ハワイF15墜落 嘉手納に同型3機など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(2月4日から7日)

2008年2月4日(月) 朝刊 20面

消えた母校の名 復活を/同窓生、石碑建立へ

楚邊尋常小學校・國民學校の足跡残そう

 沖縄戦の影響で名前が消えた「楚邊尋常小學校・國民學校」の「足跡」を残そうと、同校の同窓生ら約二百三十人が石碑の建立に向けて活動している。一―九期生の代表二十人は三日、那覇市内で第一回の石碑建立委員会を開き、山城宗一郎委員長(79)は「石碑を建立することで、思い出を後輩たちにつないでいきたい」と、同窓生らに協力を呼び掛けている。

 楚邊尋常小學校・國民學校は、一九四〇年に旧真和志村、現在の那覇市立城岳小学校がある場所に開校。戦時中の四四年、日本軍に野戦病院として接収された。

 戦後、糸満市摩文仁に再建されたが、占領していた米軍キャンプの移動に伴って移転を繰り返し、四九年に那覇市与儀に移ったことで現在の与儀小学校の前身となった。

 「楚邊尋常小學校・國民學校跡」の石碑は、市の許可を得て城岳小学校の敷地内に建立、三月中の完成を目指す。

 山城委員長は「海軍で終戦を迎えた。戦後、食うために精いっぱいのうちに、いつの間にか母校の名前が消えてしまっていた」と振り返る。

 同会の大城盛昌さん(74)は「一時は千人以上の生徒がいたマンモス校。名簿から漏れている同窓生はぜひ連絡を」と求めた。

 問い合わせは同会・長嶺、電話098(884)9851。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041300_02.html

 

2008年2月4日(月) 朝刊 21面

疎開語り 非戦を誓う/宮崎の受け入れ先市民・県内体験者

 沖縄戦時の県外疎開の様子を調べようと、疎開先だった宮崎県都城市の戦争体験者ら日本中国友好協会の会員が三日、那覇市内のホテルで疎開体験者の話を聞いた。同協会都城支部が企画する平和事業などで、沖縄戦の実態を紹介するために交流を深めようと訪れた。

 疎開体験を話したのは、一九四四年から四五年にかけて県内から同市周辺に疎開した小波津厚明さん(77)=南城市=と玉那覇良康さん(68)=宜野湾市。

 疎開先に食料や住居は準備されておらず、栄養失調になり「食べられる物が落ちていないか」と、いつも下を向いて歩いていたこと、風呂のない公会堂などでの生活が続き、皮膚病や体のにおいに悩まされたこと、慣れない寒さにも苦しんだこと―などを語った。

 一方で、地元の住民が乏しい食料の中から差し入れをくれたことや、小波津さんの疎開先だった同県日之影町の日之影小学校(当時は岩井川村・岩井川国民学校)には疎開記念碑が建ち、疎開した九月八日を「友情の日」として、小波津さんらによる戦争についての授業が続けられていることなども紹介した。

 同協会の田中義教理事長は「沖縄戦もそもそもの始まりは日中戦争だった。私たちは、両国間で二度と戦争が起きないようにと民間交流を続けている」と話し、「日中戦争や沖縄戦の実相に蓋をしようとする動きが強まる中で、事実は事実として残し伝えようと訪れた」と話した。

 小波津さんは「県外疎開は沖縄戦に備え、日本軍が県内の口減らしを目的に推し進めたことは、私の記憶でもはっきりしている。沖縄戦の美化は許されない」と訴えた。

 同協会都城支部では毎年「平和のための戦争展」を行っており、今後、沖縄からの疎開を含めた沖縄戦の実相を紹介したいという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月4日朝刊)

[またもF15墜落]

政府は深刻さ認識せよ

 米ハワイ州空軍所属のF15戦闘機が訓練中、オアフ島南約百キロの海上に墜落した。

 F15といえば、二〇〇七年十一月に米ミズーリ州で墜落事故を起こし、構造上の問題が明らかになったばかり。しかも米軍は、原因究明のため同型機の飛行を停止したのもつかの間、事故調査も終わらないうちに点検済みのF15の飛行を再開、その直後に新たな問題が見つかって再停止に追い込まれるなど、対応が二転三転した。

 事故が住民の不安を募らせ、事故後の対応が米軍への不信感を一層かき立てた。このようなケースは復帰後初めてだ。過去に例のない異常な展開の中で、またもF15の墜落事故が起きてしまったのである。

 政府は事態を深刻に受け止めるべきだ。住民の不安を解消することは政府の義務である。

 F15に一体、何が起きているのか。問題を整理するため、昨年十一月以降の動きを年表風に追ってみたい。

 ▽昨年十一月二日、米ミズーリ州でF15戦闘機が空中戦闘訓練中に墜落。「構造上の問題が発生した可能性がある」として米空軍は、四日から嘉手納基地のF15を含む同型機の飛行を全面停止した。

 ▽嘉手納基地報道部は十一月二十一日、点検を終えたF15の飛行訓練を二十六日から順次再開する、と発表。詳しい事故原因が明らかにされないまま、地元自治体の反対を押し切ってF15の飛行が三週間ぶりに再開された。

 ▽米空軍は同二十八日、事故調査で新たな問題が見つかったため、最新鋭のE型機を除くすべてのF15について飛行を再停止すると発表した。機体構造を支える「ロンジロン」と呼ばれる縦通材の亀裂は嘉手納基地のF15からも見つかっている。

 ▽嘉手納基地報道部は〇八年一月十日、点検を終えた一部F15の飛行を十四日から再開すると発表。縦通材の厚さが規定に達していないF15の飛行停止措置は継続される、と説明した。

 老朽化したF15には、米軍でさえ事態を深刻に受け止めるほどの、構造的な欠陥があったのだ。

 嘉手納基地のF15は、大半がミズーリ州で墜落事故を起こしたC型で、ハワイ州オアフ島沖に墜落したD型も一部配備されている。

 であれば、何よりもまず嘉手納基地所属のすべてのF15を再度、飛行停止することが必要だ。

 飛行停止と再開の繰り返しは、住民の不信感を高めるだけである。政府に対しては、住民の撤去要求を踏まえ、毅然とした対応を求めたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080204.html#no_1

 

琉球新報 社説

F15墜落 不可解な欠陥機の野放し

 墜落事故が絶えないというのに、どうして日本政府は米側に強く迫れないのだろう。「安全に留意を」などでなく、「飛行を止めろ」ではないのか。重大な欠陥が明らかな戦闘機を、沖縄を含む国内で野放し状態にする理由が分からない。

 米メディアによれば、ハワイ州オアフ島沖の海上で1日、2機で空中戦闘訓練中だった米空軍ハワイ州兵部隊所属のF15D戦闘機(2人乗り)の1機が墜落した。操縦士は脱出して無事だったが、危うく惨事になるところだった。

 操縦士の話だと、機体が操縦不能になり、機械上の何らかの故障が発生した。その通りであれば、操縦ミスなどではなく、機体そのものに大きな欠陥があったことになる。米軍は事態を重大かつ深刻に受け止め、F15すべての飛行を直ちに中止すべきだ。

 F15については昨年11月の米ミズーリ州での墜落事故を受け、全F15の飛行停止措置が取られた経緯がある。その後、米空軍の調査で、保有する全F15のうち9機(うち2機は嘉手納基地所属)で機体の構造を支える縦通材に亀裂が見つかった。およそ4割は縦通材の厚さが規定に達していないことも判明している。

 ところが米軍は、ことし1月中旬から嘉手納基地でF15の飛行を再開し、周辺住民が不安と怒りを募らせていた。飛行再開に当たって空軍は「指定された点検を完了し、製造元の規定を満たした」と説明したが、少しも信用できないことが、今回のハワイ沖の事故で明白になった。

 根拠のない「安全宣言」で飛行を強行してきた米側は論外だが、これに強く抗議できない日本政府の姿勢も問われる。外務省は、駐日米大使館を通じて「F15の飛行に際しては安全に十分留意するよう伝えた」としているが、その内容では不十分である。基地周辺住民は納得しないだろう。

 米政府が「F15はもう安全」と言い張るなら、まずはホワイトハウス(米大統領府)やペンタゴン(国防総省)上空で、少なくとも1年以上、飛び交ってもらおう。そうも言いたくなる。

 いずれにしても、墜落事故が再び起きたということは、F15は安全でなかったという証しであり、政府は米側に明確な説明を求めてしかるべきだ。その説明も引き出せずに、欠陥機を野放しにされては住民はたまったものでない。

 沖縄は半世紀余にわたり、米軍の戦闘機やヘリコプターなどの墜落におびえてきた。実際、悲惨な事故も何度か起きている。異常な状態は1日も早く脱しないといけない。基地周辺住民の訴えを政府は正面から受け止め、今度こそ米側に「欠陥機撤去」を強く迫ってもらいたい。

(2/4 9:54)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31059-storytopic-11.html

 

2008年2月4日(月) 夕刊 5面

嘉手納に同型3機/ハワイF15墜落

 【嘉手納】米ハワイ州のオアフ島の南約百キロの海上で一日午後(現地時間)、ハワイ州空軍のF15戦闘機が墜落した問題で、米軍嘉手納基地報道部は四日午前、沖縄タイムスの取材に対し、同基地に事故機と同型のD型(二人乗り)が三機配備されていることを明らかにした上で、「通常の訓練は続ける」と回答した。飛行停止措置は取らず、訓練を継続する方針を示した。

 同基地では事故原因について「現在、調査中」としている。四日午前十一時現在、嘉手納基地ではF15の飛行や機体の移動、点検作業などといった目立った動きは確認されていない。

 同基地に隣接する沖縄、嘉手納、北谷の三市町には、米軍や関係機関から事故の詳細について、説明はないという。

 「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」の野国昌春会長(北谷町長)は「昨年の米本国での墜落事故でF15の欠陥が明らかになった。F15は世界中で事故を起こしており、型式に関係なく機体そのものに問題があるのではないか。もはや、撤去以外に周辺住民が安心して生活できる方法はない」と語気を強めた。


空自も通常通り


 【東京】米ハワイ州オアフ島の南約百キロの海上でハワイ州空軍のF15戦闘機が墜落した事故で、航空自衛隊は保有するF15について、四日午前も通常通り飛行訓練を実施している。事故後の対応について防衛省航空幕僚監部(空幕)は「事故原因など詳細を確認中で、運用をどうするかについて今の段階では何とも言えない」としている。

 空幕によると、訓練がない土・日曜日も運用に変化はなく、領空侵犯などの警戒(アラート)任務で対応していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041700_02.html

 

2008年2月4日(月) 夕刊 5面

米軍関係犯罪63件/07年県警まとめ

復帰後2番目に少なく

 二〇〇七年に摘発された在沖米軍人、軍属らによる刑法犯は六十三件、四十六人だったことが、四日までに県警捜査一課のまとめで分かった。前年より六件(10・5%)の増加、十七人(27%)の減少で、摘発人数は本土復帰以降、二番目に少なかった一九九七年と九八年に並んだ。最少は米兵暴行事件(九五年)が起きた翌年の九六年で三十三人。

 〇七年の内訳は軍人が三十人、軍属が一人、家族が十五人で、このうち未成年は二十人だった。

 凶悪犯は六件六人で、前年より三件一人増。主な犯罪では、三月に北谷町で米陸軍軍属の息子=当時(19)=が自宅マンションから空気銃を発砲した殺人未遂事件のほか、十月に米軍嘉手納基地内に住む米軍人の息子=当時(21)=による強姦致傷事件などがあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802041700_03.html

 

2008年2月5日(火) 朝刊 2面

修正きょうにも提出/普天間アセス

 米軍普天間飛行場の移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書について、県が知事意見で「書き直し」を求めたことを受け、沖縄防衛局は五日午後にも方法書の内容を追加修正した資料を県に提出する。

 知事意見が求めた追加修正分の「公表」については、同局のインターネットのホームページに掲載するほか、県や同局などで「閲覧」できるように対応する。

 資料は方法書の第二章に当たる「対象事業の目的及び内容」と、第四章の「環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法」で内容を大幅に追加し、百九十ページに上る。そのほか別添資料を合わせると資料は計二百五十ページに上る見込み。

 閲覧場所は県や沖縄防衛局、同局の名護連絡所など計五カ所とする方向で調整を進めている。

 県は提出を受けて八日にも審査会を開く予定。審査会は複数回の審議を通して、事業の具体化に伴い、アセスの調査手法を最終決定するための意見を述べる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802051300_04.html

 

琉球新報 社説

岩国市長選 問われる「アメとムチ」政策

 米軍基地を抱える山口県岩国市の出直し市長選が告示された。米軍厚木基地(神奈川県)の米空母艦載機部隊を受け入れるかどうかが最大の争点である。

 米軍再編に伴い政府から新たな基地の負担を迫られ、民意に基づいて反対を貫こうとすると「アメとムチ」の政策が容赦なく降り掛かってくる。結果、受け入れの是非をめぐり地域や市民が真っ二つに分断され翻弄(ほんろう)される。

 わたしたちが過去に幾度か直面させられ、「苦渋の選択」を強いられたあの構図である。無関心ではいられない。

 選挙は、移転容認派が多数派を握る議会との対立から、民意を問うため任期途中で市長の職を辞した井原勝介氏と、移転賛成の立場から立候補した前自民党衆院議員の福田良彦氏による一騎打ちの争いである。

 艦載機の岩国への移転は、2005年秋の米軍再編の中間報告で明らかになった。これに対し、当時市長だった井原氏は受け入れを拒否。翌年3月に実施された住民投票では「反対」が約9割を占め、その直後の市長選では井原氏が容認派候補らに圧勝した。これだけでも、民意の所在がどこにあるかは明らかだ。なのに同じテーマを短期間に、なぜ3度も問わねばならないのか。

 理由は、米軍再編推進法に基づく交付金を盾に、要求を一方的に押し付けようとする政府の手荒な手法にある。

 既に建設に着手していた市庁舎の建て替えに対し、政府は、受け入れない限り補助金35億円は凍結すると、強権的な姿勢をむき出しにしてきた。「アメとムチ」のこの強引さは、政府が昨年、北部振興費を凍結した際に見せたのとまったく同一だ。

 政府に異議を申し立てるや、露骨な「兵糧攻め」に出る。地域の声を無視したこうした理不尽なやり方は、問題をこじらせ、政府への不信、ひいては防衛政策への不信を増幅するだけだ。

 今選挙では「最新の民意」と同時に、政府の姿勢や政策に対し市民の審判が下される。

(2/5 10:05)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31096-storytopic-11.html

 

2008年2月5日(火) 夕刊 1・5面

墜落同型F15飛行/嘉手納基地

 【嘉手納】米ハワイ州オアフ島南の海上で同州空軍のF15戦闘機が墜落した問題で、米軍嘉手納基地に配備されている事故機と同じD型(二人乗り)が五日午前、同基地を離陸した。二日(日本時間)の事故発生後、嘉手納基地でD型の飛行訓練が確認されたのは初めて。同基地報道部は事故原因について「調査中」としており、周辺自治体に詳細な説明がないまま飛行したことに対し、反発が一層強まりそうだ。

 F15D型は午前八時二十二分ごろ、同基地南側滑走路からアフターバーナー(推力増強装置)を使用して北谷町方向から沖縄市方向に向け、一機が離陸。

 約二時間後に帰還したことから、沖縄本島周辺で訓練を実施したとみられる。

 ハワイでの墜落事故を受け、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は五日午後、北谷町役場で幹事会を開き、今後の対応を協議する。

 野国会長は「事故の詳細が明らかにされない中で、嘉手納基地での同型機による訓練はあってはならないことだ。住民の不安を増長させることになる。なぜ飛行停止措置を取らないのか」と話した。

 嘉手納基地報道部によると、同基地にはD型が三機配備されているが、事故後の運用については「通常の訓練は続ける」とし、飛行停止措置は取らない方針。

 米空軍のF15をめぐっては、昨年十一月に米本国でC型が墜落。事故調査の過程で、ロンジロン(縦通材)の亀裂が主原因として浮かび、嘉手納基地所属機二機でも亀裂が発見された。

 この事故を受け、同基地所属機は約二カ月にわたって飛行を停止。ことし一月、安全性が確認された機体について飛行を再開したばかりだった。


     ◇     ◇     ◇     

「住民の命を軽視」/基地周辺怒りの声


 【中部】「墜落の危険があるのに、地元の声は届かないのか」―。米ハワイ州で墜落したF15戦闘機D型機(二人乗り)の同型機が五日午前、米軍嘉手納基地周辺で飛行した。事故原因は明らかにされず、再発防止策も示されない中、民間地上空を飛行するF15。墜落の危険と隣り合わせの生活を強いられる基地周辺の住民は「欠陥機は早急に撤去すべきだ」と怒りの声を上げた。

 米軍機の飛行ルート下にあり、昼夜を問わず米軍機の爆音が鳴り響く北谷町砂辺区。一月二十日に開いた騒音に抗議する住民大会の実行委員長を務めた松田正二区長は「住民の命を軽視していないか」と憤った。

 宅地や海に墜落する可能性がある中、住民は我慢の生活を強いられていると指摘。「米軍も住民集会を開催したことは知っているはずだ。私たちの声は届かないのか」と訴えた。

 F15の離陸を確認した同区の渡慶次保さん。「F15は何度も飛行停止措置を繰り返す欠陥機だ。私たちが声を上げなければ、何も変わらない。泣き寝入りしてはならない」と力を込めた。

 北谷町議会の照屋正治基地対策特別委員長は「外国であってもF15が墜落する度に、住民は人ごととは思えない。事故が頻発する中、なぜ飛行停止しないか」と米軍を批判した。

 「住民の不安を軽視した、軍事優先の運用だ」。嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は憤った。「嘉手納で運用されるC、D型機はいずれも墜落事故を起こしたばかり。住民の不安を解消するには撤去しかない」と訴えた。

 同町基地対策協議会の比嘉親紀顧問も、「何度も墜落しており、やはり欠陥機ではないか」と話した。

 沖縄市議会基地に関する調査特別委員会の与那嶺克枝委員長は「欠陥機であるF15は撤去するべきだと再三抗議してきた。事実関係などの情報を収集した上で、対応を協議したい」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802051700_01.html

 

2008年2月6日(水) 朝刊 1面

「集落上空飛行」を明記/普天間アセス

追加修正資料防衛局が提出

 沖縄防衛局は五日、米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見で「書き直し」を求められたことを受け、事業内容や調査手法を追加修正した資料(三百八十三ページ)を県に提出した。方法書本体の同項目の約三倍の分量に上る。飛行経路については「訓練の形態等によっては集落上空を飛行することもあり得る」と明記。護岸施設には、全長百九メートルのタンカーの燃料桟橋への係留のほか、周辺海域の警備などに当たる小型ボートの接岸を想定していることを明らかにした。県は八日に開く県環境影響評価審査会に諮る。

 追加資料は五日から十八日までの間、沖縄防衛局や県庁、名護市役所など県内五カ所で閲覧できるほか、沖縄防衛局と県のホームページに掲載。審査会での複数回の審議を経て方法書を最終決定する。

 追加資料によると、滑走路南側に配置する弾薬搭載エリアは約一万六千平方メートル。

 燃料桟橋付近には容量約三万キロリットルの燃料貯蔵施設を併設する。

 大型護岸に関しては、恒常的に兵員や物資の積み降ろしを行う「軍港機能」を否定する一方、航空機が故障した場合などに船舶を使用した輸送を実施する必要があるかも含め、米側と検討していく方針を示した。

 滑走路の幅は「代替施設で配備されるCH53など短距離で離発着できる航空機の所要に見合う」必要な幅として三十メートル、路肩幅を左右に各七・五メートル確保する方向で日米間で調整。飛行場面積は「陸上部・埋め立て部を合わせて概ね二百十ヘクタール」を見込んでいることを明らかにした。

 また、審査会への説明で県内から確保する意向を示していた埋め立て土砂については「県内の海砂等の購入のほか、県外からの調達等も含め、具体的に検討を行う」と修正した。

 追加資料は方法書の第二章に当たる「対象事業の目的及び内容」と、第四章の「環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法」の部分。別添資料(百九十二ページ)を合わせると計三百八十三ページ。別添資料では、普天間飛行場の運用条件を基本にした航空機騒音予測図(騒音予測コンター)も提示している。


円滑に進めたい

真部沖縄防衛局長


 沖縄防衛局の真部朗局長は五日、「県に報告した資料について丁寧に説明し、理解を得るとともに、知事意見を勘案し、住民等の意見にも配意して環境影響評価手続きを円滑かつ適切に進めたい」とのコメントを発表した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802061300_02.html

 

2008年2月6日(水) 朝刊 25面

膨らむ機能 懸念続々/防衛局追加資料

 「集落上空の飛行もあり得る」。沖縄防衛局は五日、県に提出した資料で、米軍普天間飛行場代替施設の飛行パターンを明らかにした。大型護岸や燃料貯蔵施設の能力も判明。情報が出るたび膨らんでいく基地機能に、地域住民や市民団体は「アセスのやり直しを」と求めた。

 騒音被害への懸念が増す名護市東海岸。二見以北十区の会の渡具知智佳子共同代表は「必要性があれば飛ぶということは、米軍の都合でいつでも飛べるやりたい放題の状況になる」と、不安を隠さない。桟橋の設置など、「基地の中の大浦湾になってしまう。アセスの形だけが進んでいくのが怖い」と嘆いた。

 ジュゴン訴訟の原告で、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は、「燃料用タンカーがどの海域を通るのか、燃料貯蔵施設からの流出防止策、航空機洗浄剤や水の量、環境対策」と、懸念材料を列挙。「追加で出すような軽い内容ではない」と防衛局の対応を批判した。

 世界自然保護基金(WWF)ジャパンの花輪伸一さんは、知事意見が求めたジュゴンの「複数年」調査に触れていないことを問題視する。「環境省や防衛省が調査を重ねても個体数さえ分からないのに、一年の調査で基地の影響が予測できるはずがない」と断じた。

 防衛局は、追加資料の「閲覧」は環境影響評価(アセスメント)法に基づく「公告縦覧」ではないとの見解で、期間を二週間に限り、市民の意見も求めない。同日、同局に申し入れをした「辺野古新基地建設を許さない市民共同行動」の伊波義安共同代表は「あまりに一方的で、住民の意見を反映させるアセスの原則を骨抜きにするやり方。徹底的に追及していく」と語気を強めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802061300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月6日朝刊)

[岩国市長選挙]

国の基地政策が争点に

 在日米軍再編に伴う米空母艦載機部隊の岩国基地移転問題を争点に三日告示された山口県岩国市長選は、十日投開票される。

 移転に反対する前市長の井原勝介氏(57)が「民意を問いたい」といったん辞職し、再出馬して行ういわば出直し選挙。移転容認派からは新人で前自民党衆院議員の福田良彦氏(37)が立候補し、文字通り市を二分した一騎打ちが繰り広げられている。

 井原氏は市町村合併前の旧岩国市長時代、艦載機移転の賛否を問う住民投票を行い、反対が89%と圧倒的な支持を得ている。そして合併に伴う二〇〇六年四月の市長選でも移転計画撤回を市民に訴え、新岩国市の市長に就いた。

 しかし、〇六年末、移転計画反対を理由に国は市庁舎建設費の補助金をカット。昨年十月には米軍再編交付金の対象除外となって事実上の“兵糧攻め”を受け、さらに現実的対応を求める市議会との対立で辞職による出直し選挙に打って出た。

 これに対し、基地との共存を訴える容認派は、政府・与党とのパイプ役を期待する福田氏を擁立。基地の軍民共用化などを掲げ、岩国市の経済再生を目指している。

 ところで岩国市の戦後の歩みを見ると、基地に翻弄された沖縄の姿とダブって見える。

 岩国市は終戦間際、米軍の空爆で多くの市民が犠牲になり、終戦後は米軍が駐留し、朝鮮戦争、ベトナム戦争の出撃拠点となった。一方では、米軍基地から派生する騒音被害をはじめ事件、事故が住民に反基地の意識を芽生えさせ、出直し選挙の背景にもなっているように思える。

 今回の市民の投票結果によっては、岩国移転計画のみならず在日米軍再編の行方をも大きく左右することは確実だ。

 岩国市の将来だけでなく、当然、沖縄の基地問題にも大きく波及する。それだけに一地方選挙としてでなく、国の基地・安保政策の在り方を問う選挙として岩国市民の選択に注目したい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080206.html#no_2

 

2008年2月6日(水) 夕刊 5面

ヘリパッド移設反対 住民座り込みDVDに記録

 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設に反対する座り込みに参加している比嘉真人さん(30)はこのほど、住民たちの座り込みの記録をDVD「やんばるからのメッセージ」にまとめた。県内外の集会などで上映され、高江の現状をアピールする活動に役立てられている。(新垣晃視)

 DVDは約二十分。座り込みが始まった昨年七月二日から、八月三十一日までの約二カ月間を収録。工事を進めようとする沖縄防衛局の職員と対峙する場面や、住宅地周辺を米軍ヘリが低空飛行する現状などを収めた。豊かな自然に囲まれ、平和に暮らしていた地元の生活が、移設計画で一変した現状を伝えている。

 沖縄出身の両親を持つ比嘉さんは、名古屋生まれ、東京育ち。ヘリパッドの問題は全く聞いたことがなかったが、二〇〇六年、高江区で座り込み運動をしている若者と東京で知り合い、初めて「事実」を知った。

 「沖縄にはよく行き来していたが、ヘリパッドのことは知らなかった。現場を見たいと思った」。工事が始まった昨年七月から、座り込みに参加し、最終的に沖縄に移住した。DVD制作には映像関係の職に就いていた東京での経験が生かされた。

 比嘉さんは「日米間で決めた合意で、小さい集落が翻弄されている状況を、多くの人に見てほしい」と話している。DVDは一枚千円で販売もしている。問い合わせはoracion@nohelipadtakae.orgまで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802061700_04.html

 

2008年2月7日(木) 朝刊 1面

「集団自決」で国提訴/「教科書検定は不当」

3月までに愛媛の市民団体

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」についての記述をめぐる教科書検定問題で、「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーが六日、県庁で記者会見し、「文科省の教科書検定は適正な行政手続きを欠いた不当な国家介入」として文部科学省などを相手に、三月までに行政訴訟を起こす考えを明らかにした。教科書執筆者以外が原告となり、教科書検定について行政訴訟を起こすのは初めて。

 同会は、「集団自決」への日本軍の強制を明示した記述を削除させた教科書検定で、文科省職員の教科書調査官が発案した検定意見が、実質的な審議もされず教科用図書検定審議会を素通りした実態を指摘。

 「文科省も私も口出しできない仕組み」とした伊吹文明文科相(当時)らによる説明との食い違いを挙げ、「(教科書)検定が、行政手続きの適正執行を求める法に反して行われたことが明らか」と主張、文科省に検定意見を無効にするよう求める。

 また、文科省の不当な検定を知りながら、それを改めるように要請せず、検定を経た教科書をそのまま採択したのは愛媛県教育委員会の不作為だとして訴えの対象にする予定だ。

 同会は、南京大虐殺や従軍慰安婦問題など日本軍の行いについて批判的な記述をした教科書を「自虐的」とする「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した教科書の、愛媛県教委による採択の取り消しなどを求めた訴訟を続けている。

 メンバーの一人、奥村悦夫さん(55)=同県西条市=は、「公の裁判が開かれることで、教科書検定制度の問題点がより明らかになり、国などが対応や制度を改善するきっかけになれば」と期待する。

 全国規模の原告団結成を目指しているといい、「沖縄県民は第一の当事者。私たちに気持ちを伝えてもらい、手を携えたい」と訴えた。

 問い合わせは同会事務局、電話090(2781)7055へ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071300_01.html

 

2008年2月7日(木) 朝刊 1面

知事・調査許可 示さぬ方針/きょう普天間移設協

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に関する政府と地元の協議会の第六回会合が七日夕、首相官邸で開かれる。昨年十二月十二日から約二カ月ぶりの開催。名護市キャンプ・シュワブ沿岸部での代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)調査に着手するための事務手続きを確認する。

 政府は円滑な調査実施に向けた理解と協力を求めるが、県は沖縄防衛局からアセス方法書に関する追加修正資料を五日に受け取ったばかりで、県環境影響評価審査会にもまだ諮っていない。仲井真弘多知事は「防衛省の対応を踏まえて法令に基づき適切に対応する」との姿勢を示すにとどめ、調査の許可の判断については明言しない方針だ。

 一方、島袋吉和名護市長、東肇宜野座村長は、アセス手続きが実施されている現状を指摘し、再編交付金の支給を同協議会で初めて要請する。しかし政府は、名護市と宜野座村が政府案(V字案)の沖合移動などの条件を付していることから困難との姿勢を変えていない。

 前回協議会では、石破茂防衛相が二月の調査開始に言及したが、県環境影響評価審査会の今後の開催状況が不透明なため、今回は時期について言及しない方針だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071300_04.html

 

2008年2月7日(木) 朝刊 2面

「普天間ブランド」確立を/跡地利用でフォーラム

 【宜野湾】米軍普天間飛行場の跡地利用に向けた県民フォーラム(主催・県、宜野湾市)が六日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた。沖縄国際大学講師の上江洲純子氏と前日本銀行那覇支店長の大澤真氏が、普天間の街づくりや沖縄振興などについて講演。街の“顔”を決めて「普天間ブランド」を確立するよう説いた。

 上江洲氏は、跡地利用を成功させるために人づくりの重要性を指摘。跡地は沖縄振興の貴重な空間と位置付け、行政から市民へけん引役がシフトする必要性を強調した。

 その上で、「大分県の湯布院といえば『温泉』というように、普天間といえば○○といわれるよう、街の顔を決めることが大切。人づくりのプロセスを財産にして『普天間モデル』の発信基地にしてほしい」と話した。

 大澤氏は、地権者が主体となった「街づくり株式会社」の設立を提案。東京都の田園調布が地価が高いことを紹介し、街の価値を高める「普天間ブランド」の確立を説いた。

 また、返還時期が決定した段階で地価が下落する可能性も指摘。「残された時間は少ない。街づくりは人づくりで、経営でもある。世界が注目するものができれば地価も上がり、振興にもつながる」と述べた。

 県民フォーラムは二〇〇四年度から始まり、今回で四度目。同飛行場跡地利用については、県と同市が〇六年二月に基本方針を策定し、〇七年五月には具体的な取り組み内容などを示した行動計画を了承した。本年度は跡地利用計画策定に向けた調査などを行っている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月7日朝刊)

[修正資料再提出]

まるで「後出し」の手法だ

 「最初のうすっぺら方法書は何だったばー」

 本紙に時事漫評を描いている砂川友弘さんは、沖縄防衛局が提出した米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書の追加修正資料をこう表現している。

 それはそうだろう。二〇〇七年八月、最初に県に送付された方法書は三百一ページしかなかった。内容の不備を指摘されて約百五十ページの追加説明書を提出したのは今年一月のことだ。

 それでも不備は目立ち、さらに追加修正したのが第二章の「対象事業の目的及び内容」と第四章「環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法」である。百九十二ページの別添資料を含めると三百八十三ページに及び、すべてを足すと約八百五十ページにもなる。

 追加資料は五日から十八日まで沖縄防衛局や県庁、名護市役所など五カ所で閲覧できるようだが、沖縄防衛局の手法には釈然としないものを感じる。

 環境への影響が懸念される内容は、方法書の作成段階から盛り込み、公告・縦覧に供した上で住民らの意見を聞くのがアセスの本旨だろう。

 そうはせずに、住民がこだわった「集落上空の飛行」をやっと明記し、タンカーが接岸できる護岸も初めて出した。深刻な問題なのに、住民の意見を聞こうとしないのも腑に落ちない。

 これでは、地域住民の声を封殺するばかりかアセス法の趣旨にも著しく反すると思うがどうか。

 しかも、地域住民が危機感を募らせている問題は最後まで伏せ、手続き上、県が容認するしかない時期を見計らって提示している。

 これでは、じゃんけんの「後出し」と言われても仕方がない。沖縄防衛局のやり方に県民は不信感を抱いていることを忘れてはなるまい。

 今回の説明を受け、県は調査を容認する構えだが果たしてそれでいいのだろうか。

 この問題では、サンフランシスコの連邦地裁が米国防総省に対し、基地建設によるジュゴンへの影響を考慮するよう求め、ジュゴンに関する環境影響評価文書の提出を求める判決も下している。

 環境問題に詳しい桜井国俊沖大学長は「今資料では、同地裁が要求するアセスのハードルは越えられない」と、厳しい見解を示している。

 であるなら、県は安易にGOサインを出してはならない。国内アセス法や米国の文化財保護法(別名・国会歴史保存法)の趣旨を踏まえれば、沖縄防衛局もまた住民の声に耳を傾けるべきだ。それこそが国の責務だと思う。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080207.html#no_1

 

2008年2月7日(木) 夕刊 5面

住民ら防衛省に抗議/東村高江区ヘリパッド建設

 【東京】米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設に反対する「ヘリパッドいらない住民の会」の安次嶺現達共同代表や「なはブロッコリー」の本永貴子代表らは七日午前、防衛省を訪れ、ヘリパッド建設の即時中止を要求した。

 安次嶺代表らは、ヘリパッド移設地区の近くに福地ダムなどがあることを指摘した上で「高江区と県民の水がめへの悪影響がともに心配される」などと訴え、同訓練場の全面返還も求めた。

 これに対し同省の担当者は、日米特別行動委員会(SACO)と日米合同委員会で建設に合意した経緯を説明し、建設中止は困難との姿勢を示したという。さらに、ヘリパッド運用に伴う騒音防止対策では、同区に騒音測定装置を設置する考えをあらためて示すにとどめたことから、住民らは「騒音被害は避けられない」などと非難した。

 要請には共産党の赤嶺政賢、社民党の照屋寛徳両衆院議員、山内徳信参院議員も同行した。要請団は同日午後、参院議員会館で集会を開き、現地での反対運動を報告。昨年九月から今年一月まで、衆参両院議長あてに集めた約二万人分の建設反対署名を、県選出国会議員に託す予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802071700_06.html

普天間爆音訴訟 結審など  沖縄タイムス・関連記事、社説、琉球新報 社説(1月31日、2月1日、2日)

2008年1月31日(木) 朝刊 29面 

普天間爆音訴訟 きょう結審

 【沖縄】米軍普天間飛行場の周辺住民四百人余りが国を相手に、米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めと約六億円の損害賠償などを求めた「普天間爆音訴訟」が三十一日午前、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で結審する。二〇〇二年の提訴から約五年半。同飛行場からの騒音と低周波音による健康被害を中心に立証してきた原告住民らは「裁判官は現実に目を向けてほしい」と強く訴えている。

 訴訟では同飛行場のヘリコプターから発生する騒音と低周波音による健康被害が最大の争点となっている。

 〇四年八月には、同飛行場に隣接する宜野湾市の沖縄国際大学にCH53Dヘリが墜落。同飛行場の危険性が浮き彫りになった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801311300_06.html

 

2008年1月31日(木) 朝刊 29面

埋め立て土砂 県外産も/普天間アセス防衛局が意向

 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)手続きで、沖縄防衛局が沖縄近海から採取するとしていた埋め立て用の砂を県外からも調達したり、建設残土も活用する意向を示していることが三十日、分かった。同局と調整している県環境政策課が、ジュゴン保護キャンペーンセンターの要請に明らかにした。

 同課によると、防衛局は知事意見で要求された方法書の「書き直し」資料の素案の中で、機種として同飛行場に駐留するヘリや小型機を新たに明記したが、「オスプレイは含まれない」という。

 同センターの海勢頭豊共同代表らは「書き直し資料に対して一般の意見を聞く期間を確保すべきだ」と要請。下地寛課長は「期限を設けることは想定していないが、資料公表から審査会まで数日の余裕を持ちたい」とした。

 同センターはこれに先立ち防衛局にアセスの透明性確保を求める署名の二次集約分四千三百二十二筆を提出。合計で五千七百五十四筆になった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801311300_07.html

 

2008年1月31日(木) 朝刊 29面

悲劇の島から史実訴え/座間味村が証言集

 座間味村教育委員会が沖縄戦で「集団自決(強制集団死)」を体験した住民らの証言などをまとめた「戦世を語りつぐ 座間味村平和学習ガイドブック」を発刊した。制作を委託された編集委員会が三十日、同村教委に引き渡した。沖縄戦の「集団自決」に対する日本軍の強制を示す記述を文部科学省が削除させた教科書検定問題が起きる中、「座間味での沖縄戦の真実を伝え続けよう」と編集作業は進められた。

 編集委員会は二〇〇六年十二月に発足し、同村で「集団自決」を体験した宮城恒彦さん(74)が委員長を務めた。沖縄戦を体験していない世代の編集委員が、体験者数十人から聞き取りをした。


改ざんNO


 同ガイドブックでは、座間味島の「集団自決」を「三月二十六日、米兵は大挙して住民のいる壕の近くまでやってきました。それを知った住民はパニック状態におちいり、(中略)死の道へと急いだのです」と書く。宮城さんは「抑えた表現にしたが、住民を『パニック』に追い込んだのは、日本軍の強制だったことは明白だ」と説明する。

 「『敵の手にとられないように玉砕するよう、軍より命令があった』と当時、村助役だった兄が父に話すのを聞いた」との宮平春子さんの証言を収録し、編集後記には「文部科学省による『高校の歴史教科書改ざん』に対する答えは、多くの証言者の声やこの冊子に記載された内容が証明しています」と記した。


改訂も検討


 編集委員の一人、宮里芳和さん(59)は「『軍から玉砕命令があった』との証言は複数あり、日本兵側からも軍命を示す証拠や証言が新たに得られ始めた」といい、同ガイドブックの改訂時に盛り込みたい考えだ。

 二千部を発刊した。修学旅行生の平和学習などに活用し、希望者には販売する予定。問い合わせは同村教委、電話098(987)2153へ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801311300_08.html

 

2008年1月31日(木) 夕刊 1・5面

原告「住民救う判断を」/普天間爆音訴訟

 【沖縄】米軍普天間飛行場の周辺住民三百九十六人が国を相手に、米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めと約六億円の損害賠償などを求めた「普天間爆音訴訟」の最終弁論が三十一日午前、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)であり、結審した。原告側は新垣勉弁護団長、島田善次原告団長の二人が最終意見陳述で「原告住民は一日も早い判決を願っている。裁判所は公平な立場で、被害者を救う判断を」と訴え、騒音被害の認定を求めた。一方、被告の国は最終準備書面で「飛行差し止めは認められない」と反論した。判決は六月二十六日午前十一時に言い渡される。

 原告住民は二〇〇二年十月に提訴。日本政府に加え、同飛行場のリチャード・ルーキング司令官(当時)を被告にし、全国で初めて基地司令官本人の責任を追及しようと試みた。

 司令官を被告にした訴えは同地裁沖縄支部で分離して審理されたが、一、二審とも棄却。最高裁も〇六年、「公務中の米軍人個人は日本政府が賠償責任を負う」として棄却したものの、原告は国を相手に騒音による健康被害を訴え続けてきた。

 原告住民と被告の国は、通常の騒音に加え、同飛行場のヘリコプターから発生する低周波音と健康被害の因果関係について対立。全国の基地公害訴訟で初めて裁判所による低周波音の現場検証が行われるなど、最大の争点となっている。

 この日、法廷で原告側の新垣弁護団長は「違法な爆音が周辺地域に届いているのは明らかで、住民の生活は確実に破壊されている。公害訴訟で個別の被害立証はされるべきでない。裁判所は周辺地域の共通被害に目を向け、判断の重要な基準にしてほしい」と訴えた。

 島田原告団長は「裁判中に起きた沖縄国際大学へのヘリ墜落事故は、最後の警告だ」と同飛行場の危険性を強調。「裁判所は原告の証言を聞き、現場検証を行った。現実に目をつぶるのは許されない。被害を受けている住民を救う判断を望む」と述べた。

 一方、国は提出した最終準備書面で、原告住民のうち、飛行場周辺で引っ越しを繰り返したなどの理由で、二十九人を特に「危険への接近」に該当するとして免責を求めた。

 また、広義の健康被害を訴える原告に対し、「身体的被害と精神的被害は同質でない」と主張。飛行差し止めは認められるべきでないと反論した。


基地の危険性「受け止めて」/伊波宜野湾市長


 【宜野湾】「普天間爆音訴訟」が結審したことについて、宜野湾市の伊波洋一市長は「原告らは墜落への恐怖や深夜・早朝の騒音被害を受けてきた。普天間飛行場は米国の安全基準に違反する危険な基地だ。裁判は返還にも大きな意義を持つ。司法はこの現状を受け止めてほしい」と話した。


     ◇     ◇     ◇     

「現状踏まえ判決を」/勝利信じる原告ら


 【中部】米軍普天間飛行場の周辺住民約四百人が、騒音の違法性を訴えた普天間爆音訴訟が三十一日、結審した。提訴から五年余り。那覇地裁沖縄支部では、同午前九時ごろから原告団や弁護団ら約二十人が雨の中、集会を開き、騒音被害を司法に届けようとシュプレヒコールを繰り返した。最終弁論で、意見陳述を終えた島田善次原告団長は「やっとここまできた。住民が実際に爆音にさらされている現状を踏まえ、判断してほしい。どのような判決でも、普天間に爆音がある限り闘い続ける」と訴えた。

 訴訟の最大の争点は、飛行場のヘリから発生する騒音や低周波音と健康被害の因果関係。住民は弁論で、健康状態や騒音の現状を訴え「静かな日々を返せ」と国に求めてきた。

 結審後、新垣勉弁護団長は「判決では、国は補償だけではなく騒音を軽減する義務があるという判断を示してほしい。国策の違法性を指摘し、行政を変えるのが司法の役割だ。国の姿勢が変わらなければ裁判は第二次、第三次と続いていく」と語気を強めた。

 騒音被害で苦しんでいる知花トシ子さん(73)=宜野湾市嘉数=は「戦争体験者として子や孫の代まで基地被害で苦しむ現状を放置する事はできない。裁判所は私たちの当然の権利を受け止めてほしい」と訴えた。

 国は爆音被害を知りながら転居したのではないかとする「危険への接近」を主張、損害賠償の免責や賠償の減額を求めている。

 国の主張に反論する森山用福さん(57)=宜野湾市真栄原=は息子の用輔さん(18)と傍聴。「親しみのある場所に住むのは家族の権利。私たちの生活から危険を取り去るのが国の責務だ」と強調。沖縄国際大学に通う用輔さんも「生まれた時から家の近くに基地があり、爆音を聞いている。住民の声が反映された判決を願っている」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801311700_02.html

 

2008年1月31日(木) 夕刊 4面

「集団自決」報道 本紙企画を表彰/新聞労連ジャーナリスト大賞

 【東京】新聞労連は三十一日、「第十二回新聞労連ジャーナリスト大賞」の授賞式を都内の文京区民センターで開き、沖縄タイムスの長期企画「挑まれる沖縄戦/『集団自決』問題キャンペーン」が受賞した。「集団自決」問題取材班の謝花直美編集委員が選考委員の藤田博司さん(元共同通信論説副委員長)から表彰状を受け取った。同賞を受賞した琉球新報取材班の教科書検定問題に関する一連の報道、朝日新聞連載「新聞と戦争」も表彰された。

 同賞は平和と民主主義の確立、言論や報道の自由などに貢献した記事、企画、キャンペーンを表彰する。今回は二十一件の応募があった。

 藤田さんは沖縄タイムスの受賞理由を「教科書記述の変更に猛烈に反発した県民の意思と、それを反映した粘り強い気迫に満ちた報道を評価したいと考えた」と説明。

 「集団自決(強制集団死)」問題キャンペーンを二〇〇五年六月から続けてきた謝花編集委員は「当初はこの問題を取り上げるメディアもなかったが、大阪『集団自決』訴訟、教科書検定問題に拡大して県内外に理解が広まった。検定意見の撤回を求める県民大会に十一万人余が集まるなど、県民とともにつくり上げたキャンペーンだ」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801311700_07.html

 

2008年2月1日(金) 朝刊 2・31面

普天間アセス方法書/追加資料4日に提出

 米軍普天間飛行場の移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書について、県が知事意見で「書き直し」を求めたことを受け、沖縄防衛局は四日にも、補足分をまとめた追加資料を提出する意向を県に伝えていることが三十一日、分かった。提出を受けて県は、八日に県環境影響評価審査会に諮る。

 沖縄防衛局は追加資料をインターネットで公表する方向で調整中。さらに県は、特定の場所での「閲覧」による公表も防衛局に求めており、実施される可能性もある。

 県は、追加資料について審査会で複数回の審査を経た後、早ければ二月の第三週にも再度、県の意見としてまとめる方針だ。追加資料の公表は、県も同時に行う予定。

 防衛局は先月二十八日、方法書の第二章に当たる「対象事業の目的及び内容」と、第四章の「環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法」の百五十ページ以上にわたる追加資料の素案を県に提出している。


     ◇     ◇     ◇     

沖縄弁護士会

アセス方法書「撤回を」


 沖縄弁護士会は(新垣剛会長)は三十一日、那覇市の弁護士会館で会見し、米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の方法書撤回・手続きやり直しと、泡瀬干潟の埋め立て事業計画の再考、工事の中止を求める両声明を発表した。

 声明は、普天間代替施設建設に伴う環境アセスについて「方法書の手続きが終了する前に、自然環境への影響が懸念される環境現況調査に着手している」と指摘。「沖縄防衛局は、環境影響評価法が定める手続きを形骸化し、法の趣旨を没却している」として手続きのやり直しを求めた。

 また泡瀬干潟について、「埋め立て着工後に新たに多数の動植物の新種が発見されるなど、環境アセスのずさんさが明らかになった」と指摘。経済予測が非現実的だったこととあわせ、「東門美津子市長が第一区域の工事推進を決めた判断には、合理性があるとはいえない」としている。

 沖縄弁護士会・公害環境委員会の加藤裕弁護士は「形式的な記載さえあれば違法にならないという環境影響評価法の欠陥があらわになった。法的な観点から、どうしたら実りあるものにできるかのケーススタディーになる」と話している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802011300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年2月1日朝刊)

[普天間爆音訴訟]

権利侵害を放置するな

 米軍普天間飛行場の周辺住民三百九十六人が国を相手に米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めと損害賠償などを求めた普天間爆音訴訟が那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で結審した。

 嘉手納、横田など米軍基地をめぐる騒音訴訟で、一定レベルの騒音の違法性を司法は認めたが、飛行差し止めなどは退けてきた。政府に米軍の活動を制限する権限はなく、差し止め請求などは成り立たないとする「第三者行為論」が根拠になっている。

 騒音被害は基地公害と認める一方、公害の当事者である米軍の行為は司法判断の対象外だという判断である。これが騒音訴訟の判決の流れといえるが、日々、基地被害に苦しむ住民には到底、納得できるものでない。

 しかし、今回は裁判中に沖縄国際大学でヘリが墜落する事故が起きるなど周辺住民の生活が常に危険にさらされる実態が浮き彫りになっている。

 騒音についても同飛行場のヘリコプターが人の耳に聞こえにくい低周波音を発生させ、それが頭痛や不眠などの人体への影響を与えているという。

 これらは通常の騒音被害にはみられず、低周波音の影響を加味すれば説明がつくというのが住民側の主張だ。

 同飛行場の危険性、騒音被害の現状を直視すれば、司法は米軍の行為そのものの判断に踏み込むべきだと思うがどうか。

 最大の争点はやはり、低周波音と健康被害の因果関係である。国は「影響が生じるかという方法論は確立されていない」と因果関係を否定している。

 裁判所は同飛行場で低周波音の現場検証を実施し、実際に低周波音を体験したはずだ。こうした検証を基にすれば、騒音に苦しむ住民の生活に想像が及ぶのではないか。

 新横田二審判決は受忍限度を超える騒音に補償制度を設けない国を「怠慢のそしりを免れない」と批判している。これ以上、住民の権利が侵害される事態を放置してはなるまい。司法には騒音に苦しむ住民の救済に立った判断を強く求めたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080201.html#no_2

 

琉球新報 社説

普天間爆音訴訟 「静かな日々」は当然の権利

 米軍普天間飛行場周辺住民が、夜間、早朝の米軍機の飛行差し止めと爆音被害の補償を国に求めた普天間爆音差し止め訴訟が、1月31日、那覇地裁沖縄支部で結審した。

 「静かな日々」を求める訴訟は、提訴から結審まで5年3カ月もの歳月がかかった。

 被害救済を求め提訴した原告住民396人にとどまらず、爆音下での危険な暮らしを余儀なくされる市民にとって、あまりに長過ぎる「忍耐の日々」であった。

 裁判は、ヘリコプターから発生する低周波音を被害原因の一つとして主張している点で、従来の爆音訴訟と異なる。

 爆音被害の基準は、現行ではW値(うるささ指数)のみで、その指数も訴える側が測定し、証明してきた。裁判ではW値の騒音測定も国に義務付けるよう求めている。

 「日米安保体制の維持」を理由に、爆音被害の原因となる都市中心部にある米軍基地の存在を容認しているのは、日本政府である。

 米国内では、騒音をまき散らす危険な米軍基地は、米西海岸のキャンプ・ペンドルトン基地のように、周辺には山々に囲まれた十分な緩衝地帯が確保されている。なぜ沖縄だけが、危険な基地と共存を求められなければならないのか。「沖縄差別だ」との原告団長の言葉に、国はどう答えるのか。

 訴訟の中では、市役所勤務の原告が職場近くに引っ越したことを取り上げ、「危険への接近」だとして「騒音を容認している」との国の主張もあった。

 普天間基地周辺には、宜野湾市だけでも9万人余の市民が暮らす。同基地所属機は周辺の浦添、那覇市上空もわがもの顔に飛ぶ。

 基地がある限り狭い県土に逃げ場はない。「危険」との共存を強いられ、強いているのは国である。

 米軍のアフガン、イラク攻撃後、県内の米軍機の不時着事故件数は急増。2004年には沖縄国際大学へのヘリ墜落炎上事故も起きている。

 爆音被害の救済と高まる危険の除去を求める原告の声に、裁判所(国)はどう答えるのか。6月26日の判決を注目したい。

(2/1 9:55)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30988-storytopic-11.html

 

2008年2月1日(金) 夕刊 1面 

メア氏発言に不快感/仲井真知事

 仲井真弘多知事は一日午前の定例会見で、ケビン・メア在沖米国総領事ら米政府関係者が米軍普天間飛行場代替施設の滑走路の沖合移動に否定的な発言をしていることについて、「地元の意見を尊重してもらいたいと日本政府に求めている最中に、どうして(米国総領事が)県民に言う権限があるのか。沖縄と米国の関係をむちゃくちゃにしかねないと危惧の念を強くしている」と不快感を表明した。

 メア総領事は一月三十日の会見で、県などが求める滑走路の沖合移動に関し、「より沖合に滑走路を出せば埋め立て面積も増えるので、環境への影響が少なくなるという考え方になるとは常識的には考えられない」などと述べ、「アセス後の修正」にも否定的な見方を示した。

 これに対し、仲井真知事は会見で、「まるで法や条例を無視しているような印象の発言で、極めて遺憾」と強い口調で批判した。

 普天間代替施設建設をめぐって、防衛省が二月中に冬季のアセス調査を実施したい意向を示していることについては「方法書としてきちんとオーソライズ(認定)されない限り、どんなデータを集めても事業者の判断による事前調査と同じ」と指摘。

 アセス調査の許認可は県環境影響評価審査会の審査結果を踏まえて判断する考えを示した。次回協議会での審議内容は、沖縄防衛局が四日にも県に提出する追加資料の内容を見極めた上で調整を進める、との見通しを示した。

 また、道州制については四月以降、本格的な検討を進める考えを表明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802011700_03.html

 

2008年2月1日(金) 夕刊 1面

防研所見は個人的識見/「集団自決」

 【東京】慶良間諸島の「集団自決(強制集団死)」に関し、防衛省の防衛研究所(東京都目黒区)が公開している複数の所蔵資料の「史料経歴表」に「集団自決は村役場の独断」などの所見を付けて公開していた問題を受け、政府は一日午前に閣議決定した答弁書で、「所見は担当者が個人的な識見に基づいて記載した」との認識を示した。照屋寛徳氏(社民)の質問主意書に答えた。

 所見をめぐって政府はすでに「防衛省の見解ではない」との見解を公表しているが、公開資料に内容を価値判断するような「個人的な識見」を添付する資料管理の在り方が問われそうだ。

 答弁書によると、防研は約十五万件の資料を管理し、約十四万七千四百件を公開。沖縄関係は五百二十九冊のうち、百十四冊に史料経歴表を添付している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802011700_05.html

 

2008年2月2日(土) 朝刊 2面

普天間移設 日米合意案「ベスト」/真部防衛局長が会見

 沖縄防衛局の真部朗局長が一日、同局内で着任会見を開き、米軍普天間飛行場代替施設建設計画について日米合意案が「ベスト」との認識を示した上で、「(滑走路の位置などを)変更するということであれば合理的な理由が必要」と述べ、環境影響評価(アセスメント)のデータ結果を踏まえて地元と協議する考えを示した。

 アセス調査に向けては「(二月実施に)こだわらないということではない」と述べ、早期着手を目指す意向を表明した。

 会見で真部局長は、普天間飛行場の移設・返還問題が最大の課題との認識を示した上で「国の安全や、米軍再編の中で沖縄の負担軽減という目的達成のためにも実現が必要不可欠」と強調した。

 代替施設建設に伴うアセス方法書への対応については「知事意見に対し、誠意を持って応えるべく説明の準備を鋭意進めている」と述べ、近く県に追加資料を提出する意向を示唆。県などが滑走路の沖合移動を求めていることについては「まずはアセス手続きを進め、新たな知見やデータを得る中で、それらを踏まえて、名護市や県と話し合いを続けていく」との姿勢を示した。

 防衛省が二月中に実施の意向を示しているアセス調査については「ロードマップで二〇一四年までの移設完了で合意しており、そういうことを勘案すると、なかなかスケジュールはタイトにならざるを得ない」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802021300_04.html

 

2008年2月2日(土) 夕刊 4面

キャンプ瑞慶覧で油漏れか

 【北谷】北谷町北前の普天間川につながる米海兵隊キャンプ瑞慶覧内の排水溝で一日、油とみられる液体約一リットルが流出した。沖縄防衛局によると、海兵隊の環境担当者が同午前十一時二十分ごろ、排水溝内で光沢のある液体を見つけた。吸引して調べた結果、自動車の変速装置用の油とみられる液体が検出されたという。流出原因は明らかにしていない。

 海兵隊が除去後、基地外への流出を防ぐため普天間川にオイルフェンスを設置。県や同町、第十一管区海上保安部が同日川の河口付近を目視で調査したが、油臭や油膜は確認されなかった。県は川の水を採取し、水質汚染の有無を調査している。

 川には国道58号から東側約五十メートルの場所に、オイルフェンスが設置されている。

 普天間川はキャンプ瑞慶覧から西海岸へつながる。二〇〇四年五月にはキャンプ内宿舎のボイラー室でパイプが故障し、ディーゼル油が十ガロン(約三十八リットル)が流出する事故が起きている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200802021700_06.html

[米国防総省が敗訴/沖縄ジュゴン訴訟 ]沖縄タイムス,琉球新報(1月24日から30日)

2008年1月24日(木) 朝刊 1面

普天間代替 沖合移動「1インチも駄目」米国防次官補代理

アセス後も不可

 【東京】セドニー米国防次官補代理(東アジア担当)が山崎拓前副総裁と十八日に会談し、県などが求めている米軍普天間飛行場代替施設案(V字案)の沖合移動は、環境影響評価(アセスメント)後も応じられないとの立場を伝えていたことが二十三日、分かった。米側はもともと沖合移動に難色を示していたが、アセス後も修正に応じないとする強硬姿勢が明らかになるのは初めてだ。

 関係者によると、セドニー氏は十七日に来日。山崎氏との会談ではV字案の沖合移動について「一インチでも動かせない」と強調。アセス後の修正なら可能とする日本政府側の考え方に対し、「今の案が合理的だ。アセスをやったとしても動かせない」との考えを伝えた。

 山崎氏は県側のスタンスを説明した上で、アセスに基づけば修正は合法的に可能との認識を示した。

 しかしセドニー氏は、米軍再編で日米合意した在沖米海兵隊のグアム移転について、制服組の反発を押さえた上で最終報告(ロードマップ)に盛り込んだ経緯を説明し、「今ここで揺らぐとグアムに移転する米軍の不満が爆発する」などと困難視した。

 併せて、「ゲーツ国防長官、シン国防副次官と私は一つの線で固まっている」とも述べ、米政府内の見解が一貫していることを強くアピールした。

 普天間移設をめぐって米側は、沖合移動に柔軟姿勢を示す町村信孝官房長官らへの不信感を強めている。昨年暮れにはゲーツ国防長官が福田康夫首相に対し、沖合移動は困難との意向を伝えている。


[ことば]


 普天間飛行場移設問題 日米両政府は1996年、宜野湾市の市街地にある米軍普天間飛行場の返還、移設で合意。99年、移設先は名護市辺野古沿岸域と決まった。しかし着工が遅れ、両政府は2006年5月、移設先を同市のキャンプ・シュワブ沿岸部に変更、V字形に滑走路2本を建設すると合意した。これに伴い、政府と県などは建設計画や地域振興策を話し合う協議会を06年8月に設置した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801241300_01.html

 

2008年1月24日(木) 朝刊 1面

沖国大ヘリ墜落 被災「壁」展示/図書館に資料コーナー

 沖縄国際大学は、二〇〇四年八月に起きた米軍ヘリ墜落事故を風化させず語り継いでいこうと二十三日、図書館に「米軍ヘリ墜落事件関係資料コーナー」を開設した。

 表面が焼け焦げた壁の一部や構内で炎上するヘリ、大学関係者や警察を締め出す米兵の写真、新聞記事や、映像などで墜落直後の生々しい状況を伝えている。照屋寛之教授(法学部)は「事件の悲惨さを伝えなければ教訓を得ることはできない」と意義を話している。

 展示コーナーは図書館二階のグループ学習室に開設。幅四メートル五十センチのスペースに、鉄骨がむきだしになった本館の壁(一メートル二十センチ)、沖縄タイムスなどの新聞記事、写真を展示。一部始終をとらえたビデオ上映(五時間十六分)もある。学校関係者以外でなくても観覧できる。

 〇六年十一月、照屋教授をチーフに委員六人で発足したプロジェクトチームが開設に向け、取り組んできた。武田一博図書館長は「当時の学生はほとんど卒業し、本館も建て直され、事件は次第に忘れ去られようとしている」と指摘。「このコーナーを通じて新入生や市民が基地や平和の問題を考え続けてほしい」と願いを込めた。

 事故当時一年だった同大社会文化学科四年の嶺井秋人さん(22)は「事件後、日常過ごしている場の異常さを実感した。後輩たちも、この状況に気付いてほしい」と話した。同大は関係する資料の提供を呼び掛けている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801241300_11.html

 

2008年1月24日(木) 夕刊 1面

ラプコン10年3月返還/日米合同委で合意

 【東京】在日米軍が沖縄の本土復帰後も管轄を続け、昨年十二月をめどに返還される予定だった沖縄本島周辺空域の航空管制システム「嘉手納ラプコン」について、日米合同委員会は二十四日、二〇一〇年三月までに返還することで合意した。

 日本側は嘉手納ラプコンの管制業務の返還を見据え、○四年十二月から嘉手納基地に日本人管制官を派遣。三年後の業務移管を視野に米軍管制官の下で約四十人を対象に、システム習熟訓練を開始していた。

 しかし、米軍側が通常の管制業務や、軍の新人管制官の訓練を並行させているため日程が過密化。訓練の進ちょくが遅れていた。

 嘉手納ラプコンは嘉手納基地や普天間飛行場を離着陸する米軍機のほか、那覇空港を利用する民間機の航空管制も担当する。日本側の管轄空域は那覇空港周辺に限られ、同ラプコンのレーダーが故障して民間機の運航に遅れが生じた例もある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801241700_02.html

 

2008年1月24日(木) 夕刊 5面

平和祈念堂内に美術館移設オープン

 【糸満】県内初の美術館として建設され、糸満市摩文仁の沖縄平和祈念堂の敷地内にあった施設の堂内移設を祝う式典が二十三日、「新美術館」内で開かれた。オープンに合わせ、戦後の沖縄美術界をけん引した故安谷屋正義、故山元恵一氏の絵画二点が寄贈された。

 旧美術館は一九八一年二月に開館したが、堂内に移設することで展示作品や収蔵庫を良好な環境で管理できるという。

 平和祈念堂を管理・運営する財団法人沖縄協会(清成忠男会長)は現在絵画百十九点を所蔵しており、移設を機に年二回作品を入れ替え、展示する。保管絵画は県内各地の美術館や各市町村の企画展などに貸し出すという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801241700_06.html

 

2008年1月25日(金) 朝刊 1面

ラプコン返還10年3月/日米合同委合意

 【東京】在日米軍が沖縄の本土復帰後も管轄を続け、昨年十二月をめどに返還される予定だった沖縄本島周辺空域の航空管制システム「嘉手納ラプコン」について、日米合同委員会は二十四日、二〇一〇年三月までに返還することで合意した。

 日本側は嘉手納ラプコンの管制業務の返還を見据え、○四年十二月から嘉手納基地に日本人管制官を派遣。三年後の業務移管を視野に米軍管制官の下で約四十人を対象に、システム習熟訓練を開始していた。

 しかし、米軍側が通常の管制業務や、軍の新人管制官の訓練を並行させているため日程が過密化。訓練の進ちょくが遅れていた。

 嘉手納ラプコンは嘉手納基地や普天間飛行場を離着陸する米軍機のほか、那覇空港を利用する民間機の航空管制も担当する。日本側の管轄空域は那覇空港周辺に限られ、同ラプコンのレーダーが故障して民間機の運航に遅れが生じた例もある。

 県の知念英信交通政策課長は「早めに返還され、民間機の管制がスムーズに行われるべきだ」と指摘。過去にラプコンのレーダーの故障で、民間機の運航に遅れが生じた例もあることから、「那覇空港の拡張整備が予定されており、今後は、観光客を中心に民間機の利用が増える。その中で、運航が制限されることがあってはならない」と述べ、早期返還を求めた。

 これまで、長年にわたってラプコンの返還を求めてきた嘉手納町の宮城篤実町長は、具体的な返還の期日が示されたことに「大きな前進だ」と評価。「管制業務でミスがあると、重大な事故につながりかねない。今後は、日本側と米軍が信頼関係を構築するための技術の習得が必要だ」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801251300_04.html

 

2008年1月25日(金) 夕刊 1・7面

米国防総省が敗訴/沖縄ジュゴン訴訟

 米軍普天間飛行場の移設をめぐり、名護市キャンプ・シュワブ沖に生息するジュゴンの保護を求め、日米両国の自然保護団体などが米国防総省を相手に起こしている「沖縄ジュゴン訴訟」で、米サンフランシスコの連邦地方裁判所は二十四日、同省の米文化財保護法(NHPA)違反を認定する判決を出した。基地建設によるジュゴンへの影響を回避する「考慮」を命じた上で、環境影響評価(アセスメント)文書を同地裁に九十日以内に提出するよう求めた。

 AP通信によると、米政府は、控訴するかどうか決定していない。同法は米政府による海外での行為に文化財への影響考慮を義務付けているが、実際に適用されるのは初めてという。

 同地裁のマリリン・パテル裁判長は、同省がジュゴンへの影響軽減策の必要性を把握、考慮していないことを同法違反と認定。「計画が国防長官らによる最高レベルの承認を得ているにもかかわらず、ジュゴンへの影響はよく把握されていない。国防総省は引き返すことができないほど計画に関与しており、法に基づく義務履行を建設直前まで待つことはできない」と判示した。

 同訴訟は二〇〇三年九月、県内外の自然保護団体が米国の団体とともに提訴した。原告にはジュゴンも含まれる。

 国防総省は当初、同法の適用対象は建造物などに限られる上、米国は基地建設に直接関与していないとして却下を求めた。同地裁は〇五年に同省の主張を退け、実質審理入りしていた。

 原告代理人で、環境法律事務所「アースジャスティス」のサラ・バート弁護士は、「判決は、国防総省は真剣な検討をする義務があると明示した。ジュゴンの保護措置が取られることになる」との見通しを示した。

 日本環境法律家連盟事務局長の籠橋隆明弁護士は「国防総省は日本政府のアセス結果を地裁に提出するだろうが、その内容は米国で求められる水準には到底達しない。地裁が審査し、さらなる決定を出す可能性もある」と指摘した。

 判決について名護市の島袋吉和市長は「現時点で、コメントできる立場にない」。県幹部は「外国での訴訟なのでまだ判決内容が分からない。普天間移設の事業主は国なので、動向を見守る」としている。


[ことば]


 米文化財保護法(NHPA) 正式には「国家歴史保存法」または「国家歴史的遺産保存法」。米政府の「連邦行為」に対し「同等の意義を持つ他国の法で保護された文化財も保護対象」とする「域外適用」の項目がある。


     ◇     ◇     ◇     

「大勝利 移設断念を」/米司法の壁 原告評価


 「大勝利だ」。名護市キャンプ・シュワブ沖への米軍普天間飛行場の移設をめぐる訴訟で、米サンフランシスコの連邦地裁が、国防総省にジュゴンへの影響を回避・緩和するための考慮を命じたことに、原告らは判決を高く評価、喜びの声を上げた。一方、移設容認の立場を取る地元関係者は「移設計画を進めて、世界中の環境団体が詰めかければ、迷惑する」と戸惑いも。代替施設の建設を急ぐ日本政府に、米司法が高いハードルを突きつけた。

 原告の東恩納琢磨さんは「大勝利だ。米国政府に言われて見直すのは恥ずかしいことだが、日本政府はそれをやらないと、世界から大きな批判を浴びる。(基地建設に)高いハードルができたし、この判決を克服するには、相当の労力と時間がかかる。それよりは、辺野古への基地建設を見直した方が早い。ジュゴン保護区の設置を米国民にも訴えていきたい」と話した。

 原告の一人で、米自然保護団体「生物多様性センター」のピーター・ガルビンさんは「地裁決定に基づく見直しと、基地建設の影響が広く知れわたることで、日米両政府がジュゴンを絶滅に追いやる計画を断念することを願う」と話した。

 「市民アセスなご」の吉川秀樹さんは、「九十日以内に、ジュゴン保護の根拠を提出するよう求めるだけでなく、それを判断した米国防総省側の担当者の氏名の提出を求めるなど米国の法律の要求に、日本のアセスが適合しているかを求めている」と指摘。「こちらが望んでいた判断。ここまでやってくれたことに、感心している。ここから新たな基地建設反対の運動を積み上げることができる」と評価した。

 移設を容認する立場の移設先の辺野古出身の島袋権勇名護市議会議長は「米国らしい。(移設の)ハードルが高くなった。そのまま、移設計画を進めて、世界中の環境団体が詰めかければ、迷惑するのは地元。アセスへの知事意見にもあった通り、(防衛省は)ジュゴンを含む環境調査をしっかり、やってほしい。成り行きを見守るしかない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801251700_01.html

 

2008年1月25日(金) 夕刊 1面

パイン施設に16億円/北部振興事業費

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十五日午前の閣議後会見で、執行が遅れていた二〇〇七年度の北部振興事業費を二十九日付で配分すると発表した。非公共が十三事業四十九億円、公共が三十四事業四十六億円で、合計四十七事業(新規十四事業)に九十五億円を配分する。新規で最も額が大きいのは、東村にパインアップルなどの総合農産加工施設を整備する事業の十六億六百万円。継続では昨年に看護学科が新設された名護市の名桜大学内の看護系医療人材育成事業で、実習施設棟の整備に六億六千七百万円を計上した。

 新規では、金融・情報特区指定を受けている名護市で関連企業の誘致を促進するため、インフラ整備と人材育成、情報発信の三分野で調査をする事業に二千五百万円を計上した。

 名護市東海岸地域(二見以北十区)の現在の人口が約二千人にとどまっていることから、エイサーや豊年踊りなど地域文化の継承や地域活性化を促すため、地域交流拠点施設を整備する事業に二千三百万円を配分する。

 継続ではほかに、北部地域に循環器系医療支援施設を整備する事業(〇六―〇八年度)で、名護市の北部地区医師会病院に隣接する場所に建設する施設の造成などの実施に向けて一億二千六百万円を盛り込んだ。

 政府は〇七年度の北部振興事業費として公共五十億円、非公共五十億円の合計百億円を計上していたが、米軍普天間飛行場移設問題の影響で、執行が遅れていた。

 岸田沖縄相は「北部地域のさらなる雇用の創出や、魅力ある定住条件の整備に大きく寄与すると期待している」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801251700_02.html

 

2008年1月25日(金) 夕刊 7面

沖縄戦の記憶 映像で記録/東京の市民団体

 【糸満】太平洋戦争の「戦場体験」を映像で記録・保存する活動に取り組む東京都の市民団体「戦場体験放映保存の会」が二十四日、沖縄戦体験者の証言収録を糸満市内で始めた。同会が県内での映像を収録するのは初めて。昨年十二月には、テレビ番組で同会の取り組みを知った名護市の宮城都志子さん(62)を中心に「沖縄支局」も設置された。沖縄戦の悲惨な記憶を「記録」として残す活動を県内に広げるため、同会では賛同者を募っている。支局長に就任した宮城さんは「足で稼いで、さまざまな証言を収録していきたい」と話している。

 二〇〇五年に発足した同会では、これまで元兵士らの証言を中心に、全国約千七百人の体験を集約。ビデオやDVDに収録し、一部インターネット上でも放映しており、十五万人の証言を集めてライブラリー化することを目指している。

 元県職員の宮城さんが同会の取り組みをテレビ番組で知り、「一般住民を巻き込んだ沖縄戦の証言も多く集めてほしい」という思いから県内での取材を依頼。同会の協力に応じる形で、県内での撮影が実現した。

 二十四日に県平和祈念資料館で行われた公開収録会では、東京から同会の張替麻里理事ら三人が参加し、瑞慶覧長方さん(77)=南城市、伊禮進順さん(82)=糸満市=の証言を収録した。今回は二十七日まで名護、沖縄、那覇市で取材し、八―九人分の収録を予定している。

 張替理事は「会の目的は歴史の事実を残すこと。沖縄戦のことがきちんと県外の方々に知られていないこともある」と支局設置の意義を述べた。宮城さんは「戦争というものを次の世代に伝えていくためには若い力も必要だ。今後活動の輪を広げていきたい」と語った。

 同会では、証言者や撮影に参加するボランティアを広く募っている。

 問い合わせは宮城さん、電話0980(53)1582。または東京事務局、電話03(3465)6066。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801251700_04.html

 

2008年1月26日(土) 朝刊 1面

米軍、PCB物資来月搬出/日本側へ伝達

量明らかにせず

 【東京】在日米軍は二十五日までに、保有する日本製のポリ塩化ビフェニール(PCB)含有物資を今月末に本州から、二月に沖縄からそれぞれ海路で米国本土へ搬出すると日本政府に伝えた。

 外務省に入った連絡によると、本州から搬送されるのは含有物資約五十トンというが、沖縄から搬出される具体的な量や内容、時期は明らかにされていない。米軍はPCBについて「安全等の観点から個別具体的な搬送の詳細はコメントしない」としているという。

 外務省地位協定室によると、米環境保護庁は今年一月七日から来年一月九日までの間で外国製のPCB含有物資の搬入を制限する有毒物質管理法の適用除外期間を設定。

 日本国内でPCB含有物資を処分できる施設がごく限られていることから、この期間に合わせて米軍が独自に本国に搬出することになった。来年まで期限が設定されていることから、二月以降もPCB含有物資の搬出が行われる可能性もある。

 在日米軍は「PCB含有物資の保管、搬送にあたってはしかるべき環境対策が講じられる」などと伝達。これに対して地位協定室は「安全に期するよう」重ねて申し入れた上で、二十五日夕、県など関係先に米軍からの連絡内容を通達した。

 これまで県内から米軍がPCB含有物資を搬出した例は、二〇〇三年八月十五日、〇四年七月十日の二回で、いずれも海路で搬出されているという。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801261300_01.html

 

2008年1月26日(土) 朝刊 2面

普天間移設 変更せず/官房長官

 【東京】米サンフランシスコの連邦地裁が米軍普天間飛行場代替施設建設によるジュゴンへの影響を避けるよう国防総省に「考慮」を命じた判決を受け、町村信孝官房長官は二十五日の定例会見で、普天間移設計画を変更することはないとの姿勢を強調した。

 町村氏は、日米合意した代替施設案(V字案)について「サンゴ、藻場、ジュゴンへの影響を少なくしようと配慮して出来上がった」と述べ、環境への影響は少ないと指摘。

 その上で「(代替施設建設の)計画が環境にどういう影響があるか、環境影響評価をしているところだ。自然への影響を十分配慮しながら、負担軽減と抑止力維持を実現するため、一日も早い移設を進めるのが日本の大方針だ」と強調した。

 また、判決で、環境影響評価文書を同地裁に九十日以内に提出するよう求めていることを念頭に、「まだ係争中、(建設の是非の)判断が確定したわけではなく、保留されている状態だ」との見方を示した。

 移設作業を所管する防衛省でも冷静な受け止めが広がり、豊田硬報道官は同日の定例会見で「今後の裁判の推移については引き続き注視していきたい」と述べつつ、「粛々と作業を進めたい」と静観する姿勢を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801261300_05.html

 

琉球新報 社説

ジュゴン訴訟 判決を尊重するべきだ

 サンフランシスコ連邦地裁は24日(現地時間)、米国防総省が普天間飛行場代替施設建設でジュゴンへの影響などを評価、検討していないことが米文化財保護法(NHPA)違反に当たると判断した。さらに同省として公的な環境への影響調査を実施するよう求めた。自然環境保護を重視した冷静・的確な判断だと評価したい。

 ジュゴン保護訴訟は、2003年に日本環境法律家連盟(名古屋市)、ジュゴンネットワーク沖縄(宜野湾市)、生物多様性センター(米アリゾナ州)などに加え、沖縄周辺海域を生息の北限とするジュゴンが原告となって起こされた。

 米政府は(1)NHPAの適用対象は建造物などでジュゴンのような生物は対象になりえない(2)もし仮に適用対象になるとしても米政府は建設にかかわっていないのだから適用されない―の2点を挙げ反論していた。

 日本の天然記念物に指定されているジュゴンはいま、絶滅の瀬戸際にある。07年8月、環境省は国内の生息個体数が50頭以下であるとして、絶滅の恐れのある野生生物を分類したレッドリストに新たに追加し、絶滅危惧(きぐ)種として最もランクが高いIAに分類した。

 04年には、タイのバンコクで開かれた世界自然保護会議で、普天間移設をめぐるジュゴンなどの希少野生生物保護を勧告した。

 これほど国際的にも注目されているのに、日本政府には保護への真剣さが感じられない。国が提出した環境影響評価(アセスメント)方法書には、移設最優先の姿勢が如実に表れている。当初提出された薄っぺらな方法書に批判が強まると、知事意見提出期限間際になって150ページもの追加資料を提出してきた。

 一方の県もはっきりしない姿勢だ。今月21日に沖縄防衛局に提出された知事意見は、事前調査の中止には踏み込まなかった。県環境影響評価審査会の答申を尊重し、生物への影響を重視するならば中止を求めるべきであった。

 判決には、代替施設建設を差し止める強制力はない。しかし、訴訟原告団の米自然保護団体「アースジャスティス」のサラ・バート氏は「国防総省に対して海外での活動による他国の文化遺産の損壊回避に、慎重に注意を払う責任を明確にした」と意義を強調した。

 判決は、同省に対してジュゴンへの影響などを示す文書を90日以内に提出するよう求めている。建設を進めるなら、連邦地裁の要求に応えなければならないはずだ。

 アセスを拙速に進めれば、日本政府も国際的な批判を浴びることは必至だ。沖縄の一地域の環境問題ではないことが、今回の判決でさらに明確になった。

(1/26 10:04)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30824-storytopic-11.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月27日朝刊)

[ジュゴン訴訟判決]

拙速手続きへの警鐘だ


米国法を適用した判決

 ジュゴンが二頭、寄り添いながら悠々と辺野古沖を泳いでいる。どことなくユーモラスで、今風に言えば、めちゃかわいい。テレビ・ニュースでおなじみのこのシーンは、絶滅の危機にひんしている生き物への慈しみの感情をかき立てずにはおかない。

 子どもたちは、この島の自然の豊かさや命の尊さをジュゴンの映像を通して、親子の語らいの中で、学ぶことができる。ジュゴンは、環境教育、情操教育の生きた教材だ。

 米軍普天間飛行場の代替施設建設がジュゴンにとって大きな脅威であることは言うまでもない。

 大規模埋め立てを伴う巨大な基地建設は、ジュゴンの生息にどのような影響を及ぼすのか。ジュゴンはほんとに大丈夫なのか。誰もが感じるであろう危惧に、アメリカの連邦地方裁判所が独自の立場から明確な答えを出した。

 日米両国の自然保護団体などが米国防総省を相手に起こしていた「沖縄ジュゴン訴訟」で、米サンフランシスコの連邦地裁は国防総省に対し、基地建設によるジュゴンへの影響を考慮するよう求めるとともに、ジュゴンに関する環境影響評価(アセスメント)文書を九十日以内に提出するよう命じた。

 画期的な判決である。

 米国の文化財保護法(NHPA、別名・国家歴史保存法)は、米政府による海外での行為に対し、他国の文化財への影響を考慮するよう義務付けている。一方、ジュゴンは日本の天然記念物であり、環境省はジュゴンを絶滅の危険性が最も高い「絶滅危惧1A類」に指定している。

 これらの事実に着目して提起されたのが「沖縄ジュゴン訴訟」である。判決のどこが画期的か。

 第一に判決は、海外における米軍基地建設に米国の国内法を適用し、沖縄周辺海域のジュゴンを保護対象として認定した。第二に、判決は、米国防総省のこれまでの取り組みが米国の文化財保護法に違反していることを認め、是正措置を求めた。

 基地建設によってジュゴンにどのような影響が生じるのか、きちんと調査し、事前評価をせよ、と国防総省に求めているのである。


アセス方法書書き直し


 この判決を誰よりも重く受け止めなければならないのは、事業者である防衛省と、許認可権を持つ県である。

 防衛省の環境影響評価は、方法書を作成して県に送付する最初の段階から手続き上の問題があり、内容面でも、故意に伏せられている部分が多く、不備が目立った。

 県環境影響評価審査会が方法書の書き直しを求める意見を知事に提出したのは、当然だといえよう。

 だが、仲井真弘多知事が沖縄防衛局に提出した知事意見は、差し戻しを求めず、政府への配慮を強くにじませた。

 徹底して工期にこだわり、二月からのアセス調査着手に向けて動く政府。この問題を早く片付けたいと常々、主張している仲井真知事。双方の主張は「早く」という部分で一致するようになった。

 気になるのは、日米両政府が決めた工期と日程にあわせて事を進めるあまり、肝心の環境アセス手続きが骨抜きにされるおそれがあることだ。

 米連邦地裁での今回の判決は、拙速への警鐘、と受け止めるべきである。

 アセス方法書に対する知事意見は、ジュゴンについて「複数年」の調査実施を求めているが、沖縄防衛局が公示した環境現況調査の入札内容を見る限り、複数年実施も疑わしくなった。


ここにも「アメとムチ」


 米連邦地裁による判決を機会に、あらためて問題にしたいのは北部振興事業費と環境アセスの関係について、である。本来、両者の間にはなんの関係もないはずだ。というより、政治的に関係付けてはならないのである。

 環境アセスは、環境影響評価法や県環境影響評価条例に基づいて、法の趣旨に沿って、進めなければならない。

 ところが、方法書に対する知事意見提出の際に、政府サイドから伝わってきたのは、アメとムチの発想だった。

 「知事が方法書の差し戻しを求めたら、普天間移設に関する政府と地元の協議が円滑に進まなくなり、(北部振興事業費予算は)執行できない」。そんな趣旨の発言をしたというのだから、あきれて物が言えない。

 天然記念物のジュゴンや、かけがえのない自然環境が大規模な基地建設によって、どのような影響を受けるのか。環境アセスへの対応に慎重すぎるということはない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080127.html#no_1

 

2008年1月29日(火) 朝刊 1面

防衛省、アセス了承要求/県は難色進展なしも

 防衛省と内閣府幹部らが二十八日、県庁を訪ね、来月七日開催で調整を進めている米軍普天間飛行場の移設に関する次回協議会の審議内容について県や名護市幹部と意見交換した。防衛省側は二月中の環境影響評価(アセスメント)調査着手の意向を伝え、次回協議会での仲井真弘多知事の了承を求めた。これに対し県側は、次回協議会での了承は「時期尚早」と主張、実質的な協議の進展が図れない可能性も出ている。

 防衛省側は次回協議会で、知事からアセス調査に必要な許認可への理解を取り付けたい考え。

 一方、県は知事意見で方法書の「書き直し」と公表、審査を求めたことから、「県環境影響評価審査会の審査見通しもつかない現状では、二月七日の協議会で知事が了承するのは無理」との認識を表明。防衛省の協議方針には応じられない姿勢を示した。

 また、県などが求める滑走路の沖合移動や普天間飛行場の閉鎖について防衛省は「米側との調整を含めて話ができる状態ではない」とし、次回協議会で進展はないとの見通しを明らかにした。

 名護市は代替施設のアセス手続きが実施されている現状などを指摘し、再編交付金の支給を要請。政府側は名護市が沖合移動などの条件を付していることから困難視したという。

 政府側は防衛省地方協力局の廣瀬行成地方協力企画課長、藤井高文沖縄調整官、内閣府の平上功治参事官ら八人が訪問。約三時間半にわたり県、名護市幹部と協議した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801291300_02.html

 

2008年1月29日(火) 朝刊 25面

「超党派維持」訴え/文科省対応に抗議

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」実行委員会は二十八日、「集団自決」への日本軍の強制を明示する教科書記述を認めなかった文部科学省の訂正申請への対応に抗議する集会を、那覇市の教育福祉会館で開き、約百五十人が参加した。

 集会では琉球大の高嶋伸欣教授が、訂正申請で文科省から四回の書き直しを命じられた教科書会社があったことを紹介、「あいまいな規則を文科省が意図的に運用している。教科書検定制度を大きく改善させなければならない」と話した。

 同大の山口剛史准教授は「集団自決」への軍強制を認めない教科書検定意見が残された影響で「訂正申請後の記述でも、軍強制と『集団自決』の関係があやふやにされた」ことを説明し、「四月からは新学習指導要領で愛国心教育が始まり、教科書への悪影響や攻撃が続く」と懸念を示した。

 会場からは、自民党県連が、九月二十九日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会に解散を求める方針を決めたことを疑問視する声が相次ぎ、「県民は『沖縄戦の真実を教科書に』という一致点のもと、超党派でのとりくみをすすめよう」との集会アピールが採択された。

 集会に参加した青春を語る会の中山きく代表(白梅同窓会長)は「沖縄戦を体験した者として、軍命がなかったとは言わせない。今後も同じ県民として超党派の立場で運動できるよう頑張りたい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801291300_05.html

 

2008年1月29日(火) 夕刊 1面

「集団自決」防衛研資料「軍命なし」/防衛省見解ではない

 【東京】政府は二十九日午前に閣議決定した答弁書で、慶良間諸島の「集団自決(強制集団死)」に関し、防衛省の防衛研究所(東京都目黒区)が所蔵資料に「戦隊長命令はなかった」という趣旨の見解を付けて公開していた問題について、「防衛省の見解ではない」との認識を正式に表明した。見解に署名があった防衛研究所戦史部に聴取した結果、担当職員から「貼付していない」との回答を得たとしている。

 糸数慶子参院議員(無所属)、鈴木宗男衆院議員(新党大地)の質問主意書に答えた。

 防研は今月十五日、沖縄タイムスの取材に「聞き取り調査をしたが、だれが張り付けたか分からない」と答えていた。

 防研は所蔵資料の慶良間戦体験者の手記に「赤松大尉、梅沢大尉の自決に関する命令は出されていないことが証明されている」と書いた見解を付していた。

 ただ、通常の資料に付ける公式の「史料経歴表」とは別のページにワープロ書きの紙片で張り付けられており、図書館史料室は「不適切だ」として今月七日に削除した。

 防研は別の複数の資料にも、「集団自決は村役場の独断」など、戦隊長命令を明確に否定する所見を付している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801291700_04.html

 

琉球新報 社説

防衛省改革 体質にこそ切り込むべき

 官邸主導で設置された政府の「防衛省改革に関する有識者会議」での論議が進むなか、石破茂防衛相が本省組織を抜本的に見直す組織改革の基本構想をまとめた。

 構想は、反目が伝えられる背広組と制服組の一体化を目指し、解体を含む組織の大胆な再編統合を推し進めることなどを柱に盛り込んだ。

 具体的には、背広組の内局と制服組で構成される自衛隊各幕僚監部を「防衛力整備」「作戦」「渉外」(いずれも仮称)の3局に再編成する。「防衛力整備局」は防衛政策のほか、予算や人事、装備品調達を担当する。部隊運用については「作戦局」が担い、作戦局長は現在の統合幕僚長の役割も担う。

 既存組織を解体・再編し背広組と制服組を混在させれば、組織の中に一体感が生まれ、それをてこに不祥事の防止につなげたいとの狙いなのだろう。インド洋での米国艦への給油量の訂正問題は、組織内の意思の疎通、風通しの悪さに起因した。そんな認識が念頭にあることが読み取れる。

 しかし、それだけで果たして相次ぐ不祥事が一掃されるのかどうか、いささか疑問が残る。改革への道筋をきちんと示したことになるのか。それがさっぱり見えてこないのだ。

 不正が噴き出す背景に構造的な体質、問題が潜んでいないか。そんな不信感を抱く国民は少なくないはずだ。

 例えば、制服組も背広組も含む多くの防衛省職員を指導・監督する事務方トップの汚職である。元次官による偶発的で特殊な事例として起きた事件なのか、個人の意識や資質の問題で済ませられるのかどうか。再編成だけで説明がつくとは到底思えない。

 膨大な税金の支出を伴う装備品の調達に関していえば、海外メーカーとの交渉を特定業者に丸投げする仕組みに問題があった。こうした温床をさらに掘り下げて検証した上で、不正や腐敗の介入を許さない強固な仕組みこそつくるべきではないのか。

 水増し請求が行われてもチェックの利かない体制の問題を、背広組と制服組の混在は、どのように解消してくれるのか。納得できる理詰めの根拠を示してほしい。

 文民統制の面でも強い懸念がある。組織内の力学次第で制服組の発言力が増し、文民統制を危うくする事態を招くことはないか。この部分について詳細に説明されなければならない。

 防衛省は不祥事が起きるたび主に組織改編で対応してきた。だが不祥事は繰り返されている。姿形だけにこだわるのではなく、体質そのものに大胆に切り込む改革案が見たい。

(1/29 9:52)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30903-storytopic-11.html

 

2008年1月30日(水) 朝刊 2面

首相、問題視せず/記述訂正申請

 【東京】福田康夫首相は二十九日の衆院予算委員会で、昨年十二月に承認された沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書記述の訂正申請について「教科用図書検定調査審議会における慎重かつ丁寧な審議の結果に基づいていると承知している」と述べ、問題視しない考えを明らかにした。赤嶺政賢衆院議員(共産)の質問に答えた。訂正申請承認後、福田首相が「集団自決」問題で国会答弁したのは初めて。

 赤嶺氏は検定審委員を務める筑波大の波多野澄雄副学長への聞き取りで、「集団自決への日本軍の強制の有無について審議会では方向性を出さなかった」との回答を得たことを説明。

 審議会が訂正申請審議に際して取りまとめた「とらえ方」にも、軍の強制をどう位置づけるか明記されていなかったと指摘し「『とらえ方』に一言もないのに、なぜ軍の強制を訂正申請で削除したのか」と追及した。

 これに対し、渡海紀三朗文部科学相は「強制性があったかなかったかについて、断定すべきだというとらえ方はされていない。当時の県民から見れば強制的といわれる事実があったと記述された申請も、承認されている」と述べるにとどめた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801301300_02.html

 

2008年1月30日(水) 朝刊 27面

大浦湾サンゴ「白保に次ぐ大群落」

 米軍普天間飛行場の移設先に近い名護市の大浦湾北部で見つかったアオサンゴ群落について、ジュゴン保護基金委員会と沖縄リーフチェック研究会は二十九日、県庁で記者会見し、長さ約五十メートル幅約三十メートルの範囲で密集しているとの調査結果を発表した。「白保に次ぐ規模の大群落だ」として、代替施設の建設断念とサンゴの保全を求めた。

 調査は今月十九、二十の両日、延べ三十六人のダイバーが区画を分担する方法で実施。初めて現場の立体的な分布図を作成した。

 今回は簡単な調査だったが、三月にはWWF(世界自然保護基金)ジャパンや日本自然保護協会も加わって、より詳細に調査する。シャコガイやクマノミの生息位置も加え、「生き物マップ」として完成させたい考え。

 同委員会の東恩納琢磨事務局長は「海域利用のルール作りや、いずれはジュゴン保護区の設定に活用できる」と話した。「沖縄ジュゴン訴訟」の判決で米サンフランシスコの連邦地裁が国防総省に義務付けた意見聴取に原告として応じる際も、活用するという。

 群落は辺野古崎から約三・五キロの距離にあり、同研究会の安部真理子会長は「大規模な埋め立てで海流が変わり、アオサンゴにも影響する」と、代替施設建設に懸念を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801301300_05.html

騒音抗議で住民大会/きょう北谷町砂辺区-沖縄タイムス, 琉球新報(1月20日から23日)

2008年1月20日(日) 朝刊 2面

「記述修正に一定成果」/自民「検定撤回」実行委解散提起

 沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、自民党県連(外間盛善会長代行)は十八日、教科書検定意見撤回を求める県民大会実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)に解散を提起する方針を決めた。「記述が修正されて一定の成果を得た。実行委の役割は終え、活動に区切りをつけるべきだ」というのがその理由。同党県連の国会議員や県議は、記述の訂正を事実上の検定意見撤回だと受け止め、県民大会の目的はほぼ実現した―との認識だ。存続を求める実行委は強く反発しているが、同県連が幕引きの意向を明確にしたことで、教科書検定をめぐる超党派の活動は極めて困難な状況に追い込まれた。(政経部・与那原良彦)

 十八日の議員総会では「自民党も一丸となった要請で記述が訂正され、検定意見は事実上撤回された」「実行委は県民大会開催とその後の要請行動が目的だ。県民大会で求めたことは一定の成果を得た」などの意見が相次いだ。実行委の役割は終わっており、活動に区切りをつけるべきだという見解でまとまった。

 実行委幹事の伊波常洋政調会長は「訂正を拒んでいた文部科学省が訂正に応じ、制度の中でギリギリまで踏み込んだ対応をした。軍が主語になり、関与を認めた。事実上の検定撤回だ」と指摘。沖縄条項の設置などは県民大会決議を超えた要請だとして、「仕切り直して、今後の問題についてはあらためて、組織的対応を検討すべきだ」と述べた。

 議員総会では、「自民党が主導して解散を求めれば、『実行委つぶし』と批判されかねない」という慎重意見もあった。しかし、県議の間には「超党派要請だが、結局は政府与党への批判を招き、野党が得をするだけだ」と不満が渦巻く。

 六月に県議選を控え、衆院の解散・総選挙がいつあっても不思議ではない状況だけに、選挙戦への影響を懸念。事態の早期収拾が必要だという判断も働いた。

 また、一部の実行委員が、要請行動への協力に慎重になった自民党の県選出・出身国会議員を批判したことも、県連の態度を硬化させる要因になっている。

 自民党県連と実行委の方針の対立につながった根本にあるのは、記述の訂正に関する評価の違いだ。

 次回の実行委は二十三日にも開かれる予定だ。県民大会で結集した県民の思いは何か、原点に立ち返った議論が求められる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801201300_03.html

 

2008年1月20日(日) 朝刊 27面

騒音抗議で住民大会/きょう砂辺区

 【北谷】米軍嘉手納基地に隣接し、米軍機の騒音被害が激しい北谷町砂辺区で二十日午前、騒音被害に抗議する住民大会が開かれる。町内で騒音に対する住民レベルの抗議集会は初めて。同大会の実行委員会会長、松田正二自治会長は区内の全九百余世帯へ参加を呼び掛けている。

 嘉手納基地の飛行ルート直下に位置する同区の上空では、日常的に米軍機が飛行訓練を繰り返している。基地負担軽減が盛り込まれた二〇〇六年の在日米軍再編協議以降も、F15戦闘機の未明離陸、米空軍と米海兵隊による大規模な即応訓練などが続いたため、同区の区政委員会で大会開催が決まった。

 大会は同区公民館を会場に、午前十時から正午まで開かれる。住民代表のあいさつのほか、野国昌春町長が来賓として出席。F15戦闘機の撤去や未明離陸の中止を求めるアピール文を読み上げる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801201300_06.html

 

2008年1月20日(日) 朝刊 26面

沖縄戦遺骨11柱収集/佐賀のNPO、糸満で活動

 【糸満】戦没者の遺骨収集などのため来県している佐賀県のNPO法人「戦没者を慰霊し平和を守る会」の会員らは十九日、糸満市内の自然壕など市内三カ所で計十一柱分とみられる遺骨や遺品などを収集した。

 ツアーは今回で四回目。沖縄側の会員を含め全国の二十代から八十代まで、四十四人が参加した。作業は三班に分かれ、糸満市大度の自然壕や原野、同市摩文仁の陣地壕で行われた。

 同日午前からの作業で顎の骨や銃痕の残る頭蓋骨のほか、軍服のボタン、万年筆、眼鏡や歯ブラシなどの遺品も見つかった。参加者の中には若者も多く、初めて遺骨収集を体験する者もいた。

 群馬県から初参加した嶋田一秀さん(31)は「沖縄戦から六十年以上たっているのに、少し足を踏み入れるだけで遺骨がこんなに出てくるとは」と驚いた表情で話した。

 今回は身元に直接つながるような遺品は見つからなかったが、同会の塩川正隆副理事長は「戦争はまだ終わってないということを若い人たちにも伝えたい。今後も活動は続ける」と語った。

 一行は二十日に市摩文仁の平和祈念公園内で慰霊式典を行う。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801201300_07.html

 

琉球新報 社説

教科書問題 実行委は超党派を維持せよ

 「役割は終わった」と自民党県連(外間盛善会長代行)。しかし、果たしてそうだろうか。むしろ、これからが正念場ではないだろうか。いまだ道半ば、というのが大方の県民の実感だと思う。そういう意味で、今回の同党県連の判断は残念。ぜひとも考え直してほしい。

 超党派でつくる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)について、自民党県連が、解散を求める方針を決めたという。

 理由として「(実行委は)検定意見撤回と記述回復の2項目を要求してきた。結果は必ずしも満足いくものではないが、県民大会を受けて取るべき行動はすべて取った」とする。その上で「100%満足できる結果ではないが、実行委の役割は終わった」としている。

 昨年12月26日、高校歴史教科書の「集団自決」(強制集団死)検定問題に関し、文科省は教科用図書検定調査審議会の訂正申請を、すべて承認した。訂正内容は、実行委が要求してきた検定意見の撤回はむろん「集団自決」について日本軍の「強制・強要・誘導」との記述も教科書本文では一切、認めていない。つまり実行委が求めてきた最低限の要求は一つも実現しなかったことになる。

 確かに「集団自決」が発生した背景・要因について、脚注や体験者証言など、本文以外で詳しく書き込まれた教科書もある。ただ、検定意見が残ったままでは、本文でもない脚注は、いつ削除されてもおかしくはない。その可能性は大きいのではないか。

 このような現状を考えると「役割を終えた」とはとても言えまい。

 自民党県連が昨年来、さまざまな障害を乗り越えて、県議会として実行委に参加。さらに、県議会の二度の意見書可決も、同県連の決断がなければ実現できなかったのは確かだ。超党派の要請行動のおかげで、中央政界、文科省も真剣に対応せざるを得なかったことも、疑いないところだろう。

 いまだ体験者が生存する「集団自決」について、日本軍の命令・強制の有無は、県民にとってあらためて論議するまでもない。こういう認識があったからこそ、自民党県連も実行委に加わったのだと私たちは理解している。

 ここはやはり、実行委にとどまってほしい。党利党略がらみで判断するのだけは避けるべきだ。

 幸い今後の運動について、すべての道を閉ざすわけでもなさそうだ。同県連の伊波常洋政調会長は「必要であれば何らかの組織を立ち上げてもいい」と述べている。

 実行委は存続し、今後も要請活動を継続すべきだと私たちは考える。仮に超党派は維持できないにしても、自民県連はせめて実行委のバックアップに努めてほしい。

(1/20 9:57)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30639-storytopic-11.html

 

2008年1月21日(月) 朝刊 1・23面

砂辺区民、飛行中止訴え 米軍機爆音

 【北谷】米軍嘉手納基地に隣接し、昼夜を問わず激しい米軍機の爆音被害を受ける北谷町砂辺区で二十日、「早朝離着陸・爆音被害に対する住民大会」(主催・同実行委員会)が開かれ、百人を超える区民が米軍機の深夜・早朝の離着陸中止とF15戦闘機の撤去などを求めた。爆音被害に抗議する区民レベルの集会は同町で初めて。「私たちは耐えに耐えてきたが、もはや我慢の限界だ」とのアピール宣言文を採択した。

 大会実行委員長の松田正二自治会長は「県や国まかせでなく、日ごろから被害を受けている砂辺区民が行動を起こした。爆音に押しつぶされる子どもたちを救えるのは私たちの世代だ」と大会の意義を強調した。

 野国昌春北谷町長は「行政も基地被害の改善を日米両政府に訴えているが、壁は厚い。今回のように住民が自ら立ち上がったことは、両政府を動かすことにつながる」と住民を激励した。

 区の婦人会や嘉手納爆音訴訟原告団の代表が連帯を訴え。会場の砂辺区公民館に詰め掛けた住民らが真剣な表情で聞き入った。

 三人の子どもを連れ参加した松田直美さん(29)は「砂辺区では昼夜関係なく、窓が揺れるほどの爆音が続いている。大会をきっかけに、少しでも騒音が減ってほしい」。自営業の久場祐三さん(44)は「騒音以外にも、米兵絡みの事件・事故の不安もある。生活環境全体の改善も必要だ」と語気を強めた。


     ◇     ◇     ◇     

爆音NO 静かな怒り

次の世代に苦しみ残さない


 【北谷】嘉手納基地を離着陸する米軍機の爆音に長年さらされてきた北谷町砂辺区。二十日、「静かな環境を取り戻したい」と区民が初めて立ち上がった手づくりの住民大会は静かな熱気に包まれた。「爆音を次の世代に残さないためにも、行政だけに任せてはいけない」。参加した区民は、地域を守る運動の始まりに決意を新たにした。

 会場となった区公民館。ホールからあふれるほどの区民が詰め掛けた。

 「(砂辺区全世帯の)九百世帯から百人が参加した。本気で騒音を減らしたいという人がこれだけ集まれば、問題意識が周囲に広まるはず」

 大会実行委員長の松田正二自治会長は自治会レベルで開いた住民大会に手応えを感じ、声を弾ませた。「二回、三回と大会を続け、国や米軍に住民の切実な思いを届かせたい」

 砂辺区では基地負担軽減が盛り込まれた在日米軍再編以降も、未明離陸やF22戦闘機の一時配備などで、騒音は一層激しくなっている。

 一向に改善しない現状に、区政委員会で「行政だけに任せてはいけない」との意見が出て、住民で大会を主催した。区長、区政委員が協力して全世帯にビラを配布。初めて作成したアピール宣言文は、地域に住む町議の手ほどきを受けた。大会当日の朝には区長が車載スピーカーで地域を回り、参加を呼び掛けた。

 大会で、区婦人会代表の松田トヨさん(61)は「声を上げなければ、考える力、行動する力が失われる。住民と行政、議会が団結しなければ問題は解決しない」と強く訴えた。

 他の参加者も進んでマイクを握り、「戦闘機は騒音以外にも、大量の排ガスを出すと聞いた。環境汚染も深刻だ」「砂辺の基地被害をもっと県外に知らせなければ」と声を上げた。

 嘉手納基地に隣接する嘉手納町屋良の田仲康榮町議は「砂辺での大会成功は、同様に基地被害を受ける嘉手納町での住民大会開催のきっかけになるのではないか。被害を受けている住民が直接、声を上げる意義は大きい」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801211300_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月21日朝刊)

[海自給油活動]

転用防止は新法の前提

 海上自衛隊のインド洋での給油活動をめぐり、日本政府が提供燃料の使途について検証できるよう明文化を要求したのに対し、米政府が拒否し、日米の交換公文に盛り込まれない見通しとなった。

 米側は「作戦行動に影響を及ぼし、決して受け入れられない」と主張し、日本側が譲歩しなければ、給油を受けないこともやむを得ないとけん制している。

 新テロ対策特措法をめぐる国会審議では、海自が米艦船に提供した燃料のイラク作戦への転用疑惑が大きな問題となり、与野党攻防の焦点にもなった。日米両政府はそろって転用を否定したが、疑惑が晴れたとは言い難い。

 対テロ新法は給油をテロリスト海上阻止活動に限定しており、転用の防止は新法の必須の前提条件である。その根幹を揺るがす重要な問題だけに、あいまいな決着は許されない。

 米側は当初、燃料の目的外使用禁止が明示されなかった旧テロ対策特別措置法に基づく交換公文と同じ文言を主張。日本側が転用防止の担保を再三要請したのに対し、米側は「いちいち確認できない」と拒否した。

 さらに対テロ新法が海自の給油海域としている「インド洋」について、実際の活動に即してインド洋北方の「アラビア海北部」とするよう求めた。

 米側は作戦行動の柔軟性を確保するため、日本側の対テロ新法に制約されたくないというのが本音だろう。だが米側の主張を許容するような事態になれば、憲法上重大な疑義が生じる。

 政府は対テロ新法に基づく実施計画を決定し、海上阻止活動に従事する他国艦への補給活動を実施すると明記した。転用疑惑を受けて、「法の趣旨を踏まえて、これ(水と油)を諸外国の軍隊等に譲与する」としている。

 政府は対テロ新法の趣旨を逸脱する給油活動を容認すべきではない。少なくとも、補給燃料の使途を検証できないのであれば給油をやめるべきだ。

 対テロ新法をめぐっては国内世論が割れ、新法成立の手順も異例の展開となった。参院では民主党など野党の反対多数で否決され、衆院での再議決で成立した。再議決による成立は五十七年ぶりのことである。

 イラク戦争への転用疑惑が浮上した際、米側は油の使途を明確にすることは「複雑な作業で困難」(国防総省)と認めていた。米艦船への給油活動自体が構造的な問題をはらんでいる。

 あいまいな運用では憲法九条に抵触し、アリの穴から堤が崩れる事態に発展しかねない。米側の主張は予想されたことであり、政府は対テロ新法の趣旨に沿った運用に徹するべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080121.html#no_1

 

琉球新報 社説

給油検証拒否 深まる一方の転用疑惑

 新テロ対策特別措置法に基づく日米両政府の交換公文に、海上自衛隊による提供燃料の「使途検証」が明記されないことが分かった。米側は「目的外使用の禁止」の明示を拒否してきたが、使途検証もはねつけたことで、日本が今後提供する燃料は、新法の目的に反し、テロリスト海上阻止活動以外に転用される可能性が出てきた。

 指摘されてきたイラク戦争などへの転用疑惑も、一段と深まるのは間違いない。57年ぶりの衆院再議決をしてまで対テロ新法成立に固執した日本政府は、国民に対し、事態を説明すべきだ。

 昨年失効したテロ対策特措法に代わる対テロ新法は、海自の活動をインド洋などでの給油・給水に限定している。活動を限定したことで、旧法にあった「国会承認条項」は削除された。

 活動限定明記の背景には、イラク開戦直前に海自の補給艦が米補給艦を通じて米空母に給油した燃料がイラクでの軍事行動に転用されたとの疑惑が浮上し、憲法に抵触する恐れを指摘されたことがある。日米政府はともに否定したが、米側は「使途特定は困難」とも指摘。給油量が日本政府発表の約4倍に上ることも判明し、疑惑を払いきれないでいた。

 こうした状況を踏まえ、日本側は対テロ新法案をめぐる米側との調整で、新法の目的を明記するよう要請した。しかし、米側は目的外使用の禁止が明示されていなかった旧法に基づく交換公文と同じ文言を主張し続けた。

 日本側はその後、使途の検証ができるよう「日米両政府は法律の目的に合致することを担保するため、必要な調整を行う」との表現を盛り込むよう求めたが、これも米側は「作戦行動に影響し、現場の負担になる」として拒否。日本側が譲らなければ、海自の給油を受けないこともやむを得ないと牽制(けんせい)してきた。

 米側の“逆ギレ”もいいところだ。それほどまで言われ、頭を下げ続ける日本もどうかしている。そもそも新法で活動を限定しているのだから、それが担保されないに等しい状況はおかしい。これでは米国への「忠義立て法」と言われても仕方がない。

 本紙加盟の共同通信社が今月中旬に実施した全国電話世論調査によれば、対テロ新法を参院で否決後、衆院再議決で成立させたことには「適切ではなかった」との答えが「適切だった」を上回っている。米側の顔色をうかがい過ぎるあまり、国民の空気を読めなかったとしたら問題だ。

 憲法は「戦力不保持」をうたっている。提供燃料について転用防止の厳格化が図れないなら、給油を止めるほかない。国会承認条項も復活させるしかないだろう。

(1/21 9:53)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30667-storytopic-11.html

 

2008年1月21日(月) 夕刊 1面

アセス総括説明要求 「普天間」移設

事実上の「書き直し」

 仲井真弘多知事は二十一日午後、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見を沖縄防衛局に提出する。知事意見は、沖縄防衛局が県環境影響評価審査会に対し、これまで実施した追加説明分と、今後明らかになる事業や調査手法などを総括して報告し、同審査会で審議、公表するよう事実上の「書き直し」を求める。一方で、方法書のアセス法上の有効性は否定せず、同法で規定されている「差し戻し」などは求めない。沖縄防衛局はアセス調査前に、審査会への説明には応じる方向で県と調整するとみられる。

 知事意見は、方法書で事業内容や調査手法などの具体的な記述がなかったことから審査会が求めた追加説明も「十分でなかった」とする答申の趣旨を反映し、これまでの沖縄防衛局の説明不足を批判。あらためて方法書の具体的な内容説明を求める。

 ただ県は、方法書は内容が不十分ながらもアセス法上の要件は満たしていると判断。公告縦覧手続きのやり直しなどを含む「差し戻し」の要求はできない、との認識だ。このため、沖縄防衛局にあらためて審査会への「総括説明」を求めることで、事実上の「書き直し」と公表の形式をとらせたい考え。

 県は今後の追加説明を一括で行うことを想定しており、そうなれば、沖縄防衛局にとっても、二月のアセス調査着手に遅れを生じない形で対応することも可能となる。

 県は二十一日午後、沖縄防衛局を訪ね知事意見を手渡す。その後、仲井真知事が記者団の質問に答え、知念建次文化環境部長らが記者会見する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801211700_01.html

 

2008年1月21日(月) 夕刊 5面

F15飛行再開「住民に恐怖心」抗議/沖縄市議会決

 【沖縄】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行再開したことを受け、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は二十一日午前の臨時議会で、「飛行再開は住民に恐怖心を与えるもので断じて容認できない」として同機の全面撤退を求める抗議決議と意見書の両案を全会一致でそれぞれ可決した。

 抗議決議では、F15が県内や米本国で墜落事故を起こしていることを問題視した上で「欠陥機と断言せざるを得ないF15が、周辺住民の頭上を飛行することに強い憤りを覚える」と反発。飛行が再開された十四日には、二機が緊急着陸したことを挙げ、「嘉手納基地周辺の住民は墜落の恐怖に毎日の生活を脅かされている。住民の声を無視した米軍の運用に不信感がますます募るばかりだ」と批判している。

 抗議決議のあて先は駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米国総領事など。意見書は首相、外相、防衛相など。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801211700_03.html

 

2008年1月21日(月) 夕刊 5面

米軍人の綱紀粛正要求/タクシー強盗 宜野湾議会も抗議決議

 【宜野湾】沖縄市美原で発生したタクシー強盗致傷事件で、米普天間基地所属の海兵隊員二人が同容疑で逮捕されたことを受け、宜野湾市議会(伊波廣助議長)は二十一日午前の臨時議会で、米軍人の綱紀粛正などを求める抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。

 決議などでは、同事件は「一歩間違えば生命の危機にかかわる」として「県民に与えた恐怖と不安は計り知れない。過去の事件を踏まえた教訓が全く生かされてなく、県民は怒り心頭に発している」と糾弾。「米軍に対する不信感を募らせる行為である」と批判した。

 その上で(1)被害者への完全補償(2)米軍人・軍属の綱紀粛正(3)隊員教育の徹底―の三点を求めている。あて先は駐日米国大使、在日米軍司令官、首相、防衛相など。

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2008年1月22日(火) 朝刊 1・22面

「書き直し」初明記/普天間アセス方法書 知事意見

有効性は否定せず/2月調査「早ければ間に合う」

 仲井真弘多知事は二十一日、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する三十七項目・二百四十七件の知事意見を沖縄防衛局に提出した。知事意見直前に追加資料が提出されたため十分な審査期間が確保できず、「(方法書の)書き直しをする必要がある」と初めて明記した。一方で、方法書のアセス法上の有効性は、前回(昨年十二月二十一日)知事意見に引き続き否定しなかった。アセス調査の二月実施について、仲井真知事は「書き直しが早ければ間に合う」との見解を示した。防衛局は週内にも審査会に説明を実施したい考えだ。

 知事意見を提出後、記者会見した知念建次文化環境部長は、方法書の「書き直し」の範囲について、「もう一度きちんと取りまとめた形で出してほしいということ」とし、これまで実施した追加説明分と、今後明らかになる事業内容やアセス調査手法などを総括して報告することを求めた。

 書き直しの実効性については、「前回の知事意見を考慮し、(防衛局が)年明けに百五十ページ余の追加資料を提出したことをかんがみれば、十分に出せる状態にあると考える」と説明。今後の審査は、追加資料や防衛局との調整でクリアできるとの見通しを示した。

 知事意見で求めた「書き直し」は、アセス法で規定する「差し戻し」には当たらないとの認識。そのため、書き直しについて審査で出た結論を、県や審査会の意見として防衛局に提出はしない。知念部長は「審査の状況をみた上で、(アセス調査に必要な生物採捕などの)許認可を判断する」として、審査は県の判断材料の一つとみなした。

 書き直し後の公表方法については「事業者で何らかの措置を取ってほしい」として事業者の自主性に委ねた。

 防衛局が現在実施している現況調査については「(中止すべきだという)審査会の答申を踏まえ、十分配慮する必要がある」としたものの、調査の実施は否定しなかった。


情報開示を条件に容認/名護市長


 【東京】仲井真弘多知事が二十一日、米軍普天間飛行場の移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見を発表したことを受け、島袋吉和名護市長は同日夕、沖縄防衛局が十分な情報を公表することを条件に、アセス調査を受け入れる考えを明らかにした。岸田文雄沖縄担当相と会談後、内閣府で記者団の質問に答えた。

 島袋市長は方法書について、「急に百五十ページという膨大な資料が出た。県環境影響評価審査会の皆さんに、しっかり精査していただきたい」と述べ、沖縄防衛局の再説明を見守る考えを示した。


円滑かつ適切に手続きを進める/沖縄防衛局長


 知事意見を受け、沖縄防衛局の真部朗局長は二十一日、「知事意見を勘案し、住民等の意見にも配意して、環境影響評価の項目などを選定し、環境影響評価手続きを円滑かつ適切に進めるとともに、手続きを進めるに当たっては、県に方法書の検討内容などについて丁寧に説明し、理解を得たい」とのコメントを発表した。

 

     ◇     ◇     ◇     

地元で評価交錯


 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)手続きで、仲井真弘多知事は二十一日、沖縄防衛局に知事意見を出した。県環境影響評価審査会の答申が求めた現況調査(事前調査)の中止をトーンダウンさせ、防衛局が目指す二月の本調査開始には柔軟姿勢を示した。自然保護団体からは批判が上がり、地元の名護市では「国と県が歩み寄った」「出来レースだ」と評価が交錯した。

 日本自然保護協会理事の吉田正人江戸川大学教授は「審査会が方法書の書き直しを求めること自体が全国的にも異例で、県は本来差し戻すべきだった」と指摘。審査会の議論を毎回傍聴する建築家の真喜志好一さんは「基地建設を容認する知事でも、環境問題ではアセス法を厳密に適用すべきだった。国のスケジュールに合わせて法をねじ曲げた」と厳しく批判した。

 移設先の名護市辺野古区有志でつくる代替施設推進協議会の宮城安秀代表は、知事が手続きのやり直しを求めなかったことを評価。「再度同じ手続きをやれば、足踏みになる。知事として柔軟なところも出てきた。早期移設という目的で県と国は歩み寄っている」と、作業の進展に期待を示した。

 一方、大浦湾に面した同市瀬嵩に住む沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は「米軍機の機種や飛行ルートなど住民生活への被害の核心が明らかにされていない。沖縄の痛みを全国に伝えるためにも、知事には差し戻してほしかった。国との出来レースなのか、情けない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221300_01.html

 

2008年1月22日(火) 朝刊 2面

基地従業員の支援策延長/厚労省

 【東京】厚生労働省は二十一日、国内の米軍基地で働く日本人従業員が職を失った際の再就職支援策を盛り込んだ「駐留軍関係離職者等臨時措置法」を、二〇一三年まで五年間延長する方針を固めた。基地従業員の地位は依然不安定で、在日米軍最終報告(ロードマップ)でも在沖米海兵隊八千人のグアム移転などで大規模な失業が想定されるため、支援策は引き続き必要だと判断した。

  同法は一九五八年の成立以来、五年ごとの延長を繰り返し、今年五月十六日が失効期限だった。時限立法で始まった法律としては異例の五十五年間の有効期限を保つことになる。

 ただ、米軍再編に伴う具体的な影響が明らかになっておらず、今回は現行法の期限だけを変更する単純延長で対応する。厚労省は通常国会の予算法案成立後に関連法案を提出し、成立を目指す。二十二日午前の自民党厚生労働部会で説明する。

 同法の再就職支援策の柱は(1)離職者への就職指導票交付と公共職業安定所(ハローワーク)などでの就職指導(2)再就職支援のための給付金支給(3)職業訓練援助―など。

 全駐労の照屋恒夫書記長は「米軍再編の影響で今後、離職者は沖縄だけでも数千人に上る可能性があり、同法による支援は欠かせない。仮に延長されるのであれば評価したい」と述べた。

 県議会や市町村議会などは、深刻な県内雇用情勢を踏まえ、同法の延長を求める意見書を相次いで可決していた。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月22日朝刊)

[米軍機爆音]

砂辺区民の声は切実だ

 米軍嘉手納基地を離着陸する戦闘機や輸送機などの爆音に悩まされ続けている北谷町砂辺区の住民らが静かに立ち上がった。

 町のイベントとも重なった日曜日の朝。百人の住民が「爆音NO」の意思表示をするために集まった。全九百世帯から百人。たかをくくってはいけない。「今、意思表示をしなければ爆音は次の世代まで残ってしまう」。危機感に包まれた住民らの行動は、地域を守るための新たな運動の始まりを予感させるに十分だ。

 国は、参加者から漂う静かな熱気を感じ取るべきだ。たかが百人と見くびってはいけない。深刻化の一途をたどる米軍基地被害。現状に不満や不安を感じながらも粛々と暮らす県民の思いは百人の思いとぴたり重なるのだ。

 大会名に「反対」の文字はない。「早朝離着陸・爆音被害に対する住民大会」。政治色を出さずに住民本位の活動に徹するという、大会実行委員会の姿勢の表れだ。

 日米両政府が在日米軍再編に合意してから二年余が経過した。基地負担軽減がうたわれながら、米軍のやっていることはF15戦闘機などの未明離陸やF22戦闘機の一時配備。一向に改善されない現状に地元住民の不安は募るばかりだ。

 声を出しても国や米軍は聞く耳を持たない。しかし黙っていては、砂辺区民の苦悩が多くの人たちに伝わらないし、国や米軍に住民の切実な思いは伝わらない。基地被害、爆音被害を受けている住民たちが、自治会レベルで声を上げるインパクトは大きい。同様の被害で苦しむ他の地域の住民らに勇気と希望を与えたに違いない。

 安眠を妨害する未明離陸が生活に与える影響は大きい。「もはや我慢の限界だ」。アピールに盛り込まれた文言の持つ意味は重い。

 県はもっと住民の立場に立った強い姿勢を国や米軍に示してほしい。静かな暮らしがほしいだけの砂辺区住民の静かな怒りに、国と米軍は誠実に応えるべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080122.html#no_2

 

2008年1月22日(火) 夕刊 1面

防衛相 来月開始 重ねて言明/普天間アセス

 【東京】石破茂防衛相は二十二日午前の閣議後会見で、米軍普天間飛行場の移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見について、「(アセスの)やり直しというわけではない」と述べ、前進との認識を示した。その上で「沖縄の意見に可能な限り応えるよう、努力したい」と語った。

 普天間飛行場代替施設建設に向けたアセス調査については「今までと同じ方針でいきたい」と述べ、県の理解を早急に得て遅くとも二月中に調査を開始する考えをあらためて示した。

 一方、岸田文雄沖縄担当相は閣議後会見で、知事意見で追加説明が必要だとして、方法書の書き直しを求めていることについて、「知事意見の内容を踏まえ、防衛省が十分な説明と最大限の努力をするものと考えている」と述べ、丁寧な対応を求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221700_02.html

 

2008年1月22日(火) 夕刊 5面

津堅島水域で落下傘訓練/9日に米海軍

 【うるま】在沖米海軍が今月九日、うるま市の津堅島訓練水域でパラシュート降下訓練を実施していたことが、二十二日までに分かった。沖縄防衛局によると、訓練の詳細や部隊名などは「運用上の理由」で明らかにしていないという。知念恒男うるま市長は「訓練がどのような内容なのか、市側に知らされていない。同地域ではモズクの養殖が行われており、市民の安全を守る上で(米軍や施設局は)詳細を明らかにしてほしい」と話している。

 パラシュート降下訓練は、一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で伊江島補助飛行場での実施が明記され、津堅島訓練水域の記載はない。一方で外務省などは、同水域での訓練は「水陸両用訓練」とし、SACO合意の対象外との認識を示している。

 嘉手納基地渉外部は今月八日にうるま市側に訓練の実施を通告していた。津堅島訓練水域では昨年一月十六日にも、嘉手納基地所属の部隊によるパラシュート降下訓練が行われたが、那覇防衛施設局(当時)は、うるま市や地元漁協に「一般演習」と通告していた。

 うるま市議会は二十八日の基地対策特別委員会で、同降下訓練に対する抗議決議の採決などを協議する予定。

 また、航空自衛隊那覇救難隊は二十二日午前九時から、津堅島に近いうるま市勝連比嘉の浮原島訓練場でパラシュート降下訓練を実施した。本年度の実施は九回目。浮原島で発煙筒約五本を使用し、UH60Jヘリコプター一機から救難員が約十五回降下した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221700_04.html

 

2008年1月22日(火) 夕刊 5面

視察で校舎屋上使用 不許可/沖国大「必要と認められず」

 【宜野湾】米軍普天間飛行場の視察目的で二十八日に来県する神奈川県相模原市の市議らのため、沖縄国際大学法学部の佐藤学教授が申請した学内の五号館建物屋上の使用許可を大学側が「教育上、特に必要と認められない」などとして、使用を認めなかったことが二十二日、分かった。佐藤教授は「一般市民向けの講座など、社会に知識提供することも大学の務め。普天間飛行場の危険性を知らせることは、広い意味の社会教育であり、原則許可制とすることが好ましい」としている。

 佐藤教授によると、神奈川県相模原市議ら約十人の「米軍厚木基地周辺自治体議員視察団による普天間基地観望のため」として今月十一日、校舎等使用許可願書を提出した。十五日に不許可の通知があり、後日、大学当局に確認すると「沖国大や他大学の学生に使用を限定したい」などと管財課職員が説明した、という。

 同大の「各館屋上の使用について」との申し合わせに基づいて使用が認められなかったことから、佐藤教授は二月一日の法学部教授会で内規改正のため、問題提起する考え。

 同大は「これまでも特例で使用を認めることはあった。今回の件に関しては、再度申請があった場合、前向きに検討したい」としている。

 同大によると、学内の「米軍ヘリコプター墜落事故対策委員会」で、屋上使用に関して「申し合わせ」の順守を確認。その後、複数回の使用申請があったが、使用を認めなかった、という。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801221700_05.html

 

2008年1月23日(水) 朝刊 27面

津堅島・落下傘訓練/市に無断で演習日変更

 【うるま】津堅島訓練水域で在沖米海軍がパラシュート降下訓練を実施していた件で、米軍側はうるま市に対して、当初予定していた今月九日から天候不良を理由に十日への演習日の変更を告げた後、無断で再び九日に演習日を戻していたことが、二十二日分かった。

 降下訓練の実施を受け、抗議決議の提案を予定しているうるま市議会基地対策特別委員会の東浜光雄委員長は「訓練の内容や変更を含めて、なぜ市側に通知しないのか」と米軍の対応を疑問視しており、「SACO合意では(降下訓練は)あくまで伊江島での実施が示されている。日米で見解の相違があるが、合意案にのっとった共通理解を出すべきだ」と憤っている。

 勝連漁協関係者によると同区域は水深が深く、漁船の航行は少ない。これまでパラシュート降下訓練による被害が報告されたことはないという。

 一方、地元津堅島では年に三回ほど、同訓練水域内で訓練の様子が目撃されているという。津堅区の新屋功区長は「市役所からの事前通知で訓練があることを漁師に知らせているが、今回は目視できなかった。現在のところ住民生活に影響は出ていない」と話している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231300_02.html

 

2008年1月23日(水) 朝刊 27面

検定問題 意見を募集/実行委5団体

 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の構成団体のうち五団体が二十二日、那覇市の婦連会館で協議し、教科書検定問題について広く県民の意見を募集することを決めた。今後の活動に生かしたい考え。

 県婦人連合会と県子ども会育成連絡協議会には、二十一、二十二の両日に「検定意見撤回まで実行委の存続を」と求めるファクスやはがきが相次いで寄せられた。沖婦連の小渡ハル子会長は「県民に心配させては申し訳ない。引き続き心を一つに超党派で頑張りたい」と語った。

 自民党県連が解散を提案する次回の実行委の会合で、逆に組織強化を提起することも申し合わせた。同日の協議には、県老人クラブ連合会、県青年団協議会、沖縄の未来を語る会の代表も参加した。意見のあて先は沖婦連、ファクス098(884)5343。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231300_05.html

 

琉球新報 社説

アセス知事意見 環境軽視しては悔い残す

 米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)方法書に対し、県が21日、埋め立て部分に関する知事意見を沖縄防衛局に提出した。

 知事から諮問を受けた県環境影響評価審査会は、方法書の書き直しと併せ、アセス本調査に先立ち実施されている環境現況調査(事前調査)について「中止させる必要がある」と答申していた。

 だが知事意見は「書き直しをする必要がある」と明記したものの、事前調査の中止には踏み込まなかった。防衛省への配慮がにじむ。ジュゴンやサンゴなどの生物的環境への影響を考慮するなら、答申に従い中止を要求すべきだろう。

 沖縄防衛局が知事意見提出期限の間際になって出した150ページもの追加資料について、県の知念建次文化環境部長は「最初の段階で記載すべき事項はほぼクリアされてきている」と評価。仲井真弘多知事は「どんと情報を公開してもらい、非常に評価すべきだ」とも述べている。

 21日の記者会見では、これまで「進め方がおかしい」などと防衛省を指弾してきた仲井真知事の口から、政府に対する非難めいた言葉は最後まで出てこなかった。

 県と防衛省の間で、ある程度調整が進んでいることをうかがわせるが、アセス調査ありきの「出来レース」になってしまっては、将来に禍根を残す。

 知事意見は、埋め立てのため約1700万立方メートルの海砂を沖縄本島周辺から採取することについて、県外も含めた調達先の複数案を検討し調達計画を明らかにするよう求めた。これらの点が不明のまま手続きを進めてはならない。

 沖縄防衛局は早ければ23日にも県に対し方法書の改訂版を提出するが、県環境影響評価審査会を納得させるだけの中身になるかどうかは未知数だ。

 県は、代替施設の沖合移動を認めさせることに重きを置くあまり、環境保全を軽視するようなことがあってはならない。審査会の意見を最大限に尊重し、国に対して臨むべきだ。そうでなければ、諮問する意味もない。

(1/23 9:56)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30725-storytopic-11.html

 

2008年1月23日(水) 夕刊 1面

ジュゴン調査 7カ月想定/知事意見反映されず

 米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)で、沖縄防衛局は二十二日、履行期限を「今年十月末まで」と設定した、ジュゴンやウミガメなど海域動物に関する環境現況調査の入札を公示した。

 防衛局は同調査の入札を三月二十一日に実施することから、調査期間は約七カ月間を想定しているとみられる。

 ジュゴンに関してはアセス方法書に対する知事意見で、「複数年」の調査実施を求めているが、同意見を反映しないことを前提に、調査期間が設定されている実態が浮かんだ。

 ジュゴンについては二十一日に仲井真弘多知事が沖縄防衛局に提出した知事意見で「これまで科学的調査がほとんど行われておらず、生活史、分布、個体数などに関する知見が非常に乏しい」などとして、生活史などに関する調査を複数年実施するよう求めている。

 同局は、アセス法に基づかない自主的な現況調査(事前調査)で昨年からジュゴンなどに関する調査を実施。

 同調査の収集データをアセス結果に取り込むことで、「複数年実施」とする可能性もあり、環境団体などから批判も出そうだ。

 また、沖縄防衛局は二十二日、米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設工事で、「G地区」と「N―1地区」のヘリ着陸帯新設工事と、G地区への進入路整備の入札を公示した。三月十二日に入札し、工期は来年二月末まで。

 新設するヘリ着陸帯は三カ所で、直径四十五メートル。一カ所当たり約千六百平方メートルの芝を敷く。


     ◇     ◇     ◇     

真部防衛局長、知事と面談/「方法書充実させたい」


 沖縄防衛局の真部朗局長は二十三日、着任あいさつのため県庁に仲井真弘多知事を訪ね、米軍普天間飛行場移設問題などについて「地元の理解を得ないと何一つうまくいかないと思っている」と述べ、県などに配慮して取り組む考えを強調した。

 環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見への対応については「知事意見を真剣に受け止め、誠意を持って説明し、内容を充実させたい」と柔軟姿勢を示した。

 普天間移設問題について仲井真知事は「県や市町村の意見にじっくり耳を傾けていただきたい。基本的には代替施設は早めに完成した方がいいというのは(政府と)一致している」と指摘。嘉手納基地より南の基地返還後の跡地利用について支援を求めたのに対し、真部局長は「政府内で連携し、要請に応えられるようにしたい」と応じた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231700_01.html

 

2008年1月23日(水) 夕刊 5面

書き直し調査官が「強制」/教科書会社、4度申請

 【東京】作家・大江健三郎さんらを被告とする沖縄戦「集団自決(強制集団死)」訴訟で被告側を支援する首都圏、大阪、沖縄の三団体は二十二日夜、教科書検定意見撤回を求める集会を都内で開いた。訂正申請が承認されるまでの経緯を報告した教科書執筆者は、「集団自決」への日本軍の命令を記述した証言史料の書き直しを文部科学省の調査官に「誘導・強制」され、教科書会社が合計四回の再申請を余儀なくされたと強調。「軍命が存在しないという記述を調査官サイドに書かされた」と強く批判した。

 集会には執筆者や学識者、教育関係者ら約百五十人が参加。検定意見の撤回と記述の完全な回復、三月に判決が言い渡される「集団自決」訴訟の支援を継続する方針で一致した。

 執筆者で都立高校教員の坂本昇さんは、軍命の証言を引用した当初の訂正申請記述が、十一月下旬に調査官から「伝聞の形であっても高校生には確定した事実と受け取られる恐れがある」と指摘されたことを説明。「調査官は『直せ』とは命令しなかったが、再訂正を誘導・強制した」と指摘した。

 日本軍の戦争責任に詳しい関東学院大学の林博史教授は「現場の兵士が勝手に手榴弾を配ったという意見もあるが、警察でも軍でも不祥事があれば組織の体質やトップの責任が問われるのは常識。軍の強制は一番大事なポイントだ」と強調。日本軍の強制を認めなかった訂正申請の内容が不十分だと訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801231700_04.html

「嘉手納基地 燃料流出か/排水溝内に発電機落下 」沖縄タイムス、琉球新報(1月16日から19日)

2008年1月16日(水) 朝刊 1・22面

「集団自決は村の独断」/防衛研 公開資料に所見

問題なしと削除せず/軍命ねつ造と断定も

 【東京】慶良間諸島の「集団自決(強制集団死)」に関し、防衛省の防衛研究所(東京都目黒区)が所蔵資料に「戦隊長命令はなかった」と見解を付けて公開していた問題で、別の複数の資料にも「集団自決は村役場の独断」として、軍命を否定する「所見」などを付していたことが十五日、分かった。復帰前に琉球政府立法院議員が戦隊長命令があったと書いた著書を掲載した報道資料には、資料評価の「参考」として「事実をねつ造している」と断定している。どちらも一般公開されており、識者は「極めて重大な問題だ」と批判している。

 同研究所は「役場の独断」とした所見は「資料内容の要約を記述したもので、事実関係を評価したものではない」(図書館史料室の廣瀬琢磨室長)として、削除しない考え。「事実のねつ造」とした「参考」は「資料を確認していないのでコメントできない」(同)としている。

 今回、判明した資料は(1)「渡嘉敷島及び座間味島における集団自決の真相」(2)「『島民』の集団自決は軍命令だった」―の二点。

 「渡嘉敷―」は(1)沖縄戦時に渡嘉敷村駐在所巡査だった比嘉喜順氏が「軍命でなければ赤松(嘉次)隊長の命令でもございません」などと記した手紙(2)座間味島に駐屯した海上挺進第一戦隊の梅沢裕戦隊長が「助役の命令が飛び、各所で惨劇(集団自決)が始まった」として、戦隊長命令は補償金のために遺族が考えたとの趣旨を書いた手記―を一冊にまとめた。

 この資料に永江太郎調査員が二〇〇〇年十月十八日付で「両島の事件が村役場の独断であり、戦後補償のために軍命令とした経緯に関する当事者の貴重な証言」とする「所見」を添付。林吉永戦史部長の印鑑もある。

 廣瀬室長は「あくまで記述者個人の見解であり、戦史部や防衛省の見解ではない」としている。

 「『島民』―」は(1)琉球政府立法院議員だった山川泰邦氏が戦隊長命令を明記した著書を掲載した「週刊読売」(一九六九年八月十五日)(2)直接の戦隊長命令は確認できていないとする、作家・曽野綾子氏の著書「ある神話の背景」の連載(第六回)を掲載した雑誌「諸君」(七二年三月号)―の記事を複製した。

 戦史室編さん官の川田久四郎氏が七二年八月二十二日に作成。「資料評価上参考となる事項」として「読売」には「早く言えば軍誹謗の記事。ねつ造」、「諸君」には「正確でこれが真相であろう」と指摘している。

 一方、防衛研究所は、すでに判明していた手記の見解は「不適切」だとして、七日に削除した。


一面的な見方を公開資料に添付


 日本軍の戦争責任に詳しい林博史・関東学院大教授の話 明らかになった資料をセットで考えると、防衛研究所が一九七〇年代の非常に早い段階から「軍命はねつ造である」という見解を持ち、現在に至るまで一貫していることが分かる。非常に一面的な沖縄戦の見方を一般公開している資料に添付しているのも、資料保存の方法として問題が大きい。


     ◇     ◇     ◇     

文科副大臣、検定撤回を困難視


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)は十五日午後、文部科学省に池坊保子副大臣を訪ね、「『集団自決』への日本軍による強制」の教科書への明記や検定意見撤回を引き続き要請した。要請に対し、池坊副大臣は「これまで誠実に県民の方々の気持ちに対応してきた」と、再要請に応じるのは困難との見方を示した。

 要請で仲里委員長は、「検定意見の撤回は絶対に譲れない。撤回に向けて今後も取り組み続ける」と粘り強く求め続けていく考えを強調した。

 しかし、池坊副大臣は「(記述の修正で)文言も増えているし、百二十点だ」と評価。その上で「常識的に考えても再度このようなことはないものだと自分は確信する」と述べたが、「軍の強制」に関する記述復活については明言は避けた。

 仲里委員長は「家永裁判、今回の教科書検定問題と、十年越しにこういうことが起こっているので、『ああそうですか』と受けるわけにはいかない」と再発防止の担保も求めたが、明確な回答はなかった。

 要請後、仲里委員長は今後の対応について「持ち帰って実行委員会で協議したい」と述べた。要請には玉寄哲永・県子ども会育成連絡協議会長、小渡ハル子・県婦人連合会長らも同行した。


五ノ日の会 検定撤回再び難色


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、県民大会実行委員会の構成団体のうちの六団体の代表が十五日午後、衆院議員会館で、県選出・出身の自民党国会議員でつくる「五ノ日の会」と面談し、問題の解決に理解を求めた。五ノ日の会は、検定意見の撤回に向けた協調には難色を示す一方で、相互が意思疎通を図り、問題解決の道筋を探る必要性を指摘し、代表側も了承した。

 六団体を代表して要請したのは、県婦人連合会の小渡ハル子会長と、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長。両会長は同問題の経緯を説明した上で、「文部科学省の検定意見はまだ撤回されていない」として、国会議員らの強い働き掛けを求めた。

 五ノ日の会会長の仲村正治衆院議員は「われわれは実行委員会と行動を共にし、政府への要望や国会の委員会でも強く要求してきた。(文科省の結論は)県民の八、九割の希望に応えていると判断し、われわれも評価した」などと述べ、検定意見の撤回に向けた協調体制の確立には難色を示した。

 一方で、複数の議員は、団体側が記者会見を開き、五ノ日の会の対応を批判していることに触れ、「話し合いの場はいつでも持つ。一方的に批判すれば感情的になる。今後も相談してほしい」と相互が綿密に意見交換する必要性を説いた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161300_01.html

 

2008年1月16日(水) 朝刊 23面

国に根強い軍命否定論/氷山の一角か

沖縄戦で起きた「集団自決(強制集団死)」に関し、防衛研究所が所蔵する複数の資料に戦隊長命令を断定的に否定する見解が付されていることが明らかになった。中には復帰直後の時期に「(戦隊長命令は)事実のねつ造」と強いトーンで書かれたものもあり、三十五年以上前から政府・防衛庁(当時)内に「軍命否定論」が根強く存在していることがうかがえ、問題の底流にあると言えそうだ。

 防研には約十五万冊の戦史が保管されており、これまで判明した部分は「氷山の一角」の可能性が高い。図書館史料室は「すべての資料をチェックするのは不可能だ」と認めており、利用者に予断を与える見解がさらに多くの資料に付されているとみられる。

 今回、問題になったのは、資料を作成した担当者が入手の経緯や日付、出典などを記す「経歴表」の内容だ。

 本来は閲覧する研究者などの参考になるよう、資料保存の価値判断を示す目的で付されているが、「早く言えば軍誹謗の記事」など、明らかに事実関係の評価と受け止められる記載がある。

 防研側は「記述者個人の見解」「利用者の大半は専門家で予断は持たない」などと強調するが、一般の利用者からすれば、組織的に認められたものだと判断する危険性は高い。資料を広く一般公開している以上、「普通の市民」の目線で収集、保存に当たる必要があるのではないか。

 「集団自決」のように事実関係の評価が専門家の間でも分かれている事案であれば、なおさら慎重な判断が求められる。

 閲覧者向けの必要最低限のデータを提供し、歴史認識は利用者(国民)の判断に委ねるという、基本原則を徹底する必要がある。(東京支社・吉田央)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161300_02.html

 

2008年1月16日(水) 朝刊 1・23面

嘉手納基地 燃料流出か/排水溝内に発電機落下

 【中部】米空軍嘉手納基地内のF15戦闘機駐機場近くで、航空機用の発電機が排水溝内に倒れて破損し、タンクから最大六十五ガロン(二百四十リットル)のディーゼル燃料が基地外へ流出した可能性のあることが十五日、分かった。同基地の流出確認から一日半が経過した同日午後、沖縄防衛局を通じて県や周辺自治体へ「周辺環境への影響はない」との説明が行われた。同基地では、昨年五月にも約一万五千リットルの燃料流出事故が発生しており、米軍のずさんな管理体制や通報の遅れに反発の声が出ている。

 県基地対策課は同日、沖縄防衛局を通じ、事故原因の究明と速やかな回収作業の実施などを申し入れた。

 米軍や沖縄防衛局によると、発電機には六十五ガロンのディーゼル燃料が入った状態で、十四日午前二時に駐機場へ運ばれた。同日午前八時半に発電機が排水溝内に倒れているのが見つかった。

 タンクには転落の際に破損し、穴が開いたとみられ、燃料は残っていなかったという。米軍の説明によると、発電機が倒れた理由や、転落する前に燃料がすべて使用されていたのか、破損した穴から流出したのかは分かっていない。

 排水溝は一・六キロの距離で比謝川へつながっている。同基地は「基地外へ流出していたとしても、十四日に降った雨により、燃料は排水溝内で薄まっている。周辺住民への影響はない」とした。

 嘉手納町屋良の比謝川取水ポンプ場を管理する県企業局は十五日午後、比謝川と嘉手納基地内の嘉手納井戸群に職員を派遣。目視・臭気調査を実施したが、異常は確認されなかった。

 沖縄防衛局から県などへ通知があったのは十五日午後三時ごろ。同基地によると、事故内容は十四日中に在日米軍に報告したという。地元への連絡が一日後だった理由について、同基地は「報告内容は在日米軍、在日米大使館、日本政府の順に通知。環境問題が発生したときの通報手順に沿ったものだ」と説明している。


     ◇     ◇     ◇     

周辺住民、環境への影響懸念


 【中部】「燃料流出の有無が、なぜ分からないのか」―。最大約二百五十リットルのディーゼル燃料が比謝川に流出した可能性もある嘉手納基地での航空機用発電機の排水溝への落下事故。同基地では昨年五月、バルブの締め忘れで約一万五千リットルものジェット燃料流出事故が起きたばかり。周辺住民からは環境への懸念だけでなく、米軍の管理体制の甘さを指摘する声も上がった。

 比謝川沿いに住み、ボランティアで川の清掃に取り組んでいる沖縄市越来の勝連盛守さん(71)は「多くの市民が、きれいな水が流れる川にしようと努力する中で、流出したのであれば絶対に許せない。市民の飲み水、川の生き物などに影響がないか、とても心配だ」と不安げに話した。

 嘉手納基地に隣接する嘉手納町東区の島袋敏雄区長は「流出したのか、しなかったのか、なぜ分からないのか。米軍の管理体制に問題があるのではないか」と指摘した。

 北谷町女性連合会の桃原雅子会長は「騒音でも悩まされているのに、生活にかかわる水でも問題が出てきては家庭の主婦として心配」と懸念。「基地があるために事件・事故が起きている。日々危険と隣り合わせだ。今後こういうことが起こらないよう米軍も政府も対応してほしい」とした。

 航空機用発電機は沖縄市域の排水溝に落ちた。東門美津子市長は「燃料漏れの有無について正確な情報がない。事実関係を把握した上でコメントしたい」と述べた。関係自治体への連絡が、落下事故の確認から約一日後だったことには「通報遅れによって、市民が被害に巻き込まれる可能性がある。米軍は迅速に通報すべきだ」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161300_03.html

 

2008年1月16日(水) 朝刊 22面

「ひめゆり」アニメ作品に/人物・背景の原画募集

 ひめゆり平和祈念資料館が来年の開館二十周年に向け、元学徒の体験をアニメーション作品にする。原画作者をプロ・アマ問わず公募し、寄せられた絵を基に物語を構成する計画。「小学生にも伝わる、長く色あせない作品にしたい。力を貸してほしい」と呼び掛けている。

 同館は元学徒の高齢化が進む中で体験を次世代に継承しようと、ここ数年アニメ制作の構想を温めていた。展示の解説文が読めない子ども向けに、館内で上映する短編に仕上げる。

 募集するのは、登場人物や背景の原画。参考シーンを設定するが、題材や表現手法は自由に選んでもらう。

 アニメ監督ら専門家の審査で採用を決め、可能なら制作への参加も要請する。採用されなかった作品も含め、同館で展示する予定。

 十五日記者会見した本村つる館長は「子どもに分かり、大人も感動するような作品にできたら」と抱負を語った。審査員も務める映画監督の柴田昌平さんは「応募は中学生、高校生でも可能。新しい発想のアニメにしたい」と意欲を見せた。

 原画の募集は六月末まで。詳しい要綱は同館のホームページ(http://www.himeyuri.or.jp/)にも掲載する。問い合わせは同館、電話098(997)2100。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161300_04.html

 

2008年1月16日(水) 朝刊 2面

臨時国会を振り返る/検定問題 政府追及

 【東京】安倍晋三前首相の突然の辞任から波乱の幕開けとなった第百六十八回臨時国会が十五日、閉会した。沖縄関係では、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、検定意見の撤回などをめぐる論争が繰り広げられた。基地問題で官僚らの問題発言も相次ぎ、収賄容疑で逮捕された守屋武昌前事務次官の証人喚問では在沖米軍基地に絡む利権も取りざたされた。防衛省は問題発言した防衛政策局長ら守屋前次官側近の人事刷新に着手するなど、波紋を広げた。

 昨年九月二十九日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」を受け、民主党は文部科学省に審議のやり直しなどを求める国会決議可決を目指した。しかし、参院民主が慎重姿勢を崩さず、実現には至らなかった。

 一方、県民大会については福田康夫首相が十月十二日の衆院決算行政監視委員会で「十一万人の県民大会があった事実も(政府が)重く受け止める一つの理由だったかもしれない」と答弁。県民大会参加者数をめぐっては一部全国紙が主催者発表の参加者数に疑問を投げていたが、政府は「十一万人」と認めた形となった。

 教科書会社からの訂正申請を受け、十二月下旬に修正記述が確定した後も同問題をめぐる論戦は続いた。文科省の布村幸彦審議官は今月十日の参院内閣委員会で、検定意見を撤回する考えがないことを再度強調した。

 質問に立った糸数慶子氏(無所属)は「渡海紀三朗文部科学相は談話を出したが、記述改ざんの再発防止措置に触れておらず、文科省・政府の沖縄戦に対する理解に問題がある」と批判した。

 昨年十月二十九日の衆院テロ防止特別委員会では、守屋氏の証人喚問があった。在日米軍再編を主導し、県内の基地問題に精通していた守屋氏に対し、照屋寛徳衆院議員(社民)は利権疑惑を追及したが、守屋氏は「そういうことはしていない」と全面否定した。

 米軍再編では、防衛省の金澤博範防衛政策局長が十一月十六日の衆院安全保障委員会で、普天間代替施設(V字案)の運用をめぐる住宅地上空飛行に関する地元説明について「今の段階で必要ない」と明言。関係自治体などが反発した。

 在沖米海兵隊のグアム移転に伴い日米がそれぞれ整備する家族住宅の価格も問題になり、石破茂防衛相は十二月十日の決算委員会では「どう見ても高すぎる」と経費を精査する考えを示した。

 一方、福田康夫首相は十月三十日の衆院テロ防止特別委員会で、二〇〇四年に沖縄国際大に米軍大型輸送ヘリが墜落した事故について「かすかに覚えています」と答弁。

 地元からは「その程度の認識しかないのは情けない」(伊波洋一宜野湾市長)などと不満の声が上がった。(東京支社・島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161300_06.html

 

2008年1月16日(水) 朝刊 2面 

「欠陥機容認できず」/三連協、米軍に抗議文

 【中部】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が十四日に飛行を再開したことについて、沖縄、嘉手納、北谷の首長らで構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は十五日、「度重なる事故を起こした欠陥機の飛行再開は容認できない」として、F15の飛行中止と、即時撤去を求める抗議文を同基地司令官などに送付した。

 三連協はF15飛行再開の連絡を受けた後、十一日に同基地を訪ね、ジョン・ハッチソン広報局長に中止の要請文を手渡していた。

 今回の抗議文では飛行が再開された十四日、F15が二度、緊急着陸したことなどを指摘。「安全性が保障されていない。入念な点検を行ったはずなのに、住民の不安を払拭していない」と反発している。野国昌春会長(北谷町長)は「F15は嘉手納基地に配備された当初から事故が多く、欠陥が指摘されてきた。飛行再開は住民に騒音と事故への不安という大きな負担を押し付けるものだ」と米軍を批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月16日朝刊)

[基地負担の軽減]

現状洗い直し再論議を

 米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行訓練を再開した。F15の未明離陸といい今回の飛行再開といい、地域住民にさまざまな影響を与えているにもかかわらず、政府の反応は鈍い。

 この二つの事例が象徴しているのは「基地の自由使用」という古くて新しい問題だ。

 住民生活を脅かしたり不安に陥れたりするような米軍の行動や基地の運用に対して、どのようにすれば歯止めをかけることができるのか。地位協定に基づく日米協議の場は、こうした問題を解決する場として果たして十分に機能しているのか。

 基地と住民の接点で生じる摩擦の解決方法について、再度、根本のところから問い直さない限り、事態の進展は望めないだろう。

 このことは実は、県が掲げる普天間飛行場の「三年をめどにした閉鎖状態の実現」とも深くかかわっている。

 沖縄返還交渉の際、米軍部が強く求めたのは、施政権返還後の「基地の自由使用」だった。行動の自由を制約されたくないという思いは、今も米軍の中に根強い。

 「抑止力の維持」「錬度の向上」「運用上の必要性」などを理由にした米軍の基地運用に対し、外務省は、それが住民生活に影響を与えることが分かっていても、「ノーとはいえない」という姿勢を繰り返してきた。

 この構図を変えるのは容易なことではない。

 沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故を受け、政府は昨年八月、普天間飛行場を離着陸するヘリの新しい飛行ルートを発表した。

 見過ごすことができないのは、この新飛行ルートに対し、防衛施設庁(当時)が「現状で取り得る最善の措置」だと指摘、この案が「三年をめどにした普天間飛行場の閉鎖」要求への回答である、と見なしている点だ。

 日米合同委員会のような既存の協議機関では、この種の問題の抜本的な解決が難しいことを示している。

 そうであるなら、県は、F15の未明離陸問題や普天間飛行場の危険性の除去問題を議論できるような新たな協議の場を日米両政府に要求すべきではないか。

 米軍再編は、基地と住民の接点で生じる摩擦の解消に、果たしてどの程度効果があるのか。米軍再編計画の影で現実に生じている被害や摩擦が放置されているのは問題だ。

 住民生活にとっての深刻度を精査し、早期解決の必要な事案をまとめた上で、あらためて負担軽減を要求する必要がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080116.html#no_1

 

2008年1月16日(水) 夕刊 1面

F15飛行再開/北谷議会が抗議決議

 【北谷】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行を再開したことを受け、北谷町議会(宮里友常議長)は十六日午前、臨時会を開き、米本国で墜落したF15の事故原因公表と即時撤去を求める抗議決議、意見書両案を全会一致で可決した。F15が県内や米本国で墜落事故を起こしていることを問題視し、「明らかに機体の老朽化や構造的欠陥がある」として飛行再開の中止を訴えている。

 F15の飛行再開に対する抗議決議は県内で初めて。同議会は、嘉手納基地司令官などへの直接抗議を予定している。

 抗議決議は、米本国での墜落事故以降、同基地所属のF15二機で機体の構造を支えるロンジロン(縦通材)に亀裂が見つかったことを指摘。「県内で八件、米本国でも過去半年間で四件の墜落事故を起こしている。構造的欠陥が原因であり、飛行再開は周辺住民に大きな不安と恐怖を与える」と強く反発している。

 飛行が再開された十四日は、F15二十四機が南北の滑走路を使用して訓練を実施したが、そのうちの二機が緊急着陸した。沖縄、嘉手納、北谷の首長らで構成する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」は十五日、「安全性が保障された飛行再開といえない」として米軍へ抗議している。

 同議会は、七日に沖縄市内で起きた米兵二人によるタクシー強盗致傷事件に対する抗議決議、意見書の両案を可決した。「北谷町でも二〇〇六年に同様の事件が発生した。依然として米軍人の犯罪は続発しており、実効性がない米軍の対応に不信感はぬぐい去れない」とし、米軍に綱紀粛正を要求した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161700_01.html

 

2008年1月16日(水) 夕刊 5面

タクシー強盗/沖縄市議会 米軍に抗議

 【沖縄】沖縄市美原で起きたタクシー強盗致傷事件で米海兵隊員二人が同容疑で逮捕されたことを受け、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は十六日午前の臨時会で、被害者への完全な補償と再発防止を求める抗議決議と意見書案を全会一致で可決した。直後には、北中城村石平の米海兵隊外交政策部(G5)を訪ね、「今後二度とこのような凶悪事件を起こさないでほしい」と抗議した。午後には在沖米国総領事と外務省沖縄事務所を訪ね、抗議と要請を行う。

 同議会基地に関する調査特別委員会の与那嶺克枝委員長らは「事件の再発防止など、実効性のない米軍の対応に不信感がある」と抗議した。

 応対したラリー・ホルコム大佐は「海兵隊としても驚いており、現在、事件の背景を追究している。大変申し訳なく思う」と謝罪したという。

 抗議決議では「安全であるはずの住宅街で発生した凶悪犯罪であり、被害者の心中を察すると断じて許されるものではない」と糾弾している。

 抗議決議のあて先は在日米軍司令官など。意見書のあて先は首相、外務大臣、防衛大臣など。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801161700_04.html

 

2008年1月17日(木) 朝刊 1・23面

審査会、書き直し要求/普天間アセス方法書

不備理由に委員総意/現況調査中止も明記

 「審査会の総意で方法書の書き直しを求める」―。米軍普天間飛行場の辺野古移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書を審議する県環境影響評価審査会(会長・津嘉山正光琉大名誉教授)が十六日、那覇市の県総合福祉センターであり、事業者の沖縄防衛局に対し方法書の不備を理由に書き直しを要求する答申案をまとめた。方法書手続きのやり直しを強制する法適用は避けたが、県環境政策課は答申が要求する書き直しについて「アセス調査前に一括で提出してもらう」とし、実質的に方法書の書き直しに当たるとの考えを明らかにした。答申に従えば、防衛局が意向を示している「アセス本調査の二月実施」は困難になる。

 審査会は、昨年十二月に一部県条例に基づき答申された飛行場部分と、十六日に審査された国のアセス法に基づく埋立部分を合わせて、十八日に答申する予定。答申を受けて仲井真弘多知事は二十一日、知事意見を提出する。

 答申案は、防衛局が辺野古沖などですでに実施している現況調査について、「調査を中止させる必要がある」と断定。今後、アセス本調査に反映させることを示唆している点について「本調査の実施期間は、調査項目ごとに少なくとも方法書書き直し後一年以上を通して行うべきだ」と明記する方針を固めた。

 これに対し、県環境政策課も「調査期間に関しては今後の知事意見でも一年間以上はやってもらうように述べる予定」と説明し、アセス調査の短縮化には応じない姿勢を示した。

 また、追加説明で方法書の中身を後出しする防衛局の姿勢について、委員からは「追加説明では本来方法書手続きで保証する公告縦覧が担保されない。これでは方法書に住民の意見が反映できず不十分だ」との批判が相次いだ。

 これに対し、方法書の書き直しを事業者に強制することについて同課は「答申の趣旨が知事意見に反映されれば、それは事業者としてやってもらえるものと思っている」と説明。一方、書き直した方法書の公表については、「手続き上、公告縦覧の再実施は困難」とした上で、「方法書を書き直した時点で、事業者がメディアを通して自ら公表し、住民に開示するなどの方法がある」と指摘した。


     ◇     ◇     ◇     

方法書「落第」突き付け/防衛局に不信噴出


 米軍普天間飛行場の代替施設建設問題で、県環境影響評価審査会は十六日夜の会合で、沖縄防衛局の環境影響評価(アセスメント)方法書にあらためて「落第点」を突き付けた。委員からは「事業内容が、後出しジャンケンでまた出てくるのではないか」「振り回されている」などと不信の声が噴出。この日は出席しなかった防衛局だが、情報を積極的に示そうとしない姿勢が常に議論の“陰の主役”となった。

 知事への答申内容を議論する最後の会合。傍聴者と報道陣合わせて九十人以上が詰め掛け、那覇市の県総合福祉センターの一室は、汗ばむほどの熱気に包まれた。いすが足りず、三時間立ったまま議論の行方を見守った人も多くいた。

 委員の疑問は、十一日になって防衛局が明らかにした沖縄近海からの海砂千七百万立方メートルの採取に集まった。前門晃委員(琉大教授)は「県内の砂浜の砂がほとんどなくなってしまう。環境対策ができる量ではない。この計画は駄目だ」と危機感を示した。

 宮城邦治副会長(沖国大教授)は「防衛省には相当進んだ青写真があると思う。次の段階で内容が相当ずれる可能性がある」と、防衛局が現段階で示している概要の信頼性に疑問を投げ掛けた。

 他の委員も「防衛局が悪意を持って答申内容をとらえたら困る」「対策の検討を求めても、本当に検討するかどうか」などと発言。情報を小出しにしてきた防衛局との決定的な溝が、浮き彫りになった。

 防衛局に方法書の書き直しを求めることが法的に可能かどうかをめぐり、審査会事務局の県と傍聴席の市民団体が論争する場面も。津嘉山正光会長(琉大名誉教授)が「もともと(詳細が)方法書にないのがおかしい」と防衛局の落ち度を指摘し、審査会の総意として実質的に書き直しを求めることでまとまった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801171300_01.html

 

2008年1月17日(木) 朝刊 23面

墜落同型ヘリ7機普天間に/追加配備 可能性も

 【宜野湾】沖縄国際大学に墜落したCH53D大型輸送ヘリコプターの同型機七機が十六日、米軍普天間飛行場で確認された。十五日夜に飛来した米空軍の大型輸送機C5ギャラクシーなどで輸送したとみられる。

 同型機は、部隊配備計画(UDP)の一環で、昨年十一月に四機をローテーション配備。米海兵隊報道部は一月までに、同型機十機と約百五十人の兵士らを同飛行場を含む国内にローテーション配備するとしており、今後同型機が追加配備される可能性がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801171300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月17日朝刊)

[「集団自決」見解]

これでは予断を与える

 防衛省防衛研究所が所蔵する沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する資料に、同研究所の戦史部が渡嘉敷、座間味両島で「隊長命令はなかった」との見解を付けて公開していた。

 両島の「集団自決」をめぐって、大阪地裁で係争中の訴訟でも戦隊長命令の有無などが争点になっている。

 にもかかわらず、政府機関が原告側の主張に沿った見解だけを一方的に付けるのはバランスを欠いている。

 手記「集団自決の渡嘉敷戦」「座間味住民の集団自決」は、元大本営参謀が陸上自衛隊の幹部学校で「沖縄戦における島民の行動」の演題で講演した際の講演録に添付されていたという。

 両資料について、見解は「事実とは全く異なるものが、あたかも真実であるがごとく書かれた」と断定。渡嘉敷島巡査の証言、宮城晴美さんの著書を挙げ「命令は出されていないことが証明されている」と言い切っている。

 別の複数の資料にも、軍命を否定する「所見」や、資料評価の「参考」が付されていたことが明らかになった。

 その後、同研究所は手記に付された見解を「不適切」として削除した。

 しかし、「所見」などについては、「あくまで記述者個人の見解であり、戦史部や防衛省の見解ではない」(同研究所図書館史料室長)としている。

 こうした見解は利用者に予断を与えかねない。同研究所の公式見解と受け取る人もいるはずだ。「集団自決」の評価を一方的に押し付ける恐れがあり、配慮に欠けると言わざるを得ない。

 一九六八年に発刊された『戦史叢書 沖縄方面陸軍作戦』(防衛庁防衛研修所戦史部著)では、慶良間の「集団自決」について「戦闘員の煩累を絶つため崇高な犠牲的精神により自らの生命を絶つ者も生じた」と記されている。

 県内の研究者の間では以前から、「崇高な犠牲的精神」という表現が問題にされてきた。

 今回の教科書検定の訂正申請の際、文部科学省は専門家九人から意見を聴取したが、防衛研究所戦史部客員研究員は「軍の強制と誘導による集団自決とは言えない」との考えを伝えた。

 文科省の検定意見といい防衛研究所の見解といい、政府は一貫して日本軍の責任を希薄化する姿勢を見せてきた。沖縄地元の研究者や住民側証言との落差が際立っている。

 沖縄戦では住民を巻き込んだ激しい地上戦が展開された。「集団自決」や、日本軍による「住民殺害」が起きたことが大きな特徴である。重要な史実の評価をめぐって、国内においてさえ、こうも歴史認識が懸け離れていることに暗然とする。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080117.html#no_1

 

琉球新報 社説

続く基地被害 当事者意識のない米軍

 米空軍嘉手納基地のF15戦闘機駐機場で、航空機用発電機が排水溝に落下し、ディーゼル燃料が漏れたとみられる事故があった。最大で約246リットルが漏れ、排水溝を通じて基地外の比謝川に流出した可能性がある。

 14日からは、欠陥が疑われるF15戦闘機が県民の反対を無視して飛行を再開し、民間地域上空で爆音をまき散らしている。

 空からは爆音、陸上では燃料漏れでは、県民はたまったものではない。

 発表によると、発電機は14日午前2時ごろに駐機場に搬入され、同日午前8時半ごろ、比謝川に接続する排水溝に落下していた。

 発電機カートのブレーキの故障で、排水溝に落下したという。米軍の機器の管理・保守体制はどうなっているのだろうか。

 米軍の運用規定からすれば、タンク容量の75%に当たる約246リットルが入っていた可能性があるが、発見時にはタンクに穴が開き、中は空だったという。

 解せないのは、嘉手納基地報道部は流出した可能性がある量を最大で246リットルとしていることだ。タンクにどれだけの量が入っていたのか、関係者に話を聞けば、分かりそうなものである。

 発表時点で流出量が確定できないということは、燃料管理のずさんさを証明したことにほかならない。

 事故覚知から1日以上たって発表したことも見逃せない。あまりに遅すぎる。

 報道部は「環境にかかわる問題は在日米軍上層部に報告し、上層部から防衛省を通じ沖縄防衛局に連絡される規定なので、時間がかかった」としている。

 情報が流れる過程で、滞った部署があったとしか考えられない。スムーズにいっても、発表まで1日以上かかるとすれば、現行の報告システム自体に問題があるということである。

 影響を受ける恐れのある県民に対して即座に、知らせることが筋である。その方向で日米両政府は改善するべきだ。

 嘉手納基地は発電機落下現場や比謝川で油臭や油膜が確認されなかったとして「14日の激しい雨などで燃料は薄められたと考えられる。地域住民に危険をもたらすものではないと結論付けた」と発表した。

 事故の詳細がはっきりしない時点で、住民に危険がないと断定するのは疑問だ。

 発表は事実関係を説明しただけだった。それだけでは不十分と言わざるを得ない。

 少なくとも、地域住民に不安を与えたことに対する謝罪があってしかるべきである。文化の違いの問題ではない。当事者意識、責任感の問題である。

(1/17 9:47)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30558-storytopic-11.html

 

2008年1月17日(木) 夕刊 1面

防衛局長に真部氏就任/再編顔触れ一新

 【東京】石破茂防衛相は十七日の臨時閣議で、収賄罪で起訴された守屋武昌前事務次官に近いとされる、金澤博範防衛政策局長(52)を事実上更迭、後任に高見澤將林運用企画局長(52)を充てるなどの幹部人事を報告、承認された。同日付の発令。

 高見澤氏の後任には徳地秀士北関東防衛局長(52)を充て、徳地氏の後任には鎌田昭良沖縄防衛局長(51)を起用。真部朗報道官(50)を二代目の沖縄防衛局長に充てることを正式に決めた。真部氏が兼務していた米軍再編調整官には丸井博情報本部情報官(48)を起用した。

 今回の人事では、米軍再編で在沖米軍基地関係を担当した課長クラスも異動。米軍再編を担当する顔触れが一新する。

 真部氏は一九五七年十月生まれ、富山県出身。東大法学部卒業後、八二年防衛庁入庁。防衛政策課長などを歴任。二〇〇一年八月から〇二年四月まで内閣府沖縄担当部局にも出向、県内自治体とかかわった経験もある。


方針変更なし

石破防衛相


 【東京】石破茂防衛相は十七日午前の臨時閣議後の会見で、米軍再編を担当する幹部を一新した防衛省人事について「政府全体として今のスタンスで取り組んでいるので、防衛省として変更があるということはない」と強調した。米軍再編の在り方については抑止力維持に関する論議を重視していく考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801171700_03.html

 

2008年1月17日(木) 夕刊 5面

嘉手納議会が抗議決議/F15飛行再開

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行訓練を再開したことを受け、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は十七日午前、臨時会を開き、F15の飛行再開の中止と同基地からの即時撤去を求める抗議決議、意見書の両案を全会一致で可決した。

 また今月七日から十一日まで、同基地で行われた即応訓練に対しても、町民から多くの苦情が寄せられているなどとして、同訓練を今後一切行わないことなどを求め、同様に可決した。同町議会は同日午後、同基地を訪ね、直接抗議する。

 F15に関する抗議決議では、米本国での墜落事故原因として指摘されているロンジロン(縦通材)の亀裂について、嘉手納基地所属機二機で発見され、現在もロンジロンの厚さが製造元の仕様書と合致していないなどとして、十七機の飛行停止を継続していることなどを問題視。

 「構造的欠陥を有するF15の安全性は、いかなる点検・修理を施されようが確保されるものではない」と指摘した。


沖縄市議会 抗議決議へ


 【沖縄】米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が十四日から飛行再開した問題で、沖縄市議会(喜友名朝清議長)は十七日午前、基地に関する調査特別委員会を開き、同機の全面撤退を求める抗議決議と意見書案を二十一日の臨時会に提案することを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801171700_05.html

 

2008年1月17日(木) 夕刊 5面

荷車のブレーキ原因/発電機破損

 【沖縄】米空軍嘉手納基地内のF15戦闘機駐機場近くで航空機用発電機が破損し、タンクから最大六十五ガロン(約二百五十リットル)のディーゼル燃料が基地外へ流出した可能性のある問題で、同基地報道部は十六日、発電機の破損原因が荷車(カート)のブレーキの故障だったことを明らかにした。基地外への燃料流出の有無やタンクの破損状況などについては、まだ分かっていない。

 米軍によると、専門家が発電機を調べたところ、荷車のブレーキが故障していたことを確認。そのため発電機が舗装面から排水路の溝に落ち、倒れて破損したと結論付けている。同問題について沖縄市と嘉手納町は同日午前、担当者が事故現場周辺の比謝川流域の環境調査を目視で行ったが、油膜や油のにおいは確認されなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801171700_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年1月18日朝刊)

[アセス審査答申]

やはり書き直しが必要だ

 米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う防衛省の環境影響評価(アセスメント)方法書について、県環境影響評価審査会は、きょう仲井真弘多知事に審査会としての意見を答申する。

 方法書の書き直しを求める厳しい内容の答申になりそうだ。

 答申案取りまとめの段階で吹き出したのは、沖縄防衛局のこれまでのやり方、方法書の内容に対する不信感や疑問、強い調子の批判だった。

 沖縄防衛局は十一日、百五十ページ余の追加資料を審査会に提出した。埋め立てに用いる土砂のうち約千七百万立方メートルは、本島周辺の海底土砂を購入し使用することがこの時、初めて明らかになった。この事実は重大だ。

 環境への影響が懸念されるこれほどの内容であれば、当然、方法書作成の最初の段階で盛り込み、公告・縦覧に供した上で、住民等の意見を聞くべきであった。にもかかわらず、審査終盤のこの時期に提出したことは、方法書そのものの重大な瑕疵だと言わざるを得ない。

 市民団体の計算によると、この海砂量は、海岸線から百メートル沖までの砂浜の砂を一メートルの深さで延長百七十キロにわたって掘り取った量に相当する。

 しかも、海砂の採取場所も採取方法もまだ決まっていないという。

 もし、事業の熟度がアセス方法書を審査する段階に至っていないのであれば、事業計画の具体的内容が明らかになるまで待ち、その段階で再度、手続きをやり直すのが筋である。

 法や条例で規定する事項が一応記載されているにしても、形式的要件だけを具備すればいいというものではないからだ。

 このような重要な問題が資料の追加によって処理されれば、環境アセスは結局、形骸化せざるを得ないだろう。

 埋め立て区域の護岸の工法について沖縄防衛局は、三案を検討した結果、二〇一四年までに完成させるため工期が最も短い方式を採用した、と説明している。

 工期よりも大事なのは環境である。工期に間に合わせるために環境問題を後回しにするようなことがあれば、それこそ問題だ。

 審査会の答申を受け、仲井真知事は二十一日に沖縄防衛局に意見を提出する。

 昨年十二月に提出した知事意見は、県条例の対象となる飛行場部分、今回は環境影響評価法が適用される埋め立て部分に対する知事意見である。

 専門家の集まりである審査会の答申を尊重し、知事は方法書の書き直しを明確に求めるべきである。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080118.html#no_1

 

琉球新報 社説

普天間アセス 環境軽視の姿勢を改めよ

 県環境影響評価審査会が16日、普天間移設先の環境アセスに、再審査を求めた。理由をひと言で言えば、沖縄防衛局が出したアセス方法書が「ずさんすぎる」からだ。方法書からは移設優先、環境軽視の国の姿勢も透けて見える。猛省を促したい。

 再審査を求めた審査会の答申は冒頭、普天間代替施設建設に伴う埋め立て事業を「現況の自然への回復が困難な不可逆性の高い事業」と位置付けている。

 その上で「現在事業者が実施している環境現況調査は生物的環境への影響が懸念されることから、影響を十分に検討させた上で中止させる必要がある」と明記している。正論である。

 名護市東海岸のキャンプ・シュワブ沖への普天間代替施設建設では、広大な沿岸海域の埋め立てが予定されている。

 同海域には米国の環境機関も「保護」を求める天然記念物のジュゴンが生息している。それだけでも矛盾を抱えている。

 沖縄の財産である豊かな海を埋め立て、米軍基地を造るのは日本政府、防衛省である。しかも、日本国民の税金を投入してである。

 深刻な環境破壊が指摘され、計画中止を求める中で、建設が強行される。にもかかわらず、沖縄防衛局が出した基地建設に伴う環境影響評価方法書は、当初わずか7ページにすぎなかった。

 審査会が、審議で説明を求めるたびに「新事実」が飛び出した。

 15日には、代替施設建設のために使用される海砂の量が、現在の採取量の12年分に相当することも、審査の過程で表面化した。

 1700万立方メートルもの海砂採取で、「約170キロメートルの海岸線で砂がなくなる」「自然の砂浜がなくなってしまう」と、環境保護団体からは強い懸念と抗議の声も出ている。

 一事が万事である。観光立県・沖縄は、青い海、白い砂浜が観光資源である。本紙社会面に連載中の「やんばる 光と影」では、砂が減り産卵場所を失いつつあるウミガメの現状が報告されている。

 環境省の過去の海浜調査では、1978年度から18年間で沖縄では82キロメートルの砂浜が消え、人工護岸が急増していた。

 基地建設も含め、埋め立て事業による海砂の過剰採取に、そろそろ歯止めも必要であろう。

 代替施設建設では、陸域の造成、土砂採取も予定されている。影響は海にとどまらない。破壊を食い止めるために「アセス」がある。

 今回の答申で巨大な基地建設が爆音や演習被害、墜落事故などの危険にとどまらず、沖縄全体の自然環境への甚大な影響も指摘された。

 審査会の答申を、国はもちろん、県知事も真摯(しんし)に受け止めるべきである。

(1/18 10:10)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30593-storytopic-11.html

 

2008年1月18日(金) 夕刊 1面

書き直し求め答申/普天間アセス

県も防衛局批判

 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に伴う環境影響評価(アセスメント)方法書を審議する県環境影響評価審査会(会長・津嘉山正光琉大名誉教授)は十八日午前、「アセス調査前に方法書を書き直し、公表・審査等の措置を取らせるべきだ」とし、調査前の方法書の書き直しと追加分の公表を求める三十七項目の意見を仲井真弘多知事に答申した。答申を受け取った知念建次文化環境部長は「答申の直前に事業の根幹に当たる資料が提出されたことは遺憾」と資料を後出しした沖縄防衛局の対応を批判した。

 県は知事意見を二十一日に沖縄防衛局に提出する見通し。

 答申では、方法書の著しい不備を指摘し、「書き直しさせる必要がある」と断じた。また、沖縄防衛局がアセス前に予定地周辺海域などで実施している現況調査についても「ジュゴンやサンゴ類等の生物的環境への影響が懸念されることから中止する必要がある」と要求した。

 津嘉山会長は「方法書で具体的な内容がなく、審査できない状況だった。ぜひ今後、きちんと審査ができる形で出してもらいたい」とし、方法書書き直しの実効性について県に協力を求めた。

 知念部長は「答申の趣旨はよく理解している。知事意見に対しても、沖縄防衛局に対してもきちんと申し入れする」と述べ、書き直しの実効性の担保を求めていく考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801181700_01.html

 

2008年1月18日(金) 夕刊 1面

米軍再編 前政権を踏襲/福田首相施政方針

 【東京】福田康夫首相は施政方針演説で、在日米軍再編の取り組みについて「抑止力維持と負担軽減という考え方を踏まえ、沖縄など地元の切実な声によく耳を傾けつつ地域の振興に全力をあげて取り組みながら、着実に進める」と表明した。

 沖縄への言及はこの部分のみで文言は安倍晋三前首相による昨年の施政方針演説とほぼ同じ内容。米軍普天間飛行場の移設問題で沖縄側との「対話路線」を進める福田政権だが、国会冒頭で表明する基本方針に当たる演説では前政権の姿勢を踏襲した格好だ。

 二〇〇六年一月の小泉純一郎元首相の演説では、米軍再編のほか、沖縄科学技術大学院大学設立に意欲を示す発言もあった。

 地方再生では「観光の振興は地方活性化の目玉」と位置付け、政府内に「観光庁」を設置する方針を説明。海外から観光客を呼び込む取り組みを強化する方針を示した。

 外交分野への言及では、「日米同盟はわが国外交の基軸であり、信頼関係を一層強めていくとともに、その基礎となる人的・知的交流をさらに進める」と指摘し、日米関係を引き続き最重要視する考えを強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801181700_02.html

 

2008年1月18日(金) 夕刊 1面

金武議会 訓練中止決議/都市型施設移設遅れ

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」にある米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の都市型戦闘訓練施設の移設作業が遅れている問題で、同町議会(松田義政議長)は十八日午前、レンジ4施設の暫定使用の即時中止と施設の解体・撤去を求め、基地機能強化に反対する抗議決議と意見書、要請決議を全会一致で可決した。

 抗議決議では、「政府と米軍は、町民の置かれている状況と度重なる抗議を無視し、軍事演習を昼夜分かたず実施し、同施設から派生する住民の不安・恐怖は悪化の一途をたどっている」と指摘。「現状が引き延ばされるのは、町民を愚弄した人権感覚の欠落した差別行為だ」と政府と米軍の対応を厳しく批判した。

 同施設は二〇〇七年度内で移設を完了する予定だったが、沖縄防衛局は金武町に対し、米軍との調整が難航し、〇九年度中ごろまでずれ込むと説明している。

 さらに、「レンジ3」付近で二月にも着工が予定されている最大千二百メートルの射程に対応するグリーンベレーの小銃(ライフル)用射撃場の建設についても、中止を求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801181700_03.html

 

2008年1月19日(土) 朝刊 1面

陸自、3月訓練開始 ハンセン共同使用

来月にも日米合意

 【東京】在日米軍再編に伴う陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセン共同使用に関し、政府は十八日までに、日米地位協定第二条四項aに基づく共同使用手続きに着手した。二月までに使用エリアの共同使用について日米合意し、閣議決定する予定。これを受け、陸自は三月中に訓練を開始する見通しだ。訓練開始で共同使用は「完了」とみなされ、米軍再編の進ちょくに応じて同基地を抱える三町村に支払われる「再編交付金」は、二〇〇八年度に上限の約二億円が支払われることになる。

 防衛省は、米軍が使用しない期間を前提に、陸上自衛隊第一混成団が九州の演習場で行ってきた中隊規模程度の訓練を、キャンプ・ハンセンで実施するとしている。

 共同使用では、ロープ降下、警戒・防護、行進などを中心とした戦闘訓練を、二百人程度の部隊が二十一週間ほど金武町と宜野座村のエリア内で実施。

 また、レンジ3、4を除く金武町エリア内の既存射撃場で百人程度が九週間、小火器などを使用した射撃訓練を行う。

 さらに、金武町と恩納村の計二カ所の施設で最大百人が年一週間程度、不発弾処理などの訓練を行うという。

 三月に実施する訓練は予算をそれほど必要としないロープ降下、警戒・防護、行進などの比較的軽度なものとみられ、射撃訓練は〇八年度以降となる見通しだ。

 儀武剛金武町長、東肇宜野座村長、志喜屋文康恩納村長は昨年十一月十三日、負担増になるとして反対していた従来の姿勢を一転させ、共同使用を受け入れると発表。

 これを受け、防衛省は十二月、再編交付金について、四段階に分けられる米軍再編の進ちょく状況のうち、第一段階の「受け入れ」を満たしていると判断。上限額の10%分(二千万円)を〇七年度分として内定した。

 再編交付金について定めた「米軍再編推進法」は省令で、四月一日時点の進ちょくを基準に、その年度の交付額を決定するとしている。三月末までに訓練を開始して共同使用の実績をつくれば第四段階の「再編の完了」が満たされ、〇八年度は上限の約二億円になる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801191300_01.html

 

2008年1月19日(土) 朝刊 1面

検定撤回実行委解散 自民が方針

県連提案へ「役割終えた」

 自民党県連(外間盛善会長代行)は十八日、議員総会を開き、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する教科書検定問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)について、「記述が修正され、一定の成果を得た。県民大会実行委の役割は終え、活動に区切りをつけるべきだ」として解散を求める方針を決めた。

 十五日に実施した政府への要請行動を報告する次回の実行委の幹事会などで、幹事を務める同県連の伊波常洋政調会長が解散を提案する見通しだ。

 議員総会では、「記述の訂正で、県民大会の決議は事実上認められた」「今後の問題は、実行委を解散して、対応を検討すべきだ」などの意見が出たという。

 一方、実行委の仲里委員長は十五日の要請で、「検定意見の撤回は絶対に譲れない。撤回に向けて今後も取り組み続ける」と発言していた。

 仲里委員長は十八日、沖縄タイムス社の取材に対し「(自民県連からの要請があれば)多くの方々の意見を聞いた上で、実行委員会の中で協議していきたい」と語った。

 県選出・出身の自民党国会議員でつくる五ノ日の会(会長・仲村正治衆院議員)も検定意見撤回に向けた協調に慎重な姿勢を示しており、自民党県連の実行委の解散提起で、今後、超党派の要請行動は困難になるものとみられる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801191300_02.html

 

2008年1月19日(土) 朝刊 27面

「民意に背向けるな」/実行委員らが反発

 「到底県民には受け入れられない。民意に背を向けるわけには行かない。解散はありえない」。小渡ハル子県婦人連合会長と玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会長の実行委両副委員長は強い口調で解散を否定した。

 「昨年末、実行委員会存続を確認したばかり。結果が不十分だったから先日も東京行動した。その直後に、なぜ一定の成果があったと言うのか」と玉寄副委員長。小渡副委員長は「何の権利があって解散を求めるのか」と声を荒らげた。

 青春を語る会の中山きく代表(白梅同窓会長)は「教科書執筆者が今後も訂正申請を出すと聞き、心強く感じていただけに驚いた。ここで解散したら、沖縄の思いはその程度だったのかと言われる」と、声を落とした。

 「教育にかかわる問題なのだから、もっと長い目で見なければならない」と、県PTA連合会の諸見里宏美会長。「私たち大人は、毅然とした態度を示す意味でも、簡単には妥協できない」と決意を新たにした。

 座間味の体験者宮城恒彦さん(74)は「教科書問題は、県民の問題で、自民党の問題ではない。ここで解散してはいけない。教科書執筆者は十一月に、また訂正申請をしようというのに、地元沖縄でこんな足をすくうようなことをしてはいけない」と語気を強めた。

 教科書検定撤回運動に取り組んできた琉球大学の山口剛史准教授(36)は「四月から使う教科書は、県民大会で求めたことが一切認められていない。政党としての判断はあるだろうが、県民の願いや本当の利益を考え、県民の声を正面から受け止めてほしい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801191300_03.html

 

2008年1月19日(土) 朝刊 27面

ツアー企画 戦跡ガイド 神奈川在住・外間さん

 県外の高校生らが参加した「平和といやしの島々めぐりの旅」の一行三十四人が十八日、南風原町の南風原陸軍病院壕や糸満市摩文仁の「平和の礎」の戦跡を巡り、沖縄戦への理解を深めた。神奈川県在住で、八重瀬町東風平出身の元高校教師、外間喜明さん(63)が「沖縄と本土の平和の懸け橋になりたい」とツアーを企画、三年前から取り組んでいる。

 陸軍病院壕前では、外間さんが十九歳で亡くなった沖縄師範本科四年生の宮良英加さんが米兵の捕虜に食糧を与えたエピソードを紹介。「平和主義者で、『戦争のない時代に生まれたかった』と言った彼の存在を広めたい」と語った。壕で亡くなった宮良さんの無念の思いを「生きたくても、生きられなかった」と話し、涙した。

 高校一年生の岡本いずみさん(16)は「壕の中は怖くて、こんなことがあったんだって驚いた。人を変えてしまう戦争をしてはいけないと思った」と話した。

 一行は、二十一日まで県内各地の戦跡などを回る。二十日には宮良さんの出身地の石垣市で当時を知る友人や、おいと交流する。

 沖縄戦で父と兄を亡くした外間さん。沖縄を紹介する本を自費出版するなど、平和活動に取り組んでいる。「平和と命の尊さを確認する旅にしたい」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200801191300_11.html

 

琉球新報 社説

首相施政方針 「国民本位」は当然/普天間問題でも誠実対応を

 「国民」が計50回も登場し、「環境」は23回使われた。18日午後、衆院本会議で行われた福田康夫首相就任後初の施政方針演説である。「国民本位の行財政への転換」を強調し、国民に新たな活力を与え、生活の質を高めるためとしてかなりのスペースを割いた。さらに「低炭素社会への転換」として地球環境問題への取り組みに力を入れることを宣言した。

 「福田カラー」が見えないと批判され続けた首相が打ち出した二本柱と言えそうだが、「国民本位」も「環境問題」もあまりに当然すぎる政治姿勢であり、国民には強烈なメッセージとして伝わってこない。

指導力を発揮せよ

 「国民本位」化として、食品表示などに絡む偽装問題が続発する中で消費者行政担当相の常設を打ち出したのは意欲的に見える。これは将来、「消費者庁」創設を念頭に消費者行政を一元化する狙いがある。食品表示偽装の背景には、内閣府や厚生労働省、農水、経済産業省などが絡む縦割り消費行政の弊害があるため、一元化によってその弊害をなくそうという判断だろう。

 それはいい。しかし実現の可能性はというとかなり厳しそうだ。施政方針では「すでに検討を開始しており、なるべく早期に具体像を

固める予定です」と表現した。組織防衛に腐心する関係府省が、やすやすと一元化の流れに乗るはずがない。具体案を示せなかったのは、調整が早くも難航していることの証左であるという指摘もある。

 反発の強い関係府省を説き伏せ、一元化し得るのか。それは首相が強烈なリーダーシップを発揮できるかどうかにかかっている。「相手の話を聞く」姿勢を堅持する首相だが、それは相手による。国民のためとなれば、少々強引な進め方も決断しなければならないだろう。妥協に妥協を重ねて、実効性のないスローガンだけを掲げる結果にだけはしてほしくない。

 今国会最大の焦点になる揮発油税率について首相は「現行税率を維持する必要がある」と訴えたが、その理由については道路整備事業や温暖化対応について説明しただけで、重い負担を続ける国民にとっては物足りない。民主党が展開する「ガソリン値下げ隊」の方が消費者の心にすっと入ってきそうだ。維持の姿勢を堅持するのなら、より分かりやすい説明を求めたい。

 「低炭素社会への転換」は、7月に開催される主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)をにらんでのことだろう。その前提になるのは京都議定書による温室効果ガス6%削減の約束履行である。しかし、それは困難視されている。

 施政方針では、本年度中に京都議定書の目標達成計画を改定して取り組むとしたが、遅きに失した感もある。とは言え、地球環境問題への取り組みは人類の義務である。

不誠実ではないか

 演説では明治時代の著名な農村指導者である石川理紀之助の「何よりも得難いのは信頼である。進歩とは、厚い信頼でできた巣の中ですくすく育つのだ」という言葉を引用し、政治への信頼回復の重要性を強調した。その上で、「信頼という巣を、国民と行政、国民と政治の間につくってまいりたい」と述べた。確かに国民と政治が相互理解という絆(きずな)で結ばれるのは「信頼」であろう。逆に政治が信頼を失うのは、公約違反、不誠実な対応、裏切りである。

 沖縄の米軍基地問題では、政府の不誠実な対応が露骨に見えてくる。普天間移設先の環境影響評価(アセスメント)問題もそうだ。県環境影響評価審査会に諮問された方法書は薄っぺらであまりにもずさんなものだった。移設ありきで、環境軽視の政府の姿勢は、「地球環境問題への真摯(しんし)な取り組みが必要です」と述べた首相演説と矛盾する。

 さらに「自立と共生」を掲げる首相ならば、米軍基地の大部分を沖縄に押し付ける現状は「共生」とは認め得ないであろう。

 支持率浮揚のために「国民本位」を連呼して、関心を引きたいのは分かる。その姿勢が国民生活の現実を踏まえ、腰を据えた真剣なものなのかどうかは今後の具体化にかかっている。

 株価低迷、原油高騰、格差問題、不安定な雇用など、マイナスの要素は数多くある。政治が信頼を得るためには、これらを克服し、活力ある国民生活を実現する以外にない。

(1/19 9:47)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-30617-storytopic-11.html