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沖縄タイムス・琉球新報 関連記事(5月23日夕刊)

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 夕刊 1面
参院で可決 米軍再編法が成立
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法」が二十三日午前の参院本会議で、自民、公明の与党などの賛成多数で可決、成立した。同法では防衛相が関係自治体を「再編関連特定市町村」に指定し、(1)再編(政府案)の受け入れ(2)環境影響評価(アセスメント)着手(3)施設着工(4)再編実施―の順の四段階で交付金を上積みする仕組みを明記。二〇一七年三月末までの時限立法だが、再編の実施が遅れる場合は交付期間を最大五年間延長する。
 反対討論で喜納昌吉氏(民主)は交付金制度の在り方について「政令委任が多く、このままでは国会の関与なくして金を出す権限を政府に与えてしまうことになり、透明性を欠き、極めて不適切」と批判した。
 投票総数は二百で賛成が百十二、反対が八十八だった。県関係議員四人は、西銘順志郎氏(自民)が欠席、島尻安伊子氏(無所属)が賛成、喜納氏、大田昌秀氏(社民)がそれぞれ反対した。
 米軍再編推進法の成立後、久間章生防衛相は二十三日午前、在日米軍再編に協力する自治体に支給する再編交付金について、米軍普天間飛行場の移設先である名護市は支給対象になるとの考えを示した。国会内で記者団に答えた。
 名護市は現行のV字形滑走路案を沖合にずらすよう修正を求めているため、防衛省内には対象自治体に該当しないとの意見があるが、久間氏は「名護市は(基本的に政府案を)受け入れている」と述べた。
 政府は同法に基づき、〇六年五月に米国と合意した米軍再編最終報告の具体化に向けて調整を本格化。再編計画を受け入れる自治体だけを対象にし、事業が進んでいれば、交付金を上積み、滞れば凍結する「出来高払い方式」に、野党側からは「アメとムチで基地負担を迫る手法は問題」などと批判が集中している。
 また、特に負担の大きな市町村を「再編関連振興特別地域」に指定して公共工事の補助率に特例を設け、沖縄の場合は、国の負担割合を最大で95%とする沖縄振興特別措置法の適用も盛り込んでいる。そのほか、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例も設定している。
知事「地元配慮を」
 米軍再編推進法が参院本会議で可決、成立したことを受け、仲井真弘多知事は二十三日午前、「同法に基づき、再編交付金などの特別措置や在沖米海兵隊のグアムへの移転が確実に実施され、基地負担の軽減が図られることを期待している」とのコメントを発表した。
 再編交付金の交付に向けては「政令で定めることとなっているが、今後、地元自治体の意向を十分踏まえて対応していただきたい」と要望。その上で「在日米軍再編に当たっては、地元の理解と協力が不可欠。普天間飛行場の移設問題をはじめ、地元の意向に配慮して進めることが円滑な実施につながる」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231700_01.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 夕刊 5面
「アメとムチ」鮮明/米軍再編法成立
基地所在住民当惑「支給当然」賛成も
 米軍再編への協力の度合いに応じて地方自治体に交付金を支給する「アメとムチ」を鮮明にした米軍再編推進法が二十三日、参院本会議で可決、成立した。「市民をばかにしている」「支給は当然」。普天間飛行場代替施設建設予定地の名護市では、怒りと歓迎の声が上がった。
 「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」共同代表の浦島悦子さん(59)は「足元を見る卑劣な法律。どこまでばかにすれば気が済むの」と憤った。一九九七年の名護市民投票以後、同十区には市から毎年六千万円が交付されている。「部落の共同作業に参加すると、前はお茶を飲んで解散だったのが、弁当は出るわ、ビールは出るわ」
 豊富な金が地域に浸透していくさまを間近で見てきて、「お金にまつわるトラブルもある。一つ一つは小さなことだけど、じわじわとコミュニティーが壊される感じがする」。浦島さんは「もともと毎月の区費だけで運営していた。既得権を失うのが怖いのは分かるが、市民がもう一度きちんと考えて、自立した精神を養うべきだ」と嘆いた。
 辺野古区出身の島袋権勇名護市議会議長は「再編によって基地の負担を受ける地域への交付金の支給は当然のこと。国防のために沖縄が負担を強いられていることを国は認識し、基地が存在する限り生活補償など十分な支給をするべきだ」と、法案を歓迎した。
 普天間基地を抱える宜野湾市。アメとムチを堂々と振りかざす国のやり方に、関係者からは怒りの声が上がった。
 市職員OBで基地政策担当経験のある市議の森田進さん(54)は「基地と振興策はリンクしないといいながら実際はアメとムチを使い分けるのが政府のやり方だ」と怒りをあらわにした。「政府に協力しなかったからといって交付金を支給しないのはおかしい。市には普天間基地が六十二年間横たわる事実があり、政府は跡地計画を含め地元の振興を考えるべきだ」。
 一九九八年に当時の大田昌秀知事が政府の意向に反し普天間移設を正式拒否した。出納長を務めた山内徳信さん(72)は「政府は当時から、米軍基地問題と地方への財政補助をセットにして、県への懐柔、恐喝を繰り返していた」と振り返る。沖縄振興開発事業について交渉する席上でも、政府高官が「米軍基地再編に進捗がなければ、予算交付は認められない」とどう喝してきたといい「その手法はいまでも変わらないのでは」と話す。「基地で地方財政が潤い、自立につながるということはない。住民や首長が毅然とした態度を示すことが大事」と訴えた。
 再編法の交付金は原発交付金がモデルだ。石川県珠洲市で原発に反対してきたルポライターで市議の落合誓子さんは「お金を一度もらうともう駄目」とアメの怖さを指摘。効果的に金を落としてくるので、反対だった人も脱落し賛成に回るようになる様子を原発ができた地域で見てきた。「だけど、できてしまえば、いつまでも金は出ない。本当に豊かになるわけではない」とくぎを刺した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231700_02.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 夕刊 1面
座間味・渡嘉敷 撤回要求へ/「集団自決」軍関与削除
検定に意見書
 【座間味・渡嘉敷】教科書検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍の関与が削除された問題で、座間味村議会(金城英雄議長)と渡嘉敷村議会(島村武議長)は二十二日、それぞれ全員協議会を開き、検定意見の撤回を求める意見書案を本会議に提案することを決めた。
 座間味村は二十九日に臨時会で、渡嘉敷村は定例会初日の六月十四日に提案。
 いずれも全会一致で可決する見通し。
 沖縄戦で日本軍の海上特攻艇の秘密部隊が駐屯し、米軍の最初の上陸地となった慶良間諸島の座間味村では、一九四五年三月二十六日に座間味島、慶留間島などで「集団自決」が起こり、大勢の住民が死亡。渡嘉敷村では同月二十八日、「集団自決」によって三百人以上が犠牲になったとされる。
 「集団自決」をめぐっては、生き残った住民らが日本軍の軍命と誘導を証言している。
 文科省は、検定で「集団自決」に対する日本軍関与を否定した理由の一つに、日本軍元戦隊長の軍命を否定する訴訟証言を挙げている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231700_03.html

環境相、サンゴ損傷把握せず 島尻氏が初質問
 【東京】若林正俊環境相は22日午後の参院環境委員会で、米軍普天間飛行場移設先の海域で行われた環境現況調査(事前調査)の機器設置に伴いサンゴが損傷したことについて「報告を受けていない。(調査は)防衛施設庁が行うので、事実確認をするよう指示をしている」と述べた。島尻安伊子氏の初質問に対する答弁。
 島尻氏は「代替施設建設に当たっては環境保護とのバランスが大変重要になるので、ぜひ環境大臣の配慮をお願いしたい」と要望した。
 島尻氏は質問後、「サンゴに傷が付けられたという件を環境省が把握していないのは問題だ」と指摘。防衛省に対しては「環境現況調査への海上自衛隊の動員も含め、県民への配慮が足りない」とした上で、事実関係の確認を求めた。
(琉球新報 5/23 16:02)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24007-storytopic-3.html

米軍再編法が成立 仲井真知事「地元配慮を」
 23日午前の参院本会議で米軍再編推進法が賛成多数で可決、成立したことを受けて仲井真弘多知事は同日「再編交付金などの特別措置や在沖米海兵隊のグアムへの移転が確実に実施され、基地負担の軽減が図られることを期待する」とのコメントを発表した。
 コメントでは交付金の交付について「今後地元自治体の意向を十分踏まえて対応していただきたい」と注文した。さらに在日米軍再編の内容実施に対しても言及し「地元の理解と協力が不可欠で、普天間飛行場の移設問題をはじめ、地元の意向に配慮して進めることが円滑な実施につながると考えている」と述べ、普天間飛行場移設をめぐる県や名護市の要望を聞き入れるようあらためて政府の対応を促した。
(琉球新報 5/23 16:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24006-storytopic-3.html

沖縄タイムス・琉球新報 関連記事・社説(5月23日朝刊 その2)

沖縄タイムス 社説(2007年5月23日朝刊)
[サンゴ損傷]
本末転倒の破壊行為だ
 本末転倒の破壊行為といわざるを得ない。米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設で、那覇防衛施設局による海域の環境現況調査(事前調査)で生きたサンゴが損傷された。
 ジュゴンネットワーク沖縄とジュゴン保護基金委員会が撮影し公表した写真は、施設局が海底に設置した調査機器の鉄柱がサンゴに突き刺さり、割れているのがはっきり確認できる。
 施設局の現況調査の目的は、これから始まるサンゴの産卵状況を調べることにあったはずだ。
 新聞に掲載された痛々しいサンゴを見ると、サンゴを破壊しておきながら産卵状況を調べるという施設局の説明に異議を唱えたくなる。慎重さと配慮に欠けた調査と、自ら証明したものと思うからだ。
 普天間飛行場の移設をめぐる最近の防衛省は、県民を上から押さえつける強硬姿勢ばかりが目立つ。
 調査支援目的のために法的根拠もあいまいなまま海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を派遣し、潜水要員を投入した。これでは県民を掃海母艦で脅していると見られても仕方がない。
 掃海母艦にしろ、潜水要員にせよ、防衛省も県民の怒りの度合いを予測した上での決定であれば、この程度は、まだ沖縄の許容範囲ととらえているのかもしれない。
 裏を返せば、県民がそのように見られているということである。県民に対する自信とおごり。それが怒りの目で見られていることを忘れては、しっぺ返しを食うことになるのではないか。
 サンゴ損傷で抗議を受けた那覇防衛施設局の佐藤勉局長は「事実関係を調べたい」と答えている。当然だろう。
 施設局は同海域百十二カ所に調査機器を設置している。サンゴ損傷の経緯を調査し公表するとともに、残りの点検も、反対派が抗議行動を繰り返す中で実力で移設作業を進める事業者としての最低限の務めである。全カ所の結果を明らかにするまでは、海域の調査は中止するべきだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070523.html#no_2

県、施設局に報告要求へ 辺野古沖サンゴ損傷
 米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)の機器設置でサンゴを損傷させたと環境保護団体が指摘している問題で、県は22日午後、関係各課で会議を開き、那覇防衛施設局に設置状況を文書で報告するよう求めることを確認した。調査海域の使用同意の際に県が求めた配慮事項でも、施設局が報告することになっていた調査機器の設置方法や工程などがまだ報告されておらず、
こちらも併せて督促する。
 県が4月末に施設局の海域使用に同意した際、添付した配慮事項では「調査の具体的な調査工程、調査期間、調査時期、調査機器設置方法、環境配慮の内容については、決定次第、県に報告すること」と求めていた。だが18日からの機器設置着手後、22日現在も施設局から報告されていない。
 県によると、施設局からは「同時並行で実施しており、報告項目がそろっていない」との回答があった。機器設置の18日にも県は報告を求めていた。
 県の配慮事項では、藻場・サンゴ類への配慮として「調査地点付近の藻場・サンゴ類および海底地盤の状況について、写真とあわせて図示し記録すること」と要望していた。
 施設局はこれまで、機器の設置などについては県と調整して進めていくと説明していた。
 22日の会議には、海域使用に関係する返還問題対策課と文化課、水産課、環境政策課、海岸防災課から担当者が出席した。(滝本匠)
(琉球新報 5/23 9:45)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23981-storytopic-3.html

琉球新報 社説
サンゴ損傷・作業方法は適切だったか
 自然環境を調べるために自然を破壊したのでは本末転倒としか言いようがない。那覇防衛施設局が普天間飛行場代替施設移設先の環境現況調査(事前調査)のため名護市辺野古沖に設置した機器によって、サンゴが損傷していたと環境保護団体が明らかにした。
 ジュゴンネットワーク沖縄、ジュゴン保護基金委員会の両団体が公表した写真によると、サンゴの産卵状況を調べる着床具を固定する鉄筋が、生きたサンゴを貫通、亀裂を生じさせていた。
 那覇防衛施設局は、早急に事実関係を調査し、詳細を明らかにすべきだ。
 そもそも、この環境現況調査自体、機器の設置場所など詳細を一切公表しないままに実施されていることが大きな問題だ。これでは作業の仕方や調査方法が適切なのかどうか、誰にも分からない。
 作業に協力したとされる海上自衛隊の潜水士が具体的にどのような作業に携わったのか、何人が参加したかについても防衛省は明らかにしていない。
 分かっているのは、サンゴ調査機器39カ所、海生生物調査用ビデオカメラ14カ所、パッシブソナー(音波探知機)30カ所、海象調査用機器29カ所の計112カ所に機器を設置するということぐらいだ。
 しかも、これらを発表したのは施設局ではなく公共用財産使用協議に同意した県である。政府は説明責任を一切果たしておらず、事前調査の全容は秘密のベールに包まれている。
 県は、海域使用に同意した際、ジュゴンやサンゴへの配慮を要望した。その中で「調査機器の設置に当たっては、調査地点周辺の藻場・サンゴ類および海底地盤への影響を低減するため、調査機器設置前の現地踏査の結果を勘案して設置位置の調整を行うこと」などと求めていた。
 施設局は、これをどう受け止めたのか。サンゴを傷つけないための適切な対策を講じたのか、あるいは講じなかったのか。
 那覇防衛施設局は「機器を設置するときはサンゴのない場所を選んで作業するという手順になっている」と説明しているが、作業手順が守られていなかった可能性がある。
 環境団体の間からは「サンゴに詳しい業者ではなく、自衛隊員が作業に入ったためサンゴを損傷したのではないか」と指摘する声さえ出ている。疑問は尽きない。
 施設局は調査機器の設置場所を公表すると同時に、自衛隊、民間の潜水士の数、それぞれが担当した地点などを含め、明らかにすべきである。すべてを覆い隠した秘密の調査では、県民の不信を増幅させるだけだ。
(5/23 9:52)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23987-storytopic-11.html

「集団自決」の軍関与削除 座間味、渡嘉敷撤回意見書へ
 【座間味・渡嘉敷】座間味村議会(金城英雄議長)、渡嘉敷村議会(島村武議長)は22日、全員協議会を開き、教科書検定で沖縄戦の「集団自決」に関する記述で日本軍による命令などの表現が削除されたことに対し、検定意見を撤回するよう国に求める意見書を提案することを決めた。座間味村は29日に臨時議会を開き、意見書を全会一致で可決する見通し。渡嘉敷村は6月14日開会の6月定例会に提案。初日の14日に全会一致で可決する見通し。
 沖縄戦で旧日本軍の秘密部隊、海上特攻隊が置かれた座間味、渡嘉敷の両村では「集団自決」が起きた。座間味村は米軍が上陸した1945年3月26日、座間味島、慶留間島、屋嘉比島で手りゅう弾やかみそりなどを使った「集団自決」が発生。
村長をはじめ村職員、住民ら多数が死亡した。
 渡嘉敷村では同月28日に「集団自決」が起き、人口1500人のうち、200―300人が犠牲になったとされる。「軍命があった」と証言する住民もいる。
 文科省は検定姿勢変更の理由の一つとして、当時の座間味島の指揮官の「自決命令はない」との訴訟提起を挙げている。
(琉球新報 5/23 10:02)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23993-storytopic-1.html

沖縄タイムス・琉球新報 関連記事(5月22日夕刊、23日朝刊 その1)

沖縄タイムス 2007年5月22日(火) 夕刊 1面
首相「威圧でない」/海自動員
 【東京】安倍晋三首相は二十二日午前の参院外交防衛委員会で、米軍普天間飛行場代替施設周辺海域での現況調査(事前調査)で海上自衛隊を動員したことについて「いわば国の資源を有効活用した」と述べ、問題はないとの認識を強調した。また、自衛隊動員に仲井真弘多知事らが不快感を示していることについては「全く威圧ということは考えていない。掃海母艦も安全の作業を進めるためのバックアップとしてその場にいた。県側にも意図や必要性について誠意を持って説明していきたい」と釈明した。緒方靖夫氏(共産)への答弁。
 久間章生防衛相は同日の閣議後会見で、知事の反応について「仲井真知事の持っているいろいろな県民感情。その辺を今後とも参考にして、大事にしていかないといけないなと思っている」と一定の理解を示した。
 しかしその一方で、「(従来案でボーリング調査を実施しようとして反対派に阻止された)前回のことを考えたらどこまでやるか、万全を期して考えないといけない」と述べ正当性を強調した。
 サンゴの産卵状況を調査する着床具の設置が終了したことについては「ダイバーの一人がレギュレーターを抜かれおぼれそうになったが、大したことにならずにほっとしている」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705221700_03.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 朝刊 1面
米軍再編法案を可決/参院外防委
きょう本会議で成立/交付金 反対自治体支給せず
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法案」が二十二日の参院外交防衛委員会で自民、公明の与党などの賛成多数で可決した。二十三日の参院本会議で可決、成立する見通し。久間章生防衛相は同日の質疑で、自治体が再編受け入れを拒んだ場合の対応について、「(再編を)やめてくれという市町村に交付する制度ではない」と述べ、反対自治体に支給しない方針を強調した。
 野党各党は「(住民の)不満と向き合わず、金銭で懐柔する手法は問題の根本的な解決にならない」「銃剣とブルドーザーで強奪して構築された沖縄の米軍基地の歴史に照らし、米軍の撤退費用を負担することは認められない」などと反対した。
 同委員会は法案可決後、交付金支給基準の明確化や日本の経費負担総額の国会報告などを政府に求める付帯決議を採択。久間防衛相は「趣旨を十分に尊重し、努力する」と述べた。自治体への対応については「できる限り説得し、協力してもらうよう努力する。(受け入れ要請を)やめることがあるかと言われれば、ある場合もある」と、含みを残した。
 グアム移転経費が最終確定する時期に関し、来年度予算に調査費を盛り込む方針を示した上で「調査で一年はかかる。設計までは一年半くらいはかかると思う。来年度は無理だろうと思っている」との見通しを示した。それぞれ緒方靖夫(共産)、浅尾慶一郎(民主)両氏への答弁。
 法案は防衛相が関係自治体を「再編関連特定市町村」に指定し、(1)再編(政府案)の受け入れ(2)アセス着手(3)施設着工(4)再編実施―の順の四段階で交付金を上積みする仕組み。特に負担の大きな市町村を指定して公共工事の補助率に特例を設け、沖縄の場合は、国の負担割合を最大で95%とする沖縄振興特別措置法の適用を明記。
 在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例も設定する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231300_01.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 朝刊 3面
野党、出来高払い批判/防衛相、名護市へ支給に含み
 【東京】米軍再編推進法案が二十二日の参院外交防衛委員会で可決、二十三日の参院本会議で可決、成立する見通しだ。法案の柱は(1)再編の進ちょくに応じて支払う交付金制度(2)特に負担の大きな市町村を指定し、振興事業の補助率に特例を設ける(3)在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を設定する―など。衆・参院での質疑では、「出来高払い方式」に野党から批判が集中した。
アメとムチ
 審議では、再編計画を受け入れる自治体だけを対象に、事業が進んでいれば、交付金を上積み、滞れば凍結する「出来高払い方式」の是非が焦点となった。
 政府は、SACO(日米特別行動委員会)最終報告で普天間飛行場の返還に合意しながら十年以上たっても進展がなかったことを踏まえ、原子力発電所の受け入れ先に交付する「電源立地地域対策交付金」を参考に新制度を発案。久間章生防衛相は「SACOのような予算措置ではなく、法律で裏付けした方がいい」と意義を強調した。
 野党は「アメとムチで基地負担の受け入れを迫る手法は問題」(民主・柳田稔氏)などと指摘したが、安倍晋三首相は「基地受け入れを決断した地域を国として支援するのは当然。金で動かすということではない」と反論した。
 普天間飛行場代替施設(V字案)の沖合移動を求めている名護市への交付金支給について、久間防衛相が「ゼロだと決め付けることはできない」と述べ、支給の可能性に含みを残した。
算定の基準
 交付金の算定基準について、防衛省の大古和雄防衛政策局長は住民生活への影響を点数化して算定する考えを示したが、緒方靖夫参院議員(共産)は「住民への負担はそれぞれ異なる」などとして、実効性を疑問視した。
 同法案では、特に負担の大きな市町村を「再編関連振興特別地域」に指定、公共工事の補助率に特例を設ける。沖縄の場合、国の負担割合を最大95%とする沖縄振興特別措置法の適用も明記されている。現段階で該当市町村は明らかにされていないが、「五十機以上の航空機を移駐する場合」(久間氏)といい、普天間飛行場の移設先周辺が該当するとみられる。
グアム移転
 日米両政府は昨年四月、グアム移転経費百二億七千万ドル(約一兆二千二百億円)のうち、日本側が59%の六十億九千万ドル(約七千二百億円)を負担することで合意。
 司令部、隊舎、学校は家賃などの資金回収が困難との理由から、日本側が国庫から二十八億ドル(約三千三百億円)を支出。家族住宅や電力、上水道などのインフラ整備は、民間事業体に三十二億九千万ドル(約三千九百億円)を出資、融資するなどして支援する。
 ただ、出資、融資分は米軍人の家賃収入を返済に充てるため「返済期間は五十年程度になる」(大古局長)。住宅の耐用年数を考慮すると不良債権化する可能性もあり、「回収できなかったらどう責任を取るのか」(民主・長島昭久氏)と追及した。
 政府側は「確実に回収できるように精査していく」(尾身幸次財務相)と答えるにとどめ、具体的な対応策は示されなかった。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231300_02.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 朝刊 28面
シンポ『集団自決』検定を問う」/来月2日
 高校歴史教科書で、「集団自決」の日本軍関与の記述が検定で削除されたことについて、シンポジウム「挑まれる沖縄戦―『集団自決』検定を問う」を開催します。沖縄戦体験者や研究者が一堂に会し、多角的な視点から、県民とともにこの問題の背景を考える場として位置付けます。
◆期 日 6月2日(土)午後2時―5時
◆会 場 沖縄県青年会館(那覇市久米)
◆内 容 (1)講話 金城重明(渡嘉敷島「集団自決」体験者)(2)パネルディスカッション「『集団自決』検定を問う」パネリスト 安仁屋政昭(沖縄国際大学名誉教授)、高嶋伸欣(琉球大学教授)、屋嘉比収(沖縄大学准教授)、諸見里道浩(沖縄タイムス編集局長)
◆入場料 無料
◆主 催 沖縄タイムス社
◆問い合わせ 沖縄タイムス読者センター、電話098(860)3663

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231300_09.html

沖縄タイムス・琉球新報 関連記事(5月22日朝刊)

沖縄タイムス 2007年5月22日(火) 朝刊 1・25面
設置機器でサンゴ損傷/辺野古調査
 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査で、ジュゴンネットワーク沖縄などは二十一日、那覇防衛施設局が海底に設置した調査機器によって生きたサンゴの一部が損傷を受けたとして施設局に抗議した。
 県庁で会見した土田武信事務局長によると、沖合約一キロの海底で二十日午前、サンゴの産卵状況を調べる着床具を支えている鉄の柱一本がサンゴに突き刺さり割れているのを確認。ジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨事務局長らが水中撮影した。施設局は調査で、同海域の百十二カ所に調査機器を設置している。土田事務局長は「ほかにもサンゴが被害を受けている可能性が高い。直ちに作業を中止すべきだ」と訴えた。
     ◇     ◇     ◇     
県民会議、国・県へ抗議
 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査で、那覇防衛施設局がサンゴの産卵状況を調べる着床具の設置作業に着手したことについて、「基地の県内移設に反対する県民会議」(十二団体)は二十一日、県、那覇防衛施設局を相次いで訪れ、抗議するとともに調査中止を申し入れた。
 調査支援名目で海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が派遣されたことにも強く抗議。県民への謝罪を求め、厳戒態勢で現場海域の警備に当たる海上保安庁の介入についても中止するよう訴えた。
 同施設局への申し入れには県民会議のほか、衆院議員の赤嶺政賢(共産)、照屋寛徳(社民)両氏も出席。佐藤勉局長に対し軍艦を派遣した法的根拠や、海底に設置した調査機器でサンゴの一部が損傷している事実などをただした。
 佐藤局長は軍艦の派遣は現況調査への協力が目的で実力行使とは思っていないと説明。サンゴ損傷の指摘には「事実関係を調べたい」と話した。
 一方、県庁では上原昭知事公室長に同施設局の現況調査に同意した県の対応に抗議。「県は県民を守らないのか」と強く批判した。上原公室長は「調査は事業主体の責任と判断の下で行われている」と説明。軍艦の派遣については「好ましいものではない」と述べるにとどめた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705221300_02.html

沖縄タイムス 2007年5月22日(火) 朝刊 25面
ごみ山に米軍クレーム/沖縄市処分場
 【沖縄】沖縄市池原にある一般廃棄物最終処分場周辺に群がるカラスと産業廃棄物が積まれたごみの山が、米軍嘉手納基地を離陸する航空機の飛行に支障を来しているとして、那覇防衛施設局が廃棄物処理業者に改善を求めていたことが二十一日、分かった。しかし同業者に搬入された一般廃棄物の九割は米軍基地からの搬入であり、施設局から米軍の要請内容の説明を受けた沖縄市環境課は「米軍がごみの量を減らす努力をする必要もあるのでは」と話している。(吉川毅)
 市は、施設局から「米軍から民間の廃棄物処理業者に改善要請がある」と今年二月と五月初旬に説明を受けた。
 市によると、一般廃棄物最終処分場やその周辺でごみをあさるカラスの群れが、航空機の離陸の邪魔になっているとして米軍が施設局に改善要請をしているという。
 さらに産業廃棄物でできたごみの山は、山頂でショベルカーが作業した場合、掲げられたアームによって離陸の障害になっているという。
 沖縄市がまとめた二〇〇六年度の一般廃棄物処分量調査では、同業者で処分した一般廃棄物の94・5%が県内米軍基地から搬入されている。
 米軍基地からのごみの処分量は一万三百五十五トンで、前年度の五千六百八十八トンの二倍近くに膨れ上がっている。
 近隣市町村の公共施設などからのごみを含めた全体の処分量は約一万九百六十一トン。
 そのうち搬入された量で最も多かったのは北中城村にあるキャンプ・フォスターの二千九百九十五トン、次いで金武町のキャンプ・ハンセンの千五百二十一トン、浦添市のキャンプ・キンザーの千二百七トンとなっている。
 市は米軍や他市町村から市内に持ち込まれるごみを抑制するため、〇七年度中に法定外目的税として環境税の導入を検討している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705221300_03.html

調査機器サンゴ損傷 鉄筋貫通し亀裂
 ジュゴンネットワーク沖縄(土田武信事務局長)とジュゴン保護基金委員会(東恩納琢磨事務局長)は21日、県庁で会見した。那覇防衛施設局が名護市辺野古で実施する米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)のため海域に設置した機器が生きたサンゴを傷つけたとして写真を公開し、調査の中止と設置状況の点検を県と那覇防衛施設局に求めた。施設局の佐藤勉局長は要請に対し「確認する」と述べ、事実関係を調査する意向を示した。 両団体は19、20の両日、辺野古沖の3カ所でダイバーによる調査機器の設置状況調査を実施。パッシブソナー(音波探知機)、水中ビデオカメラ、サンゴの産卵状況を調べる着床具が設置されているのを確認した。着床具は沖合約1・5キロのマナル岩と呼ばれる岩の沖合のリーフの外、水深約8メートルの地点に設置されていた。
 着床具は1・5メートル四方のステンレス製で、脚部4カ所を海底に突き刺した鉄筋で固定。鉄筋のうちの一本が生きたサンゴを貫通し、亀裂が入っている状況を確認した。サンゴはキクメイシの一種とみられる。
 水中ビデオカメラが見付かったのは沖合約1キロのリーフの切れ目に当たる地点。土田事務局長は「ジュゴンの通り道になっており、影響が懸念される」と述べた。
 東恩納事務局長は21日、基地の県内移設に反対する県民会議のメンバーらとともに那覇防衛施設局を訪れ、調査中止を要請。サンゴ損傷の写真を見せられた佐藤局長は「機器を設置するときはサンゴのない場所を選んで作業するとの作業手順を承知している。この事実は初めて見せられた」と話した。
 県は事前調査の海域使用を認めた際、那覇防衛施設局に対し、サンゴへの影響に配慮するよう求めていた。施設局の海域使用に同意した県土木建築部は「事実関係を確認したい」としている。
 辺野古沖では18日から民間業者と海上自衛隊員が調査機器設置作業を開始。20日までに着床具設置を一通り終えた。
(琉球新報 5/22 9:39)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23953-storytopic-1.html

海自投入は「遺憾」 衆院沖特委・安住委員長
 調査のため来県した衆院沖縄・北方問題特別委員会の安住淳委員長らは21日、帰任を前に那覇空港で記者会見した。普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)の機器設置作業に海上自衛隊が投入されたことについて安住委員長は「遺憾だ。地元と築いてきた協力が根底から崩れる恐れがある。事前に県や名護市から理解を得る手続きを踏むべきだった」と述べた。 沖縄振興特別措置法の延長について「同じメニューを再び繰り返すのは困難な時代だと思う。他地域に比べてサポートは必要だが、自立に向けて沖縄の優位性を政策にうまく反映させる方法が大事だ」と述べ、特別措置の中身について検討が必要との考え方を示した。
 復帰35年の節目に合わせて来県した沖特委は、20日に南大東島を視察。21日午前には県庁で仲井真弘多知事から沖縄振興施策について要望を聞いた。安住委員長は「これからは特に離島振興に力を入れていきたい」と述べた。
(琉球新報 5/22 9:53)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23961-storytopic-3.html

沖縄タイムス・琉球新報 関連記事(5月21日)

沖縄タイムス 2007年5月21日(月) 朝刊 21面
サンゴ着床具 設置終了/辺野古調査
 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う周辺海域の現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局は二十日も調査機器の設置作業を実施し、サンゴの産卵状況を調べる着床具の設置を終えた。また、海象調査機器の大半の設置を完了、海生生物調査機器のパッシブソナー(音波探知機)や水中ビデオカメラの一部も設置した。
 十九日に着床具の設置がほぼ終了したことから、海上自衛隊潜水要員は同日までに撤収したとみられる。
 産卵期を前に着床具などの設置を終えたことから、今後の作業は状況を見ながら進められる。
     ◇     ◇     ◇     
「金城さん後は任せて」基地反対派 最後の別れ
 【名護】米軍普天間飛行場の移設に反対する市民グループは二十日、十九日に死去した市民団体「命を守る会」代表の金城祐治さんを悼み、海上での阻止行動を自粛した。
 辺野古平和之塔前広場で営まれた告別式には多くの区民や反対運動の関係者らが参列。金城さんの遺影の背景には青い海が広がっていた。
 告別式を前に、金城さんの遺体を乗せた霊きゅう車が「守る会」の事務所前に立ち寄った。約百人の仲間が涙声で「ありがとう」。カヌーで海上阻止行動を続ける若者も喪服姿でオールを持ち、故人の冥福を祈り、運動の継続を誓った。
 座り込みに参加している辺野古区の宮城清子さん(81)は「相当思い残したことがあったと思う。基地で苦労して早く逝ってしまったんじゃないか…。後のことは任せて、安らかに眠ってほしい」と沈痛な表情で話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705211300_04.html

反対派、海上抗議せず 金城さんの喪に服す
 【名護】米軍普天間飛行場移設先となる名護市キャンプ・シュワブ沿岸部の環境現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局は調査3日目となる20日、引き続き機器設置作業を実施した。同日午前7時ごろから海上保安庁の巡視船が沖に停泊し、巡視船や警戒船が警戒する中、作業船やゴムボートから潜水士が海中に飛び込み、設置作業を行った。午後3時までに終了した。
 基地建設に反対する市民団体のメンバーらは、「命を守る会」代表で19日に亡くなった金城祐治さんの喪に服して海上の抗議行動を行わず、漁港内に設置されたテントで作業を監視した。
 辺野古漁港近くのテント小屋では、市民団体メンバーなど約70人が、海上抗議行動でカヌーを漕(こ)ぐパドルや「戦やならん」と書かれた横幕を持ち、基地建設反対運動の先頭に立った金城さんの冥福を祈った。辺野古平和之塔前で行われた金城さんの告別式には、大勢の関係者が参列した。
(琉球新報 5/21 9:38)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23924-storytopic-1.html

沖縄タイムス 2007年5月21日(月) 夕刊 1面
海自投入 県に打診なし 辺野古調査
衆院沖特に知事が説明 国会で追及
 仲井真弘多知事は二十一日午前、県庁で衆院沖縄・北方特別委員会(安住淳委員長)のメンバーと意見交換し、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)で海上自衛隊の掃海母艦や潜水要員が投入されたことについて、県への事前連絡がなかったことを明らかにした。安住委員長(民主)は「政府の配慮不足」との認識を示し、国会で問題点を追及する意向を表明した。
 海自投入について安住委員長は、面談後の会見で「極めて遺憾。(地元への)十分な配慮がなければ地元の協力は根底から崩れる。事前に県の了解を得るべきだった」と指摘した。
 仲井真知事は「自衛隊が復帰後の三十五年間、急患搬送や不発弾処理などの役目を果たしていることを評価しているが、(今回の投入で県民の)反自衛隊感情を刺激しないか」との懸念を表明。
 また、普天間飛行場の移設問題については「幸い名護市が条件付きだが受け入れてもいいということなので、なるべく早く移設を完了したい。ベストは県外だが、現実問題として受け入れ先がある間に早めに移設を完了し、むしろ後に続く返還基地の跡利用をしっかりやってもらいたい」と強調。早期移設の要件として、普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態や代替施設の沖合移動を挙げた。
 県はほかに、「アジア・ゲートウェイ構想」で沖縄が主要拠点としての役割を担いたい、と主張。
 沖縄科学技術大学院大学の設置促進や那覇空港の拡張整備、那覇港の整備促進などを要請した。
 同メンバーは知事らとの面談後、佐藤勉那覇防衛施設局長や外務省の重家俊範沖縄担当大使らから現状を聴取した。
 安住委員長によると、今回施設局が予定していた調査機器(サンゴの着床具)の設置は二十日に完了し、海自の支援も同日までに終了した、との説明を受けたという。
 同委員会は十九日に県内入りし、南大東島の実情調査などを行った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705211700_01.html

沖縄タイムス 2007年5月21日(月) 夕刊 5面
南風原議会も意見書/教科書検定
 【南風原】二〇〇八年度から使用される高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決」に関する日本軍の関与が削除された文部科学省の教科書検定について、南風原町議会(金城成長議長)は二十一日午前、臨時会を開き、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。あて先は首相、文科相、衆参両院議長、県知事。
 意見書では「沖縄戦における『集団自決』は日本軍の命令、強制、誘導なしに起こりえなかったことは紛れもない事実」とし、「この事実がゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し、犠牲を強いられてきた県民にとって到底容認できない」と批判している。
 その上で「沖縄戦の歴史を正しく伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないよう、検定意見を速やかに撤回されるよう強く要請する」と検定意見の撤回を求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705211700_03.html

仲井真知事、自衛隊投入を批判 沖特委「配慮足りない」

仲井真弘多知事から沖縄振興について要望を受ける衆院沖特委のメンバー=21日午前9時すぎ、県庁
 県内視察のため来県している衆院沖縄・北方問題特別委員会の安住淳委員長らが21日午前、県庁を訪れ仲井真弘多知事らと面談した。仲井真知事は「アジア・ゲートウェイにふさわしい方向に県内の発展が始まっている。基地の跡利用を含めてもう一押しの支援をお願いする」と述べ、那覇空港の拡張整備や米軍再編に伴う負担軽減の着実な実施などを要望した。
 普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)で防衛省が自衛隊を作業に投入したことについて、仲井真知事は「自衛隊が出てくる状況にあるとは考えていない。いかがなものかと思う」と述べ、安住委員長は「配慮が足りない感がある。必要があれば政府のやり方について党派を超えて国会の中で取り上げたい」と指摘した。
 安住委員長はこの後面談した佐藤勉那覇防衛施設局長との意見交換でも、地元への配慮を申し入れた。
 県は沖縄科学技術大学院大学の設置促進や外国人観光客の誘致促進といったアジア・ゲートウェイ機能の強化をはじめ、北部振興事業の継続実施、雇用対策の推進、医師の確保対策、日豪経済連携協定(EPA)交渉の慎重な対応などを要望した。
 政府との交渉が停滞している普天間飛行場の移設問題について仲井真知事は「3年をめどとした閉鎖状態、移設先の名護市が要求している沖合に寄せることについて正式な答えをもらっていない。沖特委の力で早めに決めてもらえば、返還事務が前に進む」と協力を求めた。
(琉球新報 5/21 16:07)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23949-storytopic-3.html