外国軍事基地廃絶国際ネットワーク結成会議が南米エクワドルの首都キトで3月5日から開催

外国軍事基地廃絶国際ネットワーク結成会議が南米エクワドルの首都キトで3月5日から開催
草の根運動から、平山基生運営委員長、小湊忍副運営委員長が参加
「帝国」の終末は歴史的必然です。しかし、それを実行するのはあなたや私たちと全世界の草の根民衆のグローバルな連帯です。今回の会議への参加も、自費参加ですので個人としての財政は限界に来ています。しかし、地球的草の根連帯をつくるため参加は不可欠です。どうか、組織を強めて下さい。

有事システム・秒読み「県国民保護計画」(4)

<2006年2月12日 朝刊26面>
有事システム・秒読み「県国民保護計画」(4)
ぼやける境界
「防災」足場に浸透
社会全体支配の懸念も
 恩納村のビーチ。白い砂をけり、自衛官と消防隊員が力を合わせて担架を運ぶ。上空には戦闘機や哨戒機が飛び交い、沖合を巨大輸送艦「おおすみ」がもうもうと黒煙を吐き出しながら横切った。
 見物していた読谷村の主婦(26)は「自衛隊があんなに大きな船を持っているとは思わなかった」と、目を丸くした。地元の主婦(67)は「本物の戦争みたい。怖い」と、表情をこわばらせる。
 二〇〇五年九月の県総合防災訓練は、軍事色に覆われた。九州最大の陸上自衛隊の拠点を抱える熊本県の消防隊員でさえ、「県の訓練にこれほど大規模な自衛隊の参加は見たことがない」と、口をそろえたほどだ。
 閉会式で、自衛官を真ん中に挟んで整列した参加者に向かい、牧野浩隆副知事は総括した。「従来にも増して、充実した訓練だった。こうした蓄積が国民保護に役立つものと確信する」
 防災と有事の境界は、次第にぼやけている。県の国民保護担当は防災危機管理課。国側の窓口は消防庁だ。
 県が〇五年七月に開いた県国民保護フォーラムの客席にも、市町村消防の制服が目立った。だが、壇上では「テポドン」「潜水艦侵入」など、きな臭い事例が次々に紹介される。
 中部のある消防団長は、あっけに取られた様子で話した。「国民保護と聞いて、てっきり防災の話だと思っていた。テロとか有事とか言われて、ちょっとパニックだ。われわれも有事に巻き込まれるのか」
 防災を足場に、有事の体制が組まれる。県は「防災は基本。国民保護は応用だ」と説明するが、双方には大きな違いがある。防災が市町村本来の仕事なのに対し、国民保護では国から県、市町村へと指示が下されるトップダウンの思想が貫かれている。
 自衛隊は攻勢をかけている。先月末には、陸上自衛隊西部方面隊(熊本市)が日米共同指揮所演習に沖縄など八県の国民保護担当者を初めて招いた。「作戦時の日米の動きを把握してもらうのが目的」だ。
 さらに〇六年度から、自衛官募集が主な仕事だった地方連絡部は「地方協力本部(仮称)」に格上げ。新設ポストの「国民保護・災害対策連絡調整官(仮称)」が一人ずつ常駐、市町村の計画作成の手伝いや有事の際の調整に当たる。防衛庁は「国民保護で、自衛隊への期待は高まっている。協力体制を強化する」と力を込める。
 「あってはならない武力攻撃、なくてはならない国民保護」。〇五年のフォーラムで、消防庁の担当者は意義を強調した。だが、「万が一」の備えを固めるうちに、気が付いた時には社会全体が有事システムに支配されている可能性も、否定はできない。(社会部・阿部岳)=おわり=
http://www.okinawatimes.co.jp/spe/yuji20060212.htm

沖縄タイムス連載 有事システム・秒読み「県国民保護計画」(1)(2)(3)

<2006年2月9日 朝刊 1面>
有事システム・秒読み「県国民保護計画」(1)
よみがえる苦渋
50年目の報道統制
米軍がテープ強要
免許の壁、揺れる民放

県が民放5社に指定機関化を求めた文書を手にする真栄城さん=佐敷町の自宅
 「君たちの気持ちはよく分かる。だが、このテープを放送しなければ、会社がつぶされる。今度だけは、僕の言うことを聞いてくれ」
 一九五七年一月、首里の琉球大学構内にあった琉球放送。目にうっすらと涙を浮かべ、現場のアナウンサーを説得したのは、創業者の故座安盛徳社長だった。
 米軍の土地収用に怒る島ぐるみ闘争の火が、全県に燃え広がっていた。そこへ、米民政府民間情報教育部が持ち込んだ一本の録音テープ。聞いてみると、辺野古の地主たちが口々に「軍用地料の一括払いはやむを得ない」と話している。
 基地の永続化につながるとして一括払いに反対した県民要求と、真っ向から対立する内容だった。アナウンサーたちは一致して「民政府の狙いは見え透いている。こんなテープは放送できるわけがない」と決めた。
 しかし、民政府は放送免許を盾に、強硬に放送を要求した。座安社長の説得にアナウンサーも折れ、テープはそのまま電波に乗せられた。
 ラジオが県民に背を向け、米軍に有利な報道をした。案の定、同社には抗議の電話が殺到した。
 当時のアナウンサー、真栄城勇さん(83)。「あの悔しさは絶対に忘れられない」と、今も苦渋に満ちた表情を浮かべる。座安社長も、大政翼賛体制下の報道の罪を知る戦中からの新聞人だった。「民政府の権限は絶対。社長も本当につらそうだった」
 前身に当たる「琉球放送局」時代には、局内に検閲官が常駐し、ニュースの書き換えを指示した。本土の放送局が「報道の自由」の下で出発したのに対し、沖縄は戦後も報道統制下にあった。
 一括払い容認テープの放送から約五十年。県内の民放五社は今、国民保護法に基づく「指定地方公共機関」化を突き付けられている。有事の際に、放送を義務付けられる国発令の警報、県の避難指示は、民政府のテープと重なって見える。
 「沖縄の放送局は、長いこと苦い経験をしてきた。権力の押し付けには、堂々と歯向かってほしい」。真栄城さんが、後輩たちに送るメッセージだ。
 民放五社の役員は一月末、県に意見書を提出した。当初、文案のタイトルには「指定受諾にあたって」という文字があった。報道現場や労組の反発で削除したが、経営側は指定の受け入れに傾斜を強める。
「現場の気持ちはよく分かる」。ある民放の首脳は、五十年前の座安社長と同じ言葉を口にし、「経営としても受けたくないのが本音」と続けた。
 だが、米民政府がなくなった今も放送は免許制で、総務省が権限を持つ。国策をはねつけたら、どうなるか。首脳は「免許の更新時に何か言ってくる可能性はある」と不安を漏らす。「受諾の直接の理由ではないが、頭の片隅にはある」
 外国からの武力攻撃など、有事の際の住民避難を定める県国民保護計画の決定が、秒読み段階に入っている。県は九日、計画案を関係機関でつくる県国民保護協議会に諮問。順調にいけば、来月中に答申を受けて正式決定する運びだ。沖縄で、有事に備える社会システムが起動する意味を考える。(社会部・阿部岳)
http://www.okinawatimes.co.jp/spe/yuji20060209.html

<2006年2月10日 朝刊30面>
有事システム・秒読み「県国民保護計画」(2)
孤立する5社
放送は誰のものか
指定「市民不信招く」
 西暦X年。政府は、沖縄本島南部に向かって、外国軍が侵攻していると警報を発令した。県もこれを受け、北部への住民避難の指示を出した。だが、報道部の記者は、北部の海上で外国の軍艦を見たという漁民の証言を得た。矛盾する情報をどう扱うか―。
 仮に今、こうした事態が起きれば、放送局は情報の正確さを吟味し、取捨選択した上で県民に伝える。しかし、国民保護法に基づく「指定地方公共機関」になった後は、国や県の情報だけは「正確に」「速やかに」放送しなければならない。
 「報道の自由」「放送の自律」は守れるだろうか。そう聞くと、ある民放幹部は「想定が極端すぎる」と声を荒らげた。一方、別の幹部は「沖縄戦を見ても、国が住民を足手まといと判断することはあるかもしれない」と声を潜める。
 「警報や避難指示はなるべく各社一斉に伝達するが、難しければ指定機関に優先的に届ける」。県の担当者は六日、マスコミ労協の代表に明言した。
 労協は「情報を盾にした選別だ」と反発したが、県は「確実に放送するという担保が欲しい」と繰り返す。消防庁国民保護室も「そもそも放送局の指定拒否を想定していない」と、県の姿勢を全面的に支持する。
 これに対して、「報道機関を単なる広報の下請けと考えている表れだ」と指摘するのは、上智大学の田島泰彦教授(メディア法)。「国が考えることをそのまま放送させることは統制の度合いが強く、戦前でさえ直接的な仕組みはなかった」と強調する。
 しかし、全国的にはNHKやキー局、地方局が続々と指定を受けた。沖縄以外で唯一、態度を保留する独立UHF局の千葉テレビ放送も「近く受諾する」。琉球放送、沖縄テレビ放送、琉球朝日放送、ラジオ沖縄、FM沖縄の五社は、孤立を深めている。
 「有事の報道統制は遠い先の話ではない。国民の知る権利は、今まさに音を立てて崩れ落ちようとしている」と田島教授。イラク駐留の自衛隊をめぐる取材規制やメディア規制法を列挙する。
 県は二〇〇五年十月、沖縄タイムスと琉球新報の県内二紙にも、県国民保護協議会の委員になるよう打診した。実現しなかったとは言え、有事システムの「網」はさらに広がろうとしている。
 田島教授は、放送が誰のものかを問う。「勝手に指定機関になるのは、市民のパートナーでなく政府のしもべだと言うに等しい。市民の不信は決定的になり、それに乗じた政府の報道統制という悪循環が進むだろう。市民に情報開示し、意見を聞くことこそが、信頼回復の道ではないか」(社会部・阿部岳)
http://www.okinawatimes.co.jp/spe/yuji20060210.html

<2006年2月11日 朝刊30面>
有事システム・秒読み「県国民保護計画」(3)
逆説的な基地避難
危険承知の選択肢
拒む軍に理解示す国
 嘉手納ロータリーの中にあった自宅を出ると、周りには百人以上の住民が集まっていた。着の身着のまま、はだしの人もいる。
 一九六八年十一月十九日の未明、米軍のB52戦略爆撃機が嘉手納基地内に墜落した。
 南北を基地と弾薬庫に挟まれ、東からは爆発音が迫る。人々は、追い立てられるようにロータリーにたどり着いた。だが、西に行ってもその先は海だ。逃げ場を失い、パニック寸前だった。
 当時団体職員だった宮城篤実嘉手納町長は、誰にともなく怒鳴っていた。「基地内が安全じゃないか」。フェンス越しの駐機場は、平静を保っているように見えた。
 後に町議になると、議会で当時の町長に提案した。「各世帯に一個ずつペンチを配って、いざという時にはフェンスをちょん切って入れるようにしてはどうか」
 二〇〇五年十二月の県国民保護協議会で、県は有事の基地内避難や通行を提案。宮城町長は自らの体験を語り、「大事なこと」と評価した。
 有事に攻撃対象となり得る基地への避難は、すでに批判を呼んでいた。「その危険な基地が、比較的安全になり得るほど、嘉手納の状況は切羽詰まっている。こんな話を、会議で大まじめにしなければならないのは悲劇ですよ」
 基地負担にあえぐ現状に逆説的な問題提起を込めた。実際には、「9・11以降、米軍は神経質になっている。甘い期待は一切ない」という。
 宮城町長の見方を裏付けるように、米軍との協議は難航している。県は在沖海兵隊に打診を始めたが、返答は「有事にはゲートは閉ざす」。さらに、基地の運用継続に必要な従業員は手放さない意向を示した。
 「交渉は続けるが、合意の見通しが立たない」。県は九日の協議会で、米軍関連の文章を計画案からばっさり削除せざるを得なかった。
 県民の意見募集結果も報告。「放射性物質や有毒化学物質の実態を記述し、影響を検討すべきだ」との意見は、計画に反映させるとした。だが、担当者は「軍事機密。聞いても教えないだろう」と力なく話す。
 沖縄などの要望を受け、国レベルでも在日米軍との交渉が始まっている。内閣官房の担当者は「不特定多数を、まして有事に基地内に入れることへの懸念は分かる」と、米軍側に理解を示す。
 基地立ち入りの協議では一時的通行を優先し、県のように避難先に指定することには懐疑的だ。「安全かどうかもよく分からない」
 その不気味な存在に包囲された沖縄で、「国民保護」は成り立つか。推進の旗を振る国から、確たる答えはない。(社会部・阿部岳)
http://www.okinawatimes.co.jp/spe/yuji20060211.html

琉球新報 関連記事(4月11日)

米軍基地の沖縄集中疑問 英国日本研究所所長
 「リスク」に関する英国国立日本研究所の調査の一環で、3月31日から県内の基地所在地で「基地とリスク」の関係について調査を進めてきたグレン・フック同研究所長(シェーフィールド大学教授)は10日、県庁記者クラブで会見した。
 フック所長は安全保障上、日本国民が担っている役割について(1)税金(2)自衛隊の存在(3)米軍基地を置くこと―の3点を挙げながら、国内の米軍基地が沖縄に集中している現状について「なぜ沖縄に集中しているのか、基地を置く原理は理論化されていない」などと指摘した。フック所長は、宜野湾市、嘉手納町、名護市辺野古を訪れ聞き取り調査を行った。
(4/11 10:16)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22881-storytopic-1.html

早朝に17機帰還 普天間所属ヘリ

所属機が続々と帰還し、2カ月ぶりに駐機場に並ぶCH46ヘリ=10日午前、普天間飛行場
 【宜野湾】米軍普天間飛行場所属ヘリの3分の2近くに当たるCH46E中型輸送ヘリ13機とCH53E大型輸送ヘリ4機が10日早朝、同飛行場に帰還した。3月25―31日に実施された在韓・在日米軍などが参加する「戦時増援演習(RSOI)」と米韓合同軍事訓練「フォールイーグル」に派遣された部隊とみられる。宜野湾市内には同日午前8時前後からヘリが騒音を響かせて飛来するのが確認された。
 同飛行場は2月5日までに所属ヘリが全機不在になり、KC130空中給油機9機だけが残されていた。2カ月ぶりにヘリが帰還したことで、訓練の騒音が増すことが懸念されている。
 所属するCH46ヘリ23機のうち、残り10機は2月にイラク中西部のアンバル州に作戦支援のために派遣されたことが分かっている。
(4/10 16:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22870-storytopic-3.html

ヘリパッド整備゛説得゛ 移設条件で金武町長
 【金武】日米特別行動委員会(SACO)で合意された金武町の米軍ギンバル訓練場の返還条件となっているヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の米軍ブルービーチ訓練場への移設問題で、町当局と那覇防衛施設局は10日夜、並里区公民館で住民説明会を開いた。儀武剛町長は「このチャンスを逃したら返還はない」と述べ、移設条件を受け入れた上で返還を実現させ、跡地利用計画を進めたい意向を示した。
 町側は説明会の冒頭、跡地利用計画について説明。先端医療施設やリゾート施設などの整備で、約120人の雇用や町の活性化などの効果を生むと強調した。
 那覇防衛施設局はブルービーチ訓練場へのヘリパッド整備計画などについて説明した。
 説明会後、並里区の與那城直也区長は「説明はこれまでよりも住民を説得しようという姿勢の強さを感じた」と述べた。
 説明会には約50人が出席。質疑応答では、ヘリパッド移設による騒音や粉じんへの対応や移設による飛行ルートなどを懸念する声が上がった。
 儀武町長は、6月定例議会までに最終的な判断をする方針を示した。
 説明会は11日も同公民館で午後7時から開かれる。
(4/11 9:58)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22880-storytopic-3.html

名護、浦添配分なし SACO交付金、前年比約10億減
 【東京】防衛施設庁は10日午後、2007年度のSACO(日米特別行動委員会)関係経費の実施計画を発表した。自治体が道路や公共施設などの整備費として活用できる特定防衛施設周辺整備調整交付金の県関係では伊江島補助飛行場など3施設の関連4市町村に対し、5億2800万円を配分した。06年度まで交付していた名護市のキャンプ・シュワブ(6億3000万円)、浦添市の牧港補給基地(3億6000万円)への配分はなくなり例年比で9億9000万円減となった。
 両市への配分がなくなったことに関し防衛施設庁施設対策課は「名護市、浦添市はSACOから米軍再編に移行されているため、SACO交付金には計上していない」と説明している。米軍再編交付金に関しては交付の時期や額など具体的な内容が明らかになっていないため、地元からは不安の声も上がりそうだ。
 沖縄分では公共事業に補助される民生安定助成事業「一般助成」の新規2件、継続4件に18億4400万円を配分した。
 全国の基地周辺自治体などに配分される07年度周辺対策事業(補助金)の都道府県別配分(第1次)も発表された。県内への配分(住宅防音を除く)は新規13件、継続61件、計74件の69億6900万円で前年に比べて15・2%(9億2000万円)増だった。
 騒音防止対策事業の住宅防音は嘉手納飛行場と普天間飛行場周辺の2047世帯で42億800万円。前年比で10・2%(4億7600万円)減だった。
5件(2)民生安定助成事業の「一般助成」で宜野座村の漁業用施設など5件(3)同事業の「防音助成」で美原地区学習等供用施設(うるま市)など3件― だった。自治体が道路や公共施設などの整備費として活用できる特定防衛施設周辺整備調整交付金は、基地や訓練場を抱える県内16市町村に15億5000万円を配分した。
(4/11 10:00)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22873-storytopic-3.html

「自立大きく損ねる」 米軍再編推進法に新崎氏反対
 【東京】政府が今国会中の成立を目指している米軍再編推進特措法案に関し、衆院安全保障委員会は10日午後、参考人4人から意見を聴取した。新崎盛暉沖縄大学名誉教授は反対、軍事評論家の江畑謙介氏、坂元一哉大阪大学大学院教授、川上高司拓殖大学教授は賛成の立場からそれぞれ意見を述べた。
 新崎名誉教授は法案に関し「米軍再編は米国の世界的な軍事再編の一環で行われ、抑止力の強化が目的だ。沖縄の負担軽減を口実に政治的にも利用されているのが問題だ」と指摘。「対象となる市町村や金額の目安もない。出来高払いは自治体が政府の言いなりになることも招きかねず、自立を大きく損ねる危険性がある」と法案に疑問を投げ掛けた。
 江畑氏は「基地周辺の自治体などに何らかの措置は必要で、法案以外に有効な手段は見いだせない」と肯定した。
 一方で普天間代替施設の滑走路が1800メートルとされていることに触れ、「基本的にヘリコプターが使うので滑走距離は数10メートルあればよく、(前県政が主張した)ヘリパッド案は説得力がある。なぜ2本必要なのかを含め政府は説明してほしい」と述べた。
 川上教授は「在日米軍再編協議は基地を抱える自治体の負担を大幅に減らし、日米同盟を強化発展させたことに大きな成果がある。法案を通すことによって成し遂げられる」と強調。
 坂元教授は「米軍再編と日米同盟の擦り合わせを速やかに進め、日米同盟の強化を図る。そのために日本が行う努力の財政的基盤を整える本法案の成立を希望したい」と主張した。
 意見聴取後、赤嶺政賢氏(共産)ら委員5人が参考人に対し質疑をした。
(4/11 10:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22874-storytopic-3.html

オスプレイ沖縄配備も 外相、可能性認める
 【東京】麻生太郎外相は11日午前の衆院外務委員会で、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備について「(既存の輸送ヘリに代わる)新しいヘリが開発されないなら、オスプレイが完成品になった段階で置き換えられる可能性があることは十分に考える必要がある」と将来の配備の可能性を明言した。閣僚がオスプレイの沖縄配備の可能性を認めたのは初めて。赤嶺政賢氏(共産)への質問に答えた。
 麻生外相は「米側からは現時点で具体的に(沖縄配備は)決まってないとの説明を受けている」としながらも、「正式に向こう(米側)から通告を受けたことがないだけで、今後永久にないかどうかは分からない」と述べた。さらに、「基本的な認識として、技術進歩でオスプレイがうまく出来上がれば、それに置き換える努力をするのは当然だ」とも述べた。
 日米特別行動委員会(SACO)最終報告の草案に米普天間飛行場代替施設への配備が明記されていたことが米公文書で判明したが、その件について麻生外相は「米側の文書をコメントする立場にないが、SACO最終報告はオスプレイを前提として書いているものではない」と否定した。
 オスプレイ配備については、在沖米軍トップのウエーバー4軍調整官が昨年5月、普天間代替施設での運用を明言、8月にはメディーナ在沖米海兵隊基地司令官も同様に明言した。だが日本側は「随時米側に照会してきたが具体的な決定や回答を得たことはない」(昨年6月、麻生外相)などと述べるにとどめていた。
(4/11 16:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22897-storytopic-3.html

琉球新報 関連記事(4月8日、10日)

日本人の罪を問う 木下順二作「沖縄」公演始まる
 【東京】敗戦から15年目の沖縄の離島を舞台に日本人の「罪と責任」を問い掛けた故・木下順二さんの作品「沖縄」の公演が7日、東京・新宿の紀伊国屋サザンシアターで始まった。木下さんと縁の深かった劇団民藝による追悼公演。日本兵による住民虐殺や戦後の米軍による土地接収を取り上げ、沖縄の苦難の歴史と日本のかかわりを描き、初日から大勢の観客が訪れた。
 「沖縄」は、米軍による土地接収で揺れる離島が舞台。沖縄戦で深い心の傷を負い、島に戻ってきた女性・波平秀(日色ともゑ)と、沖縄の学徒隊員をスパイ容疑で殺害した元日本兵・山野武吉(杉本孝次)、島に帰省した若者・喜屋武朝元(境賢一)を軸に物語が進む。
 「どうしても取り返しのつかないことを、どうしても取り返すために」という信念で波平が山野の戦争中の行為と向き合い、日本全体の責任をも問い掛けるという作品内容の重さもあって、観客席も終始緊張した空気が漂った。
 舞台を鑑賞した佐喜眞美術館館長の佐喜眞道夫さんは「40年余前の作品が今日まで続く深刻な課題を提示していることに驚く。『どうしても取り返しのつかないことを、どうしても取り返すために』という課題には普遍性があり、それをどう克服するかという努力が今も続いている」と語った。
 「沖縄」は1963年に、「夕鶴」で知られる山本安英とぶどうの会によって初演。劇団民藝は木下さんが昨年10月に他界する前に上演許可を取り、今回初めて演じた。東京での公演は18日まで。今のところ沖縄など地方公演の予定はない。
(4/8 10:06)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22794-storytopic-1.html

改憲の流れに危機感 大学人の会沖縄

意見交換する(左から)高作正博琉大准教授、島袋純琉大教授、渡辺治一橋大教授と司会の高良鉄美琉大教授=7日、那覇市の教育福祉会館
 県内大学の教職員で構成する「大学人9条の会沖縄」の結成1周年を記念したシンポジウム「新保守主義の動向と沖縄―憲法9条をまもるために―」が7日、那覇市古島の教育福祉会館で開かれた。一橋大学の渡辺治教授が「安倍新保守政権の成立と改憲の新段階」のテーマで基調講演したほか、県内の研究者らが参加してパネルディスカッションを行い、沖縄を取り巻く現状と9条の関連などについて参加者とともに議論を深めた。
 日本政治史が専門の渡辺教授は、安倍晋三首相が「任期中に憲法改正に取り組む」と公言した上で首相に就任したことについて、「安倍首相が突然言い出したことではなく、冷戦終結後の1990年ごろから、財界からの改憲の圧力がかけられるようになった」と説明。「営々と積み上げてきた改憲の流れを最後に完成させるべく登場してきた」と評した。
 渡辺教授は「イラク派兵は許してしまったが、まだ自衛隊員が戦争で相手を殺すような事態にはなっていない。9条のおかげでかろうじてとどまっている」と9条の存在意義を強調。「9条を守れるのか、それとも改憲を許してしまうのか。わたしたち自身の行動が問われている」と会場に呼び掛けた。
 続いてパネルディスカッションが行われた。パネリストとして渡辺教授のほか、琉大の島袋純教授、高作正博准教授が参加。高良鉄美教授が司会を務めた。
 島袋教授は復帰運動で憲法を勝ち取った歴史について触れ「復帰運動を人権闘争ととらえ、現在の改憲の流れを問い直すべきだ」と主張した。高作准教授は県内で国民保護法に基づく措置が実施された場合をシミュレーションし、集団的自衛権が容認された場合に住民がかえって危険にさらされる現実を指摘した。
(4/8 10:08)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22795-storytopic-1.html

「近所に慰安所」 沖縄戦で住民証言

証言や研究成果について聞く参加者ら=7日、宮古島市中央公民館
 【宮古島】「宮古島の日本軍『慰安婦』について証言を聞く会」(宮古島の日本軍「慰安婦」問題を考える女たちの会主催)が7日、宮古島市中央公民館で開かれた。沖縄戦当時、朝鮮人慰安婦がいる慰安所に日本軍が出入りしていたことを住民が証言した。
 沖縄戦時、上野村野原に住んでいた与那覇博敏さん(73)が「小学5年のころ、家の近くに朝鮮人の女性たちがいる慰安所があった」と証言した。
 与那覇さんは「最初はどこの女性かなと疑問に思ったが後で朝鮮人と知った。日本軍の兵隊が出入りしていた。最初に見たのは1944年の早い時期。終戦間際までいたので、1年数カ月は慰安所として利用されていたと思う」と話した。
 県内各地の沖縄戦当時の慰安所について調査研究している早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程の洪允伸(ホンユンシン)さん(28)は、慰安所が宮古島に10カ所、伊良部島に1カ所の少なくとも計11カ所確認されていることを説明した。
 洪さんは過去2回の宮古島の調査で、宮古の場合は慰安所が住民の生活圏と密接に関係を持っていたことを指摘。「宮古は米軍上陸がなく、沖縄の中でも比較的被害が少なかったと言われるが、被害の大きさは死者数なのか」と疑問視した。
 さらに「日本政府は『狭義の意味で強制はなかった』とあいまいな立場を取るが、沖縄からこうしたことについて考えないといけない。性を売ることを押しつけたのは誰か。何のために必要だったのかという人道に対する罪を宮古だからこそ問える」と強調した。
 洪さんは宮古島で3回目の調査を5月に予定しており、証言者を募っている。問い合わせは宮古島の日本軍「慰安婦」問題を考える女たちの会0980(72)2774。
(4/8 10:19)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22801-storytopic-1.html

オスプレイ前提で計画 普天間代替・日米協議
 米軍普天間飛行場移設をめぐるSACO(日米特別行動委員会)最終報告に向けた日米の事務レベル会合で、最終報告では削除された垂直離着陸機MV22オスプレイの配備を前提として、代替施設の滑走路の長さや施設規模などについて具体的に協議していたことが、9日までに琉球新報の入手した日米作業部会のメモで明らかになった。検討していた約1260メートルと約780メートルの長短2案のうち、米軍側は長い方がオスプレイにとって「運用上必要」で、短い方は「技術的に可能」な最低許容範囲内の滑走路だと説明しており、普天間代替施設のオスプレイ配備基地としての位置付けが浮き彫りになった格好だ。
 メモは、SACO最終報告発表約1カ月前の1996年10月21―23日に、ワシントンで開かれた作業部会での協議内容を報告したもので、オスプレイ配備を前提とした滑走路の長さや施設規模を具体的に議論している。
 日米協議担当者のキャンベル国防副次官補(当時)は、嘉手納基地にオスプレイを移動させると認めた場合、日本政府がその選択肢を受け入れ、海上施設を短縮させることになってしまうと懸念し、「オスプレイは施設をより大きく造る根拠だ」との認識を示したという。
 メモによると、米側は1260メートルの滑走路長を望んでいる姿勢を見せた。海兵隊は、浮体式沖合施設となった場合は1260メートルの案が望ましいと主張。在日米軍と米太平洋司令部もそろって、780メートルならばオスプレイの格納庫など関連施設は陸上部分に設置される必要があると主張し、代替施設が必要とする機能について強調した。
 オスプレイ配備について日本側は会合初日の21日、米側に対し「(96年)4月時点で(日本側)は知らなかったので、オスプレイ向けの大きさの施設で(沖縄を)納得させるには問題が出てくるだろう」とオスプレイありきの議論を県民に説明することに懸念を表した。
 その上で日本側は「県民に滑走路長をどう説明したらよいか」と米側に尋ねた。オスプレイについて(1)何も言わない(2)具体的に伝える(3)現在使用機種に合わせて建設し、後でMV22配備発表の時に延長―の3つの選択肢について助言求めたが、米側は具体的な返答を避けた。
(4/10 9:39)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22840-storytopic-3.html

「沖縄密約」で控訴 西山さん「同盟の問題提起」
 沖縄返還交渉をめぐる「密約」の取材が国家公務員法違反(秘密漏えいの教唆(きょうさ))の罪に問われた元毎日新聞記者の西山太吉さん(75)が、米公文書で密約が裏付けられた後も日本政府の否定発言などで名誉が侵害され続けているとして国に謝罪と慰謝料を求めた訴訟で、西山さんは9日、請求を棄却した東京地裁の判決を不服として控訴した。
 西山さんは控訴について「沖縄返還密約は今日の日米軍事一体化の原点。裁判を通じて、沖縄返還から現在までの日米軍事同盟の変遷について、世論に問題提起したい」と訴訟の意義を強調した。また請求が棄却された一審判決については「国の組織犯罪を国が作った除斥期間で救うなど、法理に反する」などと批判した。
(4/10 9:56)
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