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浦添不発弾収納作業、住民に避難勧告なし 北谷議会が抗議決議、F15未明離陸の中止要求 地位協定改定へ参院決議 など  沖縄タイムス関連記事(5月7日から10日)

2008年5月7日(水) 夕刊 7面

北谷議会決議へ/F15未明離陸に抗議

 【北谷】今月二、三の両日にあった米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機などの未明離陸問題で、北谷町議会(宮里友常議長)は七日午前の基地対策特別委員会で、未明離陸の中止を求める抗議決議と意見書の両案を、八日に予定される臨時会に提案することを決めた。

 また県が同町宮城に設置・管理している騒音測定器が二日午前五時二十一分に九二・四デシベル(速報値)を記録していたことも分かった。同町砂辺では同日一一二・一デシベルを観測しており、広範囲に騒音が響いていたことになる。

 同町担当者によると「宮城地区で九〇を超えることは珍しい」という。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805071700_05.html

 

2008年5月8日(木) 朝刊 1面

浦添不発弾きょう収納作業/住民に避難勧告なし

移送ルートも非公表

 【東京】防衛省の徳地秀士運用企画局長は七日の衆院外務委員会で、浦添市の建築現場で発見された化学弾の可能性がある不発弾二十二発の撤去のため、八日から特殊密封容器への収納作業を実施する方針を明らかにした。作業は九日まで実施し十日に嘉手納弾薬庫内の不発弾保管庫に移送する計画だが、周辺住民への避難勧告や交通規制の予定はなく、発見場所や移送ルートも一切公表されない。

 避難勧告を出さないことについて防衛省の担当者は「一義的には自治体の判断」と説明した上で、「不発弾の信管が作動状態にないことから爆発する危険性もない。仮に化学弾だとしても外部に液体が漏れ出す状態でもなく、周囲への環境面、安全面での影響も出ていない」と説明する。移送ルートの非公表には「安全第一を考えており、公表すると円滑に作業ができない可能性がある」としている。

 これに対し、質問した照屋寛徳氏(社民)は、一九七一年に米軍知花弾薬庫貯蔵地域内から毒ガスを移送した際には移送ルートが事前に公表されたと指摘。「住民は不安を抱いており、あらかじめ周知すべきだ」と訴えた。

 一方、防衛省が公表・非公表の是非を「自治体の判断」としていることについて、浦添市の担当者は「心外だ」と首をかしげる。同市が現場を確認した直後、沖縄防衛局にその後の対応について尋ねたところ、防衛局から「窓口を一本化して引き受ける」と回答があり、非公表の詳しい説明はなかったという。

 また、通常の不発弾処理は事前に市が対策協議会を開くが、今回は「防衛局主体で(処理の)中身も分からないため開いていない」と説明。「通常の不発弾処理は市の事業だが、今回は国の直轄。市は一円も費用負担していない」と話し、公表・非公表を判断する立場にないことを強調した。

 今回の移送は民間業者に委託し、長さ約百二十センチ、太さ直径約四十センチの円柱型の特殊密封容器に一個ずつ入れて移送。現場から撤去するための「緊急措置」と位置付けており、不発弾保管庫で暫定的に保管する予定だが、今後の処理の見通しは立っていない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081300_01.html

 

2008年5月8日(木) 朝刊 27面

基地警備員退職/職安、パワハラ被害認定・雇用保険 即支給へ

 在沖米海兵隊の日本人警備大隊に所属していた元基地従業員の安村司さん(41)が、上司の日本人男性からパワーハラスメントを受けたと訴えている問題で、沖縄公共職業安定所(ハローワーク沖縄)が、安村さんのパワハラの主張を認める形で雇用保険の支給を決定していたことが七日までに分かった。(粟国雄一郎)

 安村さんは元上司に慰謝料を求める訴えを起こし、訴訟は那覇地裁で係争中。沖縄防衛局もパワハラを認めておらず、安村さんは本紙の取材に「国の第三者機関がパワハラを認めてくれたことは一歩前進。提出した資料から事実は明らかで、迅速に対応してくれた職安には感謝している」と話した。

 安村さんはこれまで、上司から約九カ月間、仕事を与えられず、事務所の机に座っているよう命じられたり、七カ月間に計三回、配置転換を強いられたりしたと主張。雇用保険の申請では、パワハラで退職を余儀なくされたとして、同僚約百五十人分の署名や上司からの待機命令書、配置転換の際の人事通知書などを、職安に証拠として提出していた。

 四日に受け取った通知では、離職理由が自主退職では通常認められない「給付制限のかからない自己都合退職」に分類されており、三カ月間の待機期間を待たずに保険の支給が決まった。職安に理由を確認したところ「特定受給資格者」として取り扱い「提出された書類や資料を参考に、パワハラを認めた」と答えたという。

 職安は雇用保険の支給にあたり「上司、同僚等から故意の排斥または著しい冷遇もしくは嫌がらせを受けたことによって退職した者」などについて、再就職の準備をする時間的な余裕がなく、離職を余儀なくされた「特定受給資格者」と分類。保険の支給期間などを別枠に定めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081300_02.html

 

2008年5月8日(木) 朝刊 27面

憲兵連れ帰り/「逮捕すると思わず」

 【東京】外務省の西宮伸一北米局長は七日の衆院外務委員会で、衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在沖米兵の息子二人を、米憲兵隊が基地内に連れ帰った問題について、米側が「憲兵隊は県警が(二人を)逮捕するとは思っていなかったようだ」と説明していることを明らかにした。今月二日の外務省の照会に対し、在日米大使館が調査結果として説明したという。

 米側はこれまで、「憲兵隊が現場に急行し、少年らを取り押さえたが、暴れるので暴力を防ぐために手錠を掛けた。あくまで暴力を働く可能性を防ぐために行った。窃盗で逮捕したとは認識していない」と説明している。

 しかし、警察庁の井上美昭審議官は同委員会で「警察官が憲兵隊に対し被疑少年らの引き渡しなどを求めたが拒否された」と説明しており、今回の説明で、県警と憲兵隊の認識の違いが一層浮き彫りとなった。

 これに対し、西宮局長は二日の米大使館への照会の際に、「施設区域外の警察権の行使に当たっては、地位協定および関連取り決めに従って県警に協力してほしい」とあらためて申し入れたことを明らかにした。

 赤嶺政賢氏(共産)への答弁。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081300_03.html

 

2008年5月8日(木) 朝刊 26面

基地外住宅 眼前に/市民団体が北谷ツアー

 急増する米軍人向け住宅の実態を知る「基地外住宅見学ツアー」が六日、北谷町砂辺区であった。市民グループ「ネオキの会」が企画し、メンバーら二十四人が松田正二自治会長の案内で区内を歩いた。

 「ここから先は外国みたいなものです」。松田会長に促されて路地に入った参加者の両側に、三角屋根の一軒家がずらり。基地外住宅は砂辺区に六百戸あり、さらに約三百戸が建設中。松田会長は「今に区民の数、千世帯を超える。ここはアメリカ人の区になってしまう」と訴える。

 中城村の比嘉かおりさん(36)は「ここに来たら、(米兵らに)『沖縄人が何をしにきた』と言われそう。沖縄が沖縄じゃなくなりそうで怖い」と語った。家賃は最高四十万円台といい、県内相場を大きく上回る水準。ツアーを企画した同会の友利真由美さん(31)は「米兵による暴行事件があって、まず実態を知りたいと思った。関心はあるけど運動は苦手、という人が問題を考える玄関になれば」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081300_06.html

 

2008年5月8日(木) 夕刊 1・5面 

未明離陸の中止要求/北谷議会が抗議決議

 【北谷】今月二、三の両日にあった米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機などの未明・早朝離陸問題で、北谷町議会(宮里友常議長)は八日午前、臨時会を開き、運用上の理由や訓練などに伴う深夜・早朝離陸を一切行わないよう要求する抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。九日に同基地などを訪ね、直接抗議する予定だ。

 抗議決議では、短期間に早朝離陸を繰り返したことは、地域住民の声を軽視し配慮に欠けた基地の運用だと指摘。「いかなる理由があるにせよ、到底容認できるものではない」として今後、未明離陸を中止するよう求めている。

 同議会は、四月二十三日に同基地からF15などが未明離陸したことを受け、同二十五日にも嘉手納基地などを訪ねて抗議した経緯があり、「わずか九日後に再び早朝離陸を強行したことは誠に遺憾」と強調した。あて先は、嘉手納基地第十八航空団司令官や在沖米国総領事、沖縄防衛局長など。


     ◇     ◇     ◇     

未明離陸抗議 三連協が声明

中止要請無視を批判


 【北谷】米軍F15戦闘機などの未明・早朝離陸問題で、「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は八日、中止要請を無視する形で強行した米軍の姿勢を批判する声明を発表した。

 三連協の野国昌春会長(北谷町長)、東門美津子沖縄市長、宮城篤実嘉手納町長らが同日の総会後、北谷町役場で会見した。メンバーらは十四日に同基地などを訪ね、直接抗議する。

 野国会長は会見で、三日午前六時すぎの離陸について、嘉手納基地の騒音規制措置が守られたことを一定評価したが、「連休中ということもあり、住民感情としては騒音そのものが問題だ」と指摘した。


沖縄市議会は あす対応協議


 【沖縄】米軍嘉手納基地でF15戦闘機などが未明離陸を強行した問題で、沖縄市議会は七日、基地に関する調査特別委員会(与那嶺克枝委員長)を九日に開き、対応を協議することを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081700_01.html

 

2008年5月8日(木) 夕刊 5面 

浦添・不発弾/撤去へ密封容器搬入

 浦添市の建築現場で見つかった化学弾の可能性がある不発弾二十二発の撤去に向けた作業が八日午前、行われ、陸上自衛隊などによって作業が進められた。

 米軍の遺棄爆弾が見つかったのは、同市伊祖の住宅地と墓地に隣接するビルの建て替え工事現場。約百メートル離れた牧港小学校の校庭では、児童たちが体育の授業をしていた。

 同日午前八時ごろ、陸上自衛隊の車両三両が現場に到着し、十人ほどの迷彩服姿の隊員らが準備作業を始めた。警察官の姿はなかったが、爆弾が見つかった場所は白い幕で覆われ、同十時ごろ、大型クレーンが密封用の容器と見られる筒を幕の中に釣り下ろした。

 自宅のベランダから作業を見詰めていた近所の女性(72)は「爆弾が見つかったのはうわさで知っていたが、化学兵器の可能性があることは新聞で読むまで知らなかった。今も市や警察からは何も言ってこない」と不安そうに話していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081700_03.html

 

2008年5月8日(木) 夕刊 5面

居酒屋に侵入の2海兵隊員逮捕

 宜野湾市大山の居酒屋で、深夜の閉店後にドアを壊して店内に忍び込んだとして、宜野湾署は八日、建造物侵入の現行犯で普天間航空基地本部所属の海兵隊員二人を逮捕した。二人は在沖米軍人に出されている夜間外出禁止令(午前零時―五時)に違反したとみられる。

 逮捕されたのは、伍長アンドリュー・ウェイン・ジョーンズ容疑者(23)と、上等兵クリスチャン・マッケンジー・ポンズ容疑者(20)の二人。二人とも酒に酔っており、「身に覚えはない」と話し、容疑を否認しているという。

 調べでは、二人の容疑者は同日午前零時から約三十分間、同市大山二丁目にある居酒屋の施錠されたドアを押し倒して、侵入した疑い。現場に駆け付けた警察官が二人を逮捕した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081700_04.html

 

2008年5月8日(木) 夕刊 5面

シュワブ内に海保のボート/11管区 内容公表せず

 【名護】米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴い、環境影響評価(アセスメント)が行われている名護市キャンプ・シュワブで、海上保安庁のボートが係留されているのが八日、確認された。第十一管区海上保安本部は「巡視船などの行動内容は公表できない」とコメントしている。

 アセスの抗議活動に参加している金井創さん(53)によると、同基地には移動式の係留場が設置され、「海上保安庁」と書かれたボート二隻が係留され、別の二隻が沿岸部周辺を航行している。通常、同基地周辺に向かう海上保安庁の巡視船などは、中城湾港を利用しているという。

 ヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は「米軍施設から海上保安庁の船が出たとすれば初めてだろう。何でそんなことをするのか、理由をただしたい」と憤りを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805081700_06.html

 

2008年5月9日(金) 朝刊 27面

化学弾か街に緊張/浦添市で撤去作業

 浦添市伊祖の建築現場で発見された化学弾の可能性がある米軍の遺棄弾の撤去に向けた梱包作業は八日午後も、自衛隊や民間の専門業者によって行われた。現場に近い牧港小学校では緊急の職員会議を開き対応を協議した。

 マスクなど防護服を着た作業員らが二十二発のうち、十二発を特殊容器に収めた。残り十発は九日に密閉する。十日には嘉手納弾薬庫内の保管庫に運ばれる。

 牧港小学校は八日朝、報道陣からの情報で作業開始を知った。児童に対し、登下校時に現場周辺を通らないことなど、注意を促したという。

 帰宅途中の同小二年生の比嘉妃奈乃ちゃん(7)は「朝、学校で先生に言われるまで、砲弾が近くにあるとは知らなかった」と話した。

 防衛省の担当者は「化学弾である可能性も否定できないので、そのことを前提に作業している。漏えいしてないので危険性はそれほどない」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805091300_04.html

 

2008年5月9日(金) 夕刊 1面 

合意「空文化」と批判/仲井真知事、未明離陸で

 仲井真弘多知事は九日午前の定例会見で、米軍F15戦闘機などの未明・早朝離陸について、「日米合同委員会の合意が空文化している」と批判した。米軍人・軍属らの私有車両(Yナンバー車)の車庫証明問題にも触れ「いろいろ合意事項はあるが、まじめに取り組んでいないのではないか。合意事項を正直に受け止めて守ろうという面が足りなさすぎる」と米軍の対応を非難した。

 十五日で復帰三十六年目を迎えることには、県民所得が四十七位にとどまっていることを気に掛けつつ、「人口は増えた。沖縄より国の補助金、交付金に頼っている県も約十県ある。古典的な格差論はかなり解消した」との認識を示した。一方で、「基地の整理はあまり変わっていない。再編でうたっている(海兵隊の)グアム移転をしっかりやってほしい」と求めた。

 沖縄振興計画が終了する二〇一一年以後については「米軍基地に絡む部分で戦後処理が残っている。再編に絡む跡利用や原状回復には政府の力が必要だ」と理解を求めた。

 将来展望としては「県民が独立独歩の精神で責任を持ってやっていくには、経済自立度を高めるのが一番重要。経済を活発にし、日本の平均を上回るようにしたい」と決意を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805091700_01.html

 

2008年5月10日(土) 朝刊 2面 

地位協定改定へ参院決議/国民新、民主に提案

 【東京】国民新党は九日、民主党との政策協議会合で、日米地位協定改定を求める国会決議を参議院で採決することを提案した。民主党は、社民党も含めた野党三党で連携しながら採決することに前向きな姿勢を示したという。今後、今国会中での採決を目指し、調整を進める。

 会合には、民主から菅直人代表代行と鳩山由紀夫幹事長、国民新から亀井静香代表代行と亀井久興幹事長が出席した。

 国民新が提案した「地位協定の抜本的改定に関する決議案」(素案)は「米軍による犯罪や環境汚染が多発し、日本国民に不安と不信を与えている」とした上で、容疑者の引き渡しや環境保全など地位協定の規定の不備が要因だと指摘。

 運用改善にとどめようとする政府の姿勢を批判し、地位協定の早期の抜本的改定に全力で取り組むよう求めている。

 民主、社民、国民新の三党は三月末、地位協定改定案をまとめ、町村信孝官房長官や高村正彦外相らに要請していた。三党案は(1)基地外居住の米軍関係者への外国人登録義務(2)起訴前の身柄引き渡し要請に対する米軍の同意(3)施設返還時の環境汚染浄化は米国の責任―などを柱としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805101300_05.html

 

2008年5月10日(土) 朝刊 26面 

ゾウ取り持つ縁長?く/那覇市で寄贈祝う会

 昨年十二月にインド政府から沖縄市の沖縄こどもの国に寄贈されたゾウ二頭の到着を祝う記念パーティーが九日、那覇市のパシフィックホテル沖縄であった。寄贈に携わったインド前文部科学技術相のM・M・ジョーシ氏やインド文化協会インド側会長のアショク・チャウラ氏らが来沖。ゾウを通じた沖縄とインドの友好交流を誓い合った。

 ゾウ寄贈は、二〇〇三年に喜納昌吉氏(現・参院議員)がインド側に「戦争で被害を受けた沖縄の子どもたちのため、平和の象徴であるゾウを贈ってほしい」と提案したのがきっかけ。インド国内の政権交代や動物輸出禁止法の制定などで作業が遅れていたが、昨年末に関係者の四年越しの願いがかなった。

 ジョーシ前文科相は、沖縄の印象について「第二次世界大戦で大変な苦労をしたが、伝統や文化が比較的保たれている自然豊かな地域」とし、「ゾウは知恵と安定性と平和のシンボル。平和を保ちながら、沖縄とインドのきずながさらに深まることを願っている」と語った。十日以降は、こどもの国で記念パーティーが開かれるほか、ジョーシ前文科相が東門美津子沖縄市長と面会する予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805101300_07.html

 

2008年5月10日(土) 朝刊 1・26面

「無言館」沖縄展を開催/17日から県立博物館・美術館

 沖縄タイムス社は創刊六十周年企画「情熱と戦争の狭間で―無言館・沖縄・画家たちの表現」を、十七日から那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で開催します。

 志半ばで戦死した画学生の作品や遺品を収集・展示する「無言館」(長野県上田市)の作品と、「戦争の記憶」をテーマに描かずにはいられなかった沖縄の画家たちの作品を紹介。「戦争」と「創作への情熱」という共通するキーワードで結び付けた作品展です。

主催 文化の杜共同企業体、県立博物館・美術館

共催 沖縄タイムス社

特別協力 戦没画学生慰霊美術館「無言館」

協賛 琉球銀行、ザ・テラスホテルズ


     ◇     ◇     ◇     

平和・戦争 問い掛け


 沖縄タイムス社創刊六十周年企画「無言館・沖縄・画家たちの表現」の開催に当たっては、戦没画学生慰霊美術館「無言館」の特別協力を得ました。

 同館は一九九七(平成九)年に開館。絵画の道を志し、戦死した画学生の遺作・遺品を展示し、無言の作品群が参観者に「戦争とは」「平和とは」を問い掛けます。

 開催期間や入場料は以下の通りです。

▽期間 17日(土)―6月29日(日)。月曜休館。6月23日「慰霊の日」は開館、翌日休館

▽場所 県立博物館・美術館(那覇市おもろまち)

▽入場料 前売り券・団体(20人以上)=一般800円(当日1000円)、高校・大学生640円(同800円)、小・中学生400円(同500円)。県内各プレイガイドで販売

▽問い合わせ 文化の杜共同企業体、電話098(941)8200

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805101300_08.html

Yナンバー車、車庫証明わずか4台 F15、2週連続未明離陸 憲法記念日、憲法を考えるなど  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(5月1日から5日)

2008年5月1日(木) 朝刊 2面 

浦添の不発弾は嘉手納弾薬庫へ/政府が移送費計上

 【東京】政府は三十日までに、浦添市で発見された化学弾の可能性がある不発弾二十二発を現場から撤去した後、嘉手納弾薬庫内の共同使用地区にある県の不発弾保管庫に暫定的に保管する方向で調整に入った。一定期間保管後、処理場に移送する方針だが、日程は決まっていない。

 同日午前の閣議では、同不発弾を安全な場所に移す経費として、三千六百六十四万円を二〇〇八年度一般会計予備費から支出することを正式に決定した。

 移送は民間業者に委託する予定で、これから契約手続きに入る。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805011300_05.html

 

2008年5月2日(金) 朝刊 1面

Yナンバー車 3000台中 車庫証明わずか4台

不公平な実態 今なお

 【東京】米軍人・軍属とその家族の私有車両(Yナンバー車)の登録の際に求められる車庫証明書について、今年一―三月の間に県内で登録されたYナンバー車三千三十九台中、車庫証明書が提出されたのは四台しかないことが一日、国土交通省作成の資料で分かった。日米両政府は二〇〇四年に「基地外」の車庫がある場合は車庫証明を義務付けることで合意したが、大量のYナンバー車が手続きを免れている不公平な実態が改善されていないことが浮き彫りとなった。

 車庫法では、使用の本拠(通常は居所)から二キロ以内の場所に保管場所(車庫)を確保することが定められている。

 Yナンバー車の車庫証明をめぐっては、基地内外で免除されていた実態を重くみた当時の運輸省が一九九八年、「車庫証明の提出がない場合は登録しない」とする「管理課長通達」を、沖縄総合事務局運輸部長などに通知している。

 しかし、問題は改善されず、国会などで批判が集中。日米両政府は〇四年、Yナンバー車を登録する際に「基地外」に車庫がある場合は車庫証明書の提出を義務付けることで合意。「基地内」の車庫についても、早期の適用を目指して集中的に議論することを確認していたが、実施されないまま放置されている。

 資料によると、同期間中、全国で登録されたYナンバー車は六千八百十九台で、そのうち七百七十九台が車庫証明書を提出。長崎県の佐世保検査登録事務所管内では、百六十一台中、六十一台が車庫証明を提出しており、県内は他の地域と比べても極めて少ない比率となっている。

 県内で車庫証明書を提出した四台以外の三千三十五台は「基地内」か、車庫法の適用地域外に車庫を確保していることになる。県内在住の米軍人・軍属とその家族四万四千九百六十三人中、約四分の一を占める一万七百四十八人が「基地外」に居住している実態(今年一月末時点)との整合性が問われそうだ。

 資料は井上哲士参院議員(共産)の請求を受け、国土交通省が提出した。

[ことば]

 Yナンバー 米軍人・軍属と家族が日本で購入した車に付けられる。この制度が横浜で開始されたことから、「YOKOHAMA」のYが由来とされる。今年3月末時点のYナンバー車の登録総数は全国で5万6450台で、そのうち県内は2万6897台と約半数を占める。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805021300_01.html

 

2008年5月2日(金) 朝刊 1面

F15きょう未明離陸/嘉手納基地2週連続

12機演習参加

 【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は一日午後、F15戦闘機十二機余と空中給油機数機が米本国での演習参加のため、二日未明に同基地を離陸すると発表した。同基地は四月二十三日にも機体更新を理由に未明離陸を実施したばかり。周辺自治体は相次ぐ強行に反発を強めている。

 嘉手納町によると、米本国での演習参加を理由にした未明離陸は、二〇〇七年一月以来。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)は一日午後、同基地第一八航空団に対し、「立て続けに実施される早朝離陸は誠に遺憾」と回避を求め、口頭で要請した。未明離陸が強行されれば、二日午後にも幹事会を開き、対応を協議する方針。

 三連協の野国昌春会長(北谷町長)は「住民の平穏な眠りや生活を無視した米軍のやりたい放題の運用だ。騒音防止協定はなし崩しになっており、国や県と対応を協議したい」と憤った。

 同基地報道部によると、F15はアラスカに遠征し、六十日間演習を行う。同演習は「空中戦闘技術を向上させる重要な訓練」で、毎年恒例という。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805021300_02.html

 

琉球新報 社説

米軍再編合意2年 かすむ地元の負担軽減 2008年5月2日

 県民が期待した「負担軽減」は一向に見えない。米陸軍パトリオット・ミサイルの配備をはじめ、米軍キャンプ・ハンセンの陸上自衛隊共同使用など基地機能強化による「抑止力の維持、向上」だけが鮮明だ。

 日米安全保障協議委員会(2プラス2)の在日米軍再編の最終報告取りまとめから2年が過ぎた。

 「抑止力の維持と地元の負担軽減の観点から進めてきた協議が合意に達したことは意義深い」と2年前、当時の政府首脳は強調していたが、時を重ね「地元の負担軽減」は、かすむばかりだ。

 米軍普天間飛行場の移設問題は「再編の鍵」だが、名護市辺野古の代替施設建設による環境影響評価(アセスメント)調査が3月から始まったものの、当初計画の遅れもあり、最長で1年の遅延が見込まれる。

 が、防衛省は工期の短縮で2014年の完成予定は変えない。また、県はあくまでも移設案の沖合移動と普天間飛行場の3年内閉鎖状態の実現を求め、その姿勢を崩さない。このままでは、着実な進展は望むべくもない。

 負担軽減の目玉とされる嘉手納基地より南の6施設返還も、07年3月までに詳細計画が公表される予定だったが、1年余を経過したもののまとまっていない。

 グアムに沖縄から出て行く部隊とその施設の詳細をまとめた移転計画もまだだ。米海軍省統合グアム計画室(JGPO)は4月末に在沖米海兵隊の移設計画となるマスタープラン(基本計画)の最新概要版を公表した。

 海兵隊の移転先としてグアム北部のフィネガヤン地区を示したほか、ジャングル訓練場や都市型戦闘訓練施設の建設を明示したものの、具体的な部隊ごとの移転人数の詳細には言及していない。

 この計画と「嘉手納南返還」は連動する。グアム計画は7月ごろにまとまるとされる。沖縄防衛局の真部朗局長は「基本的にはそういうことだ。はっきり7月と聞いているわけではないが、それぐらいに米側のプロセスで熟度が高まるということだろう」とし、その計画を踏まえ「嘉手納南返還」の計画がまとまる見通しを示唆する。

 ケビン・メア在沖米総領事は「嘉手納より南の返還は普天間飛行場移設とグアム移転の次の段階で焦る必要はない」と楽観的だ。

 米軍再編は、日米の軍事的一体化が最大の狙いだ。日米合意から2年を経て、日米共同による東アジア地域での抑止力の維持、向上が優先される現状からもあらためて実感せざるを得ない。

 軍備増と負担減はあくまでも矛盾し、抑止力に比重が置かれれば結局、軍事同盟強化だけが残る。地元の負担軽減を加速させるよう日米両政府の一層の努力を求めたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131693-storytopic-11.html

 

2008年5月2日(金) 夕刊 1面

砂辺で午前5時112デシベル/F15、11機が未明離陸

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計十一機が二日未明、同基地を離陸した。飛行ルートの真下に当たる北谷町砂辺では、午前五時十七分に一一二・一デシベル(速報値)を計測した。同基地では四月二十三日にも未明離陸が行われたばかりで、基地周辺自治体が抗議の姿勢を示している。二日午後、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は幹事会を、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)をそれぞれ開き、対応を協議する。

 同基地報道部は当初、離陸するF15は米本国での訓練のため、「十二機余りが参加する」と説明していたが、実際に離陸したのはF15十機とKC10空中給油機一機。そのうちF15四機は離陸後の午前七時までに同基地に着陸した。「四機は予備機で残る六機とKC一機がアラスカに向かった」(同報道部)と説明している。当初説明の十二機余りとの差があるが、再度の未明離陸の可能性については明らかにしていない。

 F15は同日午前五時十六分から約七分の間に南側滑走路を使用し、北谷町方向に十機離陸。同二十三分には、KC10が飛び立った。

 嘉手納町の職員が同町屋良の「安保の見える丘」で実施した携帯測定器の調査で、離陸したF15の最大騒音は八八・二デシベル(騒々しい工場内に相当)。滑走路から約七百メートル離れた民間地の常設測定器では、最大で八九・五デシベルを計測した。

 同町によると、米本国での訓練参加を理由にした未明離陸は、二〇〇七年一月以来。十機以上の未明離陸は、同基地に一時配備されていた最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターが米本国に帰還した同年五月以来という。北谷町砂辺の速報値一一二・一デシベルは自動車のクラクション(前方二メートル)に相当するという。

 同基地報道部によると、F15はアラスカに遠征し、六十日間演習を行う。同演習は「空中戦闘技術を向上させる重要な訓練」で、毎年恒例と説明した。

 県の上原昭知事公室長は同日午前、「早朝の離陸は前回(四月二十三日)同様、けしからん話。地元も反対している。改善策は(未明離陸を)やめる以外にない」と厳しい口調で非難した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805021700_01.html

 

2008年5月2日(金) 夕刊 7面

抗議無視 爆音また/米軍機未明離陸

 【中部】いつまで続くのか―。未明の街に戦闘機がごう音をとどろかせる「異常事態」がまた繰り返された。F15戦闘機の機体更新終了後も続く嘉手納基地からの未明離陸。爆音に安眠を妨げられた周辺住民からは「地元はどうでもいいのか」「結局泣き寝入りだ」と怒りの声が相次いだ。米側との回避策の検討協議を二年近くも継続しながら、目に見える成果をまったく引き出せていない政府への不信感も高まっている。

 二日午前五時十五分ごろ、騒音で目を覚ました沖縄市知花の島袋善祐さん(71)は「未明離陸のたびに起こされ、一日のスケジュールが狂う。軍の都合で未明離陸を繰り返し、地元はどうでもいいのか。議会が抗議をするのも当たり前になっていて、全然聞き入れられていない」と憤慨した。

 北谷町砂辺の飛行ルートの近くに住む渡慶次保さん(74)も騒音で起こされ、睡眠不足で午前九時すぎまで自宅で横になっていた。「沖縄防衛局が嘉手納に移転しすぐに二度の未明離陸があった。何のために移転してきたのか。防衛局は住民の気持ちを自分の問題と感じて米軍に『飛ぶな』と言ってほしい」と注文した。

 同町内の保育所に子ども二人を送迎した同町砂辺に住む女性(31)は「子どもたちも戦闘機の騒音に驚いて耳をふさぎ、駆け寄ってくることもある。騒音さえなければ砂辺は住みやすい所なのに」と顔を曇らせた。

 嘉手納町民でつくる町基地対策協議会顧問の比嘉親紀さん(74)=同町水釜=は「きょうも早朝に騒音が鳴り響いた。町議会の抗議に、米軍側が応えてくれないことが歯がゆい」と悔しがる。

 同町屋良の仲本喜美子さん(61)=自営業=は「騒音は毎日のことなので、もう早朝でもうるさいと感じなくなっている。町に立派な防衛省の施設ができたが、騒音に苦しむ町民には何の補償もない。結局泣き寝入りだ」と怒りをぶつけた。

市民団体 強行を糾弾 抗議集会

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機などが未明離陸を強行したことを受け、沖縄平和運動センターと中部地区労は二日午後、嘉手納町の通称「安保の見える丘」で抗議集会を開いた。約八十人が参加し「早朝の飛行訓練糾弾」「住民生活の破壊を許さんぞ」とシュプレヒコールを繰り返した。集会開催中もF15などが爆音をたて飛び立った。

 同センターの山城博治事務局長は「四月二十三日以来の未明離陸の実施は、米軍が理由を問わず二十四時間、基地を運用することを宣言したもの。許すわけにはいかない。撤去に向けて頑張ろう」と呼び掛けた。

 中部地区労の池原誠事務局次長は「再三の要請にもかかわらず、住民をあざ笑うかのように戦闘機が離陸している。爆音はいいかげんにしてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805021700_02.html

 

2008年5月2日(金) 夕刊 1面 

知事、調査の意向/Yナンバー車庫証明

 仲井真弘多知事は二日午前の定例会見で、米軍人・軍属らの私有車両(Yナンバー車)の車庫証明がほとんど提出されていない問題について、「基地外に住む人は(車庫証明)を何ら出さない。不公平感は募ると思う」と指摘。「日米合同委員会の合意がどれくらいの縛りがかかっているのか、調べてみたい」と述べた。

 また、非婚(未婚)の母子家庭の女性が、寡婦控除を受けられずに所得が入居基準を上回ったとして県営住宅から退去を命じられている問題については「沖縄は(非婚家庭の)比率が高いと思う。退去を命じるのは、おかしいと私は思っている」と指摘。「担当課に詳しいことを聞いてみたい」と述べ、県営住宅入居の所得基準について再検討する考えを示唆した。

 六月に実施される県議会議員選挙には「私に対する評価だと思っている。(結果は)強烈に影響すると思う」と述べ、自らの「信任選挙」と受け止める考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805021700_03.html

 

2008年5月3日(土) 朝刊 1面

護憲26人 改憲17人/県議選72人アンケート

「議論すべき」29人/9条改正38人が反対

 沖縄タイムス社は憲法記念日を前に、六月八日投開票される県議選に立候補を予定している七十二人に対し、憲法改正の賛否、憲法九条改正の賛否、重視する県政の課題、米軍普天間飛行場など仲井真県政の基地政策の賛否などを聞いた。憲法改正については、野党中立の二十六人が反対を主張、賛成の十七人(与党十五人、野党中立二人)を上回った。賛否は示さずに改正論議をすべきだとしたのが二十九人(与党十八人、野党中立十一人)で最も多く、改正論議の必要性を訴える候補者が多かった。

 改正賛成で最も多かった理由(複数回答を含む)は、「新しい権利、義務を加えるべきだ」が十三人で、「自衛隊の位置付け、役割を明記すべきだ」八人、「集団的自衛権を認めるべきだ」三人と続いた。

 改正反対の理由(複数回答を含む)は、「平和の理念があり、世界に誇れる平和憲法」が二十三人で最も多かった。次いで、「軍事大国化の恐れがある」「国民の大多数の支持を得て、社会に根付いている」がそれぞれ三人だった。

 憲法九条改正については、与党八人を含む三十八人が反対の立場。賛成は二十三人(与党十九人、野党中立四人)だった。「議論をすべきだ」としたのは十一人(与党六人、野党中立五人)。

 改正反対の理由(複数回答を含む)としては、三十四人が「平和憲法の根幹を成す条文」を挙げた。「集団的自衛権の行使で戦争に巻き込まれる」の四人が続いた。

 賛成理由(同)は、「安全保障の現状に合わせ、自衛隊の存在と役割を明記すべきだ」が十九人と最も多く、「自衛隊の国際貢献を明記すべきだ」が五人だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805031300_01.html

 

2008年5月3日(土) 朝刊 27面

Yナンバー野放し状態/車庫証明取得義務

 米軍関係者の四分の一が基地外に居住する県内で、米軍人・軍属とその家族の私有車両(Yナンバー車)の大半が車庫証明書を取得しないまま自動車登録している問題が放置されている。基地外の車庫証明を義務付けると日米が合意して四年もたつのに、なぜ改まらないのか。背景には米兵の自己申告に任されている制度上の欠陥や、業界の認識の薄さなどがあるが、車庫証明の手数料を逃れているとの不公平感はぬぐえない。(上遠野郷、嘉数浩二)

 国土交通省の資料によると、今年一―三月に県内で登録されたYナンバー車三千三十九台のうち、車庫証明書が提出されたのはわずか四台。県内の米軍関係者約四万五千人の四分の一が基地外に居住している実態とかけ離れている。

 車庫証明書は所轄の警察署が発行し、県内では手数料二千七百五十円(普通車)がかかるが、Yナンバー車は車庫の場所を「基地内」と申請すれば車庫証明書なしでも登録が認められる。本当に基地内に車庫があるのかを証明する義務はなく、沖縄総合事務局は「窓口で申請の真偽を確認するすべはない」と話す。

 手続きは自動車販売業者で代行することが多いが、沖縄市の販売業者は「米兵に車庫証明の手続きを求めることはない」と言い切る。

 北谷町の業者は「米兵相手では身元がはっきりしているかが重要。所属部隊さえ分かれば、本当の住所が基地の中か外かなんて深く追及しない」と明かした。

 米軍関係者向けの物件を扱う北谷町の不動産業者は「彼らは駐車場付き物件を借りるが、(車庫証明書取得に必要な)駐車場の使用許諾証明書が欲しい、という申し出はほとんどない。車庫法の存在すら知らないんじゃないか」と話す。

 北谷町・宮城海岸そばの「米軍住宅街」。二日夜、付近には五十メートルほどの間に十四台のYナンバー車が路上駐車していた。空き地などにも計十五台がとまる。

 町内にいた若い米兵三人に「車庫証明の取得義務を知っているか」と聞くと、顔を見合わせて「分からない」。別の男性は「聞いたことがない」と答えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805031300_02.html

 

2008年5月3日(土) 朝刊 1面

F15きょうも早朝離陸

 【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は二日、米本国での演習参加のため、同基地所属のF15戦闘機が三日午前六時ごろ離陸する、と発表した。具体的な機数は明らかにしていない。当初は二日に予定していたが、「空中給油機の支援を得ることが困難になったため」延期したという。休日を含む二日連続での未明、早朝離陸に、住民の反発が高まりそうだ。

 同基地報道部によると、夏場は同基地を午前六時ごろまでに離陸すれば、目的地の米アラスカ州には日照時間内に着陸することが可能という。二日は当初、五時二十分ごろと同六時ごろの二グループに分け、離陸を予定していたという。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は、二日に実施された未明離陸について二日午後、幹事会を開き、九日にも嘉手納基地や沖縄防衛局、外務省沖縄事務所に直接抗議する方針を決めた。

 三日の早朝離陸については、午後十時から翌日午前六時の飛行を制限する騒音規制措置が守られる見込みのため、状況を見極めて対応を決める、としている。

 野国会長は「午前六時を過ぎても朝早いことに変わりない。連休中でもあり、眠っている人も多いはずだ。措置の範囲外だから容認ということにはならない」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805031300_03.html

 

2008年5月3日(土) 朝刊 26面

平和外交で日本示せ/きょう那覇で憲法講演

 アフガニスタンや東ティモールなど世界の紛争地域で、武装解除に取り組んできた自称「紛争屋」の伊勢崎賢治・東京外国語大学大学院教授(平和構築・紛争予防講座長)が三日、那覇市民会館で開催される憲法講演会に登壇する。イラク戦争を契機に、憲法九条の価値を見いだすようになったという伊勢崎さん。「今の日本に九条はもったいない」と苦言を呈する。

 武力で平和は絶対につくれない。ただ目の前で行われている虐殺を止めるなど、国際貢献には武力介入が必要な場面もある。中立的な武力が必要だったアフガンで、なぜ自衛隊が貢献できないのかという疑問があった。憲法の前文には積極的な国際貢献がうたわれているが、九条が足かせになっているのではないか。なんとかしなければという思いがあった。

 イラクへの自衛隊派遣は、単なる政局劇。国連決議もなく、世界の半数が反対したイラク戦争に大義はなく、何よりも軍事的なニーズがない。内向きな政局によって自衛隊が使われるのは、国威高揚のためだ。それなら第二次世界大戦の時と何も変わらない。ふがいない日本政府にブレーキをかけられるのは、九条しかないと思うようになった。

 日本の九条は世界でほとんど知られていない。日本は官民ともに、とりわけ近隣諸国にPRしてこなかった。人畜無害さを国防力にするという観点があれば、もっと積極的になるはずだ。九条を防衛力として認識していない。自分たちのためにも、世界のためにも活用していない。今の日本に九条はもったいない。

 国際協力をしたいが九条のせいでできないと言っている人は、外務省の中にも結構多い。彼らをこちら側につけるためには、九条を国際貢献に利用していく証拠を示す必要がある。日本のイメージを生かした平和外交をもっと売るべきだ。(粟国雄一郎)

 講演会は午後一時半から那覇市民会館で。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805031300_07.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年5月3日朝刊)

[憲法を考える(上)]

9条を「国際公共財」に


 二国間同盟を維持する上で最も大切なのは「相互の信頼」だといわれる。信頼とは、してほしいと相手国が望んでいることをすることだ。

 「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(地上部隊の派遣)という米国の要求にこたえて小泉政権は、いち早くブッシュ政権支持を表明し、急ごしらえの法律に基づいて自衛隊をイラクに派遣した。

 だが、大量破壊兵器は発見されず、フセイン政権がアルカイダに協力したことを示す証拠も見つからなかった。中東を民主化するというもくろみも「アメリカ的価値の押し付け」だとイスラム世界の激しい反発を招いた。

 イラク攻撃は国連憲章違反の疑いが濃厚である。米国でも「誤った戦争」だとの評価が定着しつつある。問題は「毒を食らわば皿まで」の姿勢に終始する日本の外交・安全保障政策だ。

 イラク国内の戦闘地域と非戦闘地域の区別を問われ、小泉純一郎首相は「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」と答えた。

 航空自衛隊によるイラクでの空輸活動は憲法九条に違反するとの名古屋高裁の判決に対し、田母神俊雄航空幕僚長はちゃかすように答えた。「私が(隊員の)心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」

 この発言からは憲法九九条の「憲法尊重擁護義務」を守ろうとする姿勢が全く感じられない。戦前の歴史をひもとくまでもなく、指揮官が平気でこのような物言いをし始めるのは危険である。ここに見られるのは憲法九条に対する根深いシニシズム(冷笑主義)だ。

 在日米軍はすでにして安保条約の枠を超えた活動をしている。事前協議制は空文化し、極東条項も、あってなきがごとき状態だ。憲法九条だけでなく安保条約さえも、現実との乖離がはなはだしい。

 米国が日本に求めているのは、日米同盟を米英同盟のような同盟関係に変えることである。もっと言えば、集団的自衛権が行使できるように日本の法制度を変えることだ。

 だが、想像してみよう。もし、九条がない状態でイラク戦争を迎えていたら、どうなっていたか。米国の国家戦略に従って海外に軍隊を派遣し共に血を流して戦う―そのような同盟関係を築くことがほんとうに望ましい日本の未来像だといえるのか。

 九条改正や同盟強化を言う前に、F15戦闘機の未明離陸をなんとかしてもらいたい。それが嘉手納基地周辺住民の心境だろう。

 沖縄戦から六十三年がたつというのに沖縄は今もって「戦後ゼロ年」(目取真俊さん)のような状況にある。米軍駐留を維持するための施策が社会構造までいびつにしてしまった。

 憲法前文と九条に盛り込まれた平和主義と国際協調主義は、戦争体験に深く根ざした条項であり、沖縄の歴史体験からしても、これを捨て去ることはできない。

 ただ、護憲という言葉に付着する古びたイメージを払拭するには、護憲自体の自己改革が必要である。九条を国際公共財として位置づけ、非軍事分野の役割を積極的に担っていくことが重要だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080503.html#no_1

 

琉球新報 社説

憲法記念日 今こそ理念に輝きを 2008年5月3日

 きょうは憲法記念日。1947年5月3日の施行から61年を迎えた。この間、憲法は日本の平和と国民の人権を守る砦(とりで)の役目を担ってきた。だが、いま日本は「違憲」の国になりつつある。憲法を取り巻く動きを検証した。

 戦前の大日本帝国(明治)憲法と、戦後の日本国憲法の大きな違いは主権在民。つまり、天皇主権から国民主権への転換だ。新憲法は天皇を国の「象徴」とし、「主権が国民に存する」と宣言した。

 戦前。国民は「天皇の赤子」だった。天皇のために国民は命を賭して国を守り、そのために多くの国民が戦争の犠牲になった。


司法判断無視の政府

 その反省から、憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意」し、第9条は「戦争の放棄」「戦力の不保持」を明記した。

 しかし、現実は自衛隊という紛れもない「軍隊」を保持し、海外に派遣している。

 ことし4月17日、名古屋高裁はイラクに派遣された航空自衛隊の空輸活動が「他国の武力行使と一体化し、憲法9条に違反する」との判断を下した。

 だが、政府は「違憲」判断を事実上無視し、自衛隊の派遣を継続している。

 憲法は国の最高法規で「その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」と、第98条は定めている。

 そして第99条は、大臣や国会議員、公務員らは「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と明記している。

 法治国家のはずの日本で最高法規の憲法を守らず、従わず、尊重せず、「違憲」行為を重ねる政治が行われている。

 尊重どころか改憲論議も加速している。焦点は常に「9条」で、軍隊の保有が改憲派の主な狙いだ。

 政権与党の自民党は立党50周年を機に2005年11月に新憲法草案をまとめている。

 草案は憲法前文から「国家不戦」の決意を削除。「戦争の放棄」を「安全保障」に変更し、「自衛軍の保持」を明記。国内のみならず国際任務での自衛軍の活動を盛り込んでいる。

 安倍晋三内閣の下で、すでに憲法改正をにらんだ国民投票法を成立させている。

 自民党と連立を組む公明党は、9条を維持しながらも「新たな人権」を盛り込む「加憲」論に立つ。

 野党最大の民主党は改憲、護憲の両勢力が党内で拮抗(きっこう)する中で、自由闊達(かったつ)な憲法論議を是とする「論憲」「創憲」論を展開している。これも突き詰めると「改憲」の流れにある。

 「護憲」勢力の社民党や共産党は、平和憲法の趣旨の徹底を目指す「活憲」論で迎え撃つなど、攻防は水面下で激しさを増している。


護憲のうねりつくろう

 最近の映画「靖国 YASUKUNI」の上映をめぐる動きも憲法論議に発展した。

 文部科学省は国会議員らの要求で、同映画の試写会を行った。試写後、主要シーンの削除や上映禁止を求める動きが議員らから出た。

 憲法は言論の自由、出版など「表現の自由」(第21条)を保障し、検閲を禁じている。「靖国」をめぐる動きは事前検閲や表現の自由を侵害する「違憲」行為にも映る。

 沖縄の現状はどうか。戦後、沖縄が平和憲法の庇護(ひご)の下に入ったのは1972年の本土復帰後だ。

 それまでの米軍統治下の沖縄では国民主権はおろか「自治は神話」とまで言われ、基本的人権は保障されず、多発する米軍犯罪の被害に泣き、銃剣とブルドーザーで家や土地を奪われ、財産権を侵害され続けてきた。

 いま、沖縄は日本に復帰し平和憲法の下にある。それなのに「法の下の平等」に反する米軍基地の過重負担、深夜早朝の爆音被害、実弾演習被害、有害物質の流出や禁止兵器の使用、そして繰り返される米兵犯罪で「平和的生存権」が侵害され続けている。

 条文だけの憲法は役に立たない。尊重し、守り、守らせてこその立憲・法治国家である。

 人権や自治のない米軍統治下で平和憲法を希求し、本土復帰運動を展開した沖縄である。

 失われつつある平和憲法の理念を問い掛け、順守し、実効性を取り戻す運動を沖縄から始めたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131736-storytopic-11.html

 

2008年5月4日(日) 朝刊 1面

Yナンバー車 協議休眠/日米合同委

事件・事故続発で

 【東京】二〇〇四年の日米合同委員会で、Yナンバー車の車庫が「基地外」にある場合に車庫証明書の提出を義務付けることで合意した際、「基地内」の車庫証明書提出についても特別分科委員会を開いて議論することを確認したにもかかわらず、日米協議が事実上の“休眠状態”となっていることが三日、分かった。

 関係者によると、〇四年七月二十日の日米合同委員会後、八月十三日に米軍普天間飛行場所属のCH53大型輸送ヘリコプターが沖縄国際大学に墜落する事故が発生。同分科委の関係者らは事故対応に追われ、「基地内」車庫の証明書に関する協議が困難になった。

 その後も相次いだ事件・事故に対応する中、この四年間でメンバーも変わったなどの理由から、Yナンバー車に関する協議は進展していないという。

 合同委合意では、車庫が「基地内」にある場合の取り扱いについて、「少なくとも二週間に一回、日米合同委員会合意の見直しに関する特別文化委員会を開催することにより、引き続き集中的な議論を続けていく」と明記している。

 報道発表資料には「一定の場合(基地外の場合)について関連法令の適切な運用が確保されることとなったが、政府としては全体として早急に確保されるよう、引き続き米側と鋭意協議していく」とのコメントも添付していた。

 外務省は同分科委について「詳しい開催日程は言えないが、随時開催している」としつつ、「今は二週間に一回のペースでは開かれていない」と、合意が守られていない事実を認めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805041300_02.html

 

2008年5月4日(日) 朝刊 1面

F15など早朝離陸強行/嘉手納計11機

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計十一機が三日午前六時すぎ、米アラスカでの演習に参加するため同基地を離陸した。

 嘉手納基地では前日の二日午前五時すぎに未明離陸が行われたばかり。

 嘉手納町屋良では三日午前六時十九分ごろに最高値九三・七デシベルを計測するなど、ゴールデンウイークの早朝に騒音が響いた。

 F15戦闘機は同基地の南側滑走路を使用し、午前六時十三分から同十九分までの間、断続的に十機が沖縄市方面に離陸した。

 同二十分ごろにはKC10空中給油機一機が、北側滑走路から北谷町方面に飛び立った。嘉手納町職員が同町屋良の通称「安保の見える丘」で携帯測定器を使って調べた結果、最大騒音はF15が九三・七デシベル(騒々しい工場内に相当)。KC10は九一・八デシベルだった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805041300_03.html

 

2008年5月4日(日) 朝刊 23面

紛争予防 9条が力/憲法記念日で伊勢崎氏講演

 憲法記念日講演会が三日、那覇市民会館で開かれ、国連などから派遣され、世界の紛争地域で武装解除を指揮してきた伊勢崎賢治・東京外国語大学大学院教授が登壇した。大量虐殺など、既に起こっている重大な人道的危機には、武力介入が必要な場面があるとしながら、国際社会には紛争の予防に取り組む責務があることを強調。中立的に紛争当事者の間に立てるのは「九条を守る日本に一番の可能性がある」と呼び掛けた。

 伊勢崎さんは、百日間で八十万人が虐殺されたアフリカ・ルワンダの民族紛争や、十年間の内戦で五十万人が犠牲になったアフリカ・シエラレオネの実情を挙げ、「アフリカでは、十万人単位で人が死なないと、国際社会は動かない」と指摘。市民が大量に殺されるような現場には、武力介入を含めた「保護する責任」があると訴えた。

 一方で、外務省の依頼で約六万人の武装解除に成功したアフガニスタンでは、武装した自衛隊の関与が一切なかった点を強調。新テロ対策特別措置法で、海上自衛隊がインド洋での補給活動を継続していることを批判し、「政権与党や外務省は、武装に非武装でかかわるアフガンの経験をまったく学んでいない」と、苦言を呈した。

 紛争の予防には、国際社会の継続的な注意と関心が必要だが、世論の興味はしばしば薄れがちで、予防的援助は武力介入より難しいと指摘。「言うはやすしだが、やらなければならない。日本は九条の活用を重要な責任として考える必要がある」と結んだ。

 講演会は、県憲法普及協議会と沖縄人権協会、日本科学者会議沖縄支部が主催。主催者発表で約千百人が聞いた。


現場経た平和論に耳傾け


 「憲法九条は日本の防衛力」。三日に那覇市で開かれた憲法講演会で、伊勢崎賢治・東京外国語大学大学院教授は「九条によって日本は紛争に非軍事的にかかわれる」と訴えた。講演を聴いた市民らは「新鮮だった」「武力を認めるなんて」とさまざまな反応を見せた。

 宜野湾市の嘱託職員・平田佳奈子さん(25)は「分かりやすかった」と好意的。九条は日本が戦争するのを防ぐものと考えていたが、「他国の紛争解決に九条を生かすという考えが新鮮だった。単なる平和論より説得力がある」と話した。

 講演を聴いていたスリランカ人のディリープ・チャンドララール・沖縄大教授(55)は「武力だけで平和は実現しないが、狭い理想だけでも平和は実現しない。平和運動を若い世代に広げていくためには参考になる視点だろう」と話した。

 一方、那覇市の主婦(43)は、「紛争解決に必要な武力もある」とした伊勢崎さんの主張に「違和感がある。誰が必要、不必要を判断するのか」の声もあった。


9条改定求め 県民会議発足


 自主憲法制定国民会議の県支部となる「自主憲法制定沖縄県民会議」(亀川正東会長)が三日、正式発足し、那覇市内のホテルで「新しい憲法をつくる県民の集い」を開催した。約百人が出席した。

 集会では、北朝鮮による日本人拉致や核問題、近隣諸国との領土問題を挙げ、「憲法九条を改めない限り国際貢献、国家の平和と安全は守れない」とし、早急な自主憲法制定を要請する決議を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805041300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年5月4日朝刊)

[憲法を考える(下)]

貧困と格差が尊厳奪う


 憲法は今、自分の無力を嘆き悲しんで泣いているのではないか。そう思わせるような暗たんとしたニュースがこの数年、目立って増えた。

 北九州市で二〇〇六年五月、独り暮らしの男性(56)が職を失って生活に窮し、電気、水道、ガスのライフラインを止められ、生活保護も受けられずに死んだ。

 同じ北九州市で〇七年七月、生活保護を受給していた独り暮らしの男性(52)が生活保護を「辞退」したあとしばらくして飢餓状態で死んだ。「オニギリ食べたい」という言葉を日記に書き残して。

 山形市で〇八年四月、五十八歳の無職の男性と八十七歳になる母親が死んだ。無理心中だとみられている。

 後期高齢者医療制度(長寿医療制度)がスタートしたことで男性は「母親の年金から保険料が天引きになって生活が大変」だと周囲に漏らしていたという。実は母親の保険料は激変緩和措置で九月までは年金から天引きされない。男性は母親が免除対象になっていたことを知らずに無理心中を図った可能性があるという。

 低所得者ほど実質的負担が高くなるという「負担の逆進性」が強まっている。

 県内で生活保護を受けている人は〇五年から三年連続で過去最多を記録した。

 国民健康保険料の長期滞納で保険証が使えなくなり、医療を受けたくても受けられない人たちが全国的に増えている。

 貧困と格差の広がりが社会全体をむしばみ、人間としての尊厳まで奪いつつある。

 憲法第二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めている。生存権を保障したこの規定は今、かつてない深刻な試練に立たされている。

 〇六年四月、生活保護の老齢加算が廃止され、〇七年四月には母子世帯の母子加算も見直された。低所得者の生活費よりも高いとの理由で厚生労働省は生活保護費の引き下げを検討している。

 受給対象者の増加が国や地方自治体の財政を圧迫しているのは確かだ。だが、ない袖は振れないと保護水準を切り下げたり、生活保護を受けたくても受けられないケースが多発している現状は、生活に困っている人たちの「最後の命綱」を奪いかねない。

 労働、教育、医療などの分野で今、起きているのは「負の悪循環」というほかないような事態である。

 昔の「貧乏」と今の「貧困」は、どこかが違うような気がする。その違いをうまく言い表すことはできないが、昔の「貧乏」には「ぼろは着てても心は錦」のような未来への可能性と希望が満ちあふれていたのではないか。

 希望の持てない社会は、相互の紐帯が弱まり、不安定なバラバラの社会になる可能性がある。

 「すべて国民は、個人として尊重される」。前段で個人の尊重をうたった憲法第一三条は、後段で幸福追求に対する国民の権利について「国政の上で

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080504.html#no_1

 

2008年5月5日(月) 朝刊 19面

大戦の遺品 妹へ/NPO法人通じ米兵返還

 太平洋戦争に陸軍中尉として従軍し、フィリピンで戦死した鹿児島県出身の吉原義則さん(享年二十七歳)の個人認識票がこのほど、「NPO法人戦没者を慰霊し平和を守る会」(佐賀県、永田勝美理事長)を経て、妹の吉原アサミさん(78)=宮崎県在住=に返却される。

 名前と番号が彫られた認識票は、戦争当時フィリピンにいた、元米国陸軍所属の故ホレス・トンプソンさんが米国で保管していたもの。人づてにうるま市の米海兵隊員、ランディ・トーマスさん(24)に返還を託された。

 四日、認識票は那覇市内でランディさんから同会の塩川正隆副理事長に手渡された。塩川副理事長は「名前があったのが大きかった」と、スムーズな遺族の発見を喜ぶ。ランディさんは「協力できて光栄だ」とほっとした笑顔を見せた。

 アサミさんは、「今まで残っていたのが不思議。久しぶりにアルバムを開き、りりしかった兄の写真を見たくなった」と、形見を待ちわびている。

 認識票は今月、アサミさんの元へ届けられる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805051300_02.html

県内大学教授らがシンポ、新基地建設は不要 沖教組教育研究所、「集団自決」で資料集 瑞慶覧58号沿い返還へ 沖縄市議会、未明離陸に抗議決議など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月28日から30日)

2008年4月28日(月) 朝刊 2面

新基地建設は不要/県内大学教授らがシンポ

 シンポジウム「押しつけられた常識を覆す―安保・開発・環境の視点から」(主催・「いまこそ発想の転換を!」実行委員会)が二十七日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。県内の大学教授三氏が登壇し、名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部で進む米軍普天間飛行場の代替施設建設に反対した。

 実行委員長の宮里政玄沖縄対外問題研究会代表は「辺野古の新基地は大きな問題を抱えているが、十分な検討がされていない。沖縄は危機的状況」と懸念。沖縄の基地、振興開発問題について“政府の世界観”ではない新たな視点で討論することを呼び掛けた。

 「沖縄に新基地は不要」をテーマに報告した我部政明氏(琉大教授)は、沖縄の海兵隊の戦略的重要性はなくなったと指摘。在日米軍が一九九六年に作成した「普天間飛行場の嘉手納基地への統合に関する実現可能性についての技術評価書」を提示し、「米側の論理に沿っても、沖縄の海兵隊が必要というのは、SACO(日米特別行動委員会)最終報告前の話となった。嘉手納を補完する役割としての普天間はいらなくなった」として代替施設不要論を説いた。

 「振興開発は経済と自治を破壊する」と報告したのは島袋純氏(琉大教授)。「高率補助システムの振興開発制度は、日本の保守利益還元政治に沖縄を組み込むものだった」と述べ、高率補助により沖縄の自治は脆弱化したと指摘した。

 会場からは「経済が自立すれば豊かになるというのが今までの常識だった」という問いがあったが、「それの逆。政治的自立があって豊かになる」との持論を展開。イギリスのマン島、フランスのコルシカ島、マルタを例に、政治的自治強化の必要性を唱えた。

 桜井国俊氏(沖大学長)は「辺野古新基地は沖縄の未来を奪う」をテーマに、持続可能な開発の重要性を強調。「代替施設建設のため、沖縄で年間採取量の十二倍に当たる千七百万立方メートルの海砂が取られれば、観光も成り立たなくなる」と訴えた。

 海砂採取や構造物建設で海流が変化する例が少なくないことを指摘しながら、「環境の視点から見た沖縄の生態系状態はカタストロフィー(破局)に近い。新基地建設を許せば海がなくなり、沖縄は生きていく基盤を失う」と危惧した。

 フロアから「次は経済学者も入れて、徹底的に議論して知恵を集めてほしい」などの声が上がった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804281300_04.html

 

琉球新報 社説

56回目の4・28 「主権」を考える1日に

2008年4月28日

 沖縄には独自の記念日がいくつかある。語呂合わせ的な設定ではなく、歴史的な出来事があった日という意味では、5月15日の「本土復帰記念日」と、県条例で休日の定めがある6月23日の「慰霊の日」が代表格だろう。

 近年だと、米兵による少女乱暴事件に抗議する県民大会が開催された1995年10月21日や、教科書検定意見撤回を求める県民大会の昨年9月29日が、それぞれ「10・21」「9・29」デーとして県民の記憶に刻まれ、繰り返し思い起こすに違いない。

 そんな中で、忘れ去られそうな日がある。対日講和条約(サンフランシスコ平和条約)が発効した1952(昭和27)年4月28日で、県民にとっては“屈辱の日”ともされる「ヨンテン・ニーハチ」だ。

 56年前のこの日、米ワシントンで対日講和条約の批准寄託式が開かれ、条約は発効した。敗戦に伴う連合国軍の占領統治が終わり、日本は6年8カ月ぶりに独立を回復したが、米軍の日本駐留を認める日米安全保障条約(旧安保条約)も同時に発効したため、沖縄は米国統治下に入り、異民族支配が始まった。

 日本から切り離された沖縄の屈辱と犠牲の日々は、筆舌に尽くし難い。1972年になって悲願の祖国復帰を果たすが、広大な米軍基地の大半は残り、米兵らによる凶悪な事件、悲惨な事故は後を絶たない。「4・28」はまさに、戦後沖縄の運命と苦難の歩みを決定付けた日といえる。

 県民は半世紀余にわたり、人権を踏みにじられ、過重な負担を強いられてきた。この状況から脱したいと願うなら、安保体制や日米同盟の負の部分を検証し、正していく姿勢が求められる。

 講和条約発効の日については、日本が主権を取り戻したとの位置付けで「祝日にすべきだ」との主張も政界にくすぶる。だが、憲法の恩恵に十分に浴さない今日の沖縄に思いを致せば、祝賀ムードとはいくまい。それよりも「主権とは何か」を、あらためて国民一人一人が考える1日にしたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131574-storytopic-11.html

 

2008年4月28日(月) 夕刊 1・5面

初の通年工事開始/泡瀬埋め立て

 【沖縄】中城湾港泡瀬沖合を埋め立てる国の二〇〇八年度の事業が二十八日午前、始まった。四月からの通年工事は初めてで、工事の準備として重機の搬入と組み立て作業が行われた。今後、国は埋め立て地を囲む護岸の内側に砂や石材を投入するほか、八月以降に仮設航路と泊地の浚渫工事を計画している。県は八月以降に人工ビーチの突堤造成を始める予定。

 〇二年に始まった埋め立て事業で、国はこれまで四―七月はトカゲハゼの産卵期に当たるとして、環境アセスメントの規定に従い工事を中断していた。しかし外周護岸によって〇七年度に埋め立て予定区域が区切られた状態になったことから、護岸内側での作業では、トカゲハゼへの影響はないと判断。事業者の沖縄総合事務局が通年工事の方針を示していた。

 同事務局那覇港湾・空港整備事務所の津田修一所長は「専門家の意見が反映された環境影響評価書に基づいて実施している。八月までは護岸の内側の作業で、海上作業はない」と説明。水質とトカゲハゼへの影響を監視するモニタリング調査を行い、環境に配慮して事業を進めると強調した。

 同事業をめぐって、環境への影響を訴える反対派の住民らが、県と沖縄市に公金支出の差し止めを求める訴訟を起こしており、二十三日に最終弁論が行われた。

 また〇七年十二月には沖縄市の東門美津子市長が「工事中の第一区域(約九十六ヘクタール)は推進、第二区域(約九十一ヘクタール)は推進困難」との考えを初めて発表。埋め立て後の土地利用計画が今後の課題となっている。


     ◇     ◇     ◇     

「完成早く」「不当事業」/推進・反対両派が集会


 【沖縄】「一日も早い完成を」「不当な公共事業だ」。泡瀬沖合の埋め立て事業が通年工事として始まった二十八日午前、事業の推進、反対両派は、埋め立て地につながる仮設橋梁入り口でそれぞれ集会を開いた。横断幕を広げてこぶしを上げ、拡声器を使って事業の歓迎や中止を訴えた。

 泡瀬地域の住民らでつくる推進派団体「プライド泡瀬」の當真嗣蒲会長は「視察や事業者の説明を通して、環境に十分配慮された工事と分かり、通年工事を歓迎している。長年の夢である人工島がスポーツのメッカとなるような施設を誘致したい」と完成後の発展を期待した。

 市内の団体などでつくる沖縄市東部海浜リゾート開発推進協議会の仲村富吉会長は「(事業は)市の経済や観光が発展する基盤づくりになる。工事を進め、一日も早く完成させてほしい」と話した。

 泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男共同代表は「トカゲハゼの産卵時期に工事をしない約束にもかかわらず、独断で再開するのは暴挙だ。既成事実を積み上げようとしている国に対して怒りを感じる。県民のよりどころである自然を壊すことは、観光資源を失うことにもなる」と工事の中止を求めた。

 抗議に参加した中石清重さん(83)=城前町=は「自然を壊す埋め立てがなぜ必要なのか。お金が一番という考えではなく、子や孫の世代に何を残せるのか考えてほしい」と呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804281700_01.html

 

2008年4月28日(月) 夕刊 5面

「未明」改善に難色/北谷議会抗議に米基地広報局長

 【北谷】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が未明離陸した問題で、北谷町議会(宮里友常議長)は二十八日午前、同基地を訪れ、運用上の理由や訓練に伴う深夜・早朝離陸を一切行わないよう抗議した。

 宮里議長によると、対応したジョン・ハッチソン広報局長は「(離陸時間を)なるべく明け方にするよう配慮している。運用上の問題があり、今後未明離陸を行わないとは約束できない」として要望には応えられない意向を示したという。

 また同議会がグアムなどを経由し未明離陸を回避するよう求めたことには、「グアムにはF15をメンテナンスする隊員がおらず難しい。日数もかかる」と述べたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804281700_05.html

 

2008年4月29日(火) 朝刊 27面

「集団自決」で資料集/沖教組教育研究所

授業例・記述変遷盛る

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制が削除された教科書検定問題を受け、沖教組教育研究所(大浜敏夫所長)はこのほど、同問題を取り上げた授業実践例や、教科書会社ごとの「集団自決」記述の変遷など、一連の動きをまとめた資料集「沖縄戦『集団自決』と教科書問題」を作成した。同研究所は「小中高校で幅広く活用してほしい」と呼び掛ける。(嘉数よしの)

 検定問題に危機感を抱いた教員らが、「授業で正確に沖縄戦を伝えていかなければならない」と企画。小中学校の教諭三人の授業実践例が盛り込まれた。

 東村立東中学校の北島幸三教諭は昨年、三年生が検定意見の撤回を求める意見書の可決を同村議会に請願したことを、生徒の意見とともに報告。那覇市立城東小学校の下地史彦教諭は、小中高校の教科書の沖縄戦の記述を読み比べながら、児童に学びたい教科書を選んでもらった例を挙げた。

 授業で活用しやすいように、一九八二年に日本軍による住民虐殺の記述が削除された問題など、沖縄戦の実相が歪曲された教科書検定の経緯をまとめたパワーポイントをCDに収録。

 戦後の教科書問題の経過や新聞記事、県内外の市町村議会が可決した意見書すべてを盛り込んだほか、慶留間島の「集団自決」をテーマにした絵本「松三の島」も収録した。

 同研究所の平和教育シリーズの第四集として、四年ぶりの発刊。山本隆司事務局長は「教科書問題について学校教育で関心を高めたい。小中学校の検定を前に、教科書問題を理解してもらいたい」と語る。

 研究所は今後、沖縄戦についての授業計画も作成する予定。教員のアイデアを募っている。

 資料集は県内の小中学校に配布されるが、県外の教員へも活用をアピール。興味のある教員らに実費で譲る。問い合わせは同研究所、電話098(867)0161。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804291300_04.html

 

2008年4月29日(火) 朝刊 2面

鳥島の実弾回収せず/海兵隊「人命に危険ない」

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が久米島町の鳥島射爆撃場の提供水域外に五百ポンド爆弾を誤投下した問題で、在沖米海兵隊報道部は二十八日、沖縄タイムスの取材に対し、「実弾を回収する計画はない」と述べた。県は速やかな撤去を求めていた。

 同報道部は、爆弾が海面へ着弾した際の衝撃で爆発した可能性はほとんどないとし、「深度約千四百メートルまで沈んだと思われ、人命や財産への危険の可能性はない」と説明した。

 誤投下の原因については引き続き、調査中と述べるにとどまった。

 当該機の所属部隊については、「運用上の理由から明らかにできない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804291300_06.html

 

2008年4月30日(水) 朝刊 1面

瑞慶覧58号沿い返還へ/米軍再編合意2年

 在日米軍の再編に伴い、米海兵隊のキャンプ瑞慶覧(約六百四十ヘクタール)の国道58号沿い地区(北谷町、宜野湾市)の返還について日米で合意していることが、二十九日までに分かった。沖縄タイムスの取材に、ケビン・メア在沖米国総領事が明らかにした。米軍再編最終報告(ロードマップ)の日米合意から五月一日で満二年になるが、瑞慶覧の返還部分が明言されるのは初めて。合意された返還部分は約百ヘクタールになるもようだ。

 メア総領事は「国道58号沿いのインダストリアルエリア(工業地区)は(返還しても)問題ない」と明言。日本側は過半の約三百二十ヘクタール以上の返還を求めるが、「グアム移転と関連するので沖縄に残る家族用住宅の需要を調整している。大規模な返還が期待できると思う」との見通しを示した。

 キャンプ瑞慶覧は、ロードマップに盛り込まれた「嘉手納以南六基地」の返還交渉で唯一、返還規模が確定していない。国道58号東側は、倉庫群やモータープールなどが並ぶ工業地区となっている。

 一方でメア総領事は、仲井真弘多知事が求める普天間飛行場の「三年内をめどとした閉鎖状態」の実現について「(代替施設完成までは現在の)能力を維持する必要があるので、三年間ではできない。普天間周辺の住民の懸念を解決するためには早く移設するしかない」との見解をあらためて強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804301300_02.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月30日朝刊)

[「泡瀬」通年工事]

ハゼへの影響が心配だ


 埋め立て工事が行われている近くで潮干狩りをし干潟の生物を観察している側からすると、工事の進捗はやはり気になる。

 工事による振動がもたらす影響は本当にないのかどうか。第一区域を取り巻く護岸の工事が海域の潮目を変えたのは明らかで、それが干潟の生態系を変化させたのではないか、ということもだ。

 「干潮時に沖合に広がる砂州は工事前はもっと小さかったし、干潟に流れ込む河口付近に砂がよくたまるようになった。これは潮の流れが変わったからではないか」

 二十年ほど前に泡瀬通信施設の近くに移り住み、施設横の干潟で犬を散歩させる住民の声である。

 東部海浜開発事業検討会議の委員らが提出した報告書では、干潟の魚類三種、甲殻類十一種、貝類九十九種(うち絶滅危惧種四十一種)の合計百十三種が希少動物として位置づけられている。

 私たちが心配してきたのは、工事がこれらの生物に負担がかからないように配慮されてきたかということである。

 かつては干潟のあちこちでトカゲハゼが観察でき、大きな赤貝などが採れた。だが、今では意識しなければとても見つけることはできない。よく釣れたチン、キスもまた数が減っているのが実情だ。

 流れ込む生活排水ももちろん一因といっていい。だが、もし埋め立て工事の影響が大きいのなら、そのことを事業者はもっと真摯に受け止めるべきであり、その事実に目を閉ざしてはなるまい。

 沖縄総合事務局が二十八日から始めた二〇〇八年度の工事に対する懸念はその点にある。工事が既に囲われた護岸の内側に土砂を運び込む作業であることは分かる。

 しかし、だからといって、大型トラックの騒音や土砂を固める際の振動が、この時期に始まるトカゲハゼの産卵行動に影響しないと言い切れるのかどうか。

 もし断言できないのなら、ここは一歩引いて当初計画通り「四月から七月は工事を行わない」という手順を守るべきではないだろうか。それが貴重なトカゲハゼを守る手だてになると思うからだ。

 自然環境についての地域住民の感情は、計画を決めた時とは明らかに違ってきている。それは、世界にも誇れる干潟の自然を維持し、絶滅の危機にひんした動植物を守ることに人々が責任を覚えるようになったからだといっていい。

 開発推進派や事業者も環境の重要性は認識しているはずだ。海域に広大な人工島を造るからこそ、周辺の自然保護にきちんと向き合っていくことが大切なのである。

 国は今回の工事が「浚渫工事や汚濁防止フェンスを張るなどの海域工事」には当たらないという。保全計画を守ればトカゲハゼの生態には影響ないとも答えている。

 本当にそうだろうか。専門家の意見を聞こうとせず、自ら検証もしないのであれば実態は分からないのではないか。

 生態系は一度壊れたら、元に戻すには相当な年月がいる。それゆえに、環境の保全には万全を期すべきなのである。簡単に「影響ない」というのでは、繊細な生態系を守ることへの不安を残すだけだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080430.html#no_1

 

琉球新報 社説

防衛省改革 文民統制の崩壊が心配だ

2008年4月30日

 日本軍の復活と軍部による官邸支配をほうふつとさせる動きが、水面下で進んでいる。自民党の防衛省改革小委員会の論議のことだ。不祥事続きの防衛省改革のはずが、改憲と制服組の発言力と活動の強化を求める「提言」が出てきた。文民統制も崩壊しかねない。警戒したい。

 自民党政務調査会と安全保障調査会、防衛省改革小委員会が24日にまとめた「提言・防衛省改革」に驚いた人も多いであろう。

 そもそも論議は、護衛艦による漁船衝突事故やイージスシステムの特別防衛秘密流出、テロ対策特措法に基づく給油量の取り違え、前次官による贈収賄事件など、頻発する防衛省不祥事の再発防止が目的のはずだった。

 ところが、出てきた「提言」は、冒頭から省改革の「最も重要な前提は、憲法改正である」とし、自民党改憲草案の早期実現を求めている。

 軍部の暴走による侵略戦争の反省から、戦後は武力の放棄、戦力の不保持を憲法で定めている。

 だが、その後の警察予備隊から始まる自衛隊という事実上の「軍隊」の復活を受け、「文民統制」の徹底が国是とされてきた。防衛省内では武官(軍人)を「制服組」、文官(官僚)を「背広組」と呼び、背広組による制服組の支配を徹底してきた。

 今回の「提言」をみると、制服組の権限強化、台頭策が随所に出てくる。例えば「防衛省・自衛隊出身の総理大臣秘書官や自衛官の副官」の新設。文官中心の防衛省内部部局の「制服・文官混合組織化」。統合幕僚長の陸・海・空の「業務統括」による権限強化と「統合司令部の設置」。自衛官の国会出席、各種委員会での説明を可能にするルールの新設などだ。

 「一佐を大佐に」など「国民も親しみのある階級呼称への変更」という形で旧軍の呼称復活も盛り込んでいる。

 それなのに衝突事故や機密漏洩(ろうえい)、贈収賄事件の再発防止策はどこへやら。防衛省改革の裏で改憲と武官統制の動きを加速するのは、まさに「羊頭狗肉」。あきれた話だ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131625-storytopic-11.html

 

2008年4月30日(水) 夕刊 5面

未明離陸に抗議決議/沖縄市議会

 【沖縄】沖縄市議会(喜友名朝清議長)は三十日午前の臨時会で、今月二十三日のF15戦闘機の未明離陸と、同十三日に北谷町で万引した海兵隊員の息子を憲兵隊員が基地内に連れ帰った事件、三月に市内で発生した憲兵隊が関与したタクシー強盗事件について、それぞれ意見書案と抗議決議案を全会一致で可決した。

 未明離陸については「基地周辺の『声』を無視した運用に米軍への不信は募るばかりで遺憾」とし、早朝・夜間訓練の全面中止、F15戦闘機の即刻撤去、騒音防止協定の抜本的見直しを要求している。

 タクシー強盗と海兵隊員息子による窃盗は憲兵隊員の関与を言語道断と批判。被害者への謝罪と完全な補償、米軍構成員などの教育の徹底と綱紀粛正、再発防止策を求めている。

 あて先は意見書が首相、外相、防衛相、抗議決議が駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米国総領事など。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804301700_04.html

浦添で迫撃砲弾発見、猛毒化学兵器の可能性も 新嘉手納爆音裁判長ら現地調査 少年連行、米側、明確な謝罪なし 文科省、教科書検定撤回を拒否 海兵隊グアム移転統合計画の概要公表 比女性暴行、米兵を書類送検など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月24日から26日)

2008年4月24日(木) 朝刊 2面

米軍、実施継続の姿勢/F15未明離陸

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が二十三日未明に、米本国に向け同基地を離陸した問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)の中川京貴副議長、基地対策特別委員会の田仲康榮委員長ら六人は同日午後、同基地を訪ね、今後一切、未明離陸を行わないよう求め、抗議した。

 田仲委員長らによると、応対した第一八航空団のジェラルド・ゴンザレス広報局次長(大尉)は「今後も必要性が生じたら、行わざるを得ない」と述べ、地元の要望には応じられない考えを強調したという。

 同町議会がグアムなどを経由し、未明離陸を回避する運用を求めたことについては「グアムでは整備要員を連れて行かなければならず、いい中継地点だとは考えていない」と否定的な見解を示したという。

 午後十時から翌日午前六時までの飛行を制限した騒音防止協定で、米軍の「運用上必要な場合」は例外とする規定について、撤廃を求めた同町議会に対し、「KC135(空中給油機)などは緊急の医療搬送用としても使用しており、難しい」と答えたという。

 町議会は米民間会社所有の英国製戦闘機MK58が同基地着陸後にブレーキの故障で誘導路隣の緑地帯に突っ込んだ事故についても、原因の公表と再発防止策の徹底を求めて抗議した。

沖縄市議会は あす対応協議

 【沖縄】沖縄市議会は二十三日、基地に関する調査特別委員会(与那嶺克枝委員長)を二十五日に開き、同市中央で発生した憲兵隊が関与したタクシー強盗事件、北谷町の在沖米海兵隊員の息子による万引事案、F15戦闘機の未明離陸などについて議会の姿勢を示す必要があるかなど、協議することを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_03.html

 

2008年4月24日(木) 朝刊 2面

「機体更新」に食い違い/町、詳細計画の説明要望

 【嘉手納】米軍嘉手納基地が未明離陸の理由としている、旧型F15戦闘機を製造年の新しい機体に更新する計画について、同基地報道部は二十三日、旧型機の一部は米本国での訓練後にそのまま帰還した、と説明した。沖縄タイムス社の質問に答えた。嘉手納町は、機体更新を理由にした未明離陸の回数と機数に誤差があると指摘している。

 報道部は同計画が全五十四機を対象に二〇〇五年十二月に始まったと説明しているが、同町は機体更新を理由にした未明離陸は二〇〇六年五月が最初で、これまでに八回行われ、計二十五機しか離陸していないとし、報道部側の説明と食い違っている。

 同基地報道部は機体の入れ替えはすべて終了していると説明したが、未明離陸以外で嘉手納を離陸したF15の機数や日時、新しい機体の到着日時などの詳細は明らかにしていない。

 同町の担当者は「不明な部分が多い。更新計画に伴う機体入れ替えの詳細を明らかにしてほしい」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_04.html

 

2008年4月24日(木) 朝刊 22面

中城海上保安部が開所

普天間移設に対応

 【うるま】一日付で第十一管区海上保安本部の保安署から昇格した中城海上保安部の開所式が二十三日、うるま市田場のニュー三和で行われ、関係者ら約二百人が発足を祝福した。

 昇格は米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設などに対応したもので、あいさつした岩崎貞二海上保安庁長官は「キャンプ・シュワブの対応には冷静で的確な対応が求められる」と周辺地域の協力を呼び掛けた。

 同保安部は国頭村から南城市までの東西百二十キロにわたる本島東海岸地域、十二市町村を管轄。職員は六十三人増の九十七人体制。

 岩本一夫保安部長は「東部地域の安全を守ることはもちろん、県民に海上保安庁の業務を知ってもらうよう努力したい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_06.html

 

2008年4月24日(木) 朝刊 23面

浦添で化学弾?/22発内に液体 密封

 沖縄防衛局は二十三日、浦添市内の建築現場で古い砲弾七十六発が見つかり、うち二十二発の内部に液体が詰められているのを確認した、と発表した。有害物質は検出されていないが、同局は「化学弾の可能性を否定できない」として、この二十二発を現場でビニールなどで密封。米軍に情報を照会し、近く搬出作業を行うという。同局は「混乱を避けるため」として場所を公表していない。

 同局によると、砲弾が見つかったのは今月七日。長さ約六十センチ、直径約八センチで太平洋戦争時の米軍の迫撃砲弾とみられる。いずれも信管はついているが作動状態になく、爆発の可能性はないという。通常弾の五十四発は陸上自衛隊一〇一不発弾処理隊が回収した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_09.html

 

2008年4月24日(木) 夕刊 5面

猛毒化学兵器の可能性/浦添で発見 迫撃砲弾

米軍遺棄なら国内初

 浦添市で七日に見つかった液体の入った迫撃砲弾は、猛毒のマスタードガスが入った化学兵器である可能性があることが分かった。米軍が第二次世界大戦当時、化学兵器を所持していたことは分かっており、沖縄戦にも化学兵器を持ち込んでいた可能性を否定できないという。防衛省は県外など他の場所に移してから内容物を調べる方針だが、もし化学兵器であれば、米軍の遺棄化学兵器が国内で見つかる初めてのケースとなる。

 同省などによると、見つかった弾はM57迫撃砲弾で、液体が入ったタイプは煙幕用の発煙弾か、マスタードガスが入った化学弾の二種類しかない。両タイプとも形状や内部構造が全く同じといい、中を開けないと化学兵器かどうか確認できないという。

 化学兵器は一九二五年調印のジュネーブ議定書で使用が禁止されたが、開発や保有などは禁じられていない。防衛省関係者によると、イタリアで米軍が大戦中に遺棄した化学兵器が発見されたことがあり、米軍が当時、化学兵器を所持、前線に運んでいたことは間違いないという。

 内閣府の遺棄化学兵器処理担当室の担当者は「これまで国内で米軍の化学兵器が出たという話は聞いたことがない」と話す。

 沖縄戦研究者の大城将保さんは「ひめゆり学徒のガマに投げ込まれたガス弾や黄リン弾も一種の化学弾だが、使用が禁止された物ではなかった。今回発見された砲弾が禁止兵器であれば大変な問題だ」と話した。

[ことば]

 マスタードガス 猛毒のびらん性ガスで、液体や蒸気に触れると皮膚が炎症を起こすほか、重度の視覚、呼吸器障害を引き起こす。第一次世界大戦でドイツが初めて戦場で使用。旧日本軍は広島県の大久野島などで製造していた。からしやわさびに似た臭いがしたことからこの名で呼ばれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_01.html

 

2008年4月24日(木) 夕刊 5面

裁判長ら現地調査/原告、被害実態訴え

新嘉手納爆音

 米軍嘉手納基地周辺の住民五千五百四十人が、国に夜間・早朝の飛行の差し止めと損害賠償を求めている新嘉手納爆音訴訟の控訴審で、裁判官が住民の居住地域で騒音や周辺環境を確認する現地進行協議が二十四日、嘉手納町立屋良小学校などで行われた。

 同日午前七時前、福岡高裁那覇支部の河邉義典裁判長ら判事三人が、基地から約二百メートルの距離で同基地を展望できる同小学校の校舎屋上を訪問。原告の一人で、嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長が、騒音や排ガス被害の実態を概説、「住民や子供たちの生命と安全が脅かされている実態を、ぜひご覧いただきたい」と訴えた。

 前日未明には同基地からF15戦闘機など計五機が、地元の反対を押し切る形で離陸を実施したばかり。二十四日は早朝からフェンス際でP3C対潜哨戒機がエンジン調整を行っていたほか、支援戦闘機やP3Cの離陸する場面が見られた。

 同訴訟の現地進行協議は二十五日まで、計十一カ所で行われる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_02.html

 

2008年4月24日(木) 夕刊 5面

「憲兵の指導を徹底」/県警に回答

少年連行 米側、明確な謝罪なし

 今月十三日、北谷町美浜の衣料品店で万引したとして、店員に取り押さえられた米兵の息子二人を、米海兵隊憲兵隊が基地内に連れ帰った問題で、県警は二十四日、県警の事実確認に対し、米側が「憲兵隊員の指導教養を徹底したい」と回答していると公表した。米側が非を認めたとも取れる回答だが、明確な謝罪はなかった。

 同事件は、沖縄署員が、憲兵隊に少年二人の引き渡しを求めたが、双方の言い分がかみ合わず約三十分間もめた。

 県警は、憲兵隊が現場に到着する以前に、息子は店員によって私人現行犯逮捕されており、身柄拘束が刑事訴訟法に抵触する可能性があるとの認識で調整を進めていた。

 県警によると、二十三日、沖縄署の玉那覇章署長が在沖米海兵隊憲兵司令官のバーナード・ヘス少佐を訪ね、二度目の遺憾の意を表明。これに対し、ヘス少佐が「沖縄署の見解は理解した。沖縄に配属された憲兵隊には指導教養を徹底したい」と話したが、謝罪の言葉はなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_03.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 29面

米兵きょう書類送検/比女性暴行

 県警は、沖縄市内でフィリピン人女性を暴行したとされる二十代の米陸軍伍長を強姦致傷容疑で、二十五日に書類送検する方針を固めた。また、二〇〇六年に同市中央の路上でタクシー運転手を羽交い締めにして売上金を奪ったとされる米海兵隊員二人を強盗致傷容疑で同日書類送検する方針。三人の身柄は現在、米軍当局の監視下にあり、起訴後に身柄は日本側に引き渡される見通し。

 強姦致傷事件は今年二月に沖縄市内のホテルで起きた。嘉手納基地の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の要員として勤務していた伍長が、二十代のフィリピン人女性に暴行を加えた疑い。事件当時、被害女性はホテルのロビーでぐったりしているところを従業員に見つけられ、病院に救急搬送された。女性の関係者が同署に通報して発覚。県警が被害女性や複数の関係者から事情を聴くとともに、ホテルの部屋などを現場検証していた。

 強盗致傷事件は〇六年七月に同市中央一丁目の市道で発生。外国人の男二人組がタクシーの車内で男性運転手を羽交い締めにし、売上金の現金数万円と約三百ドルが入った財布を奪われたとされる。

 捜査関係者によると、沖縄署がタクシーの車内から犯人の特定につながる試料を採取。県内の別の事件で摘発された海兵隊員の試料と照会したところ、合致したという。二人は容疑を認めているという。沖縄署が米軍捜査機関に協力を求め、調べを進めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_01.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 29面

米憲兵隊兵長を起訴/3月タクシー襲撃

 沖縄市の路上で今年三月、タクシー乗務員の男性が外国人らに襲われ、釣り銭箱を奪われた事件で、那覇地検は二十四日、強盗致傷容疑で書類送検されていた米軍嘉手納基地所属の憲兵隊の兵長ダリアス・エイ・ブランソン被告(21)を傷害と窃盗の罪で起訴した。同日、米軍当局から身柄の引き渡しを受けた。

 また那覇地検は同日、被害男性の背後から両腕で抱きつき、路上に引き倒したとされる米軍人の息子の少年(19)を家裁送致。共犯とされる別の米国人の少年三人を不起訴処分とした。共犯の事実を認定したが「年齢や役割など諸般の事情を総合的に考慮し、刑事処分相当ではない、と判断した」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_02.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 2面

米軍住宅手当 月最高27万円

 【東京】県内の米軍基地外に居住する米軍人に米国政府から支払われる住宅手当の上限額が、階級に応じ一カ月当たり十六万―二十七万円に上ることが二十四日、参院外交防衛委員会で明らかになった。防衛省が山内徳信氏(社民)に、米国防総省関連ウェブサイト内の資料を提出した。

 家族帯同者への住宅手当の上限は一等兵、二等兵、上等兵、伍長が十六万円。三等軍曹、少尉、四等准尉、中尉が十八万円。二等軍曹、一等軍曹、曹長、三等准尉、大尉が二十一万円。上級曹長、一等准尉、二等准尉、少佐が二十五万円。上等准尉、中佐が二十六万円。大佐が二十七万円。単身の場合は、これらの九割が上限となる。

 一方、防衛省の地引良幸地方協力局長は、基地外の米軍住宅の光熱水料などを米側が支払った実績は、一九九六年度が約十二億円、九七年度が約十二億円、九八年度が約十二億円、九九年度が約十一億円、二〇〇〇年度が約十一億円と説明。

 政府は二〇〇〇年度まで在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)で基地外の米軍住宅の光熱水料を負担していた。地引局長は「米国との特別協定による上限調達量に基づく予算内で負担していたので、米側の支払実績額すべてを負担しているわけではない」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_03.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 29面

猛毒弾か 米に照会/浦添でM57迫撃弾発見

 浦添市で七日に見つかった液体の入ったM57迫撃砲弾は米国製で、猛毒のマスタードガスが入った化学兵器の可能性があることが二十四日、分かった。防衛省によると液体が入ったM57タイプの迫撃砲弾は、発煙弾かマスタードガスが入った化学弾しかない。沖縄防衛局によると、今回見つかった二十二発は一九四三年に製造されており、第二次世界大戦末期の沖縄戦で米軍が使用した可能性もある。

 防衛省は県外に移してから内容物を調べる方針。化学兵器であれば、米軍の遺棄化学兵器が国内で見つかる初めてのケースとなる。砲弾は未使用の状態で、爆発や液体漏れなどが起きる可能性はないという。

 沖縄防衛局の真部朗局長は同日の記者会見で「一般論、軍事的常識としては、通常弾と化学弾を一緒に取り扱うことはない。M57という同じ形の砲弾に入れて、間違えたら大変なことになる」と述べ、化学弾である可能性は低いとの見解を示した。防衛省は米側に化学兵器かどうかを照会中だが、結果が出る時期は未定。日本側では内閣官房、外務省、内閣府、環境省などが調査に当たっている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_04.html

 

琉球新報 社説

「新嘉手納」訴訟 苦痛の現場どう感じたか

2008年4月25日

 米軍嘉手納飛行場の周辺住民5541人が日米両政府を相手に、米軍機の夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた新嘉手納爆音訴訟控訴審の現地進行協議が始まった。現場検証では、福岡高裁那覇支部の河辺義典裁判長らが嘉手納町立屋良小学校などで調査をした。

 北谷町砂辺では、戦闘機が次々と着陸し、騒音測定器が最大104デシベルを計測した。現場検証の最中に米軍機の「予防着陸」も発生した。裁判長は、頭上を頻繁に飛ぶ戦闘機について普段通りなのかと住民に確認していたが、基地周辺の「日常」に触れたに違いない。

 米軍基地周辺に居住、あるいは住んだ経験のある人なら米軍機の騒音による苦痛を、強弱はあるだろうが感じているだろう。バリバリ、という地響きとも思えるような騒音に加え、住宅の窓ガラスがガタガタと小刻みに揺れ、幼子はその爆音と振動に泣き、恐ろしさに叫び声を上げる。

 騒音による苦痛は、数字としては表し難い。が、裁判で認定してもらうため苦痛を示す根拠として示さねばならない。それがW値(うるささ指数)だ。

 2005年に提訴した新嘉手納爆音訴訟で那覇地裁沖縄支部は、W値の80―75以上だった賠償基準を「W値80及び75区域の航空機騒音は減少しており、現状ではかなり低い」として85未満の地域に住む3割の原告を救済対象から外した。

 米軍飛行場の運用は、日本政府の支配が及ばないという「第三者行為論」を踏襲し「支配の及ばない第三者の行為の差し止めを求めるものであり、主張自体失当」と請求を棄却している。

 県実施の健康影響調査を基にした「騒音性聴力損失」の症例に対しても「聴力損失の発症原因たるべき航空騒音に暴露され続けているという前提条件が必要」などとして爆音との法的因果関係を否定するなど住民の苦痛を退けている。原告の失望は計り知れない。

 06年に始まった高裁支部での控訴審で原告側は、認定に用いた指標や判断手法などの誤りをはじめ、第三者行為論に当てはめた結論ありきの判決、健康被害も調査結果を正当に理解していないと指摘した。

 離着陸に必要な風向きもあるだろうが、屋良小での現場検証では、戦闘機の離陸はなく原告団から「いつもはこんなに静かじゃない」との声もあった。一次訴訟の現場検証で戦闘機は飛ばなかった。裁判所の現場検証に合わせて米軍が訓練を自粛しているのではないかと勘繰りたくもなる。

 裁判所は現場検証を通して、住民の苦痛をしっかりと受け止め、静かな暮らしを実現するための判断に生かしてもらいたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131470-storytopic-11.html

 

2008年4月25日(金) 夕刊 7面

暴行事件不起訴米兵、軍法会議に

最も重い「高等」

 二月の暴行事件をめぐり、県警に強姦容疑で逮捕されたが不起訴処分となった在沖米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)について、海兵隊報道部は二十五日、統一軍事裁判法に違反したとして、軍法会議にかけることが決まったと発表した。同会議の日程は未定。

 強姦罪で訴追されていることから、三種類ある軍法会議のうち最も重い罪に適用する「高等」軍法会議にかけられる。強姦のほか、少女を誘拐した罪などにも問われている。

 県警はハドナット容疑者を逮捕、送検したが、被害者が告訴を取り下げたため那覇地検は不起訴とし、身柄を米側に引き渡していた。

 日米地位協定は基地外で発生した公務外の事件について日本側に第一次裁判権を付与。日本側が裁判権を行使しなかったため、米側が第二次裁判権を行使する形となった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251700_03.html

 

2008年4月25日(金) 夕刊 7面

文科省、撤回を拒否/教科書検定

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる「教科書検定意見の撤回を求める4・24全国集会」の実行委員会が二十五日午前、文部科学省を訪ね、軍強制記述の回復や検定制度の段階的廃止などを求める渡海紀三朗文科相あての要請書を提出した。応対した布村幸彦審議官は「検定意見は今でも正しいと思っている。撤回するつもりはない」と答えたという。

 実行委によると、布村審議官は「元戦隊長らの陳述書は検定の根拠ではなく契機にしただけ」とした上で、大阪地裁判決で否定された点も「再検討する必要はない」と述べたという。

 実行委の石山久男さんは「こちらの主張に答えていない」と批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251700_05.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 1・2面

統合計画の概要公表/海兵隊グアム移転

 米海軍のグアム統合計画室は二十五日、在日米軍再編に伴う在沖海兵隊のグアム移転計画のマスタープラン素案について、概要版を公表した。島内に海兵隊の主要キャンプや軍関係者の居住地、空母が一時寄港するための桟橋などの候補地案を明示しているが、最終報告(ロードマップ)で定めた在沖海兵隊移転のうち、どの部隊が移転するか詳細については明らかにしていない。

 素案は当初、今年三月中の策定を予定していたが、約三週間遅れた上に、全文は公表されていない。

 同統合計画室は国家環境政策法(NEPA)に基づき、環境影響評価(アセスメント)の準備書を二〇〇九年春、最終評価書を同年末までに作成する日程を説明。マスタープラン最終案策定は今年夏から、一〇年初頭にずれ込む見通しも示した。最新版の素案について「変更の可能性がある」と慎重姿勢を示している。

 米太平洋軍は〇六年にグアム統合軍事開発計画を公表。「投入される海兵遠征軍(MEF)の兵力は司令部、地上戦闘、後方支援、航空戦闘の各部隊から構成される」と明記したが、ホームページを約一週間で削除していた。日米両政府は一二年から沖縄の第三海兵遠征軍(?MEF)の司令部などの移転を開始し、一四年の全面運用を目指している。


     ◇     ◇     ◇     

海兵隊グアム移転マスタープラン要旨


背景

 素案は沖縄からグアムへの海兵隊員と家族の移転、空母が一時寄港できる桟橋建設、陸軍弾道ミサイル防衛タスクフォース配備、アンダーセン空軍基地の能力拡大に向け、現時点の国防総省の計画を文書化した。

 環境影響評価の最終報告は二〇一〇年に承認される。その後マスタープランは正式決定する。沖縄から移転する海兵隊の訓練内容は引き続き検討中である。

海軍フィネガヤン基地

 海兵隊の主な移転先。司令部や兵舎、管理棟、倉庫などが整備される。一部は訓練施設で使用するが、地元住民の居住区と隣接しておらず影響は最小限に抑えられると期待される。

訓練場

 候補地を検討中。都市型訓練や機動演習、警戒訓練、ジャングル戦闘訓練などを行う。

アプラ港

 海兵隊と海軍、沿岸警備隊の活動支援のため、アプラ港の拡充を計画している。母港にはならないが空母は年間数回寄港し、一回あたり数週間とどまる。ほか、軍艦やホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)、水陸両用車、高速輸送船などが使う施設を整備する。

航空部隊の運用と訓練

 常駐や一時配備される海兵隊の回転翼機や固定翼機を支援するため、運用や整備、管理部門の施設が必要。候補地はアンダーセン基地の北側ランプで、既存施設の基盤を活用する。多様な種類の航空訓練を任務としており、訓練地域に変化が求められ、アンダーセン空軍基地はじめ複数の場所が予定されている。北マリアナ諸島も検討されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_01.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 1面 

比女性暴行 米兵を書類送検

 沖縄署は二十五日、沖縄市内のホテルでフィリピン人女性ダンサー(21)に暴行したとして、在沖米陸軍の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊所属、特技伍長ロナルド・ホップストック・ジュニア容疑者(25)を強姦致傷容疑で書類送検した。

 また、二〇〇六年に同市中央の路上でタクシー乗務員の男性=当時(64)=に暴行を加え金銭を奪ったとして、いずれも米海兵隊キャンプ・シュワブ所属の二等兵エドワード・ミラー・ジュニア容疑者(22)と当時未成年だった二等兵(21)=いずれも当時は上等兵=を強盗致傷容疑で書類送検した。

 ホップストック容疑者は今年二月、ホテル内で女性に暴行し、全治約三週間のけがをさせた疑い。女性と関係を持ったことを認めた上で、「合意だった」と否認しているという。米軍は同容疑者を監視下に置いており、県警は米軍の協力を得て捜査していた。

 ミラー容疑者らは〇六年七月、同市中央一丁目の市道でタクシー運転手の首を絞め、財布やつり銭箱から約四万円を奪った疑い。

 昨年四月に同容疑者が道交法違反で逮捕された際、タクシーから採取した指紋と一致したため捜査線上に浮上した。二人は容疑を認めているという。米軍はミラー容疑者を拘禁、当時未成年だった二等兵を監視下に置いていた。


     ◇     ◇     ◇     

県警、日米合意に翻弄


 今年二月に起きたフィリピン人暴行事件で、県警は陸軍伍長ロナルド・ホップストック・ジュニア容疑者を強姦致傷容疑で書類送検した。県警は米軍絡みの事件を相次いで立件する一方、「逮捕せずに書類送検」の傾向が強まっている。米兵容疑者の起訴前引き渡し条件に該当する強姦事件でありながら、なぜ逮捕しないのか。釈然としない点も残る。

 「警察は法と事実に基づいて捜査する。政治的な事情は一切関係ない」。事件発覚後、捜査関係者の一人はこう強調し、逮捕状を取って起訴前の身柄引き渡しを求める意思を示した。

 日米地位協定では、基地内にある米兵容疑者の身柄は、日本側が起訴するまで米軍が拘束する。だが一九九五年の米兵暴行事件をきっかけに、日米両政府は殺人や強姦など凶悪犯罪に限って、米側が起訴前の身柄引き渡しに「好意的考慮」をするという運用改善で合意した。

 今回の事件は、常識的には起訴前引き渡し条件に該当する。県警も当初は逮捕状を取ることを念頭に捜査したが、結局は書類送検になった。県警は「被害女性の人権を考えた結果」(幹部)と説明するが、それだけが理由なのか真相は分からない。

 県警は今月、米兵絡みの二つのタクシー強盗致傷事件でも任意捜査による決着を選んだ。県警内部では「米軍の協力で捜査できれば逮捕にはこだわらない」「身柄をめぐる政治問題化で捜査が遅れるより“実”を取った」との見方がある一方、「本来は逮捕が筋」「『凶悪犯罪』の定義が不明確で一県警では決められない」という複雑な心境も聞かれる。

 日米政府のあいまいな「合意」に、県警も翻弄されたままだ。(鈴木実)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_02.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 2面

憲兵の連れ帰り/防衛相が日米連絡体制規定の必要性示唆

 【東京】石破茂防衛相は二十五日の衆院安全保障委員会で、北谷町内の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在米兵の息子二人を、米憲兵隊が沖縄署の引き渡し要求を拒否して基地内に連れ帰ったとされる問題に関し、米軍基地外での憲兵隊の使用について日米間の連絡体制を規定化する必要性を示唆した。川内博史氏(民主)への答弁。

 基地外における憲兵隊の活動について、日米地位協定一七条一〇項bは「軍事警察(米軍憲兵隊)は(中略)日本国の当局と連絡して使用される」と規定するが、「両方の連絡の対応に具体的に定める規定はない」(西宮伸一外務省北米局長)。今回も「事件発生後に、県警の通信室に憲兵隊から発生現場付近で外人の関係するけんかがある旨の入電があった」(警察庁井上美昭審議官)だけだ。

 川内氏は今回の事件で米側の県警への連絡が不十分だったとし、「主権国家で他国が警察権を行使する場合は、しかるべき人が、しかるべき人に連絡した上で執り行うことが必要」と指摘した。

 これに対し、石破氏は、「(日米で)認識の齟齬がないように努めていかなければならない」と連絡体制規定化の必要性を示唆。西宮局長も「連絡の在り方については関係当局と相談したい」と述べた。

 一方、石破氏は、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に建設される米軍普天間飛行場代替施設への垂直離着陸機MV22オスプレイの配備について、「可能性を一切否定するものにはならない」と説明した。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_05.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 28面

予備審問の権利放棄/暴行米兵、米当局と司法取引か

 本島中部で起きた米兵による暴行事件をめぐり、米国の統一軍事裁判法に違反したとして重罪を審理する高等軍法会議にかけられることが決まった米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)が、高等軍法会議前に予備審問を開いて意見を述べる権利を放棄していたことが二十五日、分かった。

 被告側と米当局が減刑などの司法取引を行う際は、予備審問手続きを放棄することが条件となる場合があり、今後、ハドナット二等軍曹と当局間で司法取引が行われる可能性がある。

 米軍の軍法会議は罪の重さにより高等、特別、簡易の三種類に分かれ、殺人や強姦などの重罪は高等軍法会議で審理。高等軍法会議では、軍法会議を開くべきか判断するため事前に予備審問を開くことが統一軍事裁判法で定められている。

 予備審問では被告と被害者側双方が主張を展開、捜査指揮官からその結果を踏まえた報告書を受け取った司令官が軍法会議を開くかどうか最終判断する。

 海兵隊報道部によると、ハドナット二等軍曹がこの予備審問手続きの権利を放棄したのを受けて、第三海兵師団司令官が二十一日、強姦や誘拐の罪など計五つの軍規に違反したとして高等軍法会議にかけることを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_07.html

008年4月26日(土) 朝刊 29面

3・23県民大会総括/「抗議 全国揺るがす」

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会(玉寄哲永委員長)は二十五日、那覇市の県教育会館で総括集会を開き、三月の県民大会や四月の東京での要請行動などについて「県民の怒りの声を形にし、国内外に訴えることができた」と総括した。また、県民大会で決議した日米地位協定の抜本的見直しなど四項目については実行委の構成団体を中心に要請活動を続けていくことを確認した。事務局はこの日で閉鎖する。

 玉寄委員長は活動を振り返り、「誰もが安心して暮らせる生活しやすい県になるよう求めてきた。何を提唱し、何を伝えるべきか、沖縄の子どもたちに対して恥ずかしくない大人として行動することができた」とあいさつ。さらに「これは解散ではない。火種を絶やさず、四項目の実現へ向けて努力していく」と力を込めた。

 参加者からも「われわれが声を上げなければ沖縄の怒りは表せなかった」と活動を評価する意見が相次いだ。県民大会のきっかけとなった事件で逮捕され不起訴処分となった海兵隊員についても「米軍が軍法会議にかけると発表した。県民大会の声に米軍も応えざるを得なくなったのではないか」との感想が出た。

 玉寄委員長は会合後、「軍法会議は県民の怒りが米軍を動かしたのだと思う。声を上げ続け、必要あるときはいつでも再結集する」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_08.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 28面

沖縄ジュゴン訴訟/米提出の報告書「ずさんすぎる」

 米国の「沖縄ジュゴン訴訟」で、米国防総省は二十四日、米サンフランシスコの連邦地裁にジュゴンへ配慮するための情報をまとめた報告書を提出した。ただ中身はジュゴンの生態、文化的価値など項目の列挙と、日本政府の環境アセス方法書の抜粋で、具体策は示されなかった。国防総省の報告書について、環境アセスに詳しい桜井国俊沖縄大学学長が分析した。

 裁判の中で、米国は基地建設とジュゴン保護に「責任がある」と認定されている。だが国防総省の報告書には当事者意識がなく、日本政府の情報を中心に「配慮する」姿勢を示しているだけで、あまりにもずさんだ。

 日本のアセス方法書抜粋も、重要情報を開示せず三度も出し直した経緯には一切触れず、体裁だけ整っていると書いているにすぎない。

 内容を吟味していないのは明らかだ。

 アセス方法書は、辺野古だけでなく、県全体のジュゴンの個体群維持への影響を予測・評価する、としているが、現在のところ雌雄の頭数、繁殖行動と出産割合、縄張りなど、ほとんど分かっていない。複数年調査さえ明記しない方法書は、空理空論だと言わざるを得ない。

 国防総省報告書は、環境面より「歴史・文化的重要性」の評価を強調している。環境問題から論点をすり替えようという側面もあるのではないか。(談)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_10.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月26日朝刊)

[米憲兵少年連行]

何も解決はしていない


 浮かび上がった日米地位協定の問題点を、日米両政府が事を荒立てないよう真相をあいまいにしたまま幕引きを図ったとしか思えない。

 日本の警察権が侵されたにもかかわらず、米憲兵隊が表面上、非を認めるような形で決着させようとしたのではないか。

 北谷町内の衣料品店で四月十三日午後、万引したとして店員に捕まえられた米海兵隊員の息子二人を憲兵隊が沖縄署に引き渡さず、基地内に連れ帰った問題である。

 警察権を侵された当の県警は「少年への捜査はできている。今後、米側に問い合わせることはない」(得津八郎本部長)とこれで矛を収める方針だ。

 得津本部長の言葉は県警レベルを超えた「政治決着」をうかがわせる。この調子では米軍関係の事件・事故で本当に適正な捜査が行われるのか、県民に強い不信感を抱かせる結果を残したと指摘せざるを得ない。

 県警は警察権が侵害され、日本の主権が侵されたことを法を執行する機関として強く認識しなければならない。

 一線で、昼夜を問わず、事件・事故の解決に駆けずり回っている捜査員の士気をもくじくことにならないか。

 むしろこれは外務省に言うべきことかもしれない。

 この問題では、米軍、外務省、県警の三者で地位協定違反か、「共同逮捕」か、などをめぐり、当初から意見が食い違っていた。

 外務省は、事件直後は問題視する姿勢を見せていたが、後から米軍寄りの説明でつじつまを合わせているようにしか見えない。

 日米両政府は地位協定の改定は鼻から念頭にない。「運用改善」を唱えるだけだ。

 明治時代を思い起こしてほしい。鎖国を解いた明治政府が力を入れたのは欧米諸国と結んでいた不平等条約の改正だった。関税を自由に決めることができず、さらに外国人が国内で起こした事件を裁くことができなかったのである。

 日米安保条約を認める、認めないの立場に関係なく、私たち自身も問われている。今回、主権を侵されたわけだから。

 沖縄などに米軍基地を集中的に配置し、付随して発生する事件・事故はその地域に限定して閉じ込めてしまう。

 仮に沖縄で頻発する地位協定絡みの事件が東京で起こっていたら、と仮定してみたらどうか。とてもこんな人ごとのような形で終わることはなかったのではないか。

 もう一つの大きな問題は情報を米軍と外務省が独占して開示しないことだ。外務省は地位協定を改めるきっかけにするどころか、沈静化を図るという逆立ちした形を取る。

 米憲兵隊をめぐっては、最近も問題になったばかりだ。今年二月に日本人警備員が実弾入り拳銃を携帯したまま、基地間を移動していたことが明るみに出た。

 銃刀法違反であり、地位協定違反であるが、拳銃携帯は憲兵隊司令官が命じていたとされる。米軍は、憲兵隊の教育を徹底することから始めるべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080426.html#no_1

 

2008年4月26日(土) 夕刊 5面

海保、ジュゴン調査団体の面談断る/「電話で理解いただける」

 【名護】米軍普天間飛行場移設先の名護市東海岸に生息するジュゴンの生態を調査している市民団体が、第十一管区海上保安本部(那須秀雄本部長)にヘリコプターの運用による影響などについて、直接要請したいと面談を求めたが、同本部が「電話で十分理解していただける」と断っていたことが二十六日、分かった。

 要請は三月二十二日に、嘉陽海岸近くの海上で海保のヘリが「十分以上ホバーリングをした」としてその目的や、海保の航空機、船舶による騒音や振動がジュゴンの生息環境に与える影響に、どう配慮するかなどを問う内容。八日付で要請書を郵送し、面談を求めている。

 海保はヘリが所属機である事を認めた上で「通常のパトロール中に海面に確認できないものを発見したので、人か物かの確認をしていた」とし、面談には応じられないと伝えた。

 沖縄タイムス社の取材に海保側は、「かたくなに面談を拒んでいるわけではないが、この内容であれば電話で十分理解していただけると考えている」とコメントした。

 北限のジュゴンを見守る会の鈴木雅子代表は「ジュゴン保護や今後の市民団体の調査、抗議活動の安全をどう図るかを含めて直接話し合いたい」と話す。その上で「沖縄防衛局や中央官庁を含め面談を断られたのは初めて。県民の間には中城海上保安部発足で警備強化への不安がある。不安を解消するためにも電話一本で済ますのではなく、公務員として誠実に対応してほしい」と改善を求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261700_01.html

 

2008年4月26日(土) 夕刊 4面

4・28にちなみ海勢頭さん公演/パレット市民劇場

 一九五二年四月二十八日のサンフランシスコ平和条約発効で、沖縄が本土から分離された「屈辱の日」にちなみ歌手海勢頭豊さんの「4・28コンサート」が二十八日午後七時から、那覇市久茂地のパレット市民劇場で開かれる。本土復帰十周年を記念して作った「月桃」など多彩な楽曲を披露する。

 二十五日県庁で記者会見した海勢頭さんは「テーマは重大だが、楽しいコンサートにしたい」と来場を呼び掛けた。同コンサート実行委員長の嶋津与志さんは「4・28の意味をどう未来に生かしていくか。若い人たちと一緒にコンサートを聴きたい」と話した。

 バイオリン奏者の海勢頭愛さん、歌手の島田路沙さんも出演する。午後六時開場。入場料千五百円。問い合わせはGGS、電話098(946)6663。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261700_05.html

海兵隊一部ハワイ移転か 沖縄ジュゴン訴訟、県内で公聴会開催も 嘉手納基地、F15未明離陸を強行など  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(4月20日から23日)

2008年4月20日(日) 朝刊 1面

海兵隊一部ハワイ移転か/米軍再編

 米海軍省が、在日米軍再編に伴いグアム移転が決まっている在沖米海兵隊の第三海兵師団(キャンプ・コートニー)と、第一二海兵連隊(キャンプ・ハンセン)の両司令部の米ハワイ州移設を希望していることが、十九日までに分かった。ハワイ州選出の米下院議員が米下院のホームページで公表した。在沖米海兵隊八千人のグアム移転の条件とされる米軍普天間飛行場移設問題が膠着し、米議会でグアム移転関連経費が承認されていないことを受け、米海軍が独自案を打ち出したとみられている。

 ハワイへの司令部移設を公表したのは、米下院軍事委員会のニール・アバークロンビー航空・地上軍小委員会委員長。同委員長は今月九日、在ハワイの米海兵隊カネオヘベイ基地の即応態勢強化を目的に、米海軍省が調査設計費として二千百二十万ドル(約二十一億九千万円)の予算を計上する計画を明らかにした。

 沖縄関連では、第三海兵師団の司令部機能や武器庫、作戦訓練施設などに六百八十万ドル(約七億円)、約四百五十人の下士官兵舎として四百八十万ドル(約四億九千万円)、第一二海兵連隊の司令部施設として百五十万ドル(約一億五千万円)が計上されるとしている。

 米ハワイ州の地元紙ホノルル・アドバタイザーによると、米太平洋軍司令部(キャンプ・スミス)は「ハワイの海兵隊強化に、調査費を獲得してくれたことは喜ばしい」と歓迎しているという。しかし、「海兵隊は二十一世紀の太平洋での戦略的課題に対応する態勢を検討中で、国防総省の最終決定は下されていない」との見解も紹介しており、米政府の最終的な結論はまだ先になりそうだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804201300_02.html

 

2008年4月20日(日) 朝刊 23面

ブレーキ故障が原因/米戦闘機事故

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で十九日午前、米民間会社所有の英国製戦闘機MK58一機が滑走路隣の緑地帯に突っ込んだ事故で、同基地報道部は同日午後、原因は「ブレーキの故障」と発表した。事故に伴い、機体から燃料約十九リットルが漏れたことも明らかにした。

 同報道部によると、機体から漏れた燃料のうち、十一リットルは回収したが、残り八リットルは芝生に流出。汚染された土壌は今後、取り除かれるという。機体に損傷はない。事故機は米海軍が契約していた。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春・北谷町長は「過密な訓練が解消されなければ、不安は払拭できない。引き続き情報を収集し、今後の対応を決めたい」としている。

 北谷町議会(宮里友常議長)は二十一日に基地対策特別委員会を開く予定。

 嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は同日に開く基地対策特別委員会で、米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が提供水域外に爆弾を投下した問題などの対応を協議する予定だったが、田仲康榮委員長は「今回の事故も緊急議案として提案したい」としている。

 複数の目撃者によると、同機は同日午前十時五分ごろ、基地北側滑走路に着陸。誘導路を移動中、機首部分から緑地帯に突っ込んだ。約三時間後、けん引されて駐機場に戻った。現場は、基地に隣接する県道74号から数百メートルの場所。

 同機は、「仮想敵機」として、米軍の訓練に参加。同基地ではたびたび目撃されている。十八日にも同基地で離着陸しているのが確認されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804201300_05.html

 

2008年4月21日(月) 朝刊 21面

海兵隊「共同逮捕」/米少年憲兵連行

沖縄署に回答 県警は「誤認」

 北谷町の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた米兵の息子二人を、憲兵隊員が沖縄署の引き渡し要求を拒否して基地内に連れ帰ったとされる問題で、海兵隊は沖縄署の質問に対し、文書で「(沖縄署)との共同逮捕だった。署は引き渡しを求めなかった」旨の表現で回答していたことが二十日、関係者の話で分かった。県警は「把握している事実に誤認があり、内容を吟味する必要がある」とし、週明けにも米軍と交渉する方針だ。

 回答は、在沖米海兵隊憲兵司令官のバーナード・ヘス少佐が十八日に同署を訪ね、A4サイズ二枚の文書を玉那覇章署長に手渡した。

 県警関係者は「英文で多岐に渡り書かれているので現在解析中だ」とした上で、「共同逮捕だったとの意味に取れる文言があり、米軍側に真意を照会しなければならない」としている。

 十三日の事件については「沖縄署の署員七人が現場に到着し、憲兵隊に少年二人の引き渡しを求めたが、双方の言い分がかみ合わず約三十分間もめた」と説明。現場で署員と憲兵隊のやりとりを多くの買い物客らが目撃していたとし、「沖縄署が引き渡しを求めなかったと取れる憲兵隊の主張はおかしい」としている。

 一方、外務省の西宮伸一北米局長は十八日の衆院外務委員会で、同問題について「米側は(身柄は連行したが)逮捕していないし、逮捕したという認識もないので、これは共同逮捕の問題ではない」との認識を示している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804211300_06.html

 

2008年4月21日(月) 朝刊 20面

県内で公聴会開催も/沖縄ジュゴン訴訟

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部移設をめぐり、自然保護団体などが米国防総省を訴えた「沖縄ジュゴン訴訟」で、日米弁護団は二十日、米国政府が県内で公聴会を開く可能性が高いとの見方を示した。米サンフランシスコの連邦地裁が八月末にも再び判決を下し、同省にジュゴン配慮のための具体的内容を命じるとの見通しを述べた。同日、那覇市の八汐荘で開かれたシンポジウムで、米国のサラ・バート弁護士らが説明した。

 公聴会は、米国国家歴史保存法(NHPA)で、実施が定められている。今年一月の判決で、同地裁が米国政府のNHPA法違反を認定しているため、原告側は実現性が高いと判断。訴訟の中で要求していく。

 バート弁護士は、同法では基地建設中止命令が出ることはないと前置きした上で「国防総省は、地域社会や民間専門家に対しても、基地とジュゴンの情報を公開し、地元と『協働関係』で事業手続きを進める法律上の義務がある」と強調した。

 その上で同省が二十四日にも提出する「情報」を精査し、的確に反論することで、より大きな基地阻止運動に結び付けられる、と語った。

 桜井国俊沖縄大学学長は日本のアセスを厳しく批判し、環境アセス学会として「日米共同アセス」など、より厳格で適正な実施を求めるアピール文を五月中に発表する、と述べた。

日本側アセスに焦点

バート弁護士に聞く

 シンポジウムのために来沖したサラ・バート弁護士に今後の注目点を聞いた。

 ―米国防総省が出す「情報」と原告側の反論のポイントは。

 「日本のアセス方法書を全部英訳して出してほしい。裁判所が原告の主張と比べれば、適切な判断ができるはずだ。国防総省が、どれだけ多く地域の人々や専門家から情報収集や意見聴取するのか、またその方法が適当か注目したい」

 ―想定される判決は。

 「国防総省は最低限のジュゴン保護しか示さない可能性もある。最悪の判決はそれが認められてしまうこと。逆に最良の判決は、可能な限り広範囲の人や事象から情報を集めさせ、基地建設がジュゴンに影響を与えるかどうか判断を迫り、影響回避のため具体的かつ詳細な命令が出ることだ。従わない場合、命令違反として新たな訴訟も提起できる」

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804211300_07.html

 

2008年4月21日(月) 夕刊 5面

F15あす未明離陸/嘉手納基地報道部発表

 【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は二十一日午前、F15戦闘機三機と空中給油機数機が米本国に向け、二十二日未明に同基地を離陸する、と発表した。同基地からの未明離陸は昨年十月に行われて以来、約半年ぶり。周辺自治体は強く反発している。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十一日午後にも幹事会を開き、対応を協議する。

 同基地によると、「アイロン・フロー」と呼ばれる、旧型のF15を製造年の新しい機体へ更新する計画の一環。同計画に伴う未明離陸は今回が最後、という。

 嘉手納町によると、同計画に伴う未明離陸は二〇〇六年五月から始まり、今回で八回目。F15はこれまでに、計二十二機が離陸した。周辺自治体や議会は、未明離陸が強行されるたび、中止を求めて抗議を繰り返している。

 同基地は「周辺住民へ騒音の影響が及ぶことを認識しながらも、運用上の必要性と安全面を注意深く考察し、行うことにした」としている。

 野国町長は「F15の入れ替えは今回で終わりといっているが、今後も運用上の早朝離陸はある。別の基地を経由すれば嘉手納基地を早朝に離陸しなくてもいいことも証明されている。米軍は地域への配慮を口にするなら、住民に迷惑をかけないで訓練してほしい」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804211700_02.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 1面

三連協が中止要請/F15未明離陸

嘉手納基地 24時間延期

 【中部】米軍嘉手納基地報道部は二十一日午後、F15戦闘機三機と空中給油機数機が二十二日未明に予定していた離陸について「二十四時間延期する」と発表した。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十一日午後、幹事会を開き、未明離陸の中止を求めて文書で要請する方針を決めた。

 同基地から連絡を受けた嘉手納町によると、延期理由について「空中給油機に問題が発生したため」などと説明したが、詳細は明らかにしなかったという。

 同基地は「延期は、任務の支援に不可欠な空中給油能力の確保を確実にするために必要」としている。

 三連協は二十二日午前、嘉手納基地第一八航空団、外務省沖縄事務所、沖縄防衛局に要請文書を送付する。

 未明離陸は同基地の旧型のF15を製造年の新しい機体に更新する「アイロン・フロー」と呼ばれる計画の一環。同計画に伴う未明離陸は今回で最後という。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_01.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 27面

分遣隊の島内移設提案/伊江島補助飛行場

米軍、ダム共用条件

 【伊江】地下ダム整備のため、伊江島補助飛行場の一部土地の共同使用に合意した米軍が、提供施設内にある「運用支援分遣隊」を島内の別の場所に移設する条件案を提示していたことが二十一日、分かった。移設先については米軍と国、村の調整で、島北側の真謝区付近の提供施設が候補に挙がっているが、同区は「事件・事故の多発につながる」と反対している。(新垣晃視)

 村によると、分遣隊は米海兵隊員約十人と、約二十人の日本人従業員で構成。演習場の管理や給水などを行っている。

 米軍が分遣隊の移設を求める最大の理由は、ダム完成後に水質の環境問題が発生した場合、責任を問われる懸念があるため。昨年八月、村側に意向を示した。

 ダム建設は「国営かんがい排水事業」を利用し、農業用水を確保する目的で二〇〇四年度から始まった。同村内には大きな川がなく、慢性的な水不足を抱えてきたが、地下ダムの完成で現在の二倍の農業用水が期待される。

 全長二千六百十二メートルの止水壁のうち、約半分が米軍提供施設内にあり、今月十七日の日米合同委員会で共同使用が合意され、全体工事が可能になった。

 数カ所あった移設先の案から、地下ダムに遠い場所を求める米軍の意向を踏まえ、住民生活への影響などにも配慮した結果、島の中央にある伊江島補助飛行場滑走路の北側が候補地に残った。具体的な場所は今後の協議で決まるが最短の場合、施設と真謝区までの距離が約百メートルになる可能性もあるという。

 村は昨年十二月、同区で説明会を開き、移設への理解を求めたが、住民からは米軍事件への不安や、生活道路の一部が使えなくなることなどに懸念や反対の声が上がった。

 区民の男性(77)=農業=は「現在施設がある所は近くに集落がなく、影響も少ないが、軍人が働く施設が民間地の近くに来るのは心配」と話す。

 大城勝正村長は「地下ダムは村民の念願であり、島内移設は苦渋の選択。今以上の基地機能の強化がないよう米軍に求め、地元に負担がかからないよう配慮し、理解を得られるよう話し合いをしていきたい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_02.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 2面

ハワイ移転否定/米軍再編で防衛省次官

 【東京】防衛省の増田好平事務次官は二十一日の定例会見で、米海軍省が在日米軍再編に伴いグアムに移転予定の在沖米海兵隊の一部をハワイに移転させることを希望していることについて、「そういう事実は承知しておらず、日米間で協議している事実もない」と否定的な見解を示した。

 その上で「ロードマップ(米軍再編最終報告)に従って、在沖米海兵隊のグアム移転を着実に進めていきたい」と述べ、在日米軍最終報告に基づく従来の方針に変わりはないとの立場を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_03.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 2面

基地連れ帰り「共同逮捕でない」/在日米司令部が見解

 【東京】在日米軍司令部法務部は二十一日、米憲兵隊が北谷町内の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在米兵の息子二人を基地内に連れ帰った問題について、「共同逮捕ではない」との見解をあらためて示した。外務省の照会に答えた。

 在沖米海兵隊は十八日、沖縄署の質問に対して「共同逮捕だった」とも解釈できる、あいまいな表現で文書回答しており、在日米軍司令部が「共同逮捕ではない」との立場を明確にした格好だ。

 米側は十七日夜、外務省に「非番の米軍人からの通報を受けた憲兵隊が現場に急行し、少年らを取り押さえたが、なおも暴れるので暴力を防ぐために手錠を掛けた。あくまで暴力を働く可能性を防ぐために行ったもので、窃盗について逮捕したという認識はしていない」と伝達していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_04.html

 

琉球新報 社説

憲兵隊少年連行 真相究明は外務省の仕事だ

2008年4月22日

 外務省の対応は「事なかれ主義」と言うほかない。米国を弁護し代弁する出先機関、と非難されても返す言葉はないだろう。北谷町美浜の衣料品店で起きた窃盗容疑事件で、在沖米海兵隊員の息子2人の身柄を米海兵隊の憲兵隊が拘束し、基地内に連行した問題で外務省は、これ以上問題を悪化させないために火消しに走っているように見える。

 この問題は、県警、政府、米軍それぞれの説明が食い違い、複雑な状況を呈している。

 それぞれの見解をまとめると次のようになる。まず県警は、「施設外における警察権の行使であり、明らかに地位協定に抵触する」という立場。これに対し政府は「地位協定関連取り決め等で許され得る」という認識だ。

 一方、米軍の説明は県警と政府に対するものとで食い違っている。ここに一番の問題がある。

 沖縄署が米軍に対して行った質問に対し、米軍は「共同逮捕」での手続きを規定した日米合同委員会合意事項を引用し「共同逮捕」との立場を示していた。その上で、「沖縄署が(合意事項に定められた)最寄りの警察署に連行すると言っていない」とし、これを根拠に合意事項に反しないと強調する意図が見えた。しかし政府に対する説明は、「少年が暴れるので手錠をかけたのであり逮捕ではない」として、逮捕自体を否定した。

 米軍は15日、キャンプ瑞慶覧の米海兵隊憲兵隊事務所を訪れた沖縄署員に対して身柄確保は不適切だったと謝罪している。事件当日、店員らが憲兵隊より先に現行犯逮捕(私人逮捕)していること、合意に定められた「最寄りの警察署に連行」せず、基地内に連行したことなど、状況を分析すれば米軍側に非がある筋道が見えてくる。

 だが、外務省は17日夜に在日米大使館から入った連絡に納得してしまう。「暴れたから手錠をかけた」という説明である。沖縄署への米軍回答も公表されず、政府内で調整中としてうやむやにされそうだ。

 仲井真弘多知事は「合意事項に全く違反している」と明言。県警側からも外務省に対する不満が出ている。このような事件が起きたときにこそ、政府は地位協定の問題点を徹底的に洗い出し、改定に結び付けるべきであるのに、またもや米軍の説明を尊重し「理解」してしまった。

 地位協定問題は運用改善でと主張する政府からすれば、違反か否かで問題がこじれれば、立場が苦しくなる。米側の説明は政府にとっても都合がいいのだろう。しかし、このように事をあやふやにして幕を引こうとする姿勢こそが政府不信につながっている。一体どの国の「外務省」なのか。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131366-storytopic-11.html

 

2008年4月22日(火) 夕刊 1面

未明離陸中止を要請/三連協、嘉手納司令官に

 【中部】米軍嘉手納基地で二十三日未明に、F15戦闘機三機と空中給油機数機が米本国に向け離陸を予定している問題で、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十二日午前、同基地司令官や外務省沖縄事務所、沖縄防衛局に未明離陸を中止するよう文書で要請した。

 要請文では「(米軍の)姿勢は一貫して基地周辺住民を無視した基地の運用であるといわざるを得ない」と厳しく指摘。

 その上で、午後十時から午前六時の間はすべての航空機の飛行活動、エンジン調整などを行わないこと、本国への帰還・訓練などは他の基地を経由するか、時間調整により未明離陸を行わないよう求めている。

 同問題で、嘉手納町議会は二十二日、北谷町議会は二十三日に基地対策特別委員会を開き、今後の対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221700_02.html

 

2008年4月22日(火) 夕刊 5面

ハンセン山火事 米軍が消火ヘリ

 【金武】在沖米軍から沖縄防衛局に入った情報によると二十二日午前十時五十五分ごろ、金武町キャンプ・ハンセン内の廃弾処理場(EOD)1付近で火災が発生した。

 米軍は、すでに消火ヘリを要請しているという。火災原因や焼失面積は調査中。

 同訓練場では、今年三月にレンジ3付近で不発弾処理中に火災が発生していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221700_04.html

 

2008年4月23日(水) 朝刊 1面

嘉手納F15 未明に離陸

 【嘉手納】在沖米空軍のF15戦闘機三機と空中給油機数機が二十三日未明、嘉手納基地から米本国に向け、離陸する。嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は二十二日、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、同基地からの未明離陸の今後一切の中止を求める抗議決議と意見書の両案を二十三日に開く臨時会に提案することを決めた。

 嘉手納基地報道部は、離陸時間について「オペレーション(作戦)の保安上、公開できない」と説明。同行する空中給油機の機種や機数については「その情報は入手していない」と回答した。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(会長・野国昌春北谷町長)も二十二日午前、未明離陸の中止を求めて、同基地司令官らに対し文書で要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804231300_05.html

 

2008年4月23日(水) 夕刊 1面

米軍 未明離陸を強行/嘉手納基地

 【中部】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が二十三日未明、米本国へ向け同基地を離陸した。嘉手納町屋良で午前五時十一分に、最高値九六デシベル(騒々しい工場内に相当)の騒音を計測した。同基地からの未明離陸は昨年十月以来、約半年ぶり。中止を要請していた嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は同日午前、反対を押し切り離陸を強行した米軍に対し、文書で抗議した。

 F15は午前五時十一分ごろから、三機が相次いで同基地南側滑走路を使用し、沖縄市方向に向け離陸。同十六分には、KC10空中給油機、KC135空中給油機が飛び立った。

 嘉手納町の職員が同町屋良の「安保の見える丘」で測定した騒音は、F15の離陸順に八九・八デシベル、九六デシベル、九〇デシベル。空中給油機は七八・七デシベル、七二・六デシベルだった。同地区に常設されている騒音測定器は、最大で九六・七デシベルを計測した。

 また、午前四時半ごろには、P3C対潜哨戒機が滑走路を往復するなどしたため、八五・七デシベルの騒音が発生した。

 三連協の抗議文は「中止要請を行ったにもかかわらず、米空軍は要請を無視し出発した。基地周辺住民の声を無視し、これまでの抗議決議などを聞き入れない姿勢は誠に遺憾である。運用を工夫すれば日中の離陸も可能であり米軍はその努力を怠っている」と指摘。

 三連協の野国会長は「住民は騒音で強制的に起こされ平穏な眠りを妨げられた。負担軽減につながっていない。あと約五十分待てば騒音防止協定の範囲時間に入るのになぜ配慮できないか」と米軍の一方的な運用を疑問視した。

嘉手納議会が抗議決議

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が二十三日未明に同基地を離陸した問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は同日午前の臨時会で、同基地からのすべての航空機の未明離陸を今後一切行わないよう求める抗議決議、意見書の両案を全会一致で可決した。同町議会は同日午後、同基地を訪ね、直接抗議する。

北谷町議会 決議提案へ

 【北谷】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機などが二十三日未明に米本国へ向けて同基地を出発した問題で、北谷町議会(宮里友常議長)は二十三日午前、基地対策特別委員会(照屋正治委員長)を開き、同基地からの深夜・早朝離陸を今後一切行わないことなどを求める抗議決議と意見書の両案を二十五日の臨時会に提案することを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804231700_01.html

 

2008年4月23日(水) 夕刊 5面

未明の爆音 安眠裂く/家が揺れ幼児泣き

 【中部】本島中部で二十三日未明、米軍戦闘機の爆音が響いた。「騒々しい工場内」に相当する騒音に嘉手納町では子どもが泣きだした。眠りを奪う激しい爆音に耐えかね、町外への引っ越しを考える人も。「騒音さえなければいい場所なのに」。基地周辺住民は、度重なる中止要請にもかかわらず未明離陸を強行する米軍に怒りを募らせている。

 「耳が痛くなるようなキーンというすごい音。家が揺れるように感じた」。嘉手納町水釜の嘉納エリ子さん(33)は、長女杏樹ちゃん(2)の泣き声とF15の爆音で目を覚ました。

 「三月に沖縄市から引っ越してきたが、想像以上にひどい。昼夜関係なく訓練が続くと、家族の生活リズムがおかしくなる」と健康面への影響を心配する。

 同基地に隣接する同町屋良に暮らして約三十年という津波古文徳さん(63)は、同居する二人の孫を静かな環境で育てたいと、読谷村への引っ越しを検討中だ。「騒音さえなければ緑が多くて最高の場所。しかし、基地がある限り騒音はなくならない」と米軍へ不満をぶつけた。F15戦闘機が上空を通過した沖縄市知花自治会の田島清信会長(61)は「みんなが眠っている時間帯の飛行は非常識だ」と憤る。嘉手納町の「安保の見える丘」で、米軍機の離陸を確認した沖縄市議会「基地に関する調査特別委員会」の与那嶺克枝委員長は「恐怖心を覚えるほどのごう音」と険しい表情だった。

 うるま市栄野比区書記の古謝弘子さん(61)は午前五時すぎ、騒音で目が覚めた。連続して四機ほど飛行する音がし、会話もできないほどだった。「不安の中での生活に慣れさせられている。まるで戦争みたいだ」と不満を漏らした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804231700_02.html