反容疑で書類送検する方向で最終調整していることに関連し、外務省の重家俊範沖縄担当大使は三十日の定例記者会見で、米国のプライバシー保護法に基づき、事故にかかわる米軍関係者の日本側への氏名通知はできない、との説明を米国から受けていることを明らかにした。米国の軍法会議では事故機の整備に関与した整備士四人が降格、減給、けん責の処分を受けたという。

 日本国内の米軍提供施設外で発生した事故で、米本国では関係者が処分されているにもかかわらず、日本には氏名すら明らかにされないいびつな実態が浮かんだ。

 同事故に関する米側の対応について重家大使は「公務執行中のことであるし、おそらく米国は一次裁判権を行使したと考えているだろう。そういうことを踏まえて考えるべきかと思う」と述べ、一定の理解を示した。

 重家大使は同事故について「今まで警察当局と連携し、米側にも日米地位協定の下での捜査協力の一環として情報提供を求めてきた」と説明。その上で、米軍関係者の氏名通知に関しては「残念ながら米側からは、日本側の要請を真剣に検討したが、国内法で具体的な氏名の通報はできないとの説明を受けている」と話し、今後も氏名通知を受ける見通しがないことを明らかにした。

 米国が日本側に氏名を通知できない根拠については、米国のプライバシー保護法に基づき、米国防長官の権限で判断されたという。

 米国内で処分された四人のうち二人は降格、二人は減給とけん責。

 米軍関係者の容疑者の氏名が日本側に通知されなかったことについて法政大の本間浩教授(国際法)は「米軍人が公務執行中の場合、日米地位協定上は一次裁判権が米側にあるのは了承せざるを得ないとしても、二次的には日本に裁判権がある。その意味では日本側にも行使を担保しており、容疑者の氏名の通知要請に応じるのは当然のこと。特に今回の場合、公務執行中といっても非常事態とは思えない。米側は氏名を公表する責任があり、日本側が抗議しないのは問題だ」と日本側の対応を批判。

 さらに、米国内法が適用されたことについて「プライバシー保護法は本来、犯罪行為者のプライバシーを守るためにあるのではなく、犯罪行為者の氏名などの公表によって第三者に迷惑を掛ける場合に限り適用される。だが今回は、氏名の公表で例えば米軍ヘリのメカニズム的な軍事機密の保持に支障が出ることには結び付きようがなく、論理的におかしい」と指摘する。   

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705311300_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年5月31日朝刊)

[米軍再編閣議決定1年]

「こう着」の責任は政府に

 在日米軍再編に関する閣議決定から一年が過ぎた。政府はこの間、普天間代替施設の建設に伴う海域の現況調査(事前調査)に着手し、再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支払うことを柱とした「米軍再編推進法」を成立させた。

 米軍再編を「法制面、経費面を含め的確、かつ迅速に実施する」とした閣議決定は着々と進んでいるかのように見えるが、果たしてそうだろうか。

 普天間飛行場の移設をめぐっては、名護市と県が「V字形滑走路案」の沖合移動を要求。仲井真弘多知事は滑走路の位置が明示されるアセス方法書の受理を拒否する姿勢で、建設計画などを話し合う協議会開催は一月以来ストップしている。

 牧港補給地区、キャンプ桑江など五基地の全面・一部返還についても、在沖米海兵隊八千人のグアム移転計画の詳細が決まらず今年三月末までに予定していた計画の策定が遅れている。

 閣議決定で強調された「地元の負担軽減」の実効性は見えない。

 嘉手納基地周辺の騒音被害軽減を目的に米軍戦闘機が本土で訓練を実施した五月十六日からの七日間に、七〇デシベル以上の一日の騒音発生回数が嘉手納町で百七十五回(二十一日)、北谷町で二百一回(十七日)計測。最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターの一時配備に加え、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機など外来機の飛来で騒音被害は逆に増えている。

 沖縄の状況を見る限り、閣議決定は進んでいない。そのせいだろうか、政府の強行な対応が目に付く。辺野古沖での事前調査に海自隊員を投入し、海底に設置した機器でサンゴの一部を損傷させるなど、手法が荒っぽい。

 そもそも、一年前の閣議決定について、県や名護市は「地元の考えを反映していない」などとして、不満や遺憾の意を表明したが、政府は聞く耳を持たなかった。

 閣議決定を「こう着状態」にした責任は政府にある。結論ありきの強行姿勢では、沖縄の基地問題は解決しない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070531.html#no_2


2007年6月1日(金) 朝刊 37面

教諭ら被害証言/普天間訴訟証人尋問

 【沖縄】米軍普天間飛行場周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟で、初めての証人尋問が三十一日、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で行われた。宜野湾市内の保育所と小学校の職員が爆音にさらされる子どもたちの被害について証言した。

 滑走路の延長線上にある市嘉数の保育所副園長仲田竜一さん(42)は、一歳から六歳までの子ども約百人が通う保育所の真上を、ほぼ毎日輸送機や戦闘機が通過する現状を説明。「子どもが昼寝をしていると戦闘機の爆音で跳び起き、泣き叫ぶ」と被害を訴えたほか、「騒音の被害と同時に、子どもたちが戦闘機に見慣れてしまうのは異常だと感じる」と述べた。

 教諭の嘉手苅直さん(46)は二〇〇六年四月から一年間、普天間第二小学校で教えた。「騒音で授業や行事が中断され、児童の集中力が鈍り学習効果が薄れてしまう可能性がある」と懸念。騒音に反応を示さない児童については「身体では被害を感じており、それを押し殺している」と説明した。

 閉廷後の進行協議では、同市外から市内に転居してきた住民約百三十人を対象に、国の主張する「危険への接近」についての質問書を送付し、転居経緯などを調査することが決まった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011300_03.html


2007年6月1日(金) 朝刊 37面

40メートルのオリ解体/楚辺通信所

 【読谷】二〇〇六年十二月に全面返還された読谷村の米軍楚辺通信所(通称・象のオリ、約五三・四ヘクタール)で三十一日、本格的な撤去作業が始まり、高さ約四十メートルある円筒形アンテナが取り壊された。

 同日午後一時ごろ、同施設局から委託を受けた業者が重機を使用して作業を開始。「オリ」を連想させる鉄柱は「ギシギシ」と音を立てながらゆっくりと傾き、約四十分後に完全に倒れた。那覇防衛施設局によると、鉄柱は全部で三十本あり、一日に五本ずつ撤去していく予定という。

 同通信所は一九九六年に日米特別行動委員会(SACO)で返還合意。同施設局によると、六月の工期終了までにさら地にし、地主に引き渡される。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011300_04.html


2007年6月1日(金) 朝刊 36面

あす「集団自決」シンポ

 沖縄タイムス社は二日午後二時から、那覇市久米の沖縄県青年会館で緊急シンポジウム「挑まれる沖縄戦―『集団自決』検定を問う」を開催する。高校歴史教科書の「集団自決(強制集団死)」をめぐる検定について、体験者や識者を交えて考える。入場無料、同午後五時まで。

 渡嘉敷島での「集団自決」を生き延びた金城重明さんの講話、安仁屋政昭・沖縄国際大名誉教授▽高嶋伸欣・琉球大教授▽屋嘉比収・沖縄大准教授によるパネルディスカッションがある。コーディネーターは諸見里道浩・沖縄タイムス編集局長。

 問い合わせは、沖縄タイムス読者センターまで、電話098(860)3663。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月1日朝刊)

[サンゴの病]

CO2抑制し死滅から救え

 沖縄の海は、サンゴが放卵する季節に入り、命のダイナミズムに満ちている。だが、死滅するかもしれない危機に直面しているのも事実だ。

 サンゴが白くなって死ぬ「ホワイトシンドローム」という病気が、海水温の上昇で増えることを、米とオーストラリアの研究チームが突き止めた。

 同じ病気は慶良間海域の安室島南岸でも発生しており、看過できない深刻な問題である。

 以前から沖縄周辺海域でも、海水温の上昇により共生藻が脱落して起きる白化現象がしばしば見られた。

 ホワイトシンドロームはこれとは違い、組織そのものが壊死し群体全体の死滅に至る。安室島の事例では、大きなテーブルサンゴが罹患しやすく、汚染のない海域でも発生している。

 今のところ、病変部分を切除することによって進行を食い止める以外に対策はないという。発生のメカニズム解明と、防止策の確立が急がれる。

 サンゴの死滅は、そこに依存する小動物から回遊魚まで、海の生態系に重大な影響を及ぼす。

 経済的にも価値は高い。

 世界自然保護基金(WWF)は、さんご礁が観光や漁業で年間三兆六千億円の経済効果をもたらし、日本は二千億円の利益を得ていると試算した。

 そのほか、リーフは台風や津波で外洋から打ち寄せる大波を和らげる。

 県内ではオニヒトデ駆除や移植・再生の試みがなされている。だが、サンゴそのものが死滅したのでは、これらも徒労に終わってしまう。

 やはり大敵は地球温暖化だ。

 水温上昇により、ほかの病気も増える恐れがあると研究チームは警鐘を鳴らしている。

 さんご礁は、温暖化の原因である二酸化炭素を吸収し固める働きがある。サンゴが減り温暖化が加速するという悪循環は、何としても避けたい。

 私たち一人一人ができることは、こまめな節電やリサイクルなどを心掛け、少しでも二酸化炭素の発生を抑えることである。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070601.html#no_2

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月1日朝刊)

[米兵氏名非通知]

こんなことが許されるか

 これでは復帰前と全く変わっていないと言わざるを得ない。

 沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、米側が処分した二等軍曹や伍長ら整備士四人の名前を明らかにしないと日本側に通知したことである。

 政府がこのことを容認したのであれば、それ自体、県民を裏切る行為といっていいのではないか。

 事故は民間地で、しかも大学の構内で起きている。事故原因もまた、整備員が後部回転翼を固定するボルトにピンを付け忘れた結果だというのがはっきりしているではないか。

 にもかかわらず、米軍は軍法会議で整備士四人の降格と減給、けん責処分をしただけで、日本側には氏名を通知しないことを決めたという。

 重家俊範外務省沖縄担当大使は、通知できない理由について「米国のプライバシー保護法に基づき、米国防長官の権限で判断された」と述べている。

 米側の説明に政府は「仕方なし」と判断したのだろうか。もしそうなら、それこそ重大な瑕疵といっていい。国民を守るべき政府が自らの責任を放棄したと言われても仕方がないからだ。

 県民は復帰前、米兵による殺人事件や重大事故なのに当時の警察は手が出せず、MPの処理で、犯人は米本国に送還されたまま罪も罰も受けなかった事例があることを覚えている。

 政府は、このような記憶を持つ県民の心情を考えたことがあるだろうか。

 私たちには米側が問題を深刻に受け止め、かつ四人の氏名公表について真剣に検討したとはとても思えない。

 「外務省にこう伝えれば、きっと納得するはずだ」としか考えていなかったのではないか。これまでの米軍の対応を見ると、そう受け取らざるを得ないのである。

 これでは法治国家とはとてもいえず、対等で健全な関係を標榜することにも疑問を覚える。同盟関係の強化を目指すのであれば、まずこのような法的関係をきちんとすることから始めるべきだろう。

 日米地位協定の壁だが、この事故では県警も航空危険行為処罰法違反の疑いで被疑者不詳のまま書類送検し、捜査を終結する方針だという。

 容疑者ははっきりしているのに、それを特定できない「被疑者不詳のまま」にしなければならない県民の悔しさ。政府には、そのことが持つ意味をしっかり把握する責任がある。

 在日米軍基地の75%を沖縄に背負わせたまま、事故が起こってもきちんと対応できない政府の姿勢を、県民が冷ややかな目で見ていることを忘れてはなるまい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070601.html#no_1


2007年6月1日(金) 夕刊 7面

南風原壕公開 待ちきれない/県内外から予約1000人

 【南風原】十八日から一般公開される「沖縄陸軍病院南風原壕群二十号」に、県内外から予約や問い合わせが相次いでいる。同壕群を管理する南風原文化センター(大城和喜館長)によると、九百八十七人が八月までの見学を予約した。

 六月(十八日以降)が五百四十人、七月が三百九十九人で県内外の予約が半数ずつだという。同センターの金城清文化班長は「八月以降は余裕がある」という。

 公開される二十号壕は全長七十メートルの手掘りの横穴壕。黄金森公園にある小高い丘の一帯には二十号壕を含め約三十の壕が掘られ、「ひめゆり学徒隊」が多くの負傷兵の看護作業に従事したことで知られている。

 見学は午前九時から午後五時までで毎週水曜日は休館。「南風原平和ガイド」が案内役を務め、完全予約制となる。

 見学料は南風原町内の一般が二百円、小中高生が五十円、町外の一般が三百円、高校生が二百円、小中学生が百円。二十人以上で団体割引がある。

 問い合わせは南風原文化センター、電話・ファクス098(889)7399。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011700_03.html

 

2007年6月1日(金) 夕刊 7面 

米軍学校教師が大麻栽培/北中城

 米軍人・軍属の子どもが通うキャンプ・フォスター内の久場崎ハイスクール=北中城村=の教師が自宅で大麻を栽培したとして、五月中旬に逮捕されたことが一日までに分かった。米軍準機関紙「星条旗」が同日、報じた。

 九州厚生局沖縄麻薬取締支所は「共犯者を含む周辺捜査に影響を及ぼす恐れがあるため、詳細は明らかにできない」としている。

 星条旗の報道によると、教師は北谷町内の自宅の庭で大麻を栽培した疑い。同支所や米海軍捜査機関(NCIS)などが連携し、自宅を捜索、栽培大麻や吸引に使ったとみられるパイプなどを押収したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011700_04.html

 

2007年6月2日(土) 朝刊 2面 

業務委託料 23億円に/辺野古調査

 【東京】政府は一日、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)業務の民間委託料が二十三億四千五百七十万円に上ることを明らかにした。

 閣議決定した答弁書で、照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。

 委託業務料の内訳は「海象等の調査」六億五千百万円、「サンゴやジュゴン等の調査」十六億五千九百万円、「サンゴの着床具の設置等」三千五百七十万円。

 同調査への自衛隊動員の法的根拠については政府統一見解として、「国家行政組織法第二条第二項の規定の趣旨(官庁間協力)を踏まえ行った」と説明。「現況調査は環境影響評価法に違反するものではない」との認識を示した。

 今回の調査で「サンゴが大規模に破壊損傷されている」との照屋氏の指摘については、「調査はサンゴ類の増殖環境を把握することを目的としているため、着床具はサンゴが密に生息している地域ではなく、その周辺に設置している。当該海域のサンゴの生息環境に大きな影響を与えるものではない」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021300_04.html

 

2007年6月2日(土) 朝刊 25面 

東中生徒、撤回求め請願/「集団自決」修正

村議会へ4日提出 意見書可決訴え

 【東】教科書検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍関与の記述が削除された問題で、東中学校(島袋きよみ校長)三年の生徒らが四日、検定意見の撤回を求める意見書を可決するよう東村議会(安和敏幸議長)に請願書を提出する。生徒は三年生全員の十四人。「何も意見を出さなければ、賛成していると同じ。戦争を二度と起こさないため、東村からも教科書の内容を変えることに対し、意見を出してください」と訴えている。

 請願書は、社会科の平和学習の中で「集団自決」をテーマに書いた意見文を基に作成した。

 「集団自決は『自分で決める』と書いてあるけど、子どもや赤ちゃんは本当に自分で決めたことではないと思う」「日本軍が犯したことを隠していたら、戦争体験者はつらいと思う」など、教科書検定問題の新聞記事を読みながら、A4判の用紙いっぱいにそれぞれの考えを書き、全員で読み回しして、話し合った。

 指導した北島幸三教諭(37)は「生徒の素直な思いがつづられているので、真剣に受け止めてほしい」と話している。

 安和議長は「子どもたちは純真な気持ちで来ると思う。議員全員でしっかりと検討したい」と語った。

 手作りした新聞記事のスクラップも、請願書に合わせて提出する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021300_08.html

 

2007年6月2日(土) 夕刊 5面 

低周波音参照値上回る/普天間爆音

現場検証全4カ所 最大97・5デシベル記録

 【宜野湾】那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)が五月十七日に宜野湾市内四カ所で実施した普天間爆音訴訟の現場検証で、ヘリコプターなどから発生する低周波音が最高九七・五デシベルを記録し、全四カ所で環境省が定める「心身に係る苦情に関する参照値(九二デシベル)」を上回る低周波音が測定されていたことが二日、分かった。同訴訟原告団によると、航空機騒音訴訟の現場検証で低周波音を測定したのは全国で初めて。

 低周波音は航空機騒音のW値(うるささ指数)とは異なり、人間の耳には聞こえにくい一〇〇ヘルツ以下の音波。ISO(国際標準化機構)の定めた計算方法によってデシベルに換算され、被害の大きさを表す。

 距離によって被害が減少しにくく、壁などの遮へい物を通過する特性がある。人によっては不眠やいら立ち、頭痛や吐き気などの影響を受ける。

 環境省が作成した「低周波音問題対応の手引書」では、参照値九二デシベル以上の低周波音は人体が心身の苦痛を感じる可能性がある、としている。

 現場検証は米軍普天間飛行場の北側、南側のそれぞれ二カ所で実施された。宜野湾市大謝名、佐真下、野嵩、喜友名の計四カ所で原告、国がそれぞれ同種類の機器を使用し、低周波音と騒音を測定。全四カ所で参照値を上回る低周波音が記録された。

 国はこれまでの口頭弁論で「各原告の低周波音の被害について具体的な立証がされていない」と主張。原告団は「騒音だけでなく、低周波音と相まって健康や精神的被害を憎悪させている」と反論していた。

 参照値を上回る低周波音が測定されたことについて、島田善次原告団長は「ヘリによる離着陸が多い普天間飛行場周辺の低周波音という特殊な被害が数値で明らかになった。裁判所は通常の騒音だけでなく低周波音被害も考慮した判断をしてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021700_03.html

 

2007年6月2日(土) 夕刊 5面 

平和求めた元学徒追う/元教師の外間さん

「9条の大切さ伝えたい」

 「師範学徒の宮良英加さんについて知ってほしい」。沖縄戦で亡くなった石垣市出身の宮良さんの命の軌跡を、県出身で元教師の外間喜明さん(62)=神奈川県=が取材している。外間さんは「教壇に立ちたかったと言い残し、戦場へ行った宮良さんの思いに応え、戦争のない時代をどう築くか。私たちに問われている」と話す。

 東風平町出身の外間さんは沖縄の本土復帰前、十七歳で本土へ渡航。働きながら大学で学び、社会科教師になった。「憲法を教える時、沖縄のことを通して伝えてきた」。沖縄戦を通し平和問題を考える中、宮良さんの存在に出会った。学友や遺族からの聞き取りで、戦時下でも人間的に生きようとした宮良さんの姿に触れた。

 当時十九歳の宮良さんは沖縄師範本科四年生。外間さんは、人柄をこう説明する。「同郷の壮行会で教師の夢を断たれる無念さと女子学徒に生きて教壇に立てと諭した」「捕虜になった米兵に食料を与え、日本兵から激しい暴行を受けた」「病院壕で腕を切り落とされ『チョークが持てなくなった』と悲観していた」

 外間さんは「改憲の動きの中で宮良さんの姿を通し、九条を守る大切さ、戦争を二度と起こしてはいけないと伝えたい」と話す。

 戦後六十年の二〇〇五年に、平和への思いをつづった本「うちなー讃歌」を五千部出版、五月改訂版を出した。出版がきっかけで、講演や沖縄への平和学習ツアーも開催。「ヤマトと沖縄の懸け橋になりたい」と話す。

 問い合わせ・情報提供は外間さん、携帯電話090(5384)1886。   

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021700_04.html

米軍基地をなくす闘い、国内外の動き これでも沖縄の負担軽減?!

米軍基地をなくす闘い、国内外の動き
これでも沖縄の負担軽減?!
■ 米国外への展開は初めての、最新鋭ステルス戦闘機
F22Aラプターの嘉手納基地配備に2/10に続いて、2/18
にも抗議集会が行われた。「これ以上の騒音を押しつける
のか」「他国との緊張呼ぶ」「戦争が近づいている事を感じ
る」と参加者は沖縄のますますの基地強化に、怒りの声を
あげた。
■ 県民の水がめに塗料弾!沖縄県北部の東村、福地ダムなどで米軍のペイント(塗料)弾が大量に発見された。米軍の武器管理のずさんさと、沖縄県民の安全な生活への危機がまたしても露出。
■ パラシュート訓練強行

米軍は今年1月、嘉手納基地での降下訓練に引き続き、2/13には、名護市キャンプ・シュワブ大浦湾でパラシュート降下訓練を実施した。市や県の訓練中止の求めも無視。96年のSACO合意に違反する、米軍の訓練強行に地元や市民団体は強く反発。
■ 米軍基地拡張に反対!イタリア、北部ビチェンツァで、2/17米軍基地拡張に反対する、12万人デモ集会が行われた。
■ 「米軍基地と人権―基地再編がもたらすもの」シンポジウムが2/9
東京弁護士会主催で都内で開催。我部政明琉球大教授が基調講演。全国から180人が参加。米兵犯罪の被害者や弁護士から日米地位協定の見直しを求める声があいついだ。

沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報・社説(5月26日?30日)

2007年5月26日(土) 夕刊 1面
沖国大ヘリ墜落 捜査終結
 宜野湾市の沖縄国際大構内に二○○四年八月、米軍普天間飛行場所属の米海兵隊の大型輸送ヘリコプターが墜落、米兵三人が重軽傷を負った事故で、県警が航空危険行為処罰法違反の疑いで被疑者不詳のまま書類送検する方向で最終調整していることが二十六日、分かった。県警は八月の時効成立をにらみ、六月下旬にも処理する方針。捜索や差し押さえに米側の同意を必要とする日米地位協定が壁となり、容疑者を特定できないまま捜査は終結する見通しだ。
 事故をめぐっては日米両政府が原因究明のため、日米合同委員会の事故分科委員会を事故直後から開催。米兵の整備員が後部回転翼を固定するボルトにピンを付け忘れたため、飛行中にボルトが緩んで外れ、回転翼が制御不能になり墜落したと結論付けている。
 一方、県警は事故当日、同法違反容疑で現場検証の令状を取ったが、米軍が地位協定に基づき拒否。検証を実施できたのは米側がヘリの残骸など機体すべてを撤去した六日後だった。整備員ら関係者の事情聴取もできず、捜査は当初から難航していた。
 事故は○四年八月十三日午後、訓練のため普天間飛行場を離陸した米軍のCH53D大型輸送ヘリが、隣接する同大構内に墜落し炎上。学生や住民にけが人はなかったが、近隣の家屋などにヘリの部品やコンクリート片が飛散し、ヘリが激突した同大の校舎壁面も焼け焦げた。
 事故後、県内では普天間飛行場の閉鎖や返還を求める声が一段と強まった。
 昨年五月、日米両政府は同飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設に合意した。
法律調べ見解
県幹部
 沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、県警が被疑者不詳のまま書類送検し、捜査を終結する方針を固めたことについて県幹部は二十六日、「日米地位協定や刑法など法律面でのことを調べた上でないとコメントできない」と述べ、現時点での見解表明は控える意向を示した。
[ことば]
 日米地位協定 日米安保条約に基づき1960年に発効。在日米軍、軍人らの地位、基地の管理や運用について定める。23条で「日米両国は在日米軍の財産の安全を確保するため必要な措置を取ることについて協力する」と規定。協定実施に伴う刑事特別法では「米軍財産の捜索、差し押さえ、検証は米軍の同意を得て行う」としている。米軍ヘリ墜落事故では、県警が検証令状を取り米側に同意を求めたが、米軍は協定を根拠に拒否し、県警を交えず事故機を検証。日本側に協定見直しを求める声が高まった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705261700_01.html

2007年5月26日(土) 夕刊 5面
県警にじむ悔しさ/ヘリ墜落捜査終結
初動阻んだ現場封鎖
 「日本で起きた事故は日本の警察が責任を持って解明する」と、米軍ヘリ墜落事故の捜査を続けてきた県警。被疑者不詳のまま書類送検し、捜査が幕引きとなる方向が強まったことに、ある幹部は「時効まで粘り強く米側に協力を求めたいが、劇的な変化がなければ被疑者特定は困難だ」と悔しさをにじませる。
 二○○四年八月十三日の事故直後、県警の捜査員五、六人が現場に駆け付けた。簡単な捜査はできたものの、米軍はすぐに現場を封鎖。その後は事故機体の検証や米軍関係者の事情聴取もできなかった。ようやく検証に着手したのは、米軍が機体を持ち去った六日後。県警側には乏しい証拠しか残らなかった。
 事故の翌月、米海兵隊がまとめた報告書は、機体の整備を担当していた二等軍曹と伍長らのミスを指摘。県警は事情聴取のため米側に再三協力を求めてきた。
 いくつかの関係書類は届いたが「名前も階級も判明しない段階にとどまる」(捜査関係者)という。
安保体制の現実 思い知らされた
沖国大・来間教授
 米軍ヘリ墜落後、沖縄国際大学では来間泰男教授らが同大の教員約百二十人に呼び掛け、毎月、墜落した日時と同じ十三日午後二時から、米軍ヘリ墜落事故を考える会を開いている。
 県警が被疑者不詳のまま書類送検し捜査が終結する見通しであることについて来間教授は「事故後、日米地位協定に阻まれ県警は現場検証や米兵の事情聴取など捜査ができなかった。その米軍の壁を今回も同じように思い知らされた。あらためて日本の置かれている日米安保体制の現実を突きつけられた思いだ」と、悔しさをにじませた。
現場住民も不満
 事故現場の宜野湾市宜野湾区の仲村清自治会長は「事故の原因や容疑者をはっきりさせてほしかった。事故の後もヘリは区の上空を飛んでおり、また事故が起こるんじゃないかという心配の中で生活している」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705261700_02.html

2007年5月27日(日) 朝刊 21面
「うやむや」住民落胆/沖国大ヘリ墜落・書類送検
 二〇〇四年八月の米軍ヘリの沖縄国際大墜落事故で、県警が航空危険行為処罰法違反の疑いで被疑者不詳のまま書類送検する方針であることが二十六日分かり、地域住民や専門家から疑問の声が上がった。「同じことが起きてもまたうやむやになる」「現実は何も変わらない」といった落胆も聞かれた。
 事故後、県警は米軍に事故機を含めた現場検証を求めたが、「公務上の事故」や「軍事機密」などを理由に拒否され、独自の捜査権を行使できなかった。
 事故発生時、自宅にコンクリート片が飛び込み、乳児を抱えて逃げた中村桂さん(34)は「被害を受け続けているのは住民なのに、捜査が終わってしまう。何も変わらない現実を再び突き付けられた」と話す。「米軍はただの航空機事故としかとらえていないし、ヘリは住宅地上空で飛び続けている。根本的に日米地位協定を変えないと同じことの繰り返しだ」とため息を漏らした。
 事故にかかわった防災関係者の男性は「米軍は現場の土まで持って帰った。日本国内なのに火災原因を調査する権利を執行できなかった」と振り返る。「米軍は騒音防止協定などの約束事は守らないのに、地位協定は持ち出す。再び事故が起きても、うやむやになってしまう」と焦燥感をにじませた。
 地位協定に詳しい法政大学の本間浩教授(国際法)は「住民の安全確保や損失の回復より、米軍の軍事機密が優先されているのが大きな問題」と指摘。事故を教訓に日米両政府が米軍機事故の対応を定めたガイドラインを策定したことを「一定の前進」と評価しつつも、「これで問題が終わったという雰囲気になっている」と懸念する。
 本間教授は今後の対応として「実際にどういう問題点があったかを検証し、地元の警察や自治体が具体的な改善要求を政府に示し続けることが重要だ」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705271300_05.html

社説(2007年5月27日朝刊)
[ヘリ墜落捜査終結]
不平等過ぎる地位協定
被疑者、原因も分かるのに
 宜野湾市の沖縄国際大学構内に二〇〇四年八月、米軍普天間飛行場所属の米海兵隊の大型輸送ヘリコプターが墜落、米兵三人が重軽傷を負った事故で、県警は航空危険行為処罰法違反の疑いで被疑者不詳のまま書類送検し、捜査を終結する方針を固めた。
 「被疑者不詳のまま」とは、容疑者を特定できないことで、県警は八月の時効成立をにらみ、六月下旬にも処理し捜査を幕引く見通しだ。
 被疑者が米兵であるのは明らかである。にもかかわらず、その氏名さえも特定できずに起訴できなければ航空危険行為処罰法違反の罪には問えないことになる。
 事故の翌月、米海兵隊がまとめた報告書は、機体の整備を担当していた二等軍曹と伍長らのミスを指摘。日米合同委員会の事故分科委員会は、整備員が後部回転翼を固定するボルトにピンを付け忘れたため、飛行中にボルトが緩んで外れ、回転翼が制御不能になり墜落した―と結論付けている。
 被疑者も事故原因も分かっているのに、米側が被疑者の氏名を明らかにしないために、捜査がうやむやのまま終わってしまうのは腑に落ちない。
 何よりも、墜落現場は基地の外の民間の大学敷地であり、「また、事故が起こるのでは」と不安を抱いている住民に情報開示されないのは、県民軽視としか言いようがない。
 今回の事故では、学生や住民にけが人はなかったが、近隣の家屋などにヘリの部品やコンクリート片が飛散し、ヘリが激突した同大の校舎壁面も焼け焦げた。
 基地の外であり、日本の警察が責任を持って捜査するのは当然である。さらに、事故によって米側は日本側の財産に被害を与えており、日本側は被疑者を日本の裁判にかけて罰することができる。その手続きとしては、日本側が事故を調べて起訴状を作ることが不可欠だ。
 だが、米側は事故から三年になろうとしても、事故機の搭乗員や整備員の氏名などを明らかにせず、日米地位協定を盾に日本側の捜査を「拒否」している。
米軍の組織として責任残る
 地位協定二三条は「日米両国は在日米軍の財産の安全を確保するため必要な措置を取ることについて協力する」と規定。協定実施に伴う刑事特別法では「米軍財産の捜索、差し押さえ、検証は米軍の同意を得て行う」と定めている。
 県警は事故当日の八月十三日、同法違反容疑で現場検証の令状を取り米側に同意を求めた。しかし、米軍は現場を封鎖し、県警の現場検証や宜野湾市消防本部の調査などを拒んでいる。
 県警がようやく検証に着手できたのは、米軍がヘリの残骸など機体のすべてを撤去した六日後で、乏しい証拠しか残らなかったという。
 その後も、米側に再三協力を求めたが、整備員ら関係者の事情聴取もできず立件捜査は難航を極めた。
 捜索や差し押さえに米側の同意を必要とする日米地位協定が大きな壁となり、容疑者を特定できないまま捜査は終結する見通しだ。
 事故原因が整備員の個々の人為的ミスであったにしても、米軍には組織としての責任があるのは明白だ。整備や管理を徹底し、公共の危険を発生させたことに対し県民に誠意を示す必要がある。
 その誠意が見えない。基地外の民間地域での事故であり、本来なら県警の捜査権や大学の自治に基づく管理権が行使されるべきだが、地位協定を盾にはねつけた。日本政府も、これを容認したのが情けない。
対等独立の捜査権が必要
 これでは、民間地域における事故現場も「治外法権」であり、日本の主権が侵害されたのに等しい。復帰前の米軍占領下と変わらず、主権国家とは言えまい。
 今回の事故は、ヘリ搭乗員以外に負傷者はなく、奇跡的といえるほどに住民の負傷者はなかった。しかし、被害が住民の生命に及んでいたら、果たして日米両政府はどう対応したのか。地位協定を盾に、米軍は何をやっても許される、というわけではないはずだ。
 日米が平等な立場で事故原因を究明するための現場管理や捜査が必要である。現行の地位協定はあまりにも不平等過ぎると言わざるを得ない。
 運用改善ではなく、「対等独立の立場に立った刑事裁判権および捜査権」を確立すべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070527.html#no_1

社説
ヘリ墜落捜査終結・「治外法権」こそ終止符を
 宜野湾市の沖縄国際大学構内に2004年夏、米海兵隊の大型輸送ヘリコプターが墜落炎上した事故で、県警が被疑者不詳のまま書類送検する方向で最終調整していることが分かった。米側が日米地位協定を盾に捜査協力を拒み続けたことが大きいが、責任の所在を明らかにできないまま捜査が幕引きになれば、県民にとって屈辱以外の何物でもないだろう。
 米国に対し、占領下の治外法権のような状態をいつまでも許す日本は主権国家だと胸を張れまい。地位協定の「運用の改善」が非常にあいまいで、限界があることは繰り返し指摘してきた。もう待てない。日本政府が県民の生命と財産を守る基本に立つなら、屈辱的な状態にこそ終止符を打つべきである。
 それにしても不可解だ。ヘリ墜落の現場写真もあるし、搭乗していた海兵隊員3人が重軽傷を負ったことも分かっている。事故原因を特定する米側の報告書も日米合同委員会に出された。それなのに肝心の事故機の整備士、操縦士らが分かっていない。墜落したのは米軍ヘリではなかった―とでも言うのだろうか。
 米国は2001年の同時多発テロで、ニューヨークの超高層ビルやワシントンの国防総省などに国籍不明の航空機が突っ込んだ際、国の威信にかけて捜査し、被疑者を特定、公表した。至極当然の行為だ。ところが、その当然の行為を沖縄では認めないという。他国の罪は徹底して裁き、自国の罪はうやむやにする。そんな勝手が許されていいのか。それを容認する日本政府の姿勢も問われよう。
 日本政府の腰が引ける理由に、地位協定の存在がある。日米安保条約に基づき1960年に発効した協定で、23条で「日米両国は在日米軍の財産の安全を確保するため必要な措置を取ることについて協力する」と規定。協定実施に伴う刑事特別法では「米軍財産の捜索、差し押さえ、検証は米軍の同意を得て行う」としている。
 沖国大でのヘリ墜落事故は、まさにこれが適用された。検証令状を取り同意を求めた県警に対し、米側は拒否、事故機は県警を交えずに検証が行われた。協定の運用改善で導入された米側の「好意的考慮」などあってなきに等しく、期待できない証しであろう。
 状況は厳しい。事故から3年近く経て、航空危険行為処罰法違反の時効日が迫っている。米側に協力する考えはないようだ。
 しかし、米軍の財産の安全は確保しても、県民のそれは確保しないというのはおかしい。ここは日本であり、沖縄である。治外法権は筋違いであり、それがまかり通るようでは困る。地位協定の改定は県民の譲れない要求だ。
(琉球新報 5/28 9:46)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24130-storytopic-11.html

2007年5月28日(月) 夕刊 5面
沖縄市議会 F22未明離陸 抗議決議可決
 【沖縄】米軍嘉手納基地に一時配備されていた米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプター十機が、米本国に帰還するため十日未明に離陸を強行したことに対し、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は二十八日午前の臨時会で、未明離陸の禁止を求める抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705281700_02.html

2007年5月29日(火) 朝刊 1面
撤回意見書 相次ぐ/集団自決で県内議会
 文部科学省の検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとする記述が削除された問題について、検定意見の撤回を求める意見書を可決する動きが県内の市町村議会で広がっている。
 十四日の豊見城市を皮切りに二十八日までに那覇市、浦添市、糸満市、沖縄市、うるま市、北谷町、与那原町、南風原町、恩納村、渡名喜村の十一市町村議会が意見書を可決した。
 また、座間味村が二十九日、久米島町が六月四日、中城村が五日、臨時議会を開き、意見書案を採決する。
 今帰仁村も五月二十九日に議会運営委を開き、それを踏まえ同日にも臨時会を開く方針だという。
 このほか、名護市や南城市など十六市町村議会が臨時会や六月定例会での意見書の提案が決まっていたり、提案の方向で議論が進んでいる。
     ◇     ◇     ◇     
渡名喜議会も意見書
 【渡名喜】教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与した記述が高校歴史教科書から削除された問題で、渡名喜村議会(上原睦夫議長)は二十八日、臨時会を開き、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。あて先は首相と文科相。
 同議会は「沖縄戦における『集団自決』が日本軍による命令、強制、誘導なしに起こり得なかったことは紛れもない事実」と指摘。「この事実がゆがめられることは悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くし難い犠牲を強いられてきた県民にとって到底容認できない」と批判した。その上で「悲惨な戦争が再び起こることがないよう、検定意見が速やかに撤回されるよう、強く要請する」と結んでいる。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705291300_02.html

2007年5月29日(火) 朝刊 23面
38カ国から署名1400筆/辺野古調査
 ジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんら環境保護団体メンバー六人が二十八日、那覇防衛施設局を訪れ、米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けた海域現況調査(事前調査)の情報開示を求める国際署名千四百三十二筆を提出した。今月一日からインターネット上で募り、二十八日までに日本を含む三十八カ国から集まった。
 署名は「国際社会に恥じない環境アセス」や「科学的根拠、環境に対する責任、透明性」を掲げた。具体的には事前調査の資料を日英両文で公開するよう求めている。
 吉川さんは「当初三千筆を目標にしていたが、どんどん広がっており、最終的に一万筆に達するのではないか」と話し、施設局への申し入れでも「世界がこの調査に注目している」と強調した。
 WWF(世界自然保護基金)ジャパンの花輪伸一さんも「IUCN(国際自然保護連合)の勧告通り、基地建設をしない選択肢も含めてアセスを実施するなら、誰も邪魔はしない」と指摘した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705291300_04.html

2007年5月29日(火) 夕刊 5面
検定前・後の教科書比較/「集団自決」修正
 文部科学省の教科書検定で、高校歴史教科書から沖縄戦「集団自決」記述に関する日本軍の関与が削除・修正された問題で、「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」(共同代表・高嶋伸欣琉大教授ら)が、「見本本」や「白表紙本」などを集めて独自の教科書展示会を開く準備を進めている。検定本関係の展示会が開かれるのは県内で初めてという。
 六月九日に那覇市で開かれる「沖縄戦の歴史歪曲を許さない!沖縄県民大会」前の開催を目指している。場所は未定。
 展示会は、仲井真弘多知事が削除・修正に「疑義」を示し、県内の市町村議会で検定意見撤回を求める意見書の採択が相次ぐ中、県民世論を高め、修正前の内容に書き換えさせる運動につなげるのが狙い。
 「すすめる会」事務局長の山口剛史琉大准教授は「検定の問題点が広く分かるようにしたい」と展示会の意義を話す。
 「白表紙本」は教科書案と呼ばれ、教科書会社が文科省の検定を受けるために作成する。「見本本」は検定に合格したもので、各学校は「見本本」の中から使用する教科書を採択する。今回、同省の修正意見によって日本軍の関与の表現が削除・修正された内容が記載されている。通常「見本本」はそのまま「供給本」となって印刷される。
 「すすめる会」は検定意見を受けた五社、七冊のすべての「見本本」と一部の「白表紙本」、同省の修正表などを展示する予定。
 「すすめる会」は今年四月、毎年全国数カ所で開催されている検定資料の公開を沖縄でも実施するよう同省に求めたが実現しなかったため、独自に「見本本」などを集め展示することにした。
 山口事務局長は「記述部分をパネルにして展示したい。希望があれば意見書を採択した議会のある自治体庁舎などでの出前展示も考えたい」と話している。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705291700_01.html

2007年5月29日(火) 夕刊 1面
座間味議会が意見書/「集団自決」修正検定
 【座間味・今帰仁】座間味村議会(金城英雄議長)は二十九日午後、臨時会を開き、文部科学省の検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとする記述が削除された問題について、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。また、今帰仁村議会(喜屋武治樹議長)も同日午前の臨時会で、同問題について、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。
 沖縄戦当時、座間味村には日本軍の海上特攻の任務を帯びた海上挺進隊が駐屯。米軍が上陸した一九四五年三月二十六日に座間味島、慶留間島などで「集団自決」が起こり、大勢の住民が犠牲になった。「集団自決」における日本軍の関与について、生き残った住民らが軍命や誘導の存在を証言している。
 文科省は、今回の検定で日本軍関与を削除した理由の一つに、座間味に駐屯した日本軍元隊長の係争中の裁判証言を挙げている。
 座間味村議会は「『集団自決』が日本軍による命令、強制、誘導などなしに起こり得なかったことは紛れもない事実」と指摘。今回の検定意見について「係争中の裁判を理由に、一方の当事者の主張のみを取り上げることは、文科省自らが課す検定基準を逸脱するばかりか、体験者による数多くの証言や歴史的事実を否定しようとするものだ」と批判している。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705291700_02.html

2007年5月29日(火) 夕刊 5面
「住民軽視の判決」/新横田基地訴訟
 【中部】新横田基地訴訟の上告審で二十九日、二審判決が賠償を命じた結審後の損害分について算入を認めないとする判決を言い渡したことについて新嘉手納基地爆音訴訟原告団の仲村清勇団長は「住民の声をしっかり受け止めない判決で、でたらめだ。住民は結審後も、判決後も、そして将来にわたって静かになってほしいという強い思いがある。その分に対して補償が得られないというのはおかしい」と強く批判した。
 普天間爆音訴訟原告団の島田善次団長は「結審後も住民は毎日爆音にさらされている。なぜ裁判所は損害を認めないのか。住民を軽視した判決だ」と指摘した。
[解説]
損害立証、原則確認
 新横田基地訴訟の二十九日の最高裁判決は、証拠に基づき損害を算定するという大原則を超えた救済は許されないとの司法の立場を再確認した。一方で、五人中二人の裁判官が反対意見を示した事実も重く、行政側は救済策の再考を迫られたといえる。
 裁判所は当事者同士の主張、立証で損害の有無や額を決めるため、損害が継続していても、賠償額は通常、審理が終わる結審日までしか算定されず、それ以降の「将来分」は認められない。
 ただ建物の明け渡し訴訟では、実際の明け渡しまで賃料相当分の支払いが命じられるように、損害額が客観的に明確なら将来分が認められるケースもあり、今回の訴訟で住民側は同様の手法を適用すべきだと主張。東京高裁は結審から判決までの一年程度なら被害は変わらないとして一部にせよ住民の救済を図った。
 しかし、大阪空港の騒音被害をめぐる一九八一年の最高裁大法廷判決が将来分の損害算定は困難と判断。これに従った同種訴訟判決と比べ、東京高裁の判断は特異さが際立っていた。二十九日の最高裁判決は、東京高裁の判断を見直して、判例通り損害算定時期を引き戻し、司法の役割を法の原則通りに限定した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705291700_05.html

2007年5月30日(水) 朝刊 1・2面
米軍再編 閣議決定から1年/「普天間」こう着続く
 【東京】在日米軍再編に関する閣議決定から、三十日で満一年を迎える。今月二十三日には「米軍再編推進法」が成立し、政府は再編を実行するための法的枠組みを整えた。普天間飛行場代替施設の建設に伴う海域の現況調査(事前調査)にも着手するなど、普天間飛行場の移設作業にも一定の進展は見られるが、県側が求めるV字形滑走路の沖合移動などをめぐって政府側は厳しい姿勢を崩さず、こう着状態が続いている。
 今後、政府は正式な環境影響評価(アセス)の手続きを目指すが、先行きは不透明な情勢だ。
 閣議決定では、建設計画などを話し合う協議機関の設置を明記。
 同決定で廃止とされた北部振興策の継続にも道筋をつけるなど、昨年十二月の第二回協議会までは県側の思惑通りに進行した。
 しかし、今年一月の第三回協議会で名護市が滑走路の沖合移動を要求してから状況が一変。名護市の要求を公式議事録に記載しないなど、県側とのスタンスの違いが鮮明化した。
 以降、互いに着地点を見いだせないまま、協議会は「次回の予定が立たない」(防衛省幹部)状況に陥っている。
 七月の参院選で与党推薦候補が優位に戦うためにも、県側は何らかの進展を得たい考えだが、五月上旬に開かれた日米安全保障協議委員会(2プラス2)で再編の「着実な実施」を再確認した直後であるだけに、厳しい状況が予想される。
     ◇     ◇     ◇     
「沖合要求」軟化の兆し
 在日米軍再編に関する閣議決定から一年。焦点の米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設の行方は、県や市が政府に求めているV字形滑走路の「沖合移動」が鍵を握る。だが、日米両政府は環境影響評価(アセスメント)前の位置修正には応じない姿勢を崩さず、地元には実現に懐疑的な見方も広がる。再編の協力度合いに応じて交付金を支払う米軍再編推進法の成立を受け、予定地近くの辺野古区や島袋吉和市長を支える地元経済界には「軟化」の兆しも見え始めた。足元が揺らぐ沖合移動要求の背景と経緯をまとめた。
「地元の地元」
 辺野古区が一九九六年の「ヘリポート移設反対決議」の撤回を決議した今月十五日。
 大城康昌区長は、名護市幹部から「沖合移動を求める」決議をするよう打診があったことを明かし、「(振興策など)国側との調整が難しくなるとして(沖合移動要求)決議は見送った」と説明。その上で「平行線でどうにもならないときは市長の判断に任せる」と柔軟姿勢をにじませる。
 市幹部が沖合移動要請決議を働き掛けた背景には、振興策を呼び水に辺野古区に「軟化」を促す那覇防衛施設局の動きへの警戒感がある。
 防衛省幹部は「地元の地元である辺野古区のスタンスが重要」と指摘。四月の参院補選以降、施設局職員が頻繁に区に入り、早期移設には地元の政府案容認が不可欠と「攻勢」をかけた。
 再編交付金は今後三カ月をめどに政令や省令で細則が規定され、地元との調整も活発化する。同幹部は「名護市は支給対象になるが、アセスに着手できない状況では辺野古区が期待する事業は難しい」と地元への「揺さぶり」ともとれる口ぶりを隠さない。
 辺野古区有志でつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「久間(章生)大臣の『修正』発言で期待したが(基本合意から)一年たっても現実味を帯びない。時限のある米軍再編推進法もでき、作業の遅れで地元に及ぶ損失を考えれば早急に進めてほしい」とこぼす。
落としどころ
 名護市が「沖合移動」を求める端緒となったのは「地元の意向」だ。
 昨年四月に市が政府とV字形滑走路案で基本合意した直後、辺野古区行政委は「着陸用滑走路が辺野古集落に近過ぎる」とし、沖合側に寄せるよう市や国に要請した。
 同十一月に「現行のままの政府案(V字案)では賛成できない」との公約を掲げた仲井真弘多知事が誕生。知事に配慮した久間防衛相が「修正」を示唆すると、地元で沖合移動の期待が一気に高まった。
 市は今年一月の政府との第三回協議会で滑走路を南西側沖合に寄せる案を提示。同二十四日には同市議会が「可能な限り沖合に移動するよう」求める意見書を可決し、島袋市長を後押しした。
 沖合移動をめぐって政府とこう着状態にある現状について、市長の後援会長の荻堂盛秀市商工会長は「市長の考えで防衛省や米国を説得できるのであれば押し通せばいいが、沖合移動の議論は一通り済んだと思う。後は落としどころを見極めてやるだけだ」と市長の決断を促す。
 一方、同市幹部は「地元から沖合移動の要望を下げることはない」との見方。「こう着状態の打開は政府が動かない限り進展はない。移設作業の遅れで困るのは米国と合意している政府側だ」と強調。あくまで政府側に柔軟な対応を求める考えだ。(北部支社・石川亮太)
額賀前防衛庁長官に聞く
 在日米軍再編に関する閣議決定から一年―。普天間飛行場の移設作業が着々と進む一方、V字形滑走路の沖合移動をめぐり政府と県側の対立も生んだ。当時、防衛庁長官として、県や名護市と協議した額賀福志郎衆院議員に、これまでの経緯と今後の在り方を聞いた。
 ―昨年五月の閣議決定を振り返って。
 「閣議決定を経て、在日米軍再編は『協議』から『実行』に移していく段階になった。協議会が発足し、自治体とよく協議した上で着実に実行していくことの約束であり、スタートだった。今後も関係者とは意見交換し、理解を得ていくことが大事だと思う」
 「再編を着実に実行していくことが沖縄の負担軽減にとって重要だ。一方、返還された基地跡地をどう活用するか。経済的な安定を図っていくための施策の転換が大きな課題だ。むしろそこに重点を移していくべきだ」
 ―閣議決定では、県が「V字案は容認していない」と強く反発した。
 「名護市の条件は住宅上空にヘリを飛ばさないでほしいというものだった。それを最大限に生かすことを集中的に考えた結果、ある日の明け方にV字案がひらめいた。専門家やパイロット、土木技術者らに専門家の立場から考えてもらい、問題がないということなので提起させてもらった」
 「地元の理解を得る過程では、辺野古区の婦人部や青年部、区長らともよく語り合い、理解を得たと思っている。その上で名護市とも基本合意書を交わした。『基地を造られる側』が理解を示し、市長も合意したということで、私はきちんと政治の原則を踏まえてきたと思っている」
 ―今、県側はV字案の沖合移動を求めている。
 ―「米国と合意した後に地元を説得したわけではない。地元からまず説得して米国に理解してもらったという経緯をよく考えてほしい。名護市長とは何度も会った上、合意書を交わした時は数時間にわたって話し合い、互いに一本化していこうという政治家としての努力を積み重ねた。地元が理解をしてくれるということが最も大事なことだと思ってやってきた。名護市長がぶれるようなことはないと信じたい」
 ―「廃止」とされた北部振興策は継続されるが。
 「北部振興策をノーと言っているわけではない。もともと地域振興策については、県が自主的な経済圏をつくっていくのが一つの発想だが、同時に、基地の負担との絡みで考えられた経緯もある」
 「基地返還の進展が見込まれる中で振興策が投じられているのに、基地が全く動いていないということは、財政目標としてはどうだったのかという問題提起が当時あった。そこで、国民の税金なので、使い方に整合性を持つようにしていく仕組みを考えた。北部振興策は十カ年計画ですでに終わっているところもある。どんな効果をもたらしたかを点検する必要がある」(聞き手=東京支社・島袋晋作)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705301300_02.html

社説(2007年5月30日朝刊)
[検定撤回意見書]
住民こそ歴史の証言者
 文部科学省の検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に旧日本軍が関与したとする記述が削除されたことに対し、検定意見の撤回を求める議会が増えている。
 二十九日までに那覇市、浦添市、渡嘉敷村、座間味村など十を超える市町村が「『集団自決』が日本軍による命令、強制、誘導なしに起こり得なかったことは紛れもない事実」(座間味村議会)などとする意見書を採択した。
 六月に開かれる定例会や臨時議会でも、意見書を提案し採択する方向で議論が進められているという。
 当然であり、今回の検定は、県民の記憶の中に厳然として残る歴史の事実を強く思い起こさせたと言わざるを得ない。
 それは、たとえ記憶から消し去りたい「負の遺産」であっても、その後に生きる私たちが乗り越えるべき歴史といってよく、そこにこそ「歴史を学ぶ」意義があるからだ。
 各自治体が編さんした市史、町史、村史には、戦時下における住民の実体験が生々しく記されている。証言の一つ一つは当時の苦しさや恐怖、悲しさ、悔しさを表していると言っても過言ではない。
 議会が文科省の検定に異議を唱えるのは、県民が体験した歴史の事実を隠ぺいしゆがめようとする動きが見られるからであり、それをまた風化させようとする意図を覚えたからでもある。
 沖縄戦における“忌まわしい事件”は、方言しか話せない人がスパイに疑われたり、避難壕から大勢の住民が追い出されたことと軌を一にする。
 少なくとも、住民らの「集団自決」は、決して上陸した米軍に追い詰められた結果として起こったのではない。
 そこには、戦陣訓の「生きて虜囚の辱を受けず」という教えとともに、軍と官、民が一体となった「共生共死」の考えがあったとみていい。
 検定で文科省は「軍が命令したかどうかは、明らかとは言えない」とコメントしている。だが、渡嘉敷島などで非戦闘員である一般住民に手りゅう弾を渡したのは紛れもなく兵士であったという事実を無視してはなるまい。
 「現在係争中の裁判を理由に、元隊長である原告の主張のみを一方的に取り上げることは、文科省が自ら課している検定基準を逸脱しているばかりでなく、これまでの体験者による証言や『県史』を否定しようとするものだ」
 県民の思いは、この恩納村議会の意見書と深く重なる。歴史的事実は直視すべきであり、教科書をつくる場合にはなおのこと、その重要性をしっかり踏まえて編さんするべきだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070530.html#no_1

2007年5月30日(水) 夕刊 4面
ジュゴンサポーター募集
 【名護】「ジュゴンサポーター募集中」。米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古沖周辺に生息する国の天然記念物ジュゴンの生息環境調査を行っている市民団体「北限のジュゴンを見守る会」(鈴木雅子代表)が、六月三日に実施する目視調査に協力するボランティアを募集している。
 「マンタ法」と呼ばれる時速三キロ程度で進む船からボランティアダイバーをえい航し、ジュゴンの餌である藻場の目視によるモニタリング調査を行う。米サンフランシスコ州立大学のエレン・ハインズ博士らが指導する。
 鈴木代表は「シュノーケルで泳ぐことができれば誰でも参加できる。経験者がサポートするので、辺野古の海がどんなにきれいかを実際に見てほしい」と話している。
 当日午前九時に、辺野古・命を守る会事務所前集合。参加の問い合わせは鈴木、電話090(8032)2564。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705301700_05.html

琉球新報社説(5月24日)・沖縄タイムス関連記事(5月25日)

米軍再編推進法・これで理解得られるか/関係地元より対米合意優先

 在日米軍再編への協力度合いに応じて関係する地方自治体に再編交付金を支給することを柱にした米軍再編推進法が23日、成立した。日米両政府が2006年5月に合意した在日米軍再編計画の円滑な実施が狙いである。

 同計画は基地所在市町村の「負担軽減」につながるとされている。しかし、米軍普天間飛行場の代替施設を名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に建設するなど「負担軽減」には程遠い。

 再編が計画通り終了したとしても、沖縄の在日米軍専用面積は75%から70%になるだけ。負担軽減といいながらも、嘉手納基地にはミサイル防衛のためのパトリオットの配備、最新鋭ステルス戦闘機F22Aの一時配備など抑止力強化の押し付けだけが目立つ。

 障害は政府の姿勢

 同法は、防衛相が関係自治体を「再編関連特定周辺市町村」に指定し(1)再編計画受け入れ(2)環境影響評価の着手(3)施設整備の着工(4)工事完了・運用開始-の4段階に分けて「再編交付金」を上積みするのが柱。特に負担の重い市町村には、公共事業での国の補助率をかさ上げする。

 協力する自治体に再編交付金を与え、反対する自治体には交付しない「アメとムチ」を制度化している。地方自治の面からも大きな問題をはらんでいる。

 1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、普天間飛行場の返還、移設を決定し、地元に振興策を提供したものの、移設作業が進展しなかった「反省」が新たな制度創設の背景にあるといわれる。

 SACO合意が実施できなかったのは、県民から県内移設への反発があったからにほかならない。

 今回の再編計画でも普天間飛行場は県内移設であり、県民の反発は依然として根強い。県内移設は県民の多くが望んでいないことを政府は理解するべきだ。

 政府は再編計画を基本的に受け入れた名護市の修正要求にさえ、応じていない。かたくなな姿勢を改めるべきである。「円滑な実施」の障害は海上自衛隊の掃海母艦まで動員して強力に作業を進めるような政府の姿勢にある。

 成立した再編推進法は問題点を残したままだ。

 交付金を支給する自治体の選定基準は明確でない。名護市を支給対象にするかでは久間章生防衛相と同省幹部で一致していない。客観的な基準作りはこれからである。

 日本が負担する在沖米海兵隊のグアム移転費の59%(約7200億円)の具体的な内訳も明らかではない。

 それに、法案審議に要した時間は衆院安全保障委員会は約16時間半、参院外交委員会は約16時間でしかない。これで十分に審議を尽くしたといえるだろうか。

 自治体の要望配慮を

 航空自衛隊のイラク派遣を2年延長するイラク復興支援特別措置法改正案の審議を控えていることが成立を急いだ要因に挙げられている。

 安倍晋三首相の日米関係を重視する姿勢も性急な成立につながったといえよう。安倍首相は4月末のブッシュ米大統領との会談で、米軍再編の着実な実施を約束した。

 その直後に開かれた外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)でも、それを確認している。

 米国との合意の円滑な実施が関係自治体の理解を得ることより、最優先すべきということなのだろうか。

 再編計画に異を唱えているのは沖縄だけではない。

 山口県岩国市は神奈川県の厚木基地からの米空母艦載機移転に反対している。

 「アメとムチ」が再編推進法の本質であり、久間防衛相は岩国市に対して交付金を支給しない考えを示している。

 しかしながら、同法は基本理念として「駐留軍等の再編に対する幅広い国民の理解が得られるよう配慮されなければならない」と明記している。

 仲井真弘多知事は再編計画の実施について「地元の理解と協力が不可欠で、普天間飛行場の移設問題をはじめ、地元の意向に配慮して進めることが円滑な実施につながると考えている」と述べている。

 それは、多くの関係自治体が政府に求めていることである。法の基本理念にのっとり、関係自治体の要望に十分に配慮することを政府に求めたい。

 

(琉球新報 5/24 10:48)

 

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24024-storytopic-11.html

 

 

沖縄タイムス

2007年5月25日(金) 朝刊 25面

海自投入「法を逸脱」/大学教授ら21人が声明

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)に海上自衛隊が派遣されたことに対し、県内の大学教員二十一人は二十四日、県庁で記者会見し、「自衛隊法の枠を逸脱し、拡大解釈につながる極めて危険なことだ」と抗議声明を発表した。

 

 琉球大学の高良鉄美教授、我部政明教授、沖縄国際大学の佐藤学教授らの呼び掛けで、「自衛隊の政治利用を憂慮する大学人有志」として声明を出した。

 

 「米軍再編協議における日米合意の実施において、地元沖縄での支持を得る努力をするという政府の言葉とは懸け離れている。自衛隊は国民の安全のために存在すべきで、国民を抑え込む行動は禍根を残す暴挙」と指摘した。(1)法的根拠を欠く(2)地元無視(3)政治利用-などの理由から自衛隊派遣に抗議し、事前調査の中止などを求めている。

 

 我部教授は「自衛隊をどう使うかは国民の監視、信頼の下に置かれるべきだ」、高良教授は「出動の根拠があいまいで、法的に問題」、佐藤教授は「米国に対し、やるだけのことをやったとみせる意図があった」などと述べた。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705251300_05.html

 

2007年5月25日(金) 朝刊 24面

教科書検定撤回を/大阪で/集団自決シンポ

 【大阪】沖縄戦時に慶良間諸島で起きた住民の「集団自決」への軍命の有無などをめぐる訴訟の第九回口頭弁論が二十五日に大阪地裁で開かれるのを前に、シンポジウム「沖縄戦集団死の書き換えを許さない」(主催=大江・岩波沖縄戦裁判支援連絡会)が二十四日夜、大阪市内で開かれた。研究者や教師、出版関係者ら約百五十人が参加。文部科学省の検定撤回や、同訴訟で旧日本軍による命令があったと主張する被告側の支援に向け、全国規模の運動を実現する重要性を確認した。

 

 沖縄国際大の津多則光講師は文科省の教科書検定を「沖縄戦からこれまで六十数年の学問の集積をすべて否定するものだ」として、撤回のために沖縄と本土が連携するべきだと述べた。

 

 大阪歴史教育者協議会の小牧薫委員長は、一九八二年に高校の日本史教科書で「日本軍による住民殺害」が削除された際に、次回検定から記述が復活した経緯を説明。

 

 「当時は運動の盛り上がりがはね返して(文部省が記述を)元に戻した。検定の誤りを(教科用図書検定調査)審議会に認めさせるための運動が大事で、大阪の県人会組織にも協力をお願いしたい」と述べた。

 

 フロアとの質疑応答では作家の目取真俊さん、沖縄国際大の安仁屋政昭名誉教授らが意見を述べた。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705251300_09.html

 

 

2007年5月25日(金) 夕刊 7面

訓練移転 負担減ならず/1日の騒音回数 5月最多

 【嘉手納・北谷】騒音被害の軽減を目的に米軍戦闘機が本土で訓練を実施した十六日からの七日間に、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の一日の騒音発生回数が嘉手納町で百七十五回(二十一日)、北谷町で二百一回(十七日)を計測し、五月(二十四日現在)の最多を記録した。訓練移転により騒音が減り、日米両政府が訴えた"負担軽減"につながるはずだったが、住民の期待を裏切る結果となった。(福里賢矢、銘苅一哲)

 

 今回の訓練移転は、嘉手納基地所属のF15五機が航空自衛隊小松基地(石川県)に出向き、空自と共同訓練を実施した。

 

 嘉手納町によると、屋良地区で計測した騒音は二十一日に百七十五回で期間中の最多、次いで十六日百五十八回、二十二日百四十五回、十七日百三十八回と続き、いずれも二〇〇六年度の一日平均(百九回)を上回った。

 

 一方、北谷町砂辺地区では、十七日に五月最多の二百一回を計測。期間中の一日平均は百一回だった。

 

 両町の担当課は嘉手納基地に一時配備された最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプター、頻繁に飛来するAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機など、外来機が同基地を日常的に使用する現状を指摘。その上で、「移転が必ずしも騒音軽減につながるとはいえない」としている。

 

 嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は「米軍の第一目的は自衛隊との共同訓練。騒音負担軽減は二次的なものでしかない。住民の望む負担軽減は部隊の完全撤去でしか実現しない」と厳しく批判した。

 

 北谷町議会基地対策特別委員会の照屋正治委員長は「砂辺で生活していて、二度の訓練移転では軽減を感じられなかった。沖縄は変化がなく、移転先で騒音を増やす。訓練移転は被害を拡大するだけだ」と憤った。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705251700_01.html

 

 

2007年5月25日(金) 夕刊 1面

名護市は「受け入れ分」/再編交付金

 【東京】久間章生防衛相は二十五日の閣議後会見で、米軍普天間飛行場代替施設の沖合移動を求めている名護市への再編交付金の支給について、「受け入れは一応表明している」として、支給対象になるとの考えをあらためて示した。

 

 ただ、同交付金制度が再編の進ちょくに応じて四段階に分けて積み上げる方式であることを念頭に、「百パーセント(全額)ではない」と述べ、現段階では第一段階の「再編案受け入れ」に相当する額が交付されるとの認識を示唆した。

 

 その上で久間防衛相は「事前調査についても名護の同意が付いている。法律(再編推進法)を素直に読めば、そういう協力をしてもらっているところが対象にならないというのは考えられない」との認識を強調した。

 

 法案は防衛相が関係自治体を「再編関連特定市町村」に指定。(1)再編案受け入れ時に総額の10%(2)環境影響評価(アセスメント)実施時に30%(3)基地着工時に60%(4)完成時に全額-の四段階で交付金を上積みする仕組みだが、久間防衛相は第一段階の条件は満たしているとの考えを示したものとみられる。第二段階以降については「これから具体的な市町村を指定していく。手続きが終わった段階ではっきりすることになると思う」と述べるにとどめた。

 

 久間防衛相の認識について防衛省首脳は「(修正を求めるなどの)意見を言うのはいいということ。それを採用するかどうかはこちらが判断することだ」と語った。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705251700_02.html

 

2007年5月25日(金) 夕刊 7面

浦添議会も意見書/「集団自決」修正

 【浦添】教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の日本軍の関与が高校の歴史教科書から削除された問題で、浦添市議会(大城永一郎議長)は二十五日午前、臨時議会を開き、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。あて先は内閣総理大臣、文部科学大臣、衆参両議院議長ら。

 

 意見書では「日本軍の『集団自決』の強制を否定する学説や元軍人らが起こした係争中の裁判などを理由に、一方の当事者の主張のみを取り上げた文科省の検定は自らの検定基準を逸脱しており、体験者の証言や歴史的事実を否定するものだ」と批判した。

 

 その上で「沖縄戦の『集団自決』が日本軍による命令・強制・誘導などなしに、起こり得なかったことは紛れもない事実で、そのことをゆがめることは県民にとって到底容認できない」と抗議した。沖縄戦の歴史を正しく伝え、悲惨な戦争を再び起こさないためにも、速やかに検定意見を撤回するように要請している。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705251700_03.html

 

沖縄タイムス関連記事(5月24日)

2007年5月24日(木) 朝刊 3面
シュワブ調査「サンゴ大幅な破壊ない」/北原長官が答弁
 【東京】北原巖男防衛施設庁長官は二十三日の衆院外務委員会で、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設に伴う現況調査のため那覇防衛施設局が海底に設置した機器によってサンゴの一部が損傷を受けた問題について「サンゴを大幅に破壊したとか損傷したとは考えていない」と述べ、被害は軽微との認識を示した。照屋寛徳氏(社民)への答弁。
 海底への機器設置作業に海上自衛隊の潜水士が参加した法的根拠は、防衛省設置法四条一九号とした。
 設置法四条は防衛省の所掌事務を規定し、一九号は「条約に基づいて日本国にある外国軍隊(駐留軍)の使用に供する施設及び区域の決定、取得及び提供並びに駐留軍に提供した施設及び区域の使用条件の変更及び返還に関すること」とされている。
 北原長官は条文の解釈について「一九号に基づいて行うところの(普天間飛行場の)移設の一環」として、海自が「官庁間協力」したとの見解を説明した。
 照屋氏は「一九号を縦からも斜めからも表からも裏からも読んだが、三十五年間弁護士をした僕でもそんな解釈にはならない」と批判。官庁間協力についても「防衛施設庁は防衛省の外局だ」と指摘し、適用を問題視した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705241300_05.html

2007年5月24日(木) 朝刊 2面
野党反発「自治体分裂」/米軍再編法成立

西銘氏 出来高払いに反対

 【東京】「米軍再編推進法案」が二十三日の参院本会議で可決、成立したことを受け、県選出、出身の国会議員のうち民主、社民の野党各党はそろって反発。「出来高払い」の交付金制度の在り方などをめぐって、自民党の西銘順志郎氏も問題点を指摘、異例の反対姿勢を示した。無所属の島尻安伊子氏は賛成した。

 七月の参院選に立候補する西銘氏は地元での選挙活動のため本会議を欠席したが、交付金制度について「いろいろな議論があったと思うが、防衛省のさじ加減で交付金が決められ、恣意的な運用が懸念される。もう少し練ってもいい法案だと思う」との認識を示した。
 喜納昌吉氏(民主)は「アメとムチをちらつかせる手法は、自治体の分裂を起こす。それ以前の問題として、県内に基地負担を押し付け続ける米軍再編は問題だ」と強調した。
 大田昌秀氏(社民)は「成立したことを極めて残念に思う。政府は基地負担の軽減をしきりに強調するが、実態として外来機が移駐するなど、負担が続く状況は変わらない」と述べ、法案の実効性に疑問を呈した。
 島尻氏は「海兵隊のグアム移転を含めた沖縄の負担軽減のため、賛成した」とする一方、「全国の基地を抱える自治体が同じ思いを持っていると思うが、感情を刺激するような感想は持っている」と語った。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705241300_06.html

社説(2007年5月24日朝刊)
[米軍再編法成立]

地域の自立心むしばむ
 在日米軍再編への協力の度合いに応じて関係自治体に交付金を支給することを柱とした米軍再編推進法(駐留軍等再編円滑実施特措法)が参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。
 同法では防衛相が関係自治体を「再編関連特定周辺市町村」に指定し、(1)再編計画(政府案)の受け入れ(2)環境影響評価(アセスメント)の着手(3)施設整備の着工(4)工事完了・運用開始―の四段階に分け、「再編交付金」を上積みする仕組みになっている。
 再編計画に協力する自治体に交付金を支給し、拒む自治体は冷遇し圧力をかける「出来高払い」方式であり、日米合意の受け入れを強く迫る「アメとムチ」の政策としか言いようがない。
 同法には、特に負担の重い市町村を「再編関連振興特別地域」に指定し、公共工事の補助率に特例を設け、沖縄の場合、国の負担を最大95%とする沖縄振興特別措置法適用も盛り込んだ。

 また、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例も設定している。
 一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で普天間飛行場返還などに合意したが、進展がなかったとして、政府は再編計画を推進する立法措置が必要と判断した。
 まずは昨年五月に合意した米軍再編最終報告の実施ありきだ。だが県内では地元の頭越しの日米合意という手法に批判の声が強い。地元に配慮した十分な審議が尽くされたとは言えまい。
 この問題では名護市が政府のV字形案の沖合移動を求めたのに対し、防衛省首脳が名護市への交付は「ゼロ」と発言し、久間章生防衛相は交付対象になるとの考えを示すなど、防衛省の姿勢や認定基準はあいまいだ。
 普天間飛行場の移設先の環境調査に掃海母艦など海上自衛隊の投入の動きも合わせると、米軍再編の日米合意を優先する政府の強硬姿勢が際立つ。
 同法は二〇一七年三月末までの時限立法。再編実施が遅れる場合は交付金の交付期間を最大五年間延長する。だが、地元の摩擦を強める強硬姿勢だけで再編が進展するかどうか疑問だ。
 最も懸念されるのは住民同士の対立だ。反対する自治体や住民に賛成派の矛先が向けられることも考えられる。その実態は沖縄狙い撃ちの法律であり、沖縄の基地負担の経緯を軽視するような強硬姿勢には憤りを覚える。
 分権が進む一方、地方の財政事情は悪化している。再編交付金は基地関係自治体の国依存をより強め、地域の自立心をむしばむ結果を招くだけだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070524.html#no_1

2007年5月24日(木) 夕刊 5面

与那原議会も意見書/「集団自決」修正検定
 【与那原】教科書検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍の関与が削除された問題で、与那原町議会(又吉忍夫議長)は二十四日午前臨時会を開き、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。あて先は内閣総理大臣、文部科学大臣、衆参両議院議長ら。
 意見書では、文科省の検定姿勢変更について「沖縄戦体験者の数多くの証言による歴史的事実を否定しようとするもの」と批判。過去の教科書検定裁判の判決を引用しながら「軍による『自決』の強制は明確」と述べている。
 さらに「検定結果は沖縄戦の実相をゆがめ、戦争の本質を覆い隠すもので、沖縄の未来を担う子どもはおろか、日本全国の子どもたちにこのような教科書が渡ることは到底容認できない」と抗議。その上で、検定意見の速やかな撤回と記述の復活を求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705241700_05.html