2007年5月15日(火) 夕刊 5面
那覇・糸満議会意見書/教科書検定
「自決」軍関与削除に抗議
教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍の関与が高校の歴史教科書から削除された問題で、那覇市議会(久高将光議長)と糸満市議会(玉城朗永議長)は十五日午前、それぞれ臨時会を開き、検定意見を撤回するよう求める意見書案を可決した。
両議会とも意見書で「沖縄戦における『集団自決』が、日本軍による命令・強制・誘導などなしに起こり得なかったことは紛れもない事実」と指摘した。
日本軍関与の記述を削除させた教科書検定に対し、「(事実が)ゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し、筆舌に尽くし難い犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって、到底容認できるものではない」と遺憾を表明している。
那覇市議会は「歴史を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにするためにも、今回の検定意見が速やかに撤回されるよう強く要請する」としている。
糸満市議会は「(同市には)多くの修学旅行生も訪れ、平和学習の場となっており、戦争の真実と平和の尊さを伝える役割を担っている。だからこそ、歴史の真実を伝えることは重要」と指摘している。意見書のあて先は内閣総理大臣、文部科学大臣、衆参両議院議長ら。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705151700_03.html
2007年5月15日(火) 夕刊 4面
週内に抗議決議/F22未明離陸
【嘉手納・北谷】嘉手納、北谷の両町議会は十五日、それぞれ基地対策特別委員会を開き、米軍嘉手納基地で今月十日に強行された最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターの未明離陸と同機の再配備に反対する抗議決議案を近く開催する臨時議会に提出することを決めた。
両特別委ともF22の未明離陸に抗議するとともに、同戦闘機の再配備に反対する意向を決議に盛り込むことを確認した。北谷は十七日に、嘉手納は十八日に臨時議会を開催し、決議案を審議する予定。
二機が午前十時二十五分に離陸、グアム経由で本国へ帰還したことについて委員らは「米軍自ら未明離陸は回避可能ということを示した」と指摘、運用改善を求める声が相次いだ。
ほかにも「騒音防止協定がなし崩しだ」「米軍は住民の負担を軽視している」などと抗議した。
また、F22の再配備については「沈黙は容認していると受け取られる。断固反対の意思を明確に示す必要がある」との意見が多く聞かれた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705151700_04.html
2007年5月15日(火) 夕刊 1面
施設局、作業場設置へ/辺野古海域調査
【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域での現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局が辺野古漁港内に作業場を設置する目的で名護市から同漁港施設用地の「行政財産使用許可」を得ていたことが十五日、分かった。
施設局が名護市に提出した使用許可申請では、使用期間は二〇〇七年四月二十三日から〇八年三月末日まで。使用方法は、現況調査関係者の駐車場および資材置き場で、簡易プレハブなどの設置も含まれているという。面積は千九百二十平方メートルとなっている。
申請は四月十八日付で、市は同二十三日付で施設局に使用許可の回答をした。
同調査に関して、名護市は「長島や平島を含む広範囲の現況調査であれば、政府案(V字形案)を前提にした環境影響評価(アセスメント)に直結するものではなく、反対することにならない」として、国に調査への同意書を提出している。
辺野古漁港への作業場設置については、施設局が〇四年四月に従来の沖合案建設に伴うボーリング調査作業着手の際に設置を試みたが、反対派住民らの阻止行動で設置できなかった。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705151700_05.html
2007年5月15日(火) 夕刊 1面
那覇空港拡張「首相公約」/国交相答弁 積極姿勢を強調
【東京】安倍晋三首相が参院補選の応援で沖縄入りした際、那覇空港の沖合展開に最優先に取り組むと明言したことに関連し、冬柴鉄三国土交通相は十五日午前の衆院国土交通委員会で、「(沖合展開は)安倍総理の公約ですから、選挙のときの発言なども踏まえて、私も積極的に、前向きに考えていきたい」と語った。西銘恒三郎氏(自民)への答弁。
冬柴国交相は同空港に関する調査に基づき「現状の利用条件の下では、二〇一〇年から一五年のころには、夏季において滑走路の処理能力に余裕がなくなると予想される」と説明。
その上で「沖縄の発展のためには那覇空港の能力増強は必要と考えている。今後できるだけ早期に結論を得て、具体策を講じていきたいと考えている」と、積極的に取り組む考えを強調した。
安倍首相は沖縄入りした際、「沖縄は地図上ではアジアの中心だ。那覇空港の拡張を最優先で行うことを約束する」と明言していた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705151700_06.html
2007年5月16日(水) 朝刊 1面
全首長「沖振法延長を」/復帰35周年本紙アンケート
本土格差理由に/県独自の将来像 必要
本土復帰三十五周年を迎えるに当たり、沖縄タイムス社が実施した県内市町村の首長アンケートで、残り五年で終了する沖縄振興特別措置法(沖振法)について、四十一市町村すべての首長が「延長すべき」と回答し、主な理由に「社会基盤整備が不十分」「本土との格差是正が必要」などを挙げ、依然として沖縄―本土間の「格差」を感じていることが明らかになった。また、実質四次となる現行の沖縄振興計画の終了を見据えた県独自の総合計画(長期ビジョン)の策定については約九割の三十七人が「必要」と回答。国の支援の継続を求める一方で、県独自で将来像を描く必要性を感じていることも浮き彫りになった。
アンケートは九―十四日に、県内四十一市町村長を対象に実施。全首長から回答を得た。
沖振法に基づき道路や河川改修、港湾整備事業などに対し他県と補助の割合を優遇する高率補助制度については、「評価できる」が三十三人(80・5%)、「ある程度評価できる」が八人(19・5%)と回答。同制度を今度も続けるべきかとの質問にも、約九割が「本土との格差が是正するまで続ける」(三十七人)との認識だった。
北部振興策や米軍基地所在市町村活性化特別事業(島田懇談会事業)など、政府による各種振興策への評価は、十九人(46・3%)が「評価する」、十五人(36・6%)が「どちらかといえば評価する」と回答。社会基盤の整備や地域経済の活性化を主な理由とした。
復帰特別措置法に基づく酒税の軽減措置や揮発油税については、二十八人(68・3%)が「評価する」と答え、地場産業の育成や離島交通コストの低減などに寄与しているとの認識だった。
財政状況については、二十人(48・8%)が「とても厳しい」、十五人(36・6%)が「厳しい」と回答。五年後の財政状況の予測でも、約六割が「悪化する」または「極めて悪化する」との危機感を示した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705161300_01.html