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沖縄タイムス 関連記事(5月18日夕刊)

2007年5月18日(金) 夕刊 1面
海自、海域調査参加/辺野古沖に機材設置
反対派が阻止行動
 那覇防衛施設局は十八日午前、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)で、サンゴの産卵状況を調べる着床具の設置作業に着手した。調査支援の名目で派遣された海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」は同市辺野古沖では確認されなかったが、久間章生防衛相は同日午前、海自隊員の作業への参加を認めた。海自は数日間、作業に参加するという。一方、調査に反対する市民団体はカヌーで調査ポイント周辺に展開、作業船にしがみつくなど阻止行動を続けた。施設局は十九日以降も作業を継続する。

 関係者によると、ぶんごは周辺海域に停泊。作業に参加した海自隊員は未明から早朝にかけて沖合の調査ポイントで設置作業後、午前の段階でぶんごに引き揚げたとみられる。

 同日午前五時半ごろ、海上保安庁の巡視船や施設局がチャーターした作業船が続々と辺野古沖に到着。同六時二十分ごろから、作業船は名護市嘉陽から久志沖の海域の三千九百二十五平方メートルの範囲内で磁気探査と機器の設置作業を始めた。

 一方、反対派は泊まり込みのメンバーも含め、約百人が午前五時までに辺野古漁港に集結。同七時ごろから十数艇のカヌーが調査ポイントに展開。他のメンバーは辺野古漁港内の施設局の作業場設置を阻止するため、港のゲート付近で座り込みを続けた。

 施設局が今回実施するのは海生生物調査と海象調査。調査機器はパッシブソナー(音波探知機)三十地点、水中ビデオカメラ十四地点、着床具三十九地点、海象調査機器類は二十九地点の計百十二地点に設置する。

 施設局は六月初めにも始まるサンゴの産卵期に間に合わせるため、着床具の設置作業を優先。数日内に設置を完了させたい意向だ。着床具は六平方メートルの範囲内に、一・五メートル四方のステンレス製架台を鉄筋で海底に二組一セットで固定する。

 水中ビデオカメラは十メートル四方の範囲内に、鉄製の架台を鉄筋で海底に固定。パッシブソナーは三十五平方メートルの範囲内に、鉄製の架台にソナー本体と外部受信機を取り付け、架台を鉄筋で海底に取り付ける。

 施設局は四月下旬から準備作業としてダイバーによる調査ポイントの確認作業を実施。調査機器を設置し、データ収集を開始した段階で「調査着手」と位置付けている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181700_01.html

2007年5月18日(金) 夕刊 7面
反対派、必死の抵抗/辺野古調査
 【名護】「違法な調査をやめて」「人殺しの基地を造らないで」。米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に反対する市民団体メンバーらが、作業を止めようと作業船にしがみつき、懸命に訴えた。海上自衛隊員が調査機器の設置作業に参加したことには、「県民の人権を無視する暴挙だ」と怒りの声が上がった。同市辺野古の漁港では前夜から座り込みを続ける市民らが阻止行動を見守った。

 辺野古海域には、海上保安庁が巡視船四隻や巡視艇数隻、十数隻のゴムボートなどを展開し、警戒に当たった。反対派は船七隻、ゴムボート一隻、カヌー十二艇を出航させた。

 同日午前六時二十分ごろ、那覇防衛施設局がチャーターした作業船や警戒船が調査海域で作業に着手した。午前七時四十分ごろ、反対派メンバーらのカヌー五艇とゴムボートの乗員が辺野古漁港沖にいた作業船にしがみついた。数人はシュノーケルをつけて入水し、海中から作業中止を訴えた。

 反対派を取り囲んだ海上保安庁のゴムボート五隻から職員が、再三にわたって「作業船から離れなさい」と警告、周辺は緊迫した雰囲気に包まれた。

 反対派のいない複数の調査ポイントでは、作業船に乗ったダイバー三、四人が、鉄製パイプや鉄筋などを船から積み降ろすなど機器の設置作業が進められた。

 一方、辺野古漁港には前日深夜から泊まり込んだ反対派メンバーも含め、午前五時までに約百人が集結。夜が明けて沖合に停泊する海保の巡視船などを確認すると、現場の緊張が高まった。

 座り込みに参加した辺野古区の嘉陽宗義さん(84)は「軍艦相手に勝負はできない。しかし世界中で平和を願う人がわれわれの味方をしている。信念を持って笑顔で闘おう」と呼び掛けた。早朝に、

 西原町から駆けつけた花城静子さん(50)は「沖縄の人たちには、銃剣とブルドーザーで、土地を強制接収された苦い思いがある。一人一人の声や力は小さいが、みんなで協力して基地建設を阻止し、美しい海を守りたい」と意気込んだ。

海保 抗議船に立ち入り

 反対派メンバーらの船が停泊する名護市漁港では、海上保安庁の職員約二十人が午前六時ごろから、海上阻止行動に向かうメンバーの抗議船や報道陣を乗せた船など計五隻に対して、従来行っていない出港前の立ち入り検査を実施。抗議船の出航は約一時間半遅れた。汀間 午前六時二十分ごろ、施設局がチャーターした作業船や警戒船が調査海域での作業を始めた。

 海保職員が抗議船に乗り込み、救命胴衣や信号灯の有無をチェック、船舶の登録書類などに目を通した。

 一方、調査作業を支援するため那覇防衛施設局にチャーターされた漁船は検査なく出航。「なぜ抗議船を狙い撃ちするのか」との質問に対し、海保側は「漁船は常々漁協などを通して確認している」と答えたという。

 抜き打ち検査について海保は「辺野古沖の警備行動にかかわることは、コメントできない」といい、警備行動の一環であることを認めた。

島ぐるみ反発も

 仲地博琉大教授の話 自衛隊の本来の役割は外国の侵略防止であり、国内の対立の現場に乗り込むことではない。特に今回は民間に委託された調査で、戦闘部隊の人員や装備が必要な場面ではない。こうしたケースは初めてではないか。自衛隊の出動が歯止めなく膨張するのは危険で、国民の監視が必要だ。

 「集団自決」に関する教科書検定が沖縄戦の記憶を呼び起こしている時期。自衛隊出動と絡み合い、保革にかかわらず県民のアイデンティティー、平和意識を刺激するだろう。県民世論に対する不用意な挑戦は、島ぐるみの反発を呼ぶ可能性がある。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181700_02.html

2007年5月18日(金) 夕刊 7面
訓練移転中騒音増加/70デシベル超1日で130回以上
 【嘉手納】基地負担の軽減を目指し米軍戦闘機の一部訓練を本土で実施している十六、十七の両日、嘉手納基地に隣接する同町屋良地区で七〇デシベル以上の騒音は二日間とも百三十回以上測定、訓練移転を実施する直前より回数が増えた。

 嘉手納基地所属のF15五機が十六日から航空自衛隊小松基地(石川県)で空自と共同訓練している。町によると、十六日の騒音は百五十八回、十七日は百三十八回発生。

 訓練移転一週間前の十日は百七回で、昨年五月の一日平均回数約百回に比べても騒音は“激化”している。

 嘉手納町は「県外で訓練することは歓迎だが、訓練移転が必ずしも住民の負担軽減になるとは考えにくい。長期的な視野で見極めたい」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181700_03.html

沖縄タイムス 社説(5月18日)

社説(2007年5月18日朝刊)

[集団的自衛権]

国民の理解得られるか
 四月末、ワシントンで開かれた日米防衛首脳会談で、ゲーツ米国防長官が米国を狙った弾道ミサイルを日本のミサイル防衛(MD)システムで迎撃できるようにするため、集団的自衛権行使の容認を久間章生防衛相に迫ったという。

 ゲーツ長官は、自国の安全を守るためなら他国の憲法解釈も変更させることができると考えているようだが、あまりに強引すぎないか。

 最高法規である憲法解釈をめぐる議論はそれぞれの国内問題で、他国があれこれ言う筋合いのものではない。

 日本国憲法は戦争放棄を明記し、国の交戦権を認めていない。集団的自衛権をめぐる議論はさまざまあるが、現行憲法が集団的自衛権の行使を禁じているとした政府解釈は一貫して変わっていないし、国民にも定着している。

 共同通信社が今月行った全国世論調査では、集団的自衛権の行使に関する政府解釈について「今のままでよい」との回答が62・0%。「憲法解釈を変更し、行使できるようにすべきだ」の13・3%を上回った。

 米国が内政干渉ともとれる要求を突きつけてきたことは、集団的自衛権の行使容認に始まったことではない。

 二〇〇一年九月の米同時多発テロの直後に、当時のアーミテージ米国防副長官が柳井俊二元駐米大使に「ショーザ・フラッグ(旗を見せて)」と要求。この発言をきっかけに、日本は米国が掲げる対テロ戦争に協力。インド洋への自衛隊艦派遣やその後のイラクへの陸上自衛隊派遣などにつながった。

 政府は四月に集団的自衛権の行使に関し、一部容認する方向で解釈変更を検討する有識者会議を設置した。初会合が開かれるのはきょう十八日だ。

 憲法解釈をめぐっての議論は必要かもしれないが、一部有識者の考えだけで変更するのはおかしい。まして他国の国防長官が、この時期にいちいち口出しすべきものではない。

 政府は集団的自衛権の解釈変更を急ぐより、平和憲法の理念を守ることにこそ力を注ぐべきだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070518.html#no_2

社説(2007年5月18日朝刊)

[メア総領事発言]

これこそが米国の本音だ
 「事故が起きないのが不思議だ。早く移す方法を考えろ」。二〇〇三年十一月、上空から普天間飛行場を視察したラムズフェルド元米国防長官が、周辺住宅の密集度に驚いて口にした言葉だと言われている。

 後の報道でこの発言を知った県民は「誰が考えても普天間飛行場の実態は同じ」と、極めて真っ当な感想を示したことにほっとしたものである。だが、ケビン・メア在沖米国総領事は異なる見解を持っているようだ。

 十四日に行われた沖縄経済同友会で「米軍再編の将来展望」のテーマで講演した総領事は「私の目から見ると、厚木基地や福岡空港の周りの人口密度と比べると、普天間は特別に危険ではない。福岡空港では普天間よりも多くの航空機が飛来している」と述べているからだ。

 もちろん「宜野湾市民に、危険だという懸念や騒音の問題があるのはよくわかっており、迷惑をかけない努力をする必要がある」(15日付朝日新聞)とも語っている。だが、この問題をなぜ他空港と単純比較し簡単に口にするのか、疑問と言うしかない。

 福岡市は人口約百三十六万人の政令指定都市だ。そこと比べたら、宜野湾市だけでなく県内すべての基地周辺地域の人口密度が数値的に緩和されるのは当然だろう。

 米軍再編を推し進める側の意見であれば、ただそれとして聞くこともできる。だが、在沖総領事の発言である。市民が感じている危険性に「特別」の有無があるはずはなく、県民として異議を申し立てないわけにはいかない。

 それにしても、異なる状況下の問題をなぜ同列に扱うのだろうか。ここには「普天間」を手放したくない米国の本音が隠されているのではないか。

 メア総領事は、ラムズフェルド元長官の視察から十カ月後に隣接する沖縄国際大学構内に海兵隊所属のCH53型ヘリが墜落、炎上したことを忘れたわけではあるまい。もし忘れているとしたら、そのこと自体を問題にしなければならない。

 発言に対し仲里全輝副知事が「残念。総領事として地域の実情を把握して(ほしい)」と述べている。当然であり、県民ももっと深刻に受け止め、怒りを表明する必要がある。

 周辺の住民は、KC130給油機が普天間飛行場に着陸してはすぐに離陸する「タッチアンドゴー」の訓練を頻繁に目にしている。それこそが日常の危険性であり、「普天間」の閉鎖、返還は危険性の除去なのである。市民の恐怖心を無視した発言は厳に慎んでもらいたい。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070518.html#no_1

沖縄タイムス 関連記事(5月18日朝刊)

2007年5月18日(金) 朝刊 1・31面
辺野古移設 海域調査きょう着手
機器設置 海自支援も
 那覇防衛施設局は十八日、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)に必要な調査機器を設置する。海底の磁気探査と並行し、六月初めにも始まるサンゴの産卵状況を調べるため、着床具の設置作業を優先させる方針。海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」は同日、同市辺野古沖に停泊し、海自隊員が調査機器の設置作業を支援できる態勢で臨むとみられる。

 一方、辺野古漁港には十七日深夜、市民団体のメンバーら約百人が集まり、緊張感に包まれた。天候や反対する市民グループの動きによっては、ぶんごは十八日未明のうちに調査海域に入り、海自の潜水要員が着床具の設置作業に一部着手する可能性もある。ただ、海自の作業への関与については県民世論の反応も踏まえ、慎重に判断するもようで流動的だ。

 久間章生防衛相は十七日の参院外交防衛委員会で、国家行政組織法上の「官庁間協力」を挙げ、防衛施設庁の要請を受けて海自を動員することを初めて公式に認めた。ぶんごの乗員が調査に参加する可能性についても「それを否定するわけではない」と表明。施設局が委託している民間業者の設置作業をサポートする名目で海自の潜水要員を動員するとみられるが、自衛隊員が災害や国際協力以外の活動に参加する法的根拠については明らかにしていない。

 自衛隊が米軍基地建設に絡む調査活動に協力するのは極めて異例。反対する市民グループらは「海自を派遣し、威圧的に調査を実施するのは民主的なやり方ではない」と反発を強めている。

 海自の支援については仲井真弘多知事も「県民感情を考えるとあまり好ましいとは思わない。誤解を生むようなことは避けた方がいい」と否定的な見解を示している。

 施設局が今回実施するのは海生生物調査と海象調査。海象調査は(1)流向・流速(2)水温・塩分(3)波高・波向(4)濁度(5)補砂器に分類。海生生物調査は、サンゴやジュゴン、海亀などの生態を調べる。

     ◇     ◇     ◇     

市民100人集結

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に反対する市民団体のメンバーは十七日深夜、同市辺野古区に集結、漁港入り口で座り込みを始めるなど、現場は緊迫度を高めている。

 同飛行場代替施設の建設に伴う海域での現況調査(事前調査)に向けた調査機器設置が十八日にも始まる、という情報を受け、約百人の反対派が座り込みを続けるテントに駆けつけた。

 メンバーは那覇防衛施設局の職員が現地に到着しても漁港へ入るのを阻止するため漁港入り口の道路に座り込んで集会を開いた。非暴力で反対を訴えることなどを確認し合った。

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は「自衛隊まで派遣する政府の圧力に屈することなく、平和を訴えたい。そのためにも、絶対に作業を阻止したい」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_01.html

2007年5月18日(金) 朝刊 2面
海自動員「将来に禍根」/伊波市長が反対意見
衆院安保委参考人質疑
 【東京】伊波洋一宜野湾市長は十七日、米軍再編に関する衆院安全保障委員会の参考人質疑に出席し、米軍普天間飛行場移設先の周辺海域での現況調査(事前調査)に海上自衛隊が動員されることに「(沖縄には)旧日本軍も含めさまざまな記憶がある。県民と対峙させることは、将来に大きな禍根を残す」と反対した。

 伊波市長は「なぜ普天間飛行場の危険な状況が放置されるのか。米軍は九万人の市民が居住する真上で飛行訓練を続けており、墜落事故が起きれば大惨事になる」と指摘。二〇〇四年八月十三日のヘリ墜落事故による住民の心理的不安や騒音による身体的苦痛を訴えた上で、一期目の公約である「〇八年までの返還」を強調した。

 その上で、普天間飛行場の航空部隊をグアムのアンダーセン空軍基地に移す持論を展開。名護市キャンプ・シュワブ沖に代替施設を造る案について「辺野古の海はジュゴンもすむ本当に美しい海。将来的にも沖縄の大切な財産だ。基地建設で壊さないでいただきたい」と計画の見直しを求めた。

 米軍岩国基地(山口県岩国市)への空母艦載機移転に反対する井原勝介同市長は、政府が○七年度予算で新市庁舎建設費の補助金を打ち切ったことについて「米軍再編とリンクさせるやり方には納得できない」と批判。協力度に応じて交付金を払う新制度に関しては「アメとムチの手法で、市民の不安をかき立てている」と訴えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_02.html

2007年5月18日(金) 朝刊 2面
V字滑走路 米軍機種変更で1600メートルに
 【東京】防衛省の大古和雄防衛政策局長は十七日の参院外交防衛委員会で、米軍普天間飛行場代替施設のV字形滑走路の長さが、辺野古沖を埋め立てる従来案より三百メートル長い千六百メートルに決まった理由に代替施設を使用する固定翼連絡機の機種変更があったことを明らかにした。大古局長は「(SACO以降の)情勢変化で固定翼の連絡機についても(滑走路が)長いものが必要になった(米側から)と聞いている」と説明。機種名は明らかにしなかった。白眞勲氏(民主)への答弁。

 久間章生防衛相は滑走路の長さについて「日本国内における飛行場で千三百メートルというのはなく、みな千五百メートル以上だ。どこかにトラブルがあったときには千五百メートルは最低必要」との認識を示した。

 在日米軍再編に伴う基地返還や在沖米海兵隊のグアム移転後の基地従業員の雇用について、久間防衛相は「(従業員を)全部残すことはできないのではないかと思っている」との見解を示した。

 その上で「(失業の)影響が最小限になるよう努力していかなければならない。職業転換をはじめとしていろいろと配慮していこうと思っている」と述べ、積極的に雇用対策を検討する考えを示した。小泉昭男氏(自民)への答弁。

 大古局長は、在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体へ支払われる「再編交付金」の算定基準について、今後、住民生活に及ぼす影響を点数化して算定する考えを示した。参考例として(1)防衛施設面積の増加(2)飛行場設置など新たな施設整備の内容(3)戦闘機やヘリ、車両など装備の配備内容(4)人員増加の規模(5)訓練の内容―などを挙げ、「このような点を考慮して基準を設けたいと考えている」と説明した。緒方靖夫氏(共産)への答弁。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_03.html

2007年5月18日(金) 朝刊 31面
東村長一転 容認の意向/ヘリパッド移設
 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題で、東村の伊集盛久村長は十七日、反対の立場を転換し、移設容認の意向を示した。地元高江区の代議委員会に対し、村長は文書で「住民の生活環境の保全に最大限配慮するよう国に強く要望する」と理解を求めた。

 伊集村長は沖縄タイムス社などの取材に対し、「公約違反は認める。実際に行政を担い、いろんな意見を聴き、最終的にはこういう形にしかできない。区民に申し訳ないと思っている」と語った。村長は選挙公約で移設反対を掲げ、就任後は「移設場所を住宅地から遠ざけるよう、国に建設予定地の変更を求める」としていた。

 村長は同日、仲嶺武夫区長を通し、文書で受け入れを伝えた。この中で「高江区民の要望どおり移設場所を集落から大幅に離すことが望ましい」とする一方で、「米軍との調整や、過年度調査を含めると約十年に及ぶ環境影響評価手続きの経過などを踏まえると、現時点で移設場所の変更は難しいと考える」と理解を求めた。

 代議委員からは「公約と違う」「位置の変更を求める方針が大幅に後退している」と落胆した声が聞かれた。

 伊集村長は同日、就任後初めての移設予定地視察と、地元住民との意見交換会を予定していたが、「急用ができた」として急きょキャンセルした。

 仲嶺区長は「場所の変更を求めないという部分は、これまでとニュアンスが違うと感じたが、ヘリの騒音など住民に影響がある場合はその都度国に申し入れるとあるので、全体的な姿勢は大幅に変わったとはとらえていない」との考えを示した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_04.html

2007年5月18日(金) 朝刊 30面
原告住民ら戸惑い/普天間・爆音検証
「いつもより高度高く回数少ない」
 【宜野湾】米軍普天間飛行場の周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟で、那覇地裁沖縄支部による初めての現場検証は十七日午後も続行された。検証現場上空ではCH46輸送ヘリなどの旋廻が確認されたが、現場で被害を説明した原告住民からは「いつもより飛行の高度が高い。回数も普段より少ない」と戸惑いの声も聞かれた。

 同支部の河合芳光裁判長らは午前の飛行場南側地域に続き、午後は北側に位置する宜野湾市野嵩、普天間の二カ所で検証を実施。飛行場に隣接する沖縄国際大学では二〇〇四年八月に同大学で発生した米海兵隊のCH53大型輸送ヘリの墜落事故現場を視察した。

 飛行場滑走路の横、同市普天間に暮らす新垣清涼さん(57)の住宅屋上からはCH46輸送ヘリやAH1攻撃ヘリがタッチ・アンド・ゴーを繰り返す様子が確認された。

 住民らは「飛行回数が普段より少なく、被害実態が分からない」と訴えた。裁判官に飛行ルートなどを指さしながら騒音被害を説明した新垣さんは「いつもはもっと低く飛ぶ。米軍は検証の日に限って住民に配慮をしているような飛び方をしている」と語った。

 滑走路南側、同市佐真下で駐機場からのエンジン調整音や排ガスの被害を訴えた久場たつのさん(46)も「裁判官に現状を知ってもらいたかったのに、今日はそんなに音がしなかった」と憤った。

 原告団団長の島田善次さん(66)は「提訴から四年、やっと裁判官に『普天間』の現状を現場で説明することができてよかった。騒音は少なかったが、別の日に測定された市や県のデータを提出することで日常的な騒音被害を訴える」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_08.html

沖縄タイムス 関連記事・社説(5月17日)

2007年5月17日(木) 朝刊 1面
跡地経済効果1兆円/基地再編返還予定地
生産誘発1兆7000億円/地代収入1900億円損失に
 在日米軍再編で合意した嘉手納基地より南の米軍基地・施設の返還に伴う地域経済への影響などについて、県が二〇〇六年度に実施した調査で、返還予定地の跡地整備における建築・土木費などの直接経済効果は約一兆円に上り、生産誘発額は約一兆七千億円規模、約千三百億円の税収が見込まれることが十六日、分かった。

 跡地での立地企業による販売活動などに伴う直接経済効果(年間販売額)は約八千七百億円で、生産誘発額を年間約七千百億円と推計。一方、返還に伴う損失として地代収入などマイナス面も指摘。県は近く報告書をまとめ、今後の大規模跡地利用策や沖縄振興、経済展望などについて検討作業に入る。

 同調査は「駐留軍用地跡地利用に伴う経済波及効果等検討調査」。普天間飛行場、キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧、牧港補給地区(キャンプ・キンザー)、那覇港湾施設(那覇軍港)の五カ所について、那覇新都心地区の土地利用構成などを基にそれぞれの地区の土地利用を想定。その上で、同地区の平方メートル単価などを用いて算出した。

 こうした結果から、嘉手納基地以南の大規模返還に伴う開発は、税収増や地域経済にプラスの効果がある―と分析。ただ、周辺地域の既存商店街への影響や開発事業に伴う財政負担などを挙げ、今後の跡地利用には「新たな開発事業方式の導入、周辺との共生による推進が必要」としている。

 また、土地の供給・需要面から跡地利用計画策定以前に、中南部圏全体の土地利用の最適化計画(仮称)の策定を提起。商業・住宅等の需要予測の必要性を挙げた。

 中南部圏全体における軍用地・施設などが返還された場合に失われる経済効果は、地代収入など年間で約千九百億円とした。

 このほか、那覇市新都心地区や北谷町美浜地区など、既に返還された基地跡地における地域への経済効果を推計。那覇新都心地区(二百十四ヘクタール)では、地区整備によってもたらされる商業・サービス等の活動による波及効果は生産誘発額(年額)約六百二十九億円と大きな影響がある一方で、周辺地域の商店街などへの売り上げ減少の影響なども指摘。また、周辺地域からの人口流入や周辺地区への地価への影響なども挙げた。

 北谷町美浜地区では同生産誘発額(年額)は約五百六十八億円と試算、経済効果が高いことを示した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705171300_01.html

社説(2007年5月17日朝刊)

[復帰35年・日米密約]

対米従属からの脱却を

使途不明の軍用地補償費

 沖縄の返還交渉に絡む日米両政府の密約が米公文書から新たに明らかになった。

 一つは、一九七二年五月の返還を前に米政府が支払うはずの軍用地復元補償費四百万ドルを肩代わりする密約の発覚を恐れ、日本政府が軍用地主らへの補償費支払い業務を延期するよう米側に働き掛けていたというものだ。

 米側は財務、国務、陸軍の三省間で検討を重ね、支払い業務開始を七三年に先送りした。

 また、実際に地主に支払われた補償費は百万ドルを下回り、一部は支払い業務を担当した米陸軍工兵隊の経費にも充てられていたことが分かった。

 復帰前、米政府がドル建てで支払っていた軍用地料は、年間総額約八百六十一万ドル(七一年度、当時の一ドル三百六十円換算で約三十一億円)で、軍用地復元補償費はその約半分に相当する額だ。

 駐沖縄米総領事は七五年七月二十九日付の国務省あての公電で、残りの三百万ドル余りについて「(日本政府向けに)問題を引き起こさない使途の説明が必要になる」と指摘しているが、使途は明らかになっていない。

 同密約をめぐっては、元毎日新聞記者の西山太吉氏が入手した外務省の極秘公電を基に社会党が七二年に国会で追及したが、政府は今日に至るまでその存在を否定している。

 もう一つは、いわゆる「思いやり予算」の原型になったとされている「米軍基地改善費」と称する対米支出の問題だ。それに絡む密約の動きも米公文書などから浮かび上がっている。

 日米地位協定(第二四条)では、施設の維持・整備は米側の負担と定められている。

 同協定がまだ適用されない復帰前の沖縄では、当然ながら、米政府自身が沖縄基地の維持・整備費を全額支出していた。

 そんな中で七三年二月、社会党は沖縄返還協定で規定された米資産買い取りなどの対米支払い三億二千万ドルとは別に、米軍基地改善費六千五百万ドルを支払う密約があったと追及した。

地位協定の解釈を変更

 政府は密約を否定したが、七二―七三年の米太平洋軍年次報告書は、国会紛糾の影響で那覇空港返還に向けた米海軍の対潜哨戒機移転先の工事が一年以上遅れた経緯に言及した上で、六千五百万ドルは那覇空港の返還に伴う移転関連基金に充てられたとしている。

 復帰前の米軍の全面占領下では、那覇空港も那覇海軍航空施設、那覇空軍・海軍補助施設として使われていた。

 復帰直後の七三年一月に開かれた第十四回日米安全保障協議委員会(2プラス2)で初めて在沖米軍基地の整理統合計画が協議され、那覇空港の米軍施設は嘉手納基地への統合が合意されている。

 こうした経緯から見ると、米軍基地改善費六千五百万ドルは日米地位協定の枠外で那覇空港の米軍施設の移転費に充てられたと読み解けよう。

 在日米大使館は七五年十二月二十四日付の国務省あての文書で、その使途について地位協定が適用できない案件だったとした上で「今後は協定の緩やかな解釈を求めることが困難」と報告。施設改善で日本側から新たな財政支援を引き出す方法を考える必要性を示している。

 これに、日本政府は地位協定第二四条の解釈変更による「思いやり予算」で応じることになる。

突出する「思いやり予算」

 七八年、まず基地従業員の労務費のうち社会保険料を初めて思いやり予算として負担。軍用地料の全額、新規の提供施設についても「可能」との解釈を打ち出し、過去の実態も追認して予算措置で対応するようになった。

 今や、嘉手納基地ではF15戦闘機用シェルターが思いやり予算で造られ、米軍住宅建設費や基地の再建設費の日本側への肩代わり負担にほかならない移設費なども含まれている。

 思いやり予算で負担している在日米軍の駐留経費は、軍用地料や基地周辺対策費などを含めスタート時の七八年の千七百五十九億円から二〇〇五年には六千四百七十九億円に膨張、この二十七年間で約十三兆円もの税金が投入されている。

 日本の思いやり予算は、米軍が駐留する世界二十七カ国=北大西洋条約機構(NATO)十八、太平洋三、湾岸六=の中でも突出しており異常だ。

 米国との関係強化の前に、まずこの対米従属からの脱却を図るべきだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070517.html#no_1

2007年5月17日(木) 夕刊 1面
未明離陸に抗議決議/北谷町議会
 【北谷】米軍嘉手納基地に一時配備されていた米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプター十機が米本国への帰還時に未明離陸を強行したことについて北谷町議会(宮里友常議長)は十七日午前、未明離陸の禁止を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。近日中に在日米国大使、在日米軍沖縄地域調整官、在沖米国総領事、外務省沖縄担当大使、那覇防衛施設局長らに抗議と要請を行う。

 抗議決議、意見書では「幾度となく未明離陸中止の要請を行ってきたが、米軍の姿勢は基地周辺住民を軽視している」と厳しく批判。整備上の理由で二機が午前十時二十五分に離陸したことを指摘し、「他の基地を経由して帰還することが十分可能と考えられる」として、未明離陸を回避する運用改善を求めている。

 また、教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍の関与が高校の歴史教科書から削除された問題について、検定意見の撤回を求める意見書を可決。首相、文部科学大臣、衆参両院議長らに要請する。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705171700_05.html

琉球新報 社説(5月16日)

沖縄返還密約・繰り返された隠蔽工作

 沖縄返還に絡む日本政府の欺瞞(ぎまん)がまたしても明るみに出た。返還に伴う軍用地復元補償費400万ドルを米国に代わって日本が負担するという密約の発覚を恐れ、日本政府が米側に働き掛けて補償費支払いを延期させていたのだ。
 米国側は財務、国務、陸軍三省が協議し、支払い業務開始を1972年から翌73年に延期した。日米両政府が国家ぐるみで隠蔽(いんぺい)工作を行っていたわけだ。
 しかも、日本側から提供された400万ドルのうち米国が実際に沖縄の地権者に支払ったのは100万ドルを下回っていた。積算根拠に乏しい中で、米国の言うがままの金額を支払っていた疑いが強い。
 沖縄の地主らに支出するため使われるはずだった残りの300万ドル余は米国がちゃっかり懐に入れていたのだから驚く。一部は米陸軍工兵隊の経費にも充てられていた。
 地権者に渡らなかったのなら日本政府に返すべきだろうが、使途は明らかになっていない。
 米国の当初の予定では、返還に伴う米資産買い取り費用などとして日本側から支払われる3億2000万ドルの中から400万ドルを信託基金設立に充て、72年中に復元補償費の支払い業務を始めることになっていた。これに対し日本政府が「信託基金設立は(肩代わりの)取り決めを公に認めることになる」と待ったをかけたのだ。
 国務省内には支払い遅延への沖縄側からの反発を懸念する声もあったが、国会で追及されるリスクを回避することを優先したという。
 日本政府は、国民に説明できない不適切な対米支出を覆い隠すため米国との裏交渉に奔走した結果、地主への補償を遅らせた。国民を欺いた上に、地権者に不利益を与えたことになる。まるで背信行為ではないか。
 これらは米国立公文書館に所蔵されている一連の公文書によって新たに判明した事実だが、日本政府は密約の存在そのものを一貫して否定し続けている。
 71年当時、外務省アメリカ局長として対米交渉を担当した吉野文六氏が、2006年になって「返還時に米国に支払った総額3億2千万ドルの中に原状回復費用400万ドルが含まれていた」と密約の存在を認めた後も、その姿勢は変わらない。
 主権者である国民に背を向ける極めて不誠実な態度と言わざるを得ない。
 国民には真実を知る権利があり、政府には事実を明らかにする責任がある。政府にとって都合が悪いからといって、真実を闇に葬ることは決して許されない。
 72年の本土復帰から既に35年が経過した。国民を欺いていたのなら潔く認め、密約の全容を速やかに公表すべきだ。

(5/16 10:36)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23803-storytopic-11.html