月別アーカイブ: 2007年4月

沖縄タイムス 関連記事(4月13日?14日)

2007年4月13日(金) 朝刊 1面
全オスプレイ飛行中止/2月に米海兵隊
 【東京】米海兵隊が次期主力機に位置付ける垂直離着陸機MV22オスプレイに今年二月、飛行中に操縦が不能になる恐れのある不具合が見つかり、すべてのV22型機の飛行を中止していたことが十二日、分かった。同日の衆院安全保障委員会で保坂展人氏(社民)が、米議会調査局(CRS)の報告書を基に明らかにした。二〇〇五年からの二年間でエンジンに関するトラブルが少なくとも四件起こり、百万ドル(約一億二千万円)以上の損害が相次いだことも明記している。
 外務省の岩屋毅副大臣は報告書について「把握していない」と述べるにとどめた。
 CRS報告書は〇七年三月十三日付。オスプレイについて「二月に飛行中に操縦不能を引き起こす可能性があるコンピューターチップの欠陥が見つかり、海兵隊はすべてのオスプレイの飛行を中止した」としている。
 オスプレイは国防総省の国防調達委員会が〇五年九月に大量生産の許可を出した後もテスト飛行を続けているが、報告書は「技術、作戦上の困難と災難に見舞われ続けている」とトラブルの頻発を指摘。
 (1)飛行中の氷結でエンジンに損傷を受けた(〇五年十月)(2)離陸の際の(乗員の)不注意で翼とエンジンに百万ドル以上に相当する損傷を負った(〇六年三月)(3)初の海外への飛行で、エンジンの空気圧縮装置の不具合による予防着陸を強いられ、目的地に到着できなかった(〇六年七月)(4)エンジン火災で修理に百万ドル以上を要する損傷を負った(〇六年十二月)―などを列挙した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_03.html

2007年4月13日(金) 朝刊 31面
「戦争よみがえり苦痛」/普天間爆音
 【沖縄】米軍普天間飛行場周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟の第十八回口頭弁論は十二日午後も那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で続行。原告住民に対する初の本人尋問で午前の二人に続き、午後は別の二人が証言した。
 知念忠二さん(72)=宜野湾市野嵩=は県の実施した騒音調査について、「自宅では早朝からエンジン調整音が聞こえ、重たく不気味な音で眠れない。早朝の調整音は県の測定に入っていないと聞いた」と指摘。
 沖縄戦で空襲されたことや親族を亡くした経験を涙ながらに語り、「頭の上を飛行機やヘリコプターが飛ぶと、トラウマがよみがえる。毎日苦しい思いをしている」と訴えた。
 夫と佐喜眞美術館を経営する佐喜眞加代子さん(58)=同市新城=は「住宅地の上空で戦闘訓練が行われているのはとても不安で、不快。騒音だけでなく、飛行場そのものの閉鎖と返還を早くしてほしい」と強い口調で話した。
 閉廷後に原告と国、裁判所による進行協議が行われ、五月十七日に現場検証を行い、今年中に結審。二〇〇八年三月までに判決が言い渡される見通しとなった。
 二十六日の第十九回口頭弁論では別の住民五人が証言する。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_05.html

2007年4月13日(金) 夕刊 1面
知事「軍命」削除に疑義/教科書検定
 仲井真弘多知事は十三日午前の定例記者会見で、沖縄戦の「集団自決」に関し、日本軍関与の記述を削除・修正した高校歴史教科書の検定について、「何かの軍命があったか、なかったかという議論というのは、そういうものよりも全体の状況の中で判断すべきだと思う。(軍命の文言を)削除するとか、変えるという点については疑義というか、いかがなものかと思う」との認識を示した。
 一方、「(当時)手りゅう弾が配られたというのはいろんな人の話を聞いて、事実であったと認識しているが、その時に軍命があったかどうかについては、いろんな見方、感想がある」との見方も示した。
 衆院特別委で十二日に憲法改正手続きを定める国民投票法案が可決されたことについて、「可能な限り、県民はむろん、国民全体に分かりやすく説明していただく必要があると思う。審議が足りないという意見もあり、国会の中で十分な審議を尽くしてほしい」と慎重審議を求めた。
 また、米軍再編推進法案が衆院安全保障委員会で可決されたことについて、在沖海兵隊のグアム移転に関する融資措置や関連自治体への交付金支給などが盛り込まれていることに触れ、「再編という大きな整理整頓の中で、基地を受け入れ、負担が増大する地域に財政的措置を含め手当てするのは必要なことと認識している」と評価する考えを示した。
 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域での現況調査(事前調査)のため、那覇防衛施設局から同意申請されている公共用財産使用協議書への対応については、受理から一カ月後の四月下旬をめどに回答する方針を示した。
 また、事前調査の位置付けに関し、仲井真知事は「正式なアセスに基づく調査に入り、それ(事前調査の結果)がデータとして使えるものがかなり多いとは思う」との認識を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131700_01.html

2007年4月13日(金) 夕刊 7面
市民団体「とんでもなく危険」/投票法案可決
 憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案が十三日午後、衆院本会議で採決され、自民、公明両党などの賛成多数で可決、衆院を通過した。
 憲法改正手続きを定める国民投票法案が衆院憲法調査特別委員会で可決されたことを受け、市民団体「あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク」の宮城清子代表(81)らは十三日午前、県庁記者クラブで会見し、「この国は大きく右傾化した」と危機感を訴えた。
 声明は「この法案は、何が何でも憲法を改悪するための、とんでもなく危険なもの。暴挙を断じて許せない」と批判。特に(1)最低投票数の規定もなく極めて少数の賛成でも改憲が可能になる(2)公務員や教育者の反対運動は一切禁止されている―ことに強く反発した。
 元教員の當山全治さんは「六十年前のものがまた来たかと怒りを持っている」と批判。元ひめゆり学徒隊の宮城代表も再び戦争への道をたどることを危惧し、「沖縄は六十年余たっても連日米軍の演習で戦争さながら。戦争への基地造りを許すわけにはいかない」と怒りをあらわにした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131700_03.html

2007年4月13日(金) 夕刊 1面

再編法案 午後通過
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法案」は十三日午後の衆院本会議で、自民、公明の与党などの賛成多数で可決される見通し。
 参院に送付され、今国会での成立は確実な情勢だ。
 久間章生防衛相は法案成立の見通しを受け、同日午前の閣議後会見で「大変ありがたい。(成立後は)具体的な調査やスキームを米側と協議することになっていく。経費などについてもこれから精査していく」と意義を強調した。
 法案成立の時期については、七月で期限切れとなるイラク復興支援特別措置法を二年延長する改正案などを挙げ、「うち(防衛省)はまだ法律がたくさんある。そういう点では一日も早いほうがいい」と述べた。
 政府は四月下旬の日米首脳会談や日米安全保障協議委員会(2プラス2)などで再編問題の進展の一つとしてアピールしたい考えだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131700_04.html

2007年4月14日(土) 朝刊 31面
国民投票法案 衆院通過/浅い議論 深い憂慮
 衆院本会議は十三日午後、憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案を自民、公明両党などの賛成多数で可決、参院に送付した。
 「憲法を変えたら、この国はどうなるのか」。国民投票法案が衆院を通過した十三日、県内の識者や戦争体験者らからは、改憲への一歩を踏み出すものと不安や懸念の声が相次いだ。一方、「議論に先立つ法整備は必要だ」との声も。護憲団体や平和団体は相次ぎ、抗議声明を発表した。憲法施行六十年。国民の議論が深まらないまま加速する改憲の流れ。最低投票率の規定がないなど多くの問題を抱え、審議は参院に移る。
 元ひめゆり学徒、宮良ルリさん(80)は「国民投票法案は改憲への第一歩であり、非常に悔しい。憲法を変えたら、どういう国になっていくのか国民は分かっているのか」と憤る。
 沖縄戦で多くの仲間を失った。「今の憲法ができた時、戦争体験者たちは、これでもう戦争はなくなると喜んだ。六十年ほどで改憲してしまうのは、のど元過ぎれば熱さを忘れるのか」といら立ちを隠さない。深まらない議論に「国民の多くが忙しさにかまけて憲法に関心が薄いように見える」。
 県憲法普及協議会の加藤裕事務局長(42)は「最低投票率や日数もじっくり議論しておらず、公務員や教員の運動制限も問題。国民全員が自由に平等に議論して意見を反映できる仕組みになっていない」と批判した。
 一方、那覇青年会議所の添石幸伸理事長(37)は「国民投票法自体は必要なこと。感情やイデオロギーを超え、憲法をより良いものにしていく議論は大事で、先立つ法的整備は必要だ」と話す。「ただ今回どれだけその中身が周知され、議論が熟成されたか。国民が問題意識をもって理解しているかを考えると怖い部分もある」との考えを示した。
狩俣さん9条改正反対 島尻さん戦争直結せず
参院補選 候補者賛否
 衆院を通過した国民投票法案について、参院沖縄選挙区補欠選挙に立候補している狩俣吉正さん(57)は反対、島尻安伊子さん(42)は賛成と、賛否が分かれた。
 補選の当選者は同法案の審議に加わることになる。
 狩俣さんは「改憲イコール前文と九条の改正。これに賛成できない。当選したら、明確に反対していく」と主張。最低投票率に関する規定がないことなどを疑問視した上で、「手続法の中身に問題が多すぎる。最高法規である憲法を改正する手続法としてはお粗末だ」と述べた。
 島尻さんは「国民投票法案も、憲法改正にしても、戦争ができるようになる法整備ではないと信じている」と強調。「憲法はさまざまな解釈がなされており、整備は必要。ただ、これまでのプロセスで民主党の政争の具にされ、結果的に強行採決になったのは残念だ」と語った。
県内各団体から抗議声明相次ぐ
 憲法改正手続きを定める国民投票法案の衆院通過を受け、県内の護憲団体や平和団体は十三日、相次いで抗議声明を出した。県憲法普及協議会(高良鉄美会長)と沖縄人権協会(福地曠昭理事長)は、連名による声明で、「そもそも憲法は、国民が自らの人権を守るために、国に対してそのあり方を命じる最高法規なのだから、その時々の一時的な世論によって左右されるべきものではない」と指摘。同法案を「与党が改憲しやすいように、形式的にだけ手続きを整備しようとしたものにほかならない」と断じた。
 第9条の会・沖縄うまんちゅの会(安里武泰ほか共同世話人)は「国民投票法が制定されると、与党の計画通りに憲法改悪が強行され、日本はかつてのような戦争の暗黒に引きずり込まれてしまう」と厳しく批判。「基地の島沖縄が侵略戦争の出撃基地として、ますます強化されていく」と危機感を示した。
 県労連や自由法曹団など十七団体でつくる県憲法改悪反対共同センターは「県民は六十二年前の戦争で多大な犠牲を受け、戦後も引き続き広大な米軍基地が居座り続け苦しめられている。こうした危険な動きにもっと敏感に声を上げなければならない」と訴えた。
 沖縄平和運

沖縄タイムス 関連記事(4月12日?13日)

2007年4月12日(木) 朝刊 2面
騒音・事故の危険性大/金武ヘリパッド移設
説明会で並里区民反発
 【金武】那覇防衛施設局と金武町は十一日、日米特別行動委員会(SACO)で返還合意された同町ギンバル訓練場について、返還条件となっているヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設先とされるブルービーチ訓練場に隣接する並里区住民らに対する説明会を開いた。同ビーチに近い四区の住民からは、訓練が集約されることで騒音や事故の危険性が増大することへの不安など、反発の声が相次いだ。
 施設局はブルービーチへの移設計画の概要、町はギンバル訓練場の跡地利用計画を説明した。
 住民からは「ブルービーチの返還を求めるべきだ」「飛行ルートについて文書を交わしても、守られる保証がない」「数年後にオスプレイが配備される懸念がある」などの声が上がった。同区の区議会は、一九九六年と二〇〇六年に移設反対を決議しており、与那城直也区長は「区の意思は変わらない。町から意見を求められれば、あらためて区議会を開き対応を協議したい」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_04.html

2007年4月12日(木) 朝刊 26面
「議論足りない」6割/国民投票法案
県労連など街頭で調査 承認規定認知1割
 憲法改定手続きを定める国民投票法案が衆院特別委員会で採決されるのを前に、県労連などでつくる県憲法改悪反対共同センターは十一日、県庁前で緊急街頭アンケートを実施した。回答した百四人のうち六十三人(61%)が国会や国民の議論は「尽くされていない」と答えた。「尽くされた」は四人(4%)にとどまった。
 アンケートは夕方の一時間に実施。同法案が審議されていることは「知っている」が七十二人(69%)、「知らない」が三十二人(31%)で、一定の関心が示された。
 国民の承認を、有権者数ではなく有効投票数の過半数で得る規定について正確に知っていた人は十四人(13%)。三十三人(32%)が有権者数の過半数だと考えていた。
 自由法曹団沖縄支部の仲山忠克事務局長は「与党は国民に重大な問題を含む法案の内容を知らせないまま、強行採決しようとしている。過半数の規定などは国民の意思に反する」と批判した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_05.html

2007年4月12日(木) 夕刊 5面
「子が難聴」「会話壊す」/原告、被害訴え
普天間爆音訴訟
【沖縄】米軍普天間飛行場周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟の第十八回口頭弁論が十二日、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)であり、原告住民四人への初の本人尋問が行われた。
 一九九四年から宜野湾市佐真下で暮らしているという主婦の久場たつのさん(46)は、「ヘリが家の近くを旋回する時は家の物が揺れたり、身体全体に音が響く。押しつぶされそうな感じがする。エンジン調整の音も早朝六時ごろから夜中まで聞こえ、長い時には四時間続く」と陳述した。
 国側は「二〇〇〇年から現在まで肩こりや耳鳴り、頭痛の被害を訴えているが、出産によるものではないか」と質問。久場さんは「原因は出産かもしれないが、騒音がなければ七年も続かないと思う」と反論した。また、心療内科でパニック障害と診断されたことや、六歳になる子どもが難聴になったことも付け加えた。
 市嘉数の知花真正さん(68)は「航空機が家の上空を飛ぶ時にはパイロットの顔が見えるくらい近い。重苦しい音で、会話など家族のだんらんが壊されている」と被害の実態を説明。「飛行場からの騒音は幼少時のサイパンでの戦争体験を思い出し不安になる」と訴えた。
 二十六日の次回口頭弁論では別の五人が証言する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121700_01.html

2007年4月13日(金) 朝刊 1・31面
改憲へ流れ加速/国民投票法案可決
 衆院憲法調査特別委員会は十二日夕、憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。
 「改憲への第一歩だ」「九条を守って」。国民投票法案が衆院憲法調査特別委員会で可決された十二日、県内で不安の声が広がった。一方で、改憲に賛意を示す県民も。護憲団体は「このまま、政府主導でなし崩しに改憲へと進められていくのか」と懸念を示した。
 法案が可決された同日夕、那覇市寄宮の与儀公園で「九条の碑」の前を歩いていた同市の無職男性(84)は「沖縄戦では私を除く一家六人全員を失った。戦争は人殺し。九条を守って」と訴えた。
 買い物客でにぎわう、同市おもろまちのサンエー那覇メインプレイス。うるま市の無職、照屋寛徳さん(58)は「自分には憲法問題はなじみがない。憲法が変わっても、どう生活が変わるのかイメージできない」と関心が高まらない様子。
 読谷村役場玄関前に立つ「九条の碑」の前には、今月六日に広島県府中市から来県し、ネズミ男をイメージした姿で行脚する福崎裕夫さん(51)の姿が。「国民投票法案が可決されれば、国民一人一人の意思表示が大切になる。九条の持つ意味を真剣に考えて」と訴えた。
 石垣市浜崎町の新栄公園の「九条の碑」前を散歩していた同市新川の主婦(50)は「時代に合わない部分は変えたほうがよい」と改憲に理解を示しながらも、「投票率が低ければ賛成が少数でも改正される。それは危険。もっと一般市民が興味を持つように説明を」と注文をつけた。
 「沖縄・女性九条の会」の共同代表を務める真境名光弁護士は「国会は改憲へつながるはしごを登り始めた」と危機感を抱く。「政府は『憲法改正は良いこと』という雰囲気をつくり出し、なし崩しに改憲を進め、国民もそれに乗せられている」と話し、「九条が変えられ、命の危険にさらされるのは自分や家族だということを一人でも多くに知らせるしかない」と決意を新たにしていた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_01.html

2007年4月13日(金) 朝刊 1・31面
再編法案を可決/衆院安保委
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じた地方自治体への交付金支給を柱とした「米軍再編推進法案」が十二日夜の衆院安全保障委員会(木村太郎委員長)で、自民、公明などの賛成多数で可決された。与党側は同法案を十三日の衆院本会議で可決、参院に送付する方針で、今国会での成立が確実な情勢となった。法案に反対する野党各党は今回の採決に「審議不十分」と反発を強めている。
 政府は、同法案の成立の見通しが立ったことを受け、四月下旬の日米首脳会談や五月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)などで再編問題の進展の一つとしてアピールしたい考えだ。
 民主党は十二日の委員会で質疑に応じなかったが採決には出席、反対した。共産、社民両党は質疑した上で反対した。
 同法案には防衛相が関係自治体を「再編関連特定市町村」に指定し、(1)再編(政府案)の受け入れ(2)アセス着手(3)施設着工(4)再編実施―の順の四段階で交付金を上積みすることが明記された。
 特に負担の大きな市町村を指定して公共工事の補助率に特例を設ける。沖縄の場合、国の負担割合を最大で95%とする沖縄振興特別措置法を適用。防衛省は「特に負担の大きな市町村」について「普天間飛行場が移設するキャンプ・シュワブと岩国基地周辺の市町村が該当する」(幹部)としている。
 そのほか、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を設定する。
     ◇     ◇     ◇     
アメとムチ 地元二分
 【北部】協力の度合いに応じて自治体へ交付金を支給するというアメとムチを鮮明にした米軍再編推進法案が十二日、衆院安全保障委員会で可決された。普天間飛行場代替施設建設予定地の地元名護市や宜野座村は「交付金支給は負担側には当然」と歓迎。地元の要望を主張しながらも国側に協力することで交付金確保を確実にしたい姿勢を見せた。一方、代替施設建設に反対する市民団体からは「県民を愚弄している」「アメに惑わされるな」と怒りの声が噴出した。
 従来の日米特別行動委員会(SACO)関連交付金が同案の「再編交付金」に取って代わるとの説明を防衛省側から受けた名護市。二〇〇七年度もSACO交付金六億三千万円を見込んで公民館建設や道路、学校整備を計画している。同市幹部は「法整備が早く進むに越したことはない。計画事業が滞ってしまっては困る」と期待した。
 日米合意案の修正を求める名護市に対して、防衛省首脳が「交付金ゼロ」を明言したことについては、「政府と市で合意をしている。交付金ゼロは理解しかねる」とした。
 宜野座村の東肇村長は「地域に負担を強いるのであれば、国が何らかの補償をするのは当然だ」と指摘。その上で「地域住民の理解を得ることが大事で、アメとムチというやり方はあまり好ましくはないが、国が決めることで致し方ない」と話した。
 一方、二見以北十区の会の渡具知智佳子共同代表は「出来高払いで推進派を脅して、移設作業が進まなければ反対派に怒りの矛先が向いてくる。県民を二分し、沖縄をばかにする法案だ。市長や知事は、もっと強く反対すべきだ」と批判。
 ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「何でもお金で解決しようとして脅すやり方は民主主義に反する」と憤った。
 名護市とともに交付金を支給しないと名指しされた山口県岩国市。「住民投票の成果を活かす岩国市民の会」の大川清代表は「沖縄も岩国も基地で栄えてはいない。各地が分断され、身の安全と引き換えに目の前のアメを選択してしまわないよう、連携を深めたい」と決意を込めた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_02.html
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沖縄タイムス 関連記事(4月11日?12日)

2007年4月11日(水) 朝刊 22面
沖縄基地の危険性 学会で発表へ/英国立日本研のフック氏
 沖縄と国際安全保障の関係を研究している英国立日本研究所所長でシェフィールド大学のグレン・フック教授(57)が十日、那覇市の県庁で、県内の米軍基地調査の結果を報告した。「沖縄には国家が背負う安全保障上のリスクと、それに関連して個人が遭遇するリスクが偏在している」と指摘した。
 同教授は英国学術協会の研究費を得て「東アジアのリスク研究プロジェクト」に参加。担当する国際安全保障分野で「国家と個人が請け負うリスクがぶつかり合う現場」として、沖縄を研究対象に選んだ。先月末から十日ほどかけて米軍基地が所在する自治体などを訪ね、住民や首長らから聞き取り調査した。
 県民が政治的立場を問わず、「現在の危険にもつながる要因」と連想していることが印象に残ったという。「成熟した主権国家ではリスクは民主的に分配されるが、日本では沖縄に集中。原因を分析したい」という。
 来年中に論文をまとめ、英米の学会で発表する。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704111300_09.html

2007年4月11日(水) 夕刊 1面
オスプレイ「県内配備可能性ある」/麻生外相
 【東京】麻生太郎外相は、十一日の衆院外務委員会で米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの県内配備について、「(オスプレイが)完成品になった段階で、(現行ヘリと)置き換える可能性は十分に考えておく必要がある」と述べ、県内配備の可能性を事実上認めた。防衛省の大古和雄防衛政策局長は、米軍普天間飛行場に配備されているCH46、CH53ヘリの後継機種に関し「(米軍が)オスプレイ以外のものを開発しているとは承知していない」と指摘、後継機はオスプレイ以外にないとの認識を示した。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
 麻生外相は、オスプレイが過去に墜落事故を起こした経緯を挙げ「軍事技術の進歩に伴い、いい完成品が出来上がれば、米側が置き換えていこうとする努力をするのは当然だ」と述べた。
 日米両政府がSACO(日米特別行動委員会)最終報告の草案に、米軍普天間飛行場代替施設へのオスプレイ配備を明記していたことについて、外務省の西宮伸一北米局長は「承知していない」と強調。その上で「(米側から)『現時点で具体的に決まっていない』との説明を受けている。SACO最終報告はオスプレイ配備を前提にしたものではない」と述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704111700_01.html

2007年4月12日(木) 朝刊 1面
オスプレイ県内配備 外相、可能性認める
 【東京】麻生太郎外相は十一日の衆院外務委員会で米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイについて、「(実戦配備可能な)完成品になった段階で、(現行ヘリと)置き換える可能性はわれわれとしては十分に考えておく必要がある」と述べ、将来的に県内配備される可能性を事実上認めた。防衛省の大古和雄防衛政策局長は、米軍普天間飛行場に配備されているCH46、CH53ヘリの後継機種に関し、「オスプレイ以外のものを開発しているとは承知していない」と指摘、後継機はオスプレイ以外にないとの認識を示した。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
 麻生外相は、オスプレイが過去に墜落事故を起こした経緯に触れながら「軍事技術の進歩は当然だと思う。それに伴い、いい完成品が出来上がれば、米側が置き換えていこうとする努力をするのは当然だ」と述べた。
 オスプレイについては額賀福志郎防衛庁長官(当時)が昨年四月の同安全保障委員会で「将来、米海兵隊の輸送ヘリをオスプレイに代替していく予定であるとは聞いている」と述べているが、麻生外相の発言は県内配備を念頭に置いたもので、従来よりも踏み込んだものといえる。
 日米両政府が日米特別行動委員会(SACO)最終報告の草案に、普天間飛行場代替施設へのオスプレイの配備を明記していたことについて、外務省の西宮伸一北米局長は「承知していない」と述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_01.html

2007年4月12日(木) 朝刊 27面
教科書執筆者も怒り/修正検定で集会
 【東京】沖縄戦の「集団自決」について、日本軍の関与を指摘する記述を削除・修正した高校歴史教科書の検定を受けた「沖縄戦緊急学習会」(主催・出版労連教科書対策部)が十一日夜、都内で開かれた。教科書会社の執筆者は「現場との議論がないまま歴史が歪曲された」と危機感を強調し、修正撤回を求めた。沖縄から参加した平和ガイドは「死者への冒だ」と声を震わせた。大阪で続いている「集団自決」訴訟の説明もあり、参加した出版・教育関係者、平和団体など約百十人からは東京の支援組織の立ち上げなどが提起された。(吉田央)
 実教出版で日本史教科書を執筆する石山久男さんは「責任者が陰に隠れて出てこない。(教科書会社に)修正を通知する教科書調査官は(教科用図書検定調査)審議会の意向を伝えるだけで、議論がまったくできない」と悔しさをにじませた。
 「文部科学省はある時は通説を書けと言い、ある時は異なる学説の併記を求める。今回は(軍命はなかったという)元日本兵一人の証言に合わせろと言っている」と話し、教科書検定が一貫性を欠いていると批判した。
 出版労連教科書対策部の吉田典裕事務局長は「戦争ができる国造りのため、政府の思い通りの考え方を子どもたちに押し付け、戦争への抵抗感を薄くしたい安倍政権の狙いが容易に読み取れる」と批判。
 「軍の関与を否定していない学説も引用して正反対の結論を導いた。とんでもない検定だ」と怒りをあらわにした。
 三年前に沖縄に移住して平和ガイドを努める大島和典さんは、大阪での「集団自決」訴訟を説明。「この裁判は沖縄だけの問題ではない。東京でも支援組織を立ち上げ、沖縄での出張法廷や裁判官の現地調査を求めよう」と呼び掛けた。
 渡嘉敷島「集団自決」の生き残りの金城重明さんによる証言ビデオの上映もあり、金城さんは「日本軍が住民に手りゅう弾を配った時点で自決命令が出ていた。住民は軍官民共生共死の方針により、生きる恐怖から死を選んだ」と明確な軍命があったことを訴えた。
     ◇     ◇     ◇     
文科省「冤罪訴訟」公表資料で使用/「不適切」大臣が陳謝
 【東京】高校教科書検定で文部科学省が報道機関に公表した沖縄戦関連の「著作物等一覧」で、大阪で係争中の訴訟について原告側が使用する「沖縄集団自決冤罪訴訟」との呼称を使用していた問題で、伊吹文明文科相は十一日の衆院文部科学委員会で「極めて不適切だった」と陳謝した。一方、沖縄戦「集団自決」で日本軍の関与を削除した検定結果には「日本軍の強制がなかったとは言っていない」と主張し、問題視しない考えを強調した。赤嶺政賢(共産)、日森文尋(社民)の両氏への答弁。
 赤嶺氏は同省が今回の検定意見の理由の一つに同訴訟を挙げていることを念頭に「事実認定も証人尋問もこれから。どちらが正しいか決まっていないのに原告側の意見が影響したことになる。バランスの観点から重大な問題だ」と批判、文科相に説明を求めた。
 伊吹文科相は「法律上の検定権者は文部科学大臣だが、議院内閣制の日本で検定権者に教科書の内容が左右されることはあってはならない」と指摘。
 その上で「だから私は公正に一言の言葉も挟んでいない。役人も私も安倍晋三首相も一言の了解もできない仕組みで検定が行われている」と述べ、検定意見の妥当性への言及を避けた。
 日森氏は「検定意見は裁判の結果が出てからでも遅くない」と拙速な判断を問題視した。
 これに対し伊吹文科相は「最高裁の判決も裁判官の主観で変わる。判決が出ればそれが正しいから史実を書き直せというのも乱暴だ」と反論し、裁判結果と検定判断は連動しないとの考えを強調した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_02.html

沖縄タイムス 関連記事(4月8日?11日)

2007年4月8日(日) 朝刊 25面
民芸、都内で「沖縄」上演/戦後「責任」問い掛け
 【東京で真栄里泰球】劇団民芸の木下順二追悼公演「沖縄」(木下作)が七日、東京都渋谷区の紀伊国屋サザンシアターで初日を迎えた。演出は児玉庸策さん。祭りの夜の幻想的な雰囲気を織り込みながら、沖縄に対する日本人の「責任」を問い掛ける舞台を、詰め掛けた観客は見入っていた。
 「沖縄」は一九六三年にぶどうの会によって初演され、民芸による上演は初めて。出演は日色ともゑさん、境賢一さん、杉本孝次さんら。
 敗戦から十五年目の沖縄の離島に持ち上がった米軍の土地接収話への人々の思惑や戦争の記憶などを描いた。心に傷を持つ女性や島出身の学生、元日本兵、島の人々のかかわりの中で、現在にも通じる本土と沖縄の関係性が浮かび上がっていく。演出の児玉さんは「(日本が)起こしたことを正確に認識することが責任を取ることにつながる。木下先生の残したことを大切にしていきたい」と話した。公演は十八日まで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_05.html

2007年4月8日(日) 朝刊 24面
「慰安婦」の存在証言/宮古島市
 【宮古島】従軍慰安婦に関する宮古島市長や市議の答弁を削除した市議会の問題を受け、宮古での従軍慰安婦問題について多くの人に知ってもらおうと、市内に住む女性の有志(川浦弥生世話人)らは七日、同市中央公民館で「宮古島の日本軍『慰安婦』についての証言を聞く会」を開いた。研究者が慰安所調査を報告し、また住民二人が沖縄戦中に自宅近くで慰安所の様子を目撃したことなどを証言した。
 沖縄各地での慰安所、慰安婦調査を続ける早稲田大学大学院生の洪△伸(ホン・ユンシン)さんは「沖縄から『人道に対する罪』を問うということ」をテーマに報告。宮古には戦時中に少なくとも十一カ所の慰安所があったとした上で、二〇〇六年に二回、聞き取り調査したことなどを語った。
 洪さんは、日本軍の組織的な関与があったこと、宮古では他の地域とは異なって民家と隣接した地域に慰安所があったことを指摘。「慰安所を手掛かりに、それを見た一人一人が証言者となり、守るべき人権について考えたい」と述べ、五月に実施する第三次調査への協力を呼び掛けた。
 洪さんの調査に協力した同市上野の仲里キミさん(71)は、小学校低学年だった戦時中に自宅近くに慰安所があったことを報告。慰安婦が歌い、覚えていたアリランを口ずさみ「楽しそうに歌っていたが、子どものころは、つらい状況とは知らなかった」と語った。与那覇博敏さん(73)=同市平良=も同様な証言をした。
※(注=△はへんが「王」でつくりが「允」)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_06.html

2007年4月9日(月) 夕刊 1面
西山元記者が控訴/沖縄返還 密約訴訟
 沖縄返還の「密約」をめぐる取材を国家公務員法違反罪とされた元毎日新聞記者の西山太吉さん(75)が、国に密約を認めて謝罪するよう求めている沖縄返還密約訴訟で、西山さんは九日、密約の事実には触れずに請求を棄却した一審・東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。
 西山さん側は、返還交渉の中枢にいた吉野文六・元外務省高官の証言や米国の公開公文書で密約の証拠を積み重ねたが、一審・東京地裁は密約の事実には検討を加えず、損害賠償請求権は二十年で消滅するとした民法の除斥期間を適用して訴えを全面的に退けた。
 控訴に当たり西山さんは「政府は閣議で密約を否定する見解を決めており、仮に司法が密約を認定した場合は閣議決定を覆すことになる。一審が密約の事実から逃げたのは、内閣を崩壊させるような判決までは出せなかったということだ。行政を追認するこうした司法を突き破ることができるのは、世論の力しかない」と話した。
 一審・東京地裁が除斥期間を適用し、密約の主張について事実上の門前払いとしたことについては、「国が作った救済制度で国を救うこと自体がばかげている」と批判した。
 訴訟で西山さんは、国家公務員法違反罪に問われた刑事裁判について、密約を不問に付した一方的な訴追で精神的な苦痛を受け続けているとして、国に謝罪や慰謝料を求めた。米国の公開公文書で密約が裏付けられるたびに官房長官や外務大臣らが記者会見や国会答弁で密約を否定しており、西山さんはそのたびに名誉を傷つけられていると訴えている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704091700_01.html

2007年4月10日(火) 夕刊 5面
ヘリ帰還 入学式に騒音 普天間飛行場
「台無しだ」父母憤り
 【宜野湾】十日午前七時半ごろ、韓国など海外演習に参加していた第三一海兵遠征部隊(31MEU)のヘリ部隊約二十機が米軍普天間飛行場に帰還した。同飛行場では二月から「主力ヘリ」が不在となっており、約二カ月ぶりに部隊が戻った。
 この日は同市内八小学校で入学式があり、同飛行場に隣接する普天間第二小学校(出盛光朋校長)では、入学式のさなかに学校上空を飛び、騒音が響いた。目立った混乱はなかったが、保護者から不満の声が上がった。
 体育館で行われた入学式に出席した堀口智子さん(35)=同市普天間=は「ヘリの音であいさつが聞こえにくかった。せっかくの入学式が台無しだ」と憤った。
 宮城嗣吉さん(41)=同市喜友名=は「基地が身近にあることをあらためて感じた。子どもの安全も心配だ。米軍は配慮してほしい」と話した。
 帰還したヘリは普天間所属のCH46やCH53、UH1など。着陸後、物資を降ろす様子が確認された。「普天間」に常駐する固定翼機を含む五十数機のうち、約半数が戻った。
 米海軍機関紙によると、二月上旬、31MEUなど約四千人の兵士が沖縄近海で訓練。その後、三月二十五日から三十一日まで韓国で戦時増援演習「RSOI」に参加したとみられる。
 同飛行場では、一月にCH46中型輸送ヘリを含む第一海兵航空団第二六二海兵中ヘリ中隊がイラクへ出発。二月にKC130空中給油機など固定翼機を除くすべてのヘリが不在となっていた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704101700_03.html

2007年4月11日(水) 朝刊 2面
参考人質疑で賛否 米軍再編推進法案/衆院安保委
 【東京】日米が合意した米軍再編への協力度合いに応じ地方自治体に交付金を支給する「米軍再編推進法案」を審議中の衆院安全保障委員会は十日、参考人質疑を行った。参考人は米軍再編について反対、賛成それぞれの立場で見解を述べた。
 拓殖大学の川上高司教授(国際政治)は「米軍が抑止力を落とさずに少しでも出て行ってくれるなら、やるべきだ。たとえ訳の分からないものであっても、この機を逃さずにどんどんやるべきだ」と述べ、米軍再編を推進する法整備の必要性を強調した。
 軍事評論家の江畑謙介氏は米軍再編を一定評価する一方、「今までの経緯を見ると、日米間の合意を急ぐあまり、国民に十分な説明がなされてこなかった印象がある」と指摘。普天間飛行場代替施設のV字滑走路案に関連して「垂直離着陸機MV22オスプレイでも滑走距離はせいぜい数十メートルあればいい」と述べ、形状や規模など、政府の説明責任が不十分との認識を示した。
 沖縄大学の新崎盛暉名誉教授は法案に反対の立場から、再編交付金の在り方について「(自治体の対応は)国の言いなりになるか、値を釣り上げるためにごねるということしか残らなくなる。いずれにせよ自治体の自律性が大幅に損なわれる危険性をはらんでいる」と批判した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704111300_04.html

沖縄タイムス 関連記事(4月7日?8日)

2007年4月7日(土) 朝刊 2面
空幕長 F22共同訓練認める
 【東京】田母神俊雄・航空幕僚長は六日の定例会見で、米軍嘉手納基地に暫定配備されている最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターと航空自衛隊との共同訓練について「調整の最終段階。来週中には話がまとまり、訓練ができる方向にいくと思う。早めにやりたい」と述べ、近く沖縄周辺空域で実施することを公式に認めた。
 田母神空幕長は訓練について「当然、沖縄の部隊(南西航空混成団)は参加するだろう。そのほかの部隊も、F15も参加させたい。沖縄周辺の海域でやるように調整している」と説明。
 その上で「F22の性能がどの程度か確認することはもちろんだが、通常訓練と同様、わが方(空自)の戦術がこれ(F22)に対して使えるのかというようなことも分かると思う」とした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704071300_04.html

2007年4月7日(土) 夕刊 4面
「9条を守ろう」全国行脚で訴え/福崎さん那覇を出発
 「政府に訴えるより、歩きながら一人一人に憲法九条の大切さを伝えたい」。ネズミ男をイメージした格好で全国行脚する「WALK・9条の会」の福崎やすおさん(51)=広島県在住=が六日、「憲法第9条」と書かれた旗を持ちながら那覇市をスタート、「九条を守ろう」と訴えた。
 出発点に激戦地となった沖縄を選んだ。うそをつき、人を裏切り、金に目がくらむネズミ男のキャラクターが人間らしい姿と話し、「不完全な存在だからこそ、罪を犯さないために憲法九条は大切」と話す。
 全国行脚は、昨年十一月に広島県で行われた「9条ピースフェスタ」に参加し、決意した。広島県で町議員を十四年勤めた後、二年前に舌がんに。がん経験者の会で、同じ病気に苦しむ人の助けになれば、とカウンセリングを学んだ。
 議員時代は、自身の意見を訴えていたが、カウンセリングを通して「一方通行の言葉より対話の大切さを知った」という。
 二十六日ごろまで滞在予定で、「九条について多くの県民と話す機会を持ちたい」と語った。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704071700_04.html

2007年4月8日(日) 朝刊 25面
比移民の妻子生存か/44年戦死の平良泰山さん
NPO調査で判明/おいが訪問18日対面
 戦前のフィリピン移民で一九四四年に戦死した、多良間村出身の平良泰山さん=享年(26)=の妻子とみられる現地の人が比セブ島近くのオランゴ島にいることが七日までに分かった。おいの野原賢秀さん(51)=多良間村=が訪比し、十八日にアビリーナ・タイラさん(86)と息子のパトリシオさん(66)に対面する。戦後六十二年が過ぎて海外残留遺族が存在する可能性が出たことについて、野原さんは「まずは会ってみたい。雰囲気などから感じるものがあると思う」と話している。(吉田央、溝井洋輔)
 遺骨収集事業を手掛ける特定非営利活動法人(NPO法人)「空援隊」(杉若恵亮理事長)の倉田宇山理事の調査で判明した。
 倉田さんは遺骨収集の取材でオランゴ島を訪れた二〇〇五年九月、地元警察からの情報でアビリーナさんと面談。平良さんと両親の姓名、沖縄出身者であることなどを聞き取った。アビリーナさんは日本語が話せないが、数種類の日本の軍歌を口ずさんだという。
 〇六年八月、沖縄で平和の礎に平良さんの刻銘を見つけ、同年十二月に多良間島に野原さんらを訪ね、アビリーナさんの証言がほぼ正しいことを確認した。
 平良さんは一九一七年六月、多良間村塩川生まれ。倉田さんの調査によると、四〇年ごろ渡比し、その後に現地召集された。四四年に沖縄の家族に戦死公報が届いた。アビリーナさんらフィリピンの遺族は日本国籍を持たず、「恩給法」の適用も受けられなかったという。倉田さんは「野原さんとパトリシオさんのDNA鑑定などを通じ、就籍できるよう支援したい」と話している。
 現在、多良間村役場に勤務する野原さんは「フィリピンは遠くないし、親せきが増えればいい」と話している。
 平良さんの妹の野原ヨシさん(85)=同村=は「兄とは十五、十六歳の時から離れて暮らしていた。フィリピンに家族がいると聞いて良かったと思っている。子どもにも会ってみたい」と話した。
 総務省恩給企画課は「日本国籍の取得の問題のほか、(平良さんの)戸籍に(アビリーナさんとの)婚姻関係が記載されているかどうか、恩給法適用の時効が七年という問題もある」とし、恩給法の適用を困難視している。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_01.html

2007年4月8日(日) 朝刊 25面
集団的自衛権 首相容認方針/「次は憲法」警戒感
 安倍晋三首相が集団的自衛権行使を一部容認する方向で、憲法九条の解釈を見直す方針を固めたことについて、七日、県内からは反発の声が上がった。
 安倍首相の著書「美しい国」を読んだという沖縄・女性九条の会の上原智子事務局長は「意外ではなかったが、動きが速いと思った」と警戒感を示す。これまでのように法律レベルではなく、憲法レベルで容認することは「日本の進む方向を国内外にアピールすることになり、不安を感じる。会では今後も意見公告などを通して、多くの人に九条の大切さを知ってもらえるよう地道に活動していく」と話した。
 政治学者のダグラス・ラミスさんは「これは、アメリカの戦争に参加するという意味だろう。長いものには巻かれろ、という言葉があるが、本当に長いか確かめる必要がある。アメリカは第二次世界大戦以来大きい戦争に勝ったことがない」と指摘。「いわば集団的敗北権。どうして負ける勢力と一体になりたいのだろう」と疑問を示した。
 高良鉄美琉大教授は権力者の憲法擁護義務が憲法に定められていることを挙げ「安倍首相だけでなく今の閣僚には憲法を順守の意識がない」と、姿勢が憲法に反していると強調。「米国と一体となっていくことしか頭にないのではないか」と批判した。
 違憲共闘会議議長の有銘政夫さんは「九条の解釈を変えるための地ならしだ。現状に合わないからと、次は憲法を変えるだろう。国民世論で、絶対に許さない信念を持って反対を突き付けていかなければ。運動の責任が大きくなる」と訴えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_02.html

2007年4月8日(日) 朝刊 3面
米軍移転費 日本が負担/那覇空港返還
 一九七二年の沖縄返還で米軍が那覇空港から移転するための費用を、当時の山中貞則総理府総務長官が「日本政府に負担する準備がある」と米側に表明していたことが七日までに、米国の公開公文書で分かった。返還交渉の経緯に詳しい我部政明・琉球大教授によると、返還に伴う米軍基地移転費の補償を日本側が具体的に明言したことが確認されるのは初めて。移転費を補償する明確な根拠がない中、日本側が米軍基地移転に政治的な判断で個別に対処していた事実の一端が浮かび上がった。(粟国雄一郎)
 米軍移転費の負担については、六九年に非公開で行われた日米会談で、当時の福田赳夫蔵相が「施政権返還に伴う費用は日本側が負担する」と明言している。
 一方でその後、日本側が米軍の移転にどう対処してきたかは明らかになっていないという。
 山中氏の発言が記されていたのは、七一年六月三日付で米国務省から駐日米大使館に送られた秘密電信文。二日前の一日、ワシントンで山中氏とキッシンジャー米大統領補佐官が四十五分間にわたって会談した内容を伝えていた。
 それによると、山中氏はニクソン大統領に対する佐藤栄作首相のメッセージを伝え、沖縄返還について話し合う中で、日本政府が那覇空港の返還費用を負担する準備があることを表明した、とされる。
 八日後の六月九日、パリで行われた愛知揆一外相とロジャース国務長官との会談で、那覇空港の返還などを含めた施政権返還交渉が最終合意された。
 同十七日には沖縄返還協定が調印されたが、空港返還に伴う米軍の移転費を日本側が負担することは明らかにされなかった。
 我部教授によると、施政権返還と同時に那覇空港の明け渡しを求める日本側に対して、米側は基地移転費の補償を要求。返還前の米軍基地に対する移転費について、日本側は国内向けに説明する根拠を見いだせなかったとみられる。
 那覇空港にいた米軍のP3対潜哨戒機は嘉手納基地へ、家族住宅は牧港補給基地やキャンプ桑江などに移転した。我部教授は日本が当初合意した返還にかかる補償額に追加して支払った可能性が高いとみている。
[識者評論]
我部政明琉大教授
米は当然視 現在も続く
 日本政府が米軍の基地移転費を負担するという公式な発言はこれまでになく、山中貞則氏が明言している点で興味深い。山中氏は沖縄返還に熱心だったが、日米交渉にも関係していたということは知られていない。交渉の重要な当事者とまではいえなくても、極秘の財政問題を知った上で会談に臨んでいることがうかがえ、少なくともある程度の内容は知りうる立場だったのだろう。
 返還に伴うさまざまな費用について米側は、日本の要求に基づく返還であり、それに伴う費用を日本が負担するのは当然というスタンスだった。文面からは、山中氏が移転費の負担を明言しても、米側の反応が鈍かったことが読み取れる。
 当時の米側の最大の焦点は、日本から取り付けていた「基地移転およびその他の費用」の二億ドルを、基地の移転費のみではなく、継続的な維持・修繕費として確保することだった。
 日米地位協定は、駐留米軍の維持費は米側が負担するとしているが、日本は条文を緩やかに解釈することで最終的に米側の要求を受け入れた。この二億ドルの支払いは後の「思いやり予算」となり、米軍基地の維持費に対する日本の負担は増大していくことになる。(談)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_03.html