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県民大会、米軍へ6000人抗議 地位協定改定案、野党3党が合意など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(3月23日から25日)

2008年3月23日(日) 朝刊 1・29面

沖縄の怒り全国に訴え/きょう午後 県民大会

大会実行委決議案確認/米兵事件続発

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(主催・同実行委員会)が、二十三日午後二時から北谷町の北谷公園野球場前広場(雨天時は同公園屋内運動場=北谷ドーム)で開かれる。

 大会は宮古島、石垣市でも同時開催される。

 二十二日、大会を呼び掛けた六団体による幹事会が那覇市の県教育会館で行われ、日米地位協定の抜本改定などを要求する決議案やプログラムを最終確認した。

 関係者らは「県民の痛みと怒りを全国へ広げる大会にしたい」と強調した。

 大会では、開催地の野国昌春北谷町長のほか、東門美津子沖縄市長、翁長雄志那覇市長が登壇し、あいさつする。

 三市町長を含め少なくとも十三市町村長が参加する予定。二十二日までに、市民団体や労組など九十五団体から大会の趣旨に賛同する協賛金が集まった。

 大会決議案は、戦闘機、ヘリの墜落事故や爆音、さらに女性への性暴力事件が起きた今年二月以降も凶悪事件が頻発していることを指摘し、「基地被害により県民の人権が侵害されている」と厳しく批判。

 その上で、日米両政府に対し、(1)日米地位協定の抜本改正(2)米軍による人権侵害の根絶(3)実効性ある再発防止策(4)米軍基地の整理・縮小と兵力削減―の四項目を求める内容となっている。

 また、女性団体や教育、労働団体、地域住民代表、性暴力の被害者らが壇上に立ち、それぞれの立場から抗議の意思を表明する。

 大会実行委は今月八日に正式発足。超党派の大会を目指し県議会へ要請を繰り返したが、自民党県連は組織参加を見送り、仲井真弘多県知事も二十一日、不参加を表明した。

 実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は「米兵による事件の背後に人権問題がある。県民の痛みと怒りを全国へ広げていける大会にしたい」と決意を述べた。

 実行委は大会終了後、四月中旬をめどに上京し要請行動を行う予定。


     ◇     ◇     ◇     

犯罪被害 共闘誓う/神奈川の事件当事者


 「基地がなければ起こらない事件で、米軍に対する思いは私たちも同じ。一緒に闘っていると感じたい」。在日米軍による犯罪・事故の被害者の会の山崎正則さん(60)=横須賀市=と椎葉寅生さん(69)=横浜市=が、「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に参加するため二十二日、来県した。山崎さんは、米兵の犯行で妻を失った。椎葉さんは米軍戦闘機墜落事故の被害者だ。沖縄と基地への思いを共有するために二十三日、二人は北谷公園に向かう。

 「米軍は再発防止を何度も言うが事件は減らない。妻の事件の時も『二度とこのようなことは起こさない』と言い、外出禁止などやったが何にもならない」。山崎さんは、不満を一気に話した。

 二〇〇六年一月、山崎さんの妻は、金目当ての米空母乗員に惨殺された。山崎さんは同年十一月、日本政府や米軍の管理責任を問い損害賠償を求める裁判を起こし、現在も係争中だ。「私だって大変だった。被害者が声を出すのは勇気のいること」と被害者を思いやり、「国の政策で基地を置くなら、基地から出すな。米軍任せでは駄目だ」と、国の責任を厳しく問う。

 椎葉さんは一九七七年、自宅近くに米軍機が墜落、自宅を失い妻も全身にやけどを負った。「横須賀でも、沖縄と同じように、次から次へと事件や事故が起こっている。どこの県民というのではなく、同じような被害を受けている者として、一緒に闘いたい。被害者がもっと腹を立てて、怒らないといけない」と話した。

 「私たちのような被害者を二度とつくらないでほしい。不幸にして被害者になった人がいたら、やれるだけのことをしてあげたい」。二人は、昨年六月に二人の仲間と同会を立ち上げた。「沖縄で、多くの人に勇気をもらって帰り、向こうでまた頑張りたい。それが、また沖縄の人たちを元気づけることになればと思う」。二人は静かに、参加し連帯することの意義を話した。


「被害者名」記し批判/産経・世界日報にチラシ


 二十二日に県内で宅配された産経新聞と世界日報の折り込みチラシに、米兵による暴行事件の被害者の実名とも読める氏名を記載して被害者を批判する文書が含まれていたことが分かった。チラシの折り込みを依頼した国旗国歌推進県民会議の惠忠久会長は「氏名を記したのは軽率だったかもしれない」と話し、世界日報は販売店にチラシの回収を命じた。

 チラシには被害者を批判する文章のほか、「県民大会を開かせるな、自民党、公明党は絶対に参加すべきではない」などとした惠会長の主張がA4紙二枚に記されている。

 惠会長は、数百部を同日の両紙朝刊に折り込むよう販売店に依頼したという。記載された名前は実名ではないが、惠会長は実名かどうか把握しておらず、「チラシはある文章を引用して作ったが、名前を記すことの意味はよく考えていなかった。被害者の人権を指摘されれば多少、軽率だったかもしれない」と述べた。

 沖縄タイムスの取材に対し、世界日報の黒木正博編集局長は「同日夕方ごろ、沖縄の販売店から報告を受けた。不穏当な表現だと考え、すぐに回収を命じた」と話した。

 産経新聞社大阪本社の広報担当は「折り込み広告は販売店が判断して入れている。公序良俗等に反するものは控えるよう販売店には言っている。内容の確認をしていないが、もし事実なら遺憾に思う」としている。

 県人権協会の永吉盛元事務局長は「被害者である、という立場をまったく理解していない。本当に実名を出していたとしたら、甚だしい人権侵害で悪意に満ちた態度だ」と憤った。「言論の自由があると言うかもしれないが、私たちの社会で到底許されるものではない」と述べ、強い抗議が必要との認識を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803231300_01.html

 

2008年3月23日(日) 朝刊 28面

「集団自決」跡を見学/1フィート運動の会

 沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会(福地曠昭代表)は二十二日、「集団自決(強制集団死)」を現地で学ぼうと、渡嘉敷島平和ツアーを行った。同会設立二十五周年記念企画の一環。参加者十二人は、「集団自決」体験者吉川嘉勝さんの案内で同島内を回り、「集団自決」跡地、日本軍本部跡地、白玉の塔、慰安所だった建物などを見学した。

 「集団自決」跡碑の前では、吉川さんが当時の状況を説明。命令がなければ自決場に向かわなかったこと、「天皇陛下万歳」の声で惨劇が始まったこと、母親の言葉でその場から逃げだしたことなどを話した。参加者は、沢に下り現場まで歩き、当時の様子に思いをめぐらせた。

 福地代表は「実際の場で話を聞くと、わずか一キロほど離れた所の地獄のような騒ぎを日本軍が気付かなかったわけがない、とつくづく思う」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803231300_11.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月23日朝刊)

[きょう県民大会]

相次ぐ事件もはや限界

 米兵による事件が沖縄だけでなく全国の米軍基地所在地で相次いでいる。

 二〇〇六年一月、神奈川県横須賀市で日本人女性が殺害され、米空母キティーホークの乗組員が逮捕された。容疑者が犯行を認めた直後の一月、北谷町のキャンプ瑞慶覧ではタクシー強盗事件が起きた。事件の連鎖は今年に入ってからも顕著だ。

 一月に沖縄市で起きた米海兵隊員二人によるタクシー強盗致傷、二月の米兵による女性暴行、名護市辺野古の民家への住居侵入。横須賀市では三月十九日、タクシー運転手が刺殺されるという事件が起きた。

 車内に残されていたクレジットカードが米兵のものと判明したため、米軍は、この米兵を脱走罪で拘束し、事件との関係を調べている。

 夜間外出制限、隊員の着任研修、繁華街の巡回。米軍はさまざまな再発防止策を打ち出してきたが、効果をあげているとは言い難い。

 アフガニスタンやイラクでの戦場経験と、帰還後の犯罪の関連性を指摘する声もある。

 米国防総省の報告書によると、〇六年十月から〇七年九月までの米軍兵士による性暴力事件は二千六百八十八件に達し、このうち約60%がレイプ事件だった。

 多発する米兵犯罪が住民の安全を脅かし、不安に陥れている。

 蛮行を許してはならない。「命と尊厳」を守るため声を上げよう―そんな切羽詰まった思いから、二十三日、「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」が開かれる。

 大会参加をめぐって態度を保留していた仲井真弘多知事は、大会前々日になって「被害者への配慮」などを理由に参加を見送ることを決めた。

 県議会与党のうち自民党県連はいち早く不参加を表明。公明党県本は参加する方針を明らかにした。与党の中で態度が割れた。

 今回のようなケースでは、県知事や政党が県民大会に参加することも、不参加を表明することも、ともに政治的意思表示になる。不参加という名の政治的意思表示は、沈静化には役立っても、問題解決を促す力にはなり得ないだろう。

 地位協定の抜本的見直しに向け訪米を検討していると言いながら、その一方で、大会に参加しないというのは、なんともちぐはぐだ。

 深刻な被害を受けている地域がそれぞれ声を上げなければ、事態はいつまでたっても改善されない。

 県民大会をその第一歩と位置づけたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080323.html#no_1

 

琉球新報 社説

きょう県民大会 知事の不参加は残念だ 2008年3月23日

 1995年の県民大会から、沖縄における米兵による事件・事故は減ったのだろうか。何も変わらない、というのが現状ではないだろうか。今回の女子中学生に対する暴行事件を見ても、過去の教訓が生かされているとは到底、言い難い。

 日米両政府、米軍とも、やることなすこと、同じことの繰り返しだ。事件が起きるたびに「綱紀粛正」「兵士教育の徹底」など再発防止策を掲げるが、どれだけの効果があったのだろう。「その場しのぎ」「ほとぼりが冷めるのを待つ」。多くの県民が両政府の態度をこう見ているとしても仕方がないのではないか。

 もちろん、今回も軍属を含む外出禁止措置など、いくつかの再発防止策が取られた。ただ、その後も次から次へと米兵絡みの事件が発生したのも事実だ。小手先の対処策では、もはやどうにもならないことは、過去の事例を見ても明らかだろう。両政府は基本的なところで現実から目をそらしているとしか思えない。

 当局がそうであれば、われわれにできることは、抗議の声を上げ続けていくことだ。そうすることで、このような社会を変えていくしかない。何もしないのは現状を容認することにしかならない。

 きょう開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(同実行委主催)に、仲井真弘多知事が不参加を決めた。被害者への配慮、を理由の一つに挙げている。為政者として、当然の気配りだろう。意思を固めるまで散々悩んだことと思う。

 しかし、その判断はやはり、残念としか言いようがない。米兵によるこの種の犯罪で、表面化するのは氷山の一角だという指摘もある。声も上げられない被害者。そんな被害者のためにも、むしろ知事が先頭に立ち、代わって抗議の声を上げるべきではないのか。知事が大会に参加することで、被害者が傷つくとは思えない。

 大会のスローガンは再発防止策の徹底はもちろん、日米地位協定の改定、基地の整理縮小などであり、「私が言っているのとほとんど同じ」(仲井真知事)。そうであるなら、なおさら知事は参加の道を選ぶべきだった。知事は夏にも訪米し、協定改定など直接米国政府に訴えるという。大会不参加は、その決意のトーンダウンを印象付けることにならないか。

 玉寄哲永実行委員長は「知事の参加の有無で、大会の意義は変わらない。今回は県民の人権を取り戻す闘い」と語る。その通りだろう。参加団体の数の多寡、超党派かどうか。これらで、大会の性格が左右されるはずもない。協定改定から基地の整理縮小、さらには基地の撤去まで。一人一人が愚直に声を上げ続けていくしかない。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-130390-storytopic-11.html

 

2008年3月24日(月) 朝刊 1面

米軍へ6000人抗議/地位協定の改定訴え

宮古・石垣でも600人

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(主催・同実行委員会)が二十三日、北谷町の北谷公園野球場前広場で開かれた。激しい雨の中、女性団体や教育関係、労組などの市民団体、地域住民ら六千人(主催者発表)が参加。続発する米兵犯罪や基地被害を厳しく批判し、日米地位協定の抜本改定などを求める大会決議を採択した。宮古島市、石垣市でも同時開催され、六百人が怒りの声を上げた。

 県民大会に呼応し、東京都内でもデモ行進などが行われ、米兵による事件・事故に抗議した。

 実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は「この大会は人権を保障させる運動の第一歩になる。沖縄の怒りを日米政府へぶつけよう」と呼び掛けた。

 二〇〇二年に神奈川県で米兵に暴行された被害女性が登壇。「被害者として黙っていられない。心の傷は残っているが、この場に来て私は一人じゃないと思えた」と語り掛けた。会場は静まり返った。

 開催地の野国昌春北谷町長、東門美津子沖縄市長、翁長雄志那覇市長ら本島中部を中心に十市町村長が出席したほか、国会議員や県議らも参加した。

 大会決議は、一九九五年の米兵暴行事件後に約束された再発防止や基地の整理・縮小が守られていないことを批判。日米両政府に(1)日米地位協定の抜本改正(2)米軍による県民の人権侵害を根絶するため政府が行動を起こすこと(3)米軍人への厳しい綱紀粛正と実効性ある再発防止策(4)基地の一層の整理・縮小と兵力削減―の四項目を要求した。

 実行委は、構成九十九団体の代表らに呼び掛け要請団を結成し、四月十日をめどに、首相官邸や衆参両院議長、外務省、防衛省、在日米大使館に要請行動する予定。


[ことば]


 地位協定改定要求 1995年11月、大田昌秀知事は10項目の地位協定見直しを政府に要求。その後、米軍が地位協定に基づく「施設間の移動」と主張していた民間地域での行軍を禁止、被害者補償に備え米兵の全マイカーを任意自動車保険に加入させることなどが実現したが、多くは稲嶺恵一、仲井真弘多知事の代へ持ち越された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803241300_01.html

 

2008年3月24日(月) 朝刊 22・23面

「安心を返して」/「涙雨」静かな怒り

 「沖縄に、安全で安心な暮らしを返してほしい」。二十三日、北谷町の北谷公園野球場前広場であった県民大会。県民が繰り返し訴え続けてきた願いを胸に、強い雨と風の中、約六千人(主催者発表)が集まった。米兵による犯罪の被害者らの怒りや悲しみを込めた訴えに会場は静まり、涙する人も。後を絶たない米兵の事件・事故と、防げない日米両政府に抗議と怒りが広がった。

 大会開会の一時間ほど前から勢いを増した雨に強い風。参加者は傘を差し、雨がっぱを着込んでも吹き込む雨や寒さに耐えながら、アスファルトの広場やぬかるんだ芝生、雨宿りした野球場の軒下から舞台に視線を注いだ。

 「県知事は地位協定の抜本的な改定を求め米国に行くのに、県民の声を反映させることもなく手ぶらで行くのか」。大会実行委の玉寄哲永委員長は、参加しなかった仲井真弘多知事や自民党県連の姿勢にいつになく怒りをあらわにした。

 翁長雄志那覇市長は穏やかな口調ながら、地位協定見直しに消極的な町村信孝官房長官や日本政府の対応に「どこの国の官房長官かと思う」などと、厳しい言葉を重ねた。

 高まる檀上のボルテージに拍手や指笛、「そうだ」の掛け声が飛んだ。

 神奈川県内で米海軍所属の米兵に性的暴行を受けたオーストラリア出身のジェーンさん(仮名)が話し始めると、会場は静けさに覆われた。

 米兵に暴行を受け、心に一生の傷を負ったこと。「助けてくれる」と思った日本政府が捜査でも裁判でも助けてくれなかったことを語り、「私は性犯罪被害者です。私は恥ずかしくない。私は悪くないから」、「何も悪くない沖縄、何も悪くない私」と訴えた。

 率直に体験や気持ちを語るジェーンさんの言葉に、参加者はうつむいてじっと聴き入ったり、まぶたを手でぬぐったりした。

 「平和のための行動を進めていきましょう」。

 ジェーンさんの訴えに応じるように、地位協定の抜本的見直しや在沖米軍基地の整理・縮小の促進などを求める六千人の「ガンバロー」のこぶしが、雨空へ力強く突き上げられた。


     ◇     ◇     ◇     

勇気の訴え共鳴/性暴力被害者・ジェーンさん


 「性暴力の被害者として、黙っていられない」。二〇〇四年に神奈川県内で米海軍横須賀基地所属の米兵に暴行されたジェーンさん(仮名、四十代)は、犯罪を問うため闘ってきた六年間の思いを語った。訴えは、六千人に染み入った。

 オーストラリア出身のジェーンさんは来日三十年で東京に在住。加害者の米兵相手に民事訴訟を提起、東京地裁は賠償金の支払いを命じたが、米兵は審理中に帰国し行方知れずに。

 「暴行されたとき、殺された方がましだと思った。何年たっても忘れられない」。帽子にサングラスで登壇したジェーンさん。時折叫ぶように語った。

 二月の暴行事件後のライス米国務長官来日に触れ「きちんと謝罪するというなら、加害者の米兵を日本に戻して」と訴えた。

 大会参加に葛藤もあった。自分に恥ずべきことはないとの信念と、顔や名前を隠して登壇することへの悩み。小学生の息子に「家族の名前を出していい? ママのことでいじめがあるかも知れないよ」と尋ねてみた。息子は「大丈夫。お母さんは何も悪くない。僕が守ってあげる」。涙が止まらなかったという。

 ずっと一人で闘ってきたジェーンさんが、日米政府、警察から掛けてほしかった言葉だった。「悪いものは悪い、正しいものは正しい」。訴え続ける勇気になった。

 大会後、壇上のジェーンさんのもとに、女性が駆け寄り、握手を求めた。「自分もずっと苦しんできた」と打ち明け「今日から強く生きていきたい」と語ったという。「涙が出た。つないだ手を放したくなかった」

 「私たちの活動を世界が注目している。今日、私は一人ではないという気持ちになれた。一緒にやっていきましょう」。そう締めくくったジェーンさんを温かい拍手が包んだ。


「声上げ日米動かす」/宮古・八重山でも集会


 【宮古島・八重山】米兵による事件・事故に抗議する宮古集会と、八重山郡民大会が二十三日、宮古教育会館、石垣市役所前広場でそれぞれ開かれ、日米地位協定の抜本改正などを求める決議案を採択した。

 宮古集会(主催・同実行委)には二百八十人(主催者発表)が参加。実行委員長の伊志嶺亮宮古島市長は、一九九五年の県民大会以後も米兵による暴行事件が起こっているとし、「われわれの声を日米両政府に届けるよう、宮古からも訴えていきたい」と述べた。

 下地昌明多良間村長は強い憤りを示し「米軍の再発防止策は不十分だ」と批判。宮古島市婦人連合会の下地正子会長は「米軍基地を子や孫の世代に残してはいけない」と訴えた。

 八重山郡民大会(主催・同実行委員会主催)には約三百五十人が結集。実行委員長の本底充連合沖縄八重山地域協議会議長は「一人一人の怒りを大きなうねりに、日米両政府を動かそう」と強調。大浜長照石垣市長は「基地があるから米兵の事件・事故が起きる。根底から考える必要がある」、大盛武竹富町長は「日米両政府は再発防止の具体策を示すべきだ」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803241300_02.html

 

2008年3月24日(月) 朝刊 3面

知事不在 批判も/県、協定改定に重点

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」は約六千人(主催者発表)が参加したが、仲井真弘多知事や自民党県連は参加せず、「超党派」の集会とはならなかった。県は同大会の意義を評価しつつ、与党を中心に日米地位協定の抜本的改正に取り組む姿勢を強調。一方、政府は知事の不参加などを理由に「これまでの県民大会とは重みが違う」と冷静に受け止めている。

 県民大会に約六千人が参加したことについて県首脳は「ある程度のインパクトはある。特に日米地位協定の抜本的改正については県民の思いが強い」と評価。

 日米地位協定の改正は県も最大の政治課題に挙げる。だが、大会の主催者あいさつでは、参加を見送った自民党などが厳しく批判された。

 別の県幹部は「参加しなかったことで、県民から『知事は何をしているのか』と言われかねない」と指摘。「地位協定改定に向けた具体的なプランを早めに打ち出す必要があるだろう」と話す。

 仲井真知事は今秋に訪米を予定。自民党県連も訪米前の県民大会開催を検討している。県幹部は「自民党を中心に超党派で大会を開き、県選出の与党国会議員とも連携しながら進めていかなければならない」と全県を網羅した運動の必要性を強調する。

 知事周辺は「政府が『運用改善』を繰り返すのは、政府自身が現状に問題があると認識しているからだ」と指摘する。「理念的な改正案でなく、日米両政府がテーブルに着くような実態に即した改正案に踏み込む必要がある」と今後の県の方向性を示唆した。


県民の思い強い

仲里副知事


 仲井真知事は大会参加を見送ったものの、仲里全輝副知事が会場に姿を見せた。「あんまり少ないとアピールにならない。どういう状況か気になった」と説明した仲里副知事。「雨が降る中、傘やかっぱ姿で六千人参加したというのは、それだけ県民の思いが強いということ。日米両政府も米軍当局もしっかり評価するべきだ」との認識を示した。

 日米地位協定の改正などを掲げたスローガンを「実行委員会は最大公約数的な県民の立場で整理しており、高く評価する」と話す。

 だが、知事が参加を見送った経緯に触れ「県民大会というには参加団体が網羅されていなかった。参加できる条件が整わなかったことは残念だった」と述べた。


     ◇     ◇     ◇     

政府、影響力を疑問視

「不参加で重み変わった」


 【東京】二十三日の県民大会を受け、政府内には「しっかり受け止める」と一定の配慮を示す声がある一方、主催者発表六千人の参加者数や、仲井真弘多知事らの不参加を理由に挙げ、「重みが違ってきた」と、基地問題や日米地位協定の改定問題など、日米間の懸案事項に対する影響は小さいとの見方が支配的だ。

 ある防衛省幹部は、大会決議を尊重する姿勢を示しつつ、仲井真知事や県選出・出身の自民党国会議員らが参加を見合わせたことに、「知事らの不参加で重みが変わった。こちら(政府)の受け止め方も変わる」と、深刻な事態は避けられたとの認識を示した。

 野党の日米地位協定改定案策定など、協定改定をめぐる論議が盛り上がりつつある中、別の関係者も知事や自民党県連の欠席が大会の影響力を弱めたとの考え方で、「誰に言われても、地位協定は変えられない」と、協定改定に対する政府方針に変更がないことを強調した。

 また、ある内閣府幹部は、「よく相談して超党派体制が取れるようにした方が良かったが、主催者側が急ぎ過ぎた」と指摘。協定見直し決議も「今回の事件との直接的な因果関係は弱い。(政府内には)何で協定の話になるのか、という思いはある」と疑問を呈した。


東京でも同時150人抗議集会


 【東京】米兵事件に抗議する県民大会に呼応する緊急行動集会(主催・同実行委)が二十三日、都内であり、約百五十人が「米兵による性暴力を許さない」などと憤りの声を上げた。デモ行進では「基地ある限り安心安全な沖縄はない」と訴えた。一方、米軍北部訓練場のヘリパッド移設に反対する東村高江区の住民らを支援するイベントも中野駅北口広場で開催した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803241300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月24日朝刊)

[3・23県民大会]

尊厳をかけた問い掛け


被害者「私は悪くない」

 戦後も六十二年が過ぎ、沖縄の人々はいや応なしに米軍基地との共存を強いられてきた。おびただしい米兵による犯罪、数え上げればきりがない。

 北谷公園野球場前広場で開催された「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(主催・同実行委員会)では、米軍人らによる凶悪事件を糾弾する怒りの声が広がった。

 悪天候にもかかわらず、大会には約六千人(主催者発表)が参加。肌寒い中で参加者は傘やかっぱで強い雨をしのぎ、熱気を帯びた大会となった。

 今回の県民大会では、神奈川県で米海軍所属の米兵に暴行を受けた被害者の肉声が初めて響き渡った。

 「私は性犯罪の被害者。私は恥ずかしいことありません。私は悪くない」

 オーストラリア人のジェーンさん(仮名)はPTSD(心的外傷後ストレス障害)にさいなまれながらも、黙ってはいられないと沖縄に足を運んだという。被害者の生の悲痛な叫びは大会参加者の心を揺さぶった。

 一九九五年の10・21県民総決起大会の際は米兵による暴行事件に怒った約八万五千人の県民らが結集し、米軍人の綱紀粛正、日米地位協定の見直し、基地の整理縮小―を求めた。

 党派を超えた県民の一致した声が日米両政府をゆるがせ、普天間飛行場の全面返還という日米政府の決断を導き出す契機になったのである。

 しかし、今回は超党派の足並みが乱れた。県政与党の自民党県連が不参加を決定したのに続き、肝心の仲井真弘多知事も参加を見送った。

 県政与党の公明党県本部は大会参加へとかじを取った。本島中北部の基地所在市町村の首長や那覇市長らは立場を超えて、地位協定の抜本改正を求める声に賛同し、大会に参加した。

 地位協定の抜本改正という点では一致しつつも、「被害者への配慮」を最優先したというのが主な不参加の理由だ。しかし、県知事は何を根拠にして日米両政府に要請しようというのか。

 長年の間に、米兵による理不尽な犯罪さえも日常の光景に溶け込み、私たちの人権感覚はすっかり鈍麻したのではないかと、考えさせられる。


対策の「実効性」を問う


 最近の米兵による犯罪は目に余る。女性への性的暴行やタクシー強盗、住居侵入、偽ドル偽造、覚せい剤使用…。米軍が夜間外出禁止令を発令しても事件が続いて発生している。

 イラク開戦から五年を経て、米兵の死者数は約四千人に上る。AP通信によると、米軍の報告書でアフガン戦争以来七年で複数回戦場に行った兵士の四人に一人以上が精神面で問題を抱えていることが明らかにされた。

 興奮して騒いだ後、急に黙り込む、酔うと殺気だった目つきになる―。イラク帰還兵の異常な行動を感じるという県内基地従業員の証言もある。

 出口が見えないまま、長期化する米国の対テロ戦争が影を落とし始めているのではないか。こんな疑念を払しょくすることができない。

 大会では(1)米軍優先の日米地位協定の抜本改正(2)米軍による人権侵害を根絶するため政府はその責任を明確にし、実効ある行動を起こすこと(3)米軍人の綱紀粛正策を厳しく打ち出し、実効性ある具体的な再発防止策を示すこと(4)米軍基地の一層の整理縮小と海兵隊を含む米軍兵力の削減―を要求していくことを決議した。

 「実効性」を重ねて強調しているのは、これまでの防止策には効果がなく、犯罪がとどまる気配がないことに対する県民の不信の現れである。


県民の声を一つにして


 イラク戦争で米国の威信は深く傷ついた。だが、大統領選の行方が注目され、変化の兆しが見えてきた。

 沖縄の保守系議員は軍事安全保障重視の思考にとらわれ、内向きになっていないか。被害を受ける県民の声を代弁するのが重要な務めのはずだ。

 日米両政府は地位協定改正には否定的だ。知事が訪米要請をしても、らちが明かないのは目に見えている。

 この問題への対応を県内の党派対立に矮小化すれば、「現実的な対応」で、振興策と引き換えに被害もやむを得ないという誤ったメッセージになりかねない。

 勇気を振り絞って表に出た被害者の声をしっかり受け止めたい。知事は県民の声を一つにまとめ上げ、主張すべきはきっちりと主張していくべきだ。

 県民は小手先の再発防止策ではなく、抜本的な対策を求めている。爆発寸前の県民の怒りといらだちを日米両政府は真摯に受け止めてもらいたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080324.html#no_1

 

琉球新報 社説

米兵抗議県民大会 人間の尊厳を守れる国に/政府は「痛み」取る責務果たせ 2008年3月24日

 会場に降りしきる雨が、残忍な事件や悲惨な事故で半世紀余にわたり、犠牲や泣き寝入りを強いられた人々の涙雨に見えて仕方がなかった。北谷町で23日に開かれた「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」は、主催者発表で約6000人が集まり、理不尽な基地被害への県民の怒りの大きさを見せつけた。

 県民の切なる願いは、憲法がうたう基本的人権が保障され、平穏な暮らしを取り戻したい―そのことに集約されるだろう。広大な基地に万余の米兵が居座る沖縄の現実は、願いから程遠いが、日米両政府は「沖縄の痛み」を正面から受け止め、これを取り除くという責務を果たしてもらいたい。

「治外法権」の現実

 沖縄駐留の米兵らに県民が人権を踏みにじられた例は、枚挙にいとまがない。本土復帰後も凶悪な殺人事件をはじめ、粗暴な犯行が後を絶たない。戦闘機やヘリ墜落など大事故の検証もしかりで、今なお「治外法権」の様相だ。

 1995年秋、沖縄本島北部で買い物帰りの女児が複数の米兵に拉致され乱暴された痛ましい事件では、くすぶり続けた県民の怒りが爆発した。日米両政府に対し、強く異議を申し立てる過去最大規模の総決起大会が開かれ、安保体制を揺さぶった。

 大会あいさつ冒頭で、当時の大田昌秀知事は「行政を預かる者として、本来一番に守るべき幼い少女の尊厳を守れなかったことを心の底からおわびしたい」と謝罪。高校生代表の女生徒は「やりきれない思いで胸がいっぱい。軍隊のない、悲劇のない平和な島を返して」と訴えた。

 知事の言葉は本来、日米両政府のトップが真っ先に口にすべきことだろう。少女の尊厳も守れない政治家に国防など論じる資格はないと考えるし、国際社会に対して主権国家だと胸を張れまい。

 あれから13年。残念ながら基地沖縄の現実は、さほど変わっていない。米兵らによる事件・事故は相次ぎ、今回の大会開催の契機となった女子中学生暴行事件が起きた。「綱紀粛正」「再発防止」の連呼がむなしく聞こえる。

 しかし、あきらめるわけにはいかない。県民は愚直と言われようが、繰り返し、理不尽な現状からの脱却を訴え続ける必要がある。そうしないと、この小さな島は巨大な軍事基地で人権侵害のるつぼと化し、取り返しのつかない状態になってしまうだろう。

 今回の県民大会では、4点の要求決議が採択された。米軍優先である日米地位協定の抜本改正、米軍による人権侵害根絶への政府の責任明確化と実効ある行動、厳しい綱紀粛正策と具体的な再発防止策の提示、基地の一層の整理縮小と海兵隊を含む米軍兵力の削減―がそれだ。

民意を見誤る恐れ

 これらは県民からすれば極めて当然の要求であり、日米両政府は実現に全力を挙げるべきだ。人権が踏みにじられる状況はこれ以上放置できないし、期限を切って協議してほしい。

 心配な点もある。13年前と違い、大会に知事や県議会議長らの姿が見えなかったことだ。仲井真弘多知事は大会2日前になって「契機となった事件の被害者と家族をそっとしておいたらどうか」などと述べ、参加しない考えを表明した。

 県議会の仲里利信議長も、自民党県連の不参加決定を受ける形で「超党派でなく、議長としても、一県議としても参加できない」と説明した。

 知事や議長の不参加は、返す返すも残念である。今回の大会を野党色が強いと見るなら、与党第一党が参加してこそ、そのイメージも払えるというものだろう。実際には県婦人連や県子ども会育成連絡協など社会教育団体が参加しており、不参加は選挙を控えて勘繰りすぎとの印象が否めない。

 いずれにしろ、知事らの不参加は「沖縄は一枚岩ではない」ととられ、日米両政府から見くびられる恐れがある。沖縄から誤ったメッセージを発信してしまう危険性をはらんでおり、今後、知事が訪米して基地問題を訴えても説得力を欠くことになりかねない。

 ただ、日米両政府も今回の大会を見くびると、民意を見誤ることになる。基地の重圧は尋常ではない。県民の怒りは沸点に達しており、負担軽減の約束が裏切られたとの思いが充満している。両政府は訴えの一つ一つに耳を傾け、抜本的な解決策を示すべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-130421-storytopic-11.html

 

2008年3月24日(月) 夕刊 1面

知事、一定の評価/県民大会

 仲井真弘多知事は二十四日午前、北谷町で二十三日に開かれた「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に六千人が参加したことについて、「雨の中でよく集まったと思う」と述べ、一定の評価をした。県庁で記者団の質問に答えた。

 大会で採択された日米地位協定の抜本改正などを求める決議については「スローガンは(以前から)僕も申し上げた。(県の姿勢と)同じだと思う」として、決議の趣旨には賛同する考えを示した。

 日米地位協定の改定に消極姿勢を示す日米両政府に、大会決議が与える影響については「主催者の方もおられるし、ちょっと言いにくい」と述べ、明言を避けた。


     ◇     ◇     ◇     

6千人結集「意義ある」

名護市長


 島袋吉和名護市長は二十四日、雨の中六千人が集まった県民大会について、「あれだけの人が集まって怒りの声を上げたことは意義がある」と評価した。

 大会で、日米地位協定の抜本的改正や米軍人への厳しい綱紀粛正、再発防止などを求めたことについては「米軍は事件が起きるたびに綱紀粛正を言ってきたが、効果は見られない。徹底した綱紀粛正を行い、目に見える形で効果を出してもらいたい。県民の怒りの声は、米軍や日本政府に届いたのではないか」と、徹底した再発防止策の実現と地位協定の改正を求めた。

 県民大会へは前日までに参加を明言し、当日も会場付近まで足を運んでいたが、雨が降り風邪気味だったため、車中でラジオ中継を聞いていたという。


政府消極的「運用改善で」


 【東京】町村信孝官房長官は二十四日午前の定例会見で、米兵事件に抗議する県民大会で決議した日米地位協定改定の要求について、「先般の事件で地位協定で何か支障があったかといえば、その点はなかったと思っており、引き続き運用改善を図っていきたい」と消極的見解を繰り返した。

 高村正彦外相も、同日午前の参院予算委員会で、日米地位協定が世界の米軍駐留国の地位協定より運用改善面で進んでいることを強調し、「これからも運用改善を積み重ねて、機動的に対応していきたい」との考えをあらためて示した。

 一方で県民大会の感想については「県民に多大な負担をかけていることをあらためて強く認識した。米兵の事件・事故の再発防止に取り組んでいかなければならないという決意を新たにした」と語った。山内徳信氏(社民)に答弁した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803241700_01.html

 

2008年3月24日(月) 夕刊 5面

新射撃場に反対決議/金武町議会が全会一致

 【金武】金武町議会(松田義政議長)は二十四日午前の三月定例会で、米軍がキャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で予定している最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場建設に反対する抗議決議、意見書、要請決議案をそれぞれ全会一致で可決した。

 決議では「負担の軽減がなされぬまま、米陸軍射撃場建設が強行されたことは町民を愚弄するなにものでもない」と指摘している。

 「射撃場建設の即時中止」、「レンジ4における暫定使用の即時中止と解体撤去」「伊芸地域の米軍基地の全面返還」の三つを求めている。

 意見書のあて先は首相、外相、防衛相など。抗議決議は駐日米国大使、在日米軍司令官など。

 同議会が射撃場建設に反対する抗議決議案を可決するのは昨年八月に続き二回目。今月十五日には、同町伊芸区が同様の抗議決議文を決議している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803241700_06.html

 

2008年3月25日(火) 朝刊 1面

洗機場移設 大幅遅れ/嘉手納基地大・中型用

年頭に代替着工

 【東京】住宅地への洗浄水飛散が問題となっていた米軍嘉手納基地の洗機場移設をめぐり、大・中型機用の代替施設の着工が約半年遅れ、予定していた年度内の完成が大幅にずれ込むことが二十四日、分かった。関係者によると昨年七月の着工予定が、米側の意向で設計が直前に変更されたほか、立ち入り手続きが大幅に遅れたことで、工事開始が今年一月にずれ込んだことが要因という。(東京支社・島袋晋作)

 防衛省の担当者は、「移設は地元のニーズも高い。工事を急ぎ、なるべく早く完成させたい」と説明。八カ月間を予定していた工期を約二カ月短縮し、七月ごろの完成を目指しているが、その間は現在の洗機場が使われることになる。

 現在の洗機場は、嘉手納町屋良の住宅地に近接する海軍駐機場内にあるが、風向きによって大量の水しぶきが住宅地に飛散し、住民の苦情が相次いでいた。

 日米特別行動委員会(SACO)最終報告に基づき、海軍駐機場とともに沖縄市側へ移設されることが決まっていたが、移設完了は二〇一〇年度以降となる見込みとされた。このため、嘉手納町が洗機場の移設を切り離し、早急に実施するよう日米に働き掛けて作業が始まった経緯がある。

 このうち、F15戦闘機などを対象とした小型機用の洗機場は、滑走路南側の空軍駐機場エリアに〇六年に完成し、すでに運用が始まっている。

 一方、移設が遅れている大・中型機用の洗機場は嘉手納町役場から南に約八百メートル離れた地区に移設する計画。

 KC135空中給油機などを対象にしており、ポンプ棟を一棟建設するほか、洗浄水を噴射するノズルや貯水槽などを含んだ洗機施設を整備する予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251300_01.html

 

2008年3月25日(火) 朝刊 2面

首相、地位協定改定に否定的/衆院予算委で初見解

 【東京】福田康夫首相は二十四日の参院予算委員会で、日米地位協定の改定について「考えていない。地位協定がある中で、いかにして運用改善するかということに力を入れている」との見解を示した。福田首相が公式の場で地位協定改定に否定的な姿勢を示すのは初めて。

 高村正彦外相も、同日午前の同委員会で、日米地位協定が世界の米軍駐留国の地位協定より運用改善面で進んでいると強調し、「これからも運用改善を積み重ねて機動的に対応していきたい」との考えをあらためて示した。山内徳信氏(社民)への答弁。

 一方高村氏は、二○○六年十月から○七年九月までの米軍兵士による性暴力事件が、二千六百八十八件に上ると指摘した米国防総省の報告に関する井上哲士氏(共産)の質問に対し、「性犯罪防止の取り組みの一環として、性犯罪の透明性をできるだけ高めるために行われているものと承知しており、(件数を)一概に論ずることは困難」と指摘。

 これに対し井上氏は「事件が多いからアメリカは対策を取っている。それを一概に論じれないというのはおかしい。きちんとした認識を持つ必要がある」と批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251300_05.html

 

2008年3月25日(火) 朝刊 27面

そそり立つサンゴの壁 名護市大浦湾 WWFJ調査

 【名護】名護市大浦湾で二十四日、衛星利用測位システム(GPS)測量や潜水によるアオサンゴ群落の形状、分布、環境調査が行われた。同群落は昨年九月に発見された。調査は世界自然保護基金(WWF)ジャパンが初参加し、二十二日から行われている。

 目崎茂和南山大学教授は「内湾にこれだけのサンゴ群落があるのは珍しい。また十数メートルもそそり立った壁を形成しているのは見たことがない。形状的には世界でもまれではないか」と群落の希少性を強調。

 沖縄リーフチェック研究会の安部真理子会長は「普天間飛行場代替施設の建設が始まると海流が変わる恐れがあり、赤土も発生する。群落の生態系に影響がないわけではない」と同湾周辺の動きを危惧した。

 調査を総括したWWFジャパンの花輪伸一さんは「今回得たデータは大浦湾の三次元マップ作成や、市民版アセスを正しく行うための基礎資料としたい」と意気込んだ。

 調査は二十四日で終了した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251300_06.html

 

2008年3月25日(火) 朝刊 2面

「修学旅行に配慮を」/県議会特別委

要請決議案提出へ

 県議会の米軍基地関係、少子高齢化対策、観光振興・新石垣空港建設促進の特別委員会が二十四日、開かれた。観光・新石垣委では、四月からの航空運賃値上げに伴う本土修学旅行客への影響を考慮し、航空会社へ配慮を求める決議議案を本会議に提出することを決めた。

観光・新石垣


 観光振興・新石垣空港建設促進特別委員会(国場幸之助委員長)は、航空四社に修学旅行客への影響が出ないよう、団体割引料金の設定などで配慮を求める決議案を議員提案で提出することを決めた。四月一日からの航空運賃値上げで修学旅行の減少傾向がさらに進むとの懸念があるためで、各委員連名で二十六日の本会議に要請決議案を提出する。

 県の有識者委員会が導入の是非を検討しているカジノについて、仲田秀光観光商工部長は「(県への導入が決まった場合)県内の人を入れないなどの手法も考えている」と述べ、青少年などへの影響を防ぐため、何らかの入場制限を検討する意向を示した。外間久子氏(共産)との質疑で述べた。


少子高齢対策


 少子高齢化対策特別委員会(吉田勝廣委員長)は、二〇〇八年度県予算の保育関係事業費の削減について審議した。

 同関係事業費では(1)認可外保育施設認可化促進事業の休止(2)地域子育て支援拠点事業の補助基準額10%減額(3)センター型からひろば型への移行による削減―などについて、県私立保育園連盟から削減しないよう陳情が出ている。赤嶺昇氏(維新の会)は「少子化対策に逆行している」と批判した。

 伊波輝美福祉保健部長は財政難の中で厳しい予算編成を強いられたと説明。一方で認可外保育園への米代支給新設などを挙げ「全体として保育費関連予算は6・9%伸びた」と成果を強調した。

 赤嶺氏は「認可外保育園への米代支給の芽出しは評価するが、子ども一人当たり十一円の額は支援としてあまりにも少なすぎる。増額が必要」と述べた。


米軍基地関係


 米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)は、防衛省が嘉手納基地周辺の騒音測定調査(コンター見直し作業)を実施している件で、新嘉手納爆音訴訟原告団(仲村清勇会長)が対象地域の拡大を求めている陳情について審議した。

 県側は、政府が二十八年ぶりに進めている見直し作業について、渉外知事会を通して、防音工事対象区域の拡大を要請していると説明。また県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)を通じ、住宅防音工事の助成制度の拡充拡大を要請していると述べた。

 また防衛省が二〇〇六年までに厚木飛行場(神奈川県)周辺の第一種区域を見直した件について報告。対象区域面積が計約七千七百ヘクタールから約一万五百ヘクタールに増加、対象世帯も十四万七千世帯から二十四万四千世帯に増加したと説明した。金城勉氏(公明)への答弁。

 二十三日の県民大会について、上原昭知事公室長は「六千人の参加は一定の成果があったと思う」と評価。知事の不参加について、「県民の声をくみ取ることはいろんな手法で可能。こういう大会や県議会などあらゆる場でくみ取って政府や米軍にぶつけていく」と述べた。嘉陽宗儀氏(共産)への答弁。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251300_07.html

 

2008年3月25日(火) 夕刊 1面

地位協定改定案 野党3党が合意

週明けにも政府要請

 【東京】日米地位協定の改定案をめぐる民主、国民新、社民の野党三党の実務レベルによる第三回会合が二十五日午前、都内で開かれ、米軍の基地使用計画提出の期間など相違のあった複数の項目で合意し、成案の概要をまとめた。

 今後、文言を擦り合わせ、三党幹事長クラスが二十七日に正式合意する。三十一日以降に政府への要請行動を展開する予定。民主、国民新、社民の三党は、米軍人・軍属の基地外居住に関し、外国人登録法を義務付けることや、起訴前の身柄引き渡しへの同意―などで一致。施設返還時の原状回復義務でも、環境汚染の浄化は米国が責任を負うとすることも確認した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251700_02.html

 

2008年3月25日(火) 夕刊 1面

「県民の思い受け止める」/沖縄相、県民大会で

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十五日午前の閣議後会見で、二十三日に開かれた「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」について、「県民の思いを重く受け止めなければいけない。政府が打ち出した再発防止策をできるだけ早く具体化し、実施にこぎ着けることが最大の役割だ」と述べた。

 さらに「政府全体として、従来の防止策の趣旨が貫徹されていたか検証することも必要」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251700_03.html

 

2008年3月25日(火) 夕刊 5面

自衛隊「共同使用を」/ごみ搬入道 倉浜組合に申し入れ

 【沖縄】沖縄市にある倉浜衛生施設組合が旧東恩納弾薬庫地区内で建設中の新焼却炉へのごみ搬入道について、沖縄防衛局と自衛隊が、同地区内で建設中の射撃場への進入路に利用したいと、申し入れていたことが二十五日までに分かった。同組合の運営委は結論を出していない。

 二十四日の市議会二月定例会で、普久原朝健議員が「補助金がおりたかもしれないのに共同使用の提案をけったため、(ごみ搬入道路の建設費が)市民の負担になった」などと指摘。

 島袋芳敬副市長は「管理者(沖縄市、宜野湾市、北谷町の首長)を中心に防衛庁に(ごみ搬入道路の)補助金を要請したが、該当しないとのことだった。二市一町で整備することになり、その搬入路を自衛隊が使わせてほしいと申し入れがあった」とし、共同使用と道路建設の補助金は別問題と説明した。

 新焼却炉建設のために現在利用している米軍パイプラインは、ごみ搬入道路としての使用を米軍に断られたため、同組合が独自でごみ搬入道路(約三百九十メートル)を建設している。事業費は四億九千万円。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803251700_04.html

米軍住宅1万1295戸整備/思いやり予算5459億円 知事、県民大会不参加を表明など  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(3月19日から22日)

2008年3月19日(水) 朝刊 2面

米軍住宅1万1295戸整備/思いやり予算5459億円

 【東京】石破茂防衛相は十八日の衆院本会議で、日本政府が一九七九年度から二〇〇七年度にかけて整備した米軍基地内の家族住宅が、現在建設中のものも含め、全国で一万千二百九十五戸に上り、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)約五千四百五十九億円が投じられたことを明らかにした。照屋寛徳氏(社民)への答弁。

 米軍住宅の整備をめぐって政府は、照屋氏の質問主意書に対する今月七日の答弁書で、日本政府が七五年度から〇六年度にかけて建設した家族住宅が六千百八戸に上るとしており、約半分が県内に集中している実態も浮き彫りとなっている。

 一方、高村正彦外相は、米軍機による爆音訴訟で、嘉手納、厚木、横田などすでに確定した八件の訴訟の賠償金の合計が百二十二億円に上るが、米国が分担金支払いに応じていないことを明らかにした。賠償金は日本政府が肩代わりして原告住民らに支払っている。

 高村外相は分担金をめぐる日米協議について、「政府としては米国に賠償金の分担を要請しているが、両国政府の立場が異なっていることから妥結をみていない。このため、米国が負担する金額について現時点で答えるのは困難」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_05.html

 

2008年3月19日(水) 朝刊 2面

新射撃場着工 重ねて「反対」/金武町長

 【金武】金武町の儀武剛町長は十八日、開会中の町議会の一般質問で、現在同町キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で建設が進んでいる、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場について、「反対しているのにもかかわらず、着工されたことは誠に遺憾だ」として、あらためて反対の意志を示した。

 今後の対応については、「近接する伊芸区も反対決議をしており、区長や議長の三者で協議して、対応したい」と述べた。

 十七日から同訓練場で始まった陸上自衛隊の共同使用が基地の固定化につながるのではないかとの質問には「新たな施設整備を伴わない訓練のみの実施であり、基地の固定化につながるものではない」と、否定。

 迫撃砲やヘリを使った訓練の可能性については、「沖縄防衛局に確認し、使用はないとの説明を受けた」との認識を示した。仲間昌信議員への答弁。


     ◇     ◇     ◇     

陸自ハンセン訓練公開


 陸上自衛隊第一混成団は十八日、在日米軍再編に伴い米軍キャンプ・ハンセンで実施している共同使用訓練の一部を報道陣に公開した。都市型戦闘訓練施設(コンバットタウン)で行った通過訓練と、懸垂降下訓練施設(ラペリングタワー)で、予定していたロープ降下訓練は悪天候で中止された。

 訓練したのは第一混成群第三〇一普通科中隊など約百五十人。コンバットタウンでは、両側に民家や教会を模した六、七棟が立ち並ぶ通りを、一個分隊約八人が前後左右を警戒しながら通り抜けた。隊員は通常の戦闘訓練用という八九式小銃や鉄製ヘルメット、防弾チョッキ、ゴーグルなどを装備していた。

 第一混成団の武内誠一団長は同日、「部隊の能力を高め、さらに即応性を向上させ、県民の安心・安全のために貢献できるものと確信する」とコメントした。

 在沖米軍専用施設を使った初の日米共同使用訓練は同日、終了した。同広報室によると、次回訓練は日時、内容ともに調整が済んでいないという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_06.html

 

2008年3月19日(水) 朝刊 2面

名護市、水質調査を認可/普天間「アセス」

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局が着手している環境影響評価(アセスメント)調査で、県や名護市の許認可が必要な申請項目のうち、名護市は十八日、水質調査の立ち入りを認可した。

 県や名護市は随時、許認可する見通し。

 防衛局は全九項目を申請する必要があるが、すでに八項目は申請済み。残る一項目の県に求める水質調査の申請について調整を進めている。

 一方、同日沖縄防衛局がアセス調査と位置付け初めて着手した海域調査は天候不良のため、午前中だけにとどめた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_08.html

 

2008年3月19日(水) 朝刊 24面

「基地」教わった学びやに恩返し/沖国大・事故時1年生卒業

 二〇〇四年のヘリ墜落事故当時一年生だった沖縄国際大学の学生ら約十五人が十八日、四年間過ごした学びやを掃除した。学生らはヘリ事故を通して基地の重圧に苦悩する沖縄の現状を学んだ。二十一日は同大で卒業式があり、事故当時を知る最後の学生が巣立つ。

 学生らは「使ったモンをキレイにできない奴が社会人になれるか!感謝沖国大掃除大会」と銘打ち、約七時間かけて机やいすのふき掃除や掲示板のテープはがしなど、丹念に清掃した。

 掃除大会を呼び掛けた高橋正太郎さんは、県外の修学旅行生を案内する平和ガイド団体やヘリ事故後の「ノーフライゾーン・コンサート」に携わった一人。「やりたいと思ったことができた四年間だった。沖国大にありがとうって気持ちでいっぱい」

 新里豪さん(22)は「ヘリが落ちても基地問題に無関心だった自分が、県外出身の仲間とかかわることでヘリ事故は非常識なんだと気付かされた」と振り返る。その後、基地問題や沖縄の歴史に関心を持ち、平和ガイド仲間らと修学旅行生約千人を戦跡案内した。「コンサートの打ち合わせなど、友人たちと楽しく過ごした大学への恩返し」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191300_10.html

 

2008年3月19日(水) 夕刊 5面

靖国合祀 遺族ら提訴/取り下げ求め那覇地裁に

 靖国神社に肉親を合祀されている沖縄戦の遺族ら五人が十九日午後、親族を無断で祭られて追悼の自由を侵害されているとして、同神社に合祀の取り下げを求める訴えを那覇地裁に起こした。国が同神社に戦没者情報を提供したのは、憲法の政教分離に違反しているとして、併せて国と同神社に慰謝料の支払いを求めた。

 提訴したのは、沖縄戦で母と兄が犠牲になった原告団長の川端光善さん(72)や、ひめゆり学徒に動員されて姉を亡くした男性ら。提訴までに同神社に直接文書で合祀の取り下げを求めたところ、「遺族の承認を得て合祀することはない。靖国神社には信教の自由がある」などと回答したという。

 原告側は訴状で「戦争の被害者として無念の死を遂げた人々を、国に殉じた英霊として合祀しているのは許しがたい苦痛で、積極的に合祀に協力した国には怒りを感じる」と主張している。

 また壕から追い出されたり「集団自決(強制集団死)」を強いられたりして亡くなった被害者に、戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)が適用されている仕組みにも言及。住民を軍に対する積極的な戦闘協力者にすり替え、加害者の皇軍に取り込んでいるとして、「死者に対する冒涜にほかならない」と訴えている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191700_01.html

 

2008年3月19日(水) 夕刊 5面

タクシー窃盗事件/容疑者は米兵の子

 十六日夜に沖縄市内の路上で米国人少年二人がタクシーから現金箱を盗んだ事件で、逮捕された少年はいずれも米兵の息子であることが十九日分かった。住所不定無職の少年(15)は海兵隊員の息子で、同市八重島の男子高校生(16)は空軍兵の息子だった。無職少年は容疑を認め、高校生は否認しているという。

 調べでは、二人は十六日午後十時十五分ごろ、同市桃原の路上で、乗っていたタクシーを停車させ、現金五千四百円入りの現金箱(千円相当)を盗んだ疑い。

 沖縄署によると、二人は桃原付近で乗車した後、無職少年は助手席に、高校生は後部座席に座った。行き先をはっきり言わないなど不審な点があったため、乗務員が停車した際、外に出た無職少年が現金箱を取って逃走。後ろに乗っていた高校生も運転手のバッグを取ろうとしたが、運転手が取り返したという。

 駆け付けた警察官が近くにいた高校生を見つけ、署に呼んで緊急逮捕。無職少年は基地外にいたとみられ、米軍捜査機関が身柄を確保し、同署に引き渡した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191700_04.html

 

2008年3月19日(水) 夕刊 5面

反対派の船接近アセス一時中断

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局が行っている海域での環境影響評価(アセス)の作業は、二日目の十九日午前九時すぎ、嘉陽海岸付近で調査に反対する市民団体のボートなどが調査船に近づいたため、午前中、中断した。同海域では、沖縄防衛局側の調査船など八隻と市民団体側のゴムボートなど三隻が対峙した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803191700_07.html

 

2008年3月20日(木) 朝刊 27面

医師のヘリ添乗 協定/自衛隊急患搬送

 自衛隊のヘリコプターを使用した急患搬送で県、離島十八市町村と県立四病院、民間五病院が「離島からの急患を空輸する際にヘリコプター等への医師等の添乗に関する協力協定書」を締結することが十九日、分かった。県内では復帰後三十年近く自衛隊法の災害派遣要請を適用してヘリ急患搬送を実施している。医師添乗の在り方や運航の安全確保など運用について協定を結ぶのは初めて。

 協定では県や離島市町村、協力病院の役割を明確化した。任意で不定期の集まりだった県ヘリコプター等添乗医師等確保事業運営協議会の会長に県福祉保健部長を充て、添乗した医師の災害補償の在り方などを含め総合調整の役割を担う。添乗医師の確保は協力病院の責任とし、離島市町村はヘリ急患搬送についての啓蒙活動や、協力病院の負担軽減策などを検討することを盛り込んだ。

 また離島市町村が一部事務組合方式によるヘリ急患搬送事業の検討委員会を設立し、全国で初めて救急救命士の添乗を検討する。

 運航の安全性確保では(1)急患搬送の中止は現地の気象条件を最優先(2)飛行気象条件はマニュアルに記載(3)ヘリ乗員と添乗医師は飛行前に天候や患者の容態などに関する情報交換を行う―とした。

 当番医師の裁量に委ねていた添乗の可否は、原則として添乗し、やむを得ない場合に限り看護師などほかの医療従事者の代替策を構ずる。医師の添乗研修を実施することも明記した。

 協定締結式は二十六日、那覇市内で開かれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803201300_05.html

 

2008年3月20日(木) 朝刊 26面

沖縄戦の実相 取り戻したい/靖国合祀訴訟原告ら会見

 沖縄戦の遺族らによる靖国神社の合祀取り下げ訴訟で、原告団長の川端光善さん(72)ら訴訟団が十九日、訴状提出後に那覇市内で記者会見した。

 川端さんは「国は靖国を利用して人々を戦争に駆り立ててきた。私の戦後処理は合祀されている母と兄の名を、一刻も早く靖国から消し去ること」と語った。

 沖縄戦で日本軍に壕から追い出され、砲弾の犠牲になったという母親らが祀られている原告の崎原盛秀さん(74)は「母は日本軍に殺されたと思っているが、援護法では積極的に軍に協力したことにされている。これほどの侮辱は許されない」と語気を強めた。

 弁護団長の池宮城紀夫弁護士は「援護法によってねじ曲げられた沖縄戦の実相を取り戻すこともこの裁判の目的」と指摘。

 弁護団の丹羽雅雄弁護士は「沖縄戦の犠牲者を国に殉国死した英霊にすり替えているのが靖国神社と援護法。現在と未来にかかわる裁判だ」などと訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803201300_07.html

 

2008年3月21日(金) 朝刊 29面

県民は怒っている/大会へ高まる意欲

実行委員長に玉寄さん/幹事会、参加と寄付呼び掛け

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会(23日、北谷公園野球場前広場)の実行委員会幹事会が20日、那覇市の教育会館で開かれた。大会実行委員長に県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長が就任し、大会プログラムなどについて話し合った。23日当日は宮古島市や石垣市でも抗議集会が予定されており、大会に向けて関係者の意気込みが高まっている。

 実行委幹事会で、幹事の小渡ハル子・県婦人連合会長は「米兵による事件続発に県民はみんな怒っている。これ以上、ばかにされて我慢できますか」と、大会への参加を呼び掛けた。

 幹事会では、大会を予定通り二十三日午後二時から開催することを最終確認した。雨天決行で、雷雨や豪雨の場合は同広場近くの北谷ドームに会場を移す。

 大会は、女性団体や老人団体、学校関係団体などの代表が米軍・米兵による事件・事故の続発に対する抗議や意見などを述べる。

 本島中部の地域住民代表にも、基地被害の実態や不安を話してもらうほか、二〇〇二年に神奈川県内で、米海軍横須賀基地所属の米兵に暴行されたオーストラリア人女性にも、檀上から被害の深刻さを訴えてもらう予定。

 二十日までに、八十七団体から計約二百二十六万円の協賛金が集まったが、目標金額の四百万円には届いておらず、同実行委では引き続き団体や個人からの寄付を募っている。

 問い合わせは実行委事務局、電話098(867)0292。


     ◇     ◇     ◇     

抗議署名825人分/松島中PTA


 松島中学校PTA(金城喜美代会長)は米兵による暴行事件への抗議文と、父母や家族八百二十五人分の署名を在沖米総領事館に送付する。

 あて先はブッシュ米大統領、ケビン・メア在沖米総領事、リチャード・ジルマー在沖米四軍調整官。米総領事館に手渡しでの要請を依頼したが、断られたという。

 金城会長は「今回は政治的な基地返還ではなく、親としての立場から署名を呼び掛けた。事件が単なるニュースとして一過性のものにならないよう、家族の中で話し合うきっかけにしてほしい」と話した。


八重山・宮古でも開催


 【八重山・宮古】県民大会に合わせて八重山地区でも郡民大会が、二十三日午後二時から石垣市の新栄公園で開かれることになった。同地区の労働組合や平和団体などでつくる実行委員会が十九日夜、同市内で開かれ、日時や場所などを決めた。

 本底充連合沖縄八重山地域協議会議長が実行委員長に就いた。石垣、竹富、与那国の三市町長や昨年九月の「教科書検定撤回を求める八重山郡民大会」で実行委を構成した各団体に参加を呼び掛ける。

 大会のスローガンを「人権の保障と確立」「日米地位協定の抜本改正」「目に見える基地の整理・縮小」などと掲げ、抗議決議を採択する予定。

 一方、宮古島市でも二十三日午後二時から、市陸上競技場東駐車場で「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する宮古集会」が開かれる。伊志嶺亮市長も参加する。スローガンや決議文などは、県民大会と同じ。

 二十一日午後、市長や連合沖縄宮古地域協議会などが会見を開き、大会への参加を呼び掛ける。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803211300_01.html

 

2008年3月21日(金) 朝刊 28面

元少年兵が名乗り/県系米兵呼び掛けに安里さんら

 戦後すぐに米サンフランシスコ湾のエンジェル島捕虜収容所で出会った沖縄出身の少年兵と再会したいという県系二世の元米兵ピーター・オオタさんの呼び掛けを掲載した本紙報道に安里洋太郎さん(80)=北中城村=と安里祥徳さん(78)=同=の二人が名乗り出た。日系米国人の聞き取り調査を行っている非営利組織JAリビングレガシーの日本事務所代表郷崇倫さんが来県し、十九日、安里さんたちから話を聞いた。

 一九四五年当時、県立一中の四年生だった洋太郎さんは鉄血欽皇隊に、同二年生だった祥徳さんは通信隊に入隊。本島南部で別々に捕虜になり、屋嘉からハワイ、米本土へと送られた。安里さんたちは、同年八月から九月ごろまで滞在したという。オオタさんのことは覚えていなかったが、日系二世の兵士が数人いたことや収容所の様子などを語った。祥徳さんによると、エンジェル島には一中以外にも多くの学徒(少年兵)がいたが、連絡先などは分からない。

 オオタさんが気になっている、という帰国時の気持ちについて、祥徳さんは「戦争で何もないと考えていたから、(沖縄に)帰って生きるのは大変だろうと思った」と振り返った。洋太郎さんは「ハワイに送られる時から空っぽで何も感じなかった。沖縄に戻って親が生きているのが分かった時に『良かった』と感情が戻ってきた」と振り返った。

 郷さんは二十二日まで県内で調査する予定で元少年兵に関する情報を求めている。郷さんの携帯電話は090(6153)4158。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803211300_08.html

 

2008年3月21日(金) 夕刊 1面

知事、参加最終判断へ/県民大会

 仲井真弘多知事は二十一日午前、二十三日に開かれる米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会への参加について、副知事や知事公室長らを交えて協議したが、結論を持ち越した。同日午後に開かれる県議会軍事基地関係特別委員会に県婦人連合会などから提出されている超党派による大会開催を求める陳情の採択結果を踏まえ、同日夕方にも最終判断し、正式に表明する。

 仲井真知事はこれまで「(米兵事件の再発防止などを)アメリカに言う必要がある。大会の効果はそれなりにある」と開催意義を認める一方、「超党派的な形がとれれば参加しやすい」「いろいろな人の意見を聴いてみたい」と参加への判断を留保している。

 県議会最大会派の自民は「被害者感情への配慮」などを理由に組織的参加を見送る一方、公明党県本は参加を決めるなど、県議会与党内でも対応が割れている。


     ◇     ◇     ◇     

翁長那覇市長、参加へ


 翁長雄志那覇市長は二十三日に北谷町で開催される「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に参加する意向を固めた。仲井真弘多知事と協議し、二十一日午後にも正式に参加を決める。翁長市長は「仲井真知事の参加・不参加にかかわらず、よほどのことがない限り市長として参加するつもりでいる」としている。同日朝、沖縄タイムスの取材に答えた。

 また、翁長市長は「大会の開催の仕方には課題があると思うが、外部の人は参加人数に注目している。みんなが訴えたいことは同じ。参加しなかったために県民のパワーが軽んじられるようなことがあってはいけないと思っている」とし、参加の意義を強調。

 今回、超党派による大会参加が実現できなかった課題を指摘した上で、事件・事故の発生にかかわらず、今年八月ごろまでに日米地位協定に関する最大規模の県民大会開催が必要との考えを示した。


県民の思い受け止める

岸田沖縄相


 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十一日午前の閣議後会見で、二十三日に開かれる米兵事件に抗議する県民大会について「県民の事件に対する怒り、深い思いをしっかりと受け止めなければならないと思う」との認識を示した。政府の対応として「大会の状況を見守り、再発防止策の実施へ一丸となって努力しないといけない」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803211700_01.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 1面

知事、県民大会不参加を表明

被害者に配慮強調 仲里議長も見送り

 仲井真弘多知事は二十一日夜、二十三日に開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」への不参加を表明した。仲井真知事は「(大会開催の)契機となった事件の被害者やご家族をそっとしておいたらどうかという判断が第一」と被害者への配慮を強調した。

 また、自民党県連が組織的参加を見送ったことで、超党派の結集が実現しなかったことも理由の一つに挙げた。同日午後九時ごろ、県庁で報道陣に答えた。知事は県民大会開催について「問題、課題解決に必要で大事なこと」と意義を認めながらも、「(被害者を)そっとしてあげたいというのも大事なこと。二つとも同じ重みがあるが同時には成り立たない」と説明した。

 県民大会の位置付けについて「各界各層の多数の団体や超党派の参加が必要」との考えを示し、「これまでの県民大会とは異なる状況にあり、十分じゃないと総合的に判断した」と話した。

 「人権」や「日米地位協定の抜本改正」などの大会スローガンについては「私が申し上げてきたこととほとんど同じ内容」と賛同。特に地位協定は「四十八年もそのままで運用は米側に委ねられている。人権や環境について抜本的な追加、改正がどうしても必要」と重ねて表明した。

 その上で、「公約の大きな部分。私の切り口で、県民各界各層の力を得て、しっかりと改正に向け取り組んでいきたい。今後は、しぼむんじゃなくて、むしろ(改定の)意識、認識は拡大していく」と述べ、地位協定改定に全力を挙げる姿勢を強調した。

 県議会の仲里利信議長は同日、県民大会について「議長という公的立場やその影響を考慮し、参加を控えるべきだと判断した」と大会出席を見送る考えを明らかにした。


実行委は決議案固める


 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(二十三日、北谷町開催)の実行委員会事務局は二十一日、大会プログラムを最終調整し、日米両政府に日米地位協定の抜本改定や基地の整理・縮小、県民への人権侵害の根絶などを求める決議案をまとめた。開催地区代表として野国昌春北谷町長と東門美津子沖縄市長が登壇する予定。二十二日に正式決定する。

 二十一日現在、大会趣旨に賛同する九十四団体、三百三十三個人から協賛金が集まった。

 大会では、米兵犯罪と騒音、環境破壊などの基地被害に対し、女性団体や地域代表らがそれぞれの立場から抗議の意思を表明する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_01.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 31面

「私たちがやる」/県民大会 知事不参加

 「先頭に立ってほしかった」。二十一日、超党派を目指した「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に仲井真弘多知事が不参加を表明したことに、大会の実行委員と中部の首長らは落胆しつつも「予測していたこと。やるしかない」と気持ちを新たにした。県トップが参加しない県民大会となるが、「沖縄の痛み、怒りを伝える意義は大きい」との思いは変わらない。

 実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は、知事が夏にも訪米し地位協定改定を訴えることに触れ「県民大会の決議を受けて行かなければ、効果はない。政党の顔色ばかり見ているのではないか」と姿勢を疑問視。「ウチナーンチュとしての気持ちに共感して多くの市町村や団体が参加してくれる。知事が参加しなくても、沖縄の痛みと怒りを政府に伝える上で、大会は大いに意義がある」と強調した。

 当初から県民大会の動きを引っ張ってきた県婦人連合会の小渡ハル子会長は、記者発表前に仲井真知事本人から、電話で不参加の決断を聞いた。「残念で食事も、のどを通らない」と悔しさをにじませた。決断するまでの知事の立場を思いやるが、それでも「私たち県民が怒りの声を上げていかなければ、現状は何も変わらない。ぜひ成功させましょう」と気持ちを切り替え、力強く話した。

 開催地となる北谷町の野国昌春町長は「知事の不参加は予測はしていたが、残念だ。本来なら先頭に立ってほしかった。大会に向けて足並みがそろわない面もあるが、全市町村議会で事件への抗議決議があったことは事実。大方の県民が米軍の事件・事故へ怒りを持っているはずだ」と大会の成功を願った。東門美津子沖縄市長は「県のトップとして出てほしいという気持ちはあったが、残念だ。最終的に本人が判断したことだから」と語った。


13首長は参加 名護市長ら北部からも


 二十三日に北谷町で開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」について二十一日までに、県内十三市町村の首長が参加を決めた。本島北部では島袋吉和名護市長のほか、島袋義久大宜味村長、高良文雄本部町長、與那嶺幸人今帰仁村長が参加する。

 島袋市長は「名護市辺野古でも住居侵入事件などが起きたこともあり、市長として参加する」と話した。高良町長は「北部市町村会でも、事件に対して抗議決議をしている」と述べた。

 このほか、翁長雄志那覇市長、知念恒男うるま市長、東門美津子沖縄市長、伊波洋一宜野湾市長、野国昌春北谷町長、安田慶造読谷村長、新垣正祐西原町長、新垣清徳中城村長、新垣邦男北中城村長が参加の予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_02.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 2面

「負担軽減に影響」/米軍駐留経費 協定期限切れ懸念

 【東京】防衛省の豊田硬報道官は二十一日の定例会見で、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新特別協定案が国会承認を得られない可能性が出ていることについて「協定が発効できなければ、訓練移転の経費負担ができない」と述べ、現行協定が期限切れとなる四月以降、米軍嘉手納基地のF15戦闘機の訓練移転などが実施できないとの見通しを示した。

 同報道官は「地元の負担軽減の点で、将来的に影響が出てくる可能性もある」と指摘。「想定される問題について、米側とある程度話をしている」と述べ、協定の期限切れに伴う影響を米側にすでに伝達していることも明らかにした。新特別協定案は十八日に衆院で審議入り。衆院での承認は確実だが、野党が多数を占める参院では既に反対を表明している社民、共産両党に民主党が加われば不承認となる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_05.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 3面

ロシア軍機が沖縄周辺飛来

 【東京】防衛省統合幕僚監部は二十一日夜、ロシアのTU―142対潜哨戒機が同日の昼ごろ、北海道北側から太平洋を経由し、沖縄本島周辺までの往復飛行を確認したと発表した。

 統幕によると、同機は領空侵犯はしていないというが、領空が点在する伊豆諸島の間を通過し、沖縄本島の東側約二百キロの沖合まで飛行。航空自衛隊の戦闘機が対領空侵犯措置(スクランブル)で対応した。

 統幕は「ロシア機が沖縄周辺まで飛来するのは最近では聞いたことがない。特異な飛行だ」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_06.html

 

2008年3月22日(土) 朝刊 31面

警官に暴行 米兵逮捕 容疑で那覇署

 那覇署は二十一日、男性警察官二人に暴行したとして、公務執行妨害の疑いで、米軍キャンプ瑞慶覧所属の海兵隊三等軍曹、アーロン・サンサリック容疑者(26)を現行犯逮捕した。

 調べでは、サンサリック容疑者は同日午後六時四十五分ごろ、那覇市内の路上で、同署の巡査部長(45)と巡査長(28)に擦り傷を負わせた疑い。同署員は、同容疑者と別居中の妻から夫婦間のトラブルを相談され、現場に同行。妻につかみかかろうとした同容疑者を制止した際に押し倒された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221300_07.html

 

琉球新報 社説

海自不祥事処分 問題は片付いていない 2008年3月22日

 イージス艦衝突事故や護衛艦「しらね」の火災など海上自衛隊の一連の不祥事を受け、石破茂防衛相は21日、海自隊員を中心に関係者の処分を発表した。

 防衛省の事務方トップ増田好平事務次官を減給10分の1としたほか、海自を統括する吉川栄治海上幕僚長を減給にした上で更迭するといった内容である。処分対象は計88人(延べ94人)に上る。防衛相や防衛副大臣、防衛政務官は給与の一部を2―1カ月返納する。

 イージス艦の衝突事故をめぐっては、連絡態勢の不備、その後の対応の不手際など組織的に問題を抱えている実態を次々に露呈した。国の危機管理を預かる官庁とは思えない失態だった。防衛省に対する国民の信頼は地に落ちたと言っていい。処分は当然だ。

 ただし今回の処分は、一つのけじめにすぎない。事故原因の解明はまだ終わっていない。なぜ事故は起きたのか、核心部分の究明はこれからだ。原因を徹底的に突き止め、その反省の上に立ち二度と同じ過ちを繰り返さないよう万全の再発防止策を講じなければならない。今回の処分で「幕引き」を図ることは許されない。

 共同通信の全国世論調査では防衛相の責任問題について「事故処理や再発防止策を取りまとめた後で辞任するべきだ」との回答が約6割に上った。防衛相はいま何をなすべきかを明示するものだ。

 処分と併せて公表したイージス艦事故の中間報告は、全体の対応評価について「衝突前の見張り員や当直員の配置など、艦全体として見張りが適切でなかった」と総括。漁船との位置関係からイージス艦に回避義務があったと指摘した上で「回避措置も十分でなかった可能性が高い」とした。

 実力部隊としての危機管理意識を著しく欠き、往来の過密な海域を漫然と航行していた緊張感のなさがうかがえる。文民統制にもかかわる問題だけに深刻だ。

 隊員の士気、組織体制をどう立て直していくか。単にマニュアルを書き換えるだけでは信頼の回復は遠のくばかりだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-130354-storytopic-11.html

 

2008年3月22日(土) 夕刊 5面

大会成功へ 事務局熱気/全国からも支援続々

 大会まであと一日―。「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」(二十三日、北谷球場公園前広場)実行委員会事務局は二十二日午前、スタッフらが電話やファクスの対応に追われ、慌ただしさと熱気に包まれた。仲井真弘多県知事が二十一日夜に大会不参加を表明したばかりだが、関係者は落ち込むことなく大会成功に向け、懸命の準備作業を続けている。

 午前十時、那覇市内の事務局にスタッフ四人が集合。前日夜遅くまで議論した決議文の事務局案を最終確認した後、知事の不参加を受けたプログラムの見直し、参加団体や登壇者の確認作業に追われた。午後に開かれる最終確認の幹事会用に資料データを打ち込みながら打ち合わせ。黒板に追加日程を書き込むなど、ギリギリの調整を続けた。

 その間にも、電話やファクスはひっきりなし。固定電話だけでは足りず、それぞれの携帯電話もフル活用し、関係者とのやりとりやマスコミ対応をこなした。

 開催が正式決定してからわずか二週間の「短期決戦」。スタッフの一人は「準備にあと一カ月ほしいくらいだったが、ようやくめどが立った。参加団体や住民からの反応がすごいので、うれしい。後は頑張るだけ」と声を弾ませた。

 事務局の机には、県外からの応援メッセージが。「県民大会は平和で公正な世界の創造に向けて大変意義深い。共に行動しましょう」(全国地域婦人団体連絡協議会)「沖縄はじめ全国の仲間と連帯して運動していく決意です」(福岡県労働組合連合)。そのほか東京都世田谷区や山形県の住民団体からも、米兵犯罪に抗議し、県民大会に賛同するファクスが届いている。

 事務局の国吉司さんは「個人で手紙や寄付を持ってきてくれる人もいる。とても心強い。何としても大会を成功させたい」と笑顔を見せた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221700_02.html

 

2008年3月22日(土) 夕刊 5面

米ヘリ?提供施設外訓練/名護市安部

 【名護】米軍普天間飛行場の移設先、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に近い米軍提供施設外の安部オール島で二十日午後三時すぎ、米軍機とみられるヘリが離着陸訓練を少なくとも二回行っていたことが二十二日、分かった。米軍の運用の在り方があらためて問われそうだ。

 機体の型からCH46中型ヘリとみられる。目撃した男性(33)によると、キャンプ・シュワブ方向から大浦湾上空に飛行、安部オール島の南東側に降下。いったん、シュワブ方向に戻ったが、十分から二十分後に再び同島上空に現れ、着陸した。同島は民間地域で米軍提供施設外。

 目撃した男性は、大浦湾洋上で、普天間飛行場の移設に反対する抗議活動を行っていた。男性は「機体のトラブルなど緊急性があるようには見えなかった。普天間飛行場が移設されれば、こうした事は日常的に起こる」と訴えた。

 名護市の玉城政光政策推進部長は「週明けに、沖縄防衛局や米軍に、事実関係を確認したい」と話している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803221700_03.html

陸自参加、ハンセン共同使用訓練 普天間代替、アセス調査本格着手 名護・宜野座に交付金など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(3月16日、17日、18日)

2008年3月16日(日) 朝刊 27面

検定問題 劇で再現/横浜の教員

 【横浜】教科書検定制度の問題点を訴えようと、東京と横浜に住む高校教員や主婦らが十五日、横浜市内で公演し、文部科学省と教科書会社とのやりとりなどを寸劇で再現した。

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍強制の記述を高校歴史教科書から削除した二〇〇六年十二月の文科省から教科書会社への検定意見通達や、教科書裁判の尋問など、文科省の役人、執筆者らの当時の様子を描いた。三人の解説員が問題の背景を補足。「誰も抗議しなかったら、検定の再審議もなかった。おかしいことをおかしいと言う大切さが目に見える形になった」と訴えた。

 家永教科書訴訟などを支援してきた市民らでつくる「教科書・市民フォーラム」が主催。脚本を書いた浜名早苗さん(48)は「誰にも知られず一方的な力関係で内容が決まる矛盾を伝えたかった。今後も劇を続け、検定制度の存在の是非を問いたい」と意義を語った。

 寸劇後には琉球大学の高嶋伸欣教授が講演、「今秋にも再訂正申請する執筆者らの意思表示があり、支援体制が必要」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803161300_03.html

 

2008年3月16日(日) 朝刊 26面

「孤児院で子の世話」/沖縄戦当時の従軍慰安婦

 韓国のナヌムの家・日本軍「慰安婦」歴史館の研究員らが県内の慰安所跡や「従軍慰安婦」にされた女性たち、朝鮮人軍夫についての聞き取り調査を始めている。同館のリニューアルに向け、沖縄戦当時の慰安婦の状況や新たな証言をまとめ、展示する予定だ。同館の村山一兵研究員は「沖縄戦中の慰安婦の状況について詳しくまとめ、六月ごろから展示したい」と準備を進めている。

 調査は十四日から十七日までの四日間。初日は一九四五年ごろ、羽地村(当時)の田井等孤児院で過ごした座覇律子さん(75)=本部町=と、沖縄戦中に朝鮮人軍夫が働く港近くに住んでいた友利哲夫さん(75)=名護市=が証言した。

 当時十三歳だった座覇さんは孤児院で元慰安婦だった女性らに育てられた状況を説明。「ササキのおばさん」と呼ばれていた元慰安婦について「日本語は分からないが、子どもたちの洗濯や世話をしてくれた。美人で、とても優しかった」と振り返った。

 孤児院近くにあった野戦病院でも元慰安婦の女性が看護師として働いていた。座覇さんは、孤児院を出た後に周りから女性らが慰安婦だったことを聞かされたといい、「慰安婦と言われてもまだ幼かったので、女性たちが何をされていたのかも分からなかった」と語った。戦後、女性らが帰国する記事を見て、「当時は無事に帰国するんだと思ったが、女性が大変なことをされたことを後で知った。今、当時を振り返ると帰国後どんな気持ちで暮らしているのかと思うと胸が苦しい」。

 ナヌムの家には現在、慰安婦にされた女性七人が生活している。同館には、渡嘉敷島で慰安婦として働かされたぺ・ポンギさんの生涯が展示されている。


従軍慰安婦の歴史継承訴え/平和会、街頭で寸劇


 平和運動に取り組む県内の大学生などでつくる「平和(ぴょんふぁ)会」メンバー約三十人は十五日、那覇市の国際通り周辺で、歴史教科書から削除された従軍慰安婦問題の継承を訴える寸劇や歌を披露した。

 「もうやめよう、慰安婦問題と性暴力」のメッセージや亡くなった慰安婦の写真などを掲げ、「日本軍に強制連行された被害者は戦後ずっと苦しんできて、今でも誤解や差別を受けている」と訴えた。歴史継承の思いを込めた「継いでゆくもの」を合唱。従軍慰安婦として連行された朝鮮人の女性が、周囲の人から差別される様子を表現した寸劇が演じられた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803161300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月16日朝刊)

[アセス調査着手]

方法書にはまだ疑問点が

 防衛省は、米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)方法書を再修正し県に提出した。

 方法書作成の手続きを終えたことで、沖縄防衛局はさっそく建設予定地でのアセス調査を開始、移設に向けた作業はさらに一歩進んだ。だが、方法書には問題が多く、アセス法の趣旨にかなっているとは言い難い。

 最初に県に送付された方法書はわずか七ページである。県環境影響評価審査会の審査に付せる中身でなかったのはいうまでもない。同審査会などの反発を受け、二〇〇七年八月に出てきたのが三百一ページの方法書だ。

 これも内容に不備があり約百五十ページの追加説明書を提出。さらに追加修正を加えたのが三百九十五ページの方法書である。この経緯をみただけでも、島津康男前環境アセスメント学会長の「わが国のアセス史上最悪の事例」という指摘はうなずけるのではないか。

 肝心要の航空機騒音予測結果も方法書にではなく別資料に記されている。「方法書の趣旨を完全に逸脱している」(島津氏)という批判に防衛省はどう応えるのだろうか。

 アセスを行う以上、正確な建設場所や工事内容、航空機の機種、飛行回数、飛行ルートなどすべて明らかにすべきであったはずだ。それを「現時点で飛行経路を特定するのは困難」というのでは、住民は納得できない。

 米軍の飛行場ということで情報が得られないのなら、事業の熟度に問題があると同時に方法書の要件を最初から満たしていなかったことになる。

 防衛省は米軍が「訓練の形態等」を明らかにした場合は必要な調査をするというが、明らかにしなかった時はどうするのか。その点についても住民が納得できる説明が必要だろう。

 県が求めたジュゴン調査の複数年実施を確約しなかったのも気になる。

 ジュゴンは国の天然記念物だ。環境省から絶滅の危険性が最も高い「絶滅危惧1A類」に指定されている。サンフランシスコ連邦地裁もまた、ジュゴンに関する環境影響評価文書の提出を求める判決を下しているからだ。

 防衛省は十五日から県の許認可を必要としない気温、風向などの気象調査と飛来塩分量の測定に入った。十七日には県や名護市にサンゴ採取なども申請するという。

 アセスに約一年かけて準備書を作成。県民の意見を募って評価書の策定作業に入るが、方法書のやり直しを求める声は根強い。環境に大きな負荷を掛ける計画だけに、アセスには慎重の上にも慎重を期す。それが国の責任だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080316.html#no_1

 

琉球新報 社説

アセス開始 見切り発車は認められない 2008年3月16日

 さまざまな疑問点を残したままでは、見切り発車との批判は免れまい。米軍普天間飛行場代替施設建設に関し、沖縄防衛局は15日、辺野古近海でのアセス調査に着手した。

 環境影響評価(アセスメント)方法書の書き直しの県意見を受けて、再修正を加えた方法書確定版を防衛局が県に提出したことを受けてのものだ。確定版とはいうが、これまで指摘された疑問などについて明確に答える内容にはなっていない。2014年の建設完工に向けて、とにもかくにも手続きを進めたい、という国のなりふり構わぬ姿勢ばかりが目立つ。

 確定版では、県が繰り返し求めてきたジュゴン調査の複数年実施やヘリなどの飛行経路、訓練形態など、最後まで明らかにしていない。普天間基地の移設は危険の除去という大義名分がある。が、この間の国の対応を見ると、こうした県民の不安や要望にどれだけ応えたのか。さらに、違法との指摘の強い事前調査(環境現況調査)をはじめとして、事業の進め方そのものも、当初から県民にとって納得のいかないものだ。

 07年には県に対し、方法書を強行に送付したかと思えば、事前調査に海自の掃海母艦「ぶんご」を投入。県民の大きな反発を呼んだ。方法書についても事業の実施に影響するような重要な事実を後から後から出してくる。護岸や弾薬搭載エリア、洗機場建設などなど。まるで「後出しジャンケン」だ。加えて、オスプレイ配備や民間上空の飛行は、国はいまだに認めようとはしない。

 一事が万事。情報は可能な限り住民には隠し、施策を思い通りに進めようとする、典型的な事なかれ主義と言える。むしろ、情報を事前に公開し、地域住民の理解を得ようとする米側に比べても日本政府の態度はお粗末。「よらしむべし、知らしむべからず」。官僚のあしき体質を、これでもか、という具合に見せつけてくれた。

 方法書の書き直しが2回。知事意見については3回。どう見ても異常な行政手続きではないか。環境保全を最大の目的とする環境影響評価法の精神を、これほど踏みにじる例もあるまい。単に、アリバイづくりでアセスを実施していると言われても仕方がない。

 住民と混在する危険な普天間飛行場をそのままにはしておけない。一刻も早く撤去すべきというのは県民の総意だろう。ただ、代替施設の県内移設は認められないというのが私たちの立場だ。オスプレイ配備や民間上空の飛行などを考えても、新基地建設で危険が取り除かれるとは思えない。「危険のたらい回し」でしかない。

 この際、危険の除去という原点に立ち返り、日米両政府とも県外移設を真剣に再検討すべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32210-storytopic-11.html

 

2008年3月17日(月) 朝刊 2面

陸自参加 きょう/ハンセン共同使用

 在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が十七日、始まる。在沖米軍専用施設の日米共同使用は初めて。第一混成団第一混成群(鈴来洋志群長)から一個中隊基幹約百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施する。十八日まで。

 陸自によると、八九式小銃や機関銃を装備するが、今回は空砲を含め、射撃訓練や爆破訓練は実施しない、と説明している。

 二〇〇八年度以降は、小火器(小銃、機関銃、拳銃)を使用した射撃や不発弾処理訓練を予定。将来的に迫撃砲の実弾射撃やヘリコプターを使用した救難訓練も想定。在沖米海兵隊との共同訓練も視野に入れている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171300_03.html

 

2008年3月17日(月) 朝刊 23面

「真実伝えて」高1切実/「集団自決」大阪で座談会

 【大阪で西江昭吾】中学の授業で沖縄戦を学んだ大阪府内の高校一年生らが恩師とともに集まり、「集団自決(強制集団死)」をめぐり問題となった教科書検定や米兵暴行事件などについて語り合う座談会が十六日、吹田市の公民館であった。四月から日本史の新教科書を使うことになる生徒らは「極限状態で起きた事実をなかったとしてはいけない」と胸の内を語った。

 「授業で使う教科書が沖縄戦についてあいまいだと、習う側が分からなくなる」と指摘したのは柿ケ原さん。薮下愛さんも「周りは地上戦があったことは知っているけど、実態までは知らない。発表の機会があれば習ったことを伝えたい」と思いを語った。末也 依然後を絶たない米兵の事件・事故について三宅充啓君は、沖縄と本土も憤りの温度差があるとし、「なかなかできない意識の改革には日本の法律を守らせるよう日米地位協定を変えてほしい」と話した。

 二十八日の判決が迫った「集団自決」訴訟について、玉置晋太郎君は「軍の命令はなかった、と言う人もいるが、手榴弾を渡された事実があり(証言の根拠としても)強いのではと思う」と感想。中島拓哉君は「悲惨な出来事を今後もあやふやに伝えたくない」と決意を述べた。

 生徒らは二〇〇六年四月から一年間、同市内の西山田中学で平井美津子教諭らから指導を受けた。修学旅行の時、事前に沖縄の歴史を十六時間学習。県内でも壕や基地を巡った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月17日朝刊)

[陸自の共同使用]

雲散霧消する「負担軽減」

 陸上自衛隊第一混成団(那覇)が十七日から二日間、米海兵隊のキャンプ・ハンセン演習場で訓練を実施する。

 研修という名の部隊間交流は県内でも過去に何度も行われているが、沖縄の陸上自衛隊が県内の米軍演習場で正式に訓練をするのは初めてである。

 参加するのは第一混成団第一混成群の隊員約百五十人。約二十メートルの訓練塔を利用したロープ降下訓練や野営訓練などが予定されている。実弾は使用しないという。

 訓練の内容は、陸上自衛隊が日常的に実施している小規模なもので、特にどうということはない。だが、二〇〇六年五月に合意された在日米軍再編計画に基づく今回の訓練は、米軍再編の性格を雄弁に物語るもので、政治的な意味は大きい。

 「日米防衛協力のための指針」(旧ガイドライン)がまとまったのは一九七八年十一月。ガイドライン策定を機に日米共同訓練が活発化した。同時期の七八年十月に沖縄を訪問した永野茂門陸上幕僚長は、第一混成団の隊員を前に「米軍の演習場を共同使用することが望ましい」と語っている。

 あれからちょうど三十年。第一混成団にとって、創隊以来の悲願がようやく実現することになる。住民の根強い反自衛隊感情を考慮して隠忍自重してきた自衛隊からすれば、今回の訓練はエポック・メーキングな出来事なのである。

 だが、住民側から見た場合、自衛隊の共同使用は、負担軽減に逆行する動きと言うほかない。

 将来的には機関銃、対戦車用火器、迫撃砲などを使った実弾射撃訓練が予想される。さらに次の段階として想定されるのは在沖米海兵隊との共同訓練だ。現時点で計画がないからといって将来も実施しないという保障はない。

 第一混成団はこれまで、迫撃砲などの実弾射撃訓練や大掛かりな演習は、九州の大矢野原、日出生台などの演習場を利用してきた。その基調はすぐには変わらないだろうが、ハンセンでできるものはハンセンで、という内部圧力は間違いなく高まってくるはずだ。

 地元の金武町、宜野座村、恩納村は、米軍再編交付金と引き換えに自衛隊の共同使用を受け入れた。苦渋の選択には違いない。だが、米軍再編の目的の一つが沖縄の負担軽減であったことを忘れるわけにはいかない。

 在日米軍再編計画に基づいて本土への訓練移転が行われている嘉手納基地でも、負担軽減の側面が後景に追いやられ、逆の現象が目立つ。この計画、やはり無理があると言わざるを得ない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080317.html#no_1

 

琉球新報 社説

防衛省「裏金」 不正の温床を断ち切れ 2008年3月17日

 税金は、国民が血の出るような苦心をして納める重さから「血税」といわれる。その血税を、官僚らが「裏金」化して私的に流用していたとしたら、大問題である。疑惑が指摘された時点で実態解明に努め、早期に公表するのは当然であろう。

 ところが、この当然のことを、指摘された省庁が事実上放置していたという。国会で大臣が「調査中」と答弁しているにもかかわらずだ。あきれて言葉もないが、なぜ放置したのか、納税者が納得する説明を求めたい。

 問題の省庁は防衛省である。同省は前事務次官の逮捕やイージス艦衝突事故など不祥事続きで、またかの感もあるが、疑惑をうやむやにされては困る。

 今回は、情報収集を主な目的とする報償費の多くを架空の領収書で裏金化したという疑惑である。OBらの名前を使って協力者から情報提供を受けたと見せ掛け、架空の領収書を大量に作成。報償費は表向きの収支上、ほぼ使い切った形とし、裏金に変える。実に手の込んだ仕組みだ。

 2007年度予算の場合、防衛省分の報償費は約1億6000万円だが、ひねり出したプール金の総額は少なくとも数千万円に上るとされる。国会では、こうした幹部らの裁量で使えるような不正経理を組織ぐるみで長年続けていた疑惑が指摘された。

 これに対し、石破茂防衛相は調査中と繰り返し、時期を明示せず「中間報告」を検討する意向を表明した。にもかかわらず、省内では裏金の具体額の報告を求めないなど内部調査を事実上放置していたことが分かった。

 疑惑を払いたいなら、調査に及び腰になることはあるまい。それとも裏金が広範囲にわたり、調べれば収拾がつかなくなるということなのだろうか。どちらにしろ、問題発覚から4カ月が経過している。放置は許されないし、防衛トップの責任が問われよう。

 事態を重く見て、会計検査院が領収書や帳簿などの調査に乗り出すという。実態を明らかにし、不正の温床があるのなら、断ち切ってもらいたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32237-storytopic-11.html

 

2008年3月17日(月) 夕刊 1面

アセス調査本格着手/普天間代替

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局は十七日、環境影響評価(アセスメント)調査のうち、海域で海藻草類やサンゴ類の生息状況などを調べる準備に入った。午前八時ごろ、名護市の汀間漁港に調査船など約十隻が確認された。しかし、周辺海域でジュゴンが遊泳しているとの情報があり、午後一時現在、出港していない。沖縄防衛局は方法書を提出する前の昨年五月、事前の海域調査を行っていたが、本格的なアセス調査に着手する。

 沖縄防衛局は、辺野古ダムの水質調査などを行うため同日、名護市に許認可を申請した。県に対しても、サンゴ類や海藻草類、ウミガメの卵の殻など採取に必要な項目など計九項目について許認可申請を行う。

 島袋吉和名護市長は同日午前、「市民の意見を聞きながら適切に対処したい」と述べた。県や名護市は随時、許可を出す予定だ。

 海域調査については、汀間漁港で同局がチャーターした漁船などに機材を搬入する様子が確認された。だが、名護市安部オール島周辺でジュゴンの遊泳が確認されたという情報がある。防衛局は調査船の出港を控え、ヘリコプターを飛ばして目視調査を行っている。

 沖縄防衛局は十四日、アセス方法書の追加修正資料の修正版を県に提出して、方法書を確定した。十五日から県の許認可などを必要としない調査に着手し、風向きや風速、気温、湿度などを計測する大気質にかかる気象調査や、沿岸部で海からの塩分の飛来量を測定する調査を開始していた。


     ◇     ◇     ◇     

ジュゴン調査止める/反対派「自ら訴え」


 【名護】「ジュゴンも、基地を造るなと訴えている」。米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設のための環境影響評価(アセスメント)調査に向かう沖縄防衛局の調査船は十七日午後一時現在、出港を見合わせている。同市の安部オール島周辺海域でジュゴンの遊泳情報があったため、配慮したもの。

 同日午前八時、名護市汀間漁港でシュワブ周辺海域の海藻草類やサンゴ類などの生息状況調査のための調査船への調査機材の積み込み作業などが開始されたが「ジュゴン情報」で、作業員らは同港で待機を続けている。

 市民団体のメンバーらも船二隻とゴムボート三隻で阻止行動を行うため待機している。

 辺野古で座り込みをしているヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は「ジュゴンが自分の生息環境を壊すなと訴えている」と話した上で「海を埋め立てて、基地を造ること自体が時代に逆行している。米兵絡みの事件・事故も、基地がある限りなくならない」と訴えた。

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は「追加・修正を繰り返した違法なアセスは容認できない。事前調査と組み合わせることも許されない」として、アセスの即時中止と方法書の見直しを求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171700_01.html

 

2008年3月17日(月) 夕刊 1・5面

ハンセン陸自共同使用を開始

 在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が、十七日正午ごろ始まった。

 陸自が在沖米軍専用施設で単独訓練を行うのは初めて。

 金武町のキャンプ・ハンセン第三ゲートでは同日午前七時半ごろから、第一混成団第一混成群のトラックやジープなど約三十台が施設内に入ったとみられる。

 訓練には第一混成群(鈴来洋志群長)から一個中隊約百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施した。89式小銃や機関銃を装備しているが、今回は空砲を含め、射撃、爆破訓練は行わない方針だという。


     ◇     ◇     ◇     

基地強化に抗議/ハンセン前で労組集会


 【金武】十七日に始まった陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による米軍キャンプ・ハンセンの共同使用に対し、沖縄平和運動センター、北部地区労などは同日午前、キャンプ・ハンセンのゲート前で、抗議集会を開いた。集まった約二十五人が、共同使用を止めるよう求めた。

 同センターの山城博治事務局長は「自衛隊が県民の前に堂々と現れ、米軍と共同訓練を行う。さらなる基地の強化になり、恐怖を覚える」と怒りの声を上げた。

 同地区労の仲里正弘議長は「きのうも沖縄市で外国人によるものとみられる強盗事件が起きた。米兵の中には、イラク戦争で精神が荒廃した者も多く、沖縄での相次ぐ事件・事故と無縁ではない。そういう状況での共同訓練。断固反対する」と訴えた。

 参加者たちは「共同訓練をやめろ」と、シュプレヒコールを上げた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171700_02.html

 

2008年3月17日(月) 夕刊 5面

地位協定改定で決議へ/あす那覇市議会

 那覇市議会は十八日の市議会二月定例会の最終本会議で、相次ぐ米兵事件に抗議する意見書を可決する。米軍基地の整理・縮小のほか、日米地位協定の具体的な中身にまで踏み込み、抜本的な改定の早期実現を求める。

 日米地位協定の施設・区域に関する措置や環境保全、施設返還、裁判権などに関する条文を列挙し、明記すべき具体的な文言の改正を求めている。

 施設・区域に関する措置では「合衆国軍隊は施設および区域が所在する地方公共団体に対し、事前通知後の施設および区域への立ち入りを含め、公務を遂行する上で必要かつ適切なあらゆる援助を与えること。ただし、緊急の場合は、事前通知なしに即座の立ち入りを可能にする旨を明記すること」としている。

 意見書では「度重なる事件・事故等の発生は、米軍関係者優先の日米地位協定にも起因するものであることは言うまでもない」と指摘。(1)実効ある米軍基地の整理・縮小(2)海兵隊を含む米軍兵力の大幅な削減―に加え、「日本の主権と国民の基本的人権に制限を加える不平等な『日米地位協定』の抜本的改定を求める」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803171700_04.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 1面

名護・宜野座に交付金/再編への「協力」評価

2年分総額14億円

 【東京】政府は十七日、在日米軍再編への協力の見返りに自治体に支払う再編交付金を、米軍普天間飛行場移設先の名護市、宜野座村へ交付する方針を固めた。島袋吉和名護市長が十二日の市議会で代替施設建設計画について「(移設に関する)協議会での議論の結果に基づき適切に対応していきたい」と米軍再編への「理解」を表明。移設に向けた環境影響評価(アセスメント)でも沖縄防衛局のアセス調査を許可し、「協力姿勢」を示す見通しとなったことで、交付要件を満たすと判断した。

 再編交付金を規定する「米軍再編推進法」は、交付要件に、米軍再編への「理解と協力」を求めている。

 これまで他の北部自治体とともに「島袋市長を支援する」と歩調を合わせてきた宜野座村も、名護市が「理解と協力」の姿勢を示したことで、自動的に「協力自治体」とみなされた。

 防衛省は近く、財務省と本格的な事務調整に入る。石破茂防衛相が月内に、名護市、宜野座村を再編交付金の交付対象となる「再編関連特定市町村」に指定し、官報で告示する予定だ。

 「米軍再編推進法」は再編の進ちょく率を(1)交付自治体に指定(10%)(2)アセス調査着手(25%)(3)工事着工(66・7%)(4)再編実施(100%)―の四段階に分類。

 進ちょく率の四段階目に相当する代替施設完成で支払われる再編交付金の上限額(100%分)は単年度で約四十億円に上る見込み。名護市と宜野座村の配分率は代替施設が占める面積などで案分されるが、おおむね五対一となる見込み。

 米軍再編推進法の施行年度である本年度の分は、再編交付金の交付対象となる「防衛施設」を指定した十月末時点の進ちょくで交付額を決定するため、上限額の10%分に相当する約四億円が支払われる見込み。

 ただ、本年度内の予算措置は補正予算成立後で困難であるため、二〇〇七年度分は〇八年度に繰り越す見通し。〇八年度以降は基準日が法律上四月一日とされるため、アセス調査の開始を受け十億円が支払われ、〇七年度分を合わせ総額十四億円になる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_01.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 2面

普天間代替 海域調査見送る/ジュゴン確認で

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局は十七日、環境影響評価(アセスメント)調査のうち、海域で予定していた海藻草類等の海域調査を見送った。周辺海域でジュゴンを確認したためで、同報道室は「(個体に)配慮し、念のため実施を見合わせた」と述べた。十八日以降に調査に入る見通し。

 十七日はヘリコプターで上空からジュゴンの目視調査を行って対応した。沖縄防衛局は十四日に確定したアセス方法書で「ジュゴンが確認された場合は速やかに作業を一時中断するなど適切に対応する」と定めていた。

 また同局は十七日、アセス調査のうち、県や名護市の許認可が必要な九項目について、八項目の許認可を申請した。サンゴ類や海藻草類、ウミガメの卵の殻の採取については県水産課に申請した。

 県に求める河川での水質調査の項目については調整中で、まだ申請していない。県や名護市は随時、項目ごとに許可を出す予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_02.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 1面

ハンセン内陸自が訓練

 在日米軍再編に伴う陸上自衛隊第一混成団(那覇市)による金武町の米軍キャンプ・ハンセン共同使用で十七日午後、初めて在沖米軍専用施設で単独訓練を行う陸自の様子が上空から確認できた。

 山すそに建てられたコンクリート製のタワーで整列する隊員の姿や陸自車両があった。ロープ降下訓練を実施したとみられる。近くには射撃場や造成中の施設が数カ所あった。一個中隊約百五十人が参加する訓練は十八日も行われる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_03.html

 

2008年3月18日(火) 朝刊 29面

5市町村に実行委/県民大会

 北谷町で二十三日に開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に向け、沖縄市と北谷町、与那原町、読谷村、大宜味村で十七日までに、市町村実行委員会が立ち上がった。各実行委は、構成団体を通して住民らに大会参加を呼び掛ける。

 北谷町の実行委には子ども会育成連絡協議会、女性連合会など九団体が加わった。実行委員長の野国昌春町長は「短期間の取り組みだが、周知徹底も含め協力をお願いしたい」と述べた。

 読谷村の実行委は、村議会や村PTA連合会など二十三団体で構成。実行委員長の安田慶造村長は「県民の怒りを対外的に示す必要がある」と訴えた。

 沖縄市実行委は、東門美津子市長、大宜味村実行委は島袋義久村長をそれぞれ実行委員長に選出した。

 与那原町の実行委は町民有志約三十人で組織する「町民が主人公の与那原をつくる会」を中心に活動。十四日の初会合で、共同代表に津多則光氏と根川清義氏が就任した。


知事参加を要請 実行委


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の実行委員会幹事会の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会長らは十七日午後、県庁に上原昭知事公室長を訪ね、仲井真弘多知事の大会出席を要請した。

 玉寄会長は「(大会内容は)県議会の抗議決議の範囲内だ」とし、知事の出席を求めた。上原公室長は「知事は、いろいろな人の意見を聴いて判断したいとしている。要請は知事に伝えたい」と答えた。

 玉寄会長らは、県議会の仲里利信議長や同議会自民会派にも出席を要請した。

 日本共産党県委員会(赤嶺政賢委員長)の村山純委員長代理と、前田政明県議も同様に要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181300_04.html

 

2008年3月18日(火) 夕刊 1面

普天間代替 アセス海域調査開始

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、沖縄防衛局は十八日午前、海藻草類やサンゴ類の生息状況などの調査に着手し、初めて海域での環境影響評価(アセス)の作業に入った。当初は十七日からの予定だったが、周辺海域でジュゴンを確認したため見合わせていた。

 汀間漁港で調査機材を積み込んだ調査船など約十隻は、八時半ごろから北側の嘉陽海域へ向かった。波はやや高かったが、リーフ内を中心にボートで調査員をえい航して海面から調査するマンタ法による生息調査のほか、ダイバーが水中に潜って写真撮影し、ボードに記録している様子などが確認された。

 一方、市民団体メンバーらは、阻止活動のため船二隻とゴムボート二隻を出した。しかし、海域の状況が悪いため、辺野古沖海上で警戒活動を続け、嘉陽沖までは船を出しておらず、午前中は調査船との衝突は確認されていない。

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は「防衛局は何度もジュゴンの生態を無視した調査を行っていたのに、報道陣が多い時に環境への配慮をアピールした印象だ。辺野古海域での調査阻止を重点に、新基地建設計画を阻止する」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181700_01.html

 

2008年3月18日(火) 夕刊 4面

地位協定改定 12項目求める/那覇市議会

 那覇市議会(安慶田光男議長)は十八日午前の二月定例会最終本会議で相次ぐ米兵事件に抗議し、基地の整理・縮小、日米地位協定の抜本的な改定の早期実現に関する意見書案を、全会一致で可決した。

 地位協定の条文関係など12項目を列挙し、それぞれ明記すべき具体的内容を盛り込んだ。

 意見書は「暴行事件発生後も米兵による事件が相次ぎ、米軍と日本政府の再発防止や綱紀粛正、日米地位協定の運用改善による対応は十分ではなく、県民の怒りは限界まで達している」と指摘。

 地位協定改定のほか、(1)実効ある米軍基地の整理・縮小(2)海兵隊を含む米軍兵力の大幅な削減―を求めた。

 あて先は衆参両院議長、首相、法務・外務・防衛・環境・沖縄および北方対策担当大臣。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803181700_04.html

野党3党、地位協定改定案提出へ 普天間代替アセス書確定 自民、米兵事件・県民大会不参加を確認など  沖縄タイムス関連記事(3月13日、14日、15日)

2008年3月13日(木) 朝刊 1面

米軍即応訓練 今年最高104・5デシベル

70以上も最多138回

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に伴い、嘉手納町屋良で十二日午後、ことし最高値となる一〇四・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音も同日午後五時までに、百三十八回発生。一日当たりの発生回数としては今月最多となった。同訓練には米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機も参加しており、即応訓練と外来機の爆音被害が周辺住民の生活を脅かしている実態が浮き彫りになった。同問題で、嘉手納町議会は十三日午後、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、対応を協議する。

 田仲委員長は「(十二日は)児童たちが耳を押さえながら登下校していた。外来機による騒音被害は今後も増加が懸念される。訓練の中止と外来機が嘉手納基地を使用しないよう、強く求めていきたい」と話した。

 即応訓練にはF16のほか、同基地所属のF15戦闘機が参加。十二日は午前七時半ごろから、激しい騒音を響かせながら、相次いで飛行訓練を実施した。住宅街に近い北側滑走路を使用して離陸する機体もあった。

 同日は即応訓練の参加機ではない、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機やFA18戦闘攻撃機も同基地を使用している様子が確認された。

 嘉手納町が基地北側滑走路から約四百メートル離れた屋良地区に設置している騒音測定器によると、最高値の一〇四・五デシベルは同日午後一時三十五分に計測。戦闘機の離陸に伴って生じたとみられる九〇デシベル(騒々しい工場内に相当)以上の騒音発生回数も、ことし二番目に多い四十一回あった。

 嘉手納町の担当者は、十二日の嘉手納基地の状況について「F15やF16、FA18など騒音の激しい戦闘機が一挙に基地を使用している状況はこれまで、ほとんどなく、異常な状態。周辺住民に激しい騒音負担を強いている」としている。

 嘉手納基地報道部によると、即応訓練は十四日まで。F16は終了後も同基地に約一週間とどまり、同基地所属のF15と空対空訓練を行うとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_01.html

 

2008年3月13日(木) 朝刊 1面

野党3党 地位協定改定案 提出へ

 【東京】民主党は十二日の「次の内閣」閣議で、米兵暴行事件を受けて国民新党と共同作成した(1)米軍関係者への外国人登録を義務付ける(2)日本側の身柄引き渡し要請に米軍が「同意」する―などを柱とする「日米地位協定改定案」を正式に了承した。民主、国民新と独自に改定案を策定している社民党の三党は政府への共同提案を目指し、十三日から本格的な事務調整に入る。

 民主党の直嶋正行政調会長は十二日の定例会見で、「社民党とこれからすり合わせをして、最終的に三党でまとめたい」と意欲を示した。

 ただ、民主、国民新の案が返還基地の原状回復費用を「米国が負担する」としているのに対し、社民案は「日本政府が義務を負う」と規定。

 基地外居住に関しても社民案は「住民基本台帳法の趣旨に基づく必要事項を日本当局に通報する義務」まで求めていることなど、両案で異なる点が多く、今後の調整が注目される。

 地位協定をめぐっては野党が多数を占める参院を中心に、改定を求める国会決議の可決に向けた水面下の調整も進んでおり、改定に向けた国会の動きが活発化している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_02.html

 

2008年3月13日(木) 朝刊 2面

リゾート施設 中核に/普天間跡利用

計画たたき台提示

 米軍普天間飛行場の返還後のまちづくりを学識経験者や経済・市民団体、地権者などが協議する「普天間飛行場跡地利用計画策定審議委員会」の初会合が十二日、那覇市内のホテルで開かれた。

 県と宜野湾市が、跡地利用計画を具体化するための議論のたたき台(キックオフ・リポート)を初めて提示。観光リゾート産業や研究機関などの中核施設誘致に加え、省エネ住宅やエコ博物館などを整備する環境拠点機能など幅広い構想を盛り込んだ。

 これに対し、委員からは「盛りだくさんだが、何か面白くない。県の(従来の)都市計画を離れていない」「市民や県民の意見を聴くべきだ」などの意見が出た。

 県は今後、同リポートをホームページなどで公表。委員や県民の意見を踏まえて内容を修正した上で、跡地利用計画の方針づくりに着手する。本年度から文献や資料調査を始めている(1)振興拠点(2)住宅地(3)都市拠点(4)環境・公園―の四分野は、二〇〇八年度の方針設定を目指す。

 これに交通や文化財など四分野を加えた合計八分野の方針を取りまとめた後に、具体的な跡地利用計画の策定に入る。県基地対策課は「普天間飛行場が返還される三―四年前には計画を策定したい」としている。次回会合は〇九年三月に開き、方針づくりの成果を報告する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131300_04.html

 

2008年3月13日(木) 夕刊 5面

即応訓練/嘉手納騒音102デシベル超

 【嘉手納】有事を想定した米軍嘉手納基地の即応訓練は十三日午前も引き続き行われ、同基地所属のF15戦闘機や米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機の飛行訓練とサイレン音、爆発音、発煙を伴う訓練が実施された。基地に隣接する嘉手納町屋良地区では同日午後一時までに、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音を七十六回計測。同訓練や外来機の基地使用による連日の騒音被害で、地元の反発が強まっている。

 訓練に伴い、嘉手納町役場には住民らから「早朝からサイレン音がうるさい」などの苦情が六件寄せられた。

 同町が屋良地区に設置している騒音測定器によると、午前八時十八分に最高値一〇二・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を記録。戦闘機の離陸時に生じたとみられる九〇デシベル(騒々しい工場内に相当)以上の騒音も十五回あった。

 同地区では十二日にも、ことし最高値となる一〇四・五デシベルを計測。七〇デシベル以上の騒音は、一日当たりの発生回数としては今月最多の百八十五回発生している。

 嘉手納町の宮城篤実町長は「外来機が常駐機のように嘉手納基地を使用している」と指摘。十七日に防衛省を訪ね、外来機の基地使用や騒音被害について、改善するよう要請する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803131700_03.html

 

2008年3月13日(木) 夕刊 1面

公明、県民大会参加/15日 幹事会で正式決定

 【東京】米兵による事件・事故に抗議する県民大会について、公明党県本の糸洲朝則代表は十三日午前、日米地位協定の見直しなどを求める大会の趣旨が党の立場と合致するとして、参加することを明言した。十五日に幹事会を開き正式決定するという。都内で記者団に答えた。

 同党の遠山清彦参院議員や糸洲代表らは十三日午前、寺田稔防衛政務官や小野寺五典外務副大臣らと会い、再発防止策の早急な実施や日米地位協定見直しなどを要請。

 寺田政務官は地位協定について「抜本的な議論が必要だ」と述べ、在り方を議論する必要性を指摘したという。小野寺副大臣は「沖縄に対し占領国の意識が米兵にあるのではないかと疑いを持つ。研修プログラム見直しを真剣にやりたい」と述べたという。

 要請書では(1)県が示した防止対策七項目の早急な実施(2)容疑者の起訴前の身柄引き渡しに応じるなどの地位協定改定(3)基地の整理・縮小や兵力削減の目に見える進展―を求めた。


自民参加可否 あす結論集約


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十三日午前の役員会で対応を協議した。

 役員会では、議員総会を十四日正午から開き、県民大会に対する結論を集約することを確認した。同県連は週明けにも上京し、地位協定の抜本改定を要請する方針を決めた。

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2008年3月14日(金) 朝刊 1面

普天間代替アセス書 きょう確定

調査許認可申請へ

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省は十四日に環境影響評価(アセスメント)方法書を確定し、早ければ十七日にもアセス調査に必要な許認可申請を県や名護市に提出する方向であることが十三日、分かった。県は申請から認可までの期間を数日から数週間と見込んでおり、三月中の調査着手の公算が大きくなった。

 沖縄防衛局は十四日午後に県に確定した方法書を報告し、ネットで再公表する。十七日以降は、県庁や名護市内など五カ所でも二週間の閲覧期間を設ける予定。県や名護市の許認可が必要なのはサンゴ類や海藻草類、ウミガメの卵の殻などの採取にかかる九項目。

 県は今月四日、県審査会の議論を踏まえ、沖縄防衛局に対し二十六項目百一件の県意見を送付。同局と県が方法書内容の確定のため、調整を進めていた。防衛省幹部は「県と互いに納得できた段階で出したい」と、方法書確定は県の判断次第との認識を示していた。

 一方、県は海上を大規模に埋め立てて作業ヤードを建設する方法の廃止を求めているが、確定後の方法書でも認められない可能性が高い。

 県の意見が方法書に反映されない部分は、アセス調査後に出される準備書作成の段階などに、知事意見として求める方針だ。

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2008年3月14日(金) 朝刊 30面

基地被害証言ネットで発信/宜野湾市職員が市民に聞き取り

 【宜野湾】米軍普天間飛行場を離着陸するヘリコプターの騒音被害に悩む市民生活の実態を訴えようと、宜野湾市(伊波洋一市長)がビデオで証言を撮影し、ホームページで公開する事業を始めた。市の職員が証言者を直接取材し、国内外での要請活動の際に映像資料として活用する。同市によると、行政が基地被害の証言映像をインターネットで配信するのは全国でも珍しいという。(銘苅一哲)

 同市に設置された「基地被害一一〇番」に市民から寄せられる騒音などの苦情は二〇〇五年度百九件、〇六年度百六十件、〇七年度二月二十九日現在で百八十五件に上り、増加傾向が続いている。

 特に、〇四年八月に起こった沖縄国際大学へのヘリ墜落事故以降、墜落の不安を訴える市民が増えているため、ビデオの証言記録に乗り出した。

 市民の証言記録は基地渉外課が担当し、証言者の自宅や職場で聞き取りする。実際に住宅地上空を飛行する米軍ヘリなどの様子も撮影し、一人五分程度の映像に編集するという。

 取材は主に市民を対象にしているが、隣接する市町村の住民から希望があれば対応する。プライバシー保護のため、声のみの証言も受け付ける。

 伊波市長は「日米両政府や米軍に市民の生の声を届けることで、普天間飛行場の一日も早い閉鎖、返還を実現させたい。一人でも多くの証言を取り上げさせてほしい」と呼び掛けている。

 問い合わせは同市基地渉外課、電話098(893)4411(内線310)。

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2008年3月14日(金) 朝刊 31面

即応訓練 砂辺で111デシベル

 【中部】米軍嘉手納基地で行われている即応訓練に伴い、同基地南側滑走路の延長線上にある北谷町砂辺地区で十二日午後二時三十六分に最大一一一・八デシベル(二メートル手前からの自動車のクラクションに相当)を計測したことが十三日、県などの調べで分かった。多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音も百十六回発生。騒音レベルと発生回数は共に今月最高(データのない十日を除く)だった。

 嘉手納基地北側滑走路に隣接する嘉手納町屋良地区では、同日午後五時までに、七〇デシベル以上の騒音が百三十回あった。最高値は午前八時十八分に一〇二・五デシベル(電車通過時の線路脇に相当)を計測した。

 沖縄市登川では十二日午後一時五十六分に最高値九八・五デシベルを記録。七〇デシベル以上は四十三回だった。

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2008年3月14日(金) 朝刊 2面

19日成案作成目指す/地位協定改定案

 【東京】日米地位協定の改定案をめぐり、民主、社民、国民新の三党実務者の初会合が十三日、都内であり、共同提案へ向けて民主・国民新の「両党案」と「社民案」の相違点などを協議した。基地使用期間の設定や拘禁場所の明記など主に四点の違いを確認。今後擦り合わせをしながら、十九日に再び会合を開き、成案作成を目指す。

 二つの案の相違点は(1)基地使用計画の提出期間が両党案十年と社民案四年(2)返還時の原状回復義務が両党案は米国、社民案は日本政府(3)容疑者の拘禁場所を社民案は「日本の施設」と明記(4)外国人登録で社民案は階級番号なども細かく求めている―の四点。

 一方で、基地外居住者の情報を日本側に伝える仕組みの必要性や、起訴前の身柄引き渡しへの同意など、大枠で方向性は一致している。三党は次回までに、具体的な文言なども含め、歩み寄りを模索する考えだ。

 鉢呂吉雄氏(民主)は「地位協定は他国より進んでいるという話もあるが、比較にならないくらい事件・事故が度重なっている。総括的に見直し、できるだけ早く政府側に強く申し入れたい」と訴えた。

 照屋寛徳氏(社民)は「抜本的に改定せよ、というのは沖縄県民の総意に近い。政府が言う運用改善では根本的解決にならない」と強調。下地幹郎氏(そうぞう)は「国に改定案を届けることが役割」と三党合意への決意を述べた。

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2008年3月14日(金) 夕刊 1面

知事、参加に意欲/米兵事件・県民大会

議会動向踏まえ判断

 仲井真弘多知事は十四日午前の定例記者会見で、米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会について、「内容が人権の問題や地位協定、再発防止など共通のテーマになりつつある。参加しやすい内容になり始めたと思う」と述べ、参加に意欲をにじませた。一方で、「県議会の参加がどうなるのか。自民や公明の意見も聞きたい」とし、県議会の動向を見極めた上で最終判断する考えだ。

 仲井真弘多知事はこれまで、県民大会への参加について「県民共通の内容がつくれるかどうかだ」と超党派での開催を前提条件としていた。

 しかし、公明党県本が十三日に参加を決めたため、与党の判断を慎重に見極める必要があるとの認識を示した。

 また、米軍による事件・事故が相次いでいることには「何でこういう事件・事故が簡単に起こるのか分かりにくい。綱紀粛正の徹底以前に、基地を提供している地位協定の構造と意識にかなり問題がある」と指摘。

 「基本を変えないで、伸縮自在の巨大な運用が可能だとは思わない」として、地位協定改定の必要性を強調した。


自民、不参加再確認

議員総会 超党派開催 不可能に


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十四日午後、議員総会で対応を協議したが、組織的参加の見送りをあらためて確認した。

 公明党県本(糸洲朝則代表)の参加表明や県民大会の趣旨変更などで、大会参加を求める声も一部にあったが、否定的意見が大勢を占めた。与党最大会派の不参加決定で、超党派開催は不可能になった。

 新垣哲司幹事長は「告訴を取り下げた被害者側の心情に配慮すべきだ。地位協定の改定に関しては県連独自で政府・与党に見直しを働き掛ける」と説明。地位協定改定に向けては、自民党主導で県民大会を開催する意向も示した。

 同県連執行部は、県民大会の趣旨変更を踏まえて週明けにも上京し、党本部や政府与党の考えを把握しつつ、地位協定の抜本的改定を要請する方針だ。

 自民は七日の議員総会で、「告訴を取り下げた被害者や家族の心情への配慮」を理由に、参加見送りを確認していた。だが、幹事団体要請後の十三日に開かれた役員会で、県民大会が暴行事件だけでなく、すべての事件・事故の抗議に広がったこと、日米地位協定の抜本改定に重点が置かれたことを踏まえ、議員総会で意見を集約する必要があると判断。あらためて議員総会を開いた。

 自民は、「事件に対する抗議、綱紀粛正や再発防止策の徹底、基地の整理・縮小では一致している」としつつも、内部では「米軍再編推進で負担軽減を図る与党と、海兵隊全面撤退を求める野党は基本姿勢が違う」「六月県議選を前に、野党の反基地運動に政治利用される」などの見方が強い。

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2008年3月14日(金) 夕刊 7面 

嘉手納町、米軍に抗議へ/即応訓練に苦情相次ぐ

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に伴う戦闘機の騒音や拡声器放送の影響で、住民から苦情が相次いでいるとして嘉手納町は十四日午後、同基地司令官に対し、訓練の中止を求め文書で抗議する。同日午前九時三十二分には、同町屋良地区で今年最高値となる一〇四・九デシベルの騒音を記録した。

 即応訓練には同基地所属のF15戦闘機のほか、米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機も参加。基地周辺は連日、戦闘機の離着陸や上空での旋回のため、激しい騒音にさらされている。

 F15やF16は十四日午前も飛行訓練を実施。同町屋良地区に設置された騒音測定器は同日午後一時までに、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音を八十八回計測した。

 即応訓練は十四日までの予定だが、F16はその後も約一週間、嘉手納基地を拠点にF15との空対空訓練を行うとしており、同町は空対空訓練についても中止を求める。

 同町によると、十四日午前十一時までに「うるさくて眠れない」などの苦情が八件寄せられた。

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2008年3月15日(土) 朝刊 1面

きょう調査に着手/普天間アセスで防衛省

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向け、防衛省は十四日、環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料の修正版を県に提出し、方法書を確定した。十五日に県の許認可などを必要としないキャンプ・シュワブ周辺でアセス調査に着手する意向も示した。十七日には、県や名護市にサンゴ採取など九項目について許認可申請する。県は随時許認可に応じる構えで、同省関係者は「(調査が順調なら)最短で準備書作成は来年三月ごろ」との見解を明らかにした。

 同省は十五日から沿岸に係る飛来塩分量測定に着手。十七日からは(1)大気質に係る気象調査(2)海域におけるマンタ法等による海藻草類、サンゴ類に係る生息状況調査(3)陸域の植物調査―などを予定している。

 修正版は、方法書に対する県知事意見に加え、その後に同省が提出した追加修正資料に対する県の意見を踏まえて提出された。沖縄防衛局調達計画課の担当者が十四日午後、県庁を訪れ、県環境政策課の担当者に手渡した。

 昨年八月に当初提出した方法書三百一ページに対し、修正版は別添資料を合わせて三百九十五ページに上った。県は「県の意見をほとんど盛り込んでおり、真摯な対応」とした。

 修正版は、台風後のサンゴ類の調査実施を明記。ジュゴン調査で使用するパッシブソナー、水中ビデオカメラの設置場所も新たに明記した。

 一方、県や名護市が求めている滑走路建設位置の沖合修正を想定した飛行経路や騒音調査には「県や関係自治体と調整し検討する」との表現にとどまった。県環境影響評価審査会が廃止案を含め検討を求めた作業ヤードによる海上埋め立ては「環境の改変を可能な限り回避・低減させるなど、環境保全措置を検討する」と抑えた。ジュゴンなど海域生物の複数年調査も「検討する」にとどめた。

 修正版は同日夕、沖縄防衛局や県のホームページで公表。十七日から三十一日午前九時―午後五時まで、沖縄防衛局報道室や同名護連絡所、県庁行政情報センターなど五カ所で閲覧できる。

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2008年3月15日(土) 朝刊 27面

進む作業 募る不安/アセス方法書確定

 正確な建設場所や飛行ルートなど、疑問点を残したまま、法的手続きがまた一つ進んだ。普天間代替施設の環境アセス方法書が十四日、確定した。集落上空を飛行する可能性、大量の海砂の使用など詳細が示されてわずか一カ月。防衛省は十五日にも本調査に着手する。

 環境保護団体は「手続きをやり直すべきだ」と反発。地元推進派は「前進」と評価しつつ、飛行ルートには神経をとがらせている。

 大浦湾で環境調査を続けるリーフチェック研究会の安部真理子会長は「サンゴ調査も目的が分からず、方法書の体をなしていない」と批判。「審査会の意見も住民の意見も聞かない。科学者がかかわっているのに、それを無視して進めることは許されない」と語気を強めた。

 ジュゴン環境アセスメント監視団運営委員の真喜志好一さんは、「国は今年二月になって、環境への影響が大きくなるような事実を出してきた。アセス法に従って、方法書の公告・縦覧から手続きをやり直すべきだ」と強調。東恩納琢磨団長は米国ジュゴン訴訟での勝訴を挙げ「米国の裁判で明らかになったように、日本政府は環境対策を明らかにしていない。辺野古への移設計画は即刻中止するべきだ」と訴えた。

 普天間飛行場の移設先辺野古区の有志らでつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は「一歩前進と評価したい。再編交付金が支出されれば地域の活性化につながる」と歓迎した。一方、飛行ルートなどが今後の日米協議に委ねられることについては「V字案は住宅地上空を飛行しないという約束で決まった。約束が破られるのなら滑走路は一本でいい」とくぎを刺した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151300_02.html

 

2008年3月15日(土) 朝刊 2面

自民、不参加を確認/米兵事件・県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体の参加要請を受け、自民党県連(外間盛善会長代行)は十四日午後、議員総会を開き、組織的参加の見送りをあらためて確認した。

 総会では、日米地位協定改定に重点を置いた県民大会の趣旨変更や与党・公明党県本(糸洲朝則代表)の参加表明などを踏まえ再検討したが、「被害者の感情への配慮」などを理由に組織的な参加の見送りで一致した。与党最大会派の不参加決定で、超党派開催は不可能になった。

 新垣哲司幹事長は「地位協定の抜本改定に関しては県連独自で政府、与党に働き掛ける」と説明、抜本改定に向けた県民大会の必要性を強調した。同県連執行部は週明けに上京し、地位協定の改定に対する党本部や政府、与党の考えを把握し、抜本改定を要請する方針を決めた。


知事、判断を留保


 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の対応を再協議した自民党県連が十四日、組織的な参加見送りの結論を確認した。新垣哲司幹事長は「告訴を取り下げ、『そっとしてほしい』と訴える被害者側の心情に配慮し、大々的な大会は避ける、と考えを一致させた」と話し、参加するべきだとの意見はなかったという。

 県議会最大会派の決定は覆らず、県民大会の超党派結集は実現しない。総会後の会見で、新垣幹事長は「県民の反発は予想していない。被害者の心情に配慮した判断だ」と繰り返した。

 地位協定に重点を置いた大会の趣旨変更に、自民内部では「地位協定改定は超党派で一致でき、県民の総意だ」と一定の理解も得ていた。だが、「日米安保条約の見直しにもつながる重要な問題。拙速では取り組めない」と認識を示し、参加見送りを決定付けた。

 仲井真弘多知事の訪米前をめどに、地位協定に特化した県民大会開催を提起し、「機運を高め、万全の態勢、準備期間で臨むべきだ」という考えを示した。

 県連執行部は週明けにも上京し、地位協定の抜本改定に向けた要請行動を展開する方針だ。

 仲井真知事は自民党県連の参加見送りについて新垣幹事長から説明を受けた後、「もう少し時間を下さい」と判断を留保。十五日に参加を正式決定する公明党県本(糸洲朝則代表)の動向などをさらに見極める考えを示した。

 ただ、与党の不参加決定で、出席に向けた環境は厳しい。知事周辺には地位協定改定の必要性から、「知事参加」を模索する動きもあるが、「自民が見送りを決断した以上、それを無視するわけにはいかない」(県幹部)との声が広がりつつある。

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2008年3月15日(土) 朝刊 27面 

自民に再度要請へ/県民大会実行委

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会に自民党県連が組織的参加の見送りを決めたことについて、県民大会実行委員会の幹部は、あくまでも超党派での開会を目指し、自民県連に大会参加を再度要請することにした。自民県連が応じない場合でも二十三日に大会を開催する方針。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、大会に組織参加しないことを決めた議員総会について説明した自民党県連の記者会見に顔を出し、新垣哲司幹事長らの話を熱心に聞いた。玉寄会長は「大会の開会目的を日米地位協定の抜本的見直しの一点に絞れば、自民党も大会参加が可能になる」と判断。開会目標や大会日程の変更もあり得るとの考えを記者団に示した。

 その後、県婦人連合会の小渡ハル子会長や県老人クラブ連合会の花城清善会長と話し合い、「二十三日の大会開催で動きだしており、日程変更は困難」との結論に至った。十七日午前に実行委幹事会を開いた後、再度、自民党県連に大会参加を要請する。

 小渡会長は「沖縄で米兵による犯罪が続発する状況の、一日も早い改善を願う県民の気持ちを大切にしたい。自民県議や知事には、大会目標が県議会の抗議決議の内容と同じだということを理解し、参加を決めてほしい」と訴えた。

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2008年3月15日(土) 夕刊 5面

普天間代替 アセス調査に着手

反対派市民団体が警戒

 沖縄防衛局は十五日、米軍普天間飛行場移設に向けた環境影響評価(アセスメント)をめぐり、風向や風速など気象や潮風による塩害の調査を移設先である名護市のキャンプ・シュワブで実施、アセスの本調査に着手した。

 気象や塩害の調査は、本調査に先行して昨年五月から「事前調査」として既に始めていたが、十四日にアセス方法書が確定したことを受けて本調査に切り替えた。週明けからはキャンプ・シュワブ周辺海域の海藻やサンゴの状況、陸上での植物の生育状況などの調査も予定している。

 辺野古で調査着手を警戒しているヘリ基地反対協の大西照雄共同代表は「秘密主義のアセス方法書に基づいた調査は違法アセスだ。アセスをやり直して、もう一度国民の声を聞くべきだ」と指摘。「本来の法律にのっとってアセスが行われれば、防衛省の言う二〇一四年までの完成はあり得ない」として、国内や国際世論に訴えていく考えを示した。


アセス監視団 意見書を提出

普天間代替で防衛局に


 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団と、辺野古新基地建設を許さない市民共同行動のメンバーは十四日、沖縄防衛局を訪れ、「米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きは、方法書の公告・縦覧からやり直すべきだ」などとした意見書を手渡した。

 両団体のメンバー六人が、七十五人分の意見書を携えて沖縄防衛局を訪れた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803151700_02.html