月別アーカイブ: 2008年3月

県民大会開催を決定 密約訴訟、控訴審判決など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(2月20日)  

2008年2月20日(水) 朝刊 1面

県民大会 開催を決定/米兵暴行

子連・婦連、準備委

 米兵による暴行事件を受け、県子ども会育成連絡協議会(玉寄哲永会長)や県婦人連合会(小渡ハル子会長)など九団体の代表らは十九日、県婦連会館での会合で、超党派の県民大会開催を決め、実行委員会準備会(仮称)を発足させた。今後、知事や県議会、昨年九月の「教科書検定意見撤回県民大会」実行委に加わった二十二団体などに幅広く参加を呼び掛け、大規模な大会を目指す。

 開催方法や日時、場所は、次回二十六日以降の準備会に結論を持ち越した。会合には、ほかに県老人クラブ連合会、県高校PTA連合会、高教組、沖教組、未来を語る会、青春を語る会、県生活協同組合連合会の代表が出席。事件への抗議とともに、事件の根源である基地問題に踏み込んだ要求を盛ることで一致した。

 具体的には、被害者への謝罪と補償のほか、「県民への人権侵害を許さない」として、基地の実質的な整理・縮小、地位協定の改定、米軍幹部の責任の明確化を求める、などが挙がっている。

 出席者からは「戦後六十二年間続いている基地問題と、今回の事件を切り離して考えてはいけない」、「被害者や若者の目線に立ち、人権が蹂躙されている現状への怒りを日米政府にぶつけるべきだ」、「結集して抗議の意思を示すことで(基地負担軽減の)成果につなげたい」などの声が相次いだ。呼び掛け人の玉寄会長は会合後、「各団体と歩調を合わせ粘り強く交渉し、県議会も一緒に動ける方向を目指したい」と意欲を示した。

 大会については、一カ所での開催と交通の便を考慮した分散型、早期開催と態勢を整え四月以降にするべき、など意見が分かれた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201300_01.html

 

2008年2月20日(水) 朝刊 1・26・27面

女性320人緊急集会、心のケア訴え/米海兵隊の撤退要求

 【北谷】米兵による暴行事件に抗議する「危険な隣人はいらない!」緊急女性集会が十九日、北谷町のちゃたんニライセンターで行われた。約三百二十人が参加。事件が発生した本島中部の首長や女性団体の代表らが、再発防止できない米軍や日本政府を批判。被害女性への精神的ケア、在沖米海兵隊の撤退などを求めるアピール文を全会一致で採択した。

 参加を呼び掛けた三十団体を代表し、沖縄市婦人連合会の比嘉洋子会長は「なぜ、罪のない子どもが被害に遭わないといけないのか。私たちは子どもたちをどう守ればいいのか」と訴え、海兵隊撤退を求めた。

 集会アピールでは「なぜ、子どもや女性が安心して生きる環境が大事にされないのか」と指摘し、被害者への精神的ケアと補償、加害米兵への処罰、基地外に住む米兵の実態把握、県民大会の開催―を求めるとした。

 あて先は首相や防衛相、県知事、米四軍調整官ら。県内機関には直接抗議する方向で調整する。


月内に大会 北谷町表明


 【北谷】北谷町の野国昌春町長は十九日、米兵暴行事件に抗議する町民大会を月内にも開くことを明らかにした。日時や会場などは町内各種団体を網羅する実行委員会で検討する。女性団体や子ども会など四団体が同日、町と協議して決めた。

 

     ◇     ◇     ◇     

絶えぬ性被害告発


 【北谷】米兵による暴行事件を受け、女性たちが積み重なる性犯罪被害への憤りと無念をぶつけた。十九日、北谷町のちゃたんニライセンターで開かれた「危険な隣人はいらない!」緊急女性集会。「いつになったら安心して暮らせるのか」「基地の存在を許してきた私たち大人も問われている」。女性たちは代わる代わるマイクを握り、せきを切ったように基地撤去を訴えた。

 会場は約三百二十人が詰め掛け、立ち見が出るほど。九割ほどが女性で、壇上の話に身じろぎもせずに聞き入った。

 「安全な所はどこ!」。過去の米兵による性犯罪事件に抗議するため作った横断幕を舞台正面に再び掲げ、繰り返される被害の歴史を告発した。基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代共同代表は、「横断幕が今もそのまま使えるようなこの沖縄社会を、どうしたら変えられるか」と問い掛けた。

 沖国大一年の安慶名さつきさん(19)は「同じ女性としてほっておけない」と、母つる子さん(61)と参加。「自宅が容疑者宅と近く、前を通るのも怖い」と表情を曇らせる。つる子さんは「みんなでこれは異常だと声を上げたい」と強調した。

 昨年末、約四十年住んだ東京から帰郷した上地博子さん(57)。十三年前の県民大会は、東京で報道を見ても「身近に感じられなかった」というが、帰郷直後に続発する事件に「今回は居ても立ってもいられなかった」と、深刻な表情を浮かべた。

 北谷町の島袋隆子さん(77)は、地域の友人らと連れ立って来た。「米兵は沖縄の人をばかにしていると感じる。もう基地をなくす以外に方法はない」と言い切った。

 同町の女性(53)は、「沖縄は基地の中にあるようなもの。日米両政府は抜本的な解決策を示してほしい」と、切迫した様子で語った。


在京女性団体も抗議


 【東京】在京にある女性三団体は十九日、都内にある衆議院会館内で米兵暴行事件に抗議する集会を開き、被害者への謝罪と補償、在日米軍再編計画を中止し、基地の縮小・撤去することなどを求めるアピール文を採択した。八十人近くが参加し、県選出国会議員も出席した。

 メンバーは日本婦人団体連合会、新日本婦人の会、女性の憲法年連絡会の三団体。集会の冒頭、新日本婦人の会の高田公子会長は「子どもたちに恐ろしい思いをさせることは、女性として、母親として許すことはできない」と訴え、事件に強く抗議した。

 集会には二〇〇六年に横須賀市で米兵に殺害された女性の関係者が出席し、米軍犯罪の実情を説明した。


退職教員ら事件に抗議


 退職教員でつくる「おきなわ教育支援ネットワーク」は十九日、米兵暴行事件に抗議する声明を発表し、「(事件は)戦地に駆り出され、戦時訓練を受けた米兵によって必然的に引き起こされたもの。掛け替えのない子どもの尊厳が踏みにじられたことを絶対に許さない」と訴えた。

 日米両政府に対し、「米海兵隊による蛮行を糾弾するとともに、一切に軍事演習、辺野古新基地建設に反対する」と基地撤去を求めている。


沖縄防衛局に統一連「激しい怒りで抗議すべきだ」


 県統一連(新垣繁信代表幹事)のメンバー十人は十九日、沖縄防衛局を訪れ、米兵による暴行事件の被害者への全面的な謝罪と適正な補償を求め、在沖米軍の全構成員の即時撤退などを訴えた。

 新垣代表幹事は「一人の人間の尊厳が踏みにじられた。国の平和と独立を守り、安全を保つ自衛隊なら、『遺憾の意』だけでなく、激しい怒りでもって米軍に抗議すべきだ」と強調した。

 メンバーからは「基地のある限り、事件は繰り返される」など、基地の撤去を強く求める声が上がった。

 同団体は、二十一日には外務省沖縄事務所にも同様に抗議・要請する。


労働団体、シュワブ前で集会


 【名護】本島中部で起きた、米兵による暴行事件や名護市辺野古での民家への住居侵入などを受け、沖縄平和運動センターと労働団体が十九日、辺野古のキャンプ・シュワブ第一ゲート前で、事件に抗議する緊急集会を開き、基地の撤去や県民大会の開催を呼び掛けた。同センターと北部地区労、自治労北部総支部が主催、約六十人が参加した。

 北部地区労の仲里正弘議長は「基地ある限り、同じ事件は起こる。基地の撤去以外、犯罪をなくすことはできない」と声を荒らげ、基地撤去を強く訴えた。名護市の仲村善幸市議は「政府は被害者の痛みを一片も感じていない。北部への基地集約を見直す時期に来ている」と強調。米軍普天間飛行場の名護市への移転など米軍再編を見直すべきだとした。

 参加者は「北部への基地集約反対」「辺野古への基地建設反対」などのシュプレヒコールを繰り返した。


沖縄人権協が週刊誌を抗議


 米兵による暴行事件に関し、一部週刊誌の記事で被害者への重大な人権侵害があったとして、沖縄人権協会(福地曠昭理事長)は十八日、同誌の代表者と、編集責任者に抗議文を送付した。同協会は、記事が「被害者や家族に苦痛を与え、プライバシー権も侵害する」と強く批判している。

 県マスコミ労働組合協議会(宮城歓議長)も十九日、同じ記事に対して緊急声明を発表。「被害者の尊厳を踏みにじる内容で、報道による二次被害が生じている」と指摘し、すべてのメディアに節度ある報道を求めた。

 記事を掲載した同誌は人権協会の抗議に対し、「特に対応する予定はない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201300_02.html

 

2008年2月20日(水) 朝刊 1・2面

米軍、無期限外出禁止令

 米兵による事件続発を受け、在沖米海兵隊報道部は十九日深夜、空軍と海軍、陸軍を含む四軍全体の構成員に対し、二十日朝から無期限の外出禁止を命じると発表した。兵士らは任務以外は基地内か、基地外の自宅にとどまることが義務付けられる。

 在沖米軍トップのリチャード・ジルマー四軍調整官(中将)が命令した。すべての構成員は、任務や病院の受診など必要な用件がある時だけ、軍用車や私有車、タクシーによる民間地域の移動が認められるという。

 米軍は外出禁止措置を「反省の期間」と位置付け、「全軍の規律を維持するために必要な方法を見直す機会となる」と強調した。


     ◇     ◇     ◇     

基地内居住を促進/米軍高官が言及


 【東京】米兵暴行事件を受け、県議会米軍基地関係等特別委員会の要請団(団長・親川盛一委員長)は十九日、在日米軍司令部にフロック副司令官、駐日米国大使館にグリーン安全保障政策課長をそれぞれ訪ね、事件に強く抗議した上で、実効性のある具体的な再発防止策を講じるよう要請した。要請団は同日夕に県東京事務所で開いた記者会見で、午前に面談したフロック副司令官が「基地外に居住する米兵をできるだけ基地内に住ませたい」との考えを示したことを明らかにした。

 フロック副司令官は同日午前十一時から沖縄で、ジルマー在沖米四軍調整官が四軍の各司令官を招集し、再発防止策を議論する会議を開いたことを報告したという。

 フロック、グリーンの両氏は、在日米四軍で基地外居住の基準がそれぞれ違うことを説明した上で、対策を講じる必要性を示したという。また、在沖米海兵隊八千人のグアム移転について「米軍再編と事件は別の問題。ぜひ進めたい」という趣旨の発言をしたという。

 親川団長らは、基地外に住む米兵が今回の暴行事件を起こしたことを問題視。基地外居住者の実態把握を強く求めた。フロック副司令官は「階級を含め、実態を把握する必要がある」と理解を示したという。

 また、グリーン課長は要請団に「再発防止策で地元からの提案はありませんか」と意見を求めた。親川団長は「基本的には米軍が考える問題だ」と述べた。

 要請後の記者会見で、渡嘉敷喜代子、新川秀清、上原章の各氏は、日米地位協定の見直しの必要性に言及。渡嘉敷氏は「今回は容疑者の身柄が県警にあるため、日米ともなるべく地位協定を言わせないようすり替えていると感じた」と述べた。

 小渡亨氏は「この事件で米軍再編の作業が遅れては困る。海兵隊八千人のグアム移転や米軍普天間飛行場移設は着実に進めてほしい」と述べた。


外出禁止要請「困難」/防衛相


 【東京】米兵による暴行事件で、石破茂防衛相は十九日の衆院予算委員会で、米兵の基地外外出を原則禁止するかと問われ、「日本政府として(米国側に)要請するのは難しいところがある」と述べた。照屋寛徳議員(社民)が、相次ぐ事件の防止策に実効性が伴っていないことを指摘し、政府の姿勢をただした。

 石破防衛相は、在沖米軍が現在実施している(夜間外出を制限する)「リバティーカード」制度の実効性を追及され、「その実効性がどうなのか。詳細に確認しなければならない」とし、夜間に限らず外出を規制する対策には慎重な姿勢を示した。

 米軍側から新兵らを対象とした教育プログラムの見直し、強化策の措置方針が示されていることを紹介し、「どの部分をどう直し、強化するのか。それでどう実効性が図られるのか。日本側が納得するものでなければならない」と、米軍側の対策に日本側が関与する姿勢をあらためて示した。

 一方、照屋議員は、基地外に居住する米軍人・軍属が感染症を発症した場合の日本側の対応についてただした。

 舛添要一厚生労働相は一九六六年の日米合同委員会で、当該保健所長と米軍病院長の間で情報を共有することで合意していることを説明。その上で「基地外で米軍人・軍属個人が感染している場合は、日本の感染症法に基づく措置は可能だ」との見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201300_03.html

 

2008年2月20日(水) 朝刊 2面

普天間安全対策/日本、費用負担で合意

 【東京】日米両政府は十九日の合同委員会で、二〇〇四年八月に起きた米軍ヘリ墜落事故を受け、昨年八月に合意した米軍普天間飛行場の安全対策に関し、クリアゾーン(無障害地帯)拡充や滑走路末端識別灯新設などについては日本側が費用を負担して実施することで合意した。防衛省は本年度内に現地調査実施と業者との契約を終え、〇八年度から工事に着手する方向で手続きを急いでいる。

 普天間飛行場の安全対策で日米は、空中でエンジンが停止しても安全に着陸できるヘリコプターの特性(オートローテーション)に着目。オートローテーションによる帰還時に障害となっている工作物や樹木を除去し、クリアゾーンを拡充することで合意していた。

 一方、夜間飛行時などの安全確保を目的に、滑走路の識別を容易にするための「滑走路末端識別灯」の新設や、パイロットが進入角度をより適切に把握するための「進入角指示灯」の更新についても確認していた。

 今回、これらを日本側が実施することについて防衛省は、「米側も独自に航空管制システムを改善しており、日本だけが費用負担しているわけではない。基地を提供している責任もあり、合意を早く進める観点から日本側が実施することとなった」としている。

 普天間飛行場の安全対策では、オートローテーションによるヘリの帰還を可能とするため、場周経路飛行時の設定高度を三百三十メートルとすることで合意していたが、宜野湾市の伊波洋一市長は、「場周経路の合意は全く守られておらず、クリアゾーン拡充も全く無意味だ」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201300_04.html

 

2008年2月20日(水) 朝刊 27面

「普天間」アセス/防衛局が県未同意の調査実施

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団は十九日、米軍普天間飛行場の移設に向け、名護市辺野古沖で行われている沖縄防衛局の現況調査(事前調査)で今月初旬、県が同意していない海域調査が実施されていたと発表した。県は監視団の報告を受け、同意していない調査であることを確認、防衛局に口頭で調査の中止を求めた。監視団は環境影響評価法(アセス法)違反と指摘している。防衛局は「現況調査は、昨年四月の県の同意を受け実施している」としている。

 県は、防衛局の現況調査について昨年四月、海域使用を認める公共用財産使用協議に同意。その際、調査内容を海生生物や海象調査に限定し、使用する調査機器も(1)海象調査機器(2)サンゴ類の着床具(3)音波探知機(パッシブソナー)(4)水中ビデオカメラの四機器とした。

 海域での現況調査について、県は「事業者(防衛局)が協議内容にのっとって行う限り、自らの判断で実施できる」とし、アセス法下のアセス調査とは別との見解を示している。

 しかし、監視団が今月三日と九日に辺野古沖で撮影した防衛局の調査では、県が同意した調査以外の通称「マンタ法」と呼ばれる手法や、四機器以外の調査機器を複数使用する様子が映し出されている。監視団の土田武信副団長は「防衛局が現況調査の名を借りて、違法にアセス調査を実施しているのは明白」とし、県に対し現況調査の同意取り消しを求めた。

 県環境政策課は「同意内容以外の調査は結果としてアセス調査と見なされる。アセス調査は本来、アセス方法書の確定後に実施すべき」とし、防衛局に調査中止を求めた。ただ、同意取り消しについては「県として許可したことについて取り消しはできない」とし、現況調査すべてを否定する考えはないことを明らかにした。

 一方、防衛局は「キャンプ・シュワブ周辺の調査データを集めるため、大気質や陸域、海域を調査しているが、所掌事務の範囲内」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201300_05.html

 

2008年2月20日(水) 朝刊 27面

密約訴訟/きょう控訴審判決

 沖縄返還の「密約」をめぐる取材過程で外務省の秘密公電を手に入れ、国家公務員法違反罪で訴追された元毎日新聞記者の西山太吉さん(76)が、密約を黙認した一方的な検察官の訴追や、密約を認めない政府に名誉を傷つけられているとして、国に謝罪や慰謝料を求めている訴訟の控訴審判決が二十日午後、東京高裁で言い渡される。判決が密約の事実を認めるかが焦点。

 西山さん側は、秘密指定が解かれた米政府の公開公文書や、外務省アメリカ局長として返還交渉を担った吉野文六氏(89)の証言などから密約の事実は明らかと主張。虚偽の沖縄返還協定で国会を欺いた政府と、密約を否定し続けている政府高官らの発言を「国家の組織犯罪」と批判している。

 一方で国側は、仮に密約の存在が事実であっても、西山さんが有罪であることに影響はないとして、訴えは失当と反論。密約を否定する政府高官の発言は、西山さんを特定した指摘ではないとして、名誉棄損の成立を否定している。

 昨年三月の一審・東京地裁判決は、密約の事実には触れず、損害賠償の請求権が消滅する除斥期間(二十年)を適用。全請求を退けている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201300_08.html

 

2008年2月20日(水) 朝刊 26面

証言「集団自決」を発刊/岩波新書

 沖縄戦中に慶良間諸島で起こった「集団自決(強制集団死)」の生存者三十七人の証言を、本紙の謝花直美編集委員がまとめた「証言 沖縄『集団自決』―慶良間諸島で何が起きたか」が二十日、岩波新書から発刊される。二百二十二ページ、定価七百四十円(税抜き)。

 二〇〇七年五―十二月に本紙で連載した「命語い」を大幅に再構成。沖縄戦の概況や、高校の日本史教科書から「集団自決」への軍の強制を削除させた文部科学省の教科書検定を受け、昨年九月二十九日に開かれた県民大会に向けての県内外の動きも加筆している。

 岩波書店新書部は「どの証言も迫力があり、突き付けられるものがある。これまで全然語らなかった体験者の証言もあり、意義深い内容」としている。

 初刷りは一万八千部。県内書店での発売は二十五日ごろという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201300_09.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月20日朝刊)

[イージス艦衝突]

護衛艦の責任は免れない

 海上自衛隊の最新鋭イージス護衛艦「あたご」(七、七〇〇トン)が千葉県の新勝浦市漁協所属の漁船「清徳丸」(七・三トン)と衝突し、漁船に乗っていた二人が行方不明になった。

 イージス艦は、高性能レーダーを搭載し、探知したミサイルなどの情報を大型コンピューターで瞬時に処理し、十以上の目標に同時に対処できる能力がある。

 最新鋭の性能を備えた護衛艦が、なぜ衝突を回避できなかったのか、事故直後の救助活動の初動に不備がなかったのかどうか、疑問がわく。

 今回の漁船との衝突はイージス艦による初めての重大事故であり、事態を重く受け止めるべきだ。

 政府の危機管理の面でも、見過ごせない重大な問題を残した。福田康夫首相に一報が届いたのは事故から約二時間、石破茂防衛相の場合は約一時間半かかった。情報連絡がこのありさまでは万全の態勢が取れるわけがない。

 海上保安庁は、業務上過失往来危険容疑で、艦長の船渡健一等海佐ら乗組員から事情聴取する。政府、防衛省も全力を挙げ、衝突を回避できなかった原因を徹底的に究明してほしい。

 今回の事故で清徳丸は船首と船尾部分の二つに割れ、イージス艦の船首付近に衝突したような跡が見られた。

 イージス艦は対空レーダーのほか航海用レーダーを備えており、通常、ブリッジや後甲板などで約五人がレーダーや目視による監視をしている。

 清徳丸の存在に気付くのが遅れたのだろうか。この点について、吉川栄治海上幕僚長は「衝突前に漁船に気付き、回避動作を取ったと聞いている」と説明している。

 海上衝突予防法によると、二隻の船の進路が交差する場合、相手を右側に見る船は右に進路を取り、衝突を避ける義務がある。あたごが清徳丸を右側に見ていた場合は、あたご側に回避義務があったということになる。

 あたごはハワイでの対空ミサイル発射試験などを終え、横須賀港に向かう途中だった。清徳丸は仲間の船数隻と勝浦市の川津港を出港し、三宅島方面に向かっていた。

 事故が起きた現場付近は東京湾に出入りする貨物船などが航行し、船舶の交通量が比較的多い海域とされる。この点を踏まえれば、あたご側は細心の注意を払ってしかるべきだった。

 事故の詳しい原因はまだ明らかにはなっていない。イージス艦は防空システムに重点が置かれているが、「最新鋭の自衛艦がなぜ衝突を回避できなかったのか」という漁民らの悲痛な叫びを重く受けとめ、通常の航海の安全確保についても総点検してもらいたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151300_05.html

 

琉球新報 社説

イージス艦事故 過去の教訓忘れたのか

 国民を守るはずの自衛隊の艦船が民間の漁船を事故に巻き込むという、決してあってはならないことが起きた。海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」(7、700トン)が、千葉県沖の太平洋上でマグロ漁に向かっていた漁船「清徳丸」(7・3トン)と衝突したのである。

 漁船は船体が2つに割れ、乗っていた父子2人が行方不明になっている。政府はあらゆる手を尽くし、乗員の救出作業に当たってもらいたい。

 海上自衛隊と民間船舶の重大事故は、1988年7月、神奈川県横須賀市沖の東京湾で潜水艦「なだしお」と釣り船第1富士丸が衝突し、乗客・乗員48人中30人が死亡して以来のことだ。

 「なだしお」の事故を受け海自は、通信施設や救助装備の充実、見張り要員の増員に加え、海上交通センターへの航行情報通報を全艦船に義務付けるなど約40項目の再発防止策を決定していた。

 20年を経て、安全確保の意識がおろそかになっていたのではないか。海上保安庁は事故原因を徹底的に究明し、責任の所在を明らかにすべきだ。

 そもそも敵の航空機やミサイルを探知できる高性能レーダーを備えているイージス護衛艦が、漁船の接近さえ把握できないとは考えにくい。

 まして、あたごは昨年3月に就役したばかりの最新鋭の艦船である。何らかの人的ミスが衝突につながった可能性が大きい。

 イージス艦と漁船のどちらに回避義務があったかなど詳細は明らかでないにせよ、「なだしお」の教訓が生かされていなかったのだとすれば、事態は極めて深刻だ。

 事故の通報・連絡体制にも問題が多い。衝突事故が起きたのは19日午前4時7分ごろだが、イージス艦が海上保安庁に通報したのは午前4時23分ごろ。海保への連絡まで16分もかかっている。不可解としか言いようがない。

 しかも事故発生後、石破茂防衛相に一報が届くまで約1時間半、福田康夫首相に至っては約2時間もかかっている。

 重大事故が発生したときは、直ちに首相に一報が入るようにすべきだが、今回の対応を見ると、あまりにも悠長だ。危機管理体制のまずさは否めない。

 今回の事故で「あたご」の見張り要員は十分だったのか。レーダーの見落としはなかったのか。衝突後の救助活動は適切だったのか。今後、細かく検証する必要がある。

 政府は事故原因などを速やかに公表し、防止対策に生かすべきだ。

 たとえ不注意や人的ミスが重なった場合でも危険を回避する、フェイルセーフ(失敗しても安全)のシステムを、一刻も早く構築しなければならない。

(2/20 9:52)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31501-storytopic-11.html

 

2008年2月20日(水) 夕刊 1面

地位協定見直しへ決意/知事、訪米も検討

 県議会(仲里利信議長)二月定例会の代表質問が二十日午前、始まった。仲井真弘多知事は、米兵による暴行事件について「極めて悪質で、強い憤りを覚える」と厳しく批判し、県独自の再発防止案を取りまとめ、日米両政府に求めていく考えを表明した。米軍に裁量が委ねられている現行の日米地位協定の抜本的な見直しの必要性を強調し「米政府や連邦議会関係者らに、県の実情を伝え理解してもらうため、訪米も含め検討していきたい」と述べ、協定見直しに不退転の決意で取り組む姿勢を示した。最初に登壇した新垣哲司氏(自民)の質問に答えた。

 仲井真知事は、(1)米軍人らに対する研修・教育プログラムの見直し(2)米軍人らの生活規律の強化(3)基地外に居住する米軍人らの対策(4)防犯施設の強化―など七項目、二十数件を取りまとめていることを説明した。

 米軍普天間飛行場の移設問題で、町村信孝官房長官が先の代替施設協議会で「沖合移動も念頭」と言及したことに「協議会は、率直な意見交換ができる雰囲気になってきており、官房長官の発言なども踏まえると、何らかの進展があるのではないか」と早期決着に期待感を示した。

 また、協議会で知事が「沖合移動などの地元の意向が建設計画に反映されない場合には、やむを得ない対応も考えざるを得ない」と発言した真意について、「(知事権限である)公有水面埋め立て承認のことも念頭においていることを、念のため申し添えた」と述べ、地元意向が無視された場合には、公有水面埋め立て許可を出さない方針を示唆した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201700_01.html

 

2008年2月20日(水) 夕刊 5面

外出禁止に賛同・困惑/中部の住民ら

 【中部】米兵による暴行事件が起きた基地の街・中部。二十日から実施された米軍の外出禁止令に「地域の安全を考えればいいこと」と賛同の声が上がる一方で、「再発防止につながらない」と疑問も出た。米兵客の多い商店街や飲食店関係者は売り上げへの影響を懸念。沖縄市の繁華街では同日、外出禁止措置を知らない米兵が私服で出歩く姿もあり、「外出禁止」の実効性も問われそうだ。

 北谷町の野国昌春町長は「外出禁止令は事の重大性を理解させる点で効果的。しかし、いつまでも続けられるものではない。抜本的な再発防止策が必要だ」と指摘した。

 沖縄市自治会長協議会の大城信男会長は「地域の安全を考えればいいことだが、商店街のダメージを考えると何とコメントしていいか分からない」。同市子ども会育成連絡協議会の久高将輝会長は「外出禁止で犯罪がなくなるのか疑問だ。綱紀粛正、モラル向上が先決だ」と疑問を投げた。

 一方、胡屋十字路周辺八つの商店街などで組織するコザ商店街連合会の親川剛会長は「これまで事件のたびにオフリミッツが敷かれ、夜間営業の店などは影響を受けてきたが、今回は昼間の飲食店にも影響が出るかもしれない」と懸念した。

 コザ・ゲート通り付近の飲食店で食事をしていた嘉手納基地所属で基地外に住むという男性米兵は「(外出禁止令は)知らない。プライベートな時間だ。急いでいる」と足早に立ち去った。また、同通りで外国人相手の雑貨店を経営する女性(75)は「しばらく店を閉めるしかない。基地はなくなった方がいいが、現実にはこの商売しかない。どうすればよいか」と肩を落とす。同通り会の我喜屋盛永会長は「事件は許せるものではないが、外出禁止は大きな痛手」とした。

 北谷町にある飲食店店長の當真達夫さん(48)は「店で米兵のトラブルが起きたことはなく、客が半分減ることになり、生活が不安」と店への打撃を心配した。

 二十四日実施されるおきなわマラソンは出場登録された外国人二百六十二人のうち、八割から九割は米軍関係者。担当者は「まだ影響が出るのか分からない。米軍に問い合わせたい」と戸惑いの様子だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201700_02.html

 

2008年2月20日(水) 夕刊 5面

「反省の日」に模擬訓練/米軍、嘉手納町に通知

 【嘉手納】在沖米空軍は二十二日午前七時半から昼ごろまで、嘉手納弾薬庫地区内の通称シルバーフラッグサイトで、「エックスプローセブ・シミュレーター」(模擬爆発装置)二十個を使用した訓練を実施する。一方で、同日は在日米軍が米兵暴行事件を受け、「反省の日」とすることを発表したばかりで、議論を呼びそうだ。

 二十日午前、沖縄防衛局から訓練の通知を受けた嘉手納町は、同局を通して地域住民に配慮するよう米軍に申し入れた。

 「反省の日」について在日米軍司令部は外務省に対し、「このような事件が二度と起こらないよう、軍人としての在り方や、地域との関係の在り方を考える日にする。普段のオペレーションは行うが、訓練は可能な限り変更し、控える」と説明しているという。

 嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は「反省の日に爆発音を伴い、地域に不安を与える訓練を実施する米軍の姿勢は無神経にもほどがある。一体、何を反省するのか」と憤った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802201700_05.html

「普天間」移設、アセス今月実施断念 酒酔い米兵、住居侵入など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(2月17日、18日、19日)  

2008年2月17日(日) 朝刊 1面

アセス今月実施断念/「普天間」移設

冬季分12月に/防衛省、計画遅れ

 米軍普天間飛行場の代替施設建設問題で、防衛省は十六日までに、移設予定地の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部一帯での冬季分の環境影響評価(アセスメント)調査の実施を、十二月まで持ち越す方針を固めた。これにより、移設スケジュール全体に遅れが生じる可能性も出てきた。

 同省は冬季分の調査を今月中に終え、今夏にも準備書を県に提出する予定だった。しかし、アセス方法書の審査が長引いていることに加え、米兵暴行事件で県民感情が悪化しており、同省は「県との信頼関係を最優先するべきだ」(同幹部)と判断した。

 アセス調査は四季を通じた実施が必要。同省は沖縄での冬季調査は十二―二月だとし、昨年十二月の移設協議会で、「二月実施」の意向を表明していた。

 しかしその後、県環境影響評価審査会がアセス方法書の不備を指摘し、「書き直し」を要求したため、防衛省は追加資料を県に提出。審査会で追加資料の審査を継続することになった。

 審査会は今月八日の会合で、「二回以上の審査が必要」との認識を示し、県は次回審査会を今月下旬に開く方向で調整している。

 一方、県は審査会の結論を踏まえた上でアセス調査の許認可に対応する姿勢を示しており、防衛省は県の意向に従う限り、二月の調査実施、終了は日程的に不可能な状況に追い込まれていた。

 今月七日の移設協議会では、こうした状況を考慮し、防衛省側も二月のアセス調査実施には言及しなかった。(渡辺豪)


[ことば]


 普天間代替施設の建設スケジュール 防衛省が移設協議会や県環境影響評価審査会に提示した工程表によると、2009年7月末にアセス手続きを完了後、09年末までに埋め立て申請手続きを終える。これを受けて、10年から埋め立て工事に着手。飛行場本体の工事は11年半ばから開始し、14年末の代替施設完成を予定している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802171300_01.html

 

2008年2月17日(日) 朝刊 23面

120人、基地撤去訴え/那覇で集会

 米兵による暴行事件を受け、県統一連が十六日、那覇市の県庁前県民広場で抗議集会を開いた。約百二十人が参加。地位協定の抜本的な見直しや、海兵隊員の即時撤去、米軍基地撤去を訴え、国際通りをデモ行進した。

 集会では、県統一連の新垣繁信代表幹事が「少女の尊厳を踏みにじった事件を許せない。事件の元凶となった米軍基地の沖縄からの撤去が必要」と訴えた。参加各団体の代表は「日米の高官は沖縄の怒りが爆発しないよう、綱紀粛正を訴えているがごまかされてはいけない」、「いつまで沖縄を侮辱し続けるのか。少なくとも海兵隊は、沖縄から撤退してもらおう」などと話した。

 最後に、名護市辺野古沖などへの基地建設の中止や、米軍基地の撤去などを求める決議を採択し、国際通りを「米兵の暴行事件は許さないぞ」「知事は基地に反対せよ」とシュプレヒコールを上げながら行進した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802171300_04.html

 

2008年2月18日(月) 朝刊 1面

ヘリパッド移設遅れ 年度内完成 困難

東村住民ら反対運動

 【東京】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村などへのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設作業が、建設に反対する東村高江区住民らの阻止活動の影響により遅れていることが、十七日までに分かった。防衛省は、整備を予定している六カ所のうち、本年度中に南側の三カ所(N4地区二カ所とH地区)を整備する予定だったが、資材の搬入作業は大幅に遅れており、年度内完成は困難な状況だ。

 南側の三カ所は、昨年三月の日米合同委員会で建設に合意後、七月に着工した。しかし、ゲート前などでの反対派の阻止活動により、資材搬入作業が大幅に遅れている。

 これまで北部訓練場内の植物移植や、水やりなどの作業は進んでいるが、基地内への資材搬入は十トントラック二台分の砂利搬入などしかできていないという。

 一方、日米は先月、北側の三カ所(N1地区二カ所とG地区)のヘリパッド建設に合意。三月から六月まではノグチゲラなど希少鳥類の繁殖期に当たるため工事ができず、着工は早くても七月になる見通しだ。

 防衛省は作業が遅れている南側の三カ所と合わせ、二〇〇九年七月の完成を目指して作業を急いでいるが、反対派の阻止活動も激しく、見通しは立っていない。

 ヘリパッドは六カ所とも直径四十五メートルの円形。両端に十五メートルの「無障害地帯」を整備する計画だ。

 日米は、北部訓練場について日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、既存のヘリパッド移設を条件に、約三千九百八十七ヘクタールを部分返還することで合意。

 今回移設されるヘリパッドの米側への引き渡しは「六カ所すべてが完成後」(同省)としており、作業がこのまま遅れれば、返還も先延ばしになる可能性がある。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181300_01.html

 

2008年2月18日(月) 朝刊 21面

沖縄署移転に住民懸念/米兵事件多発地域「安全守れない」

 米兵による暴行事件を捜査している沖縄署が、米兵絡みの事件・事故の多い現在地から移転する可能性が強いため、住民らは「街の安全を守れなくなる」と治安の悪化を懸念している。

 沖縄市観光協会など地元十団体は昨年、県警に対し沖縄署の移転を踏みとどまるよう要請した。同署は少女が容疑者の米兵に声を掛けられた「コザ・ゲート通り」のすぐそば。コザ・ゲート通り会の我喜屋盛永会長は「度重なる事件・事故への不安もある。安心・安全な街づくりのためにも沖縄署は近くにあってほしい。北谷町に移転するという話もあるようだが絶対に反対だ」と主張する。

 沖縄署の移転話は、二○○五年度から県が始めた道路拡張計画に伴い浮上。渋滞緩和を目的とした拡張工事の範囲が、署の駐車場と庁舎の一部にかかるため、移転か建て替えが必要になった。

 県警は「適当な移転先が見つからず、まだ決まっていない」としており、ほかの土地の買収交渉もまだ進んでいないが「今の庁舎はただでさえ手狭で、移転は事実上決まっている」(県関係者)という。

 米兵向けの店舗やライブハウスが立ち並ぶゲート通りは、夜には若者や外国人でごった返し、米兵らのトラブルも多発。沖縄市子ども会育成連絡協議会の久高将輝会長(63)は「庁舎がなければこの辺りの治安はもっとひどくなるはず。子どもの安全のためにも、移転されると困る」と話している。

 沖縄署はゲート通りを防犯の重点地域とし、外国人による事件・事故を専門に取り扱う渉外警ら隊が夜間にパトロールを行っている。渉外警ら隊はかつて、同署以外に、米兵が多く訪れる繁華街を管内に抱える石川署や宜野湾署などにも設置されていた。現在は県内で沖縄署のみ残り、ゲート通りや北谷町美浜地域を中心に米兵犯罪に目を光らせている。

 石垣博道署長は「移転は検討中。仮に移転しても、ゲート通りのパトロールを重点的に行い犯罪を防ぐ。基地外で発生した米兵による犯罪を取り締まるという日本の警察の役割に変わりはない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181300_04.html

 

2008年2月18日(月) 朝刊 20面

ステッカーで「反基地」訴え/「命を守る会」篠原さん作製

 【名護】「基地がある限り、今回のような米兵の暴行事件や事故の犠牲者はなくならない」―。米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古で反対活動をしている篠原孝子さん(44)が十七日までに新基地建設に反対する、ステッカーを作製した。

 篠原さんは座り込みが行われている「命を守る会」で、県内外から支援や激励に訪れる人たちに、地域の基地被害や海上で毎日のように行われている国の事前調査への阻止活動を説明している。

 岐阜県出身。暖かい沖縄にあこがれ、二〇〇一年に移住した。一番気にいったのが、「山も海もある名護」だった。

 航空自衛隊基地の近くで育ったが、特に問題意識もなく、戦闘機が飛ぶのも日常の風景。「基地にも政治にも関心がなく、選挙にも行かないような人」だった。

 でも、海を埋められることには強い抵抗があった。沖縄の米軍基地からは、イラクなど世界へ出撃している。ステッカーにはジュゴンやサンゴの美しい海とともに、「守ろう命」と書いた。

 「あきらめたら終わり。移設に反対でも阻止活動には参加できないたくさんの人がいる。県民の気持ちをつなげたい。ステッカーがきっかけで普段の生活の中で『基地はやっぱり駄目だ』という話のきっかけになれば」

 後を絶たない米兵の暴行事件には、「つらい。いつまでも、こういう状況のままでいいの」。

 ステッカーは、一枚二百円。名護だけでなく、宜野湾、那覇市のエコショップなど十の店が趣旨に賛同し、ステッカーを置いてくれた。ステッカーの問い合わせは篠原、電話090(6861)7186まで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月18日朝刊)

[指導事例集]

沖縄戦の実相継承に期待

 県教育庁が沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への軍強制を示した教科書を使う授業の指導事例集を作製し、新学期までに県内の各高校に配布するという。

 県平和祈念資料館が作製した沖縄戦体験者の証言集や、平和教育指導の手引書を新たに編集することで、県内の教育現場では沖縄戦の実相がきちんと伝えられることになる。

 高校の日本史教科書から「集団自決」への軍強制を削除させた文部科学省の教科書検定に対し、県教育庁が平和教育の理念を堅持することで教育現場での具体的な対応策を打ち出したことを評価したい。

 四月から全国の高校で使われる日本史の教科書では、沖縄戦の「集団自決」をめぐる記述が「日本軍に『集団自決』を強いられた」から「日本軍の関与によって集団自決に追い込まれた」というように婉曲な表現になる。

 つまり、これによって軍の強制があいまいになるというわけだ。

 文科省は、県民の強い抗議に押される形で「集団自決」への軍の関与は復活させたものの、「日本軍が強制した」など主語の「日本軍」と「強制」を直接つなげる表現については認めなかったのである。

 文科省の検定意見が維持され、「集団自決」への軍の強制を削除した教科書が全国で実際に使われることに暗然とする。

 沖縄戦の実相を正しく後世に伝えていく上で、これまで以上に難題が出てくることを浮き彫りにしたとみなければなるまい。

 なぜなら、沖縄以外の高校生に住民を巻き込んだ激しい地上戦が展開され、「集団自決」や、日本軍による「住民殺害」が起きた沖縄戦の特徴と実相を教えることは、決して容易ではないからだ。

 県教育庁は、県平和祈念資料館が発行した証言集『体験者が語る戦争―平和への証言』を県内の小、中学校と高校、特別支援学校に一冊ずつ配った。高校には四月中にさらに四十冊配る計画だという。

 沖縄戦の実相を正しく伝えていくためにも、この取り組みは有意義であり、全国に広げる試みがあってもいいと思うがどうか。

 沖縄は、常に平和の尊さと悲惨な戦争を繰り返さないことを県内外に訴え続けてきた。学校現場で試みようとする県教育庁の新たな動きもその一つといっていい。

 歴史にきちんと向き合うためにも、指導書を平和を発信する新たな一歩にしていくことが大切だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080218.html#no_1

 

琉球新報 社説

米兵中学生暴行 それでも少女に非はない

 あまりに浅ましい行為だ。この種の事件が起こるたびに、私たちは社説でも繰り返し指摘してきた。しかし何度でも言わねばならない。性的犯罪の被害者に落ち度はないということを。責めを負うべきは加害者であって、決して被害者ではない。

 米兵による女子中学生暴行事件から1週間が過ぎた。恐れていたことが現実になっている。すきを見せる少女が悪い。なぜ知らない人の誘いに簡単に乗るのか。ネット上ではんらんする声だ。本社にも、そんな読者の電話が届く。加害責任を問うどころか、まず被害者を非難する。これでは本末転倒だ。百歩、いや千歩譲って被害者の側に多少の軽率さがあったにしても、それで犯罪行為が正当化されるはずはないだろう。

 よく考えてほしい。例えば、ミニスカートの女性が夜の道を歩いていて被害に遭うと、女性の側に責任があることになるのか。どんな時間にどんな服装で歩こうと、そのことをもって被害に遭っても仕方がない、ということにはならない。ましてや、加害責任が減免されることなど有り得ない。分かりきったことだと思う。

 人を見たら犯罪者だと思うことが正常な社会だとは、とても思えない。むしろ、どうしたらこのような社会を変えることができるのか。健全な大人ならこう考えるのが普通ではないのか。人の好意を素直に受け取ることのできる社会のほうが異常なのだろうか。

 加害責任を追及する前に、被害者の落ち度を責め立てる人たちに問いたい。私たちの住む社会は法律や良識が通用しないジャングルで、そこでは弱い者やすきを見せる人間は犯罪の対象になっても構わないとでも言うのか、と。

 そうではあるまい。事件が起きた場合、まず、加害者の責任を追及し、その上で再発を防ぐ手だてを考えるのが、良識ある社会の在り方だろう。被害者のあら探しをするなど、もってのほかだ。

 「行政を預かるものとして、本来一番に守るべき幼い少女の尊厳を守れなかったことを心の底からおわびしたい」。1995年、少女乱暴事件に抗議する県民大会での大田昌秀県知事(当時)のあいさつだ。この「行政」という言葉は単に当局という意味ではない。私たち一人一人の大人も含まれると解釈すべきだ。危険な状況を放置してきた大人の一人として。

 もとより何度も繰り返される事件に対し子供たちへの教育はどうなっていたのか。十分だったのだろうか。再発防止策の一つとして、それはそれで論議すればいい。

 被害に遭った本人や家族の心の傷に、さらに塩をすり込むような言動は慎むべきだ。そうすることで加害者と同列の立場になってしまう。そんな認識を共有したい。

(2/18 9:47)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31449-storytopic-11.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 1面

酒酔い米兵、住居侵入

名護署、容疑で逮捕

 名護市辺野古の民家に不法侵入したとして、名護署は十八日、住居侵入の疑いで、キャンプ・シュワブ所属の米海兵隊伍長、ショーン・コーディー・ジェイク容疑者(21)を現行犯逮捕した。ジェイク容疑者は酒に酔っており、「覚えていない」と否認しているという。米兵による女子中学生暴行事件を受け、トーマス・シーファー駐日米国大使とブルース・ライト在日米軍司令官が再発防止策の検討を発表してから六日目に起きた事件。後を絶たない米兵による犯罪に、基地周辺の住民や自治体の首長から反発の声が上がっている。

 調べでは、ジェイク容疑者は十八日未明、同市辺野古の一軒家に侵入した疑い。同午前四時二十五分ごろ、この家に住む無職女性(54)がジェイク容疑者が家の中のソファで寝ているのに気付き一一〇番通報。駆けつけた同署員が逮捕した。

 女性は家族と住んでおり、ジェイク容疑者と面識はなかった。

 民家はキャンプ・シュワブに近い住宅街。鍵が壊されたり、室内が荒らされたりした形跡はなかったという。同署はジェイク容疑者が窓や玄関などから侵入した可能性があるとみて調べている。

 十七日には、沖縄市中央の県道で酒を飲んで普通乗用車を運転したとして、道路交通法違反(酒酔い運転)の疑いで、キャンプ・フォスター所属の米海兵隊伍長の男(22)が現行犯逮捕されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_01.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 5面

また事件「情けない」/米兵住居侵入

綱紀粛正誓い空しく

 【名護】「大使や軍のトップが綱紀粛正の徹底を誓ったばかりなのに」。本島中部で起きた米兵による暴行事件から九日。県民の怒りが高まり、日米両政府の高官らが綱紀粛正の徹底を声高に叫ぶ中、またしても「基地あるがゆえ」の事件が発生した。基地周辺の住民や首長らは憤り、あきれた。効果的な再発防止策を徹底しない米軍への不信感を募らせた。

 事件の連絡を受けた大城康昌辺野古区長は「米兵の暴行事件があったばかりなのに情けない。兵士への教育が十分にされてない証拠だ。基地の外に出るなら緊張感を持ってほしい」と怒りをあらわにし、キャンプ・シュワブ司令官に再発防止の申し入れをする考えを示した。

 辺野古区に住む島袋権勇市議会議長は「言語道断。大使や軍のトップが沖縄に来て綱紀粛正の徹底を誓ったばかり。米軍全体の問題だ。きちっとしてもらいたい」と軍内部での教育の徹底を訴えた。

 島袋吉和名護市長は「米兵暴行事件が起きて、みんな精神的にピリピリしている大変な時期にこんな事件が起きるとは」とぶぜんとした表情。「地域の婦女子に心配を与える。住民が安心して生活できるように海兵隊の再教育を徹底的にやってほしい。沖縄の歴史をしっかり勉強させる必要がある」と再発防止策を国に求める考えを示した。

 現場近くの商店の三十代の女性は「ぞっとする。怖いとしか言えない」と肩をすくめ動揺した様子で話した。

 一方、沖縄市の東門美津子市長は「あきれて言葉も出ない。暴行事件での抗議で米軍側からは米兵の教育、再発防止といった言葉があったが、いったいどうなっているのか。あまりにもひどい」と語気を強めた。

 米軍犯罪に詳しい新垣勉弁護士は「(夜間外出を制限する)米軍のリバティー・カード・プログラムは機能していないことがあらためて明らかになった。日米両政府は兵士個々の問題として考えるのではなく、海兵隊員は危険な存在と認識を改め、基地外への外出を原則禁止するべきだ」と厳しく指摘。

 綱紀粛正後の事件発生に「本質的な対応を行わなければ事件はなくならないことの象徴的な事例だ」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_02.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 1面

首相、再発防止強く要求/町村官房長官「遺憾千万だ」

 【東京】福田康夫首相は十八日の政府与党連絡会議で、沖縄で起きた米海兵隊員による一連の不祥事について「米側に強く申し入れ、今後こういうことのないようにしたい」と再発防止を求める考えを強調した。

 町村信孝官房長官も同日午前の定例記者会見で、在沖米海兵隊員が十七、十八の両日、酒酔い運転と住居侵入容疑で相次いで逮捕されたことに「これだけ綱紀粛正が叫ばれる中、誠に遺憾千万だと憤っている」と述べ、強い怒りを示した。

 町村氏は在沖米海兵隊員による女子中学生暴行事件から間もない時期に、飲酒がらみの不祥事が頻発したことを問題視。

 来週にも予定されるライス米国務長官の訪日の際、自身か高村正彦外相が「強い反省」を促す考えを明らかにした。

 町村氏は「(暴行事件が)これだけ問題になり、同僚の米軍兵士からも怒りの声が上がる中、酒を飲んで法律違反をするとは誠に憤りの一言。たるんでるしか言いようがない」と米軍の規律の緩みを批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_03.html

 

2008年2月18日(月) 夕刊 5面

4議会が抗議決議/米兵暴行事件

 米兵による暴行事件を受け、金武町、伊江村、東村、うるま市の各議会は十八日午前、臨時議会を開き、抗議決議案と意見書案をいずれも全会一致で可決した。

 米軍キャンプ・ハンセンを抱える金武町の抗議決議は「米軍は、県民の人権を無視してあらん限りの暴挙を繰り返し、県民の生命、財産を蹂躙してきた」と強く批判。

 その上で、「(金武町でも)米兵による蛮行が繰り返され、とりわけ婦女子に対する人権が侵害されてきた。本町も米兵による事件・事故のたびごとに住民の安寧な暮らしが脅かされ、強い憤りを感じている」と糾弾した。

 うるま市議会は、逮捕された米兵が市内のキャンプ・コートニー所属であることを挙げ、安全な生活が脅かされていると指摘した。

 被害者と家族への謝罪と補償、日米地位協定の抜本的な見直しや米軍人、軍属などの綱紀粛正を徹底、再発防止に向けて、実効性のある施策などを行うよう求めている。あて先は、駐日米大使館や在日米軍司令官、在沖米国総領事、在日米軍沖縄地域調整官など。


「許せない犯行」

暴行事件で沖子連抗議


 米兵暴行事件で、県子ども会育成連絡協議会(玉寄哲永会長)のメンバー五人が十八日午前、外務省沖縄事務所を訪ね「人権を踏みにじった犯行で決して許せない」と強く抗議、(1)米軍基地の県外、国外への移設(2)日米両政府による事件・事故の未然防止策の策定―を要求した。

 玉寄会長は「事件のたびに綱紀粛正と言うが、歯止めがかかっていない」と指摘。子どもの安全を守る立場を強調し「日本政府として、米国政府、米軍に強い対応を取ってほしい」と訴えた。

 別のメンバーは名護市で起きた米兵の住居侵入事件に触れ「この間、どういう教育をしていたのか」と声を荒らげた。

 同事務所の田中賢治課長補佐は「深刻に受け止めている」とし、教育プログラム、ワーキングチームで再発防止に取り組んでいることを挙げ、理解を求めた。

 また、田中課長補佐が「米軍の運用とは別の個人の犯罪」と発言したことに、玉寄会長が「二等軍曹であり、米軍犯罪だ。どう考えているのか」と抗議する一幕も。田中課長補佐は「あくまで公務外の事件という意味で言った」と釈明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802181700_04.html

 

2008年2月19日(火) 朝刊 1面

基地外居住把握 要求へ/米兵暴行事件

県、防止策で検討会議

 米兵暴行事件を受け、米軍人の犯罪防止策について検討し、日米両政府に実効性のある再発防止策を求める県の「米軍人等犯罪防止対策に関する検討会議」(会長・仲井真弘多知事)が十八日、発足した。県庁内で開いた第一回会議では、基地外居住の米軍人の把握など六項目を柱に、今週中にも取りまとめる方針を確認した。県警からは米軍との共同パトロールの実施に難色を示す意見が出た。

 検討会議メンバーは、知事、副知事、県警本部長、知事公室長、県教育長と関係部長の計九人。

 日米に対策を求める事項として(1)米軍人に対する研修・教育プログラムの見直し(2)外出禁止など兵士の生活規律強化(3)基地外に居住する米軍人の実態把握と規律強化(4)日米地位協定の抜本的見直し―の四項目。さらに、県などが実施する防止策として、「学校などでの安全教育の徹底と被害生徒等へのケアの継続」「県警のパトロール強化など警らの充実」の二項目を挙げた。

 会議で県警は「米軍のMPとの共同パトロールは、現行の日米地位協定下では犯人確保などの面で問題がある」との意見を述べた。

 政府内部で検討されている繁華街などへの防犯カメラの設置については、地域からの要望があれば対応するとの方針にとどめた。

 仲井真知事は会議の冒頭、暴行事件後も米海兵隊員による酒酔い運転や住居侵入事件が相次いで発生したことに触れ、「綱紀粛正の取り組みが行われている矢先に、またこういう事件が発生するのは極めて遺憾。次々に事件が起こるということはまさしく、隊員一人一人の綱紀粛正を徹底していないか、緩みがあるのかと、非常に疑念を感じるところだ」と米軍への強い不信感を示した。

 会議後、事務局の上原昭知事公室長は、外務省沖縄事務所の倉光秀彰副所長らと意見交換し、検討内容を伝えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191300_01.html

 

2008年2月19日(火) 朝刊 25面

外出禁止令 抜け道/「朝帰り」なら問題にされず?

 米軍が綱紀粛正策として実施している兵士らの夜間外出禁止措置は、実際には基地ゲートの出入りを止めるだけで、基地内に戻ったことを確認していない実態が十八日、外務省の説明などで分かった。同日未明、名護市の民家への住居侵入容疑で逮捕された海兵隊伍長(21)も禁止時間帯に基地外にいたが、朝に帰れば問題視されなかった可能性がある。「抜け穴」が明らかになり、同省も「問題点はある」と、対策を検討する考えを示した。一方、事件の続発に議会や市民団体などは抗議の声を上げた。

 米軍は「リバティーカード制度」と呼ぶ夜間外出禁止措置を採用。海兵隊では、原則として三等軍曹以下(全体の約55%)に赤色のカードが渡され、午前零時から同五時まで、私用の外出が禁止されている。逮捕された伍長も対象の階級に含まれる。

 しかし、実際の運用は禁止時間帯にゲートを出入りする兵士らのカードを点検するだけ。同省日米地位協定室は「把握している範囲では、誰が通過したか、午前零時までに基地内に戻ったかを確認する仕組みはないようだ」という。

 このため、「禁止時間帯に戻るより、朝にゲートが開いてからの方が良いと考えかねない」と指摘。同日午前四時五十分ごろに民家で逮捕された伍長も、ゲートでとがめられることを避けて基地外にとどまった可能性もあり、同室は見直しの検討対象とする意向を示した。(阿部岳)

 米兵による暴行事件後も、米海兵隊員の住居侵入、飲酒運転が相次ぐ異常事態。「米軍に綱紀粛正を求めても無駄だ」。「県民をばかにしている」。市民団体は十八日、一斉に怒りの声を上げ、不信感をあらわにした。十九日に県民大会開催へ向けて議論する団体の代表らは「自分たちが行動するしかない」と話し、強い決意をにじませた。

 超党派の県民大会を呼び掛ける、県子ども会育成連絡協議会(沖子連)会長の玉寄哲永さんは「再発防止を誓いながら、また事件だ。米軍には自覚も責任もない。我慢も限界」と憤り「(県民大会は)当然やるべきだ。具体的な話を詰める」と言い切った。

 県婦人連合会会長の小渡ハル子さんは「地域住民が声を上げ、米軍、アメリカ、日本政府に県民の痛みを行動で示さないと、同じことを繰り返す」と危惧する。「住民の立場で政府に訴えるのが政治家の仕事。知事や県議会に先頭に立ってもらいたい」と強く求めた。

 沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さんも「外交問題になり、米政府高官が動いても何も変わらない。米軍は綱紀粛正どころか、コントロール不能状態だ」と批判。「事件を断つために、大規模な大会が必要」との考えを示した。


     ◇     ◇     ◇     

長崎の女性議員声明

人ごとでない 応援したい


 米兵暴行事件を受け、長崎県内の女性議員有志(代表・押渕礼子県議)三十二人が十八日、超党派で抗議声明を発表した。首相や関係閣僚、駐日米国大使に送付した。今回の事件で県外の議員が声明を出すのは初めて。二十二日開会の長崎県議会に意見書案が提出される見通し。

 声明では、佐世保市でも沖縄と同様に米兵事件が続発しているとし、綱紀粛正の実効性が見えないと批判。被害者へのケアと犯罪防止策の明示を求めた。

 押渕議員は「とにかく基地による事件・事故をなくしたい、女性や子どもの人権を守りたい、との思いで女性議員が団結した」と説明。

 「沖縄の事件は人ごとと思えない。自分の娘だったらと想像すると耐えられない」と声を詰まらせ「何度要請しても変わらない基地の街の現状に憤りを感じる。沖縄の皆さんを応援したい」と強い口調で話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191300_02.html

 

2008年2月19日(火) 朝刊 1・3面

町村・石破氏・問題点の検証強調

 【東京】町村信孝官房長官は十八日午後、米兵暴行事件を受けた県議会米軍基地関係等特別委員会(親川盛一委員長)の要請団に対し、相次ぐ米兵事件が在日米軍再編に影響することがないよう、問題解決に努力する姿勢を示した。親川氏によると、町村氏は「米軍再編に支障を来すことがあってはならない。きちんと進めていかねばならない」などと述べた。

 石破茂防衛相も同委員会の要請に「総花的な対策でなく、(米軍の)教育プログラムのどこに問題があり、どう改善するか具体的に解決しないといけない」と指摘。問題点を検証し、実効ある再発防止策を検討する必要があるとの考えを示した。

 日米地位協定の見直しについては「政府としては運用改善で対応する」と従来の姿勢を堅持しつつ、「具体的に何をどう改善していくかは政府に検証責任がある」と述べ、個別具体的に地位協定の問題点を検証する必要性を指摘した。

 県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の要請団(団長・安里カツ子副知事)も、町村、石破の両氏に「実効性のある再発防止策」などを要請した。町村氏は、相次ぐ米海兵隊員の事件に「強い憤りを感じる」として綱紀粛正を米側に強く働き掛けていることを明らかにし、日本政府としても問題点を検証しながら再発防止策に関与していく考えをあらためて示した。石破氏は米兵が基地外に居住するための条件などを調査、確認する意向を示した。

 両要請団は、岸田文雄沖縄担当相にも同様に要請。岸田氏は「関係省庁が一丸となって再発防止に取り組む。地元の声をしっかり聞きながら対応したい」と述べ、県や市町村の意見を取り入れる必要性を強調した。


     ◇     ◇     ◇     

首相が米長官に直接申し入れへ

綱紀粛正


 【東京】福田康夫首相は十八日夜、米兵暴行事件など相次ぐ米海兵隊員の不祥事について「米軍はどうなっているのか。綱紀粛正といった直後だ。原因をよく突き止めなければならない」と述べ、二十七日に来日するライス米国務長官に綱紀粛正や再発防止を直接申し入れる考えを示した。

 また、外務省の薮中三十二事務次官は十八日午後、シーファー駐日米国大使に電話し、相次ぐ事件に抗議。再発防止策の見直しを急ぐよう申し入れた。外務省によると、シーファー大使は「このような事件が発生したことは遺憾であり、再発防止策の強化、見直しの加速化を鋭意図っていきたい」と陳謝したという。


「共同警ら」見解相違


 【東京】米兵による暴行事件で、繁華街での日米双方の「共同パトロール」の効果について、政府内で見解が割れていることが十八日、明らかになった。外務省は「効果がある」として、具体的な検討に入っているが、警察行政を担う国家公安委員会は慎重な姿勢を示している。同日の衆院予算委員会で、下地幹郎議員(無所属)や赤嶺政賢議員(共産)の質問に答えた。

 高村正彦外相は同パトロールについて、「確かに効果があるということで、警察との間でどうするか、法的な観点も含めて積極的に検討している」と述べ、事件の再発防止策として具体的に検討していることを説明した。

 一方、泉信也国家公安委員長は「その効果を見極め、県民感情にも配慮した上で、県警の考えも聴取して考えたい」との認識を示した。同パトロールについては、日米地位協定上の「逮捕権」をめぐり、県警側には懐疑的な見方が広がっている。

 また、委員会で石破茂防衛相は、基地外の米軍用貸し出し住宅(昨年九月現在)が六千九十八戸あり、そのうち五千九百七戸が契約されていることを説明した。人数は把握していないという。

 基地外に居住できる米兵の基準については「どういう基準で基地外にいるのか、それが順守されているのかを把握する必要がある」と述べ、居住者の条件にも政府が関与する必要性を指摘した。

 町村信孝官房長官は相次ぐ米兵の事件に対し、「米国に猛省を促したい。来日するライス国務長官にもそのことを強く申し上げたい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月19日朝刊)

[相次ぐ米兵不祥事]

異常で由々しい事態だ


酒酔い運転に住居侵入

 それにしても度が過ぎる。尋常ではない。海兵隊という組織の中で、隊員の規律さえ維持できないような劣化現象が起きているのではないか。

 米兵による暴行事件を深刻に受け止め、米側トップのシーファー駐日米大使やライト在日米軍司令官、ジルマー在沖米四軍調整官、メア在沖米国総領事らが入れ替わり立ち代わり謝罪し、再発防止策を約束したにもかかわらず、足元では、底の抜けたバケツのように不祥事が相次いでいる。

 十七日早朝、沖縄市中央の県道で、キャンプ・フォスター所属の二十二歳の海兵隊員が道路交通法違反(酒酔い運転)の疑いで現行犯逮捕された。

 呼気一リットルから〇・六一ミリグラムのアルコールが検出されたという。

 十八日未明には、キャンプ・シュワブ所属の二十一歳の海兵隊員が名護市辺野古の民家に侵入したとして住居侵入の疑いで現行犯逮捕された。

 容疑者は酒によって一軒家に侵入し、ソファで寝ていたという。

 海兵隊は十四、十五の両日、「日常わきまえなければならない規範」を身につけるため全隊員を対象に法令順守の倫理教育を実施したばかり。組織を挙げて綱紀粛正に乗り出したその矢先に、不祥事が連続して起きたのである。由々しい事態だ。

 なぜこうも海兵隊員の不祥事が相次ぐのか。この問題に根本からメスを入れない限り、今後も「綱紀粛正」「再発防止」の四字熟語をむなしく繰り返すだけだろう。

 一九九五年の暴行事件から今年で十三年。復帰後最大規模の抗議のうねりの中で「沖縄に関する日米特別行動委員会」(SACO)が設置され、基地の整理・統合・縮小計画や地位協定の運用改善などが合意された。だが、米兵による卑劣な性犯罪など、凶悪事件は後を絶たない。

 隊員は半年もしくは一、二年のサイクルで異動するため、「良き隣人」教育を根付かせるのは難しい。しかも沖縄は、アフガニスタンやイラクと直結する出撃拠点だ。

 九五年以降の日米両政府の再発防止の取り組みは、はっきり言って失敗だった、と評価せざるを得ない。


実効性のある防止策を


 今回の暴行事件の容疑者は基地外に住む三十八歳の海兵隊員だった。

 米兵が基地外に住む場合、地位協定第9条によって自治体への届け出義務が免除されており、自治体は米兵が何人住んでいるのか、その正確な数字をつかんでいない。

 民間地域に住んでいても外国人の登録および管理に関する法令が適用されず、自治体行政が及ばないというのは問題だ。

 容疑者の身柄が拘束されているので今回は地位協定上の問題はないという政府の説明は一面的だと言わざるを得ない。

 米軍のこれまでの再発防止プログラムは、基地内に住む若い米兵を対象にしたものだった。その盲点が浮き彫りになった以上、従来の対策を全面的に見直すことが必要だ。

 日米両政府は、防犯カメラの設置や日米共同パトロール、夜間外出の制限などを検討しているといわれる。

 米軍憲兵と県警の共同パトロールは、事件が発生した場合、米側に身柄を拘束される可能性があり、県警としては受けいれられないだろう。共同パトロールを実施するにしても、違った仕組みが求められる。

 その種の再発防止策は、しかし、「ぬるい」という印象がどうしてもぬぐえない。過去に同じようなことが何度も繰り返されてきたからだ。県民が求めているのは、抜本的な対策である。


再び「県民大会」の動き


 私たちは九五年の暴行事件以降、基地の整理縮小と海兵隊の撤退・削減こそが最大の解決策であることを繰り返し主張してきた。

 実質的な負担軽減と実効性のある再発防止策を目に見える形で進めるには、米軍再編計画の見直しも視野に入れた取り組みが必要だ。

 もう後がないという強い決意が日米両政府にあるかどうか。県民は言葉ではなく実際の行動を求めている。

 復帰後、基地問題が大きく動いたのは、超党派の取り組みによって「女性の人権」や「暮らしの安全」「過重な負担の軽減」を両政府にぶつけた時である。

 女性団体や教育団体などの県民大会を求める声を政党は、正面から受け止めてほしい。住民意思を明確な形で示すことが今、求められている。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080219.html#no_1

 

2008年2月19日(火) 夕刊 1・5面

県議会・軍転協、納得できる防止策要求/米兵暴行事件

 【東京】米兵暴行事件を受け、県議会米軍基地関係等特別委員会(親川盛一委員長)と県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の要請団(団長・安里カツ子副知事)は十九日午前、東京都内の在日米軍司令部(横田基地)や在日米国大使館への抗議行動を展開し、「県民が納得できる再発防止策」などを求めた。

 同委員会の要請に対し、在日米軍のフロック副司令官(少将)は「今回の事件は本当に残念だ。被害者や家族に本当に申し訳ない」と陳謝。

 その上で、綱紀粛正や再発防止を強化する考えを示し、同日に在日米四軍司令官らでつくる作業部会を開き、対応を協議することを明らかにしたという。

 一方、在日米国大使館のレイモンド・グリーン安全保障政策課長は軍転協の要請に対し、「いろいろな意見交換の場をつくり、その場で解決できるような方法を互いに見つけていきたい」と述べ、地元自治体や在沖米軍を交えて再発防止策を協議する意向を示した。

 同日午後は、米軍基地関係等特別委員会が在日米国大使館、軍転協が在日米軍司令部に対して、それぞれ要請する。


     ◇     ◇     ◇     

嘉手納議会、米軍に抗議


 米兵による暴行事件を受け、嘉手納町議会の議員らが十九日午前、北中城村の在沖米海兵隊外交政策部(G5)に抗議したほか、南風原町や本部町、伊是名村の各議会でも抗議決議などを可決した。

 嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長ら七人は同日午前、G5を訪れ、綱紀粛正や被害者への謝罪と完全な補償、再発防止策の徹底と公表を求め抗議した。

 田仲委員長や中川京貴副議長によると、応対したマーク・フランクリン大佐は「今回の事件は許せるものではなく、遺憾。気持ちは皆さんと一緒だ」と謝罪した。

 再発防止策については「これまでの教育プログラムに改善の余地がある。在日米軍全体を対象にした調査委員会が一つ一つの基地をチェックし、プログラムを作成している」と述べたという。

 同町議会は在沖米国総領事館、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所でも同様の抗議、要請を行う。

 一方、南風原町議会は臨時議会を開き、抗議決議を全会一致、意見書を賛成多数で可決した。

 米軍や政府などに対し、日米地位協定の抜本的な見直しや、米軍の綱紀粛正など四項目の実現を求めている。

 本部町議会と伊是名村議会も、臨時議会で抗議決議と意見書をそれぞれ可決した。

 奈良県の大和郡山市議会(辻本八郎議長)は十八日、臨時議会を開き、米軍や関係機関に抗議し再発防止を求める意見書を全会一致で可決した。

 意見書では「事件は沖縄県民をはじめ米軍基地を抱える国民に強い衝撃と不安を与えている」とし、日米地位協定の抜本的見直しを要求。ほかに(1)事件の全容解明と被害者への誠意ある対応(2)事件・事故の再発防止へ実効性ある施策を講じること(3)海兵隊を含む兵力の削減―を求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191700_02.html

 

2008年2月19日(火) 夕刊 1・5面

軍の対策「不徹底」/岸田沖縄相が遺憾の意

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は十九日午前の閣議後会見で、米兵暴行事件後にも海兵隊員による飲酒絡みの事件が相次いでいることについて「綱紀粛正、再発防止に向けての意思伝達が徹底しているとは言い難い」と述べ、米軍の対策が行き届いていないとの認識を示した。

 酒酔い運転と住居侵入容疑で米兵が相次いで逮捕されたことについて「重大な事件の対応が叫ばれる中、こうした事件が続けて発生しているのは誠に遺憾だ」と怒りを示した。今後の再発防止策については「大変強い危機感を感じる。具体的な対応策を政府が一丸となって検討しなければならない」と述べた。


     ◇     ◇     ◇     

名護議会が抗議決議へ


 【名護】米兵暴行事件とキャンプ・シュワブ所属の米海兵隊員の住居侵入事件を受けて、名護市議会は十九日午前、軍事基地等対策特別委員会(渡具知武宏委員長)を開き、二十日開会の臨時議会に意見書・抗議決議を提案することを全会一致で決めた。

 決議案などでは、日米両政府や米軍などに対して、(1)被害者や家族への謝罪と補償(2)米軍人の教育徹底(3)地位協定の抜本的見直しと基地の整理・縮小(4)基地外居住米軍人の実態把握―などを求めている。

 委員らから市当局に対して、「実効性ある再発防止策を強く求めるべきだ」「(シュワブでの)新基地建設でこういう危険が増えるのは明らか。受け入れを再検討すべきだ」などの意見が出された。

 玉城政光政策推進部長は「基地受け入れについては私の立場で回答できない」とした上で、「市として基地から派生する事件・事故を限りなくゼロにするよう徹底した教育を米側に強く要請する」との考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802191700_03.html

超党派結集目指す「県民大会」へなど  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(2月15日、16日)

2008年2月15日(金) 朝刊 1面

外出禁止強化も検討/日米政府 防止策着手

在日米軍司令官1カ月以内に結論

 【東京】日米両政府は十四日までに、米兵による女子中学生暴行事件を受けた再発防止策の検討に着手した。米側は在日米軍トップのライト司令官が同日夜の会見で、米兵の夜間外出禁止の強化や特定地域・店舗への立ち入り禁止拡大について「すべて検討対象だ」と表明し、一カ月以内に結論を出す考えを明らかにした。一方、日本側は米軍と県警が共同でパトロールする案や、米軍基地周辺の繁華街などに地元自治体の了解を得た上で防犯カメラを設置する案を検討している。

 日本側の案は県に派遣された小野寺五典外務副大臣が首相官邸に町村信孝官房長官を訪ねて報告。町村氏は「関係省庁と相談し、詰めてほしい」と指示した。

 小野寺氏は米軍が実施している基地外のパトロールについて、「警察が一緒になってパトロールをするのも一案ではないか」と提案。防犯カメラについても「プライバシー問題で反対意見もあるようで、自治体の協力が得られれば検討に値する」と伝えた。

 パトロールについては下地幹郎衆院議員(無所属)が自治体関係者と県警、米軍の三者による実施を十二日の衆院予算委員会で提案し、福田康夫首相が検討する意向を示していた。

 防犯カメラは緊急時の警察への通報用インターホンを備えた「スーパー防犯灯」の設置などを検討。緊急通報ボタンを押すとブザーが鳴り、所管の警察署などのモニターに映像が流れる仕組みで、二〇〇六年一月に神奈川県横須賀市で発生した米兵による強盗殺人事件を受け、同市が国の補助金で昨年四月、事件発生場所や繁華街などに八基設置している。

 一方、ライト司令官は会見で、被害者や家族に対して「まったく容認できない行為で強い痛みを感じる」とあらためて遺憾の意を表明。その上で性的虐待や暴行に関する教育強化の必要性を指摘し、「このような行為には断固とした処分を下していく」と述べた。

 在日米軍は陸海空、海兵隊すべての司令官らで構成する作業部会を十三日に設置しており、ライト氏は「できるだけ早く、二週間から四週間で済ませたい」と検討作業を急ぎ、結論を出す考えを強調。その上で再発防止策検討の進行状況を県など関係自治体に逐次報告していく意向を示した。

 日米地位協定の見直しについては「今回の事件とは直接関係なく、その問題は議論していない」と述べ、否定的な見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151300_01.html

 

2008年2月15日(金) 朝刊 1面

知事、再編へ影響懸念/防止策公表要請に首相「県民の気持ち分かる」

 【東京】米兵による暴行事件を受け、仲井真弘多知事は十四日午後、首相官邸に福田康夫首相、町村信孝官房長官を訪ね、事件への遺憾の意を伝えた上で、米軍の綱紀粛正の徹底と再発防止策の公表を米側に働き掛けるよう要請した。福田首相は「県民の気持ちはよく分かる。要請を最大限受け止めて取り組む」と述べた。

 一方、仲井真知事は続く岸田文雄沖縄担当相との会談で、「基地に波及しかねないと危惧している」と述べ、在日米軍再編への影響に懸念を示した。

 町村長官は同日午後の記者会見で、政府が繁華街への防犯カメラの設置や日米の警察による共同パトロールを検討していることを念頭に「(知事に)今後、さらにどういうものが検討できるか真剣に考えたいという話をした」と説明した。

 岸田沖縄相は「重大な犯罪だ。県民の憤りはいかばかりかと推察する。政府として真剣に受け止め、米側に強く働き掛けなければならない」と述べた。

 仲井真知事は福田首相への要請後、記者団に対し「県民の鬱積した怒りが燃え上がっていることを伝えた。綱紀粛正や再発防止策は県民が納得できるものを作ってほしい」と具体的な再発防止策の必要性を強調した。

 仲井真知事は、岸田沖縄相との会談後、記者団に「基地への波及の懸念」が米軍普天間飛行場移設を指すかどうかを問われると、「そこまで具体的じゃない。グアムへの海兵隊移転の話、再編の話など基地の話はいろいろある」と述べ、米軍再編全般の進ちょくへの懸念であることを説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151300_02.html

 

2008年2月15日(金) 朝刊 27面

犯罪絶て 住民決起/沖縄市、大会開催へ

 【沖縄】米兵による暴行事件を受け、沖縄市内の各種団体で組織する市地域安全推進協議会(大城信男会長)は十四日、沖縄市役所で緊急に会議し、行政と地域が連携した住民大会の開催を全会一致で決めた。週明けに実行委員会設立を検討し、開催日や会場などを調整する。

 参加者は「市民が行動しなければ何も変わらない」など、米兵絡みの事件が後を絶たない現状に強い危機感を表明。市民が一丸となって、日米両政府と米軍に再発防止を迫ることを確認した。北谷町にも連携を呼び掛ける方針だ。

 大城会長(市自治会長協議会会長)は「今、市民みんなが立ち上がらなければならない。単なるあいさつだけの大会にはせず、市内の児童・生徒や保護者にも参加を呼び掛けて安全指導もしながら、住民の声を米軍や国に強く訴えたい」と語気を強めた。

 会議には、沖縄市の東門美津子市長や沖縄署、市PTA連合会など市内の関係団体の代表ら十四人の委員が参加。市婦人連合会の比嘉洋子会長は「戦後六十年以上たっても変わらない現実が、子や孫の世代まで続いてはならない。文書だけでの抗議ではなく、アクションを起こさなければ私たちの叫びは伝わらない」と涙ながらに訴えた。

 沖縄地区少年補導員協議会の古波蔵兌会長は「住民の怒りを議会の決議だけに任せるのではなく、市民が声を上げなければいけない」。市PTA連合会の仲田朝俊会長は「同じような事件が起きるたびに抗議しても何も変わらない現実がある。抗議文だけで再発防止や綱紀粛正といった実効性は図られるのか疑問だ」と述べ、住民大会の意義を強調した。

 東門市長は「米軍基地があるから何度も事件が起きる。痛ましい事件について、責任のある国に対応策をしっかり要望していくことが必要だ。安心安全を取り戻すため、市民とともに取り組んでいかなければならない」と呼び掛けた。


県内、効果を疑問視

対策不十分 協定改定しかない


 ライト在日米軍司令官が十四日、暴行事件の再発防止策として米兵の夜間外出禁止令強化などを検討すると表明したことに対し、県内では実効性への疑問の声や批判が相次いだ。

 県の上原昭知事公室長は「一九九五年の米兵暴行事件のあとで米軍は再発防止策を取ったが、再び事件が起きたということは対策が不十分だったということだ。もっと努力してほしい」と厳しく注文を付けた。

 別の県幹部も「米兵への教育プログラムの内容を充実させたり、回数を増やすなど実効性のある対策を講じるべきだ」と指摘する。

 中部市町村長会長の知念恒男うるま市長は「このような事件や事故が後を絶たない今、やっぱり求められるのは日米地位協定の改定だ」と強調。

 その上で、「米兵の再教育などの再発防止策だけでは、一時的なものになる可能性がある。従来のように“運用上の問題”で片付けられては問題は解決しない」と、一歩踏み込んだ対応策を求めた。

 米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設に反対するヘリ基地建設反対協議会の大西照雄代表委員(64)は「戦後、今回のような問題が起こると立ち入り禁止や外出禁止の制限が繰り返されてきた。古い常とう手段だ」と批判。「事件が繰り返し起こるのは効果のある対策ではないということだ」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151300_03.html

 

2008年2月15日(金) 朝刊 3面

日米地位協定 外相「運用改善で対処」

 【東京】高村正彦外相は十四日の衆院予算委員会で、日米地位協定の改定について「さらに運用の改善で対処する以外ない」と述べ、改定は困難との立場をあらためて示した。原口一博氏(民主)への答弁。

 高村氏は地位協定について、「米軍が世界に駐留している中で、運用上にしても、身柄が起訴前に引き渡される国は日本だけ。そういう意味で地位協定の運用は日本が一番進んでいる」と述べ、他の米軍駐留国より有利であるとの認識を強調。

 また、県警が容疑者を緊急逮捕した今回の事件で、身柄の引き渡しは争点とならず、地位協定の問題は生じていないとの認識を説明。その上で今回の事件の問題点について「それ(地位協定)よりも教育プログラムとか再発防止策とかそういったこととの因果関係があるのではないか」との見方を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151300_04.html

 

琉球新報 社説

情報開示 防衛局は秘密主義改めよ

 防衛省の行き過ぎた秘密主義が、また明らかになった。沖縄県でも収集開示できる「米軍情報」を、沖縄防衛局は収集すらできず、開示にも消極的という失態を露呈した。これでは、沖縄に「局」を置く意味がない。猛省と対応改善を求めたい。

 事態は、米軍女子中学生暴行事件に関連して「発覚」した。

 事件の容疑者が基地外に居住していたことから「基地外、内に住む米国人の数」を明らかにするよう、北谷町議会が沖縄防衛局に求めた。

 事件の再発防止や防犯対策の関連から、凶悪事件が起きた地元からすれば、必要最低限の情報開示の要請である。

 これに対して、対応した沖縄防衛局の担当課長は「仮に米側に照会しても教えてもらえるか分からない」と答えている。

 ところが同じ情報を、沖縄県は米軍から収集し、県議会軍特委で「2007年9月時点で、基地外貸し付け住居は6098戸。うち契約数は5107戸」と明確に答えている。

 国と県の「情報収集力」の違いであろうか。北谷町議会は、過去にも数回、同じ質問を防衛局に投げ掛けたが、回答はないという。

 防衛局の消極的な対応は、自治体にとどまらない。12日の共産党の赤嶺政賢衆院議員の質問にも真部朗局長が「増えていると思う。具体的な数字は調べて分かり次第答える」と返答している。

 情けない話だが、国の防衛を預かる防衛省の情報収集力は「その程度」である。

 一昨年は、県内での防衛関係予算の発注の関連で、「県内、県外企業の受発注比率」を求めた元国家公務員に「開示できない」と、那覇防衛施設局(当時)は拒否。同じ資料を、県は即座に開示している。

 資料は、県や基地所在市町村に落ちる防衛予算が、地域振興や地元企業にどれだけ貢献しているかを検証するための「研究資料」として請求された。

 「防衛秘密の前に、情報に対する感度の鈍さ、収集力と活用力が問題」との同OBの指摘も、今となってはうなずける話である。

 在日米軍は、日本と極東アジアの安全と安定のために日本に駐留している。その専用施設の75%を沖縄に押し付ける日米両政府だが、沖縄では国どころか、一人の女子中学生の人権も守れない。

 その上、米軍と交渉すべき日本政府の出先機関は、再発防止や被害救済を訴える県民の切実な声には、「分かったら教える」である。

 復帰後だけでも5千件を超え、なお繰り返される米兵犯罪の裏側に、そんな政府の弱腰外交もある。

 守るべきは何か。寄るべきはどこか。防衛局には再考を促したい。

(2/15 9:55)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31362-storytopic-11.html

 

2008年2月15日(金) 夕刊 1面

県民大会 超党派望む 知事が見解示す

海兵隊削減優先を強調

 仲井真弘多知事は十五日午前の定例会見で、米兵による女子中学生暴行事件を受けた県民大会について「県民大会である以上は教科書問題の大会のように党派を超え、各界各層、年代を超えてという形が分かりやすい」と述べ、超党派による開催が望ましいとの見解を示した。また、米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部移設と「パッケージ」とされる海兵隊八千人のグアム移転について、「今回の事件を機会に、八千人の削減は(移設とは別に)進めてくれと言いやすくはなった」と言及。海兵隊削減と普天間移設を切り離して実施すべきとの考えを示した。

 県民大会が開催された場合の対応について仲井真知事は「そこまでまだ詰めて考えていない。各界各層のいろんな意見を踏まえて判断したい」と述べるにとどめた。

 同事件が普天間移設問題に与える影響について「直接の影響はない」と発言したことについては「海兵隊員八千人のグアム移転は事件を踏まえ、むしろ徹底して進めるべきだ」との考えがあったと説明。

 その上で「パッケージ論」について、「もともと(日米の普天間返還合意)の時に決めた話は、普天間の危険性除去のための移設だった。パッケージだという話はこの二、三年のことで、ここのつなぎがよく分からないところは前からあった」と指摘した。

 事件後、県内の米海兵隊基地の全面撤退を求める意見が出ていることについて「事件を契機に全部なくなるのが解決というのは、極めて非現実的な論理」との認識を示した。

 米軍事件の再発防止策として、防犯カメラの設置やパトロール強化が検討されていることについては「これまでも具体的に検討されたことがあるが、プラス、マイナス両面をもう一度洗い直す必要がある」として慎重姿勢を示した。


県民大会開催を検討/平和センター 各団体に呼び掛け


 米兵による暴行事件を受け、沖縄平和運動センターは十四日の幹事会で、社会教育団体や労組に呼び掛け、抗議の県民大会開催を論議する会合を週明けにも開くことを決めた。米軍の綱紀粛正や再発防止策などの要求を掲げ、大規模な集会を模索する。

 崎山嗣幸議長は「県民の人権蹂躙が繰り返される状況を許すことはできず、インパクトを与える大会が必要だ。各団体とテーブルに着き、突破口を開きたい」と語った。

 同センターは、教科書検定に関する県民大会で中心的役割を果たした県子ども会育成連絡協議会(沖子連)、県婦人連合会(沖婦連)にも参加を呼び掛ける。両団体は、協議に加わった上で超党派の大会開催を訴える考え。

 沖子連の玉寄哲永会長は「夢ある世代を悪夢に落とし込むような犯罪は許せない。超党派で開催できるか、話を聞きたい」と語った。沖婦連の小渡ハル子会長も「一日も早い開催が必要」とした上で、「本来は県や県議会が音頭を取るべきではないか」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151700_01.html

 

2008年2月15日(金) 夕刊 7面

知事、批判に「心外だ」/語気強める場面も

「それは心外だ」。十五日午前、県庁で開かれた定例会見で仲井真弘多知事は、政府や米側への対応について「怒りが見えにくいとの批判もある」と質問され、顔をしかめた。一方、県民大会開催や自身の参加については「考える時間が欲しい」と判断を留保した。

 午前十時に始まった記者会見。知事は「私も二人の娘を持つ身で、被害者の少女の気持ちを思うとやり切れない」と話すと、米兵暴行事件以外の話題を切り上げ、質問を受けた。

 米兵暴行事件を受けた県民大会の開催についての考えを問われると、「一九九五年の米兵暴行事件のことを考えればあり得るが、被害者の心の回復を第一に考えたい」と答え、「事件発生後、三、四日の話であるので考えていなかった。考える時間をください」と述べた。

 米軍基地再編への影響については、海兵隊員八千人のグアム移転を、米軍普天間飛行場の県内移設とは分けて政府、米側に求める意向を示す一方で、米海兵隊基地の県内からの全面撤去を政府に要求することは「非現実的な論理で、考えていない」と否定した。

 シーファー駐日米大使や、在沖米軍トップのリチャード・ジルマー四軍調整官(中将)と面談した際の対応について、「知事の怒りが伝わりにくいとの批判が県民からあるが」と問われ、「そういう批判が出ているんですか。私はちょっとよく分からない。心外だとしかいいようがありませんね」と語気を強める場面もあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151700_02.html

 

2008年2月15日(金) 夕刊 1面

基地外居住の米兵対策が柱/再発防止で沖縄相

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は十五日午前の会見で、米兵暴行事件を受けた再発防止策について「今回は基地外に居住している米兵の犯罪ということなので、基地外居住の在り方も論点になるのかなと思う。これは新しい観点だと思っている」と述べ、基地外に居住する米兵対策が焦点となるとの認識を示した。

 その上で「(米兵による事件・事故を受け)いろいろな対応策が今までも検討され、講じられてきたが、実行されていたのか、効果があったのかも検証してみる必要がある」と述べ、既存のワーキンググループで議論する必要があると指摘した。

 高村正彦外相は同会見で、米側に対してすでに、基地外に居住する軍人の数を照会していると説明。「何人かは、はっきり分かっていないが、(基地外の)貸家の賃貸契約数はだいたい把握している」と述べた。

 日本側への容疑者の身柄引き渡しをめぐる日米地位協定の見直しについて同外相は、これまでの運用改善で対処できるとの認識をあらためて強調。米側への働き掛けについて「いくら忌まわしい事件だからといって、それ(運用改善)以上のことを日本が外交上要求するのかどうか」と述べ、消極的な姿勢を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802151700_03.html

 

2008年2月16日(土) 朝刊 1・27面

超党派 結集目指す「県民大会」へ19日論議

沖子連・婦連が音頭

 米兵による女子中学生暴行事件を受け、昨年九月に開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の呼び掛け団体が十九日、事件に抗議する県民大会の開催に向け、会議を持つことを決めた。県子ども会育成連絡協議会(沖子連)、県婦人連合会(沖婦連)が音頭を取り、七団体以上が出席する見通し。超党派の結集を目指し、大会の要求事項や開催方法を議論する。

 十九日、那覇市の婦連会館で開かれる会議には、県老人クラブ連合会、県高校PTA連合会、県青年団協議会、青春を語る会、未来を語る会の各団体も出席する意向を示している。

 日時、場所や実行委員会の形式など、開催方法全般が議題となる。要求事項の案としては、超党派の枠組み実現を念頭に、基地の整理縮小や海兵隊グアム移転の早期実現などが挙がっている。

 会議を設定した沖子連の玉寄哲永会長は「事件が県民にとって我慢ならないということを超党派で訴える。知事が求める地位協定見直しも応援したい」と語った。沖婦連の小渡ハル子会長は「政治色がない大会を、できるだけ早く実現したい」と強調した。

 一方、県民大会開催を模索してきた沖縄平和運動センターは、「子どもの尊厳や人権にかかわる問題で、中核となるにふさわしい団体が動きだした」と歓迎。今後、呼び掛けがあれば協力していくことにしている。


     ◇     ◇     ◇     

県民大会へ高まる熱


 「対症療法では駄目だ」「抜本的な対策を求めたい」。米兵による暴行事件への怒りと被害少女への気遣いを共有しながら、県民大会へ向けた動きが再び始まろうとしている。教科書検定問題の県民大会にかかわった団体から「県民の怒りを見せよう」「問題発生を防ぐ取り組みが必要」などの声が上がった。一九九五年の暴行事件に抗議する県民大会や昨年の教科書検定意見の撤回を求める県民大会と同様の県民総ぐるみの大会になるのか。すべてはこれからだ。

 「十三年前に、米軍が真剣に取り組んでいたら、今回の事件はなかったはずだ。米軍は、日本と沖縄を軽く見ているのではないか」。県高校PTA連合会の西銘生弘会長は、米軍の取り組みを批判。「県民の怒りを見せて、地位協定見直しや基地の整理・縮小、いずれは撤退する方向にさせたい」と大会開催に期待した。

 「米兵の事件・事故が起こるたびにこれではいけないと思っていた。九月の県民大会のように、みんなで立ち上がらなければ」と青春を語る会の中山きく代表。同会は元女子学徒隊でつくり、戦争体験を語り継ぐ活動をしている。「六十四年前の十・十空襲の時も、最初に基地がたたかれ、それから那覇の町がやられた。基地はない方がいい」と断言した。

 旧制学校同窓会でつくる沖縄の未来を語る会の大浦敬文事務局長も会議に参加する。事件への怒りを共有しつつ「教科書も基地も、対症療法より問題発生を防ぐ取り組みが重要だ。継続的に話し合っていく場の設定も訴えたい」と語った。

 県老人クラブ連合会の花城清善会長は個人的な見解としながらも、「いたいけな子どもに大の大人が、あんなことをするとは許せない。憤りを感じる。いずれは、会として参加する方向になるだろう」と話した。花城さんは、宜野湾市軍用地等地主会の会長を務めたこともある。「地主の話とは別問題。県民として子や孫のことを考え、このままでいいのか、ということ」と話した。

 県青年団協議会は、理事の間でもまだ事件への対応は話し合っていないというが、照屋仁士会長は「被害者も自分たちと同じ若者。何ができるか検討したい」と前向きだ。しかし「会員には軍雇用員もいる、米軍人の友人もいる。人が悪いというわけでなく、綱紀粛正ができない仕組みに問題があるのではないか」と語り、取り組みの難しさをのぞかせた。


県教委、米軍に抗議


 県教育委員会(伊元正一委員長)は十五日、米海兵隊外交政策部(G5)や在沖米国総領事館、沖縄防衛局、外務省沖縄事務所などを訪ね、抗議と再発防止の徹底を申し入れた。伊元委員長は「事件発生はこれまでの綱紀粛正や兵員教育がまったく生かされていないと言わざるを得ない」と非難し、隊員教育の徹底と効果的な対策とその公表を強く訴えた。

 抗議行動をしたのは、伊元委員長、東良和、中山勲、比嘉梨香、鎌田佐多子の四委員。伊元委員長は「今回の事件に厳重に抗議し、在沖米軍に綱紀粛正、隊員教育の徹底を強く働き掛けてほしい」と要請。外務省事務所の倉光秀彰副所長は「政府、米軍も今回の問題を深刻に受け止めている。要請の内容はしっかりと東京に伝えたい」と話した。

 伊元委員長らは「二度と事件が起きないよう、再発防止策がどのようになされるかきちんとみていきたい」と話した。

 県教委の委員が米軍に抗議行動を行うのは二〇〇〇年七月、〇一年一月にそれぞれ発生した米海兵隊員による女子中学、女子高校生へのわいせつ事件に続き三度目。


女団協が要請

開催求め県へ


 米兵による暴行事件を受け、三十一団体でつくる県女性団体連絡協議会の安里千恵子会長らは十五日、県に対し、抗議の県民大会開催を申し入れた。上原昭知事公室長は「各界各層の声を聞く必要がある」と答えるにとどめた。

 沖縄防衛局、外務省沖縄事務所も訪れた一行は、「米軍人による(性暴力)事件が起きた日を人権を考える日にしたなら、毎日がそうなってしまう」と、被害の積み重ねに憤りをぶつけた。「私たちは基地内に入れないのに、米兵はどこにでも住める。沖縄全体が米国のようだ」と、軍人の基地外居住に疑問の声も上がった。


19日女性集会

北谷


 米兵暴行事件を受け、緊急女性集会「危険な隣人はいらない!」が、十九日午後六時半から北谷町桑江の「ちゃたんニライセンター」で開かれる。呼び掛け団体は北谷町女性連合会、北谷町老人クラブ連合会など二十六団体(十五日現在)。連絡先は「すぺーす・結」、電話098(864)1539。


沖縄弁護士会「抜本的対策を」


 沖縄弁護士会(新垣剛会長)は十五日、抗議声明を発表した。米兵の犯罪について「県民が広大な基地と隣り合わせで生活させられている構造的な問題」と指摘。日米両政府に対し、「基地の整理・縮小こそが重要であることをあらためて厳しく自覚するべきだ」として、抜本的な対策を求めた。

 また「助けを求め続けたという被害者の心のケアが切迫した課題」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802161300_01.html

 

2008年2月16日(土) 朝刊 1面

基地外居住を厳格化/政府、再発防止策構築へ

 【東京】高村正彦外相は十五日夜、外務省で記者会見し、米兵による暴行事件を受けた日本政府としての再発防止策を来週中にも取りまとめると発表した。

 基地外に住む米兵が事件を起こしたことを重視。基地外居住に何らかの基準や条件を付したり、基地内居住者より厳しい順守事項を設けたりする案を検討していることを明らかにした。

 政府内には基地外居住米兵の実態を把握する仕組みづくりの必要性を指摘する意見も出ており、関係省庁間で最終調整する。

 高村外相はハドナット容疑者が三十八歳だったことを念頭に「今までの再発防止策は基地内に住む若い人たちを対象にしていたが、広範でより包括的なものを目指す」と強調。綱紀粛正の対象を基地外居住者や、指導的立場の年齢にも広げる考えを示唆した。

 外務省は現在、米軍に基地外の居住を許可する基準を照会しており、結果を受けて条件の厳格化などを提案する可能性もある。米側が設置した四軍の各司令官でつくる作業部会のメンバーを来週以降に沖縄に派遣し、外務省沖縄事務所や県、基地所在市町村、在沖米軍などでつくるワーキングチームと再発防止策を協議する方針を説明。

 その上で「ワーキングチームを将来レベルアップするかどうかの議論は当然、あっていい」と述べ、構成メンバーを格上げする考えを示した。

 再発防止策は一義的には米軍が策定するが「日本側がやるものもあるかもしれない。今まで以上に緊密にやりたい」と述べ、日本側が主体的に関与する姿勢を明確にした。

 日本側がこれまでに検討している防犯カメラ設置は「自治体によって、やりたいところと勘弁してくれというところもある」と述べ、市町村の意向を踏まえて対応するとした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802161300_02.html

 

2008年2月16日(土) 朝刊 3面

4野党協議 実現へ/地位協定改定 民主・国民新が確認

 【東京】米兵による暴行事件を受け、民主、国民新の両党に社民、共産を加えた野党四党による日米地位協定改定案の協議が実現する見通しが十五日、強まった。民主、国民新は同日昼、国会内で開いた政策協議で地位協定の見直し案を両党でまとめることで一致。国民新の亀井久興幹事長は社民、共産にも協議を呼び掛ける意向を示した。両党は応じる考えを示しており、改定案の調整が加速しそうだ。

 民主党との政策協議で国民新党側は、米兵暴行事件を受けた国会決議について「国会が重大に受け止めているという意思表示になる。野党として動くべきだ」と国会提出を提案。亀井幹事長によると、民主側は「少し検討させてほしい」と回答したという。

 亀井幹事長は協議後、記者団に地位協定改定案について「民主もすでにある程度のものを用意しているようだ。うちもまとめたが、何が何でもこだわることはない」と同党の改定案に固執しない考えを強調。

 「社民党の意見も取り入れ、共産党もこの問題について反対ではないだろうから、意見を聞いたほうがいいと思う」と述べ、四党協議に柔軟姿勢を示した。

 国民新は衆院で連立会派を組む政党「そうぞう」代表の下地幹郎衆院議員を中心に、改定案を作成した。

 社民党は十四日午前に開いた常任幹事会で、衆院議員時代の東門美津子沖縄市長を中心に取りまとめた改定案を念頭に、野党各党に見直しを働き掛ける方針を確認。

 共産党の赤嶺政賢衆院議員は十五日夕、「呼び掛けがあれば応じる。沖縄弁護士会が作成した案を軸に協議することになるだろう」との見通しを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802161300_03.html

 

2008年2月16日(土) 朝刊 2面

切り離しは「無理」/海兵隊削減と普天間移設

 【東京】米兵暴行事件を受け、仲井真弘多知事が、米海兵隊のグアム移転を優先し、「パッケージ」で相互に関連する普天間飛行場移設と切り離して実施すべきだとの考えを示したことについて、防衛省首脳は十五日、困難との見方を示した。

 「早く進めろというなら分かるが、(両者を)切り離すのは無理だ」と述べ、米軍再編計画全体を早期に進めることで対応する考えを強調した。

 早期開始を目指す普天間移設に向けた環境影響評価(アセスメント)調査に与える影響については「あれはあれ、これはこれだ。事件でアセスに影響を与えてはならない」と述べ、計画通り進める考えを示した。

 調査着手に向けた仲井真知事の今後の判断について、事件による影響を懸念した上で、「だからこそ事件の再発防止について日本政府も米側と一緒に検討しなければならない」と述べ、再発防止策などに積極的に関与することで影響を極力避けたい意向を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802161300_04.html

 

2008年2月16日(土) 朝刊 27面

「集団自決」強制明記 指導書作成/県教育庁、証言加え各校へ

 文部科学省が高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を明示する記述を削除させた教科書検定問題で、県教育庁は「集団自決」への軍強制を示したこれまでの教科書を使った沖縄戦の授業の指導事例集を作成し、四月からの新学期までに県内各高校に配布する。県平和祈念資料館が作成した沖縄戦体験者の証言集や、平和教育指導の手引書を新たに編集して県内各学校に配り、平和教育の充実を図る。

 県教育庁は教科書検定で、四月から高校で使われる日本史教科書の沖縄戦の「集団自決」をめぐる記述が「日本軍に『集団自決』を強いられたり」から「日本軍の関与によって集団自決に追い込まれた」などと書き換えられたことから、現場の教諭に「どう教えればいいのか」と混乱が起きることを懸念した。

 「沖縄戦の史実が教室で正しく伝えられるように」と、「集団自決」への軍強制を明記した今までの教科書を使った日本史の授業などの事例を二十例ほど集め、授業の参考にしてもらおうと指導事例集を作り始めた。

 また、二〇〇六年三月に県平和祈念資料館が発行した沖縄戦体験者の証言集「体験者が語る戦争―平和への証言」を県内の小、中学校と高校、特別支援学校に一冊ずつ配った。高校には四月中にさらに四十冊を配り、平和学習の授業に活用してもらうという。

 一九九三年にまとめられた「平和教育指導の手引き」も、改訂版発行のための準備委員会をつくり、新たに編集。二〇〇八年度中の発行と県内の幼稚園や小、中学校、高校と特別支援学校への配布を目指す。六月二十三日の慰霊の日までに配布を間に合わせたい意向だ。

 仲村守和教育長は「これまでも平和教育を進めてきたが、一層の充実を図りたい。教科書検定問題もあり、沖縄戦の実相を正しく伝えていきたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802161300_06.html

 

2008年2月16日(土) 夕刊 5面

怒 従業員・地主も/米兵暴行事件

 米兵による暴行事件は、基地従業員や地主などの間にも、強い憤りを呼び起こしている。基地とのかかわりで生活を支え、沖縄の「矛盾の縮図」とも言える難しい立場。だが、事件の凶悪さに「一緒に働くことに恐怖を感じる」「収入と事件は別。絶対に許せない」と、県民の抗議の輪に加わっている。

 「人の殺し方を自慢げに話す人や、いつもすきを狙うような鋭い眼光の人がいて、緊張する。訓練された兵士は、スイッチが入ったら止められない」。四十代の男性基地従業員は、声を潜めた。「こういう職場で収入を得ることに、引け目も感じる」と、複雑な心境を漏らした。

 全駐労沖縄地区本部は、加盟する沖縄平和運動センターによる十二日の緊急抗議集会にも参加。與那覇栄蔵委員長は「特に女性組合員は心配でたまらないはずだ。沖縄の縮図と言われる基地の職場からも凶悪事件に強く抗議していく」と強調した。

 容疑者が所属するキャンプ・コートニーの軍用地主の男性(70)は「危険があっても、もうかるからいいと話す地主もいたが、地料に頼ってはいけない」ときっぱり。「基地はなくし、沖縄も自立した方がいい」と力を込めた。

 県軍用地等地主会連合会の喜友名朝昭会長(78)は、事件現場となった北谷町の住民でもある。「土地を貸したのではなく、土地を占領され、勝手に使われているだけ。沖縄を属国のように扱う軍人のおごりを正すのは当然だ」と言い切った。

 「まただ。話にならない」。沖縄市のゲート通りでライブハウスを経営する男性(57)は憤った。三十八歳の容疑者の逮捕で外出禁止の対象が若い兵士から拡大する可能性もあり、「経営への影響が予測できない」と、いら立ちをのぞかせた。


市民団体 声明相次ぐ


 米兵による暴行事件を受けて、第9条の会・沖縄うまんちゅの会(安里要江共同世話人など)は十五日、事件を糾弾する抗議声明を発表、在沖米軍四軍調整官と総理大臣、外務大臣あてに送付した。

 声明は、軍隊の訓練で「人間性を喪失してしまった海兵隊によっておこされた」と指摘し、「そこに米軍犯罪が続発する必然性がある。沖縄の実態を不問にし再発防止などを繰り返す、欺瞞的な態度は許せない」と糾弾した。

 住基ネットに反対する市民ネットワーク沖縄(上江洲由美子世話人代表)も同日、抗議声明を出した。駐日米大使、在沖米総領事、総理大臣、外務大臣、防衛大臣、沖縄防衛局長あてに郵送した。

 声明は、官房長官が防犯カメラ設置などを表明したことに、人権と活動の自由を侵す恐れがあり、犯罪防止効果を上げていないと指摘。その上で、「犯罪の温床となっている軍事基地そのものをなくさない限り事件事故はなくならない」とし、基地撤去を要求している。


読谷村議会が防衛局に抗議/外務省事務所にも


 読谷村議会(前田善輝議長)の議員十五人は十五日午後、沖縄防衛局と外務省沖縄事務所を訪れ、日米地位協定の見直しと米軍基地の撤去などを求める意見書を提出した。

 各担当との面会では、議員団から「この中には米軍基地の容認派もいたが、事件の悪質さを考えると、基地の撤去を盛り込まざるを得ない」、「米兵による犯罪がゼロにならない背景は、『日米地位協定で守られている』という、危機意識のなさ。地位協定のせいで、被害者の尊厳は傷つけられた」など、次々と非難の声が上がった。


子どもの安全指導呼び掛け/国頭・校長緊急集会


 【北部】暴行事件を受け、国頭教育事務所は十五日、国頭村立保健センターであった「国頭地区小・中学校長研究大会」の冒頭、緊急集会を開き、渡久地健所長が、児童・生徒の登下校や休日の過ごし方の指導徹底や、地域と連携した安全対策を呼び掛けた。

 国頭地区の小中学校七十一校の校長が参加した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802161700_01.html

 

2008年2月16日(土) 夕刊 4面

教科書検定など「沖縄の動き伝えたい」/スペイン新聞記者

 スペイン・カタルーニャ地方の日刊紙「ラ・バンガルディア」のラファエル・ポワ・デフェリウ記者(51)が、米軍基地問題や「集団自決(強制集団死)」教科書検定問題の取材で来沖し、十四日、沖縄タイムス社の謝花直美編集委員にインタビューした。「日本がアジアの一員となるのか、米国に追随した軍事国家になるのかの岐路に立つ中、歴史や基地の問題が凝縮する沖縄の動きを伝えたい」と訪れた。

 デフェリウ記者は、米兵暴行事件に対する県民の怒りや政府の反応、「集団自決」教科書検定問題が起きた背景や、沖縄県民の自意識などを質問。

 謝花編集委員は「『集団自決』教科書検定の背景には、戦争体験者が少なくなる中で、戦争のイメージを良くして自衛隊をさらに軍隊に近づけ、日本を戦争できる国にしようとの歴史修正主義者の思惑が背景にあり、安倍政権の意向が働いた」と説明した。

 デフェリウ記者は「歴史の流れに翻弄され、沖縄の人々のアイデンティティーが揺れ動いてきたことは、軍事政権の抑圧を受けたカタルーニャとも共通しており興味深い」と話した。十七日まで滞在し、名護市辺野古や東村の高江地区なども訪れるという。

 取材結果は、三月中に別冊特集で報じられる予定。同紙はバルセロナ市内発行の日刊紙では最大の約三十万部を発行しているという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802161700_03.html

米兵暴行事件、県議会、抗議決議へ 沖縄タイムス 関連記事・社説(2月14日)

2008年2月14日(木) 朝刊 1面

県議会、抗議決議へ/米兵暴行事件

軍に万全防止策要求/謝罪・基地縮小も

 米兵による女子中学生暴行事件を受け、県議会米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)は十三日、「在沖米海兵隊員による少女暴行事件に関する抗議決議案」を全会一致で可決した。決議案は「人間としての尊厳を蹂躙する極めて悪質な犯罪。断じて許すことができない卑劣な行為」とし、米軍などに再発防止策に万全を期すことなどを求めている。同委員会で県警は一九九五年以降、米軍人関係者による強姦事件(未遂も含む)が十四件発生していることを明らかにした。抗議決議は十四日の本会議に上程、全会一致で可決される見込み。

 委員会で県基地対策課は、昨年九月現在の基地外の米軍用賃貸住宅の登録戸数は六千九十八戸、うち契約戸数は五千百七戸と説明。人数については把握できていないことを明らかにした。

 これに関連し、嘉陽宗儀委員(共産)が、米軍人が住民登録の対象外となっていることから、基地外の米軍人を日本側が把握できていない状況を指摘。

 これに対し、上原昭知事公室長は「米軍人の住民登録が可能かどうかは厳しいものがあるかと思うが、関係機関とも相談していきたい」との考えを示した。

 喜納昌春委員(社大)らは、県庁を訪れた米軍関係者らに対し、仲井真弘多知事が「抗議」ではなく、「要請」として対応した点を問題視。「知事はもっと突き放した対応をすべきだった」と指摘したのに対し、上原公室長は「(知事は)遺憾の意という表現だが、当然抗議の趣旨も含んでいる」と説明した。

 また、事件後の日米の対応について上原公室長は「対応は非常に早かった。事件の重大性を強く認識していると思う」との見解を述べた。

 決議案は(1)被害者及び家族への謝罪及び完全な補償(2)実効性ある具体的な再発防止策について万全を期す(3)米軍基地の一層の整理縮小を図るとともに、海兵隊を含む米軍兵力削減の推進―を要求。

 十五日に県内の日米関係機関、十八、十九の両日、東京都内の日米関係機関に申し入れを行う予定。


米大使ら知事に謝罪


 トーマス・シーファー駐日米国大使とブルース・ライト在日米軍司令官が十三日、県庁を訪ね、仲井真弘多知事と面談し、米兵暴行事件について「このような事件が起きたことを遺憾に思っている。再発防止のための手段は何でも取りたい」と謝罪し、再発防止策の徹底を約束した。仲井真知事は「県民の怒りはまだ収まっていない。再発防止を県民に分かるように徹底し、公開してもらいたい」と要望した。

 面談でシーファー大使は「今回の事件をいかに深刻に受け止めているか知事に伝えたいと思ってきた」と話し、被害少女と両親にあてた手紙を知事に託した。

 ライト在日米軍司令官は「在日米軍の軍人、軍属、家族を代表し、事件を心から悲しく思い、申し訳なく思っている」と謝罪した。

 仲井真知事は「このような事件が起きることで県民の怒りが頂点に達し、米軍と県民、基地に大きな影響が出ることを深刻に考えている」と強調したのに対し、シーファー大使は「知事の懸念はよく理解している」との認識を示した。

 面談後、シーファー大使は記者団に、米軍内の教育プログラムを見直す考えを示した。普天間移設問題への影響については「今大事なのは事実の判明に焦点を当てること。その後で影響が出てくることがあれば、その時点で対処していかなければいけない問題だ」と述べた。


     ◇     ◇     ◇     

「隊員教育の徹底を」/知事、再発防止で要望


 仲井真弘多知事は十三日、県庁を訪れた外務省の小野寺五典副大臣に対し、米兵による暴行事件に遺憾の意を表するとともに、「事件が二度と起きないよう、一層の綱紀粛正と隊員教育の徹底を含め、再発防止に万全を期し、その措置内容を県民に公表することを在沖米軍に対し、強く働き掛けていただきたい」と要請した。小野寺副大臣は「(要請内容は)外務大臣や官邸にも報告したい。先ほど面談した四軍調整官に対し、再発防止策が目に見える形で、(事件が)二度と起きないと県民が納得できるような体制をお願いしたいと申し上げた」と述べ、理解を求めた。

 小野寺副大臣はこれに先立ち、那覇市の外務省沖縄事務所で在沖米軍のリチャード・ジルマー四軍調整官(中将)に会い、事件の真相究明と再発防止の努力を求めた。

 ジルマー中将は海兵隊員の教育プログラム見直しについて具体案の検討を配下の各部署に指示。また、基地外に居住する隊員の管理について何らかの対応が必要だとの認識を示したという。

 面談は、通訳を交えて約三十分間行われた。

 この中で小野寺副大臣は、基地外に住む隊員が逮捕されたことについて従来の対応では不十分ではないかと指摘。また「沖縄、日本が占領地という間違った印象を仮に持っている隊員がいるとすればそのようなことがないようしっかり教育してほしい」と求めた。

 ジルマー中将は「この二十四時間、海兵隊はほとんど機能していないくらい再発防止について検討している」と述べ、教育プログラム見直しに具体的に取り組む考えを示した。被害者に対しては「心を痛めている」と述べたという。

 沖縄での日程を終え記者会見した小野寺副大臣は、日本政府の問題意識については米側に「十分伝わったと思う」とした。この問題が「米軍再編に与える影響は決して少なくない」とも述べ、政府部内で再発防止に向け議論すると述べた。


知事・米大使・司令官会談要旨


 シーファー大使 このような事件が起こったことを本当に遺憾に思う。被害者の少女とご家族、関係者の方々に対して同情に堪えない。今回の件に関して全面的に協力させていただき、正義がもたらせるために、われわれができるすべてのことをすると約束する。

 再発防止のために必要な手段は何であれ取る用意がある。少女と家族が負われた傷が一日も早く癒やされるよう願っている。

 個人として被害に遭った少女と両親に手紙を書いた。知事から渡してほしい。

 ライト司令官 在日米軍すべてを代表し、今回の事件について本当に悲しいことだと思っている。権限の中でできることがあれば、このような事件が再び起きないように何でもしたい。今回のことに関して本当に心から悲しみ、申し訳なかったと思う。

 仲井真知事 今回の事件は女性の人権を蹂躙する極めて悪質な事件であり、決して許すことはできない。

 被害者が中学生でもあり、極めて悪質な事件と言わざるを得ない。強い怒りを覚える。極めて遺憾。

 このような事件が発生すると県民の怒りが頂点に達し、今後の米軍と県民、基地について非常に大きな影響が出ることを深刻に考えている。

 このような事件が二度と起こらないよう綱紀の粛正、隊員の教育の徹底、再発防止に県民がよく分かる形で万全を期していただきたい。

 シーファー大使 被害に遭った少女とご家族にできることがあれば何でもしたい。いかに私たちが申し訳なく思っているかを知っていただきたい。一日も早く幸せで、今までの生活に戻っていただけるように何か手を貸したい。

 仲井真知事 大使と司令官の誠意はきちっと受け止めたいと思うが、県民の怒りはまだ収まっていない。

 ぜひ再発防止を徹底し、県民に分かるように公開してほしい。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802141300_01.html

 

2008年2月14日(木) 朝刊 2面 

国対応「生ぬるい」/綱紀粛正聞き飽きた

 「国の対応は生ぬるい」「綱紀粛正は聞き飽きた」。米兵による暴行事件の現場となった北谷町と沖縄市の両議会が十三日、日米両政府の機関をそれぞれ訪れ、異例の強いトーンで抗議した。繰り返される犯罪に不信感をあらわにし、目に見える改善の確約を要求した。本土でも集会が相次いで開かれ、抗議の波が広がった。日米政府は要人を沖縄入りさせて「迅速な対応」をアピール、事態の沈静化に躍起となった。

北谷町議会


 米兵暴行事件を受け、被害者の少女が保護された北谷町の町議会(宮里友常議長)正副議長と基地対策特別委員の計十一人が十三日、沖縄防衛局や外務省沖縄事務所などを訪れ、事件の容疑者と同じく基地外に住む米兵の人数の把握と公表や、日本政府が地元の意向を踏まえた上で再発防止策を考え、米国と協議するように要請した。

 宮里議長らは同日午前に決議した、日米両政府による再発防止の具体策作成などを求めた意見書を、沖縄防衛局の岡久敏明管理部長と、外務省沖縄事務所の田中賢治課長補佐に手渡した。

 各町議は、事件では米軍基地外に住む米兵が容疑者となっていること、同町には千数百戸の米兵や家族らが住む外国人住宅があることを示し、「基地の外に基地があるような状況」と説明した。

 また、同町議会が防衛省や外務省に対して、再三にわたり基地外に住む米兵数の調査、公表を求めてきたにもかかわらず「分からない」としか対応してこなかったことを批判、あらためて調査、公表するよう強く求めた。

 同町内でも米兵による女性暴行事件が起きており、「こういう事件を起こせば、米軍はもはや『良き隣人』ではない。住民すべてに恐怖を与えた」「われわれも日本国民として安心安全に住む権利がある」と訴えた。

 外務省沖縄事務所では田中課長補佐が「外務省も政府レベルで再発防止や綱紀粛正を米国側に強く申し入れた」などと説明したが、各町議は「『申し入れ』という生ぬるい言葉ではなく抗議してほしい」、「同様の事件が繰り返されており、綱紀粛正という言葉は聞き飽きた」と、怒りが収まらない様子だった。


沖縄市議会


 被害者が連れ去られた現場の沖縄市議会(喜友名朝清議長)も意見書可決後の十三日午後、抗議行動を展開した。同市では一月に米兵による強盗致傷事件が発生、議会が再発防止を要請したばかり。議員から「先月の時点で真摯に対応していれば今回の事件は防げたのではないか」「口約束でなく目に見える具体策が必要」と厳しい指摘が相次いだ。

 沖縄防衛局や外務省沖縄事務所への要請で、基地に関する調査特別委員会の与那嶺克枝委員長らは「責任を明確に抜本的対策を講じるべきだ」、「県民が納得する対応がなければ、日米安保の賛否に関係なく反基地の動きが広がる」とくぎを刺した。また同議会も基地外に住む米兵の行動管理をただしてきたことを指摘。「政府は基地を抱える自治体をどう思っているのか」と強い口調で迫る場面もあった。

 沖縄防衛局の真部朗局長は「米軍に働き掛けて実効性ある対策を実現したい」。外務省沖縄事務所の田中賢治課長補佐は「日米政府の高いレベルでこれから検討が始まる」と述べ理解を求めた。


県婦連も要請


 県婦人連合会(小渡ハル子会長)の各地区会長ら十三人は十三日、沖縄防衛局を皮切りに、仲井真弘多知事や仲里利信県議会議長、安里カツ子副知事をそれぞれ訪れ、米兵に対する綱紀粛正や、米軍基地の整理・縮小などを要請した。


県P連が決議


 県PTA連合会(諸見里宏美会長)の理事二十人は十三日、第六回定例理事会開催に先駆けて開いた緊急理事会で、被害者への謝罪と補償や、加害米兵への厳しい処罰を求めた「米兵犯罪の再発防止を求める緊急要請」決議を採択した。


容疑者の拘置決定/那覇地検が10日間


 那覇地検は十三日午前、強姦容疑で逮捕、送検された在沖米海兵隊キャンプ・コートニー所属の二等軍曹タイロン・ハドナット容疑者(38)=北中城村島袋=の拘置を那覇地裁に請求。同地裁は同日、同容疑者の拘置を認める決定をした。期間は十日間。(一部地域既報)

 ハドナット容疑者は、容疑を否認する一方、事件の波紋が広がっている事態に反省しているという趣旨の供述をしていることが十三日、分かった。

 

     ◇     ◇     ◇     

全国に憤り広がる


 県教育委員会(伊元正一委員長)は十三日の定例会で、米兵による暴行事件で米軍に対し、厳重な抗議と一層の綱紀粛正、兵員教育の徹底を求めるコメントを発表した。十五日午後にも全委員六人で在沖米国総領事や在沖米四軍調整官事務所などを訪れ、抗議行動を行う。全委員が直接米軍などに抗議をするのは異例。

 定例会では、仲村守和教育長が事件の概要や県教育庁、学校側の対応を説明。被害に遭った女子生徒と一緒にいた生徒の家をスクールカウンセラーが訪問するなど、心理面でのケアに当たっているとした上で「関係生徒の心のケアの実施計画を立て、対応していく」と語った。

 コメントは抗議を強める意味を込めて全員が起立し、伊元委員長が読み上げた。「女性の尊厳を踏みにじるものであり、特に被害者が中学生であることを考えれば、本県の児童・生徒の安全に責任を持つものとして極めて遺憾」と事件を糾弾。

 県教委として「PTAをはじめ地域、警察、関係機関との連携を深め、今後二度とこのような事件が起こらないよう、児童・生徒の安全確保に努める」と決意を表明した。

 委員からは「抗議の意味をいかに米軍側に分からせるのかが重要」との意見や「抗議行動と並行し、生徒が自分を守るための指導も今後は効果的に取り組む必要がある」などの指摘があった。

 県教委の委員が米軍に抗議行動を行うのは今回で三度目。二〇〇〇年七月、〇一年一月にそれぞれ発生した米海兵隊員による中学生へのわいせつ事件で再発防止を求めている。


関西の女性たち怒りの緊急結集


 【大阪】関西在住の女性たちで組織する「三月行動をよびかける女たち」(長崎由美子共同よびかけ人)は十三日夕、大阪市北区の大阪・神戸米国総領事館前で緊急の抗議行動を展開した。

 同組織は二〇〇四年三月、イラク戦争への自衛隊派遣に抗議し結成され、「とめたいんや戦争!守るんや命!」を合言葉に毎年三月に反戦集会を開いている。

 この冬一番の冷え込みとなった総領事館前には、約三十人が横断幕やプラカードを手に結集。「米兵による犯罪、基地被害は沖縄だけの問題ではない。女性の立場から沖縄の人々と連携し、強い憤りと抗議の意思を表明する」と気勢を上げた。

 この後、ラッセル総領事への面会を求めたが受け入れられず、応対に出た職員に「基地の全面撤去を求める」内容のブッシュ米大統領と在沖米軍四軍調整官あての抗議文を手渡した。

 同団体事務局の松野尾かおるさんは「米兵の犯罪は基地、軍隊がある限りなくならない。沖縄の怒りに無関心でいることはできない」と唇を震わせた。


関東反戦地主会 米大使館に抗議


 【東京】「沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック」など市民団体のメンバーらは十三日夜、都内の駐日米大使館を訪れ、暴行事件に抗議するとともに、「米軍再編は沖縄の基地負担軽減にならない」と、在沖米軍基地の撤去を求めた。大使館への接近を阻止しようとする警官隊と一時もみ合いになった。

 大使館近くに集まったメンバー約二十人は「沖縄は守られているのではなく、逆に生活を破壊されている」「痛ましい事件をゼロにできないなら米国に撤退せよ」などと訴えた。


「基地撤去を」日教組が決議


 日教組は十三日、全国代表者会議で事件に抗議する特別決議を行った。決議文は凶悪事件への強い憤りと怒りを表明し「日米地位協定の抜本的見直しはもとより、基地の撤去を早急にすすめるよう強く求める」としている。

 また、沖教組中頭支部は同日、事件の起こった地元として、抗議声明を発表。早急に対策を講じる必要を訴えた。「未成熟な中学生は社会全体で守り育てなければいけない存在」とし、本人・家族への心のケアなど全面的な支援を強く求めた。


米軍関係者の女性暴行

95年以降も14件摘発


 県警の資料を基に沖縄タイムスがまとめた統計では、十三年前の米兵暴行事件が起きた一九九五年から二〇〇七年までの間に、県警が摘発した軍人や軍属、家族ら米軍関係者による女性暴行事件は十四件、十七人あった。

 凶悪犯罪(殺人、強盗、放火、強姦)も四十三件、六十三人に上った(数字はいずれも未遂事件を含む)。

 刑法犯総数は八百件、八百六十四人。うち暴行や傷害、脅迫などの粗暴犯は百件、百人だった。構成比が最も高いのは窃盗犯で、三百八十五件、四百十七人に上った。

 最近では、沖縄市内の飲食店での二十代の女性従業員を殴り、性的暴行を加えたとして、嘉手納基地内に住む米兵の息子が強姦致傷の疑いで逮捕された。

 今年一月には、海兵隊員二人が沖縄市内でタクシー運転手を瓶やこぶしなどで殴り、運賃を払わず逃げたとして、強盗致傷容疑で逮捕される事件も起きている。運転手は頭部裂傷など全治一カ月の重傷を負った。


米、誠意アピール躍起

知事淡々、目線は文書


 米兵による暴行事件を受け、米政府は十三日、大使と在日米軍トップという日本国内の二人の責任者を県庁に派遣、「誠意」のアピールに心を砕いた。一方、仲井真弘多知事は淡々とした対応に終始し、会談にはぎこちない雰囲気が漂った。

 応接室に通されたシーファー駐日大使とライト在日米軍司令官は四分間、立ったまま一言も話さず、仲井真知事の入室を待った。ピンクのかりゆしウエア姿で登場した知事は、握手で応えた。

 シーファー大使は会談で被害者あての手紙を託し、「きのう米本国から戻り、昨夜もけさも対応を協議した」と、全力の対応を強調した。ただ、「謝罪」という言葉を直接使うことは避けた。

 仲井真知事は大使の手紙をどう扱うか戸惑った様子を見せた後に受け取ると、前日ジルマー四軍調整官に伝えたのとほぼ同様のせりふを読み上げた。厳しい言葉が躍るが、目線はほとんど手元の文書に注がれたまま。一通り終わると顔を上げ、「県民の強い怒り」という言葉には力を込めた。

 報道陣七十人以上の前で、「真摯な対応」を印象付けた米側。この後、外務省沖縄事務所で小野寺五典外務副大臣と面談したジルマー四軍調整官は「われわれは事件を大変に深刻に受け止めており、シーファー大使の訪問もそれを示している」と強調した。


知事の「怒り」/県民意思を体現せよ


 米兵による暴行事件に対する仲井真弘多知事の言動が分かりにくい。事件の謝罪に訪れる日米の要人らに対し、「県民の怒りは頂点に達している」とのコメントを読み上げた知事自身は怒っているのか、そうでないのか。「素早い対応をしていただいた誠意を多としたい」と相手に配慮をにじませるあまり、県民の目には知事の「怒り」が伝わってこない。

 今回の事件に対し、知事の対応は素早かった。事件発覚直後の十一日午前には、記者団の前でコメントを発表。「(事件に)強い怒りを覚える」と強い調子の言葉を口にしたが、日米両政府が最も懸念する米軍普天間移設問題への波及には「直接の影響はないと思う」と否定し、率先して「火消し役」を演じた。

 十二、十三の両日、謝罪のため、県庁を相次いで訪れた米国要人に対しても、仲井真知事は終始冷静な対応をとった。「今後の基地問題に深刻な影響を与えかねない」と再発防止を促したが、普天間移設をめぐる防衛省の強引な対応には時に激しく、語気荒く発言した知事の姿は今回は見られない。

 仲井真知事は就任以来、事務方が用意したあいさつ文はほとんど読まず、「自身の言葉」にこだわってきた。それが「仲井真カラー」でもあった。だが、今回の事件に関しては一転し、用意されたペーパーを棒読みに近い形で、しかも、同じ「言葉」を使い回し応対する姿が目立つ。

 こうした対応の裏には、懸案の普天間移設問題でようやく政府と間に生まれた「協調関係」を崩したくない、事態を荒らげたくないとの思いもにじむ。知事サイドは「怒り心頭でも人間の礼節を欠いてはいけない」(県首脳)と強調するが、知事がどちらに顔を向けて対応しているのか、県民にはやはり見えにくい。

 知事の言葉の一つ一つは、個人の思いを超えて「県民意思」として受け止められる。仮に、本来の意思とは別に誤ったメッセージとして内外に発信されれば、県益そのものを損なうほど、知事の言葉の持つ意味は重い。

 知事が、事件に対する県民の怒りを共有しているのなら、県民意思を体現し、自らの言葉で語るべきではないか。(政経部・稲嶺幸弘)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802141300_02.html

 

2008年2月14日(木) 朝刊 3面

日米政府 特効薬なく/95年を反省 迅速対応

 米兵による暴行事件を受けて十二、十三の両日、日米両政府と米軍の高官クラスが相次いで仲井真弘多知事を訪ね、謝罪を繰り返した。一九九五年九月四日の米兵による暴行事件では、モンデール駐日米国大使が遺憾の意を表明したのが発生から十七日後。宝珠山昇防衛施設庁長官は二十五日後に来県したが、大田昌秀知事(当時)に門前払いされた。対応が後手に回り県民の怒りを増幅させた当時の「反省」を踏まえた今回の措置だが、実効性のある再発防止の特効薬は打ち出せず、日米に「謝罪詣で」以上の打開策が見当たらないのが実情だ。

初動を重視


 米側は十二日の在沖米軍トップのジルマー四軍調整官(中将)、メア在沖米国総領事に続き、十三日は日本に駐在する米政府と米軍のトップに当たるシーファー駐日米大使、ライト在日米軍司令官が県庁を訪問。

 日本側も国会対応中の高村正彦外相の代理として小野寺五典副大臣が、町村信孝官房長官の指示を受け、十三日早朝の便で来県した。

 いずれも仲井真知事に「遺憾の意」を伝え、綱紀粛正や再発防止に言及。日本政府関係者は「九五年は日米の反応が鈍く、県民感情を悪化させた。今回は初動を重視した」と解説する。

 西宮伸一北米局長が事件翌日の十一日、ドノバン次席公使に電話を入れ、遺憾の意と併せて過去の経緯や基地に対する県民感情を伝えた。このため外務省筋は、シーファー大使の異例の来県を「事態を深刻に受け止めている表れ」と解説する。

 嘉手納基地で勤務経験があるライト司令官、沖国大に普天間飛行場のヘリが墜落した当時の在沖米海兵隊基地司令官を務めたフロック副司令官ら、在日米軍トップが「沖縄問題を知っている」(同)ことも迅速な対応につながったとみている。


頼みは米国


 九五年は三容疑者の身柄が米軍の手中にあったため、引き渡し問題がわき起こり、日米地位協定の改正がクローズアップされた。大田知事が事件発生から十五日後の九月十九日に東京で河野洋平外相と会談し、地位協定の見直しを強く要求したにもかかわらず、河野氏が「現時点で見直す考えはない」とあっさり断言したことも県民の怒りに火を付けた。

 容疑者の身柄が日本側にある今回は地位協定問題が直接、焦点になっていないため、「とにかく誠心誠意謝罪するしかない」(防衛省幹部)。

 石破茂防衛相は十二日の閣議後会見で、「具体的にどうすべきか、日米両政府の責任でもある」と述べ、日本政府として実効性ある再発防止策に具体的に関与する必要性を初めて指摘した。

 しかし、周辺は「怒りに任せて勢いで言ったんだろう。実際事務レベルでは何も検討されておらず、一義的に米国がやることだ」と、再発防止が米国頼みで、事態の沈静化を見守るしかない現状を指摘した。(東京支社・吉田央、島袋晋作)


1995年の日米政府対応


1995年9月4日

 本島北部で米兵による暴行事件が発生

同11日

 オニール在沖米国総領事が県を訪れ、謝罪

同19日

 大田昌秀知事が上京し、河野洋平外相に日米地位協定見直しを求めたが、「現時点で見直す考えはない」と拒否。バーンズ米国務省報道官が会見で「ショックであり、極めて遺憾」と表明

同21日

 モンデール駐日米国大使が米国政府としての遺憾の意を表明し、被害者と家族、県民に謝罪。クリントン大統領が「怒りを感じており、事件を極めて遺憾に思う」と表明

同29日

 宝珠山昇防衛施設庁長官が来県し、大田知事との会談を働き掛けたが実現できず

10月4日

 在沖米海兵隊は4、5の両日を「反省の日」とし、訓練中止などの措置

同14日

 米軍が沖縄市の飲食店街の立ち入りを午前零時から同6時まで禁止するオフ・リミッツの措置

同21日

 宜野湾海浜公園で県民総決起大会が開かれ、約8万5千人が結集

11月11日

 衛藤征士郎防衛庁長官が来県し、大田知事と会談。衛藤長官は新たに設置する協議機関で、基地の整理・統合・縮小に取り組む意向

同30日

 駐日米国大使館のデミング公使が来県し、大田知事と会談

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802141300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月14日朝刊)

[知事所信表明]

決然たる姿勢で臨め

 仲井真弘多知事は県議会二月定例会で県政運営の基本方針を示す所信表明を行った。冒頭、米兵による暴行事件に触れ「強い憤りを覚える」と抗議。米軍に対し綱紀粛正、隊員教育の徹底などを求める意向を示した。

 一九九五年の米兵による暴行事件を糾弾する県民総決起大会の際、大田昌秀知事(当時)は「行政の責任者」として「大切な幼い子どもの人間としての尊厳を守ることができなかった」と県民に陳謝した。あってはならない事件が再び起きたのである。事態は深刻だ。通り一遍の抗議や要請では済まない。県は決然たる態度で臨むべきだ。

 県政最大の課題である普天間代替施設問題について、知事は代替施設の沖合移動や普天間の「三年目途の閉鎖状態の実現」へ向けて取り組む姿勢を示した。だが、めどは立っていない。

 ここへ来て防衛省の強硬姿勢は一変し、対話ムードが生まれてきた。県は同省の環境影響評価(アセスメント)方法書の追加資料提出を評価したが、県環境影響評価審査会は慎重な審査が必要との姿勢を崩していない。

 一連の手続きを見ていて気になるのは、県が移設推進に前のめりになっている気配が感じられることだ。今回の事件の発覚直後の対応を見ても、知事のセンスを疑問視する県民は少なくないはずだ。前のめりの余波がこんなところにも表れているのではないか。

 日米地位協定見直しにも触れ、「米側に裁量を委ねる形となる運用改善だけでは不十分で、抜本的に見直す必要がある」と訴えた。そうであれば、どこをどう見直すのかを明確にし、具体的な行動を起こす必要がある。

 一方、沖縄振興では民間主導の自立型経済の構築に全力を挙げる構えを見せたが、就任後二度目の所信表明ということを考慮すれば迫力不足だ。今後一層の「選択と集中」が迫られる。知事の手腕が問われているのである。

 県の台所事情は一段と厳しくなった。今回の予算編成では約三百九十億円の収支不足が生じ、何とか帳尻を合わせた。給与特例条例案など削減努力は多としても、焼け石に水の状態だ。

 同規模の収支不足は今後も続く。県債発行などに頼る綱渡りの予算編成は今後も持続可能なのか。行財政改革などを含む抜本的改革が必要だ。

 沖縄振興計画終了、地方分権・道州制論議の進展を踏まえ、県は沖縄二十一世紀ビジョンの策定に着手した。新年度は県にとって正念場の年になる。

 基地と経済は両輪の政策課題だ。知事は県民の声を受け止め、経済重視にとどまることなく基地問題でも主張すべきは明快に主張していくべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080214.html#no_1

 

2008年2月14日(木) 夕刊 1面

「県民の気持ち分かる」/知事要請に首相

 【東京】在沖米海兵隊員による女子中学生暴行事件を受け、仲井真弘多知事は十四日午後、首相官邸に福田康夫首相、町村信孝官房長官を訪ね、事件に対する遺憾の意を伝えた上で、米軍の綱紀粛正の徹底と再発防止策の公表を米側に働き掛けるよう要請した。これに対し福田首相は「県民の気持ちはよく分かる。要請を最大限受け止めて取り組む」と述べたという。政府は再発防止策として、米軍基地周辺の繁華街などに地元自治体の了解を得た上で防犯カメラを設置する方向で検討に入った。

 仲井真知事によると、町村長官も「要望にこたえられるよう頑張る」と述べたという。日米地位協定の改定については要請しなかったほか、米軍普天間飛行場の移設問題についても言及しなかったという。

 仲井真知事は要請後、記者団に対し「県民の鬱積した怒りが燃え上がっていることを伝えた。綱紀粛正や再発防止策は、県民が納得できるものをつくってほしい」と具体的な再発防止策の必要性を強調した。

 仲井真知事は引き続き内閣府に岸田文雄沖縄担当相を訪ね、同様に要請した。

  再発防止策では、沖縄県に派遣された小野寺五典外務副大臣が同日午前に町村氏に報告、町村氏は「関係省庁と詰めてほしい」と指示した。

 小野寺氏は報告で、防犯カメラに関し「既に一部自治体でやっているようだが、主要なところに設置する(べきだ)。プライバシー問題で反対意見もあるようで、自治体の協力が得られれば検討に値する」と伝えた。

 また小野寺氏は、在日米軍が独自に実施している部隊幹部による見回り活動について「日本の警察が一緒になってパトロールするのも一案ではないか」と提案した。


海兵隊 全隊員に倫理指導


 米兵による暴行事件を受け米海兵隊は十四日、沖縄を含む日本国内に駐留する全隊員に行動規範や法令順守を徹底させる綱紀粛正策として、「倫理と指導」と題したトレーニングを開始した。十五日まで二日間実施。

 在沖縄米海兵隊の広報担当者によると、指導内容は(1)基地を受け入れる日本と良好な関係を維持することの重要性(2)性的暴行などの非行を防ぐ行動を隊員同士が互いに取る責任(3)日米両国の法律に従うことが絶対的に必要であること―などが中心となる。

 また指導的立場にある海兵隊員に対しては、個人的または職務上の行動を通して範を示し、配下の隊員の行動を導くよう求めていくという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802141700_01.html

 

2008年2月14日(木) 夕刊 1・4面

「米軍の綱紀粛正疑問」/県議会が抗議決議

 米兵による女子中学生暴行事件を受け、県議会(仲里利信議長)は十四日午前、「在沖米海兵隊員による少女暴行事件に関する抗議決議」と意見書を全会一致で可決した。決議は、米軍人による凶悪事件が後を絶たない状況に触れ、「米軍の綱紀粛正への取り組みや軍人への教育のあり方に疑問を抱かざるを得ない」として、被害者と家族への謝罪と完全な補償、再発防止策に万全を期すことなどを求めている。

 十五日に県内の日米関係機関、十八、十九日に都内の日米関係機関に直接申し入れを行い、十九日夕に記者会見を開く予定。

 抗議決議は「女性に対する暴行は肉体的、精神的苦痛を与えるだけでなく、人間としての尊厳を蹂躙する極めて悪質な犯罪であり、県民に強い衝撃と多大な不安を与えている」と指摘。「特に被害者が無抵抗な少女であることを考えれば、断じて許すことができない卑劣な行為」と断じた。

 さらに、昨年十月に嘉手納基地内に住む米軍人の家族による強姦致傷事件、先月七日には普天間基地所属の米兵による強盗致傷事件など凶悪事件が相次いでいる点を指摘。「またもやこのような事件が発生したことに対し、激しい憤りを禁じ得ない」と訴えている。

 その上で(1)被害者および家族への謝罪および完全な補償(2)実効性のある具体的な再発防止策について万全を期す(3)米軍基地の一層の整理縮小を図るとともに、海兵隊を含む米軍兵力削減の推進―を要求している。

 抗議決議は駐日米国大使、在日米軍司令官、在日米軍沖縄地域調整官、在沖米総領事、在沖米海兵隊基地司令官あて。意見書は内閣総理大臣、外務、防衛、沖縄担当大臣あて。


     ◇     ◇     ◇     

[解説]

実効性ある綱紀粛正を


 在沖米海兵隊による暴行事件に対する県議会の抗議決議は、女子中学生が被害者になった米軍人犯罪への怒りを示し、実効性のある綱紀粛正と米軍基地の目に見える形の整理縮小を日米両政府に突きつけた。

 市町村議会の抗議決議が相次ぐ中、基地問題の早急な解決を求める県民世論をさらに高め、全県的な抗議行動に拍車が掛かりそうだ。

 決議案を審議した県議会米軍基地関係等特別委員会(親川盛一委員長)は、「実効性がある再発防止策」という案文に、「具体的な」という文言を加えた。米軍側の綱紀粛正が形骸化していることへの強い不満とともに、「これ以上の事件再発は絶対に許さない」という憤りを強調した形だ。

 米軍構成員による女性暴行事件は、一九九五年の米兵暴行事件以降も十四件発生している。野党委員は「基地あるがゆえの事件。海兵隊はすべて撤退すべきだ」とし、普天間飛行場移設を盛り込んだ米軍再編を進める県の姿勢を批判する。

 自民党県連の外間盛善会長代行らも十三日に在沖米総領事館を訪れ、「綱紀粛正の徹底がなければ、日米安保の根幹を揺るがす」とケビン・メア総領事に迫った。

 抗議決議が全会一致で可決されたことで、超党派の県民大会を求める動きが強まるのは必至だ。

 ただ、「決議の趣旨で、日米両政府に早急な基地の整理縮小を求めるべきだ」と主張する野党側に対し、与党側は「米軍再編の推進で、現実的な整理縮小を進めるべきだ」と慎重な構えだ。

 普天間飛行場の移設問題でも、与野党のスタンスは違う。抗議決議で実効性ある再発防止策や兵力削減で一致しても、具体的な方向性の相違は明確で、県民大会の実現は不透明だ。

 軍特委では、喜納昌春氏(社大)が「事件を防げなかった責任は国や県だけでなく、県議会にもある」と発言した。事件の再発防止に向けては、県議会の具体的かつ実効性ある対応も問われる。(政経部・与那原良彦)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802141700_02.html

 

2008年2月14日(木) 夕刊 4・5面

再発防止へ地域一丸/中頭地区で小中校長会

 米兵による暴行事件を受け、県内の校長会の緊急会議が十四日午前、相次いで開かれ、集団登下校や巡回活動の徹底などを確認。学校や地域、行政が一丸となって子どもたちの安全確保に取り組むことになった。出席した校長らから「卑劣な行為で許せない」「まず被害者の心のケアを」「もっと踏み込んだ対策が必要だ」などと、綱紀粛正が徹底されない米軍への怒りや、少女を気遣う声が上がった。

 【中部】中頭地区十市町村の小中学校長を対象にした緊急校長会が十四日午前、沖縄市知花の中頭教育事務所であり、児童・生徒の安全指導と安全確保の徹底について話し合った。参加したのは中頭地区の小学校七十校と中学校三十九校の学校長と教育委員会関係者の約百二十人。

 重々しい雰囲気の中で進められた会議では、「不審者と思われる人に近づかない」「大声で助けを求める」など五項目の徹底、さらに登下校時や帰宅後の安全確保について「集団登下校を心掛ける」などを確認。児童・生徒の危機回避能力の育成については警察など専門機関と連携した防犯教室を実施していく。中頭教育事務所の比嘉源勇所長は「まずは被害を受けた生徒の心のケアも考えなければならない。中頭地区六万人以上の児童・生徒の命を預かるものとして、二度と事件が起きないように取り組みを強化しよう」と呼び掛けた。

 参加した恩納村立安富祖中学校の與那覇清徳校長は「未成年は大人が守らないといけない存在。米兵がどういった存在なのかも小学生から教える必要があるのではないか」と指摘。うるま市立田場小学校の栄門忠光校長は「日常的に安全指導を行っていても事件が起こる。もっと踏み込んだ対策が必要であり、職員とともに子どもたちをどのように守るか考えたい」と話した。

 一方、事件の発生した自治体の教育長は沖縄タイムスの取材に応じ、「人間の尊厳を踏みにじる蛮行であり絶対に許せない。子どもたちを守るためにも米軍基地の根本的な問題から解決しなければならない。事件のたびに綱紀粛正をすると言いながら、一向に反省が見られない米軍に怒りしかない」と厳しく批判した。


「日常から意識を」/県立学校緊急校長会


 県教育庁の県立学校緊急校長会は十四日午前、沖縄市の県立総合教育センターで開かれた。県立高校、特別支援学校の全校長七十六人が出席。仲村守和教育長は「大切に保護、育成されるべき若年者に向けられた卑劣な行為に対して強い憤りを覚え、決して許すことはできない」と述べ、児童・生徒の安全指導や安全確保の徹底に向けて、学校、保護者、地域が連携した取り組みを行うことの重要性を再確認した。

 さらに仲村教育長は「児童・生徒が自ら健康、安全に気を配る姿勢を身に付けさせること、危険回避能力を醸成していくことが重要。日常生活で安全に関する問題意識を持たすようにしなければならない」と語った。

 県高校校長協会長の仲皿正伸・開邦高校校長は「今回の事件はどこでも起こりえたことで、腹わたが煮えくり返る思いがする。生徒には不審者にはついていかないなど、危険回避の意識の徹底に取り組んでいきたい」と話した。

 昨年七月、校内に米軍車両が侵入する事件が起きた県立沖縄高等養護学校の塩浜康男校長は「米軍の綱紀粛正は徹底されているのか疑問だ。米軍車両が校舎に侵入した後、米軍に綱紀粛正の徹底を申し入れたが、前原高校にも侵入する事件が起き大変ショックを受けた。米軍の綱紀粛正はその場逃れのことではないか」と憤った。

 県教育委員会は十五日午後、在沖米総領事館や四軍調整官事務所などを訪れ、抗議行動を行う。


沖縄市が地域パトロール強化へ


 【沖縄】米兵による暴行事件を受け、沖縄市(東門美津子市長)は十三日、これまで市教育委員会が行ってきた地域のパトロールを強化し、平日だけでなく日曜・祝日(午後四時から同十時まで)も実施することを決めた。

 これまでのパトロールは、ボランティアや退職教職員などを活用し、平日の下校時間帯(午後二時から同四時まで)は週三回、夜間(午後九時から同十一時まで)は日曜・祝日を除く毎日行っていた。

 沖縄市は、今回の事件が休日に起きたことから、教育委員会と連携して市民健康課の職員が日曜・祝日に巡回。特に繁華街を重点的に行う。

 パトロールを実施する同委員会市青少年センターの川崎義隆所長は「今回の事件は街中で起きた。中心市街地の危険にも目を向け、子どもの安心・安全を守りたい」と話した。


防犯強化向け情報共有確認

沖縄市臨時庁議


 【沖縄】沖縄市は十四日午前、臨時庁議を開き、事件の経緯や今後の対応などを協議し、行政と地域が連携して事件の再発防止に向けた情報共有化を図ることなどを確認した。同日午後からは沖縄署や市PTA連合会など関係機関で組織する市地域安全推進協議会を開き防犯対策を再検討する。

 庁議では、教育委員会が市内にある小学校十五校と中学校八校に安全指導の徹底を指導したことや青色点灯車両によるパトロールの強化を報告。市経済文化部からは、自警団の設置を検討していることなどの説明があった。また市消防本部は、携帯電話での一一九番通報で通報者の居場所が特定できる新発信機導入を二〇〇九年度に予定していることを説明した。

 また市では十五歳以下の子どもの割合が全国の市で最も高いことから今年五月に「こどものまち宣言」を予定している。


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各地で謝罪求め抗議


 米兵による暴行事件を受けて十四日、中部市町村会が定例会で、日米地位協定の改定を求める要請文などを可決した。また、容疑者の自宅がある北中城村はじめ、浦添市や豊見城市の各議会でもそれぞれ全会一致で事件の再発防止を求める抗議決議などを可決した。


中部市町村会 米軍の教育徹底訴え


 【中部】中部市町村会(会長・知念恒男うるま市長)は十四日、北中城村のホテルで開いた定例会で、米軍人や軍属、家族への教育の徹底と再発防止、地位協定の抜本的改定を行うよう求める抗議文と要請文を全会一致で可決した。

 知念会長は「今後、県内から米軍関係者による事件・事故が起こらないよう強い決意を持って取り組んでいこう」と呼び掛けた。

 抗議文では米軍人や軍属らの事件が発生するたび、再発防止を強く訴えてきたにもかかわらず、今回の事件が発生したことに「極めて遺憾」と指摘。

 繰り返される米軍関係者の事件を批判し、「女性の人権が侵害される痛ましい凶悪な事件が起きたことに対し、強い怒りを持って抗議する」と訴えている。

 同会のメンバーらは定例会後、来県中の参議院沖縄・北方特別委員会(市川一朗委員長)と面談し、要請した。


北中城村議会

「悲しみ計り知れず」


 【北中城・中城】北中城村議会(中村勇議長)は十四日午前、臨時会を開き、事件の再発防止、被害者への謝罪と補償などを求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。また、中城村議会(新垣善功議長)も同日午前の議会運営委員会で、十五日に臨時会を開くことを決めた。臨時会で抗議決議と意見書の両案を審議する。

 北中城村議会の抗議決議は、暴行事件について「被害を受けた少女や家族らの悲しみは計り知れない。(米軍の)綱紀粛正策の実効性がまったく見えない」と犯行を糾弾した。その上で、実効性のある犯罪防止策を示し、米軍は再発防止に全力で取り組むよう要求している。

 発議理由で比嘉義彦議員は、逮捕されたタイロン・ハドナット容疑者が同村島袋に住むことから「容疑者は通学路近くに住んでおり、事件を知ってぞっとした。村民の人権を守る立場から米軍に厳重に抗議したい」と訴えた。また、新垣邦男村長も「女性の人権を蹂躙する重大犯罪だ。村内に住んでいたことも村民に不安を与えている」として、関係機関への抗議を検討するとした。

 抗議決議と意見書のあて先は、容疑者が所属するキャンプ・コートニー司令官や在沖米国総領事、首相、防衛相、外相など。


浦添市議会

県民の人権蹂躙 責任所在明確に


 【浦添】浦添市議会(大城永一郎議長)は十四日、臨時議会を開き、事件に関する抗議決議と意見書を全会一致で可決した。抗議決議案と意見書は、「今回の事件は、県民に大きな衝撃と恐怖を与えるとともに女性の人権はもとより、県民の人権をも蹂躙する極めて悪質な犯罪であり、断じて許すことができない」と批判。(1)被害者への謝罪と完全な補償(2)米軍構成員等の教育の徹底と事件の再発防止、解決策の公表(3)被疑者所属の組織の管理体制と責任の所在を明らかにすること―を求めている。


豊見城市議会

米兵の蛮行社会に衝撃


 【豊見城】豊見城市議会(大城英和議長)は十四日午前、臨時議会を開き、米軍による事件・事故の再発防止などを求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。

 意見書と抗議決議は「米兵による蛮行は県民に強い衝撃と不安を与えている」と強く指摘。その上で、在沖米軍、軍属らの綱紀粛正を図ることや、日米地位協定の抜本的な見直し、一層の基地の整理・縮小などを要請している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802141700_03.html