琉球新報 関連記事(3月30日?4月1日)

下地島空港利用を合意 防衛相「97―98年長官時」
 【東京】久間章生防衛相は29日午後の衆院安全保障委員会で、「屋良確認書」によって軍事使用が認められていない下地島空港(宮古島市)について「私が防衛庁長官、藤井(孝男)氏が運輸大臣の時、せめてスクランブルだけでもやったらどうかということで両省が合意したことがある」と明らかにした。「屋良確認書」に反する軍事使用の政府内合意が明らかになるのは初めて。下地幹郎氏(無所属)に答えた。
 自衛隊機によるスクランブル使用の合意は第2次橋本改造内閣(1997年9月―98年7月)でなされた。久間防衛相は「(下地島空港は)沖縄県が管理しており、県議会は民間しか使わせないという決議をしている。国が頭ごなしに(スクランブルで)使うということはできないという事情があり、断念した経緯がある」と述べた。
 下地氏は、嘉手納飛行場の周辺地域の負担軽減を理由に「下地島空港を日米共同で使い、嘉手納飛行場の訓練を移せば騒音は本当に減る」と述べ、政府の対応を求めた。
 下地島空港は米軍による軍事使用が懸念されたため、1971年に屋良朝苗主席が(1)下地島空港は琉球政府(県)が管理。使用方法を決定(2)本土政府は民間航空以外の目的に使用させる意思はない―とする公文書を日本政府に出し、政府も了承した。しかし、79年の開港以来、給油などを理由とした米軍機の飛来が繰り返されてきた。
(3/30 9:35)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22528-storytopic-3.html

教科書から「自決強制」を削除 文科省が修正意見
 【東京】文部科学省は30日、2008年度から使用される高校教科書の検定結果を公表した。日本史教科書では沖縄戦の「集団自決」(集団死)で日本軍による自決命令や強要があったとする5社、7冊に「沖縄戦の実態について誤解する恐れがある」として修正を求める初の検定意見が付いた。5社は検定意見に従い記述を修正した。同省は「日本軍による自決命令や強要が通説となっているが、近年の状況を踏まえると命令があったか明らかではない」としている。日本軍の関与について断定的表記はしないという教科書検定の新基準は議論を呼びそうだ。
 検定意見を受けたのは、山川出版社、東京書籍、三省堂、実教出版、清水書院の5社。
 昨年の検定まで、「集団自決」が軍の強制と明記した教科書も合格していた。
 今回の修正意見によって、山川出版社の教科書は「日本軍によって壕を追い出され、あるいは集団自決に追い込まれた住民もあった」と日本軍の関与を明記した記述から「日本軍に壕から追い出されたり、自決した住民もいた」に変更。軍の関与をあいまいした。
 実教出版の教科書は「日本軍は、県民を壕から追い出し、スパイ容疑で殺害し、日本軍のくばった手榴弾(しゅりゅうだん)で集団自害と殺しあいをさせ―」という記述を「日本軍は、県民を壕から追い出したり、スパイ容疑で殺害したりした。また、日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺しあいがおこった」と改めた。
 文科省は「集団自決」に対する初の検定意見について「近年、日本軍の命令や強要を否定、疑問視する学説や書籍が出ており、断定的記述には検定意見を付すべきだと判断した」と説明した。
 また、大江健三郎氏の『沖縄ノート』の「集団自決」に関する記述を「名誉を傷つけられた」として遺族が大江氏と出版元の岩波書店を訴えた裁判で、原告の元日本兵が「軍命令はなかった」と証言していることを考慮したとしている。
(3/31 10:01)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22560-storytopic-1.html

「岩波訴訟」原告意見も参考
 【東京】「集団自決」に関する歴史教科書の記述で初の検定意見を付した文部科学省は30日までに教科書各社の申請本を調査する上で参考とした主な書籍等の一覧を公表した。大阪地裁で争われている「沖縄集団自決えん罪訴訟」の原告の意見陳述を検定意見の参考資料としたことの是非について意見が分かれそうだ。
 教科書各社は昨年4月中旬、文科省に申請本を提出し、秋までに教科書審査官、専門委員が調査した。
 検定意見を教科用図書検定調査審議会に諮り、12月に教科書各社に検定意見を送付。今年2月までに各社の修正表が出そろった。審議会では今回の検定意見に対する異論はなかった。
 文科省は参考にした書籍により、教科書調査官が申請本の「集団自決」に関する記述が客観的にみて適正かを検討。「近年の沖縄戦資料を調べた結果、断定的記述を続けるのはどうか」(教科書課)と検定意見に至ったという。
 『沖縄ノート』(岩波書店)をめぐる裁判で「命令はなかった」とする原告の意見陳述を参考としたことについて「現時点で司法判断は下っていないが、当事者本人が公の場で証言しており、全く参考にしないというわけにはいかない」(同)と説明する。
 文科省は検定意見について「断定的記述の修正は求めたが、集団自決における日本軍の命令や強要の有無に関して全く記述してはいけないということではない。いろんな記述は可能だ」と強調する。
 しかし、検定意見を付された5社7冊は日本軍の関与を削除しており、なぜ「集団自決」が起きたのか分かりにくい記述となった。
(3/31 10:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22563-storytopic-1.html

「事実打ち消せない」 教科書自決強制削除
 地獄絵図の地上戦があった沖縄戦の悲惨さの象徴とも言える住民の「集団自決」。これまで日本軍の強要を明記していた高校教科書が、国の検定意見によって軍の関与を薄めるよう修正された。「これは歴史の改ざんだ」。軍の関与を糾弾してきた体験者たちは、やり場のない怒りに身を震わせた。教育基本法改正や憲法の改正の動き、防衛省発足、そして検定意見。国は歴史を逆戻りさせる道へさらに一歩を踏み出したかのようだ。「二度と同じことを繰り返したくない」。体験者、県民の思いは、国の大きな意志にまたも踏みにじられた。
 沖縄戦時下の渡嘉敷島(渡嘉敷村)で自らの命を絶ったり、肉親に手をかける集団自決(集団死)を体験し、国や日本軍のかかわりを糾弾してきた沖縄キリスト教短期大学名誉教授の金城重明さん(78)=与那原町=は検定結果について「教科書の改ざんは歴史の改ざんだ。打ち消せない事実を隠ぺいするものだ」と厳しい表情で語った。
 金城さんは日本軍の集団自決への関与の記述が修正されたことを「まったく間違いだ」と批判。母親や弟妹を手に掛けた体験から「皇民化教育で『鬼畜米英』の思想や生きて虜因の辱めを受けずの軍人精神が住民に強要され、生きるのが恐ろしいという心境に誰もがなった。軍がいなければ追いつめられなかった。現に慶良間の集団自決は日本軍が駐留した所でしか起きていない」と指摘した。
 これまで県外の修学旅行生にも体験を語ってきた。その生徒らが学ぶ教科書が金城さんの体験を打ち消そうとしていることに金城さんは「国は間違った方向に導いてはいけない。体はきつくなってきているが、声を上げていきたい」と力を込めた。
 慶留間島(座間味村)の集団自決の生き残り体験を語ってきた元座間味村長の與儀九英さん(78)=沖縄市=は「現場の声を聞かず、戦争(体験)を学者や研究者が理屈で創作するのはおかしい。10年、20年後に沖縄戦(の実態)はなくなる」と激しく非難した。「集団自決に至る戦前の教育など、背景を掘り下げれば軍の指揮系統は見えてくるはずだ。軍命とは何かの定義をはっきりさせるべきだ」と指摘した。
 慶良間諸島の集団自決をめぐる「岩波裁判」も進む。與儀さんは「当時の兵事主任や村長が生きている間に、彼らが日本軍の手足となっていたことが証明できていれば…」と悔しさをにじませ、「沖縄戦研究者の責任は大きい。裁判は立証の最後のチャンス。学者はもっと掘り下げて発信すべきだ」と訴えた。
 15歳で慶留間島の集団自決を体験した中村武次郎さん(76)は「日本軍の兵隊は『いざというときは来たらいいよ』と言っていたのに、米軍が上陸する際は逃げていなくなった。自分たちの場合は、道具を使わずに手で首を絞めた」と当時の状況を振り返った。集団自決が日本軍によるかについては「昭和19年に隊長が島に来て島民400人を運動場に集め訓示したが内容は覚えていない」と複雑な思いを述べた。
(3/31 10:05)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22562-storytopic-1.html

普天間代替「変更あり得ない」 メア米総領事が発言修正
 ケビン・メア在沖米国総領事は30日午後、米軍普天間飛行場代替施設建設で地元の意向に配慮する必要性に言及した28日の自身の発言について、誤解されているとした上で「滑走路を可能な限り海側に位置することで日米は既に合意した。その位置に何ら変更があり得るとは考えていない」と言葉を補った。
 この発言修正ともとれる行動に県首脳は「反響が予想より大きすぎて、打ち消しにかかったのだろう。だが前から言っていることと変わっていない。われわれも再協議しろと言っておらず、詳細設計を確定する行為は必要だ。(28日の発言で)気持ちは通じている」と楽観的な展望を語った。
 メア総領事は28日の記者団とのインタビューで「普天間代替施設計画を実行しながら、できるだけ沖合に寄せてほしいという地元の意見を十分配慮し、できるだけ沖合に寄せる必要があると認識した上で計画を確定しようと考えている」と述べていた。
(3/31 10:12)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22565-storytopic-3.html

真実見る大切さ訴え 平和の島をつくるシンポ

「平和の島沖縄をつくるシンポジウム―憲法を生かしウチナー魂を発揮しよう」で意見を述べるパネリストら=31日、那覇市泉崎の琉球新報ホール
 憲法九条の改正に反対し、平和な沖縄をつくろうと2007「平和の島沖縄をつくるシンポジウム―憲法を生かしウチナー魂を発揮しよう」(同実行委員会主催、琉球新報社共催)が31日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれ、基調講演や憲法九条についての意見交換が行われた。
 憲法九条・メッセージ・プロジェクト代表の安斎育郎さんは基調講演で、スプーン曲げのマジックを披露し、会場からの拍手に「デパートで600円で売っている。目で見ながら真実が見えていない」「国がうそをつくはずがないという思い込みを警戒しなければならない」と指摘した。
 安斎さんは「大量破壊兵器があるからと始まったイラク戦争も結局兵器は見つからない。大義はなくなったのに戦争は続いている。戦争はだましで始まりずっと続く」と語り、「憲法改正も都合のいいところだけを見せ、全体がうまい話のように思わせる。徹底して見ることを心掛けなければならない」と訴えた。
 シンポジウムでは、垣花豊順琉球大学名誉教授が日本国憲法と明治憲法の相違点などを説明、南風原町憲法九条の碑建立期成会の金城義夫会長は除幕式を5月に予定することなどを報告した。若者を代表し、城間陽介さんは、憲法改正について「不戦の誓いが破られようとしている。歴史から学ばなければいけない」と発表した。
(4/1 9:49)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22591-storytopic-1.html

琉球新報 関連記事(3月26日?29日)

高江区上空除外要請へ ヘリパッド新設
 県議会の米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)は26日午前、委員会を開き、陳情など39件を審議した。北部訓練場一部返還に伴うヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)新設で、花城順孝知事公室長は、近く那覇防衛施設局に対し(1)高江区住宅地や道路上空を除外した飛行経路の設定(2)夜間の住宅地周辺の飛行禁止―を要請することを明らかにした。
 ヘリパッド使用開始後に那覇防衛施設局が2年かけて実施する騒音調査について花城公室長は「住民生活に著しい影響を及ぼす場合は、飛行ルートの再検討と公表、住宅地から離れた既存の着陸帯の使用の検討を申し入れたい」と述べた。
 米軍実弾射撃訓練による環境汚染調査について、上間仁文化環境部環境企画統括監は、米軍への基地内調査の申し入れも視野に「射撃訓練場の下流域など汚染の可能性が考えられる基地外の河
川、土壌などについて調査
を実施したい」と述べた。
 上間統括監は「基地の射撃訓練場に関して鉛汚染の有無を総合的に調査した事例はない」と説明。「各射撃訓練場の概況、使用状況、弾頭などの回収の有無などについて可能な限り在沖米軍から情報を入手したい」と述べた。
(3/26 16:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22437-storytopic-3.html

返還計画策定遅れ、防衛相認める 米軍再編
 【東京】久間章生防衛相は27日午後の衆院安全保障委員会で、再編実施のためのロードマップ(行程表)に基づく嘉手納より南の6施設の返還計画の策定について、「まだ少し時間がほしいとアメリカ側が言っている」と述べ、今年3月末までとした策定期限には間に合わないことを認めた。
 北原巌男防衛施設庁長官も「米側と計画作成のため鋭意協議をしているが、(月内策定は)大変厳しい状況だ」と述べた。赤嶺政賢氏(共産)に答えた。
 赤嶺氏が「日米間で何が問題となっているのか」とただしたのに対し、北原長官は「具体的な中身は、米側との関係もあり答弁は差し控えたい」と明言を避けた。
 返還計画策定の遅れについて防衛省幹部は「本格的な作業が始まったのは年明けからだ」と、作業着手の遅れが要因と説明していた。特にキャンプ瑞慶覧の返還面積の確定が遅れている。同幹部は「キャンプ・キンザー(牧港補給地区)の倉庫群の移設先も固まっていない」と述べている。
 一方、米軍再編推進法案に盛り込まれた再編交付金の算定基準に関して、大古和雄防衛政策局長は「防衛施設面積の変動や施設整備の内容、航空機などの装備の更新配備、人員の変動、訓練移転の内容を点数化して、交付金の水準を決めていきたい」との方針を初めて示した。前田雄吉氏(民主)に答えた。
(3/28 9:48)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22471-storytopic-3.html

普天間代替協議書提出 市民団体が反発
 【名護】普天間飛行場代替施設建設に伴う環境現況調査(事前調査)に向け、那覇防衛施設局が海域調査のための公共財産使用協議書を県に提出したことについて、基地建設に反対する市民団体は「県民をばかにした行為だ」と反発の声を上げた。
 ヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は「環境影響評価(アセス)は国民の意見を聞くための制度。施設局は前倒しで調査し、国民そっちのけで事業を進めようとしている。政府は焦っている」と指摘。「施設局への抗議行動を含め、状況を把握しながら対応を話し合いたい」と語った。
 平和市民連絡会の平良夏芽共同代表は「基地建設を前提に事前調査をするのは、アセスメント法を無視し、県民をばかにする行為だ」と強く批判。その上で「事態を座視するつもりはない」と強調。「抗議行動などで県民に強く訴え、断固とした対応も検討したい」と話した。
 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団は県庁で会見し、協議書の差し戻しを求める抗議声明を発表。真喜志好一運営委員は、現況調査が防衛省予算の「提供施設移設整備費」で支出されると指摘し、「辺野古基地建設に向けた業務の一環。アセス方法書で調査手法が確立されなければ調査は認められない」とし、環境影響評価法の手続きを無視した「違法性」を強調した。
 仲井真弘多知事が「事業者の判断で実施され、環境影響評価に基づく調査ではない」との認識を示すことにも、「国の違法行為を県が追認するものだ」と批判した。
(3/28 9:49)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22488-storytopic-3.html

国が現況調査申請、県は受理 普天間代替
 米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)に関して那覇防衛施設局は27日夕、公共用財産使用協議書を県海岸防災課に提出した。同課は正式に受理した。サンゴ類やジュゴンの生態調査による機器設置で海域を使用するための措置。県土木建築部は今後、環境面や岩礁の所有権確認のため、県文化環境部や県農林水産部に意見照会し、天然記念物のジュゴンについて文化庁にも意見照会し、審査する。県は約1カ月の審査を経て海域使用に同意する見通しだ。
 施設局は県から海域使用の同意を得た後、早期に調査機器を設置し、サンゴの産卵時期の5月末にも調査を始めたい考えだ。使用申請の目的は「海洋生物と海象調査のため」。名護市嘉陽から久志の海域を使う考えで、期間は2008年10月末までと設定している。
 今回の調査は、普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の手続きに入る前の事前調査の位置付け。だが調査予算名目は移転整備費となっていることから、市民団体からはアセスと一体だとの指摘も挙がっている。
 現行のV字形移設案を容認していない県だが、現況調査は具体的な計画が示されていないとして受理した。だがアセス方法書の受け取りには依然、難色を示している。
 施設局は協議書の提出に向け、22―26日に名護漁協と名護市から同意書を取り付けていた。
(3/28 9:50)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22470-storytopic-3.html

訴え浸透へ前哨戦に熱 参院補選告示まで1週間
 4月5日告示、同月22日投開票の参院選沖縄選挙区・補欠選挙(欠員1)の告示まで、29日であと1週間。同選挙は前那覇市議・島尻安伊子氏(42)=無所属、自民、公明推薦=と前連合沖縄会長・狩俣吉正氏(56)=無所属、社民、社大、共産、民主、国民新党推薦=による事実上の一騎打ちとなる見込み。前哨戦が熱を帯びてきている。
 島尻氏は28日、宜野湾市で同市長選に出馬する外間伸儀氏と女性集会に参加。「子育てをする側のニーズに沿った政策展開に力を入れ、子育て世代の生の声を国政に伝える。台所から政治を変える」と訴えた。佐藤ゆかり自民党副幹事長も駆け付けた。
 狩俣氏は同日、宜野湾市での自治労県本総決起集会に、再選を目指す伊波洋一宜野湾市長とともに参加。「格差をなくし安心して暮らせる社会をつくる。沖縄のことは沖縄が決める気概で平和の一議席を守る」と訴えた。土井たか子社民党名誉党首も参加した。
 両氏の基本政策や論戦から、憲法改正や普天間飛行場移設問題などで対立点が鮮明になっている。憲法改正について、島尻氏は「触っていけないものではない」と改憲を支持する立場。狩俣氏は「9条を守る。改正する必要はない」と護憲の立場を明確にしている。
(3/29 9:32)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22499-storytopic-3.html

サンゴ調査など4件入札 来月にも海中へ機器設置
 米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)に関連し那覇防衛施設局は28日、大気調査や潮流調査、海域生物、サンゴ類調査など4件について業者の入札を実施した。一連の調査の落札総額は25億7670万円。
 施設局は27日に県に対し、調査に伴う海域使用の同意申請を行った。県の同意を得次第、早ければ4月中にも海中への調査機器設置に着手する。5月末のサンゴの産卵調査に間に合わせたい考えだ。
 契約期間は2008年10月末まで。県への申請で調査海域は名護市嘉陽から同市久志に至る地先までとなっている。
 入札結果は以下の通り。
 大気質、騒音、振動調査・沖縄環境分析センター(7560万円)
▽水質、潮流調査・パスコ(6億5100万円)
▽海域生物・生態系調査、サンゴ類、海藻草類調査・いであ(16億5900万円)
▽陸域動植物調査、河川水生生物、景観調査・プレック研究所(1億9110万円)
(3/29 9:35)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22502-storytopic-3.html

返還代替完成前も 米軍再編でメア総領事
 ケビン・メア在沖米国総領事は28日午後、報道各社とのインタビューで、米軍再編による沖縄本島中南部の基地返還について「普天間(飛行場)移設が成功するのが明らかになれば(2014年とされる普天間代替施設完成予定の)その前に(返還を)始めることはできるのではないか。移設とグアムへの海兵隊移転が完全に終わるまで待つ必要はない」と述べた。
 普天間移設で県や名護市がV字形滑走路案の沖合移動を求めていることに関し、メア総領事は「地元の意見に十分配慮し、できるだけ沖合に寄せる必要があると認識した上で計画(マスタープラン)を確定しようと考えている」と述べた。修正の可否には「修正するかどうかの問題ではない」と述べるにとどめた。
 中南部基地の返還日程の協議については「順調に進んでいる。複雑な計画で嘉手納より南の基地には機能がたくさんあり、細かい点をまだ調整している」と説明した。
(3/29 9:36)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22497-storytopic-3.html

名護市案「一長一短」 普天間代替で防衛相
 【東京】久間章生防衛相は29日午前の衆院安全保障委員会で、普天間飛行場代替施設の政府案に対し、名護市がV字形滑走路を沖合に移動する修正案を提示していることに関し「(滑走路を)沖合に出すとか、南西方面にずらすとかいろんなことがあり、どれが良いのか一長一短がある。政府同士で決めたV字案を基本とし、地元意見を聞きながらやっていく」と述べた。名護市の修正案を考慮しつつ、意見集約を図りたいとの考えを示したものだ。
 ただ、修正案への対応については「協議会に上げないまま意見の擦り合わせをしている状況。修正案を出すと決まったことを否定することになりかねない。振り出しに戻る印象を与えてはならず、苦慮しているところだ」と述べ、普天間移設措置協議会の場で修正案を正式の議題とすることには慎重姿勢を見せた。
 守屋武昌防衛事務次官が仲里全輝副知事に対し、政府案の修正はできないとの意向を伝えたとされる今年1月の会談に関し、「現段階で決まっていることを実行するのが役人だ。米国との合意は変更できないというのは筋論。われわれ政治家は、どうやって意見を集約していくか、落としどころを見ていく」と述べた。長島昭久氏(民主)に答えた。
(3/29 16:02)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22525-storytopic-3.html

沖縄タイムス 関連記事(3月28日 2)

2007年3月28日(水) 朝刊 1・3面
普天間代替/国、県に海域調査申請
 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設で、那覇防衛施設局は二十七日、海域での現況調査に必要な「公共用財産使用協議書」を県へ提出し、同意申請した。調査範囲は名護市の嘉陽から久志にかけての海域。使用目的は「海域での海洋生物及び海象調査のため」としている。使用期間は県との協議成立の日から来年十月末まで。県の同意が得られれば、施設局は四月にもサンゴの産卵調査の準備に乗り出すとみられる。
 仲井真弘多知事は同日コメントを発表し、「サンゴの調査を中心とした現況調査は事業者の判断で実施されるもので、環境影響評価に基づく調査ではないとの認識」と強調。「名護市辺野古沿岸域の広い範囲で調査されるもので、(南西沖合への移動を求める)名護市の考えにも対応できる」と評価した上で、使用協議への対応については「関係法令との整合性、利害関係者との調整状況などを勘案の上、適切に判断したい」とし、同意手続きに応じる意向を示した。
 一方、佐藤勉施設局長は使用協議書について「現況調査を実施するに当たり、海底に調査機材を置くことから必要となる手続き」とのコメントにとどめた。環境影響評価(アセスメント)の前段となる事前調査として実施するかについては明言を避けた。
 施設局はアセス手続きの進展や代替施設本体の建設を見据えた業務発注を進めており、県に環境影響評価方法書を送付し、アセスに移行できる態勢も整えている。
 普天間飛行場の移設にかかる県への公共用財産使用手続きは、歴代の稲嶺、大田県政でもボーリング地質調査などに伴い同意申請が出された。一九九七年の大田県政時は申請から同意まで約一カ月半。稲嶺県政では二〇〇三年十一月に申請、同意まで約五カ月かかった。
     ◇     ◇     ◇     
[解説]
知事アセス容認へ外堀
 那覇防衛施設局は米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う海域での現況調査に着手するため、公共用財産使用協議書を県に提出した。県は環境影響評価(アセスメント)の前段となる「事前調査」に向けた手続きととらえ、同意申請に応じる意向だ。ただ、調査の範囲や内容はアセスと同一とみられる上、事前調査の結果をアセスに反映させることも可能なため「事実上のアセス容認」との見方は否めない。仲井真弘多知事の「移設容認」に向け、着々と「外堀」が埋められているのが現状だ。
 県は「移設協議の入り口」としてきた「三年内の普天間の閉鎖状態確保」などの要求に、国から前向きな回答が得られない中、調査にゴーサインを出す形となる。一方、国は県などが求める「アセス前の滑走路の位置修正」に応じない姿勢で、調査着手に地元のお墨付きを得ることになる。
 事前調査について県は当初「次の段階の環境アセスにつながるもので、V字形案などについて地元の意向も踏まえて協議した後にやるべき」(花城順孝知事公室長)と主張していた。それでも同意申請を受け入れざるを得なかったのは「早期移設が普天間飛行場の最大の危険性除去」との仲井真県政の基本認識があるからだ。
 県や名護市が求める滑走路の位置修正はあくまで「日米合意の範囲内」。県は南西沖合への移動を求める名護市案を支持し、V字形滑走路をキャンプ・シュワブ沿岸部付近に建設することは是認している。調査範囲が辺野古沖を埋め立てる従来計画と同エリアまで拡張され、滑走路の位置も明示されない調査を県が退ける論拠はなく、いたずらに事業進ちょくを遅らせれば自己矛盾に陥る。
 一方、施設局は今回の使用協議書の同意申請が事前調査のためか、アセスに向けたものかを公式には明言していない。県との「不協和音」を最小限に抑えつつ、必要な手続きを進めた上で、アセスに基づく調査への切り替えを模索する意向もうかがえる。
 なし崩し的に移設作業が進めば、政府に「移設までの普天間の閉鎖状態」を求める必然性も問われかねない。県は政府とのこう着状況を打開し、有効な普天間の危険性除去策を引き出すことが急務だ。(政経部・渡辺豪)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200703281300_03.html

2007年3月28日(水) 朝刊 2面
嘉手納以南返還/計画作成4月以降に
 【東京】久間章生防衛相は二十七日の衆院安全保障委員会で、日米両政府が三月末までの作成を目指す嘉手納以南の米軍基地返還の実施計画(マスタープラン)について「三月末と言ったが、それができない」と述べ、四月以降にずれ込むことを公式に認めた。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
 久間防衛相は日程の遅れについて、「わが国から米国に対し(三月末までに)と言っているが、『まだ少し時間がほしい』と米側が言っている」と述べた。
 政府関係者によると、在沖米海兵隊八千人のグアム移転計画の詳細が決まらず、日米の協議は遅れているという。政府は、四月に予定される日米の外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)までに一定の形でまとめたい考えだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200703281300_07.html

沖縄タイムス 関連記事(3月28日 1)

2007年3月28日(水) 朝刊 1・31面
沖縄密約 判断せず/西山元記者、全面敗訴
東京地裁判決 除斥期間を適用
 一九七二年の沖縄返還密約事件で、国家公務員法違反罪の有罪が確定した元毎日新聞記者の西山太吉さん(75)=北九州市=が政府の密約を不問に付した一方的な起訴や控訴で精神的な苦痛を受け続けているとして、国に謝罪と慰謝料など三千三百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十七日、東京地裁であった。加藤謙一裁判長は、検察官の訴追や外務省高官の偽証に対する違法性の主張に除斥期間(権利の法定存続期間、二十年)を採用。「密約」の有無を判断せず、請求を全面的に退けた。西山さんは判決を不服として控訴する。
     ◇     ◇     ◇     
[解説]
知る権利、門前払い
 二十七日の東京地裁判決は、最大の焦点だった沖縄返還交渉の「密約」の有無には一切触れなかった。損害賠償の請求権は二十年で消滅するという民法の除斥期間を判断の前提条件にして、西山太吉さんの有罪を確定した最高裁決定の誤判性などの争点には判断を示さないまま、いわば門前払いの形とした。
 西山さん側が、日米政府の交渉記録や米国の公文書など膨大な証拠書類を積み上げたのに対し、同地裁が判決の中で判断を示したのはわずか三ページ。実質的な審理に入れば、密約を認定せざるをえず、現政権をも巻き込む事態になりかねないとして、司法が政府の密約を追認したといえよう。
 西山さん側が返還交渉の内幕と密約の全体像を明らかにしたのは、当時、入手した国の内部文書は政府の重大な“権力犯罪”を証明する証拠であり、国家公務員法が保護するには値しない性質であることを裏付けるためだった。政府には隠したい秘密でも、国民には知る権利があるという主張だ。
 その上で、密約の重大さを認識せず、記者活動の目的の正当性を検討していない最高裁の決定は国民の知る権利を軽視した誤判だと主張。そうした判断材料になったのは、起訴状に「ひそかに情を通じ」などと記して男女関係に基づく入手方法を強調した検察官の訴追にあるとしていた。
 いずれの主張も、密約が違法性の強い国家の不意性行為であるとの認識が前提だったが、地裁判決はこれらに、全く取り合わなかった。除斥期間を盾に、形式論に終わった形だ。
 返還密約訴訟は、密約をした政府が何のそしりも受けず、不正を暴こうとした記者だけがなぜ刑罰を受けるのかという素朴な問いと、国の情報統制にあらがえないメディアや社会に知る権利の意識を喚起する「異議申し立て」だった。
 西山さんが対米一辺倒と批判する政府の安保・外交政策と、沖縄問題との構図を考える格好のケーススタディーでもあったが、一審は法律上の理屈に終始する結末となった。(社会部・粟国雄一郎)
判決骨子
 一、除斥期間(権利の法定存続期間、20年)により損害賠償の請求権は消滅
 一、除斥期間の適用を妨げる事情は認められない
 一、検察官に再審請求義務なし
 一、政府高官の「密約」否定発言は名誉棄損にはあたらない
 一、河野洋平元外相による吉野文六元外務省局長への密約否定要請は証拠がない
 一、その他は時機に遅れた攻撃方法であり、却下

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2007年3月28日(水) 朝刊 31・30面
密約追及「闇」晴れず/控訴審で真実問う
 【東京】「想定していた中で、一番イージーな判決だ」―。二十七日の沖縄返還交渉をめぐる「密約訴訟」の判決で、東京地裁は密約の有無を判断せず、政府高官の「密約否定発言」の違法性も退けた。政府の外交姿勢を厳しく批判してきた元毎日新聞記者の西山太吉さん(75)は怒りと落胆をあらわにした。主文朗読から閉廷までの所要はわずか十秒ほど。司法は沖縄返還時の日米交渉に横たわる「闇」から目を背けた。「結論ありき。司法の自殺行為のような判断だ」。西山さんは控訴審で真実の追求を続ける。
 午後二時すぎに東京地裁内の司法記者クラブで始まった記者会見。西山さんは上下グレーのスーツ姿で現れた。
 「司法が日本にないことを証明するような判決だ」。両目をつり上げ、鋭い眼光で心境を語った。口調は落ち着いていたが、時折唇を震わせ、目を潤ませる場面もあった。
 約二年の法廷闘争。西山さんは約八十の証拠を提出、検察官や政府高官らに二十四の違法行為があったと指摘した。しかし、地裁は二十年で損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」を盾に、密約の有無の判断を避けた。
 西山さんは支援者との集会で「除斥期間という武器で何でも抹殺できる」と無念さを強調。「これが国家機密裁判だ」とこぶしで机をたたいた。
 昨年二月には、沖縄返還交渉を担当した元外務省アメリカ局長の吉野文六さん(88)が密約の事実を明らかにした。
 風向きが変わるかに思えたが、西山さんは「吉野証言で、裁判所のガードがさらに固くなった」と法廷で逆風に働いた面があったと明らかにした。返還交渉を知り尽くすキーマンの証言を突きつけても、動かぬ厚い壁。
 「提訴からの二年が無に帰したとは思わない。これからも闘い、訴え続けることに意味がある」。権力に屈せぬ“ジャーナリスト”は、上級審で再び政府と対峙する。
     ◇     ◇     ◇     
メディア姿勢に批判
 沖縄返還密約訴訟が問うたのは、歴史の真相だけではなかった。次々に要求を突き付ける米国。対等な交渉ができない日本。何も知らされない沖縄がそのはざまで翻弄され、基地が固定化される構図は、今も変わらない。強権と懐柔策を巧みに使い分ける権力に、メディアはどう対峙してきたか。三十五年前の課題は、未解決のまま積み残されている。(社会部・阿部岳、安里真己)
権力側の学習
 日本のジャーナリズムが権力に抵抗できなくなり、今日に至る重大な転換点。一九七二年の事件当時、週刊誌記者だった亀井淳さんはこう見る。「西山事件は『沖縄のことには目をつぶっていろ』というメッセージ。それは今も生きている」
 むしろ事態は深刻さを増している。「メディアは退廃を深め、今回の訴訟でも大手の対応は鈍い。沖縄の基地の現状も東京からは目隠しされて、見えない」と話す。
 雑誌「噂の眞相」元編集長の岡留安則さん。「事件当時は検察がゴシップに世論を誘導したが、今は誘導しなくてもメディアが勝手に権力寄りの情報を垂れ流している」と批判する。米軍再編でも「政府が言うまま報道され、再編そのものへの批判的論調がない」と、いら立ちを隠さない。
 西山太吉さんをドキュメンタリー番組で初めて取り上げたジャーナリストの土江真樹子さんは、「権力はこの間非常に良く学び、対策を取ってきた」と見る。
 新聞記者に情報を漏らした疑いで自衛官が強制捜査された事件を挙げ、「政府はすぐに『知る権利の問題ではない』と打ち消した。一方のメディアは、本質と違う方向に流される傾向が変わっていない」と嘆く。
 今回の裁判を「西山さん個人の問題ではなく、沖縄、メディアの問題。皆が当事者と感じてほしい」と話した。
問題は「外見」
 「先生、日本は戦争に負けたんですよ。限度があります」。毅然とした対米交渉を求める元衆院議員、上原康助さんの居室で、外務省高官はよくこう口にしたという。
 「米国は密約で、表面だけを繕う外務省の体質を知った。再編でグアム移転費用を再び日本に負担させるのも、当然の成り行きだった」。上原さんは「米国は高笑いしている」と悔しがる。
 七二年の国会で暴露された外務省の極秘電信文にあった「問題は実質ではなくアピアランス(外見)である」との一文は象徴的だ。SACO合意を究明する県民会議の真喜志好一さんは、「復帰のうたい文句だった『核抜き本土並み』も米軍再編の『負担軽減』も、まさに同じ見せかけだ」と憤る。
 米軍が六〇年代に作成した名護市辺野古沿岸の基地建設計画を発掘。現在の普天間代替施設案との類似点を挙げ、「いずれ実現するという日米密約があったのではないか」と指摘している。「後で密約の存在を知って悔しがっても遅い。真相を探り、計画を止めたい。それが西山さんのかたき討ちにもなる」と語った。
口つぐむ司法・田島泰彦
国民の権利擁護 果たさず
 今回の判決は、沖縄返還交渉の密約についてまったく議論しないまま、除斥期間という形式的なレベルにとどめてしまい、中身に対する司法判断が下されなかった。極めて残念な判決だ。
 近年、密約の事実を示す米国の公文書が二度にわたり公開された。また、沖縄返還交渉当時の日本政府事務方の最高責任者だった外務省の吉野文六・元アメリカ局長が、勇気をもって密約の存在を認めた。にもかかわらず、裁判の前提である日米間の密約という重大な疑惑について、正面から判断がなされることはなかった。本丸に到達することなく、入り口で終わってしまった。
 密約を報じた西山太吉氏は国家公務員法違反で起訴され、高裁、最高裁で有罪とされたが、その有罪を支える根拠は正当だったのか。密約の事実があったとすれば、それ自体が憲法違反であり、西山氏を有罪とする根拠そのものがなくなるが、極めて重要なその事実が裁判を通して明らかにされることはなかった。
 沖縄返還協定に反する密約があったとなると、政府は国会や国民を欺いたことになる。重大な憲法違反行為であり、きちんと正さなければいけないが、国民の権利擁護の役割を果たすべき司法は、口をつぐんでしまった。現在の司法の暗い現実の一端が表れている。このままでいいのか、あらためて問わずにいられない。
 西山氏の当初の事件を通し、国民の「知る権利」への関心が高まり、その後の情報公開の仕組みにもつながった。しかし、その「知る権利」は十分に生かされているだろうか。沖縄が現在直面している問題を見ても、米軍再編について膨大な国費が使われる根拠を含め、十分な説明はなされていない。
 また、裁判を通してこの国のメディアの状況をみると、一部のメディアは吉野証言を引き出すなどの成果があったが、全体としてみると、果たして密約の真相を厳しく追及できたか。事実に迫りきれていたか。課題は残されている。(談)(上智大学教授、「沖縄密約訴訟を考える会」世話人)

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沖縄タイムス 関連記事(3月26日?27日)

2007年3月26日(月) 朝刊 1面
「返還密約」あす判決 東京地裁
 沖縄返還の「密約」をめぐる取材で国家公務員法違反とされた元毎日新聞記者の西山太吉さん(75)が、国の密約を不問に付した不当な訴追で名誉を傷つけられたとして、国に謝罪と慰謝料などを求めている訴訟の判決が二十七日、東京地裁で言い渡される。沖縄問題の原点とされる返還密約を主題に、国民の知る権利と国の説明責任、メディアの役割が問い直された国家賠償訴訟。判決がどこまで密約の事実認定に踏み込むかが焦点となる。
 これまでの九回の弁論で、米公文書や元外務省高官の新証言を基に密約の証拠を積み重ねた西山さん側に対し、国側は仮に密約があっても西山さんが有罪であることに変わりはないと反論。密約の認否をしないまま結審した。
 西山さん側は、沖縄返還協定を偽造した政府の密約は国民を欺く違法行為で、国家公務員法が保護することを目的としている秘密には当たらないとして、有罪を確定した最高裁判決は誤っていると主張。
 国側は、最高裁は外交交渉の会談内容が法的な保護に値すると判断しており、その中に密約が含まれているかどうかは問題ではないと反論。密約が証明されたことをもって判決が誤りと主張するのは失当だとしている。
 また西山さん側は、二〇〇〇年から〇二年にかけて明らかになった米公文書で密約の裏付けは確定的になったが、政府高官らは事実を否定し続けて西山さんの名誉を傷つけてきたと主張。
 国側は政府高官らの発言は行政活動に関する一般的なコメントにすぎず、また西山さん個人を特定していないため社会的な評価はおとしめていないと反論している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200703261300_01.html

2007年3月27日(火) 朝刊 1・3面
国、きょうにも同意申請/普天間代替調査
知事、応じる意向
 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設で、防衛施設庁は二十六日までに、サンゴの産卵調査など海域での現況調査に着手するため、「公共用財産使用協議書」を二十七日にも県へ提出し、同意申請する方針を固めた。県は「形式が整っていれば淡々と処理していく」(仲井真弘多知事)とし、手続きを進める意向だ。県の同意が得られれば、那覇防衛施設局は業者選定後の四月にも海域調査の準備に乗り出す。
 施設局は二十二日に名護漁協、二十六日に名護市の同意書を得ており、協議書に添付の上、県に提出する。
 二十六日には、施設局職員が県の担当職員に事前説明を行った。施設局から正式に同意申請を受ければ、県は仲井真知事の談話を発表する予定。
 施設局から説明を受けた名護市などによると、調査範囲は一九九九年の閣議決定に基づき、沿岸部の集落から約二・二キロの辺野古沖を埋め立てる従来計画と同エリアに設定。大浦湾から久志にかけての海域で、辺野古崎沖合の平島や長島も含まれる。調査内容はサンゴやジュゴン、藻場の生息・分布調査のほか、波力の調査も行う。
 防衛施設庁は、県と名護市に対し、サンゴの産卵調査などの海域での調査については環境影響評価(アセスメント)の前段となる事前調査として実施する方針を伝達。協議書では「環境現況調査」ではなく、「現況調査」と表記し、環境アセスとは一線を画す体裁を整える。しかし、事前調査として行った場合でも、結果をアセスに反映させることは可能なため、「実質的なアセス着手」との批判も一部にある。また、施設局はアセス手続きの進展や代替施設本体の建設を見据えた業務発注を進めており、県に環境影響評価方法書を送付し、アセスに移行できる態勢も整えている。
 県は現段階での方法書の受理に難色を示す一方、事前調査については「事業者の責任と判断で行うもの」と理解を示している。
     ◇     ◇     ◇     
仲井真知事は柔軟姿勢/防衛研概観
 【東京】防衛省のシンクタンク「防衛研究所」は二十七日、日本周辺の安全保障環境を分析した「東アジア戦略概観2007」を公表した。昨年十一月の県知事選で当選した仲井真弘多氏について「(米軍普天間飛行場)代替施設の県内移設に関して柔軟な姿勢を示している」と指摘。仲井真氏の得票が在日米軍再編に関係する自治体の多くで対立候補の票を上回ったことを強調し、「再編計画の実現可能性は高まった」との見通しを示した。また、中国の政治、経済面での影響力拡大や軍事力の増大に警戒感を示す一方、北朝鮮が再度の核実験に踏み切る可能性に言及している。
 米軍再編の「特徴」として、県内六施設の全面・一部返還を挙げ「単に面積的な意味での地元負担の軽減ではなく、経済的な機会を拡大する意味でも地元負担の軽減につながる」と評価。基地返還と在沖米海兵隊のグアム移転は「相互に結びついている」とし、「パッケージ」で取り組むことの必要性を強調している。
 中国に関しては、昨年十月の東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議開催や六カ国協議への積極的な関与などを挙げ、自らの主導権を発揮できる新秩序構築と米国の影響力削減を狙っていると分析。「既存の地域秩序に満足していないことは明らかであり、日米両国は中国に既存秩序の受容を促し、東アジア協力を推進すべきだ」と提言した。
 「概観」の記述は二〇〇六年一月から十二月までの一年間が対象。同編集部は「政府・防衛省の見解を示すものではなく、防衛研究所の研究者が独自の立場から分析したもの」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200703271300_01.htm