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イラク派遣違憲判断 普天間移設工事日米合意 憲兵隊、組織的に協定違反か 米戦闘機、滑走路外れる など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月17日から19日)

2008年4月17日(木) 朝刊 1面

外相「大いに問題」/憲兵少年連行

米側へ抗議示唆

 【東京】高村正彦外相は十六日の衆院外務委員会で、今月十三日に北谷町内の衣料品店で万引したとして、店員に捕まった在沖米海兵隊員の息子二人を、県警より先に現場に到着した米憲兵隊が拘束、基地内に連行した問題について「大いに問題があり得ると思っている」との認識を示した。その上で「現時点で断定的なことは言えないが、(米側の)照会を得た上でそれなりの対応をしていきたい」と述べ、法解釈上の問題点が明確になった時点で米側に抗議する考えを示唆した。照屋寛徳氏(社民)の質問に答えた。

 日米合同委員会合意では、米軍関係被疑者の逮捕権が日米で競合する場合、米側に優先権があるが、被疑者の身柄は最寄りの警察署に連行されると規定している。基地内に連行した憲兵隊の対応が、同合意に違反する可能性が出てきた。

 外務省の西宮伸一北米局長は、「『共同逮捕』の条件に当てはまるかどうか引き続き(米側に)事実関係を確認し、慎重に判断する必要がある」との立場を強調。

 一方で、「そもそも(憲兵隊が)現場で県警と調整せずに施設区域(基地内)に戻した」と指摘。基地外における憲兵について「日本国の当局と連絡して使用される」と規定した日米地位協定との関係では「問題があり得る」との見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171300_02.html

 

2008年4月17日(木) 朝刊 2面

投下爆弾撤去と訓練停止を要求/県、在日米海兵隊などへ

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が久米島町の鳥島射爆撃場の提供水域外に五百ポンド爆弾を投下した問題で、県の上原昭知事公室長は十六日、在日米海兵隊に対し、投下した爆弾の速やかな撤去と原因究明までの間のハリアー機の訓練停止を口頭で求めた。

 沖縄市で発生したタクシー強盗致傷事件についても、嘉手納基地に綱紀粛正や再発防止などを求めた。

 米側は渉外官が対応。県は今後、回答を求めていく姿勢だ。

 ハリアー機の爆弾投下問題で、県は米軍の通報の遅れや第一報の内容が誤っていたことを指摘。「公共の安全や県民の不安に対する配慮が十分でないと言わざるを得ない」とし、情報が混乱した経緯を明らかにするよう求めた。

 また連絡体制の確立、安全管理の徹底、事故の再発防止に万全を期すよう要請した。

 嘉手納基地に対しては「日米両政府や米軍が再発防止策を検討している最中に、軍人らの規律や秩序維持を任務とする憲兵隊員が事件にかかわったことは重大な問題」と訴えた。

 上原公室長は、在沖米国総領事や外務省沖縄事務所、沖縄防衛局にも同様の要請を口頭で行った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171300_03.html

 

2008年4月17日(木) 朝刊 23面

教科書協会に訂正申請要請/実行委、行動日程終了

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、検定意見撤回を求める県民大会の実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)は十六日、都内江東区の教科書協会(小林一光会長)を訪ね、軍強制記述の回復に向け訂正を申請するよう求めた。小林会長は「要請を重く受け止め、教科書各社に(実行委の)意向を伝えたい」と述べた。

 同協会は今月二十四日の加盟社との業務連絡会で要請内容を説明する。小林会長は「沖縄側の要望は伝えるが、具体的な対応は各社の判断。協会が踏み込んで方向性を示すことはできない」と話した。

 仲里委員長は「依然として(強制を削除する文部科学省の)意見が付されている以上、軍の主語が消される危惧がある」と指摘。小渡ハル子副委員長は「青少年に間違いを教えてはいけない。教科書会社は私たちの意をくんでほしい」と強調した。

 玉寄哲永副委員長も「沖縄戦の実態は歴史であり、があってはならない。協会からしっかり伝えて、実態を教科書で表現してほしい」と再び訂正申請するよう求めた。歪曲 政府、同協会への要請行動を終え、仲里委員長は記者団に「今日の要請で検定意見撤回、記述回復ができる期待があったが、結果的に(政府から)答弁をもらえず残念」と総括。今後については「撤回までかなり時間を要する実感があり、長い目で実行委も考えるべきではないか」と語り、組織の在り方を関係者と協議する意向を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171300_07.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月17日朝刊)

[憲兵隊の不祥事]

逮捕権の明文化を急げ


 米軍人や軍属の規律を維持、守るべきはずの在沖米軍憲兵隊の事件や地元との摩擦が健在化している。

 沖縄市内で起きたタクシー強盗事件では、嘉手納基地所属の憲兵隊兵長が強盗致傷容疑で書類送検され、今月十三日には北谷町の衣料品で万引した海兵隊員の息子二人を憲兵隊が拘束し、基地内に連れ帰った。

 タクシー強盗事件では、共犯の少年たちが供述している「事件の中心的役割」を憲兵隊員が担ったことが事実であれば由々しき事態だ。折も折、在日米軍施設の多くを抱える県内や神奈川県で米兵に絡む事件や事故が相次ぎ、組織の綱紀粛正が叫ばれているさなかである。

 日米両政府が声高に唱える「再発防止策」を最も敏感に感じ取り、実践すべき憲兵が、犯罪に手を染めてしまったのでは開いた口がふさがらない。

 心配なのはそれが一般兵に与える影響だろう。規律違反を監視、監督する側がそれを犯すとなれば、最低限あってしかるべき基地の外との緊張感が緩むことも想定される。

 県民の立場から見ればあらためて不安や不信が増幅される結果しか導かないことになる。

 さらに、容疑者の憲兵がいまだに米軍当局の手中にあることも看過できない。

 「特権」とも呼ぶべき日米地位協定では、日本の司法当局が公訴するまで、被疑者米兵の身柄を移すことができない。それに応じるか否かは米側のさじ加減一つで決まる不条理さである。

 今回の事件では被疑者が一定の期間、基地内を自由に行動していたとも指摘されている。その間に口裏合わせなどの証拠隠滅や逃亡を図ることさえ可能になる。県警は被疑者が米軍の管理下にあり、事情聴取も遂行できることから逮捕状の請求を見送っている。

 ただ、それはあくまで「政治的」な判断ではなかろうか。逮捕状を取り、引き渡しを求めれば拒否される可能性が高い。地位協定の運用で米側が応じるのは殺人や強姦など、凶悪な犯罪に限られているのが実情だからだ。

 拒否された場合の日米間の政治的な混乱を避ける狙いが透ける。昨今の米兵事件でその風潮が生まれつつあるのは憂慮すべきことだが、捜査員の間からは「十分な捜査をするために身柄を取ることが最善なのは当たり前」だという声が漏れてくる。

 それよりもむしろ、日米間の安全保障上のひずみから生まれる問題を警察の判断に任せることに問題がある。

 北谷町の万引事件で憲兵が少年二人を連れ帰った問題も地位協定に軍人家族の位置付けがあいまいにされていることに原因がある。

 昨年三月末の防衛省統計で、家族を含む在日米軍関係者が約九万二千人いる。その半数の約四万五千人が居住する沖縄は、同様の問題が繰り返される可能性が高い。

 自国の兵士の人権を盾に、駐留国の人権を脅かす矛盾を両政府はいま一度考え、逮捕権の枠組みを明文化する必要がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080417.html#no_1

 

琉球新報 社説

教科書検定意見 文科省の役割忘れたのか

2008年4月17日 

 文部科学省はこの期に及んで、沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)が「日本軍の強制」によって生じたという歴史的事実から目をそらし続けている。

 「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の仲里利信実行委員長(県議会議長)らが、高校歴史教科書から「日本軍の強制」を修正・削除した検定意見の撤回と記述復活を文科省に要請したが、池坊保子副大臣は難色を示した。

 岩波・大江「集団自決」(強制集団死)訴訟判決で、大阪地裁は「日本軍の戦隊長が住民に自決を命じたとの本の記述は誤り」との原告側主張を退けた。

 原告の意見陳述は検定意見の参考資料となっており、判決はそれを否定したとも言える。文科省としては判決に基づいた実行委の要請に沿って検定意見の撤回と記述を復活するのが筋である。

 ところが、副大臣は実行委に対して「最終的な(司法の)判断が出ていない。現段階で何も言えない」と述べ、事実上、拒否する姿勢を示した。

 原告が控訴したことで今も係争中であり、文科省としては現時点で対応することは適切ではないとの判断なのだろう。

 その論理に当てはめれば、結論が出ていない裁判での意見陳述を検定意見の参考資料にしたこと自体、適切ではなかったことを自ら認めたに等しい。

 実行委の要請後、副大臣は「司法判断に左右されていいか疑問がある」と述べた。

 政治的圧力や事実をねじ曲げるような主張に教育行政が左右されることがあってはならない。教育行政の独立性は当然、確保されなければならない。

 しかし、検定意見の根拠の一つを司法が否定したことは重視するべきである。判決は歴史的事実について正当な判断を下しており、それを軽視することは史実に背を向けることにつながるということを文科省は認識するべきだ。

 副大臣は「教育は中立でないとならない」とも述べている。当然である。だが、岩波・大江訴訟の一方の当事者の主張だけを重視したことが、果たして「中立」と言えるだろうか。「中立」ならば「集団自決」で生き残った人たちの証言も参考にするべきである。

 参考にした意見陳述が、体験者の証言や沖縄戦研究者のこれまでの蓄積を覆すものだったことが証明されない限り、文科省は歴史を改ざんしようとする側に立脚したと疑われても仕方ないだろう。

 歴史的事実を教育現場で子どもたちに正しく伝えさせるようにすることが教育行政の在り方である。文科省はその大切な役割を忘れてはいまいか。

2008年4月17日(木) 夕刊 5面

米軍、合意違反認める/万引米少年憲兵連れ帰り

県警に米謝罪

 北谷町の衣料品店でTシャツなどを万引したとして、店員に取り押さえられた米海兵隊の息子二人を、沖縄署の捜査要請を拒否して憲兵隊員が基地内に連れ帰った問題で、米軍側が日米地位協定に関する合意事項に違反していたと認めていたことが十七日、県警関係者の話で分かった。

 県警関係者によると、事件から二日後の十五日に、米軍に対して経緯説明を求める文書を手渡した際、憲兵隊の上司が「申し訳ない」と述べたという。米軍側は近日中に正式な回答を出す方針を示している。

少年容疑認める

 【沖縄】北谷町の衣料品店でTシャツなどを万引し、店員に捕まった在沖米海兵隊員の未成年の息子二人を、通報で駆け付けた沖縄署員より先に米憲兵隊が拘束、基地内に連れ帰った問題で、十七歳の少年が同署の任意の取り調べに対し容疑を認める供述をしていることが、十七日関係者の話で分かった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171700_03.html

 

2008年4月18日(金) 朝刊 27面

「集団自決」指導事例集を配布

教育庁 現場の不安に対応

 文部科学省が高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を示す記述を削除させた教科書検定問題を受け、県教育庁はこのほど、軍の強制を明記した「高等学校における沖縄戦の指導案事例集」をまとめた。同庁は「社会科や総合学習の授業で活用し、生徒に沖縄戦の実相を正しく伝えてほしい」と呼び掛けている。

 事例集には三十―五十代の教員十八人が、沖縄戦を取り上げた授業実践二十例を盛り込んだ。日本史Bでは、「集団自決」体験者の証言や沖縄タイムス社の社説を教材に、教科書検定問題を県民としてどうとらえたかなどを生徒に問う指導例がある。

 総合学習で戦跡巡りをした例や、県内の米軍基地と憲法について考えた政治・経済の授業も紹介した事例集。

 仲村守和教育長は「現場教員は(軍命が削除された)新しい教科書で、不安ではないかという懸念があり作成した。今後、教員は自信を持って平和教育を進めてほしい」と語った。

 事例集は十五日に、全県立高校に配布された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181300_02.html

 

2008年4月18日(金) 朝刊 27面

県内、評価と冷静反応/イラク派遣 違憲判断

 海外に活動範囲を広げてきた自衛隊の活動を違憲とする司法判断が示された。名古屋高裁の判決に県内では評価する声が相次いだ。一方で「自衛隊のイラク派遣自体が違憲とされたわけではない」と冷静な受け止めもあった。

 ネットワーク九条の会沖縄事務局長の加藤裕弁護士は「裁判所はこれまで、自衛隊と安全保障は政治の問題として判断を避けてきた。その結果、自衛隊は活動範囲を広げ、武力行使が行われているイラクにまで派遣された。こうした流れに、くさびを打った」と指摘。「現在の自衛隊派遣が、本当にイラクの平和のためになっているのか、自衛隊の在り方を含め国民の間で議論の材料になる」とした。

 琉球大学法科大学院の高良鉄美教授(憲法)は「立法と行政のチェックアンドバランスを意識した使命感ある判決。憲法の理念と国が進むべき道筋について立ち止まって考えるきっかけにするべきだ」と語った。

 沖縄・女性九条の会共同代表で弁護士の真境名光さん(70)は「改憲論議など戦前を思わせる空気がまん延したことに、多くの市民が危機感を持ち、行動した成果」と歓迎。その上で、自衛隊派遣差し止めが認められなかったことに「市民の側がこの判決を生かしていくために行動し、世論をつくっていかねばならない」と訴えた。

 県隊友会会長・石嶺邦夫さん(74)は「活動の一部でも違憲とされたのは残念だが、サマワでの陸自の活動など、自衛隊のイラク派遣自体が違憲とされたわけではない。日本が可能な範囲で国際貢献をしていくことは大切で、状況に応じ活動の内容を見直していけばいいのではないか」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181300_03.html

 

2008年4月18日(金) 朝刊 2面 

普天間移設へ工事合意/日米合同委

ハンセン射場施設提供も

 【東京】日米両政府は十七日の合同委員会で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市キャンプ・シュワブ内の下士官宿舎などの工事実施や、キャンプ・ハンセン内で移設される射場などの提供、伊江村地下ダム整備に伴う伊江島補助飛行場の共同使用を合意した。

隊舎移転


 普天間飛行場代替施設建設に伴い、キャンプ・シュワブ内の飛行場建設予定地の西側に、下士官宿舎、倉庫、管理棟、通信機器整備工場、舟艇整備工場の整備実施について合意した。総額約三十八億円。普天間移設に関する工事着工はこれが初めて。着工時期について、防衛省は「準備が整い次第、速やかに実施する」と明らかにしていない。


射場整備


 金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」の米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の都市型戦闘訓練施設移設に伴い、「玉突き」で移転される二カ所の訓練施設のうち、西側A地区の施設が完成し、米側に提供することで合意した。今回提供するのは小火器用の射程五十メートルの射場や安全壁、ウェザーシェルター。


ダム建設で共用


 国営かんがい排水事業で伊江村に整備される地下ダムの建設に伴い、水をせき止める堤体などの用地として、伊江島補助飛行場の一部土地約六千六十平方メートルの共同使用に合意。そのほか、ダムの建設作業用地として、工事期間中に限定して約五十万四千九百平方メートルの共同使用も合意した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181300_04.html

 

琉球新報 社説

イラク派遣違憲 撤退を迫る画期的な判断

2008年4月18日

 航空自衛隊のイラク派遣は「違憲」との判断が17日、名古屋高裁で示された。イラクでの空自の活動が、憲法九条が禁じる武力の行使に当たるとの判断である。判決が出た以上、政府は空自をイラクから撤退すべきである。

 違憲判断は、自衛隊のイラク派遣が憲法違反として、約1100人の市民が派遣の差し止めや慰謝料を国に求めていた訴訟である。

 訴訟は派遣後の2004年から全国11の地裁で12の集団訴訟が提訴された。だが、判決で原告側の訴えはいずれも退けられてきた。

 しかし、名古屋高裁の青山邦夫裁判長は「航空自衛隊の空輸活動は憲法九条に違反する。多国籍軍の武装兵員を戦闘地域に空輸するものについては武力行使と一体化した行動」と認め、違憲と判断した。

 原告団の一人で、レバノン大使も務めた天木直人さんは、自らのブログで「憲法を少しでも学んだ者ならば自衛隊のイラク派遣が違憲であることは分かるはずだ」と訴えてきた。

 しかし、12の訴訟は「訴えの利益がない」との紋切り型の判断で、門前払いされてきた。

 「裁判官は正面から違憲審査をしようとはしない」「この国の司法はどうなっているのか。これほどまでに政治に屈していいのだろうか」「裁判官は出世に目がくらんだ官僚に成り下がっている」。そんな批判と司法への不信感が募っていた。

 「違憲訴訟は続けよう。裁判官が権力を裁く事ができなくても、我々が彼らを裁くのだ」。そんな原告団の気概が、画期的な判断を引き出している。

 国はイラク特措法で、自衛隊の活動場所を「非戦闘地域」に限定している。だが、イラクの首都バグダッドでは多くの市民が、いまも戦闘の犠牲になっている。

 高裁判決は、バグダッドなどへの多国籍軍の兵士や国連の人員、物資輸送などを行っている航空自衛隊の活動が「イラク特措法にも違反する」と判断した。

 自衛隊派遣では「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」と、木で鼻をくくる国会答弁を繰り返した当時の小泉純一郎首相にも反省を促す判断である。

 一方で、憲法違反の自衛隊のイラク派遣で「平和的生存権を侵害された」とする原告団の訴えについては「具体的な権利や義務に関する紛争ではなく、訴えは不適格」と却下。慰謝料についても棄却している。

 法治国家の徹底と護憲の訴えを認める高裁判決が下された。今回の司法判断を重く受け止め、国はイラクから自衛隊を撤退させるべきである。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131240-storytopic-11.html

 

2008年4月18日(金) 夕刊 1面

北米局長「合意反せず」/米少年連れ帰り

 【東京】外務省の西宮伸一北米局長は十八日の衆院外務委員会で、北谷町内の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在沖米海兵隊員の息子二人を、県警より先に現場に到着した米憲兵隊が拘束し、基地内に連れ帰った問題について、日米合同委員会合意に反しないとの見解を示した。照屋寛徳氏(社民)への答弁。

 西宮局長は「米側は(身柄は連行したが)逮捕していないし、逮捕したという認識もないので、これは共同逮捕の問題ではない」と説明。米軍関係被疑者の逮捕権が日米で競合する場合、米側の逮捕を原則とし、被疑者の身柄は最寄りの警察署に連行されると規定した同合意との関係で問題にならないとの考えを示したものだ。ただ外務省は、米軍が基地外で憲兵を使用する際には「日本国の当局と連絡して使用される」と規定する日米地位協定との関係で、今回の行動には「問題があり得る」との立場で、十八日までに在日米国大使館に遺憾の意を伝え、関連取り決めの順守を求めた。


「合意に反する」

知事は米軍を批判


 仲井真弘多知事は十八日午前の定例会見で、万引で店員に捕まった米兵の息子二人を、米憲兵隊が基地内に連れ帰った問題について「日米合同委員会の合意事項に反していると思う。家族の犯罪についてきちっと日本側の警察で身柄を拘束し、取り調べする合意になっている」と述べ、米軍の対応を批判した。

 今後の対応には「外務省でも検討しており、その結果を待ちたい」と述べた。

 沖縄市で憲兵がタクシー強盗に関与したとして書類送検されたことについては「どうしてこういうことが起こっているのか。腰を据えて再発防止策を考える必要がある。県の対応もさらにきつく、米側も家族に対して徹底した教育訓練が必要ではないか」と綱紀粛正の徹底を求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181700_02.html

 

2008年4月18日(金) 夕刊 7面

提供外飛行は誤り/安部オール島 米ヘリ離着陸

政府に米回答 再発防止求める

 【東京】政府は十八日、米軍への提供施設外である名護市の安部オール島で、在沖米海兵隊のヘリコプターが離着陸した問題について「訓練ではなく、誤って行われた。今後ないようにしたい、と(米軍から)回答があった」と説明した。糸数慶子参院議員(無所属)の質問主意書への答弁書で明らかにした。

 問題の離着陸があったのは三月二十日。政府は、沖縄防衛局などを通して米軍や米大使館に再発防止の徹底を申し入れたという。

 また、四月三日に同市の国立沖縄工業高等専門学校の上空で、米軍ヘリがホバーリングをしたとされる問題については「ヘリはキャンプ・シュワブ内を訓練で飛行していたが、同校上空では行っていない、と回答があった」と事実関係を否定。政府は米軍に対し、地元住民に不安を与えないよう求めたとしている。

 三月二十八日に大阪地裁であった「集団自決」訴訟の判決について政府は、「今後、教科書検定調査審議会で判決自体が審議事項で取り上げられることはない」と答えた。検定意見撤回については言及しなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181700_04.html

 

2008年4月19日(土) 朝刊 1面

「先に基地に連れ戻せ」憲兵隊、訓練で指導

組織的に協定違反か

 北谷町内で万引したとして店員に捕まった米海兵隊員の息子二人を同隊の憲兵隊が基地内に連れ帰った問題で、同憲兵隊の新隊員訓練では日常的に「県警より先に身柄を取り、基地内に連れ戻せ」と指導されていたことが分かった。複数の海兵隊関係者が十八日、沖縄タイムス社の取材に答えた。(新崎哲史)

 日米地位協定では、米軍施設以外での米軍当局の逮捕は「規律、秩序維持の必要範囲内」と制限しており、日本側当局との連携が必要と規定。憲兵隊が隊員への指導段階から協定を無視するような指導をしていた可能性がある。

 複数の関係者によると、新しく海兵隊憲兵隊に着任した際、「新隊員訓練」が行われ、日本の法律などを米軍側の担当講師が約二週間にわたって講習する。

 日米地位協定に関する講習は海兵隊司令部の法務部所属で、弁護士資格を持つ隊員が講師を務め、「県警と逮捕が同時でも、必ず基地に連れてくるように」などと指導しているという。

 新隊員訓練は、年に二度ほど行われており、同様の指導は、少なくとも二年ほど前まで行われていたとみられている。海兵隊憲兵隊は、訓練終了後にキャンプ・フォスター内の憲兵隊本部や中北部の基地内にある出張所に派遣される。

 関係者の一人は「米軍は軍人を軍のプロパティー(資産)と考える。日本側が逮捕して、『資産』が奪われる前に取り戻したいという考えがある」と説明。日本人警備員が民間地で銃を携帯した問題を挙げ、「多くの憲兵隊員は地位協定の詳しい内容を知らない。軍人の家族を連れ帰った今回の問題は、一部の上官の都合のよい解釈で、起きたのではないか」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191300_01.html

 

2008年4月19日(土) 朝刊 27面

憲兵、少年と口裏合わせ/タクシー強盗

 三月に沖縄市内で起きたタクシー強盗事件で、強盗致傷容疑で書類送検された嘉手納基地所属の憲兵隊の兵長ダリアス・ブランソン容疑者(21)が米軍の監視下にある間に、共犯とされる米兵家族の容疑者の少年二人=いずれも同容疑で逮捕=と事件への関与を否認するなど口裏合わせをしていたことが十八日、関係者の話で分かった。

 米軍は県警が拘禁施設に収容するよう要請した後も一週間以上にわたって応じなかった上、その間監視状態も適正でなかった可能性がある。

 県警は証拠隠滅などを防ぐため、四月二日に同容疑者を拘禁するよう米軍に要請していたが、米軍が応じたのは十日後の十一日。その間、ブランソン容疑者は軍の監視下にあったが、一定程度自由に行動できる状態だったという。

 少年らについても、県警が二日から求めていた身柄引き渡しに米軍が応じたのは五日だった。その間、少年らは軍の監視下になかったとされ口裏合わせができる状態だったとみられる。


飲酒禁止緩和で米兵が繰り出す

初の週末ゲート通り


 【沖縄】米兵による相次ぐ事件・事故を受けて実施された飲酒禁止措置が緩和され、初の週末を迎えた十八日、沖縄市のコザ・ゲート通りは、繁華街に繰り出す米兵らでにぎわった。

 コザ・ゲート通り近くでバーを営む男性(58)には、常連客の米兵から「店に行くよ」と連絡があった。男性は「飲酒禁止措置の緩和は歓迎」と明るい表情。

 同僚と連れ立って通りを訪れた米海兵隊所属の男性兵士(28)は「とてもハッピーだ。外出禁止のころは部屋でテレビゲームばかり。部屋で酒も飲まなかった。今日は飲むつもりだよ」と声を弾ませた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191300_02.html

 

2008年4月19日(土) 朝刊 2面

基地周辺対策費23%増

08年度 防衛省1次分86億円

 【東京】防衛省は十八日、全国の基地周辺自治体などへ配分される二〇〇八年度周辺対策事業(補助金)の第一次都道府県配分を公表した。県内は六十件、対前年度比約23%増の八十六億二千三百万円が配分された。都道府県別に分類されない住宅防音、放送受信障害などは除かれている。

 沖縄関連で最も金額が多かったのは、生活環境施設などに補助する民生安定事業(一般助成)で、前年度比十億円増の三十八億二千万円。内訳は普天間飛行場などに関係した緑地整備など新規七件、継続十二件だった。

 学校や病院などへの防音工事費を助成する騒音防止対策事業(一般防音)は、十四億五千四百万で金武幼稚園など新規五件と継続二十一件。

 そのほか、公民館などへの防音工事費を助成する民生安定事業(防音助成)は五千八百万で、池原地区学習等共用施設など新規四件。

 住宅防音は、嘉手納基地周辺の三千二百四十三世帯に四十一億六千万円、普天間飛行場周辺の八百十五世帯に六億百万円を助成する。

 特に生活環境などに影響を受けている市町村に支払われる特定防衛施設周辺整備調整交付金は、県内十六市町村に十五億七百万を交付することが決まった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月19日朝刊)

[空自輸送違憲]

イラクを撤退する時だ


 名古屋高裁(青山邦夫裁判長)は、イラク・バグダッドで航空自衛隊が多国籍軍の武装兵を空輸していることについて「他国の武力行使と一体化した行動であり、イラク特措法、憲法九条に違反する」と初の違憲判断を示した。

 自衛隊の憲法適合性について違憲としたのは、一九七三年の「長沼ナイキ訴訟」一審以来、実に三十五年ぶりである。

 同訴訟では自衛隊の存在そのものを違憲としたが、今回は自衛隊の海外活動についてである。

 「高度な政治性を有する国家の行為は憲法判断を控えるべき」とする「統治行為論」で、裁判所が憲法判断を示さない流れが定着。誰もが裁判所に無力感を感じていたのではないか。

 そういう意味で、判決は司法の本来の姿を示し、時流に流されがちな私たちの意識を覚醒させる一撃になったのではないか。

 空自が空輸を開始したのは二〇〇四年三月。当時の小泉純一郎首相は〇三年七月、戦闘地域の定義を聞かれ「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、今私に分かるわけない」と開き直り、〇四年十一月には「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」と強弁。無理を重ねたあいまいな概念だった。

 米国が主張していた大量破壊兵器がイラクで見つからず、フセイン元大統領とアルカイダとの関係も証明されなかった。米国でもイラク戦争を否定する意見は高まるばかりだ。それでも政府はイラクから撤退する考えはないという。違憲判決を受け、政府はあらためて国民に説明する必要があろう。

 イラク特措法では自衛隊が活動する区域は非戦闘地域に限り、しかも「武力行使とは一体化しない」ことが前提とされていた。

 この点、判決は明確だ。

 〇三年五月のブッシュ米大統領の「戦闘終結宣言」後も、米軍中心の多国籍軍はバグダッドなどで、多数の死傷者を出している。多国籍軍の活動は治安活動の域を越え、武力抗争と認定。イラク特措法の「戦闘地域」に該当すると断定した。多国籍軍の武装兵を、戦闘地域のバグダッドへ空輸することは、他国による武力行使と一体化した行動で、自らも武力を行ったとの評価を受けざるを得ないと結論付けた。

 軍事作戦上、後方支援も戦闘行為であることは言うを待たない。判決はこの点でも明快だ。

 現代戦は輸送なども戦闘行為の重要な要素であり、多国籍軍の戦闘行為に必要不可欠な軍事上の後方支援を行っていると認定した。

 米国自身に「出口戦略」がない。そんな米国に日本はいつまで追従するつもりなのか。

 判決は原告の市民ら約千百人が求めていた派遣の差し止めや慰謝料請求を棄却した。

 原告は判決内容は実質的勝訴として上告せず、国も形式的には勝訴のため上告できない。違憲判断が確定する。

 米国との同盟関係に配慮し、無理な解釈を重ねて自衛隊を派遣した政府は、撤退のシナリオを真剣に考える時だ。判決は米国に自衛隊撤退を告げるきっかけになり得る。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080419.html#no_1

 

2008年4月19日(土) 夕刊 1面

米戦闘機、滑走路外れる/嘉手納基地

県道から数十メートル

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で十九日午前十時五分ごろ、米民間会社が所有する英国製のMK58戦闘機一機が着陸後、滑走路に隣接する緑地帯に機首部分から突っ込んで停止した。

 事故原因や機体、人員への被害状況などは分かっていない。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)に事故の連絡は一切入っていないという。

 事故現場は県道74号から数十メートルの場所。同機は消防車など数台の緊急車両や消防隊員らに囲まれているが、放水などは確認されていない。同機は午後一時ごろけん引されて駐機場に移動した。

 目撃者らによると、同機は米軍機が訓練で使用する標的をけん引して離陸するなど、米軍機の訓練に協力する機体。この日も何らかの訓練後に着陸し、事故を起こしたとみられる。

 三連協の野国会長は、情報がないと前置きした上で「一歩間違えば住民に被害が出る。早めに原因究明し対応を明らかにしてほしい」と語った。

 事故現場を確認した嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は「民間地から非常に近い場所。県民に大きな不安を与える。嘉手納基地の危険性があらためて浮き彫りになった」と憤った。

 県道沿いで、冷菓子を販売する女子中学生は、午前十時四十分ごろ、「消防車のサイレン音で事故に気付いた」と驚いた様子だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191700_01.html

008年4月19日(土) 夕刊 5面

協定無視に怒り/米軍憲兵隊の連れ戻し指導

 在沖米海兵隊の憲兵隊が日常的に「県警より先に身柄を取り、基地内に連れ戻せ」と指導していた問題で、県内の平和団体は「断じて許せない」と激しい怒りの声を上げ、識者は「明らかな地位協定違反」と、米軍側の対応を問題視した。

 日米地位協定に詳しい駿河台大学の本間浩名誉教授は「米軍基地の外については、本来は全面的に日本の警察権が優先する。例外的に、米軍内の規律や秩序維持の最小限の範囲内で拘束する権利が認められているだけだ」とし、明確な日米地位協定違反と指摘した。

 その上で「日本政府や警察は、米軍の誤った認識を厳しく追及しなければならない」と強調した。

 沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「地位協定以前の問題で、日本の法律を一切無視している。決して許されるものではない。これでは日本の主権がないに等しく米軍のやりたい放題だ。強く抗議する」と強く憤った。

 「米兵によるあらゆる事件・事故を許さない県民大会」実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は「憲兵隊の指導的立場の上官が地位協定さえ理解していない。教育プログラムの強化や綱紀粛正をやっても、まったく意味がないことがはっきりした」とあきれた口調。

 「米側に配慮ばかりしている政府、特に外務省の責任は重い。米軍の裁量を許さず、米兵犯罪も、国内法を優先させると明記するべきだ」と述べ、日米地位協定の抜本改定をあらためて訴えていく姿勢を示した。

 城間勝平和市民連絡会代表世話人も「基地の外に、どんどん米軍の権力が拡大している。これが事件・事故が減らない要因になっていることを、政府はしっかり認識するべきだ」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191700_03.html

 

2008年4月19日(土) 夕刊 5面

義足の元軍人を支援/カンボジアに自立施設

 【沖縄】特定非営利活動(NPO)法人アジアチャイルドサポート(沖縄市)はこのほど、カンボジアに傷痍軍人らのための施設を建設、今月十日に完成式典が行われた。トラクター寄贈などに約八百万円を充てた同NPOの池間哲郎代表(54)は「村には自立にかける思いの強い人々が集まっている。施設を活用し、ぜひ発展してほしい」と期待している。

 このほど完成した障害者自立支援センターは、首都プノンペンから西方、車で約二時間半のビールトム村にある。建物面積約三百三十平方メートル。同村はカンボジア内戦や土中に埋まる地雷で傷ついた元軍人らが山中を開拓、現在は約三百世帯約千六百人が生活する。

 二〇〇六年に村人から支援要請があり、池間代表が二度現地を調査。村人が学んだり会議する場がなく、農作業も義足で十分力の入らない人の多い課題の解決を決意した、という。

 式典で、傷痍軍人でもあるドイサリー村長(51)は「踏ん張る力のない義足の人に農作業はつらかった。トラクターなどを活用し、自立のため努力したい」と感謝。今後は現金収入を得るため、換金作物のコショウなどを作る予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191700_05.html

地位協定の抜本改正求め要請団50人が上京 米憲兵、万引少年連れ帰る、沖縄署の捜査要請応じずなど  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報社説(4月13日から16日)

2008年4月13日(日) 朝刊 2面

環境視点に被害検証/米軍基地国際シンポ

 「環境」を中心とした米軍基地問題について、沖縄と日本(神奈川)、韓国の市民団体が意見交換する「米軍基地環境調査研究国際シンポジウム」(主催・同実行委)が十二日、宜野湾市の沖縄国際大学で開かれた。軍事活動から生じる自然破壊、環境汚染、事件・事故を、各地で活動する市民や専門家が報告。不平等な地位協定の改定や基地撤去に向け、国際的連携の重要性を確認した。百二十人が参加した。実行委はシンポの内容を意見集約し、十四日に東京の参院議員会館で記者会見を行う。

ジュゴン訴訟


 米国ジュゴン訴訟弁護団の加藤裕弁護士は、名護市辺野古への普天間代替施設建設問題で、米国防総省が米国の国家歴史保存法に違反していると認定したサンフランシスコ連邦地裁判決について報告した。

 米政府が同法に基づくジュゴン保護への「配慮」が示されるまで訴訟が継続される点を強調。今月中に提出される米政府の報告書(「配慮」のために必要な情報開示)と、対する原告側の反論について、裁判所が監督していくことを説明した。

 その上で、「真に『配慮』が行われるなら、基地建設はできないはずだ」と指摘。「米政府が出す情報をしっかり検証し、反論する必要がある」と述べた。

 判決の意義については、海外駐留の米軍に同法が初めて適用され、基地建設阻止へ展望を開いたこと、世界中の同様な環境問題における先例的役割を果たしたことを挙げ、グローバルな連携が重要だと訴えた。


普天間飛行場


 伊波洋一宜野湾市長は、SACO(日米行動特別委員会)で全面返還が合意されて十二年目を迎えた現在も、普天間飛行場周辺の危険性除去が放置された現状を説明。「米国内では基地周辺の土地利用を制限する『航空施設整合利用ゾーンプログラム(AICUZ)』を米軍が自ら設け、地域の安全を保障している」として、同飛行場の異常性を強調した。

 また、在日米軍施設に対し政府が策定している日本環境管理基準で騒音などの項目が空白にされていることを挙げ、「政府はAICUZが米国連邦法でないため普天間飛行場には適用されないとし、騒音項目を除外した」と指摘。政府に環境管理基準の見直しと、米国防総省などに安全基準問題を放置している実態の是正を求める考えを示した。


神奈川


 神奈川県からは、米海軍と自衛隊の共同使用で騒音問題に悩まされる厚木基地、原潜の冷却水やアスベストなど有害廃棄物による環境汚染問題を抱える横須賀基地、相模補給廠の周辺住民が、それぞれの現状や課題を報告した。

 厚木基地爆音防止期成同盟副委員長の金子豊貴男相模原市議は「二〇〇六年に在日米軍再編が合意されて以降、日米の軍事一体化が進んでいる」と指摘した。


韓国


 韓国側からも、米軍による環境問題について報告が相次いだ。

 「我が土地米軍基地取戻し群山市民の会」のユン・チョルスさんは、米空軍群山基地の燃料タンクの老朽化で油が流出し、川や農地が汚染されていると発表。平澤平和センターのカン・サンウォンさんは、空軍基地がある平澤市で騒音被害訴訟の原告が六百七十七人に拡大したことを報告した。グリーンコリアのソ・ヂェチョルさんは、米韓が二〇〇六年、汚染を除去しないまま二十三カ所の基地を強引に返還合意した経緯を説明した。


県内

鉛・枯れ葉剤が島汚染


 沖縄環境ネットワーク世話人の真喜志好一さんは、米軍が一九六〇年代から名護市辺野古崎付近に海上基地を検討していたことを示す米側資料を披露し、「米軍の本当の目的は新たな基地の建設。普天間基地の移設は、新基地を造る口実にされた」と解説した。

 同ネットワークの内海正三さんは、キャンプ・コートニー(うるま市)海岸のクレー射撃による鉛汚染の問題を報告。日本政府が付近で採れるヒジキなどについて十分な調査を行わなかったことを批判した。

 琉球諸島を世界自然遺産にする連絡会の伊波義安さんは、米軍が六一―六二年、北部訓練場(国頭村、東村)で猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を散布していた事実が二〇〇七年に情報公開で判明するまで公表されなかったことを挙げ、「米軍基地内で何が行われているか、県民は全く知らされない」と憤った。

 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の本永貴子さんは「政府が政治判断で米軍基地を受け入れるなら、米兵による犯罪に責任を持つのは当然だ」と述べた。


代表者コメント


 桜井国俊 実行委共同代表(沖縄大学学長) 地位協定を改定し、米軍活動に環境義務を課す国際法を作るため、国際的連携が必要だ。

 佐藤学 実行委共同代表(沖縄国際大教授) 沖縄と韓国が共闘することで問題が見えてきた。それを確認できたことに意義がある。

 ムン・ジョンヒョン 韓国団長(神父) 米軍が引き起こす問題は沖縄も韓国も全く同じ。今こそ私たちの連帯が始まった。共に闘いを続けよう。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804131300_01.html

 

琉球新報 社説

実弾誤投下 原因を速やかに連絡せよ2008年4月13日

 沖縄では陸も空も、そして海上でも軍事演習で終日、きな臭さが漂っているのか。しかも、訓練区域外にも模擬弾ではなく実弾が降ってくるなど、まるで戦場と言っていい。

 9日午後、米海兵隊のハリアー戦闘攻撃機が、久米島北方の鳥島射爆撃場近くの海上に250キロ爆弾2発を誤投下していた。場所は訓練海域から5・5キロも離れている。いったい、どういう訓練をすれば、それほどの誤差がでるのだろうか。その上、久米島の住民地域からは20キロも離れてはいないのだ。文字通り、一歩間違えば大惨事という状況だったといえる。

 島の住民らからは「誤って投下したでは済まない。あんな爆弾が島に落ちたら大変だ。殺傷能力の高いクラスター爆弾だったらどうするんだ」と怒りの声が上がっているが、当然だろう。久米島の北側では訓練による米軍機の爆音が聞こえ、鳥島に命中した閃光(せんこう)や煙が見えるという。住民は日ごろから不安を感じているといい、今回の事故でその感を一層強くしているのではないか。

 鳥島周辺は豊かな漁場で近海を航行する漁船も多い。爆弾の落ちた島の南側には久米島漁業協同組合が設置するパヤオ(魚礁)もあり、パヤオ漁やセーイカ漁が盛んに行われている。海兵隊報道部は「漁船は確認されなかった。爆弾はすぐに沈み水面に浮いてくる危険性はない。実弾だが爆発した兆候はなかった」としているが、理解に苦しむ。これでは漁船が見えなかったので(誤投下しても問題ない)と聞こえる。誤投下したが幸いにも漁船がいなかっただけ、ということではないか。さらに言えば爆発しなければ問題ない、という意味にもとれ、米軍の危機管理能力を疑わざるを得ない。

 一方、あらためて指摘したいのは事件・事故が起きた際の、米軍による日本側への連絡体制の不備だ。今回、米軍側から連絡があったのは事故から丸1日もたった10日夕。しかも一報は、事故は10日午後の発生で、実弾ではなくて模擬弾との内容だった。米側は「報告や確認作業で時間を要した」と弁明しているが、にわかには信じられない。ここには、住民の不安に対する配慮がみじんも感じられない。また、実弾かどうか確認するのに、こうも時間を要するのだろうか。何と悠長な軍隊なのだろう。いざという時、役に立つのかと余計な心配もしたくなる。

 実害がなかったから連絡も遅れた、というような言い訳は通用しない。提供施設外に250キロ爆弾が投下され、不発状態にあるということは事実だ。これだけでも米軍の責任は重い。不発弾ならば予期せぬ事故が起こる可能性も否定できない。再発を防ぐためにも、事故原因を徹底的に調査し、速やかに日本側に知らせるべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131096-storytopic-11.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 1面

伊江島飛行場から粉塵/米軍機訓練で恒常化

農作物・健康被害を懸念

 【伊江】米軍伊江島補助飛行場で行われている航空機の離着陸訓練で恒常的に粉塵が飛散し、農作物や洗濯物に付着するなど、住民生活に悪影響が出ている。住民からは農作物にとどまらず健康被害を心配する声も上がるが、米軍や国から抜本的な予防対策は示されていない。(新垣晃視)

 同飛行場は、野戦訓練のためアスファルトで舗装されず、コーラルが敷かれている。北風が吹く日に米軍機が離陸すると、コーラルの粉塵は飛行場南側にある黙認耕作地や、民間地の住宅に広く飛散する。村によると、強風の時は二キロ先まで飛ぶという。

 同村の特産物である葉タバコやキクに付着すると、葉や花びらの粉塵を丁寧に水で洗い流さなければならず、農家の負担は大きい。

 西崎区の照屋徳治区長は「需要が減っている葉タバコは、買い取りの品質基準が厳しくなっており、(粉塵により)出荷できなくなる恐れがある。米軍には何度も対策を求めたが、抜本的な解決には至っていない」と話す。洗濯物への付着や、農業用雨水タンクへの混入などによる健康被害の懸念もある。

 十年ほど前に、地元の要請によって民間地に近い滑走路南側が幅五十メートル、長さ三十五メートルにわたりアスファルト舗装されたが、全長二千百メートルの一部分にとどまっている。

 昨年十月十八日には、米軍機の離陸後、雲のような粉塵が黙認耕作地や民家に広がる大規模な粉塵飛散があり、農家は畑仕事の中断を余儀なくされた。米軍は滑走路に水をまいてローラーを掛ける処置を行ったが、抜本的解決には至っていない。地元住民は、葉タバコやキクの栽培時期である春から初夏にかけて、同規模の飛散が起きないか懸念している。

 大城勝正村長は「粉塵飛散は憂慮される問題。今後も起きることがあれば、コールタールを敷くなどの抜本的対策を強く求めたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_01.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 19面

高濃度有害物質を検出/本島のテラピア・ボラ

 沖縄本島に生息するテラピアやボラに、殺虫剤DDTや、生物に有害な化学物質PCB(ポリ塩化ビフェニール)などが高濃度で蓄積されていることが十三日までに分かった。愛媛大学沿岸環境科学研究センターの田辺信介教授らの研究チームと琉球大学熱帯生物圏研究センターの中村將教授が二〇〇五―〇七年に南西諸島で実施した、有害化学物質調査を通して明らかになった。

 研究対象が食用魚ではないことや、DDTやPCBについては、人間が食べて影響が出る「耐容平均残留濃度」を下回っていることから、人体に深刻な影響が出る可能性は低いという。

 調査は、石垣市のアンパル干潟、漫湖(那覇市)、嘉手納町の比謝川、恩納村の志嘉座川など六カ所で採取した魚介類の体内に蓄積された化学物質の濃度を測定した。

 その結果、最も高いところで、DDTは漫湖のテラピア一グラム当たり〇・一〇五マイクログラム、PCBは漫湖のボラ同〇・〇九三マイクログラム、シロアリ駆除剤のクロルデンは比謝川のテラピア同〇・〇九五マイクログラムをそれぞれ検出。いずれも石垣島のサンプルの数十倍から数百倍の値になった。

 国内最高レベルの残留濃度を示したクロルデンについては、本島内で一九七〇年代に大量使用されていたことを指摘。また、比謝川は流域の大半を米軍基地が占めることや、かつて基地内でDDTなどが使われていたことから、基地活動の影響も考えられるとした。

 中村教授は「物質として安定しているので、自然界で分解されない。魚を食べる鳥など、高次の生物にも有害物質が蓄積されている可能性がある」と懸念。また、南西諸島の生態系について、「今後は中国など、東シナ海沿岸諸国の人間活動の影響も考えられる。国や県が主体となり、今のうちに総合的に調査しておくことが必要だ」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_04.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 3面

高木連合会長、米労組と討議意向/地位協定改定

 【横浜】連合の高木剛会長は十三日、横浜市内で主催した「日米地位協定の抜本改定を求める連合中央集会」に出席し、米国の労働組合の全国組織である米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)との次回定期協議で、日米地位協定改定をテーマに討議する考えを明らかにした。日米地位協定の改定には米国の承認も必要であることから、米国内での世論の盛り上がりを促したい意向だ。

 パネルディスカッションで発言した高木氏は個人的見解と断りつつ、「米国対策をやらないと、この問題はなかなか解けない。次の定期協議で討議をする素材として乗せられないか」と提案に意欲を示した。

 高木氏のほか、国民新党・社民党と地位協定改定案(三党案)をまとめた民主党の武正公一衆院議員,連合沖縄の仲村信正会長が討論。武正氏は「昨年の参院選挙で与野党が逆転した国会状況をプラスに働かせられるよう、三党案がまとまったことを契機に超党派の動きを進めたい」と述べた。仲村氏は「国民全体の問題であって沖縄だけの問題ではない」と述べ、全国への広がりに期待を込めた。

 松沢成文神奈川県知事は、地位協定改定に消極的な政府の姿勢を問題視しつつ、「ベターを求めて一つ一つ解決していかなければいけない。改定せずにできるものも同時提案することが必要」と指摘。その上で(1)環境問題の特別協定締結(2)日米合同委の中に自治体も参加できる「地域特別委員会」設置―を提案した。

 連合は同集会で、日米地位協定の抜本改定、徹底した綱紀粛正と人権教育を含む再発防止策などを求める決議を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_09.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 19面

嘉手納基地周辺の騒音減/滑走路工事・飛行停止で

 【嘉手納】嘉手納町が米軍嘉手納基地周辺三地点で実施している騒音測定の二〇〇七年度調査について、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音発生回数は三地点ともに前年度に比べ減少した。同町が十一日、公表した。住宅地に近い同基地北側滑走路の改修工事で離発着がなかったことと主力戦闘機F15の飛行停止が原因とみられる。

 嘉手納町屋良の騒音発生回数は三万二千五百四十九回(前年度三万八千七百三十一回)で16%、同町嘉手納は一万八千七百八十六回(同二万千三百十五回)で11・9%、同町兼久は一万六千七百七十九回(同一万八千二百四回)で7・8%それぞれ減少した。

 深夜、早朝(午後十時から翌午前六時)の騒音発生回数は、同町嘉手納地区で二千百九十四回で前年度に比べ三百八十一回増加。そのほかの二地区は減少した。

 滑走路の改修工事は昨年一月から十一月まで実施、同期間は同滑走路での航空機の離着陸は行われなかった。F15は昨年十一月から〇八年一月まで、限定的に再開した数日を除き、約二カ月間飛行を停止していた。

 同町は「滑走路の改修工事、F15の飛行停止が減少の主原因で、F15の本土訓練移転が騒音発生回数の減少につながったとはいえない」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_10.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月14日朝刊)

[米軍の事件事故]

仕組みを見直すときだ


 米軍による事件・事故が後を絶たない。何度、抗議を重ねても、何回、再発防止を申し入れても、防止効果が感じられないほど次から次に、事件・事故が起こる。

 米海兵隊の垂直離着陸攻撃機AV8ハリアーが久米島町の鳥島射爆撃場で、訓練中、五百ポンド(約二百二十七キロ)二発を提供水域外に投下していたことが十一日、分かった。沖縄市で三月に起きたタクシー強盗致傷事件は、その後の県警の調べで、現職の米憲兵隊員が犯行への関与を認める供述をしているという。事実だとすれば、由々しいことだ。

 日米両政府が事件・事故の発生に対して、何も対応してこなかった、というわけではない。旧那覇防衛施設局などは復帰後、職員が悲鳴を上げるほど連日、事件・事故の処理に追われた。再発防止策もその都度、打ち出している。

それなのに、一向に改善の実感がもてないのをどう解釈すべきなのか。そこが問題だ。

 各省庁の無駄遣いや、既得権にしがみついた省益主義が今、厳しい批判にさらされている。だが、こと在日米軍問題に関しては、安保既得権まで踏み込んだ議論が乏しい。日米同盟への影響を気にするあまり、聖域化してしまっているのである。

 「基地問題は沖縄など一部基地所在地域の問題」だという認識が政府の中に抜き難く存在するのではないだろうか。現状の仕組みを前提として再発防止策を講じるのではなく、仕組みそのものを見直す時だと思う。

 安保の運用をめぐる仕組みの、どの部分を改善すればいいのか。

 第一に指摘したいのは日米合同委員会の在り方である。渉外知事会(会長・松沢成文神奈川県知事)は、外務省に対し、日米合同委員会の中に自治体が参加する「地域特別委員会」のような協議機関を新設するよう求めた。

 現行の制度には、住民代表が住民の立場に立って直接、意見を述べる場がない。合同委員会で決定した事項の情報開示についても、依然として十分とはいえない。

 日米行政協定は旧日米安保条約に合わせて一九五二年に締結された。しかし、同協定を引き継いだ現在の日米地位協定体制は、さまざまな面で、現実にそぐわなくなっている。

 在日米軍がらみの話を外務省や防衛省の独占物にしてはならない。もはやそのような時代ではないのであって、住民生活に深くかかわる事案については、住民の声が直接届くような仕組みが必要である。

 事件・事故に関する情報は、米軍が義務として流しているというよりも、どちらかといえば恩恵的に流している側面が強い。AV8ハリアー機による誤投下に対し、在沖米海兵隊報道部は「所属部隊や航路、訓練計画については運用上の安全確保のため明らかにできない」と本紙の取材に答えている。

 そのような米軍側の対応をこれまで誰も不思議に思わなかった。だが、事件・事故に対する対応の仕方から改めていかないことには、実効性のある再発防止策を打ち立てるのは難しい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080414.html#no_1

 

2008年4月14日(月) 夕刊 1面

要請団50人が上京/地位協定の抜本改正求め

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会の構成団体代表らでつくる政府要請団約五十人が十四日午前、三月の県民大会で採択された日米地位協定の抜本改正などを求めるため上京した。現地合流組を含め総勢六十五人が十五日までの二日間、複数のグループに分かれ、閣僚や関係省庁、在日米大使館、主要政党本部などを訪れる。

 要請団には実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長のほか、県民大会の主催団体関係者や県議、基地を抱える沖縄市の東門美津子市長や北谷町の野国昌春町長ら市町村長、市町村議会議長らが加わる。

 十四日早朝、那覇空港であった出発式で、玉寄実行委員長は「3・23で決議した四項目を引っさげて東京行動がこれから始まる。しっかり訴えていこう」とあいさつ。副実行委員長の小渡ハル子県婦人連合会会長の音頭で参加者がガンバロー三唱し、気勢を上げた。

 一行は国会議員、全都道府県の在京事務所への要請活動も予定しているが、面会を求めている福田康夫首相ら政府閣僚との日程は確定していない。十四日夕には国会近くの星陵会館(千代田区永田町)で集会を開き、問題を広く訴える。

 出発前、玉寄実行委員長は「地位協定の運用改善では何も防げないと分かりきっている。県民がどれだけ不満に感じているかをぶつけたい」。小渡副実行委員長は「会う人たちに『米兵犯罪の被害に遭うのがあなたの子どもだったらどうしますか』と問い掛け、沖縄の母親の気持ちを伝えたい」と意気込みを語った。

 県民大会は三月二十三日に北谷町などで開かれ、約六千人が参加。地位協定の改正や、米軍人への厳しい綱紀粛正と実効性ある再発防止策など四項目の大会決議を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141700_02.html

 

2008年4月14日(月) 夕刊 1面

久米島議会、抗議決議へ/米軍機爆弾投下

 【久米島】米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が鳥島射爆撃場で訓練中、提供水域外に五百ポンド(約二百二十七キロ)爆弾二発を投下した問題で、久米島町議会(山里昌輝議長)は十四日午前、議会運営委員会(宮田勇委員長)を開いた。

 議運委では、事故の再発防止と原因の徹底究明、米軍基地の整理・縮小、海兵隊を含む兵力の削減などを求める抗議決議案と、意見書案を同日午後四時から開く臨時議会に上程することを決めた。

 臨時議会では、両案とも全会一致で可決される見通し。

 一方、久米島町(平良朝幸町長)は町議会などと歩調を合わせ、関係機関に抗議するための準備を進めている。

 事故は九日に発生。防衛省や同町によると、ハリアー機が爆弾を投下した地点は鳥島中央から南西約一一・六キロ地点。

 射爆撃場の提供水域境界から約六キロの地点で、周辺海域は好漁場とされている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141700_03.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 1面

政府、具体策言及せず/大会実行委が決議文

 【東京】「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会の構成団体代表らでつくる要請団は十四日、首相官邸などを訪ね、日米地位協定改定や実効ある再発防止策の提示などを求め、大会決議を手渡した。応対した大野松茂官房副長官は「総理に伝える」と答えるにとどめ、具体的に言及しなかった。

 大野官房副長官に対し、玉寄哲永実行委員長は「地位協定の運用改善では限界がある。改正を提案できる条項がありながら、なぜ踏み込もうとしないのか」と政府の対応をただした。東門美津子沖縄市長も「一九九五年の事件から十三年間、政府は県民の声を受け止めていない」と批判した。

 一方、自民党の山崎拓前副総裁(党沖縄振興委員長)には、県老人クラブ連合会の知花徳盛常務理事らが会い、県民大会後も米兵が絡む事件が続いている現状を指摘した。山崎氏は「申し訳ない。県民の訴えは分かるが、地位協定の改定は難しい」と答えたという。

 小渡ハル子副実行委員長らは米国大使館を訪ね、レイモンド・グリーン安全保障政策課長に地位協定改定などを訴えた。グリーン課長は「(容疑者の身柄を)日本警察に引き渡すなどきちんとやっている」と改定の必要性を否定。綱紀粛正策についても、「隊員教育を一生懸命している」と述べたという。要請団は、沖縄等米軍基地問題議員懇談会(会長・鳩山由紀夫民主党幹事長)とも意見交換し、県内外の国会議員らに米軍被害の根絶を願う思いを訴えた。社民党の福島瑞穂党首にも決議文を手渡した。

 各国会議員事務所、全国市町村会、都内にある各都道府県事務所などにも各班に分かれて回った。十五日も外務省や防衛省、各政党などに要請を行う予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_01.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 25面

米憲兵、万引少年連れ帰る/沖縄署の捜査要請応じず

地位協定に抵触も

 【沖縄】北谷町内の衣料品店で十三日、在沖米海兵隊員の未成年の息子二人の万引を見つけ、現場で捕まえた店員が沖縄署に通報したが、同署員より先に来た米憲兵隊が少年らの身柄を拘束、捜査要請にも応じず基地内に連れ帰っていたことが十四日、分かった。同署は提供施設外での米軍捜査機関の捜査権などを定めた日米地位協定一七条十項などに抵触する可能性があるとして、十五日に米軍に文書で経緯説明を求める。

 調べでは、十三日午後三時半ごろ、北谷町美浜の衣料品店内でジーパンやTシャツ二枚の計約一万七千円相当を盗んだ十七歳の米少年一人を店員が見つけた。

さらに、バッグの中に同店系列店のTシャツ三枚を隠し持っていた別の十六歳の米少年を店外で見つけたため二人から事情を聴き、一一〇番通報した。

 その後、同署員より先に同店に着いた米憲兵隊が少年らを拘束したという。

 同署によると、現場に駆け付けた署員が事情聴取のため、少年二人の身柄引き渡しを求めたが、憲兵隊は応じず、基地内に連れ帰った。少年二人はその後、基地内で保護者に引き渡されたという。

 同署は十四日、米軍捜査機関に協力を求め、窃盗容疑で十六歳の少年から任意で事情を聴いたが、十七歳の少年については米軍の協力が得られず任意の取り調べもできていない。

 同署は店員の証言などから、ほかに共犯者がいる可能性もあるとみて、米軍に捜査協力を求めている。

 日米地位協定に詳しい新垣勉弁護士は「基地外での(逮捕権を持たない)私人による現行犯逮捕がはっきりしている場合、日本の警察にしか身柄の引き渡しはできない。憲兵隊は警察が来るまで事情聴取などはできるが、あくまで引き渡しに立ち会い、見守るのが役目だ」と説明。「憲兵隊が基地内に連れて帰ったことは問題で、日米地位協定に違反している」と指摘した。

 一方、駿河台大学の本間浩名誉教授は「日米地位協定の合意事項に現行犯逮捕の場合は米側に逮捕の優先権があると記されている。米軍が連れ帰ったことは直接法に反しないが、基地外の事件なので望ましいことではない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_02.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 25面

きょうにも書類送検/タクシー強盗の容疑憲兵

 沖縄市内で今年三月に起きたタクシー強盗事件で、沖縄署は十五日にも、米軍の監視下にある嘉手納基地所属の憲兵隊兵長(22)を強盗致傷の容疑で書類送検する方針を固めた。那覇地検が起訴した後、身柄は日本側に引き渡される見通し。

 同署は米軍の協力で事情聴取や家宅捜索などの捜査ができていることから、憲兵隊員の逮捕状は取らず、日本側への起訴前身柄引き渡しは求めない方針。

 事件は三月十六日午前零時二十分ごろ、同市中央二丁目の路上で発生。タクシー乗務員の男性が三人組に殴られ、現金約八千円が入った釣り銭箱などを奪われたとされる。乗務員は頭などに軽いけがをした。

 同署はすでに、犯行に関与したとして、いずれも米兵家族の少年四人を同容疑で逮捕。少年らは「憲兵隊員の運転する車で逃走した」などと供述しているとされ、同署は憲兵隊員が主導的な役割だった可能性が強いとみて調べている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_03.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 24面

コザに米兵まばら 飲酒禁止措置緩和

 【沖縄】在沖米軍による基地外での飲酒禁止措置が緩和された十四日、米兵相手の飲食店やライブハウスが集中する沖縄市のコザ・ゲート通りは米兵の姿も少なかった。

 飲食店の関係者は「客の大半は米兵。規制は早く解除してほしい」と歓迎する一方で「基地内に閉じ込められていた分、羽目を外さないか心配」との声も。通りを歩く複数の米兵は「ノーコメント」と言い残し、足早に去った。

 米兵による相次ぐ事件事故を受け、在沖米軍は二月二十日から、軍人の外出を制限している。

 米兵の飲酒禁止措置は緩和されたが、午前零時―同五時の外出禁止措置は継続される。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_04.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 2面

思いやり予算「良い投資」/ライス在日米軍司令官

娯楽費負担は「少額」

 思いやり予算は、日本の平和維持にとって「大変良い投資だ」と指摘し、娯楽費についても「リーズナブル」との認識を強調。一方で、環境影響評価(アセスメント)が遅れている米軍普天間飛行場移設問題については、「在任中に大きな進ちょくを見られると楽観視している」と述べ、二〇一四年の移設完了期限は守れるとの見通しを示した。

 米兵暴行事件など相次ぐ米軍の不祥事については、在日米軍の「タスクフォース」で国内すべての基地を調査・分析しつつ、既存の教育プログラムを総点検して模範施設の実践例を共有していくとの考えを示し、再発防止に意欲を示した。

 しかし、日米地位協定見直しの必要性については、「どの国と比べても、ホスト国側にとって最も有利な協定。改定するべきだとは思っていない。必要な場合は運用上の柔軟性をさらに増す努力をすればいい。今後も改善を重ねていきたい」との考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_05.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 1面

憲兵を書類送検/タクシー強盗

 沖縄市内で三月、タクシー乗務員が殴られ釣り銭箱を奪われた事件で、県警は米軍の監視下にある嘉手納基地所属の憲兵隊の兵長(22)を十五日、強盗致傷容疑で書類送検した。日本側は起訴後に米側から身柄の引き渡しを受ける見通し。

 これまでの調べで、憲兵隊員は犯行時に現場付近にいたことや、米兵の息子の少年四人らとともに事前に計画を立てていたことを認めているとされる。また、逃走に使った車は憲兵隊員の所有とみられる。ただ、逮捕された少年らが「憲兵隊員が中心だった」と供述していることについては、否認を続けているという。

 県警は憲兵隊員の自宅を家宅捜索し、乗務員の所持品とみられる証拠物などを押収している。

 事件は、三月十六日午前零時二十分ごろ、沖縄市中央二丁目の路上で、タクシー運転手の男性を殴り現金八千円が入った釣り銭箱を盗んだ疑い。いずれも米軍人の息子の少年四人が強盗致傷容疑で逮捕された。一方、米軍は憲兵隊員を監視下に置き、県警が米側の捜査協力を得て事情聴取などを進めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_02.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 1面

防衛政務官が柔軟姿勢/地位協定改定要請

「運用改善で不十分なら」

 【東京】防衛省の寺田稔政務官は十五日、「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会からの要請の席上、日米地位協定について「運用改善で足りない部分があれば、改定を外務省に働き掛けたい」と述べ、改定に柔軟な姿勢を示した。

 同席者によると、寺田政務官は、地位協定について、運用改善ですべての問題に対応するのは困難との見解を示したが、人権侵害に対する国内法整備を優先すべきだとの考えを強調。

 同協定はあくまで外務省の所管であるとの立場に立ちつつも、同協定の二七条で定める日米双方が地位協定改定を要請できる仕組みを指摘し、外務省に提案する考えを示したという。

 要請団は二日目の同日、外務省や民主党、共産党、江田五月参院議長らを訪ね、大会決議に盛り込まれた地位協定の抜本改定などへの支援を求めた。

 北谷町で万引した米兵の息子を米憲兵隊が連れ帰ったとされる事案について、外務省の木村仁副大臣は「報道の通りであれば日本の主権にかかわることなので、調査して慎重に対応したい」と述べたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_03.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 5面

沖縄署、文書で申し入れ/米少年万引憲兵連れ帰り

 【沖縄】北谷町美浜の衣料品店で今月十三日、Tシャツなどを万引し、店員に捕まった在沖米海兵隊員の未成年の息子二人を、通報で駆け付けた沖縄署員より先に米憲兵隊が拘束、基地内に連れ帰った問題で、同署は十五日午前、捜査に支障が出たとして嘉手納基地内にある憲兵隊事務所を訪れ、少年二人を連れ帰った詳しい経緯を説明するよう文書で申し入れた。同事務所は「正式な返答は後日文書で回答する」と答えたという。少年は十六歳と十七歳。同署は窃盗の疑いで十四日に十六歳の少年から任意で事情を聴いたが容疑を否認。十七歳の少年については十五日に任意で事情を聴いている。

 同署は事件発覚後から口頭で米軍に連れ帰った経緯などを求めているが、明確な返答がないため玉那覇章署長名で文書を手渡した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_04.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 5面

再発防止策徹底を/米軍爆弾投下

久米島町長ら 防衛局に要請

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が久米島町の鳥島射爆撃場で訓練中に、提供水域外に五百ポンド爆弾二発を投下した問題で、久米島町の平良朝幸町長や同町議会(山里昌輝議長)、県漁協組合長会(棚原哲也会長)、県漁業協同組合連合会(下地敏彦会長)は十五日午前、沖縄防衛局に、原因の早期徹底究明や再発防止策の徹底を強く申し入れた。

 対応した真部朗局長は「事故は遺憾だ。原因究明と徹底した安全管理をすでに求めているが、引き続き努力したい」と述べた。

 同日午前、米側から沖縄防衛局に対し、爆弾投下が九日午後二時四十五分だったことが伝えられたという。真部局長は第一報と事実が食い違ったことについて「連絡態勢も原因究明と再発防止を(米側に)求めたい。遅れたことや不正確だったことは反省している」と述べた。

 さらに投下地点の海域は深度約千四百メートルと説明した上で「米側がどう処理するのか、まだ詳細な説明を受けていない。引き続き説明を求めたい」と述べた。地元久米島漁協の組合長も務める棚原会長は「制限水域や射爆撃場の整理・縮小も実現してほしい」と要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_05.html

 

2008年4月16日(水) 朝刊 2面

防衛政務官が柔軟姿勢示す/地位協定改定

 【東京】寺田稔防衛政務官は十五日、日米地位協定について「運用改善で足りない部分があれば、改定を外務省に働き掛けたい」と述べ、改定に柔軟な姿勢を示した。「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会の要請に答えた。

 寺田政務官の発言について、防衛省の豊田硬報道官は十五日の定例会見で「仮定の問題として、運用改善で対応できない問題がある場合について、一般的な見解を申し上げたのではないか」と述べ、運用改善で対応するという政府の従来の考えを強調した。

 要請団は二日目の同日、外務省や民主党、共産党、江田五月参院議長らを訪ね、大会決議に盛り込まれた地位協定の抜本改定などへの支援を求めた。

 北谷町で十二日、万引で店員に捕まった米兵の息子二人を米憲兵隊が連れ帰った問題について、外務省の木村仁副大臣は「報道の通りであれば日本の主権にかかわることなので、調査して慎重に対応したい」と述べたという。要請後、衆院第二議員会館で会見した玉寄哲永実行委員長は「大野松茂官房副長官は『総理に伝える』と自身の判断を保留した。地位協定改定を求める県民のうねりが全国に広がることを期待する」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804161300_04.html

 

2008年4月16日(水) 朝刊 26面

教科書各社は慎重/検定撤回 実行委きょう要請行動

 「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)が十六日、二〇〇六年度の検定意見の撤回と、高校の日本史教科書への「軍強制」記述の復活を政府や教科書会社側に再び訴える。

 実行委は大阪地裁での「集団自決」訴訟判決を受けて、再訂正申請への動きを加速させたい考えだ。だが政府の反応は鈍く、教科書各社は慎重な姿勢をみせたまま。今後、再訂正申請が行われるかは、世論を再び盛り上げられるかが鍵となりそうだ。

 実行委が東京で要請行動を行うのは四回目。今回も実行委員長の仲里利信県議会議長らが首相官邸や文部科学省、教科書協会などを訪問し、検定意見の撤回と「軍強制」の記述復活を求める。

 ポイントとなるのが、三月に大阪地裁であった「集団自決」訴訟の判決だ。検定意見の根拠の一つとされた元戦隊長の証言について、大阪地裁は「信用できない」と退けた。実行委は「文科省を動かす絶好の機会」ととらえる。

 教科書執筆者たちも再申請に意欲的だ。今月五日に那覇市であったシンポジウムでは、教科書執筆者の坂本昇さん(東京都・高校教諭)が「『軍の強制』を復活させたい」と発言。歴史教育者協議会の石山久男委員長も「再申請に向けて社会科教科書執筆者懇談会を再開したい」と述べた。

 だが、政府は今回も冷淡だ。要請団に対し、今回も福田康夫首相ら閣僚は面会に応じない。

 各教科書出版社も再申請には慎重だ。ある出版社は「新教科書は四月から使い始めたばかり。現場の反応も聞かないでいきなり『再訂正』は筋が通らない」と歯切れが悪い。執筆者の一人は「各社とも世論を様子見している。教育現場や沖縄からの声が続かなければ、教科書会社を再び動かすのは難しい」と話す。

 再訂正手続きは、七月ごろまでに各社が検討を行い、八月後半に文科省に申請するのが一般的。仲里委員長は「体験者たちの言葉と(裁判で退けられた)元戦隊長の証言とどちらが重いのかをしっかり問いかけ、正しい記述復活への地道な戦いを続ける」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804161300_07.html

 

琉球新報 社説

米少年憲兵連行 政府は毅然とした態度示せ2008年4月16日

 懸念していたことが起きた。13日、北谷町美浜の衣料品店で窃盗の容疑で捕まった在沖米海兵隊員の息子2人を、米憲兵隊員が拘束し基地内に連行した。2人の身柄は、憲兵隊員が到着する前に店員が押さえていた。日米合意事項では「最寄りの日本の警察署などに連行する」と定められており、それに違反することにもなる。米兵犯罪防止のため日本側と米軍が共同巡回することも検討されているが、まさに今回起きたような事例が懸念されていた。

 日本国内で起きた犯罪の容疑者は、日本の警察に逮捕され、日本の司法によって裁かれる。それが当然だ。しかし、現在の日本では、それが当然ではないのである。不平等ともいえる日米地位協定があるからだ。

 米軍基地が集中する本県では、そのひずみが如実に表れる。

 米兵女子中学生暴行事件を受け、政府は警察と米軍との日米共同パトロールを対策として打ち出した。しかし逮捕現場に警察と憲兵が一緒にいた場合、地位協定上、身柄は憲兵に引き渡さざるを得ないという問題がある。

 外務省は逮捕をめぐるトラブル防止のため(1)米軍憲兵は参加しない(2)身柄の確保や逮捕する権限は県警側―とする方向で米軍と調整している。しかし県警側はこれで問題が解決するとはみていない。憲兵が現場にいなくても警察が逮捕状請求手続きをしている間に私服軍人が連絡し、憲兵が身柄を拘束してしまうと危惧(きぐ)するからである。

 美浜で発生した事件はまさにその危惧が現実となったといえよう。

 米少年2人は衣類を盗んだ疑いで店員に身柄を確保されていた。しかし先に到着した憲兵が、遅れて到着した沖縄署員の少年らへの事情聴取を拒否し、基地内に連行。逮捕当日の13日には解放した。

 地位協定に問題があることは明白なのに、日本政府は口を開けば「運用改善で」と強調し、「改定」には及び腰だ。

 米兵犯罪の再発防止を声高に叫ぶのなら、地位協定を改定し「不平等」を解消するべきだ。米軍人であろうが、軍属であろうが、日本国内で罪を犯せば、日本警察に逮捕され、刑罰を科される。このシステムを確立しなければ犯罪は抑止されないだろう。

 「地位協定に守られているという意識が米兵たちにあるのではないか」という指摘がある。現状の不平等さからすれば、そういう考えを持たざるを得ない。

 日本政府の弱腰の姿勢には、ほとほとあきれ果てる。毅然(きぜん)とした態度で地位協定問題を解決するのが政府の責任ではないのか。今回の事件を契機に政府は、根本から姿勢を改めるべきである。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131176-storytopic-11.html

 

2008年4月16日(水) 夕刊 1・5面

「係争中」と撤回拒否/教科書検定要請

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、昨年九月に開かれた検定意見撤回を求める県民大会の実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)は十六日、自決への軍関与を認めた大阪地裁判決を受け、検定意見を撤回し軍強制記述を復活するよう求める要請書を渡海紀三朗文部科学相あてに提出した。要請後、池坊保子副大臣は「司法、行政には独立性がある。係争中に教科書を変える意思はないと(実行委側に)申し上げた」と記者団に話した。

 要請後、仲里委員長らは「文科省は判断から逃げている」などとして同省の姿勢を批判した。

 実行委は同日、首相官邸で大野松茂官房副長官にも要請書を提出。大野副長官は「要請を重く受け止め、総理や官房長官に伝える」と述べるにとどめ、検定意見や記述回復への言及はなかったという。東良信内閣府審議官にも要請した。

 要請書は、元守備隊長らの訴えを退け「集団自決」への軍関与を認めた三月の大阪地裁判決を受けて「この裁判を根拠の一つとした検定意見は是正されるべきだ」と指摘。

 「次世代を担う子どもたちに正しく真実を伝え、二度と戦争を起こさないことは大人に課せられた重大な責務だ」として、検定意見の撤回と教科書に「日本軍による強制」の語句を入れるよう求めている。

 実行委は十六日午後、教科書協会にも、記述の訂正申請を要望する予定。


     ◇     ◇     ◇     

文科省の「壁」に落胆/大阪判決 追い風ならず


 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に「軍が深く関与した」と認めた大阪地裁判決を追い風に、教科書への「軍強制」の記述復活や検定意見の撤回に期待を込め、「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会のメンバーらは十六日、文部科学省に再要請した。

 教科書会社からの訂正申請を受けた記述修正後の要請から約三カ月ぶりとなる同省では、前回と同じ池坊保子副大臣が対応し、地裁判決に原告側が控訴していることを理由に「係争中で何も言えない」と一蹴、再要請を事実上拒否した。

 「壁は厚い。なかなか思うようにいかない」

 要請に同行した小渡ハル子県婦人連合会会長は、文部科学省から収穫が得られなかったことに落胆の色を隠せない様子だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804161700_01.html

普天間飛行場、危険除去策再検討 タクシー強盗致傷、憲兵が関与自供 米軍訓練中、漁場に爆弾2発投下など  沖縄タイムス関連記事(4月10日から12日)

2008年4月10日(木) 朝刊 1面

危険除去策 再検討/普天間飛行場移設協議会

 米軍普天間飛行場の移設に関する政府と地元の協議会の第七回会合が九日夕、首相官邸で開かれた。仲井真弘多知事が「普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態の実現」に向けた努力を繰り返し求めたことに対し、町村信孝官房長官は昨年八月に日米合意した普天間飛行場の危険性の除去策について、「さらに技術的に検討したい」との認識を示した。石破茂防衛相も「技術的にどんなことが可能か、さらに努力するべき点があるか、県の意見を参考に検討したい」と述べた。

 一方、建設計画について、仲井真知事は「可能な限り沖合に寄せるなど、地元の意向や環境に十分配慮して検討を進め、今後も情報提供に努めてほしい」と代替施設案(V字案)の沖合移動を再度要求。

 さらに現行飛行場の三年めどの閉鎖状態実現などの要望について、協議の進め方の枠組みを検討することを提案。政府側は「引き続き議論していくことも必要」「具体的な内容について伺った上で検討したい」などと述べ、今後、積極的に協議を重ねる意向を示した。次回協議会の開催時期は未定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804101300_03.html

 

2008年4月10日(木) 夕刊 1面

憲兵が関与自供/タクシー強盗致傷

「逃走車を運転」県警、書類送検へ

 沖縄市でタクシー乗務員が殴られ釣り銭箱を奪われた事件で、米軍の監視下にある嘉手納基地所属の憲兵隊員(22)が「(逃走に使った車の)運転をした」と犯行への関与を認める供述をしていることが十日、捜査関係者の話で分かった。

 関係者によると、憲兵隊員は犯行現場にいたことや、県警に逮捕されている米兵家族の少年四人らとともに事前に計画を立てていたことを認めているという。車は憲兵隊員の所有とされる。

 ただ、「自分は首謀者ではない」と、中心的な役割については否認を続けているという。

 県警は米軍の協力を得て、任意で憲兵隊員から事情聴取を続けており、近く強盗致傷容疑で隊員を書類送検する方針。日本側は起訴後に米側から身柄の引き渡しを受ける見通し。

 憲兵隊員は軍の監視下にあり、基地外への外出などは禁止されているとされるが、一定の自由行動は認められているという。

 憲兵隊員はこれまで、事件への関与を全面否認していたとされる。県警は少年らの供述などから、憲兵隊員が首謀者との見方を強めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804101700_02.html

 

2008年4月10日(木) 夕刊 1面

「県提案あれば検討」/普天間の危険性除去策

 【東京】町村信孝官房長官は十日午前の定例会見で、九日に行われた普天間移設協議会で示された普天間飛行場の危険性除去を再検討する政府方針について、「県から具体的提案があれば一緒に検討したい」と述べ、追加的対策を県とともに考える意向をあらためて示した。

 町村官房長官は移設の早期完了が「最大の危険性除去であることは間違いない」とした上で「それには数年かかるので、その間の対策として追加的にあり得るか、お互いに考える」とした。

 同飛行場の危険性除去は日米で合意し、実施中もしくは実施準備段階だと説明。米側との調整については「必要があれば今後行う」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804101700_03.html

 

2008年4月11日(金) 朝刊 2面

支援再延長 確定へ/基地従業員離職対策

 【東京】参院厚生労働委員会は十日、国内の米軍基地で働く日本人従業員が職を失った際の再就職支援策を盛り込んだ「駐留軍関係離職者等臨時措置法」を、二〇一三年まで五年間延長する改正法案を全会一致で可決した。十一日の参院本会議で可決、成立する見通しだ。

 同法は一九五八年の成立以来、五年ごとの延長が繰り返されており、今年五月十六日が失効期限だった。時限立法で始まった法律としては、異例の五十五年間の有効期限を保つことになる。

 政府は、基地従業員の地位が依然として不安定で、在日米軍最終報告でも在沖米海兵隊八千人のグアム移転などで大規模な失業が想定されるため、支援策が引き続き必要と判断した。

 しかし、米軍再編に伴う具体的な影響が明らかになっていないことから、今回は現行法の期限だけを単純延長している。

 同法の再就職支援策の柱は(1)離職者への就職指導票交付と公共職業安定所(ハローワーク)などでの就職指導(2)再就職支援のための給付金支給(3)職業訓練援助―などとなっている。

 この日の厚労委員会の審議で、厚労省の太田俊明職業安定局長は「沖縄の厳しい雇用情勢の中で、駐留軍関係離職者が発生すると、再就職が困難な状況になる」と指摘。その上で、「法律に基づく支援をきめ細かく実施し、再就職の促進を図っていきたい」と述べ、県内雇用への影響回避に努力する考えを強調した。

 また、防衛省の伊藤盛夫地方協力局次長は「訓練種目の在り方を検討していく」との意向を示した。島尻安伊子氏(自民)に答弁した。

 同法をめぐっては、県議会や市町村議会などが深刻な県内雇用情勢を踏まえ、延長を求める意見書を相次いで可決していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111300_01.html

 

2008年4月11日(金) 朝刊 2面

普天間飛行場 危険性除去策 再検討を表明

町村氏「県とともに」

 【東京】町村信孝官房長官は十日の定例会見で、九日にあった普天間移設協議会で示された普天間飛行場の危険性除去を再検討する政府方針について、「県から具体的提案があれば一緒に検討したい」と述べ、追加的な対策を県とともに考えていく意向をあらためて表明した。

 町村長官は、移設の早期完了が「最大の危険性除去であることは間違いない」とした上で、「それには数年かかるので、その間の対策として追加的にあり得るか、お互いに考える」とした。

 同飛行場の危険性除去については日米で合意し、実施中もしくは実施準備段階だとも説明。米側との調整は「具体的提案があれば必要になるが、まだ具体的な対策は示されていない。必要があれば、今後行う」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111300_03.html

 

2008年4月11日(金) 朝刊 2面

犯給法適用なお1件/米軍犯罪の県内被害者

過去7年も事例なし

 【東京】故意の犯罪によって死亡した遺族や重傷害を受けた被害者に対して適用される「犯罪被害者等給付金支給法」が、一九八一年の施行以来、米軍関係者による犯罪では県内の一件にしか適用されていないことが、十日分かった。参院内閣委員会で、糸数慶子氏(無所属)の質問に米村敏朗官房長が明らかにした。

 二〇〇一年四月五日の同委員会で、警察庁の石川重明官房長(当時)がこの一件の事例を明らかにしていたが、それ以降の七年間でも適用例がなかった。

 当時の答弁によると、一九九一年六月に、沖縄市内の公園で日本人男性(当時三十四歳)が、三人の米軍人らによってナイフで首などを刺され死亡。九三年に県公安委員会が裁定を行い、遺族に給付金が支払われた。

 一方、防衛省の地引良幸地方協力局長は、米軍人による事件・事故に関し、日米間で見解が分かれ、被害者への補償が困難となった場合に政府が救済する「見舞金制度」が適用されたのは、二〇〇五年からの三年間で全国で九件であることも明らかにした。防衛省によると、このうち三件は県内。

 糸数氏は「公務外の事件・事故だけで、〇六年は全国で千三百五十六件、沖縄で八百五十件も発生している。被害者がなんら救済されておらず、泣き寝入りするしかない実態がある」と述べ、救済拡充を訴えた。

 この日の同委員会は、これまで医療費の自己負担分だけを支給していた被害者給付金に休業補償分を加算することなどを盛り込んだ「犯罪被害者等給付金支給法」の改正案を全会一致で可決した。十一日の参院本会議でも可決し、成立する見通しだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111300_04.html

 

2008年4月11日(金) 朝刊 27面

65人で政府要請/3・23実行委

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会(玉寄哲永委員長)は十日、那覇市の県教育会館で第五回幹事会を開き、十四、十五の両日に上京する要請団に東門美津子沖縄市長ら五市町村長を含む六十五人が参加することを明らかにした。

 福田康夫首相や高村正彦外相らに面会を求め、三月の県民大会で採択された日米地位協定の抜本改正などを訴える。

 県民大会は三月二十三日に北谷町などで開かれ、約六千人が参加。地位協定の改正や、米軍人への厳しい綱紀粛正と実効性ある再発防止策など四項目の大会決議を採択した。

 要請団は東門沖縄市長ほか、野国昌春北谷町、新垣清徳中城村、新垣邦男北中城村、島袋義久大宜味村の各町村長と読谷村副村長が参加。さらに県議六人、市町村議会の議長、副議長五人、実行委の構成団体の代表らが上京する。

 閣僚や主要政党、在日米大使らを訪問して決議文を提出するほか、十四日夕に東京で集会を開き、問題を広く訴えるという。

 玉寄実行委員長は「県民大会の後も米軍関係者による犯罪が続いており、県民の怒りが要請団の規模を大きくした。米国に都合のいい地位協定の存在が犯罪の背景にあるのは明らかであり、現実に目を向けるよう首相らに強く訴えたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111300_05.html

 

2008年4月11日(金) 夕刊 1面

2海兵隊員、米軍が拘束/タクシー強盗か

 二〇〇六年に沖縄市内で起きたタクシー強盗事件で、犯行にかかわった疑いがあるとして、米軍が在沖米海兵隊員二人の身柄を拘束していることが十一日、関係者の話で分かった。県警は来週にも強盗致傷容疑で二人を書類送検するとみられる。二人の身柄は起訴後、日本側に引き渡される見通し。

 県警は現在、米側の捜査協力を得て事情聴取などを進めており、容疑が固まり次第、海兵隊員らを書類送検する方針。逮捕状は取らないとみられる。

 事件は、〇六年七月に同市中央一丁目の市道で発生したものとみられている。外国人の男二人組が車内で男性運転手を羽交い締めにし、売上金など現金数万円を奪ったとされる。米海軍捜査局(NCIS)は懸賞金を出して容疑者特定に結び付く情報を求めていた。

 沖縄市内では今年一月と三月にもタクシー乗務員への強盗致傷事件が発生。三月の事件では、沖縄署が米兵家族の少年四人をすでに逮捕、米軍の監視下にある憲兵隊員一人についても近く書類送検するとみられている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111700_02.html

 

2008年4月11日(金) 夕刊 1面

米軍機、鳥島訓練水域外に演習弾

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が十日午後二時四十五分ごろ、鳥島射爆撃場をターゲットにした訓練の際、提供水域から約二・七キロ離れた水域に演習弾二発を投下していたことが十一日、分かった。

 在沖米海兵隊外交政策部(G5)が、十日午後四時四十分ごろ沖縄防衛局に連絡していた。同局は詳細を米軍に照会中。詳しい投下地点や所属部隊などは明らかになっていない。

 嘉手納基地で米軍機の活動を監視している住民によると、同基地には約一カ月前から六機程度のAV8ハリアー機が飛来。実弾や訓練弾を装着して飛行訓練を繰り返していたという。十日午後二時ごろにも、同機が同基地を離陸するのが確認されている。

 平良朝幸久米島町長は「住民生活を脅かす行為だ。どういう部隊がどのような訓練をしているか知らされていないことも問題。漁協とともに抗議していきたい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111700_03.html

 

2008年4月11日(金) 夕刊 7面

全脱走兵 日本に通報/日米合同委、来週合意

 【東京】日米両政府は十日、在日米軍に所属する米兵が「脱走兵」と米側に認定された場合、すべてのケースで日本側の関係自治体警察に通報・逮捕要請することで基本合意した。窓口設置や通報体制の在り方を調整、来週中に日米合同委員会で正式合意する。

 高村正彦外相が十一日午前の閣議後会見で明らかにした。

 日米地位協定では、脱走兵を日本側に通報する義務はない。米側が日本側に捜査を要請した場合、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法で日本の警察が米兵を(米軍法の)脱走容疑などで逮捕は可能だったが、実態把握が困難だった。

 横須賀市のタクシー運転手強盗殺害事件で逮捕された米兵が脱走兵だったにもかかわらず、事件前の日本側への通知はなかった。

 地元自治体などが迅速な通報体制確立を求めていた。両政府が地位協定の運用改善で対応する。

 外務省によると、米軍の脱走兵の認定基準は、無許可欠勤者の場合、三十日間経過すれば、脱走兵と認定されるという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111700_04.html

 

2008年4月11日(金) 夕刊 6面

普天間飛行場 危険除去へ研究会/知事、庁内設置を指示

 仲井真弘多知事は十一日午前、普天間飛行場の危険性除去策について検討する研究会を庁内に設置するよう指示した。基地対策課を中心に約十人で近く発足する見通し。定例会見で明らかにした。

 九日に開かれた普天間飛行場の移設協議会で、政府は危険性除去の取り組みを再検討する方針を示したが、町村信孝官房長官は十日の定例会見で「県からの具体的提案があれば一緒に検討したい」と県の参加を促していた。

 仲井真知事は「本来は防衛省がやる話で、県は要求していくだけで十分。(官房長官発言は)後退していると思うが、われわれも勉強会をつくろうと思い、担当課長に指示した」と述べた。

 メンバーは県庁の担当者らで構成。ヘリコプターの運用や訓練などについて、外部の専門家の意見聴取も検討していく。

 揮発油税にかかる復帰特例が失効したことについては二〇一一年度までの特例措置継続を要請していく考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804111700_05.html

 

2008年4月12日(土) 朝刊 1面

漁場に爆弾2発投下/米軍ハリアー、訓練中

500ポンド弾/鳥島射爆撃場外に

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が鳥島射爆撃場(久米島町)で訓練中、提供水域外に五百ポンド(約二百二十七キロ)爆弾二発を投下していたことが十一日、分かった。沖縄タイムス社の取材に対し、在沖米海兵隊報道部が明らかにした。

 同報道部によると、AV8ハリアーが提供水域に到達する手前で、爆弾二発を投下。海中に沈み、「爆発する兆候は見られない」と説明している。第十一管区海上保安本部は付近の航行を避けるよう呼び掛けているが、これまで被害は報告されていない。

 米軍は事故発生時間について、当初沖縄防衛局に伝えた十日午後二時四十五分ごろから、九日に訂正した。

 防衛省によると、投下地点は鳥島中央から南西約十一・六キロ地点で、射爆撃場の提供水域境界から約六キロの地点。

 在沖米海兵隊報道部は沖縄タイムスに対し「所属部隊や航路、訓練計画については運用上の安全確保のため、明らかにできない」と説明。原因は調査中としてる。

 平良朝幸久米島町長は「住民生活を脅かす行為だ。どういう部隊がどのような訓練をしているか知らされていないことも問題。漁協とともに抗議していきたい」と米軍を批判した。

 県基地対策課の又吉進課長は十一日までに口頭で、G5と沖縄防衛局、外務省沖縄事務所に対して原因究明と再発防止、安全管理を求めた。


[ことば]

 鳥島射爆撃場 久米島の北約28キロに位置し、島全体が演習場。戦後米軍が使用を開始し、復帰後は提供施設・区域として米空軍が管理する空対地射爆撃場となっている。周辺海域は好漁場で、時期によって区域を最大限利用できるよう現地段階で使用の調整を行うことが認められている。1995年12月から96年1月にかけて、劣化ウラン弾1520発が誤射された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804121300_01.html

 

2008年4月12日(土) 朝刊 29面

「怖くて漁できぬ」/不安募る久米島住民

 【久米島】「事故があってからでは遅い」「生活が脅かされる」。米海兵隊のハリアー機が鳥島射爆撃場の提供水域外に五百ポンド(約二百二十七キロ)の爆弾を投下した問題で、町民からは、憤りと不安の声が上がっている。同射爆撃場をめぐってはこれまでも問題が多発しているだけに、町当局は十一日、緊急に対応を協議。週明けに召集予定の町議会や町漁協とともに抗議活動を行う方針を固めた。

 鳥島の射爆撃場をめぐっては、米海兵隊による劣化ウラン弾の誤射、漁船の操業妨害など問題化した事案が多発している。二〇〇六年には町と漁協が関係省庁に対し、鳥島と久米島射爆撃場の返還を求める要請活動を行っている。

 鳥島周辺は、県内有数の漁場とされているだけに、久米島漁業協同組合の棚原哲也組合長は「事故が起きてからでは手遅れだ」と憤りを隠さない。

 周辺には漁協などが設置したパヤオ(浮き漁礁)などがあり、周辺海域を操業する漁船は多いという。棚原組合長は「提供水域外でも、安心して漁ができないとは…。漁業者は怖くて近づけない」と話した。

 久米島町が沖縄防衛局から爆弾誤投下の一報を受けたのは、十日午後六時前。防衛局からは「実弾かどうかは不明で日時、正確な場所も不明。米軍に照会中」との説明があったという。

 町は「一歩間違えば人命にかかわる。危険な事故で、憤りを感じる」とし、住民の安全を守る立場から、抗議行動を展開することを十一日中に確認した。

 観光客も多く訪れる久米島の名所「比屋定バンタ」の展望台からは同射爆撃場が晴れた日には肉眼で確認できる。

 「夜に鳥島から“ピカッ”と赤い光を見たことがある」と話す松堂美香さん(18)=久米島高三年=は訓練の影響とみられる振動で窓ガラスが揺れ、就寝中に起こされた経験もある。「今までも怖い思いをした。不安は皆感じていると思う」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804121300_02.html

 

2008年4月12日(土) 朝刊 1・2面

普天間飛行場 埋文7割 試掘できず/返還合意からきょう12年

 【宜野湾】日米の返還合意から十二日で十二年を迎える米軍普天間飛行場で、宜野湾市が行う埋蔵文化財調査の試掘ポイントが計五千百カ所に上り、そのうち約七割は未着手であることが十一日までに分かった。今年三月までに試掘を終えた千七百カ所からは八十二の埋蔵文化財が確認されており、専門家は「未着手部分からはさらに重要な文化財が発見される可能性がある」と指摘。市は「文化財の分布状況も分からないままでは青写真の線すら引けない」と跡地利用の遅延を懸念している。

 飛行場内の文化財調査は二〇〇一年から、宜野湾市と県が共同で、文化庁の補助を受けて実施。飛行場全体(約四百八十ヘクタール)に縦、横三十メートルごとにポイントを設け、五千百カ所を試掘の対象とした。米軍は、滑走路や兵舎など使用中の施設以外の緑地帯などでの調査を認めている。

 これまでの調査で、縄文時代(紀元前三五〇〇年ごろ)の大山富盛原遺跡、グスク時代(西暦一〇〇〇年ごろ)の野嵩タマタ原遺跡など、さまざまな年代の文化財が発見された。

 一方、滑走路など米軍が使用中の施設に設定された三千四百カ所は返還後にしか試掘できない。市は今後、これまでの試掘で確認された遺跡の範囲確認調査を続ける方針だ。

 文化財に詳しい琉球大学の池田榮史教授(考古学)は、未着手の部分が飛行場建設前は谷間だったことから、「谷間は水源があり、人が集まりやすい場所。調査しないと分からないが、貴重な文化財が眠っている可能性はある」と指摘する。

 跡地利用について市は〇六年に県と基本方針を定め、返還の四年前までに具体的な跡地利用計画の策定を予定。しかし、返還が実現し、計画策定後に新たな文化財が見つかれば変更を余儀なくされる。

 池田教授は「跡地利用をスムーズに進めるためにも、地権者に対して、早い段階で文化財保護の意義について理解してもらう必要がある」と話している。(銘苅一哲)


     ◇     ◇     ◇     

[解説]/跡地活用 遅れ懸念


 宜野湾市が普天間飛行場の埋蔵文化財の試掘を急ぐ背景には、文化財調査が跡地利用計画に大きな影響を及ぼしてきた過去の「教訓」がある。調査対象の七割に当たる未着手部分は重要文化財が発掘される可能性があり、跡地利用の大幅な遅れを懸念している。SACO(日米特別行動委員会)合意から十二年が経過しても返還スケジュールすら明らかにされない状況の下、市は「打つ手なし」の状態に置かれている。(中部支社・銘苅一哲)

 軍基地の跡地利用が抱える課題は大きく分けて三点が挙げられる。(1)地権者の合意形成(2)文化財の有無(3)土壌汚染などの環境問題―だ。このうち、文化財調査はこれまで返還後にしか実施されず、新たに文化財が発掘された場合、自治体は跡地利用計画を練り直さなければならなかった。

 例えば、牧港住宅地区が返還された那覇市新都心は大規模な古墓群、キャンプ桑江北側が返された北谷町では伊礼原C遺跡が発見され、両自治体とも跡地利用計画を変更した。

 宜野湾市は各地の事例を踏まえ、予想される跡地利用の遅延に先手を打つ形で返還前の調査を計画。文化財保護法では、土地の開発行為が伴わなければ文化財調査は行えないが、文化庁は約四百八十ヘクタールという大規模な返還を控える市の調査を特例で認めた。

 米軍は立ち入り調査を許可したが、滑走路など使用部分の調査は返還を待たざるを得ない。市の跡地利用担当部署からは「返還時期が分からないままでは、対応策を立てるのも難しい」との声が上がっており、日米両政府には早急な返還時期の明示が求められる。


国外移設 強く要求/宜野湾市長声明


 【宜野湾】SACO(日米特別行動委員会)で米軍普天間飛行場の返還が合意されてから満十二年を翌日に控えた十一日、宜野湾市の伊波洋一市長は同市役所で会見し、「爆音と墜落の恐怖におびえる市民生活の打開を目指し、普天間飛行場の閉鎖、全面返還に向けて全力で取り組む」と日米両政府に対し、同飛行場の国外移設を強く求める声明を発表した。

 伊波市長は、市街地上空での飛行を避けるために検討されたヘリコプターの場周経路について、日米が合意した二〇〇七年以降も市街地上空での訓練を繰り返していることを指摘。「米軍が定めたマスタープランでは、障害物などがあってはならないクリアゾーン内に、普天間第二小学校など公共施設や住宅が存在しており、放置できるものではない」と訴えた。

 二〇〇八年は市が策定した第二次返還アクションプログラムの最終年度に当たることから、「米軍が自ら定めた基準が守られていない。日本政府への働き掛けと同時に、米政府に閉鎖を求めていきたい」と今後の活動方針を示した。

 また、県が設置を検討している危険性除去の研究会への対応については「市からも情報を提供していく。県内移設問題と危険性除去を切り離して取り組んでほしい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804121300_03.html

 

2008年4月12日(土) 朝刊 28面

「集団自決」訴訟報告会

 三月にあった「集団自決」訴訟の大阪地裁判決の報告集会が十一日、那覇市古島の教育福祉会館で開かれた。

 被告・岩波書店側の証人だった宮城晴美さんは被告側の全面勝訴に、「頑張って証言した島の住民たちの体験談を『具体性、迫真性を有する』とした判決に非常に励まされた」と振り返った。

 同訴訟は、沖縄戦時に座間味、渡嘉敷両島に駐屯した旧日本軍の元戦隊長らが「沖縄ノート」などの本に自決命令を出したと書かれ、名誉を傷つけられたと主張。作家の大江健三郎さんと岩波書店に出版の差し止めなどを求めていた。

 宮城さんは、判決までの時間を「糸が切れそうなくらい張り詰めていた」と述懐。原告側が命令を否定する根拠とした自著「母の遺したもの」での母親の証言部分などについて、「判決は原告側の主張を一切採用していない」と評価した。

 平和ネットワーク会員の仲山忠克弁護士は、「丁寧に沖縄戦の実相に踏み込んだ」と判決内容を解説。「訴訟の真の当事者は旧日本軍と『集団自決(集団強制死)』の犠牲者だという視点に立つことが重要」と指摘し、命令の伝達経路の立証などを控訴審へ向けた課題に挙げた。

 集会は「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」の主催で、約五十人が参加した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804121300_05.html

 

2008年4月12日(土) 朝刊 2面

普天間移設に知事不満/WWFジャパン会長に吐露

 仲井真弘多知事は十一日、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設について「納得がいかない部分がまだ残っている」と述べ、県が求めている沖合移動などの要望が実現していない現状に不満を示した。県庁を訪れたWWFジャパンの徳川恒孝会長らに述べた。

 徳川会長は九日に来県し、新石垣空港建設予定地や普天間飛行場移設先の大浦湾、泡瀬干潟など貴重な自然環境が残る開発予定地を相次いで視察。「沖縄の自然と生態系は本当に貴重だ。ぜひ守ってほしい」と述べ、環境に配慮して工事を進めるよう求めた。

 仲井真知事は「県環境影響評価審査会に伝えたい」とした上で、「特に辺野古は難しい部分がある」と普天間移設に自ら言及。徳川会長に「東京で日米両政府に『現地の意見をよく聞きなさい』と言ってください」と“逆要望”した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804121300_06.html

米軍の事件・事故に抗議、防衛省前で人間の鎖 県内米基地で自衛隊研修、恒常化明らかになど  沖縄タイムス関連記事(4月6日から9日)

2008年4月6日(日) 朝刊 22面

教科書問題で執筆者らシンポ/「軍強制」明記に意欲

 「集団自決(強制集団死)」訴訟で元戦隊長らの請求を棄却した大阪地裁判決の後、県内で初となる教科書問題シンポジウムが五日、那覇市古島の教育福祉会館で行われた。教科書執筆者の坂本昇さん(東京都・高校教諭)と石山久男さん(歴史教育者協議会委員長)が講演し、検定意見撤回と、今秋行う訂正申請での「軍強制」の記述復活に向けて決意を述べた。

 平和運動センター、高教組、沖教組が共催し、教育関係者ら百五十人が参加。文部科学省が検定意見の根拠とした「(梅澤裕元戦隊長の)当事者の証言」が判決で退けられたことを指摘し、歴史事実を歪曲した教科書検定意見の撤回を求めるアピールを採択した。

 坂本さんは、教科書検定が、審議会を隠れみのに文科省や国主導で行われたこと、昨年九月の県民大会で勇気づけられ申請前の修正案を公表したことを報告。文科省が昨年末に認めた「軍関与」記述について、「軍の強制という文脈の中で、さまざまな要因があったのであり、複合的要因の一つとして『軍の関与』があるのではない」と批判した。

 また大阪地裁判決を「全面勝訴」としながらも「(「集団自決」の)伝令が伝わっていたこと自体が軍命が機能した証拠」とし、秋の訂正申請で、「軍の強制」明記に意欲を見せた。

 石山さんは教科書検定制度の実態を具体的に説明し、「教育への乱暴な政治介入で沖縄戦歪曲が行われた」と批判。五月ごろから社会教科書執筆者懇談会を再開し、記述回復の実現を目指すと述べた。安仁屋政昭沖縄国際大学名誉教授は、沖縄戦の実態を全国の戦後世代に伝えていくことの重要性を訴えた。

 シンポには県民大会実行委副委員長の玉寄哲永さんも参加。十六日の東京要請行動へ向け決意を語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804061300_02.html

 

2008年4月7日(月) 朝刊 19面記述回復へ決意新た 教科書執筆者と体験者が初対面

 高校歴史教科書執筆者の坂本昇さん=東京都=が6日、座間味島「集団自決(強制集団死)」体験者の宮城恒彦さん(74)=豊見城市=と初めて対面した。昨年9月の文部科学省による教科書検定意見の撤回を求める県民大会に力を得て訂正申請した執筆者と、その執筆者を勇気づける体験者が、「撤回」と記述回復に向け、決意を新たにした。(安里真己)

 二〇〇六年末、文科省の検定意見で記述変更に追い込まれた坂本さん。昨年九月の県民大会にも参加、十月には教科書の記述を「日本軍によって『集団自決』を強いられた」と訂正申請する、と記者発表した。それを知った宮城さんは「勇気ある行動を支援したい」と、他の体験者から聞き書きした本や関連資料、書籍、村史の写しなど、一抱えほどもある小包にぎっしり詰めて、坂本さんに送った。

 坂本さんは、ちょうど発表内容に対し「訂正申請するな」など、ファクスでの嫌がらせを受け落ち込んでいたころで、小包を受け取り力づけられたという。その後も、宮城さんから資料が届き、交流が続いている。

 坂本さんは五日、那覇市内であったシンポジウムに参加するために来県していた。「宮城さんから力をもらった。ぜひお会いしたかった」と、目を潤ませながら礼を述べた。

 宮城さんは「県民大会に参加できなかった人も含め、多くの県民や犠牲者が、坂本さんを応援していると伝えたかった」と話した。

 「宮城さんは自分自身の体験だけでなく、同じ目線でいろいろな方から体験を聞き書きしている。質も高い。感銘を受けた」と坂本さん。

 宮城さんはこの日、三月に判決が出た「集団自決」訴訟で退けられた梅澤裕元戦隊長の証言について、当時島にいた者の視点で矛盾を指摘。「体験者でなければ分からないことがある。それを、次の世代に伝えるためにも、勇気を出して教科書に書いてもらわなければ」と今後に期待した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804071300_01.html

 

2008年4月7日(月) 朝刊 2面

防衛省前 人間の鎖/米軍の事件・事故に抗議

 【東京】米軍関係者による相次ぐ事件・事故や、在日米軍再編に伴う基地負担増加に抗議しようと、県内外の市民団体関係者が六日、防衛省前で「人間の鎖」で抗議行動を展開し、「米兵犯罪は許さない」「すべての基地はいらない」などと声を上げた。

 米軍普天間飛行場代替施設建設に反対するヘリ基地反対協議会などの呼び掛けで、岩国市(山口県)や横須賀市(神奈川県)など、米軍基地が所在する全国の市民団体の関係者約五百五十人(主催者発表)が集まった。防衛省正門前を中心に、三回にわたって手をつなぎ、抗議の意志を示した。

 沖縄から駆け付けた「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表は、「相次ぐ事件に米政府の高官は謝罪を繰り返すが、県民の怒りを鎮めようとするパフォーマンスにすぎない」と非難し、米軍基地の撤去を訴えた。

 ヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設に抗議し、移設に向けた環境影響評価調査の中止を求めた。高里、安次富氏はそれぞれ、防衛省の職員に要請書も手渡した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804071300_02.html

 

2008年4月7日(月) 朝刊 18面

地位協定の問題鮮明/沖縄市タクシー強盗事件

 沖縄市で起きたタクシー強盗致傷事件で、米軍は五日、容疑者とされる基地内に住む米兵の息子の少年二人を沖縄署に引き渡した。同署が逮捕状を取り、米軍に身柄を要求してから四日目。この間、少年らは基地内で捜査機関の拘束下に置かれていなかったとみられる。日米地位協定上、両国は犯罪捜査で互いに協力するよう定められているが、軍人・軍属の家族の身柄引き渡しなどについては特に規定がなく、米側の裁量に左右される側面がある。米軍の「排他的管理権」を定めた日米地位協定の問題点があらためて浮き彫りになった。(中部支社・上地一姫)

 「(軍人・軍属の)家族の場合は、通常、逮捕状が出れば速やかに身柄を渡してもらえる。県警側に書類や手続きの不備はなく、なぜ今回は遅れているのか分からない」。少年らの逮捕状が出てから三日目の四日午前。捜査関係者は戸惑ったような表情を浮かべた。

 強盗致傷事件にかかわり、先に窃盗容疑で逮捕されていた少年二人のうち一人の身柄は、同署が捜査協力を求めたその日に引き渡されていたからだ。

 地位協定上、容疑者となった軍人・軍属については、身柄が米側にある場合、日本側が起訴するまでは原則として米側が拘束できる。一方、軍人・軍属の家族についてはこうした特権的な規定はなく、「逮捕状が出れば当然引き渡すべき事案といえる」(弁護士)。

 法政大学の本間浩教授は「家族の身柄を引き渡さない合理的な理由はない。ただ、米側が消極的だったとしても直ちに法令違反を問うこともできない。米側の裁量に委ねられているのが問題」と指摘する。

 米軍監視下にある憲兵隊員を含む計五人が関与したとみられる今回の事件。共犯が多い場合には、証拠隠滅などを防ぐため、身柄確保を急ぐのは捜査の鉄則とされる。だが、米軍は少なくとも四日ごろまでは少年らの身柄を拘束していなかったとみられ、県警は事情聴取さえできない状態だった。

 捜査関係者は「口裏合わせや逃亡の可能性も否定できない」と、捜査協力の遅れに懸念を示す。

 結局、米側は四日の夜になって身柄引き渡しを通知した。別の捜査関係者は「この時期に身柄引き渡しが遅れれば問題を大きくするのは明らかだった」と指摘。県内外で米軍関係者による事件・事故が相次ぐ中、米側が「政治問題化」を避けたとの見方を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804071300_03.html

 

2008年4月7日(月) 夕刊 5面

逃走車両 憲兵所有か/沖縄市のタクシー強盗

禁足令違反も

 沖縄市内でタクシー運転手が外国人らしき三人組に殴られ現金を奪われた強盗致傷事件で、逃走に使われた車は米軍が拘束している米軍嘉手納基地所属の憲兵隊兵長(21)の所有である可能性が高いことが七日、関係者の話で分かった。また、強盗致傷の容疑ですでに県警に逮捕されている米兵の息子らが、この憲兵隊員について「犯行時は逃走に使った車の中にいた」と供述していることも判明。当時、米軍は軍人を対象に外出禁止令を出しており、これに違反する可能性がある。

 憲兵隊員の犯行へのかかわり方について一部の少年からは「主導的な立場だった」との供述も出ているが、食い違う点もあり、県警が慎重に捜査を進めている。

 捜査関係者によると、憲兵隊員は事件への関与を否定しているという。

 事件は、三月十六日午前零時二十分ごろ、沖縄市中央二丁目の路上で発生。外国人とみられる三人組の男がタクシーを止め、乗務員を殴った上、現金約八千円が入った釣り銭箱を奪って逃走したとされる。

 犯行当時、米軍は軍人を対象に、午後十時から翌午前五時までの外出禁止措置を取っていた。憲兵隊員が犯行現場にいたとすれば、これに違反する可能性がある。

 被害者のタクシー運転手が見た実行犯は三人だったが、県警は少年の供述などから計五人が何らかの形でかかわったとの見方をしている。県警はすでに、いずれも米兵の息子の少年四人を逮捕。憲兵隊員については米軍が拘束しているため、任意で事情聴取などの捜査を進めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804071700_03.html

 

2008年4月7日(月) 夕刊 5面

1億円の賠償命令/元自衛官強盗致死

 那覇市牧志の路上で二〇〇五年二月、会社経営の川満正則さん=当時(48)=が傘で突き刺されるなどして死亡し、現金を奪われた事件で、正則さんの妻の由美さん(39)ら遺族が、強盗致死罪で服役している元幹部自衛官の原卓也受刑者(28)に損害賠償を求めた民事訴訟の判決で、那覇地裁(加藤靖裁判官)は七日、由美さんらの請求通り計一億円の支払いを命じた。

 服役中の原受刑者は、二月にあった第一回口頭弁論までに「事実関係に争いがあり、弁護士と相談して決めたい」との意思を示していたが、先月の弁論までに由美さんらの訴えを全面的に認めるとした書面を提出していた。

 事件は〇五年二月二十六日午後七時四十五分すぎ、那覇市牧志三丁目の人けのない住宅街の路上で発生。原受刑者は、パチンコ店で換金した正則さんの後をつけ、コンクリート片で頭を殴ったり、持っていた傘で顔を突き刺すなどし、正則さんを死亡させた。

 那覇地裁は〇六年三月、強盗致死罪で原受刑者に懲役二十年の判決を言い渡し、確定した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804071700_04.html

 

2008年4月7日(月) 夕刊 4面

戦争で転々 同窓生ら石碑建立/楚邊尋常小學校・國民學校

 「楚邊尋常小學校・國民學校」の石碑が、同窓生ら約二百九十人の協力で、かつて同校があった那覇市の城岳小学校の敷地内に建立された。五日の除幕式では関係者約四十人が集まって完成を祝い、当時の思い出に浸った。

 一九四〇年に旧真和志村に開校した楚邊尋常小學校・國民學校は、日本軍による接収や米軍キャンプの移転などもあり転々。四九年に那覇市与儀に移り与儀小学校の前身となった。

 「石碑を建立し、思い出を後輩たちにつなぎたい」(山城宗一郎石碑建立委員長)という同窓生の思いから、今年二月から賛同者集めを開始。約八十万円が集まり、「楚邊尋常小學校・國民學校跡」と刻まれた御影石の石碑が完成した。

 除幕式で山城委員長=那覇市=は「石碑を見ると、われわれが過ごした時代がよみがえる思いがする」と感無量。同窓生らは文字を指でなぞったり、記念撮影をしながら、昔話に花を咲かせた。

 四三―四五年に同校の教諭だった仲宗根トヨさん(87)=同=は「教科を教えたことより、子どもたちが大きな声で軍歌を歌っていたことを覚えている」と振り返り、「学校は消えたが、楚邊小の名は残る。私の願いもかなった」と目を細めた。

 城岳小の嵩原安哲校長は「子どもたちの歴史学習にも生かしたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804071700_05.html

 

2008年4月8日(火) 朝刊 2面

発生はレンジ3付近/ハンセン山火事

 金武町のキャンプ・ハンセンで先月二十六日に発生した山火事は、レンジ3周辺で発生していたことが七日、分かった。在沖米国総領事館のカーメラ・カンロイ首席領事が二日、社大党の抗議に対し、明らかにしていた。米軍はこれまで県に対し、発生場所を明らかにしていなかった。

 米陸軍がレンジ3を使用するため、三月から周辺の整備作業を実施。その過程で発見された不発弾を処理中に火災が発生したという。

 火災はレンジ3付近で発生したが、火は同レンジ西側の峰を駆け上がり、レンジ4付近まで燃え広がったとしている。

 米軍は廃弾処理場(EOD)1に移送できる不発弾はEODで処理するが、移送で危険が伴うものはその場で処理すると説明。五月一日までレンジ3付近の不発弾処理を進めるとしており、現場での爆破処理が続く可能性もある。

 社大党の喜納昌春委員長や比嘉京子書記長は七日、県の上原昭知事公室長に対し、米軍の責任で焼失部分に植栽し、復旧することなど六項目を要請。喜納委員長は「自分たちが抗議に行って、火災発生場所の話を聞いた。県が知らないのはおかしい。もっと強く原因究明を求めるべきだ」と訴えた。

 上原公室長は「原野火災は昨年から増えている。車両侵入も同じ場所に二度入っており、規律が緩んでいる。県としても強く申し入れたい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804081300_02.html

 

2008年4月8日(火) 朝刊 2面

労務費負担に理解を/全駐労、野党議員に要請

 全駐留軍労働組合沖縄地区本部(全駐労)は七日、駐留軍労働者の労務費を日本政府が継続して負担するとした新特別協定が参議院で否決される見通しであることを受け、県選出の野党国会議員らに対し、新協定への支持を要請した。

 在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)は三月末で期限が切れたが、民主党は新たな特別協定案について「基地内の娯楽施設の人件費まで負担できない」として反対している。

 全駐労の與那覇栄蔵執行委員長は「娯楽施設は米軍施設の中のコミュニティー(共同体)に付随しており、(兵士は)生活をしながら国防任務に就いている」と述べ、基地内の娯楽施設と、それに伴う人件費負担の必要性を強調した。

 照屋寛徳衆院議員(社民)は「駐留軍労働者の法的雇用主は日本政府だ」と政府の責任を指摘。下地幹郎衆院議員(そうぞう)、糸数慶子参院議員(無所属)も、民主党を中心とした他都道府県選出議員にも沖縄の実情を説明し、新特別協定の締結に理解を呼び掛けていく意向を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804081300_07.html

 

2008年4月9日(水) 朝刊 1・2面

県内米基地で自衛隊研修32回/恒常化明らかに

07年度/前年度比14回増

 【東京】県内の米軍基地で行われている自衛隊の研修が、二〇〇七年度は三十二回を数え、対前年度比で十四回増加したことが、防衛省作成の資料で八日分かった。在沖米軍基地で行われている自衛隊の研修の全容が明らかになるのは初めてで、自衛隊が恒常的に米軍の技術を学んでいる実態が浮き彫りとなった。

 研修場所は、米軍キャンプ・ハンセンや嘉手納基地など、在日米軍再編で日米共同使用の対象とされた基地が大半を占めている。防衛省は「米軍再編とは直接関係なく、通常の日米の相互協力の一環だ」と説明している。

 資料によると、〇七年度は航空自衛隊が二十二回、陸上自衛隊が九回、海上自衛隊が一回の研修をそれぞれ実施した。

 空自は、日米の相互理解と特技能力向上を図る目的で昨年七月、嘉手納基地で「日米相互部隊研修」を実施。空軍の組織や勤務要領、職務内容について説明を受けた。同基地では同年八月から〇八年三月にかけても、中堅空曹の任務遂行能力向上を目的とし、統率、管理、意思疎通技術を学ぶ研修が四回行われている。

 陸自は、昨年七月と九月にキャンプ・ハンセンで上陸作戦について研修。ハンセンでは今年一月、相手を殺さずに警棒などで制圧するための「非殺傷兵器」に関する研修もあった。また、キャンプ・シュワブでも昨年十一月、「海兵隊のシミュレーション訓練の現況」について、説明を受けたり見学などをしている。

 〇七年度に研修が増えた要因について、自衛隊関係者は、〇六年度予算が特別に制約され研修が大幅に削減されたことなどを理由に挙げ、「〇七年度が特別に多いわけではない」と説明している。


     ◇     ◇     ◇     

[解説]

軍事一体化 県内で進行


 沖縄で自衛隊が年間三十回以上にわたり、米軍運用のノウハウを学び続けていることが明らかになった。着々と進む米軍と自衛隊の軍事一体化。その一翼を沖縄が担っている実態があらためて浮き彫りとなった。

 防衛省の資料によると、キャンプ・ハンセンでは非殺傷兵器の運用や上陸作戦についての研修も毎年行われている。それぞれ、部隊防護やゲリラ、特殊部隊による攻撃、島しょ部への侵略といった「新たな脅威」を想定したものといえる。

 米同時テロ後の自衛隊法改正で、自衛隊による米軍基地の警護が可能になり、陸自は全国の都道府県警と連携し、外国から国内に侵入する武装工作員などに対応する治安出動を踏まえた図上演習を実施している。二〇〇五年十月には、北海道警と初めて共同実働訓練も行った。

 今年一月には、那覇の第一混成団が島しょ侵略に対応する訓練を初めて米国で実施している。こうした流れの中で今年三月、陸自のハンセン共同使用が始まっており、研修が「訓練」に発展する可能性も否定できない。

 〇五年十月の米軍再編中間報告でも、米軍基地の共同使用を「より緊密な連携や相互運用性の向上に寄与する」と評価。同最終報告ではハンセンと嘉手納基地が共同使用の対象とされている。

 しかし、県内の米軍基地はいずれも過密な演習により周辺への被害が絶えない状況で、基地に対する県民の不安・不信は高まっている。このような中で、自衛隊の米軍基地への「参画」は、県民により大きな負担を強いるものであり、住民の反発に油を注ぐことにもなりかねない。(東京支社・島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804091300_01.html

 

2008年4月9日(水) 朝刊 29面

沖縄市タクシー強盗/憲兵ら計画的犯行か

 沖縄市で起きたタクシー乗務員への強盗致傷事件で、沖縄署に逮捕された米兵家族の少年ら四人が、犯行の手口について、米軍に拘束されている嘉手納基地所属の憲兵隊員を含む五人で事前に打ち合わせて決めたとの内容の供述をしていることが八日、捜査関係者の話で分かった。計画的な犯行を示すものとみて、県警が裏付け捜査を進めている。

 捜査関係者によると、少年らは「犯行に車を使うことは五人で決めた」などと話しているという。

 また、一部の少年らは「(憲兵隊員に)借りがあった」と話しているといい、県警が動機について詳しく調べている。

 これまでの調べでは、少年らのうち三人が乗務員を殴って釣り銭箱を奪った後、憲兵隊員が運転する車で逃走したとされる。

 県警によると、憲兵隊員は関与を否定しているという。しかし、県警は憲兵隊員が少年らに犯行を指示するなど主導的な役割をした可能性が高いとの見方を強めている。

 同事件では、いずれも米兵の息子の少年四人が強盗致傷容疑で逮捕されたほか、憲兵隊員一人が米軍に拘束されており、県警が米側の捜査協力を得て事情聴取などを進めている。少年四人のうち三人が実行犯で、憲兵隊員を含む二人は犯行の指示や支援などをした疑いが持たれている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804091300_04.html

 

2008年4月9日(水) 朝刊 2面

PCB含有物 米へ/米軍が県内で保有

 【東京】外務省は八日までに、県に対し、米軍が県内で保有していた日本製のポリ塩化ビフェニール(PCB)含有物資八十五トンを横浜港から米本国に向けて搬出した、と伝えた。

 外務省によると搬出は三月十五日で、「変圧器などの総重量であり、PCB自体は少量」と説明している。

 米環境保護庁は、今年一月七日から来年一月九日までの間、外国製のPCB含有物資の搬入を制限する有毒物質管理法の適用除外期間を設定している。日本国内にPCB含有物資処分施設が限られていることから、この期間に合わせて米軍が独自に搬出することになった。

 今後も期間内にPCB含有物資の搬出が行われることも予想される。これまで県内から米軍がPCB含有物資を搬出した例はほかに、二〇〇三年八月十五日、〇四年七月十日で、いずれも海路で搬出されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804091300_06.html

沖縄市タクシー強盗、憲兵隊員関与疑いなど  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月3日、4日、5日)

2008年4月3日(木) 朝刊 1面

夜間外出制限 緩和 2時間短縮

 在沖米海兵隊報道部は二日、在沖米軍人に課していた午後十時から午前五時までの夜間外出制限措置を四日から、深夜十二時から午前五時に短縮すると発表した。基地外での軍人の飲酒を全面禁止する措置は継続する。制限時間中でも自家用車やタクシー、米軍施設間を運行するバスによる基地と基地外住居間の移動は可能としている。

 在沖米軍トップのリチャード・ジルマー四軍調整官は発表文で「反省の期間とそれに伴って実施した任務時間外の制限措置は、基地外での不法行為を減少することができた」とコメント。「最終的には地元との信頼関係を再構築するのに役立つだろう」としている。

 県基地対策課によると、二月十日の米兵暴行事件以降、米軍人や軍属らによる事件・事故が十九件と相次いで発生しており、ジルマー四軍調整官が評価する制限措置の効果をめぐって県民から反発が出そうだ。

 同報道部によると、ジルマー四軍調整官は四軍の下士官らと意見交換した上で、各軍の司令官らと協議し、一日に今回の緩和措置を決断した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031300_04.html

 

2008年4月3日(木) 朝刊 27面

「再発防止策は不十分」/首長ら疑問視

 【中部】米兵の外出禁止措置が緩和されることについて、米軍基地を抱える本島中部の首長らは二日、「具体的な再発防止策が示されない中でなぜ」と米軍の対応を疑問視した。同措置が事件減少につながったとの見解には「事件はなくなっていない。兵士一人一人への指導を徹底するべきだ」と訴える意見も出た。

 野国昌春北谷町長は「神奈川県では米軍人による刺殺事件が発生した。米軍は綱紀粛正や教育の徹底を言うが、具体策は報告されていない」と指摘する。

 「基地外居住の実態調査など町の要求にも応えておらず、信頼関係の回復は十分とはいえない」と、緩和措置を疑問視した。

 米軍人による事件が相次ぐ沖縄市。市議会「基地に関する調査特別委員会」の与那嶺克枝委員長は「緩和するのであれば、兵士一人一人まで指導が行き渡るようにするべきだ」とした。

 沖縄市内には米兵相手のバーやライブハウスが軒を連ねる。関係者は「外出禁止措置で、通りは大打撃を受けている。規制緩和は歓迎だ。静かに見守りたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031300_05.html

 

2008年4月3日(木) 朝刊 2面

原因は不発弾処理/ハンセン火災

 先月二十六日に金武町のキャンプ・ハンセンで起きた原野火災の原因は不発弾処理だったことが二日、分かった。真部朗沖縄防衛局長が同日、抗議に訪れた社大党の喜納昌春委員長らに答えた。先月三十一日に、米海兵隊から連絡があったという。沖縄防衛局によると、米軍は廃弾処理場(EOD)1付近で不発弾を発見したが、EODへの移動は危険が伴うとし、その場で処理したと説明したという。米軍は詳しい処理現場については明らかにしていない。

 不発弾をEODでなく、発見現場で処理することについて、沖縄防衛局は「回数は多くないと承知しているが、その頻度は承知していない」と説明。発見現場での不発弾処理時の民間への通報について沖縄防衛局は「民間地における不発弾処理と米軍演習場内における予定外の不発弾処理については単純に比較することができない」としている。

 金武町や同町議会、伊芸区は火災原因について「(集落に近い)レンジ4付近で廃弾処理を行っている」と指摘している。

 喜納委員長や糸数慶子参院議員らは「焼失による原野破壊は米国の責任で植栽し復旧すること」などを六項目を要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031300_06.html

 

琉球新報 社説

身柄引き渡し すべての米兵犯罪に適用を2008年4月3日 神奈川県警は2日、横須賀市でタクシー運転手が刺殺された事件で、米海軍に脱走罪で身柄を拘束された男性兵士を米海軍横須賀基地内で取り調べた。

 米兵は米海軍犯罪捜査局の事情聴取に続き、同県警にも殺害を認める供述をした。早期に身柄を日本側に移し、取り調べを本格化させることを求めたい。

 現行の日米地位協定は、運用改善に基づき、米兵の起訴前の身柄引き渡しを要求できるようになった。米側は今回の事件で、日本側の引き渡し要求に応じるとみられる。

 しかし、起訴前の身柄引き渡しは凶悪事件に限っている。しかも、米側の「好意的配慮」で引き渡すなど、多くの問題点がある。

 横須賀市では空母乗組員による強盗殺人事件(2006年)が発生するなど、米兵犯罪は沖縄だけの問題ではない。

 米側は事件発生のたびに、綱紀粛正に努めるとするが、凶悪事件発生後も米兵犯罪は続発している。米軍の統率力は機能していないと言わざるを得ない。

 すべての米兵犯罪で速やかに身柄を引き渡すなど、地位協定の抜本的改定なしには、後を絶たない米兵犯罪の捜査にも大きな支障を来す。

 06年1月に北谷町のキャンプ瑞慶覧で発生したタクシー強盗事件では、米軍が拘束した容疑米兵2人は日本側が起訴するまで、身柄は引き渡されなかった。

 もう一人の容疑者は既に除隊し帰国していた。米側は当時、その容疑者について「軍とともに米本国の特別機関が聴取している。事情聴取の情報提供もしながら宜野湾署と捜査協力を続けている」とした。だが、県警はいまだに帰国した米兵の行方や詳細な情報を把握できていない。

 地位協定が日本側の捜査の壁となり、犯罪者の逃げ得を許すことは、あってはならない。

 民主、社民、国民新の野党三党が地位協定改定統一案をまとめた。

 すべての事件で引き渡し要求に米側が応じることを明文化したほか、基地外での事故の場合、米軍警察は「日本当局の第一義的な統制の下に捜査する」と明記した。

 米軍活動による環境破壊や汚染の浄化は日本の責任となっているが、米側に原状回復義務を負わせる環境条項を盛り込んだ。

 実現すれば、大きな前進である。

 地位協定改定は仲井真弘多知事をはじめ、県民の意志である。14都道府県で構成する渉外知事会も見直しを政府に要求している。

 迅速な捜査、適正な処罰を科すことは、米兵犯罪の抑止にもつながる。だが、政府は米側に見直しを求めないことを明言している。国民の安全を守る気があるのだろうか。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-130789-storytopic-11.html

 

2008年4月3日(木) 夕刊 1面

嘉手納基地 戦闘機の3割外来機/町が離着陸調査

 【嘉手納】嘉手納町が米軍嘉手納基地の運用実態調査のため二〇〇七年度に計三日間実施した目視調査で、騒音が激しいとされる戦闘機の離着陸回数は計三百九十九回で、このうち30%が外来機だったことが二日、分かった。町は「想像以上に多い」としており、外来機による基地運用が恒常化している実態が浮き彫りになった。

 目視調査は、〇七年四月二十五日、同六月十三日、〇八年二月十三日の三日間。いずれも、嘉手納町屋良の「道の駅かでな」で午前六時―午後十時まで、離着陸回数や騒音発生回数、騒音の最高値などを調べた。

 三日間合計の航空機の離着陸回数は五百五十七回。このうち、戦闘機が72%を占めた。

 外来機のFA18戦闘攻撃機は調査を実施した三日間すべてで離着陸が確認され、計九十二回。四月の調査では当時、同基地に一時配備されていたステルス戦闘機F22Aラプターの離着陸が二十八回あった。

 三日間の騒音発生回数の一日当たりの平均は百三十八回で、合計は四百十四回。二〇〇六年度の一日当たりの平均騒音発生回数百九回を上回った。

 〇六年度の同様の目視調査では、航空機の離着陸回数四百九十八回。騒音は、三百八十七回発生した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031700_02.html

 

2008年4月3日(木) 夕刊 5面

沖高専上空で米軍ヘリ訓練

 【名護】米軍のヘリコプターが、名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校の上空付近で、機体を空中で静止させるホバーリング訓練を行っているのが三日午前、確認された。春休み期間で授業はなかったが、キャンプ・シュワブに隣接する同校は、これまで名護市などを通じ米軍に運用の改善を求めていただけに、あらためて周辺の生活環境への配慮が求められそうだ。

 糸村昌祐校長は「授業中にヘリが周回した事もあり、その度に改善を求めてきた。教育機関なので静かな環境が望ましいし、授業に影響が出るような訓練はやめてほしい」と話した。

 同校グラウンドで野球の練習をしていた宮里貴紀さん(五年)は「あまりに低空で飛んだので、不時着するのかと思った。沖国大の墜落事故が頭に浮かんだ。生徒が巻き込まれる恐れがあり、ヘリは学校の上空を飛んでほしくない」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031700_03.html

 

2008年4月4日(金) 朝刊 29面

米兵の息子2人が自供/タクシー強盗致傷

 今年三月十六日夜に沖縄市内の路上でタクシーから現金箱を盗んだとして窃盗の容疑で沖縄署に逮捕された米兵の息子二人が、同日未明に同市内で起きた外国人らしき三人組によるタクシー運転手への強盗致傷容疑事件についても関与を認める供述をしていることが三日、関係者の話で分かった。県警は二つの事件が同一犯による可能性が高まったとみて、近く二人を強盗致傷容疑で再逮捕する方針。米軍側は強盗致傷容疑事件の共犯とみられる複数の外国人の身柄を確保しており、県警が引き渡しを求めている。

 タクシー運転手の強盗致傷容疑事件は三月十六日午前午前零時二十分ごろ、同市中央二丁目の路上で発生。外国人とみられる三人組の男がタクシーを止めて乗務員の男性を殴り、現金約八千円入りの釣り銭箱を盗んで逃走した。乗務員は殴られた際に転倒し、すりむくけがをした。

 この事件から約二十二時間半後の同日午後十時四十五分ごろには、同市南桃原の路上で、別のタクシー運転手が車内から現金五千四百円入りの現金箱を盗まれた。同署が、海兵隊の息子の無職少年(15)と空軍兵の息子の男子高校生(16)を窃盗容疑で逮捕していた。米軍が身柄を確保している複数の外国人は、強盗致傷事件の実行犯か補佐役だった可能性がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041300_04.html

 

2008年4月4日(金) 朝刊 29面沖高専上空でヘリ訓練/米軍、生活配慮なく

 【名護】米軍のヘリコプターが、名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校の上空付近で、機体を空中で静止させるホバーリング訓練を行っているのが三日午前、確認された。春休み期間で授業はなかったが、キャンプ・シュワブに隣接する同校は、これまで名護市などを通じ米軍に運用の改善を求めていただけに、あらためて周辺の生活環境への配慮が求められそうだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041300_05.html

 

2008年4月4日(金) 朝刊 2面

泡瀬埋め立て下旬開始/総事局計画

 【沖縄】中城湾港泡瀬沖合の埋め立て事業で、事業者の沖縄総合事務局は三日、四月下旬から護岸の埋め立て作業などを開始する二〇〇八年度の事業計画を発表した。例年四―七月はトカゲハゼの産卵期に当たるとして、環境アセスメントの規定に従い工事を中断していた。しかし、外周護岸によって区切られた状態になり、内部での作業には影響がなくなったとして初めて四月から工事を行う。

 国の工事は、四月から囲まれた護岸の内側に砂を投入し、八月以降に護岸への石材や土のう設置、仮設航路浚渫、十二月から新港地区の泊地の浚渫工事などを予定している。事業費は約四十億円。県は八月以降に人工ビーチの突堤建設を始める。第一区域の事業は一二年度完了の予定。

 同事務局は「工事中は水質監視調査を行い、濁りがあれば工事を中断して対策を取る。八月以降の工事は通常通り汚濁防止膜を設置する」と説明している。

 通年工事に反対する泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男共同代表は「囲ったから影響がないというのは勝手な解釈。強引に進めるやり方に怒りを覚える」と批判。工事中止を求め、何らかの行動を取るとした。

 推進派のプライド泡瀬の當真嗣蒲会長は「第一区域の工事は決まったことであり、沖縄市の経済発展のため一日も早く進めてほしい。環境に配慮された工事であり、外周が囲われたのであれば希少生物にも影響はないと思う」と歓迎した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月4日朝刊)

[横須賀・米兵逮捕]

再発防止策を洗い直せ


 「良き隣人」でありたいという言葉とは裏腹に、米軍は今や、基地を抱える住民にとって「内なる脅威」になりつつあるのではないか。そんな疑問を振り払うことができない。

 神奈川県横須賀市で起きたタクシー運転手刺殺事件で神奈川県警横須賀署捜査本部は、米海軍に脱走罪で身柄拘束されていたナイジェリア国籍の米海軍一等水兵(22)を強盗殺人容疑で逮捕した。

 横須賀市では二〇〇六年一月にも、米兵による女性殺害事件が起きている。飲酒などで浪費した末に、泣き叫ぶ被害者に暴行を加えて殺害し、現金を奪うというおぞましい事件だった。

 米軍は事件後、深夜の飲酒制限をはじめ、さまざまな再発防止策を実施した。だが、米兵による凶悪犯罪はその後も、横須賀をはじめ各地で後を絶たない。

 なぜ、こうも米兵による事件が頻発するのか。腹立たしくあれば、もどかしくもある、というのが正直な気持ちだ。

 今回の事件は、従来のような一時しのぎの再発防止策の限界を明らかにした。米軍駐留の在り方まで含めた大胆な解決策を模索する必要がある。

 そうでなければ、壊れた蓄音機のように、今後も、謝罪と再発防止をむなしく繰り返すしかないだろう。

 国内にありながら米軍基地は、民間地域とは別世界を成している。通用する法体系も生活スタイルも、メディアによる報道も、基地の内と外ではことごとく違う。その違いと落差が、再発防止を難しくしているのである。

 米兵による暴行事件や殺害事件は、日本社会にとっては重大事である。連日のように報道され、国会でも取り上げられる。

 基地内でも米兵向けに、繰り返し同様の報道がなされ、重大な出来事として受け止められているかといえば、決してそうではない。

 事件そのものへの嫌悪の情は共通するとしても、金網の内と外とでは、事件に対する受け止め方に、さまざまな点で大きな落差があると言わなければならない。

 夜間外出禁止や教育プログラムなど、行動規律の厳格化を進めているのは事実だが、それでもまだ、金網の内と外の落差が埋められたとはいえない。

 日本社会が感じている問題の深刻さをいかに基地内に浸透させ、実効性のある再発防止策を打ち出すことができるか。それが問われているのだと思う。その壁になっているのが地位協定である。

 部隊内部の規律厳格化だけでは限界がある。地位協定そのものを見直し、起訴前の身柄引き渡しについては、もっと広範な犯罪を対象にすべきである。

 逆に言えば、犯罪等の処理についてまで地位協定による手厚い「保護」がなされているため、再発防止策が十分な効果を上げていないともいえる。根本的な見直しが必要だ。

 繰り返すようだが、基地内での取り組みと日本社会の重大性認識には落差があり、これをどう埋めるかが大きな鍵である。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080404.html#no_1

 

2008年4月4日(金) 夕刊 1面

タクシー窃盗/別の強盗致傷で再逮捕

 三月十六日夜に沖縄市内で起きたタクシー乗務員に対する窃盗事件で逮捕された米兵の息子二人が、同日未明に同市内で起きた別のタクシー乗務員への強盗致傷事件についても犯行を認める供述をしている問題で、沖縄署は四日、二人を強盗致傷容疑で再逮捕した。基地内に住む別の米兵の息子二人についても四月二日に同容疑で逮捕状を取ったが、米側の捜査協力が得られていない。また、嘉手納基地所属の兵長(21)が、犯行に関与したとみて米軍が監視下に置いており、同署が任意同行して調べを進めている。

 逮捕されたのは、在沖米空軍兵の息子の男子高校生(16)=同市八重島=と、米海兵隊員の息子の無職少年(15)=住所不定。逮捕状を取ったのは、在沖空軍兵の息子(19)と在沖米陸軍の息子(19)。少年四人のうち三人が実行犯とみられている。空軍兵長は実行犯ではないが、補佐的な役割をした疑いが持たれている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041700_04.html

 

2008年4月5日(土) 朝刊 1面

憲兵隊員 関与疑い/沖縄市タクシー強盗

米軍が拘束 県警捜査

 沖縄市で起きた米軍関係者によるタクシー強盗致傷事件で、米軍の監視下にある嘉手納基地所属の兵長(21)が憲兵隊員であることが四日分かった。米兵犯罪の取り締まりに当たるべき憲兵隊員が犯行に関与した可能性がある。また、県警が強盗致傷容疑で二日に逮捕状を取った米兵の息子二人について、米側は四日現在、身柄の引き渡しに応じていない。

 県警によると、憲兵隊員は実行犯ではなく、何らかの補佐的な役割を果たした疑いが持たれている。県警は「米軍から十分な捜査協力が得られている」として逮捕状を請求せずに任意で捜査を進めており、日本側が身柄を取らないまま書類送検するとみられる。

 逮捕状を取った基地内に住む米兵の息子二人については、沖縄署が複数回にわたり米側に身柄の引き渡しを求めているが、現在まで実現していない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051300_07.html

 

2008年4月5日(土) 朝刊 2面

米兵事件防止へ新機関を/渉外知事会 自治体参加 要求

 【東京】米軍基地を抱える十四都道県でつくる渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事らは四日、外務省の宇野治政務官と会い、米兵事件の再発防止に向けて、日米合同委員会の中に、自治体が参加する「地域特別委員会」のような協議機関の新設を求めた。宇野政務官は、米側が積極的な姿勢であれば検討する意向を示したという。

 松沢知事によると、シーファー駐日大使が三日に神奈川県庁を訪れた際、機関新設を提案したところ、同大使は「こういう事態では米政府として前向きに検討しなければならない義務がある」と答えたという。

 渉外知事会は、これまでにも日米地位協定の抜本的改定を政府に要請しているが、政府は改定に否定的で、運用改善で対処する見解を繰り返し示している。

 再発防止策などの協議について、渉外知事会は、地位協定で定められている日米合同委に自治体の意見を反映する場がないことを問題視。地元の意向を踏まえて話し合える仕組みの必要性を要望した。

 松沢知事は「改定ができないのであれば、基地所在自治体の声をくみ取る協議の場を設けてほしい。政府の言う運用改善ですぐにできる妥当な提案だ」と指摘。「日米両政府に対応してもらわない限り、地元の信頼は得られない」と述べた。

 渉外知事会は四日、大野松茂官房副長官にも要請した。沖縄県からは吉川浩正県東京事務所長が同席した。来週は高村正彦外相に要請するという。


身柄引き渡し 米軍裁量


 米軍人の家族ら五人が絡んだとみられるタクシー強盗致傷事件。沖縄県警は逮捕状を取った二人の米軍人家族の身柄引き渡しを米軍側に要求しているが、応じるかどうかは米軍の裁量に委ねられているのが現状だ。神奈川県のタクシー強盗殺人事件の容疑者米兵とは違い、米軍人・軍属の家族は、日米地位協定の運用改善でも米側が「好意的考慮」を払う対象には含まれない。

 強盗致傷容疑で四日に再逮捕された二少年は、三月に別の窃盗容疑で逮捕されていたが、その際、一人(16)は緊急逮捕。もう一人(15)は捜査協力を求められた米軍当局が二日後に沖縄署へ連れてきたため、同署は通常逮捕した。

 一方、残りの二人=いずれも(19)=は県警が逮捕状を取り、身柄引き渡しを求めているが、米軍側は「引き渡し手続き開始のための正式な要請が沖縄県警からあり、現在はその手続きの途中だ」として、依然引き渡しには応じておらず、理由も明らかにしていない。

 ある県警捜査幹部は「米軍は通常、家族の取り調べについては協力的だが、結局は米軍の都合次第で決まる。引き渡しが遅れれば捜査も遅れる。じくじたる思いはある」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051300_08.html

 

2008年4月5日(土) 朝刊 2面

「宮古島に陸自誘致」/商議所会頭、再び言明

 【宮古島】宮古島商工会議所の中尾英筰会頭は、四日の同会議所創立七十五周年記者会見で、「宮古島に陸上自衛隊を誘致したい」と述べた。

 中尾会頭は、昨年十一月の同会議所の臨時議員総会でも同様な発言をしていた。

 中尾会頭は、北朝鮮の動向や中国の国防費増加などを示しながら、先島での国防体制構築の重要性を強調。さらに、誘致理由として、急患輸送ヘリによる人命救助、不発弾処理などの迅速化、宮古出身の陸自隊員二百人のUターンによる人口増加なども挙げた。

 反対の声もあるとしながら、「誘致には多くの方の支援がある。宮古に自衛隊が来たからといって、戦争につながるとは思わない。(誘致によって)国民の不安を解消し、生命と財産を守ることが大事だ」との見解を示した。しかし、下地島空港への誘致については否定した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051300_09.html

 

2008年4月5日(土) 夕刊 1面

タクシー強盗 米兵息子2人逮捕

 【沖縄】沖縄市で起きた米軍関係者によるタクシー強盗致傷事件で、米軍は五日午前、沖縄署が逮捕状を取っていた米兵の息子の少年二人=いずれも(19)=の身柄を同署に引き渡した。これを受け同署は同日午前、少年二人を強盗致傷容疑で逮捕した。二人は容疑を認めているという。同事件での逮捕者は米軍人の息子ばかり四人となった。

 同署はさらに、嘉手納基地所属の憲兵隊員も事件に関与した可能性があるとみて、任意で事情を聴くなど調べを進めている。

 同署は二日に少年二人の逮捕状を取り、米軍に複数回にわたり、身柄引き渡しを求めていた。

 同署によると、米軍は五日午前、「基地内で少年を引き渡すので来てもらいたい」と連絡。同署の捜査員が嘉手納基地内で身柄引き渡しを受けたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051700_03.html

 

2008年4月5日(土) 夕刊 5面

「取り締まる憲兵が・・・」/タクシー強盗関与 地元首長、強い憤り

 【中部】またも米軍関係者か―。沖縄市で起きた米軍関係者によるタクシーを狙った強盗致傷事件は、嘉手納基地所属の憲兵隊員も犯行に関与していたことが浮上。犯罪を取り締まる憲兵隊員の関与は、米軍の「綱紀粛正」の中身のなさを露呈した。米軍関係者による事件が繰り返される本島中部の住民やタクシー業界関係者からは「米軍事件が日常になってしまった」と怒りと不安が渦巻いた。

 沖縄市の東門美津子市長は事件に憲兵隊員が関与している可能性があることに「冗談じゃないでしょう」とあきれた様子。「取り締まる側が犯罪にかかわっていたなら、許せないし話にならない。米軍は一連の抗議行動をどう受け止めているのか」と強い憤りを示した。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春北谷町長は「憲兵隊は規律を守り、指導すべき立場にある。関与の疑いがあること自体が米軍の規律の緩みの激しさを表し、大問題だ」と指摘した。

 基地の中まで米軍人を送迎する「ベースタクシー」を運行する沖縄市内のタクシー会社は、防犯のため昨年の夏から、後部座席と運転席の間にプラスチックの板を設けるなど対策をとっている。同社の運行管理者(61)は「沖縄市での事件後、不審者は乗せず、身に危険を感じたらすぐ逃げるよう乗務員に注意を促した。タクシー運転手が何度も被害に遭って遺憾だ」と憤った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051700_04.html