月別アーカイブ: 2007年6月

沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報社説(6月15日)

2007年6月15日(金) 朝刊 1面

 

文科省が削除要求 「集団自決」修正

 

軍関与の記述部分

 

 来年度から使用される高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関し日本軍の関与を示す記述が検定で削除された問題で、文部科学省が、出版社から申請された教科書を審査する「教科用図書検定調査審議会」に、「沖縄戦の実態について、誤解するおそれのある表現である」と、日本軍の関与を示す記述の削除を求めた意見を出していたことが分かった。この意見はそのまま審議会による検定意見となり、記述削除につながった。民主党の川内博史衆院議員(比例・九州ブロック)の調査で明らかになった。(吉田啓)

 

 教科書検定では、同省が委託した大学教授などの学識経験者らの委員で構成される審議会が同省の諮問を受け、出版社が申請した教科書見本の審査に当たる。また、同省職員の「教科書調査官」や、同省が指名した研究者や専門家ら匿名の「専門委員」も誤記や事実関係、記述の是非などを調べる。

 

 調査官は、自らと専門委員の指摘事項や意見をまとめた「調査意見書」を同審議会に提出する。審議会は、この調査意見書に基づいて、各委員が議論を重ねて答申をまとめ、これを受けて同省が教科書会社に修正を求める。調査意見書はその場で回収され、外部には公表されていなかった。

 

 川内議員が、同省に昨年度の審議会に提出された調査意見書の内容を示すよう国政調査権で求めたところ、同省が資料開示した。

 

 五社七冊の日本史の教科書に対する指摘事項で「日本軍に『集団自決』を強いられたり」などとの記述について「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」と、教科書会社に示された検定意見書とそっくりそのままの記述が見つかった。同省側から審議会に、沖縄戦の「集団自決」に対する日本軍関与の記述について問題にするよう発議していたことが明らかになった。

 

 同省はこれまで伊吹文明文科相が衆議院文部科学委員会で「文科省の役人も、私も、安倍総理もこのことについては一言も容喙(口出し)できない仕組みで教科書の検定は行われている」と答弁するなど、「審議会による調査審議の結果」と関与を否定してきた。

 

 教科書検定問題に詳しい琉球大の高嶋伸欣教授は、「検定審議会は調査意見書をほぼそのまま追認している実態が確認され、これで(「集団自決」への)日本軍関与否定の件で文科省の責任が明白になった」と指摘した。

 

 沖縄タイムス社は十四日、文科省教科書課に取材を申し込んだが、返答はなかった

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151300_01.html

 

2007年6月15日(金) 朝刊 1面

 

自民、修正撤回に賛成/6月県議会 意見書可決へ

 

 県議会最大会派の自民党は十四日、県議会内で議員総会を開き、結論を先送りしていた高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定の撤回などを求める意見書への対応を協議、賛成する方針を決めた。意見書は全会派の同意を得て、六月定例会で可決される見通しとなった。所管する文教厚生委員会の前島明男委員長は「早急に対応する必要がある」とし、臨時委員会の開会や文案調整など可決に向け各派代表者と話し合うとしている。

 

 議員総会後、伊波常洋政調会長は「全会一致で意見書が採択できるよう県議会挙げて努力する結論に達した」と述べた。

 

 文科省の布村幸彦審議官と十三日面談した伊波政調会長や国場幸之助幹事長代理が同省の見解や検定で軍命が削除された経緯を説明。多くの県議が「『集団自決』は事実。修正すべきではない」「採択を見送れば、県民の反発を招く」など賛成の意向を示した。一方、「軍命の有無について事実関係が確かではない」「裁判で争われている。意見書は司法への政治介入になる」など反対意見も出た。

 

 文科省での事実確認や意見聴取の結果「従来の記述を変更する必要はない」との考えで一致。さらに、市町村議会で相次いで意見書が可決されている現状や採択されない場合の県民からの反発を懸念する意見が大勢を占め、採択賛成の方向でまとまった。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151300_02.html

 

2007年6月15日(金) 朝刊 2面

 

海自、再投入の可能性も/辺野古調査で防衛省担当者

 

 【東京】社民党の辻元清美衆院議員と首都圏の三十四団体でつくる「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」は十四日、防衛省、環境省の担当者と国会内で面談し、名護市キャンプ・シュワブ周辺海域での現況調査(事前調査)への自衛隊投入や機器設置に伴うサンゴ破壊の説明を求めた。防衛省側は今後の調査への自衛隊の参加について「出るかもしれないし出ないかもしれない」と述べ、自衛隊投入の可能性を認めた。

 

 防衛施設庁の辰己昌良施設企画課長は海上自衛隊の潜水士が参加した理由を「反対派の妨害活動も予想され、自衛隊の潜水能力を活用した方が作業が円滑に進むとの判断から、久間章生防衛相が命令を出した」と説明。

 

 治安出動との指摘には「自衛隊の協力は国民の権利、義務にかかわる行動ではなく『出動』ではない」と述べ、(1)治安出動(2)防衛出動(3)警護出動のいずれにも当たらないとした。海自の掃海母艦「ぶんご」の投入について「潜水士が潜水病になるなど、不測の事態への対応と支援」を挙げた。

 

 環境省の担当者は、事前調査が環境影響評価(アセスメント)法に違反しているかどうかについて「防衛省は今の調査はアセスではないと言っている。一概にアセス法違反という話ではない」と述べ、問題視しない考えを強調した。

 

 現況調査の機器設置に伴うサンゴ破壊については「事実関係の説明を防衛省に求めている」と述べるにとどめ、環境省が独自に調査する予定はないとした。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151300_05.html

 

2007年6月15日(金) 朝刊 26面

 

わが島の悲劇 追体験/阿波連小児童15人

 

 渡嘉敷村立阿波連小学校(呉屋三枝子校長)の三六年生十五人が、慰霊の日を前に、同村の戦跡や文化財を巡り、沖縄戦や村の歴史について学んだ。同村教育委員会委員長で戦争体験者の吉川嘉勝さん(68)が案内した。児童らは「集団自決」跡地碑や海上特攻挺壕などを半日かけて回り、「防空壕ではどんな生活だったの」「戦争時代は子どもはどんな生活をしていたの」と、熱心に質問をぶつけていた。

 

 沖縄戦当時、日本軍の軍命・誘導・強制によって「集団自決(強制集団死)」が起きた第一玉砕場近くに建つ碑で「集団自決」の状況を説明。吉川さんは「地獄というのはああいうもの。頭の中が空っぽになり、早く死のうと思うだけだった」と、追い詰められた心情を話した。「戦争が終わっても、皆ずっとひきずっている。なぜこんなことが起こったかを考えてほしい」と呼び掛けた。

 

 五年生の西田大河君は「地域の人にも体験を聞いてみたい」と話した。同じく五年生の藤原優衣さんは「『集団自決』の話を聞いて、かわいそうだと思った。戦争はないほうがいい」。六年生の与那嶺萌さんは「私が当時の子どもだったらと思うと怖い。戦争を起こさないために、考えたい」と話した。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151300_06.html

 

2007年6月15日(金) 朝刊 27面

 

自衛隊訓練兵器ずらり/モノレール沿線

 

 陸上自衛隊那覇駐屯地で十四日、模擬ミサイルなどを使って訓練する様子が確認された。モノレールの那覇空港赤嶺駅間から迫撃砲やミサイルが並んでいるのが見え、ヘリが産業支援センター辺りを飛んでいたという。

 

 出勤途中の会社員男性(46)=那覇市=は「砲身がモノレールに向けられているようで不快感を覚えた」。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151300_07.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月15日朝刊)

 

[「集団自決」修正]

 

真実から目をそらすな

 

 「渡嘉敷、座間味の両島で部隊長による直接の命令があったかどうかは断定できない」。このため、沖縄戦で起きた「集団自決(強制集団死)」のすべてに「軍命」があったとは言い切れず、高校の歴史教科書から「軍命」を削除する検定意見に至ったという。

 

 自民党県連代表の聞き取りに対する、布村幸彦文科省審議官の答えだ。

 

 単純かつ明快な三段論法と言っていい。だが、これが子どもたちの教育を担う文科省のスタンスだとすれば、空恐ろしくなる。

 

 ここには歴史的事実を事実として直視し、教育行政に生かすべき国の責任が全くうかがえないからだ。

 

 同審議官は、集団自決への日本軍の広い意味での「責任、関与」については「自覚している」と語ったという。

 

 だが、この「広い意味」とは一体どういうことを指すのだろうか。

 

 もし、従軍慰安婦について安倍晋三首相が示した「広義の強制性はあった」が「狭義の強制性はない」というあいまいな表現と軌を同じくするのであれば、これこそ歴史的事実に目を閉ざす行為と言えるのではないか。

 

 なぜならば、否定することができない体験者の証言があるからだ。

 

 県民が求める検定の撤回については「検定制度の信頼性を損ねる恐れがある。ほぼ無理だろう」と答えている。

 

 本当にそうだろうか。今回の問題は、そもそも「軍命による集団自決があった」という定説を覆し、「軍命があったとは断定できない」として「軍命」の文字を削ったことが原因だろう。

 

 であれば、検定制度の信用を失墜させたのは教科用検定調査審議会であり、これが「真実を見ていない」と県民の怒りを買っていることを忘れてはなるまい。

 

 言うまでもないが、歴史を学ぶ上で大切なのは、何よりも真実への目の向け方だ。

 

 歴史的な事実から私たちが何を学び、将来に生かしていくか。大切なのはそこであり、歴史教科書が果たす役割もまたこの点にある。

 

 「日本軍による命令、強制、誘導などなしに『集団自決』は起こりえなかったことは紛れもない事実。(検定は)体験者による数多くの証言や歴史的事実を否定しようとするものだ」

 

 体験者が残る渡嘉敷村議会が全会一致で可決した意見書である。県議会も六月議会で採択するという。

 

 一時的であれ私たちの国が「負の歴史」をたどったとしても、それを「自虐的」と受け止めてはならない。歴史的事実には謙虚に、そして真正面から向き合っていくことが大切だ。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070615.html#no_1

 

琉球新報 社説

 

「集団自決」検定 意見の撤回は県民の総意

 

 「われわれが歴史から学んだことは、人類は歴史から何も学ばないということだ」との名言がある。このところの日本社会の動きをみていると、なるほどと思う。歴史に学ぶどころか、むしろ、自らに都合の悪い歴史はなかったことにしよう、消し去ろう、という動きが目についてしょうがない。旧日本軍が絡む従軍慰安婦の問題しかり、南京虐殺、強制連行の問題などなど、数え上げればきりがない。行き着くところ、戦争責任はなかった、とでもしたいのだろうか。

 とりわけ、県民が見過ごすことができないのは、沖縄戦における「集団自決」に関し、教科書検定で旧日本軍関与に関する記述が修正されたことだ。しかし、文部科学省審議官は自民党の県議らに対し「軍の関与、責任はある」と明言している。にもかかわらず「検定制度の信頼性を失うことになるので、検定前の表現に戻すのは難しい」という。理解に苦しむ。正しい表現へ直ちに訂正するのが筋ではないのか。

 審議官は軍命の有無について「誰が追い込んだかは今の学説では断定されない」とも述べている。これにも、県民の立場からは強い異論がある。「集団自決は日本軍による命令・強制・誘導などなしには起こり得なかったことは紛れもない事実」というのが県民の認識だ。「誰が追い込んだか」ということに関しても、戦後六十余年、県史をはじめ各市町村史で、多くの体験者が証言・記録している事実がある。何より、まだ存命の体験者の証言がある。これより重い事実があるだろうか。

 「軍隊は住民を守らない」。沖縄戦を体験した多くの県民は、そのことをよく知っている。

 この件に関して、県内外で抗議の声が広がっている。14日現在、県内41市町村議会のうち27議会が、検定結果の撤回を求めて意見書を可決している。残り14市町村も意見書可決の方向だ。

 一方、市民団体や戦争体験者らが、修正撤回を求めて取り組んできた運動で、これまで7万人の署名が集まった。わずか2カ月の期間で、当初目標の5万人を大きく上回っている。主催者側では今後、第2弾、第3弾の署名を文科省に届けるという。

 国会では県選出の自民党議員も検定には批判的だ。また、県議会における撤回意見書の可決に、自民県連も同意する方向だという。これらをみると、集団自決に日本軍が関与したのは事実であり、教科書の検定意見は撤回すべきだ、というのはもはや県民の総意といっていい。

 国は沖縄の声にしっかり耳を傾け、沖縄戦の実相をゆがめないでほしい。繰り返すが、県民の総意は検定意見の撤回だ。

 

(6/15 9:53)

 

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24636-storytopic-11.html

 

2007年6月15日(金) 夕刊 1面

 

文科相 検定影響を否定/「集団自決」修正要求

 

 【東京】二〇〇六年度の教科書検定で文部科学省が、教科書を審査する「教科用図書検定調査審議会」に対し、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」について日本軍の関与を示す記述の削除を求める意見書を提出していたことについて、伊吹文明文部科学相は十五日午前の閣議後会見で、「意見書はあくまで第三者である審議会委員の判断の資料だ」と述べ、検定への影響力を否定した。一方で、「軍の関与があったことは認めている。ただ、すべての集団自決について、すべて軍が関与したという記述は必ずしもそうじゃないんじゃないか」と述べ、初めて軍の関与について明言した。

 

 「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との意見書の記述が、そのまま検定意見に反映されたことについて伊吹文科相は「すべての教科書に意見書が付いている。過去の事例では意見書通りの結論になっていないのもたくさんある」と述べ、あくまで審議会の判断との認識を重ねて強調した。

 

 県内で今回の検定の撤回を求める声が相次いでいることについて「今回のことは沖縄の方の気持ちに沿わなかったかもしれない」としながらも、「逆に沖縄の方の気持ちに沿うように大臣が(撤回に向けて)動いたら、本土で同じ動きが次々と起こりかねない。戦前を想起させるような事態には私はしたくない」と述べ、撤回に消極的な姿勢を示した。

 

 その上で「日本は、文科相が『こうしろ』とか『こうしちゃいかん』ということで児童・生徒にものごとを教えられるほど怖い国ではない」と話した。

 

検定撤回を要求/県民大会実行委、文科省に

 

 【東京】高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍による強制」が削除された問題で、「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!沖縄県民大会」実行委員会は十五日午前、国会内で文部科学省の布村幸彦審議官に検定修正意見の撤回を求める要望書と署名を手渡した。

 

 布村審議官は、文科省が教科用図書検定調査審議会に日本軍の関与を示す記述の削除を求める調査意見を出していたことについて「意見書は約三十人の社会科に関する審議委員の意見を整理して作られている」と説明。

 

 同省職員の「教科書調査官」らが調査意見書を作成する際、すでに審議会の意向が反映されているとし、同省が削除を働き掛けたとの指摘を否定した。

 

 伊吹文明文科相が国会で「文科省の役人も私も一言も容喙(口出し)できない仕組みで教科書の検定は行われている」と答弁してきたこととの整合性については、「調査官は職員(役人)だが、中立性を守るため、通常の課長などと行政官とのラインとは別にしている」と釈明した。

 

 一方で「県民の感情を逆なでしたのは残念だ」とも述べた。

 

 県民大会実行委員は同日までに、検定意見の撤回に賛同する署名九万二千人分を集めた。要請には高嶋伸欣琉球大教授、松田寛高教組委員長、赤嶺政賢衆院議員(共産)ら約九十人が参加した。

 

事実関係の確認を指示/知事

 

 文科省が教科用図書検定調査審議会に調査意見書を出していたことについて仲井真弘多知事は十五日午前、沖縄タイムス社の取材に対し、「(削除要求をしたのが)大臣なのか、次官なのか、担当者あるいは専門家なのか。どのレベルの話か確認がいる。今の段階ではコメントしにくい。担当部署にはフォローするよう言ってある」と述べ、教育庁に事実関係を確認するよう指示したことを明らかにした。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151700_01.html

 

2007年6月15日(金) 夕刊 7面

 

「結論ありき明白」/文科省主導と批判

 

 文部科学省による高校歴史教科書検定で、同省が沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与を示す記述の削除を求めていたことが明らかになった十五日、検定撤回を求めて上京中の要請団から怒りの声が上がった。「やはり結論ありきだった」「官主導は明白だ」。文科省への要請を前に、声のトーンも一段と上がった。同様に撤回を求めている団体からも、批判が相次いだ。

 

 同日午前、上京中の「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」実行委員会の代表ら約四十人に、文科省要求を伝える本紙記事のコピーが配られ、メンバーは食い入るように見詰めた。

 

 「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長の山口剛史琉大准教授は「検定が文科省主導で、結論ありきだったことが露呈した」と指摘。「学説に変化がないのに、なぜ削除したのか。文科省の意図と責任をただしていく」と語った。

 

 県民大会で、日本軍から手榴弾を渡された体験を証言し、要請に参加している瑞慶覧長方さん(75)。「文科省は最初から歴史の改竄を目的としていたわけで、審議会の議論はいわば『八百長』だ。こんなむちゃくちゃな検定はない」

 

 一方、県PTA連合会の諸見里宏美会長は「怖い世の中になってきた」とため息をついた。「文科省が削除を要求した今回の事実も含めて、たとえ教科書に書かれていなくても、子どもたちには戦争や集団自決の事実をありのままに訴えていく」と強調した。

 

 県内の高校生に撤回を求める署名を呼び掛けた「虹の会」の北上田源さん(25)は「文科省は、子どもたちに歴史の真実を伝える気があるのか。戦争を体験していない世代には考える機会が必要。その機会を奪うことに抗議したい」と、強い口調で話した。

 

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は「真実を伝えなければ。子を生み育てる母親として、沖婦連でも署名運動を展開します」と宣言した。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151700_02.html

 

 

2007年6月15日(金) 夕刊 6面

 

「遺跡保存望ましい」/シュワブ埋蔵文化財調査

 

名護市教委が市民報告会

 

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部移設に伴う埋蔵文化財の調査結果について、名護市教育委員会は十四日、市中央公民館で市民調査報告会を実施した。市教委は今後、文化庁の補助事業として、シュワブ内の文化財の分布調査などを実施する。

 

 報告会には、移設に反対する市民ら約五十人が参加した。

 

 試掘調査の結果、土壌からは約百五十年前の壺屋焼とみられる陶器片一点、同年代以降と推測される稲の花粉が検出された。畑跡とみられる遺構二カ所と、石積みや道として利用したと思われる跡も確認できた。

 

 同教委は「辺野古地区の畑や田んぼの状況が分かる遺跡と考えられ保存が望ましい」と施設局へ報告したという。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151700_04.html

 

 

2007年6月15日(金) 夕刊 1面

 

東村長、ヘリパッド移設容認を表明

 

 【東】東村の伊集盛久村長は十五日開会の村議会六月定例議会で、米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題について、「予定地の変更は厳しいと考えている」と述べた。伊集村長が正式に移設容認を表明したのはこれが初めて。

 

 伊集村長は「高江区民が要望している通り、移設場所を住宅から大幅に離すことが望ましいが、環境影響評価の調査などこれまでの経緯を考えると現時点での場所の変更は厳しい」と述べた。一方で、「住宅、学校上空や早朝、夜間飛行をしないなど、その都度那覇防衛施設局に要請する」と語り、生活環境へ最大の配慮をする意向を示した。

 

 伊集村長は選挙公約で、移設反対を掲げていたが今年五月に容認の立場へ転換した。

 

 また十四日に元助役の比嘉勝正容疑者(62)が逮捕されたことについて、「村民の行政運営への不信感が懸念される。公金のチェック機能を強化し、再発防止対策を徹底する」と述べた。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706151700_05.html

 

沖縄タイムス 関連記事・社説(6月14日)

2007年6月14日(木) 朝刊 1面

 

文科省「検定撤回無理」/「集団自決」修正

 

 【東京】自民党県連の伊波常洋政調会長と國場幸之助幹事長代理は十三日、文部科学省に布村幸彦審議官らを訪ね、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した教科書検定の経過や今後の見通しを聞き取りした。両氏によると、布村審議官は検定の撤回について「検定制度の信頼性を損ねる恐れがある。ほぼ無理だろう」との見解を示したという。伊波氏は「広く沖縄戦の実相を後世に伝える教科書にしてほしい」と検定の修正を要望した。

 

 布村審議官は「集団自決」への日本軍の広い意味での「責任、関与」については「自覚している」と認めた。一方で、教科用図書検定調査審議会の議論では「渡嘉敷、座間味の両島で部隊長による直接の命令があったかどうかは断定できない」との意見で委員が一致したと指摘した。

 

 このため、沖縄戦で起きた「集団自決」のすべてに軍命があったとは言い切れないという判断から、軍命を削除する検定意見に至ったとの趣旨の説明をしたという。

 

 大阪で係争中の「集団自決」に関する民事訴訟の影響には「(審議会での)検証のきっかけにはなったが、検定意見を左右するものでない」と述べた。

 

 伊波氏らは教科書検定で住民虐殺が問題となった一九八四年、当時の森喜朗文部相の国会答弁などをきっかけに検定が撤回された例を指摘した。布村審議官は「当時は県民感情に配慮する政治判断があった」と述べ、事務レベルで撤回を実現するのは困難とした。

 

 國場氏は「文科省の説明は軍命をあまりにも狭義の意味にとらえ、限定し過ぎている気がした」と述べた。

 

 自民党県連は十四日午前十一時から、議員総会を開き、両氏の今回の聞き取り結果を受けながら、意見集約に向け協議する。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706141300_02.html

 

2007年6月14日(木) 朝刊 29面

 

抗議署名7万人超/「集団自決」修正

 

 文部科学省の高校歴史教科書検定に対する抗議の署名が最終集計日の十三日、目標の五万人分を大きく上回り七万七十八人分となった。呼び掛けた「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」実行委員会は「沖縄を含め全国から数多く集まった。歴史の事実を隠すのはよくないという意思の表れだ」と予想以上の反応を評価した。

 

 実行委によると、署名は十四日以降も届く予定。このため十三日までの分を一次分として集計し、その後は二次分として扱う。現段階で締め切り日は設定せず、今後予定している文科省への「第二弾、第三弾の要請行動」(同実行委)の際に直接届けるという。

 

 日本史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除・修正した検定問題に対する反発は県内で広がっている。実行委は「基地問題は組織対応が一般的だが、今回は市民の反応が目につく。『十九人分集めたが、子どもの件で手が離せない。妹に託すのでよろしく』という主婦もいた」と話した。

 

 実行委代表は十五日、文科省に大会決議と署名を手渡して検定意見の撤回を要請する。また衆議院第一会館で国会議員らを招いての院内集会や同省での記者会見を開き、全国に抗議の輪をさらに広げていく考えだ。

 

 署名は、検定の修正指示を撤回し、「軍命」が記述された申請時の文章に戻すよう求めている。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706141300_03.html

 

2007年6月14日(木) 朝刊 28面

 

沖国大1年生へヘリ墜落を説明

 

 【宜野湾】沖縄国際大学のヘリ墜落事故を一年生にも考えてもらおうと、同大の教員百十五人でつくる「米軍ヘリ墜落事故を考える会」は十三日、同大の事故現場前で事故当時の様子や日米地位協定について説明した。集まった約百人の学生は、事故が与えた影響などを身近に感じた様子だった。

 

 同会は毎月同じ日に集会を開いており、三十四回目を数えた。今回は当時を知る学生が四年生のみになったことから、同会は「事故を風化させない」と、特に一年生の参加を呼び掛けて開催した。

 

 集会では、墜落したCH53大型輸送ヘリの模型を示しながら、事故の概要を説明。米兵が大学内で立ち入り規制を行ったことや、日米地位協定が「壁」となり、県警が求める捜査ができなかったことなどが話された。

 

 参加した同大一年の友利ひとみさん(19)=浦添市=は「記憶は薄れてしまうが、記録として何かを残すことが大切だと思う」と話した。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706141300_08.html

 

2007年6月14日(木) 朝刊 28面

 

み霊4000人の冥福祈る/旧海軍司令部壕で慰霊祭

 

 【豊見城】旧日本海軍関係者や現地招集された住民ら約四千人のみ霊を慰める旧海軍司令部壕慰霊祭(主催・沖縄観光コンベンションビューロー)が十三日、豊見城市豊見城の同壕慰霊塔前広場で開かれた。

 

 県外遺族二十七人を含む約百十人の遺族や関係者が出席。海軍壕や周辺壕などで犠牲となった人々にささげる献茶や焼香を行い、冥福を祈った。

 

 同ビューローの仲吉朝信会長は、遺族らを前に「肉親を失った悲しみを乗り越え、郷土の発展に貢献してきた皆さまの苦労に深く敬意を表す」とあいさつし、慰霊碑に献花した。

 

 戦時中、同壕で通信兵として従事した福本博さん(83)=大阪府=は「平和の思いを継承する施設として壕公園を活用してほしい」と語った。沖縄海友会顧問の太田直松さん(91)=那覇市=は「悲惨な戦争を生き残った私たちは平和の大切さを後世まで語り継がなければならない」と決意を示した。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706141300_09.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月14日朝刊)

 

[集団的自衛権]

 

行使容認の結論は拙速だ

 

 結論はもう出ているようだ。集団的自衛権に関する政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)の議論は、そう見える。

 

 懇談会では、公海上での自衛隊艦船による米軍艦船防護の可否について、「集団的自衛権行使」と位置付けた上で、実施可能にすべきとの意見が大勢を占めた。今秋にまとめる報告書で、少なくとも米軍艦船防護に関して、集団的自衛権行使を容認するための憲法の解釈変更や改正を求める方向というから、あまりに手回しが良すぎる。というより、拙速にすぎないか。

 

 一言で米軍艦船の防護というが、実際にはさまざまな場面、状況が想定される。懇談会では、想定される主な状況として(1)平時(2)情勢緊迫時(3)我が国に対する武力発生時に区分し、六つの類型について議論したというが、十分に議論が尽くされたとは思えない。

 

 事実、懇談会後の記者説明で、柳井座長は「実際には色々なケースがあり得、まとめて議論するのは難しいので『平時』『情勢緊迫時』『武力攻撃発生時』と横軸で分け、米艦との距離を縦軸で考えた」と述べ、実際の状況想定の複雑さを認めている。

 

 そもそも、この懇談会は、さまざまな立場の有識者を集めて議論させ、意見を集約する形式とは程遠い。共同通信の調べでは、メンバー十三人のうち十二人は過去に国会に参考人として呼ばれた際の発言や論文などで、集団的自衛権の行使は違憲とする政府解釈を批判したり、解釈変更を求めている。設置当初から「結論ありき」との批判が付きまとうゆえんだ。

 

 安倍晋三首相が、こうした懇談会の報告書を踏まえ、集団的自衛権行使の一部容認に向け動き出すことは想像に難くない。

 

 七月の参院選は「年金」が大きな争点になりそうだが、有権者は集団的自衛権行使の取り扱いについても注視すべきだろう。安倍政権の「シナリオ」は着々進んでおり、国民は年金問題だけに目を奪われてはならない。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070614.html#no_2

 

2007年6月14日(木) 夕刊 1面

 

自民、意見書に賛成/「集団自決」修正撤回要求

 

 県議会最大会派の自民党は十四日、県議会内で議員総会を開き、結論を先送りしていた高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した文部科学省の教科書検定に対する撤回などを求める意見書への対応を協議し、賛成する方針を決めた。同問題に対する意見書は全会派の同意を得て、六月定例会で可決される見通しになった。今後、所管の文教厚生委員会(前島明男委員長)を中心に文案調整に入る。

 

 総会では、文科省の布村幸彦審議官と十三日に面談した伊波常洋政調会長や国場幸之助幹事長代理が、同省の見解や検定で軍命が削除された経緯を説明した。

 

 多くの県議が「『集団自決』は事実。修正すべきではない」「採択を見送れば、県民の反発を招く」など賛成する意向を示した。

 

 一方で、「軍命の有無に対する事実関係が確かではない」「裁判で争われている。意見書は司法への政治介入になる」など反対意見も根強かったが、相次ぐ市町村議会の意見書可決の流れや、採択されない場合の県民からの反発を懸念する意見が大勢を占め、採択賛成の方向でまとまった。

 

 伊波、国場両氏と面談した文科省の布村審議官は、検定の撤回について「検定制度の信頼性を損ねる恐れがある。ほぼ無理だろう」との見解を示したという。「集団自決」への日本軍の広い意味での「責任、関与」については「自覚している」と認めた。

 

 一方で、教科書用図書検定審議会は「渡嘉敷、座間味の両島で部隊長の直接の命令があったかどうかは断定できない」との意見で一致。「『集団自決』のすべてに軍命があったとは言い切れないという判断から、軍命を削除する検定意見に至った」との趣旨を説明したという。

 

 同問題に対する意見書で、自民党内部は賛否の意見が割れ、定例会冒頭の採択に賛成できない方針を固めていた。だが、相次ぐ市町村議会での意見書採択や県民からの反響が大きく、事態を重視した執行部は「軍の何らかの関与があったのは事実」という認識で一致、賛成の方向で調整に入っていた。

 

                    

 

渡嘉敷村議会が意見書/名護・西原も可決

 

 【渡嘉敷】渡嘉敷村議会(島村武議長)は十四日午前、六月定例会の本会議で、日本軍による自決強制の記述を削除するよう求めた文部科学省の高校教科書検定について、「歴史的事実を直視しない押し付けの教科書であり、到底容認できない」と抗議、検定意見の撤回を求める意見書を全会一致で可決した。

 

 意見書は安倍晋三首相や伊吹文明文部科学相あてで、「日本軍による命令、強制、誘導などなしに『集団自決』は起こり得なかったことは紛れもない事実。(検定は)体験者による数多くの証言や歴史的事実を否定しようとするものだ」と批判した。

 

 渡嘉敷島に米軍が上陸した翌日の一九四五年三月二十八日、住民ら三百二十九人が手りゅう弾や農具などを使い、家族同士で命を奪い合うなどの「集団自決」が起きた。

 

 名護市議会と西原町議会も同日、同様の意見書を全会一致で可決した。これで四十一市町村のうち二十六の議会で意見書が可決された。

 

 県議会も意見書を可決する方向で調整中で、意見集約ができていない自民党県連は十四日午前の議員総会で協議する。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706141700_01.html

 

2007年6月14日(木) 夕刊 1面

 

金武町議会が容認決議/ヘリパッド移設

 

 【金武】金武町議会(松田義政議長)は十四日の六月定例会最終本会議で、米軍ギンバル訓練場の返還問題で儀武剛町長が町内のブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設条件を受け入れると表明したことを受けて、町長表明を容認する宣言文を、賛成多数で可決した。

 

 宣言文では、二〇〇六年十月に久間章生防衛庁長官(当時)がブルービーチに「新たな恒久的施設は造らない」と明言したことについて「前進と言える」と評価。ヘリパッド移設後は、「訓練が住民生活への影響に配慮され、住民負担の軽減が図られるものである」としている。

 

 ギンバル訓練場跡地に町が計画している「金武町ふるさと整備事業」の先端医療施設や免疫療法施設、長期滞在宿泊施設などの整備について、「大型プロジェクトとして、町発展の起爆剤となるものと確信する。町の命運を決する一大事業と位置付けられ、計画が確実に早期実現するよう望む」と期待している。

 

 提案した外間現一郎氏は「ベストではないが、ベターな選択だ。数カ所あるギンバル訓練場、ブルービーチ内のヘリパッドを一つに集約すると認識しており、基地被害は軽減されると考えている」と述べた。仲間政治氏の質問に答えた。

 

 反発する議員からは、「住民の合意が得られておらず、演習の固定化につながるのではないか」との声が上がった。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706141700_03.html

沖縄タイムス 関連記事・社説(6月13日)

2007年6月13日(水) 朝刊 2面

 

 

「見切り発車」反発も/金武町長ヘリパッド受諾

 

 

 儀武剛金武町長は十二日、米軍ギンバル訓練場の返還条件となっているブルービーチ訓練場へのヘリパッド移設を「苦渋の選択」で受け入れると表明した。日米特別行動委員会(SACO)で返還のめどとしていた一九九七年度末から、約十年越しとなる地元自治体の了承で、焦点はギンバル訓練場の跡地利用に移った。政府内には安堵感が広がり、在日米軍再編を後押しするとの見方もある。しかし、地元・並里区の根強い反発など、わだかまりを残したままの「見切り発車」との声もあり、先行きは不透明だ。

 

 

同意得られた

 

 

 「SACO事案は地元の同意がすべて得られたことになる」

 

 

 儀武町長の「受け入れ表明」に防衛省幹部は声を弾ませ、「住民の代表者、責任者としての発言だ」と強調。返還に向けた米側との具体的な調整を加速する考えだ。

 

 

 一方、政府内にはギンバル訓練場の返還問題は「在日米軍再編の障害だった」(政府関係者)との見方もある。

 

 

 同問題に手を割かれ、米軍再編最終報告に盛り込まれた米軍キャンプ・ハンセンの共同使用について同町との調整が遅れていたとして、「今度は共同使用だ」(同)と次の課題を模索する動きも出ている。キャンプ・ハンセンに機能統合される浦添市の牧港補給地区など、嘉手納以南の基地返還にも追い風となるとして期待が広がっている。

 

 

「異例の配慮」

 

 

 「これで財政当局と調整に入れる」

 

 

 内閣府沖縄担当部局幹部は、儀武町長の「受け入れ表明」が、ギンバル訓練場の跡地利用事業を二〇〇八年度予算に計上する上で、財務省を説得する大きな「切り札」になるとの認識を示す。

 

 

 防衛省と内閣府はギンバル返還条件に関する町からの要望に対し、口頭ではなく文書を送付する「異例の配慮」(内閣府幹部)をした。文書が同じ日に町役場に届くよう、文書の日付や東京からの発送日も足並みをそろえた。

 

 

 幹部は「並里区を説得する根拠として、文書が儀武町長の判断を後押ししたのだろう」と述べ、安堵感をにじませた。

 

 

島田懇最終年

 

 

 内閣府は今後、財務省の査定に耐え得る実行可能性の高い跡地利用計画を目指し、担当者は「これからが重要」と気を引き締めている。

 

 

 「基地経済からの脱却」を公約に掲げる儀武町長にとって、跡地利用の大きな財源である「米軍基地所在市町村活性化特別事業」(島田懇談会事業)の期限切れを本年度末に控える中、夏場の〇八年度予算概算要求前の六月定例会が受け入れのタイムリミットだった。

 

 

 今年四月から住民説明会を七回開いたが、基地被害の増大を懸念する声が相次ぐ一方で、財源確保を危惧する意見も出るなど意見の集約は一向に図られなかった。

 

 

 儀武町長は受け入れ表明後、記者団に「町内に移設してほしくないのが本音。しかし、基地の整理・縮小の中で、返還するのは今しかないというタイミングだった」と、苦しい胸の内を語った。

 

 

 しかし、与那城直也並里区長は「訓練場の減少で、町外から見たら負担軽減かもしれないが、住民にとっては負担増でしかない」と強調。いまだ住民の反発は根強く、今後の町の対応次第では、返還作業に影響を及ぼす可能性も残っている。(東京支社・島袋晋作、吉田央、北部支社・屋良朝輝)

 

 

町議会が容認決議へ

 

 

 【金武】米軍ギンバル訓練場の返還問題で、金武町議会(松田義政議長)は十二日、返還条件となっている町内ブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設受け入れを儀武剛町長が表明したことを受けて、開会中の六月定例会で容認決議の検討に入った。十三日の定例会後、全員協議会を開いて協議し、十四日の最終日の決議を目指す。

 

 

 儀武町長は「日米特別行動委員会(SACO)最終合意に基づき、基地の整理・縮小という観点から、ギンバル訓練場の返還条件を受け入れ、跡地利用計画推進を図っていくことを決断した」と、受け入れを表明した。

 

 

 これを受けて複数の町議から「町長の表明を、議会として後押しする必要がある」との意見が出されたため、町議会では容認決議の検討に入ることを決めた。

 

 

 松田議長は「これまで十年間、紆余曲折があったが、町長は政治家として判断すべきだったし、しかるべき判断をしたと思う」と、町長の受け入れ表明を評価した。

 

 

 一方、仲間政治軍特委員長は「住民の合意をまだ得られていない」と指摘。防衛省がヘリパッドの移設先に、撤去可能なランディングマットを敷くとしたことについて「マットを敷いても、演習が固定化・強化される可能性はある」と話し、儀武町長の受け入れ表明に異議を唱えた。

 

 

[解説]

求められる説明責任

 

 

 儀武剛町長が、ブルービーチ訓練場への米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設を条件とする米軍ギンバル訓練場の返還条件の受け入れを表明した背景には、一九九六年に日米特別行動委員会(SACO)で示された返還を進めたい政府と、ギンバル跡地利用による地域活性化や「基地負担軽減」につながるとみる町側の思惑が一致したためだ。SACO合意で返還のめどとされた九七年から十年。儀武町長が条件を受け入れたことで、ギンバル返還は大きく動きだした。

 

 

 しかし、ブルービーチに隣接する並里区(与那城直也区長)は、米軍ヘリによる騒音被害増大への懸念などからヘリパッドの移設に反対しており、住民の不安を解消するための説明が求められる。

 

 

 SACOでは、演習の障害になる岩やさんご礁も少なく、米海兵隊の水陸両用車やホーバークラフトを使った上陸訓練に本島内で最も適し、キャンプ・ハンセンとの連動した訓練が望めると、ブルービーチへのヘリパッド移設を米軍が望んだ。

 

 

 しかし、並里区や町議会はこれまでに、移設反対の決議や要請などを行っており、地元の合意が得られずに返還作業は進まなかった。

 

 

 儀武町長は今年、各区で開かれた住民説明会の中で「返還条件を認めることで、町内の基地負担軽減になる。基地依存経済から脱出するチャンスだ。このまま何もしないことは、基地や訓練がそのままでいいという誤ったメッセージと受け止められる」と訴えていた。

 

 

 町民からは、跡地利用で先端医療センターやホテルの建設が計画されていることから、雇用創出に期待する声もあり、儀武町長は百二十百五十人の雇用を見込んでいる。移設先の負担増加への懸念をどのように解消するのかを示すと同時に、跡地利用による地域活性化の具体的なビジョンを示し実現する重い責任が、儀武町長に課される。(北部支社・屋良朝輝)

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706131300_04.html

 

 

2007年6月13日(水) 朝刊

 

 

「集団自決」削除/元文科相「おかしい」

 

 

 【東京】自民党の教育再生に関する特命委員会(委員長・中山成彬元文部科学相)が十二日、党本部で開かれ、文部科学省が二〇〇六年度教科用図書の検定結果を説明した。県選出の仲村正治、嘉数知賢両氏が、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の関与を高校歴史教科書から削除したことを厳しく批判。中山委員長は会合終了後、記者団に「沖縄の二人から身につまされる話があった。教科書は(中国など)外に弱くて内に強く、私に言わせればおかしい」と同調した。

 

 

 会合では鈴木恒夫氏など他の委員からも、県関係議員の発言に同調する意見が出た。今回は委員会としての結論や方向性は出さず、来週中に再度、会合を開く。

 

 

 中山委員長は南京大虐殺を例に「(死者数)三十万人なんて(史実は)ない。それを(歴史教科書で)否定すればいいのに、(沖縄戦での軍命による)殺し合いを否定するなんておかしい」とも述べた。

 

 

 沖縄戦体験者の仲村氏は「理性を失った軍隊が(住民に)『捕虜になる前に死ね』と強要したのは事実。事実は事実として(教科書に)記述して後世に伝え、二度と過ちを起こさないことが大切だ」と軍関与の記述削除を批判した。

 

 

 嘉数氏も「米軍に捕まったら女性は強姦され男性は八つ裂きにされるということで、日本軍が(住民に)手りゅう弾を渡し、集団自決に追い込まれた。自分たちで自主的に死んだことはあり得ない」と語気を強めた。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706131300_05.html

 

 

2007年6月13日(水) 朝刊 29面

 

 

燃料流出/連絡ルート機能せず

 

 

 米軍嘉手納基地で大量のジェット燃料が流出し地元への連絡が遅れた問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は十二日、同基地や那覇防衛施設局、県庁を訪ね、事故原因の究明と調査結果の公表、再発防止の徹底、迅速な情報開示などを求めて抗議、要請した。

 

 

 施設局の池部衛次長は、連絡の遅れについて「米軍から施設局に直接連絡するルートもあるが、今回は機能しなかった」と説明。

 

 

 佐藤勉局長が六日に第十八航空団に改善を申し入れた結果、米軍から「今後は密な連絡体制で通報したい」と返答があったという。

 

 

 環境調査については「県から十一日に環境調査の要望があり、これから文書で米軍に意向を伝える」と述べた。

 

 

 町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は、県の上原昭知事公室長に対し「今回故障したタンクとは別に、ほかのタンクの調査も含め結果を出すよう要請してほしい。地元だけの力では弱いので、県からも強く申し入れてほしい」と要請した。

 

 

全水道が抗議

 

 

 全水道県企業局水道労組の当真亨委員長らは十二日、那覇防衛施設局を訪ね、米軍嘉手納基地で大量のジェット燃料が流出したことに抗議し、県の機関による基地内立ち入り調査の実施、原因の究明と公表などを求めた。

 

 

 当真委員長は「流出した燃料が地下に浸透して、地下水を汚染するかもしれない。立ち入り調査で実態を把握できるようにすべきだ」と訴えた。

 

 

 対応した又吉利夫連絡調整室室長補佐は、「当局としても、県の立ち入りについて、側面支援する予定」と語った。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706131300_06.html

 

 

2007年6月13日(水) 朝刊 28面

 

 

祈りの日へ平和祈念像浄め

 

 

 【糸満】二十三日の「慰霊の日」を前に、糸満市摩文仁の沖縄平和祈念堂で十二日、平和祈念像のほこりを払う恒例の「浄め」が行われた。作業には約三十人が参加。一時間ほどの作業で平和希求の象徴として知られる漆塗りの平和祈念像に一層の光沢が戻った。

 

 

 恒例の作業は毎回、沖縄バスの新人ガイドらが手伝っているが、今回初めて、県の工芸技術支援センター(南風原町)の研修生ら九人も参加。互いに仕事を分担しながら高さ十二メートル、横幅八メートルの漆塗りの像や台座に上り、布で丁寧に汚れをふき取った。

 

 

 新人バスガイドの山下裕理さん(22)=宜野湾市=は「初めて作業に参加したが、観光客を案内するガイドが平和を発信する祈念像をきれいにすることは意味があると思う」と話した。

 

 

 同祈念堂では二十二日午後七時から沖縄全戦没者追悼式前夜祭が行われる。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706131300_08.html

 

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月13日朝刊)

 

 

[米艦船寄港通知]

 

 

既成事実化を許すな

 

 

 米軍が掃海艇二隻の与那国町への寄港を県に通知した問題で、外間守吉町長は住民感情や周辺の石垣市、竹富町などの意向を踏まえ反対する意向だ。当然である。

 

 

 関係自治体の足並みはそろっている。県は緊急時以外の使用を自粛するよう米軍に要請。「平和港湾宣言」をしている大浜長照市長は「県の自粛要請を無視することがあってはならない」、大盛武町長は「与那国と台湾との交流に影響が出る」と反対している。

 

 

 米軍は二十四二十六日、県管理の祖納、久部良の両港への寄港を通知。目的は「友好親善」と「乗組員の休養」。これを額面通りに受け取る人は誰もいない。米軍はいざというときの港の使い勝手を実際に入港して試しているとみるのが自然だ。むしろその方が主目的かもしれない。

 

 

 与那国町は五月に姉妹都市の台湾・花蓮市に行政連絡事務所を開設したばかり。住民団体が「せっかく築いてきた花蓮市との友好関係をないがしろにする」と懸念するのはもっともだ。

 

 

 外間町長は政府の二重基準を批判する。町長は台湾のチャーター船の入港を要請しているが、政府は出入国管理施設などの未整備などを理由に認めていない。「同じ港でも台湾は駄目で、米軍は入港できるというのはおかしい」。これまた誰もが持つ疑問だ。

 

 

 米軍艦船の国内民間港への寄港は日米地位協定五条が根拠。民間飛行場も使用できる。ここでも米軍優先の日米地位協定が顔をのぞかせる。

 

 

 米側は「乗組員を町長宅のパーティーに招待してほしい」と依頼したというから開いた口がふさがらない。招待は相手から歓迎されてなされるもので、無理強いするものではない。

 

 

 米軍が寄港を強行しても、「友好親善」にはつながらない。地元の声を無視し、横暴と取られるばかりで、損得勘定からも割が合わないはずだ。

 

 

 与那国町は台湾を望む国境の島である。米軍は潔く計画を撤回して国境に無用な波風を立たせないでほしい。政府も米軍に再考を促すべきである

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070613.html#no_2

 

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月13日朝刊)

 

 

[ギンバル返還]

 

 

根本的解決にはならぬ

 

 

 金武町の米軍ギンバル訓練場の返還問題で、儀武剛町長は返還条件となっている町内のブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設受け入れを表明した。

 

 

 ギンバル訓練場の返還は、一九九六年十二月の日米特別行動委員会(SACO)で最終合意されたが、既存のヘリパッドをブルービーチ訓練場へ移すことが条件となった。

 

 

 ヘリの離着陸訓練に伴う騒音や事故の危険性もブルービーチ訓練場へ移ることになり、周辺住民には新たなリスクが生じる。

 

 

 基地機能の「たらい回し」は、一方の住民を基地負担から解放しても、新たに移設先の住民を苦しめることになり、根本的な解決にはならない。

 

 

 儀武町長は、受け入れを表明した町議会六月定例会で「大変苦渋の選択であるが、約六十ヘクタールの基地の整理・縮小が進み、跡地利用事業で基地依存経済から脱却して自立経済を進めることにつながる」と述べた。

 

 

 その上で、受け入れ理由の一つとして、同町がギンバル訓練場跡地で予定している「ふるさとづくり整備事業」の財政支援について、内閣府が引き続き支援すべく、二〇〇八年度予算概算要求に盛り込むとの文書を得た。

 

 

 もう一つは「ヘリパッドは撤去可能なものとし、移設後の周辺住民の生活に配慮する」とした防衛省の通知があったことを挙げた。

 

 

 ギンバル訓練場には、復帰前、中国全土をにらんだ核ミサイル「メースB」が配備されていた。

 

 

 人類を脅かす核基地が復帰後三十五年たち、自立経済を図るために平和利用されることには感慨深いものを感じる。地元住民や県民にとっても異存はあるまい。

 

 

 問題は、ヘリパッドの移設先の住民

 

 

をヘリの騒音や事故の危険性からいかに守り、「平和的生存権」を担保できるかだ。

 

 

 ブルービーチ訓練場は、米軍の強襲上陸作戦場であり、今後、ヘリ訓練の増加は避けられまい。

 

 

 最も隣接する並里区は、既に一九九六年と二〇〇六年にヘリパッド移設への反対決議をしており、今後の対応が注目される。

 

 

 ギンバル訓練場を含めSACOで返還合意された十一施設は、普天間飛行場や那覇軍港、牧港補給地区などそのほとんどが県内移設条件付きである。

 

 

 しかし、SACO合意がすべて実施されても、県内にはなお在日米軍専用施設の約70%が残る。過重負担にそう変わりはないことも、あらためて認識しておきたい。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070613.html#no_1

琉球新報 社説(6月11日)、沖縄タイムス 関連記事(6月12日)

琉球新報 社説

 

「歪曲」撤回要求・「過去」直視してこそ未来も 

 

 文部科学省の高校教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」記述から日本軍の関与が修正・削除されたことに、県民の反発が広がっている。那覇市内で9日開催された「沖縄戦の歴史歪曲(わいきょく)を許さない県民大会」には主催者発表で3500人が集い、「子どもたちに沖縄戦の実相を伝えよう」と訴えた。

 62年前の沖縄戦で過酷な地上戦を体験し、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民の、これだけは絶対に譲れないという一線をあらためて見た思いがする。

 政府は、大会決議にある「今なお証言し続けている体験者の叫びを無視し(一個人の名誉棄損の)裁判の原告の主張のみを一方的に取り上げることは、体験者を愚弄(ぐろう)するばかりか、県史や各市町村の沖縄戦の調査を否定しようとするもの」との指摘を重く受け止め、歴史的事実と真正面から向き合ってほしい。

 高校教科書の沖縄戦をめぐる記述は、1982年に「日本軍の住民虐殺」が削除され、問題になっている。「出典の県史は第一級資料ではない」などが理由だった。生存者多数の証言を含む公式の戦争記録を「参考にならない」とでも言うような感覚を疑うほかないが、県民の怒りを受け止めざるを得なくなった政府は結局、検定意見を撤回している。

 2001年には、中学の歴史教科書で、アジアへの加害の記述を大幅に簡略化する流れが顕著になった。沖縄戦に関しても戦争を美化するような記述が見られ、ひめゆり学徒を「部隊」と軍隊化し、「勇敢に戦った」と記述した教科書がそのまま認められた。

 ひめゆり学徒の生存者は「私たちは看護要員として戦争に巻き込まれた」と証言しており、当該教科書がいかに事実関係を踏まえていないかが分かる。

 今回の「軍命」削除問題もしかり。県民大会では「沖縄戦の集団死・『集団自決』が『軍による強制・強要・命令・誘導等』で引き起こされたことは否定できない事実」だとし、「その事実がゆがめられることは到底容認できない」との決議が採択された。

 第二次世界大戦で多大な犠牲を払ったドイツの元大統領、ワイツゼッカー氏は1999年に来沖した際、名護市で開催されたティーチインで「過去に目をつぶる者は過ちを繰り返してしまう危険がある」「逆に過去に対して目を見開く者は、将来に向け平和の証しを体現できる」と話した。

 過去に正しく向き合ってこそ、平和な未来も開けるという大切な教えだ。歴史をゆがめることは許されまい。次代を担う子どもたちにもそのことを伝え、事実を見極める力を養うことが私たち大人の責務である。

 

 

(6/11 9:40)

 

 

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24518-storytopic-11.html

 

 

2007年6月12日(火) 朝刊 1面

 

 

 

ヘリパッド受け入れ 金武町長きょう表明

 

 

 

ギンバル返還「判断材料整う」

 

 

 

 【金武】金武町の米軍ギンバル訓練場の返還をめぐり、儀武剛町長は十二日開会する町議会六月定例会の冒頭、懸案となっていた返還条件のブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の受け入れを表明する。十一日、同訓練場の跡地利用事業を二〇〇八年度予算概算要求に盛り込むとする内閣府沖縄担当部局の文書と、ヘリパッド移設後の周辺住民の生活に配慮するとした防衛省の通知があったことを受け、儀武町長は「判断材料は整った」との意向を固め、議会関係者などに伝えた。

 

 

 

 内閣府は、金武町がギンバル跡地で予定している「ふるさとづくり整備事業」の財政支援について、「ギンバル訓練場の返還のめどが立ち、具体的な事業計画が策定されることを前提に、引き続き所要の支援を行うべく、関係機関と調整する」としている。

 

 

 

 防衛省は、(1)ブルービーチ訓練場で米軍が使用していた場所のうち、一カ所を活用して整備(2)ヘリパッドはコンクリート舗装などの恒久的なものではなく、ランディングマットを敷く程度の撤去可能なものとする(3)ヘリ訓練による航空機騒音は地元の要望を踏まえ、騒音を調査するなどと明記している。

 

 

 

 儀武町長は、跡地利用事業の財政支援を内閣府に要請。さらに、町などが各区で開いた住民説明会で、米軍ヘリの飛行ルートや騒音被害を懸念する声が相次いだため、防衛省の対応を文書で回答するよう求めていた。

 

 

 

 返還条件のブルービーチ訓練場へのヘリパッドの移設をめぐっては、一九九六年と二〇〇六年に隣接する並里区が移設に反対する決議を行っている。

 

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706121300_01.html

 

 

 

 

 

 

2007年6月12日(火) 朝刊

 

 

 

首相「早期に結論」/那覇空港拡張

 

 

 

 【東京】安倍晋三首相は十一日の参院決算委員会で那覇空港の拡張整備について「沖縄の発展には那覇空港の能力の増強は必要。できるだけ早期に結論を出し、実現に向けて取り組んでいきたい」と述べ、積極的に取り組む姿勢を示した。西銘順志郎氏(自民)への答弁。「集団自決(強制集団死)」への日本軍の関与に関する記述が高校の歴史教科書から削除された問題で、西銘氏が「速やかに見直すべき」と訴えたが、安倍首相は「個別の検定意見に、内閣の長として意見を申し上げることは差し控えたい」と従来の見解を繰り返した。

 

 

 

 久間章生防衛相は、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部の現況調査(事前調査)に海上自衛隊が動員されたことに県民の反発があるとの指摘に、「戦前の軍隊と一緒に見られるというのは、自衛隊にとっても大変気の毒なこと。そういう間違った考え方をぜひ沖縄の人はやめていただきたい」と訴えた。

 

 

 

 那覇空港の拡張について、冬柴鉄三国土交通相は「福岡空港に次いで乗降客の多い空港」としつつ、「今、最終段階にある調査の結果を踏まえて、ゴーということになれば、総力を挙げて頑張っていきたい」と述べ、政府を挙げて取り組む考えを強調した。

 

 

 

 安倍首相は「沖縄はアジアの中心に位置し極めて有利な点がある。グローバル化の時代で空港がいかに整備されているかということで競争していかなければならない」と述べ、同空港の拡張整備の必要性を指摘した。

 

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706121300_03.html

 

 

 

2007年6月12日(火) 朝刊 2面

 

 

 

自民、検定経過確認へ/「集団自決」修正

 

 

 

県議代表、あす文科省訪問

 

 

 

 県議会最大会派の自民党の伊波常洋政調会長ら代表は十三日、文部科学省を訪ね、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から「軍命」を削除した教科書検定の経過や同省の見解などを確認する。伊波政調会長は「検定内容の事実を十分確認した上で、早い時期に議員総会を開き、意見書採択に向け意見を集約したい」と述べた。

 

 

 

 同問題に対する意見書への対応については、自民内部で賛否の意見が割れ、結論が先送りされている。

 

 

 

 執行部は会派全体の同意を得るため、検定内容の事実確認が必要と判断。伊波政調会長らは文科省初等中等教育局教科書課長らに聞き取りをする予定。

 

 

 

 八日の総会で、多くの県議が「『集団自決』は事実。修正すべきではない」「採択を見送れば、県民の反発を招く」など賛成する意向を示した。一方で「軍命の有無に対する事実関係が確かではない」「裁判で争われている。意見書は司法への政治介入になる」など反対意見も根強く、まとまらなかった。

 

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706121300_04.html

 

 

 

2007年6月12日(火) 朝刊 26面

 

 

 

海自の不発弾調査 広報/うるま市が事前に

 

 

 

「辺野古と混同避けた」

 

 

 

 【うるま】うるま市は十一日、海上自衛隊などが十三日から同市沖合で実施する不発弾調査を事前広報した。名護市辺野古の米軍普天間飛行場の移設に向けた海洋調査に政府が海自艦船を投入したことが問題視されているため、不要な刺激を与えないための措置という。

 

 

 

 事前広報はこれが初めてで、うるま市役所総務課は「(辺野古で行われた)海自の海域調査支援と混同を避けたい」としている。

 

 

 

 中城海上保安署と海自は同日早朝から十五日午後五時にかけて、同市昆布沖合三キロ地点で不発弾現地調査を行う。自衛隊の水中処分母船(三千トン)一隻と関係機関のボートが現地に停泊する。

 

 

 

 三月初旬に漁業関係者が潜水中、昆布沖合十三メートルの海底で、長さ四十センチほどの不発弾らしき物体約三十個が沈んでいるのを発見した。

 

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706121300_05.html

 

 

 

2007年6月12日(火) 夕刊 1面

 

 

 

ギンバル返還ヘリパッド移設受諾/金武町長「跡地利用を推進」

 

 

 

 【金武】金武町の米軍ギンバル訓練場の返還問題で、儀武剛町長は十二日午前、開会した町議会六月定例会の冒頭で、返還条件となっている町内のブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設を受け入れることを表明した。儀武町長は「日米両政府間で合意された日米特別行動委員会(SACO)最終合意に基づき、基地の整理・縮小という観点から、ギンバル訓練場の返還条件を受け入れ、跡地利用計画推進を図っていくことを決断した」と述べた。

 

 

 

 儀武町長は、町がギンバル訓練場跡地で予定している「ふるさとづくり整備事業」の財政支援について、内閣府が「引き続き所要の支援を行うべく、関係機関と調整する」としたことや、防衛省が「ブルービーチ訓練場で米軍が使用していた場所のうち、一カ所を活用して整備し、ヘリパッドは撤去可能なものとする。ヘリ訓練による航空機騒音は地元の要望を踏まえ、騒音の調査を実施する」と説明があったことを報告。

 

 

 

 その上で、儀武町長は「大変苦渋の選択であるが、約六十ヘクタールの基地の整理・縮小が進み、跡地利用事業で基地依存経済から脱却して自立経済を進めることにつながる」として、返還条件を受け入れると述べた。

 

 

 

 議会後の会見で、儀武町長は「百パーセントではないが、ベターな選択だと思っている」と話し、今後、地域住民や町民に十分な説明を行い、跡地利用の推進を進めていくとした。

 

 

 

 ギンバル訓練場の跡地利用事業を二〇〇八年度予算概算要求に盛り込むとする内閣府沖縄担当部局の文書と、ヘリパッド移設後の周辺住民の生活に配慮するとした防衛省の通知があったことを受け、儀武町長は十一日、「判断材料は整った」との意向を固め、議会関係者などに伝えていた。

 

 

 

 返還条件のブルービーチ訓練場へのヘリパッドの移設をめぐっては、一九九六年と二〇〇六年に隣接する並里区が移設に反対する決議をしている。

 

 

 

 同区の与那城直也区長は「町から正式な説明を受けていない」とした上で「今後区として行政委員会を開いて対応を協議したい」と話した。

 

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706121700_01.html

 

 

 

2007年6月12日(火) 夕刊

 

 

 

那覇市長「大変遺憾」/辺野古海自投入

 

 

 

 翁長雄志那覇市長は十二日の市議会六月定例会で、那覇防衛施設局による名護市辺野古での米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けた現況(事前)調査に、海上自衛隊が掃海母艦「ぶんご」や潜水要員を投入したことについて「大変遺憾である」との見解を示した。

 

 

 

 また、陸上自衛隊の情報保全隊が特定の個人や市民団体などの活動を監視・調査していたことについて「大変残念なこと。(方言の言論弾圧など)県民の歴史体験から踏まえると反省しなければならない」として、「自衛隊に話をする機会がある時は話をしていきたい」と述べた。

 

 

 

 米軍再編促進特措法の成立については「大変遺憾である。沖縄戦と米軍支配を経験した県民感情への配慮と県民的合意もなく成立し、SACO(日米特別行動委員会)の合意に比べると問題解決について若干後退した感は否めない」と見解を述べた。

 

 

 

 古堅茂治氏(共産)の代表質問への答弁。

 

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706121700_02.html

 

 

 

2007年6月12日(火) 夕刊 5面

 

 

 

米軍燃料流出に抗議決議/嘉手納・北谷町議会

 

 

 

 【嘉手納・北谷】米軍嘉手納基地で大量のジェット燃料が流出し、地元への連絡が遅れた問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)と北谷町議会(宮里友常議長)は十二日午前、それぞれ臨時会と六月定例会本会議で、米軍に事故原因の究明と調査結果の公表、再発防止の徹底、迅速な情報開示などを求める抗議決議と意見書を、全会一致で可決した。

 

 

 

 嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長らはその後、嘉手納基地に在沖米空軍第一八航空団のダニー・ジョンソン広報部長を訪ね、ブレット・ウィリアムス司令官あての抗議文を手渡した。

 

 

 

 流出現場を視察した田仲委員長らは「タンク周辺の芝生が枯れており、かなりの量が流出していたことを物語っていた」と指摘し、あらため環境への影響に懸念を示した。

 

 

 

 ジョンソン広報部長は「燃料流出は残念だ。環境汚染や事故原因の調査結果を公表するかどうかは上級司令部で検討中」と述べ、通報の遅れについては「基地外への影響はなく、(日本側への)通報は米軍の規則に従って実施した」と説明したという。

 

 

 

 嘉手納、北谷の両町議会の決議は、事故発生から四日間も燃料の垂れ流しを続ける一方、周辺自治体への連絡も一週間後だったことに関し、「到底容認できるものではない」と米軍を批判している。

 

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706121700_03.html

沖縄タイムス 関連記事・社説(6月10日、11日)

2007年6月10日(日) 朝刊 25面

 

歴史 消させない/真実 次の世代へ

 

 「沖縄戦の書き換えは絶対許せない」「悔しくて、居ても立ってもいられない」。九日、那覇市の県庁前県民広場で開かれた、「沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」には「集団自決」体験者をはじめ沖縄戦体験者や若者も多数参加し、怒りの声を上げた。壇上でも日本軍から手榴弾を渡された体験者が証言し、「集団自決」犠牲者の孫が決意表明するなど文科省に検定意見の撤回を求める熱気に包まれた。集会後には国際通りをデモ行進し検定に反対の声を上げた。

 

                    

 

生存者、孫のために証言/検定に怒り熱気あふれ

 

 「腹が立ってしょうがない。教科書書き換えを許してはいけない」と憤る池原利江子さん(84)=那覇市=は渡嘉敷の「集団自決」から生き延びた。弟の持っていた手榴弾が爆発しなかったため、池原さんの家族は死ななかった。しかし、隣で輪になっていた父のいとこの家族は十数人、叔母一家は六人全員、数え上げればきりがないほど親せきたちが命を落とした。「島から復員した兵隊だってみんな(斜面の)上の方から見ていたから知っている。それなのに」ごまかそうとする国の姿勢に怒りが込み上げてくる。

 

 「自分の人生は短いが、孫やひ孫に事実を伝えなければいけない」。腰が悪く遠出は難しいが、声を上げるために可能な限り出掛けていく。

 

 慶留間の「集団自決」体験者の與儀九英さん(78)=沖縄市=は、「血の海の悲惨な話はもういい」と実体験については、あまり触れない。が、米軍上陸の一カ月半前に、日本軍の戦隊長が、集落の全員に「全員玉砕あるのみ」と力強く訓示した、と証言する。軍が狡猾に「自決」に追いやった手口を今のうちに残しておかねば、危機感を訴える。

 

 座間味から参加した宮村肇さん(53)は、体験世代ではないが「すごく腹立たしい。悔しい」と国の姿勢に怒る。体験者の島のお年寄りたちは教科書の書き換えを「ばかにしている」と怒っている、という。

 

 島袋浩さん(74)=豊見城市=は戦時中は疎開していた。弟は対馬丸で亡くなった。「当時は怖くても、行かないと言えなかった。あれも強制だったんだ」と、振り返る。最近の戦前回帰の風潮を恐れ「教科書だけでなく世の中おかしくなってきた。意思表示しなければ」。教員を目指して勉強中の宜野湾市の比嘉徳史さん(26)は「歪曲された事実を子どもたちに教えたくない」と参加。「本土の人たちも同じ気持ちが持てるよう、声を伝えたい」

 

祖父母は生きたかったはず/犠牲者の孫・宮城千恵さん

 

 「祖父母は死にたくて死んだというのですか」。渡嘉敷島で起きた「集団自決」犠牲者の孫で、南風原高校教諭の宮城千恵さん(48)は登壇し、「本当は生きたかったはずの祖父母のためにも、歴史の書き換えは許さない」と語った。

 

 宮城さんの母方の祖父母は、渡嘉敷島で「集団自決」の犠牲となった。当時、ずいせん学徒隊の動員で本島にいた母は戦後も両親の死を知らず、何度も手紙を書き続けたという。

 

 多くを語らなかった母から詳しく話を聞いたのは約二十年前。宮城さんはそれを基に紙芝居を作り、留学先の北アイルランドやハンガリーなどで子どもたちに読み聞かせる活動を続けた。

 

 宮城さんは「多くの子が、愛する家族同士がなぜ殺し合ったのか理解できない様子だった」と振り返る。

 

 「沖縄戦体験者がどんどんいなくなっていくという焦りもある。事実をしっかり若い世代に伝え、命の大切さを訴えたい」

 

 その思いから絵本制作を思い立った。母の体験を基にした英語の絵本「沖縄からの手紙」を七月に出版する。一度も会うことのなかった祖父母に思いを込めて作った。

 

 「この世に肉親同士が手をかけ合うほど、悲しいことはない。小さな島で起こった悲惨な出来事を世界中に知らせ、戦争をなくすきっかけにしたい」

 

「手榴弾渡された」/瑞慶覧さん体験を証言

 

 県民大会で社大党顧問の瑞慶覧長方さん(75)が自決用に日本軍から手榴弾を渡された自身の体験を証言した。

 

 太平洋戦争最中は国民学校の六年を終えたばかりで十三歳だった。

 

 戦時中は校舎を日本軍に接収され、公民館へ移ったがそこからも追い出された。授業どころではなかった。学徒動員で、軍の防空壕を掘った。

 

 五月二十三日。大里村のひめゆり学徒隊の隣の壕に身を寄せていたが、軍によって追い出された。それから約一カ月半、玉城、東風平、摩文仁と激戦地の中をさまよった。まさに鉄の暴風だった。

 

 六月十七日には現在の糸満市、旧真壁村で壕を掘った。当時は学校でもどこでも皇民化教育が徹底されていた。天皇の子である日本人が、もし米軍の捕虜にでもなったらこれ以上の恥はない。だからいざというときには、自分で決死しなさいということで、日本軍から手榴弾を二個渡された。

 

 知人の防衛隊が直接受け取った。うち一個が年長の自分に渡され、もし米軍が来たら壕の中の仲間十七人と一緒に自決しなさいと、その時を声を潜めて待っていた。幸い米軍は来ず、われわれは命拾いをし死体の中をくぐって真壁を突破した。

 

 手榴弾は、軍の武器だ。それを軍が渡した。どんなことがあっても国民として敵の捕虜になるな、なるぐらいなら自決せよ。これが軍、国の命令だった。

 

 皇民化教育は徹底されていた。大半の住人が捕虜になるよりはと、「集団自決」、「自決」に追い込まれた。

 

 六月十九日朝、現在の平和祈念資料館の東側。住人を救うために捕虜になった沖縄の人が壕に来た。しかしその人まで日本兵が虐殺するという大変恐ろしい状況を目撃した。われわれは何度も軍命による自決を選ぼうとしたが、何とか終戦まで生き抜いた。

 

 教科書から歴史を歪曲しようとする国の動きに対し断固として反対していかなければならない。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706101300_02.html

 

2007年6月10日(日) 朝刊 1面

 

辺野古沖調査を再開/普天間移設

 

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブへの代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局は九日、一時中断していた機器設置作業を再開した。

 

 五月二十日以来で、海生生物の藻場の利用状況などを調べる水中ビデオカメラや海象調査機器を設置した。

 

 一方、調査に反対する市民団体のメンバーらはカヌーを繰り出し、調査ポイント周辺で作業船にしがみつくなど阻止行動を行った。施設局は十日も作業を継続する。

 

 九日午前七時すぎ、施設局がチャーターした作業船や警戒船が海域での作業を始めた。海上保安庁の巡視船など五隻が沖合に展開し、ゴムボートなど約二十艇を出して警戒に当たった。

 

 午後零時半ごろ、辺野古崎沖合では作業船が水中ビデオカメラとみられる機器をクレーンで下ろし、ダイバーらが固定するための土のうや鉄筋などを持って潜水を繰り返していた。

 

 ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「海上自衛隊投入に続き、自制していた週末の作業実施など国は何でもありで進めようとしている。海保が反対派の船だけ毎回検査し、足止めするのは公平な法の執行ではない。海保への抗議も検討する」と険しい表情で述べた。

 

 五月十八日から二十日の作業では、サンゴの産卵を調べる着床具が生きたサンゴの一部を損傷したことが確認され、市民団体などが作業中止を訴えていた。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706101300_03.html

 

2007年6月11日(月) 朝刊

 

ギンバル跡地 概算要求/08年度予算

 

内閣府、島田懇活用/近日中 金武町に伝達

 

 【東京】内閣府沖縄担当部局は十日までに、金武町米軍ギンバル訓練場の跡地利用事業と、同訓練場に近接する自然・文化・生活の体験学習拠点「ネイチャーみらい館」(仮称)の整備事業を、二〇〇八年度予算概算要求に盛り込む方針を固めた。両事業の財源となる「米軍基地所在市町村活性化特別事業」(島田懇談会事業)は本年度で期限が切れるが、「継続的措置」の位置付けで国の九割補助の適用継続を財務省に求める。近日中に町側に文書で伝達する。これを受け、儀武剛町長は早ければ十二日に開会する六月定例会冒頭の行政説明で、ギンバル返還条件の受け入れを表明する意向を示している。

 

 島懇は全三十八事業のうち、〇八年四月完成予定の「みらい館」だけが継続案件として残っている。所管の内閣府には「予算を打ち切るわけにはいかない」(幹部)との判断がある。

 

 ギンバル跡地利用では、町がすでに「金武町ふるさとづくり整備事業」を策定。がん検診・治療施設を備えた先端医療センターや長期滞在型リゾートホテルなどの集積を計画している。島懇で約七十五億円の補助を想定する大規模開発のため複数年事業となることが避けられず、儀武町長は五月三十一日、内閣府に島懇の継続を求めていた。

 

 町側の要望に内閣府は「跡地利用が島懇の期限に間に合わなかったのは金武町の怠慢ではなく、ギンバルの返還遅れという特殊事情があったから。財政当局もそこは理解している」(別の幹部)と説明。〇八年度予算概算要求で、同事業の調査費や実施設計費などを盛り込む方針だ。

 

 内閣府のこうした対応を受け、儀武町長は跡地利用の財源が確保できたと判断。日米がギンバル返還の条件とする「ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の米軍ブルービーチ訓練場への移設」の受け入れ表明に踏み切る。

 

 ただ、移設条件には地元の並里区が反発を続けており、儀武町長は「受け入れ表明後に区と協議したい。防衛省にもヘリの騒音や飛行ルートで住民に配慮するよう求めている」としている。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706111300_01.html

 

2007年6月11日(月) 朝刊 19面

 

辺野古 連日の調査/普天間代替

 

 【名護】米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けた名護市キャンプ・シュワブ沖での現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局は十日、機器の設置作業を実施した。五月二十日以来の作業再開は今月九日に続き二日目。同施設局は機器の設置作業が若干残っているため、天候を見ながら十一日も継続するかを決める。

 

 同施設局は午前八時すぎからチャーターした作業船で、海域での作業を開始。海生生物の藻場の利用状況などを調べる水中ビデオカメラや海象調査機器のほぼすべてを設置した。

 

 周辺には海上保安庁の巡視船三隻が沖合に停泊し、ゴムボートなど約十数隻が警戒に当たった。

 

 一方、基地建設に反対する市民団体メンバーらは小型船三隻やカヌー十一艇で阻止行動を展開。調査機器の設置場所をふさいだり調査船にしがみついたりした。

 

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は「物量作戦で、これまで自制していた週末も作業をするなど、国はなりふり構わずやってきている。私たちの船が出航する前に乗船名簿の提出などを求められたが、法的根拠がない。圧力に屈せずに、平和を訴えたい」と硬い表情で話した。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706111300_07.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月11日朝刊)

 

[検定撤回決議]

 

歴史の事実を直視せよ

 

 文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとする記述が削除・修正されたことに対し、県内で反発や怒りの声が高まってきた。

 

 沖縄戦では住民を巻き込む激しい地上戦が展開され、その渦中で「集団自決」が起きた。極限状況下の集団自決は沖縄戦の実相を象徴的に伝える。

 

 なぜこのような惨劇が起きたのか。後世に生きる私たちは何度も問い返していかなくてはならない。

 

 教科書検定での日本軍関与の記述削除などに抗議する「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」(主催・同実行委員会)が開かれ、検定意見の撤回を求める大会決議を採択した。

 

 大会決議では沖縄戦の「集団自決」が「軍による強制・強要・命令・誘導等」によって引き起こされたことは否定できない事実だと強調。事実がゆがめられることは、悲惨な地上戦を体験し筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられてきた沖縄県民にとって到底容認できるものではないと批判している。

 

 文科省は記述修正・削除の主な理由として、大阪地裁で名誉棄損をめぐって係争中の「集団自決」訴訟を挙げていると指摘し、その主張が沖縄戦の全体像を表しているはずがないと反論。

 

 決議では、歴史教科書を通して沖縄戦の実相を正しく教え伝え、悲惨な戦争が再び起こることがないようにしなくてはならないと訴え、「集団自決」に関する教科書検定意見をただちに撤回するよう強く求めている。

 

 同決議によると、六月八日現在で那覇市など二十市町村が教科書検定に関する意見書を採択している。県内四十一市町村で削除・修正反対の意見書が採択される予定だ。今回の県民大会では、県議会に対しても民意を踏まえた意見書を採択するよう求めた。

 

 県議会では最大会派の自民党内で意見が分かれている。意見書の採択に賛同する意見がある一方で、「軍命の有無に対する事実関係が確かではない」「意見書は司法への政治介入になる」など反対意見も強いようだ。

 

 だが、沖縄戦の「集団自決」の舞台は係争中の渡嘉敷島だけではない。この裁判で、県内で起きたすべての「集団自決」に対する日本軍の関与の有無が争われているわけでもあるまい。

 

 歴史的事実を直視すべきだ。裁判の一方の主張を根拠に、すべての「集団自決」への軍関与を全否定できるはずがない。検定意見の問題点である。

 

 戦後生まれが増える中で、沖縄戦の記憶をどう継承していくのか、党派を超えて継承すべきは何か、県民一人一人が正面から向き合う必要がある。

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070611.html#no_1